JP2010000627A - 液体供給装置及び印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な液体の供給特性が得られる液体供給装置及び印刷装置を提供する。
【解決手段】インクカートリッジからインクを引き込むサブタンクと、サブタンクからインクが供給されるインクジェットヘッドとを有し、サブタンクは、少なくとも一部が可撓性を有する可撓膜によって覆われた容量可変のインク室を有し、サブタンクにてインクを引き込んでインクジェットヘッドへ供給する通常のインク供給時における可撓膜の動作範囲が、インク室における圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンスが大きい範囲A1内に設定されている。
【選択図】図9
【解決手段】インクカートリッジからインクを引き込むサブタンクと、サブタンクからインクが供給されるインクジェットヘッドとを有し、サブタンクは、少なくとも一部が可撓性を有する可撓膜によって覆われた容量可変のインク室を有し、サブタンクにてインクを引き込んでインクジェットヘッドへ供給する通常のインク供給時における可撓膜の動作範囲が、インク室における圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンスが大きい範囲A1内に設定されている。
【選択図】図9
Description
本発明は、メインタンクの液体を、サブタンクを介してヘッドに供給する液体供給装置及び印刷装置に関するものである。
上記液体供給装置の一例として、パソコン等に接続されるプリンタに組み込まれて、印刷ヘッドに液体としてのインクを供給する装置が挙げられる。
このような液体供給装置では、キャリッジに搭載されてインクカートリッジからインク供給チューブを介して貯蔵室にインクの補給を受け、印刷時にインク貯蔵室のインクを記録ヘッドに供給するサブタンクユニットと、インクカートリッジのインクをサブタンクユニットに補給するポンプ手段と、記録ヘッドへの駆動信号に対応してインク流量を制御するポンプ制御手段とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような液体供給装置では、キャリッジに搭載されてインクカートリッジからインク供給チューブを介して貯蔵室にインクの補給を受け、印刷時にインク貯蔵室のインクを記録ヘッドに供給するサブタンクユニットと、インクカートリッジのインクをサブタンクユニットに補給するポンプ手段と、記録ヘッドへの駆動信号に対応してインク流量を制御するポンプ制御手段とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところが、上記のポンプ手段は構造が複雑であり、しかも大きな設置スペースが必要になるため、簡易化及び小型化のために、キャリッジの往復移動の駆動力を利用してインクを供給するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載のインク供給装置は、往復移動されるキャリッジと、このキャリッジに設けられたインクジェット記録ヘッドへ供給されるインクを貯留したインクカートリッジと、インクジェット記録ヘッドによる印刷で消費されるインクを保持しておくインク保持部とを備え、キャリッジの所定位置への移動によって圧縮されてインク保持部へインクを送り出すとともに、キャリッジの所定位置から外れた位置への移動によって復元してインクカートリッジからインクを引き込むインクポンプ部が設けられている。
特許文献2に記載のインク供給装置は、往復移動されるキャリッジと、このキャリッジに設けられたインクジェット記録ヘッドへ供給されるインクを貯留したインクカートリッジと、インクジェット記録ヘッドによる印刷で消費されるインクを保持しておくインク保持部とを備え、キャリッジの所定位置への移動によって圧縮されてインク保持部へインクを送り出すとともに、キャリッジの所定位置から外れた位置への移動によって復元してインクカートリッジからインクを引き込むインクポンプ部が設けられている。
ところで、サブタンクの液室の少なくとも一部が可撓性を有する膜で覆われて構成されている液体供給装置では、膜の特性が供給特性に影響を及ぼすことになる。
このため、膜の特性によっては、液室内の容量の可変が円滑に行われず、良好な液体の供給特性が得られないおそれがある。
このため、膜の特性によっては、液室内の容量の可変が円滑に行われず、良好な液体の供給特性が得られないおそれがある。
そこで、本発明の目的は、良好な液体の供給特性が得られる液体供給装置及び印刷装置を提供することにある。
前記課題を解決することのできる本発明に係る液体供給装置は、液体が貯留されたメインタンクと、前記メインタンクから液体を引き込むサブタンクと、前記サブタンクから液体が供給されるヘッドと、を有する液体供給装置であって、
