JP2010000418A - 海水の淡水化装置及びシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】淡水化装置1の装置本体10内の流路11を第1フィルタ41によって第1領域13と第2領域14に仕切る。第1領域13に設けた第1電極31と第2領域14に設けた第2電極32を対向させ、第1領域13の下流側部に設けた第3電極33と第2領域14の下流側部に設けた第4電極34を対向させる。第1電極31と第3電極33を直流電源20で繋ぎ、第2電極32と第4電極34を短絡線22で繋ぐ。海水に活性炭粉末92を混合して流路11に流す。
【選択図】図1
Description
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、海水を効率良く淡水化することを目的とする。
海水に活性炭粉末を混合して流す流路を有する装置本体と、
前記流路を互いに並行する第1、第2の領域に仕切るようにして前記装置本体に収容され、海水の透過を許容し活性炭粉末の透過を阻止する第1フィルタと、
前記第1領域に設けられた第1電極と、
前記第1フィルタを挟んで前記第1電極と対向するようにして前記第2領域に設けられた第2電極と、
海水が電気分解されない範囲で前記第1電極を前記第2電極より高電位にする直流電源と、
前記第1電極及び第2電極より下流側の前記流路に連なる第1取り出し口と、
前記第1取り出し口に設けられ、海水の透過を許容し活性炭粉末の透過を阻止する第2フィルタと、
を備えたことを特徴とする。
この特徴構成によれば、第1電極で活性炭粉末がプラス帯電し、この活性炭粉末に第1領域の海水中の塩素イオンが吸着する。さらに、第2領域の海水中の塩素イオンが、第1フィルタを透過し、前記プラス帯電した活性炭粉末に吸着する。また、第2電極で活性炭粉末がマイナス帯電し、この活性炭粉末に第2領域の海水中のナトリウムイオンが吸着する。さらに、第1領域の海水中のナトリウムイオンが、第1フィルタを透過し、前記マイナス帯電した活性炭粉末に吸着する。これにより、海水を効率よく淡水化できる。ここで、海水中には、ナトリウムイオン(Na+)、塩素イオン(Cl−)だけでなく、マグネシウムイオン(Mg+)や硫酸イオン(SO4 2−)等も存在しており、それらの他のイオンもナトリウムイオンや塩素イオンと同様な挙動をする。
前記第1取り出し口より下流側の第1領域に設けられた第3電極と、
前記第1フィルタを挟んで前記第3電極と対向するようにして前記第1取り出し口より下流側の第2領域に設けられた第4電極と、
を更に備え、前記第3電極から電流の流出が起き、前記第4電極への電流の流入が起きるよう配線することが好ましい。
前記第3、第4電極間には第3電極が第4電極に対して高位の起電力が生じる。このとき、第3電極から流出する電流が存在し、第4電極へ流入する電流が存在することで、第3電極では活性炭粉末から塩素イオンを離脱させることができ、第4電極では活性炭粉末からナトリウムイオンを離脱させることができる。
すなわち、前記直流電源の正極が、前記第1電極に接続され、前記直流電源の負極が、前記第3電極に接続され、前記第2電極と前記第4電極が短絡されているか、又は前記直流電源の正極が、前記第4電極に接続され、前記直流電源の負極が、前記第2電極に接続され、前記第1電極と前記第3電極が短絡されていることが好ましい。
これによって、第3電極から電流が流出し、第4電極へ電流が流入するようにできる。しかも、第3、第4電極間に生じる起電力の分だけ直流電源の電圧を低くできる。これにより、電力効率を向上できる。
前記第2取り出し口に設けられ、海水の透過を許容し活性炭粉末の透過を阻止する第3フィルタと、
前記活性炭粉末を前記流路の下流端から上流端に戻す回収路と、
を更に備えていることが好ましい。
これにより、活性炭粉末を再利用できる。
前記第2電極が、海水及び活性炭粉末の透過を許容することが好ましい。これにより、活性炭粉末の第2電極への接触頻度を高めることができ、活性炭粉末のマイナス帯電やナトリウムイオンの吸着を効率よく起こさせることができる。
前記第3電極が、海水及び活性炭粉末の透過を許容することが好ましい。これにより、塩素イオンを吸着した活性炭粉末の第3電極への接触頻度を高めることができ、正電荷の回収や塩素イオンの離脱を効率よく起こさせることができる。
前記第4電極が、海水及び活性炭粉末の透過を許容することが好ましい。これにより、ナトリウムイオンを吸着した活性炭粉末の第4電極への接触頻度を高めることができ、負電荷の回収やナトリウムイオンの離脱を効率よく起こさせることができる。
前記第2電極が、金属ウールで構成されていることが好ましい。これにより、海水及び活性炭粉末が第2電極を確実に透過するようにできる。
前記第3電極が、金属ウールで構成されていることが好ましい。これにより、海水及び活性炭粉末が第3電極を確実に透過するようにできる。
前記第4電極が、金属ウールで構成されていることが好ましい。これにより、海水及び活性炭粉末が第4電極を確実に透過するようにできる。
