JP2010007518A - ディーゼルエンジンの排気浄化装置及び排気浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒温度が活性領域に収まるように積極的な制御を行うようにした装置を提供する。
【解決手段】NOxトラップ触媒であって、所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒(9)と、この触媒(9)の温度を検出する温度検出手段(61)と、触媒入口の排気温度が低下していく運転条件であるか否かを判定する運転条件判定手段(30)と、前記検出される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定する高温判定手段(30)と、これらの判定結果より触媒入口の排気温度が低下していく運転条件でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させる温度低下手段(30)とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】NOxトラップ触媒であって、所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒(9)と、この触媒(9)の温度を検出する温度検出手段(61)と、触媒入口の排気温度が低下していく運転条件であるか否かを判定する運転条件判定手段(30)と、前記検出される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定する高温判定手段(30)と、これらの判定結果より触媒入口の排気温度が低下していく運転条件でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させる温度低下手段(30)とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、ディーゼルエンジンの排気浄化装置及び排気浄化方法に関する。
リーン運転時に発生するNOxを浄化する触媒として、排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチのときトラップしたNOxを脱離すると共に脱離したNOxを排気中の還元剤を用いて還元浄化するNOxトラップ触媒や、排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをHCを還元剤として直接に還元浄化する選択還元型のリーンNOx触媒が知られており、これらの触媒を対象として、触媒温度を検出し、検出した触媒温度がNOxの浄化性能を発揮する活性領域にあるときだけリーン運転を許可するものがある(特許文献1参照)。
特開平11−247679号公報。
ところで、上記特許文献1の技術では、触媒温度が活性領域となるのを待つだけであるため、触媒温度が活性領域となるまでリーン運転を許可することができず、理論空燃比での運転が継続される。理論空燃比での運転ではリーン運転よりも消費される燃料が多いため、リーン運転が許可されないと、そのぶん燃費が悪くなる。
ここで、見方を変えて、触媒温度が活性領域に収まるように積極的な制御を行ってやれば、早期にリーン運転が許可されることとなり、燃費を向上できる。
しかしながら、こうした考え方は上記特許文献1の技術には全く開示されていない。
そこで本発明は、触媒温度が活性領域に収まるように積極的な制御を行うようにした装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明は、排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチのときトラップしたNOxを脱離すると共に脱離したNOxを排気中の還元剤を用いて還元浄化するNOxトラップ触媒または排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをHCを還元剤として還元浄化する選択還元型のリーンNOx触媒である触媒であって、所定の活性所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒と、この触媒の温度を検出または推定する温度検出・推定手段とを備え、触媒入口の排気温度が低下していく運転条件であるか否かを判定し、前記検出または推定される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定し、これらの判定結果より触媒入口の排気温度が低下していく運転条件でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させるように構成する。
また本発明は、排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチのときトラップしたNOxを脱離すると共に脱離したNOxを排気中の還元剤を用いて還元浄化するNOxトラップ触媒または排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをHCを還元剤として還元浄化する選択還元型のリーンNOx触媒である触媒であって、所定の活性所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒と、この触媒の温度を検出または推定する温度検出・推定手段とを備え、高負荷運転時であるか否かを判定し、前記検出または推定される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定し、これらの判定結果より高負荷運転時でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させるように構成する。
本発明によれば、排気通路に配置され、所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒と、この触媒の温度を検出または推定する温度検出・推定手段とを備え、触媒入口の排気温度が低下していく運転条件であるか否かを判定し、前記検出または推定される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定し、これらの判定結果より触媒入口の排気温度が低下していく運転条件でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させるので、触媒がNOxトラップ触媒である場合に、触媒入口の排気温度が低下していく運転条件の後に触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を行う際には触媒温度を活性領域内に収めた状態で触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を開始できることから、NOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理に用いる燃料消費を節約できる。また、触媒がリーンNOx触媒である場合にはリーンNOx触媒のNOx転化効率を高い状態に維持できる。
また本発明によれば、排気通路に配置され、所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒と、この触媒の温度を検出または推定する温度検出・推定手段とを備え、高負荷運転時であるか否かを判定し、前記検出または推定される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定し、これらの判定結果より高負荷運転時でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させるので、触媒がNOxトラップ触媒である場合に、高負荷運転時の後にNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を行う際には触媒温度を活性領域内に収めた状態でNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を開始できることから、NOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理に用いる燃料消費を節約できる。また、触媒がリーンNOx触媒である場合にはリーンNOx触媒のNOx転化効率を高い状態に維持できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るディーゼルエンジンの排気浄化装置を適用したハイブリッド車両のシステム構成図である。ハイブリッド車両としては、特に電動機と内燃機関とを車両走行用にそれぞれ独立あるいは併用して運転可能に配置したパラレルハイブリッド方式の車両にディーゼルエンジンを適用したものである。このハイブリッド車を以下、「ディーゼルハイブリッド車両」という。本発明は、ディーゼルハイブリッド車両に限定されるもものでなく、ディーゼルエンジンを有する車両(この車両を以下「ディーゼル車両」という。)にも適用がある。
図1において、ディーゼルハイブリッド車両はディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」という。)1の出力と、バッテリ50からの電力供給を受ける車両駆動用モータジェネレータ53(車両駆動用モータ及びジェネレータとして機能する)の出力との2種の動力源で走行する。エンジン1の出力は、発電用として始動時用モータジェネレータ51(始動時のエンジン駆動用モータ及びジェネレータとして機能する)に伝えられると共に、車両駆動用として動力伝達機構(例えば、電磁クラッチ付きのCVT)52からディファレンシャルギヤ54を介して駆動輪55a、55bへと伝えられる。
なお、前記発電用、車両駆動用として使用されるエンジン1の出力配分は、ハイブリッド用コントロールユニット40により制御されている。例えば、ディーゼルハイブリッド車両が走行を始める比較的低車速の状態では、エンジン1を停止したまま車両駆動用モータジェネレータ53を力行することによる走行(EV走行)を行う。また、ハイブリッド用コントロールユニット40は、バッテリ50から始動時用モータジェネレータ51及び車両駆動用モータジェネレータ53への電力供給を制御すると共に、減速時には車両駆動用モータジェネレータ53からバッテリ50への回生電力の回収も制御する。
ハイブリッド用コントロールユニット40には、車両走行情報(停止も含む)をモニターするため、アクセルセンサ41からの信号(アクセルペダルの踏み込み量に比例した出力信号)、スタートキー42からの信号(Acc位置とON位置に対応した信号で通常の車両と異なりStart位置がない)、シフトレバーポジションセンサ43からの信号、ブレーキ作動スイッチ44からの信号、車速センサ45からの信号、バッテリ残容量センサ46からの信号及びエンジン駆動時の電流センサ47からの信号等が入力され、該入力された信号に基づいてエンジン1の始動やその出力配分を決定し、車両走行用のための出力分担の要否を判定し、始動指令及び出力分担指令をエンジン用コントロールユニット30に発する。
そして、エンジン用コントロールユニット30は、ハイブリッド用コントロールユニット40からの指令に従って、エンジン1の始動又は停止、エンジン1の出力制御を行う。また、エンジン用コントロールユニット30には、水温センサ31からの信号Tw、クランク角センサ32からの信号(エンジン回転速度Neとクランク角度)、気筒判別センサ33からの信号(気筒判別信号)Cyl、コモンレール圧を検出する圧力センサ34からの信号Pcr等の信号が入力される。
ステッピングモータにより駆動されるEGR弁5は、過給機のタービン3b上流の排気通路3から分岐したEGR通路4を介して、吸気マニホールド2dのすぐ上流に排気の一部を還流する。吸気通路2には、上流側からエアクリーナ2a、過給機のコンプレッサ2b、インタークーラ2c、アクチュエータ(例えばステッピングモータ式)6によって開閉駆動される吸気絞り弁7が設けられている。
