JP2010020973A - 有機el表示装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】封止のための接着材シートを封止基板および素子基板に精度よくセットし、かつ、接着材シートと素子基板および封止基板の間に気泡を巻き込まない封止方法を実現する。
【解決手段】接着材シート位置決め冶具50に上下保護シートを有する接着材シート35を位置決めピン55を基準に精度良くセットする。転写プレート60を接着材シート位置決め冶具50に対向してセットし、接着材シートを転写プレートに写し取る。封止基板がセットされた封止基板位置決め冶具に対向して接着材シート35が転写されている転写プレート60をセットして接着治具70を形成する。接着治具70を減圧雰囲気中にセットし、減圧雰囲気中において、上保護シートを有する接着材シート36と封止基板を接着する。その後、接着材シートが接着した封止基板と素子基板を減圧雰囲気中で接着する。
【選択図】図5

Description

本発明は有機EL表示装置に係り、特に水分によるダークスポット等の発生を抑えた、信頼性の高い有機EL表示装置の製造方法に関する。
有機EL表示装置では画素電極(下部電極)と上部電極との間に有機EL層を挟持し、上部電極に一定電圧を印加し、下部電極にデータ信号電圧を印加して有機EL層の発光を制御することによって画像を形成する。下部電極へのデータ信号電圧の供給は薄膜トランジスタ(TFT)を介して行われる。有機EL表示装置には、有機EL層から発光した光を、有機EL層等が形成されたガラス基板方向に取り出すボトムエミッション型と、有機EL層等が形成されたガラス基板と逆の方向に取り出すトップエミッション型とがある。
有機EL表示装置に使用される有機EL材料は水分が存在すると発光特性が劣化し、長時間動作をさせると、水分によって劣化した場所が発光しなくなる。これは表示領域のダークスポットとして現れる。このダークスポットは時間の経過とともに成長し、画像の欠陥となる。なお、画素の周辺で発光しない領域が増加するエッジグロースという現象も水分の影響によって生ずる。
ダークスポット等の発生、あるいは成長を防止するためには、有機EL表示装置内への水分の浸入の防止、あるいは、浸入した水分を除去する必要がある。このために、有機EL層が形成された素子基板を周囲に設置したシールを介して、封止基板によって封止し、外部から有機EL表示装置内への水分の浸入を防止する。封止された内部の空間にはN等の不活性ガスを充填する。一方、有機EL表示装置内に進入した水分を除去するために、有機EL表示装置内に乾燥剤を設置する。これを中空封止型有機EL表示装置という。
中空封止型有機EL表示装置では、素子基板と封止基板のギャップ調整が難しい、封止内部の調整が難しい、封止剤によって封止するときの、封止剤から放出されたガスによる有機EL材料の汚染、スループットが低い等の問題がある。
中空封止の問題を対策するものとして、膜厚が決まっている樹脂シートを素子基板と封止基板の間に挟み、この樹脂シートによって有機EL材料を水分から保護する技術が存在する。これを固体封止と称する。
「特許文献1」には、固体封止の例が記載されており、図10は「特許文献1」に記載されている構成である。図10において、光透過性フィルム101上に形成した光硬化性樹脂120を、有機EL層22を設けた素子基板10の上に80℃に加熱した圧着ローラ105を用いて貼り付ける。ついで、紫外線を照射して光硬化性樹脂120を硬化させ、光透過性フィルム110を剥がすことによって光硬化性樹脂で封止した有機EL表示装置を得る。また、必要に応じて有機EL素子を窒化シリコン膜で被覆する構成が記載されている。
特開2004−139977号公報
「特許文献1」に記載の技術では、封止の役割を有する光硬化性樹脂120の素子基板10に対する位置精度が十分ではない。光硬化性樹脂120と素子基板10との中心位置がずれると、有機EL表示装置の一方で、有機EL層22が光硬化性樹脂120によって十分に覆われていない部分が生ずる。そうすると、この部分において、水分の影響によるダークスポットが発生し易い。
また、「特許文献1」に記載の技術では、光硬化性樹脂120を素子基板10に圧着ローラ105によって押し付けて接着している。しかし、この方法では、光硬化性樹脂120を素子基板に接着するさい、気泡を巻き込みやすい。気泡が存在すれば、封止効果が劣化する。
