JP2009545300A - miRNAの使用及びmiRNAを含む組成物 - Google Patents

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Abstract

心臓特異的miR、miR−133、及びmiR−1は、心筋細胞(CMC)の肥大の決定において、及び、その発現レベルの回復がCMC肥大の徴候を軽減することができるということにおいて重大な意味を持っている。

Description

本発明は、治療におけるmiRNAの使用、及び、miRNAを含んだ組成物に関する。
長い一次転写物(pri−miR)として第一に転写されるMiRは、リボヌクレアーゼIII酵素のドローシャ(Drosha)により核内で処理され、プレmiRとして既知の、ステムループ構造を含有した60〜120ヌクレオチドの前駆体を生じる。核外輸送因子のエクスポーチン−5及びRan−GTP補助因子により細胞質内に輸送されるこの前駆体は、リボヌクレアーゼ酵素のダイサーにより最終的に切断され、成熟miRを放出する。
発達する証拠は、マイクロRNA(miR)が基本的な細胞機能及び発癌に結びつけられることを示している。マイクロRNA(miR)は、22ntまでの小さな保存されたRNA分子であり、主に標的mRNAの3’UTRに対する塩基対合を介して、動物及び植物において遺伝子発現を負に調節し、mRNA切断及び/又は翻訳抑制を生じる。現在、300個を超えるmiRが、ヒト及び他の真核生物種において同定されている(miRレジストリ、www.sanger.ac.uk/Software/Rfam/mirna/index.shtml)。
miRは、系統的に保存され2〜5、例えば細胞の増殖及びアポトーシス6、7、神経発生、造血8、9、脂肪代謝10、インスリン分泌11、並びにストレス応答12等、種々の基本的な生物学的過程に関与する。実際、生物情報学的分析により、各miRが何百もの標的を制御することができると予想され、従って、miRがほとんど全ての生物学的経路において役割を果たすことができると示唆している13。近年の研究により、miRは癌に結びつけられ、癌抑制因子又は発癌遺伝子として作用することができると示されている14。逆に、例えば心疾患等の他の異常な状態におけるmiRの起こり得る関与は、まだ調査されていない。
いくつかのmiR遺伝子は、組織特異的な様式で発現される。筋特異的なmiR−1は、心室CMCの増殖を制御する転写因子であるHand2を介して心筋細胞(CMC)の増殖を阻害する15。一方、miR−1は、複雑な回路を介してCMCの分化を好む。特に、miR−1は、(a)SRF及びMyoD等の筋分化因子により活性化され、(b)主に転写因子MEF2Cを介して、筋分化の抑制物質であるHDAC4の翻訳を抑制する15。ショウジョウバエにおいて、dmiR−1は、筋前駆細胞の分化を制御することに関与している16。dmiR−1の標的は、心細胞の分化において役割を果たす膜結合型のノッチリガンドであるデルタを含む16
種々のシグナル伝達経路を活性化するサイトカインを含めた細胞外刺激又は圧刺激により媒介される肥大を経ることによって、CMCはストレスに応答する。これらの刺激は、次に、例えば心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、骨格筋アクチン(SkA)、及びβ−ミオシン重鎖(β−MHV)等、収縮、カルシウムの処理、及び代謝に関与する蛋白質をコードする心臓遺伝子発現の再プログラム、及び、「胎児の」心臓遺伝子の活性化を誘発する。この転写性再プログラムは、心機能の減少と相関する17。逆に、薬物治療又は左心室補助装置の移植に応じた心機能における改善は、心臓遺伝子発現の正常化により成し遂げられる17
心臓特異的miR、miR−133、及びmiR−1は、心筋細胞(CMC)の肥大の決定において、及び、その発現レベルの回復がCMC肥大の徴候を軽減することができるということにおいて重大な意味を持っている。
従って、第1の態様において本発明は、好ましくはSEQ ID番号1(miR−133)、若しくはSEQ ID番号2(miR−1)、又は、その変異体若しくは異型のうち全て又は実質的な部分を含むRNAの、心疾患の治療又は予防に対する薬物の製造における使用を提供している。
SEQ ID番号1は、3’−UGUCGACCAACUUCCCCUGGUU−5’である。
SEQ ID番号2は、3’−AUGUAUGAAGAAAUGUAAGGU−5’である。