前記サブタンクは、少なくとも一部が可撓性を有する膜によって覆われた容量可変の液室を有し、
前記サブタンクにて液体を引き込んで前記ヘッドへ供給する通常液体供給時における前記膜の動作範囲が、前記液室における圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンスが大きい範囲内に設定されていることを特徴とする。
前記サブタンクは、少なくとも一部が可撓性を有する膜によって覆われた容量可変の液室を有し、
前記サブタンクにて液体を引き込んで前記ヘッドへ供給する通常液体供給時における前記膜の動作範囲が、前記液室における圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンスが大きい範囲内に設定されていることを特徴とする。
この構成の液体供給装置によれば、通常液体供給時における膜の動作範囲が、圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンスが大きい範囲内に設定されているため、通常液体供給時においては圧力変化が小さくても体積を大きく変化させることができ、良好な液体の供給特性を得ることができる。
また、前記膜は、シリンダ内を摺動するピストンによって変位させられることが好ましい。
この構成の液体供給装置によれば、シリンダ内を摺動するピストンによって膜を安定的に動作させることができるため、設定した動作範囲での膜の動作の管理が容易にできる。
前記膜は、前記ピストン側の固定箇所と前記液室内壁との固定箇所の軸方向距離が、前記液室の最大容量状態にて、軸方向に沿う断面視における変位する膜部の長さ寸法の1/5以上とされていることが好ましい。
この構成の液体供給装置によれば、膜を、常にコンプライアンスの大きい範囲内で変位させることができ、良好な液体の供給特性を確実に得ることができる。
また、本発明の印刷装置は、搬送される媒体に対してヘッドからインクを吐出して印刷処理を行う印刷装置であって、
前記ヘッドへインクを供給する装置として、上記本発明に係る液体供給装置の何れかを備えていることを特徴とする。
前記ヘッドへインクを供給する装置として、上記本発明に係る液体供給装置の何れかを備えていることを特徴とする。
この構成の印刷装置によれば、通常液体供給時における膜の動作範囲が、圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンスが大きい範囲内に設定されているため、通常液体供給時においては圧力変化が小さくても体積を大きく変化させることができ、良好な液体の供給特性を得ることができる。したがって、ヘッドのインクノズルのメニスカスにかかる負荷が小さい範囲で効率良く印刷を行うことができる。
以下、本発明に係る液体供給装置及び印刷装置の実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。
図1〜図11は本発明に係る一実施形態の液体供給装置によってインク供給機構が構成されたインクジェットプリンタを説明するための図であり、図1はインクジェットプリンタの外観斜視図、図2はインクジェットプリンタのプリンタカバーを開いた状態の斜視図、図3はインクジェットプリンタからプリンタケースを取り外した状態の斜視図、図4はインクポンプ部および規制板を示す平面図、図5はインクジェットプリンタのキャリッジが待機位置にあるときのインク供給機構の要部を示す断面図、図6はシリンダの底部の平面図、図7は自己封止ユニットの構造を示す断面図、図8はインクジェットプリンタのインク供給限界状態にあるときのインク供給機構の要部を示す断面図、図9は可撓膜のコンプライアンス特性を示す特性線図、図10は可撓膜の荷重特性を示す特性線図、図11はインクジェットプリンタのヘッドクリーニング時のインク供給機構の要部を示す断面図である。
図1〜図11は本発明に係る一実施形態の液体供給装置によってインク供給機構が構成されたインクジェットプリンタを説明するための図であり、図1はインクジェットプリンタの外観斜視図、図2はインクジェットプリンタのプリンタカバーを開いた状態の斜視図、図3はインクジェットプリンタからプリンタケースを取り外した状態の斜視図、図4はインクポンプ部および規制板を示す平面図、図5はインクジェットプリンタのキャリッジが待機位置にあるときのインク供給機構の要部を示す断面図、図6はシリンダの底部の平面図、図7は自己封止ユニットの構造を示す断面図、図8はインクジェットプリンタのインク供給限界状態にあるときのインク供給機構の要部を示す断面図、図9は可撓膜のコンプライアンス特性を示す特性線図、図10は可撓膜の荷重特性を示す特性線図、図11はインクジェットプリンタのヘッドクリーニング時のインク供給機構の要部を示す断面図である。
まず、本実施形態の印刷装置であるインクジェットプリンタの構造について説明する。
