JP2010020340A - 液晶ディスプレイの製造方法 - Google Patents

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誠一 青木
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Abstract

【課題】
本発明は、トランジスタが表面に形成されている基板を静電吸着によって真空容器内で保持する際に、当該基板の表面に形成されているトランジスタに損傷が生じるおそれを低減することが可能な静電吸着用電圧印加方法を提案することを目的としている。
【解決手段】
カラーフィルタ基板が搬送手段により搬送され第二の基板保持部に前記カラーフィルタ基板が真空吸着により載置される第一の工程、第一の基板保持部及び前記第二の基板保持部を移動させて封止空間が形成される工程、その後に前記封止空間が真空排気される工程、前記封止空間の圧力が所定の圧力に達した後に前記カラーフィルタ基板が静電吸着される工程、トランジスタが形成されている基板が静電吸着される工程を有する液晶ディスプレイの製造方法を提供する。
【選択図】 図4

Description

この発明は、静電吸着手段における静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加する方法に関し、特に、透明電極(ITO)や液晶ディスプレイの駆動回路を構成するTFT(薄膜トランジスタ)等の素子のようなトランジスタが表面に形成されている基板を静電吸着する静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加する場合に適した静電吸着用電圧の印加方法に関する。
静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加し、静電吸着電極とこれに保持されている基板との間に発生したクーロン力によって基板を吸着する静電吸着手段は真空処理装置、真空処理に係る技術分野で広く知られている。
近年幅広く行われている液晶ディスプレイの製造工程においてもこの静電吸着手段が採用されている。
液晶ディスプレイは、一対の基板の間に液晶が注入され、この一対の基板の内面側に駆動回路を形成した構造からなるもので、駆動回路によって液晶中に電界を与えると、液晶の分子配列が変化して光の透過・遮断が制御され、文字や画像の表示が行われるものである。
前記の一対の基板は、透明電極(ITO)や液晶ディスプレイの駆動回路を構成するTFT(薄膜トランジスタ)等の素子のようなトランジスタがそれぞれの表面に形成されているものであり、この一対の基板をそれぞれトランジスタが形成されている側を内側に向けて対向させて重ね合わせ、この間に液晶を封入して液晶ディスプレイが製造される。
この一対の基板の重ね合わせ工程において、トランジスタが形成されている表面とは反対側の面(裏面)で基板を保持する手段として静電吸着手段が採用されている。
例えば、特許文献1(特開2000−66163号)に記載されている液晶表示素子の製造方法及び基板張り合わせ方法においては、図1に示されているように、表面にトランジスタが形成されている基板101、102を、トランジスタが形成されている側を互いに対向させて真空容器100中で重ね合わせる工程が説明されている。ここでは、真空容器100内に備えられている上下一対の定盤103、104をもつプレス装置によって基板張り合わせ装置が構成され、変位可能な定盤103に静電チャック105が備えられている。そして、定盤104上に基板102を載せた後、静電チャック105に静電吸着用の電圧を印加して基板101を静電チャック105に静電吸着させ、その後、真空容器100内を所定の圧力にした後、上下の定盤103、104を加圧して基板101、102を張り合わせると共に、位置整合を行い、所要の精度での位置整合ができた後に真空容器100内を大気圧に戻すこととしている。
また、本願出願人が提案している特許文献2(特開2001−106094号)に記載されている基板重ね合わせ装置においても、一対の基板の重ね合わせ工程において、トランジスタが形成されている表面とは反対側の面(裏面)で基板を保持する手段として静電吸着手段を採用している。
この特開2001−106094号に記載されている基板重ね合わせ装置においては、一対の基板保持具1、2と中間リング3とによって真空容器が構成され、一対の基板保持具1、2が、表面にトランジスタが形成されている一対の基板91、92をトランジスタが形成されている側を互いに向かい合わせて保持し、このように基板91、92を保持している状態の基板保持具1、2を開閉機構5によって閉じ、その後、内部を排気し、基板91、92の張り合わせ、所要の精度での位置整合が行われるようになっている。
図2、図3(a)〜(c)、図4(a)〜(c)を用いて、この特開2001−106094号に記載されている基板重ね合わせ装置の動作の概略を説明すると以下の通りである。
