JP2010026091A - 円偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境下、又は高湿環境下においてもコントラスト及び視野角特性が良好な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、直線偏光子、1/2波長板、1/4波長板を備える一対の円偏光板を有する。下基板側の円偏光板10は、1/2波長板12と1/4波長板14間に負の複屈折率を有し、{θ(VAC)+θ(Polarizer)}/2=θ(λ/2板)、又は{θ(VAC)+θ(Polarizer)+90}/2=θ(λ/2板)を満たす視野角補償フィルム13が配設されている(θ(VAC)は視野角補償フィルムの液晶分子のダイレクタの投影方向と面内の任意の絶対軸の成す角度、θ(Polarizer)は直線偏光子の透過軸と絶対軸の成す角度、θ(λ/2板)は1/2波長板の遅相軸と絶対軸の成す角度)。下基板側に配設された1/2波長板は、主波長での正面位相差値が1/2波長である。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶セルの外側主面に配設される一対の円偏光板、及びこの一対の円偏光板を備える液晶表示装置に関する。
液晶表示装置の表示方式は、透過型、反射型、半透過型に大別できる。透過型は、バックライトと呼ばれる光源を点灯し、液晶セルを通過した光で表示を行う表示方式である。このため、暗所での視認性は高いが、明所での視認性は低い。一方、反射型は、液晶セルに入射した光を反射させて表示を行う表示方式である。このため、明所での視認性は高いが、暗所での視認性が低い。半透過型は、透過型と反射型の機能を兼ね備えた表示方式であり、周囲の明るさに応じて表示モードを切り替えることにより、視認性の高い表示を常に提供することができる。その優れた表示特性から、半透過型液晶表示装置は、携帯機器や移動体機器等において広く適用されている。
1つの画素内に透過モードで表示を行う透過領域と、反射モードで表示を行う反射領域を有している半透過型液晶表示装置においては、液晶セル両側に円偏光板が配設され、液晶層厚と、液晶の屈折率異方性Δnの積であるリタデーション(位相値)が、反射領域において概ね1/4波長、透過領域において概ね1/2波長となるようにそれぞれの領域において液晶層の厚さが設定されている。これにより、反射モードでも、透過モードでも、ノーマリホワイト(液晶層に電圧を印加しない状態で白を表示する方式)での表示が可能となり、比較的良好な表示特性を得ることができる。
半透過型液晶表示装置においては、視野角特性のさらなる向上が求められている。特許文献1〜3には、半透過型液晶表示装置において視野角特性を改善する方法が提案されている。特許文献1においては、視野角特性を改善する方法として、ネマチック液晶をハイブリッド配向させた視野角補償フィルムを用いる構成が開示されている。図12に、特許文献1に記載の半透過型液晶表示装置の概略構造断面図を示す。特許文献1に記載の液晶表示装置150は、表示画面側である前方側から順に、上側−直線偏光板121、第1リタデーションフィルム122、第2リタデーションフィルム124、液晶セル151、反射層134、第3リタデーションフィルム114、第4リタデーションフィルム112、下側−直線偏光板111を備える。
第1リタデーションフィルム122及び第4リタデーションフィルム112は、入射光の波長λの概ね半分の固定リタデーション、すなわちλ/2の値を有する。第2リタデーションフィルム124、及び第3リタデーションフィルム114は、黒表示動作において全体として入射光の波長λの概ね4分の1のリタデーション(λ/4)を有する。そして、視野角特性を拡大するために、これら第2リタデーションフィルム124及び第3リタデーションフィルム114にNRフィルムを用いる構成が開示されている。
特許文献2及び3には、視野角特性を改善する方法として、ディスコティック液晶化合物をハイブリッド配向させた視野角補償フィルムを用いる方法が開示されている。図13に、特許文献2に記載の半透過型液晶表示装置の概略構造断面図を示す。特許文献2に記載の液晶表示装置250は、液晶セル251の下基板(不図示)の外側主面に、第1偏光板211、1軸性の1/4波長板214、視野角拡大機能を有した2つの液晶フィルムである視野角補償フィルム213A、213Bが、外側からこの順に配設されている。一方、液晶セル251の上基板(不図示)の外側主面には、第2偏光板221、1軸性の1/4波長板224が外側からこの順に配設されている。
図14に、特許文献3に記載の半透過型液晶表示装置の概略構造断面図を示す。特許文献3に記載の液晶表示装置350は、液晶セル351の下基板(不図示)の外側主面には、下側偏光板311、下側1/2波長板312、下側1/4波長板314、下側視野角補償フィルム313が、外側からこの順に配設されている。一方、上基板(不図示)の外側主面には、上側偏光板321、上側1/2波長板322、上側1/4波長板324が外側からこの順に配設されている。
特許文献1に記載の視野角補償フィルムとしては、棒状高分子液晶をハイブリッド配向させたNR(nematic retardation)フィルムが新日本石油株式会社により製造されている。また、特許文献2や3に記載の視野角補償フィルムとしては、ディスコティック液晶化合物をハイブリッド配向させたWV(Wide Viewing)フィルムが富士写真フィルム株式会社により製造されている。
特開2004−341207号公報 (段落番号0079−0083、第15図) 特開2005−107501号公報 (段落番号0072−0084、第13図) 特開2007−156086号公報 (段落番号0025−0044、第3図)
近時においては、表示品位のさらなる向上を実現すべく、さらなる視野角の拡大、及びコントラストの向上が求められている。偏光制御のための光学素子として、図14に示す構成を採用することにより、表示品位の高い液晶表示を実現することができる。しかしながら、この構成において、高温環境下若しくは高湿環境下にて使用すると、視野角特性が悪くなるという問題があった。昨今の液晶表示装置の飛躍的な高性能化に伴って、液晶表示装置の用途も拡大する方向にあり、高温環境下、若しくは高湿環境下における使用ニーズもある。さらに、良好なコントラストや視野角特性を維持できる温度範囲や湿度範囲が広いことが理想的である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高温環境下、若しくは高湿環境下においても、コントラスト及び視野角特性が良好な液晶表示装置を提供することである。
