JP2010019984A - 再生装置、再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加算されるコヒーレント光の振幅が不均一とされる場合にも線形読み出しが可能となるようにする。またSNRの改善を図る。
【解決手段】強度が再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大で、且つ再生像(の基準位相)との位相差がそれぞれ「0」、「π」となる2種のコヒーレント光を順次再生像と加算した結果をイメージセンサで受光することで第1の画像信号と第2の画像信号とを得る。さらにこれら第1の画像信号、第2の画像信号の平方根を計算し、それら平方根計算結果の差分を計算する。これにより、メディアに記録された位相の情報も表す線形読み出し信号を得ることができ、また、それぞれ位相が反転する関係にあるコヒーレント光を加算した結果の差分をとるという差動検出を行っている点でSNRの改善が図られる。
【選択図】図9
【解決手段】強度が再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大で、且つ再生像(の基準位相)との位相差がそれぞれ「0」、「π」となる2種のコヒーレント光を順次再生像と加算した結果をイメージセンサで受光することで第1の画像信号と第2の画像信号とを得る。さらにこれら第1の画像信号、第2の画像信号の平方根を計算し、それら平方根計算結果の差分を計算する。これにより、メディアに記録された位相の情報も表す線形読み出し信号を得ることができ、また、それぞれ位相が反転する関係にあるコヒーレント光を加算した結果の差分をとるという差動検出を行っている点でSNRの改善が図られる。
【選択図】図9
Description
本発明は、信号光と参照光との干渉縞によってホログラムが形成されてデータが記録されたホログラム記録媒体について再生を行う再生装置とその方法とに関する。
例えば上記の特許文献1,2にあるように、信号光と参照光との干渉縞によりホログラムを形成することでデータの記録を行い、また上記干渉縞としてのホログラムにより記録されたデータを上記参照光の照射によって再生するホログラム記録再生方式が知られている。このホログラム記録再生方式としては、上記信号光と上記参照光とを同軸上に配置して記録を行う、いわゆるコアキシャル方式が知られている。
図14、図15は、コアキシャル方式によるホログラム記録再生の手法について説明するための図として、図14は記録手法、図15は再生手法についてそれぞれ示している。
先ず、図14において、記録時には、光源からの入射光に対し、SLM(空間光変調器)101にて空間光強度変調(単に強度変調とも称する)を施すことで、図のように同軸上に配置された信号光と参照光とを生成するようにされる。SLM101は、例えば液晶パネルで構成されるものである。
このとき、上記信号光としては、記録データに応じた空間光変調を施して生成される。また、上記参照光は、所定パターンによる空間光変調を施して生成する。
先ず、図14において、記録時には、光源からの入射光に対し、SLM(空間光変調器)101にて空間光強度変調(単に強度変調とも称する)を施すことで、図のように同軸上に配置された信号光と参照光とを生成するようにされる。SLM101は、例えば液晶パネルで構成されるものである。
このとき、上記信号光としては、記録データに応じた空間光変調を施して生成される。また、上記参照光は、所定パターンによる空間光変調を施して生成する。
このようにSLM101にて生成された信号光及び参照光は、位相マスク102に入射する。このとき、位相マスク102によっては、図示されるように信号光・参照光に対してランダム位相パターンが与えられる。
ここで、信号光・参照光に対してランダムな位相変調パターンを与えるのは、信号光と参照光との干渉効率の向上や、信号光・参照光のスペクトルの拡散を図ることでDC成分を抑圧し、高記録密度化を図るためである。
このようなDC成分の抑圧を図るための具体的な位相変調パターンとしては、例えば「0」「π」の2値によるランダムパターンを設定するものとされている。すなわち、位相変調を行わないピクセル(つまり位相=0)と、位相をπ(180°)だけ変調するピクセルとが半々となるようにして設定したランダムな位相変調パターンを設定するものである。
このようなDC成分の抑圧を図るための具体的な位相変調パターンとしては、例えば「0」「π」の2値によるランダムパターンを設定するものとされている。すなわち、位相変調を行わないピクセル(つまり位相=0)と、位相をπ(180°)だけ変調するピクセルとが半々となるようにして設定したランダムな位相変調パターンを設定するものである。
ここで、SLM101による光強度変調によっては、信号光として、その光強度が記録データに応じて「0」「1」に変調された光が生成される。このような信号光に対し、「0」又は「π」による位相変調が施されることによっては、光の波面の振幅として、「−1」「0」「1(+1)」を有する光がそれぞれ生成されることになる。すなわち、光強度「1」で変調されたピクセルについて位相「0」の変調が与えられたときは、振幅は「1」であり、位相「π」による変調が得られたときは振幅は「−1」となる。なお、光強度「0」のピクセルについては位相「0」又は「π」の何れの変調に対しても振幅は「0」のままである。
確認のために、図16に位相マスク102が無い場合(図16(a))と有る場合(図16(b))とでの信号光・参照光の違いを示しておく。なお、この図16においては色濃度により光の振幅の大小関係を表現している。具体的に、図16(a)では黒色→白色により振幅「0」→「1」を表し、図16(b)では黒色→灰色→白色により振幅「−1」→「0」→「1(+1)」を表している。
上記位相マスク102による位相パターンは、ランダムパターンとされている。これによって、SLM101から出力される信号光内の光強度「1」のピクセルを振幅「1」と「−1」とにランダム(半々)に分けることができるようにされている。このように振幅「1」と「−1」とにランダムに分けられることで、フーリエ面(周波数平面:この場合はメディア上での像と考えればよい)において均質にスペクトルをばらまくことができ、これによって信号光におけるDC成分の抑圧を図ることができる。また位相マスク102によれば、参照光のDC成分の抑圧も図られ、結果として上記フーリエ面におけるDC成分の発生の防止が図られる。
このようにDC成分の抑圧が図られれば、データ記録密度の向上を図ることができる。
なぜなら、DC成分が生じた場合、該DC成分によって記録材料が大きく反応し、ホログラムの多重記録を行うことができなくなってしまう。すなわち、DC成分が記録された部分に対しては、それ以上ホログラム(データ)を多重させて記録することができなくなってしまうからである。
上記のようなランダム位相パターンによってDC成分の抑圧が図られれば、データの多重記録が可能となり、高記録密度化が図られる。
なぜなら、DC成分が生じた場合、該DC成分によって記録材料が大きく反応し、ホログラムの多重記録を行うことができなくなってしまう。すなわち、DC成分が記録された部分に対しては、それ以上ホログラム(データ)を多重させて記録することができなくなってしまうからである。
上記のようなランダム位相パターンによってDC成分の抑圧が図られれば、データの多重記録が可能となり、高記録密度化が図られる。
説明を戻す。
上記位相マスク102を介した信号光、参照光は、共に対物レンズ103によって集光されてホログラム記録媒体HMに対して照射される。これにより、ホログラム記録媒体HMにおいては、信号光(記録像)に応じた干渉縞(回折格子:ホログラム)が形成される。すなわち、該干渉縞の形成によってデータが記録されるものである。
上記位相マスク102を介した信号光、参照光は、共に対物レンズ103によって集光されてホログラム記録媒体HMに対して照射される。これにより、ホログラム記録媒体HMにおいては、信号光(記録像)に応じた干渉縞(回折格子:ホログラム)が形成される。すなわち、該干渉縞の形成によってデータが記録されるものである。
続いて、再生時においては、先ず図15(a)に示されるように、入射光に対するSLM101の空間光変調(強度変調)によって、参照光を生成するようにされる。そして、このように生成された参照光が位相マスク102→対物レンズ103を介してホログラム記録媒体HMに対して照射される。
このように参照光がホログラム記録媒体HMに照射されることにより、図15(b)に示すように、記録されたホログラムに応じた回折光が得られ、該回折光がホログラム記録媒体HMからの反射光として出力されることになる。すなわち、記録データに応じた再生像(再生光)が得られる。
このように参照光がホログラム記録媒体HMに照射されることにより、図15(b)に示すように、記録されたホログラムに応じた回折光が得られ、該回折光がホログラム記録媒体HMからの反射光として出力されることになる。すなわち、記録データに応じた再生像(再生光)が得られる。
そして、このようにして得られた再生像を、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどとされるイメージセンサ104で受光し、該イメージセンサ104の受光信号に基づき、記録されたデータの再生が行われる。
ここで、上記のようにしてホログラム記録再生システムでは、記録データに応じた強度情報を有する信号光について、「0」「π」による位相変調を施した上で記録を行うことでDC成分の抑圧を図り、ホログラムの多重記録を可能としている。
このような位相変調記録を行った場合、先の図16(b)に示したように、信号光には振幅情報として「0」「+1」「−1」の3値が含まれることになる。つまり、これらの3値がホログラム記録媒体HMに対して記録されるものである。
このような位相変調記録を行った場合、先の図16(b)に示したように、信号光には振幅情報として「0」「+1」「−1」の3値が含まれることになる。つまり、これらの3値がホログラム記録媒体HMに対して記録されるものである。
しかしながら、ここで問題となるは、再生時において再生像の検出を行うイメージセンサ101は、光強度の情報しか検出できないという点である。
ここで、ホログラム記録再生システムの光学系は、一般的にSLM、対物レンズ、メディア、接眼レンズ(対物レンズ)、イメージセンサのそれぞれがレンズの焦点距離だけ離間して配置されている、4f光学系に基づく構成となっている。いわゆるフーリエ変換ホログラムと呼ばれる構成である。
このようなフーリエ変換ホログラムの構成では、先に説明した記録再生の一連の動作を、次のようにみなすことができる。すなわち、SLMの記録データパターンはフーリエ変換されてホログラム記録媒体(メディア)に投影され、メディアの読み出し信号(再生像)は逆フーリエ変換されてイメージセンサに投影される。そして、イメージセンサでは、そこに入力される光の波面の振幅の絶対値が2乗された、光の強度を検出しているというものである。
この点から、従来のホログラム記録再生システムは、強度・位相の双方を記録可能とされるのに対し、再生側ではそのうちの強度の情報しか再生できないという、非線形性を有しているものである。従来のホログラム記録再生システムでは、このような非線形性の問題から、位相変調記録を行った場合に適正にデータ再生を行うことが非常に困難とされていた。
ここで、ホログラム記録再生システムの光学系は、一般的にSLM、対物レンズ、メディア、接眼レンズ(対物レンズ)、イメージセンサのそれぞれがレンズの焦点距離だけ離間して配置されている、4f光学系に基づく構成となっている。いわゆるフーリエ変換ホログラムと呼ばれる構成である。
このようなフーリエ変換ホログラムの構成では、先に説明した記録再生の一連の動作を、次のようにみなすことができる。すなわち、SLMの記録データパターンはフーリエ変換されてホログラム記録媒体(メディア)に投影され、メディアの読み出し信号(再生像)は逆フーリエ変換されてイメージセンサに投影される。そして、イメージセンサでは、そこに入力される光の波面の振幅の絶対値が2乗された、光の強度を検出しているというものである。
この点から、従来のホログラム記録再生システムは、強度・位相の双方を記録可能とされるのに対し、再生側ではそのうちの強度の情報しか再生できないという、非線形性を有しているものである。従来のホログラム記録再生システムでは、このような非線形性の問題から、位相変調記録を行った場合に適正にデータ再生を行うことが非常に困難とされていた。
このような非線形性の問題の解決を図るべく、先に本出願人は、メディアに記録された位相の情報(具体的にこの場合は振幅「−1」の情報)も適正に読み出す「線形読み出し」を実現するための技術を提案している。具体的には、先に挙げた非特許文献に記載される「コヒーレント加算方式」と呼ばれる読み出し手法である。
この「コヒーレント加算方式」では、再生時において、次の図17に示されるようなコヒーレント光を生成し、該コヒーレント光を参照光と共にホログラム記録媒体HMに照射するようにされている。すなわち、先の図15にて説明した通常の再生方式では、再生像を得るための参照光のみを照射するものとされていたが、コヒーレント加算方式ではさらにコヒーレント光も併せて照射するものである。
上記コヒーレント光は、光強度、及び位相がそれぞれ均一となるように生成された光を指す。またコアキシャル方式において、上記コヒーレント光としては、図17にも示しているように記録時に信号光を生成した領域(信号光エリアと呼ばれる)と同じ領域にて光を透過させることで生成するようにされている。
上記コヒーレント光は、光強度、及び位相がそれぞれ均一となるように生成された光を指す。またコアキシャル方式において、上記コヒーレント光としては、図17にも示しているように記録時に信号光を生成した領域(信号光エリアと呼ばれる)と同じ領域にて光を透過させることで生成するようにされている。
次の図18を参照して、コヒーレント加算方式による再生手法について具体的に見ていく。
先ず前提として、コヒーレント加算方式による再生を行う場合には、位相変調素子として、可変的な位相変調が可能な位相変調器(図18(a)中の位相変調器101b)を設けることになる。ここで、コヒーレント加算方式により再生を行う記録再生システムでは、入射光に与える位相パターンとして、記録時には上述した多重記録を可能とするための位相パターン(位相マスク102に相当する2値ランダム位相パターン)、再生時にはコヒーレント光生成のための後述する均一な位相パターンを設定する必要がある。つまりこのことから、この場合の位相変調素子としては、可変的な位相変調が可能な位相変調器101bを用いる必要がある。
先ず前提として、コヒーレント加算方式による再生を行う場合には、位相変調素子として、可変的な位相変調が可能な位相変調器(図18(a)中の位相変調器101b)を設けることになる。ここで、コヒーレント加算方式により再生を行う記録再生システムでは、入射光に与える位相パターンとして、記録時には上述した多重記録を可能とするための位相パターン(位相マスク102に相当する2値ランダム位相パターン)、再生時にはコヒーレント光生成のための後述する均一な位相パターンを設定する必要がある。つまりこのことから、この場合の位相変調素子としては、可変的な位相変調が可能な位相変調器101bを用いる必要がある。
この場合、SLM101としては、入射光に対する強度変調を行う強度変調器101aと、上記位相変調器101bとが一体的に形成されて構成される。このようなSLM101により、入射光の強度と位相とを任意に変調することが可能とされる。
図18(a)に示すように、この場合の再生時には、上記SLM101により参照光とコヒーレント光とを生成する。
再生時において、先ず参照光については、記録時と同じ強度パターン及び位相パターンを有するものを生成する。つまり、再生対象とするホログラムを記録したときと同じ強度・位相パターンによる参照光を生成するものである。これは、記録したホログラムを適正に再生するには、そのホログラムを記録したときのパターンと同パターンの参照光を照射する必要があるためである。換言すれば、或るパターンを有する参照光を照射して記録したホログラムは、そのパターンを有する参照光を用いてのみ適正に再生できるものである。
この意味で、再生時における参照光としては、記録時と同じ強度・位相パターンを有するものを生成する。
