JP2010035557A - 養鶏場における鶏糞処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、排泄される鶏糞を敷き料によって受け止め、水分調整を行いながら醗酵を促進させることにより臭気の発生を大幅に抑制し醗酵分解することができる養鶏場における鶏糞処理方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、少なくとも消臭機能を有する微生物と堆肥化促進機能を有する微生物が接種された敷き料11をケージ2の下側に設けて、鶏から排泄された鶏糞を敷き料11によって受け止める工程と、敷き料11に受け止められた鶏糞を混合攪拌する工程を備えることにより鶏糞の醗酵・分解を行う構成とするものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、少なくとも消臭機能を有する微生物と堆肥化促進機能を有する微生物が接種された敷き料11をケージ2の下側に設けて、鶏から排泄された鶏糞を敷き料11によって受け止める工程と、敷き料11に受け止められた鶏糞を混合攪拌する工程を備えることにより鶏糞の醗酵・分解を行う構成とするものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、養鶏場における鶏糞処理方法に関する。詳しくは養鶏場において排泄される鶏糞を堆肥化する養鶏場における鶏糞処理方法に係るものである。
一般に、大量飼育の養鶏場における養鶏システムでは、例えば図4に示すように、地表より1m以上の空間に金網のゲージ101を設置するための支柱102が一定間隔ごとに立設され、これらの支柱102間に渡設される受パイプ103上にケージ101が横列されている。そして、ケージ101内にて飼育される鶏(図示せず。)から排泄された糞は、ケージ101より落下してケージ101下の地表上に堆積させ、400日〜700日前後で卵を産まなくなった鶏の入れ替え時に堆積した鶏糞を回収し、堆肥化処理を行っている。
ここで、通常の配合飼料によって飼育された鶏の糞は水分が多く、粘液性を有しているため、堆積した鶏糞は通気性の無い糞塊となってしまい、非常に強い悪臭を発生するとともに蛆が湧くことによる大量のハエの発生により作業環境の悪化と近辺の生活環境に悪影響を及ぼしている。
そこで、鶏舎内で鶏糞の醗酵処理を行うことを目的とする鶏糞処理方法が提案されており、例えば特許文献1に記載されている。具体的には図5に示すように、一般の飼料に好気性土壌菌で醗酵処理された酵素入り飼料で飼育された鶏から排泄された鶏糞を、ケージ101の下側に設けた通気性を有する鶏糞受け104で受止め、所定期間1次醗酵させた後、この鶏糞を下方の搬送ベルト105に落下させて2次醗酵させた後に回収するようにするものが提案されている。
ここで、特許文献1には、特殊醗酵飼料を一般の鶏用飼料に20%程度混入させた飼料を用いて飼育することによって排泄される糞は悪臭が無く、一般の飼料配合では70.9%の水分比率が42.8%の水分比率となることが記載されている。
しかしながら養鶏場における鶏は狭いケージ内で飼育され、ケージ内で飼料や水を補給しながら尿が混ざった糞を絶えずゲージから排泄するものである。したがって、堆積された鶏糞は醗酵前、醗酵中、あるいは醗酵後の鶏糞が混ざった状態となり均一な発酵が行えない。
また、一次醗酵が終了していない状態で2次醗酵が開始されることにより醗酵の際に強い臭気が発生して鶏の飼育に悪影響を及ぼす恐れがあり、更に醗酵にバラツキが生じることで不完全な肥料として回収される恐れがある。
また、養鶏は400日前後ケージ内で飼育された後に、鶏舎内でブロックごとに配置されたケージにより飼育される鶏の入れ替えが行われる。この入れ替え時には鶏インフルエンザなどの病原菌の感染を防ぐためにゲージやゲージ下の地表面の洗浄や消毒が行われるが、特許文献1に記載された発明のように、鶏糞受けや搬送ベルトの洗浄や消毒作業を行う場合には非常な手間がかかってしまう。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、排泄される鶏糞を敷き料によって受け止め、水分調整を行いながら醗酵を促進させることにより臭気の発生を大幅に抑制し醗酵分解することができる養鶏場における鶏糞処理方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る養鶏場における鶏糞処理方法は、少なくとも消臭機能を有する微生物と堆肥化促進機能を有する微生物が接種された敷き料をケージの下側に設けて、鶏から排泄された鶏糞を該敷き料によって受け止める工程と、前記敷き料に受け止められた鶏糞を混合攪拌する工程を備える。