本発明に係る液晶表示装置は、画素電極を有する下基板、当該下基板と対向配置される上基板、及び前記下基板と上基板間に、電圧無印加時に基板面に概ね平行に配向する液晶分子を含む液晶層を具備する液晶セルと、前記液晶セルの外側の両主面に配設された一対の円偏光板と、を備えた液晶表示装置であって、前記一対の円偏光板は、それぞれ、外側から、直線偏光子、入射光の波長の概ねλ/2の位相差を有する1/2波長板、入射光の波長の概ねλ/4の位相差を有する1/4波長板を備える。そして、前記下基板側に配設される前記円偏光板は、さらに、前記1/2波長板と前記1/4波長板の間に、負の複屈折率を有し、かつ下記<式1>若しくは<式2>を満たす視野角補償フィルムが配設されている。また、前記下基板側に配設された前記1/2波長板は、面内屈折率が最大となる方向をX軸、同面内においてX軸に垂直な方向をY軸としたときの、それぞれの軸方向の屈折率をnx1、ny1、厚さをd1(nm)とした場合に、入射光の主波長での正面位相差値(nx1−ny1)×d1が、1/2波長とする。
<式1> {θ(VAC)+θ(Polarizer)}/2=θ(λ/2板)
<式2> {θ(VAC)+θ(Polarizer)+90}/2=θ(λ/2板)
上記式中のθ(VAC)は、前記視野角補償フィルムを構成する液晶分子のダイレクタのフィルム主面への投影方向と、面内の任意の絶対軸との成す角度を示し、θ(Polarizer)は、前記視野角補償フィルムと同じ側にある前記直線偏光子の透過軸と前記絶対軸との成す角度を示し、θ(λ/2板)は、前記視野角補償フィルムと同じ側にある前記1/2波長板の遅相軸と前記絶対軸との成す角度を示す。
本発明によれば、高温環境下、若しくは高湿環境下においても、コントラスト及び視野角特性が良好な液晶表示装置を提供することができるという優れた効果を有する。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。また、以降の図における各部材のサイズや比率は、説明の便宜上のものであり、実際のものとは異なる。
[実施形態1]
本実施形態1に係る半透過型液晶表示装置(以下、「液晶表示装置」と云う)は、画素電極が形成された下基板、下基板と対向配置された上基板、これら一対の基板間に挟持された液晶層を備える液晶セルを有する。
下基板は、例えば、薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))アレイ基板(以下、「TFT基板」と云う)などの配線基板である。下基板には、複数のゲート配線(走査信号線)が平行に配設されている。そして、このゲート配線と直交する方向には、複数のソース配線(表示信号線)が平行に、かつゲート配線と交差するように配設されている。隣接するゲート配線とソース配線とで囲まれた領域が画素となる。すなわち、下基板においては、画素がマトリックス状に配列されている。
図1に、本実施形態1に係る液晶表示装置のTFT基板(下基板)の1画素分の模式的平面図を示す。また、図2に、本実施形態1に係る液晶表示装置の概略構成断面図を示す。
本実施形態1に係る液晶表示装置50は、図2に示すようにTFT基板1と対向基板2が所定の間隙を介して対向配置され、その間隙に液晶層3が挟持されている。液晶層3は、電圧無印加状態においては、基板面に対して概ね水平な水平配向型の液晶材料により形成されている。本実施形態1に係る液晶層3は、1軸配向している。そして、電圧印加により、液晶層3を構成する液晶分子が起き上がってくるように運動する。
TFT基板1は、図1に示すように、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の基板からなる透明性絶縁基板(不図示)上にゲート電極、ソース電極38、ドレイン電極39、半導体層32を備えたTFT30、ゲート配線31、ソース配線33、画素電極36(反射電極34、透過電極35)等が形成されている。
TFT30は、ソース配線33とゲート配線31の交点部分に形成されている。TFT30は、ゲート配線31の一部からなるゲート電極、ソース配線33から延在されたソース電極38、ドレイン電極39、半導体層32を備える。ゲート端子(不図示)から入力される画像走査信号は、ゲート配線31を介してTFT30のON、OFFを制御する。また、ソース端子(不図示)から入力される画像信号は、ソース配線33を経由してTFT30から画素電極36に伝送される。
TFT基板1において、個々の画素には、図1に示すように、反射電極34と透過電極35が配設され、これらが画素電極36として機能する。反射電極34が形成された画素電極36の領域が反射領域Rであり、画素電極36のうちの反射領域Rを除く領域(透過電極35の配設領域のうちの反射電極34が配設されていない領域)が透過領域Tとなる。画素電極36を駆動するために、それぞれの画素にはTFT30が配置され、画素電極36とTFT30とが電気的に接続されている。また、反射電極34と透過電極35も電気的に接続されている。
本実施形態1においては、反射領域Rと透過領域Tの面積は、概ね半分となるように配設されている。透過電極35、及び反射電極34は、液晶層3に信号電位を与える。なお、反射領域Rと透過領域Tの配置やTFTの断面構造は、一例であって、任意の配置や構成を適用することができる。また、透過電極35は、反射電極34の上面に亘って一体的に被覆させてもよい。逆に、透過電極35を下層とし、その上層の反射領域Rに対応する位置に反射電極34を形成してもよい。また、表示領域を構成する一部の画素が反射領域Rだけであり、他の画素が透過領域Tだけを有するような液晶表示装置など、種々のタイプに適用可能である。
対向基板2は、ガラス基板(不図示)、カラーフィルタ層(不図示)、対向電極(不図示)、ギャップ制御層37等を備えている。カラーフィルタ層は、例えばブラックマトリクス(BM)と、赤(R)緑(G)青(B)の着色層とを有している。カラーフィルタ層は、ガラス基板の下面の液晶層3側の画素領域に形成され、カラー表示を行う。対向電極は、対向基板2の液晶層3側に全面に配置され、液晶層3に無電圧状態となる電位を供給するための共通電位を与える。
ギャップ制御層37は、対向基板2上のTFT基板1側に設けられた反射電極34と対応する位置に設けられている。ギャップ制御層37により、透過領域Tと反射領域Rのセルギャップがそれぞれ別個に設定される。具体的には、透過領域Tのセルギャップは、当該領域のセルギャップである液晶層3の厚みをD1、液晶層3の屈折率異方性をΔnとしたときに、D1とΔnとの積であるリタデーションが概ね1/2波長になるよう設定されている。
