JP2010037892A - デッキプレート - Google Patents

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Abstract

【課題】スラブを構築しつつ、断熱材としても利用することができるデッキプレートを提供する。
【解決手段】
所定面積を有する鉄板11と、鉄板11の上面に設置された鉄筋トラス13とから形成され、鉄筋トラ13スが、上部筋および一対の下部筋と、一対のラチス筋とから形成され、ラチス筋の上部が上部筋に溶接され、ラチス筋の中間部が下部筋に溶接され、ラチス筋の下部が鉄板に溶接され、所定の厚み寸法を有する発泡体14が、鉄板11の上面と上部筋と下部筋とラチス筋とのうちの少なくとも鉄板11の上面と下部筋とラチス筋の一部とを包被している。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物のスラブを構築するためのデッキプレートに関する。
メッキ処理が施された所定面積の鉄板と、鉄板の上面に設置された複数の鉄筋トラスとから形成され、横梁の間に架け渡し、普通コンクリートや軽量コンクリートを打設して鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物のスラブを構築するデッキプレートがある(特許文献1参照)。鉄筋トラスは、鉄板の上面から上方へ離間して縦方向へ延びる上部筋と、鉄板と上部筋との間に位置して縦方向へ延びる下部筋と、鉄板と上部筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら縦方向へ延びるラチス筋とから形成されている。このデッキプレートでは、ラチス筋の上部が上部筋に当接した状態で上部筋にスポット溶接され、ラチス筋の中間部が下部筋に当接した状態で下部筋にスポット溶接されている。ラチス筋の下部は、鉄板の上面と並行するように横方向外方へ屈曲しつつ、鉄板にスポット溶接されている。
特開2007−170161号公報
前記公報に開示のデッキプレートは、それに普通コンクリートや軽量コンクリートを打設し、スラブを構築するが、それらコンクリートによる断熱効果は低く、デッキプレートを断熱材として利用することはできない。また、ラチス筋の下部を鉄板に溶接すると、溶接時の熱の作用で、鉄板の上面のみならず、鉄板の下面にも溶接による痕が生じてしまう。鉄板の下面に生じた溶接痕は、デッキプレートの美観を損なうどころか、防食のために施されたメッキを消失させて鉄を露出させるから、湿気や結露によって溶接痕に錆が発生する場合がある。
本発明の目的は、スラブを構築しつつ、断熱材としても利用することができるデッキプレートを提供することにある。本発明の他の目的は、鉄板の下面に溶接跡が生じることがないデッキプレートを提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の前提は、所定面積を有する金属ベースと、金属ベースの上面に設置された鉄筋トラスとから形成されたデッキプレートである。
前記前提における本発明の特徴は、所定の厚み寸法を有する発泡体が、デッキプレートに布設され、金属ベースと鉄筋トラスの少なくとも一部とを包被しつつ、金属ベースと鉄筋トラスとに接合していることにある。
本発明の一例としては、金属ベースが、鉄板であり、鉄筋トラスが、鉄板の上面から上方へ離間して縦方向へ延びる上部筋と、鉄板と上部筋との間に位置して縦方向へ延びる一対の下部筋と、鉄板と上部筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら縦方向へ延びる一対のラチス筋とから形成され、ラチス筋の上部が上部筋に溶接され、ラチス筋の中間部が下部筋に溶接され、ラチス筋の下部が鉄板に溶接され、発泡体が、鉄板の上面と上部筋と下部筋とラチス筋とのうちの少なくとも鉄板の上面とラチス筋の一部とを包被している。このデッキプレートでは、鉄板の上面、上部筋、下部筋、ラチス筋のすべてが発泡体に包被された態様を含むとともに、上部筋とラチス筋の一部とが発泡体に包被されていない態様を含む。
本発明の他の一例としては、鉄板の上面から上方へ突出して縦方向へ延びる一対の突条が上部筋の横方向両側に位置するように鉄板に形成され、ラチス筋の下部のうちの突条と交差する部分が鉄板の上面から上方へ離間した状態で突条に溶接されている。
本発明の他の一例としては、ラチス筋の下部が鉄板の上面と並行するように横方向外方へ屈曲して突条と二点で交差し、ラチス筋の下部のうちの突条と交差するそれら部分が鉄板の上面から上方へ離間した状態で突条に溶接されている。
本発明の他の一例としては、金属ベースが、互いに交差する複数の鉄条から作られたメッシュ構造物であり、鉄筋トラスが、メッシュ構造物から上方へ離間して縦方向へ延びる上部筋と、メッシュ構造物と上部筋との間に位置して縦方向へ延びる一対の下部筋と、メッシュ構造物と上部筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら縦方向へ延びる一対のラチス筋とから形成され、ラチス筋の上部が上部筋に溶接され、ラチス筋の中間部が下部筋に溶接され、ラチス筋の下部がメッシュ構造物に溶接され、発泡体が、メッシュ構造物と上部筋と下部筋とラチス筋とのうちの少なくともメッシュ構造物の大部分を包被している。このデッキプレートでは、メッシュ構造物、上部筋、下部筋、ラチス筋のすべてが発泡体に包被された態様、上部筋とラチス筋の一部とが発泡体に包被されていない態様、上部筋と下部筋とラチス筋とが発泡体に包被されていない態様を含む。
本発明の他の一例としては、ラチス筋の下部がメッシュ構造物と並行するように横方向外方へ屈曲し、ラチス筋の下部のうちのメッシュ構造物と交差するそれら部分がメッシュ構造物に溶接されている。
本発明の他の一例としては、発泡体が、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォームのうちのいずれかである。
本発明に係るデッキプレートによれば、所定の厚み寸法を有する発泡体が金属ベースの上面に布設され、金属ベースの上面と鉄筋トラスの少なくとも一部とが発泡体によって包被されるから、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、発泡体の優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。このデッキプレートは、コンクリートの替わりに発泡体が利用されているから、コンクリートのみを打設する従来のデッキプレートと比較し、軽量であり、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物にかかる荷重を低減することができ、建造物の軽量化を図ることができる。
金属ベースが鉄板であり、鉄筋トラスが上部筋と一対の下部筋と一対のラチス筋とから形成され、発泡体が鉄板の上面と上部筋と下部筋とラチス筋とのうちの少なくとも鉄板の上面とラチス筋の一部とを包被するデッキプレートは、少なくとも鉄板の上面とラチス筋の一部とが発泡体によって包被されるから、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、発泡体の優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。このデッキプレートは、コンクリートの替わりに発泡体が利用されているから、コンクリートのみを打設する従来のデッキプレートと比較し、軽量であり、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物にかかる荷重を低減することができ、建造物の軽量化を図ることができる。