再生時において、先ず参照光については、記録時と同じ強度パターン及び位相パターンを有するものを生成する。つまり、再生対象とするホログラムを記録したときと同じ強度・位相パターンによる参照光を生成するものである。これは、記録したホログラムを適正に再生するには、そのホログラムを記録したときのパターンと同パターンの参照光を照射する必要があるためである。換言すれば、或るパターンを有する参照光を照射して記録したホログラムは、そのパターンを有する参照光を用いてのみ適正に再生できるものである。
この意味で、再生時における参照光としては、記録時と同じ強度・位相パターンを有するものを生成する。
上述したようにコヒーレント光としては、記録時において信号光を生成したエリア(信号光エリア)にて入射光を透過させることで生成する。具体的に、このコヒーレント光としては、強度変調器101aにて信号光エリア内の各画素を所定の強度に変調することで、その強度が均一となるようにされている。
「コヒーレント加算方式」は、このように均一な強度を有するようにされたコヒーレント光と、上記参照光の照射に応じて得られる再生像とを共にイメージセンサ104にて結像させ、これによりイメージセンサ104において、再生像とコヒーレント光との合成光についての検出が行われるようにするものである。
このとき、コヒーレント光は、再生像と同位相の成分として加算されるようにする。このため、コヒーレント光の位相は、再生像の位相(再生像内の基準位相)と同位相に揃える。
なお、上記「再生像内の基準位相」とは、再生像内に含まれるSLM101の画素単位の像(記録信号)のうち、位相「0」(0π)による変調が与えられて記録された画素の記録信号の位相を指すものである。
なお、上記「再生像内の基準位相」とは、再生像内に含まれるSLM101の画素単位の像(記録信号)のうち、位相「0」(0π)による変調が与えられて記録された画素の記録信号の位相を指すものである。
ここで、上記のように再生像内の基準位相は、位相変調器101bにて0πによる位相変調が与えられて記録された信号の位相である。従って、コヒーレント光の位相をこの再生像内の基準位相に対して一致させるためには、コヒーレント光に対しても、位相変調器101bにて0πによる位相変調を与えれば良いと考えられる。
但し、ホログラム記録再生システムにおいては、ホログラム記録媒体HM(メディア)に参照光を照射して得られた再生像の位相が、メディアに記録された信号の位相からπ/2だけずれたものとなる点を考慮しなければならない。つまり、仮に、コヒーレント光に対し位相0πによる変調を与えた場合には、再生像内の基準位相とコヒーレント光の位相とに「π/2」の位相差が生じてしまい、コヒーレント光を再生像と同位相の成分として適正に加算することができなくなってしまう。
この点を考慮し、コヒーレント光の位相を再生像内の基準位相と一致させるためには、位相変調器101bにおいて、図のように「π/2」による変調を与える。具体的にこの場合の位相変調器101は、信号光エリア内の各画素にてπ/2による位相変調を与えるものである。
上記により説明したSLM101の空間光変調により参照光とコヒーレント光とが生成されることに応じて、図18(b)に示されるようにして、再生像と、該再生像と同位相のコヒーレント光とが、対物レンズを介してイメージセンサ104に対して導かれることになる。このとき、上記コヒーレント光は、再生像と同位相の成分として加算されたものとしてイメージセンサ104にて検出される。
「コヒーレント加算方式」では、このような「再生像+コヒーレント光」の成分がイメージセンサ104にて検出されるようにした上で、検出された「再生像+コヒーレント光」の画像信号に対し、以下のような処理を施して線形読み出し信号を得る。
先ずは、上記「再生像+コヒーレント光」の画像信号について、各画素の値の平方根を計算する。
その上で、この平方根計算結果から、加算したコヒーレント光の成分を除去する処理を行う。具体的には、例えば平方根計算結果の値から加算したコヒーレント光の強度の値を減算するものである。
先ずは、上記「再生像+コヒーレント光」の画像信号について、各画素の値の平方根を計算する。
その上で、この平方根計算結果から、加算したコヒーレント光の成分を除去する処理を行う。具体的には、例えば平方根計算結果の値から加算したコヒーレント光の強度の値を減算するものである。
ここで、上記により説明したコヒーレント光の加算・平方根計算・加算分の除去の一連の動作によって、線形読み出しが実現されることについて説明する。
なお、以下の説明にあたり、再生像の振幅は例えば±0.078の範囲内であるとする。すなわち、再生像の振幅は最大値=0.078、最小値=−0.078であるとする。
また、加算したコヒーレント光の強度の値は、例えば0.1であったとする。
なお、以下の説明にあたり、再生像の振幅は例えば±0.078の範囲内であるとする。すなわち、再生像の振幅は最大値=0.078、最小値=−0.078であるとする。
また、加算したコヒーレント光の強度の値は、例えば0.1であったとする。
先ず、比較のため、コヒーレント加算を行わずに従来どおり参照光の照射のみで読み出しを行った場合について考察してみる。
先に説明したフーリエ変換ホログラムと上記再生像の振幅の最大値・最小値の前提によると、この場合の再生像の振幅の最大値、最小値に応じて得られるイメージセンサ104の出力値は、その2乗値である「6.1E-3」という同じ値で得られることになる。このようにイメージセンサ104にて「+1」と「−1」に相当する値が同じ値で検出されることで、以降でどのような信号処理を行っても、失われた位相情報を正確に復元することはできないものとなってしまう。つまり、非線形な歪みが発生するものである。
先に説明したフーリエ変換ホログラムと上記再生像の振幅の最大値・最小値の前提によると、この場合の再生像の振幅の最大値、最小値に応じて得られるイメージセンサ104の出力値は、その2乗値である「6.1E-3」という同じ値で得られることになる。このようにイメージセンサ104にて「+1」と「−1」に相当する値が同じ値で検出されることで、以降でどのような信号処理を行っても、失われた位相情報を正確に復元することはできないものとなってしまう。つまり、非線形な歪みが発生するものである。
一方、「コヒーレント加算方式」として、参照光と共にその位相が再生像と同位相とされるコヒーレント光を照射する場合には、コヒーレント光の強度に応じた値を、再生像に対して加算することができる。なお確認のために述べておくと、このようなコヒーレント光は、振幅・位相が均一となるようにされたDC成分であるので、記録されたホログラムと干渉することはない。
ここで、上記説明によると、この場合のコヒーレント光の加算量は例えば0.1とされる。これによると、再生像にはこの0.1の成分が加わることによって、最大値0.078は0.1782=0.032、最小値-0.078は0.0222=4.8E-4という強度としてイメージセンサ104により検出される。この場合、イメージセンサ104の出力に対しては、上述のように平方根が計算され、その後加算された成分を除去するということが行われる。従って振幅の最大値0.078は0.178−0.1=0.078によって元の値に復元でき、また最小値-0.078としても0.022−0.1=-0.078により元の値に復元することができる。
このようにして「コヒーレント加算方式」による再生手法によれば、位相変調記録によって記録された位相情報が失われない、線形な読み出しを実現することができる。
なお、ここで重要となるのは、コヒーレント光の加算量(強度値)である。すなわち、上記のような線形読み出しを実現するにあたり、コヒーレント光の加算量は、イメージセンサ104による強度検出(2乗値化)に対して負の折り返しを生じさせないように、「再生像の振幅の最小値の絶対値よりも大きな値」という条件が満たす必要があることになる。
この点から「コヒーレント加算方式」において、上記コヒーレント光としては、その強度が「再生像の振幅の最小値の絶対値よりも大きな値」で、且つ位相が「再生像の基準位相と同位相」とされることが必須の条件となる。
なお、ここで重要となるのは、コヒーレント光の加算量(強度値)である。すなわち、上記のような線形読み出しを実現するにあたり、コヒーレント光の加算量は、イメージセンサ104による強度検出(2乗値化)に対して負の折り返しを生じさせないように、「再生像の振幅の最小値の絶対値よりも大きな値」という条件が満たす必要があることになる。
この点から「コヒーレント加算方式」において、上記コヒーレント光としては、その強度が「再生像の振幅の最小値の絶対値よりも大きな値」で、且つ位相が「再生像の基準位相と同位相」とされることが必須の条件となる。
上記のようにして「コヒーレント加算方式」によれば、位相変調記録によるDC成分抑圧の面での高記録密度化を図る上で振幅「−1」「0」「+1」の3値が記録される場合に、振幅「0」と共に位相情報を含む「−1」「+1」を適正に読み出すことができ、線形読み出しを実現することができる。
ここで、先に本出願人は、このような「コヒーレント加算方式」による線形読み出しの有効性を実証するために、実際に光学系を組んで記録再生実験を行った。
しかしながら実験の結果、以下のような問題点が浮上した。
しかしながら実験の結果、以下のような問題点が浮上した。
先ず、「コヒーレント加算方式」によって実際にホログラム記録媒体HMに記録された信号についての読み出しを行ってみると、SNR(S/N)の値が予想外に低いことが判明した。
これは、先に述べたようにホログラムの多重記録を実現するための位相変調記録を行う場合には、位相「0」(振幅=+1)の画素と位相「π」(振幅=−1)の画素との境界で0〜πの間の中間的な位相となる部分が生じ、これがノイズ成分となっていると推測される。
「コヒーレント加算方式」は、上述のようにして単にコヒーレント光の加算・平方根計算・加算分の除去を行うものである。従って、このようなノイズ成分の除去効果を期待することはできず、結果としてSNRの向上を図ることが困難となっている。
これは、先に述べたようにホログラムの多重記録を実現するための位相変調記録を行う場合には、位相「0」(振幅=+1)の画素と位相「π」(振幅=−1)の画素との境界で0〜πの間の中間的な位相となる部分が生じ、これがノイズ成分となっていると推測される。
「コヒーレント加算方式」は、上述のようにして単にコヒーレント光の加算・平方根計算・加算分の除去を行うものである。従って、このようなノイズ成分の除去効果を期待することはできず、結果としてSNRの向上を図ることが困難となっている。
また、実験より、均一な強度・位相を有する厳密な意味でのコヒーレント光を再生像に加算することが困難であることが判明した。
図19は、実験において生成されたコヒーレント光の例を示している。なお、この図19は、実際にSLM101にて信号光エリア内の強度・位相変調を行ってコヒーレント光を生成し、これをホログラム記録媒体HMに照射してイメージセンサ104にて検出された強度の値を色濃度で示したものである。黒色→白色となるに従って強度の値が大きいことを表す。
この図19に示されるように、SLM101にて強度・位相が均一となるようにコヒーレント光を生成したとしても、実際には、図のような縞模様が現れたり、クレータのような丸い模様が現れるなどして、均一な光を加算することはできないものとなる。
図19は、実験において生成されたコヒーレント光の例を示している。なお、この図19は、実際にSLM101にて信号光エリア内の強度・位相変調を行ってコヒーレント光を生成し、これをホログラム記録媒体HMに照射してイメージセンサ104にて検出された強度の値を色濃度で示したものである。黒色→白色となるに従って強度の値が大きいことを表す。
この図19に示されるように、SLM101にて強度・位相が均一となるようにコヒーレント光を生成したとしても、実際には、図のような縞模様が現れたり、クレータのような丸い模様が現れるなどして、均一な光を加算することはできないものとなる。
このようなコヒーレント光の不均一性は、位相変調器101bの特性によるものと推測される。具体的に、実験においては、現在入手可能な位相変調器101bとして、ディスプレイ装置用の位相変調器を用いたので、均一な位相を与えることができずに、コヒーレント光の振幅が不均一となり、これによって再生像に対して加算される強度の値も不均一となったと推測される。
或いは、このようなコヒーレント光の不均一性は、ホログラム記録媒体HMの特性によるものであるとも推測されている。
或いは、このようなコヒーレント光の不均一性は、ホログラム記録媒体HMの特性によるものであるとも推測されている。
何れにしても、再生像に対して振幅が均一なコヒーレント光を加算できなければ、先に説明したような平方根計算・コヒーレント光の加算分の減算により線形読み出し信号を得るようにされるコヒーレント加算方式では、適正な再生結果が得られないことは明らかである。
本発明は以上のような問題点に鑑み為されたものであり、加算されるコヒーレント光の強度が不均一である場合にも適正な線形読み出し信号を得ることができ、また従来よりもSNR(S/N比)の改善の図られる読み出し手法を実現することを目的として為されたものである。
かかる目的の達成のため、本発明では再生装置として以下のように構成することとした。
つまり、本発明の再生装置は、信号光と参照光との干渉縞によってホログラムが形成されてデータが記録されたホログラム記録媒体について再生を行う再生装置であって、入射光に対する空間光変調を行うことで、所定の強度パターン及び位相パターンを有する上記参照光を生成する参照光生成手段を備える。
また、入射光に対する空間光変調を行うことで、上記参照光が上記ホログラム記録媒体に照射されることで得られる再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大となる光強度を有し且つ上記再生像の基準位相との位相差がそれぞれ0、πとなる2種のコヒーレント光を順次、上記ホログラム記録媒体に記録された1ホログラムページ分のデータの読み出しごとに生成するコヒーレント光生成手段を備える。
また、上記参照光の照射に応じて得られる上記再生像と上記コヒーレント光生成手段により生成された一方の上記コヒーレント光との合成光、及び上記参照光の照射に応じて得られる上記再生像と上記コヒーレント光生成手段により生成された他方の上記コヒーレント光との合成光を順次受光して、2種の画像信号を得る画像信号取得手段を備える。
また、上記画像信号取得手段により得られた上記2種の画像信号の平方根をそれぞれ計算する平方根計算手段を備える。
また、上記平方根計算手段により計算された上記2種の画像信号についてのそれぞれの平方根計算結果の差分を計算する差分計算手段を備えるものである。
かかる目的の達成のため、本発明では再生装置として以下のように構成することとした。
つまり、本発明の再生装置は、信号光と参照光との干渉縞によってホログラムが形成されてデータが記録されたホログラム記録媒体について再生を行う再生装置であって、入射光に対する空間光変調を行うことで、所定の強度パターン及び位相パターンを有する上記参照光を生成する参照光生成手段を備える。
また、入射光に対する空間光変調を行うことで、上記参照光が上記ホログラム記録媒体に照射されることで得られる再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大となる光強度を有し且つ上記再生像の基準位相との位相差がそれぞれ0、πとなる2種のコヒーレント光を順次、上記ホログラム記録媒体に記録された1ホログラムページ分のデータの読み出しごとに生成するコヒーレント光生成手段を備える。
また、上記参照光の照射に応じて得られる上記再生像と上記コヒーレント光生成手段により生成された一方の上記コヒーレント光との合成光、及び上記参照光の照射に応じて得られる上記再生像と上記コヒーレント光生成手段により生成された他方の上記コヒーレント光との合成光を順次受光して、2種の画像信号を得る画像信号取得手段を備える。
また、上記画像信号取得手段により得られた上記2種の画像信号の平方根をそれぞれ計算する平方根計算手段を備える。
また、上記平方根計算手段により計算された上記2種の画像信号についてのそれぞれの平方根計算結果の差分を計算する差分計算手段を備えるものである。
上記のようにして本発明では、参照光の照射に応じて得られる再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大となる光強度を有するコヒーレント光として、上記再生像の基準位相に対する位相差が0とπとなる2種のコヒーレント光を上記再生像に加算させるようにして読み出しを行い、その結果得られる2種の画像信号についてそれぞれ平方根を計算した上で、それら平方根計算結果の差分を計算するものとしている。
