JP2010012711A - 流体噴射装置 - Google Patents

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JP2010012711A JP2008175350A JP2008175350A JP2010012711A JP 2010012711 A JP2010012711 A JP 2010012711A JP 2008175350 A JP2008175350 A JP 2008175350A JP 2008175350 A JP2008175350 A JP 2008175350A JP 2010012711 A JP2010012711 A JP 2010012711A
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久 宮澤
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Abstract

【課題】クリーニング動作後にキャップ内に残った流体を完全に吸引可能とする。
【解決手段】噴射ノズルからの流体を受ける流体受け部には、流体を受ける凹部と、凹部内の流体を吸引するための開口部が設けられている。また、噴射ヘッドとは異なる位置に流体押出部を設けておき、流体押出部を凹部に挿入することによって、凹部内に付着した流体を開口部に向けて押し出してやる。こうすれば凹部内に付着した流体を開口部から吸引することができるので、凹部内に付着した流体を、より完全に吸引することが可能となる。
【選択図】図8

Description

本発明は、噴射ヘッドから流体を噴射する技術に関する。
いわゆるインクジェットプリンタでは、微細な噴射ノズルから、正確な分量のインクを正確な位置に噴射することによって、高画質の画像を印刷することが可能である。また、この技術を利用して、インクの代わりに各種の流体を基板に向けて噴射すれば、電極や、センサ、バイオチップなどを製造することも可能である。
このような技術では、インクなどの流体を、正確な位置に、正確な分量だけ噴射することが可能なように、専用の噴射ヘッドが用いられる。また、噴射ヘッド内に供給されたインクなどの流体は、時間とともに水分が蒸発あるいは成分が揮発して粘度が増加してしまう。粘度が増加した状態では、噴射ヘッド内の流体を正確な位置に正確な分量で噴射することができないので、流体を噴射しない間は噴射ノズルをキャップで覆うことにより、流体の増粘などを抑制する。もっとも、キャップで覆っても長い間には増粘してしまうので、このような場合には、吸引ポンプを用いてキャップ内を減圧し、噴射ヘッド内の増粘した流体を吸い出すことにより、代わりに新たな流体を供給する動作(クリーニング動作)が行われる。
また、吸引ポンプが流体を吸い出すための通路上に流体が付着したままにしておくと、やがて流体が乾燥し、キャップで噴射ノズルを覆ったときに、乾燥した流体が噴射ノズル内の流体から水分などを奪うこととなって、却って噴射ヘッド内の増粘を促進してしまう。そこで、クリーニング動作後は、キャップ内に外気を導入しながら空吸引を行うことにより、通路に付着した流体を外気と一緒に吸い出す技術が提案されている(特許文献1)。
特開平6−270419号公報
しかし、提案されている技術では、キャップ内に付着した流体を十分に吸い出すことができないという問題があった。その結果、キャップ内に残った流体が乾燥して固化し、吸引ポンプとの接続孔を塞いでしまうという問題があった。また、インクジェットプリンタには、噴射ヘッド内の流体の増粘を防止するために、定期的に流体を噴射する動作(フラッシング動作)を行う。フラッシング動作の際に流体を受けるフラッシング受けも同様に、流体が乾燥すると堆積して噴射ヘッドに接触してしまう問題があった。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、キャップやフラッシング受けなどの流体受け部内に残った流体を、完全に吸い出すことが可能な技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の流体噴射装置は次の構成を採用した。すなわち、
媒体上に流体を噴射する流体噴射装置であって、