本発明の課題は、以上の問題点を克服し、封止基板と封止シートの位置合わせが正確で、かつ気泡の巻き込みの無い固体封止の有機EL表示装置を実現することである。
本発明は上記課題を解決するものであり、具体的な手段は次のとおりである。
(1)有機EL層が形成された素子基板を覆って接着材シートが接着し、前記接着材シートに封止基板が接着した有機EL表示装置の製造方法であって、前記封止基板を封止基板位置決め冶具にセットする工程と、前記接着材シートを接着材シート位置決め冶具にセットし、前記接着材シート位置決め冶具から前記接着材シートを転写プレートに転写する工程と、前記封止基板位置決め冶具と前記転写プレートを組み合わせることによって前記封止基板と前記接着材シートを対向させる工程と、前記位置決め治具を減圧チャンバー内にセットし、前記封止基板と前記接着材シートを減圧雰囲気中で接着する工程と、前記接着材シートが接着した封止基板と、前記素子基板を減圧雰囲気中で接着する工程とを有することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
(2)前記封止基板の前記封止基板位置決め冶具へのセットは位置決めピンを基準に行われ、前記接着材シートの前記接着材シート位置決め冶具へのセットは位置決めピンを基準に行われ、前記接着材シート位置決め冶具から前記転写プレートへの前記接着材シートの転写は位置決めピンを基準にして行われ、前記接着材シートと前記封止基板を対向させる工程は位置決めピンを基準に行われることを特徴とする(1)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(3)前記減圧雰囲気中における前記封止基板と前記接着材シートの接着は加熱して行われることを特徴とする(1)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(4)有機EL層が形成された素子基板を覆って接着材シートが接着し、前記接着材シートに封止基板が接着した有機EL表示装置の製造方法であって、前記素子基板を素子基板位置決め冶具にセットする工程と、前記接着材シートを接着材シート位置決め冶具にセットし、前記接着材シート位置決め冶具から前記接着材シートを転写プレートに転写する工程と、前記素子基板位置決め冶具と前記転写プレートを組み合わせることによって前記素子基板と前記接着材シートを対向させる工程と、前記位置決め治具を減圧チャンバー内にセットし、前記素子基板と前記接着材シートを減圧雰囲気中で接着する工程と、前記接着材シートが接着した素子基板と、前記封止基板を減圧雰囲気中で接着する工程とを有することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
(5)前記素子基板の前記素子基板位置決め冶具へのセットは位置決めピンを基準に行われ、前記接着材シートの前記接着材シート位置決め冶具へのセットは位置決めピンを基準に行われ、前記接着材シート位置決め冶具から前記転写プレートへの前記接着材シートの転写は位置決めピンを基準にして行われ、前記接着材シートと前記素子基板を対向させる工程は位置決めピンを基準に行われることを特徴とする(4)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(6)前記減圧雰囲気中における前記素子基板と前記接着材シートの接着は加熱して行われることを特徴とする(4)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
本発明によれば、固体封止における接着材シートを素子基板あるいは封止基板に対して正確に位置決めして接着することが出来る。また、本発明によれば、接着材シートと素子基板、あるいは、接着材シートと封止基板の間に気泡を巻きこむこと無く接着することが出来る。このように、本発明によれば、封止特性の優れた有機EL表示装置を実現することが出来る。したがって、本発明によれば、ダークスポット等の欠陥の発生を抑え、寿命特性の優れた有機EL表示装置を実現することが出来る。