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、複数種のカラーインクを使用してロール紙の繰り出された一部にカラー印刷するものであり、プリンタ本体を覆うプリンタケース2の前面には、ロール紙カバー5及びインクカートリッジカバー7が開閉自在に設けられている。更に、プリンタケース2の前面には、電源スイッチ3と共にフィードスイッチやインジケータ等も配置されている。
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、複数種のカラーインクを使用してロール紙の繰り出された一部にカラー印刷するものであり、プリンタ本体を覆うプリンタケース2の前面には、ロール紙カバー5及びインクカートリッジカバー7が開閉自在に設けられている。更に、プリンタケース2の前面には、電源スイッチ3と共にフィードスイッチやインジケータ等も配置されている。
ロール紙カバー5を開くと、図2に示すように、印刷される媒体であるロール紙11を収容した用紙収容部13が開放状態になって、ロール紙11の交換が可能になる。
また、インクカートリッジカバー7を開くと、カートリッジ装着部15が開放状態になり、カートリッジ装着部15へのインクカートリッジ(メインタンク)17の着脱が可能になる。
また、インクカートリッジカバー7を開くと、カートリッジ装着部15が開放状態になり、カートリッジ装着部15へのインクカートリッジ(メインタンク)17の着脱が可能になる。
この場合、インクカートリッジカバー7を開く動作に連動して、カートリッジ装着部15の前方にインクカートリッジ17が所定距離だけ引き出される構成になっている。
プリンタケース2内の用紙収容部13の上方には、図3に示すように、インクジェットヘッド(ヘッド)21を搭載したキャリッジ23が設けられている。キャリッジ23は、ロール紙11の幅方向に沿って延在するガイド部材25によって用紙幅方向に移動自在に支持されると共に、ロール紙11の幅方向に延在する無端ベルト26aと無端ベルト26aを駆動するキャリッジモータ26bとによって、プラテン28の上方をロール紙11の幅方向に往復移動可能になっている。インクジェットヘッド21は、ロール紙11の繰り出された一部に対してインクを吐出して印刷処理を行う。
図示のように、カートリッジ装着部15の上方が、往復移動するキャリッジ23の待機位置(ホームポジション)となっている。そして、この待機位置の下方には、キャリッジ23の下面に露出するインクジェットヘッド21のインクノズルを覆うキャップ27と、キャップ27を介してインクジェットヘッド21の各インクノズル内のインクを吸引廃棄するインク吸引機構29とが設けられている。
インクカートリッジ17は、カートリッジケース18内に複数個の図示略のカラーインクパックを収容したものである。インクカートリッジ17内の各インクパックは、可撓性材料からなり内部にインクを貯留した状態で密封されるもので、インクカートリッジ17をカートリッジ装着部15に装着した際に、カートリッジ装着部15側に設けられた図示略のインク供給針がインクパックのインク供給口に差込接続される。カートリッジ装着部15のインク供給針には、プリンタケース2内に固定されたインク流路31が接続され、このインク流路31には、各色に分けられた可撓性のインク供給チューブ33の一端が接続されている。
インク供給チューブ33の他端は、キャリッジ23上に設けられた各色のインクポンプ部34に接続されている。各インクポンプ部34は、インクジェットヘッド21の上方に設けられており、インクジェットヘッド21に接続された自己封止ユニット36にそれぞれ接続されている。
キャリッジ23には、インクジェットヘッド21の他に、インクポンプ部34及び自己封止ユニット36が一体的に搭載された構成になっている。
これにより、インクカートリッジ17内の各インクパックのインクは、カートリッジ装着部15のインク供給針から、インク流路31、インク供給チューブ33、各色のインクポンプ部34及び各色の自己封止ユニット36を経て、インクジェットヘッド21の各インクノズルにそれぞれ供給されるようになっている。
これにより、インクカートリッジ17内の各インクパックのインクは、カートリッジ装着部15のインク供給針から、インク流路31、インク供給チューブ33、各色のインクポンプ部34及び各色の自己封止ユニット36を経て、インクジェットヘッド21の各インクノズルにそれぞれ供給されるようになっている。
インクポンプ部34は、プリンタ1の本体に対して移動可能なキャリッジ23が移動することによりインクカートリッジ17からインクを引き込むもので、プリンタ1の本体側には、キャリッジ23が移動することによりインクポンプ部34を動作させる図4にも示す規制板37が、キャリッジ23の待機位置への移動方向前方に配置されている。
