JP2010001435A - 導電性組成物 - Google Patents

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精一 田川
Akinori Saeki
昭紀 佐伯
Shuhei Seki
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健太 田中
Hideyuki Higashimura
秀之 東村
Yasuyuki Kurita
靖之 栗田
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Abstract

【課題】導電性が十分に向上した導電性組成物を提供すること。
【解決手段】
導電性共役高分子と芳香族イミド化合物とを含む導電性組成物であって、導電性共役高分子が、芳香族イミド化合物とスタッキング安定構造を形成可能な高分子であり、且つ、スタッキング安定構造における、導電性共役高分子のHOMOと芳香族イミド化合物のLUMOとのHOMO−LUMO間重なり積分の絶対値が、0.008〜1.0となる部分を有する高分子である、導電性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物、及び、導電性共役高分子のキャリア移動度を測定する方法に関する。
有機半導体材料は、電子デバイス材料として有用であることから、近年盛んに検討されている。電子デバイス材料として優れた性能を得るために、有機半導体材料としては、良好な導電性を有するものが望まれている。そこで、有機半導体材料として、ジチエノチオフェンを含む化合物(特許文献1参照)や、複数のチオフェン環が平面的に結合された化合物(非特許文献1参照)等が報告されている。
特開2004−339516号公報 Z.Bao et al.,「Appl.Phys.Lett.」,1996,69,4108.
しかしながら、上述した有機半導体材料として用いられる化合物は、電荷輸送性に優れるものの、導電性が十分ではなかった。
そこで、本発明は、導電性が十分に向上した導電性組成物を提供することを目的とする。
本発明は、導電性共役高分子と芳香族イミド化合物とを含む導電性組成物であって、
上記導電性共役高分子が、上記芳香族イミド化合物とスタッキング安定構造を形成可能な高分子であり、且つ、スタッキング安定構造における、導電性共役高分子のHOMO(最高占有分子軌道)と芳香族イミド化合物のLUMO(最低非占有分子軌道)とのHOMO−LUMO間重なり積分の絶対値が、0.008〜1.0となる部分を有する高分子である導電性組成物を提供する。良好な導電性を得るためには、導電性組成物中のキャリア濃度とキャリアの移動度の両方が高いことが重要であると考えられる。本発明の導電性組成物は、導電性組成物中のキャリア濃度を十分に高めることができ、導電性が十分に高いものとなる。
本発明の導電性組成物において、導電性共役高分子が、主鎖構成単位として、置換基を有していてもよい2価の5員環基及び/又は置換基を有していてもよい2価の渡環性芳香族基を含有することが好ましい。これにより、導電性共役高分子は、芳香族イミド化合物とより一層安定なスタッキング構造を形成可能となり、導電性組成物の導電性を更に向上できる。
また、上記5員環基がヘテロ原子を含む5員環基であると、導電性共役高分子は、芳香族イミド化合物と更に安定なスタッキング構造を形成し、導電性組成物の導電性をより一層向上することができる。
本発明の導電性組成物において、芳香族イミド化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。これにより、導電性組成物中のキャリア濃度をより高めることができ、導電性組成物の導電性がさらに向上する。
Figure 2010001435

ここで、式(1)中、Arは、芳香族基を示し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は1価の複素環基を示し、nは1〜6の整数を示す。
上記一般式(1)中、Arは、ベンゼン環が2〜7個縮環した共役構造を有する芳香族基であることが好ましい。これにより、芳香族イミド化合物は、導電性共役高分子とより安定なスタッキング構造を形成でき、導電性を更に向上できる。
より一層導電性を向上させる観点から、上記芳香族イミド化合物は、ペリレンテトラカルボキシルジイミド化合物又はN,N’−ジアリールペリレンテトラカルボキシルジイミド化合物であることが好ましい。
本発明はまた、導電性共役高分子と芳香族イミド化合物とを含む導電性組成物の時間分解マイクロ波伝導度測定と光過渡吸収分光とを同じジオメトリーで行い、導電性共役高分子のキャリア移動度を測定する方法であり、導電性共役高分子が、芳香族イミド化合物とスタッキング安定構造を形成可能な高分子であり、且つ、スタッキング安定構造における、導電性共役高分子のHOMOと芳香族イミド化合物のLUMOとのHOMO−LUMO間重なり積分の絶対値が、0.008〜1.0となる部分を有する高分子であり、芳香族イミド化合物を、プローブ分子として用いる、導電性共役高分子のキャリア移動度を測定する方法を提供する。
本発明によれば、導電性が十分に向上した導電性組成物を提供することができる。該導電性組成物は、有機トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機太陽電池等の製造に有用な有機電子材料となる。
[導電性組成物]