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明が適用される有機EL表示装置の構成について説明する。図1は本発明の有機EL表示装置を構成する有機EL表示パネル100の断面図である。図1において、素子基板10には画像を表示するための有機EL層や駆動のための薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成された表示領域101が形成されている。
表示領域101を覆って、封止の役割を兼ねる接着材シート30が設置されている。この接着材シート30によってガラスで形成される封止基板が素子基板に接着している。接着材シート30としては、熱硬化性のエポキシ樹脂が使用される。接着材シート30の厚さは10μm〜20μmである。なお、接着材シート30としてはエポキシ樹脂に限らずアクリル樹脂あるいはシリコン樹脂でも良い。
接着材シート30は非透湿のものが好ましいが、必ずしも、水分に対するバリアが強力なものでなくとも良い。水分に対するバリアは主としてガラスで形成された封止基板40が担うからである。すなわち、図1のような構成であれば、上方からの水分の浸入はガラスである封止基板40によってブロックされるが、側部からの水分が有機EL層に到達するには長い距離を通過する必要があるということである。
素子基板10の端部には表示領域101に有機EL層への電力、映像信号等を供給するための端子部102が存在している。端子部102は接着材によって覆われていないが、配線は無機パッシベーション膜、あるいは、有機パッシベーション膜によって被覆されているので、端子部102の導電膜が腐食することは無い。また、導電膜は有機EL層ほど水分には影響を受けない。
図1はいわゆる固体封止であり、封止基板40と素子基板10の間に空間が形成されていない。したがって、中空封止の場合のように、封止基板40が押された場合に素子基板10に接触して黒点が生ずるというような問題は生じない。また、封止のときの、封止ガスの内部圧力による種々の問題点も生じない。
本発明は図1のような有機EL表示パネル100をマザーパネル200に複数形成する。そして、マザー素子基板とマザー封止基板を接着するための大判の接着材シート30をマザー封止基板に貼り付けた後、マザー封止基板とマザー素子基板とを接着する。以下では説明における表現を簡単にするために、マザー素子基板を単に素子基板、マザー封止基板を単に封止基板と呼ぶことがある。
図2は本発明を適用したトップエミッション型の有機EL表示装置の表示領域の断面図である。本実施例はトップエミッション型の有機EL表示装置を例にとって説明するが、ボトムエミッション型の有機EL表示装置についても同様に本発明を適用することが出来る。トップエミッション型有機EL表示装置は、有機EL層の上にアノードが存在するトップアノード型と、有機EL層の上にカソードが存在するトップカソード型とが存在する。図1はトップアノード型の場合であるが、トップカソードの場合も本発明を同様に適用することが出来る。
図2において、素子基板10の上にはSiNからなる第1下地膜11と、SiOからなる第2下地膜12が形成されている。ガラス基板からの不純物が半導体層13を汚染することを防止するためである。第2下地膜12の上には半導体層13が形成される。半導体層13はCVDによってa−Si膜が形成されたあと、レーザ照射によってpoly−Si膜に変換する。
半導体層13を覆って、SiOからなるゲート絶縁膜14が形成される。ゲート絶縁膜14を挟んで、半導体層13と対向する部分にゲート電極15が形成される。ゲート電極15をマスクにして、半導体層13にリンあるいはボロン等の不純物をイオンインプランテーションによって打ち込み、導電性を付与して、半導体層13にソース部あるいはドレイン部を形成する。
ゲート電極15を覆って層間絶縁膜16がSiOによって形成される。ゲート配線とドレイン配線171を絶縁するためである。層間絶縁膜16の上にはドレイン配線171が形成される。ドレイン配線171は層間絶縁膜16およびゲート絶縁膜14に形成されたスルーホールを介して半導体層13のドレインと接続する。
