JP2010036471A - 木質ボードの製造方法 - Google Patents

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靖夫 田村
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吉之 斉藤
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Abstract

【課題】耐水化剤等の副資材を、炭酸ガスの排出がなく、環境負荷の少ない天然資源由来の動植物油脂等に、できる限り切り替えることにより、地球環境に優しい木質ボードを製造する方法を提供する。
【解決手段】木質材料にユリア樹脂、メラミン樹脂又はフェノール樹脂等のホルマリン系樹脂を主成分とする第1接着剤を噴霧又は塗布し、第1接着剤を噴霧又は塗布した木質材料を熱圧成形して単層又は多層からなる木質ボードを製造する方法において、第1接着剤を噴霧又は塗布するのと同時に又は別々に、動植物性油脂及び/又はその誘導体を木質材料に、木質材料100質量部に対して1〜5質量部の割合で噴霧又は塗布する工程を含む
ことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、環境保全を考慮して改良された木質ボードの製造方法に関する。更に詳しくは、持続可能な動植物由来の油脂を資源にして、耐水性に優れ、ボード製品からの炭酸ガスの排出量が少ない木質ボードの製造方法であって、特にその資源に食品調理の際に排出する廃食用油をリサイクル利用する環境保全に配慮した木質ボードの製造方法に関するものである。
木質ボードにはハードボード、インシュレーションボード、MDF(Medium Density Fiberboad)又はHDF(High Density Fiberboad)等、木材をファイバーにして使用するファイバーボードの他、木材をチップ又はフレーク状にして使用するパーティクルボードやフレークボード、或いはストランド状にして使用するストランドボード等が、広く一般に流通している。
木質ボードの製造で使用される木質ファイバーや木質チップには、製材工場、木材加工所、住宅建築現場等から排出される木質廃棄物や、解体住宅等から排出される廃棄木材がリサイクル利用されている。そのため、こうした木質廃棄物や廃棄木材の木質ボード化は廃棄物の減縮につながり、地球環境への負荷を軽減し、環境保全に役立つとされてきた。
しかし、これら木質ボードの製造では、従来から接着剤として主にユリア樹脂やフェノール樹脂等のホルムアルデヒド系樹脂が使用されていたが、ホルムアルデヒドは人体に悪影響を及ぼす有害物質であり、近年の建築基準法の改正においても、住宅建築などに使用されている建築材料からの、大気中へ放散するホルムアルデヒド濃度が厳しく制限されている。そのため、木質ボードの製造は、廃棄物を減縮することにより環境保全に貢献する一方で、逆に大気汚染などの地球環境への負荷を増大させる結果となっている。
こうした問題を解決する目的で、木質ボード製品からのホルムアルデヒド放散量を抑えるために、例えば、ポリメリックMDI等のイソシアネート系化合物を添加することによる接着剤の改良など様々な研究がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
木質ボードの製造では、上記ホルムアルデヒドの問題の他に、環境保全におけるもう1つの課題を残している。木質ボードの製造では、通常、木材に接着剤を塗布する際に、木材の水分変化に起因する寸法の不安定化、或いは水分の浸入による接着強度の低下を防止する目的で、接着剤に数%の耐水化剤等が副資材として添加されるのが一般的である。この耐水化剤は、木質ボードの製造工程のホットプレスの際に、木質チップに浸透して、木質チップの吸水膨潤を抑制する働きを成す。
特開2005−125737(請求項8、請求項9、段落[0021]及び段落[0024])
しかしながら、現在この耐水化剤等の副資材には、石油ワックスやポリエチレン等の樹脂が使用されているが、このような石油ワックスやポリエチレン等の樹脂を耐水化剤として多く使用する場合、これらの木質ボードからは大量の炭酸ガスが排出される。このように、耐水化剤に多くの石油ワックスやポリエチレン等の樹脂が使用されることや、上述したホルムアルデヒド放散の問題を考えると、木質ボードの製造が必ずしも地球環境への負荷を軽減し、環境保全に貢献しているとは言い難い。
本発明の目的は、耐水化剤等の副資材を、炭酸ガスの排出がなく、環境負荷の少ない天然資源由来の動植物油脂等に、できる限り切り替えることにより、地球環境に優しい木質ボードを製造する方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、木質材料にユリア樹脂、メラミン樹脂又はフェノール樹脂等のホルマリン系樹脂を主成分とする第1接着剤を噴霧又は塗布し、第1接着剤を噴霧又は塗布した木質材料を熱圧成形して単層又は多層からなる木質ボードを製造する方法において、第1接着剤を噴霧又は塗布するのと同時に又は別々に、動植物性油脂及び/又はその誘導体を前記木質材料に、木質材料100質量部に対して1〜5質量部の割合で噴霧又は塗布する工程を含むことを特徴とする木質ボードの製造方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、木質材料が芯層用木質材料及び表裏層用木質材料であって、芯層用木質材料と表裏層用木質材料にそれぞれ第1接着剤を噴霧又は塗布し、第1接着剤を噴霧又は塗布した1又は2以上の芯層用木質材料と表裏層用木質材料とを熱圧成形して、表裏層と1又は2以上の芯層とからなる多層で構成された木質ボードである木質ボードの製造方法である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体とを同時に噴霧又は塗布する場合であって、第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体は第1懸濁液に含まれ、第1懸濁液は第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体とを混合した混合液に、更に尿素と水系液状物又は第2接着剤と尿素と水系液状物を混合して調製され、かつ第1懸濁液は動植物性油脂及び/又はその誘導体100質量部に対して、尿素を30〜500質量部と、第1接着剤と水系液状物又は第1接着剤と第2接着剤と水系液状物を総量で30〜1000質量部含み、かつ第1接着剤と水系液状物又は第1接着剤と第2接着剤と水系液状物の総量が前記尿素100質量部に対して70質量部以上含まれる木質ボードの製造方法である。