図3(a)図示のように、上側の基板92が、トランジスタが形成されている表面を図3(a)中、下側に向けて搬送プレート907によって搬送されてきた後、下降してきた上側リフトピン28によって真空吸着される。
次いで、図3(b)図示のように、上側リフトピン28が上昇し、上側の基板92の図3中、上側面が保持ヘッド23に接触した位置で停止し、不図示の真空吸着機構によって基板92が保持ヘッド23に真空吸着される。その後、上側リフトピン28は真空吸着を解除し、更に上昇して所定の待機位置に退避する。一方、下側の基板91が、トランジスタが形成されている表面を図3(b)中上側に向けて搬送プレート907によって搬送されてきた後、上昇してきた下側リフトピン16の上に置かれる。
次に、図3(c)で、下側の基板91の図3(b)中、下面をその頂端で支持している下側リフトピン16が下降し、下側の基板91は静電吸着プレート11の上に載置され、静電吸着プレート11に付属して設けられている不図示の真空吸着機構によって、基板91は静電吸着プレート11に真空吸着される。その後、下側リフトピン16は更に下降して所定の待機位置に退避する。
次に、開閉機構5が動作し、上側の基板保持具2が下側に向かって下降し、図4(a)図示のように、上側の基板保持具2の保持具本体21と中間リング3とが接触し、O−リング811、軸受鋼球812、O−リング821からなる真空シール手段によって真空シールが達成される。
この状態で、図4(b)図示のように、排気系41が動作し、一対の基板保持具1、2と中間リング3とからなる真空容器内を所定の圧力まで排気する。この際、隔膜22の背後の閉空間26内も同様に排気され、真空容器内と同程度の真空圧力にされる。
また、排気開始と同時に不図示の静電吸着機構を動作させ、基板91を静電吸着プレート11に静電吸着すると共に真空吸着を解除し、同時に、基板92を保持ヘッド23に静電吸着すると共に真空吸着を解除する。
次いで、以降のアライメント動作のために、開閉機構5による基板保持具2に対する駆動力を解除し、ギャップ出し用手段61の押圧駆動源612に制御信号を送り、押圧ロッド611を押し下げて、上側の基板92と、下側の基板91との間のギャップ長の調整、ギャップ平行度微調整、アライメント用移動手段7による板面方向の位置合わせを行う。
ここで、押圧駆動源612による押圧力のみではギャップ長を所定時間経過後もギャップ長設定値にできない場合、図4(b)図示のように、差圧供給用バルブ622を開けて閉空間26内を加圧し、隔膜22を下側方向に押して、真空と大気圧との差圧に加えて、大気圧より高い圧力と真空との差圧により上側の基板92を下側の基板91に向けて押し、ギャップ長をギャップ長設定値にする。
こうして、板面方向の位置合わせと、ギャップ長をギャップ長設定値にする調整が完了したならば、図4(c)図示のように、光照射部17より紫外線をスポット的に照射してシール部材を部分的に硬化させ、シール材の仮止めを行う。
その後、保持ヘッド23による上側の基板92の静電吸着動作を停止し、保持ヘッド23による上側の基板92の保持を解除する。そして閉空間26を排気して、基板保持具1、2、中間リング3でなる真空容器内と同程度の真空圧力に戻すと共に、保持ヘッド23を上昇させて当初の位置に戻す。次に、閉空間26及び、基板保持具1、2、中間リング3でなる真空容器内に矢印42のようにガスを導入して(ベント)大気圧とし、開閉機構5を動作させて上側の基板保持具1を上昇させ、また、静電吸着プレート11による下側の基板91の静電吸着を解除する。次いで、下側リフトピン16を上昇させ、前記のようにして張り合わされている一対の基板91、92を持ち上げ、搬送プレート208によって取り出す。
このように、基板を静電吸着する場合、特許文献1(特開2000−66163号)に記載されていたように、静電吸着した後に真空容器内を真空排気する、あるいは、特許文献2(特開2001−106094号)に記載されていたように、真空容器内の真空排気を開始すると同時に静電吸着電極に静電吸着用電力を印加するというのが、従来、行われていた静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加する方法であった。
なお、静電吸着機構の構造及び、その動作は公知であるので、図1〜図4図示の実施形態においては、その構造を具体的に説明していないが、静電吸着機構としては、例えば、図5(a)図示のように、静電チャック30の内部の静電吸着電極31と基板32との間に電位差を与える単極形の静電吸着機構や、図5(b)〜図5(d)図示のように、静電チャック30の内部の静電吸着電極を2つ以上に分割し、それぞれに正または負の電圧を印加する双極形の静電吸着機構があり、これらの中のいずれであっても、前述した従来公知の基板重ね合わせ工程において、トランジスタが形成されている表面とは反対側の面(裏面)で基板を保持する手段として採用される静電吸着手段とすることができる。