miR133に関連するものには、マイナーな異型であるmiR−133a及びmiR−133bが含まれることが理解されるであろう。miR−133aの配列は、上記のSEQ ID番号1に与えられているものであり、miR−133bの配列は、miR−133aの(上記下線部分)3’−UGが単にmiR−133bの3’−Aと交換される点において異なっている。従って、miR−133bの配列は、3’−AUCGACCAACUUCCCCUGGUU−5’(SEQ ID番号15)である。miR−133bのアンタゴmiR(Antogmir)も認識される。miR−133bは好ましいけれども、miR−133aはさらにより好ましい。
miRは、mRNAのうち、miRが相互に作用する部分に直接対応する必要はない。従って、どこがmRNA上の結合部位であるのか常に明確なわけではなく、実際、miRは、同じmRNA上の1又は複数の部位と相互作用することが可能である。しかし、一般には、miRはUTRと結合することが判ってきており、本発明のmiRの結合は一般的にUTRに関連して論議されるけれども、miR結合の状況においてUTRに関連するものはどれも、miRが結合する、又は、miRが相互に作用するいかなるmRNA部位に関連するものも同様に含むことが理解されるであろう。
好ましいアンタゴmiRは、miR133又はmiR1に対する相補であり、好ましくは、SEQ ID番号1及びSEQ ID番号2に対する配列であり、
SEQ ID番号13(5’−ACAGCUGGUUGAAGGGGACAA−3’)及び
SEQ ID番号14(5’−UACAUACUUCUUUACAUUCCA−3’)
として提供される。
上記のSEQ IDにおいて、ボールドセプタマー(bold septamer)は、標的RNAに対する結合を開始するための種子配列であることを考慮されるため保存されることが好ましいので、活性を確実にするためにいかなる変異体又は異型においてもこれらの配列を保持することが非常に好ましい。
添付の図7及び8からわかるように、miR−133は、NELF−A及びCDC−42のmRNAにそれぞれ2つの推測上の部位で結合する。示されている4つの部位はどれも、完璧な組合せではない。従って、miR−133の配列は、依然として標的mRNAに結合しながら修飾することができることが理解されるであろう。
miR−133の配列は、依然として十分なレベルのCDC−42mRNAに対する結合を示しながら、50%以下まで変異又は変わることができるが、変異体及び異型は、40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下までmiR−133とは異なることが一般的には好ましい。特に、配列の差は10%以下であることが好ましく、配列において変異がないことが最も好ましい。しかし、SEQ ID番号1(miR−133)又はSEQ ID番号2(miR−1)の端を切断することが望ましい場合がある。これは、miR−133の末端のうちそれぞれ又はどちらかから1又は複数のヌクレオチドを除去することによるものであり得る。所望であれば、より多くのヌクレオチドを除去することができるが、ヌクレオチドの除去を合計で5残基以下に限定することが一般的には好ましい。
本発明のRNAは、上記のように任意で修飾されたSEQ ID番号1又はSEQ ID番号2の配列から成り得る。本発明のRNAは、そのような配列をその一部として1又は複数の追加の配列と共に含み、より長いポリヌクレオチド配列を形成することもできる。一般的には好ましくないけれども、以下で論議される変異体は追加のヌクレオチドを配列内に含むことができるということにも注目されたい。そのような追加が生じた場合、好ましくはスポット変異として、そのような内部の追加を3ヌクレオチド以下に限定することが好ましい。3’及び5’末端のうちの一末端若しくはもう一方の末端、又は、両方の末端における追加の配列を介して生じるより長いポリヌクレオチド配列は、好ましくは、結合するmRNAよりも短くあるべきであり、いかなる場合であっても、CMCにおいて抗肥大作用を働かせることができなくてはならない。そのような作用は、付随する実施例に記述されているように、肥大を誘発して、推測上のRNAが誘発された肥大に対抗することができるかどうかをアッセイすることによって測定することができる。
本発明のRNAは、概して約150個までのヌクレオチドから成り得る。これは、一般的に一次転写物の形状をとり、ほぼ、又は、好ましくはちょうどSEQ ID番号1の長さのオリゴヌクレオチドまで細胞質内で切断される。
本発明のRNAは、CMCにおいて抗肥大作用を働かせることができなくてはならないが、そのような作用は、示される活性に先立ち前記RNAの細胞内処理が生じる場合、前記RNAにより直接示される必要がない。
