JP2010025886A - すす濃度測定装置 - Google Patents

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武征 神本
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Abstract

【課題】安価で、測定が簡便なすす濃度測定装置を提供する。
【解決手段】試料ガスGに測定光Iを入射させる光源2と、試料ガスGで生じた散乱光の強度を検出する受光器3と、散乱光強度からすす濃度を求める濃度比例式に受光器3が検出した散乱光強度を代入して試料ガスGのすす濃度を演算する演算器4とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、安価で、測定が簡便なすす濃度測定装置に関する。
エンジンから排出される排気ガスのすす濃度を実時間測定する装置としては、光減衰法による測定を行う装置が知られている。この装置は、測定精度が高く、測定可能濃度は0.1mg/m3以上である。この他に、TEOM(Tapered Element Oscillating Microbalance)とLII(Laser Induced Incandescence)がある。
また、排気ガスから微粒子フィルタですすを濾過し、濾過後の排気ガスの低いすす濃度を測定するエアロゾル測定器がある。
特開2004−198121号公報 特開2002−48701号公報
すす濃度測定装置を自動車に搭載してエンジンから排出される排気ガスのすす濃度を実時間測定するためには、車載が可能な程度に小型であって、測定を簡便に行うことができることが望ましい。
光減衰法による測定を行う装置は、測定用の管が長く、装置が大型となるため、車載には不適格である。
TEOM、LIIは、いずれも高価であると共に、測定を簡便に行うことが困難である。
エアロゾル測定器は、必要以上に感度が高く、しかも、高価である。これは、車載用として不適格である。
このように、従来のすす濃度測定装置は、高価であること及び測定が簡便でないことのため、車載には採用できない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、安価で、測定が簡便なすす濃度測定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、試料ガスに測定光を入射させる光源と、上記試料ガスで生じた散乱光の強度を検出する受光器と、散乱光強度からすす濃度を求める比例式に上記受光器が検出した散乱光強度を代入して上記試料ガスのすす濃度を演算する演算器とを備えたものである。
車両の排気管に挿入されて該排気管から上記試料ガスを抽出するサンプリングプローブと、該サンプリングプローブに接続された所定の閉じられた空間を有し、この空間に上記光源と上記受光器を臨ませて保持するチャンバと、上記チャンバ内を負圧に維持する排気ブロアと、上記チャンバ内に清浄空気を導入する清浄空気導入管とを備えてもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)安価なすす濃度測定装置が提供される。
(2)測定が簡便である。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に示されるように、本発明に係るすす濃度測定装置1は、試料ガスGに測定光Iを入射させる光源2と、試料ガスGで生じた所定の角度θにおける散乱光の強度を検出する散乱光受光器3と、散乱光強度からすす濃度を求める濃度比例式に受光器3が検出した散乱光強度を代入して試料ガスGのすす濃度を演算する演算器4とを備える。
本実施形態にあっては、すす濃度測定装置1は、車載装置であり、例えば、ディーゼルエンジンが搭載された車両に適用される。すす濃度測定装置1は、ディーゼルエンジンからの排気管5に挿入されて排気管5から試料ガスGを抽出するサンプリングプローブ6と、サンプリングプローブ6に接続された所定の閉じられた空間Sを有し、この空間Sに光源2と受光器3を臨ませて保持するチャンバ7と、チャンバ7内を負圧に維持する排気ブロア8と、大気を吸い込んで図示しないフィルタで清浄化してチャンバ7内に清浄空気を導入する清浄空気導入管9とを備える。
さらに、すす濃度測定装置1は、試料ガスGを透過した余分な測定光Iを捕捉して反射を防止するビームトラップ10と、サンプリングプローブ6からチャンバ7までを繋いで試料ガスGを搬送すると共に搬送している試料ガスGを所定の温度に調温するヒーティングチューブ11と、ヒーティングチューブ11からの試料ガスGをチャンバ7内の空間Sに所定の噴出流形状で噴出させるノズル12とを備える。