鉄板の上面から上方へ突出して縦方向へ延びる一対の突条が上部筋の横方向両側に位置するように鉄板に形成され、ラチス筋の下部のうちの突条と交差する部分が鉄板の上面から上方へ離間した状態で突条に溶接されたデッキプレートは、鉄板の突条とラチス筋の下部との溶接箇所が鉄板の上面よりも上方となるから、鉄板の上面のみならず、鉄板の下面に溶接による跡が生じることはない。デッキプレートは、鉄板の下面に溶接痕が生じることはないから、その美観が損なわれることがないのみならず、鉄板の上面および下面おける錆の発生を防ぐことができる。デッキプレートは、突条が鉄板の縦方向の可撓性を抑制するから、鉄板の縦方向の撓みや歪みを防ぐことができ、鉄板と発泡体との剥離を防ぐことができる。このデッキプレートは、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、発泡体の優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。
ラチス筋の下部が鉄板の上面と並行するように横方向外方へ屈曲して突条と二点で交差し、ラチス筋の下部のうちの突条と交差するそれら部分が鉄板の上面から上方へ離間した状態で突条に溶接されたデッキプレートは、ラチス筋の下部のうちの突条と二箇所で交差するそれら部分が突条に溶接されているから、ラチス筋の下部が突条に一箇所で溶接される場合と比較し、鉄板とラチス筋の下部との固定強度を増加させることができる。デッキプレートは、鉄板の突条とラチス筋の下部との溶接箇所が鉄板の上面よりも上方となるから、鉄板の上面のみならず、鉄板の下面に溶接による跡が生じることはない。デッキプレートは、鉄板の下面に溶接痕が生じることはないから、その美観が損なわれることがないのみならず、鉄板の上面および下面おける錆の発生を防ぐことができる。デッキプレートは、突条が鉄板の縦方向の可撓性を抑制するから、鉄板の縦方向の撓みや歪みを防ぐことができ、鉄板と発泡体との剥離を防ぐことができる。このデッキプレートは、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、発泡体の優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。
金属ベースが互いに交差する複数の鉄条から作られたメッシュ構造物であり、鉄筋トラスが上部筋と一対の下部筋と一対のラチス筋とから形成され、発泡体がメッシュ構造物と上部筋と下部筋とラチス筋とのうちの少なくともメッシュ構造物の大部分を包被するデッキプレートは、少なくともメッシュ構造物の大部分が発泡体によって包被されるから、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、発泡体の優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。このデッキプレートは、コンクリートの替わりに発泡体が利用されているから、コンクリートのみを打設する従来のデッキプレートと比較し、軽量であり、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物にかかる荷重を低減することができ、建造物の軽量化を図ることができる。
ラチス筋の下部がメッシュ構造物と並行するように横方向外方へ屈曲し、ラチス筋の下部のうちのメッシュ構造物と交差するそれら部分がメッシュ構造物に溶接されたデッキプレートは、ラチス筋の下部のうちのメッシュ構造物交差するそれら部分がメッシュ構造物に溶接されているから、メッシュ構造物とラチス筋の下部との固定強度を増加させることができる。デッキプレートは、少なくともメッシュ構造物の大部分が発泡体によって包被されるから、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、発泡体の優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。
発泡体として、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォームのうちのいずれかが使用されたデッキプレートは、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、それら発泡体の優れた断熱性能を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。
添付の図面を参照し、本発明に係るデッキプレートの詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、一例として示すデッキプレート10Aの斜視図であり、図2は、発泡体14を布設する以前の状態で示すデッキプレート10Aの斜視図である。図3は、図1のデッキプレート10Aの正面図であり、図4は、ラチス筋17の下部28の一部を破断して示すデッキプレート10Aの部分拡大側面図である。図1〜4では、縦方向を矢印A(図3を除く)、横方向を矢印Bで示し(図4を除く)、上下方向を矢印Cで示す。図4では、発泡体14の図示を省略している。
このデッキプレート10Aは、所定面積を有する縦長の鉄板11(金属ベース)と、鉄板11の上面12に位置して横方向へ並ぶ縦長の2組の鉄筋トラス13と、発泡体14とから作られている。各鉄筋トラス13は、鉄板11を横方向へ二分した各領域のうち、一方の領域の略中央と他方の領域の略中央とに設置されている。それら鉄筋トラス13は、1本の上部筋15と2本(一対)の下部筋16と2本(一対)のラチス筋17とから組み立てられている。上部筋15や下部筋16、ラチス筋17は、鉄を延伸して作られた断面円形の鉄棒である。なお、鉄筋トラス13の数に時に限定はなく、鉄板11の面積やトラス13の大きさにより、鉄板11に1組の鉄筋トラス13や2組以上の鉄筋トラス13が取り付けられていてもよい。
鉄板11は、縦方向へ延びる両側部18および横方向へ延びる両端部19を有し、略フラットな上面12および下面20を有する。鉄板11は、その上下面12,20にメッキ処理が施されている。なお、鉄板11の面積に特に限定はなく、構築するスラブの大きさによってその面積を自由に設定することができる。鉄板11の両側部18には、図1,2に示すように、鉄板11の上面12から上方へ折れ曲がる第1係合部21と、鉄板11の下面20から下方へ折れ曲がる第2係合部22とが形成されている。第1係合部21に第2係合部22を引っ掛けることで、複数のデッキプレート10Aを連結した状態で横方向へ並べることができる。
鉄板11には、その上面12から上方へ突出する複数の突条23が形成されている。突条23は、上部筋15を挟むように上部筋15の横方向両側に位置し、鉄板11の上面12において縦方向へ延びている。それら鉄筋トラス13毎では、横方向に並ぶそれぞれ2条の突条23が形成されている。突条23は、鉄板11の一部分を横方向内方へ折り曲げて、鉄板11の一部分をその上面12から上方へ向かって山折りし、山折りした部分において鉄板11の下面20どうしを隙間なく圧接することで作られている。