ここで、尿の混ざった鶏糞は敷き料によって受け止められて混合されることで、適度な水分調整が行われた後に、30〜60℃の中温度域内にて消臭機能を有する微生物によりアンモニア臭気が分解されることによって、臭気の発生を抑えながら好気的な一次醗酵を継続することができる。
更に、一次醗酵において臭気成分が分解された鶏糞を70〜85℃の高温度域内にて堆肥化促進機能を有する微生物により好気的な二次醗酵を行うことによって、短期間での醗酵、分解を行うことが可能となる。
また、消臭機能を有する微生物としては枯草菌が特に好ましく、堆肥化促進機能を有する微生物としては放線菌が特に好ましい。更に、一次醗酵において枯草菌と放線菌とを共存させ、一次醗酵を30〜60℃の中温度域内、二次醗酵を70〜85℃の高温度域内にて行うことにより、一次醗酵においては枯草菌の機能を発揮させ、二次醗酵においては放線菌の機能を発揮させることが可能となる。
また、枯草菌が、バチルスサブチリス(Bacillus subtilis)に属する微生物である場合には、アンモニア臭分解能力が非常に高く発酵の際の悪臭を抑えることが可能となる。
また、放線菌が、ストレプトマイセスサッカリ(Streptomyces sacchri)に属する微生物の場合には、有機物分解速度が非常に高くアンモニア臭低減にも効果があることが確認されており、そのため、早い速度で発酵が促進されるとともに発酵の際の悪臭を抑えることが可能となる。
また、敷き料が、ケージの下側に沿って設けられた鶏糞醗酵槽内に敷設されることにより、鶏糞醗酵槽内での攪拌、混合および散水による水分調整の自動化が可能となる。
また、敷き料が、おが屑、ワラ、木チップ、バカス、あるいはバークのいずれか、またはこれらの混合による通気性改良材により形成されることによって、適度な水分調整を容易に行うことができ、かつ微生物を死滅させることなく増殖させることが可能となる。
また、パーライト、バーミキュライト、あるいはゼオライトのいずれか、またはこれらの混合により通気性改良材が形成されることによって、適度な水分調整を容易に行うことができ、かつ微生物を死滅させることなく増殖させせることが可能となる。
本発明の養鶏場における鶏糞処理方法によれば、養鶏場におけるケージ下の床面に沿って微生物を接種した敷き料を敷くことにより、敷き料上に排泄される鶏糞は臭気の発生を抑えながら醗酵、分解を促進させることで臭気による鶏舎外の環境保全を可能とする。
また、鶏糞は醗酵、分解されることにより鶏の入れ替え時まで(約400日〜700日間)鶏糞を回収することなく醗酵、分解を継続させることが可能となり、従来のように鶏糞の回収および回収後の醗酵処理という作業を省くことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明を適用した養鶏場における鶏糞処理方法の一例を示す説明図、図2は本発明を適用した養鶏場におけるケージの一例を示す説明図である。
図1は本発明を適用した養鶏場における鶏糞処理方法の一例を示す説明図、図2は本発明を適用した養鶏場におけるケージの一例を示す説明図である。
ここで示す養鶏場1は、地表より1m以上の空間に金網のケージ2を設置するための支柱3が一定間隔ごとに立設されている。これらの支柱3の上端には左右側にケージ2が設置されるようにT字状の受けアーム4が設けられ、この受けアーム4同士の間にケージ受け支持パイプ5が渡設されている。
ここで、ケージ受け支持パイプ5上にケージ2が配置されており、このケージ2は、その周囲が格子で覆われた箱体からなり、1ないし2羽の鶏を収容できるように構成されている。