前記流体を噴射する噴射ノズルが設けられた噴射ヘッドと、
前記噴射ヘッドに対して相対位置を変更可能に構成されるとともに、該噴射ヘッドから噴射された流体を受ける凹部が形成された流体受け部と、
前記流体受け部の凹部の底部に設けられた開口部に接続されて、該凹部内の流体を該開口部から吸引する流体吸引手段と、
前記噴射ヘッドとは異なる位置に設けられて、前記流体受け部の前記凹部内に挿入されることで、該凹部内の流体を前記開口部の方向に押し出す流体押出部と
を備えることを要旨とする。
このような本発明の流体噴射装置においては、凹部が設けられた流体受け部によって、噴射ノズルからの流体を受けることが可能である。また、凹部には開口部が設けられており、凹部内に溜まった流体を開口部から吸引することも可能である。もっとも、凹部内に溜まった流体は開口部から吸引することができても、凹部内に付着した流体を吸引することは難しい。流体を付着したままにしておくと、やがては流体が乾燥して固化する。その結果、キャップなどの流体受け部内で固化すると、溜まった流体を吸引するための開口部を閉鎖してしまったり、凹部を噴射ヘッドに当接したときに噴射ヘッド内の流体の増粘などを促進したりする虞が生じる。また、フラッシング受けなどの流体受け部内で固化した場合には、固化した流体が堆積して噴射ヘッドに接触することがある。そこで、噴射ヘッドとは異なる位置に、流体押出部を設けておき、流体受け部の凹部に流体押出部を挿入することによって、凹部内の流体を開口部の方向に押し出すことが可能となっている。
こうすれば、凹部内に付着した流体を、流体押出部によって押し出して、開口部から吸引することができるので、凹部内に付着した流体を、より完全に吸引することが可能となる。その結果、キャップの凹部内で流体が固化して開口部を塞いだり、キャップの凹部を噴射ヘッドに当接した時に、噴射ヘッド内の流体の増粘を促進してしまうことを回避することが可能となる。また、フラッシング受けの凹部内で固化した流体が堆積して、噴射ヘッドに接触してしまう事態も回避することが可能となる。
また、上述した本発明の流体噴射装置においては、流体押出部を、通常位置と、通常位置よりも突出した突出位置とに切り換え可能に構成しておき、そして、凹部内に付着した流体を吸引する際には、流体押出部を突出位置にした状態で、流体受け部の凹部内に挿入してもよい。
このように、凹部内に挿入する際には流体押出部を突出可能としておけば、凹部内に挿入しないときに流体押出部が邪魔になることがない。また、流体押出部を凹部内に挿入する際には、当然ながら、流体押出部が設けられている部材と、凹部が設けられている流体受け部との距離が接近する。従って、複数の凹部が併設されている場合、流体押出部が設けられている部材に他の凹部が接触して、凹部内の流体が付着する虞も生じ得る。このような場合でも、凹部内に挿入する際に流体押出部を突出させることができれば、他の凹部が接触することを回避することが可能となる。
また、本発明の流体噴射装置においては、次のようにしても良い。先ず、凹部内に挿入される側の端面形状が異なる複数の流体押出部を設けておく。そして、凹部内の流体を押し出す際には、端面形状が異なる流体押出部を切り換えて、段階的に凹部内の流体を押し出すようにしても良い。
このように、凹部内の流体を段階的に押し出してやれば、たとえ、流体の増粘が進んでしまった場合でも、流体を少しずつ開口部の方向に押し出して、最終的には吸引することが可能となる。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
B.クリーニング動作:
C.凹部内インクの除去方法:
D.変形例:
A.装置構成 :
図1は、ラインプリンタ1を例に用いて本実施例の流体噴射装置の大まかな構造を示した説明図である。図示されているように、本実施例のラインプリンタ1は、大まかには箱型の外形形状をしており、上面には、モニタパネル2と、ユーザーが操作するための操作パネル3と、ラインプリンタ1の各種メンテナンスを行うためのメンテナンス扉4が設けられている。また、ラインプリンタ1の前面には、印刷用紙を装填する際に開ける給紙扉5が設けられており、更に、向かって右側面には、印刷された印刷用紙が排出される排紙口6が設けられている。
