JP2010036297A - ダイヤモンド被覆膜の研磨方法及びダイヤモンド被覆切削工具並びにダイヤモンド被覆切削工具の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド被覆膜の研磨方法及びダイヤモンド被覆切削工具並びにダイヤモンド被覆切削工具の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クラスターイオンビームにより、自形面を持ち、10μm四方の最大高さで1μmを超えるダイヤモンド被覆膜表面を平滑化し、切削抵抗が少なく、切り屑排出性に優れ、切れ味の良いダイヤモンド被覆切削工具及び製造方法を提供。
【解決手段】超硬合金製の基体に、原子間力顕微鏡観察像において、10μm四方における最大高さが1μm以上のCVD法により形成された多結晶質ダイヤモンド被覆膜を形成した後、ダイヤモンド被覆膜4の垂直面7に対し、入射角θを60°超80°未満でガスクラスターイオンビーム1を照射して、少なくとも長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝(研磨痕)2を形成し、かつ、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下に研磨する。また、超硬合金製の切削工具基体の切れ刃12の逃げ面13又はすくい面11を平滑化する。さらに切れ刃12′の丸み半径を10μm以下とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は超硬合金基体上に被覆された多結晶質のダイヤモンド膜の研磨方法及びダイヤモンド被覆切削工具並びにその製造方法に関する。
従来、ダイヤモンドの気相合成法に、熱フィラメントCVD法(特許文献1)、マイクロ波フィラメントCVD法(特許文献2)、直流放電プラズマCVD法(特許文献3)、熱プラズマCVD法(特許文献4)などがある。また、この方法の切削工具への応用に関する開発が盛んに行われてきた(特許文献5、非特許文献1)。気相合成法から得られるダイヤモンド膜には、CVD法で得られる自形面を持った多結晶質のダイヤモンド膜と、その他の方法で得られ非晶質炭素が主成分であるダイヤモンド膜がある。一般に前者のダイヤモンド膜は後者に較べ硬度が高く、高い耐摩耗性が要求される切削工具の被膜として適用されている。
しかしながら、前記特許文献1〜5、非特許文献1に記載されている、CVD法によってダイヤモンド膜を切削工具上へ被覆すると、被覆しない切削工具に比べ切り屑の流れが悪くなり切れ味も悪くなるという問題があった。
前述の切り屑の流れが悪くなる原因は、前記CVD法により被覆されたダイヤモンド膜が自形面を持った多結晶質であるため、表面の凹凸が大きく、したがって切り屑とダイヤモンド膜の間の摩擦係数が大きくなるためである。この影響は膜厚の増大とともに大きくなり、膜厚5μm以上でRa≧1μmとなる。成膜中のパラメータ制御により結晶粒成長を区切ることでより表面粗さの小さいダイヤモンド被膜を被覆することは可能であるが、その場合は硬度が失われ、切削性能が低下する。あるいは成膜条件によって[001]方位に結晶成長させることもでき、この場合は[111]方位に成長した被膜よりも表面粗さは小さいが、工具性能としては[111]方位に成長したダイヤモンド被膜に劣る。
また、ダイヤモンド被膜による切れ味低下の原因は被覆により切れ刃が丸みをおびる点にある。切れ刃の丸みは膜厚とともに増大し、その結果膜厚とともに切れ味は悪くなるということが問題であった。
そこで、特許文献6に記載の発明においては、工具刃先近傍にのみダイヤモンド被膜を被覆し、さらには刃先の研磨を行なうことで、切り屑排出性と切れ味を向上させる手法が開示されている。しかし、特許文献6に開示されている方法では工具製作後に洗浄、マスキング材のコーティング、マスキング除去のための研削加工、再び洗浄、そしてダイヤモンドコーティングと工程が複雑になる上、マスキング除去のためには高精度な研削加工が必要となり、著しく生産性が損なわれることが問題であった。また、この方法では中心線平均粗さ(Ra=)0.2〜0.5μm程度が限界であることが問題であった。
一方、ナノメータ(nm)オーダの面粗さが得られるものに、ガスクラスターイオンビームによる超精密研磨加工方法が知られている(特許文献7)。また、非特許文献2では、Siウェハ上の膜厚2μm、Ra=0.03μmのCVDダイヤモンド被膜にガスクラスターイオンビームを照射し、数nmの面粗さを得ている。さらには特許文献8には斜め入射表面スパッタリング効果と称する平坦化方法により、ナノメートルオーダーの平滑面をさらに平滑化する方法が開示されている。
また、非特許文献3には、クラスタービームによる平坦化プロセスは、原子の局所的な移動に基づくため、小さな周期の凹凸に対しては効果的に平坦化が行われるが、数十μmに及ぶような大きなうねりに対しては平坦化をおこなうことが困難であるため、表面平坦化の前工程として機械研磨を用いた後、クラスターイオンビームによる仕上げを行うことが提案されている。