このように再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大となる光強度を有し且つ再生像に対する位相差が0とπとなる2種のコヒーレント光を上記再生像に加算して読み出しを行い、その結果として得られる2種の画像信号のそれぞれの平方根計算、及びそれら平方根計算結果の差分の計算を行うものとすることで、後述するようにして、加算されたコヒーレント光の強度(振幅)に関わらず、記録された信号の振幅に比例した値を得ることができる。つまりこれにより、加算するコヒーレント光の振幅が不均一である場合にも、線形読み出しを行うことができるものである。
また、上記のようにして本発明では、再生像の基準位相に対する位相差が0となるコヒーレント光(ポジ光)、πとなるコヒーレント光(ネガ光)をそれぞれ再生像に加算して得られた2種の画像信号について、それらの差分を計算するものとしているが(いわゆる差動検出)、このことで、後述するように位相0〜πの間の中間的な位相に起因するノイズ成分の除去を行うことができる。つまり、この点でSNRの改善が図られる。
このように再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大となる光強度を有し且つ再生像に対する位相差が0とπとなる2種のコヒーレント光を上記再生像に加算して読み出しを行い、その結果として得られる2種の画像信号のそれぞれの平方根計算、及びそれら平方根計算結果の差分の計算を行うものとすることで、後述するようにして、加算されたコヒーレント光の強度(振幅)に関わらず、記録された信号の振幅に比例した値を得ることができる。つまりこれにより、加算するコヒーレント光の振幅が不均一である場合にも、線形読み出しを行うことができるものである。
また、上記のようにして本発明では、再生像の基準位相に対する位相差が0となるコヒーレント光(ポジ光)、πとなるコヒーレント光(ネガ光)をそれぞれ再生像に加算して得られた2種の画像信号について、それらの差分を計算するものとしているが(いわゆる差動検出)、このことで、後述するように位相0〜πの間の中間的な位相に起因するノイズ成分の除去を行うことができる。つまり、この点でSNRの改善が図られる。
上記のようにして本発明によれば、再生像に対して加算されるコヒーレント光の振幅が不均一とされる場合にも、線形読み出しを行うことができる。また、このような線形読み出しの実現のと共に、SNRの改善も図ることができる。
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
[再生装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態としての再生装置の内部構成を示したブロック図である。
実施の形態の再生装置は、ホログラム記録媒体に記録されたデータについての再生機能を有すると共に、記録機能も有する。この意味で、以下、実施の形態の再生装置については記録再生装置と称する。
なお、図1では主に記録再生装置の光学系の構成のみを抽出して示し、他の部分については省略する。
[再生装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態としての再生装置の内部構成を示したブロック図である。
実施の形態の再生装置は、ホログラム記録媒体に記録されたデータについての再生機能を有すると共に、記録機能も有する。この意味で、以下、実施の形態の再生装置については記録再生装置と称する。
なお、図1では主に記録再生装置の光学系の構成のみを抽出して示し、他の部分については省略する。
先ず、この図1に示す記録再生装置は、ホログラム記録再生方式として、いわゆるコアキシャル方式が採用されたものとなる。
コアキシャル方式は、信号光と参照光とを同一軸上に配置し、それらを共に所定位置にセットされたホログラム記録媒体に照射して干渉縞によるホログラムの形成を行ってデータを記録し、また再生時には参照光をホログラム記録媒体に対して照射することで上記干渉縞(ホログラム)に応じた再生像を得てデータの再生を行うものである。
また、この図1に示す記録再生装置は、ホログラム記録媒体として、反射膜を備えた反射型のホログラム記録媒体(ホログラム記録媒体HM)に対応するように構成されている。
コアキシャル方式は、信号光と参照光とを同一軸上に配置し、それらを共に所定位置にセットされたホログラム記録媒体に照射して干渉縞によるホログラムの形成を行ってデータを記録し、また再生時には参照光をホログラム記録媒体に対して照射することで上記干渉縞(ホログラム)に応じた再生像を得てデータの再生を行うものである。
また、この図1に示す記録再生装置は、ホログラム記録媒体として、反射膜を備えた反射型のホログラム記録媒体(ホログラム記録媒体HM)に対応するように構成されている。
先ず、図中のレーザダイオード(LD)1は、記録再生のためのレーザ光を得るための光源として設けられる。このレーザダイオード1としては、例えば外部共振器付きレーザダイオードが採用され、レーザ光の波長は例えば410nm程度とされる。
レーザダイオード1からの出射光はコリメータレンズ2を介した後、SLM(空間光変調部)3に対して入射する。
レーザダイオード1からの出射光はコリメータレンズ2を介した後、SLM(空間光変調部)3に対して入射する。
SLM3は、図示する強度・位相制御部11による制御に基づき、入射光に対する空間光変調を施す。本実施の形態の場合、SLM3は、後述するように入射光に対する空間光強度変調(単に強度変調とも称する)、及び空間光位相変調(位相変調とも称する)を画素単位で施すように構成される。
なお、SLM3の具体的な内部構成、及び強度・位相制御部11によるSLM3の具体的な制御内容については後述する。
なお、SLM3の具体的な内部構成、及び強度・位相制御部11によるSLM3の具体的な制御内容については後述する。
上記SLM3にて空間光変調が施された光は、偏光ビームスプリッタ4を透過した後、リレーレンズ5→アパーチャー6→リレーレンズ7によるリレーレンズ光学系を介し、さらに1/4波長板8を介した後に対物レンズ9で集光されてホログラム記録媒体HM上に照射される。
ここで、記録時においては、後述するようにしてSLM3にて記録データに応じた強度変調を施した信号光と、この信号光と同心円となる輪状の参照光とが生成されることになる。すなわち、このようにして生成された信号光と参照光とが、上記により説明した経路を経て上記ホログラム記録媒体HM上に集光するようにされる。
このように記録データに応じた信号光と共に参照光がホログラム記録媒体HMに照射されることで、これら信号光と参照光との干渉縞によりホログラム(回折格子)が形成される。つまりこれにより、記録データを反映したホログラムの記録が行われる。
このように記録データに応じた信号光と共に参照光がホログラム記録媒体HMに照射されることで、これら信号光と参照光との干渉縞によりホログラム(回折格子)が形成される。つまりこれにより、記録データを反映したホログラムの記録が行われる。
一方、再生時においては、レーザダイオード1からの光が、記録時と同様にコリメータレンズ2を介してSLM3に入射される。後述するように、再生時においてSLM3は、入射光に対する空間光変調を施して参照光を生成するようにされる。
この参照光の照射に応じては、ホログラム記録媒体HMに記録されたホログラムに応じた回折光(再生像)が得られ、この回折光は、ホログラム記録媒体HMからの反射光として対物レンズ9を介した後、1/4波長板8→リレーレンズ7→アパーチャー6→リレーレンズ5を介して偏光ビームスプリッタ4に導かれる。偏光ビームスプリッタ4では、上記経路により導かれたホログラム記録媒体HMからの反射光が反射され、その反射光は図示するようにしてイメージセンサ10に導かれる。
この参照光の照射に応じては、ホログラム記録媒体HMに記録されたホログラムに応じた回折光(再生像)が得られ、この回折光は、ホログラム記録媒体HMからの反射光として対物レンズ9を介した後、1/4波長板8→リレーレンズ7→アパーチャー6→リレーレンズ5を介して偏光ビームスプリッタ4に導かれる。偏光ビームスプリッタ4では、上記経路により導かれたホログラム記録媒体HMからの反射光が反射され、その反射光は図示するようにしてイメージセンサ10に導かれる。
イメージセンサ10は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子を備え、上記のようにして導かれたホログラム記録媒体HMからの反射光(再生像)を画素単位で受光し、これを電気信号に変換して画像信号を得る。
データ再生部12は、上記イメージセンサ10にて得られた画像信号に基づき、記録データの再生を行う。なお、このデータ再生部12の内部構成及び具体的な動作内容についても後述する。
図2は、図1に示されるSLM3と、強度・位相制御部11の内部構成について主に示した図である。なおこの図では、レーザダイオード1とホログラム記録媒体HMと共に、さらにレーザダイオード1から出射されSLM3に導かれる光と、SLM3を介してホログラム記録媒体HMに対して導かれる光についても併せて示している。
この図2に示されるように、SLM3としては、入射光に対する強度変調を行う強度変調器3aと、位相変調を行う位相変調器3bとを有する。
上記強度変調器3aは、例えば透過型の液晶パネルで構成され、強度・位相制御部11からの駆動信号に応じて各画素が駆動されて各画素の透過率が変化されることで、入射光に対し画素単位で強度変調を施す。
また、上記位相変調器3bとしては、画素単位で可変的な位相変調が可能な透過型の液晶パネルを用いるものとしている。
上記強度変調器3aは、例えば透過型の液晶パネルで構成され、強度・位相制御部11からの駆動信号に応じて各画素が駆動されて各画素の透過率が変化されることで、入射光に対し画素単位で強度変調を施す。
また、上記位相変調器3bとしては、画素単位で可変的な位相変調が可能な透過型の液晶パネルを用いるものとしている。
ここで、このように画素単位で可変的な位相変調が可能な液晶パネルとしては、内部の液晶素子を、次の図3に示す考えに基づき構成することで実現することができる。
図3(a)では、液晶パネル内の液晶素子に駆動電圧を印加していない状態(つまり駆動電圧OFFの状態)での液晶分子の様子を示し、図3(b)では液晶素子に所定レベルでの駆動電圧を印加した状態(駆動電圧ONの状態)での液晶分子の様子を示している。
図示するようにして図3(a)の駆動電圧OFFの状態では、液晶分子は水平配向となり、また図3(b)に示す駆動電圧ONの状態では液晶分子は垂直配向に変化することになる。
このとき、液晶素子の屈折率nについて、駆動電圧OFFによる上記水平配向時の屈折率をnh、所定レベルでの駆動電圧ONによる上記垂直配向時の屈折率をnvとすると、液晶素子の厚さをdとした場合、駆動電圧OFF時に与えられる位相変化量は「d×nh」となり、駆動電圧ON時に与えられる位相変化量は「d×nv」となる。従ってこのことから、駆動電圧のON/OFFによって与えることのできる位相差Δndとしては、
Δnd=d×nh−d×nv
により表されるものとなる。
この関係式より、画素単位で所要の位相差を与えるにあたっては、液晶素子の厚さdを調整すればよいことがわかる。
本実施の形態の位相変調器3bとしては、液晶素子の厚さdを調整することで、例えば位相差Δnd=2πとなるように設定している。すなわち、これによって各画素ごとに、上記ON/OFFとしての駆動電圧の切換を行うことで「0」と「2π」の2値による光位相変調を施すことが可能とされているものである。
図3(a)では、液晶パネル内の液晶素子に駆動電圧を印加していない状態(つまり駆動電圧OFFの状態)での液晶分子の様子を示し、図3(b)では液晶素子に所定レベルでの駆動電圧を印加した状態(駆動電圧ONの状態)での液晶分子の様子を示している。
図示するようにして図3(a)の駆動電圧OFFの状態では、液晶分子は水平配向となり、また図3(b)に示す駆動電圧ONの状態では液晶分子は垂直配向に変化することになる。
このとき、液晶素子の屈折率nについて、駆動電圧OFFによる上記水平配向時の屈折率をnh、所定レベルでの駆動電圧ONによる上記垂直配向時の屈折率をnvとすると、液晶素子の厚さをdとした場合、駆動電圧OFF時に与えられる位相変化量は「d×nh」となり、駆動電圧ON時に与えられる位相変化量は「d×nv」となる。従ってこのことから、駆動電圧のON/OFFによって与えることのできる位相差Δndとしては、
Δnd=d×nh−d×nv
により表されるものとなる。
この関係式より、画素単位で所要の位相差を与えるにあたっては、液晶素子の厚さdを調整すればよいことがわかる。
本実施の形態の位相変調器3bとしては、液晶素子の厚さdを調整することで、例えば位相差Δnd=2πとなるように設定している。すなわち、これによって各画素ごとに、上記ON/OFFとしての駆動電圧の切換を行うことで「0」と「2π」の2値による光位相変調を施すことが可能とされているものである。
また、上記のように所定レベルによる駆動電圧ON時と駆動電圧OFF時とで位相「0」「2π」の変調を行うことができるということは、駆動電圧レベルを上記所定レベルまで段階的に制御することで、位相は「0」〜「2π」まで段階的に変化させることができる。例えば、駆動電圧レベルを上記所定レベルの1/2とすれば位相「π」、1/4とすれば位相「π/2」による変調も可能となる。
説明を図2に戻す。
SLM3は、このように画素ごとに可変的な位相変調を行うことが可能な位相変調器3bが、強度変調器3aに対して一体的に形成されて成る。すなわち、強度変調器3aの各画素と位相変調器3bの各画素とが1対1の位置関係でそれぞれの範囲が一致するように位置決めされてこれら強度変調器3aと位相変調器3bとが一体的に形成されているものである。
このような構造とされることで、強度変調器3aを透過して得られる信号光、参照光となるべき光のそれぞれに対し、画素単位で厳密に一致させた位相変調パターンにより位相変調を施すことが可能となっている。
SLM3は、このように画素ごとに可変的な位相変調を行うことが可能な位相変調器3bが、強度変調器3aに対して一体的に形成されて成る。すなわち、強度変調器3aの各画素と位相変調器3bの各画素とが1対1の位置関係でそれぞれの範囲が一致するように位置決めされてこれら強度変調器3aと位相変調器3bとが一体的に形成されているものである。
このような構造とされることで、強度変調器3aを透過して得られる信号光、参照光となるべき光のそれぞれに対し、画素単位で厳密に一致させた位相変調パターンにより位相変調を施すことが可能となっている。
ここで、SLM3においては、記録/再生時に対応して信号光、参照光を生成するようにされる。このため、SLM3(強度変調器3a及び位相変調器3b)においては、次の図4に示すような参照光エリアA1、信号光エリアA2、及びギャップエリアA3が規定されている。すなわち、この図4に示されるように、SLM3の中心部分を含む所定の円形のエリアが、信号光エリアA2として定められている。そして、その外周部分に対しては、ギャップエリアA3を隔てて、信号光エリアA2と同心円となる輪状の参照光エリアA1が定められている。
なお、上記ギャップエリアA3は、参照光が信号光エリアA2に漏れ込んでノイズになることを避けるための領域として定められている。
このような各エリアAの設定により、この場合の信号光と参照光はそれぞれ同一光軸上に配置されるものとなる。
なお、上記ギャップエリアA3は、参照光が信号光エリアA2に漏れ込んでノイズになることを避けるための領域として定められている。
このような各エリアAの設定により、この場合の信号光と参照光はそれぞれ同一光軸上に配置されるものとなる。
なお、確認のために述べておくと、本例において、画素単位で可変的な位相変調が可能な位相変調器3bを用いるようにしているのは、以下の理由による。
つまり、先に述べたようにホログラム記録再生システムでは、信号光と参照光との干渉効率の向上及び多重記録を可能とするためのDC成分の抑圧を図るにあたって、信号光に対し例えば「0」「π」の2値ランダム位相パターンによる位相変調を施すものとなるが、本例の場合、再生時には、後述するコヒーレント光の生成を行うため、信号光エリアA2内の全画素を所定の位相に変調する必要がある。この点から本例の場合は、記録時と再生時とでそれぞれ信号光エリアA2内に与える位相の切り替えが可能となることが必要とされ、そのため、可変的な位相変調が可能な位相変調器3bを用いるようにされている。
