JP2010026274A - 液晶表示素子、プロジェクタ及び液晶表示素子用基板の製造方法 - Google Patents

液晶表示素子、プロジェクタ及び液晶表示素子用基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凸部を有する表面に、斜め蒸着により無機材料からなる無機配向膜を形成すると、凸部の影となる部分に液晶分子の配列方向が異なるドメインが発生して、表示のむらの発生やコントラストが低下するなどの原因となった。
【解決手段】凸部6を有する基板表面に、無機材料を斜め方向から蒸着形成した第1無機配向膜7と、上記斜め方向と平面視反対方向の斜め方向から蒸着形成した第2無機配向膜8とを設けて、上記第1無機配向膜7が蒸着形成された方向の凸部6の側壁W1に接する基板表面の近接領域R1を、液晶層4と接するように露出させて、上記ドメインの発生を抑制した。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示素子、プロジェクタ及び液晶表示素子用基板の製造方法に関し、特に、無機配向膜を形成した基板を用いた液晶表示素子及びその製造方法に関する。
液晶表示素子は、内面に電極が形成された2枚の基板と、その2枚の基板の間隙に挟持された液晶層、液晶層の分子配向の変化を視覚化するための偏光板から構成されている。液晶表示素子は、内面に形成された電極に電圧を印加することにより、液晶分子の配向方向を変化させる。液晶分子の配向方向が変化すると、液晶層を透過する偏光光線の偏光軸が変化し、この変化の状態を2枚の偏光板により視覚化して表示を行う。
2枚の基板の内面には、液晶層の分子配向を規制するための配向膜が形成されている。通常、配向膜はポリイミド樹脂等の有機配向膜や、シリコン酸化膜を斜方蒸着した無機配向膜が使用される。特に、液晶表示素子が強い光や高温に晒されるプロジェクタ等の投影型画像表示装置においては、配向膜の劣化、これに伴う液晶分子配向の乱れ、ドメインの発生等の観点から、無機配向膜の使用が検討されてきている。
図8は、液晶表示素子を構成する一対の基板のうちの下基板51の模式的な縦断面図である。下基板51の液晶層54の側の表面には凸部56が形成されている。凸部56は、例えば電極配線、また、内部にMOSトランジスタや薄膜トランジスタが形成される領域、或いは、図示しない上基板との間の間隔を規定するためのスペーサである。液晶層54を構成する液晶分子は負の誘電異方性を有している。下基板51の表面には、電極膜52が形成されている。電極膜52の上には、基板面に対して垂直方向から無機材料を蒸着した第1無機配向膜57と、基板面に対して左斜め方向59から斜方蒸着した第2無機配向膜58が形成されている。第1無機配向膜57は、液晶層54を構成する液晶分子55を基板面に対して垂直方向に配向させるために設けている。第2無機配向膜58は、液晶分子55の基板面に対する配向方向を、垂直方向からわずかにずれたプレチルト角を持つようにするために設けてある。
基板表面に対して液晶分子55にわずかなプレチルト角を設けるのは、次の理由による。負の誘電異方性を有する液晶層54は、液晶分子55の長軸方向の誘電率よりも、短軸方向の誘電率が大きい。この液晶分子55を、電界無印加時には基板面に対して垂直方向を向くように配向させ、電界印加により水平方向に倒れるようにする。しかし、プレチルト角を有しない、即ち、基板面に対して液晶分子55が垂直に配向している場合は、液晶層54に電界を印加したときに液晶分子55の倒れる方向が一様にならない。即ち、電界印加により左側に倒れる領域や右側に倒れる領域が発生する。すると、液晶層54を通過する偏光光線の複屈折率に差が生じて光の透過率に差が生じ、表示むらやコントラストむらが発生し、あるいはコントラスト自体が低下する。このような不具合を防止するために、液晶分子55に予めプレチルト角を設けて、電界印加時に液晶分子が倒れる方向を一様化している。
特許文献1には、基板の液晶層側表面に凸部が形成されている場合の斜め蒸着法について記載されている。特許文献1においては、斜め蒸着の際に凸部の影となる領域に液晶分子の配向むらが生じるのを防止するために、この影となる凸部の側壁面の傾斜を緩和させて、無機配向膜がこの傾斜面に形成されるようにしている。また、特許文献2においては、基板の液晶層側表面に凹部からなる溝が形成されている場合に、溝により液晶分子の配向方向が乱れることを防止するために、溝を微粒子により埋めた後に、無機材料を斜め蒸着して無機配向膜を形成することが記載されている。
特開2007−178699号公報 特開2002−268067号公報
