JP2010035352A - 同期電動機のロータ位置推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】停止時及び低速回転域において、位置センサを用いることなく、比較的簡易な演算処理によってロータ位置を精度良く推定することができる同期電動機のロータ位置推定装置を提供する。
【解決手段】モータ40の電流方程式に、時間経過に応じて大きさが変化する検出用電圧成分を含む指令電圧vγδ_c2を適用して算出した推定電流iγδ_Mと、モータ40に該指令電圧vγδ_c2に応じた電圧を印加したときの実電流iγδとの偏差である電流推定偏差Δiγδを算出し、電流推定偏差Δiγδに基づいてロータ位置の実際値と推定値との偏差である位置推定誤差Δθeを求める位置推定誤差取得部14と、位置推定誤差Δθeを解消するように、モータ40のロータ位置の推定値θe及び角速度の推定値ωe_eを更新するロータ位置推定部15とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】モータ40の電流方程式に、時間経過に応じて大きさが変化する検出用電圧成分を含む指令電圧vγδ_c2を適用して算出した推定電流iγδ_Mと、モータ40に該指令電圧vγδ_c2に応じた電圧を印加したときの実電流iγδとの偏差である電流推定偏差Δiγδを算出し、電流推定偏差Δiγδに基づいてロータ位置の実際値と推定値との偏差である位置推定誤差Δθeを求める位置推定誤差取得部14と、位置推定誤差Δθeを解消するように、モータ40のロータ位置の推定値θe及び角速度の推定値ωe_eを更新するロータ位置推定部15とを備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は、位置センサを用いることなく、ロータ位置を推定する同期電動機のロータ位置推定装置に関する。
ロータに永久磁石を用いた永久磁石同期電動機(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)等の同期電動機においては、ロータの位置情報に基づいてステータの通電制御を行うため、通常はレゾルバ等のロータ位置(ロータの磁極位置)を検出する位置センサが用いられている。
しかし、レゾルバ等の位置センサを用いてロータ位置を検出するためには、位置センサに加えてその検出信号の処理回路が必要となり、さらには、位置センサの取り付け及び調整も必要となるため、同期電動機のコストが高くなるという不都合がある。
そこで、IPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)等の突極性を有するロータを備えた同期電動機を対象として、インダクタンスの突極性を利用して停止時及び低速回転時におけるロータ位置を推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたロータ位置の推定方法では、いわゆるベクトル制御を用いた同期電動機の制御系において、d軸電機子に正弦波の交番電圧を印加したときの相電流を検出し、検出した相電流をdq軸の位相角θ0によりd軸電流Idcとq軸電流Iqcに分離する。そして、IdcとIqcに基づいてロータ位置の実際値と推定値との位置偏差を算出して、ロータ位置の推定値を求めている。
しかし、特許文献1に記載されたロータ位置の推定方法では、検出した相電流に対して、BPF(Band Pass Filter)やフーリエ積分により、検出用交番電圧と同じ周波数成分の電流を検出する必要がある。
また、検出用電圧の周波数は、モータの駆動電圧の出力周波数よりも数倍以上高く、重畳される搬送波の周波数の数分の1でなければならない。そのため、検出用電圧の周波数は、数100Hzから数kHz程度の範囲に制限される。そして、このような重畳電圧の周波数の制限と、BPFの特性により、制御系の高応答化に限界がある。
また、非特許文献1に記載されたロータ位置の推定方法においては、同期電動機の制御電圧にパルス電圧を重畳して電流推定誤差を検出し、パルス電圧と電流推定誤差に基づいてロータ位置の実際値と推定値との位置偏差を算出して、ロータ位置の推定値を求めている。
