JP2010029655A - 断熱製品及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】バッフル内に内部バルブを追加してダウンのような断熱材の移動を抑制する区画を生成する断熱製品を提供する。
【構成】内部バルブによって形成される区画間の断熱材の流れを防ぐようになっている内部バルブと係わる断熱製品及びその生成方法。これにより、典型的な水平バッフルに加えて垂直バッフルを生成することが可能となる。
【選択図】 図９

Description

ダウンフェザー(Ｄｏｗｎ Ｆｅａｔｈｅｒ)断熱寝袋は、今日市場で極めて一般的に見られる。様々なブランドの様々な製品が、その製品に対して様々なルックスを与えているが、基本的な構造は２０年以上にわたって変わっていない。いかなるダウン製作手法の背後にある基本的なアイデアは、空間の区画を生成し、そこにダウン中身を詰め込み、詰め込み穴を閉じることにある。

ダウンは、断熱材として、より低い密度の領域へ移動する液体のように振舞う。従って、ダウン寝袋を設計する際の鍵は、詰め込み重量（ダウン量）と空間の容積との微妙なバランスをとることにある。この制限のため、市場で見られる大部分の製品が、様々な色彩や美的外観を持っているが、基本的には同一の共通構造を共有している。以下は、２つの一般的に使用されているダウン製作手法である。

縫製構造（図１） − これは、軽量／低価格製品に極めて一般的に見られる極めて簡単な構造形態である。この基本構造は極めて簡単である：２枚のファブリック（織物）を縫い合わせることによって「トンネル」区画が生成される。このトンネル内にダウンフェザー中身を詰め込むことになる。この構造の欠点は、各縫い線（一般には「コールドスポット」と呼ばれている）に沿ってダウンの適用範囲（カバレージ）がなく、したがって不均一な熱性能を与えることにある。その結果、この製作手法は、熱性能が特に最重要ではない軽量／低価格製品において見られるに過ぎない。

バッフル構造（図２） − この構造は、今日ダウン製品に広く利用されている。このアイデアは、縫製構造と非常に類似していてかつ唯一の相違は「バッフルメッシュ」と呼ばれる仕切り材の追設である。このバッフルメッシュは、２枚のファブリックの間に位置して綿毛区画に対して「高さ」ファクターを提供する。その結果、コールドスポットは工程において除去され、したがってユーザに対して一層均一な熱性能を提供する。

上記の２つの構造の背後にあるアイデアは、ダウンがその内部の容積を一杯に埋めるための「中空チューブ」を生成することにある。この課題は、容積が多いほど、利用可能な自由空間がより多くなり、したがってダウン移動の機会がより高くなることである。ダウン移動とは、基本的には片側から他方側へのダウンの過剰な移動が不釣合いな適用範囲を生じさせ、調和した熱性能に影響を及ぼすことをいう。ダウン移動を回避するためには、各バッフル区画のサイズ／容積を制限することが重要であり、このことは結果的に今日市場においてほとんどすべてのダウン寝袋において極めて一般的に見られることである：水平バッフリング。サイズ、重量、構造、ブランドに関係なく、本質的にはすべてのダウン寝袋は水平バッフリングを伴う（図３）。

本発明は、バッフル内に内部バルブを追加してダウンのような断熱材の移動を抑制する区画を生成する。この新しい構造は、断熱製品の設計、美的外観及び熱性能により柔軟性をもたらす。

本発明は、アウターシェルと、内部ライニングと、前記シェルの片方端から反対端まで延在して、前記アウターシェルを横断する隣接バッフルメッシュ間にバッフルを生成する、前記アウターシェルに装着されるバッフルメッシュと、
それぞれが前記バッフル内の４箇所の隅部の２箇所に装着されている内部バルブと、前記区画のそれぞれに載置される断熱材と、前記バッフルメッシュのそれぞれと前記アウターシェルに装着される前記内部ライニングとを備えることを特徴とする。

