JP2010036218A - ヘミング加工装置 - Google Patents

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Koichi Sasaki
浩一 佐々木
Kei Morishita
圭 森下
Gosuke Yamanaka
剛介 山中
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Abstract

【課題】ヘミング加工の加工精度を高め、かつ、加工速度を上げて生産性を高めるとともに、構成部品を減らして信頼性を高めたヘミング加工装置を提供する。
【解決手段】金床のアンビル3に載置されたワークに対し、主ヘムパンチ5aおよび予備曲げパンチ5bが一体に、または、予備曲げパンチおよび主ヘムパンチが上下動してワークにヘミング加工を施すヘミング加工装置10であって、基台1の上部に固設されたアンビル3と、アンビル3に対向して設けられ、主ヘムパンチ5aおよび予備曲げパンチが上下に離間して設けられた上下移動プレート5と、上下移動プレート5をクランク装置4により上下方向へ移動させる上下移動機構Eと、上下移動プレート5の下方に支点を設けて傾動自在に支持する傾動機構Fと、前記上下移動プレート5を傾動させるための傾動駆動機構と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属板などのワークを折曲加工するヘミング加工装置に関する。
図12は、従来のプレスタイプのヘミング加工装置の動作を示し、(a)は初動時、(b)は予備曲げパンチによる加工時、(c)は本曲げパンチによる加工時を示すそれぞれの側面図である。図12に示すように、従来のヘミング加工装置50は、基台51上に固設したヘミングダイ52と、前記基台51上のヘミングダイ52に対峙して立設させたリンク支持機構を有するリンク支持ブロック53と、リンク支持ブロック53に本曲げリンク54および中間リンク55を支持部54a,55aによって回動自在に軸支すると共に、本曲げパンチ57を上下移動可能に支持している。
本曲げパンチ57の上部には加圧装置62の駆動力を受ける駆動力受け部58が設けられている。リンク支持ブロック53の側面には、くの字状のカム溝穴が形成されている。このくの字状のカム溝穴は、正確には上から斜めのカム溝穴53a、垂直のカム溝穴53b、逆斜めのカム溝穴53cの3つが連続して形成されている。
予備曲げリンク56も中間リンク55と同様に、予備曲げリンク56のワークW側の先端には、長穴が設けられ、リンク支持ブロック53の側面に、前記した形状と同様に、くの字状のカム溝穴が形成されている。これにより、予備曲げリンク56は、中間リンク55に平行な関係により、予備曲げパンチ59の姿勢を維持しながら、予備曲げパンチ59をカム溝穴53aに沿ってワークWに向って降下、接近し、さらに、カム溝穴53bに沿って垂直に降下して予備ヘム加工を施し、予備曲げパンチ59をカム溝穴53cに沿って退避させる。
図12(a)に示すように、本曲げパンチ57は、最上端に設けられたコイルバネ63,63にて付勢され、支持されている。
図12(b)に示すように、加圧装置62が下降しはじめると、本曲げパンチ57は、本曲げリンク54と中間リンク55によって同姿勢を維持しながらワークに向って下降する。また、予備曲げパンチ59は、中間リンク55と予備曲げリンク56と連結リンク65によって、下方に移動し、予備曲げパンチ59をカム溝穴53aに沿ってワークに向って降下、接近させ、カム溝穴53bに沿って垂直に降下して予備ヘム加工を施し、予備曲げパンチ59をカム溝穴53cに沿って退避させる。
その後、図12(c)に示すように、本曲げパンチ57によって、予備曲げされたワークは、ヘム加工される。
特開2004−243332公報(段落0022〜0026、図1、図2)