本発明は、図5(a)〜図5(d)図示のような静電吸着機構が、表面にトランジスタが形成されている基板を真空容器内で保持する静電吸着手段として採用される場合における、静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加方法を提案するものである。
特開2000−66163号公報 特開2001−106094号公報
前述した従来の液晶ディスプレイの製造工程について本願発明者が検討したところ、基板から静電吸着電極を介してアースに漏れる電流の多寡が、基板表面に形成されているトランジスタの損傷に影響することを発見した。また、静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加する際の真空容器内の圧力が、基板表面に形成されているトランジスタの損傷に影響することを発見した。
本発明は、透明電極(ITO)や液晶ディスプレイの駆動回路を構成するTFT(薄膜トランジスタ)等の素子のようなトランジスタが表面に形成されている基板を静電吸着によって真空容器内で保持する際に、当該基板の表面に形成されているトランジスタに損傷が生じるおそれを低減することが可能な静電吸着用電圧印加方法を提案することを目的としている。
前記課題を解決するため、本発明が提案する液晶表示装置の製造方法は、第一の静電吸着電極を有する第一の基板保持部と、押圧手段、隔膜で空間が画されている前記第一の基板保持部側に位置する閉空間及び第二の静電吸着電極を有する前記第一の基板保持部に対向して位置する第二の基板保持部とを有する基板重ね合わせ装置を使用する液晶ディスプレイの製造方法であって、前記第一の基板保持部と前記第二の基板保持部の間の空間にカラーフィルタ基板が搬送手段により搬送され前記第二の基板保持部に前記カラーフィルタ基板が真空吸着により載置される第一の工程、前記第一の基板保持部と前記第二の基板保持部の間の空間にトランジスタが形成されている基板が搬送手段により搬送され前記第一の基板保持部に前記トランジスタが形成されている基板が載置される第二の工程、前記第一の工程及び前記第二の工程の後に前記第一の基板保持部及び第二の基板保持部を移動させて封止空間が形成される第三の工程、前記第三の工程の後に前記封止空間が真空排気される第四の工程、前記封止空間の圧力が所定の圧力に達した後に前記カラーフィルタ基板が静電吸着される第五の工程、前記トランジスタが形成されている基板が静電吸着される第六の工程、前記第五工程及び第六の工程後前記カラーフィルタ基板と前記トランジスタが形成されている基板の位置合わせが行われる第七の工程及び前記第七の工程の後に前記カラーフィルタ基板及び前記トランジスタが形成されている基板の間のギャップ長を押圧手段及び前記閉空間を加圧する手段のいずれか一方又は双方の手段によってギャップ長の調整を行う第八の工程を有する液晶ディスプレイの製造方法を提供する。
この発明の静電吸着用電圧印加方法によれば、基板を静電吸着用電極に静電吸着した際に問題となる漏れ電流を簡易な方法で抑制することが可能になる。
そして、この発明の静電吸着用電圧印加方法によれば、透明電極(ITO)や液晶ディスプレイの駆動回路を構成するTFT(薄膜トランジスタ)等の素子のようなトランジスタが表面に形成されている基板を静電吸着によって真空容器内で保持する際に、当該基板の表面に形成されているトランジスタに損傷が生じるおそれを低減することが可能になる。
本発明の静電吸着用電圧印加方法が適用可能な従来公知の静電吸着機構が真空室内に配備されている状態を説明する断面図。 本発明の静電吸着用電圧印加方法が適用可能な従来公知の静電吸着機構を説明する断面図。 図2図示の静電吸着機構を用いて基板の重ね合わせが行われる場合を説明する一部を省略した断面図であって、(a)は上側の基板が上側のリフトピンに真空吸着された状態を説明する一部断面図、(b)は上側の基板が保持ヘッドに真空吸着されるとともに、下側の基板が下側のリフトピン上に置かれた状態を説明する一部断面図、(c)は下側の基板が静電吸着プレートに対して真空吸着された状態を説明する一部断面図。 図3に引き続いて、図2図示の静電吸着機構を用いて基板の重ね合わせが行われる場合を説明する一部を省略した断面図であって、(a)は真空シールが達成された状態を説明する一部断面図、(b)は真空排気開始と同時に、真空吸着が解除されて、上側の基板、下側の基板の静電吸着が行われた状態を説明する一部断面図、(c)は位置合わせ、ギャップ長調整が行われてシール材の仮止めが行われる状態を説明する一部断面図。 (a)、(b)、(c)、(d)は本発明の静電吸着用電圧印加方法が適用可能な従来公知の静電吸着機構を説明する概略図。