ラインプリンタ1の内部には、各種の機能を実行する複数のユニットあるいは部品が搭載されている。先ず、ラインプリンタ1のほぼ中央の位置には、印刷用紙にインクを噴射するヘッドユニット30が設けられており、ヘッドユニット30の下方には電源ユニット70が設けられている。ヘッドユニット30の内部には、インクを収納したインクカートリッジが装着されており、ヘッドユニット30の底面側からインクを噴射して印刷用紙上に画像を印刷することが可能となっている。
図1の紙面上で、ヘッドユニット30の左下の位置には、印刷用紙が装填される給紙カセット10が設けられており、給紙カセット10の右端の上面に接する位置に、給紙ローラ20が設けられている。更に、給紙ローラ20の奥側には給紙モータ22が接続されている。給紙モータ22を駆動して給紙ローラ20を回転させると、給紙カセット10から印刷用紙が1枚、ヘッドユニット30に向かって搬送され、ヘッドユニット30の下面を通過する際に、インクが噴射されて画像が印刷される。図1では、印刷用紙の搬送経路が太い破線で示されている。印刷用紙は、画像が印刷された後は、一旦、下方に搬送された後、排紙口6から排出される。
紙面上で、ヘッドユニット30の右側の領域は、空きスペースとなっており、この空きスペースの下方には、キャップ部40や、吸引ポンプ50、廃液タンク52などが設けられている。また、モニタパネル2や操作パネル3が設けられている部分の直ぐ下の位置には、ラインプリンタ1の各種の動きを制御する制御ユニット80が搭載されている。
図2は、本実施例のラインプリンタ1の詳細な構造を示す説明図である。図2では、ラインプリンタ1を正面側から見た時の内部の様子が概念的に示されている。以下では、図2を参照しながら、ラインプリンタ1に搭載された各ユニットおよび部品の動作について説明する。先ず、給紙カセット10には、複数枚の印刷用紙が装填される。給紙カセット10に装填された印刷用紙はバネ12によって押し上げられて、上方に設けられた給紙ローラ20に押し付けられている。給紙ローラ20は、金属製の細長い円柱を長さ方向に半分に割って形成した略半円形断面の細長い部材であり、円周部分に対応する側面はゴム材料によって形成されている。この給紙ローラ20の一端には給紙モータ22が接続されており、給紙モータ22によって給紙ローラ20を回転させることによって、給紙カセット10から印刷用紙を1枚だけ、ヘッドユニット30に向かって送り出すことが可能となっている。
給紙ローラ20とヘッドユニット30との間には、複数のガイドローラ26が設けられている。ガイドローラ26は、図示しないモータによって駆動されて回転することにより、印刷用紙をガイドしながら、ヘッドユニット30へと搬送する。
ヘッドユニット30は、印刷用紙の搬送経路上に、印刷用紙を跨ぐような状態で設けられており、ヘッドユニット30の底面側(すなわち、印刷用紙に面する側)には、インクを噴射する複数の噴射ヘッドが設けられている(図3を参照)。また、ヘッドユニット30の内部には、シアンインク(Cインク)、マゼンタインク(Mインク)、イエロインク(Yインク)、黒インク(Kインク)の4種類のインクを収容したインクカートリッジが搭載されている。これらインクカートリッジ内に収容されたインクが、ヘッドユニット30の下面側に設けられた複数の噴射ヘッドから噴射される。
図3は、ヘッドユニット30の底面の形状を示す説明図である。図3(a)には、ヘッドユニット30を底面側(印刷用紙に面した側)から見たときの状態が示されている。また、図3(b)には、図3(a)中で矢視Pと示した方向から見たヘッドユニット30の底面の形状が示されている。図3(a)に示されるように、本実施例のヘッドユニット30の底面には、略矩形形状をしたノズルユニット32が、6つずつを一組として4組(合計24個)設けられている。また、各組の6つのノズルユニット32は、3つずつ二列に並べられるとともに、互いの列のノズルユニット32が互い違いとなるように配列されている。更に、各ノズルユニット32には、インクを噴射する複数の噴射ノズルが列状に設けられている。このようなノズルユニット32が互い違いに配列されることにより、6つのノズルユニット32が一体となって1つの噴射ヘッド34を構成している。上述したように、本実施例のヘッドユニット30には、24個のノズルユニット32が設けられているから、結局、4つの噴射ヘッド34が設けられており、各噴射ヘッド34が、Yインクを噴射する噴射ヘッド34y、Mインクを噴射する噴射ヘッド34m、Cインクを噴射する噴射ヘッド34c、Kインクを噴射する噴射ヘッド34kとなっている。