図8に示す液晶表示素子用の下基板51では、凸部56の右側側壁に接する基板表面は、斜め左上方向から無機材料を斜方蒸着する際の影となり、第2無機配向膜58が堆積されない、或いは均一に堆積することができない。そのため、当該影となる領域Aにおいては、第1無機配向膜57が液晶層54と接することになり、液晶分子55にその下地膜である第1無機配向膜57の配向規制力が及ぶ。その結果、当該領域Aにおける液晶分子55のプレチルト角は、法線方向、即ちほぼ0°となる。この状態で電極膜52に電圧を印加すると、領域Aの液晶分子55は他の領域の液晶層54とは異なる方向に倒れ、液晶分子55の配列方向が異なるドメインが形成される。このドメインでは液晶分子55の配列方向が他の領域とは異なるために、液晶層54を通過する光の複屈折率も他の領域とは相違することになり、透過率のむらやコントラストの低下が生じた。
また、特許文献1に記載のように、凸部の側壁面を斜方蒸着の蒸着角度よりも大きな角度、すなわち傾斜面を緩く形成するためには、凸部に特殊な加工を施す必要があり、加工方法が複雑になった。また、基板表面からの高さの高い凸部を形成しようとすると、凸部の基板面に占める面積が増大し、表示に寄与可能な開口率が低下した。
本発明は上記課題を解決するために以下の手段を講じた。
請求項1の発明においては、互いに対向する一対の基板と前記一対の基板間に挟持された液晶層を備えており、少なくとも一方の前記基板の前記液晶層の側の表面には、前記表面から突出する凸部と、無機材料を前記表面に対して斜め方向から蒸着形成した第1無機配向膜と、無機材料を前記斜め方向と平面視反対方向の斜め方向から蒸着形成して、前記第1無機配向膜の上に積層された第2無機配向膜と、が設けられており、前記凸部の側壁に接する前記表面の近接領域のうち、前記第1無機配向膜が蒸着形成された方向の側壁の近接領域は、前記第1無機配向膜が露出して前記液晶層と接する液晶表示素子とした。
請求項2の発明においては、互いに対向する一対の基板と前記一対の基板間に挟持された液晶層を備えており、少なくとも一方の前記基板の前記液晶層の側の表面には、前記表面から突出する凸部と、前記表面の法線に対して傾斜する柱状構造を有する第1無機配向膜と、前記法線を基準にして前記第1無機配向膜の柱状構造の傾斜方向とは逆方向に傾斜する柱状構造を有し、前記第1無機配向膜の上に積層された第2無機配向膜と、が設けられており、前記凸部の対となる両側壁に接する前記表面の近接領域のうち、一方の側壁の側の近接領域は、前記第1無機配向膜が露出して前記液晶層と接し、他方の側壁の側の近接領域は、前記第2無機配向膜が前記液晶層と接する液晶表示素子とした。
請求項3の発明においては、前記第1無機配向膜は、前記第2無機配向膜よりも前記法線に対する柱状構造の傾斜角が大きいことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示素子とした。
請求項4の発明においては、前記第1無機配向膜の表面又は表面近傍における前記液晶層を構成する液晶分子のプレチルト角と、前記第2無機配向膜の表面又は表面近傍における前記液晶層を構成する液晶分子のプレチルト角とは、略同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示素子とした。
請求項5の発明においては、前記凸部は、前記一対の基板の間隔を規定するスペーサであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子とした。
請求項6の発明においては、光源と、請求項1〜5のいずれか1項に記載した液晶表示素子と、投射レンズとを含むプロジェクタとした。
請求項7の発明においては、基板の表面に平坦面から突出する凸部を形成する工程と、前記基板の表面に、前記表面に対して斜め方向から無機材料を蒸着して第1無機配向膜を形成する工程と、前記基板の表面に、平面視前記斜め方向と反対の斜め方向から無機材料を蒸着して第2無機配向膜を形成する工程と、を含む液晶表示素子用基板の製造方法とした。
液晶表示素子を構成する少なくとも一方の基板の液晶層側の表面には、基板表面から突出する凸部と、無機材料を斜め蒸着した第1無機配向膜と、その斜め蒸着方向と平面視反対方向から斜め蒸着して、液晶層に接する第2無機配向膜とが設けられている。そして、凸部の側壁に接する基板表面の近接領域のうち、第1無機配向膜が蒸着された方向の側の近接領域は、第1無機配向膜が露出して液晶層と接するようにした。これにより、凸部側壁に接する基板表面の近接領域のうち、第1無機配向膜の斜め蒸着方向の近接領域において、液晶分子のプレチルト角(基板表面の法線に対する液晶分子の傾き角)は第1無機配向膜により規制される。その結果、液晶分子の配列方向が異なるようなドメインの発生を低減させて、表示むらやコントラストむらを低減させることができる。
以下、本発明について図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明に係る液晶表示素子1の基本的な構成を説明するための説明図である。図1(a)は、液晶表示素子1の模式的な部分断面図であり、図1(b)は、下基板2の表面を説明するための模式的な部分断面図を表す。
