JP2010024856A - 火花点火式内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械圧縮比の増大に伴ない実圧縮比を増大する。
【解決手段】機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構Aと、吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構Bとを具備する。機関負荷の低下に伴ない吸気弁7の閉弁時期が遅らされるにつれて実圧縮比および機械圧縮比が増大せしめられると共に、機械圧縮比が最大機械圧縮比となったときに実圧縮比が最大実圧縮比とされる。
【選択図】図10

Description

本発明は火花点火式内燃機関に関する。
機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備し、ノッキングが生じない良好な燃焼を確保するために圧縮行程末期における燃焼室内の圧力が機関負荷にかかわらずにほぼ一定となるように機械圧縮比を制御するようにした火花点火式内燃機関が公知である(例えば特許文献1を参照)。この内燃機関では機械圧縮比が低かろうと高かろうと圧縮行程末期における燃焼室内の圧力がほぼ一定とされる。
特開2007−321589号公報
しかしながら機械圧縮比が高くなると燃焼室容積が小さくなるために膨張行程初期における単位クランク角当りのシリンダ容積の増大率が機械圧縮比の低い場合に比べて大きくなる。ところがこのように膨張行程初期における単位クランク角当りのシリンダ容積の増大率が大きくなると燃焼圧の上昇が抑制される。従って上述の内燃機関におけるように機械圧縮比が低かろうと高かろうと圧縮行程末期における燃焼室内の圧力がほぼ一定にされると機械圧縮比が高くなるほど燃焼圧は低くなり、燃焼圧が低くなった分だけ熱効率が低下するという問題がある。
上記問題を解決するために本発明によれば、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備した火花点火式内燃機関において、機関負荷の低下に伴ない吸気弁の閉弁時期が吸気下死点から離れる方向に移動せしめられるにつれて実圧縮比および機械圧縮比が増大せしめられると共に、機械圧縮比が最大機械圧縮比となったときに実圧縮比が最大実圧縮比とされる。
機械圧縮比が増大すると実圧縮比が増大せしめられるので機械圧縮比が高くなると膨張行程初期における燃焼圧が高められる。従って燃焼圧の低下による熱効率の低下を回避することができる。
図1に火花点火式内燃機関の側面断面図を示す。
図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火栓、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11には夫々対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18とが配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒コンバータ20に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。
一方、図1に示される実施例ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、更に実際の圧縮作用の開始時期を変更可能な実圧縮作用開始時期変更機構Bが設けられている。なお、図1に示される実施例ではこの実圧縮作用開始時期変更機構Bは吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構からなる。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18の出力信号および空燃比センサ21の出力信号は夫々対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火栓6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bに接続される。
図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されており、各突出部50内には夫々断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔てて夫々対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52が形成されており、これらの各突出部52内にも夫々断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図2に示されるように一対のカムシャフト54,55が設けられており、各カムシャフト54,55上には一つおきに各カム挿入孔51内に回転可能に挿入される円形カム56が固定されている。これらの円形カム56は各カムシャフト54,55の回転軸線と共軸をなす。一方、各円形カム56間には図3においてハッチングで示すように各カムシャフト54,55の回転軸線に対して偏心配置された偏心軸57が延びており、この偏心軸57上に別の円形カム58が偏心して回転可能に取付けられている。図2に示されるようにこれら円形カム58は各円形カム56間に配置されており、これら円形カム58は対応する各カム挿入孔53内に回転可能に挿入されている。
図3(A)に示すような状態から各カムシャフト54,55上に固定された円形カム56を図3(A)において実線の矢印で示される如く互いに反対方向に回転させると偏心軸57が下方中央に向けて移動するために円形カム58がカム挿入孔53内において図3(A)の破線の矢印に示すように円形カム56とは反対方向に回転し、図3(B)に示されるように偏心軸57が下方中央まで移動すると円形カム58の中心が偏心軸57の下方へ移動する。