同様にして、反射領域Rのセルギャップは、当該領域のセルギャップである液晶層3の厚みをD2,液晶層3の屈折率異方性をΔnとしたときに、D2とΔnとの積であるリタデーションが概ね1/4波長になるように設定されている。これにより、反射モードでも、透過モードでも、液晶層3を通過する可視光の光学的距離が概ね同一になるようになっている。なお、セルギャップ層37は、対向基板2側に設ける態様に限定されず、TFT基板1側に配設してもよい。
TFT基板1と対向基板2の液晶層3側の表面には、液晶層3を配向させるためのポリイミド等からなる液晶配向膜(不図示)が塗布形成されている。液晶配向膜には、液晶層3の液晶分子の初期配向を定めるべくラビング処理が施されている。これにより液晶分子のダイレクタ(平均的な液晶配向方向)が、ラビング方向に沿って配向される。なお、液晶配向膜のラビングによって液晶層3の初期配向方向を規定しているが、イオンビーム、光照射等のラビング以外の方法により液晶層3の初期配向方向を規定してもよい。本実施形態1に係る液晶セル51は、以上のような概略構成となっている。
液晶セル51の外側主面には、一対の円偏光板が配設されている。TFT基板1の外側主面には、第1の円偏光板である下側−円偏光板10が配設されている。同様にして、対向基板2の外側主面には、第2の円偏光板である上側−円偏光板20が配設されている。
液晶セル51の両外側に円偏光板10、20を配置し、反射領域と透過領域の液晶層の厚さを別々に設定して、反射モードでも透過モードでもノーマリホワイトとする表示方式においては、円偏光板の位相差と、液晶層3の位相差(リタデーション)とをそれぞれ、所定値に合致させることで、印加電圧時に黒を表示させている。
液晶層3の位相差は、液晶層3に電圧を印加して液晶分子の配向状態を変化させることで変化させている。このため、円偏光板10、20を構成している位相差板が所望の値からずれると、黒表示をさせるために設定していた印加電圧によっては最適な黒表示が得られず、黒の表示品位が落ちてしまう。換言すると、表示品位の高い液晶表示装置50を得るためには、円偏光板10、20に組み込まれている位相差板の位相差と、液晶層3の位相差を高い精度で管理しなければならない。
本実施形態1に係る下側−円偏光板10は、下側−直線偏光子11、下側1/2波長板12、視野角補償機能を持つ下側視野角補償フィルム13、下側1/4波長板14により構成され、外側からこの順に配設されている。一方、上側−円偏光板20は、上側−直線偏光子21、上側1/2波長板22、上側1/4波長板24が外側からこの順に配設されている。そして、拡散粘着材25により上側−円偏光板20と対向基板2が接着せしめられている。
下側−直線偏光子11及び上側−直線偏光子21は、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する吸収軸及び透過軸を有している。直線偏光子は、ランダムな方向の振動面を有する光から、透過軸と平行な1方向の振動面を有する光を選択的に透過させる役割を担う。
下側1/2波長板12及び上側1/2波長板22は、入射光の波長の概ねλ/2の位相差を有する1/2波長板、すなわち、正面位相差が当該入射光の波長の概ね半分の複屈折率を有するλ/2板から成る。但し、下側1/2波長板12においては、入射光の波長の主波長に対して正確にλ/2の位相差を有する1/2波長板、すなわち正面位相差が入射光波長のうちの主波長に対して正確にλ/2の複屈折率を有するものを用いる。ここで「主波長」とは、入射光波長帯域のうちのその中心波長近傍のもっとも光強度が高い波長±5nm以内のものを云うものとする。例えば、550nm前後の波長に設定する。
下側1/4波長板14、及び上側1/4波長板24は、入射光の主波長の概ねλ/4の位相差を有する1/4波長板、すなわち、正面位相差が当該入射光の波長の概ねλ/4の複屈折率を有するλ/4板から成る。通常、1/2波長板と1/4波長板の光学特性には、波長依存性(波長分散)が存在するが、組み合わせ方を適切に設定することによって波長分散を抑制して、広帯域の波長領域において、より良好な表示特性を得ることができる。
但し、視野方向を正面以外の方向、すなわち斜め方向にずらした場合には、その方向での1/2波長板、1/4波長板のそれぞれの位相差は、正面での位相差である概ね1/2波長と概ね1/4波長とは異なるものとなるため、斜め視野方向での表示特性が劣化してしまう。これを防止するために、本実施形態1においては、視野角補償機能を有する下側視野角補償フィルム13を配設している。下側視野角補償フィルム13は、上記特許文献3のように、1/4波長板314と液晶セル351の間に配設するのではなく、下側1/2波長板12と下側1/4波長板14の間に配置する。
本実施形態1に係る下側視野角補償フィルム13は、負の複屈折率を有し、下記<式1>若しくは<式2>を満たすように設定する。本実施形態1においては、<式1>を満たすように設定した。
<式1> {θ(VAC)+θ(Polarizer)}/2=θ(λ/2板)
<式2> {θ(VAC)+θ(Polarizer)+90}/2=θ(λ/2板)
ここで、上記式中のθ(VAC(Viewing angle compensator))は、下側視野角補償フィルム13を構成する液晶分子のダイレクタのフィルム主面への投影方向と、面内の任意の絶対軸(例えば、x軸)との成す角度を示す。また、θ(Polarizer)は、下側視野角補償フィルム13と同じ側にある下側−直線偏光子11の透過軸と前記絶対軸との成す角度を示す。また、θ(λ/2板)は、下側視野角補償フィルム13と同じ側にある下側1/2波長板12の遅相軸と前記絶対軸との成す角度を示す。なお、「ダイレクタ」とは、屈折率主軸のうち、主屈折率が異常光屈折率neである主軸方向を向いた単位ベクトルを言い、ネマチック液晶分子においては、分子の長軸方向を指し、ディスコティック液晶分子等のディスク状の分子においては、ディスク状の法線方向を指す。
図3(a)に、本実施形態に係る下側視野角補償フィルム13の模式図の一例を示す。本実施形態1に係る下側視野角補償フィルム13は、TAC(Tri Acetyl Cellulose)層13A、ディスコティック液晶層13Bを備える。同図に示すように、TAC層13A上に、ディスコティック液晶層13Bが積層された構造となっている。TAC層13Aは、ディスコティック液晶層13Bを塗布する基材としての役割を担う。TAC層13Aには、液晶配向膜(不図示)が塗布されており、ラビング処理が施されている。
ディスコティック液晶層13Bは、ディスコティック液晶分子13Cの配向が一様でないハイブリッド配向した状態で固定化された液晶フィルムである。ディスコティック液晶分子13Cは、TAC層13A側では、ディスコティック液晶分子のディスク面が、TAC層13Aの主面に対してほぼ平行に配向している。一方、ディスコティック液晶層13Bの主面のうちTAC層13Bと接していない側においては、ディスコティック液晶層13Bを構成する液晶分子のディスク面は、TAC層13Aに対して高チルト角にて配向している。