つまり、先に述べたようにホログラム記録再生システムでは、信号光と参照光との干渉効率の向上及び多重記録を可能とするためのDC成分の抑圧を図るにあたって、信号光に対し例えば「0」「π」の2値ランダム位相パターンによる位相変調を施すものとなるが、本例の場合、再生時には、後述するコヒーレント光の生成を行うため、信号光エリアA2内の全画素を所定の位相に変調する必要がある。この点から本例の場合は、記録時と再生時とでそれぞれ信号光エリアA2内に与える位相の切り替えが可能となることが必要とされ、そのため、可変的な位相変調が可能な位相変調器3bを用いるようにされている。
記録時の空間光変調動作について見ていく。
SLM3の空間光変調動作は、強度・位相制御部11により制御される。
図示するようにして強度・位相制御部11内には、符号化部21、マッピング部22、強度変調ドライバ23、及び位相変調パターン生成部24、位相変調ドライバ25が備えられている。
SLM3の空間光変調動作は、強度・位相制御部11により制御される。
図示するようにして強度・位相制御部11内には、符号化部21、マッピング部22、強度変調ドライバ23、及び位相変調パターン生成部24、位相変調ドライバ25が備えられている。
先ず、記録時において、符号化部21に対しては記録データが入力され、当該記録データについて記録フォーマットに従った所定の記録変調符号化処理を施す。例えば、ホログラム記録再生方式にて一般的に行われる符号化処理としては、記録データの1バイト(=8ビット)を4×4=16ビットの正方形によるブロック形状のデータ配列に変換するということが行われる(例えばスパース符号化など)。この4×4=16ビットのデータ配列は「シンボル」と呼ばれ、記録符号化の最小単位となる。
マッピング部22は、記録時において上記符号化部21にて符号化されたデータを、記録フォーマットに従って信号光エリアA2内に配列する。このようなマッピング処理により、1ホログラムページ分のデータパターンが生成される。
ここで、ホログラムページとは、信号光と参照光との1度の干渉縞の形成によって記録することのできるデータの単位を指すものである。
ここで、ホログラムページとは、信号光と参照光との1度の干渉縞の形成によって記録することのできるデータの単位を指すものである。
また、マッピング部22は、このような信号光エリアA2内へのデータのマッピングと共に、参照光エリアA1の所定の画素を「1」、それ以外の画素を「0」とし、且つギャップエリアA3と参照光エリアA1より外周部分とを全て「0」としたデータパターンを生成し、このデータパターンと上記信号光エリアA2内のデータパターンとを併せて強度変調器3aの全有効画素分のデータパターンを生成する。
このようにして生成された強度変調器3aの全有効画素分のデータパターンは、強度変調ドライバ23に供給され、当該強度変調ドライバ23は、このデータパターンに基づき強度変調器3aの各画素を駆動制御する。
これにより、記録データに応じたパターンにより強度変調の施された、信号光の元となる光と、さらに所定パターンで強度変調された参照光の元となる光とが生成される。
このようにして生成された強度変調器3aの全有効画素分のデータパターンは、強度変調ドライバ23に供給され、当該強度変調ドライバ23は、このデータパターンに基づき強度変調器3aの各画素を駆動制御する。
これにより、記録データに応じたパターンにより強度変調の施された、信号光の元となる光と、さらに所定パターンで強度変調された参照光の元となる光とが生成される。
また、記録時において、強度・位相制御部11では、このような強度変調器3aに対する駆動制御のための動作と共に、位相変調器3bに対する駆動制御のための動作も行われる。
先ず、位相変調パターン生成部24は、位相変調記録のための位相変調を実現するため、予め設定された所定のデータパターンに基づき、位相変調器3bの信号光エリアA2内に設定すべき位相変調パターンを生成する。本実施の形態の場合も、位相変調記録にあたっての位相変調パターンについては、2値ランダム位相パターンが設定されているものとする。
また、これと共に位相変調パターン生成部24は、位相変調器3bの参照光エリアA1に設定すべき位相変調パターンとして、所定の位相変調パターンを生成する。なお確認のために述べておくと、記録時の参照光エリアの位相変調パターンとしては、位相変調記録(DC成分抑圧)の主旨から、2値ランダム位相パターンであることが望ましい。
そして、位相変調パターン生成部24は、このようにして生成した信号光エリアA2と参照光エリアA1についてのそれぞれの位相変調パターン(対応する各画素の制御パターン)を併せて、位相変調器3bの全有効画素分の位相変調パターンを生成する。このとき、信号光エリアA2と参照光エリアA1以外の画素については、例えば位相「0」に対応した値を設定するものとすればよい。
そして、このように生成した位相変調パターンを位相変調ドライバ25に供給する。
先ず、位相変調パターン生成部24は、位相変調記録のための位相変調を実現するため、予め設定された所定のデータパターンに基づき、位相変調器3bの信号光エリアA2内に設定すべき位相変調パターンを生成する。本実施の形態の場合も、位相変調記録にあたっての位相変調パターンについては、2値ランダム位相パターンが設定されているものとする。
また、これと共に位相変調パターン生成部24は、位相変調器3bの参照光エリアA1に設定すべき位相変調パターンとして、所定の位相変調パターンを生成する。なお確認のために述べておくと、記録時の参照光エリアの位相変調パターンとしては、位相変調記録(DC成分抑圧)の主旨から、2値ランダム位相パターンであることが望ましい。
そして、位相変調パターン生成部24は、このようにして生成した信号光エリアA2と参照光エリアA1についてのそれぞれの位相変調パターン(対応する各画素の制御パターン)を併せて、位相変調器3bの全有効画素分の位相変調パターンを生成する。このとき、信号光エリアA2と参照光エリアA1以外の画素については、例えば位相「0」に対応した値を設定するものとすればよい。
そして、このように生成した位相変調パターンを位相変調ドライバ25に供給する。
位相変調ドライバ25は、位相変調パターン生成部24から供給される位相変調パターンの情報に基づき、位相変調器3bの各画素を駆動制御する。これによってSLM3から最終的に出力される信号光(及び参照光)について、従来の位相マスク(102)と同様の2値ランダム位相パターンによる位相変調を施すことができる。
上記により説明した強度・位相制御部11の制御に基づく空間光変調が行われることで、信号光と参照光の干渉効率の向上、及びホログラムの多重記録を可能とするためのDC成分の抑圧を図るための位相変調記録が実現される。
この場合、信号光エリアA2内の強度変調としては「0」「1」の2値、位相変調としては「0」「π」による2値の変調が行われるので、ホログラム記録媒体HMには、振幅として「0」、及び「+1」(強度「1」と位相「0」の組み合わせ)、及び「−1」(強度「1」と位相「π」の組合わせ)が記録される。
この場合、信号光エリアA2内の強度変調としては「0」「1」の2値、位相変調としては「0」「π」による2値の変調が行われるので、ホログラム記録媒体HMには、振幅として「0」、及び「+1」(強度「1」と位相「0」の組み合わせ)、及び「−1」(強度「1」と位相「π」の組合わせ)が記録される。
なお、本例においてはホログラムページを多重記録することを前提としているが、多重記録を行う場合、記録時において、参照光のパターン(強度と位相の組み合わせで決定される)を1ホログラムページの記録ごとに逐次変更することになる。
また、多重記録されたホログラムページの再生時には、参照光のパターン(強度、位相)を記録時と同じパターンに設定することで、対象とするホログラムページを選択的に読み出すことができる。
また、多重記録されたホログラムページの再生時には、参照光のパターン(強度、位相)を記録時と同じパターンに設定することで、対象とするホログラムページを選択的に読み出すことができる。
ここで、再生時には、ホログラム記録媒体HMに記録されたホログラムの再生像を得るための空間光変調動作が行われる。
本例の場合も、先に従来技術として挙げた「コヒーレント加算方式」と同様に、再生時に参照光、及び信号光エリアA2にてコヒーレント光を生成する動作については同様となるが、コヒーレント光の具体的な生成動作が異なる。
再生時の空間光変調動作としても、強度・位相制御部11がSLM3を駆動制御して行うものとなるが、本実施の形態としての再生時における具体的な空間光変調動作については後に改めて説明する。
本例の場合も、先に従来技術として挙げた「コヒーレント加算方式」と同様に、再生時に参照光、及び信号光エリアA2にてコヒーレント光を生成する動作については同様となるが、コヒーレント光の具体的な生成動作が異なる。
再生時の空間光変調動作としても、強度・位相制御部11がSLM3を駆動制御して行うものとなるが、本実施の形態としての再生時における具体的な空間光変調動作については後に改めて説明する。
[強度差動による読み出し]
ここで、上述のようにして本例の記録再生装置としても位相変調記録を行うものとし、これに伴いホログラム記録媒体HMには強度・位相の組み合わせによる振幅「−1」「0」「1」が記録されるものとなるが、先に説明したように、ホログラム記録再生システムではイメージセンサにて光の波面の振幅が2乗化された強度の情報しか検出できず、その点で非線形性を有する。そして、この非線形性の問題から、位相変調記録を行うシステムでは、ホログラム記録媒体に記録されたデータを適正に再生することが非常に困難とされていた。
ここで、上述のようにして本例の記録再生装置としても位相変調記録を行うものとし、これに伴いホログラム記録媒体HMには強度・位相の組み合わせによる振幅「−1」「0」「1」が記録されるものとなるが、先に説明したように、ホログラム記録再生システムではイメージセンサにて光の波面の振幅が2乗化された強度の情報しか検出できず、その点で非線形性を有する。そして、この非線形性の問題から、位相変調記録を行うシステムでは、ホログラム記録媒体に記録されたデータを適正に再生することが非常に困難とされていた。
また、本例のように位相変調記録を行う場合には、ホログラムページ内において、位相0による変調を受けた画素と位相πによる変調を受けた画素とが隣接する部分が生じるが、これらの画素の境界部分では、位相0〜πまでの間の中間的な位相が生じる。そして、このように中間的な位相が生じた部分に起因してノイズが発生し、これによってSNR(S/N比)が悪化するということが問題となる。
これら非線形性の問題、及びSNR悪化の問題の2点を解決するための技術として、先に本出願人は、「強度差動による読み出し手法」を提案している。
以下では、本実施の形態の読み出し手法についての理解を容易とするために、先ずはこの強度差動による読み出し手法について説明しておく。
以下では、本実施の形態の読み出し手法についての理解を容易とするために、先ずはこの強度差動による読み出し手法について説明しておく。
先ず、ここで言う「差動読み出し」(「差動検出」とも呼ばれる)とは、再生時において参照光を照射して得られる再生像に対し、位相が反転する関係にある2つのコヒーレント光(振幅・位相が均一となるようにして生成された光)をそれぞれ加算したときの2種の画像信号を検出し、それらの差分をとるという手法を指すものである。
図5は、先に本出願人が提案した強度差動による読み出し手法について説明するための図である。
先ず前提として、差動読み出しは、1ホログラムページの読み出しごとに行われるものとなる。すなわち、イメージセンサ10では、1つのホログラムページにつき、「再生像+一方のコヒーレント光」についての検出と、「再生像+他方のコヒーレント光」についての検出の計2回を行うようにされる。
先ず前提として、差動読み出しは、1ホログラムページの読み出しごとに行われるものとなる。すなわち、イメージセンサ10では、1つのホログラムページにつき、「再生像+一方のコヒーレント光」についての検出と、「再生像+他方のコヒーレント光」についての検出の計2回を行うようにされる。
ここで、再生時の参照光としては、先にも述べたように、読み出し対象とするホログラムページを記録したときと同パターンのものを生成する。すなわち再生時において、参照光エリアA1の強度・位相変調パターンは、記録時と同じパターンを設定する。
また、位相が反転する関係となるコヒーレント光としては、
1回目・・・再生像の基準位相との位相差が「0」(0π)によるコヒーレント光
2回目・・・再生像の基準位相との位相差が「π」によるコヒーレント光
を照射する。
ここで、「コヒーレント光」は、強度・位相が均一となるように生成された光を指す。以下の説明において、コヒーレント光の強度(再生像に加算される振幅)の値は「a」とする。
また、上記「再生像の基準位相」は、再生像内に含まれるSLM3の画素単位の像(記録信号)のうち、位相「0」による変調が施されて記録された画素の記録信号の位相を指すものである。
1回目・・・再生像の基準位相との位相差が「0」(0π)によるコヒーレント光
2回目・・・再生像の基準位相との位相差が「π」によるコヒーレント光
を照射する。
ここで、「コヒーレント光」は、強度・位相が均一となるように生成された光を指す。以下の説明において、コヒーレント光の強度(再生像に加算される振幅)の値は「a」とする。
また、上記「再生像の基準位相」は、再生像内に含まれるSLM3の画素単位の像(記録信号)のうち、位相「0」による変調が施されて記録された画素の記録信号の位相を指すものである。
1回目の照射時、上記のようにして再生像の基準位相との位相差が「0」となるコヒーレント光を照射するためには、信号光エリアA2において「π/2」による位相変調を施す。
ここで、先にも述べたようにホログラム記録再生システムにおいては、ホログラム記録媒体HM(メディア)に参照光を照射して得られた再生像の位相が、メディアに記録された信号の位相からπ/2だけずれたものとなることが知られている(例えば下記の参考文献1を参照)。
つまり、仮に、コヒーレント光に対し位相0πによる変調を与えた場合には、再生像内の基準位相とコヒーレント光の位相とに「π/2」の位相差が生じてしまい、コヒーレント光と再生像とを同位相とすることができず、コヒーレント光を再生像と同位相の成分として加算させることができなくなってしまう。このために、コヒーレント光の位相を再生像内の基準位相と一致させるためには、SLM3(位相変調器3b)の信号光エリアA2内にて「π/2」による位相変調を与えればよいものである。
参考文献1: Kogelnik,H "Coupled wave theory for thick hologramgrating". Bell System Technical Journal,48,2909-47
ここで、先にも述べたようにホログラム記録再生システムにおいては、ホログラム記録媒体HM(メディア)に参照光を照射して得られた再生像の位相が、メディアに記録された信号の位相からπ/2だけずれたものとなることが知られている(例えば下記の参考文献1を参照)。
つまり、仮に、コヒーレント光に対し位相0πによる変調を与えた場合には、再生像内の基準位相とコヒーレント光の位相とに「π/2」の位相差が生じてしまい、コヒーレント光と再生像とを同位相とすることができず、コヒーレント光を再生像と同位相の成分として加算させることができなくなってしまう。このために、コヒーレント光の位相を再生像内の基準位相と一致させるためには、SLM3(位相変調器3b)の信号光エリアA2内にて「π/2」による位相変調を与えればよいものである。
参考文献1: Kogelnik,H "Coupled wave theory for thick hologramgrating". Bell System Technical Journal,48,2909-47
また、2回目の照射時、上述のように再生像の基準位相との位相差が「π」となるコヒーレント光を照射するためには、上記の理由から、信号光エリアA2において「3π/2」による位相変調を施す。
このような1回目、2回目としてのコヒーレント光の照射、及び参照光の照射が順次行われることで、イメージセンサ10からは、「再生像+再生像との位相差が「0」によるコヒーレント光」に基づく第1の画像信号と、「再生像+再生像との位相差が「π」によるコヒーレント光」に基づく第2の画像信号とが順次出力される。
そして、先に本出願人が提案した強度差動による読み出し手法では、このようにイメージセンサ10にて得られた第1の画像信号と第2の画像信号との差分を計算することで、線形読み出し信号を得るようにされる。
