JP2010035996A - 外科用覆布様シート - Google Patents

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Abstract

【課題】覆布上で仮置きしている手術器具を十分に捕捉させ、装置から外れた小型の手術器具を捕捉させること。
【解決手段】対象となる手術器具の多くが金属製であることから、手術部を開けた開窓部を設けた、一部又は全部に磁石機能を有する外科用覆布様シートを提供する。磁石の形状は磁石の上部からの形状として線状、曲線状、円状、角状、多角状の何れのものでも良く、磁石の配置は開窓部の周囲の一部、若しくは全部を囲むようにする。
【選択図】図4

Description

本発明は、医学、生物学等の分野における外科用覆布に関するものである。
外科用覆布は、手術時の清潔領域を形成するために患者と手術台を覆うシートで、主に手術野を無菌状態に保つためのものであり、滅菌処理したものが用いられる。同時に患者の保温、手術器具からの患者の保護等もその使用の目的とされている。そして、最近、各医療機関においては院内感染の防止や業務の合理化等を目的として、覆布を1回使用しただけで廃棄処分することが一般的となってきた。このような使い捨ての製品には、通常、生地コストが安価な不織布が用いられている。一方で、特願平9−35146号公報のように手術時に流出される血液や体液を吸収する機能を備えた覆布も開発され、覆布の高機能化も進んでいる。
ところで、医療技術は著しく進歩し、外科手術領域にもさまざまな工学技術が導入されてきた。それに伴い、使用する手術用器具も従来のような鉗子類、鑷子類、せん刃類、縫合針類から、例えばマイクロサージェリーに使用される小型の手術器具や縫合針へと急速に広がってきた。また、これらの器具を同時に使用する機会も増え、これらの器具を手術中に無菌状態の覆布上に仮置きせざるを得ない場合も多くなってきた。しかしながら、現行の覆布では、その仮置きされている手術器具は覆布上に単純に置かれているだけであり、すなわち不安定に置かれているだけであるため、以前より手術野から落下する問題が起きていた。このことは、例えば覆布の水平部が少ない体側面における手術の場合において顕著であった。
また、マイクロサージェリーに使用される小型の手術器具や縫合針は、手術中に装置から外れ覆布上に落下することが良くある。その際は、それらをそのまま覆布上に不安定な状態で置いたままで手術を行わざるを得ないことも少なくなかった。このようなとき、手術者は手術器具が落ちないように気を使わなくてはならず、場合によっては手術に集中できないこともあった。また、万が一その手術器具が手術野から床に落下した場合、医療安全上、その落下した器具を探し出すことが義務であり、例えば手術室の床を粘着ロール紙など使って探し出す作業も少なくなく、その意味からもこれらの問題を解決するような覆布が以前より強く求められていた。
従来より、金属粉、金属片が導入された覆布に関する技術は知られている。しかしながら、それらの技術の目的は、覆布に難燃性を付与させたり、電磁波をシールドするためのものであり、これらの技術では上記課題を何ら解決することはできなかった。
本発明は、上述したような手術時に起こる問題点を解決することを意図してなされたものである。すなわち、本発明は、従来技術と全く異なった発想からの新規な外科用覆布様シートを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の角度から検討を加えて研究開発を行ってきた。その結果、対象となる手術器具の多くが金属製であることから、覆布の一部、若しくは全部に磁石機能を有するものを利用すれば上述のような問題が解決されることが分かった。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明は、一部又は全部に磁石機能を有することを特徴とする外科用覆布様シートを提供する。
本発明に記載される外科用覆布様シートであれば、覆布上で仮置きしている手術器具を十分に捕捉させることができ、また例えば装置から外れた小型の手術器具も覆布上で捕捉できるようになる。
本発明は、一部又は全部に磁石機能を有する外科用覆布様シートを提供するものである。外科用覆布は、通常、手術部を開けた開窓部を設けた滅菌可能な布地であり、最近では、上述のように、不織布で作られたものもある。本発明においては、覆布の材質はいずれのものでも良く、その一部、若しくは全部に磁石が設けられたものである。覆布の一部に磁石機能を有するものについては、その磁石の形状は磁石の上部からの形状として線状、曲線状、円状、角状、多角状の何れのものでも良く特に限定されるものではない。また、覆布内における磁石の配置についても特に限定されるものではないが、例えば実施例3に示すように開窓部の周囲の一部、若しくは全部を囲むようにして配置されたもの、開窓部を中心に放射状に配置されたもの、一定間隔で整列配置されたもの、不規則に配置されたものを単独、若しくは2種以上を併用したもの等が挙げられる。