JP2010013603A - 転写材料用硬化性組成物および微細パターン形成方法 - Google Patents

転写材料用硬化性組成物および微細パターン形成方法 Download PDF

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克利 森中
Hiroshi Shimooka
浩 下岡
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Abstract

【課題】ドライエッチング速度の選択性が高く、かつレジスト等に用いる微細パターンを熱またはUVナノインプリント法によって形成することのできる転写材料用硬化性組成物およびその形成方法を提供する。
【解決手段】式(1)、(2)で表される構造単位を有し、分子の末端が−O−Si(OR)3または−O−Si(OX)3である硬化性ケイ素化合物を含有する、微細パターンを形成するための転写材料用硬化性組成物およびこれを用いた微細パターン形成方法。



【選択図】なし

Description

本発明は、インプリント法による微細パターン形成用エネルギー線硬化型または熱硬化型の転写材料用硬化性組成物およびそれを用いた微細パターン形成方法に関する。
半導体製造プロセスやパターンドメディア等の磁気記録媒体製造プロセス等における微細パターン作製方法としてナノインプリント技術が注目されており、それに用いるための優れた転写材料が求められている。
ナノインプリント用転写材料としてポリメチルメタクリレートなどの熱可塑性樹脂が用いられ、その場合は、塗布した材料をガラス転移点以上に加熱し、型押しをし、冷却した後に型を外すサイクルが一般的であり、非常に時間がかかりスループットが悪いという問題があった。
これに対してシロキサン化合物の一つである水素化シルセスキオキサンを用い、その塗布膜を基板上に形成後、室温で型押しをすることにより、微細なパターンを得る技術が開示されている(特許文献1)。また、カテコール誘導体とレゾルシノール誘導体からなる組成物による塗布膜を基板上に形成後、室温で型押しをすることにより、微細なパターンを得る技術が開示されている(特許文献2)。この方法は室温インプリント法と言われ、加熱、冷却のサイクルがないものの、型押しに必要な時間が長く、スループットがまだ十分とは言えない。また、高圧で押すためにスタンパーの寿命に難点があり、量産化の技術としても十分とは言えない。
そこで、紫外線で硬化する光硬化性樹脂を用いたUVナノインプリントと呼ばれる技術が提案されている。このプロセスは光硬化性樹脂を塗布した後に、スタンパーで型押しをしながら紫外線を照射し、樹脂を硬化させる。その後にスタンパーを外すことで微細パターンを形成させる方法である。このプロセスは加熱、冷却のサイクルもなく、紫外線による硬化は非常に短時間で可能で、型押しの圧力も低く済み、上記の種々の問題を解決できる可能性が高い。
しかしながら、UVナノインプリントにおいて通常用いられる樹脂はアクリル系の有機樹脂である。形成した微細パターンをレジストとして用いる場合、ドライエッチングのガスの種類によるエッチング速度の選択性が重要である。レジストとして機能する場合は用いるガスに対して耐性が高く、除去する際は容易に除去される必要がある。エッチング用ガスとしてよく用いられるガスとしてはフッ素系のガスと酸素がある。一般的に有機樹脂の場合、フッ素系ガスと酸素ガスではそのエッチング速度に大きな差はない。フッ素系ガスと酸素ガスでの選択性を出すためには通常ケイ素化合物を用いる。上記の水素化シルセスキオキサンなどはその一例であり、フッ素系ガスにおけるエッチング速度が大きいのに対し、酸素ガスによるエッチング速度は非常に遅い特徴がある。しかしながら、光硬化性がないためUVナノインプリント法に用いることができない。
このため、ゾルゲル法で合成された硬化性官能基を有するケイ素化合物を用いる技術が示されているが(特許文献3)、フッ素系ガスにおけるエッチング速度と酸素ガスにおけるエッチング耐性を更に満たし、可撓性にも優れた微細パターンを実現するケイ素化合物の開発の必要性が未だ存在する。
特開2003−100609号公報 特開2005−277280号公報 特開2007−72374号公報
本発明は、ドライエッチング速度の選択性が高く、かつレジスト等に用いる微細パターンを熱またはUVナノインプリント法によって形成することのできる転写材料用硬化性組成物およびその形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を、鋭意検討した結果、以下の硬化性ケイ素化合物をインプリント用転写材料として用いることで、良好なインプリント性を有するだけではなく、パターン形成後の下地層加工におけるレジストとしての性能であるエッチング耐性も優れた組成物になり、半導体や磁気記録媒体の加工に優れた特性を示すことがわかった。
具体的には以下[1]〜[14]に記載する。
[1]下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位を有し、分子の末端が−O−Si(OR)3(ここでRは式(1)のRと同義である。)または−
O−Si(OX)3(ここでXは式(2)のXと同義である。)である硬化性ケイ素化合
物を含有することを特徴とする、微細パターンを形成するための転写材料用硬化性組成物。
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
(式中、Xは以下の式(3)で表される構造を示す。)
(式中、R1は炭素数1〜12の、脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基を表す。)
[2]前記硬化性ケイ素化合物が、下記(A)および(B)を、生成するアルコールを留去させながら反応させることにより製造される上記[1]に記載の転写材料用硬化性組成物。
(A)テトラアルコキシシランまたはその縮合体
(B)下記式(5)で表される化合物
(式中、R1は、式(3)のR1と同義である。)