なお、先にも述べたように、イメージセンサ10は、入射光の波面の振幅の2乗値としての「光強度」を検出するものである。従って上記のような第1の画像信号と第2の画像信号との差分の計算は、強度の差分を計算していることに相当するものとなる。この意味で、上記により説明した読み出し手法は、強度差動による読み出し(或いは強度差動検出)と呼ばれている。
なお、先にも述べたように、イメージセンサ10は、入射光の波面の振幅の2乗値としての「光強度」を検出するものである。従って上記のような第1の画像信号と第2の画像信号との差分の計算は、強度の差分を計算していることに相当するものとなる。この意味で、上記により説明した読み出し手法は、強度差動による読み出し(或いは強度差動検出)と呼ばれている。
上記により説明した強度差動検出によって線形読み出しが実現される点について、次の図6を参照して説明する。
この図6は、強度差動検出の原理について説明するための図として、ホログラム記録媒体HMに対し或る強度と位相の組み合わせで記録された信号を、I(In-phase)軸とQ(Quadrature)軸とを基準とした信号点により表している。図6(a)は記録信号に位相「0」による振幅aを加算した場合を、また図6(b)は記録信号に位相「π」による振幅aを加算した場合を示している。
この図6は、強度差動検出の原理について説明するための図として、ホログラム記録媒体HMに対し或る強度と位相の組み合わせで記録された信号を、I(In-phase)軸とQ(Quadrature)軸とを基準とした信号点により表している。図6(a)は記録信号に位相「0」による振幅aを加算した場合を、また図6(b)は記録信号に位相「π」による振幅aを加算した場合を示している。
先ず、図6の各図において、I軸、Q軸については、例えば通信の分野におけるPSK(Phase Shift Keying)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)などの多値変復調の原理説明で用いられるものと同様のものであると考えればよい。すなわち、I軸は位相「0」と位相「π」(つまり位相0度と位相180度)を表し、Q軸は位相「π/2」と位相「3π/2」(つまり位相90度と270度)を表すものである。
このようなI軸とQ軸とを基準とした場合、ホログラム記録媒体HMに対して或る強度と位相の組み合わせとして記録された信号は、I軸方向の振幅をx、Q軸方向の振幅をyとしたとき、図のような座標(x、y)により表すことができる。
このようなI軸とQ軸とを基準とした場合、ホログラム記録媒体HMに対して或る強度と位相の組み合わせとして記録された信号は、I軸方向の振幅をx、Q軸方向の振幅をyとしたとき、図のような座標(x、y)により表すことができる。
ここで、当然のことながら、参照光を照射して得られる再生像は、ホログラム記録媒体HMに対して記録された信号の値を反映したものとなる。このことを踏まえると、再生像に対し、上述したような位相差0、位相差πとなるコヒーレント光(振幅=a)が加算されるということは、図6(a)(b)のそれぞれに示すようにして、I軸とQ軸とを基準として示した記録信号(x、y)に対し、それぞれ位相「0」による振幅a、位相「π」による振幅aが加算されることに相当する。
また、このとき、強度「0」と位相「0」との組み合わせとされた信号についての、イメージセンサ10による検出出力値(センサ出力の値とする)を表す座標が原点(0,0)であるとすると、或る強度と位相との組み合わせで記録された信号についてのセンサ出力の値は、その記録信号の座標から原点までの距離として表されることになる。
このことより、図6(a)における位相「0」による振幅aが加算されたときのセンサ出力の値は、図中のcで表され、また図6(b)における位相「π」の振幅aが加算されたときのセンサ出力の値は、図中のdで表される。
このことより、図6(a)における位相「0」による振幅aが加算されたときのセンサ出力の値は、図中のcで表され、また図6(b)における位相「π」の振幅aが加算されたときのセンサ出力の値は、図中のdで表される。
ここで、以上のような前提を踏まえ、
(x,y) : 記録された信号のI軸、Q軸の振幅
a : 加算された位相「0」、位相「π」の振幅
c : 位相「0」の振幅加算後のセンサ出力の値
d : 位相「π」の振幅加算後のセンサ出力の値
とすると、図6(a)に示す位相「0」による振幅aを加算した場合には、
c2=(x+a)2+y2
という関係が成り立つ。
同様に、図6(b)に示す位相「π」による振幅aを加算した場合には、
d2=(x−a)2+y2
という関係が成り立つことになる。
(x,y) : 記録された信号のI軸、Q軸の振幅
a : 加算された位相「0」、位相「π」の振幅
c : 位相「0」の振幅加算後のセンサ出力の値
d : 位相「π」の振幅加算後のセンサ出力の値
とすると、図6(a)に示す位相「0」による振幅aを加算した場合には、
c2=(x+a)2+y2
という関係が成り立つ。
同様に、図6(b)に示す位相「π」による振幅aを加算した場合には、
d2=(x−a)2+y2
という関係が成り立つことになる。
なお確認のために述べておくと、上式において各項を2乗しているのは、先に述べたフーリエ変換ホログラムの前提、つまりホログラム記録再生方式では記録された信号の2乗値としての光強度の情報しか再生できない、ということに対応させるためである。
先に述べたようにして、本出願人が先に提案した強度差動検出の手法としては、再生像に対し、それぞれ位相差が「0」となるコヒーレント光と「π」となるコヒーレント光とを順次加算して読み出しを行い、その結果得られる2種の読み出し信号の差分をとるものである。
つまりこのことによると、当該強度差動検出によっては、上記c2と上記d2との差分、ひいては「c2−d2」を計算していることに相当する。そしてその計算結果は、
c2−d2={(x+a)2+y2}−{(x−a)2+y2}=4ax
となる。
つまりこのことによると、当該強度差動検出によっては、上記c2と上記d2との差分、ひいては「c2−d2」を計算していることに相当する。そしてその計算結果は、
c2−d2={(x+a)2+y2}−{(x−a)2+y2}=4ax
となる。
このようにして先に本出願人が提案した強度差動検出の手法によれば、xに比例した値のみが得られる。すなわち、ホログラム記録媒体HMに対して記録された信号のI軸の振幅のみを反映した値が得られるものである。
なお、このような強度差動による読み出し手法において、加算する振幅aの大きさについては特に範囲の制約は無いが、a=0ではc2−d2=0となることから明らかなように、aの値については許される範囲で大きい方が望ましいものとなる。
なお、このような強度差動による読み出し手法において、加算する振幅aの大きさについては特に範囲の制約は無いが、a=0ではc2−d2=0となることから明らかなように、aの値については許される範囲で大きい方が望ましいものとなる。
ここで、このようにxに比例した値が得られるということは、強度差動検出によれば、I軸上の信号点となるようにして記録された信号であれば、これを正しく読み出すことができるということになる。
先の記録時の説明によれば、位相変調記録に伴って、強度「1」に対し位相「0」と「π」とが組み合わされて「−1」「0」「1」の3値が記録されるものとなる。確認のために、これら「−1」「0」「1」の3値の信号点を先の図6と同様にI軸とQ軸を基準として表した図を次の図7に示す。
この図7を参照してわかるように、「−1」「0」「1」の各値をI軸とQ軸を基準とした信号点(x、y)により示すと、これらは(−1,0)、(0,0)、(1,0)となる。つまり、全てy=0となる。このことから、上記のようにして差動検出によりxに比例した成分のみが正しく得られるようになれば、位相「π」の組み合わせで記録された信号(−1,0)も正しく読み出すことができ、この結果、上記(−1,0)、(0,0)、(1,0)としての、ホログラム記録媒体HMに記録された「−1」「0」「1」の各値を正しく読み出すことができるようになる。つまり、これにより線形読み出しが実現されるものである。
先の記録時の説明によれば、位相変調記録に伴って、強度「1」に対し位相「0」と「π」とが組み合わされて「−1」「0」「1」の3値が記録されるものとなる。確認のために、これら「−1」「0」「1」の3値の信号点を先の図6と同様にI軸とQ軸を基準として表した図を次の図7に示す。
この図7を参照してわかるように、「−1」「0」「1」の各値をI軸とQ軸を基準とした信号点(x、y)により示すと、これらは(−1,0)、(0,0)、(1,0)となる。つまり、全てy=0となる。このことから、上記のようにして差動検出によりxに比例した成分のみが正しく得られるようになれば、位相「π」の組み合わせで記録された信号(−1,0)も正しく読み出すことができ、この結果、上記(−1,0)、(0,0)、(1,0)としての、ホログラム記録媒体HMに記録された「−1」「0」「1」の各値を正しく読み出すことができるようになる。つまり、これにより線形読み出しが実現されるものである。
また、上記のようにxに比例した成分のみが得られるということは、強度差動による読み出し手法によれば、SNRの改善も図られるということになる。
ここで、実施の形態では、記録する位相の組み合わせを「0」と「π」としているので、ホログラム記録媒体HMに記録される信号の値は上述のように(1,0)または(−1,0)となる((0,0)は除く)。すなわち、共にy=0となる。但し、これは理想値であって、実際にはこれら位相「0」と「π」の間の中間的な位相が生じ、xの成分のみでなくyの成分も与えられてしまうことがある。このとき、yの成分が与えられてしまうということは、原点からの距離として表されるところのセンサ出力値が、本来は(x,0)までの距離となるところが、(x、y)という異なる点までの距離とされてしまうことを意味する。このことによると、yの成分は、記録された信号に対するノイズ成分であることが理解できる。
上記により説明した強度差動検出によれば、xに比例した値のみが得られるので、ノイズ成分とみなすことのできるyの成分は除去されることになる。この点から、強度差動検出によれば、読み出し信号に生じるノイズ成分の抑圧が図られるものとなり、結果、SNRの改善が図られる。
ここで、実施の形態では、記録する位相の組み合わせを「0」と「π」としているので、ホログラム記録媒体HMに記録される信号の値は上述のように(1,0)または(−1,0)となる((0,0)は除く)。すなわち、共にy=0となる。但し、これは理想値であって、実際にはこれら位相「0」と「π」の間の中間的な位相が生じ、xの成分のみでなくyの成分も与えられてしまうことがある。このとき、yの成分が与えられてしまうということは、原点からの距離として表されるところのセンサ出力値が、本来は(x,0)までの距離となるところが、(x、y)という異なる点までの距離とされてしまうことを意味する。このことによると、yの成分は、記録された信号に対するノイズ成分であることが理解できる。
上記により説明した強度差動検出によれば、xに比例した値のみが得られるので、ノイズ成分とみなすことのできるyの成分は除去されることになる。この点から、強度差動検出によれば、読み出し信号に生じるノイズ成分の抑圧が図られるものとなり、結果、SNRの改善が図られる。
[実施の形態としての振幅差動による読み出し手法]
上記により説明した強度差動による読み出し手法によれば、線形読み出しを実現して適正なデータ再生が可能となるようにした上で、従来問題とされていたSNRの低下も解消することができる。
但し、この強度差動による読み出し手法は、従来の「コヒーレント加算方式」による読み出し手法と同様に、加算するコヒーレント光の強度・位相が均一でない場合には、線形読み出しを実現することができないものとなってしまう。これは、上述した「c2−d2=4ax」の関係からも明らかである。
上記により説明した強度差動による読み出し手法によれば、線形読み出しを実現して適正なデータ再生が可能となるようにした上で、従来問題とされていたSNRの低下も解消することができる。
但し、この強度差動による読み出し手法は、従来の「コヒーレント加算方式」による読み出し手法と同様に、加算するコヒーレント光の強度・位相が均一でない場合には、線形読み出しを実現することができないものとなってしまう。これは、上述した「c2−d2=4ax」の関係からも明らかである。
先にも述べたように、ホログラム記録再生システムでは、例えば位相変調器3bとして用いる液晶パネルの特性や、ホログラム記録媒体HMの特性などに起因して、コヒーレント光の強度・位相を均一にできないケースが生じうる。すなわち、コヒーレント光により再生像に加算する振幅aの値を均一に揃えることができない場合がある。
図8は、実際に光学系を組んで実験を行った結果として、「再生像+位相差0によるコヒーレント光」をイメージセンサ10にて検出した結果(図8(a))と、「再生像+位相差πによるコヒーレント光」をイメージセンサ10にて検出した結果(図8(b))とを示している。
なお、図8ではイメージセンサ10による検出強度を色濃度で表しており、黒色→白色にかけて強度の値が大きいことを表す。
図8は、実際に光学系を組んで実験を行った結果として、「再生像+位相差0によるコヒーレント光」をイメージセンサ10にて検出した結果(図8(a))と、「再生像+位相差πによるコヒーレント光」をイメージセンサ10にて検出した結果(図8(b))とを示している。
なお、図8ではイメージセンサ10による検出強度を色濃度で表しており、黒色→白色にかけて強度の値が大きいことを表す。
この図8に示されるように、実際に光学系を組んで再生像に対しコヒーレント光を加算して読み出しを行った結果、検出画像全体に縞模様が現れたり、クレータのような模様(図中の白丸部分)が複数生じることが確認された。
これは、コヒーレント光の強度、位相に不均一性が生じていることを意味しているものである。
これは、コヒーレント光の強度、位相に不均一性が生じていることを意味しているものである。
この図8の結果からも、先の図5にて説明した強度差動による読み出し手法では、適正な線形読み出し信号を得ることが困難であることが理解できる。
そこで本実施の形態では、コヒーレント光の強度、位相が不均一(加算する振幅aが不均一)とされる場合にも線形読み出しを可能とし、且つSNRの改善を図ることのできる手法として、以下で説明する「振幅差動による読み出し手法」を提案する。
図9は、実施の形態としての振幅差動による読み出し手法について説明するための図である。
この振幅差動による読み出し手法においても、1ホログラムページの読み出しにつき「再生像+位相差0によるコヒーレント光」及び「再生像+位相差πによるコヒーレント光」をイメージセンサ10にてそれぞれ検出するための動作については、先の図5にて説明した強度差動による読み出し手法の場合と同様となる。つまり、1ホログラムページの読み出しにつき先に述べた第1の画像信号、第2の画像信号を得る点については図5の場合と同様である。
この振幅差動による読み出し手法においても、1ホログラムページの読み出しにつき「再生像+位相差0によるコヒーレント光」及び「再生像+位相差πによるコヒーレント光」をイメージセンサ10にてそれぞれ検出するための動作については、先の図5にて説明した強度差動による読み出し手法の場合と同様となる。つまり、1ホログラムページの読み出しにつき先に述べた第1の画像信号、第2の画像信号を得る点については図5の場合と同様である。
但し、この図9に示す振幅差動による読み出し手法の場合、コヒーレント光の強度(振幅a)の値について条件が課される。具体的に、この場合のコヒーレント光の振幅aについては、「再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大」となる条件が付加される。すなわち、図中の「a+x>0,a−x>0」の条件が付加されるものである。
ここで「x」は、先の図6にて説明した「記録された信号のI軸の振幅」であり、強度「0」「1」・位相「0」「π」の組み合わせで位相変調記録が行われる場合、−1≦x≦1となる。つまりこのような位相変調記録を前提とした場合、コヒーレント光の振幅a(コヒーレント光の変調強度値)については、「1」よりも大であればよい。
ここで「x」は、先の図6にて説明した「記録された信号のI軸の振幅」であり、強度「0」「1」・位相「0」「π」の組み合わせで位相変調記録が行われる場合、−1≦x≦1となる。つまりこのような位相変調記録を前提とした場合、コヒーレント光の振幅a(コヒーレント光の変調強度値)については、「1」よりも大であればよい。