本発明の導電性組成物は、導電性共役高分子と芳香族イミド化合物とを含む導電性組成物であって、上記導電性共役高分子が、上記芳香族イミド化合物とスタッキング安定構造を形成可能な高分子であり、且つ、スタッキング安定構造における、導電性共役高分子のHOMOと芳香族イミド化合物のLUMOとのHOMO−LUMO間重なり積分の絶対値が、0.008〜1.0となる部分を有する高分子である。
これにより、導電性組成物中のキャリア濃度を高めて導電性が十分に向上した導電性組成物を提供することができる。
本発明において、キャリアとは電子及び/又は正孔を意味し、温度、電場、磁場及び電磁波(X線や光等を含む)からなる群より選ばれる少なくとも一種類の外部刺激によって、物理的又は化学的に発生するものである。キャリアは、導電性共役高分子上に発生する。キャリアの濃度とは、導電性組成物の単位体積中にあるキャリアの濃度である。
キャリアは、電場によって移動する性質を有し、単位電場強度におけるキャリアの移動の度合をキャリア移動度といい、この値が大きいほどキャリアは移動しやすい。キャリア移動度とキャリア濃度との積が電導度となり導電性を表す。高い導電性を有する高分子を導電性高分子と呼ぶ。その中でも、主鎖骨格が主鎖方向に共役するように、主鎖構成単位において他の複数の構成単位と結合部位間がπ軌道で繋がっているものを導電性共役高分子と呼ぶ。
(導電性共役高分子)
上記導電性共役高分子として、具体的には、その主鎖構成単位として、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい2価の5員環基及び置換基を有していてもよい2価の渡環性芳香族基を含有するものが挙げられる。この中でも、導電性共役高分子は、置換基を有していてもよい2価の5員環基又は置換基を有していてもよい2価の渡環性芳香族基を含有することが好ましい。
ここでアリーレン基とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が2個脱離して生ずる基である。該アリーレン基は、炭素数が通常6〜60程度であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜25であり、特に好ましくは6〜20である。なお、上記炭素数には、置換基の炭素数は含まない。また、上記アリーレン基は、アリーレン基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子に置換されていてもよい。
アリーレン基の具体例としては、下記式(A−1)〜(A−27)で表される基が挙げられ、好ましくは式(A−1)〜(A−15)で表されるアリーレン基であり、より好ましくは式(A−1)〜(A−5)及び(A−15)で表されるアリーレン基であり、特に好ましくは式(A−1)〜(A−3)及び(A−15)で表されるアリーレン基である。
Figure 2010001435
Figure 2010001435
ここで2価の5員環基とは、5員環化合物に結合する水素原子が2個脱離して生ずる基である。2価の5員環基の具体例としては、下記式(B−1)〜(B−10)で表される基が挙げられ、好ましくは式(B−1)〜(B−8)で表される2価の5員環基であり、より好ましくは式(B−1)〜(B−6)及び(B−8)で表される2価の5員環基であり、更に好ましくは式(B−2)〜(B−4)及び(B−8)で表される2価の5員環基であり、特に好ましくは式(B−3)及び(B−4)で表される2価の5員環基である。より一層導電性組成物の導電性を向上させる観点から、上記2価の5員環基は、ヘテロ原子を含む5員環基であることが好ましい。
Figure 2010001435
2価の渡環性芳香族基とは、渡環性芳香族化合物に結合する水素原子が2個脱離して生ずる基である。なお、渡環性芳香族化合物とは、非共役結合を介して芳香環が結合している化合物を意味する。
2価の渡環性芳香族基の具体例としては、下記式(C−1)〜(C−55)で表される基が挙げられ、好ましくは式(C−1)〜(C−31)で表される2価の渡環性芳香族基であり、より好ましくは式(C−1)〜(C−15)で表される2価の渡環性芳香族基であり、さらに好ましくは式(C−1)〜(C−6)で表される2価の渡環性芳香族基であり、さらに一層好ましくは式(C−1)及び(C−4)で表される2価の渡環性芳香族基であり、特に好ましくは式(C−1)で表される2価の渡環性芳香族基である。
Figure 2010001435
Figure 2010001435
Figure 2010001435
ここで、上記Rは水素原子又は置換基を示す。Rが2つ存在する場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。共重合体の安定性や合成のし易さの観点から、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、1価の複素環基であることが好ましく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、1価の複素環基であることがより好ましく、アルキル基又はアリール基であることが更に好ましい。
アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは炭素数1〜15であり、より好ましくは1〜10である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基が挙げられる。素子特性、合成のし易さの観点から、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。また、Rが2つ存在する場合には、2つのアルキル基同士で結合して環を形成してもよい。
