JP2010036624A - 自動二輪車の後方確認用ミラー - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、後方確認用ミラーを備えた自動二輪車において、旋回性能を向上させることができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】後方確認用ミラー61Lは、車体から延びているミラーアーム131Lと、このミラーアーム131Lの先端に設けられるミラーハウジング132Lと、このミラーハウジング132Lの前面に設けられているウインカ135Lと、ミラーハウジング132Lの後面に設けられ乗員が後方を確認するミラー本体133Lと、からなる。ミラーハウジング132Lは、一部が上方へ突出するように、少なくとも上面146Lに第1の段部147Lが設けられている。
【選択図】図5

Description

本発明は、自動二輪車の後方確認用ミラーに関する。
車体の前部から左右に延びており後方を確認する自動二輪車の後方確認用ミラーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−69299公報(図4)
特許文献1の図4において、自動二輪車の前部に、フロントカウリング24(符号は同公報のものを流用する。以下同じ。)が設けられ、このフロントカウリング24から左右外方に、リヤビューミラー36(以下、「後方確認用ミラー36」と云う。)が延設されている。
リヤビューミラー36は、アームとしての支持柱38と、この支持柱38に支持されるミラーケース37と、このミラーケース37の前面に設けられウインカに備えられているレンズ46と、ミラーケース37の後面に装着されるミラー本体40と、を主要な構成要素とする。
ところで、特許文献1の技術では、自動二輪車の走行中に、走行風は、ミラーケース37の周囲を流れる。ミラーケース37の形状について、特許文献1では開示されていないが、その形状は、通常、滑らかな曲面で形成されており、走行風は、ミラーケース37の周辺を滑らかに流れる。
この場合に、旋回走行の多いスポーツ走行において、旋回の際に、運転者は、走行風に抗する力を余分に車両に与えながら旋回に入ることになる。
本発明は、後方確認用ミラーを備えた自動二輪車において、旋回性能を向上させることができる技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車体から延びているミラーアームと、このミラーアームの先端に設けられるミラーハウジングと、このミラーハウジングに設けられ乗員が後方を確認するミラーと、からなる自動二輪車の後方確認用ミラーにおいて、ミラーハウジングは、一部が上方へ突出するように、少なくとも上面に第1の段部が設けられていることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、ミラーハウジングは、車両前方に臨ませるケース部と、このケース部に取り付けられミラーを支えるホルダ部とからなり、第1の段部は、ケース部とホルダ部の合わせ部に設けられていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、ミラーハウジング内には、ウインカが収容されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、ウインカの配線は、ミラーアーム内に設けられるとともに、
ミラーアームには、一部が上方へ突出するように第2の段部が設けられていることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、第1の段部の段差は、0.7〜1.3mmに設定されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明では、合わせ部の隙間は、0.3〜1.0mmに設定されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ミラーハウジングは、正面から見たときに一部が上方へ突出するように、少なくとも上面に第1の段部が設けられている。
走行風が、ミラーハウジングの上面に当たると、この走行風は、第1の段部で剥離され、走行風の流れは乱される。
従来、ミラーハウジングの上面は、空力特性を高めるため、段差が生じないように滑らかな曲面および平面で形成されていた。そうすると、直進時においては、ミラーハウジングの周囲を通過する走行風は、乱れが発生することなく円滑に後方に流れる。