そして、上記インクジェットプリンタ1では、インクカートリッジ17、サブタンク45、インクジェットヘッド21、キャリッジ23及びインクポンプ部34からインク供給機構(液体供給機構)が構成されている。
そして、上記インクジェットプリンタ1では、インクカートリッジ17、サブタンク45、インクジェットヘッド21、キャリッジ23及びインクポンプ部34からインク供給機構(液体供給機構)が構成されている。
次に、インク供給機構を構成するインクポンプ部34について、一色分の構造を例示して説明する。
図5(a)(b)に示すように、流路31のインクカートリッジ17側における端部には、逆止弁41が設けられ、インクカートリッジ17とインクポンプ部34との間において、逆止弁41によってインクカートリッジ17側からインクポンプ部34側へのみインクが流れるようになっている。
図5(a)(b)に示すように、流路31のインクカートリッジ17側における端部には、逆止弁41が設けられ、インクカートリッジ17とインクポンプ部34との間において、逆止弁41によってインクカートリッジ17側からインクポンプ部34側へのみインクが流れるようになっている。
インクポンプ部34は、インクカートリッジ17からインク供給チューブ33を介してインクを引き込むサブタンク45を備えている。このサブタンク45は、上部分割体46と下部分割体47とで構成されており、これら上部分割体46と下部分割体47との間に、可撓性を有するダイヤフラムからなる可撓膜(膜)49によってその上部が覆われたインク室(液室)50を有している。この可撓膜49は、水分透過性及びガス透過性の低いブチルゴム等から形成されている。
このインク室50は、インク供給チューブ33に連通しかつ自己封止ユニット36側の流路42に連通しており、インクカートリッジ17からインクが供給されるとともに自己封止ユニット36側にインクを供給可能となっている。可撓膜49は、変形容易な可撓性材料からなっており、この可撓膜49の変形をともなってインク室50が容量可変となり、拡張、縮小される。インクポンプ部34には、この可撓膜49を変位させてインク室50を拡張する拡張機構52が設けられている。
拡張機構52は、上下方向に延在する筒状のシリンダ53と、このシリンダ53内にて上下に摺動可能に嵌挿されるピストン54と、上部分割体46におけるシリンダ53の上方に配置された揺動軸55に揺動可能に支持された揺動アーム56と、揺動アーム56とピストン54との間に介装された引っ張りコイルバネ57とを有している。
シリンダ53は、水分透過性及びガス透過性の低いポリプロピレン等の樹脂材料からなっている。シリンダ53は、ピストン54の外径よりもわずかに大径の内径を有してピストン54の外周面を摺動可能に案内する小径内周面59が上部に形成され、下部にピストン54の外周面との間に隙間を形成する大径内周面60が形成された段差形状をなしている。
ピストン54は、水分透過性及びガス透過性の低いポリプロピレン等の樹脂材料から形成されている。ピストン54は、略有底筒状に形成されて、その揺動アーム56側は、揺動アーム56を配置させるため、上端から中間位置まで切り欠かれている。
また、ピストン54の底部の中央には、図6に示すように、軸線方向に沿って貫通するスリット65が径方向に延在されており、このスリット65の下部には、相互近接側に突出する一対の係止突条部66が平行に形成されている。両係止突条部66には、対向面の中央に円弧状の位置決め凹部66aが形成されている。また、ピストン54の底部より上方には、引っ張りコイルバネ57の下端を係止する係止部67が形成されている。
揺動アーム56は、揺動軸55からシリンダ53内に延出する腕部69と、揺動軸55から下方に延出する上下延出部70と、上下延出部70の腕部69とは反対側の端部から腕部69とは逆向きに延出する入力部71とを有している。腕部69の先端は鉤状とされており、この部分に引っ張りコイルバネ57の上端が係止されている。
可撓膜49は、上部分割体46の円環溝73に嵌合された状態で上部分割体46と下部分割体47とに挟持される円環状の厚肉のベース部74と、このベース部74の内周部から筒状をなして延出する薄肉の膜部75と、膜部75のベース部74とは反対側を閉塞させる厚肉の略円板状の固定部76とを有する一体成形品である。
固定部76の中央には、先細り形状の突起部77が一体成形され、この突起部77がピストン54のスリット65に圧入により嵌合される。これにより、突起部77の根元のアンダーカット部分が両側の係止突条部66に係止され、その結果、突起部77がスリット65から抜け止めされる。このとき、両係止突条部66の位置決め凹部66aに突起部77が嵌合し位置決めされる。この状態で固定部76がピストン54の底部に一体化され、よって可撓膜49は、ピストン54の移動により固定部76及び膜部75が変位する。