アリール基は、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。アリール基は、全炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48である。その具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、置換アミノ基等の置換基を更に有していてもよい。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成のし易さの観点から、アリール基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又は、炭素数1〜12のアルキルオキシカルボニル基を置換基として有するフェニル基であることが好ましく、その具体例としては、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、メシチル基、4−i−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−i−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、4−イソアミルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、2,6−ジメチル−4−t−ブチルフェニル基、2,5−ジ(t−ブチル)フェニル基、4−ヘプチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ノニルフェニル基、4−デシルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、3−メチルオキシフェニル基、4−メチルオキシフェニル基、3,5−ジメチルオキシフェニル基、4−プロピルオキシフェニル基、4−i−プロピルオキシフェニル基、4−ブチルオキシフェニル基、4−i−ブチルオキシフェニル基、4−t−ブチルオキシフェニル基、4−ヘキシルオキシフェニル基、3,5−ジヘキシルオキシフェニル基、4−ヘプチルオキシフェニル基、4−オクチルオキシフェニル基、4−ノニルオキシフェニル基、4−(メトキシメトキシ)フェニル基、3−(メトキシメトキシ)フェニル基、4−(2−エトキシ−エトキシ)フェニル基、3−(2−エトキシ−エトキシ)フェニル基、3,5−ビス(2−エトキシ−エトキシ)フェニル基、3−メトキシカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、3,5−ジメトキシカルボニルフェニル基、3−エトキシカルボニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、3−エチルオキシカルボニル−4−メトキシフェニル基、3−エチルオキシカルボニル−4−エトキシフェニル基、3−エチルオキシカルボニル−4−ヘキシルオキシフェニル基、4−ジフェニルアミノフェニル基が挙げられる。
アラルキル基は、アルキル基の水素原子がアリール基で置換された基であり、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは7〜48である。その具体例としては、フェニル−炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシフェニル−炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルキルフェニル−炭素数1〜12のアルキル基、1−ナフチル−炭素数1〜12のアルキル基、2−ナフチル−炭素数1〜12のアルキル基が例示される。有機溶媒への溶解性、素子特性、合成のし易さの観点から、アラルキル基は、炭素数1〜12のアルコキシフェニル−炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルキルフェニル−炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
1価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度、好ましくは4〜20である。なお、1価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。1価の複素環基として、具体的には、チエニル基、炭素数1〜12のアルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、炭素数1〜12のアルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基が挙げられ、チエニル基、炭素数1〜12のアルキルチエニル基、ピリジル基、炭素数1〜12のアルキルピリジル基が好ましい。なお、1価の複素環基としては、芳香族性をもつ1価の複素環基が好ましい。
また、上記アリーレン基、2価の5員環基又は2価の渡環性芳香族基の置換基としては、上記Rの置換基と同じものが挙げられる。
導電性共役高分子のキャリア移動度は、10−6cm/Vs以上であることが好ましく、10−5cm/Vs以上であることがより好ましく、10−4cm/Vs以上であることが更に好ましく、10−3cm/Vs以上であることが特に好ましい。10−6cm/Vs未満では、十分な導電性が得られない傾向がある。なお、キャリア移動度は高いほど、導電性に優れるため、その上限値は特に限定されない。