しかしながら、図12に示すように、従来のヘミング加工装置50は、基台51上に固設したヘミングダイ52と、立設させたリンク支持機構を有するリンク支持ブロック53を基台51上のヘミングダイ52に対向して構成していたため、大型化し、フロアスペースが広く必要とするという問題があった。また、予備曲げパンチ59の移動は、カム溝穴53aを摺動するピン55pを介して行われるため、パンチの加工速度を上げることができないという問題があった。さらに、リンク機構の構成部品が多く、その動作が複雑なことから、信頼性に問題があり、騒音も大きく、加工精度もばらつきがあるという問題があった。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み創案されたものであり、ヘミング加工の加工精度を高め、かつ、加工速度を上げて生産性を高めるとともに、構成部品を減らして信頼性を高め、しかも、静寂でフロアスペースが狭く、コンパクトで安価なヘミング加工装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決した請求項1に記載されたヘミング加工装置(10)の発明は、基台(1)の上部に固設されたアンビル(3)と、前記アンビル(3)に載置されたワーク(W)にヘミング加工を施す主ヘムパンチ(5a)および予備曲げパンチ(5b)と、前記アンビル(3)に対向して設けられ、前記主ヘムパンチ(5a)および予備曲げパンチ(5b)が一体に、または、前記主ヘムパンチ(5a)および予備曲げパンチ(5b)が上下に離間して設けられた上下移動プレート(5)と、を有するヘミング加工装置(10)であって、前記上下移動プレート(5)をクランク装置(4)により上下方向へ移動させる上下移動機構(E)と、前記上下移動プレート(5)の下方に支点を設けて傾動自在に支持する傾動機構(F)と、前記上下移動プレート(5)を傾動させるための傾動駆動機構(G)と、を備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたヘミング加工装置(10)であって、前記上下移動機構(E)は、減速装置(18b)付サーボモータ(18a)のクランク軸モータ(18)と、前記クランク軸モータ(18)の出力軸に連結されたクランク軸(4a)と、一端部が前記クランク軸(4a)に固定された左クランク腕(4c)および右クランク腕(4c’)と、前記左クランク腕(4c)および前記右クランク腕(4c’)の他端部に嵌合され、両端支持されたクランクピン(4f)と、前記クランクピン(4f)に一端部が回動自在に支持され、他端部が上下移動プレート(5)に連結され、側面視で略C字形状の連結アーム(4d)と、を備えたクランク機構の前記クランク装置(4)により構成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載されたヘミング加工装置(10)であって、前記傾動機構(F)は、前記クランク装置(4)の下方を支持するクランクベース(4h)に保持された第2ピン(4g)を傾動の支点にしたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載されたヘミング加工装置(10)であって、前記傾動駆動機構(G)は、前記基体(1)の上部に、水平置きにして上下方向へ俯仰自在に支持された中空モータ(8)と、前記中空モータ(8)によって回転されるナット(8n)と、前記ナット(8n)に螺入されて水平方向に進退することによって前記上下移動プレート(5)を傾動させるスクリュー(9)と、を備えたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1または請求項4に記載されたヘミング加工装置(10)であって、前記スクリュー(9)は、ナックルジョイント(7d)を介して略板状のホルダ(7)の上部に接続され、前記ホルダ(7)の下部は左リンク(4b)および右リンク(4b’)に固定されたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1または請求項5に記載されたヘミング加工装置(10)であって、前記上下移動プレート(5)は、前記基台(1)の正面側に設けられ、前記ホルダ(7)と前記上下移動プレート(5)との間には、前記上下移動プレート(5)の上下動をガイドする直動ガイド(6)および直動ナット(6a)が介在されていることを特徴とする。