ここで、ピストン54は、固定部76に密着する底部の厚みが厚くされ、底部からの水分透過性及びガス透過性を低く抑えている。つまり、透過速度をQ、材料固有の透過係数をk、表面積をA、厚みをtとすると、Q=k・A/tが成り立つため、透過係数kが低い材料を使用し、表面積Aを可能な限り小さく、厚みtを可能な限り厚くしている。
図7に示すように、自己封止ユニット36は、ユニット本体81に、供給路82、中間路83及び排出路84が形成されている。そして、供給路82に形成された供給口82aに、流路42の下流側端部が接続され、排出路84に形成された排出口84aに、インクジェットヘッド21が接続されている。
供給路82と中間路83とを区画する壁部85には、流入口85aが形成されており、この流入口85aで供給路82内のインクが中間路83内へ流入される。また、中間路83と排出路84とを区画する壁部86には、連通口86aが形成されており、この連通口86aで中間路83内のインクが排出路84内へ流入される。
中間路83内には、壁部86に支点部87が形成されており、この支点部87には、揺動棒91が揺動可能に支持されている。この揺動棒91には、その一端部に、壁部85側へ向かって屈曲する作動棒部92が一体に形成されており、この作動棒部92の先端には、壁部85に当接して流入口85aを閉鎖する閉鎖板93が形成されている。また、この閉鎖板93と壁部86との間には、圧縮バネ94が設けられ、この圧縮バネ94の付勢力によって閉鎖板93が壁部85側へ向かって付勢されている。また、揺動棒91の他端部には、壁部86側へ屈曲され、この壁部86の連通口86aに挿通された押圧棒部95が形成されている。
また、ユニット本体81の排出路84側の側壁81aには、開口部96が形成されている。この開口部96には、その開口縁部に、液密性及び可撓性を有するフィルム97が液密的に連結されている。このフィルム97の排出路84側における中央部分には、押圧板98が固定されている。そして、この押圧板98に、揺動棒91の押圧棒部95の先端部が当接されている。
また、押圧板98と壁部86との間には圧縮バネ99が取り付けられており、この圧縮バネ99の付勢力によって押圧板98が外側へ押し出されている。そして、この自己封止ユニット36では、閉鎖板93が、圧縮バネ94及び閉鎖板93に作用する圧力によって壁部85に押し付けられ、流入口85aが閉鎖される。
そして、自己封止ユニット36では、フィルム97によって覆われた部分の容積の減少にともない押圧板98によって揺動棒91の押圧棒部95が押圧されると、揺動棒91が支点部87による連結箇所を中心として揺動することにより、閉鎖板93が壁部85から離れる。これにより、供給路82から流入口85aを通って中間路83及び排出路84へインクが流れ込み、インクジェットヘッド21へ供給される。
そして、この自己封止ユニット36をインクジェットヘッド21の上流側に設けることにより、例えば、キャリッジ23の加減速などによって供給側におけるインクの圧力変動が発生したとしても、この圧力変動のインクジェットヘッド21への伝達が自己封止ユニット36で遮断される。
これにより、圧力変動が伝達されることによるインクジェットヘッド21での意図しないインクの吐出、インクだれあるいは吐出不良によるドット抜けなどの不具合が防止される。
これにより、圧力変動が伝達されることによるインクジェットヘッド21での意図しないインクの吐出、インクだれあるいは吐出不良によるドット抜けなどの不具合が防止される。
上記構造のプリンタ1において、キャリッジ23が待機位置にあるとき、図5(b)に示すように、揺動アーム56の入力部71がキャリッジ23外の規制板37に当接し、上下延出部70が鉛直に沿い腕部69及び入力部71が水平をなす状態とされる。このとき、引っ張りコイルバネ57の付勢力でピストン54が引き上げられ、この状態において、図5(a)にも示すように、可撓膜49の膜部75は、そのベース部74側から下方に延び、中間部分で上に折り返されて固定部76に繋がる折り返し形状になる。
このとき、膜部75は折り返し部分よりもベース部74側が下部分割体47側のシリンダ53の大径内周面60に密着する。ここで、膜部75のベース部74側に密着するシリンダ53は厚みが厚くされ、この部分からの水分透過性及びガス透過性を低く抑えている。つまり、この部分についても、透過係数kが低い材料を使用し、表面積Aを可能な限り小さく、厚みtを可能な限り厚くしている。
また、キャリッジ23が待機位置から離れてインクジェットヘッド21を印刷可能領域に位置させ、その後、この印刷可能領域内でインクジェットヘッド21がインクを吐出させて印刷を行うことで、自己封止ユニット36からインクジェットヘッド21にインクが供給され、自己封止ユニット36内が負圧になると、インク室50から流路42を介して自己封止ユニット36にインクが供給される。