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、第2接着剤がポリ酢酸ビニル樹脂又はポリアクリル酸エステル樹脂等の熱可塑性樹脂のエマルジョンと、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等のゴムラテックスと、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリエチレングリコール及びその誘導体等の水溶性合成高分子化合物の水溶液と、デンプン及びその誘導体、ミルクカイゼン、ニカワ等の天然タンパク質、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、キトセン、アラビアガム、アルギン酸ソーダ等の水溶性天然高分子の水溶液とからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む接着剤である木質ボードの製造方法である。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体とを別々に噴霧又は塗布する場合であって、第1接着剤の噴霧又は塗布の前又は後に、動植物性油脂及び/又はその誘導体に尿素と水系液状物を混合した第2懸濁液を噴霧又は塗布し、第2懸濁液は前記動植物性油脂及び/又はその誘導体100質量部に対して、尿素30〜500質量部、水系液状物30〜1000質量部含み、かつ水系液状物が尿素100質量部に対して70質量部以上含まれる木質ボードの製造方法である。
請求項6に係る発明は、請求項3ないし5いずれか1項に係る発明であって、水系液状物が水と、鉱酸、有機酸又はそのアンモニウム塩の水溶液と、有機アミン、イミン又はイミドの水溶液と、ステアリン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ等の界面活性剤と、エチレングリコール、グリセリン又はショ糖等のポリオール化合物の水溶液と、1分子中に2個以上のアルデヒド基を有する多価アルデヒド化合物の水溶液と、無機又は有機化合物の炭酸塩の水溶液とからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む液状物である請求項3ないし5いずれか1項に記載の木質ボードの製造方法である。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれか1項に係る発明であって、動植物性油脂が廃食用油である木質ボードの製造方法である。
本発明の木質ボードの製造方法によれば、従来の石油ワックスやポリエチレン等の樹脂の代わりに、適量の動植物油脂及び/又はその誘導体を使用することにより、従来のものと遜色なく耐水性を維持しつつ、製造された木質板から排出されるホルムアルデヒドや炭酸ガスの排出量を抑えることができる。そのため、地球環境への負荷を軽減し、更に、動植物油脂に廃食用油を再利用できるため、廃食用油の廃棄処理が不要となり環境保全に役立つ。
以下、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明は、木質材料にユリア樹脂、メラミン樹脂又はフェノール樹脂等のホルマリン系樹脂を主成分とする第1接着剤を噴霧又は塗布し、第1接着剤を噴霧又は塗布した木質材料を熱圧成形して単層又は多層からなる木質ボードを製造する方法に関するものである。
その特徴ある構成は、第1接着剤を噴霧又は塗布するのと同時に又は別々に、動植物性油脂及び/又はその誘導体を木質材料に、木質材料100質量部に対して1〜5質量部の割合で噴霧又は塗布する工程を含むことにある。
木質材料としては、木質ファイバー、木質チップ、木質フレーク又は木質ストランドを用いる。これらの木質材料は、木材工業の廃材や建築廃材を粉砕して得られ、特に樹種については限定されず、スギ、ヒノキ、ヒバ、カラマツ、マツなどの針葉樹や、クリ、カバ、カシ、シイ、南洋材(ラワン等)、ポプラ、ヤナギなどの広葉樹や、全ての樹種の樹皮を単独で或いは2種以上の樹種を混合して使用することができるほか、タケやササ、稲わら、麦わら、トウモロコシ、ソルガム等の茎、綿の茎、バガス、ケナフの髄等の草本類のリグノセルロース材料も使用することができる。木質ファイバーとは、木材を解繊機(ディファイブレータ)等により繊維状にしたものである。木質チップとは、木材をチッパー等で砕いて細片状にしたものである。木質フレークとは、鉋やフレーカー等で切削状にしたものであり、また木質ストランドとは、フレーカー等で繊維方向に長い削片状にしたものである。
これらの木質材料に、第1接着剤を噴霧又は塗布するのと同時に又は別々に、動植物性油脂及び/又はその誘導体を噴霧又は塗布する。