この場合に、コーナリング走行の多いスポーツ走行において、ミラーハウジングの周囲に、円滑な走行流が流れているため、旋回の際には、これに抗する力が余分に必要となっていた。
この点、本発明では、前部と後部との間には、少なくとも上面に第1の段部が備えられており、この第1の段部で、乱流が発生するようにした。第1の段部で乱流が発生し、ミラーハウジングの周囲に、乱流が流れるので、旋回の際には、第1の段部を設けないときに較べると、より小さな入力で車両の向きを変化させることができる。すなわち、第1の段部によって、旋回時の入力を適切に調整できるので、旋回性能を向上させることができる。
請求項2に係る発明では、ミラーハウジングは、ケース部と、このケース部に取り付けられるホルダ部とからなり、ケース部とホルダ部との合わせ部に、第1の段部が設けられている。
第1の段部は、ケース部とホルダ部との合わせ部に設けられているので、成形用の金型を複雑な形状にすることなく、容易に第1の段部を設けることが可能となる。したがって、ミラーハウジングのコストアップを抑えることができる。
請求項3に係る発明では、ミラーハウジング内には、ウインカが収容されている。ミラーハウジングにウインカを設けることで、ミラーハウジングとウインカの間に、付加的に段部を設けることが可能となる。段部の数が増えることで、ミラーにおいて、乱流を複数の箇所で起こすことができるので、より一層小さな入力で車両の向きを変化させることができる。したがって、旋回に係る操作性を一層高めることが可能となる。
請求項4に係る発明では、ミラーアームは、正面から見たときに、一部が上方へ突出するように第2の段部が設けられている。ウインカ付きのミラーでは、サイズが大きくなるミラーアームにも第2の段部を設けることで、さらに小さな入力で車両の向きを変えることが可能となる。
請求項5に係る発明では、第1の段部の段差は0.7〜1.3mmに設定されている。
仮に、第1の段部の段差が0.7mm未満のときは、後方確認用ミラーの周囲を流れる走行風に乱れが起き難くなる。
また、第1の段部の段差が1.3mm超のときは、後方確認用ミラーの外観性が損なわれる場合がある。
そこで、本発明では、第1の段部の段差は0.7mm〜1.3mmの間に設定されている。
第1の段部の段差が0.7mm〜1.3mmの間にあれば、後方確認用ミラーの周囲を流れる走行風に乱れが発生するので、より小さな入力で車両の向きを変化させることができる。加えて、視覚的にはわずかな段差なので、後方確認用ミラーの外観性への影響は極力抑えられる。
請求項6に係る発明では、合わせ部の隙間は0.3〜1.0mmに設定されている。
仮に、合わせ部の隙間が0.3mm未満では、後方確認用ミラーの周囲を流れる走行風に乱れが起き難くなる。
また、合わせ部の隙間が1.0mm超では、後方確認用ミラーの外観性が損なわれる場合がある。
そこで、本発明では、合わせ部の隙間は、0.3mm〜1.0mmの間に設定されている。
合わせ部の隙間が0.3mm〜1.0mmの間にあれば、後方確認用ミラーの周囲を流れる走行風に乱れが発生するので、より小さな入力で車両の向きを変化させることができる。加えて、後方確認用ミラーの外観性への影響は極力抑えられる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。図中、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各々車両に着座した乗員から見た方向である。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両の左側面図であり、車両としての自動二輪車10には、車体フレーム11が備えられている。
車体フレーム11は、ヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方に延出されエンジン13を支持するメインフレーム14と、このメインフレーム14の後端上部から後方に延ばし乗員シート15を支持し、バッテリ16などの電装部品などを取り付け、且つ、リヤフェンダ17を含む車体後部18を支持するリヤフレーム19と、からなる。
なお、メインフレーム14には、このメインフレーム14の後端部に設けられスイングアーム28を支持するピボットプレート22を含む。