それら突条23は、上下方向へ所定の高さ寸法Lを有し、図3に示すように、その側面形状が帯状を呈するとともに、上方から見た形状が略線状を呈する。突条23の上下方向の高さ寸法Lに特に限定はないが、高さ寸法Lの好ましい範囲は5〜50mmである。突条23には、その上端24から鉄板11の上面12に向かって凹む凹部25が形成されている。凹部25は、鉄板11の上面12に達することなく、鉄板11の上面12から上方へ所定寸法離間している。ゆえに、鉄板11の上面12と凹部25との間には突条23の一部分が延びている。
上部筋15は、鉄板11の上面12から上方へ所定寸法離間して縦方向へ直状に延びている。上部筋15は、鉄板11の両端部19間に配置されている。下部筋16は、鉄板11の上面12から上方へ所定寸法離間して縦方向へ直状に延びている。それら下部筋16は、上部筋15の下方かつ上部筋15の横方向両側に位置し、鉄板11の上面12と上部筋15との間であって鉄板11の両端部19間に配置されている。
ラチス筋17は、鉄板11と上部筋15との間に位置して上下方向へ波状に曲折(起伏)を繰り返しながら縦方向へ延びている。それらラチス筋17は、上部筋15を挟んで横方向へ対称型に配置されている。ラチス筋17は、上部26および下部28と、上下部26,28の間に延びる中間部27とを有する。ラチス筋17は、図2に示すように、その上部26から下部28に向かって横方向へ末広がりを呈するように鉄板11に対して所定角度で傾斜している。
ラチス筋17の上部26は、図4に示すように、上方へ向かって弧を画き、上部筋15の横方向両側に当接した状態で、上部筋15にスポット溶接されている。ラチス筋17の下部28は、図1に示すように、鉄板11の上面12と並行するように、横方向外方へ折り曲げられ、横方向外方へ向かって弧を画いている。下部28は、その一部が突条23から横方向外方へ突出し、突条23と二点で交差している。下部28のうちの突条23と交差する部分29は、突条23に形成された凹部25に嵌入しつつ、鉄板11の上面12から上方へ所定寸法離間した状態で凹部25にスポット溶接されている。それらラチス筋17の中間部27は、それら下部筋16の内側に位置し、中間部27のうちの下部筋16と交差する部分30が下部筋16にスポット溶接されている。
スポット溶接では、図示はしていないが、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17を電極で挟み、電極に高電圧を印加してそれら上部筋15や下部筋16、ラチス筋17を加熱溶融した後、それら上部筋15や下部筋16、ラチス筋17を自然冷却し、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17どうしを溶接箇所において互いに溶着させる。また、ラチス筋17の下部28のうちの突条23に交差する部分29と突条23の凹部25とを溶接するには、部分29を突条23の上に乗せた後、突条23が延びる鉄板11の下面20に電極を配置するとともに、ラチス筋17の上方に電極を配置する。次に、それら電極で鉄板11とラチス筋17の下部28とを挟み、電極に高電圧を印加して鉄板11に形成された突条23とラチス筋17の部分28とを加熱溶融した後、鉄板11とラチス筋17とを自然冷却し、ラチス筋17の部分29と凹部25とを溶接箇所において互いに溶着させる。ここで、突条23を電極で加熱すると、突条23がその上端24から鉄板11の上面12に向かって溶け、突条23に凹部25が形成されるとともに、凹部25と部分29とが互いに溶着する。
鉄筋トラス13では、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の太さについて特に限定はなく、構築するスラブの大きさやスラブに必要な強度に合わせてそれら上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の太さを自由に設定することができる。上部筋15や下部筋16、ラチス筋17は鉄から作られているが、鉄以外の金属から作ることもできる。また、それら上部筋15や下部筋16、ラチス筋17に鉄を用いる場合は、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17にメッキ等の防食処理が施されていてもよい。単位長さ(m)当たりのラチス筋17の曲折を繰り返す回数や鉄板に対するラチス筋17の傾斜角度について特に限定はなく、曲折回数や傾斜角度を自由に設定することができる。
発泡体14は、鉄板11の上面12に布設され、鉄板11の上面12から上部筋15までの高さよりも僅かに大きい厚み寸法を有する。発泡体14は、鉄板11の上面12の略全域、突条23の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域を包被し、鉄板11の上面12、突条23、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17に接合している。発泡体14は、縦方向へ長い略四角柱状に成形されている。鉄板11の一方の側縁部18の側に位置する発泡体14の側面部31は、横方向外方へ突出する凸形状に成形されている。鉄板11の他方の側縁部18の側に位置する発泡体14の側面部32は、横方向内方へ凹む凹形状に成形されている。発泡体14には、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォームのうちのいずれかが使用されている。なお、発泡体14には、硬質ウレタンフォームやフェノールフォームを使用することが好ましい。
硬質ウレタンフォームは、ポリイソシアネートとポリオールとに触媒(アミン化合物等)、発泡剤(水、フルオロカーボン等)、整泡剤(シリコーンオイル)を混合し、泡化反応と樹脂化反応とを同時に行わせて得られるプラスチック発泡体である。硬質ウレタンフォームは、独立した微細な気泡の中に熱伝導率が極めて低いガスが閉じ込められているから、優れた断熱性能を発揮する。硬質ウレタンフォームは、デッキプレート10Aに高い断熱性を付与する。硬質ウレタンフォームをデッキプレート10Aに布設するには、モールド成形や現場発泡の方法を利用することができる。
硬質ウレタンフォームのモールド成形では、図2のデッキプレート10Aを収納可能な四角の型(モールド)を用意し、その型の内部に鉄板11を下にした状態でデッキプレート10Aを収納する。次に、その型の中に硬質ウレタンフォームの原液を注入して発泡させた後、ウレタンフォーム(発泡体14)が布設されたデッキプレート10Aを型から取り外す。型の内部では、鉄板11の上面12の略全域、突条23の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域が硬質ウレタンフォームに包被され、ウレタンフォームが鉄板11の上面12、突条23、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。モールド成形における発泡方法には、注入法やフロス注入法が用いられる。
硬質ウレタンフォームの現場発泡では、図2のデッキプレート10Aを製造した後、または、製造した図2のデッキプレート10Aによってスラブを構築した後、硬質ウレタンフォームの原液と発泡機とを使用し、原液を発泡させつつ鉄板11の上面12にウレタンフォームを吹き付ける。ウレタンフォームの厚み寸法は、ウレタンフォームの吹き付け量によって調節される。現場発泡における発泡方法には、注入法やフロス注入法、スプレー法が用いられる。現場発泡において硬質ウレタンフォームは、鉄板11の上面12、突条23、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。