本願発明者の実験によれば、TFT(薄膜トランジスタ)等の素子のようなトランジスタが表面に形成されている基板を静電吸着によって真空容器内で保持する際に、真空容器内を真空にしておいて静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加すると、大気圧中で静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加する場合よりも、前記基板の表面に形成されているトランジスタに生じる損傷を少なくできることが判明した。この傾向は、真空容器内の圧力を10Pa以下にして静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加するとよりよく発揮され、特に、真空容器内の圧力を3Pa以下にして静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加すると、基板の表面に形成されているトランジスタに生じる損傷を一層少なくできた。
本願発明者がこの実験で確認したところ、真空容器内を真空にしておいて静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加する場合の方が、大気圧中で静電吸着電極に電圧を印加する場合より基板から静電吸着電極を介してアースに漏れる電流が小さかった。
特に、真空容器内の圧力を10Pa以下、好ましくは、3Pa以下にしてから静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加すると、漏れ電流を効果的に抑制することができた。この基板から静電吸着電極を介してアースに漏れる電流を抑制することが、基板の表面に形成されているトランジスタの損傷を防ぐことにつながっていると考えられる。
前記本発明の方法において、真空容器内の圧力が10Pa以下、好ましくは、3Pa以下になった後に行う静電吸着電極への静電吸着用の電圧の印加は、徐々に行うことが望ましかった。静電吸着用の電圧の印加を徐々に行うと、急速に電圧印加を行う場合に比較して、基板から静電吸着電極を介してアースに漏れる電流を安定的に低く抑え、基板の表面に形成されているトランジスタに生じる損傷をより少なくすることができたからである。ただし、あまりにゆっくりと静電吸着用電圧の印加を行うと、スループットの低下を招くので好ましくない。静電吸着用電圧の印加時に基板から静電吸着電極を介してアースに漏れる電流を安定的に低く抑えつつ、かつ、スループットにも悪影響を及ぼさない範囲で、静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加を徐々に行うことが望ましい。
また、本発明が提案する他の静電吸着用電圧印加方法は、表面にトランジスタが形成されている基板を真空容器内で保持する静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加する方法であって、該静電吸着電極に電圧を印加している間に、該基板から該静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を1mA以下に維持しつつ該静電吸着電極に電圧を印加することを特徴とするものである。
本発明者の実験によれば、基板表面にトランジスタが形成されている基板を静電吸着する静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加する場合、該基板から該静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を1mA以下に維持しておくと、漏れ電流が1mAより大きい場合に比較して、基板表面に形成されているトランジスタの損傷を抑えることができた。
静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加する際に、基板から該静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を1mA以下に維持する上では、基板を保持する静電吸着電極が配置されている真空容器内を排気して真空容器内の圧力が10Pa以下になった後に、該静電吸着電極に電圧を印加することが望ましい。この場合も、真空容器内の圧力が3Pa以下になった後に、静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加するようにすれば、基板から該静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を、安定させて、かつ確実に1mA以下に維持する上で有利である。
なお、このように、基板を保持する静電吸着電極が配置されている真空容器内を排気して真空容器内の圧力が10Pa以下、好ましくは3Pa以下になった後に、静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加する形態の他に、前述したように、スループットに悪影響を及ぼさない範囲で、静電吸着電極への静電吸着用の電圧の印加を徐々に行って、基板から静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を1mA以下に維持することも可能であり、これによって基板表面に形成されているトランジスタの損傷を抑えることが可能である。