多層からなる木質ボードとは、木質材料が芯層用木質材料及び表裏層用木質材料であって、芯層用木質材料と表裏層用木質材料にそれぞれ第1接着剤を噴霧又は塗布し、第1接着剤を噴霧又は塗布した1又は2以上の芯層用木質材料と表裏層用木質材料とを熱圧成形して、表裏層と1又は2以上の芯層とからなる多層で構成された木質ボードである。このような多層からなる木質ボードを製造する場合、例えば、芯層及び表裏層の3層からなる木質ボードを製造する場合には、木質材料を芯層及び表裏層用に分け、このうちの少なくともいずれか1の木質材料に、動植物性油脂及び/又はその誘導体を噴霧又は塗布する。
噴霧又は塗布された動植物性油脂及び/又はその誘導体は、従来、石油ワックスやポリエチレン等の樹脂が用いられていた耐水化剤として機能する。これにより、炭酸ガスの排出がなく、環境負荷の少ない木質ボードが製造できる。
使用する動植物性油脂は、常温で液状であるものが好ましく、また精製されたものでも未精製のものでもよい。具体的には、豚、牛などの獣類、鯨などの海獣類又は魚類等の油脂、或いは大豆、トウモロコシ、ナタネ、ヒマワリ、米、綿実、又はピーナッツ等の穀物脂や、ヒマシ油、アマニ油、パーム等のヤシ油、オリーブ油等の植物油が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合した油脂類を用いることができる。
また使用する動植物性油脂には、上記油脂類を部分ケン化、水素添加又はエポキシ化などの化学処理を施した誘導体も使用でき、或いは加水分解して単離した脂肪酸及びその誘導体も使用することできる。
第1接着剤は、ユリア樹脂、メラミン樹脂又はフェノール樹脂等のホルマリン系樹脂を主成分とする接着剤である。また、この第1接着剤には、硬化剤として、無機又は有機酸、或いは硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、ギ酸アンモニウムなどの無機又は有機アンモニウム塩等を添加しても良い。
動植物性油脂及び/又はその誘導体の添加量は、動植物性油脂及び/又はその誘導体の噴霧又は塗布が行われるそれぞれの木質材料100質量部に対して、1〜5質量部である。即ち、単層の木質ボードを製造する場合においては、用いられる木質剤100質量部に対して上記添加量で噴霧又は塗布する。一方、多層からなる木質ボードを製造する場合においては、芯層用木質材料に噴霧又は塗布する場合は、芯層用木質材料100質量部に対して上記範囲の添加量で噴霧又は塗布する。また表裏層用木質材料に噴霧又は塗布する場合は、表層用木質材料100質量部、裏層用木質材料100質量部それぞれに対して上記範囲の添加量で噴霧又は塗布する。動植物性油脂及び/又はその誘導体の添加量が1質量部未満では、耐水性が十分に付与されないため、水に浸漬すると大きく膨潤する等の不具合を生じ、一方、5質量部を越えると、木質材量が変色したり、接着不良などの不具合が生じるからである。このうち、動植物性油脂及び/又はその誘導体の添加量は、1〜4質量部が好ましい。
また木質ボードの防水性及び耐水性を補うために、必要に応じて、従来より使用されていた石油系のワックスエマルジョンを併用することも可能である。この場合でも、従来の石油ワックスやポリエチン樹脂の使用量を抑えられ、従来よりも炭酸ガスの排出量を低減できる。
上記動植物性油脂には、廃食用油を好適に用いることができる。環境負荷を考慮した場合の、石油ワックスやポリエチレン等の樹脂に取って代わる耐水化剤としては、蜜ロウやハゼの木などの植物から採取されるロウ等も考えられるが、これらは採取量も少なく大変高価であるため、木質ボードの製造のように大量に使用する用途には適さない。
一方、動植物性油は、自然界で比較的大量に入手することが可能であり、例えば、揚げ物等の調理用油として大量に使用され、排出されるため、安価に入手することが可能である。そのため、大幅なコストの削減が可能となる。また、調理等の使用過程で既に加熱処理されており、酸化重合が進んで高分子化しているため、木質ボードの製造に適している。
また、これらの使用済み調理用油等は、その廃棄処理についても大きな問題を抱えている。そのため、本発明は、このような廃食用油を使用することにより、炭酸ガスの排出による環境負荷を抑えるだけでなく、使用済み調理用油の廃棄処理問題にも大きく貢献し環境保全にも役立つ。
本発明で使用できる廃食用油は、食品加工工場やレストラン等で天ぷら、揚げ物の調理に使われたもので、揚げ粕などの粗大な異物が除去されたものであれば、そのまま使用することができる。調理に使用される油は、調理場によりその組成はそれぞれ異なるものの、通常、大豆油、ナタネ油、ヤシ油、トウモロコシ油の植物性油や、牛脂、豚脂などの動物性油などを混合したものであるため、そのまま原料としてリサイクル使用することができる。
上記動植物性油脂及び/又はその誘導体の噴霧又は塗布は、第1接着剤を噴霧又は塗布するのと同時に又は別々に行われるが、次の2通りの方法により行われるのが好適である。
一般に、廃食用油等の動植物性油脂及び/又はその誘導体を木質チップ等に直接スプレー噴霧する場合、接着剤への混入の如何に拘わらず、廃食用油が細かい霧状になるため、引火する危険性が生じる。それを防止するために、廃食用油にステアリン酸ナトリウムや、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の界面活性剤を加えて乳化したものを接着剤に混入し、塗布する方法もあるが、この方法では、界面活性剤が接着剤の防水性を低下させることから、製造される木質ボードの耐水性を著しく低下させてしまうという問題が生じる。
そこで、第1の好適な噴霧又は塗布方法は、第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体とを同時に噴霧又は塗布する場合であって、第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体の双方を含む第1懸濁液を噴霧又は塗布する方法である。この第1懸濁液は、第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体とを混合した混合液に、更に尿素と水系液状物又は第2接着剤と尿素と水系液状物を混合して調製される。