図1(a)に示すように、液晶表示素子1は下基板2及び上基板3の間に液晶層4が挟持されている。下基板2の液晶層4側の表面には凸部6が形成され、この凸部6と下基板2の表面には第1無機配向膜及び第2無機配向膜が積層した無機配向膜Sが形成されている。上基板3の液晶層4側の表面には配向膜S’が形成されている。液晶層4の液晶分子5は、下基板2の表面に形成された無機配向膜Sと上基板3の表面に形成された配向膜S’の配向規制力により、その長軸方向を基板面に対して概ね垂直な方向に一様に配向している。下基板2の液晶層4側の表面と無機配向膜Sとの間には図示しない電極が形成され、上基板3の液晶層4側の表面と配向膜S’との間にも図示しない電極が形成されている。この電極に電圧を与えて液晶層4に電界を印加し、上下基板2、3の間隙部の液晶分子配向を変化させる。液晶分子配向が変化すると、液晶層4を通過する光の偏光方向、あるいは複屈折率が変化する。この変化を偏光板により可視化して、表示動作を行う。
図1(b)を用いて、下基板2の液晶層4側の表面状態について、具体的に説明する。下基板2の液晶層4側の表面には、右上斜め方向D1から無機材料を蒸着形成した第1無機配向膜7が形成されている。第1無機配向膜7は、凸部6の上面と右上斜め方向D1の側に面している右側の側面W1、及びこの側面W1に接する基板表面の右側の近接領域R1にも形成されている。一方、第1無機配向膜7は、凸部6の右上斜め方向D1の影になる左側の側面W2と、この側面W2に接する基板表面の左側の近接領域R2には形成されない。凸部6の影となるからである。
更に、左上斜め方向D2から無機材料を蒸着形成した第2無機配向膜8が第1無機配向膜7の上に形成されている。第2無機配向膜8は、凸部6の上面に形成された第1無機配向膜7の上と左上斜め方向D2の側に面している左側の側面W2、及びこの側面W2に接する基板表面の左側の近接領域R2にも形成されている。一方、第2無機配向膜8は、凸部6の左上斜め方向D2の陰になる右側の側面W1と、この側面W1に接する基板表面の右側の近接領域R1には形成されていない。
ここで、第1無機配向膜7及び第2無機配向膜8は蒸着方向に傾斜する柱状構造を有している。より具体的には、第1無機配向膜7の柱状構造は、概ね蒸着方向である右上斜め方向D1に向いている。第1無機配向膜7の上に積層された第2無機配向膜8の柱状構造は、蒸着方向である左上斜め方向D2に向いている。つまり、第1無機配向膜7の柱状構造の傾斜方向と、第2無機配向膜8の柱状構造の傾斜方向とは、基板表面の法線を基準として互いに逆方向を向いている。
以上の2層の無機配向膜Sにおいて、下基板2の液晶層4側の表面の大部分は第2無機配向膜8が露出しており、液晶層4を構成する液晶分子5の基板表面における配向は、第2無機配向膜8により規制される。一方、凸部6の右側の側面W1に接する右側の近接領域R1においては、第1無機配向膜7が露出している。従って、この右側の近接領域R1における液晶分子5の配向は、第1無機配向膜7により規制される。
例えば、負の誘電異方性を持つ液晶層4を使用し、無機材料としてシリコン酸化膜を使用した場合には、第2無機配向膜8の上の液晶分子5は所定のプレチルト角を有して略垂直方向に配向する。また、第1無機配向膜7の上の液晶分子5も平面視同じ方向であってほぼ同じプレチルト角をもって略垂直方向に配向する。そのために、第1無機配向膜7が露出する近接領域R1における液晶分子5の配向方向と、その他の領域の第2無機配向膜8に接する液晶分子5の配向方向とは略同じになる。その結果、液晶層4に電界を印加して液晶分子の配向方向を変化させても、液晶分子の配向が不ぞろいとなるドメインの発生を抑制することができ、表示むらやコントラストむら、更に、光の抜けによるコントラストの低下を低減することができる。
図2は、本発明の液晶表示素子1に形成する無機配向膜の、蒸着角度と液晶分子のプレチルト角の関係の一例を表す。図2(a)は、無機材料の蒸着角度θと液晶分子のプレチルト角φとの関係を表す。図2(a)の横軸は蒸着角度θ(°)を表し、図2(b)に示すように、無機材料の蒸着方向Dと基板表面の法線nとのなす角度である。図2(a)の縦軸は基板表面における液晶分子のプレチルト角φ(°)を表し、図2(c)に示すように、液晶分子5の長軸方向の基板表面の法線nとのなす角度である。ここで、無機材料としてシリコン酸化物を用い真空度8×10−3Paで斜め蒸着した。プレチルト角は、負の誘電異方性を有する液晶材料を使用して測定した。
図2(a)に示すように、領域Y1においては、蒸着角度θを35°〜50°へ増加させるに従い、プレチルト角φは略1.5°〜6°に上昇した。即ち、蒸着角度θとプレチルト角φとは比例関係にある。また、斜め蒸着した無機配向膜Sは、概ねその蒸着方向Dの方向に柱状構造が形成され、蒸着角度θが大きくなるに従い、基板面の法線に対する柱状構造の傾斜角も大きくなる。領域Y1の挿入図に示すように、液晶分子5の長軸方向は、この柱状構造の傾く方向に傾いている。これに対して、蒸着角度θが略53°以上となる領域Y2においては、柱状構造の傾斜角は大きくなるが、液晶分子5の傾く方向は反転する。即ち、蒸着角度θを55°〜60°へ増加させると、プレチルト角φは略6.4°〜2.5°に減少する。これは、無機配向膜Sの柱状構造は、蒸着角度θを53°以上とした場合でも概ね蒸着方向Dの方向により大きな傾斜角をもって傾斜するが、液晶分子5は、領域Y2の挿入図に示すように、柱状構造の傾く方向と交叉する方向に配向するためである。つまり、蒸着角度θ=53°を境に、無機配向膜Sの柱状構造に対する液晶分子5の配向方向は、柱状構造の傾斜方向からこれに交叉する方向へ遷移する。