ディスコティック液晶層13Bの立ち上がり方向は、ラビング方向に平行になるため、正面方向から見た場合、ラビング方向に負の位相差(リタデーション)が発生する。このようなディスコティック液晶分子をハイブリッド配向させた視野角補償機能を有するものとしては、例えば、富士写真フィルム社製のWVフィルムを適用することができる。
下側視野角補償フィルム13を構成するディスコティック液晶層13Bは、液晶セル51中の液晶層3の立ち上がり部分の左右非対称性を補償する役割を担う。このため、高チルト角を有する側を液晶層3に近い方に配置する必要がある。換言すると、TAC層13Aは、下側1/2波長板12と接するように配置し、ディスコティック液晶層13Bは、下側1/4波長板14と接するように配置する。
図3(b)に、ディスコティック液晶分子、そのダイレクタ、及びダイレクタのフィルム主面への投影方向を模式的に図示した説明図を示す。θ(VAC)は、上述したように下側視野角補償フィルム13を構成する液晶分子のダイレクタのフィルム主面への投影方向と、面内の任意の絶対軸(例えば、x軸)との成す角度である。
なお、ディスコティック液晶層13Bの配向制御方法としては、ラビング法に限定されず、別の方法により配向制御してもよい。また、TAC層13Aが、片面にのみ設けられている例について述べたが、ディスコティック液晶層13Bの両主面にTAC層13Aを配設してもよい。これは、TAC層13Aは面内位相差が殆どないためである。また、TAC層13Aに代えて、同等の機能を有する支持体を適用してもよい。さらに、視野角補償フィルムとして、ディスコティック液晶層13Bを用いる図3の例に限定されず、同等の機能を有する視野角補償機能を有するフィルム等を適宜用いることができる。また、1軸位相差フィルム、2軸位相差フィルムのどちらを用いてもよい。また視野角補償機能を有するものであればよく、TAC層13等の支持体は必ずしも必須ではない。
下側1/2波長板12、下側1/4波長板14、上側1/2波長板22、上側1/4波長板24は、それぞれ別個独立に2軸性の位相差フィルムとしてもよい。2軸性の位相差フィルムとすると、さらに広視野角化の設計が可能となる。2軸性の1/2波長板、1/4波長板からなる位相差フィルムを用いる場合には、遅相軸方位の屈折率をna、位相差板面内においてnaと直交する方位の屈折率をnb、位相差板の垂直方向の屈折率をncとしたときに、下記<式3>で表わされる2軸性位相差板のNzを、0≦Nz≦0.8とすることが好ましい。
<式3> Nz=(na−nc)/(na−nb )
より好ましいNz係数の範囲は、0≦Nz≦0.5である。
本実施形態1においては、下側1/2波長板12、上側1/2波長板22、上側1/4波長板24を、正面位相差のみを持つ1軸位相差フィルムとし、下側1/4波長板14を2軸位相差フィルムとした。本実施形態1においては、下側1/4波長板14の面内の位相差値が135nm、Nz係数が0.35のものを用いた。
本実施形態1においては、位相差板が付随した上側−円偏光板20と対向基板2とが、拡散粘着材25により貼り合わせられている。拡散粘着材25には、拡散機能を発現させるために、粘着材とは屈折率が異なるビーズを粘着剤にランダムに混入さている。拡散粘着材のヘイズ値は、60以上であると反射の拡散度合いは良好となる。
拡散粘着材25は、対向基板2から離れた位置に配置するほど、拡散粘着材25の拡散性の影響により黒が浮いてきてしまう。これは、対向基板2側に配置された位相差板の設計値が、液晶セル51内に配置した反射電極34によって反射してきた光に対し、所定の電圧で最も黒が得られるように設計されているためである。例えば、上側1/2波長板22と上側1/4波長板24との間に拡散粘着材25を配置した場合には、液晶層3の残留位相差分に加え、上側1/4波長板24の位相差分の考慮されていない反射光があり、反射モードでの黒表示はより浮いてくることになる。また、上側1/2波長板22と上側−直線偏光子21の間に拡散粘着材25を配設した場合、液晶の残留位相差分と、上側1/4波長板24の位相差分と、上側1/2波長板22の位相差分とが考慮されていない反射光となるため、さらに浮いてきてしまう。
従って、拡散粘着材25の位置は、対向基板2と上側1/4波長板24との間とするのが最適である。なお、対向基板2と接する箇所に拡散粘着材25を配置した場合においても、液晶層3の残留位相差分が考慮されていない分の拡散粘着材25による反射光があるため、反射モードでの黒表示は若干であるが浮いてくるが、問題となるレベルではない。
本実施形態1に係る液晶表示パネル52は、以上のように構成される。液晶表示パネル52の反視認側には、光源装置であるバックライトユニット4が配設される。
透過モードでは、バックライトユニット4から入射した光がTFT基板1側の下側−直線偏光子11を通過して直線偏光となり、下側1/2波長板12、下側視野角補償フィルム13、上側1/4波長板14を通過して特定の位相差が生じる。さらに、TFT基板1を通過し、液晶層3に入射する。液晶層3の配向状態に応じて、光の偏光状態が変化する。その後、対向基板2、拡散粘着材25、上側1/4波長板24、上側1/2波長板22、及び上側−直線偏光子21に到達する。そして、その偏光状態に応じて透過光量が変化して表示に寄与する。
反射モードでは、視認側から入射した光が対向基板2側の上側−直線偏光子21を通過して直線偏光となり、上側1/2波長板22、上側1/4波長板24を通過して特定の位相差が生じる。さらに、拡散粘着材25、対向基板2を通過し、液晶層3に入射する。液晶層3の配向状態に応じて、光の偏光状態が変化する。その後、反射電極34において反射される。これにより、再び液晶層3を通過し、対向基板2、拡散粘着材25、上側1/4波長板24、上側1/2波長板22、上側−直線偏光子21に到達する。そして、その偏光状態に応じて反射光量が変化して表示に寄与する。
液晶層3を通過する光の偏光状態によって、対向基板2側に配設された上側−円偏光板20を通過する光量が変化する。すなわち、バックライトユニット4から液晶表示パネル52を透過する透過光、及び外部から入射した光の反射光のうち、視認側の上側−円偏光板20を通過する光の光量が変化する。液晶層3の配向状態は、印加される表示電圧によって変化する。従って、表示電圧を制御することによって、視認側の上側−円偏光板20を通過する光量を変化させることができる。すなわち、画素毎に表示電圧を変えることによって、所望の画像を表示することができる。