フェノールフォームは、フェノール樹脂に発泡剤(ハイドロカーボン、有機発泡剤等)、硬化剤(有機酸、無機酸、アミン化合物等)を混合加熱し、泡化反応と硬化反応とを同時に行わせて得られるプラスチック発泡体である。フェノールフォームは、断熱性、不燃性、耐候性に優れ、デッキプレート10Aに高い断熱性を付与する。フェノールフォームをデッキプレート10Aに布設するには、モールド発泡やスプレー発泡の方法を利用することができる。
フェノールフォームのモールド成形では、図2のデッキプレート10Aを収納可能な四角の型(モールド)を用意し、その型の内部に鉄板11を下にした状態でデッキプレート10Aを収納する。次に、その型の中にフェノール樹脂、発泡剤、硬化剤を注入して発泡させた後、フェノールフォーム(発泡体14)が布設されたデッキプレート10Aを型から取り外す。型の内部では、鉄板11の上面12の略全域、突条23の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域がフェノールフォームに包被され、フェノールフォームが鉄板11の上面12、突条23、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。モールド成形における発泡方法には、注入法が用いられる。
スプレー発泡では、図2のデッキプレート10Aを製造した後、または、製造した図2のデッキプレート10Aによってスラブを構築した後、フェノール樹脂、発泡剤、硬化剤を混合しつつミキシングヘッドからそれらの混合物を鉄板11の上面12に直接スプレーし、発泡硬化させる。フェノールフォームの厚み寸法は、フェノールフォームのスプレー量によって調節される。スプレー発泡においてフェノールフォームは、鉄板11の上面12、突条23、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。
ビーズ法ポリスチレンフォームを布設するには、ポリスチレン樹脂と発泡剤(炭化水素等)とから形成された原料ビーズを予備発泡させた後、図2のデッキプレート10Aを収納可能な四角の型(モールド)を用意し、その型の内部に鉄板11を下にした状態でデッキプレート10Aを収納するとともに、その型の中に原料ビーズを充填し、加熱することによって発泡させる。発砲後、ポリスチレンフォーム(発泡体14)が布設されたデッキプレート10Aを型から取り外す。型の内部では、鉄板11の上面12の略全域、突条23の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域がポリスチレンフォームに包被され、ポリスチレンフォームが鉄板11の上面12、突条23、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。ポリスチレンフォームは、断熱性、耐候性に優れ、デッキプレート10Aに高い断熱性を付与する。
このデッキプレート10Aは、スラブを構築するために使用される。たとえば、鉄板11を下にしつつ上部筋15を上にした状態で、横梁に鉄板11の両端部19を乗せ、プレート10Aを横梁の間に架け渡す。横梁の間において横方向へデッキプレート10Aを並べるには、発泡体14の側面部31の凸形状に発泡体14の側面部32の凹形状を嵌合させる。その後、上部筋15の上方(発泡体14の上面)に床材(図示せず)を取り付ける。デッキプレート10Aと床材とは、連結ボルト(図示せず)によって固定される。具体的には、上部筋15と床材とを連結ボルトによって連結する。
デッキプレート10Aは、それら鉄筋トラス13が張力補強機能を有するから、デッキプレート10Aに曲げ応力が作用したとしても、それによるウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォーム等の発泡体14の折損や破損を防ぐことができる。デッキプレート10Aは、突条23が鉄板11の縦方向の可撓性を抑制するから、デッキプレート10Aに縦方向の曲げ応力が作用したとしても、デッキプレート10Aにおける縦方向の撓みや歪みを防ぐことができ、鉄板11とウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォームとの剥離を防ぐことができる。
デッキプレート10Aは、ウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォーム等の発泡体14が鉄板11の上面12に布設され、鉄板11の上面12、突条23、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17がそれら発泡体14によって包被されているから、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、ウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォームの優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。デッキプレート10Aは、それら発泡体14によって高い断熱性を発現し、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の保温性を向上させることができる。デッキプレート10Aは、コンクリートの替わりにウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォームが利用されているから、コンクリートのみを打設する従来のデッキプレートと比較し、軽量であり、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物にかかる荷重を低減することができ、建造物の軽量化を図ることができる。
図5は、他の一例として示すデッキプレート10Bの斜視図であり、図6は、図5のデッキプレート10Bの正面図である。図7は、デッキプレート10Bの側面図である。図5〜7では、縦方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し(図7を除く)、上下方向を矢印Cで示す。図5では、端部取付プレート33の図示を省略している。図7では、端部取付プレート33を利用してデッキプレート10Bを横梁34の間に架け渡した状態で示す。
このデッキプレート10Bが図1のそれと異なるのは、発泡体14が鉄板11の上面12の略全域、突条23の全域、下部筋16の全域を包被するとともに、ラチス筋17の中間部27の一部と下部28とを包被し、上部筋15と下部筋16から上方へ延びるラチス筋17の中間部27の一部および上部26とが発泡体14に包被されていない点にある。このデッキプレート10Bのその他の構成は、図1のそれと同一であるから、図1と同一の符号を付すことで、このデッキプレート10Bにおけるその他の構成の説明は省略する。なお、鉄板11の両端部19には、両端部19を横梁に乗せるためのL型の端部取付プレート33が取り付けられている(図7参照)。鉄板11と端部取付プレート33とは、スポット溶接によって互いに溶着している。