[3]前記(A)成分がテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであり、さらに反応中に水を添加することを特徴とする上記[2]に記載の転写材料用硬化性組成物。[4]さらに、[1]に記載の硬化性ケイ素化合物以外のカチオン重合性化合物を含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の転写材料用硬化性組成物。
[5]前記微細パターンが、10μm以下の微細パターンであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の転写材料用硬化性組成物。
[6]さらに、熱カチオン開始剤を含有する[1]〜[5]のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
[7]さらに、活性エネルギー線カチオン開始剤を含有する[1]〜[5]のいずれかに記載の転写材料用硬化性組成物。
[8][6]項に記載の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、
基板に塗布した転写材料用硬化性組成物に型を押し当てる工程と、
型を押し当てた状態で転写材料用硬化性組成物を加熱することにより前記転写材料用硬化性組成物を硬化させる工程と、
硬化した転写材料用硬化性組成物から型を外す工程と
を含むことを特徴とする微細パターン形成方法。
[9][7]に記載の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、
基板に塗布した転写材料用硬化性組成物に型を押し当てる工程と、
型を押し当てた状態で転写材料用硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより前記転写材料用硬化性組成物を硬化させる工程と、
硬化した転写材料用硬化性組成物から型を外す工程と
を含むことを特徴とする微細パターン形成方法。
[10]前記型が活性エネルギー線を透過させる材料で形成され、活性エネルギー線が、前記型を通過して、前記塗布膜に照射されることを特徴とする[9]に記載の微細パターン形成方法。
[11]前記基板が活性エネルギー線を透過させる材料で形成され、活性エネルギー線が、前記基板を通過して、前記塗布膜に照射されることを特徴とする[9]に記載の微細パターン形成方法。
[12]基体上に磁性膜を備えてなる基板を用いて[8]〜[11]のいずれかに記載の方法で微細パターンを形成し、この微細パターンをレジストとして前記磁性膜の一部を除去するか、または前記磁性膜の一部を非磁性化することを特徴とする微細パターン化された磁気記録媒体の製造方法。
[13][12]に記載の製造方法で得られることを特徴とする磁気記録媒体。
[14][13]に記載の磁気記録媒体を備えたことを特徴とする磁気記録再生装置。
本発明の微細パターンの形成方法によれば、スループットが高く、ドライエッチング耐性の選択性の高い微細パターンを形成させることができる。また本発明の微細パターン形成用組成物は、そのような微細パターンの形成方法に供することができる。また、この形成方法を用いることにより、半導体分野や磁気記録媒体製造プロセス等における微細パターンを作成することができる。
以下、本発明の転写材料用硬化性組成物および微細パターンの形成方法を詳細に説明する。
〔転写材料用硬化性組成物〕
本発明の転写材料用硬化性組成物は、下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位を有し、分子の末端が−O−Si(OR)3(ここでRは式(1
)のRと同義である。)または−O−Si(OX)3(ここでXは式(2)のXと同義で
ある。)である硬化性ケイ素化合物を含有することを特徴とする。
式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。式(1)におけるRとしては、メチル基またはエチル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式(2)において、Xは、上記式(3)で表される構造を有する。式(3)中、R1
炭素数1〜12の脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基を表す。前記硬化性ケイ素化合物は、分子の末端が−O−Si(OR)3または−O−Si(OX)3である。前記−O−Si(OR)3におけるRは、式(1)のRと同じであり、メチル基またはエチル基であ
ることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。前記−O−Si(OX)3にお
けるXは、上記式(2)のXと同じである。
式(3)において、好ましくはR1は 炭素数1〜12の、脂肪族または脂環族炭化水
素基であり、より好ましくは炭素数2〜8の、脂肪族または脂環族炭化水素基であり、特に好ましくは、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素基または下記式(4)に示す炭化水素基である。
本発明の転写材料用硬化性組成物は、上記の硬化性ケイ素化合物を含むことにより、インプリント時の転写性能が良好であり、インプリント後の底出しや剥離の際には、フッ素系ガスを用いて反応性イオンエッチングを行うことで容易に除去され、また基材−媒体加工時の酸素エッチング、Arミリング等のエッチング工程において耐性を示すことが見出
された。
前記硬化性ケイ素化合物においては、すべてのRに対するXの存在割合、すなわち前記硬化性ケイ素化合物1分子中に存在するRの個数に対するXの個数の割合が、モル比で、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2である。すべてのRに対するXの存在割合が0.1より小さいと、硬化性と硬化物の硬度の改善効果が低くなる傾向がある。
前記硬化性ケイ素化合物の重量平均分子量は、300〜3,000であることが好ましく、400〜1500であることが特に好ましい。この分子量領域において、比較的低粘度の液状を呈し、取り扱いが容易となる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の分子量を意味する。
