JP2010010834A - 変換素子およびその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板上に直線を含む形状の開口部を形成し、振動膜を接合してキャビティを形成する変換素子では、振動膜の劈開による歩留まりの低下が懸念される。
【解決手段】 本発明は、最も劈開しやすい面が振動膜表面に現れてなす直線の方向と、キャビティパターンを構成する直線の方向とを一致させないように接合することで、振動膜の劈開の発生を低減する変換素子を提案する。
【選択図】 図6

Description

本発明は変換素子およびその製造方法に関する。
近年、マイクロマシンニングを用いた変換素子の研究が盛んに行われている。中でも、容量型の超音波トランスデューサは、振動膜を用いて、超音波を送受信し、液中および空中において広帯域特性が容易に得られるとして注目されつつある。
特許文献1には、2枚のウェハを貼り合わせて形成される容量型超音波トランスデューサ及びその製造方法が記載されている。特許文献1では、シリコンの支持基板上に、酸化シリコン層を形成し、これをエッチングして酸化シリコン層の壁をパターニングする。さらにこの酸化シリコン層とSOIウェハのデバイス層とを接合して、空隙であるキャビティを形成する。SOIウェハとはシリコン基板(以下、「ハンドル層」という)と単結晶シリコン薄膜である表面シリコン層(以下、デバイス層という)との間に酸化膜(以下、「BOX層」という)を挿入したウェハである。その後、SOIウェハのハンドル層およびBOX層を除去する。これによりシリコンの支持基板上に酸化シリコン壁をスペーサとしてSOIウェハのデバイス層(振動膜)が支持された容量型超音波トランスデューサが完成する。このSOIウェハのデバイス層である単結晶シリコン薄膜を振動膜として用いた超音波トランスデューサは、残留応力のばらつきを低減し、均一な特性の振動膜を形成することが可能であるとしている。
米国特許第6,958,255号公報
容量型超音波トランスデューサは、キャビティの形成部(すなわち振動膜の可動部分)の素子表面に占める割合が大きく、素子一単位あたりの出力が均一であることが好ましい。これは素子の有効面積が大きくなり、超音波の送信の信号強度及び受信の感度が高くなるからである。そのため、振動膜との接合面におけるキャビティの形状としては、面内に同一の図形を密に敷き詰め可能な形状であることが多く、前記接合面におけるキャビティの辺として直線を含むことが多い。
しかしながら、特許文献1の変換素子である容量型超音波トランスデューサは、使用する単結晶シリコン薄膜が劈開性をもつ。振動膜は超音波を受信、送信する際に振動し、支持部のエッジ上で振動膜はせん断応力及び引っ張り応力を受ける。支持部のエッジが直線状で、そのエッジ上に沿って最も劈開しやすい面が存在する場合、一定以上のせん断応力が作用すると、振動膜が劈開しやすい。また、最も劈開しやすい面に沿ってせん断応力が作用する場合以外でも、素子を被検体に押し当てて使用する際など、最も劈開しやすい面に受ける引っ張り応力の大きさによっては、振動膜が劈開する可能性がある。さらに、キャビティ内部を大気圧より低い圧力となるように作製した場合、この容量型超音波トランスデューサを大気中に置くと、振動膜は圧力差によりキャビティ内側に撓む。この場合、使用時以外でも、振動膜は支持部のエッジ上でせん断応力及び引っ張り応力を受けるため、製造時の歩留まりが低下するという課題がある。
そこで、本発明は、製造時及び使用時に、劈開性を有する振動膜が破損しにくい変換素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明は、少なくとも、劈開性を有する振動膜と、前記振動膜と接合され前記振動膜との間に空隙が形成されるように設けられた支持部と、を有する変換素子であって、
前記支持部は、直線状のエッジを有し、
前記エッジの方向と前記振動膜の劈開方向とが交差していることを特徴とする変換素子である。
本発明によれば、劈開性を有する振動膜の破損の確率を低減することで、製造時の歩留まりを高め、使用時にも壊れにくい変換素子を提供することが可能になる。
単結晶薄膜は特定の面方位に加工されているが、結晶構造があることにより特定の方向に割れ易い性質を持つものもある。本発明においては、このように特定に方向に割れやすい性質を劈開性と呼び、振動膜は劈開性を持つ単結晶薄膜を用いることを前提とする。例えばシリコンをはじめとするダイヤモンド構造の結晶では原子の最密面と最密面との間が最も原子の結合が弱い(原子間力が弱い)ため、この面に沿って劈開しやすい。特に、劈開面に垂直に引っ張り応力が作用している場合は、小さなせん断応力でも劈開が発生しやすい。本明細書では、振動膜の断面のうち、この劈開しやすい面を「最も劈開しやすい面」と表記する。また、この最も劈開しやすい面が、振動膜表面に現れてなす直線の方向を「劈開方向」と表記する。本発明では、この劈開方向と、せん断応力の作用する支持部のエッジ方向との関係に着目した。また振動膜表面において、劈開のしやすさに寄与する応力成分であると考えられる、劈開方向に対して垂直な方向に働く引っ張り応力成分に着目した。
(変換素子の形態)