本発明の好ましいRNAは、少なくともSEQ ID番号1又はSEQ ID番号2のシチジン四量体を含み、CDC−42mRNAにもNELF−AmRNAにも結合する能力を有している。
本発明のRNAは、一般に、CMCにおいてその作用を有し、本発明のRNAを細胞内に導入するためのいかなる適した手段も容認できる。適した方法には、遺伝子銃及びウイルスカプシドが含まれる。特に、例えば、CMC抗原を認識する抗体に結合される媒体を用いたCMCを標的にするいかなる送達方法も好ましい。本発明は、従って、規定されたRNAの使用をさらに提供し、薬物は、前記RNAをCMC内に導入するのに適したベクターを含む。
本発明のRNAを含んだ薬物を用いた治療は、肥大の状態からの短期間の解放を提供する。より長期の解放が必要とされる場合、本発明のRNAをコードするDNAの細胞への導入が、本発明の一態様として提供される。例えばアデノウイルス等、適したレトロウイルス及びレンチウイルスの使用を含めた、標的細胞をin vivoで形質転換するためのいかなる適した技術も使用することができる。当該RNAをコードするDNAは、発現可能な遺伝子の形状であることが好ましく、miRを直接発現することができるか、又は、好ましくは、上記のように一次転写物を発現することができる。そのような遺伝子はどれも、特に転写の開始及び終結に対する転写制御配列を含んでいることが好ましいと理解されるであろう。そのような遺伝子は、単に標的細胞を形質移入するために使用することができるプラスミド内に、又は、本発明のDNAに対応するRNAの逆転写を介して、当該DNAをゲノム内に組み込むよう適切に選択され得るレトロウイルス等の送達媒体内に特に存在する。
miR−133の発現が有害であると決定される例において、アンチセンス配列を有した低分子干渉RNA(siRNA)を本発明のRNAに投与することが従って望ましい場合がある。そのようなsiRNAは、必ずしもmiRの全長に結合しなくてはならないわけではなく、必要とされるのは全て、二本鎖RNA(dsRNA)が形成される様式でsiRNAがmiRに結合することであると当業者は認識するであろう。dsRNAの形成はmiRの作用を阻止し、一般的にdsRNAを消化する。siRNAを投与するための適した手段は、上記のmiRに対する手段であり、CMCの肥大が生じる程度までmiRのレベルを下げることは一般的に好ましくないと理解されるであろう。
本発明のsiRNAを使用して、miR−133の存在を検出することもできる。例えば、ラベルされたsiRNAを使用して、所望のmiRの存在を検出するためのプレートを形成することができる。抗miR−133抗体を類似の様式で使用し、試料内のmiRのレベルを決定することもでき、miR−133のレベルの決定を使用して、CMC肥大の有無又はその傾向を示すことができる。
miR−133の内在的発現は、in vitro モデルでもin vivoモデルでも心肥大において劇的に減少する。miR−133強制発現は、増加したCMCサイズ、蛋白質合成、細胞骨格の構造認識、及び胎児遺伝子の再発現を含めた肥大特徴のパラメータを抑制する。逆に、デコイ配列によるmiR−133の抑制は、アゴニスト治療後よりもさらにより明白な劇的なCMCの肥大を誘発する。miR−133の標的が、心臓の起源に関与する核因子NELF−A、及び、肥大に結びつけられるシグナル伝達キナーゼCDC−42を含むことも確立した。従って、miR−133の過剰発現又は発現低下は、mRNA発現は未修飾であるのに対して、蛋白質レベルでのNELF−A及びCDC42の逆変動(inverse fluctuation)を引き起こす。理論により拘束されることなく、miR−133は心肥大を制御する主要な遺伝子であることがわかる。
上記のように、miRは、標的であるセンス配列に対して100%忠実である必要はない。実際、完全な組合せは、dsRNAの形成を介して標的mRNAを切断することができる。dsRNAの形成及び標的mRNAの切断が本発明の範囲内に含まれる一方で、前記RNAが標的の3’UTRに結合して翻訳を阻止又は防ぐことができる場合、RNAはUTRに対して100%忠実である必要はない。
本発明は、これらのmiRの変異体及び異型をさらに提供する。この点において、常に、結果として生じるmiRが3’UTRと相互作用して随伴のコード配列の翻訳を阻止又は防ぐことができる場合、変異体は、欠失、挿入、逆位、又は置換のうち少なくとも1つを含むことができる。3’UTRとの増強された相同性が好ましい。異型は、一般的に自然発生の変異体であり、通常1又は複数の置換を含む。
