JP2010032030A - 接着構造体およびその製作方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造内部への接着材のはみ出しによる板状部材の変形を阻害せずに、設計どおりの衝突性能、及び歩行者保護性能を発現する。
【解決手段】2つの板状部材10,11の間を接着材12で接合した接着構造体において、2つの板状部材10,11のうち少なくとも一つの板状部材10の接着材12と接する面に一つ以上の孔4を設け、接着材12を孔4より上面に流出させることで接着面端部2,3より構造体の内側にはみ出す接着材12の量を低減する。
【選択図】図1
【解決手段】2つの板状部材10,11の間を接着材12で接合した接着構造体において、2つの板状部材10,11のうち少なくとも一つの板状部材10の接着材12と接する面に一つ以上の孔4を設け、接着材12を孔4より上面に流出させることで接着面端部2,3より構造体の内側にはみ出す接着材12の量を低減する。
【選択図】図1
Description
本発明は、2つの部材が接着材で接合された、接着構造体ならびに接着構造体の製作方法に関するものである。さらに詳細には、例えば自動車用外板パネル部材など、外力が加わるような構造体の接着構造に関するものである。
近年、自動車や鉄道などの構造体の軽量化を目的に、繊維強化樹脂(FRP)、特に強度や剛性向上の面から炭素繊維強化樹脂(CFRP)製の構造用部材の開発が進められている。これらの部材は、軽量化しつつ必要な剛性やその他の性能を保つ目的から、複数の部材が接合された複雑な形状を持つことが多い。
金属材料は、特許文献1に示すように、曲げ加工や孔あけ加工がしやすいため、リベット接合や溶接接合が用いられることが多い。しかしFRPは金属と異なり、材料上の特性から溶接接合を行うことができないため、FRPの接合方法としては、接着材を用いた接合方法が主流である。
接着材による接合方法を行う場合、接着材の厚みの不均一やはみ出し、接着面の凹凸や溶剤付着などが生じやすい。特に接着面を構成する部材の内部に接着材がはみ出すと、接着後ははみ出した部位を除去することができない。接着材のはみ出しは接着強度や破壊位置にばらつきを生じさせ、さらには外力による変形を妨げてしまうことがある。
一方、自動車の外板部材で必要とされている耐衝撃性能を満足させるため、フルラップ衝突や歩行者衝突等における外板の変形状態は、設計時の挙動を正確に再現することが重要である。図10は接着材のはみ出し部が部材の内部に存在する場合の変形例を示し、図11は部材の内部に接着材のはみ出し部が存在しない場合の変形例を示す。板状部材21に外力Fが加わった場合、本来なら図11に示すように、板状部材21は完全につぶれるように変形するのに対し、図10のように接着材のはみ出し部が構造体の内部にあると、板状部材21の変形ははみ出し部により妨げられ、完全にはつぶれない。すなわち、接着材のはみ出し部が構造体内部に存在すると、部材の変形は阻害され、実試験の結果が設計とは異なる挙動を示す原因となっていた。
一方、このような接着部位からの接着材のはみ出しを予防する工夫として、例えば特許文献2では、スタンパ材の接着において樹脂の退避ゾーンを設けておくことで周囲へのはみ出しを防ぎ、光学的な性能が維持できるような方法が開示されている。
この方法を本発明で対象とする構造部材に適用すると、図12に示すように、板状部材14の一部を変形させて退避ゾーン18を設けることで、接着部の形成時に余分となった接着材12は退避ゾーン18に滞留し、接着面端部から外にははみ出さない構造にすることができる。
しかしこの方法を適用した場合、滞留した接着材は退避ゾーンを完全に満たしていないので、上下の板状部材11、14からは接着に必要な圧力を十分に受けることができず、接着強度は低くなる。また退避ゾーン18はその目的上、すべて接着材で埋まらないため、接着面端部からの未接着域が長くなり、板状部材11、14から構成される構造部材の剛性、強度は低下する。
すなわち、光ディスクのように、構造部材としての強度があまり求められていない製品においては特許文献2の手法は有効であるが、自動車を構成する構造部材のように荷重を受け持つ必要がある部材についてはこの手法は適用できない。
特開平5−4579号公報
特開2001−88148号公報
本発明は上記のような実情に鑑み、接着面端部における接着材の構造内部へのはみ出しを抑制しつつ、引剥し力などの外力に対する強度を向上した接着構造体及びその製造方法を提供するものである。
上記課題を解決するために本発明によれば、2つの板状部材の間を接着材で接合した接着構造体において、2つの板状部材のうち少なくとも一つの板状部材の接着材を介して接合される接着面に一つ以上の孔を設けたことを特徴とする接着構造体が提供される。