その後、以上のようにして製作された薄膜トランジスタ(TFT)を保護するために、SiNからなる無機パッシベーション膜18が被着される。無機パッシベーション膜18の上には、有機パッシベーション膜19が形成される。有機パッシベーション膜19は無機パッシベーション膜18とともに、TFTをより完全に保護する役割を有するとともに、有機EL層22が形成される面を平坦にする役割を有する。したがって、有機パッシベーション膜19は1〜4μmと、厚く形成される。
有機パッシベーション膜19の上には反射電極24がAlまたはAl合金によって形成される。AlまたはAl合金は反射率が高いので、反射電極24として好適である。反射電極24は有機パッシベーション膜19および無機パッシベーション膜18に形成されたスルーホールを介してドレイン配線171と接続する。
本実施例はトップアノード型の有機EL表示装置なので、有機EL層22の下部電極21はカソードとなる。したがって、反射電極24として使用されるAlあるいはAl合金が有機EL層22の下部電極21を兼用することが出来る。AlあるいはAl合金は仕事関数が比較的小さいので、カソードとして機能することが出来るからである。
下部電極21の上には有機EL層22が形成される。有機EL層22は、下層から電子輸送層、発光層、ホール輸送層である。なお、電子輸送層と下部電極21との間に電子注入層を設ける場合もある。また、ホール輸送層と上部電極23の間にホール注入層を設ける場合もある。有機EL層22の上にはアノードとなる上部電極23が形成される。本実施例では上部電極23としてはIZOを用いている。IZOはマスクを用いず、表示領域全体に蒸着される。IZOの厚さは光の透過率を維持するために、30nm程度に形成される。IZOの代わりにITOを用いることも出来る。
電子輸送層としては電子輸送性を示し、アルカリ金属と共蒸着することにより電荷移動錯体化しやすいものであれば特に限定は無く、例えばトリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル−8−キノリノラート)−4−フェニルフェノラート−アルミニウム、ビス[2-[2-ヒドロキシフェニル]ベンゾオキサゾラート]亜鉛などの金属錯体や2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン等を用いることができる。
発光層材料としては電子、ホールの輸送能力を有するホスト材料に、それらの再結合により蛍光もしくはりん光を発するドーパントを添加したもので共蒸着により発光層として形成できるものであれば特に限定は無く、例えば、ホストとしてはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メタン]のような錯体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、等であっても良い。
また、ドーパントとしてはホスト中で電子とホールを捉えて再結合させ、発光するものであって、例えば赤ではピラン誘導体、緑ではクマリン誘導体、青ではアントラセン誘導体などの蛍光を発光する物質やもしくはイリジウム錯体、ピリジナート誘導体などりん光を発する物質であっても良い。
ホール輸送層は、例えば、テトラアリールベンジシン化合物(トリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体、銅フタロシアニン誘導体等を用いることができる。
なお、有機EL層22が端部において段切れによって破壊することを防止するために、画素と画素の間にバンク20が形成される。バンク20は有機材料で形成する場合もあるし、SiNのような無機材料で形成する場合もある。有機材料を使用する場合は、一般にはアクリル樹脂によって形成される。
バンク20上の上部電極23の上には導通を補助するために補助電極が用いられる場合もある。上部電極23の抵抗が大きい場合は輝度むらが生ずる場合があるからである。本実施例では補助電極を使用していないが、補助電極を使用した有機EL表示装置においても、本発明を適用できることは言うまでも無い。
上部電極の上には接着材シート30が形成されている。この接着材シート30は熱硬化性のエポキシ樹脂で、素子基板10と封止基板40を接着している。接着材シート30の厚さは10μm〜20μmである。接着材シート30と封止基板40によって有機EL層が水分から保護されている。
以下に、実施例を用いて、本発明の内容を詳細に説明する。