段差状の凸部が形成された基板表面に無機材料を斜め蒸着して無機配向膜を形成する場合に、蒸着されない影の近接領域が生成されることは、避けることができない。この近接領域は、下地表面が露出して液晶分子の配向が下地表面の影響を受けることになる。本発明は、特定の蒸着角度θを境にして液晶分子5の傾く方向が反転し、かつ、反転した2つの領域Y1、Y2においてプレチルト角φがほぼ等しくなる、という性質を利用するものである。この性質を利用すれば、段差状の凸部の影となる近接領域にも、他の領域と同じプレチルト角を実現することができる。本発明は、この知見に基づいてなされた。
垂直配向の液晶層を利用する場合に、液晶分子のプレチルト角φを、通常、1°〜6°の範囲に設定する。この範囲よりもプレチルト角を小さくすると、液晶に電界印加時に液晶分子の倒れる角度が定まらず、表示にむらが発生しやすい。また、この範囲よりもプレチルト角を大きくすると、漏れ光が増大してコントラストが低下する。
図2(a)のグラフから、蒸着角度θを略35°〜50°の場合と、蒸着角度θを略57°〜60°の場合とのいずれの場合にも、プレチルト角φは1°〜6°の範囲内となる。そして、領域Y2におけるプレチルト角φは、法線方向を中心にして領域Y1におけるプレチルト角φとは反対の方向に倒れている。このことは、凸部6の一方の側壁側から領域Y1の条件で斜方蒸着を行い、他方の側壁側から領域Y2の条件で斜方蒸着を行うことにより、いずれの側壁に近接する近接領域においても液晶分子5のプレチルト角φをほぼ同じ方向に揃えることができることを意味する。
第1無機配向膜7と第2無機配向膜8の蒸着角度θは、夫々のプレチルト角φが概ね一致するように設定することが好ましい。即ち、第1無機配向膜7の蒸着角度θを略57°とする場合には、第2無機配向膜8の蒸着角度θを略50°に設定する。以下同様に、第1無機配向膜7の蒸着角度θを略58°とする場合には、第2無機配向膜8の蒸着角度θを略48°に、第1無機配向膜7の蒸着角度θを略60°とする場合には、第2無機配向膜8の蒸着角度θを略40°に夫々設定する。これにより、凸部6の側壁W1、W2に接する両側の近接領域R1、R2における液晶分子5のプレチルト角φを一致させることができる。
また、凸部6の高さが高い場合でも、凸部の両側壁W1、W2に接する近接領域R1、R2の液晶分子5を一様に配向させることができる。従って、液晶表示素子を構成する2枚の基板の間隙を規定するためのスペーサを一方の基板の液晶層4側に形成する場合においても、凸部近傍の液晶分子5を一様に配向させることができるので、配向方向が異なるドメインの発生を防止することができる。
なお、図2(a)において、横軸を蒸着角度θとしたが、これに代えて、無機配向膜の柱状構造の傾き角θ’に置き換えることができる。蒸着角度θと柱状構造の傾き角θ’は一致しないが一定の関係を有している。即ち、蒸着角度θが大きいほど、柱状構造の傾き角θ’は大きくなる。つまり、図2(a)の領域Y1においては、柱状構造の傾き角θ’が大きくなるほど、その表面に接する液晶分子5のプレチルト角φは大きくなる。また、領域Y2においては、柱状構造の傾き角θ’が更に大きくなるほど、プレチルト角φは小さくなる。
以上の説明において、液晶表示素子1として、TN型液晶表示素子、STN型液晶表示素子とすることができる。また、下基板2の内表面の画素ごとにTFT形成した液晶表示素子、下基板2としてシリコン単結晶基板を用い、画素ごとにMOSトランジスタを形成した反射型液晶表示素子等とすることができる。また、斜め方向から蒸着形成した無機配向膜、或いは柱状構造を有する無機配向膜を、下基板の内面とともに上基板の内面に形成することができる。また、無機材料としてシリコン酸化膜の他にアルミニュウム酸化物、チタン酸化物、フッ化マグネシウム等の酸化物やフッ化物を使用することができる。
以下、本発明に係る液晶表示素子1の実施形態を、図面を用いて具体的に説明する。
(実施形態1)
図3は、本発明の液晶表示素子1に形成する無機配向膜の、蒸着角度と液晶分子のプレチルト角の関係を表し、特に、図2において示した無機配向膜の蒸着条件等を変えた場合を表す。横軸は蒸着角度θ(°)を表し、縦軸は基板表面における液晶分子のプレチルト角φ(°)を表す。無機配向膜としてシリコン酸化物を用い、負の誘電異方性を有する液晶材料を使用してプレチルト角φを測定した。