また、ケージ2は、外側を給餌側とし直線状に配列することにより、大量の鶏を飼育できるように構成されている。更に、ケージ2の給餌側側面には首を出すための開口(図示せず)を備えるともに、その底面は鶏卵や鶏糞を通過するに足りる間隔の格子によって形成されている。
また、給餌側側面の開口の下側には給餌樋6が配置され、ケージ2内の鶏に飼料を供給できるように構成されている。更に、給餌樋6の上方の給餌側側面には給水樋7が配置されている。この給水樋7は、ケージの並び方向に対して若干傾斜して設けられており、一方の端部から注水した水を水流によって各ケージに共通給水できるように構成されている。
更に、ケージ2の下端には、ケージ2の前面に向けて下向きに傾斜した鶏卵受8が延設されている。この鶏卵受8の前縁部9は樋状に折り曲げられ、ケージ2の底面を通過した鶏卵を傾斜に沿って鶏卵受8に転落させた後に前縁部9により停止、貯留できる構成とされている。
次に、ケージ2の下方の地表上には、ケージの並び方向に沿って鶏糞醗酵槽10が載置されている。この鶏糞醗酵槽10は、幅50〜70cm、深さ20〜30cmほどのポリエステル、木製、あるいは金属製により形成されている。
ここで、鶏糞醗酵槽10内に予め枯草菌および放線菌を含んだ微生物を接種した敷き料11を投入し、この敷き料11上にケージ2内より排泄された鶏糞が落下することとなる。なお、敷き料11としては、おが屑、ワラ、木チップ、バカス、あるいはバークのいずれか、またはこれらの混合が用いられる。
上記の様に構成することによって、敷き料11上に堆積される鶏糞と敷き料11とを攪拌混合して含水率45%〜70%の範囲内で水分調整を行い醗酵、分解処理を行うことができる。
なお、鶏糞醗酵槽10内に投入される敷き料11は鶏の入れ替えが行われるまでの期間(400日前後)中は入れ替えを行わず、数日ごとに鶏糞と敷き料11とを攪拌するとともに水散布で水分調整をしながら醗酵することによって鶏糞が醗酵分解されることとなる。
<実施例1>
養鶏場において鶏1羽の一日の排泄量が約120gであり、この排泄量に対して敷き料11として20〜25リットルのおが屑を用意し、接種菌体として商品名ビオグリーン特を使用しての醗酵処理と、従来例として地表上に鶏糞を堆積させる方法とのアンモニア濃度の比較測定結果を下記表1に示す。なお、測定単位はppmとする。
養鶏場において鶏1羽の一日の排泄量が約120gであり、この排泄量に対して敷き料11として20〜25リットルのおが屑を用意し、接種菌体として商品名ビオグリーン特を使用しての醗酵処理と、従来例として地表上に鶏糞を堆積させる方法とのアンモニア濃度の比較測定結果を下記表1に示す。なお、測定単位はppmとする。
以上の結果から、導入日から17日後のおが屑表面でのアンモニア濃度が5.5ppmに対して、従来のように単に鶏糞を堆積させる場合では110ppmであることが分かる。
また、攪拌、水散布を行い導入より38日後のおが屑表面でのアンモニア濃度が10ppmに対して、従来のように単に鶏糞を堆積させる場合では200ppmであり、従来法に比べアンモニア濃度が著しく減少したことが分かる。なお、10ppm程度のアンモニア濃度は、殆んどの人が臭気を感じない値である。
また、枯草菌および放線菌を含んだ微生物を接種した敷き料による一次処理で特に30〜60℃の中温度域内にて醗酵を行うことによって、中温度域内での好気的条件下における枯草菌の増殖により臭気、例えばアンモニアを分解することができ、臭気の発生を抑えながら好気的醗酵を継続することが可能となる。
更に、一次処理で臭気成分の発生が抑えられた中間処理物に対して、一次処理より高温度、特に70〜85℃の高温域内での好気的条件下における二次処理によって、特に放線菌の働きにより醗酵を促進させて短期間での醗酵、分解が可能となる。
これら枯草菌および放線菌としては、バチルスサブチリス TB5株、ストレプトマイセスサッカリ MA6株を挙げることができる。これらの菌株はそれぞれ2009年7月7日に、茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、受領番号FERM AP−21827およびAP−21828として受領されている。
<実施例2>