請求項1に係るヘミング加工装置の発明によれば、上下移動機構と、傾動機構と、傾動駆動機構を備えたことにより、上下移動プレートをスムーズに上下移動させるとともに、スムーズに傾動させることができる。また、上下移動プレートに設けられた予備曲げパンチおよび主ヘムパンチは、瞬時に加工位置と待機位置との位置変換ができるため、予備曲げパンチおよび主ヘムパンチによるヘミング加工の加工精度を高め、かつ、加工速度を上げて生産性を高めることができる。また、構成部品を減らして信頼性を高め、しかも、静寂なヘミング加工装置の提供ができる。さらに、従来のヘミング加工装置よりもフロアスペースが狭い、コンパクトなヘミング加工装置の提供ができる。
請求項2に係る発明によれば、上下移動機構は、クランク機構のクランク装置により、クランク軸の回動を往復運動への変換することができるため、容易に上下移動プレートを上下方向へ移動できる。また、連結アームを略C字形状にすることにより、クランク軸の回動角が180度であっても干渉が回避できるため、上下移動プレートの上下移動には支障はなく、安価なクランク装置を使用したコンパクトなヘミング加工装置を提供することができる。
請求項3に係る発明によれば、傾動機構を設けたことにより、上下移動プレートの予備曲げパンチおよび主ヘムパンチを、加工位置と待機位置に瞬時に移動させることができる。
請求項4に係る発明によれば、前記した傾動機構との協同による傾動駆動機構は、上下移動プレートの予備曲げパンチおよび主ヘムパンチを、加工位置と待機位置に瞬時に移動させることができる。
請求項5に係る発明によれば、ホルダおよび上下移動プレートの傾動と連動させてクランク装置も傾動させることができるため、クランク軸と連結アームとの干渉はなく上下移動プレートの上下移動がスムーズにでき、静寂なヘミング加工装置の提供ができる。
請求項6に係る発明によれば、ホルダと上下移動プレートとの間に直動ガイドおよび直動ナットが介在されたことから、上下移動プレートの上下移動がガイドされ、スムーズな動きと、静寂なヘミング加工装置の提供ができる。
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の斜め正面からの外観を示す斜視図であり、図2は、斜め背面からの外観を示す斜視図である。図1、図2に示すように、ヘミング加工装置10は、基台1の上部に固設された金床のアンビル3と、このアンビル3に対向して設けられ、主ヘムパンチ5aおよび予備曲げパンチ5b(図4参照)が上下に離間して設けられた上下移動プレート5と、上下移動プレート5をクランク装置4により上下方向へ移動させる上下移動機構Eと、上下移動プレート5の下方に支点となる第2ピン4gを設けて傾動自在とする傾動機構Fと、上下移動プレート5を傾動するために中空モータ8(図2参照)に挿通され、ナットの回転により進退自在にスクリュー9を駆動する傾動駆動機構Gとを構えている。
図3は本発明のヘミング加工装置の正面図、図4は図3に示すA−A線の断面図、図5は図3に示すB−B線の断面図、図6は図3に示すC−C線の断面図である。
ここで、図3〜図6を使用して、本発明のヘミング加工装置10の主要機構、主要ユニット、主要パーツである前記した基台、アンビル、上下移動機構、クランク装置、傾動機構、傾動駆動機構、中空モータ、スクリュー、上下移動プレート、ホルダ、係合部等の構成について、順追って詳細に説明する。
<基台の構成>
図4に示すように、基台1は、ベース1aと、ベース1aの上面に立設されたコラム1bとから構成されており、鋼板溶接構造で一体に形成されている。
<アンビルの構成>
図4に示すように、アンビル3は、ヘミング加工の金床であり、コラム1bの最上部に設けられたアンビル据付台1dの上面にボルト(図1参照)によって固設されている。
アンビル3の横幅は、例えば、1.1mであり、ワークの長さよりも余裕を持たせた長さで形成されている。メンテナンスの際には、アンビル3が交換される。
<上下移動機構>
図3に示すように、上下移動機構Eは、クランク装置4のクランク機構であり、このクランク機構の後記する左クランク腕4cおよび右クランク腕4c’等による回動が往復運動に変換され、上下移動プレート5を上下移動する。
<クランク装置の構成>
