JP2010010411A - 薄膜デバイス装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも製造コストを低減することのできる薄膜デバイス装置の製造方法を提供する。
【解決手段】支持基板100上にシラン系化合物を含む液状材料110を塗布する塗布工程と、液状材料110上にフレキシブル基板120を配置する配置工程と、液状材料110に熱処理を施してアモルファスシリコン膜111に変化させる熱処理工程と、フレキシブル基板120上に薄膜デバイスを含む薄膜デバイス層130を形成するデバイス形成工程と、アモルファスシリコン膜111に光を照射して支持基板100からフレキシブル基材120を剥離する剥離工程とを備える。
【選択図】図10

Description

本発明は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなど、折り曲げ可能な基板上に薄膜デバイスを形成する薄膜デバイス装置の製造方法に関する。
近年、この種の薄膜デバイス装置に用いられる基板として、樹脂製基板、折り曲げ可能なガラス基板(厚さ50μm〜100μmほどの薄さなので割れずに曲がる)や、ステンレスの板の表面にSiO2などの絶縁層を形成した基板といった、高耐熱性、高耐薬品性を有しながら曲げることが可能な基板(以下、フレキシブル基板という)が開発されてきており、これらのフレキシブル基板を用いることで、従来のプロセスを用いながら軽量、柔軟、割れずに壊れにくいディスプレイが製造されるようになってきた。
通常、フレキシブル基板を用いてディスプレイを作成する際には、最初に剛直な支持基板にフレキシブル基板を固定し、次にフレキシブル基板上にデバイスを形成し、最後に支持基板からフレキシブル基板を剥離するといったプロセスを経ることが多い。これは、フレキシブル基板のままでプロセスを経ることは、フレキシブル基板の反りや搬送が困難であるといった問題があるからである。
従来、フレキシブル基板を支持基板に固定する方法として、厚さが薄い金属基板(フレキシブル基板)の端部を曲げて、端部に曲率を持っている基板ホルダーに密着性よく貼りつけ、薄い金属基板上にTFT素子などを形成して液晶表示装置を形成した後、基板ホルダーを分離するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2002−49056号公報
しかしながら、従来の方法では、フレキシブル基板を支持基板に固定するための機構が複雑であるため、薄膜デバイス装置の製造コストが高いという問題があった。
本発明は前述の問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも製造コストを低減することのできる薄膜デバイス装置の製造方法を提供することを目的の1つとする。
本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法は、支持基板上及びフレキシブル基板上の少なくとも一方にシラン系化合物を含む液状材料を塗布する塗布工程と、前記支持基板上に前記液状材料を介して前記フレキシブル基板を配置する配置工程と、前記液状材料に熱処理を施してアモルファスシリコン膜に変化させることにより前記支持基板と前記フレキシブル基板とを接着する熱処理工程と、前記フレキシブル基板上に薄膜デバイスを形成するデバイス形成工程と、前記アモルファスシリコン膜に光を照射して前記支持基板から前記フレキシブル基材を剥離する剥離工程とを備える。
かかる構成によれば、熱処理を施して液状材料がアモルファスシリコン膜に変化するので、樹脂系接着剤と比較して高い耐熱性及び耐薬品性を有するアモルファスシリコン膜により支持基板及びフレキシブル基板を接着することができる。また、フレキシブル基板上に薄膜デバイスが形成され、アモルファスシリコン膜に光を照射して支持基板からフレキシブル基材が剥離されるので、剥離されたフレキシブル基板を他の基板に転写するなどの更なる工程を経ることなく、薄膜デバイス装置を得ることができる。これにより、従来のように複雑な機構を用いることなく、アモルファスシリコン膜で支持基板上にフレキシブル基板を安定的に固定することができるとともに、より少ない工程で薄膜デバイス装置を製造することができ、従来よりも製造コストを低減することができる。
好ましくは、前記塗布工程は、前記液状材料を前記支持基板上及び前記フレキシブル基板上の少なくとも一方の一部に塗布する。
かかる構成によれば、液状材料が支持基板上及びフレキシブル基板上の少なくとも一方の一部に塗布されるので、基板上の全面に液状材料を塗布する必要がなく、塗布工程における液状材料の少量化、短時間化を図ることができる。これにより、剥離工程において省エネルギーで短時間にフレキシブル基板を剥離することができ、従来よりも更に製造コストを低減することができる。
好ましくは、前記塗布工程は、前記液状材料を前記支持基板上及び前記フレキシブル基板上の少なくとも一方の外周部に塗布する。
かかる構成によれば、液状材料が支持基板上及びフレキシブル基板上の少なくとも一方の外周部に塗布されるので、支持基板及びフレキシブル基板間に、溶液やガスなど異物が侵入するのを防止することができる。
好ましくは、前記塗布工程、前記配置工程、及び前記熱処理工程は、真空中又は不活性雰囲気下で行う。
かかる構成によれば、塗布工程、配置工程、及び熱処理工程が、真空中又は不活性雰囲気下で行われるので、液体材料が酸素と反応するのを防止することができる。
好ましくは、前記配置工程は真空中で行う。
かかる構成によれば、配置工程が真空中で行われるので、支持基板上に液体材料を介してフレキシブル基板を配置する際に、支持基板及びフレキシブル基板間に空気が封入されるのを防止することができる。
好ましくは、前記支持基板は光透過性を有し、前記剥離工程は、前記支持基板における前記アモルファスシリコン膜が存在する面と反対の面から前記光を照射する。
かかる構成によれば、光透過性を有する支持基板において、アモルファスシリコン膜が存在する面と反対の面から光が照射されるので、支持基板を透過した光がアモルファスシリコン膜に照射され、アモルファスシリコン膜が蒸発してフレキシブル基板を容易に剥離することができる。