燃料供給系は、ディーゼル用燃料(軽油)タンク20、ディーゼル用燃料をエンジン1の燃料噴射装置10へ供給するための燃料供給通路16、エンジン1の燃料噴射装置10からのリターン燃料(スピル燃料)をディーゼル用燃料タンク20に戻すための燃料戻り通路19で構成されている。燃料噴射装置10は、公知のコモンレール式の燃料噴射装置であり、サプライポンプ11、コモンレール(畜圧室)14、気筒毎に設けられる燃料噴射弁15で構成され、サプライポンプ11により加圧された燃料は燃料供給通路12を介してコモンレール14に一旦蓄えられた後、コモンレール14の高圧燃料が気筒数分の燃料噴射弁15に分配される。
また、コモンレール14の圧力を制御するため、サプライポンプ11からの吐出燃料の一部は、その途中に一方向弁18が設けられたオーバーフロー通路17を介して燃料供給通路16に戻される。ここで、オーバーフロー通路17には圧力制御弁13が設けられており、エンジン用コントロールユニット30からのデューティ信号に応じて圧力制御弁13を制御してオーバーフロー通路17の流路面積を変更することにより、コモンレール14への燃料吐出量を調整し、コモンレール14の圧力を制御する。
燃料噴射弁15は、エンジン用コントロールユニット30からのON―OFF信号によってエンジン1の燃焼室への燃料供給通路を開閉する電子式の燃料噴射弁であって、ON信号によって燃料を燃焼室内に噴射し、OFF信号によって噴射を停止する。なお、燃料噴射量は、燃料噴射弁15のON信号が長いほど多くなるが、コモンレール14の燃料圧力によっても変化する。
排気通路3には排気中に含まれるパティキュレートを捕集するフィルタ8(DPF)を備える。例えば特開2001−73743号公報にも記載があるように、全体として略円柱状のフィルタに、セラミック等の多孔性部材からなるハニカム状の隔壁により、排気流と略平行なセルが多数形成され、各セルの入口と出口とが封鎖材により交互に目封じされている。排気に含まれるパティキュレートは詳細には、煤と可溶性有機物質(SOF)などからなる複合体であり、その大部分は煤(パティキュレート)である。このため、通常の排気温度では排気が隔壁を介して隣接するセルに流入するときに、煤が隔壁により捕集される。これに対してフィルタの再生時期となり排気温度を上昇させると、煤は自着火しCO2として排出される。
排気通路3にはまた、排気中に含まれるNOxをトラップ(吸着)可能なNOxトラップ触媒(単に「触媒」ということがある。)9をフィルタ8の上流に備える。このNOxトラップ触媒9はNOxをトラップ(吸着)可能なNOxトラップ材(吸着材)と、トラップしたNOxが脱離したときに還元浄化可能な三元触媒とを組み合わせたものである。NOxトラップ触媒を用いる場合には、NOxをトラップできる量に限りがあるので、NOxトラップ量が多くなったら触媒にトラップされているNOxを脱離して還元浄化する必要がある。このため、NOxトラップ触媒の再生時期になったときには、空燃比を理論空燃比やそれよりリッチ側の空燃比とする(空気過剰率を一時的に1.0やそれより小さい値とする)、いわゆる空燃比リッチ化処理を行うことにより、触媒にトラップされているNOxトラップ量と反応するのに適切な量の還元剤(HC等)を触媒9に供給し、触媒にトラップされている全てのNOxを浄化し、NOxトラップ触媒を再生させることになる。
さて、図2は、NOxトラップ触媒9の温度(以下「触媒温度」という。)に対するNOx転化率の特性である。ここで、「触媒温度」を定義しておくと、触媒温度とは、触媒成分(例えば貴金属)が担持されている部位(「ベッド」といわれる。)の温度のことである。触媒入口の排気温度とは相違する。また、NOx転化率[%]とは、次の式により定義される値である。
NOx転化率={(触媒入口NOx量−触媒出口NOx量)
/(触媒入口NOx量)}×100 …(1)
図2より、NOxトラップ触媒9の再生のために空燃比リッチ化処理を一時的に行うとしても、NOx転化率が低下してしまう場合のあることがわかる。すなわち、NOx転化率がほぼ90%以上となる温度域、具体的には250℃〜400℃の温度域を「活性領域」として定義すれば、触媒温度が活性領域内にあればNOx転化率がほぼ90%以上となるのに対して、触媒温度が活性領域を外れて高温になるほどNOx転化率が急激に低下している。このように活性領域の上限温度である400℃を超える高温の温度域でNOx転化率が低下する理由であるが、これはNOxトラップ触媒にトラップしたNOxを浄化する能力が低下してしまうためであると考えられる。ただし、NOxトラップ触媒は、NOxをトラップする能力と、トラップしたNOxを浄化する能力とを有し、このうちトラップしたNOxを浄化する能力のほうはこのように高温域で低下するものの、NOxをトラップする能力(つまりNOxトラップ率)のほうは、図2に重ねて示しているように400℃を超える温度域になっても低下していない。
/(触媒入口NOx量)}×100 …(1)
図2より、NOxトラップ触媒9の再生のために空燃比リッチ化処理を一時的に行うとしても、NOx転化率が低下してしまう場合のあることがわかる。すなわち、NOx転化率がほぼ90%以上となる温度域、具体的には250℃〜400℃の温度域を「活性領域」として定義すれば、触媒温度が活性領域内にあればNOx転化率がほぼ90%以上となるのに対して、触媒温度が活性領域を外れて高温になるほどNOx転化率が急激に低下している。このように活性領域の上限温度である400℃を超える高温の温度域でNOx転化率が低下する理由であるが、これはNOxトラップ触媒にトラップしたNOxを浄化する能力が低下してしまうためであると考えられる。ただし、NOxトラップ触媒は、NOxをトラップする能力と、トラップしたNOxを浄化する能力とを有し、このうちトラップしたNOxを浄化する能力のほうはこのように高温域で低下するものの、NOxをトラップする能力(つまりNOxトラップ率)のほうは、図2に重ねて示しているように400℃を超える温度域になっても低下していない。
従って、NOxトラップ触媒9を用いる場合には空燃比リッチ化処理のための燃料を無駄にしないためにも空燃比リッチ化処理中の触媒温度を活性領域に保たなければならない。
そこで本発明では、ディーゼルハイブリッド車両やディーゼル車両を前提として、触媒温度を検出または推定し、検出または推定した触媒温度が活性領域の上限温度を超える高温となっている場合に、触媒温度を活性領域まで低下させる処理を行わせる。
以下本発明の基本的な考え方を項を分けて説明する。
《1》触媒温度が活性領域の上限温度以上となる条件
触媒温度が活性領域の上限温度以上となる条件としては次の2つの条件が考えられる。
《1》触媒温度が活性領域の上限温度以上となる条件
触媒温度が活性領域の上限温度以上となる条件としては次の2つの条件が考えられる。
〈ア〉触媒温度が高い状態が続く運転条件
例1:高負荷運転時(ただし、フィルタ再生処理時、硫黄被毒解除処理時を除く
)
〈イ〉触媒入口の排気温度が低下していく運転条件
例1:車両減速時(ディーゼルハイブリッド車両の場合)
例2:高負荷より低負荷への移行時(ディーゼル車両の場合)
ここで、上記〈ア〉例1の高負荷運転時から、フィルタ再生処理時、硫黄被毒解除処理時を除いているのは、フィルタ8の再生処理時や触媒9の硫黄被毒解除処理時には触媒温度を低下させないことが望ましく、フィルタ8の再生処理時や硫黄被毒解除処理時に触媒温度を低下させてしまったのでは、フィルタ8の再生や硫黄被毒解除が不十分にしか行われなくなってしまうためである。
例1:高負荷運転時(ただし、フィルタ再生処理時、硫黄被毒解除処理時を除く
)
〈イ〉触媒入口の排気温度が低下していく運転条件
例1:車両減速時(ディーゼルハイブリッド車両の場合)
例2:高負荷より低負荷への移行時(ディーゼル車両の場合)
ここで、上記〈ア〉例1の高負荷運転時から、フィルタ再生処理時、硫黄被毒解除処理時を除いているのは、フィルタ8の再生処理時や触媒9の硫黄被毒解除処理時には触媒温度を低下させないことが望ましく、フィルタ8の再生処理時や硫黄被毒解除処理時に触媒温度を低下させてしまったのでは、フィルタ8の再生や硫黄被毒解除が不十分にしか行われなくなってしまうためである。
上記〈ア〉の触媒温度や〈イ〉の触媒入口の排気温度は、温度センサにより検出すればよい。また、エンジンの運転条件(回転速度・負荷)と触媒温度や触媒入口の排気温度との関係を予め記憶しておき、エンジンの運転条件に基づいて触媒温度や触媒入口の排気温度を推定することも可能である。上記〈イ〉の車両減速時や高負荷より低負荷への移行時は、アクセル開度、エンジン回転速度、吸入空気量、車速などから判定すればよい。
《2》触媒温度を低下させる温度低下手段
この温度低下手段を図3にまとめている。温度低下手段は、大きく次の2つに分けることができる。
《2》触媒温度を低下させる温度低下手段
この温度低下手段を図3にまとめている。温度低下手段は、大きく次の2つに分けることができる。
空気供給手段:触媒温度を直接下げるものであり、2つの実施例がある。
排温低下手段:触媒温度を排気で下げるものであり、5つの実施例がある。
次に、空気供給手段の2つの実施例、排温低下手段の5つの実施例を順に説明する。ただし、図3に示した合計7つの実施例には図1に示したディーゼルハイブリッド車両に備えていない機構や装置が含まれている。すなわち、図3に示した7つの実施例の中には図1に示したディーゼルハイブリッド車両では構成することができない場合を含んでいる。このため、特に実施例1、4、6を実現するには、2次空気供給装置、可変動弁機構、燃料改質装置等を追加して設けることが必要である。
〈1〉2次空気を供給する手段(実施例1)
2次空気供給装置(デバイス)を追加して設け、触媒9の上流に2次空気を供給すると、冷たい2次空気により触媒9が冷やされることになり触媒温度を低下させることができる。
2次空気供給装置(デバイス)を追加して設け、触媒9の上流に2次空気を供給すると、冷たい2次空気により触媒9が冷やされることになり触媒温度を低下させることができる。
〈2〉エンジンを空転する手段(実施例2)
ディーゼルハイブリッド車両(図3では「D−HEV」で略記。)では、エンジン1とモータジェネレータ53の間のクラッチ(図示しない)を繋いで、エンジン1をモータジェネレータ53で回転させる。この場合、燃料噴射弁15から燃料は噴射しない。併せて、吸気バルブと排気バルブをピストンと干渉しない程度に開けておく。これによって空気が触媒9に供給されることになり、触媒9が冷やされ触媒温度が低下する。
ディーゼルハイブリッド車両(図3では「D−HEV」で略記。)では、エンジン1とモータジェネレータ53の間のクラッチ(図示しない)を繋いで、エンジン1をモータジェネレータ53で回転させる。この場合、燃料噴射弁15から燃料は噴射しない。併せて、吸気バルブと排気バルブをピストンと干渉しない程度に開けておく。これによって空気が触媒9に供給されることになり、触媒9が冷やされ触媒温度が低下する。
一方、ディーゼル車両(図3では「D−ENG」で略記。)では、気筒停止(燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止)することによりエンジンを空転させる。これにより、空気が触媒9を流れることになり、触媒温度を低下させることができる。
ただし、ディーゼル車両において燃料噴射の停止によってエンジン1が自力運転可能な回転速度以下に実際のエンジン回転速度が低下してしまったのではエンストに至ってしまうので、燃料供給を復帰させる回転速度を予め定めておき、実際のエンジン回転速度がこの燃料復帰回転速度以下になったときには直ちに燃料噴射弁15からの燃料供給を再開させることとする。
〈3〉空気過剰率λを高くする手段(実施例3)