実施例1における飼育条件下での敷き料から堆肥サンプルを採取し、初期pHを7.3に調整したTS寒天培地を用いて希釈平板法を適用し、30℃および60℃で培養してコロニー形成速度の速いものを有機物分解能の高い微生物としてMA6株を単離した。その後、図4に示すように、MA6株を含めてプレート上にコロニーを形成する微生物のうち、数的に優勢なものを単離し、純粋培養を確立した。更に、純粋培養したMA6株を含む8株を初期pH7.3に調整したTS液体培地を用いて培養しpHの経時変化を測定しながら、通常の微生物では培地中の蛋白質の分解に伴って悪臭であるアンモニアを発生しpHが8.5付近まで上昇するところ、pHが7付近にまでしか上昇しない微生物を、悪臭低減に効果のある微生物としてスクリーニングしTB5株を得た。
実施例1における飼育条件下での敷き料から堆肥サンプルを採取し、初期pHを7.3に調整したTS寒天培地を用いて希釈平板法を適用し、30℃および60℃で培養してコロニー形成速度の速いものを有機物分解能の高い微生物としてMA6株を単離した。その後、図4に示すように、MA6株を含めてプレート上にコロニーを形成する微生物のうち、数的に優勢なものを単離し、純粋培養を確立した。更に、純粋培養したMA6株を含む8株を初期pH7.3に調整したTS液体培地を用いて培養しpHの経時変化を測定しながら、通常の微生物では培地中の蛋白質の分解に伴って悪臭であるアンモニアを発生しpHが8.5付近まで上昇するところ、pHが7付近にまでしか上昇しない微生物を、悪臭低減に効果のある微生物としてスクリーニングしTB5株を得た。
その結果、有機物分離速度の速いMA6株はアンモニア臭低減にも効果があることを確かめるとともに、アンモニア臭低減にも効果がある他の微生物としてTB5株を得た。
MA6株は、ISP No.4培地を用いて30℃の条件で3日間培養することにより、2〜3mm直径の白色コロニーを形成する。MA6株のグラム染色性は陽性で運動性のある偏性好気性芽胞形成桿菌であり、グリセロール、D-グルコース、N-アセチルグルコサミン、エスクリンの分解は陽性である。分枝した基生菌糸より、比較的長い波状の気菌糸を伸長し、稀にかぎ状あるいはループ状を呈する。成熟した胞子鎖は10〜50個の卵円形の胞子を連鎖し、胞子の大きさは約0.6〜0.7×0.8〜1.0μmである。
TB5株は、TS寒天培地を用いて50℃の条件で3日間培養することにより、3〜5mm直径のクリーム色で不規則状、隆起状態は半レンズ状、周縁は波状のコロニーを形成する。TB5株のグラム染色性は陽性で運動性のある偏性好気性芽胞形成桿菌であり、内生胞子を菌体の中央部に1個有する。グリセロール、L-アラビノース、リボース、D-キシロース、D-グルコース、D-フルクトース、D-マンノース、イノシトール、マンニトール、ソルビトース、メチル-αD-グルコピラノイド、アミグラダリン、アルブチン、エスクリン、サリシン、D-セロビオース、D-マルトース、D-メリビオース、D-サッカロース、D-トレハロース、イヌリン、ラフィノース、デンプン、グリコーゲン、ツラノース、グルコン酸カリウムの分解は陽性である。
引き続いて、これらの微生物を同定した。まず、土壌DNAキット(株式会社ニッポンジーン)を用いて MA6株、およびTB5株からDNAを抽出した。
単離した微生物から回収したDNAについては、その16SSrRNA遺伝子領域をTaKaRaEX Taq(タカラバイオ株式会社)を用いてPCRで増幅した。PCR増幅には9F、515F、785F、1099F、536R、802R、1115R、1541Rのプライマーを用いた(表2参照)。PCR条件は、最初に95℃、5分の変性をおこなった後、95℃、1分(変性)、49℃、45秒(アニーリング)、72℃、1分30秒(伸長)を30サイクル、最後に72℃、5分の伸長をおこなった。PCRにより目的配列が増幅されたことを確認するために、PCR増幅物を1.0×トリス酢酸EDTA緩衝液 (TBE)アガロースゲル(寒天濃度2%)を用いて電気泳動した。具体的には紫外線照射下でアガロース中に電気泳動されたPCR増幅物1μLとマーカーとしてOne STEP Ladder 50(株式会社ニッポンジーン)を比較し、目的の長さのPCR増幅物について確認した。増幅確認後、Wizard(R)SV Gel and RCR Clean―Up System(プロメガ株式会社)を用いてPCR産物の精製をおこなった。