なお、このように、スループットに悪影響を及ぼさない範囲で、静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加を徐々に行い(すなわち、静電吸着電極への静電吸着用電圧の穏やかな印加を行い)、基板から静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を1mA以下に維持する場合は、真空容器内の真空排気を開始すると同時に、静電吸着電極への静電吸着用電圧の穏やかな印加を行うことができる。
真空容器内で静電吸着により基板を保持する場合、例えば、上下で平行に対向させてそれぞれ真空吸着している2枚の基板を、真空吸着から静電吸着に切り換えてそれぞれ静電吸着により上下で平行に対向させて保持する、あるいは、上下で平行に対向させ、上側では真空吸着により、下側ではただ単に静電吸着電極の上に載置することにより上下で平行に対向させている2枚の基板を、上側では、真空吸着から静電吸着に切り換え、下側では静電吸着を開始することにより、上下で平行に対向させて保持する、といった動作が行われることがある。
この場合、それぞれ、静電吸着が開始される際の静電吸着電極への静電吸着用電力の印加を、以上説明した本発明の静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加する方法によって行うことができる。
次に、本発明が提案する他の静電吸着用電圧印加方法は、表面にトランジスタが形成されている基板と、これに対向する他の基板(例えば、表面にカラーフィルターが配備されている基板)とを真空容器内でそれぞれ保持する静電吸着電極に静電吸着用の電圧を印加する方法であって、最初に、該他の基板を保持する静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加した後、該表面にトランジスタが形成されている基板を保持する静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加することを特徴とするものである。
この静電吸着用電圧印加方法は、前記の表面にトランジスタが形成されている基板を当該トランジスタが形成されている表面の側を上側に向けて下側で保持し、前記の他の基板、例えば、表面にカラーフィルターが配備されている基板を当該カラーフィルターが配備されている表面を下側に向けて上側で保持することにより、上下で両基板を平行に対向させて保持する場合に採用される方法である。
この場合、上側で保持される他の基板、例えば、表面にカラーフィルターが配備されている基板は、真空吸着されている状態から前記のように静電吸着電極に静電吸着用電圧が印加されて静電吸着されるものであるが、真空容器内の真空排気開始と同時に静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加して静電吸着を行うとともに、前記の真空吸着を解除するようにできる。
一方、前記の表面にトランジスタが形成されている基板はその自重により下側の基板保持手段に保持されているので、真空容器内の真空排気開始と同時に、静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加して静電吸着する必要はない。そこで、前記のように、他の基板(表面にカラーフィルターが配備されている基板)を保持する静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加した後に、該表面にトランジスタが形成されている基板を保持する静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加するようにできるのである。
この場合、表面にカラーフィルターが配備されている基板のように、表面にトランジスタが形成されている基板とは異なる基板を保持する静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加した後、該真空容器内の排気によって真空容器内の圧力が10Pa以下になってから、好ましくは、3Pa以下になってから、表面にトランジスタが形成されている基板を保持する静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加するようにすれば、前述したように、基板から静電吸着電極を介してアースに漏れる電流が小さく、基板表面に形成されているトランジスタの損傷を抑えることができるので有利である。