図6に示すように、クランク装置4は、クランク軸モータ18の出力軸に連結されたクランク軸4aと、図4に示すように、このクランク軸4aに一端部である上端部が固定された左クランク腕4cおよび右クランク腕4c’と、左クランク腕4cおよび右クランク腕4c’の他端部である下端部に両端支持されたクランクピン4fと、クランクピン4fに回動自在に支持された連結アーム4dとから主に構成されている。
さらに、図6に示すように、クランク軸4aには前記左クランク腕4cおよび右クランク腕4c’の両側に、左リンク4bおよび右リンク4b’が挿通されている。
ここで、クランク装置4を構成する主要部品の、クランク軸モータ、左クランク腕および右クランク腕、連結アーム、左リンクおよび右リンク、クランクベース等の構成について順追って説明する。
<クランク軸モータの構成>
クランク軸モータ18は、クランク装置4の正面の左側に配置され、モータケース4mに収納されている。クランク軸モータ18は減速装置18b付のサーボモータ18aである。減速装置18bの減速比は例えば、1/90が好適である。また、クランク軸モータ18の出力部にはリング状のライナ18cが固定され、このライナ18cを介して連結手段(カップリング)12が装着されており、この連結手段12によって、クランク軸モータ18の出力軸とクランク軸4aとが一体に連結されている。
図6に示すように、クランク装置4のクランク軸4aは、曲(クランク)軸が一般的であるが、ここでのクランク軸4aは一本のシャフトで構成されている。したがって、クランク軸4aは半回転以上すると連結アーム4dとクランク軸4aとが干渉するため、クランク軸4aは0〜180度の範囲内で正転と逆転を繰り返して回動する。クランク軸4aの0〜180度の回動運動であってもクランク機構による往復運動への変換に何ら問題はないため、上下移動プレート5の上下運動には全く支障はない。クランク軸4aの曲軸を一本のシャフトにしたことにより、大幅な原価低減ができる。
<左クランク腕および右クランク腕>
図4に示すように、左クランク腕4cおよび右クランク腕4c’は、側面視で矩形をしており、上端部(一端部)が一本のクランク軸4aに嵌合され、固定手段11のキー11aにより固定されている。また、左クランク腕4cおよび右クランク腕4c’の下端部(他端部)には、クランクピン4fが嵌合され、クランクピン4fは左クランク腕4cおよび右クランク腕4c’によって両端支持されている(図3参照)。
なお、回動自在とするクランクピン4f、第1ピン4e、第2ピン4gには、ブッシュが装着されている。このブッシュはオイル含有のブッシュでもよいし、ボールブッシュ、その他のブッシュであって構わない。
<連結アーム>
連結アーム4dは、下端部が前記クランクピン4fに回動自在に支持されている。連結アーム4dの上端部は、第1ピン4eとブラケット5cを介して上下移動プレート5に連結されている。
連結アーム4dの形状は、クランク軸4aが180度まで回動した時、クランク軸4aとの干渉を回避するために側面視で略C字状をしている。
<左リンクおよび右リンク>
図6に示すように、左リンク4bおよび右リンク4b’は、左クランク腕4cおよび右クランク腕4c’の両側に配置され、それぞれクランク軸4aに挿通されている。また、左リンク4bおよび右リンク4b’の背面にはキー11bを介して、6本ずつのボルト7f、7f…(図1参照)によってホルダ7の下部に固定されている。
<クランクベース>
図3に示すように、クランクベース4h,4hは、基台1のベース1a上に2個、隣接してボルトによって固定されている。クランクベース4hの上面両側にはリブが突設され、それぞれに第2ピン4gが両端支持されている。また、第2ピン4gは前記左リンク4bおよび右リンク4b’の下端部に回動自在に挿通されている。結果として、2本の第2ピン4g,4gは、クランク装置4を支持し、また、2本の第2ピン4gは、上下移動プレート5とホルダ7とクランク装置4を傾動させる支点になって傾動する。
なお、クランクベース4h,4hは2個としたが、一体にしても構わない。
<傾動機構>