このようにして精製したPCR増幅物はBigDye Kit(株式会社パーキンエルマージャパン, アプライドバイオシステムズ)を用いてシーケンス反応をおこない、マスシークエンスMaga BACE(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)を用いてDNAの塩基配列を決定した。塩基配列はABI Prism310遺伝子解析装置(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)で解析した。細菌は日本DNAデータバンク(DDBJ)に登録されている配列に対して相同性検索をおこなった。
単離した微生物から回収したDNAについては、その16SSrRNA遺伝子領域をTaKaRaEX Taq(タカラバイオ株式会社)を用いてPCRで増幅した。PCR増幅には9F、515F、785F、1099F、536R、802R、1115R、1541Rのプライマーを用いた(表2参照)。PCR条件は、最初に95℃、5分の変性をおこなった後、95℃、1分(変性)、49℃、45秒(アニーリング)、72℃、1分30秒(伸長)を30サイクル、最後に72℃、5分の伸長をおこなった。PCRにより目的配列が増幅されたことを確認するために、PCR増幅物を1.0×トリス酢酸EDTA緩衝液 (TBE)アガロースゲル(寒天濃度2%)を用いて電気泳動した。具体的には紫外線照射下でアガロース中に電気泳動されたPCR増幅物1μLとマーカーとしてOne STEP Ladder 50(株式会社ニッポンジーン)を比較し、目的の長さのPCR増幅物について確認した。増幅確認後、Wizard(R)SV Gel and RCR Clean―Up System(プロメガ株式会社)を用いてPCR産物の精製をおこなった。
このようにして精製したPCR増幅物はBigDye Kit(株式会社パーキンエルマージャパン, アプライドバイオシステムズ)を用いてシーケンス反応をおこない、マスシークエンスMaga BACE(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社)を用いてDNAの塩基配列を決定した。塩基配列はABI Prism310遺伝子解析装置(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)で解析した。細菌は日本DNAデータバンク(DDBJ)に登録されている配列に対して相同性検索をおこなった。
ここで、MA6株はその16SrRNA遺伝子領域のうち、1357bp(51〜1408bp)を解析した(表3参照)。これを相同性検索したところ、ストレプトマイセスサッカリ(Streptomyces sacchri)と98%以上の相同性を示すことが確かめられた(表4参照)。これによりMA6株は、ストレプトマイセスサッカリ(Streptomyces sacchri)MA6株と同定した。
一方、TB5株は、その16SrRNA遺伝子領域のうち、1425bp(65〜1490bp)を解析した(表5参照)。これを相同性検索したところ、バチルスサブチリス(Bacillus subtilis)と99%以上の相同性を示すことが確かめられた(下記表6参照)。これによりTB5株はバチルスサブチリス(Bacillus subtilis)TB5と同定した。
<実施例3>
実施例1における飼育条件下で平成20年3月18日の導入日より7カ月くらい経過した平成20年10月20日と、更に5カ月くらい経過した平成21年3月11日での敷き料を採取して、敷き料中の水分、窒素全量、りん酸(P2 O5 )、加里(K2 O)を肥料分析法に基づいて測定した。この時間経過前後の敷き料中に含まれる乾物重量基準の窒素、りん酸、加里濃度を下記表7に示す。
実施例1における飼育条件下で平成20年3月18日の導入日より7カ月くらい経過した平成20年10月20日と、更に5カ月くらい経過した平成21年3月11日での敷き料を採取して、敷き料中の水分、窒素全量、りん酸(P2 O5 )、加里(K2 O)を肥料分析法に基づいて測定した。この時間経過前後の敷き料中に含まれる乾物重量基準の窒素、りん酸、加里濃度を下記表7に示す。