好ましくは、前記塗布工程は、前記液状材料を塗布する前に、前記支持基板及び前記フレキシブル基板の少なくとも一方において前記液状材料が塗布される面に表面処理を施す工程を更に含む。
かかる構成によれば、液状材料を塗布する前に、支持基板及びフレキシブル基板の少なくとも一方において液状材料が塗布される面に表面処理が施されるので、液状材料が塗布される面が平坦になり、液状材料を所望の位置に塗布することができる。これにより、液状材料の塗布精度を向上させることができ、支持基板及びフレキシブル基板間の密着性を高めることができる。
好ましくは、前記配置工程は、前記フレキシブル基板を配置する前に、前記支持基板及び前記フレキシブル基板の少なくとも一方において前記液状材料を介する面に表面処理を施す工程を更に含む。
かかる構成によれば、フレキシブル基板を配置する前に、支持基板及びフレキシブル基板の少なくとも一方において液状材料を介する面に表面処理が施されるので、液状材料を介する面が平坦になり、液状材料上の所望の位置にフレキシブル基板を配置することができる。これにより、液状材料の塗布精度を向上させることができ、支持基板及びフレキシブル基板間の密着性を高めることができる。
好ましくは、前記熱処理は200℃以上500℃以下で行う。
かかる構成によれば、熱処理が200℃以上500℃以下で行われるので、シラン系化合物を含む液状材料を良好なアモルファスシリコン膜に変化させることができるとともに、このアモルファスシリコン膜中に、原料のシラン化合物に含まれる水素を十分に残留させることができる。
好ましくは、前記光がエキシマレーザである。
かかる構成によれば、アモルファスシリコン膜に照射される光がエキシマレーザであるので、支持基板やフレキシブル基板などを劣化又は破損させることなく、アモルファスシリコン膜で剥離することができる。
好ましくは、前記薄膜デバイスが薄膜トランジスタである。
かかる構成によれば、フレキシブル基板上に薄膜トランジスタが形成されるので、駆動基板などの各種のアクティブマトリクスを製造することができる。
好ましくは、前記フレキシブル基板が厚さ200μm以下のガラス基板又は石英基板である。
かかる構成によれば、フレキシブル基板が厚さ200μm以下のガラス基板又は石英基板であるので、より高いフレキシブル性を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
(塗布工程)
図1は、本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における塗布工程を説明する側断面図である。最初に、図1に示すように、支持基板100上にシラン系化合物を含む液状材料110を塗布する。
支持基板100は光透過性を有するものを用いる。この場合、光の透過率は10%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましい。光の透過率が10%未満になると、後述する剥離工程において支持基板100の裏面側からレーザ光などのエネルギー光を照射する際に、光の減衰(ロス)が大きくなってしまう。
また、支持基板100は信頼性の高い材料で構成されているのが好ましい。特に、耐熱性に優れた材料で構成されているのが好ましい。後述するデバイス形成工程において薄膜デバイス層130を形成する際に、支持基板100の温度が、例えば350〜1000℃程度の温度に達することがある。このような場合に、支持基板100が優れた耐熱性を有していれば、薄膜デバイス層130を形成する際に温度条件などの制限を課すことがない。よって、支持基板100は薄膜デバイス層130を形成する際の最高温度をTmaxとしたときに、歪点がTmax以上の材料で構成されているのが好ましい。具体的な支持基板100の構成材料は、歪点が350℃以上のものが好ましく、500℃以上のものが更に好ましい。このような構成材料としては、例えば石英ガラス、コーニング7059、日本電気ガラス製のOA−2などの耐熱性ガラスが挙げられる。
支持基板100の厚さは特に限定されないが、通常は0.1mm〜5.0mm程度とするのが好ましく、0.5mm〜1.5mm程度とするのがより好ましい。支持基板100の厚さが薄すぎると、強度が低下して製造工程中に支持基板100が割れるおそれがある。一方、支持基板100として光の透過率が低いものを用いた場合、支持基板100の厚さが厚すぎると、後述する剥離工程において支持基板100の裏面側からレーザ光などのエネルギー光を照射する際に、光の減衰(ロス)が大きくなってしまう。なお、支持基板100の光の透過率が高い場合には、支持基板100の厚さは前述の上限値(5.0mm)を超えるものであってもよい。また、光を均一に照射できるように、支持基板100の厚さは均一であるのが好ましい。
液状材料110に含まれるシラン系化合物としては、低分子のシラン化合物、及びSiを10個以上有するポリマー化された高次シラン化合物のいずれも使用可能である。なお、高次シラン化合物については、例えば低分子のシラン化合物に紫外線を照射し、重合させることで形成することができる。通常、これらのシラン系化合物は、適宜溶媒が添加されてシラン組成物とされ、これが液状材料110となる。
使用可能なシラン系化合物において、低分子のシラン化合物としては、例えば一般式Sinm(ここで、nは3以上、またmは4以上のそれぞれ独立な整数を示し、Xは水素原子及び/又はハロゲン原子などの置換基を示す)で表されるシラン化合物が挙げられる。このようなシラン化合物としては、一般式Sin2n(ここで、nは3以上の整数を示し、Xは水素原子及び/又はハロゲン原子などの置換基を示す)で表される環状のシラン化合物や、一般式Sin2n-2(ここで、nは4以上の整数を示し、Xは水素原子及び/又はハロゲン原子などの置換基を示す)で表される環状構造を2個以上有するシラン化合物、分子内に少なくとも一つの環状構造を有する水素化珪素及びそのハロゲン置換体などが挙げられる。