(芳香族イミド化合物)
本発明に係る芳香族イミド化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2010001435

ここで、式(1)中、Arは、芳香族基を示し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は1価の複素環基を示す。Rとして、具体的には、上記Rと同様の基を例示することができる。また、nは1〜6の整数を示し、1〜4であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。すなわち、芳香族イミド化合物は、芳香族ジイミド化合物であることが特に好ましい。
芳香族イミド化合物の具体例としては、下記一般式(G−1)〜(G−19)及び(H−1)〜(H−22)で表される化合物が挙げられる。芳香族イミド化合物は、式(G−1)〜(G−19)で表される化合物であることが好ましく、式(G−1)〜(G−5)、(G−12)又は(G−13)で表される芳香族イミド化合物であることがより好ましく、式(G−1)〜(G−5)で表される化合物であることが更に好ましく、式(G−1)で表される芳香族イミド化合物であることが特に好ましい。すなわち、芳香族イミド化合物は、ペリレンテトラカルボキシルジイミド化合物であることが好ましく、N,N’−ジアリールペリレンテトラカルボキシルジイミド化合物であることがより好ましい。
Figure 2010001435
Figure 2010001435
Figure 2010001435
Figure 2010001435
芳香族イミド化合物の配合割合は、導電性共役高分子100質量部に対して、1〜60質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましく、20〜40質量部であることが更に好ましい。
本発明の導電性組成物に、温度、電場、磁場及び電磁波(X線や光等を含む)からなる群より選ばれる少なくとも一種類の外部刺激を与えると、物理的または化学的にキャリアが発生する。これにより、キャリア濃度は、導電性共役高分子又は芳香族イミド化合物単独でのキャリア濃度より高くなり、キャリア移動度とキャリア濃度の積である電導度が増加して導電性が向上する。
キャリアが発生する理由は種々考えられるが、導電性共役高分子から芳香族イミド化合物への電子移動が起こることが最大の理由である。
導電性共役高分子から芳香族イミド化合物への電子移動が起こるためには、導電性共役高分子のHOMOと芳香族イミド化合物のLUMOとが十分に相互作用する必要がある。この観点から、導電性共役高分子は、芳香族イミド化合物とスタッキング安定構造を形成可能な高分子であり、且つ、スタッキング安定構造における、導電性共役高分子のHOMOと芳香族イミド化合物のLUMOとのHOMO−LUMO重なり積分の絶対値は、0.008〜1.0であり、0.008〜0.8であることが好ましく、0.009〜0.5であることがより好ましく、0.010〜0.3であることが更に好ましい。HOMO−LUMO重なり積分の絶対値が0.008未満では上記相互作用が不十分になる傾向がある。
ここで、本発明のおけるHOMO−LUMO間重なり積分の絶対値は、理論化学的手法により計算される導電性共役高分子の部分構造と芳香族イミド化合物のスタッキング安定構造から算出することができる。
理論化学的手法とは、MPWB1K密度汎関数と6−31G*基底関数を組み合わせたものである(以下、「MPWB1K/6−31G*法」という)。上記手法を用いて計算される全エネルギーが極小となるように構造パラメータを最適化することによって、2分子間のスタッキング安定構造を予測することが可能である(Chem.Phys.Lett.2007,439,35〜39頁参照)。計算は、Gaussian03等の量子化学計算プログラムを用いて実行可能である。
また、HOMO−LUMO間重なり積分は、導電性共役高分子の部分構造と芳香族イミド化合物とがスタッキング安定構造と同一の空間配置を独立にとっている状態におけるHOMOとLUMOとの間の重なり積分である。ここで、導電性共役高分子の部分構造とは、例えば、チオフェン4量体の鎖長に近い長さの部分を導電性共役高分子から切り出し、末端を水素原子で封止した分子構造を指す。
[導電性共役高分子のキャリア移動度を測定する方法]
本発明の導電性共役高分子のキャリア移動度を測定する方法は、本発明の導電性組成物の時間分解マイクロ波伝導度測定と光過渡吸収分光とを同じジオメトリーで行い、芳香族イミド化合物を、プローブ分子として用いることで、導電性共役高分子のキャリア移動度を測定するものである。ここで、同じジオメトリーとは、2種類の測定を同時に行うことで、同じサンプル領域を測定する方法をいう。また、プローブ分子とは、キャリアとなった時の光過渡吸収が既知で、それをもとに系内のキャリア数を知るための分子をいう。
キャリア移動度は、in−situ TRMC−TAS装置を用いて測定することができる。in−situ TRMC−TAS装置とは、時間分解マイクロ波伝導度測定(Time−Resolved Microwave Conductivity;TRMC)と、光過渡吸収分光(Transient Absorption Spectroscopy;TAS)とを同じジオメトリーで測定できる(放射線化学,第81号(2006),29〜39頁、「マイクロ波による電極レス電荷キャリア移動度測定」参照)装置のことである。外部刺激として、レーザー等を用いることができる。