空気過剰率とは燃焼室内の混合気の空燃比を理論空燃比で除算した値である。この空気過剰率λを高くするには吸入空気量に対して相対的に燃料供給量を低下させればよく、これによって単位容積当たりの燃焼熱が低下し、排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。空気過剰率を高くするには、EGR弁5(EGR装置)が閉じていれば開き、EGR弁が開いていれば、そのときのEGR弁の開度を増大側に補正してやればよい。また、図1には可変ベーン(アクチュエータ)を有しないターボチャージャを示しているが、可変ベーン(アクチュエータ)を有するターボチャージャ(過給機)を備えている場合には、可変ベーンを制御して過給圧を高くしてやれば空気過剰率λが高くなる。
空気過剰率とは燃焼室内の混合気の空燃比を理論空燃比で除算した値である。この空気過剰率λを高くするには吸入空気量に対して相対的に燃料供給量を低下させればよく、これによって単位容積当たりの燃焼熱が低下し、排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。空気過剰率を高くするには、EGR弁5(EGR装置)が閉じていれば開き、EGR弁が開いていれば、そのときのEGR弁の開度を増大側に補正してやればよい。また、図1には可変ベーン(アクチュエータ)を有しないターボチャージャを示しているが、可変ベーン(アクチュエータ)を有するターボチャージャ(過給機)を備えている場合には、可変ベーンを制御して過給圧を高くしてやれば空気過剰率λが高くなる。
〈4〉圧縮比を高くする手段(実施例4)
圧縮比を高くするとその分、燃焼室内での燃焼状態が良好となって未燃の燃料分が減少するので、排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。圧縮比を高くするには、アクチュエータにより吸気バルブのリフト量や作動角を可変に調整し得る可変動弁機構(図3では「VEL」で略記。)やアクチュエータにより圧縮比を変更可能な圧縮比可変機構(図3では「VCR」で略記。)を追加して設け、これら可変動弁機構や圧縮比可変機構を用いて圧縮比を高くしてやればよい。なお、可変動弁機構や圧縮比可変機構は公知であるので、その説明は省略する。
圧縮比を高くするとその分、燃焼室内での燃焼状態が良好となって未燃の燃料分が減少するので、排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。圧縮比を高くするには、アクチュエータにより吸気バルブのリフト量や作動角を可変に調整し得る可変動弁機構(図3では「VEL」で略記。)やアクチュエータにより圧縮比を変更可能な圧縮比可変機構(図3では「VCR」で略記。)を追加して設け、これら可変動弁機構や圧縮比可変機構を用いて圧縮比を高くしてやればよい。なお、可変動弁機構や圧縮比可変機構は公知であるので、その説明は省略する。
〈5〉燃料噴射時期ITを進角する手段(実施例5)
燃料噴射時期ITを進角するとその分、燃焼状態が良くなって後燃えが減るため、排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。
燃料噴射時期ITを進角するとその分、燃焼状態が良くなって後燃えが減るため、排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。
〈6〉燃料のセタン価を高くする手段(実施例6)
セタン価の高い燃料とは着火性の良い燃料である。着火性の良い燃料を用いることで未燃の燃料分が減少し、排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。
セタン価の高い燃料とは着火性の良い燃料である。着火性の良い燃料を用いることで未燃の燃料分が減少し、排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。
例えば、セタン価の異なる燃料を別々のタンク(燃料供給装置)に蓄えておき、常時は、セタン価の低い燃料を用いることとし、セタン価を高くしたいときにだけ、セタン価の高いほうの燃料を有する燃料タンクからの燃料供給に切換えるようにする。あるいは、燃料改質装置を追加して設けておき、セタン価を高くしたいときにはこの燃料改質装置を働かせてセタン価が高くなるように燃料を改質する。ここで、燃料を改質するとは、具体的には燃料を加熱するまたは触媒で炭化水素をクラッキングすることなどである。
〈7〉等出力線上で排温の低い条件に移す手段(実施例7)
ディーゼルハイブリッド車両には、車両の運転条件に応じた要求総合出力が得られるように、エンジン1と、モータジェネレータ53とで出力分担を行って車両を駆動する運転モードを設けているものがある(特開2007−237794号公報参照)。こうした運転モードを設けているディーゼルハイブリッド車両では、バッテリ50の充電量が十分ある場合にモータジェネレータ53とエンジン1の出力割合のうち、モータジェネレータ53の出力割合を高くすることで、エンジン1の出力割合が減る。エンジンの出力割合を減らすためエンジン回転速度が低く負荷が低い条件に移行させると排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。
ディーゼルハイブリッド車両には、車両の運転条件に応じた要求総合出力が得られるように、エンジン1と、モータジェネレータ53とで出力分担を行って車両を駆動する運転モードを設けているものがある(特開2007−237794号公報参照)。こうした運転モードを設けているディーゼルハイブリッド車両では、バッテリ50の充電量が十分ある場合にモータジェネレータ53とエンジン1の出力割合のうち、モータジェネレータ53の出力割合を高くすることで、エンジン1の出力割合が減る。エンジンの出力割合を減らすためエンジン回転速度が低く負荷が低い条件に移行させると排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。
これについて図4を参照してさらに説明すると、図4はSVと触媒温度に対するNOx転化率の特性図である。図4にはNOx転化率ηNOxが95%、90%、80%の等NOx転化率の線を引いている。ここで、横軸のSVとは、触媒容量[L]をNOxトラップ触媒に流れる排気流量[L/hr]で除算した値(比)のことである。排気流量は、エンジン回転速度にほぼ依存している。NOxトラップ触媒の反応速度(つまりNOx転化率)は、触媒温度とこのSVとでほぼ決まっている。さて、触媒温度が活性領域を外れて高い状態とは、たとえばA点にある状態であり、A点ではNOx転化率ηNOxが80%と低下している。この状態からNOx転化率が90%を超えるようにするには、A点より触媒温度を低下させてB点へと移し、さらにSVを低下させてC点へと移動させれば、NOx転化率が95%に回復することが分かる。ここで、触媒温度を低下させるにはエンジンの負荷を下げればよく、SVを下げるにはエンジン回転速度を下げればよい。このように要求総合出力が変化しないようにエンジン出力割合を減らし、そのエンジン出力を減らした分だけモータ出力割合を増加させることで、排気温度が低下する。
一方、ディーゼル車両では、動力伝達機構52に与える目標変速比を1速側に変更することで排気温度が低下する。この温度低下した排気を触媒9に流すことで触媒温度を低下させることができる。
《3》温度低下手段の選択
図3には、空気供給手段、排温低下手段の2つの温度低下手段を並べて示したが、これら2つの手段は等価でないため、活性領域からの温度差とNOxトラップ量とのいずれに着目するかにより次の2つの選択方法がある。
《3》温度低下手段の選択
図3には、空気供給手段、排温低下手段の2つの温度低下手段を並べて示したが、これら2つの手段は等価でないため、活性領域からの温度差とNOxトラップ量とのいずれに着目するかにより次の2つの選択方法がある。
〈a〉現在の触媒温度と活性領域の上限温度との差
現在の触媒温度と活性領域の上限温度との差ΔTbed1を算出し、この温度差ΔTbed1が判定値を超えているときには空気供給手段を、これに対して温度差ΔTbed1が判定値以下であるときには排温低下手段を選択する。これは、空気供給手段と排温低下手段とでは、触媒温度の低下スピードが異なり、空気供給手段によるほうが排温低下手段によるよりも触媒温度の低下スピードが速いことに着目するものである。すなわち、温度差ΔTbed1が判定値より大きいときには現在の触媒温度を活性領域内へと速やかに戻すため、空気供給手段を選択し、温度差ΔTbed1が判定値以下であるときには現在の触媒温度をあわてて活性領域内へと戻すことが必要ないため排温低下手段を選択する。活性領域の上限温度として例えば図2に示したように400℃を採用する。また、判定値は適合により最適な値を定める。
現在の触媒温度と活性領域の上限温度との差ΔTbed1を算出し、この温度差ΔTbed1が判定値を超えているときには空気供給手段を、これに対して温度差ΔTbed1が判定値以下であるときには排温低下手段を選択する。これは、空気供給手段と排温低下手段とでは、触媒温度の低下スピードが異なり、空気供給手段によるほうが排温低下手段によるよりも触媒温度の低下スピードが速いことに着目するものである。すなわち、温度差ΔTbed1が判定値より大きいときには現在の触媒温度を活性領域内へと速やかに戻すため、空気供給手段を選択し、温度差ΔTbed1が判定値以下であるときには現在の触媒温度をあわてて活性領域内へと戻すことが必要ないため排温低下手段を選択する。活性領域の上限温度として例えば図2に示したように400℃を採用する。また、判定値は適合により最適な値を定める。
〈b〉NOxトラップ量
NOxトラップ量がしきい値を超えているときには空気供給手段を選択する。ここで、しきい値とは、NOxトラップ触媒の再生処理を行うか否かを判定するための値である。NOxトラップ量がしきい値に到達したとき排気中のNOxはそれ以上、NOxトラップ触媒にトラップされることがない。触媒にトラップされないNOxはそのまま大気中へ放出されることを意味するので、触媒にトラップしているNOxを急いで浄化する(触媒を再生する)ため空燃比のリッチ化処理を行うこととなる。
NOxトラップ量がしきい値を超えているときには空気供給手段を選択する。ここで、しきい値とは、NOxトラップ触媒の再生処理を行うか否かを判定するための値である。NOxトラップ量がしきい値に到達したとき排気中のNOxはそれ以上、NOxトラップ触媒にトラップされることがない。触媒にトラップされないNOxはそのまま大気中へ放出されることを意味するので、触媒にトラップしているNOxを急いで浄化する(触媒を再生する)ため空燃比のリッチ化処理を行うこととなる。
この場合に、図2で前述したように触媒温度が活性領域内にないとNOx転化率が低下し、触媒再生のための燃料が無駄に使われてしまう。そこで、NOxトラップ量がしきい値を超えているときには触媒温度を活性領域内にすばやく低下させる必要があるため空気供給手段を選択することとしたものである。
《4》触媒入口の排気温度が低下していく運転条件での触媒温度の具体的挙動1
図5は、上記《1》の〈イ〉の条件でディーゼル車両、ディーゼルハイブリッド車両それぞれの触媒温度の挙動がどうなるかを具体的に示したものである。すなわち、図5上段は、ディーゼル車両においてフィルタ8の再生処理モードにあった状態からt1のタイミングで通常モードに移行した場合(これは高負荷より低負荷への移行時の代表例)である。
《4》触媒入口の排気温度が低下していく運転条件での触媒温度の具体的挙動1
図5は、上記《1》の〈イ〉の条件でディーゼル車両、ディーゼルハイブリッド車両それぞれの触媒温度の挙動がどうなるかを具体的に示したものである。すなわち、図5上段は、ディーゼル車両においてフィルタ8の再生処理モードにあった状態からt1のタイミングで通常モードに移行した場合(これは高負荷より低負荷への移行時の代表例)である。