ピボットプレート22には、ピボット軸27が設けられ、このピボット軸27から後方にリヤスイングアーム28(スイングアーム28)が延ばされ、このスイングアーム28とメインフレーム14の間に衝撃を吸収するリヤクッションユニット29が設けられ、スイングアーム28の先端部に、後輪31が取り付けられている。後輪31は、エンジン13と後輪31との間をつなぐ図示せぬドライブシャフトによって駆動される。
ヘッドパイプ12には、フロントフォーク24が設けられており、このフロントフォーク24の下端部に前輪25が取り付けられ、フロントフォーク24の上端部に前輪25を操舵する操舵ハンドル26が設けられている。
メインフレーム14には、エンジン13(V型4気筒エンジン13)が搭載されている。エンジン13は、第1〜第4支持点30a〜30dを介してメインフレーム14に支持されている。第1〜第4支持点30a〜30dは、車幅方向水平に設けられ、車両の前から後へこの順に配置されている。これらの支持点のうち、第3〜第4支持点30c〜30dは、ピボットプレート22に設けられている。つまり、エンジン13は、メインフレーム14およびピボットプレート22によって懸架されている。
V型4気筒エンジン13は、クランクケース37と、このクランクケース37に設けたクランクシャフト34を中心に斜め前上方に延びている前シリンダ35と、クランクシャフト34を中心に斜め後上方に延びている後シリンダ36とをV字状に配置した形態をもつ。そして、このV型4気筒エンジン13は、車両を側面から見たときに、エンジン13の上部を構成する前シリンダ35および後シリンダ36にメインフレーム14が重なり、エンジン13の後部を構成するクランクケース37にピボットプレート22の一部が重なるように懸架されている。
V型4気筒エンジン13には、排気装置33が備えられている。
排気装置33は、各シリンダ35、35、36、36から延びている排気管41a〜41dと、これらの排気管41a〜41dが集合され排気ガスの浄化を行う触媒管45と、この触媒管45から延びている全体集合管46と、この全体集合管46に連結される消音器47と、から構成されている。
図中、51はエンジン13を冷却するラジエータユニット、52L、52R(手前側の符号52Lのみ示す。以下同じ。)はフロントフォークに設けたフロントデイスクブレーキキャリパ、53L、53R(手前側の符号53Lのみ示す。以下同じ。)は前輪25に設けフロントデイスクブレーキキャリパ52L、52Rによって挟持されるフロントデイスクプレート、54は操舵ハンドルに設けたフロントマスタシリンダ、56はメインフレーム14に取り付けた燃料タンクを覆い後述するカウル部70を兼ねる燃料タンクカバー、57L、57R(手前側の符号57Lのみ示す。以下同じ。)はメインフレーム14に取り付けた運転者用ステップ、58L、58R(手前側の符号58Lのみ示す。以下同じ。)はリヤフレーム19に取り付けた同乗者用ステップ、59はヘッドライト、60はフロントフェンダ、61L、61R(手前側の符号61Lのみ示す。以下同じ。)はミラー、62はリヤデイスクブレーキキャリパ、63は後輪31に設けリヤデイスクブレーキキャリパ62によって挟持されるリヤデイスクプレート、65はメインスタンドである。
以下、自動二輪車10の主に外観部を構成するカウル部70について説明を行う。
カウル部70には、ヘッドパイプ12から延ばし後述するカウルステー71を介して車体フレーム11の前方を覆うフロントカウル部72と、このフロントカウル部72に連続して設け車両の側方を覆うサイドカウル部73と、エンジン13の下方に設けるアンダカウル74と、が備えられており、風よけや車両の外観性を高めることなどを目的とする。
フロントカウル部72は、ヘッドライト59の上方を覆うアッパセンタカウル76と、このアッパセンタカウル76の上方に延びているウインドスクリーン77と、メインフレーム14の側方を覆うミドルカウル78L、78R(図手前側の符号78Lのみ示す。以下同じ。)が取り付けられウインドスクリーン77の左右を支持するフロントアッパサイドカウル79L、79R(図手前側の符号79Lのみ示す。以下同じ。)の一部とを含む。
サイドカウル部73は、ウインドスクリーン77の左右を支持するフロントアッパサイドカウル79L、79Rと、ヘッドパイプ12およびメインフレーム14の側方を覆うミドルカウル78L、78Rと、燃料タンクカバー56の下方を覆い運転中に運転者Rの脚部Rfによって挟まれるニーカバー81L、81R(図手前側の符号81Lのみ示す。以下同じ。)と、これらのニーカバー81L、81Rの下方に設けられメインフレーム14の構成要素であるピボットプレート22L、22R(図手前側の符号22Lのみ示す。以下同じ。)の外側面を覆うピボットプレートカバー82L、82Rとを含む。