TAS測定で得られる吸収スペクトルは、キャリア由来の吸収が現れる。この吸収強度はキャリアの数に比例するので、その比例定数(吸光係数)が既知であればキャリアの数を知ることができる。TRMCでは、キャリアの生成効率(φ:測定範囲内でのキャリアの数)とキャリア移動度の和(Σμ)の積(φΣμ)を得ることができるφΣμは、導電性組成物の導電度に相当し、この値が高いほど、導電性が高いこと意味する。そのため、in−situ TRMC−TASによって、導電性共役高分子のキャリア移動度を算出することが可能である。
しかし、上記比例定数が不明な場合はφΣμが得られてもΣμを見積もることができない。例えば新規材料の移動度を得る為にはTASでの吸収スペクトルにおけるキャリアの吸光係数を何らかの方法で得る必要があるが、上記導電性共役高分子の場合は困難な場合が多い。
一方、本発明で用いられる芳香族イミド化合物については、吸光係数が知られている。そこで、芳香族イミド化合物をプローブ分子として混入した本発明の導電性組成物の状態でin−situ TRMC−TASを測定することで、導電性共役高分子のφを見積もることが可能になる。
導電性共役高分子のキャリア移動度を測定する際に、プローブ分子として機能する芳香族イミド化合物が存在する場合、TRMCとTASとを同じジオメトリーで行い、TASからプローブ分子である芳香族イミド化合物由来のキャリアの定量を行う。そして、TRMC測定においてプローブ分子である芳香族イミド化合物の有無によって増減する導電性に比例する値から、導電性共役高分子のキャリア移動度を得ることができる。
本発明の導電性組成物は導電性が十分に高いので、半導体材料又は導電体材料となるので、有機トランジスタ、電子素子等の材料として有用である。
<電子素子>
電子素子としては、発光素子、光電変換素子、トランジスタ素子、キャパシタ素子、圧電素子が挙げられる。電子素子は、本発明の導電性組成物を含むものであり、例えば、電極(陽極及び陰極)と本発明の導電性組成物を含む層(単層であっても多層であってもよい)とを有するものである。この電子素子は、ゲ−ト電極、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層、正孔阻止層、電子阻止層、発光層、バッファ層等を有していてもよい。
<有機トランジスタ>
有機トランジスタとしては、電界効果型有機トランジスタ、静電誘導型有機トランジスタが挙げられる。上記有機トランジスタは、本発明の導電性組成物を含むものであり、例えば、ソ−ス電極、ドレイン電極、絶縁されたゲ−ト電極、及び本発明の導電性組成物を含む層を有し、ソ−ス電極、ドレイン電極、及び絶縁されたゲ−ト電極は、直接接続されておらず、ソ−ス電極と本発明の導電性組成物を含む層との間での電子又は正孔の受け渡しが可能であり、ドレイン電極と本発明の導電性組成物を含む層との間での電子又は正孔の受け渡しが可能であるものである。この有機トランジスタは、ソ−ス電極及びゲ−ト電極により、本発明の導電性組成物を含む層に電界をかけると、導電性組成物にキャリアが発生し、ソ−ス電極及びドレイン電極の間に導電性組成物を経由して電気を流すことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(合成例1)
(i)2−(2−ブロモアリル)マロン酸ジエチルの合成
窒素雰囲気下、エタノール2500mLに氷浴下でナトリウムエトキシド223g(3.28mol)を加え、次いで、マロン酸ジエチル1060g(6.55mol)を滴下した後、エタノール500mLを添加した。得られた溶液に、2,3−ジブロモプロペン876g(3.28mol)を滴下し、氷浴下で24時間攪拌しながら反応を行った。得られた反応液を濃縮し、酢酸エチルで希釈して、水及び塩水で洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過・濃縮したところ、2−(2−ブロモアリル)マロン酸ジエチル混合物1310gを得た。
(ii)4−ブロモ−4−ペンテン酸エチルの合成
上記2−(2−ブロモアリル)マロン酸ジエチル混合物の全量(純度100%で換算すると4.70molに相当)に、塩化ナトリウム412g(7.05mol)、水313g及びジメチルスルホキシド1040mLを加え、135℃で46時間還流した。そこへ、水700gを加えて、酢酸エチル1700gで抽出し、水で洗浄した。得られた有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過・濃縮し、4−ブロモ−4−ペンテン酸エチルと未反応の2−(2−ブロモアリル)マロン酸ジエチルとの混合物589gを得た。
(iii)5−ブロモ−4−オキソペンタン酸エチルの合成
上記4−ブロモ−4−ペンテン酸エチルと2−(2−ブロモアリル)マロン酸ジエチルとの混合物230gに、アセトニトリル1600mL及び水400mLを加え、さらに、N−ブロモスクシンイミド258g(1.448mol)と48質量%臭化水素酸15mLとを加えた後、室温で3時間攪拌した。得られた反応液に、5質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液180mLを加えた後、濃縮し、酢酸エチルで希釈して5質量%炭酸水素ナトリウム水溶液及び塩水で洗浄した。得られた有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過・濃縮し、5−ブロモ−4−オキソペンタン酸エチルと2−(3−ブロモ−2−オキソプロピル)マロン酸ジエチルとの混合物222gを得た。
(iv)3−(アミノチアゾール−4−イル)プロパン酸エチルの合成