図4に示すように、傾動機構Fは、可動部全体を左側へ傾動する傾動の支点をクランク装置4の下方に設けている。この傾動の支点を、クランク装置4の下方を支持するクランクベース4hの第2ピン4gとしたことにより、アンビル3と、主ヘムパンチ5aおよび予備曲げパンチ5bとの離間、接近が容易にできる。
<傾動駆動機構>
図4に示すように、傾動駆動機構Gは、上下方向へ俯仰自在に支持された中空モータ8と、ナット8nと、スクリュー9等から構成されている。
<中空モータの構成>
図4に示すように、中空モータ8は、コラム1bの上部に配置されている。中空モータ8は、貫通孔8dを有する中空形状のモータであり、後部がサーボモータ8a、前部が減速装置8bの減速装置8b付サーボモータ8aである。減速装置8bの減速比は例えば、1/90が好適である。また、1/90に回転数が減速された出力部にはリング状のライナ8cが固定され、このライナ8cの中空部にはナット8nが挿通され、ナット8nのフランジ部がライナ8cの正面(端面)に固定されている。つまり、サーボモータ8aは、ロータの回転が減速機構(図示せず)により減速され、ライナ8cを介してナット8nを回転させる。
さらに、図2に示すように、コラム1bの上部の切り欠き状の開口部1cを塞ぐようにプレート2が設けられている。このプレート2の背面にはホルダ2c,2cが左右に、床面に平行に突設されて配置されている。図5に示すように、ホルダ2c,2cの先端部には、後記するサポート2dのピン部2eを挿着する孔2gが設けられている。
サポート2dは、図2に示すように、本体の外形が6角形のリング状を形成し、このリング状の外周の2箇所から対向してピン部2e,2eが突出して形成されている。
図5に示すように、サポート2dのピン部2e,2eは、前記ホルダ2c,2cの先端部に設けられた孔2gにブッシュ8fを介して装着される。
図4に示すように、中空モータ8は、サポート2dに固定され、サポート2dのピン部2e,2e(図5参照)を回動中心にして上下方向へ俯仰自在に支持されている。なお、ブッシュ8fはオイル含有のブッシュでもよいし、ボールブッシュであって構わない。
<ナットの構成>
ナット8nは、フランジ付形状をしており、ボールが循環するボールねじ用のナットである。中空モータ8の出力軸(出力部)にリング状のライナ8cを介し、ライナ8cの穴に挿通した状態でフランジ部が固定されている。したがって、中空モータ8の回転により、ナット8nが回転する。
<スクリューの構成>
図5に示すように、スクリュー9は、ここではボールねじであり、ナット8nに螺入されて中空モータ8の中空穴8dに挿通されている。スクリュー9の先端部は、ホルダ7に設けられた係合部7aのナックルジョイント7dの雌ねじ7eに螺入され、キー11cとナット8mによってゆるみ止めが施されて接続されている。また、中空モータ8の上下方向への俯仰の動作に伴い、ナックルジョイント13は回動自在になっており、上下移動プレート5を傾動するためにほぼ水平方向へ駆動する。
この結果、中空モータ8の回転により、ナット8nが回転するため、スクリュー9は回転せずにそのままの状態で、水平方向(図4では左右方向)へ進退自在に駆動する。これにより、例えば、図4において、直立状態の上下移動プレート5を左側へ、例えば4度傾ける場合は、ホルダ7を4度傾けることにより、同様に上下移動プレート5を4度傾けることができる。なお、スクリュー9はここではボールねじとするが、台形ねじや角ねじであっても構わない。
<上下移動プレートの構成>
図3に示すように、上下移動プレート5は、ヘミング加工装置10の正面上部に配置されている。上下移動プレート5は板状であり、逆さにした台形と類似した形状をしている。図4に示すように、上下移動プレート5の背面には主ヘムパンチ5aと予備曲げパンチ5bが上下位置で離間して設けられている。また、図示しないが、主ヘムパンチ5aと予備曲げパンチ5bが一体にして1本にしたヘムパンチとしてもよい。この一体形のヘムパンチでは、傾斜面を予備曲げパンチ5b、下部面を主ヘムパンチ5aとして使い分けることで1本にすることができるが、このようにしても構わない。