以下では、本発明が適用可能な変換素子である容量型超音波トランスデューサの形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の変換素子としては、容量型超音波トランスデューサに限られず、同様な構造をもつものであれば本発明を適用できる。例えば、歪み、磁場、光による検出方法を用いる超音波トランスデューサや、圧力センサのようなキャビティ構造を備えた容量検出型センサも本発明と同様の構造である。
図1は容量型超音波トランスデューサを模式的に示した図である。図1(a)は容量型超音波トランスデューサの構成を示した分解斜視図である。支持部101は凹部を設けられており、この支持部101に振動膜102が接合されることで空隙であるキャビティ111を形成している(図1(b))。
図1(a)において、支持部101は振動膜との接合面にて4本の直線1111、1112、1113、1114で囲まれる形状を形成し、振動膜102が接合されることによりキャビティ111を形成する。本発明において、これら1111〜1114を「支持部のエッジ」と定義し、この支持部のエッジが示す方向を「エッジの方向」と定義する。また、振動膜と支持部との接合面におけるキャビティの形状を「キャビティパターン」と定義する。つまり、「支持部のエッジ」とは、支持部と振動膜との接合面において支持部を構成する直線であり、同時に、キャビティパターンの辺である。キャビティパターンの辺が直線だけでなく曲線も含む場合、エッジの方向としては、直線状のエッジの方向のみを示すものとする。
また、図1(a)において、直線1021、1022の方向が、上記した劈開方向である。
ここで、エッジの方向である1111、1112、1113、1114の方向と、劈開方向である1021、1022の方向との間の角度に着目する。
図1(c)はキャビティパターンの模式図であり、1111、1112、1113、1114は支持部のエッジである。エッジの方向同士のなす角度を示すため、便宜的に全てのエッジが非平行である図を用いて説明する。直線1111と直線1113の延長線の交点を点Eとする。また直線EBの延長線上に点Fを置く。以下では直線1111の方向を、エッジの方向の基準方向として説明を行う。∠CBF、∠DAB、∠DEBは直線1111と直線1112、1113、1114との間の角度を示し、図1(c)に示すように、∠CBF=γ1、∠DAB=γ2、∠DEB=γ3とする。なお、直線1111は基準方向を表すため、角度は0度である。
図1(d)は、振動膜の劈開方向を表す模式図である。劈開方向を、直線1021および直線1022の方向として示し、劈開方向の基準となる方向を直線1021の方向として説明する。図1(d)に示すように、直線1021と1022との振動膜102表面上での角度はそれぞれ、0度、θ度となる。直線の本数(劈開方向の数)および、基準方向1021との角度は、使用する振動膜の結晶構造と面方位により一意に決定される。
図1において、キャビティ111の内部が大気圧より低い圧力となるように作製した場合、振動膜はキャビティのエッジ上で膜の厚み方向へせん断応力の作用を受ける。単結晶振動膜はせん断降伏応力の異方性を持ち、最も劈開しやすい面と平行な方向へのせん断応力の作用に対して、極端に弱い。エッジ方向と劈開方向が交差していない場合、せん断応力が、劈開方向に沿って作用するため、振動膜の劈開による破壊が発生しやすくなる。
ここで、エッジの方向の基準となる直線1111の方向に対して、劈開方向の基準となる直線1021の方向がφずれている場合を考える。表1に直線1111の方向に対して直線1021の方向がφずれている時の、直線1111、1112、1113、1114の方向に対する直線1021および1022の方向の角度を示す。
Figure 2010010834
本発明は、劈開方向に沿ってせん断応力が作用することを防止するため、劈開方向とエッジ方向が交差する(表1の値がゼロにならない)ように配置することを特徴とする。
劈開方向に沿ってせん断応力が作用するのを防止するためには、劈開方向とエッジ方向とが5度以上の角度で交差することが好ましい。
また、単結晶振動膜は劈開方向に垂直な方向に引っ張り応力を受けながら、せん断応力を与えられると、劈開しやすくなるという特性を持つ。図1において、キャビティ111の内部が大気圧より低い圧力となるように作製した場合、図1(b)のように、キャビティ111の内外を隔てる振動膜102は圧力差に起因する力の作用を受け内側に撓む。振動膜は、自身が撓むことで、支持部のエッジ1111、1112、1113、1114と接する領域で、エッジの方向と直交する方向に引っ張り応力を受ける。また、キャビティ内外で圧力差がない場合でも、駆動時に振動膜が振動することにより、支持部のエッジ上で引っ張り応力を受ける。これらエッジの方向のうち少なくとも1つの方向と、劈開方向である直線1021または1022の少なくとも1つの方向とが平行(角度=0度)である場合には、引っ張り応力の作用する方向と劈開方向が直交し、劈開方向に作用する引っ張り応力成分が最大になる。
一般的に、劈開方向に垂直な方向に受ける引っ張り応力が大きいほど、劈開に必要なせん断応力は小さい。つまり、エッジ上に働くせん断応力の大きさが同じでも、劈開方向に垂直な方向に受ける引っ張り応力成分が大きいほど劈開しやすい。最も劈開しやすい面と引っ張り応力の作用する面が異なる場合、振動膜内で劈開方向に直交する方向に作用する引っ張り応力は、前記引っ張り応力のうち、エッジの方向と振動膜の劈開方向とのなす角度に応じた成分(コサイン成分)である。従って、引っ張り応力の全てが劈開方向に直交する方向に作用することはないため、結晶の劈開が発生しにくくなる。