界面活性剤を含まない懸濁液の状態で動植物性油脂及び/又はその誘導体を噴霧又は塗布するため、製造される木質ボードの耐水性低下を防止することができる。また、上記混合し得られた第1懸濁液では、油脂成分である動植物性油脂及び/又はその誘導体と尿素とが結合して尿素アダクト(付加物)を生成し、例えばスプレー噴霧するときに、油脂成分のみが分離して霧状になるのを防ぐため、噴霧又は塗布の際における引火の危険性の問題を解消することができる。更に、この尿素アダクトは、後工程の熱圧成形の際の熱により、再び油脂成分と尿素に解離する。解離した尿素は接着剤に含まれるホルムアルデヒドを捕捉して固定し、一方、解離した油脂成分は、木質チップ等の木質部に浸透し、木質ボードの耐水性を高めるといった優れた効果が得られる。
第1懸濁液の調製に用いられる第2接着剤には、ポリ酢酸ビニル樹脂又はポリアクリル酸エステル樹脂等の熱可塑性樹脂のエマルジョンと、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等のゴムラテックスと、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリエチレングリコール及びその誘導体等の水溶性合成高分子化合物の水溶液と、デンプン及びその誘導体、ミルクカイゼン、ニカワ等の天然タンパク質、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、キトセン、アラビアガム、アルギン酸ソーダ等の水溶性天然高分子の水溶液とからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む接着剤が挙げられる。
上記第1懸濁液は、動植物性油脂及び/又はその誘導体100質量部に対して、尿素を30〜500質量部と、第1接着剤と水系液状物又は第1接着剤と第2接着剤と水系液状物を総量で30〜1000質量部含み、かつ第1接着剤と水系液状物又は第1接着剤と第2接着剤と水系液状物の総量が尿素100質量部に対して70質量部以上により調製される。
各成分の配合割合を上記範囲としたのは、動植物性油及び/又はその誘導体を100質量部に対して、尿素の含有量が30質量部未満であると、攪拌しても、各成分が分離して安定した懸濁状の液状物が得られにくく、500質量部を越えると油脂懸濁粒子が細かくなり、懸濁液が増粘して噴霧又は塗布が困難になったり、或いは接着剤の反応性を抑制してボードの耐水性を低下させるからである。また第1接着剤と水系液状物又は第1接着剤と第2接着剤と水系液状物の総量が、動植物性油及び/又はその誘導体を100質量部に対して、下限値未満の30質量部未満であると、攪拌しても尿素が溶解せず、高粘度の液状物となり、スプレーでのスプレーでの噴霧に支障が生じやすく、一方、上限値の1000質量部を越えると、水分が多い希薄液となり、噴霧する木質チップ等に過剰な水分を与えてしまうといった不具合が生じやすいからである。このうち、第1接着剤と水系液状物又は第1接着剤と第2接着剤と水系液状物の総量は、50〜1000質量部が特に好ましい。またこのときの接着剤と水系液状物又は第1接着剤と第2接着剤と水系液状物の総量が尿素100質量部に対して70質量部未満であると、不溶解の尿素の沈殿物が生じやすいため70質量部以上が好ましい。
上述のように、添加される尿素は、油脂の分散剤になるばかりでなく、接着剤に含まれる遊離のホルムアルデヒドを捕捉して、木質ボード製品から放散するホルムアルデヒドを減少させる役割を果たすが、アミノ樹脂等を接着剤成分として懸濁状の液状物を調製する場合、接着剤成分の遊離ホルムアルデヒドまで捕捉減少させるため、接着剤の硬化を遅延させ、木質ボードの物性を大きく低下させることがある。
そこで、第2の好適な噴霧又は塗布方法は、第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体とを別々に噴霧又は塗布する場合であって、動植物性油脂及び/又はその誘導体に尿素と水系液状物を混合した第2懸濁液を噴霧又は塗布する方法である。
この第2懸濁液においても第1懸濁液と同様に、油脂成分である動植物性油脂及び/又はその誘導体と尿素とが結合して尿素アダクトを生成するため、噴霧又は塗布の際における引火の危険性の問題を解消することができ、熱圧成形の際に解離した尿素が、別々に噴霧又は塗布された第1接着剤に含まれるホルムアルデヒドを捕捉して固定する。また同様に解離した油脂成分は、木質チップ等の木質部に浸透し、木質ボードの耐水性を高める効果が得られる。
第2懸濁液は動植物性油脂及び/又はその誘導体100質量部に対して、尿素30〜500質量部、水系液状物30〜1000質量部含み、かつ水系液状物が尿素100質量部に対して70質量部以上により調製される。
各成分の配合割合を上記範囲としたのは、動植物性油及び/又はその誘導体を100質量部に対して、尿素の含有量が30質量部未満であると、攪拌しても、各成分が分離して安定した懸濁状の液状物が得られにくく、500質量部を越えると懸濁液が増粘して噴霧又は塗布が困難になるからである。また水系液状物が、動植物性油及び/又はその誘導体を100質量部に対して、下限値未満の30質量部未満であると、攪拌しても尿素が溶解せず、高粘度の液状物となり、スプレーでの噴霧に支障が生じやすく、一方、上限値の1000質量部を越えると、水分が多い希薄液となり、噴霧する木質チップ等に過剰な水分を与えてしまうといった不具合が生じやすいからである。このうち、水系液状物は、30〜500質量部が特に好ましい。またこのときの水系液状物の含有量が尿素100質量部に対して70質量部未満であると、不溶解の尿素の沈殿物が生じやすいため70質量部以上が好ましい。
