JP2010003611A - 金ナノワイヤー膜を有した透明導電性基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】可視光領域での透過率が高く、化学的に安定であり、高い導電性を有した透明導電性基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明性基板の表面に、金ナノ粒子が線状に配列して成長した金ナノワイヤーから成る膜を有する本発明の透明導電性基板を製造するには、不活性ガス雰囲気下にて基板の表面に、アミノ基あるいはチオール基を有した化合物を用いて、それらの表面基を導入した後、得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に所定時間浸漬させて金イオンあるいは金の錯体イオンを処理基板表面基に吸着させ、その後、還元性溶液中に浸漬させて処理基板表面基の金イオンあるいは金の錯体イオンを還元させ、処理基板表面に金ナノ粒子を付着させ、最終工程で、前記処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に浸漬させ、還元性溶液を添加し、所定時間後に取り出す。
【選択図】図1
【解決手段】透明性基板の表面に、金ナノ粒子が線状に配列して成長した金ナノワイヤーから成る膜を有する本発明の透明導電性基板を製造するには、不活性ガス雰囲気下にて基板の表面に、アミノ基あるいはチオール基を有した化合物を用いて、それらの表面基を導入した後、得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に所定時間浸漬させて金イオンあるいは金の錯体イオンを処理基板表面基に吸着させ、その後、還元性溶液中に浸漬させて処理基板表面基の金イオンあるいは金の錯体イオンを還元させ、処理基板表面に金ナノ粒子を付着させ、最終工程で、前記処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に浸漬させ、還元性溶液を添加し、所定時間後に取り出す。
【選択図】図1
Description
本発明は、金ナノ粒子が細線状に連続して集まることにより構成された金ナノワイヤーから成る薄膜(金ナノワイヤー膜)を有する透明導電性基板、及びその製造方法に関するものである。
現在、ワープロやパソコンの液晶ディスプレイに使われているのは、透過率が高く導電性の高いITO膜である。しかし、近年インジウムの価格が急騰しており、ITO膜に代わる透明導電性薄膜の研究やインジウムの回収に関する研究が行なわれている。
金は、高い電気伝導率を有しており、また化学的に安定であるため、金ナノ粒子を透明導電性薄膜に利用することを目的とした研究も盛んであるが、金ナノ粒子を用いると粒子の接触点が多く、導電性の高い薄膜が得られないという問題点があった。
これまでに、金ナノワイヤーの形成方法に関しては、例えば下記の特許文献1が知られており、基板表面に金ナノワイヤーを形成する方法としては、塩化金酸ナトリウム水溶液中に基板を入れて、塩化金酸イオンを基板表面に付着させ、その後、クエン酸ナトリウム水溶液中に浸漬して塩化金酸イオンを還元させることで、金ナノ粒子が細線状に連続して集合した細線状構造体を形成させる方法(例えば下記の非特許文献1参照)等が知られているが、何ら表面処理を行っていないガラス基板の上に金ナノワイヤーを塗布しても良好な接着性及び導電性が得られない。
WO2003/068674
M.Adachi,et al.,Langmuir,20,7837−7843(2004)
これまでに、金ナノワイヤーの形成方法に関しては、例えば下記の特許文献1が知られており、基板表面に金ナノワイヤーを形成する方法としては、塩化金酸ナトリウム水溶液中に基板を入れて、塩化金酸イオンを基板表面に付着させ、その後、クエン酸ナトリウム水溶液中に浸漬して塩化金酸イオンを還元させることで、金ナノ粒子が細線状に連続して集合した細線状構造体を形成させる方法(例えば下記の非特許文献1参照)等が知られているが、何ら表面処理を行っていないガラス基板の上に金ナノワイヤーを塗布しても良好な接着性及び導電性が得られない。
本発明は、上述の従来技術における問題点を解決し、ガラス基板と金ナノワイヤーとの接着性が良好で、可視光領域での透過率が高く、化学的に安定であり、高い導電性を有した透明導電性基板及びその製造方法を提供する。
本発明者等は、ガラス基板との接着性が良好で、高い導電性を有した透明導電性基板を得る方法として、まず、ガラス基板の表面に下記の非特許文献2に記載される3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いた表面基導入処理を施した後、塩化金酸イオンをガラス基板表面基に付着させて還元を行うことによって細線状構造の核となる金ナノ粒子を生成させ、この金ナノ粒子に更に金ナノ粒子を細線状に連続して集合させて細線状構造体(金ナノワイヤー)を形成させると、上記の問題が解消されるのではないかと考え、ガラス基板上に金ナノワイヤーから成る薄膜を形成させるための方法を検討した。