上下移動プレート5は、上下移動プレート5の下端部に第1ピン4eを保持したブラケット5cが固定されている。この第1ピン4eとクランクピン4fを支持した連結アーム4dが、左クランク腕4cおよび右クランク腕4c’の0〜180度の回動により、上下方向に移動しながら回動し、上下移動プレート5を上下方向へ移動させる。また、図5に示すように、上下移動プレート5の背面には、上下方向に2本の直動ガイド6が設けられている。また、直動ガイド6には直動ナット6aが摺動自在に嵌合されている。
<ホルダの構成>
図4に示すように、ホルダ7は、上下移動プレート5とコラム1bとの間に配置され、略板状を形成している。ホルダ7の正面の上端には、前記直動ナット6aが固定され、上下移動プレート5の背面に設けられた2本の直動ガイド6にそれぞれ嵌合されている。
したがって、直動ガイド6が設けられた上下移動プレート5と、ホルダ7に固定された直動ナット6aによってガイドされ、上下移動プレート5は上下方向へ移動自在になっている。また、図6に示すように、ホルダ7の下部には左リンク4b,右リンク4b’がキー11bを介してボルト7f,7f…によって固定されている。
<係合部の構成>
図3に示すように、係合部7aは、ホルダ7の上部の中央には通し穴7bが設けられ、前記したスクリュー9とナックルジョイント7dとが係合する係合部を言う。
ホルダ7の正面の、上部の中央に設けられた通し穴7b(図4参照)の両端には取付座が設けられ、ブロック7c,7cが固定されている(図5参照)。
図5に示すように、ナックルジョイント7dの両端は円柱状になっており、2個のブロック7c,7cにより回動自在に両端支持されている。ナックルジョイント7dの中央部は四角柱に形成され、一面から軸方向と直交する雌ねじ7eが設けられている。この雌ねじ7eにスクリュー9が螺入された後、回り止めをするキー11c(図5参照)が固定され、さらに、ナット8mが装着されてゆるみ止めが施されている。
ここで、本発明のヘミング加工装置10の動作について説明する。
図7の(a)は待機位置、(b)は第1工程、図8の(c)は第2工程、(d)は第3工程を、図9の(e)は第4工程、(f)は第5工程、図10の(g)は第6工程、(h)は第7工程を示す動作図である。また、図11の(a)は予備曲げパンチによる加工を示す拡大図、図11の(b)は主ヘムパンチによる加工を示す拡大図である。
この第1工程から第7工程は、説明の便宜上7分割したものであり、実際は滑らかな連続動作によって、ヘミング加工が行われる。
図7の(a)に示すように、この待機位置は段取り位置でもあり、この状態でワークWをアンビル3の上面にセットする。上下移動プレート5の背面に固定された主ヘムパンチ5aと予備曲げパンチ5bは、アンビル3の上方に位置している。上下移動プレート5は、小量の傾きが設けられ、アンビル3から離れた位置で待機している。この傾動角αとβは、例えば約86度と4度が好適である。
この待機位置は加工開始のスタート位置である。起動釦を押すと、動作が開始する。
第1工程は、図7の(b)に示すように、中空モータ8のロータが回転する。ロータの正転によりナット8n(図4参照)が正転し、ナット8nの正転によりスクリュー9が後退し、ホルダ7および上下移動プレート5を約4度(β)引き起して直立させ、アンビル3の上方の加工位置に予備曲げパンチ5bを移動(傾動)させる。
この時、上下移動プレート5を傾斜から直立の回動中心は第2ピン4gとなる。
なお、図7の(b)に示すように、上下移動プレート5が4度傾いた時のスクリュー9の傾斜角は、約0.3度であり、図示しても目視では分からない程度の傾きになる。
第2工程は、図8の(c)に示すように、クランク軸モータ18が正転し、クランク軸4aを回動させて左右のクランク腕4c,4c’を手前(図中の左側)に傾けることにより連結アーム4dを下降させ、上下移動プレート5を下降させて予備曲げパンチ5bによりヘム加工の予備曲げを行う。
図11(a)に示すように、予備曲げパンチ5bにより、45度に傾けたヘム加工をしている。
第3工程は、図8の(d)に示すように、中空モータ8のロータが逆転すると、ナット8nも逆転し、スクリュー9を前進させてホルダ7および上下移動プレート5を待機位置の傾動角(α,β)まで傾動し、アンビル3から予備曲げパンチ5bを離間させる。
この時、上下移動プレート5を離間させる傾斜の回動中心は第2ピン4gとなる。