上記第1及び第2懸濁液の調製に使用する尿素は、特に形状、平均粒径は限定されず、通常市販されているものでよいが、好ましくは1〜3mmの粒状の尿素を使用する。この尿素が、油脂成分である動植物性油及び/又はその誘導体と結合して、尿素アダクトとして存在することにより、均一で安定した懸濁状の液状物となり得る。また、尿素の遊離ホルムアルデヒド捕捉効果を補うために、必要に応じて従来より使用されているアンモニウム塩、アミン化合物、アミド化合物又はイミド化合物等を尿素と併用しても良い。
水系液状物には鉱酸、有機酸又はそのアンモニウム塩の水溶液と、有機アミン、イミン又はイミドの水溶液と、ステアリン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ等の界面活性剤と、エチレングリコール、グリセリン又はショ糖等のポリオール化合物の水溶液と、1分子中に2個以上のアルデヒド基を有する多価アルデヒド化合物の水溶液と、無機又は有機化合物の炭酸塩の水溶液とからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む液状物が挙げられる。
第1接着剤及び動植物性油脂及び/又はその誘導体を木質材料に噴霧又は塗布した後、この木質材料を、鉄製コールプレート(caul plate)上等に載せ、好ましくは150〜250℃の温度に保持したホットプレスに挿入し、好ましくは最高圧力1〜5MPaで2〜5分間熱圧形成し、厚さ20mm程度の木質ボードが得られる。
次に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1>
建築木質廃材を粉砕して得た木質チップを、表層用と芯層用と裏層用とに質量比で1:3:1に分けた。
次に、メラミンユリア樹脂接着剤(東京ボード社製 MUF)100質量部に対し、耐水化剤としてポリエチレンワックスのエマルジョン3質量部と、硬化剤として濃度20質量%の硫酸アンモニウム水溶液1質量部とを混合し、第1配合液を調製した。
また、耐水化剤として使用済みの廃食用油17質量部と、接着剤としてMDI(日本ポリウレタン製 MR−200)83質量部とを混合し、第2配合液を調製した。
芯層用木質チップには上記第2配合液を、上記芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して、廃食用油が1質量部となる量、即ち6質量部をスプレー噴霧し、一方、表裏層用木質チップには上記第1配合液を、表裏層用木質チップ100質量部それぞれに対して15質量部スプレー噴霧した。これらの木質チップを、厚さ1.2mmで420mm角サイズの鉄製コールプレートに載せ、温度220℃に保持したホットプレスに挿入し、最高圧力3MPaの圧力を加えて、5分間熱圧成形した。成形後ホットプレスからコールプレートを取り出して、木質ボードを得た。
<実施例2>
芯層用木質チップに、実施例1で調製した第2配合液を、芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して、廃食用油が2質量部となる量、即ち7質量部をスプレー噴霧したこと以外は、実施例1と同様に、木質ボードを得た。
<比較例1>
芯層用木質チップに、実施例1で調製した第1配合液を、芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して、7質量部スプレー噴霧したこと以外は、実施例1と同様に、木質ボードを得た。
<比較例2>
芯層用木質チップに、MDIのみを、芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して、5質量部スプレー噴霧したこと以外は、実施例1と同様に、木質ボードを得た。
<比較例3>
MDIと、MDI100質量部に対してポリエチレンワックスのエマルジョン3質量部とを混合し、第3配合液を調製した。
芯層用木質チップに、上記調製した第3配合液を、芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して、6質量部スプレー噴霧したこと以外は、実施例1と同様に、木質ボードを得た。
<比較試験1>
実施例1,2及び比較例1〜3で得られた木質ボードを室温で1週間養成した後、JIS A 5908に規定する試験方法により試験した。その結果を以下の表1に示す。
Figure 2010036471
表1から明らかなように、耐水化剤として廃食用油を添加した第2配合液を芯層用木質チップにスプレー噴霧した実施例1,2では、従来の石油ワックスを添加した比較例1,3と同等或いはそれ以上の耐水性が得られた。このことから、本発明の製造方法では、従来の製造方法による木質ボードと同程度の高い耐水性を維持できることが確認された。
<実施例3>
建築木質廃材を粉砕して得た木質チップを、表層用と芯層用と裏層用とに質量比で1:3:1に分けた。
次に、メラミンユリア樹脂接着剤(東京ボード社製 MUF)100質量部に対し、硬化剤として濃度20質量%の硫酸アンモニウム水溶液1質量部を混合し、第4配合液を調製した。
芯層用木質チップには上記第4配合液を、上記芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して7質量部をスプレー噴霧した後、芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して2質量部の廃食用油を分別してスプレー噴霧した。一方、表裏層用木質チップには上記第4配合液を、表裏層用木質チップ100質量部それぞれに対して15質量部スプレー噴霧した後、表裏層用木質チップ100質量部(全乾)に対して2質量部の廃食用油を分別してスプレー噴霧した。
最後に、これらの木質チップを用いて、実施例1と同条件で熱圧成形し、木質ボードを得た。