図3は有機EL表示パネル100が複数形成されたマザーパネル200である。複数の有機EL表示パネル100がマザーパネル200に形成されたあと、マザーパネル200から個々の有機EL表示パネル100をスクライビング等によって分離する。以後の説明は、実際にはマザーパネル200に対して適用されるものであるが、表現を複雑化しないために、有機EL表示パネル100、素子基板10、封止基板40等の表現を用いる。
図4は固体封止に用いる接着材シート30の断面図である。図4(a)の35は、接着材シート30が、上側保護シート31と下側保護シート32で覆われた状態である。図4(b)の36は、接着材シート30の上側だけが上側保護シート31で覆われた状態である。図4(c)は接着材シート30のみの状態である。
本発明の目的は、封止基板40と接着材シート30とを正確に位置合わせし、かつ、封止基板40と接着材シート30との間に気泡が存在しない封止方法を実現することである。図5および図6は接着材シート30と封止基板40を正確に位置決めするプロセスを記載したものである。
図5(b)は、接着材シート位置決め冶具50に、上下保護シートで覆われた接着材シート35が設置された状態を示す断面図である。図5(b)において、接着材シート位置決め冶具50には、位置決めピン55を基準にして上下保護シートで覆われた接着材シート35が正確に位置決めされている。
この状態の接着材シート位置決め冶具50に対して、接着テープ67を有する転写プレート60を接着材シート位置決め冶具50の位置決めピン55を基準に設置する。そうすると、接着テープ67に接着材シート30が写し取られる。この状態を図5(a)に示す。図5(a)に示す転写プレートには、接着材シート位置決め冶具の位置決めピンが挿入されるピン孔65が形成されている。接着材シート位置決め冶具50と転写プレート60は位置決めピン55によって正確に位置合わせされるので、転写プレート60の接着テープ67に写し取られた接着材シート30も正確に位置出しされている。
図6(a)および図6(b)はこの状態を平面図で示したものである。図6(a)において、接着材シート位置決め冶具50に上下に保護シートの付いた接着材シート35が載置されている。図6(b)は接着材シート位置決め冶具50に対して接着テープ67を有する転写プレート60を載置し、転写プレート60の接着テープ67に接着材シート35が写し取られた状態を示している。図6(b)の状態において、接着材シート35の下保護シートを除去して、図4(b)に示す接着材シート36の状態にする。接着材シート30を封止基板40に接着出来る状態とするためである。
図6(c)は、封止基板40を封止基板位置決め冶具75に載置した状態を示す平面図である。封止基板40は、図示しない位置決めピン55を基準に封止基板位置決め冶具75に正確にセッティングされる。その後、図6(d)に示すように、封止基板位置決め冶具75に対して転写プレート60を図示しない位置決めピン55を基準にセッティングする。この状態の構成を基板接着冶具70と称する。
図5(c)は、図6(d)の断面図である。封止基板位置決め冶具75と転写プレート60が位置決めピン55を基準にして合わさったものが図5(c)に示す基板接着冶具70である。図6(c)において、封止基板位置決め冶具75には加熱プレート76が配置されており、加熱プレート76の上に、位置決めピン55を基準に封止基板40が設置されている。
図5(c)において、封止基板位置決め冶具75を覆って、転写プレート60が配置されている。封止基板位置決め冶具75と転写プレート60は位置決めピン55を基準に合わさっているので、封止基板40の位置と上側保護シート31のみが付いた接着材シート36の位置は正確にセッティングされる。したがって、従来のように、接着材シート30と封止基板40の位置がずれて、封止の信頼性を損ねるという問題を回避することが出来る。以後、接着材シートは素子基板と合わさるまでは、図4(b)に示すように、上保護シートが付いた状態であるが、説明を複雑化しないために、単に接着材シート30と表現する。