第4工程は、図9の(e)に示すように、クランク軸モータ18がさらに正転し、クランク軸4aを回動させて左右のクランク腕4c,クランク4c’を手前へ傾けることにより連結アーム4dをさらに下降させ、上下移動プレート5を下降させて主ヘムパンチ5aと予備曲げパンチ5bの間にアンビル3を配置して干渉のない位置まで下降させる。
第5工程は、図9の(f)に示すように、中空モータ8のロータの正転によりナット8nを正転させ、スクリュー9を後退させて、ホルダ7および上下移動プレート5を直立させ、アンビル3の上部の加工位置に主曲げパンチ5aを移動させる。
第6工程は、図10の(g)に示すように、クランク軸モータ18がさらに正転し、クランク軸4aを回動させて左右のクランク腕4c,4c’を正面へ傾けることにより連結アーム4dをさらに下降させ、上下移動プレート5を下降させて主ヘムパンチ5aによるヘム加工を施す。
図11(b)に示すように、主曲げパンチ5aにより、ヘム加工しているのが判る。
第7工程は、図10の(h)に示すように、中空モータ8のロータ8bの逆転によりスクリュー9を前進させてアンビル3との干渉を避ける位置に傾動して離間した後、クランク軸モータ18が逆転して、一気に上下移動プレート5を上昇させ、待機位置に戻す。
このように、ヘミング加工装置10は、クランク装置4(図1参照)のクランク機構の上下移動機構Eによる上下移動プレート5の上下運動と、中空モータ8(図2参照)のナット8n(図4参照)の回転によるスクリュー9の前進・後退運動による傾動駆動機構により、ホルダ7を介して上下移動プレート5を傾動機構Fの第2ピン4gを支点にして傾動運動させ、この上下移動プレート5の上下運動と傾動運動とを交互に組み合わせることにより、アンビル3上面に載置したワークWを、上下移動プレート5に設けられた予備曲げパンチ5bと主ヘムパンチ5aとを干渉することなく上下方向へ移動し、前後方向へ傾動して、予備曲げ加工と主曲げ加工とのヘミング加工を行うことができる。
また、ヘミング加工の加工精度を高め、かつ、加工速度を上げて生産性を高めるとともに、構成部品を減らして信頼性を高め、しかも、静寂でフロアスペースが狭く、コンパクトで安価なヘミング加工装置を提供することができる。
さらに、副次的な効果として、従来は予備曲げパンチがフランジに対して斜めの47度方向から入っていたため、パネルコーナー部ではフランジ直角方向の予備曲げができなかったので、その対策として、ストレート部とは別にコーナー専用パンチを設けていたが、本願発明の「ヘミング加工装置」により、フランジに対して上部からパンチを入れることから、上から進入することでコーナー部をストレート部の延長として1つのパンチで曲げることができるため、コーナー専用パンチが廃止できる。
なお、本発明は、その技術思想の範囲内で種々の改造、変更が可能である。例えば、上下移動プレート5の傾動角βは4度とした。また、メンテナンスの際の傾動角βは、10度としているが、この傾斜角βは変更可能であり、MAX50度まで可能になっている。
斜め正面からの外観を示す斜視図である。 斜め背面からの外観を示す斜視図である。 正面図である。 図3に示すA−A線の断面図である。 図3に示すB−B線の断面図である。 図3に示すC−C線の断面図である。 (a)は第1工程、(b)は第2工程を示す動作図である。 (c)は第3工程、(d)は第4工程を示す動作図である。 (e)は第5工程、(f)は第6工程を示す動作図である。 (g)は第7工程、(h)は第8工程を示す動作図である。 (a)は予備曲げパンチによる加工の拡大図、(b)は主ヘムパンチによる加工の拡大図である。 従来のプレスタイプのヘミング加工装置の動作を示し、(a)は初動時、(b)は予備曲げパンチによる加工時、(c)は本曲げパンチによる加工時を示すそれぞれの側面図である。
符号の説明
1 基台
1a ベース
1b コラム
1c 開口部
1d アンビル据付台
2 プレート
2c ホルダ
2d サポート
2e ピン部
2g 孔
3 アンビル
4 クランク装置
4a クランク軸
4b 左リンク
4b’ 右リンク
4c 左クランク腕
4c’ 右クランク腕
4d 連結アーム