前記硬化性ケイ素化合物は、直鎖構造であってもいいし、分岐を有する構造であってもよい。また、本発明の転写材料用硬化性組成物は、複数種類の前記硬化性ケイ素化合物を含有することができる。
本発明の硬化性ケイ素化合物は、たとえば、下記(A)および(B)を反応させることにより製造することができる。
(A)テトラアルコキシシランまたはその縮合体
(B)下記式(5)で表される化合物
(式中、R1は炭素数1〜12の、脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素を表す。)
前記テトラアルコキシシランとしては、具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等が挙げられ、反応性の点から、テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランが好ましく、テトラメトキシシランが特に好ましい。
テトラアルコキシシランの縮合体としては、具体的にはテトラメトキシシラン縮合体、テトラエトキシシラン縮合体等が挙げられる。
式(5)において好ましくはR1は 炭素数1〜12の、脂肪族または脂環族炭化水素
基 であり、より好ましくは炭素数2〜8の、脂肪族または脂環族炭化水素基であり、特に好ましくは、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素基または下記式(4)に示す炭化水素基である。
式(5)の構造を持つ化合物としては、具体的には、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、9-ヒドロキシノニルビニルエーテル、4-ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル
、トリシクロデカンジメタノールモノビニルエーテル等が挙げられる。
この反応は、反応中に生成するアルコールを留去させながら行うことが好ましい。
(A)成分にテトラアルコキシシランを用いる場合には、反応中に水を添加する。この場合は、テトラアルコキシシランと水とのアルコール交換反応で生成するアルコールを留去しながら、反応を行うのが好ましい。
(A)成分としてテトラアルコキシシランの縮合体のみを使用するときには、反応中に水を添加してもよいし、添加しなくてもよい。水を添加すれば、縮合体同士がさらに加水分解縮合をしながら反応が進行し、水を添加しなければ、縮合体の加水分解縮合は生じず、縮合体とのアルコール交換反応のみが進行する。このとき、得られる硬化性ケイ素化合物が前記で示した好ましい重量平均分子量になるように、添加する水の量を調節することが好ましい。
また、前記反応に用いる水は、イオン性不純物の少ない脱イオン水や蒸留水により供給することが好ましい。
前記反応において、(B)成分の添加量は、(A)成分のアルコキシ基の量から、添加する水のOH量を差し引いた有効アルコキシ基100モルに対して、10〜150モルであることが好ましく、20〜120モルであることが更に好ましい。(B)成分の添加量が10モルより少ないと硬化性ケイ素化合物の架橋性が低下し、150モルを超えると未反応の(B)成分化合物が増加して、反応液が濁りやすくなりまた残存モノマーのために硬化物の物性が低下する傾向がある。さらに、(A)成分にテトラアルコキシシランを使用する場合の水の添加量としては、(A)成分と水のモル比が5:1〜5:4であることが好ましく、4:1〜4:3であることが更に好ましい。水の添加量がこの範囲より少ないと結晶化し易く、固形化や経時的な白濁が起こり易い。一方、水の添加量がこの範囲より多いと分子量が大きくなり、高粘度化による作業性の低下やゲル化が起こるおそれがある。
また、前記反応において、反応に水を添加する場合には、水を初期に一括して仕込むのではなく、反応初期に(A)成分と(B)成分の反応行い、脱アルコール反応率が少なくとも10%以上になった段階で水を反応液に添加するのが、白濁の防止やゲル化防止の点で好ましい。なお、ここでいう脱アルコール反応率は、(A)成分に由来するアルコキシ基が脱離して生ずるアルコールの理論生成量に対する、留出したアルコールの量で計算した値である。
反応温度は60〜200℃の範囲が好ましく、80〜150℃の範囲が更に好ましい。反応温度が60℃より低いと反応速度が低くなり、また、200℃を超えると生成物が熱重合を起こしやすい。反応条件としては、反応の前半(アルコール反応率50%程度まで)は80〜110℃の比較的低温で反応させ、後半は反応を促進するため反応温度を経時的に上昇させる方法が望ましい。(A)成分にテトラアルコキシシランを使用するときは原料の留出によるロスがないよう留意する必要があり、特に、テトラメトキシシランを使用するときは、留出温度をメタノールの沸点(64−65℃)に保持して、原料の留出によるロスがないよう留意する。反応時間はアルコールの留出速度に依存し、留出が効率的に行える場合は数時間で終了する。好ましい反応時間は反応温度にもよるが2〜20時間である。反応時間が2時間より短いと反応率が低く、20時間を超えると生成物が熱重合を起こし易くなる。各成分の仕込比率や反応条件にもよるが、生成物中には未反応の(B)成分が数%〜10%程度残存する。この残存分を除去する必要がある場合は、加熱下で反応系を減圧し、残存分を除去すれば良い。
また、前記反応において、酸性触媒や塩基性触媒を使用することができるが、触媒除去
工程による製造コストアップや、微量の残存触媒による安定性不良や、蒸留等での除きやすさを考慮し、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミンのような蒸留により除きやすいトリアルキルアミンを用いることが望ましい。また、一般にビニルエーテル類には水酸化カリウムのような強塩基性化合物が安定剤として含まれている場合もあり、このような安定剤を触媒としてそのまま用いることもできる。