また、図2に示されるように、ヘッドユニット30の下方には、ヘッドユニット30の底面に向かい合うようにして、プラテン24と呼ばれる平坦な部分が設けられている。給紙ローラ20およびガイドローラ26によって搬送されてきた印刷用紙は、プラテン24の上に供給され、プラテン24の上を搬送されながら、ヘッドユニット30の底面の噴射ヘッドからインクが噴射されて、画像が印刷されていく。こうして画像が印刷された印刷用紙は、プラテン24の下流側に設けられたガイドローラ26によって、進行方向を、下方に曲げられた後、廃液タンク52の下側を通って、排紙口6からラインプリンタ1の外部に排出される。
また、前述したように、図2の紙面上で、ヘッドユニット30の右側(印刷用紙の搬送方向から見て下流側)は空きスペースとなっており、この空きスペースの下方には、キャップ部40が設けられている。
図4は、キャップ部40の大まかな形状を示した説明図である。図示されるように、キャップ部40は略矩形の板状の形状をしており、キャップ部40の上面には、ヘッドユニット30の底面に設けられたそれぞれの噴射ヘッドに対応する位置に、インクを受ける凹部42が設けられている。図3に示したように、本実施例のヘッドユニット30には、4つの噴射ヘッドが設けられており、このことに対応して、キャップ部40の上面には4つの凹部42が設けられている。また、それぞれの凹部42内の底部には、2箇所に通路の開口部44が設けられている。開口部44から延びる通路は、キャップ部40の内部で、凹部42毎に合流した後、キャップ部40の裏面側から、それぞれ吸引ポンプ50に接続されている。
また、キャップ部40の上面側はゴム材料で形成されている。従って、図2中に斜線を付した矢印で示したように、ヘッドユニット30をスライドさせて、キャップ部40の上方まで移動させた状態で、キャップ部40を上昇させると、キャップ部40の上面をヘッドユニット30の底面に密着させて、噴射ヘッド34c,34m,34y,34kを、それぞれ凹部42で覆っておくことができる。噴射ヘッドを凹部42で覆っておけば、噴射ノズルからインクが乾燥して増粘することを抑制することが可能である。更に、ヘッドユニット30の底面にキャップ部40を押し付けた状態で吸引ポンプ50を駆動させると、凹部42の中が負圧となり、各噴射ヘッド34からインクを強制的に吸い出すクリーニング動作が行われる。また、吸い出されたインクは、廃液タンク52に捨てられる。クリーニング動作については、後ほど詳しく説明する。
また、クリーニング動作は、吸い出されたインクが凹部42の内側に付着した状態となっている。この状態で放置すると、付着したインクが乾燥する。このため、印刷を行わない間はヘッドユニット30の底面にキャップ部40の上面を押し付けて、ヘッドユニット30内のインクの増粘を抑制しようとしても、凹部42内の乾燥したインクが、噴射ノズル内のインクから水分を奪うこととなって、却ってインクの増粘を促進してしまう。そこで、図3に示されるように、本実施例のヘッドユニット30の底面には、クリーニング動作後に凹部42内に付着したインクを除去するためのインク除去部60が設けられている。インク除去部60の詳細については、後ほど詳しく説明するが、その準備として、本実施例のラインプリンタ1で行われるクリーニング動作について簡単に説明しておく。
B.クリーニング動作 :
図5は、本実施例のラインプリンタ1がクリーニング動作を行う様子を概念的に示した説明図である。図2を用いて前述したように、本実施例のラインプリンタ1でクリーニング動作を行うにあたっては、先ず始めに、ヘッドユニット30をスライドさせて、キャップ部40の上まで移動させる。図5(a)には、ヘッドユニット30をキャップ部40の位置まで移動させる様子が示されている。尚、ヘッドユニット30をスライドさせるに際しては、ラインプリンタ1に内蔵したアクチュエータの動力を使用しても良いが、手動によってスライドさせるようにしても良い。