次に、上記のような構成の一対の円偏光板10,20を用いることにより、高温環境下、若しくは高湿環境下においても、表示品位の低下を抑制することができる理由について説明する。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、上述した図14に示すような構成においては、高温環境下若しくは高湿環境下において、下側視野角補償フィルム13の正面位相差値が変動してしまうことがわかった。そして、本実施形態1に係る円偏光板の構成を採用することにより、下側視野角補償フィルム13の正面位相差値が変動した場合であっても、透過モードにおけるコントラストの低下が少ないことを見出した。換言すると、高温環境下、若しくは高湿環境下において下側視野角補償フィルム13の正面位相差値が変動してしまった場合であっても、透過モードにおけるコントラストの低下を抑制できることを見出した。
これを、図4のポアンカレ球を用いて、下側視野角補償フィルム13の正面位相差値が変化しても、正面への特性に変化を生じさせない理由を説明する。まず、バックライトユニット4からの入射光は、下側−直線偏光子11を通過することにより、透過軸方向の直線偏光となる。次いで、下側1/2波長板12では、その位相差が光源の主波長に対して正確にλ/2の位相差となる。このため、光源の主波長に対しては直線偏光のまま、その軸角度が回転する。このときの回転角度は、λ/2板の遅相軸角度に依存する。
次いで、下側視野角補償フィルム13は、下側視野角補償フィルム13の正面位相差の値によらず、下側視野角補償フィルム13を出射する光のうち、光源の主波長の偏光状態は、下側1/2波長板12を出射した偏光状態を維持する。これは、下側視野角補償フィルム13を構成する液晶分子のダイレクタのフィルム主面への投影方向が上記<式1>を満足するように配設されているためである。
次いで、概ねλ/4の位相差である下側1/4波長板14により、直線偏光から円偏光、若しくは楕円偏光へと変換する。このため、下側視野角補償フィルム13の正面位相差値が変化した場合であっても、正面への特性に変化を生じさせない。従って、コントラストの低下を抑制し、視野角特性の劣化を抑制することができる。また、下側視野角補償フィルム13は、視野角補償の機能を具備している。なお、上記<式2>を満足している場合も、同様である。
本実施形態1によれば、高温環境下、若しくは高湿環境下において、下側視野角補償フィルム13の正面位相差値が変化した場合であっても、正面への特性の劣化を抑制することができる。従って、高温環境下、若しくは高湿環境下においても表示品位の高い液晶表示装置を提供することができる。視野角補償の機能を持つ下側視野角補償フィルム13の正面位相差が変化しても正面への特性に変化を生じさせない以上の構成と条件により、視野角補償の機能を持ち、透過モードと反射モードを両立することができる円偏光板を提供することができる。
次に、本発明の実施形態1に係る液晶表示装置50の製造方法について説明する。まず、TFT基板1を形成する工程を説明する。ガラス基板等の絶縁性基板上にスパッタ装置を用いてAl、Cr、Ta、Cu、Mo等の金属膜を成膜する。次に、感光性樹脂であるレジストをスピンコートで塗布、露光、現像する一連の写真製版工程により所望のレジストパターンを得る。次いで、エッチング処理を施すことにより金属膜のパターン形成を行い、ゲート配線31、ゲート電極、保持容量配線、ゲート端子等を形成する。
次に、プラズマCVD等の各種CVD法により、Si、SiO等のゲート絶縁膜及び半導体薄膜32であるアモルファスシリコンを成膜する。そして、写真製版工程、エッチング工程を経て半導体薄膜32のパターン形成を行う。
その後、スパッタ装置を用いてソース配線33等の材料となるAl、Cr、Ta、Cu、Mo等の金属膜を成膜する。写真製版工程、エッチング工程を経て、ソース配線33、ソース電極38、ドレイン電極39、反射電極34、ソース端子等を形成する。本実施形態1ではドレイン電極39を延在、拡大して反射電極34としている。そして、これらのパターンをマスクとして、TFT30のチャネル部となるソース電極38とドレイン電極39間の半導体薄膜32の上層のn型半導体層をエッチング等で除去する。
次に、プラズマCVD等の各種CVD法により、Si、SiO等、若しくはそれらの混合物及び積層物からなる絶縁膜からなる保護膜を形成する。また、場合によっては、これに追加して保護膜として有機樹脂膜も形成する。その後、ゲート端子部、ソース端子部の導通を取るために、ゲート絶縁膜、保護膜にコンタクトホールを形成する。また、TFT30のドレイン電極39若しくは反射電極34との導通を取るために保護膜にもコンタクトホールを形成する。
次に、スパッタ装置を用いて、透明導電性膜(ITO(Indium Tin Oxide)膜)15を成膜する。ITOに代えて、SnOやInZnO等の透明導電膜を用いてもよい。また、これらの積層、若しくは混合層とすることもできる。写真製版工程、エッチング工程を経て、透過電極35を形成する。透過電極35と反射電極34は、保護膜に設けられたコンタクトホールを介して導通が採られている。なお、スパッタ法に代えて、蒸着、塗布、CVD、印刷、ゾルゲル法等の手法で成膜してもよい。
以上の工程により製造されたTFT基板1の液晶側主面には、液晶分子を配向させるための液晶配向膜を塗布し、ラビング処理を施す。ラビング処理の方向は、液晶層3を平行配向させるために、TFT基板1、対向基板2において、互いに反平行方向となるようにする。液晶配向膜としては、ポリイミド樹脂(例えば、JSR社製のAL−22501)等を用いることができる。
その後、TFT基板1の液晶層3側主面の周縁領域に、シール材をディスペンサで塗布し、対向基板2と液晶配向膜が対向するように貼り合せる。適当な圧力をかけながら加熱処理することによりシール材を硬化させて、透過領域T及び反射領域Rのセルギャップを調整する。本実施形態1においては、透過領域Tのセルギャップを3.8μm、反射領域Rのセルギャップを2.0μmとなるように調整した。そして、複屈折率が0.065〜0.070の液晶材料(例えば、チッソ製 MJ042545)を真空注入法などにより基板間に注入して、注入口を封止することにより液晶セル51が製造される。
上記方法によって製造された液晶セル51の外側主面、すなわちTFT基板1の外側主面に下側−円偏光板10を、対向基板2の外側両主面に上側−円偏光板20を貼り付ける。TFT基板1の外側主面には、照明装置であるバックライトユニット4を設置する。以上の工程を経て、液晶表示装置50が製造される。
液晶表示パネル52の表示特性は、円偏光板10、20に付随して設けられた1/4波長板や1/2波長板の位相差値や遅相軸角度、直線偏光子の透過軸角度、視野角補償板である下側視野角補償フィルム13の位相差値や遅相軸角度、反射領域Rと透過領域Tのそれぞれのセルギャップ、液晶層3の捩れ角(TFT基板1と対向基板2の配向処理方向の角度差)、液晶材料の物性値(屈折率)により決定される。これらのパラメータにより所望の電気光学特性を設計することができる。