また、反応中にゲル化を防ぐ目的で、重合禁止剤を添加することが望ましい。このような禁止剤としては、ハイドキノン、p−メトキシフェノール、2−t−ブチルハイドロキノン、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、4,4’−チオ−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(
4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',
5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(
1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール等のフェノール系化合物、フェノチアジン、スチリルフェノチアジン、ジラウリル 3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチ
ル 3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3'−チオジプロピオネート、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の硫黄系化合物、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト等のリン系化合物が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができ、添加量としては反応液に対して100から10000質量ppm、より好ましくは500から2000質量ppmが好ましい。100質量ppmより少ないと効果が無く、10000質量ppmよりも多いと硬化性や着色に悪影響を与える。
また、同様に重合を防止する目的で酸素を共存させた状態で反応することが望ましい。共存させる酸素濃度としては、爆発限界も加味して気相中の濃度として10mol%以下で行うことが望ましい。10mol%を越えても、重合禁止には効果があるが着火源があると引火しやすく危険である。
前記(A)成分と(B)成分との反応は、(A)成分中のアルコキシ基の10%以上がエス
テル交換されるまで行うのが好ましい。
上記反応においては、溶媒を用いなくてもよいが、溶媒を用いてもよい。用いうる溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類等を挙げることができる。
本発明の転写材料用硬化性組成物は、官能基としてビニルエーテル基を有する硬化性ケイ素化合物を含有しているので、カチオン重合を行うことができる。
<転写材料用硬化性組成物のその他の成分>
これらの硬化性官能基を硬化させるには熱硬化と活性エネルギー線硬化の方法があり、重合様式に応じてそれぞれ最適な開始剤を必要に応じて添加することが望ましい。
活性エネルギー線カチオン開始剤は、具体的には、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩等が挙げられ、これらはカチオン部分がそれぞれ芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族スルホニウムであり、アニオ
ン部分がBF4−、PF6−、SbF6−、[BY4]−(ただし、Yは少なくとも2つ以上のフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基)等により構成されたオニウム塩であるが好ましくは、安定性の観点よりリン系化合物であるカチオン重合開始剤である。具体的には四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体等を挙げることができ、CD−1012(商品名:SARTOMER社製)、PCI−019、PCI−021(商品名:日本化薬社製)、オプトマーSP−150、オプトマーSP−170(商品名:旭電化社製)、UVI−6990(商品名:ダウケミカル社製)、CPI−100P、CPI−100A(商品名:サンアプロ社製)、TEPBI−S(商品名:日本触媒社製)、R
HODORSIL PHOTOINITIATOR2074(商品名:Rhodia社製)等を用いることができ、これらは単独でも2種以上を組み合わせても使用することもでき、1種以上の熱カチオン重合開始剤と組み合わせて使用することもできる。これらのうちでもアニオン部位がPF6−が好ましく、さらに好ましくはアニオン部位がPF6−であるスルホニウム塩が安定性、硬化性、安全性の面で優れているので使用するのに好適である。
スルフォン酸誘導体は、ジスルフォン類、ジスルフォニルジアゾメタン類、ジスルフォニルメタン類、イミドスルフォネート類、ベンゾインスルフォネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルフォネート類、ピロガロールトリスルフォネート類、ベンジルスルフォネート類などを挙げることができる。さらに具体的には、ジフェニルジスルフォン、ジトシルジスルフォン、ビス(フェニルスルフォニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルフォニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルフォニル)メタン、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルフォネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルフォネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルフォネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルフォネート、コハク酸イミドフェニルスルフォネート、コハク酸イミドトシルスルフォネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルフォネート、フタル酸イミドトリフルオロスルフォネート、ベンゾイントシラート、1,2−ジフェニル−2−ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルフォネート、2,6−ジニトロフェニルメチルトシラートなどを挙げることができる。
