JP2009254752A - 生体組織支持具 - Google Patents

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洋 岡部
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Abstract

【課題】X線透視下における外科手術においても、視野を妨げることなく、術創を広げた状態に維持する。
【解決手段】生体組織に密着させられてこれを押さえる支持部2と、該支持部2の一端に接続された把持部3とを備え、少なくとも支持部2が、X線を透過可能な材質により構成されている生体組織支持具1を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、外科手術の際に、切開部等の近傍の生体組織を引っかけて押さえ、術創を広げた状態に維持するための生体組織支持具に関するものである。
従来、外科手術に使用される生体組織支持具としては、ホーマン鈎のような金鈎が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
この金鈎は、ヘラ状の支持部とこれを取り扱うために術者が把持する把持部とを備え、ステンレス等の金属によって一体的に形成されている。
寺山和雄、「Charnley人工股関節のコツ」、[online]、2003年5月10日、宮城股関節研究会、[平成19年11月9日検索]、インターネット<URL:http://www2.ocn.ne.jp/~orthopub/gelenk/sp04kotsulfa.pdf>
しかしながら、金鈎は、切開部の近傍に放射状に多数配置されることにより、術創を広げた状態に維持するものであるため、X線透視下において外科手術を行う場合には、視野の妨げとなるという不都合がある。このため、術者は、把持部を把持して金鈎の位置を移動させることにより視野を確保しながら外科手術を行う必要があり、手間がかかるという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、X線透視下における外科手術においても、視野を妨げることなく、術創を広げた状態に維持することができる生体組織支持具を提供すること目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、生体組織に密着させられてこれを押さえる支持部と、該支持部の一端に接続された把持部とを備え、少なくとも前記支持部が、X線を透過可能な材質により構成されている生体組織支持具を提供する。
本発明によれば、生体組織に形成された切開部に支持部を密着させて引っかけることにより、術創が押し広げられた状態に維持されるので、切開部を介して体内へのアクセスを容易にすることができる。切開部を押し広げた状態に維持するためには、切開部の周囲に放射状に複数の生体組織支持具を配置する。本発明によれば、少なくとも支持部がX線を透過可能な材質により構成されているので、X線透視下において外科手術を行う場合に、切開部の周囲に配置される支持部によって視界が遮られることが防止され、体内の透視観察を行いながら手術を行うことができる。
上記発明においては、前記支持部が、X線を透過可能な樹脂または金属により構成されていてもよい。
この場合に、前記支持部が、4フッ化エチレン樹脂、ナイロン樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PE(ポリエチレン)、PU(ポリウレタン)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PSF(ポリサルフォン)、PPS(ポリフェニルサルフォン)、PES(ポリエーテルサルフォン)、POM(ポリペンコアセタール)、またはチタン(α−Tiまたはβ−Ti)により構成されていてもよい。
これらの材質は生体適合性を有し、生体組織に悪影響を及ぼすことなくこれを押さえることができる。また、チタンについては、厚さ1mm程度であれば、X線を透過するので、同様に視界を遮ることなく生体組織を押さえることができる。
また、上記発明においては、前記支持部の外縁に、支持部を構成する材質よりもX線を透過し難い材質からなる輪郭部を備えていることが好ましい。
このようにすることで、X線透視下で外科手術を行う際に、支持部がX線を透過することによって、視界を遮ることなく体内の透視観察を可能にする一方、支持部の外縁に設けられた輪郭部が支持部の輪郭形状を視認させるように機能する。その結果、X線画像を観察しながら外科手術を行う際に、誤って支持部に触れてずらしてしまったり、支持部の上から生体組織を切断してしまったりする不都合の発生を防止することができる。
また、上記発明においては、前記輪郭部が、金属または造影剤を含む塗料からなることとしてもよい。このようにすることで、X線透視下においても簡易に支持部の輪郭を表示することができる。また、輪郭部を金属によって構成することにより、支持部を補強することができる。
本発明によれば、X線透視下における外科手術においても、視野を妨げることなく、術創を広げた状態に維持することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る生体組織支持具1について、図1〜図5を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る生体組織支持具1は、図1〜図3に示されるように、例えば、ホーマン鈎であって、へら状の支持部2とその一端に接続する把持部3とから一体的に構成されている。また、支持部2の外縁には、該支持部2の輪郭を縁取るように、金属(例えば、ステンレス)製のワイヤ(輪郭部)4が配置されている。図2は、本実施形態に係る生体組織支持具1の正面図、図3は、支持部2の横断面図である。