一方、図5下段は、ディーゼルハイブリッド車両においてフィルタ8の再生処理モードであった状態からt1のタイミングでエンジンを停止した場合(これは車両減速時の代表例)である。ただし、ディーゼルハイブリッド車両では、エンジン停止後にt2のタイミングで再始動している。
これらディーゼル車両、ディーゼルハイブリッド車両のいずれの場合にも、触媒入口の排気温度が低下していく運転条件で触媒温度は触媒入口温度(触媒入口の排気温度)に対して遅れをもって低下するため、触媒温度が活性領域に収束するのが遅れていることがわかる。
《5》触媒入口の排気温度が低下していく運転条件での触媒温度の具体的挙動2
図6は、図5の場合を含めた上記《1》の〈イ〉の具体的な条件のときに触媒温度、NOxトラップ量がどうなるかをまとめたものである。
《5》触媒入口の排気温度が低下していく運転条件での触媒温度の具体的挙動2
図6は、図5の場合を含めた上記《1》の〈イ〉の具体的な条件のときに触媒温度、NOxトラップ量がどうなるかをまとめたものである。
図6最左欄には、硫黄被毒解除、フィルタ再生(DPF再生)、高負荷運転の各モードにある3つの状態を移行前の状態として挙げている。なお、ここでの「高負荷運転」として、フィルタ再生処理の行われる高負荷運転と、硫黄被毒解除処理の行われる高負荷運転とを除いている。
図6左より2番目の欄には移行後の状態を示し、この欄に「モード走行」とあるのはディーゼル車両において高負荷より低負荷への移行時であることを、また「エンジン停止(減速)」とあるのはディーゼルハイブリッド車両において車両減速時であることを示している。このように、ディーゼル車両、ディーゼルハイブリッド車両についてそれぞれ3つの態様が考えられるのであるが、このうち、フィルタ再生のモードよりモード走行へ移行する態様が前述した図5上段、またフィルタ再生のモードよりエンジン停止へ移行する態様が前述した図5下段であった。
図6左から3番目の欄に示したように、ディーゼル車両でモード走行に移行する態様では、触媒温度は下がるものの、活性領域に下がるまで時間を要している(図5上段参照)。また、ディーゼルハイブリッド車両でエンジン停止に移行する態様でも、触媒温度は高いままであり、再始動時にはまだ活性領域より高い温度になっている(図5下段参照)。
図6右から2番目の欄には、図6最左欄に示した状態から図6左より2番目の欄に示しした状態へと移行する各態様でNOxトラップ量がどのようになっているかを示している。すなわち、以下の通りである。
〔1−1〕硫黄被毒解除のモードから移行する態様
NOxトラップ量が空に近いか空になっている。すなわち、NOxトラップ触媒の硫黄被毒解除のモードでは、理論空燃比または理論空燃比よりもややリッチ側の空燃比でエンジンを運転している。そのため、HCやCOなどの還元ガスがNOxトラップ触媒へと流入し、この流入するHC、COによってNOxトラップ触媒にトラップしているNOxが還元浄化される。硫黄被毒解除のモードは、NOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理のモードよりも長い時間行うので、NOxトラップ触媒にトラップしているNOxは硫黄被毒解除のモードでエンジンを運転している間に全て浄化され、NOxトラップ触媒にNOxはトラップしていない状態、つまり空の状態になる。なお、硫黄被毒解除のモードに入る許可条件は予め定まっており、この許可条件が成立したときだけ硫黄被毒解除のモードでの運転が行われる。
〔2−1〕フィルタ再生のモードから移行する態様
NOxトラップ量が満タンの状態(つまりNOxトラップ量がしきい値以上)になっている。これについて説明すると、フィルタ再生のモードでは、酸素過剰な雰囲気にあるリーン空燃比でエンジンを運転している。なぜなら、フィルタ8に堆積しているパティキュレート(スス)を酸化するために酸素が必要だからである。そのため、フィルタ8の再生中にはNOxトラップ触媒に排気中のNOxがトラップされる。フィルタ再生のモードでエンジンを運転するのも長い時間がかかるので、フィルタ再生のモードでエンジンを運転している間に排気中のNOxがNOxトラップ触媒にトラップし続け、NOxトラップ触媒のNOxトラップ量は飽和し満タン状態になる。なお、フィルタ再生のモードに入る許可条件も予め定まっており、この許可条件が成立したときだけフィルタ再生のモードでの運転が行われる。
〔3−1〕高負荷運転から移行する態様
リーン・リッチのサイクルをまわしている。「リーン・リッチのサイクルをまわしている」とは、高い温度でもNOxトラップ触媒の脱離浄化能力が発揮できるうちは、リーン空燃比でのNOxトラップ量とリッチ空燃比での脱離浄化量をバランスさせながら運転してNOxを浄化していることをいっている。
〔1−1〕硫黄被毒解除のモードから移行する態様
NOxトラップ量が空に近いか空になっている。すなわち、NOxトラップ触媒の硫黄被毒解除のモードでは、理論空燃比または理論空燃比よりもややリッチ側の空燃比でエンジンを運転している。そのため、HCやCOなどの還元ガスがNOxトラップ触媒へと流入し、この流入するHC、COによってNOxトラップ触媒にトラップしているNOxが還元浄化される。硫黄被毒解除のモードは、NOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理のモードよりも長い時間行うので、NOxトラップ触媒にトラップしているNOxは硫黄被毒解除のモードでエンジンを運転している間に全て浄化され、NOxトラップ触媒にNOxはトラップしていない状態、つまり空の状態になる。なお、硫黄被毒解除のモードに入る許可条件は予め定まっており、この許可条件が成立したときだけ硫黄被毒解除のモードでの運転が行われる。
〔2−1〕フィルタ再生のモードから移行する態様
NOxトラップ量が満タンの状態(つまりNOxトラップ量がしきい値以上)になっている。これについて説明すると、フィルタ再生のモードでは、酸素過剰な雰囲気にあるリーン空燃比でエンジンを運転している。なぜなら、フィルタ8に堆積しているパティキュレート(スス)を酸化するために酸素が必要だからである。そのため、フィルタ8の再生中にはNOxトラップ触媒に排気中のNOxがトラップされる。フィルタ再生のモードでエンジンを運転するのも長い時間がかかるので、フィルタ再生のモードでエンジンを運転している間に排気中のNOxがNOxトラップ触媒にトラップし続け、NOxトラップ触媒のNOxトラップ量は飽和し満タン状態になる。なお、フィルタ再生のモードに入る許可条件も予め定まっており、この許可条件が成立したときだけフィルタ再生のモードでの運転が行われる。
〔3−1〕高負荷運転から移行する態様
リーン・リッチのサイクルをまわしている。「リーン・リッチのサイクルをまわしている」とは、高い温度でもNOxトラップ触媒の脱離浄化能力が発揮できるうちは、リーン空燃比でのNOxトラップ量とリッチ空燃比での脱離浄化量をバランスさせながら運転してNOxを浄化していることをいっている。
このように、3つの状態から移行する各態様で触媒温度の挙動とNOxトラップ量の状態とが異なるため、本発明ではこれら各態様に応じて触媒温度をどうするかを決める。これが図6最右欄に示されている。すなわち、上記〔1−1〕〜〔3−1〕に対応して次のようにする。
〔1−2〕硫黄被毒解除のモードから移行する態様
ディーゼル車両、ディーゼルハイブリッド車両とも、NOxトラップ量が満タンになるまでに触媒温度が活性領域まで下がればよい。
〔2−2〕フィルタ再生のモードから移行する態様
ディーゼル車両、ディーゼルハイブリッド車両ともNOxトラップ量が満タンの状態になっているのであるから、触媒温度をできるだけ速く活性領域まで下げなければならない。
〔3−2〕高負荷運転から移行する態様
ディーゼル車両ではNOxトラップ量によって触媒温度が活性領域に下がるまで待つか触媒温度を活性領域まで速く下げるかを決める。「NOxトラップ量によって触媒温度が活性領域に下がるまで待つか触媒温度を活性領域まで速く下げるか決める」とは、NOxトラップ量が少なければ、目標とするNOx転化率となるまで触媒温度が低下するのを待つことであり、NOxトラップ量がしきい値に到達すれば触媒温度を活性領域まで速く下げることである。
〔1−2〕硫黄被毒解除のモードから移行する態様
ディーゼル車両、ディーゼルハイブリッド車両とも、NOxトラップ量が満タンになるまでに触媒温度が活性領域まで下がればよい。
〔2−2〕フィルタ再生のモードから移行する態様
ディーゼル車両、ディーゼルハイブリッド車両ともNOxトラップ量が満タンの状態になっているのであるから、触媒温度をできるだけ速く活性領域まで下げなければならない。
〔3−2〕高負荷運転から移行する態様
ディーゼル車両ではNOxトラップ量によって触媒温度が活性領域に下がるまで待つか触媒温度を活性領域まで速く下げるかを決める。「NOxトラップ量によって触媒温度が活性領域に下がるまで待つか触媒温度を活性領域まで速く下げるか決める」とは、NOxトラップ量が少なければ、目標とするNOx転化率となるまで触媒温度が低下するのを待つことであり、NOxトラップ量がしきい値に到達すれば触媒温度を活性領域まで速く下げることである。
一方、ディーゼルハイブリッド車両ではNOxトラップ量によって車両減速時に触媒温度を活性領域まで下げなければいけない。ディーゼルハイブリッド車両において、車両減速時に単にエンジンを停止した場合、NOxトラップ触媒へのガス流入も停止する。従って、「NOxトラップ量によって車両減速時に下げなければいけない」とは、低負荷運転に移行してエンジンが再始動した場合においてその前の運転条件でNOxトラップ量が多い状態のときには、エンジン再始動までの間にNOxトラップ触媒の温度を活性領域にまで速く下げる必要があり、これに対して低負荷運転に移行してエンジンが再始動した場合においてNOxトラップ量が少ないときにはその必要がないということである。
このように、ディーゼル車両、ディーゼルハイブリッド車両のいずれにおいても特にNOxトラップ量が多い場合に、触媒温度を活性領域まで速やかに下げる必要がある。
これで本発明の基本的な考え方の説明を終了する。
次に、本発明の考え方を具体化した実施形態を説明する。
ディーゼルハイブリッド車両を対象として、車両減速時(上記《1》の〈イ〉例1の条件)に上記《3》の温度低下手段の選択を実現するための第1実施形態を説明する。
図7、図8A、図8Bは第1実施形態のフローチャートで、エンジン用コントロールユニット30により実行されるものである。
まず、図7は移行フラグ1を設定するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ1では移行フラグ1をみる。移行フラグ1はエンジン始動時にゼロに初期設定されている。このため、ステップ2に進み車両の減速運転時(車両減速時)であるか否かをみる。これは、アクセル開度、エンジン回転速度、吸入空気量、車速などから判定すればよい。例えば、アクセル開度がゼロ(アクセルペダルが踏み込まれていない)でかつエンジン回転速度、吸入空気量、車速のいずかの低下速度が所定値を超えている場合に、車両減速時であると判定する。車両減速時でないときにはステップ4に進んで移行フラグ1=0とする。
一方、車両減速時であるときにはステップ3に進んで移行フラグ1=1とする。ここで、移行フラグ1=1は車両減速時である(つまり上記《1》の〈イ〉例1の条件である)ことを表す。
ステップ3で移行フラグ1=1となったときには、次回よりステップ1で移行フラグ1=1であることよりステップ2以降に進むことができない。一度、車両減速時であると判定された後には、続けて車両減速時であるか否かは判定されない。これは、車両減速時であると判定された後には、所定の時間を要する温度低下処理(図8A、図8Bで後述する)を行わせる必要があるためである。これに対して、ステップ3で移行フラグ1=0としたときには、一定周期で次回以降もステップ2で車両減速時であるか否かを判定することになる。