グラフαは、真空蒸着装置αにより真空度8×10−3Paにおいてシリコン酸化物を斜め蒸着したときの結果であり、図2に示したグラフと同じである。グラフβは、真空蒸着装置βにより真空度9.5×10−3Paにおいてシリコン酸化物を斜め蒸着したときの結果である。グラフγは、真空蒸着装置γにより真空度5.6×10−3Paにおいてシリコン酸化物を斜め蒸着したときの結果である。グラフαは図2において既に説明した。グラフβは、蒸着角度θが40°から増加するにつれてプレチルト角φが増加し、蒸着角度θが概ね59°でプレチルト角φが略4.5°の最大となる。更に蒸着角度θが増加すると、無機配向膜に対して液晶分子の配向方向が遷移し、プレチルト角φは減少する。グラフγにおいては、蒸着角度θが35°から増加するにつれてプレチルト角φが増加し、蒸着角度θが概ね47°においてプレチルト角φが略5.6°の最大となる。更に蒸着角度θが増加すると、液晶分子の配向方向が遷移してプレチルト角φは減少する。

従って、液晶分子のプレチルト角を1°から6°の範囲に一様に揃えるための蒸着角度は以下のようになる。グラフαにおいては、プレチルト角が最大となる蒸着角度をθcとして、第1無機配向膜7の蒸着角度は概ね(θc+4°)〜(θc+7°)の範囲であり、第2無機配向膜8の蒸着角度は概ね(θc−18°)〜(θc−7°)の範囲である。グラフβにおいては、第1無機配向膜7の蒸着角度は概ねθc〜(θc+6°)の範囲であり、第2無機配向膜8の蒸着角度は概ね(θc−10°)〜θcの範囲である。グラフγにおいては、第1無機配向膜7の蒸着角度は概ねθc〜(θc+9°)の範囲であり、第2無機配向膜8の蒸着角度は概ね(θc−12°)〜θcの範囲である。

このように、蒸着装置や蒸着条件を変えても、最大プレチルト角が存在し、この最大プレチルト角において液晶分子配向の遷移が発生する。そのため、斜め蒸着の際に影が発生するような凸部が表面に形成される場合でも、影が発生する方向から更に斜め蒸着することにより、凸部の両側壁に接する基板表面の近接領域において液晶分子を同一方向に揃えることができる。この場合に、プレチルト角φが最大となる蒸着角度をθcとして、第1無機配向膜7は蒸着角度が概ねθc〜(θc+10°)の範囲で、第2無機配向膜8は第1無機配向膜7と平面視反対方向の蒸着角度が概ね(θc−18°)〜θcの範囲で斜め蒸着すればよい。
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る液晶表示素子1の模式的な部分断面図である。本実施形態2においては、凸部6を一対の基板間の間隙の距離を規定するスペーサとして構成した場合を表している。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
図4において、液晶層4は透明なガラス等からなる下基板2と透明なガラス等からなる上基板3との間に挟持されている。下基板2の液晶層4側の表面には、スペーサとして機能する絶縁体からなる凸部6が形成されている。従って、凸部6により基板間の距離が規定されている。下基板2の液晶層4側の表面には、互いに離間した複数の画素電極11が形成されている。凸部6の下基板2側の表面には図示しないTFT及び配線が形成されている。各TFTは、夫々対応する画素電極11に電気的に接続されており、各画素電極11に供給する表示信号を制御する。
画素電極11及び凸部6の表面には、右斜め方向から蒸着形成された第1無機配向膜7と、左斜め方向から蒸着形成された第2無機配向膜8が形成されている。第1無機配向膜7は、右斜め方向から蒸着されているために、凸部6の左側の側壁と、この凸部6に接し、凸部6の影となる基板表面には形成されていない。同様に、第2無機配向膜8は、左斜め方向から蒸着形成されているために、凸部6の右側の側壁と、この凸部6に接し、凸部6の影となる基板表面には形成されていない。その結果、下基板2の液晶層4側表面及び凸部6の大部分は第2無機配向膜8が露出し、凸部6の右側の側壁及びこの側壁に接する基板表面の近接領域は第1無機配向膜7が露出し、液晶層4と接している。
第1無機配向膜7及び第2無機配向膜8は、シリコン酸化膜の斜方蒸着により10nm〜500nmの厚さに堆積した。プレチルト角φが最大となる蒸着角度をθcとして、第1無機配向膜7は蒸着角度が概ねθc〜(θc+10°)の範囲で、第2無機配向膜8は第1無機配向膜7と平面視反対方向の蒸着角度が概ね(θc−18°)〜θcの範囲で斜め蒸着した。
このように斜め蒸着により形成された第1無機配向膜7及び第2無機配向膜8は柱状構造を有している。第1無機配向膜7は、蒸着方向である右斜め上方向に向けて傾斜する柱状構造を有しており、第2無機配向膜8は、蒸着方向である左斜め上方向に向けて傾斜する柱状構造を有している。第1無機配向膜7の柱状構造は、第2無機配向膜8の柱状構造のよりも、基板表面の法線からの傾斜角が大きい。
上基板3の液晶層4側の表面には、インジウム・スズ酸化物や亜鉛酸化物などからなる透明電極13と、その上の上配向膜12が積層形成されている。上配向膜12は、第2無機配向膜8と同様に、シリコン酸化膜の斜方蒸着により形成した。上配向膜12として、無機配向膜に代えて、ポリイミド等からなる有機配向膜を使用することができる。下基板2の外面、及び、上基板3の外面には夫々偏光板14及び上偏光板15が設けられている。
