JP2010000492A - 金属製建具のバフ研磨面洗浄方法 - Google Patents

金属製建具のバフ研磨面洗浄方法 Download PDF

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Hideki Kawai
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Abstract

【課題】 金属製建具の表面を鏡面状に仕上げるバフ研磨を行った後に残存するバフ研磨剤(バフかす)を、人体や環境に悪影響を与えることなく、効果的に除去することが課題である。
【解決手段】 プラズマ発生用高周波電源装置を用い、アルゴンガスをアルゴンプラスイオン(Ar)と電子に解離させる。そして、高電圧をかけることによって加速したアルゴンプラスイオン(Ar)をバフ研磨後の金属製建具の表面に照射してシリコン等からなるバフ研磨剤(バフかす)を除去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属製建具に付着した研磨剤の洗浄の仕方に工夫を凝らすことで、その後の塗装における塗膜のはじき不良を防止する方法に関するものである。
扉のノブやハンドルといった錠前部品では金属光沢をもった艶有研磨仕上げが好まれる。この金属光沢をもった綺麗な仕上げにする方法として、バフ研磨がある。
バフ研磨とは、布製又は適度な柔軟性をもった物質の研磨輪の表面に研磨剤をつけ、回転させた研磨輪に研磨対象物質を当てつつ研磨していく方法をいう。工作物が大きい場合には、作業者が研磨機を手持ちで工作物に押し当てて加工を行う。研磨の程度によって、下地磨きから艶磨きまで存在する。
バフ研磨剤とは、珪石微粉、アルミナ、トリポリ、酸化クロム、酸化鉄などの砥粒をステアリン酸、牛脂、パラフィン、金属石けん、界面活性剤などの媒体に配合したものをいう。バフ研磨剤には、研磨剤を油脂などと混合して固め、バフ面に押し当てて塗りつける固形バフ研磨剤と、スプレーガンなどで噴射塗布する液状バフ研磨剤に大別される。そのほかに、媒体組成を全く異にする艶消し仕上げ(サテンフィニッシュ)を目的とした非油脂性棒状バフ研磨剤がある。いずれにせよ、洗浄不完全等によりバフ研磨剤が金属表面に残存すると、塗膜のはじき不良の原因となって、上手く塗装できない。
はじき不良とは、塗膜の表面が不均一で、その分布とその程度が一様でない現象のことで、下地面と塗料との間の表面張力が均等でない場合に生じる。
したがって、完璧に洗浄できれば、はじき不良の問題が生ずることはないのであるが、有機溶剤や水性洗浄液等による典型的な洗浄方法では、どうしてもバフかすが残存してしまう。
それに、塩化メチレン等の有機溶剤を用いた洗浄方法は、人体や環境への悪影響が懸念され、必ずしも好ましい洗浄方法とは言えない。
特開平6−122868
扉のノブ、ハンドル、手すり等の金属製建具の表面に残存するバフ研磨剤や研磨微粉等からなるバフかすを如何に効果的に除去するかが課題である。
人体や環境へ配慮が強く求められる昨今、無害な方法とすることも課題である。
前述の課題を解決するため、本発明は、次の解決手段をとっている。
スパッタリングを用いたドライエッチングにより、加速したイオンをバフ研磨後の金属製建具の表面に照射してバフ研磨剤や研磨微粉等の混合物(バフかす)を除去する。
本発明によれば、酸やアルカリ等の化学薬品を使用しないので、環境や人体に悪影響を及ぼすことなく、バフ研磨後の金属製建具の表面に付着したバフ研磨剤を除去することができる。
また、有機溶剤や水性洗浄液等による従来の洗浄方法に比べ、塗装のはじき不良も生じにくい。
さらに、反応性に乏しい希ガスのイオンを衝突させてエッチングするので、化学反応を伴わず、金属素材の表面をも削ってしまうという心配もない。
プラズマ発生用高周波電源装置を用い、アルゴンガスをアルゴンプラスイオン(Ar)と電子に解離させる。そして、高電圧をかけることによって加速したアルゴンプラスイオン(Ar)をバフ研磨後の金属製建具の表面に照射してシリコン等を含んだバフ研磨剤や研磨微粉等からなる混合物(バフかす)を除去する。
希ガスのうちアルゴンを用いる理由は、酸素や窒素等の反応性のある気体では、化学反応速度が速い反面、金属を錆びさせるなどの好ましくない化学反応が起きるおそれがあるが、アルゴン等の希ガスは不活性ガスとも言われ、化学的に極めて安定しており、希ガスの中でも特にアルゴンは、空気中に最も多く含まれる希ガスであり、コスト的にも安いからである。
ステンレス素材からなる平面プレートにバフ研磨を施し、鏡面状態にする。
その後、スパッタリング処理を行う。スパッタリング処理は、プラズマ発生用高周波電源装置(RF電源)を用いて行う。100Wの下で3分間、アルゴンガスをイオン化したものを、ガス流量20sccmの割合で研磨面に照射する。
その後、クリア塗装を施し、120℃で30分焼付け乾燥する。
従来の溶剤洗浄によるものと比較した実験結果は、以下の表の通りである。
Figure 2010000492
この表及び図1からも明らかなように、本発明に係る洗浄方法(サンプルA)によれば、塗膜のはじき不良は発生しなかった。
従来の洗浄方法(サンプルB)では、塗膜のはじき不良が発生した。図2は、当該はじき不良の様子を表している。中央付近がハート型に白くなっているのは、バフ研磨後の洗浄が十分でなくシリコンなどが素地に残存し、その部分だけ塗装できず、素地が露出したためであると考えられる。
サンプルAの塗装後の拡大写真(塗膜はじき発生せず) サンプルAの塗装後の拡大写真(塗膜はじき発生)

Claims (2)

  1. スパッタリングを用いたドライエッチングにより、加速したイオンをバフ研磨後の金属製建具の表面に照射して、研磨後に残存するバフ研磨剤や研磨微粉等からなる混合物(バフかす)を除去することを特徴とするバフ研磨面の洗浄方法
  2. プラズマ発生用高周波電源装置を用い、アルゴンガスをアルゴンプラスイオン(Ar)と電子に解離させ、高電圧をかけることによって加速したアルゴンプラスイオン(Ar)をバフ研磨後の金属製建具の表面に照射してシリコン等を含んだバフ研磨剤や研磨微粉等からなる混合物(バフかす)を除去することを特徴とするバフ研磨面の洗浄方法
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