次に、図8A、図8Bは温度低下処理を行うためのもので、図7に続けて一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ここでの処理は、車両減速中に行う処理、つまりNOxトラップ触媒の再生のためのリッチ化処理を開始する前段階の処理が主で、車両減速中にNOxトラップ触媒の再生時期になったときの処理を含む。前段階の処理は、NOxトラップ触媒の再生のためのリッチ化処理を開始するに際して触媒温度が活性領域内に収まっているようにする処理である。
ステップ11では移行フラグ1(図7により設定済み)をみる。移行フラグ1=0であるときには車両減速時でないと判定しそのまま今回の処理を終了する。
移行フラグ1=1であるときには車両減速時であると判定しステップ12に進み、温度センサ61(図1参照)により検出される実際の触媒温度(以下「実触媒温度」という。)rTbedを読み込み、ステップ13、14で作動開始フラグ2、活性領域外フラグをみる。これらのフラグはエンジン始動時にゼロに初期設定されている。いまは作動開始フラグ2=0、活性領域外フラグ=0であるとすると、ステップ13、14よりステップ15に進み、実触媒温度rTbedと目標触媒温度tTbedとを比較する。目標触媒温度tTbedとしては、活性領域の上限温度である400℃を設定している。実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbed以下に収まっているときにはやがてNOxトラップ触媒の再生のためのリッチ化処理を行うこととなったとき、NOx転化率が所定値(90%)を超えている、つまり本実施形態の温度低下処理は必要ないと判断し、そのまま今回の処理を終了する。
一方、ステップ15で実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbedを超えているときには、やがてNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を行うこととなったとき、NOx転化率が所定値(90%)を下回ることになってしまうと判断してステップ16に進み、活性領域外フラグ=1とする。ここで、活性領域外フラグ=1は触媒温度が活性領域にないことを表している。
ステップ17では目標触媒温度からの温度差ΔTbed1を、
ΔTbed1=rTbed−tTbed …(2)
の式により算出する。
ΔTbed1=rTbed−tTbed …(2)
の式により算出する。
ステップ18、19は実触媒温度を活性領域に収めるため空気供給手段を作動させるのか排温低下手段を作動させるのかの場合分けを行う部分である。すなわち、ステップ18ではこの温度差ΔTbed1と判定値ΔTbedmx1とを、ステップ19ではNOxトラップ量ΣNOxとしきい値NOxmaxとを比較する。
上記の判定値ΔTbedmx1は、空気供給手段を用いるのか排温低下手段を用いるかを定めるための値で、予め適合により定めておく。温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1を超えているときには実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbedより大きく離れた高温となっていることを、また温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1以下であるときには実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbedよりそれほど大きく離れていないことを表す。
次に、上記のしきい値NOxmaxは、90%以上のNOx転化率を維持できるNOxトラップ量のうちの最大値である。NOxトラップ量ΣNOxがしきい値NOxmaxを超えているときにはNOxトラップ触媒に性能を維持するためのトラップ能力がないことを、またNOxトラップ量ΣNOxがしきい値NOxmax以下であるときにはNOxトラップ触媒に性能を維持するためのトラップ能力が残っていることを表す。
なお、NOxトラップ量ΣNOxを算出するには、例えば特許第2600492号公報第6頁に記載されているNOx吸収量の計算のように、エンジン回転速度の積算値から推測してもよいし、走行距離から推測してもよい。なお、積算値を用いる場合は、NOxトラップ触媒の再生が完了した時点(硫黄被毒解除のモードでの運転実行によりNOxトラップ触媒の再生が完了した時点も含む)で、その積算値をリセットする(特開2003−336520号公報参照)。
ステップ18で温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1を超えているときには、実触媒温度を速やかに活性領域に戻す必要があると判断し、ステップ20に進んで空気供給手段を作動させる。ステップ21では作動開始フラグ1a(エンジン始動時にゼロに初期設定)=1とする。作動開始フラグ1a=1は空気供給手段の作動を行っていることを表す。
これに対してステップ18、19で温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1以下であってもNOx吸着量ΣNOxがしきい値NOxmaxを超えているときには、実触媒温度を速やかに活性領域内に戻す必要があると判断し、ステップ22に進んで空気供給手段を作動させる。NOxトラップ量ΣNOxがしきい値NOxmaxを超えているときに空気供給手段を作動させる理由は、このときNOxトラップ触媒に性能を維持するためのトラップ能力が既に残っていないので、実触媒温度を活性領域内に速く戻してNOxトラップ触媒にトラップされているNOxを還元浄化する必要があるためである。ステップ23では作動開始フラグ1b(エンジン始動時にゼロに初期設定)=1とする。作動開始フラグ1b=1も空気供給手段の作動を行っていることを表す。なお、NOx吸着量ΣNOxがしきい値NOxmaxを超えると、図示しないフローでNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理が開始される。
一方、ステップ18、19で温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1以下(つまり実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbedより余り離れていない)でありかつNOxトラップ量ΣNOxがしきい値NOxmax以下であるときには、温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1を超えているときやNOxトラップ量がしきい値を超えているときのスピードよりも緩やかなスピードで実触媒温度を活性領域内に戻せばよいと判断し、図8Bのステップ24に進み、作動開始フラグ1aをみる。図8Aのステップ18、19では空気供給手段と排温低下手段のいずれを作動させるのかの場合分けを行っており、図8Bのステップ24に進んできたときには空気供給手段は作動させない、つまり作動開始フラグ1a=0となっている。従って、図8Bのステップ24よりステップ25に進み、排温低下手段を作動させる。図8Bのステップ26では作動開始フラグ2(エンジン始動時にゼロに初期設定)=1とする。作動開始フラグ2=1は排温低下手段の作動を行っていることを表す。
上記図8Aのステップ18、19での2つの場合分けにより、作動開始フラグ1a、1b、2の3つのフラグのうちいずれかが1となる。すなわち、
〔ア〕図8Aのステップ21で作動開始フラグ1a=1となっているか、
〔イ〕図8Aのステップ23で作動開始フラグ1b=1となっているかまたは
〔ウ〕図8Bのステップ26で作動開始フラグ2=1となっている。
〔ア〕図8Aのステップ21で作動開始フラグ1a=1となっているか、
〔イ〕図8Aのステップ23で作動開始フラグ1b=1となっているかまたは
〔ウ〕図8Bのステップ26で作動開始フラグ2=1となっている。
以下、この順に説明する。
上記〔ア〕の場合:
まず作動開始フラグ1a=1となっている場合には、次回に図8Aのステップ12、13、14、29、17、18、20、21と進むことになり、空気供給手段の作動で温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1以下となる直前まで空気供給手段の作動を継続する。やがて温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1以下となれば図8Aのステップ12、13、14、29、17、18、19より図8Bのステップ24に進み、作動開始フラグ1aをみる。このとき作動開始フラグ1a=1であるので、図8Bのステップ27、28に進み、空気供給手段を非作動状態とし、作動開始フラグ1a=0とした後、図8Bのステップ25、26で排温低下手段を作動し、作動開始フラグ2=1とする。図8Bのステップ26での作動開始フラグ2=1より次回には図8Aのステップ13よりステップ34以降に進む。これは、実触媒温度の挙動をみながら触媒温度を低下させる手段を、空気供給手段から排温低下手段へと切換えるものである。
まず作動開始フラグ1a=1となっている場合には、次回に図8Aのステップ12、13、14、29、17、18、20、21と進むことになり、空気供給手段の作動で温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1以下となる直前まで空気供給手段の作動を継続する。やがて温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1以下となれば図8Aのステップ12、13、14、29、17、18、19より図8Bのステップ24に進み、作動開始フラグ1aをみる。このとき作動開始フラグ1a=1であるので、図8Bのステップ27、28に進み、空気供給手段を非作動状態とし、作動開始フラグ1a=0とした後、図8Bのステップ25、26で排温低下手段を作動し、作動開始フラグ2=1とする。図8Bのステップ26での作動開始フラグ2=1より次回には図8Aのステップ13よりステップ34以降に進む。これは、実触媒温度の挙動をみながら触媒温度を低下させる手段を、空気供給手段から排温低下手段へと切換えるものである。
図8Aのステップ34では実触媒温度rTbedと目標触媒温度tTbedとを比較する。実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbedを超えている間は図8Bのステップ25、26に進み、排温低下手段の作動を継続する。やがて排温低下手段の作動で実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbed以下となれば、本実施形態の温度低下処理を終了するため図8Aのステップ34よりステップ35、36に進み排温低下手段を非作動状態とし、作動開始フラグ2=0とする。また、ステップ37、38、39では次の車両減速時の温度低下処理に備えるため作動開始フラグ1a=0、活性領域外フラグ=0、移行フラグ1=0とする。
ステップ39での移行フラグ1=0より、図7においてステップ1よりステップ2に進むことができることになり、再び車両減速時であるか否かが判定される。
上記〔イ〕の場合:
次に、作動開始フラグ1b=1となっている場合には、次回にステップ12、13、14、29よりステップ30に進み実触媒温度Tbedと目標触媒温度tTbedとを比較する。実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbedを超えている間はステップ31で空気供給手段の作動を継続する。やがて空気供給手段の作動で実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbed以下となればステップ12、13、14、29、30よりステップ32、33に進み、空気供給手段を非作動状態とし、作動開始フラグ1b=0とする。