また本発明の好ましい形態によれば、前記板状部材のうち少なくともいずれか一方の接着面端部に凸断面を設けたことを特徴とする接着構造体が提供される。
また本発明の好ましい形態によれば、前記孔の開口位置が前記接着面端部より接着幅の20%以上離れていることを特徴とする接着構造体が提供される。
また本発明の好ましい形態によれば、前記孔の直径が板状部材の板厚の1倍以上であることを特徴とする接着構造体が提供される。
また本発明の好ましい形態によれば、前記孔の板厚方向における開口断面がテーパー状であることを特徴とする接着構造体が提供される。
また本発明の好ましい形態によれば、前記部材板状部材のうち少なくともいずれか一方が繊維強化樹脂製部材であることを特徴とする接着構造体が提供される。
また本発明の好ましい形態によれば、前記接着構造体が自動車構造用部材であることを特徴とする接着構造体が提供される。
また本発明の好ましい形態によれば、前記構造用部材が自動車用フード、フロアパネル、トランクリッド、ルーフ、ドアパネルのいずれかであることを特徴とする接着構造体が提供される。
また本発明の好ましい形態によれば、2つの板状部材を接着材で張り合わせる際に、前記孔の上に吸入補助装置を設置し前記接着材を前記孔に誘導することを特徴とする、接着構造体の製作方法が提供される。
本発明において、「接着面端部」とは、接着材が形成する接着部の端部を指すものである。
本発明において、「接着材」とは、接合部をともに形成する板状部材とは別の材料で構成される物質であり、リベット接合や溶接接合とは異なり、板状部材との接合の時には、板状部材よりも低いヤング率をもった非定形の物体として板状部材表面に沿って密着し、ついで加熱や乾燥でもって硬化することにより2枚の板状部材を接合するための材料などをいう。典型的には硬化前においては液体やジェル状の物体である。接着材は結合力を向上させる観点から、板状部材に前処理を行っても良いし、複数の成分から構成しても良い。また、液体だけではなく、固体や粉体でも良い。さらに接着材は、2枚の板状部材の片方に塗布しても良いし、また双方に塗布しても良い。
本発明において、「FRP」とは、強化繊維により強化された樹脂を指し、強化繊維としては、炭素繊維の他、例えば、ガラス繊維等の無機繊維や、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ボロン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などの有機繊維からなる強化繊維を使用することも可能である。構造用部材の剛性や強度等の制御の容易性の面からは、特に炭素繊維が好ましい。FRPのマトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、さらには、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂も使用可能である。
このように、本発明に係る接着構造体およびその製作方法によれば、構造内部への接着材のはみ出しによって板状部材の変形が阻害されることを防止することができる。とりわけ、本発明に係る接着構造を自動車構造部材に適用した場合、設計どおりの衝突性能、歩行者保護性能を発現することができる。
以下、本発明の最良の実施形態を自動車用構造体に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態における板状部材10を板状部材11に接着した状態を示している。
板状部材10は、端部が平面状に加工された複雑形状を有する部材であり、この平面状の部分が接着材12を介して板状部材11と接着されている。板状部材10の平面状の部分には、丸孔4が3箇所設けられており、接着材12は丸孔4を通り、板状部材10の上面にまで流出している。接着材12を丸孔4より上面に流出させることで、接着面端部2より構造体の内側にはみ出す接着材12の量を低減出来る。なお、丸孔4の数は3箇所に限定されるものではなく、後述する位置や板厚等との関係から適宜選択することができる。また丸孔の開口位置や大きさも同様である。
図2は、図1のA−A’断面における接着過程を現した模式図である。
図2(a)は接着前の板状部材10、11及び接着材12の位置関係を示している。板状部材11の上に接着材12をあらかじめ塗布しておき、上方より板状部材10を押し付け接着部を形成する。板状部材10には孔4が設けられている。上方から板状部材10を押し付けると、図2(b)に示すように、接着材12は孔4を通して板状部材10の上面に流出する。接着材12は両側にある接着面端部2、3より外にもはみ出すが、孔4から流出する接着材12の量の方が多いため、両側にある接着面端部2、3からのはみ出し量を少なく抑えられる。