<実施例4>
表裏層用木質チップそれぞれに、実施例1で調製した第1配合液をスプレー噴霧し、廃食用油を分別してスプレー噴霧しなかったこと以外は、実施例3と同様に、木質ボードを得た。
<実施例5>
芯層用木質チップに実施例1で調製した第1配合液をスプレー噴霧し、廃食用油を分別してスプレー噴霧しなかったこと以外は、実施例3と同様に、木質ボードを得た。
<比較例4>
芯層用及び表裏層用木質チップに、廃食用油を分別してスプレー噴霧しなかったこと以外は、実施例3と同様に、木質ボードを得た。
<比較例5>
芯層用及び表裏層用木質チップに、実施例1で調製した第1配合液をスプレー噴霧したこと、また芯層用及び表裏層用木質チップに、廃食用油を分別してスプレー噴霧しなかったこと以外は、実施例3と同様に、木質ボードを得た。
<比較試験2>
実施例3〜5及び比較例4,5で得られた木質ボードを室温で1週間養成した後、JIS A 5908に規定する試験方法により試験した。その結果を以下の表2に示す。
Figure 2010036471
表2から明らかなように、接着剤成分を含む配合液とは別々に、廃食用油をスプレー噴霧した実施例3〜5では、特に、湿潤A曲げ強さにおいて、耐水化剤を使用しなかった比較例4、及び従来の石油ワックスを使用した比較例5と、同等或いはそれ以上の強度を示し、優れた耐水性が得られた。このことから、本発明の製造方法では、従来の製造方法による木質ボードと同程度の高い耐水性を維持できることが確認された。
<実施例6>
建築木質廃材を粉砕して得た木質チップを、表層用と芯層用と裏層用とに質量比で1:3:1に分けた。
芯層用木質チップに、実施例1で調製した第1配合液を、芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して7質量部スプレー噴霧した。一方、表裏層用木質チップそれぞれに、実施例3で調製した第4配合液を、表裏層用木質チップ100質量部それぞれに対して15質量部スプレー噴霧した後、表裏層用木質チップ100質量部それぞれに対して1.0質量部の廃食用油を分別してスプレー噴霧した。
これらの木質チップを用いて、実施例1と同条件で熱圧成形し、木質ボードを得た。
<実施例7>
表裏層用木質チップ100質量部それぞれに対して2.0質量部の廃食用油を分別してスプレー噴霧したこと以外は、実施例6と同様に、木質ボードを得た。
<実施例8>
表裏層用木質チップ100質量部それぞれに対して4.0質量部の廃食用油を分別してスプレー噴霧したこと以外は、実施例6と同様に、木質ボードを得た。
<比較例6>
表裏層用木質チップに対して廃食用油を分別してスプレー噴霧しなかったこと以外は、実施例6と同様に、木質ボードを得た。
<比較例7>
表裏層用木質チップ100質量部それぞれに対して0.5質量部の廃食用油を分別してスプレー噴霧したこと以外は、実施例6と同様に、木質ボードを得た。
<比較例8>
表裏層用木質チップ100質量部それぞれに対して6.0質量部の廃食用油を分別してスプレー噴霧したこと以外は、実施例6と同様に、木質ボードを得た。
<比較試験2>
実施例6〜8及び比較例6〜8で得られた木質ボードを室温で1週間養成した後、JIS A 5908に規定する試験方法により試験した。また、木質ボード表面の変色の有無を目視により観察した。その結果を以下の表3に示す。
Figure 2010036471
表3から明らかなように、実施例6〜8では、廃食用油を噴霧しない又は噴霧量が、木質チップ100質量部に対して2質量部に満たない比較例6,7に比べて、特に湿潤A曲げ強さ及び厚さ膨潤率において、高い評価が得られた。一方、廃食用油の噴霧量が、木質チップ100質量部に対して5質量部を越える比較例8では、厚さ膨潤率が低く、高い評価が得られたものの、常態曲げ強さ、湿潤A曲げ強さ及び剥離強さの項目においては、実施例6〜8よりも低い又は同程度の評価となった。このことから、廃食用油の噴霧又は塗布量は、木質チップ100質量部に対して1〜5質量部とすることが効果的であることが確認された。
<実施例9>
動植物性油及び/又はその誘導体として廃食用油100質量部と、尿素100質量部と、水系液状物としてメラミンユリア樹脂接着剤100質量部とを攪拌機を用いて、室温で30分間混合し、懸濁液を調製した。
<実施例10>
水系液状物としてポリビニルアルコール水溶液(クラレ株式会社製)を使用したこと以外は、実施例9と同様に、懸濁液を調製した。
<実施例11>
動植物性油及び/又はその誘導体として廃食用油100質量部と、尿素100質量部と、水100質量部とを攪拌機を用いて、室温で30分間混合して懸濁液を調製した。
<実施例12>
尿素30質量部、水30質量部としたこと以外は、実施例12と同様に、懸濁液を調製した。
<実施例13>
尿素200質量部、水200質量部としたこと以外は、実施例12と同様に、懸濁液を調製した。
<実施例14>
尿素300質量部、水300質量部としたこと以外は、実施例12と同様に、懸濁液を調製した。
<比較例9>
尿素20質量部、水20質量部としたこと以外は、実施例12と同様に、懸濁液の調製を試みた。
<比較例10>
尿素600質量部としたこと以外は、実施例12と同様に、懸濁液の調製を試みた。
<比較例11>
水25質量部としたこと以外は、実施例12と同様に、懸濁液の調製を試みた。
<比較例12>
水1050質量部としたこと以外は、実施例12と同様に、懸濁液の調製を試みた。
Figure 2010036471
表4から明らかなように、実施例9〜14と比較例9〜12を比較すると、実施例9〜14では分離せずに均一な第1又は第2懸濁液が得られた。なお、実施例12では、放置してから3時間で分離したものの、3時間未満の使用には差し支えがなかった。