ヘッドユニット30をキャップ部40まで移動させた後、キャップ部40を上昇させる。キャップ部40の上面には、各噴射ヘッド34y,34m,34c,34kに対応する位置に凹部42が設けられており、キャップ部40を上昇させると、この凹部42が押し付けられて、各噴射ヘッド34y,34m,34c,34kの噴射ノズルが密閉された状態となる。
図5(b)には、キャップ部40が上昇することにより、ヘッドユニット30の底面側に設けられた各噴射ヘッド34y,34m,34c,34kが、キャップ部40の凹部42によって密閉される様子が示されている。この状態で、吸引ポンプ50を作動させる。すると、凹部42の内部が負圧になって、各噴射ヘッド34y,34m,34c,34kの噴射ノズルから強制的にインクが吸い出される。吸い出されたインクは、凹部42に開口したチューブ46を介して吸引ポンプ50内に流入し、吸引ポンプ50から廃液タンク52へと排出される。
このようなクリーニング動作を実行することにより、各噴射ヘッド34y,34m,34c,34kの内部でインクの粘度が増加して、適切にインクを噴射することができなくなる事態を未然に回避することが可能となる。また、一定量のインクを吸い出したら、キャップ部40を降下させる。図5(c)には、クリーニング動作の終了後、キャップ部40を降下させている様子が示されている。キャップ部40を降下させるに際しては、凹部42にインクが満たされた状態で降下させても良いが、凹部42に満たされたインクがこぼれることを避けるために、図示しない大気開放バルブを開いて凹部42内に空気を吸い込みながら、吸引ポンプ50を用いて凹部42内からインクを吸い出した後に、キャップ部40を降下させることとしても良い。
図6は、クリーニング動作を行った後の凹部42の内部を概念的に示した説明図である。上述したように、クリーニング動作中は、凹部42がインクで満たされているから、クリーニング動作後は、凹部42の内側にインクが付着した状態となっており、付着したインクは、いくら吸引ポンプ50を作動させても吸引することは困難である。図6中に破線で示した矢印は、吸引ポンプ50を作動させることによって、空気が吸い込まれる様子を表している。このように、凹部42の内側に付着したインクは、吸引ポンプ50では吸引が困難である。だからといって、そのまま放置しておくと、付着したインクが凹部42内で乾燥し、そのような凹部42で噴射ヘッド34を覆うと、乾燥したインクが噴射ノズル内のインクから水分を奪って噴射ヘッド34内のインクの増粘を促進してしまう。そこで、こうした事態を回避するために、本実施例のラインプリンタ1は、ヘッドユニット30に設けられたインク除去部60を用いて、凹部42の内側に付着したインクを除去することが可能となっている。
C.凹部内インクの除去方法 :
図3に示したように、ヘッドユニット30の底面には、略矩形形状のインク除去部60が設けられている。このインク除去部60の形状は、キャップ部40に設けられた凹部42とちょうど同じ大きさに形成されている。また、図7は、ヘッドユニット30の側方からインク除去部60の形状を拡大して示した説明図である。図示されるように、インク除去部60は、カムなどのアクチュエータ62によって駆動されて、ヘッドユニット30の底面に対して突出させたり、後退させたりすることが可能に形成されており、通常時には、ノズルユニット32とほぼ同じ面まで後退した状態となっている。
図8は、本実施例のインク除去部60を用いて、凹部42内に付着したインクを除去する様子を示した説明図である。凹部42内に付着したインクを除去するに際しては、先ず始めに、インク除去部60を凹部42の上まで移動させる。この段階では、インク除去部60は、ノズルユニット32とほぼ同じ面まで後退した状態となっている。インク除去部60を凹部42の上まで移動させたら、インク除去部60を突出させる。図8(a)には、凹部42の上まで移動させた後、インク除去部60を突出させた様子が示されている。