特開昭58−91100号公報 特開昭58−110494号公報 特開昭63−85094号公報 特開昭64−33096号公報 特開昭60−208473号公報 特許第2717594号 特許第3451140号 特許第3994111号 雑誌ニューダイヤモンド;Vol3,No.3,p26−31(1987) 3rd Workshop on Cluster Ion Beam Pr ocess Technology, (2002)35 クラスターイオンビーム基礎と応用−次世代ナノ加工プロセス技術− 山田公 [編著] 日刊工業新聞社 89頁
そこで、本発明者らはダイヤモンド被覆膜をクラスターイオンビームで研磨する方法に着目し、非特許文献2の知見に従ってダイヤモンド膜の研磨加工を試みた。しかし、主に[111]方位に成長した自形面を持つ切削工具用のCVDダイヤモンド被膜では入射角0°のガスクラスターイオンビーム照射を行っても、ナノオーダの面では向上がみられたが、面粗さは改善されなかった(後述図4)。また、加工速度を上げるためアルゴン−酸素の混合ガスを用い、照射量を増やしたが、基材が露出するまで加工しても表面粗さは改善されなかった(後述図6)。
これは、CVDダイヤモンド被覆は原子間力顕微鏡観察像において、10μm四方における最大高さが1μm以上と面粗さが大きいのに対し、前述したように、ガスクラスターイオンビーム照射前のダイヤモンド被覆膜の面粗さは、非特許文献2では、Ra=0.03μmとかなりなめらかなものが対象であり、また、非特許文献3に記載のように小さな周期の凹凸に対しては効果的に平坦化が行われるが、数十μmに及ぶような大きなうねりに対しては平坦化をおこなうことが困難であるとの記載からも予想されることであった。
しかし、非特許文献3の如く、機械研磨工程を増加することは好ましくなく、また、ドリルや、エンドミルなどの切削工具の多くは幾つかの切れ刃と切り粉を排出する溝とを備える複雑形状であり、機械研磨は容易でないという問題があり、クラスターイオンビームによる平滑化が望まれている。
本発明の課題は前述した問題に鑑みて、クラスターイオンビームにより、自形面を持ち、10μm四方の最大高さで1μmを超えるダイヤモンド被覆膜表面を平滑化する方法を提供することである。また、かかる平滑化により、切削抵抗が少なく、切り屑排出性に優れ、切れ味の良いダイヤモンド被覆切削工具及びその製造方法を提供することである。
本発明においては、超硬合金製の基体に、原子間力顕微鏡観察像において、10μm四方における最大高さが1μm以上のダイヤモンド被覆膜を形成した後、前記ダイヤモンド被覆膜に対し、入射角すなわち照射面の垂線とのなす角60°超80°未満でガスクラスターイオンビームを照射して、前記照射部分の表面が、原子間力顕微鏡観察像において、少なくとも長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝を形成し、かつ、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下に研磨するダイヤモンド被覆膜の研磨方法を提供することにより前述した課題を解決した。
即ち、本発明者らは研究の結果、かかる工具用ダイヤモンド被覆膜にガスクラスターイオンビーム(以下「GCIB」という)を照射すると、従来と同様の原子の局所的な移動による平坦化が行われる。しかし、GCIBを、入射角60°超80°未満で照射すると、表面の微少加工が生じ、照射方向に溝が形成されていることを知得した。この溝は原子間力顕微鏡(以下「AFM」という)観察像図である図2に示すように、照射方向に沿って研磨痕とみられる複数の縦溝が引っ掻いたように生じている。さらに、その長さもAFM観察図のほぼ全域にわたるものもあり、少なくとも5μm以上である。一方、さらなる微細表面は従来と同様の原子の局所的な移動による平坦化が行われる。この結果、AFM観察像において、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下の面粗さの平滑面を得ることができたのである。この現象は本発明者らが超硬合金製の基体上のダイヤモンド被覆膜で確認したものであり、かかる現象についての報告はない。なお、入射角が60°以下あるいは80°以上になると照射部分の微細部分でのナノメータクラスの平滑化は行われると考えるが、本発明の研磨痕は発生しにくくなり、数μmから数十μmのうねり等の形状への影響は非常に少ない。
さらに、請求項2に記載の発明においては、前記ダイヤモンド被覆膜はCVD法により形成された多結晶質のダイヤモンド被覆膜とした。これにより、自形面をもち、硬度が高く、表面粗さが小さいダイヤモンド被覆膜を提供するものとなった。なお、ダイヤモンドの被覆膜の膜厚は、10μm以上20μm以下が工具に適している。また、研磨も容易である。また、本発明で得られる平滑面の面粗さは、ナノオーダまでの実現は困難で、下限は、AFM観察像において、10μm四方における最大高さで0.05μm又は中心線平均粗さで0.01μmの面粗さと考える。