Wang,et al.,Biophysical Journal,83,3619−3625(2002)
本発明者等は、ガラス基板との接着性が良好で、高い導電性を有した透明導電性基板を得る方法として、まず、ガラス基板の表面に下記の非特許文献2に記載される3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いた表面基導入処理を施した後、塩化金酸イオンをガラス基板表面基に付着させて還元を行うことによって細線状構造の核となる金ナノ粒子を生成させ、この金ナノ粒子に更に金ナノ粒子を細線状に連続して集合させて細線状構造体(金ナノワイヤー)を形成させると、上記の問題が解消されるのではないかと考え、ガラス基板上に金ナノワイヤーから成る薄膜を形成させるための方法を検討した。
Wang,et al.,Biophysical Journal,83,3619−3625(2002)
その結果、表面を洗浄したガラス基板表面に、不活性ガス雰囲気下で上記の3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いた表面基導入処理を行うと、ガラス基板の表面にアミノ基が導入され、その後、塩化金酸イオンを含む溶液(塩化金酸水溶液)中にガラス基板を浸漬させて基板表面基に塩化金酸イオンを吸着させた後、還元性溶液(クエン酸ナトリウム水溶液)中に浸漬させるとガラス基板表面に金ナノ粒子が生成し、このガラス基板をもう一度、塩化金酸イオンを含む溶液中に浸漬させ、還元性溶液を添加し、所定時間後に取り出すと、前記処理基板の表面に、細線状構造を有した金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜を形成でき、ガラス基板と金ナノワイヤーとの接着性が向上することを見い出し、本発明を完成した。
上記課題を解決可能な本発明の透明導電性基板は、透明性を有した基板の表面に、金ナノ粒子が集まって構成された細線状構造体である金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜が形成されていることを特徴とする。
又、このような構成の透明導電性基板を製造するための本発明の製法は、下記の工程A〜C:
工程A:不活性ガス雰囲気下にて、前記基板の表面に、アミノ基あるいはチオール基を導入する表面基導入処理工程、
工程B:前記工程Aにて得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に所定時間浸漬させて当該金イオンあるいは金の錯体イオンを前記処理基板の表面基に吸着させ、その後、還元性溶液中に所定時間浸漬させて前記処理基板表面基に吸着した金イオンあるいは金の錯体イオンを還元させ、当該処理基板表面に金ナノ粒子を生成させる金付着工程、及び
工程C:前記工程Bにて得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に浸漬させた後、還元性溶液中に浸漬させ、所定時間後に取り出すことによって、前記処理基板の表面に、細線状構造を有した金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜を形成させる金ナノワイヤー膜形成工程
を含むことを特徴とする。
工程A:不活性ガス雰囲気下にて、前記基板の表面に、アミノ基あるいはチオール基を導入する表面基導入処理工程、
工程B:前記工程Aにて得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に所定時間浸漬させて当該金イオンあるいは金の錯体イオンを前記処理基板の表面基に吸着させ、その後、還元性溶液中に所定時間浸漬させて前記処理基板表面基に吸着した金イオンあるいは金の錯体イオンを還元させ、当該処理基板表面に金ナノ粒子を生成させる金付着工程、及び
工程C:前記工程Bにて得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に浸漬させた後、還元性溶液中に浸漬させ、所定時間後に取り出すことによって、前記処理基板の表面に、細線状構造を有した金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜を形成させる金ナノワイヤー膜形成工程
を含むことを特徴とする。
本発明の透明導電性基板は、ITO膜に代わる透明性導電基板として使用でき、高い導電性を示し、可視光領域での透過率も良好である。