これにより、塩素イオン又はナトリウムイオンが、第1フィルタを介して第1、第2領域間を移動する際の抵抗を小さくできる。
前記第2電極が、前記第2領域の流通断面の全体に充填されていることが好ましい。これにより、第2領域を通る海水と活性炭粉末の混合流体の全体が第2電極の内部を透過するようにでき、第2電極での反応を十分に確保できる。
前記第3電極が、前記第1領域の流通断面の全体に充填されていることが好ましい。これにより、第1領域を通る海水と活性炭粉末の混合流体の全体が第3電極の内部を透過するようにでき、第3電極での反応を十分に確保できる。
前記第4電極が、前記第2領域の流通断面の全体に充填されていることが好ましい。これにより、第2領域を通る海水と活性炭粉末の混合流体の全体が第4電極の内部を透過するようにでき、第4電極での反応を十分に確保できる。
この特徴構成によれば、海水を複数段の淡水化装置に順次通し、段ごとに淡水化を進めることにより、良質の淡水を得ることができる。
本淡水化装置の後段に逆浸透膜法の淡水化装置を設けてもよい。そのようにすると、本淡水化装置では海水中の食塩濃度を低減させることができ、海水の浸透圧を大幅に下げることができる。このため、後段の逆浸透膜法淡水化装置では加圧圧力が低くて済み、膜の耐久性や、加圧装置の簡易化に貢献できる。
図3に示すように、海水淡水化システムSは、複数段の海水淡水化装置1,1…を有している。これら淡水化装置1,1…は、直列に連結され、カスケードを構成している。
第1フィルタ41として濾紙を用いてもよい。
第1領域13の第1電極31より下流側(供給口12とは反対側)の部分には、第3電極33が配置されている。第3電極33は、例えばステンレスウールで構成され、海水及び活性炭粉末92の透過を許容する。第3電極33は、第1領域13の流通断面の全体に充填されている。第3電極33の周面は、第1フィルタ41及び装置本体10の内面にぴったり接している。
なお、活性炭回収ライン17,18,54,55は、第1、第2の領域13,14にそれぞれ対応するよう二組設けられているが、一組だけにしてもよい。回収口17を装置本体10の長手方向の下流側の端壁に設けてもよく、戻し口18を装置本体10の長手方向の上流側の端壁に設けてもよい。
常時一定量の海水が供給路51を経て1段目の淡水化装置1の供給口12から上流路部分11aに供給される。海水は、上流路部分11a内の活性炭粉末92と混合する。この海水と活性炭粉末92の混合流体の約半分は、第1領域13に流れ込み、ステンレスウールからなる第1電極31の内部に入り込む。混合流体の残り約半分は、第2領域14に流れ込み、ステンレスウールからなる第2電極32の内部に入り込む。
各電極31,32が領域13,14の流通断面の全体に充填されているため、混合流体が各電極31,32の内部に確実に入り込むようにでき、電極31,32の外側を通り抜けないようにできる。ひいては、後述する反応(式1〜4)が確実に起きるようにできる。
C → C+ + e− (式1)
このプラス帯電した活性炭粉末92に海水の塩素イオンが吸着する(式2)。この活性炭粉末92と塩素イオンの結合体を便宜上、CClと表記する。
C+ + Cl− → CCl (式2)
さらに、電極31,32間の電界によって、第2領域14の上流側部(第2電極32の内部)の塩素イオンが、第1フィルタ41を透過し、第1領域13の上流側部(第1電極31の内部)に移って来る。この第2領域14からの塩素イオンも第1電極31内のプラス帯電した活性炭粉末92に吸着される(式2)。電極31,32がフィルタ41にそれぞれぴったり接しているため、第2領域14の塩素イオンが第1領域13へ移動する際の抵抗を小さくでき、電極31,32間の電界強度を大きくしなくても、塩素イオンの移動を促進できる。
C + e− → C− (式3)
このマイナス帯電した活性炭粉末92に海水中のナトリウムイオンが吸着する(式4)。この活性炭粉末92とナトリウムイオンの結合体を便宜上、CNaと表記する。
C− + Na+ → CNa (式4)
さらに、電極31,32間の電界によって、第1領域13の上流側部(第1電極31の内部)のナトリウムイオンが、第1フィルタ41を透過し、第2領域14の上流側部(第2電極32の内部)に移って来る。この第1領域13からのナトリウムイオンも第2電極32内のマイナス帯電した活性炭粉末92に吸着される(式4)。電極31,32がフィルタ41にそれぞれぴったり接しているため、第1領域13のナトリウムイオンが第2領域14へ移動する際の抵抗を小さくでき、電極31,32間の電界強度を大きくしなくても、ナトリウムイオンの移動を促進できる。
第2電極32内の活性炭粉末92は、第1フィルタ41を透過できず、第1電極31内へ移ることはない。
第2中間領域部14aに入った活性炭粉末92は、第1中間領域部13aに入るのを第1フィルタ41によって阻止され、かつ取り出し口15から流出するのを第2フィルタ42によって阻止される。
CCl + e− → C + Cl− (式5)
したがって、高塩素イオン濃度の海水と電気的中性の活性炭粉末92との混合流体が出来る。この混合流体が第3電極33から下流路部分11bへ流れ出る。