表1に、本実施形態1において採用した光学設計に寄与するパラメータの値を示す。本実施形態1における光源の主波長は、540nmとした。このため、λ/2板である下側1/2波長板12の位相差は、光源主波長の半分である270nmに設定した。なお、それぞれの位相差板のリタデーションや液晶材料の屈折率は、波長550nmでの値を示している。また、表1における軸角度は、0°が時計の3時方向、90°が12時方向、180°が9時方向、270°が6時方向としている。
本実施形態1においては、下側視野角補償フィルム13は、上述したように上記<式1>を満たすように配置している。なお、TFT基板1側に設けられた下側視野角補償フィルム13の軸角度は、当フィルムの前記視野角補償フィルムを構成する液晶分子のダイレクタのフィルム主面への投影方向と、面内の任意の絶対軸との成す角度を示す。また、下側1/2波長板12の軸角度は、当フィルムの遅相軸の角度を示す。また、下側−直線偏光子11の軸角度は透過軸の角度を示す。
Figure 2010026091
次に、比較例に係る半透過型の液晶表示装置について図5を用いつつ説明する。比較例に係る液晶表示装置450は、下記の点を除く基本的な構成は、本実施形態1に係る液晶表示装置50と同様である。すなわち、比較例に係る液晶表示装置450の下側視野角補償フィルム413は、1/4波長板414とTFT基板401の間に配設されている点において、本実施形態1に係る液晶表示装置50の下側視野角補償フィルム13と異なる。
比較例に係る下側視野角補償フィルム413の基本的な構成は、本実施形態1に係る下側視野角補償フィルム13と同様とした。本実施形態1と同様に、ディスコティック液晶層の高チルト角を有する側をTFT基板401側に配置した。
図6に、本実施形態1及び比較例の液晶表示装置それぞれにおいて、それぞれの視野角補償フィルムの正面位相差(面内位相差値)に対する正面の規格化コントラスト比(規格化CR)(以下、単に「コントラスト比」とも云う)をシュミレーションした結果を示す。比較例に係るコントラストは、正面位相差値によって大きく変動している。これは、高湿環境下、若しくは高温環境下において、視野角補償フィルムの正面位相差値が変化した場合、黒を表示させる電圧が変化してしまうことを意味する。すなわち、初期での黒表示の電圧設定値では初期の黒表示をすることができず、その結果コントラスト比が下がってしまうことを意味する。
本実施形態1においては、正面位相差値の変動に対する正面のコントラスト比の変動は1割程度であった。本実施形態1によれば、視野角補償フィルムの正面位相差値が変動した場合であっても、コントラスト比の劣化が生じるのを大幅に改善することができる。その結果、高温環境下や高湿環境下であっても表示特性の劣化、特にコントラスト比が下がることを防止し、視野角特性の劣化を抑制することができる。
図7に、本実施形態1に係る液晶表示装置50の透過モードにおけるコントラスト比の視野角依存性をシュミレーションした結果を示す。ここで、図7中の中心が液晶表示パネル52の法線方向に相当し、法線方向を中心とした同心円は、法線に対する倒れ角度であり、それぞれ、内側から20°、40°、60°、80°に相当する。ここで示した特性図は、各方位についてコントラスト比が10:1に相当する領域を結ぶことで得られたものである。同図において、左右方向の右端部を0°として反時計回りに360°の特性を示している。
図7より、全方位においてコントラスト比が良好であり、十分な視野角が得られる視野角特性の広い半透過型液晶表示装置が得られることがわかる。
本実施形態1によれば、視野角補償フィルムの正面位相差が変化しても正面への特性に変化を生じさせないようにし、正面以外からの視野に対しては視野角補償の機能が働くようにしている。これにより、表示特性の劣化、特にコントラスト比が下がることを防止し、かつ視野角が広い半透過型液晶表示装置を提供することができる。また、コントラスト比及び視野角特性の良好な温度範囲、湿度範囲を従来例に比して拡大することができるので、液晶表示装置の高耐久性化を実現することができる。また、本実施形態1においては、拡散粘着材25を配設しているので、反射モードでの表示品位をより良好に保つこともできる。
[実施形態2]
次に、上記実施形態とは異なる構造の円偏光板の一例について説明する。なお、以降の説明において、上記実施形態1と同一の要素部材は同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
本実施形態2に係る液晶表示装置は、以下の点を除く基本的な構成及び製造方法は、上記実施形態1と同様である。すなわち、上記実施形態1に係る液晶表示装置50は、視野角補償フィルムが下側−円偏光板10側にのみ配設されていたのに対し、本実施形態2に係る液晶表示装置は、視野角補償フィルムが下側−円偏光板と上側−円偏光板の両者に配設されている点において相違する。
図8に、本実施形態2に係る液晶表示装置の模式的な部分断面図を示す。図8に示すように、TFT基板1の外側主面には、下側−円偏光板10が配設されている。同様にして、対向基板2の外側主面には、上側−円偏光板20aが配設されている。
下側−円偏光板10は、下側−直線偏光子11、下側1/2波長板12、視野角補償機能を持つ下側視野角補償フィルム13、下側1/4波長板14により構成され、外側からこの順に配設されている。一方、上側−円偏光板20aは、上側−直線偏光子21、上側1/2波長板22a、上側視野角補償フィルム23、上側1/4波長板24が外側からこの順に配設されている。そして、拡散粘着材25により上側−円偏光板20aと対向基板2が接着せしめられている。
下側1/2波長板12及び上側1/2波長板22aは、正面位相差が当該入射光波長の半分の複屈折率を有するλ/2板から成る。この際、下側1/2波長板12及び上側1/2波長板22aは、正面位相差が入射光波長のうちの主波長に対して正確に1/2の複屈折率を有するものを用いる。
下側1/4波長板14、及び上側1/4波長板24のそれぞれは、正面位相差が当該入射光波長の概ね1/4の複屈折率を有するλ/4板から成る。上側視野角補償フィルム23は、下側視野角補償フィルム13の配置位置と同様に、上側1/2波長板22aと上側1/4波長板24の間に配置する。また、下側視野角補償フィルム13と同様に、上側視野角補償フィルム23も、負の複屈折率を有し、上記<式1>若しくは<式2>を満たすように設定する。