発泡体14は、鉄板11の上面12に布設され、鉄板11の上面12からラチス筋17の中間部27の略中央までの高さと同一の厚み寸法を有する。発泡体14は、鉄板11の上面12の略全域、突条23の全域、下部筋16の全域を包被し、ラチス筋17の中間部27の一部と下部28とを包被している。発泡体14は、鉄板11の上面12、突条23、下部筋16、ラチス筋17に接合している。発泡体14は、縦方向へ長い略四角柱状に成形されている。鉄板11の一方の側縁部18の側に位置する発泡体14の側面部31は、横方向外方へ突出する凸形状に成形されている。鉄板11の他方の側縁部18の側に位置する発泡体14の側面部32は、横方向内方へ凹む凹形状に成形されている。発泡体14には、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームのうちのいずれかが使用されている。なお、上部筋15と下部筋16から上方へ延びるラチス筋17の中間部27の一部および上部26とが発泡体14から露出している。
デッキプレート10Bに硬質ウレタンフォームを布設するには、現場発泡の方法を利用する。現場発泡では、デッキプレート10B(図2援用)を製造した後、または、製造したデッキプレート10Bによってスラブを構築した後、硬質ウレタンフォームの原液と発泡機とを使用し、原液を発泡させつつ鉄板11の上面12にウレタンフォームを吹き付ける。ウレタンフォームの厚み寸法は、ウレタンフォームの吹き付け量によって調節される。現場発泡において硬質ウレタンフォームは、鉄板11の上面12、突条23、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。
デッキプレート10Bにフェノールフォームを布設するには、スプレー発泡の方法を利用する。スプレー発泡では、デッキプレート10B(図2援用)を製造した後、または、製造したデッキプレート10Bによってスラブを構築した後、フェノール樹脂、発泡剤、硬化剤を混合しつつミキシングヘッドからそれらの混合物を鉄板11の上面12に直接スプレーし、発泡硬化させる。フェノールフォームの厚み寸法は、フェノールフォームのスプレー量によって調節される。スプレー発泡においてフェノールフォームは、鉄板11の上面12、突条23、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。
このデッキプレート10Bは、スラブを構築するために使用される。たとえば、図7に示すように、鉄板11を上にしつつ上部筋15を下にした状態で、端部取付プレート33を横梁34に乗せ、プレート10Bを横梁34の間に架け渡す。横梁34の間において横方向へデッキプレート10Bを並べるには、発泡体14の側面部31の凸形状に発泡体14の側面部32の凹形状を嵌合させる。その後、鉄板11の下面20に床材35を取り付ける。鉄板11と床材35とは連結ボルト(図示せず)によって連結される。
デッキプレート10Bは、それら鉄筋トラス13が張力補強機能を有するから、デッキプレート10Bに曲げ応力が作用したとしても、それによるウレタンフォームやフェノールフォーム等の発泡体14の折損や破損を防ぐことができる。デッキプレート10Bは、突条23が鉄板11の縦方向の可撓性を抑制するから、デッキプレート10Bに縦方向の曲げ応力が作用したとしても、デッキプレート10Bにおける縦方向の撓みや歪みを防ぐことができ、鉄板11とウレタンフォームやフェノールフォームとの剥離を防ぐことができる。
デッキプレート10Bは、ウレタンフォームやフェノールフォーム等の発泡体14が鉄板11の上面12に布設され、鉄板11の上面12、突条23、下部筋16、ラチス筋17の一部がそれら発泡体14によって包被されているから、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、ウレタンフォームやフェノールフォームの優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。デッキプレート10Bは、それら発泡体14によって高い断熱性を発現し、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の保温性を向上させることができる。デッキプレート10Bは、コンクリートの替わりにウレタンフォームやフェノールフォームが利用されているから、コンクリートのみを打設する従来のデッキプレートと比較し、軽量であり、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物にかかる荷重を低減することができ、建造物の軽量化を図ることができる。
図1および図4に示すデッキプレート10A,10Bは、横方向外方へ屈曲するラチス筋17の下部28が突条23と二点で交差し、下部28のうちの突条23と交差する部分29が凹部25に嵌入しつつ、それら部分29が鉄板11の上面12から上方へ離間した状態で凹部25に溶接されているから、ラチス筋17の下部28と凹部25との溶接箇所が鉄板11の上面12よりも上方となり、鉄板11の上面12のみならず、鉄板11の下面20に溶接による跡が生じることはない。それらデッキプレート10A,10Bは、鉄板11の下面20に溶接痕が生じることはないから、その美観が損なわれることがないのみならず、鉄板11の上面12および下面20おける錆の発生を防ぐことができる。
図1および図4に示すデッキプレート10A,10Bは、ラチス筋17がその上部26から下部28に向かうにつれて横方向外方へ末広がりとなり、一対の下部筋16がラチス筋17の中間部27に配置され、ラチス筋17の中間部27のうちの下部筋16と交差する部分30が下部筋16に溶接されているから、ラチス筋17の上部26を上部筋15に接合するのみならず、ラチス筋17の中間部27を下部筋16に接合することで、ラチス筋17の剛性を増加させることができるとともに、デッキプレート10A,10Bに曲げ応力が作用したとしても、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17の張力補強機能によってウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォーム等の発泡体14が折損や破損することはない。それらデッキプレート10A,10Bは、ラチス筋17の下部28が凹部25に嵌入しつつラチス筋17と凹部25とが溶接されているから、ラチス筋17の下部28が突条23に単に当接した状態でラチス筋17と突条23とが溶接されている場合と比較し、溶接箇所における固定強度が大きい。
図8は、他の一例として示すデッキプレート10Cの斜視図であり、図9は、発泡体14を布設する以前の状態で示すデッキプレート10Cの斜視図である。図10は、図8のデッキプレート10Cの側面図である。図8〜10では、縦方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し(図10を除く)、上下方向を矢印Cで示す。図8では、端部取付プレート33の図示を省略している。図9では、カラー鋼板37の図示を省略している。図10では、端部取付プレート33を利用してデッキプレート10Cを横梁34の間に架け渡した状態で示す。