以上の結果から、りん酸については3.62から5.45および加里については2.62から3.05に濃度が増加しており、鶏の飼育時間の経過と共にりん酸および加里が蓄積されることが判明した。
また、敷き料としてのおが屑は、400日前後での鶏の飼育期間中に取替えをすることなしに微生物を死滅、あるいは減少させることなく常に好気的条件下での鶏糞の醗酵、分解を促進させるものであることが分かる。
更に、鶏糞を分解させることにより生ずる窒素(N)、リン(P)およびカリウム(K)が蓄積されることにより最適な肥料として活用することが可能となる。
更に、鶏糞を分解させることにより生ずる窒素(N)、リン(P)およびカリウム(K)が蓄積されることにより最適な肥料として活用することが可能となる。
なお、敷き料の攪拌および水分調整は略15日から25日の間隔ごとに行う必要性があるが、敷き料の全長が30m〜50mであるために人力で行うには非常な労力を要することとなる。したがって、敷き料が投入された鶏糞醗酵槽内を自走する攪拌羽根や散水管を設けることによって人力によらないで自動的に攪拌できる構成とすることが望ましい。
以上の構成よりなる本発明の養鶏場における鶏糞処理方法によれば、枯草菌および放射菌を含んだ微生物を接種した敷き料をケージ下の床面に沿って敷くことによって、敷き料上に落下する鶏糞は通気性に優れた敷き料によって空気暴露されると共に、微生物による一次処理の醗酵により鶏糞特有のアンモニア臭の発生を抑えながら好気的条件下での鶏糞の醗酵、分解を促進させることができる。
更に、二次処理において一次処理より高温度、特に70〜85℃の高温域内での好気的条件下における特に放線菌の働きにより醗酵を促進させて短期間での醗酵、分解することによって、敷き料と鶏糞との分別を行う必要性は無く、鶏の入れ替え時に敷き料を回収して新たに敷き料を加えて再使用することが可能となる。
また、使用された敷き料には植物の成長を促進させる窒素(N)、リン(P)およびカリウム(K)が蓄積されているために堆肥として有効的に利用することが可能となる。
また、使用された敷き料には植物の成長を促進させる窒素(N)、リン(P)およびカリウム(K)が蓄積されているために堆肥として有効的に利用することが可能となる。
1 養鶏場
2 ケージ
3 支柱
4 受けアーム
5 ケージ受け支持パイプ
6 給餌樋
7 給水樋
8 鶏卵受
9 前縁部
10 鶏糞醗酵槽
11 敷き料
2 ケージ
3 支柱
4 受けアーム
5 ケージ受け支持パイプ
6 給餌樋
7 給水樋
8 鶏卵受
9 前縁部
10 鶏糞醗酵槽
11 敷き料
Claims (8)
- 少なくとも消臭機能を有する微生物と堆肥化促進機能を有する微生物が接種された敷き料をケージの下側に設けて、鶏から排泄された鶏糞を該敷き料によって受け止める工程と、
前記敷き料に受け止められた鶏糞を混合攪拌する工程を備える
養鶏場における鶏糞処理方法。 - 前記消臭機能を有する微生物が枯草菌で、前記堆肥化促進機能を有する微生物が放線菌である
請求項1に記載の養鶏場における鶏糞処理方法。 - 前記枯草菌が、バチルスサブチリス(Bacillus subtilis)の属する微生物である
請求項2に記載の養鶏場における鶏糞処理方法。 - 前記放線菌が、ストレプトマイセスサッカリ(Streptomyces sacchri)の属する微生物である
請求項2または請求項3に記載の養鶏場における鶏糞処理方法。 - 前記敷き料が、ケージの下側に沿って設けられた鶏糞醗酵槽内に敷設される
請求項1または請求項2に記載の養鶏場における鶏糞処理方法。 - 前記敷き料が、通気性改良材とされる
請求項1、請求項2または請求項3に記載の養鶏場における鶏糞処理方法。 - 前記通気性改良材が、おが屑、ワラ、木チップ、バカス、キノコ培地、ぬか、もみ殻、あるいはバークのいずれか、またはこれらの混合により形成される
請求項6に記載の養鶏場における鶏糞処理方法。 - 前記通気性改良材が、パーライト、バーミキュライト、あるいはゼオライトのいずれか、またはこれらの混合により形成される
請求項6に記載の養鶏場における鶏糞処理方法。
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