液晶層4は、負の誘電異方性を有している。画素電極11と透明電極13との間に電界が印加されないときは、液晶層4の液晶分子は、基板表面の法線に対して1°〜6°のプレチルト角を備えている。画素電極11と透明電極13との間に電界が印加されると、液晶層4の液晶分子は、基板面方向に倒れる。この場合に、凸部6の両側壁に接する基板表面の両近接領域において、液晶分子5の配向が揃っている。これにより、電界印加時のドメイン発生を防止することができる。
なお、凸部6として、シリコン酸化物やシリコン窒化物等の絶縁物を形成することができるとともに、絶縁物により被覆された金属等からなる導電体を使用することができる。第1無機配向膜7及び第2無機配向膜8として、シリコン酸化膜に代えてアルミニュウム酸化物、チタン酸化物、フッ化マグネシウム等の酸化物やフッ化物を使用することができる。画素電極11として、インジウム・スズ酸化物や亜鉛酸化物に変えてアルミニュウムやAg等の金属膜を使用して、反射型の液晶表示素子1とすることができる。この場合は、下基板2の外面に偏光板14を設ける必要がない。また、凸部6と下基板2との間に形成したTFTは、アモルファスシリコンやポリシリコンからなるTFTとすることができる。また、凸部6は、必ずしもTFTの上に形成する必要はなく、その他の領域、例えば画素電極11の領域に形成してもよいし、上基板3の液晶層4側の表面に形成してもよい。この場合は、上基板3の上配向膜12が、第1無機配向膜7及び第2無機配向膜8から構成されることになる。
(実施形態3)
図5は、本発明の他の実施形態3に係る液晶表示素子1の模式的な断面図である。本実施形態3においては、下基板2’としてシリコン基板を用いた反射型の液晶表示素子1である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
図5において、下基板2’とガラス等からなる上基板3との間に液晶層4が挟持されている。下基板2’の液晶層4側の表面には、凸部6’が形成されている。凸部6’と下基板2’の境界領域にはMOSトランジスタ16やコンデンサーが形成されている。凸部6’の表面、及び、凸部6’間の下基板2’表面には、図示しない画素電極が形成されている。下基板2’の表面には、右斜め上方向から斜め蒸着された第1無機配向膜7が形成されている。その上に、左斜め上方向から斜め蒸着された第2無機配向膜8が形成されている。第2無機配向膜8は左斜め方向から蒸着されているために、その影となる領域である凸部6’の右側側壁と、この側壁に接する下基板2’表面の近接領域は、第1無機配向膜7が露出している。その結果、下基板2’の液晶層4側表面及び凸部6’の大部分は第2無機配向膜8が露出し、凸部6’の右側の側壁及びこの側壁に接する基板表面の近接領域は第1無機配向膜7が露出し、液晶層4と接している。
第1無機配向膜7及び第2無機配向膜8は、シリコン酸化膜の斜方蒸着により10nm〜500nmの厚さに堆積した。プレチルト角φが最大となる蒸着角度をθcとして、第1無機配向膜7は蒸着角度が概ねθc〜(θc+10°)の範囲で、第2無機配向膜8は第1無機配向膜7と平面視反対方向の蒸着角度が概ね(θc−18°)〜θcの範囲で斜め蒸着した。また、第1無機配向膜7及び第2無機配向膜8は柱状構造を有している。第1無機配向膜7は、蒸着方向である右斜め上方向に向けて傾斜する柱状構造を有しており、第2無機配向膜8は、蒸着方向である左斜め上方向に向けて傾斜する柱状構造を有している。第1無機配向膜7の柱状構造の傾斜角は、第2無機配向膜8の柱状構造よりも、基板表面の法線からの傾斜角が大きい。
上基板3の液晶層4側の表面には、インジウム・スズ酸化物や亜鉛酸化物などからなる透明電極13と、その上の上配向膜12が積層形成されている。上配向膜12は、第2無機配向膜8と同様に、シリコン酸化膜の斜方蒸着により形成した。上配向膜12として、無機配向膜に代えて、ポリイミド等からなる有機配向膜を使用することができる。上基板3の外面には上偏光板15が設けられている。
液晶層4は、負の誘電異方性を有している。画素電極11と透明電極13との間に電界が印加されないときは、液晶層4の液晶分子5は、基板表面の法線に対して1°〜6°のプレチルト角を備えている。図示しない画素電極11と透明電極13との間に電界が印加されると、液晶層4の液晶分子5は、基板面方向に倒れる。この場合に、凸部6’の両側壁に接する基板表面の両近接領域において、液晶分子5の配向が揃っている。これにより、電界印加時のドメイン発生を防止することができる。
(実施形態4)
図6は、本発明の実施形態4に係る液晶表示素子用の基板の製造方法を説明するための説明図である。図6(a)は、液晶表示素子1用の下基板2に凸部6を形成した状態を表す模式的な断面図であり、図6(b)及び図6(c)は、真空蒸着装置20を表す模式図である。