以上より、本発明では、支持部のエッジの方向と、劈開方向とを交差させる(一致させない)。すなわち、エッジの方向と劈開方向とがなす角度を、0度でない角度となるよう、振動膜102を支持部101に接合することで、振動膜の破損の発生を抑制する。
本発明に用いられる振動膜としては劈開性を有する単結晶薄膜を前提としており、具体例としてシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ダイヤモンド(C)などのダイヤモンド構造を持つ単結晶半導体が挙げられる。また、GaAs、InP等のIII−V族半導体や、II−VI族半導体のようなセン亜鉛鉱型構造を持つ単結晶半導体でもよく、酸化物単結晶でもよい。また振動膜は、以上のような劈開性を有するもののうち、一種類の材料から形成されてもよいが、2種類以上の材料で形成されていてもよい。
振動膜の厚さは所望の周波数帯域によって適宜選択される。振動膜の厚さは求める周波数とヤング率や密度等の関係から求められる。具体的には超音波トランスデューサとしては0.1MHz以上20MHz以下の周波数帯域が望まれることから、振動膜の厚さは10nm以上5000nm以下が好ましく、20nm以上3000nm以下がより好ましく、30nm以上1000nm以下の範囲が最も好ましい。
振動膜の劈開方向は、用いる振動膜の材料によって異なるが、ダイヤモンド構造を持つ単結晶の場合、{111}面が最も劈開しやすい面である。ここで、結晶の面の表し方としては、結晶構造の対称性により(100)面と等価となる面をまとめて{100}面として示す。また、結晶の方向は<100>のように表し、これは[100]に代表され、結晶構造の対象性により[100]方向と等価となる方向をまとめて<100>方向として示す。ダイヤモンド構造の単結晶を{100}面でカットした単結晶薄膜を振動膜として用いる場合、劈開方向は<110>方向として直交する2つの等価な方向が振動膜表面に現れる。{111}面でカットした場合は、劈開方向は同じように<110>方向として現れるが、劈開方向は3つの等価な方向として現れる。振動膜表面への劈開方向の現れ方は、どの面でカットするか(つまり、振動膜がどの面を有するか)により異なり、材料及び振動膜の有する面方位により一意に決定する。
支持部の材料としては、シリコン基板などの半導体基板や石英基板などの絶縁性の基板があげられる。
また、キャビティは、支持部と振動膜との間に形成されていればよく、支持部と振動膜との間(支持部上)に絶縁層が形成されていてもよい。また、本実施形態では支持基板に凹部を形成することにより支持部となっているが、支持基板の上に絶縁体で振動膜を支持するような壁を設けた場合も支持基板と絶縁体の壁とで支持部を構成しているものとする。
キャビティパターンとしては、四角形に限定されず、三角形や正六角形等の多角形、多角形の角をとって角を丸くしたような形状でもよいが、同一平面状に密に敷き詰めやすい図形であることが好ましく、正方形や長方形、正六角形が特に好ましい。
また、図1(e)は複数のキャビティを備えた素子の模式図である。図1(a)では一つのキャビティを備える構成を示したが、図1(e)のように数多くのキャビティが並ぶ構成としてもよい。
ただし、複数のキャビティを有する場合、本発明は、必ずしも全てのキャビティが、エッジの方向と劈開方向とが交差している必要はない。配線のデザインやスペースの制約上等の理由から、エッジの方向が劈開方向と平行なキャビティを一部含んでいても許容できるものとする。本発明者らの知見によれば、キャビティを複数有する場合、80%以上のキャビティが本発明を満たしていれば、残りのキャビティがある程度破れやすい構造であっても素子全体として歩留まりは向上すると考えられる。
上述の実施形態では、エッジの方向の基準線1111と、振動膜の劈開方向の基準線1021の角度を調整することで、劈開方向に沿ってせん断応力が作用することを防止する。また同時に、支持部のエッジ上において振動膜に作用する、引っ張り応力のうち、劈開方向に直交する成分の最大値を低減する。以下では、劈開方向に直交する方向に作用する引っ張り応力の低減について、さらに説明する。
エッジの方向と劈開方向との角度をαとすると、α=0度の時、支持部のエッジ上で作用する引っ張り応力が、振動膜102の劈開方向に直交する方向に作用することを意味する。引っ張り応力の、劈開方向に垂直な方向成分は、α=0度の時を最大として、引っ張り応力のCosα倍となる。同様に、エッジの方向を表す基準線1111に対して劈開方向を表す基準線1021がφずれている場合を考える。この場合、直線1111、1112、1113、1114上において作用する引っ張り応力の劈開方向に垂直な方向成分の大きさを、引っ張り応力の大きさで正規化すると表2のようになる。そこで、支持部のエッジ上において作用する引っ張り応力の、劈開方向に垂直な方向成分を低減するため、表2における全項目中の最大値を基準値とし、φは該基準値を小さくする角度とすることが好ましい。
Figure 2010010834
ただし、エッジの方向と劈開方向との角度を変えても、支持部のエッジ上で振動膜が受ける引っ張り応力の大きさ自体は変わらない。本実施形態は、振動膜上で劈開方向に直交する方向に作用する引っ張り応力成分の最大値を小さくする方法であるといえる。