具体的には、1個の環状構造を有するものとして、シクロトリシラン、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシランなどが挙げられ、2個の環状構造を有するものとして、1、1'−ビシクロブタシラン、1、1'−ビシクロペンタシラン、1、1'−ビシクロヘキサシラン、1、 1'−ビシクロヘプタシラン、1、1'−シクロブタシリルシクロペンタシラン、1、1'−シクロブタシリルシクロヘキサシラン、1、1'−シクロブタシリ ルシクロヘプタシラン、 1、1'−シクロペンタシリルシクロヘキサシラン、1、1'−シクロペンタシリルシクロヘプタシラン、1、1'−シクロヘキサシリルシクロヘプタシラン、 スピロ[2、2]ペンタシラン、スピロ[3、3]ヘプタタシラン、スピロ[4、4]ノナシラン、スピロ[4、5]デカシラン、スピロ[4、6]ウンデカシ ラン、スピロ[5、5]ウンデカシラン、スピロ[5、6]ウンデカシラン、スピロ[6、6]トリデカシランなどが挙げられ、その他にこれらの骨格の水素原子を部分的にSiH3基やハロゲン原子に置換したケイ素化合物を挙げることができる。これらは2種以上を混合して使用することもできる。
なお、これらの低分子のシラン化合物は、特にこれを直接用いて液状材料110に調製する場合、ハロゲン基などの珪素及び水素以外の元素が置換されたものより、ハロゲンなどの元素が置換基として導入されていないシラン化合物、例えばn−ペンタシラン、n−ヘキサシラン、n−ヘプタシラン等のシラン化合物を用いるのが好ましい。後述する熱処理工程において、これらのシラン化合物を含む液状材料110からより良好なアモルファスシリコン膜111が得られる。
また、これらの低分子のシラン化合物を高次シラン化合物の前駆体とし、これに紫外線を照射して高次シラン化合物とし、得られた高次シラン化合物をシラン系化合物として用いる場合には、低分子のシラン化合物は、ハロゲンなどの元素が置換基として導入されたものも好適に用いられる。特に、分子内の最低一箇所に環状構造を有する低分子のシラン化合物は、光に対する反応性が極度に高く、光重合が効率よく行えることから、高次シラン化合物の前駆体として好適に用いられる。中でも、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシランなどのSin2n(ここで、nは3以上の整数を示し、Xは水素原子及び/又はハロゲン原子を示す)で表されるシラン化合物は、前述の理由に加えて合成及び精製が容易である利点を有するため、特に好ましい。さらに、高次シラン化合物の前駆体としての低分子のシラン化合物は、ホウ素原子及び/又はリン原子などにより変性された変性シラン化合物を用いることもできる。
液状材料110に使用可能なシラン系化合物において、高次シラン化合物としては、例えば前述の低分子のシラン化合物を前駆体とし、これを溶媒で希釈したシラン組成物に紫外線を照射して光重合させたものが用いられる。このようにして形成する高次シラン化合物としては、その沸点がその分解点よりも高いことが好ましい。沸点が分解点よりも高い高次シラン化合物は、前駆体である前述の低分子のシラン化合物のうちから好ましい低分子のシラン化合物を選定したり、照射する紫外線(以下、UVという)として好ましい波長、照射時間、照射方法、照射エネルギー、用いる溶媒、及びUV照射後の精製方法を適宜選定したりすることにより、容易に得ることができる。
また、このように低分子のシラン化合物から高次シラン化合物を光重合させる場合、得られる高次シラン化合物の分子量分布を、UVの照射時間や照射量、照射方法によってコントロールすることができる。さらに、この高次シラン化合物は、シラン化合物に対するUV照射後に、一般的な重合体の精製法であるGPCなどを用いて分離精製することで、任意の分子量の高次シラン化合物を取り出すことができる。また、分子量の異なる高次シラン化合物の間で、溶解度の差を利用して精製することもできる。また、分子量の異なる高次シラン化合物の間で、常圧又は減圧下での沸点の差を利用して分留により精製することもできる。このように、シラン系化合物としての高次シラン化合物の分子量のコントロールを行うことで、後述する熱処理工程においてより良質なアモルファスシリコン膜111を得ることができる。
高次シラン化合物は、その分子量が大きくなればなるほど沸点が高くなり、また溶媒に対する溶解度は減少していく。このため、UVの照射条件によっては、光重合後の高次シラン化合物が溶媒に溶解しきれずに析出することがあるので、その場合にはマイクロフィルターなどを用いたろ過などによって不溶成分を除去し、 高次シランを精製することができる。
シラン化合物の溶液に照射するUVは、当該溶液に用いる溶媒を分解しない波長のものが好ましく、具体的には、その波長が250nm以上、特に300nm以上であるのが好ましい。ここで、「溶媒を分解しない波長」とは、UVの照射によって溶媒分子中の化学結合が切断されない程度の波長を意味する。前述の波長域のUVを用いることにより、溶媒に起因する炭素原子などの不純物原子が、後述する熱処理工程及び/又は剥離工程後のアモルファスシリコン膜111に混入することを防ぐことができ、より特性のよいアモルファスシリコン膜111を得ることができる。
UVの照射時間は、所望の分子量分布の高次シランが得られる点で、0.1秒〜120分、特に1〜30分であるのが好ましい。また、UVの照射方法としては、所望の分子量分布の高次シランが得られる点で、前述したようにシラン化合物を溶媒で希釈してから照射したり、シラン化合物の溶液を撹拌しながら溶液全体に均一にUVを照射したりするのが好ましい。