覆布の面積に対する磁石部の占有面積の割合は特に限定されるものではなく、また、上述のように開窓部付近に局所的に磁石部が存在する場合もあり単純に数値で表すことはできないが、覆布に対し磁石部の面積は少なくとも10%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、もっとも好ましくは50%以上である。覆布に対し磁石部の面積10%よりも低く、かつ磁石部が開窓部付近に集中せず、覆布全体に分散された状態にあるときは本発明でいうところの覆布上で仮置きしている手術器具を十分に捕捉したり、装置から外れた小型の手術器具を捕捉することが困難となり好ましくない。また、覆布と磁石との固定方法も特に限定するものではなく、例えば接着剤を利用して化学的に固定させる方法、若しくは覆布にポケットを設けその中に磁石を入れるような物理的に固定させる方法のいずれか、若しくは併用しても良い。
本発明では、上述した一部に磁石機能を有する外科用覆布様シートを従来の覆布上に乗せて利用することでも良い。そのときの外科用覆布様シートの形状は特に限定されるものでなく、例えば開窓部周囲を囲むようなドーナッツ様の形状、或いは開窓部や手術装置付近に置けるような形状等が挙げられる。外科用覆布様シートの大きさについても特に限定されるものでなく、その下に位置する従来製品である覆布で覆っている部分に収まっていても、収まっていなくても特に限定されるものではない。外科用覆布様シートがその下に位置する従来の覆布で覆っている部分に収まっていれば、手術中に本発明である外科用覆布様シートを自由に取り外せ、再び覆布上に載せることができ好都合である。一方、外科用覆布様シートがその下に位置する従来の覆布で覆っている部分に収まっていない場合は、覆布以外の部分が覆布上の清潔野よりはみ出していることとなり、一度、覆布上に乗せたらそれを取り外すことはできない。一般に、本発明の外科用覆布様シートの大きさは、60cm×60cm角以内のものが良く、好ましくは40cm×40cm角以内のものが良く、さらに好ましくは30cm×30cm角以内のもの、もっとも好ましくは20cm×20cm角以内のものがよい。60cm×60cm角以上の外科用覆布様シートではそれを取り扱い難くなり、また手術器具の仮置き、装置から落ちた器具の捕捉の上からも好ましくない。さらに、外科用覆布様シートが下に位置する覆布の開窓部を取り囲むような形状のときその取り囲みむ領域も特に限定されるものではないが、本発明の目的が手術野における手術器具の仮置き、落下防止であることを考えるとなるべく下に位置する覆布の開窓部の近いところに本発明の外科用覆布様シートが置かれていたほうが好ましい。
本発明においては、全部に磁石機能を有する外科用覆布様シートも含める。その際、本発明の外科用覆布様シートを従来の覆布の代わりに用いても良いが、従来の覆布上に乗せて利用する方が取り扱いやすく好都合である。そのときの外科用覆布様シートの形状は特に限定されるものでなく、例えば開窓部周囲を囲むようなドーナッツ様の形状、或いは開窓部や手術装置付近に置けるような形状等が挙げられる。外科用覆布様シートの大きさについても特に限定されるものでなく、その下に位置する従来製品である覆布で覆っている部分に収まっていても、収まっていなくても特に限定されるものではない。外科用覆布様シートがその下に位置する従来の覆布で覆っている部分に収まっていれば、手術中に本発明である外科用覆布様シートを自由に取り外せ、再び覆布上に載せることができ好都合である。一方、外科用覆布様シートがその下に位置する従来の覆布で覆っている部分に収まっていない場合は、覆布以外の部分が覆布上の清潔野よりはみ出していることなり、一度、覆布上に乗せたらそれを取り外すことはできない。一般に、本発明の外科用覆布様シートの大きさは、60cm×60cm角以内のものが良く、好ましくは40cm×40cm角以内のものが良く、さらに好ましくは30cm×30cm角以内のもの、もっとも好ましくは20cm×20cm角以内のものがよい。60cm×60cm角以上の外科用覆布様シートではそれを取り扱い難くなり、また手術器具の仮置き、装置から落ちた器具の捕捉の上からも好ましくない。さらに、外科用覆布様シートが下に位置する覆布の開窓部を取り囲むような形状のときその取り囲む領域も特に限定されるものではないが、本発明の目的が手術野における手術器具の仮置き、落下防止であることを考えるとなるべく下に位置する覆布の開窓部の近いところに本発明の外科用覆布様シートが置かれていたほうが好ましい。
本発明で用いられる磁石部の磁力は、少なくとも手術の際に使用される金属性手術器具が吸着されれば何ら限定されるものではないが、その強さは1500ガウス以下が良く、好ましくは1000ガウス以下、さらに好ましくは900ガウス以下が良い。磁力が1500ガウスを越えると覆布に吸着した手術器具を取り上げ難くなり好ましくない。ここで示すガウスとは、一般的に定義される磁束密度を指し、単位面積当たりの磁束量、或いは磁力線の数をCGS単位で表示されたものを意味する。