支持部2は、密着させられる生体組織を押さえ易いように湾曲している。
把持部3は、術者により把持されて操作される部分であり、持ちやすい太さに形成されている。把持部3の支持部2とは反対側の端部には、生体組織支持具1を固定するのに使用する固定穴5が設けられている。
本実施形態に係る生体組織支持具1は、支持部2および把持部3が、合成樹脂(例えば、4フッ化エチレン樹脂またはナイロン樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PE(ポリエチレン)、PU(ポリウレタン)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PSF(ポリサルフォン)、PPS(ポリフェニルサルフォン)、PES(ポリエーテルサルフォン)、POM(ポリペンコアセタール))により構成されている。
このように構成された本実施形態に係る生体組織支持具1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る生体組織支持具1を用いて外科手術を行うには、切開部の周囲の生体組織に支持部2を密着させて引っかけ、術創を押し広げるように引っ張って固定する。これにより、切開部を介して、術者が体内へアクセスすることを容易にすることができる。
切開部を押し広げた状態に維持するためには、切開部の周囲に放射状に複数の生体組織支持具1を配置する。
この場合に、少なくとも支持部2が合成樹脂により構成されているので、X線透視下において外科手術が行われると、X線は支持部2を透過する。すなわち、切開部の周囲に放射状に配置される支持部2がX線を透過可能な合成樹脂により構成されているので、支持部2によって視野が遮られることが防止され、体内の透視観察を行いながら手術を行うことができるという利点がある。
また、本実施形態に係る生体組織支持具1によれば、図4に示されるように、切開部の周囲に多数配置して、術創を広げた状態に維持しても、図5に示されるように、支持部2および把持部3の大部分においてX線を透過するので、X線透視下において十分に広い視野を得ることができる。その上、支持具2の外縁に配置された金属製のワイヤ4がX線透視下においてX線を遮って、図5に示されるように、その影をX線透視画像中に残すことができる。すなわち、支持部2の外縁を縁取るように設けられたワイヤ4によって、X線透視画像中に、支持部2の輪郭形状を示すことができる。
その結果、実際には存在する生体組織支持具1が、X線透視下における視野を拡大するために見えなくなってしまう不都合、例えば、生体組織支持具1の装着部位に対する切開等の操作が誤って行われてしまうこと等を防止することができる。
また、本実施形態に係る生体組織支持具1によれば、合成樹脂により構成することで、その重量を従来のステンレス製の生体組織支持具と比較して軽量化することができる。さらに、合成樹脂製の支持部2の外縁を縁取るように金属製のワイヤ4を配置しているので、ワイヤ4によって支持部2の強度を補強することができるという利点もある。
なお、本実施形態においては、支持部2および把持部3の全体を合成樹脂により構成したが、これに代えて、術創の近傍に配置されることとなる支持部2のみを合成樹脂により構成してもよい。
また、合成樹脂に代えて、他の任意のX線を透過可能な材質、例えば、厚さ1mm以下のチタン(α−Tiまたはβ−Ti)により構成してもよい。
また、輪郭部4として、支持部2の輪郭全体を表示するように、支持部2の外縁に全周にわたって配置したステンレス製のワイヤ4を採用したが、これに代えて、支持部2の輪郭の一部を表示するように支持部2の一部に、X線不透過性の材質からなる部材を配置することにしてもよい。また、造影剤入りの塗料を支持部2の外縁に沿って塗布することにしてもよい。
また、生体組織支持具1としてホーマン鈎を例示したが、これに代えて、他の任意の形状の鈎、例えば、L字状の鈎に適用してもよい。
本発明の一実施形態に係る生体組織支持具を示す斜視図である。 図1の生体組織支持具の正面図である。 図1の生体組織支持具の支持部の横断面図である。 図1の生体組織支持具の明視野像を示す画像例である。 図1の生体組織支持具のX線透視像を示す画像例である。
符号の説明
1 生体組織支持具
2 支持部
3 把持部
4 ワイヤ(輪郭部)

Claims (5)

  1. 生体組織に密着させられてこれを押さえる支持部と、該支持部の一端に接続された把持部とを備え、
    少なくとも前記支持部が、X線を透過可能な材質により構成されている生体組織支持具。
  2. 前記支持部が、X線を透過可能な樹脂または金属により構成されている請求項1に記載の生体組織支持具。
  3. 前記支持部が、4フッ化エチレン樹脂、ナイロン樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PE(ポリエチレン)、PU(ポリウレタン)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PSF(ポリサルフォン)、PPS(ポリフェニルサルフォン)、PES(ポリエーテルサルフォン)、POM(ポリペンコアセタール)、またはチタン(α−Tiまたはβ−Ti)により構成されている請求項2に記載の生体組織支持具。
  4. 前記支持部の外縁に、支持部を構成する材質よりもX線を透過し難い材質からなる輪郭部を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の生体組織支持具。
  5. 前記輪郭部が、金属または造影剤を含む塗料からなる請求項4に記載の生体組織支持具。
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