しかし、非特許文献1に記載された位置センサレス制御方式では、パルス電圧の印加がd軸に制限されており、また、抵抗による電圧降下成分を無視しているので、ロータ位置の推定精度が低くなるおそれがある。
特開平7−245981号公報
竹下隆晴、他2名,「全速度領域におけるセンサレス突極型PM同期電動機制御」,社団法人電気学会,平成12年,電学論D,120巻2号,p.240−247
本発明は上記背景を鑑みてなされたものであり、停止時及び低速回転時において、位置センサを用いることなく、比較的簡易な演算処理によってロータ位置を精度良く推定することができる同期電動機のロータ位置推定装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、突極性を有するロータを備えた同期電動機のロータ位置を推定するロータ位置推定装置に関する。
そして、 前記電動機のステータコイルに電圧を印加する電圧印加手段と、前記電動機のステータコイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電動機のステータコイルの端子間電圧とステータコイルに流れる電流との関係を、ロータ位置に基づいて表した電動機のモデル式に対して、時間経過に応じて大きさが変化する検出用電圧成分を含む指令電圧を適用して算出したステータコイルの第1の電流値と、前記電動機のロータ位置の推定値と前記指令電圧とに応じた電圧を、前記電動機のステータコイルに印加したときに、前記電流検出手段により検出される第2の電流値との偏差である電流推定偏差を算出する電流推定偏差算出手段と、前記電流推定偏差に基づいて、ロータ位置の実際値と推定値との差である位置推定誤差を算出する位置推定誤差算出手段と、該位置推定誤差算出手段により算出された位置推定誤差を解消するように、前記電動機のロータ位置の推定値を更新するロータ位置推定手段とを備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記第1の電流値は、前記指令電圧と前記電動機のロータ位置の実際値に対応したものとなる。一方、前記第2の電流値は、前記指令電圧と前記電動機のロータ位置の推定値に対応したものとなる。そのため、前記電流推定偏差算出手段により、前記第1の電流値と前記第2の電流値との差として算出される前記電流推定偏差は、前記電動機のロータ位置の実際値と推定値との偏差である位置推定誤差の情報を含んだものとなる。
そこで、前記位置推定誤差推定手段は、前記電流推定偏差算出手段により算出された電流推定偏差に基づいて、位置推定誤差を求めることができる。そして、この場合には、詳細は後述するが、前記検出用電圧の印加方向の制約を受けずに、抵抗成分を含んだ前記電動機のモデル式を用いて、簡易な演算処理によって前記電流推定偏差から直接的に位置推定誤差を求めることができる。そのため、前記ロータ位置推定手段は、位置推定誤差を解消するようにロータ位置の推定値を更新することによって、ロータ位置を精度良く推定することができる。
また、前記ロータ位置推定手段は、前記位置推定誤差推定手段により求められた位置推定誤差を、PLL(Phase Locked Loop)により減少させて、前記電動機のロータ位置の推定値を更新することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記位置推定誤差をPLL制御により減少させることによって、ノイズの影響を緩和してロータ位置を推定することができる。
また、前記電動機を、前記電動機のロータの磁束方向であるd軸と、d軸と直交するq軸とを有する等価回路に変換し、d軸に対して位相がずれたγ軸及びγ軸と直交するδ軸からなる推定回転座標系のモデルとして扱い、前記電流推定偏差算出手段は、前記電動機のモデル式として以下の式(5)を用いて、以下の式(5)に前記指令電圧を適用して、前記第1の電流値を算出することを特徴とする。