そして、振幅差動による読み出し手法では、イメージセンサ10にて得られた第1の画像信号、第2の画像信号について、それらの差分を計算する前に、先ずは平方根の計算を行う。すなわち、第1の画像信号の各画素の値の平方根計算、及び第2の画像信号の各画素の値の平方根計算を行う。
その上で、これらの平方根計算結果についての差分を計算することで、線形読み出し信号を得る。具体的には、各画素ごとに、「第1の画像信号側の平方根計算結果値」−「第2の画像信号側の平方根計算結果値」を計算して、線形読み出し信号としての画像信号を得るものである。
その上で、これらの平方根計算結果についての差分を計算することで、線形読み出し信号を得る。具体的には、各画素ごとに、「第1の画像信号側の平方根計算結果値」−「第2の画像信号側の平方根計算結果値」を計算して、線形読み出し信号としての画像信号を得るものである。
ここで、上記のように本実施の形態としての読み出し手法は、イメージセンサ10にて検出された2種の画像信号についてそれぞれ平方根を計算した上で、それらの差分をとるものである。つまり、先に説明した強度差動による読み出し手法では、イメージセンサ10の検出画像としての、記録された信号の振幅の2乗値としての強度の差分をとるのに対し、本実施の形態の手法は、イメージセンサ10による検出強度の平方根についての差分をとるものとしている。この意味で、図9にて説明した本例の読み出し手法については、振幅差動による読み出し手法(或いは振幅差動検出)と称している。
上記により説明した振幅差動読み出しの手法によって、加算されるコヒーレント光の振幅aが不均一とされる場合にも線形読み出しが実現されることについて説明する。
ここで、以下の説明においても、
x : 記録された信号のI軸の振幅
a : 加算された位相「0」、位相「π」の振幅
c : 位相「0」の振幅加算後のセンサ出力の値
d : 位相「π」の振幅加算後のセンサ出力の値
とおく。
先に述べたように、本実施の形態では「0」「π」の位相変調記録を行うことから、記録された信号のQ軸の振幅yの値は「0」である(図7を参照)。
従って位相「0」による振幅aを加算した場合、
(x+a)2=c2 ・・・式1
の関係が成り立つ。
同様に、位相「π」による振幅aを加算したとき、
(x−a)2=d2 ・・・式2
の関係が成り立つ。
ここで、以下の説明においても、
x : 記録された信号のI軸の振幅
a : 加算された位相「0」、位相「π」の振幅
c : 位相「0」の振幅加算後のセンサ出力の値
d : 位相「π」の振幅加算後のセンサ出力の値
とおく。
先に述べたように、本実施の形態では「0」「π」の位相変調記録を行うことから、記録された信号のQ軸の振幅yの値は「0」である(図7を参照)。
従って位相「0」による振幅aを加算した場合、
(x+a)2=c2 ・・・式1
の関係が成り立つ。
同様に、位相「π」による振幅aを加算したとき、
(x−a)2=d2 ・・・式2
の関係が成り立つ。
ここで、上述のように本例の振幅差動検出では、振幅aについて、
a+x>0
a−x>0
の条件が課される。この条件より、「式1」「式2」について両辺の平方根を計算すると、
a+x=c
a−x=−d
となる。
また、上記振幅aについての条件より、|c|=c,|d|=−dであることを考慮すると、
a+x=|c|
a−x=|d|
となる。
a+x>0
a−x>0
の条件が課される。この条件より、「式1」「式2」について両辺の平方根を計算すると、
a+x=c
a−x=−d
となる。
また、上記振幅aについての条件より、|c|=c,|d|=−dであることを考慮すると、
a+x=|c|
a−x=|d|
となる。
ここで、振幅差動による読み出し手法は、第1の画像信号の平方根計算結果(|c|に相当)と第2の画像信号の平方根計算結果(|d|に相当)との差分をとるものである。
従って、
|c|−|d|=(a+x)−(a−x)=2x
より、記録された信号のI軸の振幅x(つまりこの場合は記録された信号の振幅そのものとなる)は、
x=(|c|−|d|)/2
となる。このことから、本例の振幅差動検出によれば、加算される振幅aの大きさと無関係に、記録された信号の振幅xに比例する信号が得られることが理解できる。つまりこれにより、加算されるコヒーレント光の振幅aが不均一とされる場合であっても、線形な読み出し信号を得ることができるものである。
従って、
|c|−|d|=(a+x)−(a−x)=2x
より、記録された信号のI軸の振幅x(つまりこの場合は記録された信号の振幅そのものとなる)は、
x=(|c|−|d|)/2
となる。このことから、本例の振幅差動検出によれば、加算される振幅aの大きさと無関係に、記録された信号の振幅xに比例する信号が得られることが理解できる。つまりこれにより、加算されるコヒーレント光の振幅aが不均一とされる場合であっても、線形な読み出し信号を得ることができるものである。
なお確認のために述べておくと、このような振幅差動による読み出し手法としても、先に説明した強度差動による読み出し手法と同様に「差動検出」を行うものであるから、Q軸の振幅y(中間的な位相)に起因したノイズの除去効果は同様に得られ、その点でのSNRの改善が図られることになる。
[振幅差動による読み出し動作を実現するための構成]
続いては、上記により説明した実施の形態としての振幅差動による読み出し動作を実現するための構成について説明する。
先ず、上述のような再生時における参照光及びコヒーレント光の生成動作は、先の図2(及び図1)に示した強度・位相制御部11による制御に基づき行われる。
続いては、上記により説明した実施の形態としての振幅差動による読み出し動作を実現するための構成について説明する。
先ず、上述のような再生時における参照光及びコヒーレント光の生成動作は、先の図2(及び図1)に示した強度・位相制御部11による制御に基づき行われる。
〜再生時の空間光変調〜
図2において、マッピング部22は、再生時において以下のような制御を行う。
先ず、マッピング部22は、参照光とコヒーレント光の生成のためのデータパターンを生成する。具体的には、参照光エリアA1を記録時と同様の「0」「1」のパターンとし、且つギャップエリアA3及び参照光エリアA1より外周側の領域をすべて「0」とした上で、さらに信号光エリアA2内を、「再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大」となるコヒーレント光の強度を得るための所定の値(「0」は除く)としたデータパターンを生成する。そして、このデータパターンを強度変調ドライバ23に供給する。
図2において、マッピング部22は、再生時において以下のような制御を行う。
先ず、マッピング部22は、参照光とコヒーレント光の生成のためのデータパターンを生成する。具体的には、参照光エリアA1を記録時と同様の「0」「1」のパターンとし、且つギャップエリアA3及び参照光エリアA1より外周側の領域をすべて「0」とした上で、さらに信号光エリアA2内を、「再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大」となるコヒーレント光の強度を得るための所定の値(「0」は除く)としたデータパターンを生成する。そして、このデータパターンを強度変調ドライバ23に供給する。
ここで、本例においては、記録時の信号光の強度変調として「0」「1」の強度変調を行うものとしているが、ここで注意すべきは、実際には記録した強度の最大値=「再生像の振幅の絶対値の最大値」とはならないという点である。つまり、再生像としては、記録されたホログラムに参照光が照射されて回折光として得られるものであって、その強度は、照射される参照光の強度やホログラムの回折効率(1.0E-2〜1.0E-3程度)などに依存して決まることになる。つまりこの点で、SLM3にて強度「1」の変調を受けて記録された信号の再生像の強度は「1」より小となることが理解できる。
これに対し、「再生像の振幅の絶対値の最大値」と対比されるべきコヒーレント光の強度は、SLM3で設定された強度の値や、SLM3から出射されホログラム記録媒体HMから反射光として出力されるまでの間にロスする光量で決まる。
この比較からも理解されるように、加算されるコヒーレント光の強度を「再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大」とするにあたっては、変調強度値(マッピング部22が強度変調ドライバ23に指示する値)を「1」よりも小さな値に設定して足ることになる。
コヒーレント光の生成にあたって信号光エリアA2に設定する上記変調強度値としては、例えば上記回折効率などの再生像の強度決定要素と上記コヒーレント光の強度決定要素との関係に基づき、「再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大」となるようにして設定されればよいものである。
なお、ここでは加算されるコヒーレント光の強度を「再生像の振幅の絶対値の最大値」よりも充分に大きくするものとして、上記マッピング部22が信号光エリアA2内に割り当てる値を「2」に設定する場合を例示する。
これに対し、「再生像の振幅の絶対値の最大値」と対比されるべきコヒーレント光の強度は、SLM3で設定された強度の値や、SLM3から出射されホログラム記録媒体HMから反射光として出力されるまでの間にロスする光量で決まる。
この比較からも理解されるように、加算されるコヒーレント光の強度を「再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大」とするにあたっては、変調強度値(マッピング部22が強度変調ドライバ23に指示する値)を「1」よりも小さな値に設定して足ることになる。
コヒーレント光の生成にあたって信号光エリアA2に設定する上記変調強度値としては、例えば上記回折効率などの再生像の強度決定要素と上記コヒーレント光の強度決定要素との関係に基づき、「再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大」となるようにして設定されればよいものである。
なお、ここでは加算されるコヒーレント光の強度を「再生像の振幅の絶対値の最大値」よりも充分に大きくするものとして、上記マッピング部22が信号光エリアA2内に割り当てる値を「2」に設定する場合を例示する。
ここで、透過型液晶パネルとしての強度変調器3aは、各画素の駆動電圧レベルに応じて透過率を変化させる。すなわち、透過率=最大/最小の2値変調ではなく、最小〜最大の間で可変的に透過率を変化させることができる。
これに対応して強度変調ドライバ23は、上記マッピング部22から指示された値に応じたレベルによる駆動電圧を強度変調器3aの各画素に与えることで、例えば256階調など所定の階調で透過率を変化させるように構成されている。
これに対応して強度変調ドライバ23は、上記マッピング部22から指示された値に応じたレベルによる駆動電圧を強度変調器3aの各画素に与えることで、例えば256階調など所定の階調で透過率を変化させるように構成されている。
この場合、強度変調ドライバ23は、マッピング部22から供給される「1」の値に応じては、例えば0〜255のうち「127」に対応するレベルによる駆動電圧(駆動信号)で該当する画素を駆動するようにされる。また、「0」に応じては、「0」に対応するレベルによる駆動信号で該当する画素を駆動する。また、例えば上記「2」の値に応じては、「255」に対応するレベルによる駆動信号で該当する画素を駆動する。
このようにして、マッピング部22で信号光エリアA2内に割り当てた値に応じた強度によるコヒーレント光が得られるようになっている。
このようにして、マッピング部22で信号光エリアA2内に割り当てた値に応じた強度によるコヒーレント光が得られるようになっている。
また、図2に示す位相変調パターン生成部24は、先の図9にて説明したような1回目と2回目のコヒーレント光の位相、及び参照光の位相が設定されるように、1ホログラムページの読み出しごとに、以下のような位相変調器3bに対する制御を行う。
先ずこの場合、参照光エリアA1については1回目、2回目の双方とも記録時と同じ位相変調パターンとする。
その上で、1回目の制御として、信号光エリアA2について、その全域を「1/4」で埋めたデータパターンを生成し、当該データパターンと上記参照光エリアA1の位相変調パターン(データパターン)とを合わせて位相変調器3bの全有効画素分のデータパターンを生成し、これを位相変調ドライバ25に対して供給する。
そして、これに続く2回目の制御として、参照光エリアA1については1回目と同パターンとしたままで、信号光エリアA2の全域を「3/4」に変更した位相変調器3bの全有効画素分のデータパターンを生成し、これを位相変調ドライバ25に対して供給する。
先ずこの場合、参照光エリアA1については1回目、2回目の双方とも記録時と同じ位相変調パターンとする。
その上で、1回目の制御として、信号光エリアA2について、その全域を「1/4」で埋めたデータパターンを生成し、当該データパターンと上記参照光エリアA1の位相変調パターン(データパターン)とを合わせて位相変調器3bの全有効画素分のデータパターンを生成し、これを位相変調ドライバ25に対して供給する。
そして、これに続く2回目の制御として、参照光エリアA1については1回目と同パターンとしたままで、信号光エリアA2の全域を「3/4」に変更した位相変調器3bの全有効画素分のデータパターンを生成し、これを位相変調ドライバ25に対して供給する。
先にも述べたように、位相変調ドライバ25は、位相変調パターン生成部24から指示される「0」〜「1」(例えば256階調であれば0〜255)の値に応じたレベルの駆動信号により位相変調器3bの該当画素を駆動する。そしてこの場合、位相変調器3bとしては、「0」〜「1」までの値に応じた駆動電圧に応じ「0」〜「2π」までの位相変調が可能とされている。このことから、上記のように信号光エリアA2が「1/4」で埋められた1回目には、コヒーレント光の位相は「π/2」で変調され、「3/4」で埋められる2回目はコヒーレント光の位相は「3π/2」で変調されるようになる。
このような強度・位相制御部11による1ホログラムページの読み出しごとの振幅・位相制御が行われることで、再生時には、1ホログラムページの読み出しごとに、記録時と同じ強度・位相パターンによる参照光と、当該参照光の照射に応じてホログラム記録媒体HMから得られる再生像の基準位相との位相差がそれぞれ「0」と「π」となるようにされたコヒーレント光の照射が行われる。
〜データ再生部〜
次に、このような参照光と2種のコヒーレント光との照射に応じてイメージセンサ10で順次検出される2種の画像信号の平方根計算、差分計算により線形読み出し信号を得るための構成について説明する。
このような本例の線形読み出しを実現するための構成は、先の図1にて示したデータ再生部12内に設けられている。
次に、このような参照光と2種のコヒーレント光との照射に応じてイメージセンサ10で順次検出される2種の画像信号の平方根計算、差分計算により線形読み出し信号を得るための構成について説明する。
このような本例の線形読み出しを実現するための構成は、先の図1にて示したデータ再生部12内に設けられている。
図10は、図1に示したデータ再生部12の内部構成を示している。なお、この図においては図1に示した記録再生装置が備える光学系の構成についてイメージセンサ10のみを抽出して示しており、他の部分については省略している。
図10において、上述した再生時の空間光変調動作により参照光と2種のコヒーレント光とが照射されることに応じては、イメージセンサ10において、1ホログラムページの読み出しごとに、再生像と当該再生像との位相差が「0」となるコヒーレント光の組と、再生像と当該再生像との位相差が「π」となるコヒーレント光の組とが順次受光される。つまりこれにより、再生像に対し位相差0πによるコヒーレント光が加算された光についての受光信号(第1の画像信号)と、再生像に対し位相差πによるコヒーレント光が加算された光についての受光信号(第2の画像信号)とが得られる。
図10に示すデータ再生部12は、このようにしてイメージセンサ10にて1ホログラムページごとに得られる第1の画像信号と第2の画像信号とを順次入力して、データ再生のための信号処理を行う。図示するようにこのデータ再生部12内には、差動検出部30、リサンプリング部31、デコード部32が備えられている。
先ず、イメージセンサ10からの出力(センサ出力)は、差動検出部30に対して入力される。この差動検出部30内には平方根計算部30a、差分計算部30bが設けられている。