振動膜が劈開方向に垂直な方向に受ける力は小さいほうが好ましい。本実施形態において、劈開方向とエッジの方向とがなす全ての角度のコサイン値の絶対値のうち最大値となるものを基準値とする。エッジ方向と劈開方向とのなす角度を変化させると表2の各項目の値が変化する。また、エッジの方向と劈開方向とのなす角度の変化により基準値をとる項目も変化し得る。(つまり、φを変化させることで基準値は複数得られる。)この変化する基準値が最も大きくなる時が最も劈開しやすい場合である。逆に基準値が最も小さくなる時が最も劈開しにくい場合である。ここで、基準値が最小をとる時のφ値をφminとする。φは、基準値が最も大きくなるようなφ値としないことで振動膜の劈開する確率は低下できるが、φ=φmin±10度の範囲であると劈開方向に垂直な方向に作用する引っ張り応力はより小さくなるため好ましい。また、φ=φminとすることで、劈開方向に垂直な方向に作用する応力が最も小さくなる。
本実施形態によれば、引っ張り応力のうち、劈開方向に垂直な方向に作用する成分の最大値を低減することで、振動膜の破損を抑制することが可能になる。
前記の実施形態では劈開方向を表す直線の本数が2本となるような面方位の単結晶について説明を行ったが、本発明の範囲はこれに限られるものではない。あらゆる面方位を持つ単結晶薄膜を用いて振動膜を構成可能である。また、本発明は任意のキャビティパターンについても適用可能である。
(一般化した実施形態)
以下では、一般化した例を用いて、振動膜の劈開方向に垂直な方向に作用する引っ張り応力の低減について、さらに説明する。支持部のエッジはm本の直線で構成され、振動膜上には劈開方向がn本の線として現れる。エッジの方向の基準となる直線と、劈開方向の基準となる直線との間の角度はφになっている。エッジの方向を表す直線の第i番目と、劈開方向を表す直線の第j番目とのなす角の大きさをαijとし、そのコサインの絶対値のうちで最大値となる(すなわち最も劈開しやすい)値を基準値とする。該基準値をとる時のi、jの値をi=a、j=bとする。また、この時の二直線間の角度をαabと定める。αabを構成する2本の直線について考えると、支持部のエッジのうちa番目の直線上で、劈開方向のb番目の線に作用する引っ張り応力の劈開方向に垂直な方向の成分は、全ての劈開方向を表す直線上の中で最も大きくなる。すなわちb番目の直線上は、応力低減効果の最も低い(すなわち最も劈開しやすい)箇所であり、この時の引っ張り応力の低減効果Rは以下の式で表される。
R=(1−|Cosαab|)×100(%)
この応力低減効果Rが、最も大きくなるよう角度φを定めて振動膜を固定することで、最も劈開しやすい面に作用する力の成分を最も小さくできる。
(作製方法)
次に、本発明が適用可能な変換素子である容量型超音波トランスデューサの製造方法の一例について説明する。図2(a)〜(c)は作製プロセスを示す模式図である。また、図3は作製手順のフローチャートである。
図2(a)は支持部となる加工前の支持基板100である。本実施形態では、支持基板100のみで支持部を構成する。図2(b)では、支持基板100の片面に、所定のキャビティパターンでフォトリソグラフィ(工程201)を行う。次にフォトリソグラフィで残った部分をマスク103として支持基板100の一部を除去し、支持基板100は支持部101となる(工程202)。さらに、図2(c)では支持基板上のマスクを除去し(工程203)、振動膜102となる単結晶薄膜を、支持部101上面に接合する(工程204)。なお、工程204は振動膜を支持部に接合する際、キャビティの基準となる辺(支持部のエッジ)の方向をもとに単結晶薄膜の方向を定めるアライメント工程2041を備える。また、支持部101と単結晶薄膜とを接合する工程2042を備える。アライメント工程2041では支持部のエッジの方向と、劈開方向とが非平行になる(すなわち交差する)ように方向を調整している。方向の調整方法の詳細は下記の実施例において述べる。
本作製方法は、振動膜となる単結晶薄膜の劈開方向をエッジの方向に対して調整するアライメント工程2041を備える。本発明の特徴は単結晶薄膜の劈開方向と、支持部のエッジ方向とを交差するように(非平行に)配置することで、劈開方向に沿ってせん断応力が作用するのを防ぐ。また、支持部のエッジ上で作用する引っ張り応力の方向を劈開方向に直交する方向からずらす。このように作製することで、振動膜が破損する確率の低下することができる。
以下、具体的な実施例を用いて、引っ張り応力の方向の観点から、振動膜とキャビティパターンの関係について更に説明する。
(正方形のキャビティパターン)
実施例1では、振動膜として用いる単結晶シリコン薄膜劈開方向と、支持部のエッジ方向とを一致しない構成とすることで、振動膜を破れにくくした容量型超音波トランスデューサについて説明する。振動膜(単結晶シリコン薄膜)の劈開方向と支持部のエッジを一致しないように作製することで、振動膜の劈開を効果的に防止できることは前述のとおりであるが、本実施例では、振動膜の好適な固定角度について、具体例を示す。