まず、本発明の透明導電性基板の構成について説明する。
本発明の透明導電性基板にあっては、透明性を有した基板の表面に、金ナノ粒子が集まって構成された細線状構造体である金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜が形成されており、この金ナノワイヤーの形態は直線状に限定されるものではなく、図1の顕微鏡写真で示されるように、曲線状や折れ曲がった形状や波状などの各種形態を含む。
尚、本発明の透明導電性基板における金ナノワイヤーのワイヤー径は10〜50nmであることが好ましく、ワイヤー径は、塩化金イオンを還元させる時間を適宜選択することによって調整することができる。
ところで、上記の金ナノワイヤー膜が表面に形成される透明性を有する基板の材質はガラスが一般的であるが、これに限定されるものではなく、プラスチックやマイカ等であっても良い。この場合において、透明性基板がプラスチックの場合には、金ナノワイヤーとの接着力を高めるために表面が親水性化処理されていることが必要であり、このような処理としては例えば、紫外線照射による親水化処理やプラズマ装置を用いた親水化処理等が挙げられる。
本発明の透明導電性基板にあっては、透明性を有した基板の表面に、金ナノ粒子が集まって構成された細線状構造体である金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜が形成されており、この金ナノワイヤーの形態は直線状に限定されるものではなく、図1の顕微鏡写真で示されるように、曲線状や折れ曲がった形状や波状などの各種形態を含む。
尚、本発明の透明導電性基板における金ナノワイヤーのワイヤー径は10〜50nmであることが好ましく、ワイヤー径は、塩化金イオンを還元させる時間を適宜選択することによって調整することができる。
ところで、上記の金ナノワイヤー膜が表面に形成される透明性を有する基板の材質はガラスが一般的であるが、これに限定されるものではなく、プラスチックやマイカ等であっても良い。この場合において、透明性基板がプラスチックの場合には、金ナノワイヤーとの接着力を高めるために表面が親水性化処理されていることが必要であり、このような処理としては例えば、紫外線照射による親水化処理やプラズマ装置を用いた親水化処理等が挙げられる。
次に、上記の構成を有した透明導電性基板を製造するための本発明の製法について説明する。
第1工程である表面基導入処理工程(工程A)においては、不活性ガス雰囲気下にて、基板の表面に、アミノ基あるいはチオール基を導入させるが、この際、アミノ基を有した化合物としては、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)が好適であり、チオール基を有した化合物としては3−メルカプトトリエトキシシラン(MPTES)が好適である。この場合、基板は密閉容器中にて気体のAPTESまたはMPTESに30分間〜2時間曝露され、不活性ガス雰囲気としては、アルゴンや窒素ガス雰囲気が好ましい。
第1工程である表面基導入処理工程(工程A)においては、不活性ガス雰囲気下にて、基板の表面に、アミノ基あるいはチオール基を導入させるが、この際、アミノ基を有した化合物としては、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)が好適であり、チオール基を有した化合物としては3−メルカプトトリエトキシシラン(MPTES)が好適である。この場合、基板は密閉容器中にて気体のAPTESまたはMPTESに30分間〜2時間曝露され、不活性ガス雰囲気としては、アルゴンや窒素ガス雰囲気が好ましい。
そして、第2工程である金付着工程(工程B)においては、前記工程Aにて得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液、例えば塩化金(III)酸水溶液や塩化金(III)ナトリウム水溶液中に所定時間浸漬させることによって、塩化金酸イオン等を処理基板の表面基に吸着(付着)させ、その後、還元性溶液中に所定時間浸漬させて前記処理基板表面基に吸着した塩化金酸イオン等を還元させ、処理基板表面に金ナノ粒子を生成させる。本発明にて使用可能な還元剤として、金イオンあるいは金の錯体イオンを還元する作用のある有機化合物や無機化合物が好適に使用できるが、水素化ホウ素ナトリウムやクエン酸またはその塩などが好ましい。