このようなシラン系化合物、すなわち低分子のシラン化合物や高次シラン化合物を液状材料110(シラン組成物)とするには、前述したようにシラン化合物に適宜溶媒を添加する。添加する溶媒として、前術の低分子のシラン化合物に添加されるものは、このシラン化合物が光重合されたことにより形成された高次シランを溶解し、かつ当該シラン化合物と反応しないものであればよく、特に限定されない。このような溶媒は、高次シラン化合物の前駆体である前述のシラン化合物の溶液を形成するための溶媒としてUV照射前の段階から使用され、通常、室温での蒸気圧が0.001〜200mmHgのものが用いられる。蒸気圧が200mmHgより高い溶媒では、これを用いて液状材料110を塗布する際、溶媒が先に蒸発してしまい、良好に塗布することが困難になる。一方、蒸気圧が0.001mmHgより低い溶媒では、同様にこれを用いて液状材料110を塗布する際に、乾燥が遅くなり、高次シラン化合物の膜中に溶媒が残留し易くなって、後述する熱処理工程の熱処理後に、良好なアモルファスシリコン膜111が得られ難くなる。
また、前述の溶媒としては、常圧での沸点が室温以上であり、高次シランの分解点である250℃〜300℃よりも低いものを用いることが好ましい。高次シランの分解点よりも低い溶媒を用いることにより、液状材料110を塗布した後、後述する熱処理工程における加熱によって高次シランを分解することなく溶媒のみを選択的に除去することができるため、アモルファスシリコン膜111に溶媒が残留するのを防止することができ、より良好なアモルファスシリコン膜111を得ることができる。
本発明における液状材料110に使用される溶媒、特にシラン化合物溶液中の溶媒であって、これにUVを照射して高次シラン溶液とした後に、この高次シラン溶液中の溶媒となるものとしては、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレ ン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒の他、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチル エーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール ジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホル ムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒が挙げられる。
これらのうち、高次シラン化合物の溶解性及び当該溶液の安定性の点で、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒が好ましく、中でも、炭化水素系溶媒が更に好ましい。これらの溶媒は、単独又は2種以上の混合物として使用することができる。特に炭化水素系溶媒は、高次シランの溶解性を向上させ、後述する熱処理工程やUV照射時の高次シランの残留を抑制する観点から好適である。
なお、低分子のシラン化合物を溶媒で希釈した液状材料については、これを直接本発明の液状材料110として用い、支持基板100上に塗布するようにしてもよく、また、これにUVを照射して低分子のシラン化合物を高次シラン化合物に光重合し、高次シラン化合物を生成した液状材料を本発明の液状材料110として用いてもよい。さらには、低分子のシラン化合物を溶媒で希釈した液状材料110を支持基板100上に塗布し、続いて、後述する熱処理工程に先立ってUVを照射し、低分子のシラン化合物を高次シラン化合物に光重合させた後、後述する熱処理工程を行うようにしてもよい。
支持基板100上に塗布する液状材料110の塗布膜厚は50nm〜300nmである事が望ましい。50nmよりも薄い場合には基板全体での均一な接着性を得る事が難しくなり接着不良が発生しやすく、また300nmよりも厚く形成された場合には熱処理時に割れが生じやすくなる為である。このような事から上記の膜厚範囲とする事で、より生産性良く基板の接着を行う事が可能となる。
図2は、図1に示した塗布工程の変形例を説明する側断面図である。本実施形態では、支持基板100上に液状材料110を直接塗布するようにしたが、これに限定されず、図2に示すように、下地層101を介して支持基板100上に液状材料110を塗布するようにしてもよい。この場合、下地層101は支持基板100からの不純物の混入を防ぐバリア層などとして作用する。
図3乃至図5は、本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における塗布工程を説明する上面図である。液状材料110は支持基板100の全面に塗布される場合に限定されず、支持基板100の必要な箇所にだけ部分的に液状材料110を塗布してもよい。すなわち、例えば図3に示すように、液状材料110は支持基板100の周期的に塗布される。このように、液状材料110が支持基板100上の一部に塗布されるので、支持基板100上の全面に液状材料110を塗布する必要がなく、少量の液状材料110で短時間に塗布することができる。
また、図4に示すように、支持基板100上の外周部のみに液状材料110を塗布してもよいし、図5に示すように、図3及び図4を組み合わせて、支持基板100の液状材料110を周期的に塗布するとともに、液状材料110を支持基板100上の外周部に塗布するようにしてもよい。このように、液状材料110が少なくとも支持基板100上の外周部に塗布されるので、支持基板100と後述する配置工程で液状材料110上に配置されるフレキシブル基板120との間に、溶液やガスなどの異物が侵入するのを防止することができる。
さらに、後述するデバイス形成工程において、例えば液晶表示装置の画素を構成するトランジスタや、走査線や信号線のドライバとなるトランジスタが形成される部分を覆うように液状材料110を塗布することが好ましい。これにより、後述する剥離工程においてレーザ光などのエネルギー光を照射する際に、光が液状材料110に照射され、薄膜デバイスであるトランジスタに直接照射されないので、光が照射されることによるトランジスタの特性劣化を防止することができる。
液状材料110を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、キャスティング法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法が挙げられる。この中でもディスペンス法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法を用いる際には、支持基板100の全面ではなく、必要な部分にのみ液状材料110を塗布することができる。