図4(a)は容量型超音波トランスデューサの分解斜視図であり、振動膜を支持部に接合させた際の断面図である。本実施例では、支持基板300上に絶縁膜層304が形成され、全体で支持部301を構成している。絶縁膜層304内には凹部が形成されている。支持部301上に単結晶シリコン薄膜302が固定され、凹部の内外を分離することで、キャビティ311を形成している。また、キャビティパターンは正方形に加工され、直線3111、3112、3113、3114が支持部のエッジとなる。以下では、エッジの方向のみに着目して説明を行うため、平行な直線3111と直線3113、直線3112と直線3114は、それぞれ直線3111、直線3112で代表して説明を行う。また、エッジの方向の基準方向を直線3111とする。
図5はダイヤモンド構造を持つ結晶を{100}面でカットしたウェハの模式図である。本実施例では単結晶シリコン薄膜302は{100}面を有する薄いウェハを用いる。図5において、最も劈開しやすい面である{111}面は<110>方向を向いた2本の等価な劈開方向を表す直線として単結晶シリコン薄膜表面に現れる。この2本の等価な劈開方向を表す直線のそれぞれを直線3021、3022と呼ぶ。なお、ウェハはオリエンテーションフラット3023を備える。ここで、単結晶シリコン薄膜内の劈開方向の基準方向を直線3021とする。一般的に劈開方向は、単結晶薄膜の結晶構造と面方位により決定され、ウェハ上のオリエンテーションフラットに対して既知の角度に位置する。
図6はエッジの方向と劈開方向との位置関係を示す図である。エッジの方向を表す直線3111と劈開方向を表す直線3021とのなす角はφとなっている。表3に、直線3111に対して直線3021がφずれている時の、支持部のエッジ3111、3112上において作用する引っ張り応力のうち、劈開方向成分(直線3021、3022方向成分)の大きさを示す。なお、表中の値は引っ張り応力で正規化した値である。この中で最も大きな数値となるものを基準値として考える。つまり基準値は、支持部のエッジ上にかかる引っ張り応力の大きさのうち、劈開方向に垂直な方向成分の最大値を意味する。
Figure 2010010834
図7は、φの大きさと基準値との関係を示した図である。図7より、エッジの方向を表す直線3111、3112と、劈開方向を表す直線3021、3022との成す角度を0度以外の角度とすることで、引っ張り応力の作用する方向と、劈開方向に垂直な方向とが一致しないことが分かる。これにより、引っ張り応力のうち、最も劈開しやすい面に作用する成分を低減する効果が得られる。また、図7における基準値の変化は90度を単位とする繰り返しであり、φ=45度の時に最小値を取っている。このことから、φ=45度となるように支持部材と単結晶シリコン薄膜を接合することで、支持部のエッジ上で単結晶シリコン薄膜が受ける引っ張り応力のうち、劈開方向に垂直な方向の成分を、最も小さくできる。本実施例で示した正方形のキャビティパターンと{100}面ウェハの組み合わせでは、φ=45度とした時の劈開方向に直交する方向に作用する引っ張り応力の最大値の低減効果Rは29.3%である。同様に図7より、低減効果Rは、φ=5度で0.4%、φ=15度で3.5%、φ=25度で9.4%、φ=35度で19.1%である。
ここで、本実施例の正規化された引っ張り応力の最大値の変化は、90度を一周期とする繰り返しであり、φを45度より大きくしたとしても、エッジの方向と劈開方向との成す角度の最小値は45度より大きくなることはない。エッジの方向と劈開方向との成す角度の最小値としては、0度より大きければ劈開による振動膜破損の確率を低減する効果はあることになるが、5度以上とすることにより、劈開による振動膜の破損の確率がより低減できるため好ましい。また、エッジの方向と劈開方向とのなす角度の最小値は15度以上とすることがさらに好ましく、35度以上とすることが特に好ましい。
(六角形のキャビティパターン)
本実施例では、実施例1とは異なるキャビティパターンにおける振動膜選択について具体例を示す。
図8(a)はキャビティパターンとして1つの角の大きさが120度の六角形を採用し、振動膜として{111}面を有するウェハを用いる容量型超音波トランスデューサの分解斜視図である。図8(b)は六角形のキャビティパターンの模式図であり、図8(c)は複数のキャビティの配置例である。なお{111}面を有するウェハにおいても、劈開方向は<110>方向の直線として現れる。
実施例2は、実施例1とはキャビティパターンと単結晶シリコン薄膜の有する面のみが異なる。支持部のエッジをそれぞれ、3115、3116、3117、3118、3119、3110とする。図中の番号も実施例1と同じ役割をするものについては同一の番号を使用した。図8(a)では一つのキャビティを配置した例を示したが、図8(c)のように複数のキャビティを形成していても良い。
図8(b)において、直線3115と直線3118、直線3116と直線3119、直線3117と直線3110は、それぞれ平行である。以下の説明では、直線の方向のみに着目して説明を行うため、平行な直線のうち、直線3115、直線3116、直線3117を代表として説明する。
図9はシリコンの{111}面でカットしたウェハの模式図である。直線3024、3025、3026は劈開方向である<110>方向を示す。劈開同士の成す角度は60度である。
図11は、六角形のキャビティパターンと単結晶シリコン薄膜の組み合わせの図である。図11(a)は六角形のキャビティパターンと{100}面ウェハの組み合わせであり、図11(b)は六角形のキャビティパターンと{111}面ウェハの組み合わせの模式図である。なお、図11ではエッジの方向としては直線3115、3116、3117の方向のみに着目し、夫々の直線が原点で交差するよう図示した。エッジの方向を示す直線同士の成す角度は60度である。実施例1において、4つの角が90度、つまりエッジの方向を示す直線同士の成す角度が90度である四角形のキャビティパターンでは{100}面を有するウェハの使用が好ましい例として記載したが、六角形の場合は状況が異なる。