更に、本発明における第3工程である金ナノワイヤー膜形成工程(工程C)においては、前記工程Bにて得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液(例えば塩化金(III)酸水溶液や塩化金(III)ナトリウム水溶液)中に浸漬させ、還元性溶液を添加することで、処理基板の表面に、細線状構造を有した金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜を形成させる。使用可能な還元剤は、クエン酸またはその塩が好ましく、溶液中の金イオンあるいは金の錯体イオンに対し、通常は、モル比で2倍以下とすることで、ナノワイヤー構造を形成することができる。上記の還元反応を行うのに適した温度は20〜90℃程度であり、特に80℃が好ましい。この際、金ナノワイヤー膜の生成状態は、還元剤の作用時間を変えることにより調整でき、作用時間を長くすることで導電性の高い薄膜となるが、一般的には、透明導電性基板の可視光領域における透過率が60%以上となるようにすることが好ましい。
実施例1:透明導電性基板の製造例
1.ガラスの洗浄
純水:アンモニア水:過酸化水素水=5:1:1の溶液を70℃に温め、基板となるカバーガラスを入れ、親水化処理を行い常温で窒素乾燥した。
1.ガラスの洗浄
純水:アンモニア水:過酸化水素水=5:1:1の溶液を70℃に温め、基板となるカバーガラスを入れ、親水化処理を行い常温で窒素乾燥した。
2.表面基導入処理
前記非特許文献2に記載される方法に従って、密閉容器内に上記のカバーガラスを入れ、アルゴンガスでパージを行った後、表面基導入処理剤として、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を気体で導入して約1時間放置した。上記の表面基導入処理を行なったガラス基板を基板1とし、対照として上記の表面基導入処理を行なっていないガラス基板を基板2とした。
前記非特許文献2に記載される方法に従って、密閉容器内に上記のカバーガラスを入れ、アルゴンガスでパージを行った後、表面基導入処理剤として、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を気体で導入して約1時間放置した。上記の表面基導入処理を行なったガラス基板を基板1とし、対照として上記の表面基導入処理を行なっていないガラス基板を基板2とした。
3.金付着処理
上記の基板1あるいは基板2を2.4mMの塩化金酸水溶液に15分間浸し、その後、80℃に温めた5.8mMのクエン酸ナトリウム水溶液に10分間浸し、金付着処理を実施した。上記の金付着処理を行なったガラス基板を基板Aとし、対照として上記の金付着処理を行なっていないガラス基板を基板Bとした。
上記の基板1あるいは基板2を2.4mMの塩化金酸水溶液に15分間浸し、その後、80℃に温めた5.8mMのクエン酸ナトリウム水溶液に10分間浸し、金付着処理を実施した。上記の金付着処理を行なったガラス基板を基板Aとし、対照として上記の金付着処理を行なっていないガラス基板を基板Bとした。
4.金ナノワイヤー膜の調製
このような処理過程を経たガラス基板を80℃の0.24mMの塩化金酸水溶液に入れ、0.58mMのクエン酸ナトリウム水溶液を加え60分後に引き上げた。得られたガラス基板の透過率は紫外可視分光光度計、表面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)、抵抗値は低抵抗率計を用いて測定をした。
このような処理過程を経たガラス基板を80℃の0.24mMの塩化金酸水溶液に入れ、0.58mMのクエン酸ナトリウム水溶液を加え60分後に引き上げた。得られたガラス基板の透過率は紫外可視分光光度計、表面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)、抵抗値は低抵抗率計を用いて測定をした。
〔結果及び考察〕
表面基導入処理の有無(1または2)、金付着処理の有無(AまたはB)によって、4種類の基板を作製した。それらを基板1−A、1−B、2−A、2−Bとし、その上に作製した金ナノワイヤー膜の抵抗値を表1に示す。
表1の結果より、上記の表面基導入処理と金付着処理を行なった基板1−Aでは、抵抗値が最も低い値を示し、約100Ωとなった。これは上記の表面基導入処理によってガラス表面にアミノ基が導入され、塩化金酸水溶液に入れることで、塩化金酸イオンがアミノ基に吸着し、その後、クエン酸ナトリウム水溶液に浸漬することでアミノ基上の塩化金酸イオンが還元され、金ナノ粒子が生成したと考えられる。その基板を塩化金酸水溶液に浸漬し還元すると、溶液内で還元された金の微粒子が基板の金の微粒子に選択的に集まり、ガラス基板上に金ナノワイヤーが構成されると考えられる。
表面基導入処理の有無(1または2)、金付着処理の有無(AまたはB)によって、4種類の基板を作製した。それらを基板1−A、1−B、2−A、2−Bとし、その上に作製した金ナノワイヤー膜の抵抗値を表1に示す。