このデッキプレート10Cが図1のそれと異なるのは、金属ベースとして互いに交差する複数の鉄線39,40(鉄条)から作られたメッシュ構造物36が使用されている点、メッシュ構造物36の下方にカラー鋼板37が配置されている点、さらに、発泡体14がメッシュ構造物36の全域とカラー鋼板37の上面38の全域を包被するとともに、ラチス筋17の下部28と中間部27の一部とを包被し、上部筋15および下部筋16とラチス筋17の上部26および中間部27の一部とが発泡体14に包被されていない点にある。このデッキプレート10Cのその他の構成は、図1のそれと同一であるから、図1と同一の符号を付すことで、このデッキプレート10Cにおけるその他の構成の説明は省略する。なお、カラー鋼板37の両端部には、両端部を横梁34に乗せるためのL型の端部取付プレート33が取り付けられている。
メッシュ構造物36は、互いに並行して縦方向へ延びる複数の鉄線39と、互いに並行して横方向へ延びる複数の鉄線40とから形成されている。メッシュ構造物36では、鉄線39と鉄線40とが直角に交差し、それら鉄線39,40が縦横方向へ整然と並ぶ四角形を画成している。それら鉄線39,40は、鉄を延伸することから作られた断面円形の鉄棒である。鉄線39と鉄線40とは、それらが交差する部分において互いに接合されている。鉄線39と鉄線40との交差部分では、スポット溶接によってそれら鉄線39,40が溶着している。鉄線40は、鉄線39の上方に位置し、ラチス筋17の下部28と下部28との間に配置されている。ラチス筋17の下部28は、図1に示すように、鉄線39,40と並行するように、横方向外方へ折り曲げられ、横方向外方へ向かって弧を画いている。ラチス筋17の下部28は、その一部が鉄線39から横方向外方へ突出し、鉄線39と二点で交差している。
ラチス筋17の下部28のうちの鉄線39と交差する部分は、鉄線39の下方に位置しつつ、鉄線39にスポット溶接されている。ラチス筋17の下部28のうちの鉄線39に交差する部分と鉄線39とを溶接するには、鉄線39を部分の上に乗せた後、鉄線39に電極を配置するとともに、ラチス筋17の上方に電極を配置する。次に、それら電極で鉄線39とラチス筋17の下部28とを挟み、電極に高電圧を印加して鉄線39とラチス筋17の部分とを加熱溶融した後、鉄線39とラチス筋17とを自然冷却し、ラチス筋17の部分と鉄線39とを溶接箇所において互いに溶着させる。
発泡体14は、カラー鋼板37の上面38に布設され、鋼板37の上面38からラチス筋17の中間部27までの高さと同一の厚み寸法を有する。発泡体14は、鋼板37の上面38の略全域とメッシュ構造物36の全域とを包被し、ラチス筋17の下部28および中間部27の一部を包被している。発泡体14は、鋼板37の上面38、メッシュ構造物37、ラチス筋17に接合している。発泡体14は、縦方向へ長い略四角柱状に成形されている。発泡体14の一方の側面部31は、横方向外方へ突出する凸形状に成形されている。発泡体14の他方の側面部32は、横方向内方へ凹む凹形状に成形されている。発泡体14には、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームのうちのいずれかが使用されている。なお、上部筋15および下部筋16とラチス筋17の上部26および中間部27の一部とが発泡体14から露出している。
デッキプレート10Cに硬質ウレタンフォームを布設するには、現場発泡の方法を利用する。現場発泡では、ラチス筋17とメッシュ構造物36とを接合して上部筋15、下部筋16、ラチス筋17、メッシュ構造物36から形成された図9のデッキプレート10Cを作り、そのデッキプレート10Cをカラー鋼板37の上面に乗せる。次に、硬質ウレタンフォームの原液と発泡機とを使用し、原液を発泡させつつカラー鋼板37の上面38にウレタンフォームを吹き付ける。ウレタンフォームの厚み寸法は、ウレタンフォームの吹き付け量によって調節される。現場発泡において硬質ウレタンフォームは、鋼板37の上面38、メッシュ構造物36、ラチス筋17に自己接着する。
デッキプレート10Cにフェノールフォームを布設するには、スプレー発泡の方法を利用する。スプレー発泡では、ラチス筋17とメッシュ構造物36とを接合して上部筋15、下部筋16、ラチス筋17、メッシュ構造物36から形成された図9のデッキプレート10Cを作り、そのデッキプレート10Cをカラー鋼板の上面に乗せる。次に、フェノール樹脂、発泡剤、硬化剤を混合しつつミキシングヘッドからそれらの混合物を鋼板の上面に直接スプレーし、発泡硬化させる。フェノールフォームの厚み寸法は、フェノールフォームのスプレー量によって調節される。現場発泡における発泡方法には、注入法やフロス注入法、スプレー法が用いられる。スプレー発泡においてフェノールフォームは、鋼板37の上面38、メッシュ構造物36、ラチス筋17に自己接着する。
このデッキプレートは、スラブを構築するために使用される。たとえば、図10に示すように、カラー鋼板を上にしつつ上部筋15を下にした状態で、端部取付プレート33を横梁34に乗せ、プレート10Cを横梁34の間に架け渡す。横梁34の間において横方向へデッキプレート10Cを並べるには、発泡体14の側面部31の凸形状に発泡体14の側面部32の凹形状を嵌合させる。その後、カラー鋼板37の下面に床材35を取り付ける。鋼板37と床材35とは連結ボルト(図示せず)によって連結される。デッキプレート10Cは、それら鉄筋トラス13が張力補強機能を有するから、デッキプレート10Cに曲げ応力が作用したとしても、それによるウレタンフォームやフェノールフォームの折損や破損を防ぐことができる。
デッキプレート10Cは、それにウレタンフォームやフェノールフォーム等の発泡体14が布設され、カラー鋼板37の上面38、メッシュ構造物36、ラチス筋17の下部28および中間部27の一部がそれら発泡体14によって包被されているから、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、ウレタンフォームやフェノールフォームの優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。デッキプレート10Cは、それら発泡体14によって高い断熱性を発現し、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の保温性を向上させることができる。デッキプレート10Cは、コンクリートの替わりにウレタンフォームやフェノールフォームが利用されているから、コンクリートのみを打設する従来のデッキプレートと比較し、軽量であり、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物にかかる荷重を低減することができ、建造物の軽量化を図ることができる。
デッキプレート10Cでは、発泡体14がメッシュ構造物36の全域とカラー鋼板37の上面38の全域を包被するとともに、ラチス筋17の下部28と中間部27の一部とを包被しているが、発泡体14がメッシュ構造物36の全域、カラー鋼板37の上面38の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域を包被していてもよい。この場合、発泡体14には、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォームのうちのいずれかを使用することができる。メッシュ構造物36の全域、カラー鋼板37の上面38の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域を発泡体14によって包被する場合において、硬質ウレタンフォームをデッキプレート10Cに布設するには、前記現場発泡の方法を利用することができる他、モールド成形の方法を利用することもできる。