チオ尿酸83.1g(1.09mol)のエタノール(2800mL)溶液に、窒素雰囲気下で、上記5−ブロモ−4−オキソペンタン酸エチルと2−(3−ブロモ−2−オキソプロピル)マロン酸ジエチルとの混合物222gのエタノール(1400mL)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。得られた反応液を濃縮し、酢酸エチル2000mLと5質量%水酸化ナトリウム水溶液1500mLを加えて攪拌した。得られた溶液から水相を留去し、食塩水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した後、得られた有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過・濃縮したところ、3−(アミノチアゾール−4−イル)プロパン酸エチルと2−[(2−アミノチアゾール−4−イル)メチル]マロン酸ジエチルとの混合物138gを得た。このうち57.3gに、塩化リチウム8.6g、水7.4g及びジメチルスルホキシド205mLを加え、8時間還流した。得られた反応液を、冷却後、食塩水で洗浄して酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過・濃縮し、シリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル(3/7))で精製し、3−(アミノチアゾール−4−イル)プロパン酸エチル25.4gを得た。
(v)2−アミノ−4−(3−ヒドロキシプロピル)チアゾールの合成
脱水テトラヒドロフラン300mL中の水素化リチウムアルミニウム17.9g(0.472mol)に、窒素雰囲気下で、3−(アミノチアゾール−4−イル)プロパン酸エチル36.8g(0.184mol)のテトラヒドロフラン(300mL)溶液を0℃で滴下して、45分間攪拌した。得られた反応液に、水29.4gと10質量%水酸化ナトリウム水溶液14.7gとを加えて室温にしたところ、沈殿物が析出した。この沈殿物を回収し、テトラヒドロフランで洗浄し、2−アミノ−4−(3−ヒドロキシプロピル)チアゾール23.0g(0.145mol、収率78.8%)を得た。
(vi)2−クロロ−4−(3−ヒドロキシプロピル)チアゾールの合成
塩化第二銅67.3g(0.500mol)に亜硝酸t−ブチル74.4g(0.626mol)のアセトニトリル(1320mL)溶液をアルゴンガス雰囲気下で加え、0℃で、2−アミノ−4−(3−ヒドロキシプロピル)チアゾール66.0g(0.417mol)のアセトニトリル(3300mL)溶液を加え、25℃で5時間攪拌した。得られた反応液に、2N塩酸253mLを0℃で滴下し、濃縮してクロロホルムで抽出した後、有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過・濃縮し、シリカゲルカラム(クロロホルム)で精製し、2−クロロ−4−(3−ヒドロキシプロピル)チアゾール10.39g(0.058mol、収率13.9%)を得た。
(vii)2−クロロ−4−(3−オクチロキシプロピル)チアゾールの合成
アルゴン雰囲気下で、水素化ナトリウム(50〜72%)1.5gに2−クロロ−4−(3−ヒドロキシプロピル)チアゾール3.82g(0.022mol)とジメチルホルムアミド76.4mLとを加え、0℃で1時間攪拌した。得られた反応液に、1−ブロモオクタン4.98g(0.026mol)を加え、室温で4時間攪拌し、水76mLを加え、クロロホルムで抽出した。得られた有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過・濃縮し、シリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン(1/1))で精製し、2−クロロ−4−(3−オクチロキシプロピル)チアゾール1.61g(0.006mol、収率27.3%)を得た。
(viii)2−クロロ−5−ヨ−ド−4−(3−オクチロキシプロピル)チアゾールの合成
2−クロロ−4−(3−オクチロキシプロピル)チアゾール0.99g(0.0034mol)に、アルゴンガス雰囲気下で、N−ヨードスクシンイミド0.92g(0.0041mol)のアセトニトリル(10mL)溶液を加え、70℃で4時間攪拌した。得られた反応液を濃縮し、クロロホルムに溶かし、20質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。得られた有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過・濃縮して、シリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン(1/1))で精製し、2−クロロ−5−ヨ−ド−4−(3−オクチロキシプロピル)チアゾール1.28g(0.0031mol、収率91%)を得た。得られた2−クロロ−5−ヨ−ド−4−(3−オクチロキシプロピル)チアゾールの構造は、H−NMR及び13C−NMRを測定することにより同定した。
H−NMR(ppm/300MHz,CDCl)0.88(3H,t),1.2−1.6(10H,m),1.95(2H,m),2.78(2H,m),3.42(2H,m).
13C−NMR(ppm/75MHz,CDCl)14.4,22.9,26.5,28.3,28.6,29.1,29.6,29.8,30.1,32.1,57.7,68.7,69.8,71.3,155.0,160.5.