ここで、図8(a)(b)に示すように、インク室50のインクが減少すると、このインクの減少により生じる負圧で、可撓膜49の膜部75を変形させながら固定部76と一体にピストン54が下降する。すると、ピストン54に引っ張りコイルバネ57を介して連結された揺動アーム56が腕部69の先端を下降させるように揺動することになり、その結果、揺動アーム57の入力部71の側方への突出量が拡大する。このとき、引っ張りコイルバネ57がピストン54の軸線に対して斜めになり、ピストン54に対して横方向の力を発生させることがあるが、ピストン54はシリンダ53に案内されるため、円滑に軸線方向に直線的に移動する。なお、ピストン54はその全可動範囲においてシリンダ53に摺動可能に案内される。
この状態からキャリッジ23が待機位置に戻ると、図5(b)に示すように、キャリッジ23とともに移動する揺動アーム56が入力部71においてキャリッジ23外の規制板37に当接して、キャリッジ23の移動力により揺動し、上下延出部70が鉛直に沿い腕部69及び入力部71が水平をなす。これにより、図5(a)にも示すように、腕部69の先端部が上昇し、引っ張りコイルバネ57を介して連結されたピストン54がシリンダ53内を摺動して引き上げられる。
この引っ張りコイルバネ57を介して行われるピストン54の移動によって、インクポンプ部34の可撓膜49の固定部76がピストン54と一体に上昇し、サブタンク45のインク室50が拡張されて容量が増大される。このように、インク室50の容量が増大すると、逆止弁41を開きながらインクカートリッジ17からインク流路31及びインク供給チューブ33を介してインクがインク室50に吸引されることになる。
ここで、インクポンプ部34において、可撓膜49の圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンス特性を測定し、図9に示すように、横軸に圧力、縦軸に体積をとると、変化点Xを有し、変化点Xを境にしてコンプライアンスが大きい範囲A1とコンプライアンスが小さい範囲A2とが現れる特性が得られた。ここで、圧力(負荷)をP、流量(体積)をQ、コンプライアンスをCとすると、P=Q/C、C=Q/Pとなる。
上記特性から、可撓膜49の動作範囲としては、変化点Xからコンプライアンスが大きい範囲A1内となるようにピストン54の通常のインク供給時の移動範囲を設定する。ここで、通常のインク供給時とは、キャップ27を介してインクジェットヘッド21の各インクノズル内のインクをインク吸引機構29で吸引廃棄するヘッドクリーニング時を除くインク供給時のことである。
これにより、通常のインク供給時においては圧力変化が小さくても体積を大きく変化させることができ、インクジェットヘッド21のインクノズルのメニスカスにかかる負荷(負圧)が小さい範囲で効率良く印刷を行うことができる。なお、可撓膜49の反力特性は、横軸に位置、縦軸に荷重をとると、図10に示す特性となり、上記したコンプライアンスが大きい範囲A1は、図10に示す荷重が低い範囲A3に対応し、キャリッジモータ26bを含む駆動系への負荷も小さくなる。
具体的には、通常のインク供給時において、可撓膜49が常にコンプライアンスが大きい範囲A1内で変位するように、ピストン54の位置が図8(a)(b)に示すように、設定範囲の下限位置になると、インク供給限界状態となって、印刷を停止してキャリッジ23を待機位置に一旦戻し、揺動アーム56を規制板37に当接させてインクをインクカートリッジ17からインク室50に補給するように、インクの使用許容量が設定されている。なお、インク室50にインクが最大限補給された状態でも、可撓膜49はコンプライアンスが大きい範囲A1内にある。
ここで、変位する膜部75の軸線方向の断面視における長さ寸法をL(図8(a)参照)とすると、ピストン54側の固定箇所である固定部76との連結箇所75aとインク室50の内壁との固定箇所75bとの軸方向の距離S(図5(a)参照)が膜部75の長さ寸法Lの略1/5近傍にて図9に示すコンプライアンスの変化点Xが現れる。
このことから、膜部75の連結箇所75aと固定箇所75bとの軸方向距離Sは、インク室50が最大容量状態となるインクの最大限補給状態にて膜部75の長さ寸法Lの1/5以上となるように設定すれば、可撓膜49を常にコンプライアンスの大きい範囲A1内で変位させることができる。
本実施の形態では、膜部75の連結箇所75aと固定箇所75bとの軸方向距離Sが、インクの最大限補給状態にて、コンプライアンスの変化点Xに到達する前の、膜部75の長さ寸法Lの略1/4となるように設定されている。
また、インク吸引機構29によってクリーニング処理が行われると、図11(a)(b)に示すように、可撓膜49は、ピストン54が下限位置を超えて下降することにより、この場合には、コンプライアンスが大きい範囲A1から外れる。