かかるダイヤモンド被覆膜の研磨方法により、請求項3に記載の発明においては、超硬合金製の切削工具基体の少なくとも切れ刃の逃げ面にダイヤモンド被覆膜が形成されたダイヤモンド被覆切削工具であって、前記切れ刃の逃げ面の切れ刃から1mm以内の前記ダイヤモンド被膜表面のAFM観察像において、少なくとも長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝を有し、かつ、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下とされているダイヤモンド被覆切削工具を提供するものとなった。逃げ面の面粗さを小さくしたので、表面の凸凹が小さくなり、加工物に対するダイヤモンド膜の摩擦係数が少なくなる。平滑域は広ければ広い方がよいが、研磨時間がかかる等を考慮して、平滑域を少なくとも切れ刃から1mm以上確保することが重要である。
さらに、請求項4に記載の発明においては、前記切れ刃のすくい面にダイヤモンド被腹膜が形成されており、前記切れ刃のすくい面の切れ刃から1mm以内の前記ダイヤモンド被膜表面のAFM観察像において、少なくとも長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝を有し、かつ、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下とされているダイヤモンド被覆切削工具とした。前述したと同様に、すくい面の凹凸が減じ、切り屑との摩擦係数が少なくなる。すくい面の平滑域は広い方がよいが、少なくとも切れ刃から1mm以上確保する。
また、ガスクラスターイオンビームの照射は微少加工を可能とするので、切れ刃の丸み半径も小さくできる。そこで、請求項5に記載の発明においては、前記切れ刃の横断面でみて、前記切れ刃の丸み半径が10μm以下のダイヤモンド被覆切削工具を提供する。切れ味の面から丸み半径は小さい方がよく、切れ刃を挟むすくい面、逃げ面の両方から照射することにより、切れ刃の丸み半径を小さくできる。
クラスターイオンビームによる研磨範囲は微少であるので、かかるダイヤモンド被覆切削工具の研磨は部分的に行うとよい。そこで、請求項6に記載の発明においては、本発明のダイヤモンド被覆膜の研磨方法を用いて、前記ガスクラスターイオンビームを切れ刃のすくい面または逃げ面、もしくはその両方から照射することにより、切れ刃の横断面でみて、切れ刃の丸み半径が10μm以下のダイヤモンド被覆切削工具を製造するダイヤモンド被覆切削工具の製造方法とした。
また、より具体的な工具に対して、請求項7に記載の発明においては、前記ダイヤモンド被覆切削工具はドリル又はエンドミルであって、かつ、本発明のダイヤモンド被覆膜の研磨方法を用いて、前記工具軸を中心として回転させながら、あるいは回転と静止を繰り返してガスクラスターイオンビームを照射することにより、AFM観察像において、少なくとも長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝を有し、かつ、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下又は切れ刃の丸み半径が10μm以下のダイヤモンド被覆切削工具を製造するダイヤモンド被覆切削工具の製造方法を提供する。また、GCIB照射においては、刃先方向から垂直に照射を行っても、刃先には研磨痕は発生しないので、ダイヤモンドドリルの切れ刃形状は維持される。
本発明においては、AFM観察像において、10μm四方における最大高さが1μm以上のダイヤモンド被覆膜を形成した後、入射角60°以上80°以下でガスクラスターイオンビームを照射して、長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝の研磨痕を形成し、さらなる微少部分を平滑化することにより、最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下に研磨する方法としたので、数十μmに及ぶような大きなうねりに対して平坦化を行うことができ、表面粗さが改善され、突起部の選択的な研磨が可能となったことにより、加工速度が上がり、より硬度が高く、高い耐磨耗性を得ることができた。そして、自形面を持ち、10μm四方の最大高さで1μmを超えるダイヤモンド被覆膜を機械加工等の前加工することなく、直接ガスクラスターイオンビームを用いて平滑化することが可能となった。
さらに、請求項2に記載の発明においては、ダイヤモンド被覆膜をCVD法により形成された多結晶質のダイヤモンド被覆膜とし、自形面をもち、硬度が高く、表面粗さが小さいダイヤモンド被覆膜を提供できるので、高い耐摩耗性が要求される工具等に有用な被覆膜の平滑化を可能とした。