表4は、{100}面ウェハを使用する場合、支持部のエッジ3115、3116、3117上において作用する引っ張り応力のうち、劈開方向成分(直線3021、3022方向成分)の大きさを引っ張り応力の大きさで正規化した表である。表4では、直線3115に対する直線3021の角度をφとした。
Figure 2010010834
また、表5に、{111}面を有するウェハを使用する場合の、エッジの方向である直線3115、3116、3117上において作用する引っ張り応力のうち、劈開方向成分(直線3024、3025、3026方向成分)の大きさを示す。表の値は引っ張り応力の大きさで正規化しており、表5では、直線3115に対する直線3024の角度をφとした。
Figure 2010010834
表4および表5において、それぞれ中で最も大きな絶対値を持つ成分を基準値とする。図10はφの大きさと基準値との関係を示した図である。
{100}面を有するウェハ使用時には、φ=15度の時、基準値が最小になる。この時の最も劈開しやすい面に作用する引っ張り応力の低減効果Rは約3.5%である。
{111}面を有するウェハ使用時には、φ=30度の時、基準値が最小になる。この時、最も劈開しやすい面に作用する引っ張り応力の低減効果は13.4%となる。同様に、図10より、低減効果Rは、φ=5度で0.4%、φ=15度で3.5%、φ=25度で9.4%である。また、正六角形のキャビティパターンと{111}面を有するウェハとの組み合わせの場合、正規化された引っ張り応力の最大値の変化は、60度を一周期とする繰り返しである。φを30度より大きくしたとしても、エッジの方向と劈開方向との成す角度の最小値は30度より大きくなることはない。エッジの方向と劈開方向との成す角度の最小値としては、0度より大きければ劈開による振動膜の破損の確率を低減する効果はある。ただし、5度以上とすることにより、劈開による振動膜の破損の確率がより低減できるため好ましく、15度以上とすることがさらに好ましく、20度以上とすることが特に好ましい。
このように全角度が120度の正六角形のキャビティパターンを用いる場合、{111}面を有する単結晶シリコン薄膜を使用し、φ=30度とする時、劈開方向に垂直な方向成分を最小にできる。
実施例1および実施例2のように、キャビティパターンに対する振動膜の面の取り付ける方向を適切に選択することで、せん断応力が、劈開方向に沿って作用することを回避することができる。また、支持部のエッジ上で作用する引っ張り応力の劈開方向に直交する方向に作用する成分を低減できる。これにより、製造時及び使用時に、振動膜が破損しにくい薄膜トランスデューサを提供できる。
(キャビティパターンと単結晶シリコン薄膜の面方位の選択)
実施例1および2では、キャビティパターンと単結晶シリコン薄膜の面方位を規定し、エッジに沿って発生するせん断応力が、劈開方向に沿って作用することを防止した容量型超音波トランスデューサについて述べた。本実施例では、単結晶シリコン薄膜の面方位に従って、キャビティパターンを適切に選択することで、応力の低減効果を高める方法について説明する。
エッジの方向と劈開方向との成す角度の最小値は、劈開方向を表す直線同士が成す最大角の半分以下となる。例えば、{111}面を持つ単結晶シリコン薄膜を使用した場合、エッジの方向と劈開方向との成す角度の最小値は、劈開方向を表す3本の直線同士が成す角度の60度の半分である30度より大きくなることはない。本実施例では、このことを利用して、単結晶シリコン薄膜の面方向と組み合わせて、劈開方向に垂直に作用する応力を低減可能なキャビティパターンについて規定する。
図12は{100}面および{111}面を持つウェハにおいて劈開方向に作用する応力が低減されやすいキャビティパターンの模式図である。まず、図12(a)のように、劈開方向が直線6021、6022として現れるような、{100}面を持つ単結晶シリコン薄膜を用いる場合を述べる。この場合は、劈開方向を表す2本の直交する直線の成す角度をそれぞれ二等分するように支持部のエッジが形成されている時、応力の低減効果を最大にすることができる。すなわち、キャビティパターンとしては、直線6111、6112、6113、6114のように、支持部のエッジ同士(エッジの方向同士)が成す角度が90度である正方形又は長方形のものを選択することが好ましい。
次に、図12(b)のように劈開方向が60度の角度で交差して、直線6024、6025、6026として現れるような、{111}面を単結晶シリコン薄膜を用いる場合について述べる。この場合は、劈開方向を表す3本の線の成す角度をそれぞれ2等分するように支持部のエッジが配置される時、応力の低減効果を最大にすることができる。つまり、劈開方向同士なす角度の二等分線を引き、エッジの方向とがなす角度は、前記二等分線同士のなす角度のいずれかと等しくすることが好ましい。キャビティパターンとしては、支持部のエッジを原点で交差させた時、支持部のエッジ同士(エッジの方向同士)が成す角度が60度となる形状のものを選択することが好ましい。具体的には図12(b)のように、一つの角度が60度の正三角形を選択するか、図12(c)のように一つの角度が120度の六角形を選択することが好ましい。また、支持部のエッジ同士が成す角度が60度と120度になるような平行四辺形のキャビティパターンを選択してもよい。すなわちダイヤモンド構造の{111}面を有する単結晶薄膜を振動膜として用いる場合、異なるエッジ方向同士のなす角度が60度の倍数であるキャビティパターンを選択することが好ましい。