液状材料110を塗布する前に、液状材料110が塗布される支持基板100の面に表面処理を施すようにしてもよい。表面処理としては、例えばヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシランなどの表面改質剤や自己組織化単分子膜を用いた表面処理、アセトンやイソプロピルアルコールなどを用いた有機洗浄処理、塩酸や硫酸、酢酸等の酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等のアルカリ処理、UVオゾン処理、フッ素化処理、酸素やアルゴンなどのプラズマ処理、ラングミュアブロジェット膜の形成処理が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上の処理を用いることができる。これにより、液状材料110が塗布される支持基板100の面が平坦になり、液状材料110を所望の位置に塗布することができるとともに、支持基板100とフレキシブル基板120とが密着される強度を上げる事が可能となる。
(配置工程)
図6は、本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における配置工程を説明する側断面図である。図6に示すように、塗布工程の次に、液状材料110上にフレキシブル基板120を配置する。この配置工程は、換言すれば、支持基板100上に、液状材料110を介してフレキシブル基板120を配置する(貼り合わせる)工程である。
配置工程に用いるフレキシブル基板120としては、厚さ10μm〜500μmの耐熱性や耐有機溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性を有する基板が好ましく、具体的にはステンレスなどの金属基板の表面に酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミ、酸化タンタルなどの金属酸化物の絶縁膜が形成されたような基板や、ガラス基板、石英基板を用いることが可能である。ガラス基板又は石英基板を用いる場合には、例えば厚さを200μm以下とすることでより高いフレキシブル性を得ることができる。
本実施形態では、液体シリコン材料110を支持基板100上に塗布し、液状材料110上にフレキシブル基板を配置するようにしたが、これに限定されず、液体シリコン材料110をフレキシブル基板120に塗布してもよいし、支持基板100及びフレキシブル基板120の両方に塗布してもよい。
また、配置工程は真空中で行うのが好ましい。これにより、液体材料110上にフレキシブル基板120を配置する際に、支持基板100及びフレキシブル基板120間に空気が封入されるのを防止することができる。
さらに、支持基板100と同様に、フレキシブル基板120を液状材料110上に配置する前に、フレキシブル基板120における液状材料110上に配置される面に表面処理を施すようにしてもよい。表面処理としては、前述の支持基板100の場合と同様の処理を用いることができる。これにより、液状材料110上に配置されるフレキシブル基板120の面が平坦になり、液状材料110上の所望の位置にフレキシブル基板120を配置することができる。
(熱処理工程)
図7は、本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における熱処理工程を説明する側断面図である。図7に示すように、配置工程の次に、必要に応じて液状材料110に紫外線を照射した後、液状材料110に熱処理(焼成)を施してアモルファスシリコン膜111に変化させる。なお、アモルファスシリコン膜111は不純物の少ない半導体材料であるため、薄膜デバイス装置を製造する製造装置への汚染は全くない。このように、熱処理を施して液状材料110がアモルファスシリコン膜111に変化するので、樹脂系接着剤と比較して高い耐熱性及び耐薬品性を有するアモルファスシリコン膜が支持基板100及びフレキシブル基板120を接着することができる。
液状材料110に熱処理(焼成)を施すと、得られたアモルファスシリコン膜111中には、原料であるシラン系化合物中の水素が例えば10〜40%と多く残留する。その結果、後述する剥離工程においてアモルファスシリコン膜111にエネルギー光を照射した際に、アモルファスシリコン膜111中の水素が容易に突沸し、これにより剥離が起こるようになる。すなわち、シラン系化合物として例えば水素のみが側鎖に付いたシラン化合物では、(SiH2nの組成になっていることから、その約66%が水素である。よって、これに熱処理(焼成)を施して得られるアモルファスシリコン膜111には、CVD法(気相法)で形成した場合と比較して、より多くの水素が残留する。
なお、液体材料110は塗布時には、ほぼ(SiH2)nの組成になっていることから、その約66%が水素であるが、熱処理によって水素の脱離が起こりアモルファスシリコン膜が形成されてゆく。よって膜中の水素含有量は熱処理の温度や時間等によって0〜66%まで任意の値を取る。また基板への塗布や搬送中、熱処理の際の雰囲気によっては、酸素や窒素等の不活性ガスや希ガス元素を膜中に部分的に含む膜となる。本明細書では上記のような水素含有量および不純物原子の混入している状態まで含めて、本発明での熱処理によって生じる膜すべてをアモルファスシリコン膜111と呼称することとする。