ここで、変位する膜部75の軸線方向の断面視における長さ寸法をL(図8(a)参照)とすると、ピストン54側の固定箇所である固定部76との連結箇所75aとインク室50の内壁との固定箇所75bとの軸方向の距離S(図5(a)参照)が膜部75の長さ寸法Lの略1/5近傍にて図9に示すコンプライアンスの変化点Xが現れる。
このことから、膜部75の連結箇所75aと固定箇所75bとの軸方向距離Sは、インク室50が最大容量状態となるインクの最大限補給状態にて膜部75の長さ寸法Lの1/5以上となるように設定すれば、可撓膜49を常にコンプライアンスの大きい範囲A1内で変位させることができる。
本実施の形態では、膜部75の連結箇所75aと固定箇所75bとの軸方向距離Sが、インクの最大限補給状態にて、コンプライアンスの変化点Xに到達する前の、膜部75の長さ寸法Lの略1/4となるように設定されている。
また、インク吸引機構29によってクリーニング処理が行われると、図11(a)(b)に示すように、可撓膜49は、ピストン54が下限位置を超えて下降することにより、この場合には、コンプライアンスが大きい範囲A1から外れる。
以上に述べた本実施形態のインク供給機構及びインクジェットプリンタによれば、通常のインク供給時における可撓膜49の動作範囲が、圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンスが大きい範囲A1内に設定されているため、通常のインク供給時においては圧力変化が小さくても体積を大きく変化させることができ、良好なインクの供給特性を得ることができる。
したがって、インクジェットヘッド21のインクノズルのメニスカスにかかる負荷が小さい範囲で効率良く印刷を行うことができる。その結果、ノズルダウン(メニスカス破壊)によるドット抜け、インクドット重量のバラツキ及び低下等を防止でき、印刷品質の低下を防止できる。しかも、ヘッドクリーニングによる回復の頻度を少なくできるため、ランニングコストを低下できる。
また、動作範囲で可撓膜49を動作させることで、可撓膜49は勿論、キャリッジモータ26bを含む駆動系への負荷も小さくなるため、可撓膜49の伸張疲労を抑えて長寿命化ができ、キャリッジモータ26bの小型化・軽量化・低コスト化ができる。加えて、キャリッジモータ26bの発熱も低減でき、良好なスループットを確保できる。
また、シリンダ53内を摺動するピストン54によって可撓膜49を安定的に動作させることができるため、可撓膜49の動作範囲での動作の管理が容易にできる。
また、可撓膜49は、ピストン54側の固定箇所である連結箇所75aとインク室50の内壁との固定箇所75bの軸方向距離Sが、インク室50が最大容量状態となるインクの最大限補給状態にて、軸方向に沿う断面視における変位する膜部75の長さ寸法Lの1/5以上とされているので、可撓膜49を、常にコンプライアンスの大きい範囲A1内で変位させることができ、良好なインクの供給特性を確実に得ることができる。
また、可撓膜49は、ピストン54側の固定箇所である連結箇所75aとインク室50の内壁との固定箇所75bの軸方向距離Sが、インク室50が最大容量状態となるインクの最大限補給状態にて、軸方向に沿う断面視における変位する膜部75の長さ寸法Lの1/5以上とされているので、可撓膜49を、常にコンプライアンスの大きい範囲A1内で変位させることができ、良好なインクの供給特性を確実に得ることができる。
次に、他の構造のインク供給機構を示す。
図12は他の構造のインク供給機構の要部を示す断面図である。
図12に示すように、このインク供給機構を構成するインクポンプ部34では、拡張機構52が揺動アーム56及び引っ張りコイルバネ57にかえて、捩りコイルバネ(弾性部)101が用いられており、この捩りコイルバネ101がコイル部分で揺動軸55に支持されている。この捩りコイルバネ101は、略直交方向に延出する一対の腕部102,103を有しており、一方の腕部102がピストン54の係合部104に係合され、他方の腕部103が規制板37に当接可能となっている。
図12は他の構造のインク供給機構の要部を示す断面図である。
図12に示すように、このインク供給機構を構成するインクポンプ部34では、拡張機構52が揺動アーム56及び引っ張りコイルバネ57にかえて、捩りコイルバネ(弾性部)101が用いられており、この捩りコイルバネ101がコイル部分で揺動軸55に支持されている。この捩りコイルバネ101は、略直交方向に延出する一対の腕部102,103を有しており、一方の腕部102がピストン54の係合部104に係合され、他方の腕部103が規制板37に当接可能となっている。
キャリッジ23が待機位置から離れた状態でインクジェットヘッド21が印刷を行うことで、インク室50のインクが減少し、可撓膜49の膜部75を変形させながらピストン54が下降すると、ピストン54に腕部102にて連結された捩りコイルバネ101が、図12に二点鎖線で示すように腕部102の先端を下降させるように揺動することになり、その結果、捩りコイルバネ101の他方の腕部103が規制板37側への突出量を拡大する。