次に封止基板40と接着材シート30との間に気泡を巻き込まないようにする封止方法について説明する。図7は、本発明において、気泡を巻き込まないように封止するための基本プロセスを示す模式図である。図7において、上チャンバー80と下チャンバー90によって、真空チャンバーが形成される。この場合の上チャンバー80、下チャンバー90、あるいは真空チャンバーは高真空に保つ必要は無く、後で述べるように、接着材シート30と封止基板40等を接着する時に気泡を巻き込まないようにするために、減圧雰囲気が形成できれば良い。下チャンバー90には基板接着冶具70がセットされる。この場合、基板接着冶具70は加熱プレート76を含むものである。
上チャンバー80の開口部は気密封止が可能なラバーによって覆われている。ラバーの存在によって、下チャンバー90と上チャンバー80は別々に真空排気およびリークが可能な状態となっている。この場合の真空排気は、減圧雰囲気が形成できれば良いという意味である。以下に述べる真空排気も同様の意味である。上チャンバー80には上チャンバー80をリークさせるための上チャンバーリーク孔81が形成され、下チャンバー90には下チャンバー90をリークさせるための下チャンバーリーク孔91が形成されている。
図7は、下チャンバー90は真空に排気されているが、上チャンバー80は真空をリークしている状態を示している。図7において、上チャンバー80は真空をリークしているので、ラバーは上チャンバー80からの空気圧によって下側に膨らんでいる。図7では、上チャンバー80のリークの量は僅かなので、ラバーはまだ基板接着冶具70の転写プレート60に接触していないが、上チャンバー80をさらにリークさせると、気圧によってラバーが下に膨らみ転写プレート60に接触するようになる。上チャンバー80をさらにリークさせると、ラバーがさらに膨らみ、転写プレート60の全面をラバーが押すようになる。
このようにして、転写プレート60に設置されていた接着材シート30が封止基板位置決め冶具75側の封止基板40に転写される。このとき、下チャンバー90は真空に排気されているので、接着材シート30と封止基板40の間には、空気が巻き込まれることは無い。したがって、気泡の巻き込みの無い封止が可能になる。
図8は以上で説明したプロセスを詳しく模式図によって示すものである。図8(a)は、上チャンバー80と下チャンバー90が分離された状態である。図8(a)の状態は、上チャンバー80も下チャンバー90も、未だ排気されていない。この状態で、下チャンバー90には基板接着冶具70がセットされる。基板接着冶具70には、過熱プレートが配置されており、過熱プレートは80℃にセッティングされている。したがって、封止基板40も80℃にセッティングされている。
図8(b)は上チャンバー80を排気した状態である。上チャンバー80を排気すると、大気圧の影響によって、ラバーが内側に凹む。図8(b)において、下チャンバー90は大気圧のままである。この状態で、上チャンバー80と下チャンバー90をOリング92を介して気密に封止した状態が図8(c)である。
図8(c)の状態から下チャンバー90を排気する。そうすると、上チャンバー80も下チャンバー90も真空状態になる。その後、上チャンバー80のみリークして空気を導入すると、ラバーは下側に凹むようになる。図8(d)は上チャンバー80をわずかにリークさせた状態であるので、ラバーは接着治具70に接していない。上チャンバー80にさらに空気を導入すると、ラバーはさらに下側に膨らみ、接着治具70に接触し、接着治具70にセットされている接着材シート30を封止基板40に押し当てる。この状態では、下チャンバー90内は真空となっているので、接着材シート30と封止基板40との間に気泡を巻きこむことは無い。
このようにして、接着材シート30の全面が封止基板40に気泡を巻きこむことなく押し当てられる。接着材シート30は加熱すると接着力を生ずる性質の材料を使用する。封止基板40は加熱プレート76によって80℃に暖められているので、接着材シート30は仮硬化し、封止基板40と接着材シート30とは、真空槽内で気密を保ったまま接着する。
その後、下チャンバー90をリークして空気を導入すると、ラバーは接着治具70から離れ、もとに戻る。この状態が図8(e)である。その後、図8(f)に示すように、上チャンバー80と下チャンバー90を分離し、下チャンバー90から接着治具70を取り出す。
以上、説明したように、接着材シート30と封止基板40とは、封止基板位置決め冶具75あるいは接着材シート位置決め冶具50の位置決めピン55を基準にして正確に位置決めされ、さらに、図8で説明したように、気泡を巻きこむことなく、均一に、気密接着される。