次に、作動開始フラグ1b=1となっている場合には、次回にステップ12、13、14、29よりステップ30に進み実触媒温度Tbedと目標触媒温度tTbedとを比較する。実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbedを超えている間はステップ31で空気供給手段の作動を継続する。やがて空気供給手段の作動で実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbed以下となればステップ12、13、14、29、30よりステップ32、33に進み、空気供給手段を非作動状態とし、作動開始フラグ1b=0とする。
このように、車両減速中でもNOxトラップ量がしきい値を超えているときには、一刻も早く実触媒温度を活性領域内に戻してNOxトラップ触媒にトラップされているNOxを還元浄化することが必要であるので、温度低下スピードの速い空気供給手段のみで、実触媒温度を活性領域内に戻すのであり、触媒温度を低下させる手段を、空気供給手段から排温低下手段へと切換えることはしない。
上記〔ウ〕の場合:
最後に、作動開始フラグ2=1となっている場合には、次回にステップ13よりステップ34以降に進む。ステップ34では実触媒温度rTbedと目標触媒温度tTbedとを比較する。実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbedを超えている間は図8Bのステップ25、26に進み、排温低下手段の作動を継続する。やがて排温低下手段の作動で実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbed以下となれば、本実施形態の温度低下処理を終了するため図8Aのステップ34よりステップ35、36に進み排温低下手段を非作動状態とし、作動開始フラグ2=0とする。また、ステップ37、38、39では次の温度低下処理に備えるため作動開始フラグ1a=0、活性領域外フラグ=0、移行フラグ1=0とする。
最後に、作動開始フラグ2=1となっている場合には、次回にステップ13よりステップ34以降に進む。ステップ34では実触媒温度rTbedと目標触媒温度tTbedとを比較する。実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbedを超えている間は図8Bのステップ25、26に進み、排温低下手段の作動を継続する。やがて排温低下手段の作動で実触媒温度rTbedが目標触媒温度tTbed以下となれば、本実施形態の温度低下処理を終了するため図8Aのステップ34よりステップ35、36に進み排温低下手段を非作動状態とし、作動開始フラグ2=0とする。また、ステップ37、38、39では次の温度低下処理に備えるため作動開始フラグ1a=0、活性領域外フラグ=0、移行フラグ1=0とする。
ステップ39での移行フラグ1=0より、図7においてステップ1よりステップ2に進むことができることになり、再び車両減速時であるか否かが判定される。
図8Aのステップ20、22、31の空気供給手段としては前述した実施例1、実施例2のいずれかを用いる。また、図8Bのステップ25の排温低下手段としては前述した実施例3〜実施例7のいずれかを用いる、
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態(請求項1、21に記載の発明)によれば、NOxトラップ触媒9(所定の活性所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒)と、温度センサ61(触媒温度検出手段)とを備え、車両の減速時(触媒入口の排気温度が低下していく運転条件)であるか否かを判定し(図7のステップ2参照)、実触媒温度rTbedが活性領域を超える高温であるか否かを判定し(図8Aのステップ15参照)、これらの判定結果より車両の減速時でありかつ実触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、実触媒温度を活性領域まで低下させる(図7のステップ2、3、図8Aのステップ11、15、18、20、図8Bのステップ25参照)ので、車両減速時の後にNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を行う際には実触媒温度rTbedを活性領域内に収めた状態でNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を開始できることから、NOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理に用いる燃料消費を節約できる。
本実施形態(請求項3に記載の発明)によれば、温度低下手段が、空気を触媒に直接供給する空気供給手段と、排気温度を低下させる排温低下手段とからなり、実触媒温度rTbedと目標触媒温度tTbed(活性領域の上限温度)との温度差ΔTbed1を算出し(図8Aのステップ17参照)、この温度差ΔTbed1と判定値ΔTbedmx1を比較し、温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1を超えているときには、空気供給手段を作動させ、温度差ΔTbed1が判定値ΔTbedmx1以下のときには排温低下手段を作動させる(図8Aのステップ18、20、図8Bのステップ25参照)ので、実触媒温度rTbedが活性領域から大きく離れているときには速やかに、また実触媒温度rTbedが活性領域からあまり離れていないときにはゆっくりと実触媒温度を活性領域内に収めることができる。
本実施形態(請求項15に記載の発明)によれば、車両の運転条件に応じた要求総合出力が得られるように、エンジン1とモータジェネレータ53とで出力分担を行って車両を駆動する出力分担制御手段(ハイブリッド用コントロールユニット40)を備え、排温低下手段は、要求総合出力が変わらないようにエンジン1の出力割合を減らし、モータジェネレータ53の出力割合を増やす手段であるので(実施例7参照)、ディーゼルハイブリッド車においても、車両減速時の後にNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を行う際に、要求総合出力を変更することなく、NOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理に用いる燃料消費を節約できる。
バッテリ50の充電量によってモータジェネレータ53で出せる出力が定まる。これを逆にいうと、バッテリ50の充電量によってモータジェネレータ53で出せる出力を超える出力をモータジェネレータ53に出させようしても実際には不可能である。この点を考慮し、モータジェネレータ53はバッテリ50から電力供給を受けるものであり、バッテリ50の充電量を検出する充電量検出手段(バッテリ残容量センサ46)を備え、この検出されるバッテリの充電量に基づいてモータジェネレータ53の出力割合を決定し、この決定したモータジェネレータ53の出力割合と前記要求総合出力とからエンジンの出力割合を決定することが考えられる。このもの(請求項16に記載の発明)においても、ディーゼルハイブリッド車において車両減速時の後にNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を行う際に、要求総合出力を維持したままでNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理に用いる燃料消費を節約できる。
図9A、図9Bは第2実施形態の温度低下処理を行うためのもので、図8A、図8Bと置き換わるものである。図8A、図8Bと同一のステップには同一の番号を付している。
第1実施形態では、実触媒温度rTbedを用いると共に、目標触媒温度tTbedとして活性領域の上限温度を採用したが、第2実施形態は触媒温度推定値Tcat estを用いると共に、目標触媒温度して触媒出口の排気温度を採用するものである。
図5下段に触媒出口温度(触媒出口の排気温度)の挙動を一点鎖線で重ねて示している。触媒出口の排気温度は、フィルタ再生のモードからの移行時に比較的早期に活性領域内に収まっている。従って、目標触媒温度として便宜的に触媒出口の排気温度Tcat inを採用しても問題ないといえる。すなわち、実触媒温度rTbedに代えて触媒温度推定値Tcat estを、目標触媒温度tTbedに代えて触媒入口の排気温度Tcat inを用いたものが第2実施形態である。このため、第1実施形態とはステップ41、42、43、44、45、46、47が相違するだけである。第1実施形態と相違する部分を以下で主に説明する。
ステップ41では、触媒入口の排気温度センサ(図示しない)により検出される触媒入口の排気温度Tcat in、触媒出口の排気温度センサ(図示しない)により検出される触媒出口の排気温度Tcat outを読み込み、ステップ42でこのうち触媒入口の排気温度Tcat inから所定のテーブルを検索することにより、触媒温度推定値Tcat estを算出する。ここで、所定のテーブルは、触媒入口の排気温度Tcat inと触媒温度との関係を予め測定したデータをまとめたものである。
ステップ13、14で作動開始フラグ2、活性領域外フラグをみる。これらのフラグはエンジン始動時にゼロに初期設定されている。いまは作動開始フラグ2=0、活性領域外フラグ=0であるとすると、ステップ13、14よりステップ44に進み、触媒温度推定値Tcat estと触媒出口の排気温度Tcat outとを比較する。触媒出口の排気温度Tcat outは、図5下段に示したように、車両減速時に触媒温度よりも早期に活性領域内に収まってゆく値である。従って、触媒温度推定値Tcat estが触媒出口の排気温度Tcat out以下に収まっているときにはやがてNOxトラップ触媒の再生のためのリッチ化処理を行うこととなったとき、NOx転化率が所定値(90%)を超えている、つまり本実施形態の温度低下処理は必要ないと判断し、そのまま今回の処理を終了する。
一方、ステップ43で触媒温度推定値Tcat estが触媒出口の排気温度Tcat outを超えているときには、やがてNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を行うこととなったとき、NOx転化率が所定値(90%)を下回ることになってしまうと判断してステップ16に進み、活性領域外フラグ=1とする。活性領域外フラグ=1は触媒温度が活性領域にないことを表している。
ステップ44では触媒出口の排気温度からの温度差ΔTbed2を、
ΔTbed2=Tbed est−Tbed out …(3)
の式により算出する。
ΔTbed2=Tbed est−Tbed out …(3)
の式により算出する。
ステップ45、19は実触媒温度を活性領域に収めるため空気供給手段を作動させるのか排温低下手段を作動させるのかの場合分けを行う部分である。すなわち、ステップ45ではこの温度差ΔTbed2と判定値ΔTbedmx2とを、ステップ19ではNOxトラップ量ΣNOxとしきい値NOxmaxとを比較する。
上記の判定値ΔTbedmx2は、空気供給手段を用いるか排温低下手段を用いるかを定めるための値で、予め適合により定めておく。温度差ΔTbed2が判定値ΔTbedmx2を超えているときには触媒温度推定値Tbed estが触媒出口の排気温度Tbed outより大きく離れた高温となっていることを、また温度差ΔTbed2が判定値ΔTbedmx2以下であるときには触媒温度推定値Tbed estが触媒出口の排気温度Tbed outよりそれほど大きく離れていないことを表す。
