JP2010036191A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タンディッシュに収容される炭素濃度が0.10〜0.13%である溶鋼を、浸漬ノズルを介して、鋳型幅方向へ移動可能に配置される短辺銅板を有することにより鋳片幅を変更することが可能な連続鋳造鋳型へ供給して連続鋳造する際に、ΔT・Q2/d・(1−0.0001・B)≦320の関係を充足する条件で連続鋳造することで、短片のカブレ疵の発生を防止する。ただし、ΔTはタンディッシュ内での溶鋼過熱度(℃)であり、Bは浸漬ノズルから供給される溶鋼の吐出流に印加する磁場強度(G)であって、鋳型内の溶鋼厚み中央位置において前記吐出流にかかる磁場強度の最大値であり、Qは浸漬ノズルからの溶鋼の供給量(ton/min/本)であり、さらに、dは鋳型上端における浸漬ノズルの中心から短辺銅板表面までの最短距離(m)である。
【選択図】図1
Description
(1)式において、ΔTはタンディッシュ内での溶鋼過熱度(℃)であり、Bは浸漬ノズルから供給される溶鋼の吐出流に印加する磁場強度(G)であって、鋳型内の溶鋼厚み中央位置においてこの吐出流にかかる磁場強度の最大値であり、Qは浸漬ノズルからの溶鋼の供給量(ton/min/本)であり、さらに、dは連続鋳造鋳型の上端における浸漬ノズルの中心から短辺銅板表面までの最短距離(m)である。
また、本発明は、タンディッシュに収容される炭素濃度が0.10質量%以上0.13質量%以下である溶鋼を、2本の浸漬ノズルを介して、鋳型幅方向の中間位置に固定して配置される中仕切とこの鋳型幅方向へ移動可能に配置される短辺銅板とを有することにより鋳片幅を変更することが可能な連続鋳造鋳型へ供給して2条の鋳片を同時に連続鋳造する方法であって、連続鋳造鋳型の上端における、浸漬ノズルの中心からこのノズルが浸漬されている溶鋼プールを保持している中仕切の表面と短辺銅板の表面との間の中心までの距離を、この連続鋳造鋳型の上端における、中仕切の表面から短辺銅板の表面までの距離で除算することにより得られる偏心率が5%以上である際に、浸漬ノズルからの溶鋼の供給量が1.5(ton/min/本)以上とし、かつ、下記(2)式の関係を充足する条件で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
(2)式において、ΔTはタンディッシュ内での溶鋼過熱度(℃)であり、Bは浸漬ノズルから供給される溶鋼の吐出流に印加する磁場強度(G)であって、鋳型内の溶鋼厚み中央位置においてこの吐出流にかかる磁場強度の最大値であり、Qは浸漬ノズルからの溶鋼の供給量(ton/min/本)であり、さらに、dは連続鋳造鋳型の上端における浸漬ノズルの中心から中仕切表面まで、または短辺銅板表面までの最短距離(m)である。
例えば、これらの本発明に係る鋼の連続鋳造方法により、
(a)タンディッシュに収容される炭素濃度が0.10質量%以上0.13質量%以下である溶鋼を、浸漬ノズルを介して、鋳型幅方向へ移動可能に配置される短辺銅板を有することにより鋳片幅を変更することが可能な連続鋳造鋳型へ供給して連続鋳造している際に鋳片幅又は鋳造速度の変更を行う場合に、この変更に先立って、上記(1)式の関係が充足されるようにこの変更の後の新たな操業条件を決定し、決定した操業条件に基づいて鋳片幅又は鋳造速度を変更して連続鋳造を行うこと、または
(b)タンディッシュに収容される炭素濃度が0.10質量%以上0.13質量%以下である溶鋼を、2本の浸漬ノズルを介して、鋳型幅方向の中央に配置される中仕切と鋳型幅方向へ移動可能に配置される短辺銅板とを有することにより鋳片幅を変更することが可能な連続鋳造鋳型へ供給して2条の鋳片を同時に連続鋳造している際に鋳片幅又は鋳造速度の変更を行う場合に、この変更に先立って、連続鋳造鋳型の上端における、浸漬ノズルの中心からこのノズルが浸漬されている溶鋼プールを保持している中仕切の表面と短辺銅板の表面との間の中心までの距離を、連続鋳造鋳型の上端における中仕切の表面から短辺銅板の表面までの距離で除算することにより得られる偏心率が5%以上である際に、この浸漬ノズルからの溶鋼の供給量が1.5(ton/min/本)以上とし、かつ、上記(2)式の関係が充足されるようにこの変更の後の操業条件を決定し、決定した操業条件に基づいて鋳片幅又は鋳造速度を変更して連続鋳造を行うことが可能になる。
本発明者らは、実際に連続鋳造された鋳片の品質の評価や流動解析を行い、鋳型内の流動状況と短片のカブレ疵やブレークアウトにはよい相関があることを知った。さらに、浸漬ノズルからの吐出流が短辺に衝突する速度を簡易的に算出する指標により、鋳型内の流動状況に起因する鋳片品質の悪化を予見できることを知った。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
図1は、鋳型付近の各寸法等を示す説明図である。
(3)式において、sは浸漬ノズル3、4の内孔の断面積を示し、hは必要ヘッド高さを示す。連続鋳造では、タンディッシュの底部で流量調整を行っているため、hに関してはタンディッシュ内の溶鋼ヘッド高さでなく、この流量を得るための仮想的な必要ヘッド高さとなる。浸漬ノズル3、4の流動抵抗を無視しているが、スラブ鋳造における浸漬ノズル3、4は、マシンや鋳造条件が異なってもスライディングゲートにより流量制御を行い、浸漬ノズル3、4の内径に対して十分な開口面積を有する2孔ノズルにより連続鋳造の内部に溶鋼を供給しており、類似した状況といえるため、問題ない。