但し、iγδ[n]=(iγ[n],iδ[n])T(iγ[n]:n番目の制御周期における推定γ軸電流値、iδ[n]:制御サイクルnにおける推定δ軸電流値)、I:2行2列の単位行列、R:抵抗、Ts:制御周期、vγδ[n-1]=(vγ[n-1],vδ[n-1])T(vγ[n-1]:n−1番目の制御周期におけるγ軸電圧、vδ[n-1]:n−1番目の制御周期におけるδ軸電圧)、iγδ[n-1]=(iγ[n-1],iδ[n-1])T(iγ[n-1]:n−1番目の制御周期における実γ軸電流、iδ[n-1]:n−1番目の制御周期における実δ軸電流)、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス。
かかる本発明によれば、前記指令電圧を上記式(5)のvγδ[n-1]に適用することによって、前記指令電圧に応じた電圧を前記電動機のステータコイルに印加したときの電流値を、上記式(5)のiγδ[n]により求めることができる。
また、前記位置推定誤差算出手段は、前記指令電圧及び前記電流推定偏差に基づいて、前記推定回転座標系における以下の式(7)及び式(8)により算出される第1ロータ位置参照値及び第2ロータ位置参照値のうちの、少なくともいずれか一方に基づいて、前記位置推定誤差を算出することを特徴とする。
但し、A:第1ロータ位置参照値、B:第2ロータ位置参照値、vγ[n-1]:n−1番目の制御周期における指令γ軸電圧、vδ[n-1]:n−1番目の制御周期における指令δ軸電圧、iγ[n-1]:n−1番目の制御周期における実γ軸電流、iδ[n-1]:n−1番目の制御周期における実δ軸電流、Δiγ[n]:n番目の制御周期におけるγ軸電流推定偏差、Δiδ[n]:n番目の制御周期におけるδ軸電流推定偏差、R:抵抗。
かかる本発明によれば、詳細は後述するが、上記式(7),式(8)により、前記電流推定偏差Δiγ[n],Δiδ[n]と、前記指令電圧vγ[n],vδ[n]とを用いて算出される第1ロータ位置参照値Aと第2ロータ参照値Bのうちの少なくともいずれか一方を用いて、前記位置推定誤差を算出することができる。
本発明の実施の形態について、図1〜図4を参照して説明する。図1は本発明の同期電動機のロータ位置推定装置の構成を含む同期電動機の制御装置1(以下、制御装置1という)の構成図であり、制御装置1はマイクロコンピュータ等により構成された電子ユニットである。
図1を参照して、制御装置1は、IPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)であるモータ40(本発明の突極性を有するロータを備えた同期電動機に相当する)の速度制御を行うものである。制御装置1は、モータ40のロータ位置を検出する位置センサ(レゾルバ等)を設けずに、ロータ位置を推定してモータ40の速度制御を行う。
なお、モータ40の回転速度の情報は、ロータ位置の推定値ではなく、モータ40により駆動される負荷の位置情報(機械端検出器による検出信号)により得られる情報を用いてもよい。また、位置制御器を追加して位置制御を行う構成、或いは速度制御器を削除したトルク制御を行う構成としてもよい。
制御装置1は、モータ40をロータ(図示しない)の磁束方向であるd軸及び該d軸と直交するq軸を有するdq座標系(実回転座標系)による等価回路に変換し、図2(a)に示したように、dq座標系に対してロータ位置の実際値と推定値との偏差である位置推定誤差Δθeを有するγδ座標系(推定回転座標系)により、モータ40を扱う。
そして、制御装置1は、外部から与えられる角速度の指令値ωr_cと、後述する処理により算出した角速度の推定値ωr_eとの偏差を減少させるように、モータ40に対する通電制御を行う。
また、モータ40のステータコイルに流れる電流を検出する電流センサ31,32(本発明の電流検出手段に相当する)の電流検出信号iu(U相のステータコイルに流れる電流の検出信号)及びiv(V相のステータコイルに流れる電流の検出信号)が、制御装置1に入力される。なお、3相のうち、少なくとも2相分の電流検出を行えばよい。