ステップ45で温度差ΔTbed2が判定値ΔTbedmx2を超えているときには、実触媒温度を速やかに活性領域に戻す必要があると判断し、ステップ20に進んで空気供給手段を作動させる。ステップ21では作動開始フラグ1a(エンジン始動時にゼロに初期設定)=1とする。作動開始フラグ1a=1は空気供給手段の作動を行っていることを表す。
これに対してステップ45、19で温度差ΔTbed2が判定値ΔTbedmx2以下であってもNOx吸着量ΣNOxがしきい値NOxmaxを超えているときには、実触媒温度を速やかに活性領域内に戻す必要があると判断し、ステップ22に進んで空気供給手段を作動させる。NOxトラップ量ΣNOxがしきい値NOxmaxを超えているときに空気供給手段を作動させる理由は、このときNOxトラップ触媒に性能を維持するためのトラップ能力が既に残っていないので、実触媒温度を活性領域内に速く戻してNOxトラップ触媒にトラップされているNOxを還元浄化する必要があるためである。ステップ23では作動開始フラグ1b(エンジン始動時にゼロに初期設定)=1とする。作動開始フラグ1b=1も空気供給手段の作動を行っていることを表す。なお、NOx吸着量ΣNOxがしきい値NOxmaxを超えると、図示しないフローでNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理が開始される。
一方、ステップ45、19で温度差ΔTbed2が判定値ΔTbedmx2以下(つまり触媒温度推定値Tbed estが触媒出口の排気温度Tbed outより余り離れていない)でありかつNOxトラップ量ΣNOxがしきい値NOxmax以下であるときには、温度差ΔTbed2が判定値ΔTbedmx2を超えているときやNOxトラップ量がしきい値を超えているときのスピードよりも緩やかなスピードで実触媒温度を活性領域内に戻せばよいと判断し、図9Bのステップ24に進み、作動開始フラグ1aをみる。図9Aのステップ45、19では空気供給手段と排温低下手段のいずれを作動させるのかの場合分けを行っており、図9Bのステップ24に進んできたときには空気供給手段は作動させない、つまり作動開始フラグ1a=0となっている。従って、図9Bのステップ24よりステップ25に進み、排温低下手段を作動させる。図9Bのステップ26では作動開始フラグ2(エンジン始動時にゼロに初期設定)=1とする。作動開始フラグ2=1は排温低下手段の作動を行っていることを表す。
上記図9Aのステップ45、19での2つの場合分けにより、作動開始フラグ1a、1b、2の3つのフラグのうちいずれかが1となる。すなわち、
〔ア’〕図9Aのステップ21で作動開始フラグ1a=1となっているか、
〔イ’〕図9Aのステップ23で作動開始フラグ1b=1となっているかまたは
〔ウ’〕図9Bのステップ26で作動開始フラグ2=1となっている。
〔ア’〕図9Aのステップ21で作動開始フラグ1a=1となっているか、
〔イ’〕図9Aのステップ23で作動開始フラグ1b=1となっているかまたは
〔ウ’〕図9Bのステップ26で作動開始フラグ2=1となっている。
これら〔ア’〕〜〔ウ’〕の各場合の制御は上記〔ア〕〜〔ウ〕の各場合の制御と同様である。すなわち、触媒温度推定値Tbed estが触媒出口の排気温度Tbed out以下に収まるように制御することとなる。
第2実施形態(請求項1、21に記載の発明)においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、車両の減速時(触媒入口の排気温度が低下していく運転条件)であるか否かを判定し(図7のステップ2参照)、触媒温度推定値Tbed estが活性領域を超える高温であるか否かを判定し(図9Aのステップ43参照)、これらの判定結果より車両の減速時でありかつ触媒温度推定値Tbed estが活性領域を超える高温であるときに、触媒温度推定値Tbed estを活性領域まで低下させる(図7のステップ2、3、図9Aのステップ11、45、20、図8Bのステップ25参照)ので、車両減速時の後にNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を行う際には触媒温度推定値Tbed estを活性領域内に収めた状態でNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を開始できることから、NOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理に用いる燃料消費を節約できる。
次に、図10、図11A、図11Bは第3実施形態で、第1実施形態の図7、図8A、図8Bと置き換わるものである。
第1実施形態では、車両減速時であるときに温度低下処理を行ったが、第3実施形態は、フィルタ再生処理の行われる高負荷運転時と硫黄被毒解除処理の行われる高負荷運転時とを除く高負荷運転時であるときに温度低下処理を行うものである。
まず図10は移行フラグ2を設定するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ51では移行フラグ2をみる。移行フラグ2もエンジン始動時にゼロに初期設定されているので、ステップ52に進み高負荷運転時であるか否かをみる。これは、アクセル開度、エンジン回転速度、吸入空気量、車速などから判定すればよい。例えば、アクセル開度が所定値以上である(アクセルペダルが大きく踏み込まれている)場合やエンジン負荷(吸入空気量を回転速度で除算した値)が所定値以上である場合に、高負荷運転時であると判定する。高負荷運転時でないときにはステップ56に進んで移行フラグ2=0とする。
一方、高負荷運転時であるときにはステップ53、54に進んでフィルタ再生フラグ(図ではDPF再生フラグ)=1であるか否か、硫黄被毒解除フラグ=1であるか否かをみる。ここで、フィルタ再生フラグ=1はフィルタ8の再生処理を行わせることを指示するフラグ、硫黄被毒解除フラグ=1は硫黄被毒解除処理を行わせることを指示するフラグである。
フィルタ再生フラグ、硫黄被毒解除フラグの設定については、特開2005−2817号公報に記載されている。概説すると、一定時間毎(例えば10ms毎)にパティキュレート捕集量SUMPMと硫黄堆積量を算出する。そして、まずパティキュレート捕集量SUMPMと所定値PM1を比較し、パティキュレート捕集量SUMPMが所定値PM1を超えているときにはフィルタの再生時期になったと判断して、フィルタ再生フラグ(エンジン始動時にゼロに初期設定)=1としている。
また、パティキュレート捕集量SUMPMが所定値PM1以下であるときには硫黄堆積量と所定値SM1を比較し、硫黄堆積量が所定値SM1を超えているときに硫黄被毒解除が必要であると判断し、硫黄被毒解除フラグ(エンジン始動時にゼロに初期設定)=1としている。
図10に戻り、フィルタ再生フラグ=1または硫黄被毒解除フラグ=1であるときには、ステップ53、54よりステップ56に進んで移行フラグ2=0とする。これは、フィルタ8再生処理が行われている高負荷運転時や硫黄被毒解除処理が行われている高負荷運転時には触媒温度を低下させないことが望ましく、フィルタ8の再生処理が行われている高負荷運転時や硫黄被毒解除処理が行われている高負荷運転時に触媒温度を低下させてしまったのでは、フィルタ8の再生や硫黄被毒解除が不十分にしか行われなくなってしまうためである。
一方、ステップ53、54でフィルタ再生フラグ=1でなくかつ硫黄被毒解除フラグ=1でもないときにはステップ55に進んで移行フラグ2=1とする。ここで、移行フラグ2=1はフィルタ再生処理の行われる高負荷運転時と硫黄被毒解除処理の行われる高負荷運転時とを除く高負荷運転時である(つまり上記《1》の〈ア〉例1の条件である)ことを表す。
ステップ55で移行フラグ2=1となったときには、次回よりステップ51で移行フラグ2=1であることよりテップ52以降に進むことができない。一度、高負荷運転時であると判定された後には、続けて高負荷運転時であるか否かは判定されない。これは、高負荷運転時であると判定された後には、所定の時間を要する温度低下処理(図11A、図11Bで後述する)を行わせる必要があるためである。これに対して、ステップ56で移行フラグ2=0となったときには、一定周期で次回以降もステップ52、53、54でフィルタ再生処理の行われる高負荷運転時と硫黄被毒解除処理の行われる高負荷運転時とを除く高負荷運転時であるか否かを判定することになる。
次に、図11A、図11Bは温度低下処理を行うためのもので、図10に続けて一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。ここで、第1実施形態の図8A、図8Bと同一ステップには同一の番号を付している。
第1実施形態と相違するのは、ステップ61、62だけである。すなわち、第3実施形態は第1実施形態の移行フラグ1に代えて移行フラグ2としたものである。
このように、第3実施形態(請求項2、22に記載の発明)によれば、NOxトラップ触媒9(所定の活性所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒)と、温度センサ61(触媒温度検出手段)とを備え、高負荷運転時であるか否かを判定し(図10のステップ52参照)、実触媒温度rTbedが活性領域を超える高温であるか否かを判定し(図11Aのステップ15参照)、これらの判定結果より高負荷運転時でありかつ実触媒温度rTbedが活性領域を超える高温であるときに、実触媒温度rTbedを活性領域まで低下させる(図10のステップ52、55、図11Aのステップ61、15、18、20、図11Bのステップ25参照)ので、高負荷運転時の後にNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を行う際には実触媒温度rTbedを活性領域内に収めた状態でNOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理を開始できることから、NOxトラップ触媒の再生のための空燃比リッチ化処理に用いる燃料消費を節約できる。
実施形態では、触媒がNOxトラップ触媒である場合で説明したが、排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをHCを還元剤として直接に還元浄化する選択還元型のリーンNOx触媒であってもかまわない。リーンNOx触媒は、NOxをトラップする能力はなく、トラップしたNOxを浄化する能力だけであるが、リーンNOx触媒にもNOx転化率が所定値以上となる温度域(つまり活性領域)と、NOx転化率が所定値未満となる温度域(つまり非活性領域)とがあるため、本発明を適用できる。すなわち、触媒がリーンNOx触媒である場合には、触媒温度を活性領域に戻してやることで、リーンNOx触媒の転化効率を最適に維持することができる。
なお、リーンNOx触媒はNOxをトラップする能力がないため、図8A、図11Aにおいてステップ19、22、23、29〜33、図9Aにおいてステップ19、22、23、29、31〜33、46は不要である。
請求項1において運転条件判定手段の機能は図7のステップ2により、高温判定手段の機能は図8Aのステップ15により、温度低下手段の機能は図7のステップ2、3、図8Aのステップ11、15、18、20、図8Bのステップ25によりそれぞれ果たされている。
請求項23において運転条件判定処理手順は図7のステップ2により、高温判定処理手順は図8Aのステップ15により、温度低下処理手順は図7のステップ2、3、図8Aのステップ11、15、18、20、図8Bのステップ25によりそれぞれ果たされている。
請求項2において運転条件判定手段の機能は図10のステップ52により、高温判定手段の機能は図11Aのステップ15により、温度低下手段の機能は図10のステップ52、55、図11Aのステップ61、15、18、20、図11Bのステップ25によりそれぞれ果たされている。
請求項24において運転条件判定処理手順は図10のステップ52により、高温判定処理手順は図11Aのステップ15により、温度低下処理手順は図10のステップ52、55、図11Aのステップ61、15、18、20、図11Bのステップ25によりそれぞれ果たされている。