これに対して、廃食用油100質量部に対し、尿素が30質量部未満の比較例9では、攪拌終了後すぐに分離してしまい、均一な懸濁液が得られなかった。また廃食用油100質量部に対し、尿素が500質量部を越える比較例10では、不溶解の尿素の沈殿が生じた。このことから、動植物性油及び/又はその誘導体を100質量部とするときに、尿素を30〜500質量部とすることが効果的であることが確認された。
廃食用油100質量部に対し、水が30質量部未満であり、また尿素100質量部に対して水が70質量部未満である比較例11では、不溶解の尿素の沈殿が生じた。また廃食用油100質量部に対し、水が1000質量部を越える比較例12では、分離はしなかったものの、液が希薄すぎて後工程の熱圧成形において支障が生じた。このことから、動植物性油及び/又はその誘導体を100質量部に対して、接着剤及び水系液状物の総量、又は水系液状物を30〜1000質量部、かつ接着剤及び水系液状物の総量、又は水系液状物が尿素100質量部に対して70質量部以上とすることが効果的であることが確認された。
<実施例15>
先ず、建築木質廃材を粉砕して得た木質チップを、表層用と芯層用と裏層用とに重量比で1:3:1に分けた。
次に、動植物性油及び/又はその誘導体として廃食用油100質量部と、粒状の尿素72質量部、水90質量部とを攪拌機を用いて、室温で30分間混合し、懸濁液A(第2懸濁液)を調製した。
また、動植物性油及び/又はその誘導体として廃食用油100質量部と、粒状の尿素100質量部と、メラミンユリア樹脂100質量部に濃度20質量%の硫酸アンモニウム1質量部を添加混合した接着剤100質量部とを攪拌機を用いて、室温で30分間混合し、懸濁液B(第1懸濁液)を調製した。
芯層用木質チップには、上記調製した懸濁液A(第2懸濁液)を、廃食用油の芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対する廃食用油の添加量が2質量部に相当する量、即ち5.3質量部スプレー噴霧した後、MDIを上記芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して、3質量部スプレー噴霧した。
表裏層用木質チップには、上記調製した懸濁液Bを、廃食用油の表裏層用木質チップ100質量部(全乾)それぞれに対する廃食用油の添加量が2質量部に相当する量、即ち9質量部スプレー噴霧した。
最後に、これらの木質チップを用いて、実施例1と同条件で熱圧成形し、木質ボードを得た。
<実施例16>
表裏層用木質チップに、実施例15で調製した懸濁液A(第2懸濁液)を、廃食用油の芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対する廃食用油の添加量が2質量部に相当する量、即ち5.3質量部スプレー噴霧した。その後、実施例3で調製した第4配合液を、表裏層用木質チップ100質量部(全乾)それぞれに対して15質量部スプレー噴霧したこと以外は、実施例15と同様に、木質ボードを得た。
<比較例13>
メラミンユリア樹脂接着剤100質量部に対し、耐水化剤としてポリエチレンワックスのエマルジョン3質量部と、硬化剤として濃度1質量%の硫酸アンモニウム水溶液1質量部とを混合し、第5配合液を調製した。
また、MDIと、MDI100質量部に対してポリエチレンワックスのエマルジョン3質量部とを混合し得られた混合液を、5倍の水で希釈し、第6配合液を調製した。
芯層用木質チップには、上記調製した第6配合液を、芯層用木質チップ100質量部(全乾)に対して5質量部スプレー噴霧した。一方、表裏層用木質チップには、上記調製した第5配合液を、表裏層用木質チップ100質量部(全乾)それぞれに対して15質量部スプレー噴霧した。
これらの木質チップを用いて、実施例1と同条件で熱圧成形し、木質ボードを得た。
<比較試験3>
実施例15,16及び比較例13で得られた木質ボードを室温で1週間養成した後、JIS A 5908に規定する試験方法により試験した。また、木質ボードからの放散量をデシケータ方により測定した。その結果を以下の表5に示す。
Figure 2010036471
表5から明らかなように、実施例15,16と比較例13を比較すると、実施例15では、厚さ膨潤率の評価が若干下がったものの、従来の石油ワックスを使用した比較例13と同等の高い耐水性が得られることが確認された。特に、接着剤と、廃食用油を別々に噴霧した実施例16では、高い評価が得られた。また、実施例15,16では、木質ボードから放散されるホルムアルデヒド量を抑える効果が得られることが確認された。
<実施例17>
先ず、スギ間伐材をチッパーで粗砕きした後、ハンマーミルで粒度を整え、さらにディファイブレータで繊維状にしたものを空気の流れで乾燥できる乾燥機で、含水率2〜3%になるよう乾燥し、木質ファイバーを得た。
次に、動植物性油及び/又はその誘導体として廃食用油100質量部と、粒状の尿素50質量部、水100質量部とを攪拌機を用いて、室温で30分間混合し、懸濁液C(第2懸濁液)を調製した。
また、メラミンユリア樹脂接着剤(東京ボード社製 MUF)100質量部に対し、硬化剤として濃度20質量%の硫酸アンモニウム水溶液2.5質量部を混合し、第7配合液を調製した。
上記得られた木質ファイバーを試験室用のグルーブレンダーに入れ、上記調製した懸濁液C(第2懸濁液)を、廃食用油の木質ファイバー100質量部(全乾)に対する廃食用油の添加量が1.8質量部に相当する量、即ち4.5質量部を噴霧した。その後、上記調製した第7配合液を、木質ファイバー100質量部(全乾)に対して30質量部スプレー噴霧した。
最後に、噴霧後の木質ファイバーを、厚さ1.2mmで420mm角サイズの鉄製コールプレートに載せ、温度220℃に保持したホットプレスに挿入し、初期圧力4MPaで1分間、最終圧力1.5MPaで1.5分間熱圧成形し、厚さ18mmのMDFを得た。
<比較例14>