そして、キャリッジ23が待機位置に戻ると、キャリッジ23とともに移動する捩りコイルバネ101の腕部103が、図12に実線で示すように、規制板37に当接して、キャリッジ23の移動力により揺動し、腕部102の先端部を上昇させて、ピストン54をシリンダ53内で摺動させて上昇させる。
この捩りコイルバネ101を介して行われるピストン54の移動によって、インクポンプ部34の可撓膜49の固定部76がピストン54と一体に上昇し、サブタンク45のインク室50が拡張されて容量が増大され、その結果、インクカートリッジ17からインクがインク室50に吸引されることになる。
このような構成とした場合、拡張機構52が、キャリッジ23の移動力により捩りコイルバネ101を介して移動されるピストン54の移動でインク室50を拡張させてインクカートリッジ17からインクを引き込ませる構成であるため、何らかの理由によりインク室50及びピストン54に過剰な負荷がかかった場合でも、捩りコイルバネ101が弾性変形することによってこの負荷を吸収することができる。したがって、キャリッジ23を移動させるためのキャリッジモータ26bを含む駆動系に、過剰な負荷がかかることを防止できる。
また、この場合も、通常のインク供給時における可撓膜49の動作範囲が、圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンスが大きい範囲A1内に設定されているため、通常のインク供給時においては圧力変化が小さくても体積を大きく変化させることができ、良好なインクの供給特性を得ることができる。
1…インクジェットプリンタ(印刷装置)、17…インクカートリッジ(メインタンク)、21…インクジェットヘッド(ヘッド)、34…インクポンプ部、45…サブタンク、49…可撓膜(膜)、50…インク室(液室)、53…シリンダ、54…ピストン。
Claims (4)
- 液体が貯留されたメインタンクと、前記メインタンクから液体を引き込むサブタンクと、前記サブタンクから液体が供給されるヘッドと、を有する液体供給装置であって、
前記サブタンクは、少なくとも一部が可撓性を有する膜によって覆われた容量可変の液室を有し、
前記サブタンクにて液体を引き込んで前記ヘッドへ供給する通常液体供給時における前記膜の動作範囲が、前記液室における圧力あたりの体積変化量であるコンプライアンスが大きい範囲内に設定されていることを特徴とする液体供給装置。 - 請求項1に記載の液体供給装置において、
前記膜は、シリンダ内を摺動するピストンによって変位させられることを特徴とする液体供給装置。 - 請求項2に記載の液体供給装置において、
前記膜は、前記ピストン側の固定箇所と前記液室内壁との固定箇所の軸方向距離が、前記液室の最大容量状態にて、軸方向に沿う断面視における変位する膜部の長さ寸法の1/5以上とされていることを特徴とする液体供給装置。 - 搬送される媒体に対して前記ヘッドからインクを吐出して印刷処理を行う印刷装置であって、
前記ヘッドへインクを供給する装置として、請求項1から3のいずれか一項に記載の液体供給装置を備えていることを特徴とする印刷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008159595A JP2010000627A (ja) | 2008-06-18 | 2008-06-18 | 液体供給装置及び印刷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008159595A JP2010000627A (ja) | 2008-06-18 | 2008-06-18 | 液体供給装置及び印刷装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010000627A true JP2010000627A (ja) | 2010-01-07 |
Family
ID=41582752
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008159595A Pending JP2010000627A (ja) | 2008-06-18 | 2008-06-18 | 液体供給装置及び印刷装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010000627A (ja) |
-
2008
- 2008-06-18 JP JP2008159595A patent/JP2010000627A/ja active Pending
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