(ix)HTレジオレギュラーポリチアゾールの合成
アルゴンガス雰囲気下、上記2−クロロ−5−ヨ−ド−4−(3−オクチロキシプロピル)チアゾ−ル1.00g(2.41mmol)を、THF4mLに溶かし、−78℃に冷却した後、3.0MメチルマグネシウムクロリドTHF溶液0.8mL(2.41mmol)を滴下し、20分攪拌して、反応液を得た。塩化1,3−ジフェニルホスフィノプロパンニッケル(II)(Ni(dppp)Cl)0.065g(0.12mmol)のTHF16mL懸濁液を上記反応液に注加し、0℃で3.5時間撹拌後、メタノ−ル100mL中に反応液を滴下したところ、沈殿が析出した。こうして得られた溶液(沈殿含む)を、ろ過後、メタノ−ルで洗浄して得られた沈殿を減圧乾燥することにより、赤紫色を呈する粉末としてHTレジオレギュラーポリ[4−(3−オクチロキシプロピル)チアゾール−2,5−ジイル](以下、「HT−POOPTz」と表記する)419mg(収率:68.8%)を得た。なお、「HTレジオレギュラー」とは、化合物中に存在する繰り返し単位の向きがほぼ決まっていることを意味する。
上記HT−POOPTzをo−ジクロロベンゼンに140℃で溶かし、不溶物を濾過で取り除き、140℃でo−ジクロロベンゼンを溶出液としたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィ−)測定で分子量を測定すると、標準ポリスチレン換算での数平均分子量は39600であった。
〔計算例1〕
下記式(3)で表される上記HTレジオレギュラーポリチアゾールの部分構造と、下記式(2)で表されるN,N’−bis(2,5−tert−butylphenyl)−3,4,9,10−perylenedicarboximide(以下、「PDI」と表記する)とのスタッキング安定構造をMPWB1K/6−31G*法で計算し、HOMO−LUMO間重なり積分の絶対値を算出したところ、0.014であった。
Figure 2010001435

Figure 2010001435
〔計算例2〕
下記式(4)で表されるHTレジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)(アルドリッチ社製)の部分構造とPDIとのスタッキング安定構造をMPWB1K/6−31G*法で計算し、HOMO−LUMO間重なり積分の絶対値を算出したところ、0.015であった。
Figure 2010001435
〔計算例3〕
下記式(5)で表されるポリ(9,9−ジ−n−オクチル−2,7−フルオレン)の部分構造とPDIとのスタッキング安定構造をMPWB1K/6−31G*法で計算し、HOMO−LUMO間重なり積分の絶対値を算出したところ、0.004であった。
Figure 2010001435
(実施例1)
上記HTレジオレギュラーポリチアゾール(HT−POOPTz)をo−ジクロロベンゼンに溶かし、芳香族イミド化合物としてPDIをHTレジオレギュラーポリチアゾール100質量部に対して15質量部で添加した導電性組成物を調製した。上記導電性組成物を石英ガラス板に塗布し、in−situ TRMC−TAS装置で測定を行った。この際、外部刺激としての励起源はNd:YAGレーザー(パルス幅5〜8ns)から第3高長波(355nm)用い、入射フォトン数は1.19×1016cm−2に設定した。TRMCより、キャリアの生成効率(φ:測定範囲内でのキャリアの数)とキャリア移動度の和(Σμ)の積(φΣμ)、すなわち、導電度は、4.0×10−4cm/Vsであった。
(実施例2)
上記HTレジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)(アルドリッチ社製)をo−ジクロロベンゼンに溶かし、PDIをHTレジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)100質量部に対して27.7質量部で添加した導電性組成物を調製した。上記導電性組成物を石英ガラス板に塗布し、in−situ TRMC−TAS装置で測定を行った。この際、外部刺激としての励起源はNd:YAGレーザー(パルス幅5〜8ns)から第3高長波(355nm)用い、入射フォトン数は5.9×1015cm−2に設定した。φΣμは、2.6×10−3cm/Vsであった。
(比較例1)
PDIを添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。HTレジオレギュラーポリチアゾール単独からなる導電性組成物のφΣμは、2.4×10−4cm/Vsであった。
(比較例2)
PDIを添加しなかった以外は、実施例2と同様の操作を行った。HTレジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)単独からなる導電性組成物のφΣμは、5.0×10−4cm/Vsであった。
(比較例3)
導電性共役高分子として、ポリ(9,9−ジ−n−オクチル−2,7−フルオレン)(アルドリッチ社製)を添加し、PDIを添加しなかった以外は、実施例2と同様の操作を行った。ポリ(9,9−ジ−n−オクチル−2,7−フルオレン)単独からなる導電性組成物のφΣμは、6.0×10−5cm/Vsであった。
(比較例4)
導電性共役高分子として、ポリ(9,9−ジ−n−オクチル−2,7−フルオレン)(アルドリッチ社製)を添加した以外は、実施例2と同様の操作を行った。ポリ(9,9−ジ−n−オクチル−2,7−フルオレン)100質量部とPDI9.9質量部とを含む導電性組成物のφΣμは、7.0×10−5cm/Vsであり、PDI添加によるφΣμの増加はほとんど見られなかった。