また、制御装置1からPDU(Power Drive Unit)30(本発明の電圧印加手段に相当する)に対して、3相(u,v,w相)の電圧指令値vu_c,vv_c,vw_cが入力される。そして、PDU30は、3相の電圧指令値vu_c,vv_c,vw_cに応じた3相の駆動電圧を生成してモータ40のステータコイルに印加する。
制御装置1に備えられたマイクロコンピュータに、所定の制御用プログラムを実行させることによって、該マイクロコンピュータは、速度制御部10、指令電流発生部11、電流制御部12、γδ/uvw変換部13、位置推定誤差取得部14、ロータ位置推定部15、除算器16、uvw/γδ変換部17、検出用電圧印加部18として機能する。
速度制御部10は、角速度の指令値ωr_cと推定値ωr_eとの偏差を減少させるためのトルク指令値Tr_cを決定する。指令電流発生部11は、トルク指令値Tr_cを生じさせるための指令γ軸電流iγ_cと指令δ軸電流iδ_cを決定する。
電流制御部12は、指令γ軸電流iγ_cと実γ軸電流iγ(uvw/γδ変換部17により算出される)の偏差と、指令δ軸電流iδ_cと実δ軸電流iδ(uvw/γδ変換部17により算出される)の偏差とを減少させるように、第1の指令γ軸電圧vγ_c1及び第1の指令δ軸電圧vδ_c1を決定する。
検出用電圧印加部18は、加算器20で第1の指令γ軸電圧vγ_c1に検出用γ軸電圧vhγ(本発明の検出用電圧成分に相当する)を加えて第2の指令γ軸電圧vγ_c2(本発明の指令電圧に相当する)を生成する。また、検出用電圧印加部18は、加算器21で、第1の指令δ軸電圧vδ_c1に検出用δ軸電圧vhδ(本発明の検出用電圧成分に相当する)を加えて第2の指令δ軸電圧vδ_c2(本発明の指令電圧に相当する)を生成する。
ここで、検出用γ軸電圧vhγと検出用δ軸電圧vhδは、後述するロータ位置の推定値θe_eを求めるためのものであり、例えば所定周波数のパルス電圧に設定される。なお、検出用γ軸電圧vhγ及び検出用δ軸電圧vhδの双方を印加しても良く、いずれか一方のみを印加してもよい。
また、検出用γ軸電圧vhγ及び検出用δ軸電圧vhδは、時間経過と共に電圧が変化するものであればよく、正弦波等のパルス電圧以外の形態であってもよい。また、モータ40の駆動に影響を与えないようにするためには、検出用γ軸電圧vhγ及び検出用δ軸電圧vhδの出力期間における出力電圧の総和をゼロにする必要がある。
γδ/uvw変換部13は、第2の指令γ軸電圧vγ_c2と第2の指令δ軸電圧vδ_c2を、モータ40のロータ位置(ロータの電気角度)の推定値θe_eを用いて、3相(u,v,w相)の電圧指令値vu_c,vv_c,vw_cに変換する。
位置推定誤差取得部14は、第2の指令γ軸電圧vγ_c及び第2の指令δ軸電圧vδ_cと、実γ軸電流iγ及び実δ軸電流iδとに基づいて、モータ40のロータ位置の実際値と推定値との偏差である位置推定誤差Δθeを算出する。
ロータ位置推定部15は、モータ40の位置推定誤差Δθeを解消するように、ロータ位置の推定値θe_e及び角速度(電気角速度)の推定値ωe_eを更新する。また、除算器16は、電気角速度の推定値ωe_eを極対数qで除して、モータ40の機械的な角速度の推定値ωr_eを算出する。
uvw/γδ変換部17は、電流センサ31,32から出力される電流検出信号iu及びivを、ロータ位置の推定値θe_eに基づいて、実γ軸電流iγ及び実δ軸電流iδに変換する。
制御装置1は、位置推定誤差取得部14とロータ位置推定部15とを備えて、ロータ位置の推定値θe_eと電気角速度の推定値ωe_eを求めている。そのため、レゾルバ等のロータの位置を検出するセンサを設ける必要がない。
以下、位置推定誤差取得部14による位置推定誤差Δθeの算出手順と、ロータ位置推定部15によるロータ位置の推定値θe_e及び角速度の推定値ωe_eの算出手順について説明する。
先ず、図2(b)及び図3を参照して、位置推定誤差取得部14による位置推定誤差Δθeの算出手順について説明する。位置推定誤差取得部14は、モータ40のdq座標系(実回転座標系)の状態方程式と、γδ座標系(推定回転座標系)の状態方程式とを用いて、位置推定誤差Δθeを算出する。