熱カチオン開始剤は、具体的には、アデカオプトンCP−66、CP−77(商品名:以上旭電化工業社製)、サンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−180L(商品名:以上三新化学社製)、CI−2920、CI−2921、CI−2946、CI−2639、CI−2624、CI−2064(商品名:以上日本曹達社製)、FC−520(商品名:3M社製)等を用いることができ、これらは単独でも2種以上組み合わせても使用するもでき、1種以上の光カチオン開始剤と組み合わせて使用することもできる。好ましくは、安定性の観点よりリン化合物が良い。
これらのカチオン開始剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の硬化性組成物におけるカチオン開始剤の含有割合は、硬化性組成物100質量部中、好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは0.3〜4質量部、特に好ましくは0.3〜3質量部である。前記カチオン開始剤の含有割合を0.1質量部以上とすることにより硬化性組成物の硬化状況が良好となり好ましく、また硬化後にカチオン開始剤が溶出するのを予防する観点から10質量部以下であることが好ましい。
また、本発明に用いられる活性エネルギー線は、上記の活性エネルギー線カチオン開始剤またはビニルエーテルに作用して組成物を硬化させるものであれば特に限定されるものではない。例えば、紫外線、X線等の放射線、電子線を挙げることができる。これらの中
では紫外線や電子線を好適に使用できる。
電子線を用いた場合のように、重合開始剤が無くてもビニルエーテル基を硬化することができる場合もあるが、本組成物には用いるエネルギー線と官能基の種類によって、必要に応じてカチオン重合開始剤を添加することが望ましい。
本発明の転写材料用硬化性組成物には、前記ビニルエーテル基含有ケイ素化合物以外のカチオン重合性化合物を配合することができる。たとえば、カチオン重合を行う場合には、単独重合以外にもビニルエーテル基と共重合できる官能基を持った化合物を共存させて、硬化速度、粘度等を調整することが可能である。このような化合物としては、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基等を持つ化合物があるが、この中でも特にビニルエーテル、エポキシ基を持つ化合物が好ましく、これらの官能基を複数有するモノマーまたはオリゴマーが好適に用いられる。
具体的には、ビニルエーテル類及びその誘導体としては、単官能もしくは多官能のビニルエーテル化合物が使用でき、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、エチルオキセタンメタノールビニルエーテル、水添ビスフェノールAジビニルエーテル等が上げられる。
またエポキシ基を持つ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂などがある。
オキセタニル基を持つ化合物の例としては3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタンなどのモノオキセタニル化合物、東亞合成(株)社製アロンオキセタンOXT−121(商品名)OX−SQ(商品名)、新日鐵化学(株)社製OXTP(商品名)、OXBP(商品名)などの多官能オキセタン樹脂などが挙げられる。
本発明の転写材料用硬化性組成物において、(I)上記硬化性ケイ素化合物および(II)(I)以外のカチオン重合性化合物の好ましい割合は、両者の合計量を100質量部として、(I)30〜95質量部、(II)70〜5質量部であり、更に好ましくは(I)50〜95質量部、(II)50〜5質量部あり、特に好ましい混合比率は(I)70〜95質
量部、(II)30〜5質量部である。(II)(I)以外のカチオン重合性化合物を上記の割合で配合することにより、組成物の硬化性や密着性を改善することができる。
本発明の転写材料用硬化性組成物がさらに(III)活性エネルギー線カチオン開始剤ま
たは熱カチオン開始剤を含有する場合、上記3成分の好ましい割合は、(I)と(II)と
の合計量100質量部に対して、(III)0.2〜10質量部であり、更に好ましい混合
比率は(III)0.5〜7質量部であり、特に好ましい混合比率は(III)1〜5質量部である。(III)の割合が0.2質量部より少ないと硬化性が低く、10質量部を超えると
塗膜物性が低下する。
重合開始剤の他に粘度調整剤、分散剤、表面調整剤などの添加剤を加えることができる。その場合には、その合計が硬化性組成物の30質量%以下となるようにすることが好ましい。添加剤の量が多すぎると、本発明の硬化性組成物を用いて得られる微細パターンのエッチング性能が劣ってしまうおそれがある。
本発明の化合物を用いて、微細パターンを形成する場合、必要に応じて溶媒等を添加することができる。希釈溶媒としては、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒、2−プロパノール、ブタノールおよびヘキサノールプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール系溶媒等を挙げることができる。
〔微細パターンの形成方法〕
次に、本発明の転写材料用硬化性組成物を用いて、微細パターンを形成する方法を説明する。特に、この形成方法によれば、10μm以下の微細パターンを形成することができる。ここで、10μm以下の微細パターンとは、型に刻み込んだ凹凸の線幅寸法が10μm以下のパターンである。つまり1つの凹の線幅と1つの凸の線幅との合計が10μm以下であるパターンを意味する。