図2は本発明に係る後方確認用ミラーが備えられている自動二輪車の要部平面図であり、車体フレーム11の前端部を構成するヘッドパイプ12の前方にカウルとしてのウインドスクリーン77を支持するカウルステー71が設けられ、このカウルステー71に、メータ部111が取り付けられている。メータ部111は、速度計、ウインカ表示、変速機のモード表示などを行うものである。また、カウルステー71には、左右の後方視認用ミラー61L、61Rが取り付けられている。
ヘッドパイプ12には、前輪25を操舵する操舵ハンドル26が回動可能に設けられており、この操舵ハンドル26の右側には、ブレーキレバー113の操作力を液圧に変換するフロントマスタシリンダ54(マスタシリンダ54)が設けられ、このマスタシリンダ54の上方に付設され余剰のブレーキ液を貯めるリザーブタンク114が設けられ、操舵ハンドル26の左側にクラッチレバー115の操作力を液圧に変換するクラッチマスタシリンダ55が設けられ、このクラッチマスタシリンダ55の上方に付設され余剰のクラッチ液を貯めるクラッチ液リザーブタンク116が設けられている。
図中、121L、121Rは操舵ハンドル26の先端部に設けられ運転者が握るグリップ部、122はエンジンなどをオンオフするキーシリンダである。
以下、後方確認用ミラーについて説明する。
自動二輪車の後方確認用ミラー61L、61R(ミラー61L、61R)は、車体から延びているミラーアーム131L、131Rと、これらのミラーアーム131L、131Rの先端に設けられるミラーハウジング132L、132Rと、これらのミラーハウジング132L、132Rに設けられ乗員が後方を確認するミラー本体133L、133Rと、からなる。
左右に設けた後方確認用ミラー61L、61Rは、車両の幅方向中心線に対して対称に設けられており、左右同様な構造をもつ。そこで、次図以降の説明では、左の後方確認用ミラー61Lを取り上げ説明し、右の後方確認用ミラー61Rの説明は省略する。
図3は本発明に係る自動二輪車の後方確認用ミラーの平面図、図4は図3の4矢視図である。以下、図3〜4を参照して説明を行う。
後方確認用ミラー61Lは、車体から延びているミラーアーム131Lと、このミラーアーム131Lの先端に設けられるミラーハウジング132Lと、このミラーハウジング132Lの前面に設けられているウインカ135Lと、ミラーハウジング132Lの後面に設けられ乗員が後方を確認するミラー本体133Lと、からなる。
図5は図3の5−5線断面図であり、ミラーハウジング132Lは、ミラー本体133Lを角度調整可能に支持する調整部137Lを有するホルダ部138Lと、このホルダ部138Lに対して車両前方に臨ませるケース部139Lとからなる。
ケース部139Lの中心部に開けた穴141には、ウインカ135Lが収容されている。ウインカ135Lには、ウインカハウジング143Lと、このウインカハウジング143Lに取り付けられるレンズ部144Lとが設けられている。
すなわち、ミラーハウジング132L内には、ウインカ135Lが収容されている。
ミラーハウジング132Lは、ミラーハウジング132Lの一部が上方へ突出するように、少なくとも上面146Lに第1の段部147Lが設けられている。
具体的には、第1の段部147Lは、ミラーハウジング132Lに備えられているケース部139Lとホルダ部138Lとの合わせ部151Lに設けられている。
第1の段部147Lは、ケース部139Lとホルダ部138Lとの合わせ部151Lに設けられているので、成形用の金型を複雑な形状にすることなく、容易に第1の段部147Lを設けることが可能となる。したがって、ミラーハウジング132Lのコストアップを抑えることができる。
図6は本発明に係る後方確認用ミラーに設けられている第1の段部の拡大図であり、第1の段部147Lは、前述のように、ケース部139Lとホルダ部138Lとの合わせ部151Lに設けられている。
第1の段部147Lは、斜め上方に延びている斜面としての第1傾斜部153Lと、この第1傾斜部153Lに曲面としての第1R角部154Lを介して垂下する第1壁部155Lと、この第1壁部155Lの下端部から後方に延びている底部156Lと、この底部156Lから第1壁部155Lと隙間(δ)をもって立ち上げる第2壁部157Lと、この第2壁部157Lに曲面としての第2R角部158Lを介して斜め上方に延びており、第1傾斜部153Lに対して上方に突出される第2傾斜部159Lと、からなる。