本実施例のように、劈開方向同士の成す角度が全て等角度の場合、エッジの方向同士の成す角度は、劈開方向同士の成す角度の倍数となるようなキャビティパターンを選択することで、振動膜の破損の確率が低下する。
なお、本実施例では劈開方向同士のなす角度が全て等しい場合を取り扱ったが、ダイヤモンド構造の{110}面のような、劈開方向の交差する角度が一定でない単結晶薄膜を振動膜として用いることも考えられる。この場合、劈開方向同士のなす角度を二等分するように支持部のエッジを配置することで、劈開の発生を低減することが可能である。つまり、キャビティパターンとしては、劈開方向同士なす角度の二等分線を引き、支持部のエッジ方向同士のなす角度を、前記二等分線同士のなす角度のいずれかと同じとするようなキャビティパターンにするとよい。特に、3本の劈開方向を備える単結晶薄膜で四角形のキャビティを使用する場合、劈開方向同士のなす角度の大きいものを2つ選択し、その角度の二等分線同士を用いてキャビティパターンを形成することで、振動膜の破損の確率をさらに低減できる。
本実施例では、単結晶薄膜の結晶方位によってキャビティパターンを選択したが、キャビティパターンによって単結晶薄膜の結晶方位を決定することでも実現可能である。
(作製方法)
本実施例では、本発明の変換素子の作製に適用可能な作製方法を説明する。
図13(a)〜(e)は容量型超音波トランスデューサの作製手順を示す模式図である。また、図14は作製手順のフローチャートである。本実施例の容量型超音波トランスデューサの製造方法について説明する。本実施例では、オリエンテーションフラットと劈開方向の基準方向を示す直線との相対角度βは既知であるものとする。
図13(a)では、支持基板400の片面に、絶縁膜層404´を形成する(工程503)。
図13(b)では絶縁膜層404´上にマスク403を形成し、さらに所定のキャビティパターンでフォトリソグラフィを行う(工程501)。この時、オリエンテーションフラット方向とキャビティのエッジの基準方向が45+βの角度をなすように調整した後(工程5011)、フォトリソグラフィ(工程5012)を行う。さらに、フォトリソグラフィで残ったマスク403を用いて絶縁膜層404´の一部を除去(工程502)する。
図13(c)ではマスク403を除去(工程505)した後、絶縁膜層を追加形成する(工程506)。このようにして、エッチング後に残った絶縁膜層404´と、新たに作製した絶縁膜層で絶縁膜404を形成し、支持基板400と絶縁膜層404で支持部401を構成する。ここまでの工程で絶縁膜層404の表面にキャビティ部411が形成される。さらに、図13(d)ではSOIウェハ410のデバイス層である{100}面を持つ単結晶シリコン薄膜402を下にして、大気圧より低い圧力条件下で絶縁膜層404上面に接合する(工程204)。SOIウェハは単結晶シリコン薄膜402の下にBOX層405とハンドル層406とを備える。なお工程204では、単結晶シリコン薄膜402を支持部401に接合する際、二枚のウェハのオリエンテーションフラット同士の方向を合わせるアライメント(工程2041)を行った後、絶縁膜層404に単結晶シリコン薄膜402を接合する(工程2042)。このアライメント工程を含む接合を行うことで、エッジの方向と劈開方向が交差する(一致しない)ような容量型超音波トランスデューサを作製できる。
この後、図13(e)ではSOIウェハ410のBOX層405とハンドル層406とを除去(工程507)し、単結晶シリコン薄膜402のみを絶縁膜層404の上部に残す。さらに単結晶シリコン薄膜上に電極407を形成している(工程508)。
本実施例では予め単結晶シリコン薄膜の所望の向きにキャビティを形成し、支持基板および単結晶シリコン薄膜双方のオリエンテーションフラットを基準線として、位置合わせを行う。これにより、エッジの方向と、劈開方向とのなす角度を最大化している。このように作製することで、単結晶シリコン薄膜の劈開方向に沿ってせん断応力が作用することがなく、引っ張り応力が劈開方向に直交する向きに作用することもなくなる。このため、単結晶シリコン薄膜が劈開しにくい容量型超音波トランスデューサを作製することができる。先述した通り、劈開方向は単結晶シリコン薄膜の面方位により一意に決定されることから、この工程は接合する基板双方のオリエンテーションフラットの方向を操作することで行うことが可能であり、位置合わせが簡単に行える。
なお、本実施例ではオリエンテーションフラットを位置合わせの手段として使用するため、支持基板上でエッジの方向を指定した。しかし本発明の本質は、エッジの方向と、振動膜の劈開方向とを交差させることである。したがって、必ずしも支持基板内でエッジの方向を規定する必要はない。