図6(a)に示すように、下基板2の表面には種々の理由により凸部6が形成される。例えば実施形態2に示されるように、上下基板間のスペーサとして機能させるために凸部6を積極的に形成する場合がある。この場合は、下基板2上に画素電極11やTFTを形成する際に又は形成した後に、CVD法やプラズマCVD法によりシリコン酸化膜等の絶縁膜を堆積し、フォトリソグラフィ及びエッチング工程を通して凸部6に加工する。また、画素電極11やTFTを形成した後にガラス材料を塗布し、固化した後にフォトリソグラフィ及びエッチング工程を通して凸部6を形成することができる。或いは、画素電極11やTFTを形成した後に、基板表面の所定箇所にガラス材料を印刷し固化して凸部6を形成することができる。また、下基板2上にTFTやMOSトランジスタと配線電極を形成する場合に、この配線電極やTFTが凸部6を構成する場合がある。この種の凸部は、半導体層、電極膜、絶縁膜、保護膜等からなる多層構造を有している。
図6(b)は、第1無機配向膜7を蒸着する状態を模式的に表している。真空蒸着装置20は、チャンバー21、チャンバー21に設置された蒸着源22、シャッター23、下基板2を装着する図示しないホルダー等が構成されている。また、チャンバー21外には、チャンバー21内を排気して真空にする図示しない排気装置が取り付けられている。
下基板2を図示しないホルダーに設置する。設置の際には、下基板2表面の法線nに対し、蒸着源22から無機材料が飛来する方向D1の傾斜角をθ1に設定する。角度θ1は、55°〜60°とする。次に、チャンバー21内を所定の真空に排気し、無機酸化物、例えばシリコン酸化物を充填した蒸着源22を抵抗又は電子ビームにより加熱する。次に、シャッター23を開状態とする。無機材料は、法線nに対して角度θ1方向から蒸着され、第1無機配向膜が形成される。第1無機配向膜は、10nm〜500nmの厚さに形成する。所定時間経過後にシャッター23を閉状態とする。
図6(c)は、第2無機配向膜8を蒸着する状態を模式的に表している。チャンバー21内の真空状態を維持して、下基板2を回転して、基板表面の法線nに対して無機材料が飛来する方向D2の傾斜角をθ2に設定する。θ2は、35°〜50°とする。次にシャッター23を開状態にする。無機材料は、法線nに対して角度θ2方向から蒸着され、第2無機配向膜が形成される。第2無機配向膜は、10nm〜500nmの厚さに形成する。所定時間経過後にシャッター23を閉状態とする。
このように形成した第1無機配向膜は柱状構造を備えており、この柱状構造の傾斜角は、法線nに対して角度θ1よりも大きくなる。同様に、第2無機配向膜も柱状構造を備えており、この柱状構造の傾斜角は、法線nに対して角度θ2よりも大きく、かつ、第1無機配向膜の柱状構造の傾斜角よりも小さくなる。その結果、第2無機配向膜の蒸着により凸部6の影となる近接領域は、第1無機配向膜が露出する。これにより、凸部6の両側壁近傍の近接領域における液晶分子のプレチルト角を均一な方向に揃えることが可能となる。
なお、上記製造方法では、第1及び第2無機配向膜を同一のチャンバー21内において蒸着した。これに代えて、2つのチャンバーをロードロック方式により連続的に構成し、真空を破ることなく第1チャンバーで第1無機配向膜を蒸着し、第2チャンバーで第2無機配向膜を形成するようにしてもよい。これにより、サイクルタイムの短縮を図ることができる。また、以上の説明において、蒸着又は斜方蒸着という文言を使用したが、これは抵抗加熱や電子ビームにより無機材料を蒸発させて堆積させる場合の他に、スパッタリングによりターゲット材料から物理的に無機材料を飛散させる場合も含む。スパッタリングによる堆積では、無機材料の飛散する方向を揃えるためにマスク等を設置すればよい。
(実施形態5)
図7は、本発明の実施形態5に係る液晶表示素子を用いたプロジェクタ30を表す模式的なブロック図である。本実施形態5においては、例えば、実施形態2において説明した液晶表示素子1の、画素電極11を光反射型の導電薄膜とし、上下偏光板15、14を除去した、反射型の液晶表示素子40を使用する。また、実施形態3において説明した反射型の液晶表示素子1の、上偏光板15を除去した液晶表示素子40を使用する。従って、液晶表示素子40の構成については、実施形態2又は実施形態3と同様なので、説明を省略する。
プロジェクタ30は、光源31と、赤色R、緑色G、青色Bに分離するダイクロイックミラー32〜34と、偏光ビームスプリッタ35と、RGBごとに設置された3枚の液晶表示素子40と、合成プリズム36と、投影レンズ37から構成されている。光源31は、RGBの波長光を含むハロゲンランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、又はLED等から構成される。光源31の光は、ダイクロイックミラー32によりRGとBとに分離され、RGに分離された光はダイクロイックミラー33により更にRとGに分離される。Rに分離された光は、偏光ビームスプリッタ35Rにより偏光光に変換されて液晶表示素子40Rに照射される。Gに分離された光は、偏光ビームスプリッタ35Gにより偏光光に変換されて液晶表示素子40Gに照射される。Bに分離された光は、ダイクロイックミラー34又は反射面により反射され、偏光ビームスプリッタ35Bにより偏光光に変換されて、液晶表示素子40Bに照射される。