このようにして、接着材シート30が貼り付けられた封止基板40と有機EL層が形成された素子基板10とを、接着材シート30によって接着する。封止基板40と素子基板10の位置合わせは、封止基板40および素子基板10に目合わせマークを形成しておき、この目合わせマークを基準行うことが出来る。図5あるいは図6等で説明した接着材シート30と封止基板40の位置決めは、接着材シート30に目合わせマークを形成することが困難なので、本発明のように、封止基板位置決め冶具75あるいは接着材シート位置決め冶具50等の位置決めピン55を基準に行う必要がある。
封止基板40と素子基板10を、目合わせマークを用いて位置決めした後、封止基板40と素子基板10を接着する。接着の方法は、図7および、図8で説明した、接着材シート30と封止基板40の接着と同様である。図9は、図7における接着治具70を、素子基板10と接着材シートが貼り付けられた封止基板を重ねた状態のものと置き換えたものである。
すなわち、図9において、上チャンバー80と下チャンバー90によって、真空チャンバーが形成される。下チャンバー90には加熱プレート76が配置され、その上に接着材シート30が貼り付けられた封止基板40と素子基板10とを重ねた状態のものがセットされている。図9において、加熱プレート76上に接着材シート30が接着した封止基板40がセットされ、その上に素子基板10がセットされる。接着材シート30を加熱プレート76によって加熱し、接着力を出すためである。
上チャンバー80の開口部は気密封止が可能なラバーによって覆われている。ラバーの存在によって、下チャンバー90と上チャンバー80は別々に真空排気およびリークが可能な状態となっている。上チャンバー80には上チャンバー80をリークさせるための上チャンバーリーク孔81が形成され、下チャンバー90には下チャンバー90をリークさせるための下チャンバーリーク孔91が形成されている。
図9は、下チャンバー90は真空に排気されているが、上チャンバー80は真空をリークしている状態を示している。図9において、上チャンバー80は真空をリークしているので、ラバーは上チャンバー80からの空気圧によって下側に膨らんでいる。上チャンバー80の空気圧をさらに上げると、ラバーが、素子基板10を封止基板40に接着している接着材シート30に押し当てる。
このとき、下チャンバー90は真空に排気されているので、接着材シート30と封止基板40の間には、空気が巻き込まれることは無い。したがって、気泡の巻き込みの無い封止が可能になる。また、封止基板40および接着材シート30は加熱プレート76に設置され、接着材シート30は80℃程度に加熱されているので、素子基板10と接着材シート30は気密を保って接着、封止される。
以上の例では、接着材シート30を、まず、封止基板40に貼り付け、その後、封止基板40と素子基板10を接着材シート30を用いて貼り合わせ、素子基板10を封止している。本発明はこれに限らず、まず接着材シート30を素子基板10に貼り付け、その後、素子基板10に貼り付けられた接着材シート30を介して封止基板40によって素子基板10を封止しても良い。この場合は、図5、図6等における封止基板位置決め冶具75は素子基板位置決め冶具ということになる。
以上のように、本発明によれば、接着材シート30を封止基板40、ひいては、素子基板10に正確に位置合わせし、かつ、接着材シート30と素子基板10あるいは、接着材シート30と封止基板40との間に気泡を巻きこむことなく、封止することが出来る。したがって、水分による有機EL層の発光特性の劣化が無い、寿命特性の優れた有機EL表示装置を実現することが出来る。
本発明の有機EL表示装置の断面図である。 本発明の有機EL表示パネルの表示領域の断面図である。 マザー基板の例である。 接着材シートの断面図である。 転写プレートに接着材シートを転写するプロセスである。 接着治具を組み立てるプロセスを示す平面図である。 接着材シートを封止基板に転写する説明図である。 接着材シートを封止基板に転写するプロセス図である。 素子基板を封止基板によって封止する説明図である。 従来例を示すプロセス図である。
符号の説明