熱処理(焼成)については、液状材料110から溶媒を除去し、シラン系化合物を分解して良好なアモルファスシリコン膜111に変化させることができればよく、特に限定されない。但し、熱処理(焼成)の温度は200℃以上500℃以下とするのが好ましく、さらに300℃以上400℃以下とするのがより好ましい。温度が200℃未満では良好なアモルファスシリコン膜111に変化しにくく、また500℃を越えるとアモルファスシリコン膜111中に残留する水素が少なくなり過ぎてしまう。また、温度が300℃以上400℃以下とすれば、良好なアモルファスシリコン膜111に変化させることができるとともに、このアモルファスシリコン膜111中に水素を十分残留させることができる。なお、使用する液状材料110 によって異なるものの、例えば温度が300℃で20分間熱処理(焼成)を施して得られるアモルファスシリコン膜111中には水素が約20%残留し、温度が400℃で20分間熱処理(焼成)を施して得られるアモルファスシリコン膜111中には水素が約6%残留し、温度が500℃で20分間熱処理(焼成)を施して得られるアモルファスシリコン膜111中には水素が約2%残留する。このように、熱処理が200℃以上500℃以下で行われるので、シラン系化合物を含む液状材料110を良好なアモルファスシリコン膜111に変化させることができるとともに、このアモルファスシリコン膜111中に、原料のシラン化合物に含まれる水素を十分に残留させることができる。
アモルファスシリコン膜111の厚さは、通常、1nm〜20μm程度であるのが好ましく、5nm〜2μm程度であるのがより好ましく、5nm〜1μm程度であるのがさらに好ましい。アモルファスシリコン膜111の膜厚が薄すぎると、アモルファスシリコン膜111の均一性が損なわれるため、後述する剥離工程において剥離にムラが生じるおそれがある。また、アモルファスシリコン膜111の膜厚が厚すぎると、後述する剥離工程においてアモルファスシリコン膜111に照射するレーザ光などのエネルギー光のパワー(光量/エネルギー密度)を大きくする必要が生じるとともに、フレキシブル基板120の側などに付着したアモルファスシリコン膜111を除去する作業に時間がかかる。なお、アモルファスシリコン膜111の膜厚は、できるだけ均一であるのが好ましい。
なお、塗布工程、配置工程、及び熱処理工程は、真空中又は不活性雰囲気(例えば窒素やアルゴン等)の下で行うのが好ましい。これにより、液体材料110が酸素と反応するのを防止することができる。
(デバイス形成工程)
図8は、本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法におけるデバイス形成工程を説明する側断面図である。図8に示すように、熱処理工程の次に、フレキシブル基板120上に薄膜デバイスを含む薄膜デバイス層130を形成する。
図9は、図8に示した薄膜デバイス層を説明する要部拡大図である。図9に示すように、薄膜デバイス層130は、例えばSiO2膜からなる中間層132上に形成された薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を含む。中間層132は、例えば薄膜デバイス層130を物理的又は化学的に保護する保護層、絶縁層、 導電層、レーザ光の遮光層、マイグレーション防止のバリア層、又は反射層として形成される。なお、場合によってはSiO2膜などの中間層132を形成せずに、フレキシブル基板120上に薄膜デバイス層130を直接形成するようにしてもよい。また、TFTは、チャネル領域134、ポリシリコン膜にn型不純物を導入してなるソース・ドレイン領域136、ゲート絶縁膜138、ゲート電極140、アルミニウムなどからなるソース・ ドレイン電極142、及び層間絶縁膜144を備える。中間層132としてはSiO2膜を使用しているが、Si34などのその他の絶縁膜を形成することもできる。ここで用いる中間層142の厚みは、その形成目的や発揮し得る機能の程度に応じて適宜決定されるが、通常は、10nm〜5μm程度であるのが好ましく、40nm〜1μm程度であるのがより好ましい。このように、フレキシブル基板120上にTFT(薄膜トランジスタ)を含む薄膜デバイス層130が形成されるので、駆動基板などの各種のアクティブマトリクスを製造することができる。
本実施形態では、TFTを含む薄膜デバイス層130を示したが、これに限定されない。薄膜デバイス層130に含まれる薄膜デバイスは、TFT以外にも製造する機器の種類に応じて、例えば薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子(光センサ、太陽電池)、シリコン抵抗素子、その他の薄膜半導体デバイス、各種電極(例えばITO、メサ膜のような透明電極)、スイッチング素子、メモリー、圧電素子などのアクチュエータ、マイクロミラー(ピエゾ薄膜セラミックス)、磁気記録薄膜ヘッド、コイル、インダクター、薄膜高透磁材料及びそれらを組み合わせたマイクロ磁気デバイス、フィルター、反射膜、 ダイクロイックミラーなどであってもよい。一般的に、いずれの薄膜デバイスを形成する場合でも、比較的高い温度のプロセスを経て形成される。よって、このような薄膜デバイスを形成する場合にも、支持基板100は、前述のようにその温度に耐え得る信頼性の高いものを用いる必要がある。
(剥離工程)
図10及び図11は、本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における剥離工程を説明する側断面図である。図10に示すように、デバイス形成工程の次に、支持基板100の裏面側からエネルギー光を照射する。照射されたエネルギー光は、支持基板100を透過した後にアモルファスシリコン膜111に到達する。その結果、エネルギー光によってアモルファスシリコン膜111がアブレーション、すなわち蒸発して除去され、図11に示すように、フレキシブル基板120を剥離することができる。このように、光透過性を有する支持基板100において、アモルファスシリコン膜111が存在する面と反対の面から光が照射されるので、支持基板100を透過した光がアモルファスシリコン膜111に照射され、アモルファスシリコン膜111が蒸発してフレキシブル基板120を容易に剥離することができる。