本発明の微細パターンの形成方法の一例は、本発明の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、基板に塗布した転写材料用硬化性組成物に型を押し当てる工程と、型を押し当てた状態で転写材料用硬化性組成物を加熱することにより転写材料用硬化性組成物を硬化させる工程と、硬化した転写材料用硬化性組成物から型を外す工程とを含む。
また、本発明の微細パターンの形成方法の他の例は、本発明の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、基板に塗布した転写材料用硬化性組成物に型を押し当てる工程と、型を押し当てた状態で転写材料用硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより前記転写材料用硬化性組成物を硬化させる工程と、硬化した転写材料用硬化性組成物から型を外す工程とを含む。
[1、塗布工程]
基板に硬化性組成物を塗布する方法に特に制限はなく、例えば、スピンコートやディップコートなどの方法を用いることができるが、基板上の転写材料用硬化性組成物からなる塗布膜の膜厚が均一になる方法を用いることが好ましい。図1(a)は基板上に本発明の
硬化性組成物が塗布された状態を示しており、基板16上に塗布膜14が設けられている。
なお「基板」とは、ガラス板などの基体上に、磁性膜および/または保護膜などのパターンが形成されるべき層が設けられたものを指す。
[2、転写工程および硬化工程]
微細パターンは、塗布膜に微細パターンを既に付けられた型を押し付けること(転写)で形成することができる。塗布膜に型を押し付けた後、硬化性組成物を硬化するために活
性エネルギー線による硬化、もしくは熱硬化を行う。また、両方法を組み合わせ、加熱下で活性エネルギー線を照射することもできる。図1(b)および(c)は、基板上に塗布された本発明の硬化性組成物に型を押し当て、活性エネルギー線照射および/または熱により該組成物を硬化させる工程を示している。図1(b)は、基板16上に設けられた塗布
膜14に型16が押し当てられた状態を示し、図1(c)は、塗布膜14に型12が押し
当てられた状態で、塗布膜14に活性エネルギー線が照射され、または熱が加えられた状態を示している。
型の素材については特に制限はないが、紫外線等の活性エネルギー線で硬化性組成物を硬化させる場合、活性エネルギー線が透過する樹脂、ガラスまたは石英製の型を使用すると、活性エネルギー線が透過しない基板を使用した場合にでも、活性エネルギー線が、型の、前記塗布膜が接している面とは反対の面の側から、型を通過して、前記塗布膜に照射されるようにすることにより、硬化性組成物を硬化させ、微細パターンを形成することができ、好ましい。つまり、図1(c)において、活性エネルギー線が型12の上側で発射され、型12を通過し、微細パターンが形成されている塗布膜14に照射されるようにする。基板が活性エネルギー線を透過させる透明基板などである場合には、通常活性エネルギー線が、基板の、前記塗布膜が接している面とは反対の面の側から、基板を通過して、前記塗布膜に照射されることにより、硬化が行われる。つまり、図1(c)において、活性エネルギー線が基板16の下側で発射され、基板16を通過し、微細パターンが形成されている塗布膜14に照射されるようにする。
本発明に用いられる活性エネルギー線は、上記の硬化性ケイ素化合物のビニルエーテル基に作用して組成物を硬化させるものであれば特に限定されるものではない。例えば、紫外線、X線等の放射線、電子線を挙げることができる。これらの中では紫外線や電子線を
好適に使用できる。
また、型を押し付ける際、あるいはその後の加熱もしくはエネルギー線照射をする際の雰囲気に特に制限はないが、硬化した硬化性組成物中に気泡が残ることを防ぐために真空とすることが好ましい。また酸素によるビニルエーテル基の重合阻害を防ぐことができるため、型の押し付けおよびその後の加熱もしくはエネルギー線照射を真空中で行うことが好ましい。
[3、離型工程]
本発明の硬化性組成物からなる塗布膜を硬化させた後に、型を塗布膜から外す。図1(d)は、硬化され、微細パターンが形成された塗布膜14から型12が外された状態を示す。型を外した後、微細パターンの耐熱性や物理強度を向上させるために加熱することもできる。このとき、加熱の方法に特に制限はないが、形成したパターンが崩れないように塗布膜のガラス転移点以下の温度を保って徐々に昇温し、加熱の上限は、塗布膜の熱分解を防ぐため、250℃とすることが好ましい。
このようにして10μm以下の微細パターンが形成される。この微細パターンは本発明の転写材料用硬化性組成物が硬化したものであり、フッ素系ガスと酸素ガスとのエッチング速度の選択性が高い。そのため、本発明の10μm以下の微細パターン形成方法により形成された微細パターンは、エッチングに用いるガスに対して耐性が高いのでエッチングの度合いを容易に制御することができ、除去する際に用いられるガスに対しては耐性が低いので容易に除去される。従って、前記微細パターンは、優れたレジストとなるので、半導体や磁気記録媒体をはじめとした幅広い用途に適用可能である。
上記のように、本発明の転写材料用硬化性組成物は磁気記録媒体をはじめとした幅広い用途に適用可能である。より詳しくは、磁気記録媒体の用途として、上記の微細パターン
を、磁気記録媒体の磁性膜の一部除去加工、もしくは非磁性化する方法に適用することができる。その方法を以下に説明する。
(1.底抜き)
硬化性組成物を反応性イオンエッチング(RIE、イオンミリングともいう)により、凹
凸の凹部分をエッチングし、磁性膜表面を露出させる。図4に、この工程の概略を示す。図4には、基体上に磁性膜が設けられてなる基板の前記磁性膜上に、本発明の硬化性組成物からなる、微細パターンが形成された硬化膜が設けられており、その硬化膜の上方から反応性イオンエッチングを行う(図4の上の図)。その結果、微細パターンが形成された硬化膜の凹部が削られ、微細パターンに対応して、磁性膜上に硬化膜が存在しない部分が形成される(図4の下の図)。
(2.磁性層の一部除去加工もしくは非磁性化)