先ず、モータ40のdq座標系の電圧方程式は、以下の式(9),式(10)となる。
但し、vd:d軸電圧、vq:q軸電圧、R:抵抗、p:微分演算子、ωe:角速度(電気角速度)、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、id:d軸電流、iq:q軸電流。
但し、φ:誘起電圧定数。
上記式(9)をベクトル形式で表すと、以下の式(11)〜式(14)の形になる。
但し、vdq=(vd,vq)T、idq=(id,iq)T。
上記式(11)を状態方程式で表すと、以下の式(15)の形になる。
そして、モータ40の停止時及び低速回転時には、角速度ωe≒0と仮定できるので、上記式(15)において、ωe=0とすると、以下の式(16)が得られる。
但し、I:2行2列の単位行列。
上記式(16)を離散化すると、以下の式(17)の形になる。
但し、Ts:制御周期。
上記式(17)より、離散化した電流方程式は、以下の式(18)となる。
一方、推定回転座標系(γδ座標系)の電圧方程式は、以下の式(19)となる。
但し、vγ:γ軸電圧、vδ:δ軸電圧、R:抵抗、p:微分演算子、ωe:角速度(電気角速度)、Lγ:γ軸インダクタンス、Lδ:δ軸インダクタンス、Lγδ:以下の式(26)で算出されるパラメータ、iγ:γ軸電流、iδ:δ軸電流。
上記式(19)をベクトル形式で表すと以下の式(20)〜式(26)の形になる。
但し、vγδ=(vγ,vδ)T、iγδ=(id,iq)T。
上記式(20)を状態方程式で表すと以下の式(27)の形になる。
ここで、モータ40の停止時及び低速回転時は、角速度ωe≒0と仮定できるので、上記式(27)でωe=0とすると、以下の式(28)が得られる。
上記式(28)の離散化を行うと、以下の式(29)のモータ40の電流方程式が得られる。
ここで、上記式(18)において、dをγに置き換えると共にqをδに置き換えた以下の式(30)を、モータ40のモデル式とする。
そして、上記式(29)と上記式(30)との差をとった以下の式(31)により、電流推定偏差Δiγδを求める。
そして、L1'-1−L1-1を求めると、以下の式(34)のようになる。
そのため、電流推定偏差Δiγδ[n](Δiγ[n],Δiδ[n])は、以下の式(35)によって算出することができる。
そして、以下の式(38)、式(39)により、第2の指令γ軸電圧vγ_c2をvγに代入し、第2の指令δ軸電圧vδ_c2をvδに代入して、第2の指令電圧vγδ_c2に応じた電圧をモータ40に印加したときの実γ軸電流iγ,実δ軸電流iδをiγ,iδにそれぞれ代入し、上記式(35)により算出した電流推定偏差Δiγ,Δiδを代入して、A(本発明の第1ロータ位置参照値に相当する),B(本発明の第2ロータ位置参照値に相当する)を求めることができる。
次に、このようにして算出したA,Bに基づいて、ロータ位相差偏差Δθeを求める方法について説明する。
[第1の方法]A/Bは、以下の式(40)となる。
よって、以下の式(41)、式(42)により、位置推定誤差Δθeを算出することができる。
[第2の方法]上記第1の方法では、モータの回路定数が変動した場合、位置推定誤差の定常偏差が残る。この定常偏差をなくすためには、以下の方法を用いることができる。但し、位置推定誤差Δθeが大きい場合は、Δθe≒sinΔθが成立しなくなり、位置推定誤差Δθeの推定応答時間に影響する。
ここで、−90[deg]≦2Δθe≦90[deg]の範囲において、Bは位置推定誤差Δθeに対して単純増加となる。そこで、−Bにロータ位置推定ゲイン(>0)を乗じることにより、ロータ位置を推定することが可能となる。以下の式(43)(上記式(37)を再掲)からsin2Δθeを算出すると以下の式(44)となる。
そして、以下の式(45)、式(46)により、位置推定誤差Δθeを求めることができる。
上記式(46)におけるBは、Ld,Lqが変動したとしても直接Δθeに比例する関係にあるため、ロータ位置推定の応答時間には影響するが、位置推定誤差Δθeに定常偏差が残ることはない。