実施例1,2及び比較例1〜4で得られた導電性組成物について、導電性の評価結果を表1に示す。
Figure 2010001435
実施例1及び比較例1の結果から、PDIの添加によってφΣμが1.6倍(4.0×10−4÷2.4×10−4)となり、実施例1で得られた導電性組成物が、比較例1の導電性組成物より1.6倍の電導度を有することが明らかになった。
また、実施例2及び比較例2の結果から、PDIの添加によってφΣμが5.2倍となり、実施例2で得られた導電性組成物が、比較例2の導電性組成物より5.2倍の電導度を有することが明らかになった。
<導電性共役高分子のキャリア移動度の算出>
実施例1及び比較例1より、TASでのPDIのアニオンラジカルの吸収(720nm)強度を得て、対応する吸光係数(74200M−1cm−1:Journal of Physical Chemistry A 2000年 104巻 6545頁)からφ(PDI有り)を見積もると6×10−4であった。PDIの添加によってφΣμが1.6倍になったことから見積もると、φ=φ(PDI無し)+φ(PDI有り)≒(1+1/(1.6−1))×φ(PDI有り)=1.6×10−3となり、Σμ=4.0×10−4/(φ(PDI無し)+φ(PDI有り)=0.25(cm/Vs)が上記HTレジオレギュラーポリチアゾ−ルのキャリア移動度として見積もられた。このキャリア移動度を有するHTレジオレギュラーポリマーは、有機トランジスタ素子の材料として適している。
同様に、実施例2及び比較例2より、TASでのPDIのアニオンラジカルの吸収(720nm)強度を得て、対応する吸光係数(74200M−1cm−1)からφ(PDI有り)を見積もると2.0×10−2であった。PDIの添加によってφΣμが5.2倍になったことから見積もると、φ=φ(PDI無し)+φ(PDI有り)≒(1+1/(5.2−1))×φ(PDI有り)=2.4×10−2となり、Σμ=2.6×10−3/(φ(PDI無し)+φ(PDI有り)=0.11(cm/Vs)が上記HTレジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)のキャリア移動度として見積もられた。このキャリア移動度を有するHTレジオレギュラーポリマーは、有機トランジスタ素子の材料として適している。
同様にして、上記HTレジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)100質量部に対する芳香族イミド化合物PDIの添加量(質量部)を変えてφΣμを測定した結果を、図1に示す。図1より、PDIの添加量28質量部付近において、φΣμの極大があることがわかる。
HTレジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)に対する芳香族イミド化合物PDIの添加量を変えてφΣμを測定した結果を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 導電性共役高分子と芳香族イミド化合物とを含む導電性組成物であって、
    前記導電性共役高分子が、
    前記芳香族イミド化合物とスタッキング安定構造を形成可能な高分子であり、且つ、
    前記スタッキング安定構造における、前記導電性共役高分子のHOMOと前記芳香族イミド化合物のLUMOとのHOMO−LUMO間重なり積分の絶対値が、0.008〜1.0となる部分を有する高分子である、導電性組成物。
  2. 前記導電性共役高分子が、主鎖構成単位として、置換基を有していてもよい2価の5員環基又は置換基を有していてもよい2価の渡環性芳香族基を含有する、請求項1記載の導電性組成物。
  3. 前記5員環基がヘテロ原子を含む5員環基である、請求項2記載の導電性組成物。
  4. 前記芳香族イミド化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性組成物。
    Figure 2010001435

    [式(1)中、Arは、芳香族基を示し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は1価の複素環基を示し、nは1〜6の整数を示す。]
  5. 前記Arは、ベンゼン環が2〜7個縮環した共役構造を有する芳香族基である、請求項4記載の導電性組成物。
  6. 前記芳香族イミド化合物が、ペリレンテトラカルボキシルジイミド化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性組成物。
  7. 前記芳香族イミド化合物が、N,N’−ジアリールペリレンテトラカルボキシルジイミド化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性組成物。
  8. 導電性共役高分子と芳香族イミド化合物とを含む導電性組成物の時間分解マイクロ波伝導度測定と光過渡吸収分光とを同じジオメトリーで行い、前記導電性共役高分子のキャリア移動度を測定する方法であり、
    前記導電性共役高分子が、前記芳香族イミド化合物とスタッキング安定構造を形成可能な高分子であり、且つ、前記スタッキング安定構造における、前記導電性共役高分子のHOMOと前記芳香族イミド化合物のLUMOとのHOMO−LUMO間重なり積分の絶対値が、0.008〜1.0となる部分を有する高分子であり、
    前記芳香族イミド化合物を、プローブ分子として用いる、前記導電性共役高分子のキャリア移動度を測定する方法。
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