イオンミリングにより露出した磁性部をエッチングするもしくは反応性ガスにより露出した磁性部を非磁性化する。このとき、硬化性組成物は、イオンミリングおよび反応性ガスに耐性を持たなければならない。図5に、この工程の概略を示す。図5の左の図は、イオンミリング(イオンエッチング)の工程を示し、微細パターンが形成され、前記底抜きがなされた硬化膜を、その上方からイオンミリングすると(図5左上の図)、硬化膜が存在しない部分の磁性膜がエッチングされる(図5左下の図)。図5の右の図は、反応性ガスによる非磁性化処理の工程を示し、微細パターンが形成され、前記底抜きがなされた硬化膜を、その上方から反応性ガスで処理すると(図5右上の図)、硬化膜が存在しない部分の磁性膜が非磁性化される(図5右下の図)。なお、磁性部を非磁性化する方法としては、たとえば特開2007-273067号公報に記載されているような、磁性部に、イオンビーム
法などによりケイ素、ホウ素、フッ素、リン、タングステン、炭素、インジウム、ゲルマニウム、ビスマス、クリプトン、アルゴンなどの原子を注入し、磁性部を非晶質化する方法が挙げられる。
その後、前記硬化性組成物からなる膜を除去することにより、磁気記録媒体が得られる。
以上の方法により製造した磁気記録媒体を磁気記録再生装置に組み込むことにより、従来と同等以上の記録再生特性を確保しつつ、記録密度を大幅に増加した磁気記録再生装置を製造することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
500mLの三ツ口ガラスフラスコに、撹拌機、温度計および蒸留装置を設置し1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(日本カーバイド(株)製)271.3g(1.59モル)、メチルシリケート51(テトラメトキシシランオリゴマー(コルコート(株)製 、平均4量体のオリゴマー}150g(0.319モル)、トリエチルア
ミン4.21gを仕込んだ。このフラスコを120℃のオイルバスで加熱撹拌し、メタノールを留出させながら2時間反応させた。更に減圧にして反応を継続し、減圧度を徐々に上げて3時間後に真空ポンプにより、反応圧力を0.14kPaにして1時間反応させた。
反応液は液状であり、E型粘度計から求めた粘度は25℃で580mPa・sであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求めた数平均分子量はポリスチレン換算で1250、重量平均分子量はポリスチレン換算で1880であった。
この反応液100質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルアセテート900質
量部、光カチオン重合開始剤ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(CPI-101A、サンアプロ(株)社製)を3質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した(膜厚はおよそ0.2μm)。この薄膜を形成したガラス基板を、溶媒を除去した後、窒素気流下、紫外線(波長365nmに於いて照度35mW/cm2)を照射した。得られた硬化性組成物の薄膜のCF4ガスと酸素による反応性イ
オンエッチング速度を測定した。
(エッチング速度測定方法)
硬化した薄膜上にガラス小片を貼り付け、以下の条件の反応性イオンエッチング装置でエッチング処理を実施した。ガラス小片を取り外し、ガラス小片に保護された薄膜部分とエッチングされた薄膜部分段差を測定した。
エッチング速度(nm/sec)=段差(nm)÷処理時間(sec)
反応性イオンエッチングの条件
(フッ素系ガス)
エッチングガス : 四フッ化炭素
圧力 : 0.5Pa
ガス流量 : 40sccm
プラズマ電圧 : 200W
バイアス電圧 : 20W
処理時間 : 20sec
(酸素)
エッチングガス : 酸素
圧力 : 0.5Pa
ガス流量 : 40sccm
プラズマ電圧 : 200W
バイアス電圧 : 20W
処理時間 : 600sec
[比較例1]
500mLの三ツ口ガラスフラスコに、撹拌機、温度計を設置し、10%水酸化テトラメチルアンモニウム2.4g、水6.3g、2−プロパノール61.3gを仕込んだ。3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン33.6g(0.14モル)を室温下、フラスコ内を撹拌させながら、60分間で滴下した。室温下、撹拌を18時間継続した。10%硝酸水溶液1.6gを少しずつ添加して中和した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300gを添加し、エバポレーターを用いて反応で生成したメタノールと溶媒の2−プロパノール、過剰の水を除去した。分液ロートに移液し、水を100g加えて有機層を洗浄し、中和時に生成した塩を除去した。その後、再度エバポレーターで水を除去した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求めた数平均分子量はポリスチレン換算で1800、重量平均分子量はポリスチレン換算で2400であった。
この溶液1000質量部に対し、光ラジカル重合開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(Darocure 1173 チバ・スペシャリティ・ケミカル
ズ(株)社製)を3質量部添加し、溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、硬化性組成物を得た。実施例1と同様に薄膜を調製し、紫外線を照射した。得られた樹脂薄膜のCF4ガスと酸素による反応性イオンエッチング速度を測定した。
実施例1、比較例1のそれぞれのガスにおける反応性イオンエッチング速度を表1に示した。
実施例1の樹脂は酸素のエッチング速度が遅く、酸素エッチング耐性が高いことが分かる。また、CF4に対するエッチング速度においては実施例1の方が速く、非常に選択性が
高く、レジストとして好適に用いることができることがわかる。