同様に、表面にカラーフィルターが配備されている基板のように、表面にトランジスタが形成されている基板とは異なる基板を保持する静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加した後に行う表面にトランジスタが形成されている基板を保持する静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加は、該静電吸着用電圧を印加している間に、該基板から該静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を1mA以下に維持して行うようにすれば、基板表面に形成されているトランジスタの損傷を抑えることができるので有利である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、従来の静電吸着用電圧印加方法と比較しつつ説明する。なお、本発明の静電吸着用電圧印加方法は、前述した図1〜図5(d)に図示されている従来公知の静電吸着機構に適用可能なものであり、以下の実施例において登場する静電吸着機構の構成部材中、図1〜図5(d)を用いて前記で説明されている静電吸着機構に登場した構成部材と同一のものについては、図1〜図5(d)で用いた参照符号と同一の参照符号を用いそれぞれの説明を省略する。
図2〜図4で説明した装置を用いて、表面にITOが形成されている基板91、92を張り合わせる際に、基板を静電吸着する静電チャックとして図5(b)図示の形態の静電チャックを用いた。
図4(b)図示の状態で、排気系41を動作し、一対の基板保持具1、2と中間リング3とからなる真空容器内を10Paまで排気した。その後、静電チャックの静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加し、基板91を静電吸着プレート11に静電吸着すると共に真空吸着を解除し、同時に、基板92を保持ヘッド23に静電吸着すると共に真空吸着を解除した。この点以外は、前述した従来の基板重ね合わせ装置(特開2001−106094)で行われているのと同様の方法により基板91、92の張り合わせを行った。前記において、静電チャックの静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加は一気に電圧を上げる方法で行った。これで張り合わされた基板91、92を以下「実施品1」という。
次に、静電チャックの静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加を穏やかに行った以外は同様にして基板91、92の張り合わせを行った。これで張り合わされた基板91、92を以下「実施品2」という。
また、第一の比較例として、真空容器内を20Paまで排気した後、静電チャックの静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加を一気に行った以外は同様にして基板91、92の張り合わせを行った(比較品1)。
更に、第二の比較例として、真空容器内を20Paまで排気した後、静電チャックの静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加を穏やかに行った以外は同様にして基板91、92の張り合わせを行った(比較品2)。
また、第三の比較例として、図5(b)図示の形態の静電チャックを用い、図4(b)図示の状態で前述した従来の基板重ね合わせ装置(特開2001−106094)で行われているように、真空容器内の排気開始と同時に基板91、92の静電吸着を行うこととして基板91、92の張り合わせを行った(比較品3)。
以上の工程で張り合わされた5種類について比較検討した。
実施品1と比較品1とでは、実施品1の方が基板表面に形成されているITOの損傷が少なかった。また、実施品2と比較品2とでは、実施品2の方が基板表面に形成されているITOの損傷が少なかった。
更に、実施品1、実施品2と比較品3とでは、比較品3より実施品1の方が基板表面に形成されているITOの損傷が少なく、実施品2の方が実施品1よりも基板表面に形成されているITOの損傷が少なかった。
なお、実施品1、実施品2の張り合わせ工程において、基板91、92から静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を測定したところ1mAを超えることはなかった。
図2〜図4で説明した装置を用いて、表面にITOが形成されている基板91、92を張り合わせる際に、基板を静電吸着する静電チャックとして図5(c)図示の形態の静電チャックを用いた。
図4(b)図示の状態で、排気系41を動作し、一対の基板保持具1、2と中間リング3とからなる真空容器内を5Paまで排気した。その後、静電チャックの静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加し、基板91を静電吸着プレート11に静電吸着すると共に真空吸着を解除し、同時に、基板92を保持ヘッド23に静電吸着すると共に真空吸着を解除した。この点以外は、前述した従来の基板重ね合わせ装置(特開2001−106094)で行われているのと同様の方法により基板91、92の張り合わせを行った。前記において、静電チャックの静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加は穏やかに電圧を上げる方法で行った。これで張り合わされた基板91、92を以下「実施品3」という。