この状態からキャップ部40をゆっくりと上昇させる。上述したように、インク除去部60の大きさは、キャップ部40の凹部42とちょうど同じ大きさに形成されている。このため、キャップ部40を上昇させるに従って、インク除去部60が凹部42内に挿入され、凹部42の内面に付着したインクがインク除去部60によって掻き落とされる。図8(b)には、インク除去部60が凹部42内に挿入されることによって、凹部42の内側に付着したインクが掻き落とされた楊子が示されている。このようにインクを掻き落としてしまえば、凹部42の内側に付着したインクを吸引ポンプ50によって吸引することが可能となる。
尚、掻き落とされたインクが開口部44の周囲に集まるように、インク除去部60の底面側あるいは、開口部44の周囲の形状を変更しても良い。図9には、インク除去部60の底面を、掻き落とされたインクが開口部44の周囲に集まるような形状に形成した一例が示されている。図示した例では、開口部44に対応する部分のインク除去部60の底面に、インク溜部64が設けられている。このため、図9(a)のように、インク除去部60を凹部42内に挿入することで、凹部42の内側に付着していたインクを掻き落とした後、図9(b)に示すように、開口部44の周囲に集めることができる。このように、インクを開口部44の周囲に集めておけば、より確実に吸引ポンプ50で吸引することが可能となる。もちろん、インク除去部60にインク溜部64を設ける代わりに、開口部44の周囲を窪ませることによってインク溜部64を形成しても良い。
あるいは、図9(c)に示されるように、インク溜部64に通じる空気通路36を設けておき、インク除去部60を凹部42に挿入して、インクがインク溜部64に集められたそのままの状態で、吸引ポンプ50を用いてインクを吸引可能としても良い。こうすれば、より一層確実に、インクを吸引することが可能となる。
また、キャップ部40の凹部42内には、吸収マット48が設けられることも多い。吸収マット48は、多孔性の材料で形成されており、インクを一時的に吸収して蓄えておく機能を有している。このため、凹部42に吸収マット48を設けておくことで、凹部42に噴射されたインクが凹部42からこぼれ出ることを防止することができる。もっとも、吸収マット48に吸収されたインクも次第に乾燥するので、そのままに放置しておくと、上述した機能が低下する虞がある。そこで、インク除去部60で吸収マット48を押し潰し、吸収マット48に吸収されていたインクを絞り出すようにしてもよい。
図10には、吸収マット48に吸収されたインクをインク除去部60で絞り出して吸引する様子が示されている。図10(a)に示されているように、インク除去部60を凹部42の上に移動させた状態で、キャップ部40を上昇させることにより、凹部42内に設けられた吸収マット48を押し潰すことができる。その結果、図10(b)に示すように、吸収マット48に吸収されていたインクが絞り出されるので、吸引ポンプ50を用いてインクを吸引することが可能となる。このようにすれば、吸収マット48に吸収されたインクが固化して吸収マット48を目詰まりさせ、インクが吸収できなくなる虞を回避することが可能となる。
D.変形例 :
上述した本実施例のインク除去部60には変形例が存在している。以下では、本実施例の変形例について簡単に説明する。
上述した実施例では、インク除去部60は1種類のみであるものとして説明した。しかし、凹部42内に挿入される端面側(底面側)の形状が異なる複数種類のインク除去部60を設けておき、これらを切り換えて、凹部42内のインクを吸引するようにしても良い。
図11は、端面形状の異なる複数のインク除去部60を用いて凹部42内のインクを吸引する変形例を示した説明図である。先ず初めは、図11(a)に例示したインク除去部60を凹部42内に挿入することで、主に凹部42の側面に付着したインクを掻き落としてやる。次に、図11(b)に例示したインク除去部60を凹部42内に挿入することで、掻き落としたインクを、開口部44の方向に少し移動させる。そして最後に、図11(c)に例示したインク除去部60を凹部42内に挿入して、インクを開口部44の周囲に集めてやる。こうすれば、たとえ、凹部42内のインクの増粘が進んでしまった場合でも、少しずつインクを移動させて開口部44の周囲に集めることができるので、インクを吸引して処理することが可能となる。