硬質ウレタンフォームのモールド成形では、図9のデッキプレート10Cを収納可能な四角の型(モールド)を用意し、その型の内部にカラー鋼板37を敷き、鋼板37の上面にデッキプレート10Cを乗せ、型の内部にデッキプレート10Cを収納する。次に、その型の中に硬質ウレタンフォームの原液を注入して発泡させた後、ウレタンフォーム(発泡体14)が布設されたデッキプレート10Cを型から取り外す。型の内部では、メッシュ構造物36の全域、カラー鋼板37の上面38の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域が硬質ウレタンフォームに包被され、ウレタンフォームがメッシュ構造物36、鋼板37の上面38、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。モールド成形における発泡方法には、注入法やフロス注入法が用いられる。
メッシュ構造物36の全域、カラー鋼板37の上面38の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域を発泡体14によって包被する場合において、フェノールフォームをデッキプレート10Cに布設するには、前記スプレー発泡の方法を利用することができる他、モールド発泡の方法を利用することもできる。フェノールフォームのモールド成形では、図9のデッキプレート10Cを収納可能な四角の型(モールド)を用意し、その型の内部にカラー鋼板37を敷き、鋼板37の上面にデッキプレート10Cを乗せ、型の内部にデッキプレート10Cを収納する。次に、その型の中にフェノール樹脂、発泡剤、硬化剤を注入して発泡させた後、フェノールフォーム(発泡体14)が布設されたデッキプレート10Cを型から取り外す。型の内部では、メッシュ構造物36の全域、カラー鋼板37の上面38の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域がフェノールフォームに包被され、フェノールフォームがメッシュ構造物36、鋼板37の上面38、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。モールド成形における発泡方法には、注入法が用いられる。
メッシュ構造物36の全域、カラー鋼板37の上面38の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域を発泡体14によって包被する場合において、ビーズ法ポリスチレンフォームをデッキプレート10Cに布設するには、ポリスチレン樹脂と発泡剤(炭化水素等)とから形成された原料ビーズを予備発泡させた後、図9のデッキプレート10Cを収納可能な四角の型(モールド)を用意し、その型の内部にカラー鋼板37を敷き、鋼板37の上面にデッキプレート10Cを乗せ、型の内部にデッキプレート10Cを収納するとともに、その型の中に原料ビーズを充填し、加熱することによって発泡させる。発砲後、ポリスチレンフォーム(発泡体14)が布設されたデッキプレート10Cを型から取り外す。型の内部では、メッシュ構造物36の全域、カラー鋼板37の上面38の全域、上部筋15や下部筋16、ラチス筋17の全域がポリスチレンフォームに包被され、ポリスチレンフォームがメッシュ構造物36、鋼板37の上面38、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17に自己接着する。
図11は、他の一例として示すデッキプレート10Dの斜視図であり、図12は、発泡体14を布設する以前の状態で示すデッキプレート10Dの斜視図である。図13は、図11のデッキプレート10Dの側面図である。図11〜13では、縦方向を矢印A、横方向を矢印Bで示し(図13を除く)、上下方向を矢印Cで示す。図11では、端部取付プレート33の図示を省略している。図13では、端部取付プレート33を利用してデッキプレート10Dを横梁34の間に架け渡した状態で示す。
このデッキプレート10Dが図1のそれと異なるのは、金属ベースとして互いに交差する複数の鉄帯42,43(鉄条)から作られたメッシュ構造物41が使用されている点、発泡体14がメッシュ構造物41の大部分を包被し、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17が発泡体14に包被されていない点にある。このデッキプレート10Dのその他の構成は、図1のそれと同一であるから、図1と同一の符号を付すことで、このデッキプレート10Dにおけるその他の構成の説明は省略する。なお、メッシュ構造物41の両端部には、両端部を横梁34に乗せるためのL型の端部取付プレート33が取り付けられている。
メッシュ構造物40は、互いに並行して斜め方向へ延びる複数の鉄帯42と、互いに並行して斜め方向へ延びる複数の鉄帯43とから形成されている。メッシュ構造物36では、鉄帯42と鉄帯43とが直角に交差し、それら鉄帯42,43が縦横方向へ整然と並ぶ菱形を画成している。それら鉄帯42,43は、その断面形状が帯状に成形されている。鉄帯42と鉄帯43とは、それらが交差する部分において非溶接状態で互いに繋がっている。ラチス筋17の下部28は、図10に示すように、鉄帯42,43と並行するように、横方向外方へ折り曲げられ、横方向外方へ向かって弧を画いている。ラチス筋17の下部28は、鉄帯42,43と交差している。
ラチス筋17の下部28のうちの鉄帯42,43と交差する部分は、鉄帯42,43の上方に位置しつつ、鉄帯42,43にスポット溶接されている。ラチス筋17の下部28のうちの鉄帯42,43に交差する部分と鉄帯42,43とを溶接するには、部分をメッシュ構造物41の上に乗せた後、鉄帯42,43に電極を配置するとともに、ラチス筋17の上方に電極を配置する。次に、それら電極で鉄帯42,43とラチス筋17の下部28とを挟み、電極に高電圧を印加して鉄帯42,43とラチス筋17の部分とを加熱溶融した後、鉄帯42,43とラチス筋17とを自然冷却し、ラチス筋17の部分と鉄帯42,43とを溶接箇所において互いに溶着させる。
発泡体14は、メッシュ構造物41に布設され、メッシュ構造物41から下方に向かって所定の厚み寸法を有する。発泡体14は、メッシュ構造物41の略全域を包被している。発泡体14は、メッシュ構造物41に接合している。発泡体14は、縦方向へ長い略四角柱状に成形されている。メッシュ構造物41の一方の側縁部の側に位置する発泡体14の側面部31は、横方向外方へ突出する凸形状に成形されている。メッシュ構造物41の他方の側縁部の側に位置する発泡体14の側面部32は、横方向内方へ凹む凹形状に成形されている。発泡体14には、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォームのうちのいずれかが使用されている。なお、メッシュ構造物41の一部、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17が発泡体14から露出している。