また、請求項3に記載の発明においては、切れ刃の逃げ面の切れ刃から1mm以内の前記ダイヤモンド被膜表面のAFM観察像において、少なくとも長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝を有し、かつ、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下とされているダイヤモンド被覆切削工具とし、逃げ面の面粗さを小さくし、加工物とダイヤモンド膜の摩擦係数が少なくなるので、切削抵抗が減じ、また、切り屑排出性が向上する。さらに、請求項4に記載の発明においては、切れ刃のすくい面を平滑化したので、切り屑との摩擦係数が少なくなるので、切り屑排出性が向上する。また、請求項5に記載の発明においては、切れ刃の丸み半径が10μm以下のダイヤモンド被覆切削工具としたので、切れ味が向上する。
さらに、ガスクラスターイオンビームを所定角度で、切れ刃のすくい面または逃げ面、もしくはその両方から照射し、切れ刃の丸み半径を10μm以下とするダイヤモンド被覆切削工具の製造方法としたので、切削工具のような複雑な形状であっても、部分部分の照射により、微少加工及び微少部分の平滑化が容易となった。
また、請求項7に記載の発明においては、ドリル又はエンドミルの工具軸を中心として回転させながら、あるいは回転と静止を繰り返してガスクラスターイオンビームを所定角度で照射することにより、部分部分の平滑化が容易であるので、切削工具の幾つかの切れ刃と切り粉を排出する溝とを備える複雑形状であっても、機械研磨等の前加工なしに、平滑化ができるものとなった。例えば、2枚刃のドリルにおいて片側の切れ刃を研磨する際に反対側の切れ刃がGCIB源に対して正面を向いてしまっても、特別なマスキングを必要とすることなくGCIB照射を行うことができるため、生産性が高いものとなる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は超硬合金製インサートに熱フィラメントCVD法によりダイヤモンド被膜を被覆したAFM観察像、図2は図1と同等品に本発明によるGCIB照射後のインサートのAFM観察像である。本発明の実施の形態においては、まず、超硬合金製インサートに熱フィラメントCVD法により[111]方位に成長した自形面を持つダイヤモンド被膜を15μm被覆した。図1に示すように、平滑化前の、ダイヤモンド被覆表面の面粗さは中心線平均粗さ(Ra)で0.11μm、10μm四方における最大高さ(Ry)で1.18μmであった。
次に、このダイヤモンド被覆膜基材をダイヤモンド皮膜表面の平均面に対してGCIB1の入射角が70°となるように設置し、クラスターガスをアルゴン、クラスターサイズは選別なし(平均1,000個)とし、イオン加速電圧を30kV、イオンドーズ量が5.0e17ions/cm2となる条件でGCIB照射を行った。
その結果、図2に示すように、照射方位(図に符号1で示す矢印)に沿って何本もの平行溝からなる研磨痕2が生じている。この研磨痕2は図1でランダムに発生している突起部3が一度照射方向にならされ、さらに、その表面が平滑化されている如く観察される。そして、AFM観察像における表面粗さはRa=0.05μm、Ry=0.48μmと大幅に向上した。なお、照射による研磨痕2への影響を測定するために、照射にあたって、GCIB照射部位とマスキングにより照射しなかった部分の段差を測定することにより加工量を求めたところ、1.0μm以下であった。このことから、照射部のダイヤモンド被覆膜は照射により照射方向にならされているものと推測される。
なお、導入するソースガスとしては、不活性ガス、たとえばアルゴンや、窒素ガス、酸素ガス等の他、化合物の炭酸ガス等、必要に応じて1種または2種以上のガスを単独にあるいは混合して使用することができるが、クラスターの生成、イオン化効率、安全性、コストの面からアルゴンが最も好ましい。加工速度を上げるためにアルゴンと酸素の混合ガスを用いることもできる。これは、ダイヤモンドの酸化反応を促すためである。クラスターガスとしてアルゴン−酸素混合ガスを用いる場合の混合比は酸素の原子%で30%程度の加工速度が最も高い。
かかる、現象について次のように考えられる。図15は本発明に関するイオンビーム入射角θとダイヤモンド自形面のなす角θdとの関係を示す幾何学的な模式図である。図15において、[111]方位に成長したダイヤモンド被覆膜4の垂直面7に対し、自形面5のなす角θdは、立方晶の幾何学モデルで計算すると35.26°≦θd≦54.74°となる。90°−θdよりも十分低い角度で侵入する粒子、言い換えればθdよりも十分大きな入射角θで照射されたイオンビーム1はダイヤモンド被覆切削工具10の凹部6は衝突せず、凸部3にのみ選択的に衝突し、前述した照射方向に沿った研磨痕2を残し、ダイヤモンド被覆膜表面5の凸部である突起部3の選択的な研磨が可能となったのである。