一方、図3は、従来手法による接着過程を現した模式図である。
図3(a)に示すように、従来手法においても板状部材11の上に接着材12をあらかじめ塗布しておき、上方より板状部材20を押し付ける手法は変わらない。ただし板状部材20には、板状部材10と異なり、接着面上に孔が設けられていない。そのため、接着材12は、図3(b)に示すように板状部材20の横に押し出され、接着面端部2、及び3より板状部材20の外にはみ出し部を形成する。図2(b)に示した板状部材10に孔4がある場合に比べ、はみ出し部の大きさは大きくなるため、図10について前述したように、板状部材20に外力が作用した際の変形を阻害する要因となる。
なお、接着部の形成に必要な接着材の必要量は設計段階で分かっているため、接着材の塗布量を厳密に調整できれば接着材が接着面よりはみ出す量をある程度抑制することは可能である。しかし設計どおりに接着圧を一定にするのは生産上難しく、接着厚みを均一にできないため、接着材の塗布量を必要最小量とすると、接着面積が小さくなる部位が発生し、部材強度が下がる問題がある。そのため、現実的には必要量より若干多めの接着材を塗布する必要があり、場所により接着材が接着面端部2または3からはみ出すことは避けられない。
接着面端部3側にはみ出した接着材は、構造体の外表面に面しているため固着後に除去することも可能であるが、除去するのに工数がかかることや板状部材へ損傷が加わる可能性もあることから、工業的には現実的な方法ではない。また、接着面端部2側にはみ出した接着材は、構造体の内部に位置するため、接着後に除去することが困難である。
図4は、板状部材10のより好ましい一実施形態における図1のA−A’断面図である。板状部材13の接着面には、図2に示した板状部材10と比べて、板状部材13と対となる板状部材11に向かって接着面端部2において凸形状の突起15が設けられている。すなわち、接着材12は突起15により接着面端部2よりはみ出すことが難しくなり、孔4より板状部材10の上方、もしくは、反対側の接着面端部3より外側に押し出されやすくなる。これにより、接着材12の構造体内部へのはみ出しをより確実に抑えることができる。
なお、図4に示す方法では、突起15近傍における接着材の厚みは他部位に比べて薄くなり、特許文献2の例と同様に接着しない可能性があるが、この部位の長さは特許文献2に示した技術を用いた場合に比べて十分に短いため、強度低下の要因とはならない。これは、後述するように接着面端部近傍に大きな引き剥がし力と面内せん断力が発生するものの、突起15の長さが十分短いため、突起15の外側に塗布されている接着材12により十分な接着強度が発現されているからである。
また、同様の効果を持つ例として、図5に示す一実施例では、接着面端部2において、板状部材10及び板状部材11とは別構造の介在物16を設置している。介在物16の厚みだけ2枚の板状部材間の距離を維持でき、かつ介在物16を、はみ出し量を抑えたい接着面端部2の近傍に設置することにより、接着面端部2から接着材12が構造内部側にはみ出すのを抑えられる。
介在物16は板状部材11または12に対し別部材であっても良いし、より望ましくは接着の位置決め精度の観点から、板状部材との一体構造、もしくは接着前に事前に板状部材に接着する構造であることが、成形性の観点から望ましい。この場合、接着性を向上させる観点から、介在物16の材質は板状部材と同一材料であることがより望ましい。
次に孔4の位置及び直径について、図6を用いて説明する。図6(a)は図1に示した接着構造体から、接着材12を除いて図示したものであり、図6(b)は図6(a)のB-B’断面における断面図を接着材12も含めて図示したものである。接着面内における孔4の設置位置は、孔周りでの接着面の破壊を予防し、孔4へ接着材12を流入させるのに重要な要素である。
まず、孔は接着面端部より20%離して設置することが望ましい。すなわち、Hを接着面の幅、hを孔4の端部から接着面端部までの距離とすると、
h > 0.2H
となる位置に孔4を設けるのが望ましい。接着構造体に外力が加わると、接着部にでは引き剥がし力と面内せん断力が発生する。これらの力は、接着面が均等に受け持つのではなく、接着面端部より20%の範囲に大きくなるように分布している。よってこの範囲に孔4を設けると、接着構造体の強度が低下する問題が生ずるため、接着面端部より20%離して設置することが望ましい。
h > 0.2H
となる位置に孔4を設けるのが望ましい。接着構造体に外力が加わると、接着部にでは引き剥がし力と面内せん断力が発生する。これらの力は、接着面が均等に受け持つのではなく、接着面端部より20%の範囲に大きくなるように分布している。よってこの範囲に孔4を設けると、接着構造体の強度が低下する問題が生ずるため、接着面端部より20%離して設置することが望ましい。