P∝h∝Q2 ・・・・・・・(4)
吐出流速は、浸漬ノズル3、4の中心から中仕切2または短辺銅板5、6までの距離をd(m)に逆比例して減衰する。したがって、短辺衝突速度を示す短辺衝突流速指標Niが(5)式のように求められる。
(5)式によれば、短辺銅板5、6または中仕切2における衝突速度は、吐出流量Qの2乗に比例し、短辺銅板5、6または中仕切2までの距離dに逆比例する。一見、鋳片幅が広い条件では短辺衝突流速指標Niが小さくなるように見えるが、同じ鋳造速度であるならば吐出量Qはストランドの幅wに比例して増加するので、実際には短辺銅板5、6または中仕切2に衝突する吐出流はストランドの幅に比例して増加することとなる。
流動解析の結果、0〜5000Gの磁場強度Bの範囲において線形的な短辺衝突速度の減衰が生じ、浸漬ノズル5、6から供給する吐出流に約3000G程度の磁場を印可すると、短辺衝突流速は約30%低下することが判明した。種々の条件で同様の解析を行った結果、この減衰状況は、吐出流のメインストリームが静磁場の中心をほぼ通るような条件であれば連続鋳造鋳型1の形状や静磁場を印可するコイル7の形状、さらには鋳造条件等には影響されずに同程度であることが判明した。
ここで、ΔTはタンディッシュ内での溶鋼過熱度(℃)であり、Bは浸漬ノズルから供給される溶鋼の吐出流に印加する磁場強度(G)であり、Qは浸漬ノズルからの溶鋼の供給量(ton/min/本)であり、さらに、dは連続鋳造鋳型の上端における浸漬ノズルの中心から短辺銅板までの最短距離(m)である。なお、Bは電磁ブレーキの実用範囲である5000Gを上限とする。
本発明の効果を確認するために連続鋳造試験を行った。この連続鋳造試験に用いた連続鋳造機の仕様を表1に示す。表1に示すように、この連続鋳造機は、鋳片厚さが250mmの7点曲げ、6点矯正の垂直曲げ型2ストランドスラブ連続鋳造機であり、垂直部長さは2.5mであって湾曲半径は9.4mであり、機長は32.7mである。連続鋳造鋳型の幅は最大2300mmであり、鋳片を2分割する中仕切としての中子を内部に配置することにより鋳片幅が500mmから1100mmのツインキャスティングを行うことができ、また中子を配置しないことによりシングルキャスティングを行うことも可能な、シングル、ツイン鋳造兼用機となっている。浸漬ノズルや電磁ブレーキの配置等の連続鋳造鋳型付近の各部の寸法は、図1に示す連続鋳造鋳型1と同様である。
明らかにカブレ疵は悪化するが、発明例2に示すように溶鋼過熱度ΔTが高い場合であっても短片までの距離の近い中仕切り側に電磁ブレーキを印可して短片カブレ指標Diを320以下とすることによってカブレ疵の発生を防止できる。
2 中仕切
3、4 浸漬ノズル
5、6 短辺銅板
7 電磁ブレーキ
7a〜7d 電磁コイル
Claims (2)
- タンディッシュに収容される炭素濃度が0.10〜0.13質量%である溶鋼を、浸漬ノズルを介して、鋳型幅方向へ移動可能に配置される短辺銅板を有することにより鋳片幅を変更することが可能な連続鋳造鋳型へ供給して連続鋳造する際に、
下記(1)式の関係を充足する条件で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
ΔT・Q2/d・(1−0.0001・B)≦320 ・・・・・・・(1)
(1)式において、ΔTは前記タンディッシュ内での溶鋼過熱度(℃)であり、Bは前記浸漬ノズルから供給される溶鋼の吐出流に印加する磁場強度(G)であって、鋳型内の溶鋼厚み中央位置において前記吐出流にかかる磁場強度の最大値であり、Qは前記浸漬ノズルからの溶鋼の供給量(ton/min/本)であり、さらに、dは前記連続鋳造鋳型の上端における浸漬ノズルの中心から短辺銅板表面までの最短距離(m)である。 - タンディッシュに収容される炭素濃度が0.10〜0.13質量%である溶鋼を、2本の浸漬ノズルを介して、鋳型幅方向の中間位置に固定して配置される中仕切と該鋳型幅方向へ移動可能に配置される短辺銅板とを有することにより鋳片幅を変更することが可能な連続鋳造鋳型へ供給して2条の鋳片を同時に連続鋳造する方法であって、
前記連続鋳造鋳型の上端における、前記浸漬ノズルの中心から該ノズルが浸漬されている溶鋼プールを保持している中仕切の表面と短辺銅板の表面との間の中心までの距離を、前記連続鋳造鋳型の上端における前記中仕切の表面から前記短辺銅板の表面までの距離で除算することにより得られる偏心率が5%以上である際に、
該浸漬ノズルからの溶鋼の供給量が1.5(ton/min/本)以上とし、かつ、
下記(1)式の関係を充足する条件で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
ΔT・Q2/d・(1−0.0001・B)≦320 ・・・・・・・(2)
(2)式において、ΔTは前記タンディッシュ内での溶鋼過熱度(℃)であり、Bは前記浸漬ノズルから供給される溶鋼の吐出流に印加する磁場強度(G)であって、鋳型内の溶鋼厚み中央位置において前記吐出流にかかる磁場強度の最大値であり、Qは前記浸漬ノズルからの溶鋼の供給量(ton/min/本)であり、さらに、dは前記連続鋳造鋳型の上端における浸漬ノズルの中心から中仕切表面まで、または短辺銅板表面までの最短距離(m)である。
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