本発明を実施する為の手法は特許文献8と一見酷似しているが、その内容は大きく異なる。特許文献8においては20段落目に「固体表面とガスクラスターイオンビームとのなす角度として第1段階は90°の照射角度θpを用い、第2段階として25°の照射角度θpを用いることによっても、短時間で(照射ドーズ量が少ない状態で)表面粗さを小さくすることができる」という記述があることからもわかるように、あくまでも垂直入射によっても面粗さが減少する試料についての技術である。一方、先述したように、切削工具用のダイヤモンド被膜は垂直入射によってうねりのような面粗さが減少することは無く、本発明のメカニズムとは明らかに異なるものである。
また、本発明における研磨痕は幾何学的な要因による為、通常の単原子イオンビームを用いた場合でも成立する。しかし、ガスクラスター特有の多体衝突効果がないので、「ガスクラスターを形成している原子または分子は、その固体表面にほとんど進入することなしに固体表面と平行方向に反跳する」というガスクラスターイオンビーム特有の現象が起こらない。また、単原子イオンでは空間電化効果により十分な質量を移送できない。このために、単原子イオンビームを用いた研磨方法では、表面損傷が大きくなったり、表面粗さ低減効果が少なかったり、加工速度が著しく遅くなったりするという問題が発生する。
なお、かかる考察により、実際にダイヤモンド被覆切削工具にGCIB照射を行う場合には、加工する面に対してGCIBの入射角θが60°超〜80°未満となるように設置するのが良い。60°超としたのはθdの最大値54.74°に対して大きな角度とする為であり、60°以下では凸部への選択的な加工の効率が低くなる。また、80°以上の大きい角度では実面積が照射方向への投影面積に比べて極端に大きくなるため照射効率が悪くなる。たとえば80°の場合、投影面積すなわちビームの断面積に対する実面積は5.8倍、すなわち垂直入射と同じドーズ量を得るためには5.8倍の照射時間が必要になるが、図16に示すように80°を超えたところでこの比率は急激に増加するため、照射時間が極端に長くなってしまい、著しく生産性が低下するものと推察される。
次に本願発明の比較として、照射角度を0°として、種々の測定を行った。
(比較例1)
比較例1は以下の条件で、図1と同じ条件で作製したダイヤモンド被覆インサートに、垂直方向からGCIB照射を行った。
クラスターガス アルゴン
照射角度 0°
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 20kV
イオンドーズ量 5.0e17ions/cm2
その結果のインサートのAFM観察像を図3に示す。図3に示すように、山谷の表面の微細部分がなめらかになっているが、全体の表面粗さはRa=0.15μm、Ry=3.13μmと改善は認められなかった。また、加工量は1.0μm以下であった。
(比較例2)
比較例1の試料にさらに以下の条件でGCIB照射を行った。
クラスターガス アルゴン
照射角度 0°
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 10kV
イオンドーズ量 2.5e17ions/cm2
その結果のインサートのAFM観察像を図4に示す。図4に示すように、山谷(ダイヤモンドの自形面)の表面の微細部分がさらになめらかになり、ダイヤモンドの自形面に倣って面が平滑化し、表面積が減少している。しかし、全体の面粗さは、Ra=0.13μm、Ry=1.28μmと未照射試料に対して表面粗さは改善されなかった。
(比較例3)
次に、加工量を増やす目的でアルゴン−酸素混合ガスを用いて酸化反応を促進させ、以下の条件で図1と同じ条件で作製したダイヤモンド被覆インサートに、垂直方向からGCIB照射を行った。
クラスターガス アルゴン−酸素混合ガス(酸素34%)
照射角度 0°
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 20kV
イオンドーズ量 3.2e17ions/cm2
その結果のインサートのAFM観察像を図5に示す。図5に示すように、加工量は3.8μmと増したが、全体の表面粗さはRa=0.11μm、Ry=1.18μmと改善は見られなかった。また、山谷の表面の微細部分は比較例1より荒れた表面となった。
(比較例4)
さらに加工量を増やすため、比較例3の試料にさらに以下の条件でGCIB照射を行った。
クラスターガス アルゴン−酸素混合ガス(酸素34%)
照射角度 0°
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 25kV
イオンドーズ量 5.0e18ions/cm2
その結果のインサートのAFM観察像を図6に示す。図6に示すように、表面粗さはRa=0.06μm、Ry=0.64μmと向上したが、加工量は22.4μmとなり、基材が露出し、加工量を増やしても面粗さの向上はできなかった。