なお、チャンバ7は大地(水平面)に対してどのような姿勢(角度)に置いてもよいが、図示上では、ノズル12を設けた面(以下、チャンバ7の底面7aと呼ぶ)を下にしている。
光源2は、測定光Iとして、例えば、レーザ光ビームを出射するレーザ光源である。受光器3は、ホルダ内に、集光レンズ、レーザフィルタ、偏向板、光検出器が内蔵されたものである。
本実施形態では、光源2に対向させてビームトラップ10が配置され、光源2とビームトラップ10とを結ぶ直線がノズル12の開口直上を横切るようになっている。受光器3は、光源2とビームトラップ10とを結ぶ直線を含む面(チャンバ7の底面7aと平行な面)において、ノズル12の中心軸の周りにビームトラップ10に対する角度がθとなる位置に配置されている。
演算器4は、受光器3からの散乱光強度アナログ信号をデジタル化するA/D変換器と、散乱光強度デジタル値を用いて濃度比例式を演算するコンピュータ(マイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータなど)と、演算に必要なメモリとを備える。
チャンバ7は、任意の形状に形成して良いが、ここでは説明を簡単にするため直方体とする。ノズル12は、チャンバ7の底面7aに設けられ、チャンバ7内の空間Sに向けて底面7aに対して直角方向に試料ガスGを噴出するようになっている。
一方、光源2はチャンバ7の側面に設けられ、ノズル12の出口付近における試料ガスGの噴出流の中心に向けて底面7aに対して平行方向にビームを出射するようになっている。
次に、本発明のすす濃度測定装置1の動作を説明する。
排気管5を流れている排気ガスの一部がサンプリングプローブ6で分流されて試料ガスGとして抽出される。サンプリングプローブ6で抽出された試料ガスGはヒーティングチューブ11によってチャンバ7に搬送される。このとき、ヒーティングチューブ11では、搬送している試料ガスGを所定の温度に調温する。
ヒーティングチューブ11からの試料ガスGがノズル12によってチャンバ7内の空間Sに所定の噴出流形状で噴出される。試料ガスGはしだいに拡散するが、その一方で、清浄空気導入管9からチャンバ7内に、フィルタで清浄化した清浄空気が導入される。排気ブロア8が排気を行うことにより、チャンバ7内は、古い試料ガスGが絶えず排気されると共に、清浄空気が補充される。このとき、清浄空気導入管9における清浄空気の吸い込みに対して排気ブロア8における吐き出しを10%程度多くしておくことにより、チャンバ7内が負圧に維持される。この負圧によって、排気管5の排気ガスがサンプリングプローブ6で抽出され、試料ガスGとしてノズル12から噴出される。
ノズル12の出口付近においては、排気管5を流れている排気ガスにおけるすす寸法とすす濃度を反映した最新の試料ガスGが噴出される。光源2から出射されたビームがノズル12の出口付近における試料ガスGの噴出流の中心に向けて底面7aに対して平行方向(噴出流に対して直角方向)に入射される。
試料ガスG中に含まれるすす微粒子は、あらゆる方向に光を散乱させる。本発明においては、所定の方向における散乱光強度を検出し、これを基にすす濃度(質量濃度)を測定する。
ここで、散乱光の強度は、どの散乱方向(散乱角度)においても試料ガスGの噴出流中のすす濃度に比例する。
すす粒子の散乱理論によると、入射する光ビームと散乱する光とのなす角度を散乱角度と定義するとき、散乱角度が小さい場合は、比例定数はすすの寸法の関数である。すすの寸法とは、凝集体の回転モーメント半径のことである。一方、散乱角度が大きい場合は、比例定数はすすの寸法とは無関係に一定となる。
なお、散乱角度が小さい散乱を前方散乱と呼び、散乱角度が大きい散乱を後方散乱と呼ぶ。例えば、光源2から出射され、試料ガスGを透過した光ビームと散乱する光とのなす角度θが90°より小であれば、前方散乱と呼ぶ。光源2から出射され、試料ガスGを透過した光ビームと散乱する光とのなす角度θが90°より大であれば、後方散乱と呼ぶ。しかし、実際には、前方散乱と後方散乱はあらゆる方向において混在する。
前述のように、散乱光の強度はすす濃度に比例し、後方散乱の場合は比例定数はすすの寸法とは無関係に一定であるから、すす濃度のみを測定する場合は、後方散乱する光を検出すればよい。
本発明では、所定の角度θにおいて散乱光(主として後方散乱光)を検出し、これを濃度比例式に代入することで、すす濃度を測定する。これにより、演算を簡単にすることができる。