4e 第1ピン
4f クランクピン
4g 第2ピン
4h クランクベース
4m モータケース
5 上下移動プレート
5a 主ヘムパンチ
5b 予備曲げパンチ
5c ブラケット
6 直動ガイド
6a 直動ナット
7 ホルダ
7a 係合部
7b 通し穴
7c ブロック
7d ナックルジョイント
7e 雌ねじ
7f ボルト
8 中空モータ
8a サーボモータ
8b 減速装置
8c ライナ
8d 中空孔
8e 小孔
8f ブッシュ
8m ナット(ゆるみ防止用)
8n ナット(ボールねじ用)
9 スクリュー(ボールねじ)
10 ヘミング加工装置
11,11a,11b,11c 固定手段(キー)
12 連結手段(カップリング)
18 クランク軸モータ
18a サーボモータ
18b 減速装置
18c ライナ
α 傾動角(床面からの角度)
β 傾動角(垂線からの角度)

Claims (6)

  1. 基台(1)の上部に固設されたアンビル(3)と、前記アンビル(3)に載置されたワーク(W)にヘミング加工を施す主ヘムパンチ(5a)および予備曲げパンチ(5b)と、前記アンビル(3)に対向して設けられ、前記主ヘムパンチ(5a)および予備曲げパンチ(5b)が一体に、または、前記主ヘムパンチ(5a)および予備曲げパンチ(5b)が上下に離間して設けられた上下移動プレート(5)と、を有するヘミング加工装置(10)であって、
    前記上下移動プレート(5)をクランク装置(4)により上下方向へ移動させる上下移動機構(E)と、
    前記上下移動プレート(5)の下方に支点を設けて傾動自在に支持する傾動機構(F)と、
    前記上下移動プレート(5)を傾動させるための傾動駆動機構(G)と、
    を備えたことを特徴とするヘミング加工装置(10)。
  2. 前記上下移動機構(E)は、
    減速装置(18b)付サーボモータ(18a)のクランク軸モータ(18)と、
    前記クランク軸モータ(18)の出力軸に連結されたクランク軸(4a)と、
    一端部が前記クランク軸(4a)に固定された左クランク腕(4c)および右クランク腕(4c’)と、
    前記左クランク腕(4c)および前記右クランク腕(4c’)の他端部に嵌合され、両端支持されたクランクピン(4f)と、
    前記クランクピン(4f)に一端部が回動自在に支持され、他端部が上下移動プレート(5)に連結され、側面視で略C字形状の連結アーム(4d)と、
    を備えたクランク機構の前記クランク装置(4)により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘミング加工装置(10)。
  3. 前記傾動機構(F)は、
    前記クランク装置(4)の下方を支持するクランクベース(4h)に保持された第2ピン(4g)を傾動の支点にしたことを特徴とする請求項1に記載のヘミング加工装置(10)。
  4. 前記傾動駆動機構(G)は、
    前記基台(1)の上部に、水平置きにして上下方向へ俯仰自在に支持された中空モータ(8)と、
    前記中空モータ(8)によって回転されるナット(8n)と、
    前記ナット(8n)に螺入されて水平方向に進退することによって前記上下移動プレート(5)を傾動させるスクリュー(9)と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のヘミング加工装置(10)。
  5. 前記スクリュー(9)は、ナックルジョイント(7d)を介して略板状のホルダ(7)の上部に接続され、前記ホルダ(7)の下部は左リンク(4b)および右リンク(4b’)に固定されたことを特徴とする請求項1または請求項4に記載されたヘミング加工装置(10)。
  6. 前記上下移動プレート(5)は、前記基台(1)の正面側に設けられ、前記ホルダ(7)と前記上下移動プレート(5)との間には、前記上下移動プレート(5)の上下動をガイドする直動ガイド(6)および直動ナット(6a)が介在されていることを特徴とする請求項1または請求項5に記載されたヘミング加工装置(10)。
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