図3(A)と図3(B)とを比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離によって定まり、円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大し、従って各カムシャフト54,55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
図2に示されるように各カムシャフト54,55を夫々反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸には夫々螺旋方向が逆向きの一対のウォームギア61,62が取付けられており、これらウォームギア61,62と噛合する歯車63,64が夫々各カムシャフト54,55の端部に固定されている。この実施例では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。なお、図1から図3に示される可変圧縮比機構Aは一例を示すものであっていかなる形式の可変圧縮比機構でも用いることができる。
一方、図4は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70の端部に取付けられた可変バルブタイミング機構Bを示している。図4を参照すると、この可変バルブタイミング機構Bは機関のクランク軸によりタイミングベルトを介して矢印方向に回転せしめられるタイミングプーリ71と、タイミングプーリ71と一緒に回転する円筒状ハウジング72と、吸気弁駆動用カムシャフト70と一緒に回転しかつ円筒状ハウジング72に対して相対回転可能な回転軸73と、円筒状ハウジング72の内周面から回転軸73の外周面まで延びる複数個の仕切壁74と、各仕切壁74の間で回転軸73の外周面から円筒状ハウジング72の内周面まで延びるベーン75とを具備しており、各ベーン75の両側には夫々進角用油圧室76と遅角用油圧室77とが形成されている。
各油圧室76,77への作動油の供給制御は作動油供給制御弁78によって行われる。この作動油供給制御弁78は各油圧室76,77に夫々連結された油圧ポート79,80と、油圧ポンプ81から吐出された作動油の供給ポート82と、一対のドレインポート83,84と、各ポート79,80,82,83,84間の連通遮断制御を行うスプール弁85とを具備している。
吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を進角すべきときは図4においてスプール弁85が右方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート79を介して進角用油圧室76に供給されると共に遅角用油圧室77内の作動油がドレインポート84から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印方向に相対回転せしめられる。
これに対し、吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を遅角すべきときは図4においてスプール弁85が左方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート80を介して遅角用油圧室77に供給されると共に進角用油圧室76内の作動油がドレインポート83から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印と反対方向に相対回転せしめられる。
回転軸73が円筒状ハウジング72に対して相対回転せしめられているときにスプール弁85が図4に示される中立位置に戻されると回転軸73の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸73はそのときの相対回転位置に保持される。従って可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を所望の量だけ進角させることができ、遅角させることができることになる。
図5において実線は可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も進角されているときを示しており、破線は吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も遅角されているときを示している。従って吸気弁7の開弁期間は図5において実線で示す範囲と破線で示す範囲との間で任意に設定することができ、従って吸気弁7の閉弁時期も図5において矢印Cで示す範囲内の任意のクランク角に設定することができる。
図1および図4に示される可変バルブタイミング機構Bは一例を示すものであって、例えば吸気弁の開弁時期を一定に維持したまま吸気弁の閉弁時期のみを変えることのできる可変バルブタイミング機構等、種々の形式の可変バルブタイミング機構を用いることができる。
次に図6を参照しつつ本願において使用されている用語の意味について説明する。なお、図6の(A),(B),(C)には説明のために燃焼室容積が50mlでピストンの行程容積が500mlであるエンジンが示されており、これら図6の(A),(B),(C)において燃焼室容積とはピストンが圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を表している。
図6(A)は機械圧縮比について説明している。機械圧縮比は圧縮行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積のみから機械的に定まる値であってこの機械圧縮比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(A)に示される例ではこの機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