以上、本実施例の印刷装置について説明したが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上述した実施例では、ヘッドユニット30は移動せずに、印刷用紙が搬送されることによって画像が印刷される所謂ラインプリンタについて説明した。しかし、印刷用紙上でノズルユニット32を往復動させながら画像を印刷する所謂シリアルプリンタに対しても、同様に適用することができる。
また、上述した実施例では、インク除去部60がヘッドユニット30に組み込まれているものとして説明した。しかし、インク除去部60は、必ずしもヘッドユニット30に組み込む必要はなく、ヘッドユニット30と別体に設けても良い。
更に、上述した実施例では、キャップ部40に設けられた凹部42内のインクを吸い出す場合について説明した。しかし、キャップ部40の凹部42に限らず、フラッシング受けに設けられた凹部内のインクを吸い出す場合にも同様に適用することができる。
加えて、上述した実施例では、主にキャップ部40を上昇させることによって、インク除去部60を凹部42に挿入するものとして説明した。しかし、キャップ部40側は上昇させずにインク除去部60を降下させることによって、凹部42内に挿入するようにしても良い。
ラインプリンタを例に用いて本実施例の流体噴射装置の大まかな構造を示した説明図である。 本実施例のラインプリンタの詳細な構造を示す説明図である。 ヘッドユニットの底面の形状を示す説明図である。 キャップ部の大まかな形状を示した説明図である。 本実施例のラインプリンタがクリーニング動作を行う様子を概念的に示した説明図である。 クリーニング動作を行った後の凹部の内部を概念的に示した説明図である。 ヘッドユニットの側方からインク除去部の形状を拡大して示した説明図である。 本実施例のインク除去部を用いて凹部内に付着したインクを除去する様子を示した説明図である。 インクを開口部の周辺に集めるためのインク溜部がインク除去部の底面に設けられた態様を例示した説明図である。 凹部内に設けられた吸収マットをインク除去部で押し潰すことにより、吸収マット内のインクを絞り出して吸引する態様を例示した説明図である。 端面形状の異なる複数のインク除去部を用いて凹部内のインクを吸引する変形例を示した説明図である。
符号の説明
1...ラインプリンタ、 2...モニタパネル、 3...操作パネル、
6...排紙口、 10...給紙カセット、 20...給紙ローラ、
24...プラテン、 26...ガイドローラ、 30...ヘッドユニット、
32...ノズルユニット、 34...噴射ヘッド、 36...空気通路、
40...キャップ部、 42...凹部、 44...開口部、 46...チューブ、
48...吸収マット、 50...吸引ポンプ、 60...インク除去部、
62...アクチュエータ、 64...インク溜部、 70...電源ユニット、
80...制御ユニット

Claims (3)

  1. 媒体上に流体を噴射する流体噴射装置であって、
    前記流体を噴射する噴射ノズルが設けられた噴射ヘッドと、
    前記噴射ヘッドに対して相対位置を変更可能に構成されるとともに、該噴射ヘッドから噴射された流体を受ける凹部が形成された流体受け部と、
    前記流体受け部の凹部の底部に設けられた開口部に接続されて、該凹部内の流体を該開口部から吸引する流体吸引手段と、
    前記噴射ヘッドとは異なる位置に設けられて、前記流体受け部の前記凹部内に挿入されることで、該凹部内の流体を前記開口部の方向に押し出す流体押出部と
    を備える流体噴射装置。
  2. 請求項1に記載の流体噴射装置であって、
    前記流体押出部を、通常位置と該通常位置よりも突出した突出位置とに切り換える切換手段を備え、
    前記流体押出部は、前記突出位置に切り換えられた状態で、前記流体受け部の前記凹部内に挿入される押出部である流体噴射装置。
  3. 請求項1に記載の流体噴射装置であって、
    前記凹部内に挿入される側の端面形状が異なる複数の前記流体押出部を備え、
    前記流体押出部は、前記端面形状が異なる前記流体押出部を切り換えて前記凹部内に挿入することで、該凹部内の流体を前記開口部の方向に、段階的に押し出す押出部である流体噴射装置。
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