10…素子基板、 11…第1下地膜、 12…第2下地膜、 13…半導体層、 14…ゲート絶縁膜、 15…ゲート電極、 16…層間絶縁膜、 17…SD電極、 18…無機パッシベーション膜、 19…有機パッシベーション膜、 20…バンク、 21…下部電極、 22…有機EL層、 23…上部電極、 30…接着材シート、 31…上側保護シート、 32…下側保護シート、 40…封止基板、 50…接着材シート位置決め冶具、 55…位置決めピン、 60…転写プレート、 65…ピン孔、 67…接着テープ、 70…接着治具、 75…封止基板位置決め冶具、 76…加熱プレート、 80…上チャンバー、 81…上チャンバーリーク孔、 85…ラバー、 90…下チャンバー、 91…下チャンバーリーク孔、 92…Oリング、 32…下側保護シート、 100…有機EL表示パネル、 101…表示領域、 102…端子部、 200…マザーパネル。

Claims (6)

  1. 有機EL層が形成された素子基板を覆って接着材シートが接着し、前記接着材シートに封止基板が接着した有機EL表示装置の製造方法であって、
    前記封止基板を封止基板位置決め冶具にセットする工程と、
    前記接着材シートを接着材シート位置決め冶具にセットし、前記接着材シート位置決め冶具から前記接着材シートを転写プレートに転写する工程と、
    前記封止基板位置決め冶具と前記転写プレートを組み合わせることによって前記封止基板と前記接着材シートを対向させる工程と、
    前記位置決め治具を減圧チャンバー内にセットし、前記封止基板と前記接着材シートを減圧雰囲気中で接着する工程と、
    前記接着材シートが接着した封止基板と、前記素子基板を減圧雰囲気中で接着する工程とを有することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
  2. 前記封止基板の前記封止基板位置決め冶具へのセットは位置決めピンを基準に行われ、前記接着材シートの前記接着材シート位置決め冶具へのセットは位置決めピンを基準に行われ、前記接着材シート位置決め冶具から前記転写プレートへの前記接着材シートの転写は位置決めピンを基準にして行われ、前記接着材シートと前記封止基板を対向させる工程は位置決めピンを基準に行われることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  3. 前記減圧雰囲気中における前記封止基板と前記接着材シートの接着は加熱して行われることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  4. 有機EL層が形成された素子基板を覆って接着材シートが接着し、前記接着材シートに封止基板が接着した有機EL表示装置の製造方法であって、
    前記素子基板を素子基板位置決め冶具にセットする工程と、
    前記接着材シートを接着材シート位置決め冶具にセットし、前記接着材シート位置決め冶具から前記接着材シートを転写プレートに転写する工程と、
    前記素子基板位置決め冶具と前記転写プレートを組み合わせることによって前記素子基板と前記接着材シートを対向させる工程と、
    前記位置決め治具を減圧チャンバー内にセットし、前記素子基板と前記接着材シートを減圧雰囲気中で接着する工程と、
    前記接着材シートが接着した素子基板と、前記封止基板を減圧雰囲気中で接着する工程とを有することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
  5. 前記素子基板の前記素子基板位置決め冶具へのセットは位置決めピンを基準に行われ、前記接着材シートの前記接着材シート位置決め冶具へのセットは位置決めピンを基準に行われ、前記接着材シート位置決め冶具から前記転写プレートへの前記接着材シートの転写は位置決めピンを基準にして行われ、前記接着材シートと前記素子基板を対向させる工程は位置決めピンを基準に行われることを特徴とする請求項4に記載の有機EL表示装置の製造方法。
  6. 前記減圧雰囲気中における前記素子基板と前記接着材シートの接着は加熱して行われることを特徴とする請求項4に記載の有機EL表示装置の製造方法。
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