表1の結果より、上記の表面基導入処理と金付着処理を行なった基板1−Aでは、抵抗値が最も低い値を示し、約100Ωとなった。これは上記の表面基導入処理によってガラス表面にアミノ基が導入され、塩化金酸水溶液に入れることで、塩化金酸イオンがアミノ基に吸着し、その後、クエン酸ナトリウム水溶液に浸漬することでアミノ基上の塩化金酸イオンが還元され、金ナノ粒子が生成したと考えられる。その基板を塩化金酸水溶液に浸漬し還元すると、溶液内で還元された金の微粒子が基板の金の微粒子に選択的に集まり、ガラス基板上に金ナノワイヤーが構成されると考えられる。
[表1]
表1:処理条件を変えた際のガラス基板上の金ナノワイヤー膜の抵抗
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基板 1−A 1−B 2−A 2−B
抵抗[Ω] 73.5-115.0 1.89×103 650 −
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表1:処理条件を変えた際のガラス基板上の金ナノワイヤー膜の抵抗
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基板 1−A 1−B 2−A 2−B
抵抗[Ω] 73.5-115.0 1.89×103 650 −
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上記で得られた基板1−AのSEM画像を図1に示す。この図1から、ガラス基板上には、金ナノ粒子から成る線状の金ナノワイヤーが存在しており、線状に構成された金ナノワイヤーのワイヤー径は約10nm〜50nmであることがわかる。又、基板1−Aの透過率を測定すると、可視光領域である400nm〜800nmのどの波長においても透過率は60%以上であることがわかった。
また、抵抗値を下げるために、上記プレート1−Aに上記の金ナノワイヤー膜の調製を3回繰り返して行なった。その結果、得られた抵抗値は3−7Ωとなったが、透過率は15%と低い値となった。
前述の表面基導入処理工程と金付着処理工程を実施することにより、ガラス基板と金ナノワイヤーとの接着性が良好で、可視光領域での透過率が高く、化学的に安定であり、高い導電性を有した透明導電性基板が製造できた。このような透明導電性基板は、ITO膜に代わる透明導電性薄膜として有用である。
Claims (3)
- 透明性を有した基板の表面に、金ナノ粒子が集まって構成された細線状構造体である金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜が形成されていることを特徴とする透明導電性基板。
- 前記金ナノワイヤーのワイヤー径が10〜50nmであることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性基板。
- 透明性を有した基板の表面に、金ナノ粒子が集まって構成された細線状構造体である金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜が形成された透明導電性基板を製造するための方法であって、当該方法が、下記の工程A〜C:
工程A:不活性ガス雰囲気下にて、前記基板の表面に、アミノ基あるいはチオール基を導入する表面基導入処理工程、
工程B:前記工程Aにて得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に所定時間浸漬させて当該金イオンあるいは金の錯体イオンを前記処理基板の表面基に吸着させ、その後、還元性溶液中に所定時間浸漬させて前記処理基板表面に吸着した金イオンあるいは金の錯体イオンを還元させ、当該処理基板表面に金ナノ粒子を生成させる金付着工程、及び
工程C:前記工程Bにて得られた処理基板を、金イオンあるいは金の錯体イオンを含む溶液中に浸漬させた後、還元性溶液中に浸漬させ、所定時間後に取り出すことによって、前記処理基板の表面に、細線状構造を有した金ナノワイヤーから成る金ナノワイヤー膜を形成させる金ナノワイヤー膜形成工程
を含むことを特徴とする透明導電性基板の製造方法。
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Cited By (2)
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CN105252016A (zh) * | 2015-11-11 | 2016-01-20 | 西安电子科技大学 | 一种金纳米颗粒自组装可移植单层薄膜的制备方法 |
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2008
- 2008-06-23 JP JP2008162993A patent/JP2010003611A/ja active Pending
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