静電チャックの静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加するのを、真空容器内が3Paまで排気された後行った以外は同様にして基板91、92の張り合わせを行った。これで張り合わされた基板91、92を以下「実施品4」という。
次に、静電チャックの静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加するのを、真空容器内が1Paまで排気された後行った以外は同様にして基板91、92の張り合わせを行った。これで張り合わされた基板91、92を以下「実施品5」という。
実施品3、4、5と前記の実施品2とについて、基板表面に形成されているITOの損傷の程度について比較した。
実施品2よりは実施品3、実施品3よりは実施品4、実施品4よりは実施品5の方が基板表面に形成されているITOの損傷が少なかった。特に、実施品4、5は、実施品2、3に比較して、基板表面に形成されているITOの損傷が少ないことが顕著であった。
実施品3、4、5の張り合わせ工程において、基板91、92から静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を測定したところ、いずれも、1mAを超えることはなかった。特に、実施品4、5の張り合わせ工程では、基板91、92から静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流が非常に小さく、かつ安定していることが確認できた。
図2〜図4で説明した装置を用いて、表面にITOが形成されている基板91、92を張り合わせる際に、基板を静電吸着する静電チャックとして図5(d)図示の形態の静電チャックを用いた。
図4(b)図示の状態で前述した従来の基板重ね合わせ装置(特開2001−106094)で行われているように、真空容器内の排気開始と同時に基板91、92の静電吸着を行うこととしたが、基板91、92の張り合わせ工程において、基板91、92から静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流が1mAを超えないように、静電チャックの静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加を穏やかに行った。この点以外は、前述した従来の基板重ね合わせ装置(特開2001−106094)で行われているのと同様の方法により基板91、92の張り合わせを行った。これで張り合わされた基板91、92を以下「実施品6」という。
次に、第四の比較例として、基板91、92の張り合わせ工程において、基板91、92から静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流が1mAを超えているように制御して静電チャックの静電吸着電極への静電吸着用電圧の印加を行った以外は同様にして基板91、92の張り合わせを行った。これで張り合わされた基板91、92を以下「比較品4」という。
実施品6と比較品4とを比較したところ、実施品6の方が基板表面に形成されているITOの損傷が少なかった。
図2〜図4で説明した装置を用いて、下側の基板91を表面にITOが形成されている基板、上側の基板92を表面にカラーフィルターが配備されている基板とし、基板91のITOが形成されている表面を図2中、上側に向け、基板92のカラーフィルターが配備されている表面を図2中、下側に向け、上下で両基板91、92を平行に対向させて保持し、これらを張り合わせる際に、基板を静電吸着する静電チャックとして図5(b)図示の形態の静電チャックを用いた。
図4(b)図示の状態で、前述した従来の基板重ね合わせ装置(特開2001−106094)で行われているように、排気系41の動作によって真空容器内の排気が開始されると同時に、保持ヘッド23による上側の基板92の静電吸着を行うとともに、上側の基板92に対する真空吸着を解除した。
一方、下側の基板91は自重で静電吸着プレート11上に置かれているので、真空排気が進行するまで静電吸着を開始せず、一対の基板保持具1、2と中間リング3とからなる真空容器内を8Paまで排気した後、静電チャックの静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加し、基板91を静電吸着プレート11に静電吸着すると共に、真空吸着を解除した。この点以外は、前述した従来の基板重ね合わせ装置(特開2001−106094)で行われているのと同様の方法により基板91、92の張り合わせを行った。