本発明で使用される磁石の材質は特に問われるものではない。しかしながら、本発明での磁力とは手術時に使用する手術器具を軽く捕捉する程度のもので良いこと、また、自重の重たい磁石では患者への負担も大きくなることから、磁力の弱いタイプの磁石で良い。このようなものとしては、例えば、ゴムと磁石粉を混合したようなラバーマグネット、繊繊維中に磁石粉を混合したような繊維状マグネットを織ったもの、若しくはそれを原料にして作られた不織布、或いは磁性分子を化学的に結合させた繊維状マグネットを織ったもの、若しくはそれを原料にして作られた不織布のいずれか1種、若しくは2種以上を併用したもの等が挙げられるが特に限定されるものではない。
本発明の外科用覆布様シートの色彩については、種類、程度は特に限定されるものではないが、本発明の目的が無影燈下での手術野における手術器具の仮置き、落下防止であることを考えると、照明下でも器具が見えるような有色のもの、及び/又は光沢のないものが好ましい。
本発明に示される外科用覆布様シートとは、一部又は全部に磁石機能を有するものであれば特に限定されるものでなく、例えば、患者の保温機能を高めたり、手術器具からの保護機能を高めたり、さらには手術中に発生した体液や血液、或いは薬液を吸収させるために吸液機能を高めたり、或いはそれとは逆に撥水機能を高めたりしても良い。
本発明に示される外科用覆布様シートは手術中に使用されるものであるため、滅菌された状態のものであることが好ましい。その際、滅菌の方法は特に限定されるものではなく、常法であるエチレンオキサイド(EO)ガス滅菌、ガンマ線滅菌、UV滅菌、電子線滅菌、熱滅菌、アルコール滅菌のいずれか、若しくは2種以上の併用して滅菌しても良い。
上述の通り、今日、手術中に患者の体液や血液が付着した覆布は1回だけ使用して廃棄処分することが一般的となってきた。従って、本発明の外科用覆布様シートもディスポーザブルタイプのものの方が好ましく、その際、一部、若しくは全部の磁石を取り外した状態で廃棄する方法でも良く、特に限定されるものではない。
本発明で得られる外科用覆布様シートであれば、覆布上で仮置きしている手術器具を十分に捕捉させることができ、また装置から外れた小型手術器具や超小型手術器具も覆布上に捕捉できるようになり、手術者に有用である。
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
市販のゴム状のマグネットであるラバーマグネット(磁束密度430ガウス、厚さ0.8mm)を購入し、50cm×50cmの大きさに切断し、中央部に10cmφの開窓部を設けた。その後、常法に従ってEOガス滅菌を行った。滅菌後のものを上部方向、横方向から見た写真をそれぞれ図1、図2に示す。このものへ手術器具を仮置きし(図3)、それをシートごと斜めにすることで仮置きした器具が落下しないかどうかを確認した(図4)。その結果、磁束密度430ガウスのラバーマグネットであれば、滅菌でき、本発明の目的である手術器具の捕捉も達成できることが分かった。
市販のゴム状のマグネットであるラバーマグネット(磁束密度370ガウス、厚さ0.8mm)を購入し、25cm×25cmの大きさに切断し、中央部に8cmφの開窓部を設けた。その後、常法に従ってEOガス滅菌を行った。このものを別の目的で開胸されたウサギの上に置き、実際に手術器具がどの程度に捕捉されるかを確認した。その結果、磁束密度370ガウスのラバーマグネットにおいても、滅菌でき、本発明の目的である手術器具の捕捉も達成できることが分かった。
従来の覆布に対し市販のラバーマグネットの配置を検討した。検討した結果を図5、図6、図7に示す。
本発明に記載される外科用覆布様シートであれば、覆布上で仮置きしている手術器具を十分に捕捉させることができ、また装置から外れた小型手術器具や超小型手術器具も覆布上に捕捉できるようになる。
実施例1の滅菌済みの外科用覆布様シートを上部から示す図である。 実施例1の滅菌済みの外科用覆布様シートを横から示す図である。 実施例1の外科用覆布様シート上に手術器具を仮置きしたところを示す図である。 実施例1の手術器具を仮置きした外科用覆布様シート斜めにしたところを示す図である。 実施例3のラバーマグネットの配置を検討した結果を示す図である。 実施例3のラバーマグネットの配置を検討した結果を示す図である。 実施例3のラバーマグネットの配置を検討した結果を示す図である。

Claims (4)

  1. 一部又は全部に磁石機能を有する外科用覆布様シート。
  2. 磁石部の磁力が1500ガウス以下である、請求項1記載の外科用覆布様シート。
  3. 外科用覆布に磁石が組み込まれたものである、請求項1、2いずれか1項記載の外科用覆布様シート。
  4. 使い捨て可能なものである、請求項1〜3いずれか1項記載の外科用覆布様シート。
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