平方根計算部30aは、上記のようにして1ホログラムページの読み出しごとに得られる第1の画像信号と第2の画像信号とを入力し、それらの平方根をそれぞれ計算する。具体的には、上記第1の画像信号、第2の画像信号のそれぞれにおける各画素の値の平方根を計算するものである。
平方根計算部30aは、上記のようにして1ホログラムページの読み出しごとに得られる第1の画像信号と第2の画像信号とを入力し、それらの平方根をそれぞれ計算する。具体的には、上記第1の画像信号、第2の画像信号のそれぞれにおける各画素の値の平方根を計算するものである。
差分計算部30bは、上記平方根計算部30aにより得られた第1の画像信号の平方根計算結果(第1の平方根画像信号とする)、第2の画像信号の平方根計算結果(第2の平方根画像信号とする)を入力し、それらの差分を計算する。すなわち、第1の平方根画像信号と第2の平方根画像信号とについて、各画素ごとにその差分を計算するものである。
この差分計算部30bによる計算が行われることで、記録された信号の振幅xに比例した成分が得られる。すなわちこれにより、線形読み出し信号としての画像信号が得られるものである。
この差分計算部30bによる計算が行われることで、記録された信号の振幅xに比例した成分が得られる。すなわちこれにより、線形読み出し信号としての画像信号が得られるものである。
なお、先の説明によると、「x=(|c|−|d|)/2」より、上記差分計算部30bによる計算結果には、1/2のオフセットが生じることになる。従って記録された信号の振幅xを正しく読み出したとするためには、厳密には、このオフセット成分を除去する必要性がある。
但し、上記オフセットは、例えばイメージセンサ10のゲイン調整や後述するビット判定時の判定手法などによっても吸収することができ、従って差分計算部30bによる計算結果に対し1/2による乗算(或いは2による除算)を明示的に行う構成は必須なものとはならない。
但し、上記オフセットは、例えばイメージセンサ10のゲイン調整や後述するビット判定時の判定手法などによっても吸収することができ、従って差分計算部30bによる計算結果に対し1/2による乗算(或いは2による除算)を明示的に行う構成は必須なものとはならない。
上記のように差動検出部30により平方根計算・差分計算が行われることで、線形読み出し信号が得られる。但し、ここで注意すべきは、このような線形読み出し信号が得られたとしても、記録されたデータそのものが再生されたことにはならないという点である。
ここで、ホログラム記録再生システムにおける再生信号処理系の動作について理解する上では、次の点が把握されている必要がある。すなわち、ホログラム記録再生システムにおいては、イメージセンサ10上の各ピクセル(画素)がSLM3におけるどのピクセル(画素)と対応しているかを特定するための位置合わせを行うことが重要であるという点である。
一般的にホログラム記録再生システムでは、光学的な歪みや倍率などの問題から、空間光変調部(SLM)3側の各画素(データピクセルと称する)とイメージセンサ10側の各画素(ディテクタピクセルと称する)とを厳密に1対1に合わせることが非常に困難とされている。そのため、このようなずれに対応して、イメージセンサ10で得られる画像信号中のどの位置にSLM3のデータピクセルが位置しているかを特定(探索)するようにされる。そして、この探索の結果特定されたデータピクセルの位置の振幅値を得て、その振幅値からデータピクセルごとのビット値の識別を行う、という手順を踏むことになる。
ここで、ホログラム記録再生システムにおける再生信号処理系の動作について理解する上では、次の点が把握されている必要がある。すなわち、ホログラム記録再生システムにおいては、イメージセンサ10上の各ピクセル(画素)がSLM3におけるどのピクセル(画素)と対応しているかを特定するための位置合わせを行うことが重要であるという点である。
一般的にホログラム記録再生システムでは、光学的な歪みや倍率などの問題から、空間光変調部(SLM)3側の各画素(データピクセルと称する)とイメージセンサ10側の各画素(ディテクタピクセルと称する)とを厳密に1対1に合わせることが非常に困難とされている。そのため、このようなずれに対応して、イメージセンサ10で得られる画像信号中のどの位置にSLM3のデータピクセルが位置しているかを特定(探索)するようにされる。そして、この探索の結果特定されたデータピクセルの位置の振幅値を得て、その振幅値からデータピクセルごとのビット値の識別を行う、という手順を踏むことになる。
ここで図示による説明は省略したが、上記のような光学的な歪みや倍率などに起因する再生像のずれに対応可能とするため、イメージセンサ10としては、予めSLM3側の1画素分の像をイメージセンサ10側のn画素(n>1)分で受光するように調整されている(いわゆるオーバーサンプリング)。例えば、SLM3の1画素分の再生像をイメージセンサ10上の2×2=4画素分で受光するなどといったものである。このようなオーバーサンプリングを行うのは、上記のような再生像のずれが画素未満単位で生じた場合にも対応可能となるように、検出画像側の解像度を上げるためである。
例えば、上記例のようにオーバーサンプリングレートが2×2=4倍に設定される場合、イメージセンサ10からは、SLM3側の4倍の解像度を有する画像信号が出力される。そして、これに応じ差動検出部30からの読み出し信号(画像信号)としてもこの4倍の解像度を有するものとして得られることになる。
例えば、上記例のようにオーバーサンプリングレートが2×2=4倍に設定される場合、イメージセンサ10からは、SLM3側の4倍の解像度を有する画像信号が出力される。そして、これに応じ差動検出部30からの読み出し信号(画像信号)としてもこの4倍の解像度を有するものとして得られることになる。
なお、実際には、さらなる解像度の拡大を図るために、イメージセンサ10の読み出し信号に対して例えば補間処理などを行うことによって、読み出し信号を所定倍率にアップコンバートするということも行われるが、この点については本実施の形態とは直接的に関係しないので、説明は省略する。
また、実際のシステムでは、読み出し信号の符号間干渉(ホログラム記録再生の場合はピクセル間干渉とも呼ばれる)の抑制のための等化処理が行われるものとなるが、これについても実施の形態の読み出し手法とは直接的な関係がないので具体的な説明は省略する。
なお確認のために述べておくと、先に挙げた非特許文献にも記載されるように、線形読み出しが不能とされる場合には、このようなピクセル間干渉防止のための等化処理が有効に作用しないものとなるため、適正なデータ再生を行うことが非常に困難となってしまうものである。
また、実際のシステムでは、読み出し信号の符号間干渉(ホログラム記録再生の場合はピクセル間干渉とも呼ばれる)の抑制のための等化処理が行われるものとなるが、これについても実施の形態の読み出し手法とは直接的な関係がないので具体的な説明は省略する。
なお確認のために述べておくと、先に挙げた非特許文献にも記載されるように、線形読み出しが不能とされる場合には、このようなピクセル間干渉防止のための等化処理が有効に作用しないものとなるため、適正なデータ再生を行うことが非常に困難となってしまうものである。
上記差動検出部30により得られた線形読み出し信号は、リサンプリング部31に供給される。
このリサンプリング部31は、上記線形読み出し信号としての画像信号中における、SLM3の各データピクセルの位置を特定し、特定した各データピクセルの振幅値を取得する(これをリサンプリングと呼ぶ)。
ここで、画像信号中における各データピクセルの位置特定にあたっては、従来より行われている一般的な手法として、ホログラムページ内にシンクと呼ばれる所定パターンデータを挿入しておくということが行われる。その場合、リサンプリング部31としては、画像信号中から上記所定パターンとしてのシンク部分を探索し、その結果検出されたシンクの位置から各データピクセルの位置を特定する。
なお、このような各データピクセルの位置特定手法としては、本実施の形態の読み出し手法と直接的に関係するものではないことから詳細な説明は省略する。従来より提案されている手法、或いは今後提案される手法など適宜最適とされる手法が採用されればよく、ここで特に限定されるべきものではない。
このリサンプリング部31は、上記線形読み出し信号としての画像信号中における、SLM3の各データピクセルの位置を特定し、特定した各データピクセルの振幅値を取得する(これをリサンプリングと呼ぶ)。
ここで、画像信号中における各データピクセルの位置特定にあたっては、従来より行われている一般的な手法として、ホログラムページ内にシンクと呼ばれる所定パターンデータを挿入しておくということが行われる。その場合、リサンプリング部31としては、画像信号中から上記所定パターンとしてのシンク部分を探索し、その結果検出されたシンクの位置から各データピクセルの位置を特定する。
なお、このような各データピクセルの位置特定手法としては、本実施の形態の読み出し手法と直接的に関係するものではないことから詳細な説明は省略する。従来より提案されている手法、或いは今後提案される手法など適宜最適とされる手法が採用されればよく、ここで特に限定されるべきものではない。
また、このように各データピクセルの位置が特定された後には、それらの振幅値を取得する処理を行うが、例えば従来では、特定された各データピクセルの位置の周囲の値から補間処理を行ってそのデータピクセルの振幅値を計算により取得するようにされている。これは、画像処理の分野で一般的な手法であり、双線形補間法(Bi-linear interpolation method)、3次補間法(Cubic convolution method)、双3次スプライン法 (Bicubic spline method)などが知られている。
また、計算によらず、特定された位置から最もタイミングの近い信号値をそのデータピクセルの振幅値として選択する最近傍法(Nearest neighbor method)もある。
なお、このような振幅値の取得処理についても多様な手法を採ることができ、ここでその手法について特に限定はしない。
また、計算によらず、特定された位置から最もタイミングの近い信号値をそのデータピクセルの振幅値として選択する最近傍法(Nearest neighbor method)もある。
なお、このような振幅値の取得処理についても多様な手法を採ることができ、ここでその手法について特に限定はしない。
デコード部32は、上記のようにしてリサンプリング部31によって得られた各データピクセルの振幅値に基づくデータ識別(ビット判定)を行うと共に、記録変調符号の復調処理を行って、記録データを再生する。
先ず、上記データ識別としては、上記リサンプリング部31によって特定された各データピクセルの振幅値がビット「0」「1」の何れに該当するかを識別する。ここで、線形読み出し信号によれば、記録された信号は、「−1」「0」「+1」の何れかに対応したものとして読み出されることになる。これに対し、記録されたデータ(ビット値)は「0」「1」の何れか(強度「0」「1」の何れか)となる。従って、この場合のデータ識別としては、データピクセルの振幅値が「0」に対応するものである場合にはビット「0」を判定し、データピクセルの振幅値が「+1」又は「−1」に対応するものである場合にはビット「1」を判定して、記録された「0」「1」のビット値を判定する。
そして、このように各データピクセルごとのビット値を判定した上で、記録変調符号の復調を行う。ここで、先の説明によると、記録時においては、例えば記録データの8ビットが4×4=16ビットのブロック形状のデータ配列(シンボル)に変換され、これらシンボルがホログラムページ内にマッピングされる。従ってこの場合の復調処理としては、4×4=16ビットを元の8ビットのデータに復調することになる。これによって、記録データが再生されることになる。つまり、再生データが得られる。
先ず、上記データ識別としては、上記リサンプリング部31によって特定された各データピクセルの振幅値がビット「0」「1」の何れに該当するかを識別する。ここで、線形読み出し信号によれば、記録された信号は、「−1」「0」「+1」の何れかに対応したものとして読み出されることになる。これに対し、記録されたデータ(ビット値)は「0」「1」の何れか(強度「0」「1」の何れか)となる。従って、この場合のデータ識別としては、データピクセルの振幅値が「0」に対応するものである場合にはビット「0」を判定し、データピクセルの振幅値が「+1」又は「−1」に対応するものである場合にはビット「1」を判定して、記録された「0」「1」のビット値を判定する。
そして、このように各データピクセルごとのビット値を判定した上で、記録変調符号の復調を行う。ここで、先の説明によると、記録時においては、例えば記録データの8ビットが4×4=16ビットのブロック形状のデータ配列(シンボル)に変換され、これらシンボルがホログラムページ内にマッピングされる。従ってこの場合の復調処理としては、4×4=16ビットを元の8ビットのデータに復調することになる。これによって、記録データが再生されることになる。つまり、再生データが得られる。
[実施の形態の効果]
以上で説明してきたように、本実施の形態の振幅差動による読み出し手法によれば、再生像に加算されるコヒーレント光の振幅aが不均一とされる場合にも、適正に線形読み出しを行うことができる。
そして、このような振幅差動による読み出し手法としても、先に述べた強度差動による読み出し手法と同様に「差動検出」としての手法を採るものであることから、Q軸の振幅yとしての中間位相成分に起因するノイズ除去効果を得ることができ、SNRの改善を図ることができる。
以上で説明してきたように、本実施の形態の振幅差動による読み出し手法によれば、再生像に加算されるコヒーレント光の振幅aが不均一とされる場合にも、適正に線形読み出しを行うことができる。
そして、このような振幅差動による読み出し手法としても、先に述べた強度差動による読み出し手法と同様に「差動検出」としての手法を採るものであることから、Q軸の振幅yとしての中間位相成分に起因するノイズ除去効果を得ることができ、SNRの改善を図ることができる。
図11は、上記により説明した実施の形態としての記録再生装置によって実際に振幅差動検出を行った場合に得られた線形読み出し信号(画像信号)を示した図である。この図においては画像の振幅値(強度)を色濃度で表しており、濃色→淡色で振幅値小→大を表している。
この図11に示されるように、本例の線形読み出し信号には、先の図19や図8にて示した画像のような縞模様やクレータ状の模様は生じておらず、記録された信号に応じた模様が適正に得られていることが確認できる。
この図11に示されるように、本例の線形読み出し信号には、先の図19や図8にて示した画像のような縞模様やクレータ状の模様は生じておらず、記録された信号に応じた模様が適正に得られていることが確認できる。
ここで、実施の形態の記録再生装置によって実際に読み出し信号についての実験を行った結果、本例の振幅差動検出を行った場合のSNRは、強度差動検出を行った場合のSNR=4.01に対し、4.47が得られた。
ちなみに、コヒーレント光加算を一切行わない(再生時に参照光のみを照射する)手法とした場合のSNRは2.56であった。
ちなみに、コヒーレント光加算を一切行わない(再生時に参照光のみを照射する)手法とした場合のSNRは2.56であった。
また、本例の振幅差動検出を行う場合のシンボルエラーレート(SER)は、強度差動検出を行った場合のSER=8.46E-3(47/5555)に対し、3.78E-3(21/5555)であった。
また、コヒーレント光加算を一切行わない手法とした場合のSERは8.71E-3(484/5555)である。
また、コヒーレント光加算を一切行わない手法とした場合のSERは8.71E-3(484/5555)である。
これらの結果より、本例の振幅差動検出によって、コヒーレント加算を一切行わない場合はもとより、先に本出願人が提案した強度差動検出を行う場合よりもSNRの改善、エラーレートの改善が図られることが理解できる。
また、このように強度差動検出を行う場合よりもSNR、エラーレートの改善が図られるということからも、本例の振幅差動検出によれば、加算されるコヒーレント光の振幅が不均一とされる場合により正しくデータ再生を行うことができる点が理解される。
また、このように強度差動検出を行う場合よりもSNR、エラーレートの改善が図られるということからも、本例の振幅差動検出によれば、加算されるコヒーレント光の振幅が不均一とされる場合により正しくデータ再生を行うことができる点が理解される。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