このように、比較例では、山谷(ダイヤモンドの自形面)の表面の微細部分がなめらかになり、前述したクラスターイオンビームによる効果があらわれているものと考えられる。しかし、比較例においては、いずれも本発明のような平行溝からなる照射方向に沿った研磨痕は発生せず、前述した小さな周期の凹凸に対しては効果的に平坦化が行われるが、数十μmに及ぶような大きなうねりに対しては平坦化をおこなうことができないことが明白であった。
(比較例5)
次に、照射角度が60°以下の場合について述べる。比較例5は以下の条件で、図1と同じ条件で作製したダイヤモンド被覆インサートに、照射角度60°でGCIB照射を行った。
クラスターガス アルゴン−酸素混合ガス(酸素34%)
照射角度 60°
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 20kV
イオンドーズ量 1.0e18ions/cm2
その結果のインサートのAFM観察像を図7に示す。図7に示すように、表面粗さはRa=0.20μm、Ry=1.50μmと改善は見られ無かった。しかし、照射方位(図で符号1の矢印)に沿った数μmの長さの平行溝の研磨痕2′が一部に観察され、本発明による突起部3の選択的な加工が照射角度により変化しており60°近傍で効果が減じていることがわかる。
次に、ダイヤモンド被覆ドリルに対して工具軸と垂直方向から以下の条件でGCIB照射を行った第二の実施の形態について説明する。かかる場合には、ドリルの形状から、入射角は第1逃げ面8で80°、第2逃げ面9で70°となり、角度に関して複数の試験をしたと同じ状態になる。実施例2においては、超硬合金製ドリルに熱フィラメントCVD法により[111]方位に成長した自形面を持つダイヤモンド被膜を15μm被覆した。次に、このダイヤモンド被覆膜ドリルに次の条件で、GCIB照射を行った。
クラスターガス アルゴン
照射角度 80°(第1逃げ面)、70°(第2逃げ面)
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 30kV
イオンドーズ量 2.7e17ions/cm2(第1逃げ面)、
5.0e17ions/cm2(第2逃げ面)
その結果のドリルの第1逃げ面、第2逃げ面の走査電子顕微鏡(以下「SEM」という)観察像を図11に示す。図11に示すように、第1逃げ面8では、角度が大きくなり、面積あたりの照射量が少なくなるため、ダイヤモンド自形面がほとんど残っており、本発明の突起部3の選択的加工が行われていない。これに対し、第2逃げ面9には、照射方位に沿った複数の平行溝状態の研磨痕2が観察されている。このような結果からも、本発明の研磨痕の形成が照射角度の影響で影響を受け、自形面を持ち、10μm四方の最大高さで1μmを超えるダイヤモンド被覆膜を機械加工等の前加工することなく、直接ガスクラスターイオンビームを用いて平滑化することが可能となったものといえる。
次に本発明の第三の実施の形態について説明する。第三の実施の形態は工具の切れ刃切れ刃近傍にGCIB照射をおこなったものであり、工具切れ刃の丸みを改善した例である。図9に示すように、すくい面11、切れ刃12、逃げ面13、前述したと同様に超硬合金製インサートに熱フィラメントCVD法によりダイヤモンド被膜膜4を被覆した。図9に示すように、すくい面11と逃げ面13の稜線(切れ刃)12の丸みは照射前は25μmである。その後、ダイヤモンド被覆超硬インサートのすくい面11及び逃げ面13の両方から、各面に対してそれぞれ入射角70°として、以下の条件でGCIB照射を行なった。
クラスターガス アルゴン
照射角度 70°
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 30kV
イオンドーズ量 各5.0e17ions/cm2
その結果のGCIB照射後の刃先形状を図10に示す。図10に示すように、すくい面11′と逃げ面13′の稜線(切れ刃)12′の丸みは照射後は7.5μmとなり、照射前の25μmに比して非常に鋭利な刃先を得ることができた。
次に本発明の第四の実施の形態について説明する。第四の実施の形態はドリルに適用した場合の例である。図11はドリルへのGCIB照射の模式図である。図11に示すように、直径7mmのダイヤモンド被覆ドリル20の工具軸を垂直方向からGCIB源側に約10°傾ける(符号21で示す矢印)。さらに、第1切れ刃22の逃げ面23、及び第2切れ刃24をGCIB源側に向けて固定し、符号1で示す矢印方向に以下の条件でGCIB照射を行った。
クラスターガス アルゴン
照射角度 70°(第1切れ刃11、第1逃げ面)
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 30kV
イオンドーズ量 5.0e17ions/cm2(第1切れ刃11、第1逃げ面)