デッキプレート10Dに硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォームを布設するには、メッシュ構造物41を抵抗加熱や誘導加熱等によって所定温度(フォーム溶融温度)に加熱し、既存の製造法によってあらかじめ四角柱状に成形されたそれらフォームの上にメッシュ構造物41、上部筋15、下部筋16、ラチス筋17から形成された図12のデッキプレート10Dを乗せる。それらフォームの上にそのデッキプレート10Dを乗せると、それらフォームがメッシュ構造物41の熱によって溶融し、メッシュ構造物41がそれらフォームの内部に進入する。フォームが冷却固化することで、メッシュ構造物41がそれらフォームの内部に固定される。
このデッキプレート10Dは、スラブを構築するために使用される。たとえば、図13に示すように、メッシュ構造物41を上にしつつ上部筋15を下にした状態で、端部取付プレート33を横梁34に乗せ、プレート10Dを横梁34の間に架け渡す。横梁34の間において横方向へデッキプレート10Dを並べるには、発泡体14の側面部31の凸形状に発泡体14の側面部32の凹形状を嵌合させる。その後、発泡体14に床材35を取り付ける。デッキプレート10Dと床材35とは、連結ボルト(図示せず)によって固定される。具体的には、メッシュ構造物41と床材35とを連結ボルトによって連結する。
デッキプレート10Dは、それにウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォーム等の発泡体14が布設され、メッシュ構造物41の大部分がそれら発泡体14によって包被されているから、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物におけるスラブを構築しつつ、ウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォームの優れた断熱効果を利用することで、それを鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の断熱材として利用することができる。デッキプレート10Dは、それら発泡体14によって高い断熱性を発現し、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物の保温性を向上させることができる。
デッキプレート10Dは、コンクリートの替わりにウレタンフォームやフェノールフォーム、ポリスチレンフォームが利用されているから、コンクリートのみを打設する従来のデッキプレートと比較し、軽量であり、鉄骨建造物や鉄筋コンクリート建造物にかかる荷重を低減することができ、建造物の軽量化を図ることができる。なお、図10に示すデッキプレート10Dでは、メッシュ構造物41の一部が発泡体14から露出しているが、メッシュ構造物41の全域が発泡体14によって包被されていてもよい。
それら図示のデッキプレート10A,10B,10C,10Dでは、縦方向の寸法や横方向の寸法について特に限定はなく、縦方向の寸法や横方向の寸法を自由に決定することができる。
一例として示すデッキプレートの斜視図。 発泡体を布設する以前の状態で示すデッキプレートの斜視図。 図1のデッキプレートの正面図。 デッキプレートの部分拡大側面図。 他の一例として示すデッキプレートの斜視図。 図5のデッキプレートの正面図。 デッキプレートの側面図。 他の一例として示すデッキプレートの斜視図。 発泡体を布設する以前の状態で示すデッキプレートの斜視図。 デッキプレートの側面図。 他の一例として示すデッキプレートの斜視図。 発泡体を布設する以前の状態で示すデッキプレートの斜視図。 デッキプレートの側面図
符号の説明
10A デッキプレート
10B デッキプレート
10C デッキプレート
10D デッキプレート
11 鉄板(金属ベース)
12 上面
13 鉄筋トラス
14 発泡体
15 上部筋
16 下部筋
17 ラチス筋
23 突条
26 上部
27 中間部
28 下部
29 部分
30 部分
37 メッシュ構造物
39 鉄線(鉄条)
40 鉄線(鉄条)
41 メッシュ構造物
42 鉄帯(鉄条)
43 鉄帯(鉄条)

Claims (7)

  1. 所定面積を有する金属ベースと、前記金属ベースの上面に設置された鉄筋トラスとから形成されたデッキプレートにおいて、
    所定の厚み寸法を有する発泡体が、前記デッキプレートに布設され、前記金属ベースと前記鉄筋トラスの少なくとも一部とを包被しつつ、前記金属ベースと前記鉄筋トラスとに接合していることを特徴とするデッキプレート。
  2. 前記金属ベースが、鉄板であり、前記鉄筋トラスが、前記鉄板の上面から上方へ離間して縦方向へ延びる上部筋と、前記鉄板と前記上部筋との間に位置して縦方向へ延びる一対の下部筋と、前記鉄板と前記上部筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら縦方向へ延びる一対のラチス筋とから形成され、前記ラチス筋の上部が、前記上部筋に溶接され、前記ラチス筋の中間部が、前記下部筋に溶接され、前記ラチス筋の下部が、前記鉄板に溶接され、前記発泡体が、前記鉄板の上面と前記上部筋と前記下部筋と前記ラチス筋とのうちの少なくとも該鉄板の上面と該ラチス筋の一部とを包被している請求項1記載のデッキプレート。
  3. 前記鉄板の上面から上方へ突出して縦方向へ延びる一対の突条が、前記上部筋の横方向両側に位置するように前記鉄板に形成され、前記ラチス筋の下部のうちの前記突条と交差する部分が、前記鉄板の上面から上方へ離間した状態で該突条に溶接されている請求項2記載のデッキプレート。
  4. 前記ラチス筋の下部が、前記鉄板の上面と並行するように横方向外方へ屈曲して前記突条と二点で交差し、前記ラチス筋の下部のうちの前記突条と交差するそれら部分が、前記鉄板の上面から上方へ離間した状態で該突条に溶接されている請求項3記載のデッキプレート。
  5. 前記金属ベースが、互いに交差する複数の鉄条から作られたメッシュ構造物であり、前記鉄筋トラスが、前記メッシュ構造物から上方へ離間して縦方向へ延びる上部筋と、前記メッシュ構造物と前記上部筋との間に位置して縦方向へ延びる一対の下部筋と、前記メッシュ構造物と前記上部筋との間で上下方向へ波状に曲折を繰り返しながら縦方向へ延びる一対のラチス筋とから形成され、前記ラチス筋の上部が、前記上部筋に溶接され、前記ラチス筋の中間部が、前記下部筋に溶接され、前記ラチス筋の下部が、前記メッシュ構造物に溶接され、前記発泡体が、前記メッシュ構造物と前記上部筋と前記下部筋と前記ラチス筋とのうちの少なくとも該メッシュ構造物の大部分を包被している請求項1記載のデッキプレート。
  6. 前記ラチス筋の下部が、前記メッシュ構造物と並行するように横方向外方へ屈曲し、前記ラチス筋の下部のうちの前記メッシュ構造物と交差するそれら部分が、該メッシュ構造物に溶接されている請求項5記載のデッキプレート。
  7. 前記発泡体が、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォームのうちのいずれかである請求項1ないし請求項6いずれかに記載のデッキプレート。
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JP2015523480A (ja) * 2012-06-12 2015-08-13 ディーエスティー コンストラクションズ リミテッド 鉄筋コンクリート床を構築するための焼結した発泡ポリスチレンの組み立て式要素
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