前記内部バルブのそれぞれが前記２箇所の隅部に装着される前に捻るようにするのが好ましい(請求項２)。

前記内部バルブのそれぞれが前記２箇所の隅部に装着される前に折り畳まれるようにするのが好ましい(請求項３)。

前記断熱材がダウンであるのが好ましい(請求項４)。

前記製品が寝袋、衣類であるのが好ましい(請求項５，６)。

前記バッフルが、前記製品を横断して水平に生成されるのが好ましい（請求項７）。

前記バッフルが、前記製品を横断して垂直に生成されるのが好ましい（請求項７）。

本発明の断熱製品の製造法は、アウターシェルを生成することと、内部ライニングを生成することと、前記アウターシェルの片側を前記内部ライニングの片側に装着することと、バッフルメッシュを前記アウターシェルの片側から反対側に装着して前記アウターシェルを横断してそれぞれの隣接バッフルメッシュ間にバッフルを生成することと、内部バルブを生成することと、それぞれの内部バルブを前記バッフル内の４箇所の隅部の２箇所に装着することと、前記内部ライニングを前記バッフルメッシュに装着することと、隣接バッフルメッシュ間の空間に断熱材を追加することと、前記内部ライニングの残りの側を前記アウターシェルに装着することと、を含むことを特徴とする。

前記内部バルブのそれぞれが前記２箇所の隅部に装着される前に捻られているのが好ましい（請求項１０）。

前記内部バルブのそれぞれが前記２箇所の隅部に装着される前に折り畳まれるのが好ましい（請求項１１）。

前記断熱材がダウンであるのが好ましい（請求項１１）。

前記製品が寝袋、衣服であるのが好ましい（請求項１２，１３）。

前記バッフルが、前記製品を横断して水平に生成されるのが好ましい（請求項１４）。

前記バッフルが、前記製品を横断して垂直に生成されるのが好ましい（請求項１５）。

内部バルブ構造の導入は、現在の製作手法を凌ぐいくつもの利点を提供する。
１． それは、ダウン寝袋設計において一層優れた柔軟性（設計の自由度）を提供する。
２． バッフルを垂直にすることを可能にすることによって、バッフルメッシュの使用を低減させ、したがって製品総重量を軽減させる（図７）。
３． より快適な着用者経験を提供する。垂直バッフリングは、体輪郭に沿うが、水平バッフリングを持つ従来のダウン寝袋は、体輪郭に沿っていない。着用者は、より自然に感じかつ内部でフィットして、よってより快適な経験を得るであろう。

代表的な既存の縫製構造を示す。 代表的な既存のバッフル構造を示す。 代表的な既存の水平バッフリングを示す。 既存のバッフル構造及び内部バルブを追加した該構造を示す。 内部バルブによって分離された、部分的にダウンが詰め込まれた区画の部分断面図を示す。 内部バルブによって分離された、ダウンが詰め込まれた区画の部分断面図を示す。 垂直バッフルを利用する寝袋及び内部バルブによって分離されたダウン詰め込み区画の部分平面図を示す。 内部バルブによって生成される区画の透視断面図及び１つの内部バルブの平面図を示す。 内部バルブの他の実施例及びバッフルボックスの隅部におけるそれらの装着を示す。

本発明は、バッフル区画のそれぞれの内部のトラップドアとして作用する内部バルブを追設することによって、現在のバッフル構造を改善している。ダウンは流体とよく似た振舞いをするが、ダウンフェザーは互いに絡み合う傾向があるので遥かにゆっくりしたペースで動く。この内部バルブの設置は、ダウンを閉じ込めるためではなくむしろダウンの動きを制限するために十分な妨害を提供することである。

この内部バルブ構造をうまく活用することによって、バッフル容積を制限するという制約なしでダウン寝袋を設計することが可能である。最も明白な改善の一つは、垂直バッフリング（Baffling）付きダウン寝袋の生成の可能性である。現在の利用可能な製作手法の下では、代表的な垂直バッフル・区画は６０インチ〜７０インチの長さであって、これは重大なダウン移動の問題をもたらすであろう。このセットアップについての起こりうる問題は、もしダウンが他方端を越えて片方端へ向けてかなり移動するならば、熱性能の重大な不釣合いが生じることである。この内部バルブ構造を用いれば、「トラップドア」は、ダウンがバッフル容積の内で自由に動くのを防止する。この内部バルブの背後にある構想は、ダウンを互いから完全に隔離しないが、バルブの各側の背後にあるダウンを互いに押し合うことによってダウンの動きを制限することである。各区画をダウンで詰め込むことによって、内部バルブの各側にその結果かかってくる圧力は本質的には内部バルブ及びダウンの動きを防止する（図４，５及び６）。

図８から分かるように、内部バルブは片方端のみにおいて水平又は垂直バッフルのいずれかの上のバッフルメッシュに固定される。シェルファブリック、ライニングファブリック、別のバッフルメッシュに装着しないことによって、内部バルブはそのトラップドア機能を果たすことが可能とされる。また、シェル又はライニングファブリックのいずれにも装着されないので、内部バルブは外部から見えない。