具体的には、受光器3が検出した散乱光強度をIscaとしたとき、演算器4は、すす濃度Cmを次の濃度比例式により演算して求める。
濃度比例式
Isca∝Cm(3Df/2eq2Df/2
Df;furactal Dimension 一定
q=4πsin(θ/2)
eは自然対数係数
濃度比例式中の定数については、あらかじめ実験を行うことにより、具体的な数値を調べておき、演算器4にはその具体的な数値を設定しておく。
図2に、実際のエンジン排気ガスについて本発明のすす濃度測定装置1でDPF前とDPF後の箇所においてすす濃度を測定した評価実験の結果を示す。
図示のように、エンジン回転数(細短破線)とエンジントルク(細長破線)が時間的に変動すると、DPF前の箇所で本発明のすす濃度測定装置1で測定されるすす濃度(太実線)が変動する。DPF後の箇所で本発明のすす濃度測定装置1で測定されるすす濃度(太破線)は、ほぼ安定してゼロに近い値を維持していることが分かる。
以上説明したように、本発明のすす濃度測定装置1によれば、散乱光強度から試料ガスGのすす濃度を演算するようにしたので、後方散乱を利用した簡単な演算ですす濃度が測定できる。これにより、安価で、測定が簡便なすす濃度測定装置1が提供される。
本発明のすす濃度測定装置1は、すす濃度を実時間で簡便に測定することができると共にポータブルなすす濃度測定装置1である。本発明のすす濃度測定装置1は、エンジンのすす排出性能や微粒子フィルタのすす捕集特性の評価に使用することができる。本発明のすす濃度測定装置1は、ポータブルであることから、車載テストにも好適である。
本発明のすす濃度測定装置1により測定したすす濃度と、同時に別途装置で測定した排気流量とを用いて、微粒子フィルタに堆積するすす質量、すなわちすす堆積量を知ることができる。
DPF(diesel particulate filter)付きのディーゼルエンジンでは、すす堆積量に応じてすす再燃を行っている。本発明のすす濃度測定装置1によってすす濃度が正確に測定できることにより、すす再燃回数を最適にすることができる。
また、本発明のすす濃度測定装置1は、DPFの自己診断ツールとして利用できる。
上記実施形態においては、受光器3は、光源2とビームトラップ10とを結ぶ直線を含む同一面(チャンバ7の底面7aと平行な面)に配置したが、受光器3が同一面にない配置であっても、本発明は実施できる。
所定の角度θは、例えば、135°において検出精度が良いという結果が得られているが、この角度に限らず、本発明を実施することができる。
上記実施形態においては、チャンバ7を直方体に形成したが、測定光Iと試料ガスGの噴出流と散乱光の角度θの位置関係が再現できる形状であれば、円柱状に形成しても良く、その他の不規則形状に形成しても良い。
上記実施形態においては、チャンバ7の内部に光源2及び受光器3を設けたが、チャンバ7に光透過窓を設け、この光透過窓に臨ませてチャンバ7の外部に光源2及び受光器3を設けても良い。あるいは、エンジンの排気管5に近く高温・高振動環境となるチャンバ7から光源2及び受光器3を遠ざけて低温・低振動環境に配置し、測定光Iや散乱光を光ファイバで導くようにしても良い。
図1では、光路が分かりやすいように光源2及び光受光器3とノズル12を離して描いたが、散乱光を強くし、測定精度を上げるためには、光源2及び受光器3はノズル12に対して近い位置に配置するのが望ましい。
本発明の一実施形態を示すすす濃度測定装置の構成図である。 すす濃度測定評価実験における測定結果のグラフである。
符号の説明
1 すす濃度測定装置
2 光源
3 受光器
4 演算器
5 排気管
6 サンプリングプローブ
7 チャンバ
8 排気ブロア
9 清浄空気導入管
10 ビームトラップ
11 ヒーティングチューブ
12 ノズル

Claims (2)

  1. 試料ガスに測定光を入射させる光源と、上記試料ガスで生じた散乱光の強度を検出する受光器と、散乱光強度からすす濃度を求める比例式に上記受光器が検出した散乱光強度を代入して上記試料ガスのすす濃度を演算する演算器とを備えたことを特徴とするすす濃度測定装置。
  2. 車両の排気管に挿入されて該排気管から上記試料ガスを抽出するサンプリングプローブと、該サンプリングプローブに接続された所定の閉じられた空間を有し、この空間に上記光源と上記受光器を臨ませて保持するチャンバと、上記チャンバ内を負圧に維持する排気ブロアと、上記チャンバ内に清浄空気を導入する清浄空気導入管とを備えたことを特徴とする請求項1記載のすす濃度測定装置。
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