各液晶表示素子40R、40G、40Bは、RGBの各画像信号に応じて入射光の偏光方向を変調して、夫々対応する偏光ビームスプリッタ35R、35G、35Bに変調光を反射する。各偏光ビームスプリッタ35R、35G、35Bは、夫々の液晶表示素子40R、40G、40Bから入射した変調光を可視化して合成プリズム36の対応面に射出する。合成プリズム36は、各色の変調光を合成して投影レンズ37に向けて射出し、スクリーン38に投影像が投影される。これにより、液晶層にドメインの発生を防止し、明るさのむらやコントラストの低下を防止した応答速度の速い投影像を投影することができる。
なお、上記実施形態5においては、液晶表示素子40として反射型の液晶表示素子40を使用したが、これに限定されない。各偏光ビームスプリッタ35R、35G、35Bの反射方向を合成プリズム側に反転させ、各偏光ビームスプリッタ35R、35G、35Bと合成プリズム36との間に透過型の液晶表示素子40R、40G、40Bを設置してもよい。この場合は、各液晶表示素子40R、40G、40Bと合成プリズム36との間に偏光板を設置する。
本発明の液晶表示素子を説明するための説明図である。 本発明に係る無機配向膜の、蒸着角度と液晶分子のプレチルト角の関係を表すグラフである。 本発明に係る無機配向膜の、蒸着角度と液晶分子のプレチルト角の関係を表すグラフである。 本発明の実施形態に係る液晶表示素子の模式的な部分断面図である。 本発明の実施形態に係る液晶表示素子の模式的な部分断面図である。 本発明の実施形態に係る液晶表示素子用の基板の製造方法を説明するための説明図である。 本発明の実施形態に係るプロジェクタの模式的なブロック図である。 従来公知の液晶表示素子を構成する基板の模式的な縦断面図である。
符号の説明
1 液晶表示素子
2 下基板
3 上基板
4 液晶層
5 液晶分子
6 凸部
7 第1無機配向膜
8 第2無機配向膜
R1、R2 近接領域
20 真空蒸着装置
30 プロジェクタ

Claims (7)

  1. 互いに対向する一対の基板と前記一対の基板間に挟持された液晶層を備えており、
    少なくとも一方の前記基板の前記液晶層の側の表面には、前記表面から突出する凸部と、無機材料を前記表面に対して斜め方向から蒸着形成した第1無機配向膜と、無機材料を前記斜め方向と平面視反対方向の斜め方向から蒸着形成して、前記第1無機配向膜の上に積層された第2無機配向膜と、が設けられており、
    前記凸部の側壁に接する前記表面の近接領域のうち、前記第1無機配向膜が蒸着形成された方向の側壁の近接領域は、前記第1無機配向膜が露出して前記液晶層と接する液晶表示素子。
  2. 互いに対向する一対の基板と前記一対の基板間に挟持された液晶層を備えており、
    少なくとも一方の前記基板の前記液晶層の側の表面には、前記表面から突出する凸部と、前記表面の法線に対して傾斜する柱状構造を有する第1無機配向膜と、前記法線を基準にして前記第1無機配向膜の柱状構造の傾斜方向とは逆方向に傾斜する柱状構造を有し、前記第1無機配向膜の上に積層された第2無機配向膜と、が設けられており、
    前記凸部の対となる両側壁に接する前記表面の近接領域のうち、一方の側壁の側の近接領域は、前記第1無機配向膜が露出して前記液晶層と接し、他方の側壁の側の近接領域は、前記第2無機配向膜が前記液晶層と接する液晶表示素子。
  3. 前記第1無機配向膜は、前記第2無機配向膜よりも前記法線に対する柱状構造の傾斜角が大きいことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示素子。
  4. 前記第1無機配向膜の表面又は表面近傍における前記液晶層を構成する液晶分子のプレチルト角と、前記第2無機配向膜の表面又は表面近傍における前記液晶層を構成する液晶分子のプレチルト角とは、略同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  5. 前記凸部は、前記一対の基板の間隔を規定するスペーサであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  6. 光源と、請求項1〜5のいずれか1項に記載した液晶表示素子と、投射レンズとを含むプロジェクタ。
  7. 基板の表面に平坦面から突出する凸部を形成する工程と、
    前記基板の表面に、前記表面に対して斜め方向から無機材料を蒸着して第1無機配向膜を形成する工程と、
    前記基板の表面に、平面視前記斜め方向と反対の斜め方向から無機材料を蒸着して第2無機配向膜を形成する工程と、を含む液晶表示素子用基板の製造方法。
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