次に孔4から接着材12が流出するための限界条件について説明する。接着材12をニュートン流体、孔4のピッチを一定と仮定した場合、孔4を通過する際の単位長さあたりの圧力降下ΔPA、及び接着面端部から流出する際に発生する単位長さあたりの圧力降下ΔPBは以下の式で表される。
ここで、h:接着材の粘性係数、QA:孔を通り接着面上部に流出する流量、QB:接着面端部から接着部の外側に単位長さあたりに流出する流量、g:重力加速度、W:孔1つあたりの接着長さ(図6(a)の例ではW=L/3)である。
孔4への流量が接着面端部から流出する量より多くなるには、ΔPA=ΔPB条件下で、QA>QBであればよいから、上式より
が得られる。すなわち、この式を満たすようにh,D,W,ta,t,を決めれば、接着面端部よりはみ出す接着材12より、孔4から板状部材上部に押し出される接着材12の量が多くなる。
次に孔径について述べる。孔4の直径が大きすぎると、上記孔の位置の関係と同様に、孔周りへの応力集中が大きくなり、接着面の強度低下の原因となる。すなわち、孔4の両側に接着幅Hの20%をあける必要があり、孔径Dは以下の式を満たす必要がある。
D<0.6H (4)
一方、孔の大きさが小さすぎると、孔を接着材が通過する際の流動抵抗が増し、孔を通りにくくなり、接着面端部からのはみ出し量が増える。基本的に式(3)を満たすように孔径を決めればよいが、あまり小さくても孔あけ作業性が悪くなるため、孔4の直径Dは板状部材10の肉厚tよりも大きいことが望ましい。
一方、孔の大きさが小さすぎると、孔を接着材が通過する際の流動抵抗が増し、孔を通りにくくなり、接着面端部からのはみ出し量が増える。基本的に式(3)を満たすように孔径を決めればよいが、あまり小さくても孔あけ作業性が悪くなるため、孔4の直径Dは板状部材10の肉厚tよりも大きいことが望ましい。
D>t (5)
また、孔4が真円ではなく長円(楕円)であった場合、孔の接着面の長手方向の直径D2に関しても、大きすぎると孔周りに応力が集中することから望ましくなく、接着面の幅方向の直径D1の2倍程度までが望ましい。またD2は小さすぎても流動抵抗、作業性の観点から良くなく、作業性の観点からD1の1/2倍程度までが望ましい。
また、孔4が真円ではなく長円(楕円)であった場合、孔の接着面の長手方向の直径D2に関しても、大きすぎると孔周りに応力が集中することから望ましくなく、接着面の幅方向の直径D1の2倍程度までが望ましい。またD2は小さすぎても流動抵抗、作業性の観点から良くなく、作業性の観点からD1の1/2倍程度までが望ましい。
図7は、孔4周辺における断面模式図を示したものである。孔4から接着材を接着面上部へ流出させるため、孔への流動抵抗を減らす目的から、通常の孔形状である図7(a)に対して図7(b)や図7(c)に示すように、孔周りにテーパー加工を施すこともより好ましい。この場合、孔周辺での板厚が減少することから、何も加工しない図7(a)の場合に比べて、孔径を増やさずに流動抵抗を下げることができる。
孔4の形状は、真円、及び長円が加工、応力集中を防止する観点から望ましいが、孔の目的は接着材を接着面上部に流出させることであるから、この目的を達することができればその限りではない。図8(a)〜(d)に孔形状の例を示す。接着材12が孔より板状部材10の上に流出し、板状部材10の両面に接着材12が配置されることにより、孔周りでアンカー効果が得られる。断面形状が複雑な方がアンカー効果を高くできるため、図8(a)〜(c)より、図8(d)の形状のようにした方が強度向上効果は大きい。
また、より確実に孔4に接着材12を導く方法として、吸入補助装置17を使用する方法もより望ましい。図9に吸入補助装置を使用した場合の断面図を例示する。図9(a)に示すように、吸入補助装置17を孔4の上部に設置し、負圧で接着材12を吸入しながら接着部を形成する。吸入後に吸入補助装置17を取り去れば、図9(b)のように接着面端部2から接着材12がはみ出すことなく接着部を形成することができる。この方法の場合、確実に接着材を孔に導くことができるため、より小さな孔径や、接着材が流出しにくい孔形状の場合でも適用することが可能となる。
この方法は吸入補助装置17を別途用いる必要があるが、はみ出しの発生を最小限に抑えつつ接着部を効率的に形成することができる方法として有効である。