その結果である第1切れ刃22の逃げ面23のSEM観察像を図12に、第2切れ刃24のSEM観察像を図13に示す。図12に示すように、第1切れ刃22においては切削に寄与する第1逃げ面23に照射方向に沿って多数の平行溝を形成する研磨痕2が認められ、本発明による平滑化が確認できた。逆に、図13に示すように、稜線方向から照射を受けた第2切れ刃24においても、ダイヤモンド被覆工具本来のチャンファ25が残っており、GCIB照射によって刃先が丸くならないことを確認できた。即ち、垂直方向からGCIB照射しても大きな面粗さの変化はないことを確認した。なお、微少表面上は影響があるが、工具性能への影響は、全体の面粗さの影響よりは少ない。また、符号26は切れ刃24のすくい面側、符号27は逃げ面側を示す。
通常ショットブラスト、エアロラップなどの手法でドリルなどの形状物を研磨する場合、刃先方向から微粒子を入射すると刃先が丸くなるが、実施例4の結果によるように、GCIB照射においては刃先方向から照射を行なってもダイヤモンドドリルの切れ刃形状が維持されるのである。このことにより、例えば2枚刃のドリルにおいて片側の切れ刃を研磨する際に反対側の切れ刃がGCIB源に対して正面を向いてしまっても、特別なマスキングを必要とすることなくGCIB照射を行なうことができるため生産性が高いのである。そこで、本発明の第五の実施の形態においては、2枚刃ドリルの逃げ面23の面粗さの改良を行った例を説明する。実施例4の図11と同様に、直径6mmのダイヤモンド被覆ドリルの工具軸をGCIB源方向に10°傾け、以下の条件でGCIB照射を行った。
クラスターガス アルゴン
照射角度 70°(第1逃げ面)
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 30kV
イオンドーズ量 5.0e17ions/cm2(第1逃げ面)
その後、ドリルを工具軸を中心に180°自転させ、同じ条件でGCIB照射を行ってドリルの2枚の切れ刃を研磨加工した。このとき、実施例4で述べたように、片側の切れ刃が入射角70°のGCIB照射を受ける際、反対側の切れ刃は稜線方向からGCIBの照射を受けている。
かかる本発明のドリル及び比較の為にGCIBによる研磨を行っていないダイヤモンド被覆ドリルの両者を用い、以下の条件でガラス繊維強化プラスチックの穴加工試験を行った。
被加工材 ガラス繊維強化プラスチック
板厚 3mm
回転数 4,000min−1
送り速度 500mm/min切削油剤 なし
試験の結果、比較ドリルの寿命約2,000穴に対し、本発明ドリルは4,000穴以上を加工した。また、本発明ドリルはガラス繊維の切断性能と切り屑の排出性が良く、その結果穴の寸法精度も高かった。これに対し、比較ドリルは逃げ面の表面粗さが大きいため切削抵抗が高くなり、穴の出口側にバリが生じた。このように、本発明によれば、ドリルの回転させながら照射角度を調整して、所望の面の面粗さを向上でき、さらには、切れ味がよく切り屑排出性のよい精度の高いダイヤモンド被覆ドリルを提供するものとなった。
次に本発明の第六の実施の形態について説明する。第六の実施の形態においては、本発明の研磨方法を4枚刃エンドミルに適用した例である。図14はエンドミルへのGCIB照射の模式図である。図14に示すように、直径10mmのダイヤモンド被覆4枚刃エンドミル30を図示しない自転ホルダに固定し、切削方向に回転させながら、それぞれの4枚の側面刃逃げ面31に対して照射角度が70°近傍になるようにして、順次GCIB照射1を行った。照射条件は以下の取りである。
クラスターガス アルゴン
照射角度 60°〜90°(逃げ面)
クラスターサイズ 選別なし(平均1,000個)
イオン加速電圧 30kV
イオンドーズ量 5.0e17ions/cm2(逃げ面)
かかる本発明のエンドミル及び比較の為にGCIBによる研磨を行っていないダイヤモンド被覆エンドミルの両者を用い、以下の条件でガラス繊維強化プラスチックの側面加工試験を行った。
被加工材 ガラス繊維強化プラスチック
切削長 20m
回転数 10,000min−1(314m/min)
送り速度 2,800mm/min(0.07mm/刃)
切り込み aa=0.2mm、ar=10.0mm
切削油剤 なし(エアーブロー)
試験の結果、逃げ面摩耗は本発明エンドミルでは0.5μmであり、比較エンドミルの1.2μmに対して大幅に減少した。また、比較エンドミルは加工面の上部にバリが生じたが、本発明エンドミルではバリの発生が無かった。このように、本発明によれば、エンドミルにあっても、照射角度を調整して、所望の面の面粗さを向上でき、さらには、切れ味がよく切り屑排出性のよい精度の高いダイヤモンド被覆エンドミルを提供するものとなった。