実施例1の反応液50質量部に対し、プロピレングリコールモノメチルアセテート950質量部、光カチオン重合開始剤ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(CPI-101A、サンアプロ(株)社製)を3質量部添加し溶解させた後、0.2μmのフィルターでろ過し、得られた硬化性組成物0.5mlをスピンコーター内にセットしたガラス基板上に滴下した。ガラス基板を500rpmで5秒間回転、次いで3000rpmで2秒間、さらに5000rpmで20秒間回転させることによりガラス基板上に薄膜を形成した。次に、作製した硬化性組成物膜つきガラス基板の樹脂を塗布した面に、図2に示す石英ガラス製の型のパターニングされた面を下にして乗せ、UVナノインプリントプレス装置ST200(東芝機械(株)社製)にセットしてプレスし、波長365nm、強度6.5mW/cm2の紫外光を照射した。型の乗った円板
をプレス装置から取り出し、型をはずしてガラス円板上の被膜を観察したところ、パターンの抜けや塗膜のムラなどの塗膜の状態不良は見られなかった。
転写された基板の断面SEM測定の結果を図3に示す。実施例2の樹脂を用いると、非常
に矩形良く転写される。
図1は、本発明の転写材料用硬化性組成物を用いた10μm以下の微細パターン形成方法の工程を示す図である。 図2は、実施例2の凹凸形状が半径方向に沿ってパターニングされた石英ガラス製の円板を示す図である。凹部の幅(L)は図1の半径方向に80nm、凸部の幅(S)は図の半径方向に120nmである。 図3は実施例2の、薄膜にパターン形状が転写されたガラス基板を破断した、その断面の電界放射型電子顕微鏡像を示す。 図4は磁気記録媒体の磁性膜の加工における底抜き工程を示す。 図5は磁気記録媒体の磁性膜の一部除去加工、もしくは非磁性化の概略を示す。
符号の説明
12 型
14 本発明の転写材料用硬化性組成物からなる塗布膜
16 基板

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位を有し、分子の末端が−O−Si(OR)3(ここでRは式(1)のRと同義である。)または−O−
    Si(OX)3(ここでXは式(2)のXと同義である。)である硬化性ケイ素化合物を
    含有することを特徴とする、微細パターンを形成するための転写材料用硬化性組成物。
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    (式中、Xは以下の式(3)で表される構造を示す。)
    (式中、R1は炭素数1〜12の、脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基を表す。
  2. 前記硬化性ケイ素化合物が、下記(A)および(B)を、生成するアルコールを留去させながら反応させることにより製造される請求項1記載の転写材料用硬化性組成物。
    (A)テトラアルコキシシランまたはその縮合体
    (B)下記式(5)で表される化合物
    (式中、R1は、式(3)のR1と同義である。)
  3. 前記(A)成分がテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであり、さらに反応中に水を添加することを特徴とする、請求項2記載の転写材料用硬化性組成物。
  4. さらに、請求項1に記載の硬化性ケイ素化合物以外のカチオン重合性化合物を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
  5. 前記微細パターンが、10μm以下の微細パターンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
  6. さらに、熱カチオン開始剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
  7. さらに、活性エネルギー線カチオン開始剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写材料用硬化性組成物。
  8. 請求項6項に記載の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と

    基板に塗布した転写材料用硬化性組成物に型を押し当てる工程と、
    型を押し当てた状態で転写材料用硬化性組成物を加熱することにより前記転写材料用硬化性組成物を硬化させる工程と、
    硬化した転写材料用硬化性組成物から型を外す工程と
    を含むことを特徴とする微細パターン形成方法。
  9. 請求項7に記載の転写材料用硬化性組成物を基板に塗布し、塗布膜を形成する工程と、
    基板に塗布した転写材料用硬化性組成物に型を押し当てる工程と、
    型を押し当てた状態で転写材料用硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することにより前記転写材料用硬化性組成物を硬化させる工程と、
    硬化した転写材料用硬化性組成物から型を外す工程と
    を含むことを特徴とする微細パターン形成方法。
  10. 前記型が活性エネルギー線を透過させる材料で形成され、活性エネルギー線が、前記型を通過して、前記塗布膜に照射されることを特徴とする請求項9に記載の微細パターン形成方法。
  11. 前記基板が活性エネルギー線を透過させる材料で形成され、活性エネルギー線が、前記基板を通過して、前記塗布膜に照射されることを特徴とする請求項9に記載の微細パターン形成方法。
  12. 基体上に磁性膜を備えてなる基板を用いて請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法で微細パターンを形成し、この微細パターンをレジストとして前記磁性膜の一部を除去するか、または前記磁性膜の一部を非磁性化することを特徴とする微細パターン化された磁気記録媒体の製造方法。
  13. 請求項12に記載の製造方法で得られることを特徴とする磁気記録媒体。
  14. 請求項13に記載の磁気記録媒体を備えたことを特徴とする磁気記録再生装置。
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