ここで、先の振幅差動による読み出し手法の原理説明においては、
a+x=|c|
a−x=|d|
が成り立つことを述べたが、これらの式を利用して、第1の画像信号の平方根計算結果(|c|)と第2の画像信号の平方根計算結果(|d|)との和をとることとすると、
|c|+|d|=(a+x)+(a−x)=2a
となる。
このことによると、第1の画像信号の平方根計算結果と第2の画像信号の平方根計算結果との和を計算すれば、加算されたコヒーレント光の振幅aに比例した成分を検出できることが理解できる。具体的には、
a=(|c|+|d|)/2
である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
ここで、先の振幅差動による読み出し手法の原理説明においては、
a+x=|c|
a−x=|d|
が成り立つことを述べたが、これらの式を利用して、第1の画像信号の平方根計算結果(|c|)と第2の画像信号の平方根計算結果(|d|)との和をとることとすると、
|c|+|d|=(a+x)+(a−x)=2a
となる。
このことによると、第1の画像信号の平方根計算結果と第2の画像信号の平方根計算結果との和を計算すれば、加算されたコヒーレント光の振幅aに比例した成分を検出できることが理解できる。具体的には、
a=(|c|+|d|)/2
である。
このようにして加算されたコヒーレント光の振幅aの値を求めることができれば、その値に基づいて光学系を調整するなどして、コヒーレント光の均一性をより高めるなどといったことができる。つまりこの点からも理解されるように、各平方根計算結果の和で計算される値は、コヒーレント光の振幅の均一性を評価するための評価値(評価画像)として利用することができるものである。
図12は、このような評価画像を得るとした場合のデータ再生部12の内部構成を示している。なおこの図12において、既に先の図10にて説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
図示するようにこの場合のデータ再生部12には、先の図10に示した構成に対し、平方根計算部30aにて得られた第1の画像信号の平方根計算結果と第2の画像信号の平方根計算結果とを入力する和計算部40が追加される。この和計算部40は、上記第1の画像信号の平方根計算結果と、上記第2の画像信号の平方根計算結果とについて、それらの各画素ごとの振幅値の和を計算して評価画像を得る。
図示するようにこの場合のデータ再生部12には、先の図10に示した構成に対し、平方根計算部30aにて得られた第1の画像信号の平方根計算結果と第2の画像信号の平方根計算結果とを入力する和計算部40が追加される。この和計算部40は、上記第1の画像信号の平方根計算結果と、上記第2の画像信号の平方根計算結果とについて、それらの各画素ごとの振幅値の和を計算して評価画像を得る。
図13は、上記和計算部40の和計算により得られた実際の評価画像を示した図である。なおこの図13においても画像の振幅値を色濃度(濃色→淡色が振幅小→大を表す)により表している。
この図13に示されるように、上記和計算部40にて得られる評価画像には、先の図8に示したような縞模様やクレータ状の模様がはっきりと映し出されていることが確認できる。つまり、このことからも理解されるように、上記和計算部40により評価画像を計算すれば、加算されたコヒーレント光の振幅の分布の情報を得ることができる。
この図13に示されるように、上記和計算部40にて得られる評価画像には、先の図8に示したような縞模様やクレータ状の模様がはっきりと映し出されていることが確認できる。つまり、このことからも理解されるように、上記和計算部40により評価画像を計算すれば、加算されたコヒーレント光の振幅の分布の情報を得ることができる。
なお、先の式によれば、コヒーレント光の振幅aを正確に求めるにあたっては、第1の画像信号の平方根計算結果と第2の画像信号の平方根計算結果との和に生じるオフセット成分(1/2)を除去する必要があるが、このようなオフセット成分についても例えばイメージセンサ10のゲイン調整などによって吸収することができ、明示的に1/2の乗算(或いは2による除算)を行う構成は必須ではない。
また、評価画像としてはあくまでコヒーレント光の振幅分布情報が得られればよいとの前提に立てば、敢えてオフセット成分の除去のための構成も不要とすることができる。
また、評価画像としてはあくまでコヒーレント光の振幅分布情報が得られればよいとの前提に立てば、敢えてオフセット成分の除去のための構成も不要とすることができる。
また、これまでの説明では、差動検出を行うにあたってのコヒーレント光の位相変調として、SLM3にてそれぞれ「π/2」「3π/2」による位相変調を施す場合を例示したが、これらの変調値はあくまでも一例であり、結果的に再生像に対する位相差としてそれぞれ「0」「π」の位相差が得られるようにされていれば、実施の形態で例示したものに限定はされない。
また、これまでの説明では、コヒーレント光は、記録時の信号光を生成するための信号光エリア内にて生成する場合を例示したが、コヒーレント光を生成するエリアについては厳密に信号光エリアと一致させる必要性はなく、例えば実施の形態で例示したように参照光エリアを外側に配置する場合には、該参照光エリアの内側となるエリアであれば任意のエリアを設定することができる。但し、この場合もギャップエリアに相当するエリアとして、参照光とコヒーレント光とをそれぞれ独立した光とするためのエリアが挿入されることが望ましい点は言うまでもない。
また、これまでの説明では、本発明が記録・再生の双方が可能な記録再生装置に適用される場合を例示したが、本発明としては再生のみが可能な再生専用装置(再生装置)に対しても好適に適用することができる。
また、これまでの説明では、本発明が反射膜を備える反射型のホログラム記録媒体HMに対応する場合を例示したが、反射膜を備えない透過型のホログラム記録媒体に対応する場合にも好適に適用できる。
その場合、再生系においては、照射した参照光に応じて反射光として得られる再生像をイメージセンサ10側に導くための偏光ビームスプリッタ4は省略することができる。代わりにこの場合は、参照光の照射に応じて得られる再生像がホログラム記録媒体自体を透過することになるので、レーザ光の出射点側から見てホログラム記録媒体の反対側となる位置にさらに対物レンズ(集光レンズ)を設けておき、透過光としての再生像を当該集光レンズを介してイメージセンサ10側に導くように構成すればよい。
確認のために述べておくと、このような透過型媒体に対応する構成とする場合としてもホログラム記録再生の動作自体は反射型の場合と同様であり、記録時は信号光と共に参照光を照射してホログラム記録媒体上にそれらの干渉縞によってデータ記録を行い、再生時はホログラム記録媒体に対し参照光及びコヒーレント光を照射してそれにより得られる再生像及びコヒーレント光をイメージセンサにて検出してデータ再生を行うことに変わりはない。
その場合、再生系においては、照射した参照光に応じて反射光として得られる再生像をイメージセンサ10側に導くための偏光ビームスプリッタ4は省略することができる。代わりにこの場合は、参照光の照射に応じて得られる再生像がホログラム記録媒体自体を透過することになるので、レーザ光の出射点側から見てホログラム記録媒体の反対側となる位置にさらに対物レンズ(集光レンズ)を設けておき、透過光としての再生像を当該集光レンズを介してイメージセンサ10側に導くように構成すればよい。
確認のために述べておくと、このような透過型媒体に対応する構成とする場合としてもホログラム記録再生の動作自体は反射型の場合と同様であり、記録時は信号光と共に参照光を照射してホログラム記録媒体上にそれらの干渉縞によってデータ記録を行い、再生時はホログラム記録媒体に対し参照光及びコヒーレント光を照射してそれにより得られる再生像及びコヒーレント光をイメージセンサにて検出してデータ再生を行うことに変わりはない。
また、これまでの説明では、円形とされる信号光エリアの外側に輪状の参照光エリアが設けられる場合を例示したが、信号光エリア、参照光エリアの形状は、これら円形や輪状に限定されるものではなく、例えば矩形状などの他の形状とすることもできる。また、参照光エリアを内側、信号光エリアを外側に配置するといったこともできる。
何れにしてもコアキシャル方式の場合には、参照光・信号光がそれぞれ同一光軸上に配置されるようにして信号光エリア・参照光エリアが設定されていればよい。
何れにしてもコアキシャル方式の場合には、参照光・信号光がそれぞれ同一光軸上に配置されるようにして信号光エリア・参照光エリアが設定されていればよい。
また、これまでの説明では、参照光と信号光とを同一光軸上に配置してホログラム記録媒体に照射するコアキシャル方式が採用される場合に本発明が適用される場合を例示したが、本発明としては、信号光と参照光とを別々の角度で照射するいわゆる二光束方式が採用される場合にも適用することができる。
また、これまでの説明では、信号光・参照光の生成のための強度変調器(3a)と位相変調器(3b)とを一体的に形成する場合を例示したが、これらを別体として光学系における別々の位置に配置する構成とすることもできる。
但し、このようにして強度変調器と位相変調器とを別体で構成した場合としても、それらの各画素が1対1に厳密に対応するようにされている必要がある。つまり、このようにして別体で構成される場合には、強度変調器と位相変調器との各画素が1対1に厳密に対応するように、それらの位置決めと光学的な倍率との調整が行われる必要がある。
但し、このようにして強度変調器と位相変調器とを別体で構成した場合としても、それらの各画素が1対1に厳密に対応するようにされている必要がある。つまり、このようにして別体で構成される場合には、強度変調器と位相変調器との各画素が1対1に厳密に対応するように、それらの位置決めと光学的な倍率との調整が行われる必要がある。
また、これまでの説明では、強度変調器として、駆動信号レベルに応じて可変的に強度変調が可能となる液晶パネルを用いるものとしたが、このような強度変調器としては、実施の形態で例示した透過型の液晶パネルとする以外にも、反射型の液晶パネルとすることもできる。
また、これまでの説明では、位相変調器として透過型の液晶パネルを用いる場合を例示したが、各画素の駆動信号レベルに応じて画素単位で位相を可変的に変調できる素子であれば、他の素子を用いることもできる。
1 レーザダイオード(LD)、2 コリメータレンズ、3 SLM(空間光変調部)、3a 強度変調器、3b 位相変調器、4 偏光ビームスプリッタ、5,7 リレーレンズ、6 アパーチャー、8 1/4波長板、9 対物レンズ、10 イメージセンサ、11 強度・位相制御部、12 データ再生部、21 符号化部、22 マッピング部、23 強度変調ドライバ、24 位相変調パターン生成部、25 位相変調ドライバ、30 差動検出部、30a 平方根計算部、30b 差分計算部、31 リサンプリング部、32 デコード部、40 和計算部、HM ホログラム記録媒体
Claims (6)
- 信号光と参照光との干渉縞によってホログラムが形成されてデータが記録されたホログラム記録媒体について再生を行う再生装置であって、
入射光に対する空間光変調を行うことで、所定の強度パターン及び位相パターンを有する上記参照光を生成する参照光生成手段と、
入射光に対する空間光変調を行うことで、上記参照光が上記ホログラム記録媒体に照射されることで得られる再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大となる光強度を有し且つ上記再生像の基準位相との位相差がそれぞれ0、πとなる2種のコヒーレント光を順次、上記ホログラム記録媒体に記録された1ホログラムページ分のデータの読み出しごとに生成するコヒーレント光生成手段と、
上記参照光の照射に応じて得られる上記再生像と上記コヒーレント光生成手段により生成された一方の上記コヒーレント光との合成光、及び上記参照光の照射に応じて得られる上記再生像と上記コヒーレント光生成手段により生成された他方の上記コヒーレント光との合成光を順次受光して、2種の画像信号を得る画像信号取得手段と、
上記画像信号取得手段により得られた上記2種の画像信号の平方根をそれぞれ計算する平方根計算手段と、
上記平方根計算手段により計算された上記2種の画像信号についてのそれぞれの平方根計算結果の差分を計算する差分計算手段と
を備える再生装置。 - 請求項1に記載の再生装置において、
上記参照光生成手段と上記コヒーレント光生成手段とは、それぞれ共通の入射光に対し画素単位の空間光変調を行う共通の空間光変調部を用いた空間光変調を行うことで上記参照光と上記コヒーレント光とを生成するようにされており、
上記参照光生成手段は、上記空間光変調部にて上記参照光を生成するエリアとして予め定められた参照光エリア内にて強度変調・位相変調を行うことで上記参照光を生成し、
上記コヒーレント光生成手段は、上記空間光変調部における上記参照光エリアとは別のエリア内にて強度変調・位相変調を行うことで上記コヒーレント光を生成する。 - 請求項2に記載の再生装置において、
上記コヒーレント光生成手段は、
上記空間光変調部における上記参照光エリアとは別のエリア内にてそれぞれ位相π/2、位相3π/2による位相変調を順次行うことで、上記再生像の基準位相との位相差がそれぞれ0、πとなる2種のコヒーレント光を順次生成する。 - 請求項1に記載の再生装置において、
上記差分計算手段は、
上記平方根計算手段により計算された、上記再生像の基準位相との位相差が0となるコヒーレント光と上記再生像との合成光についての受光結果としての第1の画像信号の平方根計算結果をc、上記再生像の基準位相との位相差がπとなるコヒーレント光と上記再生像との合成光についての受光結果としての第2の画像信号の平方根計算結果をdとしたとき、c−dで表される差分計算を行う。 - 請求項1に記載の再生装置において、
上記平方根計算手段により計算された上記2種の画像信号についてのそれぞれの平方根計算結果の和を計算する和計算手段をさらに備える。 - 信号光と参照光との干渉縞によってホログラムが形成されてデータが記録されたホログラム記録媒体について再生を行う再生方法であって、
入射光に対する空間光変調を行うことで、所定の強度パターン及び位相パターンを有する上記参照光を生成する参照光生成ステップと、
入射光に対する空間光変調を行うことで、上記参照光が上記ホログラム記録媒体に照射されることで得られる再生像の振幅の絶対値の最大値よりも大となる光強度を有し且つ上記再生像の基準位相との位相差がそれぞれ0、πとなる2種のコヒーレント光を順次、上記ホログラム記録媒体に記録された1ホログラムページ分のデータの読み出しごとに生成するコヒーレント光生成ステップと、
上記参照光の照射に応じて得られる上記再生像と上記コヒーレント光生成ステップにより生成した一方の上記コヒーレント光との合成光、及び上記参照光の照射に応じて得られる上記再生像と上記コヒーレント光生成ステップにより生成した他方の上記コヒーレント光との合成光を順次受光して、2種の画像信号を得る画像信号取得ステップと、
上記画像信号取得ステップにより得た上記2種の画像信号の平方根をそれぞれ計算する平方根計算ステップと、
上記平方根計算ステップにより計算した上記2種の画像信号についてのそれぞれの平方根計算結果の差分を計算する差分計算ステップと
を有する再生方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008179026A JP2010019984A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | 再生装置、再生方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008179026A JP2010019984A (ja) | 2008-07-09 | 2008-07-09 | 再生装置、再生方法 |
Publications (1)
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ID=41704972
Family Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-07-09 JP JP2008179026A patent/JP2010019984A/ja active Pending
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