[第3の方法]以下の式(47)(上記式(36)を再掲)から、以下の式(48)、式(49)によりcos2Δθeを求める。また、以下の式(50)(上記式(37)を再掲)から、以下の式(51)によりsin2Δθeを求める。
上記式(49)、式(51)により、位置推定誤差Δθeを以下の式(52)、式(53)によって求めることができる。
そこで、図2(b)を参照して、位置推定誤差取得部14は、第2の指令電圧vγδ_c2に応じた電圧をモータ40に印加したときに、uvw/γδ変換部17(図1参照)により算出される実電流iγδ(iγ,iδ)と、該第2の指令電圧vγδ_c2を上記式(30)によるモータ40のモデル50に入力して算出した推定電流iγδ_M(iγ_M,iδ_M)との差を、電流推定偏差Δiγδとして減算器51により算出する。なお、このように電流推定偏差Δiγδを算出する構成が、本発明の電流推定偏差算出手段に相当する。
そして、位置推定誤差取得部14は、位置推定誤差算出部52により、上記第1の方法を用いるときには、図3に示したように、上記式(38)、式(39)のiγ,iδに実電流iγ,iδを代入し、電流推定偏差Δiγ,Δiδを代入し、電圧vγ,vδに第2の指令電圧vγ_c2,vδ_c2を代入して、A及びBを算出する。そして、位置推定誤差算出部52は、上記式(42)により位置推定誤差Δθeを算出する。なお、このように電流推定偏差Δiγδに基づいて位置推定誤差Δθeを算出する構成が、本発明の位置推定誤差推定手段に相当する。
なお、上記第1の方法ではなく、上記第2の方法により位置推定誤差Δθeを求めるときには、図4に示したように、位置推定誤差算出部52は、上記式(46)により位置推定誤差Δθeを算出する。また、上記第3の方法により位置推定誤差Δθeを求めるときには、図5に示したように、位置推定誤差算出部52は、上記式(53)により位置推定誤差Δθeを算出する。
次に、図6(a)及び図6(b)を参照して、ロータ位置推定部15によるロータ位置の推定値θe_eと角速度の推定値ωe_eの算出処理について説明する。
図6(a)は、ロータ位置推定部15を、PLLによる位相同期部60を用いて構成した例を示したものである。本実施の形態では、位相同期部60を、以下の式(54)〜式(55)による最もシンプルなPI(比例積分)制御器と同じ構成として、推定応答性を決定している。
但し、Kp:比例ゲイン、Ki:積分ゲイン。
ここでは、位置推定誤差Δθeをゼロにすることを目的とするため、ロータ位置θeから位置推定誤差Δθeへの閉ループ伝達関数を算出すると以下の式(55)となる。
上記式(55)においては、PI制御のゲインKp,Kiにより、位置推定誤差Δθeの収束速度(制御系の固有角周波数)ωnとダンピングファクタ(減衰係数)ζが決定される。また、モータ40が一定速度(角速度ωeが一定)で作動しているときには、入力θeはランプ入力となるため、ロータ位相差Δθeをゼロに収束させるには、位相同期部60を2型コントローラとする必要がある。
次に、図6(b)は、ロータ位置推定部15を同一次元オブザーバ70を用いて構成した例を示したものである。この場合には、例えば、以下の式(56)による同一次元オブザーバを用いればよい。
但し、Ts:制御周期、K1,K2:演算ゲイン。
なお、このように位置推定誤差Δθeを解消するように、ロータ位置の推定値θe_eを更新する構成が、本発明のロータ位置推定手段に相当する。
なお、本実施の形態においては、本発明の同期電動機として、IPMSM40を示したが、SynRM(Synchronous Reluctance Motor)等、電気的突極性を有するロータを備えた同期電動機であれば、本発明の適用が可能である。
また、本実施の形態において、制御装置1はモータ40をγδ座標系のモデルにより扱って、上記式(30)により本発明の同期電動機の電流方程式を規定したが、同期電動機のコイルに印加する電圧と電流との関係を表した電流方程式であれば、他の座標系や形態によるものを用いてもよい。