前記では、基板91の静電吸着プレート11への静電吸着の際に静電吸着用電圧を一気に印加した場合と、穏やかに静電吸着用電圧を印加した場合とでそれぞれ基板91、92の張り合わせを行った。以下、前者の場合に得た張り合わせ品を実施品7、後者の場合に得た張り合わせ品を実施品8とする。
次に、第五の比較例として、図4(b)図示の状態で、前述した従来の基板重ね合わせ装置(特開2001−106094)で行われているように、排気系41の動作によって真空容器内の排気が開始されると同時に、保持ヘッド23による上側の基板92の静電吸着を行って上側の基板92に対する真空吸着を解除するとともに、下側の基板91の静電吸着プレート11への静電吸着を行って真空吸着を解除し、前述した従来の基板重ね合わせ装置(特開2001−106094)で行われているのと同様の方法により基板91、92の張り合わせを行った。以下、これによって得た張り合わせ品を比較品5とする。
以上の工程で張り合わされた3種類について比較検討した。
実施品7と比較品5とでは、実施品7の方が基板表面に形成されているITOの損傷が少なかった。また、実施品7と実施品8とでは、実施品8の方が基板表面に形成されているITOの損傷が少なかった。
なお、実施品7、実施品8の張り合わせ工程において、基板91から静電吸着電極を介してアースに流れる漏れ電流を測定したところ1mAを超えることはなかった。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが本発明はかかる実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
1 下側の基板保持具
2 上側の基板保持具
3 中間リング
5 開閉機構
7 アライメント用移動手段
11 静電吸着プレート
16 下側リフトピン
17 光照射部
21 上側の基板保持具の保持具本体
22 隔膜
23 保持ヘッド
26 隔膜の背後の閉空間
28 上側リフトピン
30 静電チャック
31 静電吸着電極
32 基板
41 排気系
61 ギャップ出し用手段
91、92 表面にトランジスタが形成されている基板
100 真空容器
101、102 表面にトランジスタが形成されている基板
103 変位可能な定盤
104 定盤
105 静電チャック
208 搬送プレート
611 押圧ロッド
612 ギャップ出し用手段の押圧駆動源
622 差圧供給用バルブ
811 O−リング
812 軸受鋼球
821 O−リング
907 搬送プレート

Claims (3)

  1. 第一の静電吸着電極を有する第一の基板保持部と、
    押圧手段、隔膜で空間が画されている前記第一の基板保持部側に位置する閉空間及び第二の静電吸着電極を有する前記第一の基板保持部に対向して位置する第二の基板保持部とを有する基板重ね合わせ装置を使用する液晶ディスプレイの製造方法であって、
    前記第一の基板保持部と前記第二の基板保持部の間の空間にカラーフィルタ基板が搬送手段により搬送され、前記第二の基板保持部に前記カラーフィルタ基板が真空吸着により載置される第一の工程、
    前記第一の基板保持部と前記第二の基板保持部の間の空間にトランジスタが形成されている基板が搬送手段により搬送され、前記第一の基板保持部に前記トランジスタが形成されている基板が載置される第二の工程、
    前記第一の工程及び前記第二の工程の後に前記第一の基板保持部及び第二の基板保持部を移動させて封止空間が形成される第三の工程、
    前記第三の工程の後に前記封止空間が真空排気される第四の工程、
    前記封止空間の圧力が所定の圧力に達した後に、前記カラーフィルタ基板が静電吸着される第五の工程、
    前記トランジスタが形成されている基板が静電吸着される第六の工程、
    前記第五工程及び第六の工程後、前記カラーフィルタ基板と前記トランジスタが形成されている基板の位置合わせが行われる第七の工程及び
    前記第七の工程の後に前記カラーフィルタ基板及び前記トランジスタが形成されている基板の間のギャップ長を押圧手段及び前記閉空間を加圧する手段のいずれか一方又は双方の手段によってギャップ長の調整を行う第八の工程を有することを特徴とする液晶ディスプレイの製造方法。
  2. 前記第五の工程は、前記封止空間の圧力が所定の圧力の達した後に、前記第二の静電吸着電極に静電吸着用電圧を印加し、その後に真空吸着を解除することを特徴とする請求項1に記載の液晶ディスプレイの製造方法。
  3. 前記第八の工程は、まず前記押圧手段で前記カラーフィルタ基板及び前記トランジスタが形成されている基板の間のギャップ長の調整を行い、それでも前記ギャップ長が設定値に至らないときに、前記閉空間を加圧することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶ディスプレイの製造方法。
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