ここで、段差(h)は、第2傾斜部159Lの上面高さに対する第1傾斜部153Lの末端の高さであらわされ、隙間(δ)は、第1壁部155Lと第2壁部157Lの間に形成される空間の長さであらわされる。
ケース部139Lには、第1傾斜部153Lと第1R角部154Lと第1壁部155Lとが設けられ、ホルダ部138Lには、底部156Lと第2壁部157Lと第2R角部158Lと第2傾斜部159Lとが設けられている。
本実施例において、第1の段部147Lの段差(h)は、0.7〜1.3mmに設定され、合わせ部151Lの隙間(δ)は、0.3〜1.0mmに設定されている。
図7は図3の7−7線断面図であり、ミラーアーム131Lの断面を説明するものであり、ミラーアーム131Lは、後方に臨んで設けられミラーハウジング132Lを支持する支柱部162Lと、前方に臨んで設けられケース部139Lが延びている延設部163Lとを合わせてなる。
支柱部162Lと延設部163Lとの境界部164Lは、上側に設けられる上境界部165Lと、下側に設けられる下境界部166Lとからなり、上境界部165Lには、上方へ突出するように第2の段部171Lが設けられている。ウインカ(図5の符号135L)の配線168は、ミラーアーム131L内に設けられている。
第2の段部171Lの段差(ha)は、支柱部162Lの上面高さに対する延設部163Lの末端の高さであらわされ、アーム合わせ部173Lの隙間(δa)は、支柱部162Lと延設部136Lの間に形成される空間の長さであらわされる。
本実施例において、第2の段部171Lの段差(ha)は、0.7〜1.3mmに設定される。好ましくは、ha=1.0mmに設定される。合わせ部173Lの隙間(δa)は、0.3〜1.0mmに設定されている。好ましくは、δa=0.5mmに設定される。
以上に述べた自動二輪車の後方確認用ミラーの作用を次に述べる。
図8は自動二輪車の後方確認用ミラーの作用説明図である。
(a)には実施例が示されており、ミラーハウジング132Lの上面146Lに、第1の段部147Lを設けたので、走行風が、ミラーハウジングの上面146Lに当たると、この走行風は、第1の段部147Lで剥離され、走行風の流れは乱される。
(b)には比較例が示されており、従来、ミラーハウジング132BLの上面146BLは、空力特性を高めるため、段差が生じないように曲面および平面で形成されていた。そうすると、直進時においては、ミラーハウジング146Bの周囲を通過する走行風は、乱れが発生することなく円滑に後方に流れる。
しかし、コーナリング走行の多いスポーツ走行において、ミラーハウジング146Bの周囲に、円滑な走行流が流れていると、旋回の際に、車両を傾けようとするとき、大きな入力が必要となっていた。
(a)において、前部としてのケース部139Lと後部としてのホルダ部138Lの間には、ミラーハウジング132Lの上面146Lに第1の段部147Lが備えられており、この第1の段部147Lで、乱流が発生するようにした。第1の段部147Lで乱流が発生し、ミラーハウジング132Lの周囲に、乱流が流れるので、旋回の際に、第1の段部147Lを設けないときに較べると、より小さな入力で車両の向きを変化させることができる。したがって、旋回に係る操作性を高めることが可能となる。
なお、本実施例において、段部をミラーハウジングの上面に設けたものであるが、下面に設けることは差し支えない。あるいは、段部をミラーハウジングの上面および下面の双方に設けても良いものとする。
図5を併せて参照して、ミラーハウジング132L内には、ウインカ135Lが収容されている。ミラーハウジング132Lにウインカ135Lを設けることで、ミラーハウジング132Lとウインカ135Lの間に、付加的に段部を設けることもできる。段部の数が増えれば、ミラー61Lにおいて、乱流を複数の箇所で起こすことができるので、より一層小さな入力で車両の向きを変化させることができる。したがって、旋回に係る操作性を一層高めることが可能となる。
図6を併せて参照して、第1の段部147Lの段差は0.7〜1.3mmに設定されている。
仮に、第1の段部147Lの段差が0.7mm未満のときは、後方確認用ミラー61Lの周囲を流れる走行風に乱れが起き難くなる。
第1の段部147Lの段差が1.3mm超のときは、後方確認用ミラー61Lの外観性が損なわれる場合がある。
そこで、本発明では、第1の段部147Lの段差は0.7mm〜1.3mmの間に設定されて
いる。好ましくは、1.0mmに設定される。