超硬合金製インサートに熱フィラメントCVD法により被覆したダイヤモンド被膜表面 のAFM観察像である。 本発明の第一の実施の形態であるGCIB照射後のインサートのAFM観察像である。 比較例1のGCIB照射後のCVDダイヤモンド被膜表面AFM観察像である。 比較例2のGCIB照射後のCVDダイヤモンド被膜表面AFM観察像である。 比較例3のGCIB照射後のCVDダイヤモンド被膜表面AFM観察像である。 比較例4のGCIB照射後のCVDダイヤモンド被膜表面AFM観察像である。 比較例5のGCIB照射後のCVDダイヤモンド被膜表面AFM観察像である。 本発明の第二の実施の形態であるGCIB照射後のCVDダイヤモンド被膜ドリルの逃 げ面SEM像である。 GCIB照射前のCVDダイヤモンド被膜インサート切れ刃のSEM像である。 本発明の第三の実施の形態であるGCIB照射後のインサート切れ刃のSEM像であ る。 本発明の第四の実施の形態であるCVDダイヤモンド被膜ドリルへのGCIB照射の 模式図である。 本発明の第四の実施の形態であるGCIB照射後のCVDダイヤモンド被膜ドリル第 1切れ刃の逃げ面SEM像である。 本発明の第四の実施の形態であるGCIB照射後のCVDダイヤモンド被膜ドリルの 第2切れ刃SEM像である。 本発明の第六の実施の形態であるCVDダイヤモンド被膜エンドミルへのGCIB照 射の模式図である。 本発明に関するイオンビーム入射角とダイヤモンド自形面のなす角との関係を示す幾 何学的な模式図である。 本発明のGCIBの入射角と照射される実面積と投影面積との比(%)の関係を示す グラフである。
符号の説明
1 ガスクラスターイオンビーム
2 平行溝(研磨痕)
4 ダイヤモンド被覆膜
7 ダイヤモンド被覆膜の平均垂直面
8 第1逃げ面
9 第2逃げ面
10 ダイヤモンド被覆工具
11、11′すくい面
12、12′切れ刃
13、13′、23、31逃げ面
20 ダイヤモンド被覆ドリル(ダイヤモンド被覆切削工具)本体
22 第1切れ刃
24 第2切れ刃
30 ダイヤモンド被覆エンドミル(ダイヤモンド被覆切削工具)本体
θ ガスクラスターイオンビームの入射角
θd ダイヤモンド被覆膜の自形面の角

Claims (7)

  1. 超硬合金製の基体に、原子間力顕微鏡観察像において、10μm四方における最大高さが1μm以上のダイヤモンド被覆膜を形成した後、前記ダイヤモンド被覆膜に対し、入射角すなわち照射面の垂線とのなす角60°超80°未満でガスクラスターイオンビームを照射して、前記照射部分の表面が、原子間力顕微鏡観察像において、少なくとも長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝を形成し、かつ、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下に研磨することを特徴とするダイヤモンド被覆膜の研磨方法。
  2. 前記ダイヤモンド被覆膜はCVD法により形成された多結晶質のダイヤモンド被覆膜であることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド被覆膜の研磨方法。
  3. 超硬合金製の切削工具基体の少なくとも切れ刃の逃げ面にダイヤモンド被覆膜が形成されたダイヤモンド被覆切削工具であって、前記切れ刃の逃げ面の切れ刃から1mm以内の前記ダイヤモンド被膜表面の原子間力顕微鏡観察像において、少なくとも長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝を有し、かつ、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下とされていることを特徴とするダイヤモンド被覆切削工具。
  4. 前記切れ刃のすくい面にダイヤモンド被腹膜が形成されており、前記切れ刃のすくい面の切れ刃から1mm以内の前記ダイヤモンド被膜表面の原子間力顕微鏡観察像において、少なくとも長手方向長さが5μm以上の複数の平行溝を有し、かつ、10μm四方における最大高さで0.5μm以下又は中心線平均粗さで0.1μm以下とされていることを特徴とする請求項3記載のダイヤモンド被覆切削工具。
  5. 前記切れ刃の横断面でみて、前記切れ刃の丸み半径が10μm以下であることを特徴とする請求項4記載のダイヤモンド被覆切削工具。
  6. 請求項1又は2に記載のダイヤモンド被覆膜の研磨方法を用いて、前記ガスクラスターイオンビームを切れ刃のすくい面または逃げ面、もしくはその両方から照射することにより、請求項5に記載のダイヤモンド被覆切削工具を製造することを特徴とするダイヤモンド被覆切削工具の製造方法。
  7. 前記ダイヤモンド被覆切削工具はドリル又はエンドミルであって、かつ、請求項1又は2に記載のダイヤモンド被覆膜の研磨方法を用いて、前記工具軸を中心として回転させながら、あるいは回転と静止を繰り返してガスクラスターイオンビームを照射することにより、請求項3乃至5のいずれか一に記載のダイヤモンド被覆切削工具を製造することを特徴とするダイヤモンド被覆切削工具の製造方法。
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