図6(B)は実圧縮比について説明している。この実圧縮比は実際に圧縮作用が開始されたときからピストンが上死点に達するまでの実際のピストン行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの実圧縮比は(燃焼室容積+実際の行程容積)/燃焼室容積で表される。即ち、図6(B)に示されるように圧縮行程においてピストンが上昇を開始しても吸気弁が開弁している間は圧縮作用は行われず、吸気弁が閉弁したときから実際の圧縮作用が開始される。従って実圧縮比は実際の行程容積を用いて上記の如く表される。図6(B)に示される例では実圧縮比は(50ml+450ml)/50ml=10となる。
図6(C)は膨張比について説明している。膨張比は膨張行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの膨張比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図6(C)に示される例ではこの膨張比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
次に図7および図8を参照しつつ本発明において最も基本となっている特徴について説明する。なお、図7は理論熱効率と膨張比との関係を示しており、図8は本発明において負荷に応じ使い分けられている通常のサイクルと超高膨張比サイクルとの比較を示している。
図8(A)は吸気弁が下死点近傍で閉弁し、ほぼ吸気下死点付近からピストンによる圧縮作用が開始される場合の通常のサイクルを示している。この図8(A)に示す例でも図6の(A),(B),(C)に示す例と同様に燃焼室容積が50mlとされ、ピストンの行程容積が500mlとされている。図8(A)からわかるように通常のサイクルでは機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11であり、実圧縮比もほぼ11であり、膨張比も(50ml+500ml)/50ml=11となる。即ち、通常の内燃機関では機械圧縮比と実圧縮比と膨張比とがほぼ等しくなる。
図7における実線は実圧縮比と膨張比とがほぼ等しい場合の、即ち通常のサイクルにおける理論熱効率の変化を示している。この場合には膨張比が大きくなるほど、即ち実圧縮比が高くなるほど理論熱効率が高くなることがわかる。従って通常のサイクルにおいて理論熱効率を高めるには実圧縮比を高くすればよいことになる。しかしながら機関高負荷運転時におけるノッキングの発生の制約により実圧縮比は最大でも12程度までしか高くすることができず、斯くして通常のサイクルにおいては理論熱効率を十分に高くすることはできない。
一方、このような状況下で本発明者は機械圧縮比と実圧縮比とを厳密に区分して理論熱効率を高めることについて検討し、その結果理論熱効率は膨張比が支配し、理論熱効率に対して実圧縮比はさほど影響を与えないことを見い出したのである。即ち、実圧縮比を高くすると爆発力は高まるが圧縮するために大きなエネルギーが必要となり、斯くして実圧縮比を高めても理論熱効率はあまり高くならない。
これに対し、膨張比を大きくすると膨張行程時にピストンに対し押下げ力が作用する期間が長くなり、斯くしてピストンがクランクシャフトに回転力を与えている期間が長くなる。従って膨張比は大きくすれば大きくするほど理論熱効率が高くなる。図7の破線は実圧縮比を10に固定した状態で膨張比を高くしていった場合の理論熱効率を示している。このように実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くしたときの理論熱効率の上昇量と、図7の実線で示す如く実圧縮比も膨張比と共に増大せしめられる場合の理論熱効率の上昇量とは大きな差がないことがわかる。
このように実圧縮比が低い値に維持されているとノッキングが発生することがなく、従って実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くするとノッキングの発生を阻止しつつ理論熱効率を大巾に高めることができる。図8(B)は可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bを用いて、実圧縮比を低い値に維持しつつ膨張比を高めるようにした場合の一例を示している。
図8(B)を参照すると、この例では可変圧縮比機構Aにより燃焼室容積が50mlから20mlまで減少せしめられる。一方、可変バルブタイミング機構Bによって実際のピストン行程容積が500mlから200mlになるまで吸気弁の閉弁時期が遅らされる。その結果、この例では実圧縮比は(20ml+200ml)/20ml=11となり、膨張比は(20ml+500ml)/20ml=26となる。図8(A)に示される通常のサイクルでは前述したように実圧縮比がほぼ11で膨張比が11であり、この場合に比べると図8(B)に示される場合には膨張比のみが26まで高められていることがわかる。これが超高膨張比サイクルと称される所以である。
一般的に言って内燃機関では機関負荷が低いほど熱効率が悪くなり、従って機関運転時における熱効率を向上させるためには、即ち燃費を向上させるには機関低負荷運転時における熱効率を向上させることが必要となる。一方、図8(B)に示される超高膨張比サイクルでは圧縮行程時の実際のピストン行程容積が小さくされるために燃焼室5内に吸入しうる吸入空気量は少なくなり、従ってこの超高膨張比サイクルは機関負荷が比較的低いときにしか採用できないことになる。従って本発明では機関負荷が比較的低いときには図8(B)に示す超高膨張比サイクルとし、機関高負荷運転時には図8(A)に示す通常のサイクルとするようにしている。
このように膨張比を高くすると、即ち機械圧縮比を高くすると熱効率を大巾に高めることができる。しかしながら機械圧縮比を高くすると燃焼室容積が小さくなるために膨張行程初期における単位クランク角当りのシリンダ容積の増大率が機械圧縮比の低い場合に比べて大きくなる。次にこのことについて図9を参照しつつ説明する。