剥離されたフレキシブル基板120と当該フレキシブル基板120上に形成された薄膜デバイス層130とが、最終製品である薄膜デバイス装置1となる。このように製造される薄膜デバイス装置1としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどが挙げられる。このように、フレキシブル基板120上に薄膜デバイス層130が形成され、アモルファスシリコン膜111に光を照射してアモルファスシリコン膜111からフレキシブル基材120が剥離されるので、剥離されたフレキシブル基板120を他の基板に転写するなどの更なる工程を経ることなく、薄膜デバイス装置1を得ることができる。
エネルギー光を照射することでアモルファスシリコン膜111が蒸発する原理は、 エネルギー光の照射によって水素含有のアモルファスシリコン膜111がポリシリコン膜に相転移するとともに、アモルファスシリコン膜111から 水素ガスが放出されることによるものである。本実施形態では、アモルファスシリコン膜111(液状材料110)を液相法で形成しているので、アモルファスシリコン膜111中に残留した水素が比較的多く、アモルファスシリコン膜111の溶融や水素ガスの放出によって容易に蒸発することができるようになっている。
剥離したフレキシブル基板120及び/又は支持基板100にアモルファスシリコン膜111の一部が付着している場合には、付着しているアモルファスシリコン膜111を、例えば洗浄、エッチング、アッシング、若しくは研磨などの方法、又はこれらを組み合わせた方法により除去する。
照射されるエネルギー光は、アモルファスシリコン膜を蒸発させるものであればよく、特に限定されない。このようなエネルギー光として、例えば紫外線、可視光、赤外線(熱線)などが挙げられる。その中でも、第1分離層120に相転移や水素ガスの放出を起こさせ易いという点でレーザ光が好ましい。
レーザ光としては、各種気体レーザ、固体レーザ(半導体レーザ)などが挙げられるが、エキシマレーザ、Nd−YAGレーザ、Arレーザ、CO2レー ザ、COレーザ、He−Neレーザなどが好適に用いられ、その中でも特にエキシマレーザが好ましい。エキシマレーザは、短波長域で高エネルギーを出力するため、極めて短時間でアモルファスシリコン膜111に相転移や水素ガスの放出を生じさせる。その結果、エキシマレーザを照射したときに、支持基板100やフレキシブル基板120などに温度上昇をほとんど生じさせることがない。このように、アモルファスシリコン膜111に照射される光がエキシマレーザであるので、支持基板100やフレキシブル基板120などを劣化又は破損させることなく、アモルファスシリコン膜111で剥離することができる。
なお、レーザ光の照射する際に、アモルファスシリコン膜111中に残留する水素量などに応じてあらかじめレーザ光のエネルギー密度を適宜決定するのが好ましい。また、レーザ光は、一度に照射可能な面積が小さいので、図3乃至図5に示したように、塗布工程において支持基板100上の一部に液状材料110を塗布すると、全面に塗布する場合と比較してレーザ光を照射すべき面積が小さくなり、省エネルギーで短時間にフレキシブル基板120を剥離することができる。
このように、本発明によれば、熱処理を施して液状材料110がアモルファスシリコン膜111に変化するので、樹脂系接着剤と比較して高い耐熱性及び耐薬品性を有するアモルファスシリコン膜により支持基板100及びフレキシブル基板120を接着することができる。また、フレキシブル基板120上に薄膜デバイス層130が形成され、アモルファスシリコン膜111に光を照射してアモルファスシリコン膜111からフレキシブル基材120が剥離されるので、剥離されたフレキシブル基板120を他の基板に転写するなどの更なる工程を経ることなく、薄膜デバイス装置1を得ることができる。これにより、従来のように複雑な機構を用いることなく、アモルファスシリコン膜111で支持基板100上にフレキシブル基板120を安定的に固定することができるとともに、より少ない工程で薄膜デバイス装置1を製造することができ、従来よりも製造コストを低減することができる。
また、液状材料110が支持基板100上及びフレキシブル基板120上の少なくとも一方の一部に塗布されるので、基板上の全面に液状材料110を塗布する必要がなく、少量の液状材料110で短時間に塗布することができる。これにより、剥離工程において省エネルギーで短時間にフレキシブル基板120を剥離することができ、従来よりも更に製造コストを低減することができる。
また、液状材料110が支持基板100上及びフレキシブル基板120上の少なくとも一方の外周部に塗布されるので、支持基板100及びフレキシブル基板120間に、溶液やガスなどの異物が侵入するのを防止することができる。
また、塗布工程、配置工程、及び熱処理工程が、真空中又は不活性雰囲気下で行われるので、液体材料110が酸素と反応するのを防止することができる。
また、配置工程が真空中で行われるので、支持基板100上に液体材料110を介してフレキシブル基板120を配置する際に、支持基板100及びフレキシブル基板120間に空気が封入されるのを防止することができる。
また、光透過性を有する支持基板100において、アモルファスシリコン膜111が存在する面と反対の面から光が照射されるので、支持基板100を透過した光がアモルファスシリコン膜111に照射され、アモルファスシリコン膜111が蒸発してフレキシブル基板120を容易に剥離することができる。
また、液状材料110を塗布する前に、支持基板100及びフレキシブル基板120の少なくとも一方において液状材料110が塗布される面に表面処理が施されるので、液状材料110が塗布される面が平坦になり、液状材料110を所望の位置に塗布することができる。これにより、液状材料110の塗布精度を向上させることができ、支持基板100及びフレキシブル基板120間の密着性を高めることができる。
また、フレキシブル基板120を配置する前に、支持基板100及びフレキシブル基板120の少なくとも一方において液状材料110を介する面に表面処理が施されるので、液状材料110を介する面が平坦になり、液状材料110上の所望の位置にフレキシブル基板120を配置することができる。これにより、液状材料110の塗布精度を向上させることができ、支持基板100及びフレキシブル基板120間の密着性を高めることができる。