1…同期電動機の制御装置、14…位置推定誤差取得部、15…ロータ位置推定部、50…モータのモデル、52…位置推定誤差算出部、60…PLL(PI制御器)、70…PLL(同一次元オブザーバ)
Claims (4)
- 突極性を有するロータを備えた同期電動機のロータ位置を推定するロータ位置推定装置であって、
前記電動機のステータコイルに電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電動機のステータコイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電動機のステータコイルの端子間電圧とステータコイルに流れる電流との関係を、ロータ位置に基づいて表した電動機のモデル式に対して、時間経過に応じて大きさが変化する検出用電圧成分を含む指令電圧を適用して算出したステータコイルの第1の電流値と、前記電動機のロータ位置の推定値と前記指令電圧とに応じた電圧を、前記電動機のステータコイルに印加したときに、前記電流検出手段により検出される第2の電流値との偏差である電流推定偏差を算出する電流推定偏差算出手段と、
前記電流推定偏差に基づいて、ロータ位置の実際値と推定値との差である位置推定誤差を算出する位置推定誤差算出手段と、
該位置推定誤差算出手段により算出された位置推定誤差を解消するように、前記電動機のロータ位置の推定値を更新するロータ位置推定手段とを備えたことを特徴とする同期電動機のロータ位置推定装置。 - 請求項1記載の同期電動機のロータ位置推定装置において、
前記ロータ位置推定手段は、前記位置推定誤差算出手段により算出された位置推定誤差を、PLL(Phase Locked Loop)により減少させて、前記電動機のロータ位置の推定値を更新することを特徴とする同期電動機のロータ位置推定装置。 - 請求項1又は請求項2記載の同期電動機のロータ位置推定装置において、
前記電動機を、前記電動機のロータの磁束方向であるd軸と、d軸と直交するq軸とを有する等価回路に変換し、d軸に対して位相がずれたγ軸及びγ軸と直交するδ軸からなる推定回転座標系のモデルとして扱い、
前記電流推定偏差算出手段は、前記電動機のモデル式として以下の式(1)を用いて、以下の式(1)に前記指令電圧を適用して、前記第1の電流値を算出することを特徴とするロータ位置推定装置。
但し、iγδ[n]=(iγ[n],iδ[n])T(iγ[n]:n番目の制御周期における推定γ軸電流、iδ[n]:制御サイクルnにおける推定δ軸電流)、I:2行2列の単位行列、R:抵抗、Ts:制御周期、vγδ[n-1]=(vγ[n-1],vδ[n-1])T(vγ[n-1]:n−1番目の制御周期におけるγ軸電圧、vδ[n-1]:n−1番目の制御周期におけるδ軸電圧)、iγδ[n-1]=(iγ[n-1],iδ[n-1])T(iγ[n-1]:n−1番目の制御周期における実γ軸電流、iδ[n-1]:n−1番目の制御周期における実δ軸電流)、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス。 - 請求項3記載のロータ位置推定装置において、
前記位置推定誤差算出手段は、前記指令電圧及び前記電流推定偏差に基づいて、前記推定回転座標系における以下の式(3)及び式(4)により算出される第1ロータ位置参照値及び第2ロータ位置参照値のうちの、少なくともいずれか一方に基づいて、前記位置推定誤差を算出することを特徴とするロータ位置推定装置。
但し、A:第1ロータ位置参照値、B:第2ロータ位置参照値、vγ[n-1]:n−1番目の制御周期における指令γ軸電圧、vδ[n-1]:n−1番目の制御周期における指令δ軸電圧、iγ[n-1]:n−1番目の制御周期における実γ軸電流、iδ[n-1]:n−1番目の制御周期における実δ軸電流、Δiγ[n]:n番目の制御周期におけるγ軸電流推定偏差、Δiδ[n]:n番目の制御周期におけるδ軸電流推定偏差、R:抵抗。
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