図9にはクランク角1度当りのシリンダ容積の増大率IRとクランク角との関係、および熱発生率とクランク角との関係が示されている。なお、図9においてXは図8(A)に示される通常のサイクルにおける機械圧縮比(=11)の場合を示しており、Yは図8(B)に示される超高膨張比サイクルにおける機械圧縮比(=26)の場合を示している。図9に示されるようにシリンダ容積の増大率IRは圧縮比死点TDcではほぼ1.0であるが膨張行程の初期において高くなり、排気下死点に近ずくに従って1.0に近ずく。
ところで図9からわかるように機械圧縮比が高くなるとシリンダ容積の増大率IRが高くなり、シリンダ容積の増大率IRが高くなると燃焼圧の上昇が抑制される。この場合、図9に示されるようにシリンダ内における熱発生率が高くなるクランク角において、機械圧縮比が高いときのシリンダ容積の増大率Yと機械圧縮比が低いときのシリンダ容積の増大率Xとの差(Y−X)が大きくなる。従って機械圧縮比が高くなると機械圧縮比が低い場合に比べて燃焼圧の上昇がかなり抑制され、燃焼圧の上昇が抑制された分だけ熱効率が低下することになる。
そこで本発明では燃焼圧の上昇の抑制による熱効率の低下を回避するために機械圧縮比が高くなるほど実圧縮比を高くするようにしている。次にこのことについて運転制御全般を示している図10を参照しつつ説明する。
図10を参照すると図10には機関負荷に応じた機械圧縮比、膨張比、吸気弁7の閉弁時期、実圧縮比、吸入空気量およびスロットル弁17の開度の各変化が示されている。なお、本発明による実施例では触媒コンバータ20内の三元触媒によって排気ガス中の未燃HC,COおよびNOXを同時に低減しうるように通常燃焼室5内における平均空燃比は空燃比センサ21の出力信号に基いて理論空燃比にフィードバック制御されている。
さて、前述したように機関高負荷運転時には図8(A)に示される通常のサイクルが実行される。従って図10に示されるようにこのときには機械圧縮比は低くされるために膨張比は低く、図10において実線で示されるように吸気弁7の閉弁時期は図5において実線で示される如く早められている。このとき実圧縮比は10から11程度とされている。また、このときには吸入空気量は多く、従ってこのときスロットル弁17の開度は全開又はほぼ全開に保持されている。
一方、図10に示されるように機関負荷が低くなると燃焼室5内への供給吸入空気量を減少させるために図10において実線で示される如く機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。一方、図10に示される例では機関負荷が最大負荷から低下するとそれに伴なって実圧縮比が徐々に増大せしめられる。この場合、機械圧縮比は実圧縮比がこのように機関負荷の低下に伴ない徐々に増大するように制御される。このとき機械圧縮比は図10に示されるように機関負荷の低下に伴って増大され、膨張比も機関負荷の低下に伴って増大される。なお、このときにもスロットル弁17は全開又はほぼ全開状態に保持されており、従って燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。
このように機関負荷が低くなると吸入空気量が減少するにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。即ち、吸入空気量の減少に比例してピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が減少せしめられる。従ってピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は吸入空気量に比例して変化していることになる。なお、このとき燃焼室5内の空燃比は理論空燃比となっているのでピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は燃料量に比例して変化していることになる。
一方、図10において実線で示されるように吸気弁7の閉弁時期は機関負荷が低くなるにつれて燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期まで遅らされ、吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L0よりも負荷の低い領域では吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持される。吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御しえないので他の何らかの方法によって吸入空気量を制御する必要がある。図10に示される実施例ではこのとき、即ち吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L0よりも負荷の低い領域ではスロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御される。
一方、吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達すると機械圧縮比、膨張比および実圧縮比は最大となり、機械負荷が図10に示される負荷L0以下のときには機械圧縮比が最大機械圧縮比とされ、実圧縮比が最大実圧縮比とされる。ただし、無負荷運転時、即ちアイドリング運転時には機関の振動騒音の発生を抑制するために機械圧縮比が低下せしめられ、実圧縮比が例えば10から11程度まで低下せしめられる。
図11に別の実施例を示す。図11に示されるようにこの実施例では実圧縮比は機関最大負荷の四分の三以上の予め定められた負荷Ltから機関最大負荷までの負荷範囲では一定とされ、機関負荷がこの負荷範囲から低下するとそれに伴って低下せしめられる。なお、この実施例でも吸気弁7の閉弁時期が遅らされて限界閉弁時期に達したときに機械圧縮比および実圧縮比が最大となる。
一方、図10および図11において破線で示すように機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を早めることによってもスロットル弁17によらずに吸入空気量を制御することができる。従って、図10および図11において実線で示される場合と破線で示される場合とをいずれも包含しうるように表現すると、本発明による実施例では吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期L0まで吸気下死点BDCから離れる方向に移動せしめられることになる。