また、熱処理が200℃以上500℃以下で行われるので、シラン系化合物を含む液状材料110を良好なアモルファスシリコン膜111に変化させることができるとともに、このアモルファスシリコン膜111中に、原料のシラン化合物に含まれる水素を十分に残留させることができる。
また、アモルファスシリコン膜111に照射される光がエキシマレーザであるので、支持基板100やフレキシブル基板120などを劣化又は破損させることなく、アモルファスシリコン膜111で剥離することができる。
また、フレキシブル基板120上にTFT(薄膜トランジスタ)を含む薄膜デバイス層130が形成されるので、駆動基板などの各種のアクティブマトリクスを製造することができる。
また、フレキシブル基板120が厚さ200μm以下のガラス基板又は石英基板であるので、より高いフレキシブル性を得ることができる。
なお、本発明の構成は、前述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における塗布工程を説明する側断面図である。 図1に示した塗布工程の変形例を説明する側断面図である。 本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における塗布工程を説明する上面図である。 本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における塗布工程を説明する上面図である。 本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における塗布工程を説明する上面図である。 本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における配置工程を説明する側断面図である。 本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における熱処理工程を説明する側断面図である。 本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法におけるデバイス形成工程を説明する側断面図である。 図8に示した薄膜デバイス層を説明する要部拡大図である。 本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における剥離工程を説明する側断面図である。 本発明に係る薄膜デバイス装置の製造方法における剥離工程を説明する側断面図である。
符号の説明
100…支持基板、111…アモルファスシリコン膜、120…フレキシブル基板120、130…薄膜デバイス層。

Claims (12)

  1. 支持基板上及びフレキシブル基板上の少なくとも一方にシラン系化合物を含む液状材料を塗布する塗布工程と、
    前記支持基板上に、前記液状材料を介して前記フレキシブル基板を配置する配置工程と、
    前記液状材料に熱処理を施してアモルファスシリコン膜に変化させることにより前記支持基板と前記フレキシブル基板とを接着する熱処理工程と、前記フレキシブル基板上に薄膜デバイスを形成するデバイス形成工程と、
    前記アモルファスシリコン膜に光を照射して前記支持基板から前記フレキシブル基材を剥離する剥離工程とを備える
    ことを特徴とする薄膜デバイス装置の製造方法。
  2. 前記塗布工程は、前記液状材料を前記支持基板上及び前記フレキシブル基板上の少なくとも一方の一部に塗布する
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
  3. 前記塗布工程は、前記液状材料を前記支持基板上及び前記フレキシブル基板上の少なくとも一方の外周部に塗布する
    ことを特徴とする請求項2に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
  4. 前記塗布工程、前記配置工程、及び前記熱処理工程は、真空中又は不活性雰囲気下で行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
  5. 前記配置工程は真空中で行う
    ことを特徴とする請求項4に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
  6. 前記支持基板は光透過性を有し、
    前記剥離工程は、前記支持基板における前記アモルファスシリコン膜が存在する面と反対の面から前記光を照射する
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
  7. 前記塗布工程は、前記液状材料を塗布する前に、前記支持基板及び前記フレキシブル基板の少なくとも一方において前記液状材料が塗布される面に表面処理を施す工程を更に含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
  8. 前記配置工程は、前記フレキシブル基板を配置する前に、前記支持基板及び前記フレキシブル基板の少なくとも一方において前記液状材料を介する面に表面処理を施す工程を更に含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
  9. 前記熱処理は200℃以上500℃以下で行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
  10. 前記光がエキシマレーザである
    ことを特徴とする請求項1に薄膜デバイス装置の製造方法。
  11. 前記薄膜デバイスが薄膜トランジスタである
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
  12. 前記フレキシブル基板が厚さ200μm以下のガラス基板又は石英基板である
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜デバイス装置の製造方法。
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