第1の段部147Lの段差が0.7mm〜1.3mmの間にあれば、後方確認用ミラー61Lの周囲を流れる走行風に乱れが発生するので、より小さな入力で車両の向きを変化させることができる。加えて、後方確認用ミラー61Lの外観性が損なわれる心配はない。
また、合わせ部151Lの隙間(δ)は0.3〜1.0mmに設定されている。
仮に、合わせ部151Lの隙間(δ)が0.3mm未満では、後方確認用ミラー61Lの周囲を流れる走行風に乱れが起き難くなる。
合わせ部151Lの隙間(δ)が1.0mm超では、後方確認用ミラー61Lの外観性が損なわれる場合がある。
そこで、本発明では、合わせ部151Lの隙間(δ)は0.3mm〜1.0mmの間に設定されている。好ましくは、0.5mmに設定される。
合わせ部151Lの隙間(δ)が0.3mm〜1.0mmの間にあれば、後方確認用ミラー61Lの周囲を流れる走行風に乱れが発生するので、より小さな入力で車両の向きを変化させることができる。加えて、後方確認用ミラー61Lの外観性が損なわれる心配もない。
図7を併せて参照して、ミラーアーム131Lは、一部が上方へ突出するように第2の段部171Lが設けられているので、ウインカ付きのミラーでは、サイズが大きくなるミラーアーム131Lにも第2の段部171Lを設けることで、さらに小さな入力で車両の向きを変えることが可能となる。
尚、本発明は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
請求項1では、ミラーハウジングを1つの部品で構成することは差し支えない。
請求項2では、ミラーハウジング内に収容されるウインカを省くことは差し支えない。
本発明は、自動二輪車に好適である。
本発明に係る車両の左側面図である。 本発明に係る後方確認用ミラーが備えられている自動二輪車の要部平面図である。 本発明に係る自動二輪車の後方確認用ミラーの平面図である。 図3の4矢視図である。 図3の5−5線断面図である。 本発明に係る後方確認用ミラーに設けられている第1の段部の拡大図である。 図3の7−7線断面図である。 自動二輪車の後方確認用ミラーの作用説明図である。
符号の説明
61L、61R…自動二輪車の後方確認用ミラー(ミラー)、131L、131R…ミラーアーム、132L、132R…ミラーハウジング、133L、133R…ミラー(ミラー本体)、135L、135R…ウインカ、138L、138R…ホルダ部、139L、139R…ケース部、146L、146R…上面、147L、147R…第1の段部、151L、151R…合わせ部、168…ウインカの配線、171L、171R…第2の段部、h…第1の段部の段差、δ…第1の段部の隙間。

Claims (6)

  1. 車体から延びているミラーアームと、このミラーアームの先端に設けられるミラーハウジングと、このミラーハウジングに設けられ乗員が後方を確認するミラーと、からなる自動二輪車の後方確認用ミラーにおいて、
    前記ミラーハウジングは、一部が上方へ突出するように、少なくとも上面に第1の段部が設けられていることを特徴とする自動二輪車の後方確認用ミラー。
  2. 前記ミラーハウジングは、車両前方に臨ませるケース部と、このケース部に取り付けられ前記ミラーを支えるホルダ部とからなり、前記第1の段部は、前記ケース部と前記ホルダ部の合わせ部に設けられていることを特徴とする自動二輪車の後方確認用ミラー。
  3. 前記ミラーハウジング内には、ウインカが収容されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車の後方確認用ミラー。
  4. 前記ウインカの配線は、前記ミラーアーム内に設けられるとともに、
    前記ミラーアームには、一部が上方へ突出するように第2の段部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の自動二輪車の後方確認用ミラー。
  5. 前記第1の段部の段差は、0.7〜1.3mmに設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の自動二輪車の後方確認用ミラー。
  6. 前記合わせ部の隙間は、0.3〜1.0mmに設定されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載の自動二輪車の後方確認用ミラー。
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