1 エンジン
5 EGR弁(EGR装置)
15 燃料噴射弁
30 エンジン用コントロールユニット
40 ハイブリッド用コントロールユニット
53 車両駆動用モータジェネレータ
61 温度センサ(触媒温度検出手段)
5 EGR弁(EGR装置)
15 燃料噴射弁
30 エンジン用コントロールユニット
40 ハイブリッド用コントロールユニット
53 車両駆動用モータジェネレータ
61 温度センサ(触媒温度検出手段)
Claims (22)
- 排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチのときトラップしたNOxを脱離すると共に脱離したNOxを排気中の還元剤を用いて還元浄化するNOxトラップ触媒または排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをHCを還元剤として還元浄化する選択還元型のリーンNOx触媒である触媒であって、所定の活性所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒と、
この触媒の温度を検出または推定する温度検出・推定手段と、
触媒入口の排気温度が低下していく運転条件であるか否かを判定する運転条件判定手段と、
前記検出または推定される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定する高温判定手段と、
これらの判定結果より触媒入口の排気温度が低下していく運転条件でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させる温度低下手段と
を備えることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチのときトラップしたNOxを脱離すると共に脱離したNOxを排気中の還元剤を用いて還元浄化するNOxトラップ触媒または排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをHCを還元剤として還元浄化する選択還元型のリーンNOx触媒である触媒であって、所定の活性所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒と、
この触媒の温度を検出または推定する温度検出・推定手段と、
高負荷運転時であるか否かを判定する高負荷運転時判定手段と、
前記検出または推定される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定する高温判定手段と、
これらの判定結果より高負荷運転時でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させる温度低下手段と
を備えることを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記温度低下手段は、空気を触媒に直接供給する空気供給手段と、排気温度を低下させる排温低下手段とからなり、
前記検出または推定される触媒温度と活性領域の上限温度との温度差または触媒温度と触媒出口の排気温度との温度差を算出し、
この温度差と判定値を比較し、温度差が判定値を超えているときには、空気供給手段を作動させ、温度差が判定値以下のときには排温低下手段を作動させることを特徴とする請求項1または2に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記温度低下手段は、空気を触媒に直接供給する空気供給手段と、排気温度を低下させる排温低下手段とからなり、
前記検出または推定される触媒温度と活性領域の上限温度との温度差または触媒温度と触媒出口の排気温度との温度差を算出し、
この温度差と判定値を比較し、温度差が判定値を超えているときには、空気供給手段を作動させ、空気供給手段を作動させた状態で温度差が判定値以下となれば空気供給手段を非作動とし、代わって排温低下手段を作動させることを特徴とする請求項1または2に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記空気供給手段は2次空気を外部から前記触媒の上流に供給する手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- 燃料噴射弁を備え、
前記空気供給手段はこの燃料噴射弁からの燃料噴射を停止しエンジンを空転する手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 燃料噴射弁と、
エンジンと断接可能なモータジェネレータとを備え、
前記空気供給手段はこの燃料噴射弁からの燃料噴射を停止しかつエンジンをこのモータジェネレータにより空転する手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記排温低下手段は空気過剰率を大きくする空気過剰率増大手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- アクチュエータにより過給圧を変更可能な過給機を備え、
前記空気過剰率増大手段はこのアクチュエータを過給圧が高くなる側に制御する手段であることを特徴とする請求項8に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - アクチュエータによりEGR率を変更可能なEGR装置を備え、
前記空気過剰率増大手段はこのアクチュエータをEGR率が大きくなる側に制御する手段であることを特徴とする請求項8に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - アクチュエータにより圧縮比を変更可能な機構を備え、
前記排温低下手段はこのアクチュエータを圧縮比が高くなる側に制御する手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記排温低下手段は燃焼状態を良くして後燃えを減らす手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- エンジンに供給する燃料のセタン価を変更可能な燃料供給装置を備え、
前記排温低下手段はこの燃料供給装置を用いてセタン価を高くする手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - エンジンと接続される無段変速機を備え、
前記排温低下手段はこの無段変速機の変速比を等出力線上で排温の低い側に移るように変更する手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 車両の運転条件に応じた要求総合出力が得られるように、エンジンとモータジェネレータとで出力分担を行って車両を駆動する出力分担制御手段を備え、
前記排温低下手段はこの出力分担制御手段を用いて要求総合出力が変わらないようにエンジンの出力割合を減らし、モータジェネレータの出力割合を増やす手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記モータジェネレータはバッテリから電力供給を受けるものであり、
バッテリの充電量を検出する充電量検出手段を備え、
この検出されるバッテリの充電量に基づいてモータジェネレータの出力割合を決定し、
この決定したモータジェネレータの出力割合と前記要求総合出力とからエンジンの出力割合を決定することを特徴とする請求項15に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記触媒は排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチのときトラップしたNOxを脱離すると共に脱離したNOxを排気中の還元剤を用いて還元浄化するNOxトラップ触媒であり、
硫黄被毒解除処理が行われる高負荷運転時でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときには、触媒温度を前記活性領域まで低下させることはしないことを特徴とする請求項2に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 排気中のパティキュレートを捕集するフィルタを備え、
フィルタ再生処理が行われる高負荷運転時でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときには、触媒温度を前記活性領域まで低下させることはしないことを特徴とする請求項2に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 前記触媒入口の排気温度が低下していく運転条件は高負荷より低負荷への移行時であることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。
- モータジェネレータと、
このモータジェネレータの出力とエンジンの出力とを独立にまたは併せて車両の駆動輪に伝達する機構を備え、
前記触媒入口の排気温度が低下していく運転条件は車両減速時であることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの排気浄化装置。 - 排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチのときトラップしたNOxを脱離すると共に脱離したNOxを排気中の還元剤を用いて還元浄化するNOxトラップ触媒または排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをHCを還元剤として還元浄化する選択還元型のリーンNOx触媒である触媒であって、所定の活性所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒と、
この触媒の温度を検出または推定する温度検出・推定処理手順と、
触媒入口の排気温度が低下していく運転条件であるか否かを判定する運転条件判定処理手順と、
前記検出または推定される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定する高温判定処理手順と、
これらの判定結果より触媒入口の排気温度が低下していく運転条件でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させる温度低下処理手順と
を含むことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化方法。 - 排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをトラップし、排気空燃比がリッチのときトラップしたNOxを脱離すると共に脱離したNOxを排気中の還元剤を用いて還元浄化するNOxトラップ触媒または排気中の空燃比がリーンのとき流入する排気中のNOxをHCを還元剤として還元浄化する選択還元型のリーンNOx触媒である触媒であって、所定の活性所定の活性領域にあるとき所定値以上の転化率を示し、この活性領域を超える高温になると所定値以上の転化率が得られなくなる特性を有する触媒と、
この触媒の温度を検出または推定する温度検出・推定処理手順と、
高負荷時であるか否かを判定する高負荷時判定処理手順と、
前記検出または推定される触媒温度が前記活性領域を超える高温であるか否かを判定する高温判定処理手順と、
これらの判定結果より高負荷時でありかつ触媒温度が活性領域を超える高温であるときに、触媒温度を活性領域まで低下させる温度低下処理手順と
を含むことを特徴とするディーゼルエンジンの排気浄化方法。
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