本実施形態2においては、下側視野角補償フィルム13が<式1>を満たすように、上側視野角補償フィルム23が<式2>を満たすように設定した。上側視野角補償フィルム23の構成は、下側視野角補償フィルム13の構成と同一に、TAC層(不図示)、ディスコティック液晶層(不図示)からなるものを用いた。また、上側視野角補償フィルム23中のTAC層は、上側1/2波長板22aと隣接するように配置され、ディスコティック液晶層は、上側1/4波長板24と隣接するように配置されている。
本実施形態2においても、下側1/2波長板12、下側1/4波長板14、上側1/2波長板22a、上側1/4波長板24は、それぞれ独立に2軸性の位相差フィルムとしてもよい。2軸性の位相差フィルムを用いると、さらに広視野角化が設計可能となる。
本実施形態2においては、下側1/2波長板12、上側1/2波長板22aを、正面位相差のみを持つ1軸位相差フィルムとし、下側1/4波長板14及び上側1/4波長板24を2軸位相差フィルムとした。本実施形態2においては、下側1/4波長板14の面内の位相差値を125nm、Nz係数を0.2とし、上側1/4波長板24の面内の位相差値を110nm、Nz係数を0.2とした。
表2に、本実施形態2において採用した光学設計に寄与するパラメータの値を示す。本実施形態2における光源の主波長は、540nmとした。このため、λ/2板である下側1/2波長板12及び上側1/2波長板22aの位相差は、光源主波長の半分である270nmに設定した。なお、それぞれの位相差板のリタデーションや液晶材料の屈折率は、波長550nmでの値を示している。また、表2における軸角度は、0°が時計の3時方向、90°が12時方向、180°が9時方向、270°が6時方向である。
本実施形態2においては、上述したように、下側−円偏光板10は上記<式1>を満たすよう、上側−円偏光板20aは上記<式2>を満たすように設定されている。なお、TFT基板1側に設けられた下側視野角補償フィルム13の軸角度は、当フィルムのダイレクタの投影方向を示す。また、下側1/2波長板12の軸角度は、当フィルムの遅相軸の角度を示す。また、下側−直線偏光子11の軸角度は透過軸の角度を示す。同様にして、対向基板2側に設けられた上側視野角補償フィルム23の軸角度は、当フィルムのダイレクタの投影方向を示す。また、上側1/2波長板22aの軸角度は、当フィルムの遅相軸の角度を、上側−直線偏光子21の軸角度は透過軸の角度を示す。
Figure 2010026091
図9に、本実施形態2の液晶表示装置それぞれにおいて、視野角補償フィルムの正面位相差値に対する規格化コントラストをシュミレーションした結果を示す。また、図6に示す比較例の結果も併せて図示する。
本実施形態2においては、正面位相差値の変動に対する正面コントラストの変動は1割程度であった。本実施形態2によれば、視野角補償フィルムの正面位相差値が変動した場合であっても、コントラストの劣化が生じるのを大幅に改善することができる。その結果、高温環境下や高湿環境下であっても表示特性の劣化、特にコントラストが下がることを防止し、かつ視野角特性の劣化を抑制することができる。
図10に、本実施形態2に係る液晶表示装置の透過モードにおけるコントラスト比の視野角依存性をシュミレーションした結果を示す。図10より、全方位においてコントラスト比が良好であり、十分な視野角が得られる視野角特性の広い半透過型液晶表示装置が得られることがわかる。
本実施形態2によれば、正面位相差が変化しても正面への特性に変化を生じさせないようにし、正面以外からの視野に対しては視野角補償の機能が働くようにしている。これにより、表示特性の劣化、特にコントラストが下がることを防止し、かつ視野角が広い半透過型液晶表示装置を提供することができる。また、コントラスト及び視野角特性の良好な温度範囲、湿度範囲を従来例に比して拡大することができるので、液晶表示装置の高耐久性化を実現することができる。また、拡散粘着材25を配設しているので、反射モードでの表示品位をより良好に保つこともできる。
[実施形態3]
次に、上記実施形態とは異なる液晶表示装置の一例について説明する。本実施形態3に係る液晶表示装置は、以下の点を除く基本的な構成及び製造方法は、上記実施形態1と同様である。すなわち、上記実施形態1に係る液晶表示装置50は、半透過型であったのに対し、本実施形態3に係る液晶表示装置は透過型である点において相違する。
図11に、本実施形態3に係る液晶表示装置の模式的な部分断面図を示す。図11に示すように、TFT基板1の外側主面には、下側−円偏光板10が配設されている。同様にして、対向基板2の外側主面には、上側−円偏光板20bが配設されている。
下側−円偏光板10の構成は、上記実施形態1と同様である。一方、上側−円偏光板20bは、上側−直線偏光子21、上側1/2波長板22a、上側視野角補償フィルム23、上側1/4波長板24が外側からこの順に配設されている。上記実施形態1に設けられていた拡散粘着材25が配設されていない。また、セルギャップは、当該領域のセルギャップである液晶層3の厚みをD1、液晶層3の屈折率異方性をΔnとしたときに、D1とΔnとの積が1/2波長になるよう設定されている。
本実施形態3によれば、正面位相差が変化しても正面への特性に変化を生じさせないようにし、正面以外からの視野に対しては視野角補償の機能が働くようにしている。これにより、表示特性の劣化、特にコントラストが下がることを防止し、かつ視野角が広い透過型液晶表示装置を提供することができる。また、コントラスト及び視野角特性の良好な温度範囲、湿度範囲を従来例に比して拡大することができるので、液晶表示装置の高耐久性化を実現することができる。
実施形態1に係る1画素分のTFT基板の模式的平面図。 実施形態1に係る液晶表示装置の模式的断面図。 実施形態1に係る視野角補償フィルムの模式的説明図。 実施形態1に係る偏光を説明するためのボアンカレ球を示す図。 比較例に係る液晶表示装置の模式的断面図。 実施形態1及び比較例に係る液晶表示装置において、視野角補償フィルムの設計値からの位相差ずれに対して、コントラスト値(規格値)をシュミレーションした図。 実施形態1に係る透過モードにおける視野角特性を示す等コントラスト線図。 実施形態2に係る液晶表示装置の模式的断面図。 実施形態2及び比較例に係る液晶表示装置において、視野角補償フィルムの設計値からの位相差ずれに対して、コントラスト値(規格値)をシュミレーションした図。 実施形態2に係る透過モードにおける視野角特性を示す等コントラスト線図。 実施形態3に係る液晶表示装置の模式的断面図。 特許文献1に記載の液晶表示装置の概略構成断面図。 特許文献2に記載の液晶表示装置の概略構成断面図。 特許文献3に記載の液晶表示装置の概略構成断面図。
符号の説明
1 TFT基板
2 対向基板
3 液晶層
4 バックライト
10 下側−円偏光板
11 下側−直線偏光子
12 下側1/2波長板
13 下側視野角補償フィルム
13A TAC層
13B ディスコティック液晶層