CNa − e− → C + Na+ (式6)
したがって、高ナトリウムイオン濃度の海水と電気的中性の活性炭粉末92との混合流体が出来る。この混合流体が第4電極34から下流路部分11bへ流れ出る。
図4の実施形態では、直流電源20の正極が、第4電極34に接続されている。直流電源20の負極が、第2電極32に接続されている。第1電極31と第3電極33が、短絡線22によって繋がれている。この実施形態は、図1に示した第1実施形態と電気的に等価であり、各電極31〜34で第1実施形態と同様の反応が起き、海水が淡水化される。
例えば、図7に示すように、直流電源20の正極を第1電極31に接続し、直流電源20の負極を第2電極32に接続し、第3電極33と第4電極34を短絡線22で接続してもよい。これによって、第3電極33から電流の流出が起き、第4電極34への電流の流入が起きるようにすることができる。この場合、配線22上に負荷を設け、電極33,34間に生じる起電力を負荷で消費するようにしてもよい。
電極31〜34をフィルタ41から離し、電極31〜34とフィルタ41との間に隙間が形成されていてもよい。この場合、フィルタ41は、導電体であってもよい。
カスケードシステムSの後段の淡水化装置1ほど装置本体10の容積を小さくしてもよい。
1 海水淡水化装置
10 装置本体
11 流路
11a 上流路部分
11b 下流路部分
12 海水供給口
13 第1領域
13a 第1中間領域部
14 第2領域
14a 第2中間領域部
15 第1取り出し口
16 第2取り出し口
17 活性炭回収口
18 活性炭戻し口
20 直流電源
22 短絡線
31 第1電極
32 第2電極
33 第3電極
34 第4電極
41 第1フィルタ
42 第2フィルタ
43 第3フィルタ
51 海水供給路
52 淡水供給路
53 排出路
54 活性炭回収路
55 活性炭回収ポンプ
92 活性炭粉末
Claims (9)
- 海水を淡水化する装置であって、
海水に活性炭粉末を混合して流す流路を有する装置本体と、
前記流路を互いに並行する第1、第2の領域に仕切るようにして前記装置本体に収容され、海水の透過を許容し活性炭粉末の透過を阻止する第1フィルタと、
前記第1領域に設けられた第1電極と、
前記第1フィルタを挟んで前記第1電極と対向するようにして前記第2領域に設けられた第2電極と、
海水が電気分解されない範囲で前記第1電極を前記第2電極より高電位にする直流電源と、
前記第1電極及び第2電極より下流側の前記流路に連なる第1取り出し口と、
前記第1取り出し口に設けられ、海水の透過を許容し活性炭粉末の透過を阻止する第2フィルタと、
を備えたことを特徴とする淡水化装置。 - 前記第1取り出し口が前記流路の中間部に配置され、前記第1フィルタひいては前記第1、第2領域が前記流路の前記中間部より下流側に延びており、
前記第1取り出し口より下流側の第1領域に設けられた第3電極と、
前記第1フィルタを挟んで前記第3電極と対向するようにして前記第1取り出し口より下流側の第2領域に設けられた第4電極と、
を更に備え、前記第3電極から電流の流出が起き、前記第4電極への電流の流入が起きるよう配線したことを特徴とする請求項1に記載の淡水化装置。 - 前記直流電源の正極が、前記第1電極に接続され、前記直流電源の負極が、前記第3電極に接続され、前記第2電極と前記第4電極が短絡されているか、又は前記直流電源の正極が、前記第4電極に接続され、前記直流電源の負極が、前記第2電極に接続され、前記第1電極と前記第3電極が短絡されていることを特徴とする請求項2に記載の淡水化装置。
- 前記流路の下流端に連なる第2取り出し口と、
前記第2取り出し口に設けられ、海水の透過を許容し活性炭粉末の透過を阻止する第3フィルタと、
前記活性炭粉末を前記流路の下流端から上流端に戻す回収路と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の淡水化装置。 - 前記第1〜第4電極の各々が、海水及び活性炭粉末の透過を許容することを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の淡水化装置。
- 前記第1〜第4電極の各々が、金属ウールで構成されていることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の淡水化装置。
- 前記第1フィルタが絶縁体であり、前記第1〜第4電極の各々が、前記第1フィルタに接していることを特徴とする請求項5又は6に記載の淡水化装置。
- 前記第1〜第4電極の各々が、前記第1領域又は第2領域の流通断面の全体に充填されていることを特徴とする請求項7に記載の淡水化装置。
- 請求項1〜8の何れかに記載の淡水化装置を複数段備え、前段の淡水化装置の第1取り出し口を後段の淡水化装置の流路の上流端に連ねたことを特徴とする淡水化システム。
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