従って本発明では図10および図11に示されるように機関負荷の低下に伴ない吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れる方向に移動せしめられるにつれて実圧縮比および機械圧縮比が増大せしめられると共に、機械圧縮比が最大機械圧縮比となったときに実圧縮比が最大実圧縮比とされ、機械圧縮比が最大機械圧縮比とされている機関の負荷領域では実圧縮比が最大実圧縮比とされる。
このように本発明では機械圧縮比が増大すると実圧縮比が増大せしめられるので機械圧縮比が高くなると膨張行程初期における燃焼圧が高められる。従って燃焼圧の低下による、熱効率の低下を回避することができることになる。
なお、図10および図11に示される実施例では吸気弁7の閉弁時期が遅らされて限界閉弁時期に達すると機械圧縮比が最大圧縮比とされ、実圧縮比が最大実圧縮比とされる。即ち、機械負荷が低下して機械圧縮比が最大機械圧縮比となるまで機械負荷の低下に伴ない吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れる方向に移動せしめられる。
しかしながら図10および図11に示される実施例とは異なり、吸気弁7の閉弁時期が遅らされて限界閉弁時期に達する前に機械圧縮比が最大圧縮比となり、実圧縮比が最大実圧縮比となるように機械圧縮比を制御することもできる。この場合には、機械負荷が低下して機械圧縮比および実圧縮比が夫々最大機械圧縮比および最大実圧縮比となっても機械負荷の低下に伴ない吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れる方向に移動せしめられる。
ところで、前述したように図8(B)に示す超高膨張比サイクルでは膨張比が26とされる。この膨張比は高いほど好ましいが20以上であればかなり高い理論熱効率を得ることができる。従って本発明では膨張比が20以上となるように可変圧縮比機構Aが形成されている。
図12に図10又は図11に示される運転制御を実行するためのルーチンを示す。
図12を参照するとまず初めにステップ100において図13に示すマップから吸気弁7の閉弁時期ICが算出される。即ち、要求吸入空気量を燃焼室5内に供給するのに必要な吸気弁7の閉弁時期ICが機関負荷Lおよび機関回転数Nの関数として図13に示すようなマップの形で予めROM32内に記憶されており、このマップから吸気弁7の閉弁時期ICが算出される。次いでステップ101では図10又は図11に示される実圧縮比、即ち目標実圧縮比が算出される。
図10又は図11に示される例ではこの目標実圧縮比は機関負荷のみの機関となっている。しかしながらこの目標実圧縮比は機関回転数に応じて変化させることもできる。この場合、この目標実圧縮比は機関負荷が同一であっても機関回転数が高くなるほど高くされる。次いでステップ102では実圧縮比をこの目標実圧縮比とするのに必要な機械圧縮比CRが算出される。次いでステップ103では機械圧縮比が機械圧縮比CRとなるように可変圧縮比機構Aが制御され、吸気弁7の閉弁時期が閉弁時期ICとなるように可変バルブタイミング機構Bが制御される。
火花点火式内燃機関の全体図である。 可変圧縮比機構の分解斜視図である。 図解的に表した内燃機関の側面断面図である。 可変バルブタイミング機構を示す図である。 吸気弁および排気弁のリフト量を示す図である。 機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。 理論熱効率と膨張比との関係を示す図である。 通常のサイクルおよび超高膨張比サイクルを説明するための図である。 シリンダ容積の増大率IRおよび熱発生率を示す図である。 機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。 機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。 運転制御を行うためのフローチャートである。 吸気弁の閉弁時期のマップを示す図である。
符号の説明
1 クランクケース
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
7 吸気弁
70 吸気弁駆動用カムシャフト
A 可変圧縮比機構
B 可変バルブタイミング機構

Claims (5)

  1. 機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、吸気弁の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構とを具備した火花点火式内燃機関において、機関負荷の低下に伴ない吸気弁の閉弁時期が吸気下死点から離れる方向に移動せしめられるにつれて実圧縮比および機械圧縮比が増大せしめられると共に、機械圧縮比が最大機械圧縮比となったときに実圧縮比が最大実圧縮比とされる火花点火式内燃機関。
  2. 機関負荷が低下して機械圧縮比が最大機械圧縮比となるまで、或いは機械負荷が低下して機械圧縮比が最大機械圧縮比となっても機械負荷の低下に伴ない吸気弁の閉弁時期が吸気下死点から離れる方向に移動せしめられる請求項1に記載の火花点火式内燃機関。
  3. 上記実圧縮比は機械負荷が最大負荷から低下するとそれに伴って低下する請求項1に記載の火花点火式内燃機関。
  4. 上記実圧縮比は機関最大負荷の四分の三以上の予め定められた負荷から機関最大負荷までの負荷範囲では一定とされ、機関負荷が該負荷範囲から低下するとそれに伴って低下する請求項1に記載の火花点火式内燃機関。
  5. 機械圧縮比が最大機械圧縮比とされている機関の負荷領域では実圧縮比が最大実圧縮比とされる請求項1に記載の火花点火式内燃機関。
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