メラミンユリア樹脂接着剤(東京ボード社製 MUF)100質量部に対し、耐水化剤として、濃度50%のポリエチレンワックスのエマルジョン10質量部と、硬化剤として濃度20質量%の硫酸アンモニウム水溶液2.5質量部とを混合し、第8配合液を調製した。
実施例17と同様の方法により得られた木質ファイバーに、上記調製した第8配合液を、木質ファイバー100質量部(全乾)に対して、固形分換算で15%となるように、即ち33質量部塗布した。
この木質ファイバーを、実施例17と同条件で熱圧成形し、MDFを得た。
<比較試験4>
実施例17及び比較例14で得られた木質ボードを室温で1週間養成した後、JIS A 5905に規定する試験方法により試験した。また、木質ボードからの放散量をデシケータ方により測定した。その結果を以下の表6に示す。
Figure 2010036471
表6から明らかなように、実施例17及び比較例13を比較すると、実施例17では、従来の石油ワックスを使用した比較例14と同等の高い耐水性が得られることが確認された。また、実施例17では、木質ボードから放散されるホルムアルデヒド量を抑える効果が得られることが確認された。
本発明の木質ボードの製造方法では、耐水化剤として従来の石油ワックスをできるだけ使用せず、動植物性油及び/又はその誘導体に代えることで、高い耐水性を維持しつつ、木質ボードからの炭酸ガス排出量を抑え、地球環境に優しい木質ボードの製造方法として利用することができる。

Claims (7)

  1. 木質材料にユリア樹脂、メラミン樹脂又はフェノール樹脂等のホルマリン系樹脂を主成分とする第1接着剤を噴霧又は塗布し、前記第1接着剤を噴霧又は塗布した木質材料を熱圧成形して単層又は多層からなる木質ボードを製造する方法において、
    前記第1接着剤を噴霧又は塗布するのと同時に又は別々に、動植物性油脂及び/又はその誘導体を前記木質材料に、前記木質材料100質量部に対して1〜5質量部の割合で噴霧又は塗布する工程を含む
    ことを特徴とする木質ボードの製造方法。
  2. 木質材料が芯層用木質材料及び表裏層用木質材料であって、
    前記芯層用木質材料と前記表裏層用木質材料にそれぞれ第1接着剤を噴霧又は塗布し、前記第1接着剤を噴霧又は塗布した1又は2以上の芯層用木質材料と前記表裏層用木質材料とを熱圧成形して、表裏層と1又は2以上の芯層とからなる多層で構成された木質ボードである請求項1記載の木質ボードの製造方法。
  3. 第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体とを同時に噴霧又は塗布する場合であって、
    前記第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体は第1懸濁液に含まれ、前記第1懸濁液は第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体とを混合した混合液に、更に尿素と水系液状物又は第2接着剤と尿素と水系液状物を混合して調製され、かつ
    前記第1懸濁液は前記動植物性油脂及び/又はその誘導体100質量部に対して、尿素を30〜500質量部と、第1接着剤と水系液状物又は第1接着剤と第2接着剤と水系液状物を総量で30〜1000質量部含み、かつ前記第1接着剤と前記水系液状物又は第1接着剤と第2接着剤と水系液状物の総量が前記尿素100質量部に対して70質量部以上含まれる請求項1又は2記載の木質ボードの製造方法。
  4. 第2接着剤がポリ酢酸ビニル樹脂又はポリアクリル酸エステル樹脂等の熱可塑性樹脂のエマルジョンと、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等のゴムラテックスと、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリエチレングリコール及びその誘導体等の水溶性合成高分子化合物の水溶液と、デンプン及びその誘導体、ミルクカイゼン、ニカワ等の天然タンパク質、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、キトセン、アラビアガム、アルギン酸ソーダ等の水溶性天然高分子の水溶液とからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む接着剤である請求項3記載の木質ボードの製造方法。
  5. 第1接着剤と動植物性油脂及び/又はその誘導体とを別々に噴霧又は塗布する場合であって、
    第1接着剤の噴霧又は塗布の前又は後に、動植物性油脂及び/又はその誘導体に尿素と水系液状物を混合した第2懸濁液を噴霧又は塗布し、
    前記第2懸濁液は前記動植物性油脂及び/又はその誘導体100質量部に対して、尿素30〜500質量部、水系液状物30〜1000質量部含み、かつ前記水系液状物が前記尿素100質量部に対して70質量部以上含まれる請求項1又は2記載の木質ボードの製造方法。
  6. 水系液状物が水と、鉱酸、有機酸又はそのアンモニウム塩の水溶液と、有機アミン、イミン又はイミドの水溶液と、ステアリン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ等の界面活性剤と、エチレングリコール、グリセリン又はショ糖等のポリオール化合物の水溶液と、1分子中に2個以上のアルデヒド基を有する多価アルデヒド化合物の水溶液と、無機又は有機化合物の炭酸塩の水溶液とからなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む液状物である請求項3ないし5いずれか1項に記載の木質ボードの製造方法。
  7. 動植物性油脂が廃食用油である請求項1ないし6いずれか1項に記載の木質ボードの製造方法。
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