この内部バルブは、バッフルメッシュに一般的に使用されるファブリック又はネッティング（網細工）で構成され得る。内部バルブは、制動性(resistance to movement)を増加させるために図９のＣに示すように半分に折り畳むことができる。その上、内部バルブは、装着前に捻ることができる（図９のＡ及びＢ）。

２つの隣接するバッフルメッシュ間の空間は、典型的には図に示すようにボックスの形をしたバッフルを生成する。バッフルメッシュは、バッフルボックスの隅部において内部ライニング又はアウターシェルに接合される。他の実施形態において、内部バルブの反対端部がバッフルメッシュへの装着の代わりにバッフルボックスの隅部において装着される。図９に示すように、代表的なバッフルボックス構造の隅部は１，２，３，及び４として識別され得る。内部バルブは、図９のＡ及びＢに示すように、１及び２又は２及び４のようにこれらの隅部のいずれの２つに装着できる。

別の実施形態において、内部バルブは制動性を向上させるために本質的には半分に折り畳まれる（図９の実施形態Ｃ）。

上記の発明は、寝袋、衣服、毛布及び配管、建物、住宅、構造物など他の用途の構造に使用できる。その利用はダウン断熱に限定されないで、合成繊維又は特定の用途に使用されることが望まれる他の断熱材に使用できる。材料の種類及び内部バルブの装着方法は断熱製品に意図される特定の用途に応じて変えることもできる。開示された実施形態からの逸脱が本発明の適用範囲内でなされてもよいこと及び明白な変更が当業者にとって起こりうることが認められる。

Claims (16)

1. アウターシェルと、
   内部ライニングと、
   前記シェルの片方端から反対端まで延在して、前記アウターシェルを横断する隣接バッフルメッシュ間にバッフルを生成する、前記アウターシェルに装着されるバッフルメッシュと、
   それぞれが前記バッフル内の４箇所の隅部の２箇所に装着されている内部バルブと、
   前記区画のそれぞれに載置される断熱材と、
   前記バッフルメッシュのそれぞれと前記アウターシェルに装着される前記内部ライニングとを備えることを特徴とする断熱製品。
2. 前記内部バルブのそれぞれが前記２箇所の隅部に装着される前に捻られることを特徴とする、請求項１に記載の断熱製品。
3. 前記内部バルブのそれぞれが前記２箇所の隅部に装着される前に折り畳まれることを特徴とする、請求項１に記載の断熱製品。
4. 前記断熱材がダウンであることを特徴とする、請求項１に記載の断熱製品。
5. 前記製品が寝袋であることを特徴とする、請求項１に記載の断熱製品。
6. 前記断熱製品が、衣類であることを特徴とする、請求項１に記載の断熱製品。
7. 前記バッフルが、前記製品を横断して水平に生成されることを特徴とする、請求項１に記載の断熱製品。
8. 前記バッフルが、前記製品を横断して垂直に生成されることを特徴とする、請求項１に記載の断熱製品。
9. アウターシェルを生成することと、
   内部ライニングを生成することと、
   前記アウターシェルの片側を前記内部ライニングの片側に装着することと、
   バッフルメッシュを前記アウターシェルの片側から反対側に装着して前記アウターシェルを横断してそれぞれの隣接バッフルメッシュ間にバッフルを生成することと、
   内部バルブを生成することと、
   それぞれの内部バルブを前記バッフル内の４箇所の隅部の２箇所に装着することと、
   前記内部ライニングを前記バッフルメッシュに装着することと、
   隣接バッフルメッシュ間の空間に断熱材を追加することと、
   前記内部ライニングの残りの側を前記アウターシェルに装着することと、
   を含むことを特徴とする断熱製品を生成する方法。
10. 前記内部バルブのそれぞれが前記２箇所の隅部に装着される前に捻られていることを特徴とする、請求項９に記載の断熱製品。
11. 前記内部バルブのそれぞれが前記２箇所の隅部に装着される前に折り畳まれることを特徴とする、請求項９に記載の断熱製品。
12. 前記断熱材がダウンであることを特徴とする、請求項９に記載の断熱製品。
13. 前記製品が寝袋であることを特徴とする、請求項９に記載の断熱製品を生成する方法。
14. 前記断熱製品が、衣服であることを特徴とする、請求項９に記載の断熱製品を生成する方法。
15. 前記バッフルが、前記製品を横断して水平に生成されることを特徴とする、請求項９に記載の断熱製品を生成する方法。
16. 前記バッフルが、前記製品を横断して垂直に生成されることを特徴とする、請求項９に記載の断熱製品を生成する方法。
    

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