本発明を用いて構成した接着構造部材1は、従来構造に比べて接着材12のはみ出し量を少なくでき、外力が加わった際の板状部材10の変形を妨げることなく、設計どおりの変形モードを得ることができる特徴を有している。そのため構造用部材としては自動車用部材や車両用部材、船舶用部材などに幅広く用いることが可能である。特に自動車用部材としては、衝突時に安定的に変形させ、歩行者や乗員への障害値予測の設計が必要となる自動車用フード(ボンネット)やフロアパネル、トランクリッド、ルーフ、ドアパネル構造などの自動車用外板パネル部材に用いることがより好ましい。
板状部材10、11を構成する材料としては、少なくともどちらかの部材が接着構造で軽量化が期待でき、強度向上効果が大きいFRP製であることが望ましい。さらに各板状部材については、少なくとも1枚のCFRP織物材を積層材料に有していることが望ましい。本発明の板状部材には、孔あけ加工を行う必要があるが、そのとき、CFRP織物材を積層していれば、孔周りの部材破壊を抑制でき、強度低下を防ぐことができる。
また図示は省略するが、本発明の適用対象となるFRP製構造用部材の板状部材10及び11の構造としては、FRP製の単板構造のものは勿論のこと、例えば、比重の小さいコア材を有し、その片面にFRP板を配置した部材構成、あるいはその両面側にFRP板を配置した部材構成(いわゆるサンドイッチ構成)とすることも可能である。このような構成においても、これらFRP板に対して、前述したような本発明における接着構造を適用することができる。
本発明にかかる接着構造体は、自動車用ボンネット構造体に限らず、フロアパネル、トランクリッド、ルーフ、ドアパネルなどの自動車用外板パネル部材に応用することができ、また外力が加わって部材が変形する際の挙動が重要となる構造体すべてに応用できるものであり、その応用範囲が限られることはない。
1 接着構造部材
2 接着面端部(構造内部側)
3 接着面端部(構造外部側)
4 孔
10 板状部材
11 板状部材
12 接着材
13 より好ましい実施形態における板状部材
14 接着材の退避ゾーン18を設けた板状部材
15 板状部材13接着面端部に設けられた凸状の突起
16 板状部材10の接着面端部に接着された介在物
17 吸入補助装置
18 退避ゾーン
20 従来構造の板状部材
21 外力を受け変形した板状部材
2 接着面端部(構造内部側)
3 接着面端部(構造外部側)
4 孔
10 板状部材
11 板状部材
12 接着材
13 より好ましい実施形態における板状部材
14 接着材の退避ゾーン18を設けた板状部材
15 板状部材13接着面端部に設けられた凸状の突起
16 板状部材10の接着面端部に接着された介在物
17 吸入補助装置
18 退避ゾーン
20 従来構造の板状部材
21 外力を受け変形した板状部材
Claims (9)
- 2つの板状部材の間を接着材で接合した接着構造体において、2つの板状部材のうち少なくとも一つの板状部材の接着材を介して接合される接着面に一つ以上の孔を設けたことを特徴とする接着構造体。
- 前記板状部材のうち少なくともいずれか一方の接着面端部に凸断面を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の接着構造体。
- 前記孔の開口位置が前記接着面端部より接着幅の20%以上離れていることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の接着構造体。
- 前記孔の直径が板状部材の板厚の1倍以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の接着構造体。
- 前記孔の板厚方向における開口断面がテーパー状であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の接着構造体。
- 前記部材板状部材のうち少なくともいずれか一方が繊維強化樹脂製部材であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の接着構造体。
- 前記接着構造体が自動車構造用部材であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の接着構造体。
- 前記構造用部材が自動車用フード、フロアパネル、トランクリッド、ルーフ、ドアパネルのいずれかであることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の接着構造体。
- 2つの板状部材を接着材で張り合わせる際に、前記孔の上に吸入補助装置を設置し、前記接着材を前記孔に誘導することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の接着構造体の製作方法。
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