作製方法は上記の実施例に限られるわけではなく、キャビティを任意の方向に作成しておき、エッジの方向と劈開方向とが一致しないようにアライメントを行う工程を含んでも同様の効果を得ることができる。この場合、支持基板のオリエンテーションフラットと単結晶シリコン薄膜のオリエンテーションフラットの方向とを一致させる工程にかわり、劈開方向とエッジの方向とを一致させないようにする工程を行うこととなる。以下にその手法について述べる。
オリエンテーションフラットを用いず、単結晶シリコン薄膜の位置合わせを行う方法として、結晶方位測定を用いる方法がある。この方法では、単結晶シリコン薄膜の結晶方位の測定を行い、これをもとに位置合わせのための基準線を定める。なお、基準線は劈開方向と同じ方向を選んでも良いし、その他の方向を選んでも良い。この際、劈開方向と基準線との間の角度は任意であるが既知になっている必要がある。この後、基準線に合わせてエッジの方向の位置合わせを行うことで、オリエンテーションフラットを用いる方法と同様に、単結晶シリコン薄膜が劈開しにくい容量型超音波トランスデューサを作製することが可能になる。結晶方位測定を行う方法として、X線結晶構造解析が知られている。この方法では、単結晶シリコン薄膜の方向は結晶構造に由来するX線の回折によって計測される。
単結晶シリコン薄膜の結晶方位を測定し、これを元に劈開方向とエッジの方向との位置調整を行う方法では、オリエンテーションフラットを使用しないため、チップ単位でも回転位置合わせと接合が可能になる。すなわち、プロセス設計の自由度が高くなる。
容量型超音波トランスデューサに係る模式図 容量型超音波トランスデューサの作製プロセスを示す模式図 作製手順のフローチャート 容量型超音波トランスデューサの一例の模式図 ダイヤモンド構造を持つ結晶を{100}面でカットしたウェハの模式図 エッジの方向と劈開方向との位置関係を示す図 基準値とφの大きさとの関係図 容量型超音波トランスデューサの一例の模式図 ダイヤモンド構造を持つ結晶を{111}面でカットしたウェハの模式図 基準値とφの大きさとの関係図 六角形のキャビティパターンと振動膜との組み合わせの図 {110}面および{111}面を持つウェハにおいて劈開方向に作用する応力が低減されやすいキャビティパターンの模式図 容量型超音波トランスデューサの作製手順を示す模式図 作製手順のフローチャート
符号の説明
100 支持基板
101 支持部
111 キャビティ
102 振動膜
103 マスク
104 絶縁膜層
300 支持基板
301 支持部
302 単結晶シリコン薄膜
304 絶縁膜層
311 キャビティ
400 支持基板
401 支持部
402 振動膜
403 マスク
404 絶縁膜層
405 BOX層
406 ハンドル層
407 電極
411 キャビティ

Claims (8)

  1. 少なくとも、劈開性を有する振動膜と、前記振動膜と接合され前記振動膜との間に空隙が形成されるように設けられた支持部と、を有する変換素子であって、
    前記支持部は、直線状のエッジを有し、
    前記エッジの方向と前記振動膜の劈開方向とが交差していることを特徴とする変換素子。
  2. 前記エッジの方向と前記劈開方向とのなす角度の最小値が5度以上であることを特徴とする請求項1に記載の変換素子。
  3. 前記エッジの方向と前記劈開方向とがなす全ての角度のなかで、任意の一つをφとしたとき、前記全ての角度のコサイン値の絶対値のうち最大値を基準値とし、該基準値のうち最小をとるφ値をφminとして、φ=φmin±10度となるように前記振動膜と前記支持部とが接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の変換素子。
  4. 前記エッジの方向及び前記劈開方向のどちらも2つ以上の異なる方向を有し、前記劈開方向同士のなす角度の二等分線が2つ以上存在し、前記エッジの方向同士のなす角度は、前記二等分線同士のなす角度のいずれかと等しいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の変換素子。
  5. 前記異なる劈開方向同士のなす角度が全て等しい角度であり、前記異なるエッジの方向同士のなす角度は前記異なる劈開方向同士のなす角度の倍数であることを特徴とする請求項4のいずれかに記載の変換素子。
  6. 前記振動膜は、ダイヤモンド構造の{100}面を有する単結晶薄膜であり、前記異なるエッジの方向同士のなす角度が90度であることを特徴とする請求項5に記載の変換素子。
  7. 前記振動膜は、ダイヤモンド構造の{111}面を有する単結晶薄膜であり、前記異なるエッジの方向同士のなす角度が60度の倍数であることを特徴とする請求項5に記載の変換素子。
  8. 少なくとも劈開性を有する振動膜と、前記振動膜と接合され前記振動膜との間に空隙が形成されるように設けられた支持部と、を接合する変換素子の作製方法であって、
    前記支持部は、直線状のエッジを有し、
    前記エッジの方向と前記劈開方向とが交差するように前記振動膜と前記支持部とを接合することを特徴とする変換素子の作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015528221A (ja) * 2012-05-31 2015-09-24 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ ウェハ及びその製造方法

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