13C ディスコティック液晶分子
14 下側1/4波長板
20 上側−円偏光板
21 上側−直線偏光子
22 上側1/2波長板
23 上側視野角補償フィルム
24 上側1/4波長板
30 TFT
31 ゲート配線
32 半導体層
33 ソース配線
34 反射電極
35 透過電極
36 画素電極
37 ギャップ調整層
38 ソース電極
39 ドレイン電極
50 液晶表示装置
51 液晶セル
52 液晶表示パネル

Claims (9)

  1. 画素電極を有する下基板、当該下基板と対向配置される上基板、及び前記下基板と上基板間に、電圧無印加時に基板面に概ね平行に配向する液晶分子を含む液晶層を具備する液晶セルと、
    前記液晶セルの外側の両主面に配設された一対の円偏光板と、を備えた液晶表示装置であって、
    前記一対の円偏光板は、それぞれ、外側から、直線偏光子、入射光の波長の概ねλ/2の位相差を有する1/2波長板、入射光の波長の概ねλ/4の位相差を有する1/4波長板を備え、
    前記下基板側に配設される前記円偏光板は、さらに、前記1/2波長板と前記1/4波長板の間に、負の複屈折率を有し、かつ下記<式1>若しくは<式2>を満たす視野角補償フィルムが配設され、
    前記下基板側に配設された前記1/2波長板は、面内屈折率が最大となる方向をX軸、同面内においてX軸に垂直な方向をY軸としたときのそれぞれの軸方向の屈折率をnx1、ny1とし、厚さをd1(nm)とした場合に、前記入射光の主波長での正面位相差値(nx1−ny1)×d1が、1/2波長である液晶表示装置。
    <式1> {θ(VAC)+θ(Polarizer)}/2=θ(λ/2板)
    <式2> {θ(VAC)+θ(Polarizer)+90}/2=θ(λ/2板)
    上記式中のθ(VAC)は、前記視野角補償フィルムを構成する液晶分子のダイレクタのフィルム主面への投影方向と、面内の任意の絶対軸との成す角度を示し、θ(Polarizer)は、前記視野角補償フィルムと同じ側にある前記直線偏光子の透過軸と前記絶対軸との成す角度を示し、θ(λ/2板)は、前記視野角補償フィルムと同じ側にある前記1/2波長板の遅相軸と前記絶対軸との成す角度を示す。
  2. 前記上基板側に配設される前記円偏光板は、さらに、前記1/2波長板と前記1/4波長板の間に、負の複屈折率を有し、かつ前記<式1>若しくは前記<式2>を満たす視野角補償フィルムが配設され、
    前記上基板側に配設された前記1/2波長板は、面内屈折率が最大となる方向をX軸、同面内においてX軸に垂直な方向をY軸としたときのそれぞれの軸方向の屈折率をnx2、ny2とし、厚さをd2(nm)とした場合に、前記入射光の主波長での正面位相差値(nx2−ny2)×d2が、1/2波長であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記上基板と、当該上基板側に配設される前記円偏光板とは、拡散部材が分散された拡散粘着材により接着せしめられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記1/2波長板、及び前記1/4波長板の少なくともいずれかは、2軸位相差フィルムであり、
    当該2軸位相差フィルムは、遅相軸方位の屈折率をna、位相差板面内においてnaと直交する方位の屈折率をnb、位相差板の垂直方向の屈折率をncとしたときに、Nz=(na−nc)/(na−nb )と定義した場合に、0≦Nz≦0.8を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記視野角補償フィルムは、液晶分子がハイブリッド配向した状態で固定化させた液晶フィルムを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 第1の円偏光板、第2の円偏光板を備える液晶セルの外側主面に配設するための一対の円偏光板であって、
    前記第1の円偏光板、第2の円偏光板は、それぞれ、外側から、直線偏光子、入射光の波長の概ねλ/2 の位相差を有する1/2波長板、入射光の波長の概ねλ/4の位相差を有する1/4波長板を備え、
    前記第1の円偏光板は、さらに、前記1/2波長板と前記1/4波長板の間に、負の複屈折率を有し、かつ下記<式1>若しくは<式2>を満たす視野角補償フィルムが配設され、
    前記前記第1の円偏光板に配設された前記1/2波長板は、面内屈折率が最大となる方向をX軸、同面内においてX軸に垂直な方向をY軸としたときのそれぞれの軸方向の屈折率をnx1、ny1とし、厚さをd1(nm)とした場合に、主波長での正面位相差値(nx1−ny1)×d1が、1/2波長である一対の円偏光板。
    <式1> {θ(VAC)+θ(Polarizer)}/2=θ(λ/2板)
    <式2> {θ(VAC)+θ(Polarizer)+90}/2=θ(λ/2板)
    上記式中のθ(VAC)は、前記視野角補償フィルムを構成する液晶分子のダイレクタのフィルム主面への投影方向と、面内の任意の絶対軸との成す角度を示し、θ(Polarizer)は、前記視野角補償フィルムと同じ側にある前記直線偏光子の透過軸と前記絶対軸との成す角度を示し、θ(λ/2板)は、前記視野角補償フィルムと同じ側にある前記1/2波長板の遅相軸と前記絶対軸との成す角度を示す。
  7. 前記第2の円偏光板は、さらに、前記1/2波長板と前記1/4波長板の間に、負の複屈折率を有し、かつ前記<式1>若しくは前記<式2>を満たす視野角補償フィルムが配設され、
    前記第2の円偏光板に配設された前記1/2波長板は、面内屈折率が最大となる方向をX軸、同面内においてX軸に垂直な方向をY軸としたときのそれぞれの軸方向の屈折率をnx2、ny2とし、厚さをd2(nm)とした場合に、主波長での正面位相差値(nx2−ny2)×d2が、1/2波長であることを特徴とする請求項6に記載の一対の円偏光板。
  8. 前記1/2波長板、及び前記1/4波長板の少なくともいずれかは、2軸位相差フィルムであり、
    当該2軸位相差フィルムは、遅相軸方位の屈折率をna、位相差板面内においてnaと直交する方位の屈折率をnb、位相差板の垂直方向の屈折率をncとしたときに、Nz=(na−nc)/(na−nb )と定義した場合に、0≦Nz≦0.8を満足することを特徴とする請求項6又は7に記載の一対の円偏光板。
  9. 前記視野角補償フィルムは、液晶分子がハイブリッド配向した状態で固定化させた液晶フィルムを備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の一対の円偏光板。
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