本発明のRNAは、いかなる適した形状でも標的部位に提供することができる。この点において、標的部位は、例えばin vivo、ex vivo、又はin vitroで存在することができ、当該RNAの唯一の要求は、ORFの翻訳を阻止又は防ぐことができるよう十分に標的の3’UTRと相互作用することである。
当該RNAは直接提供することができるか、又は、当該RNAを直接コードする、若しくはその前駆体をコードするベクターを用いて標的細胞を形質転換することができる。適した前駆体は、例えば長い一次転写物として転写される必要はないけれども、成熟miRを提供するよう処理される前駆体である。
当該RNAが直接提供される場合、これは、Dharmacon社(www.dharmacon.com, Boulder, CO, USA)から入手可能なもの等、安定した形状で提供することができる。
特に、本発明は、治療におけるmiR−133の使用を提供する。
投与されることになるRNAのレベルは、熟練の医師により容易に決定されるが、約1mg/kgから1キログラムあたり数百マイクログラムまでさまざまであり得る。
アンチセンスmiRNA又はセンスインヒビターの好ましい送達方法は、当業者には容易に明らかなように、当技術分野において既知のいかなる遺伝子治療法によるものであり得る。そのような方法には、いわゆる「遺伝子銃」法、又は、ウイルスカプシド、特に、好ましくは適したプロモーターの制御下で前記ポリヌクレオチドをカプセルに包む若しくは封入するアデノウイルス若しくはレンチウイルスカプシド内の送達が含まれる。
注入による好ましい投与方法は、例えば、静脈内投与又は筋肉内投与を含む。しかし、本発明のポリヌクレオチドは、適切に処方される場合、経皮的又は経口的投与等の他の方法によって投与することができるということも理解されたい。
本発明は、本発明のマイクロRNAをin vivoで転写することができるように、第1の適したプロモーターに操作可能に連結されたポリヌクレオチド配列、特に、当該マイクロRNAをコードするDNA配列も含む。同様に、本発明は、本発明のセンスマイクロRNAインヒビターのin vivoでの発現のために同様に第2の適したプロモーターに操作可能で連結したポリヌクレオチド、特に、当該センスマイクロRNAインヒビターをコードするポリヌクレオチドを提供するDNAも提供する。
このように、(a)miR−133及びmiR−1の発現は、in vivoで心肥大に対して逆相関する。さらに、(b)機能研究により、CMCにおけるmiR−133の過剰発現が、CMCサイズの増加も、肥大を規定するその他の「特徴」パラメータの増加も阻止すると示され、逆に、(c)デコイ配列を介した内在性のmiR−133又はmiR−1の遮断は、いかなる肥大刺激の非存在下においてさえも、劇的なCMC肥大を本質的に誘発する。意義深いことに、これらの機能研究を、新生仔のCMCにおいても成人のCMCにおいてもin vitro並びにin vivoで行った。
肥大の確立の基礎をなしている可能性がある2種類のmiR−133の標的、CDC42及びNELF−Aを同定した。CDC42の作用機構はすでに叙述されているが、NELF−Aの機能経路はまだわからないでいる。NELF−AはRNA pol IIの活性を調節する26一方で、CDC42は肥大中に生じる細胞骨格の再構築と付随している28、29。これに関して、NELF−Aは、RNAポリメラーゼIIと相互作用することによって肥大中のRNA合成を調節するcdk−9/サイクリンT複合体31と相互作用する30。心肥大及び心臓発生におけるNELF−Aの関与はRNA pol II依存性であり得る。
2種類の標的のみが同定されてきたけれども、さらなる標的を同定することが可能である。前記in vivoでの研究は、AdDecoyによるmiR−133の全抑制が、標準的なアゴニスト刺激による後の誘発よりもさらにより明白な著しい肥大を本質的に引き起こすと示している。特に、前記AdDecoyは、肥大中に上方調節された特徴分子それぞれの発現を増加する。このことは、多数の一次標的を制御し、その結果、生理学的プログラムから肥大特異的プログラムまで心臓遺伝子の発現をシフトする「主要な遺伝子」としてmiR−133は機能すると強く示唆している。
従って、(a)正常な蛋白質発現対miR−133により抑制されたCMCの差異分析が、心肥大の基礎をなす新しい分子の発見を生じることができるということがおそらくある。従って、本発明は、CMC細胞、又は、従ってモデルを提供する細胞の培養物内のmiR−133のレベルを調節することを含めたCMC肥大を調査する方法をさらに提供する。さらに、(b)in vivoでの機能研究により、miR−133の過剰発現又は抑制がそれぞれ心肥大を阻止又は誘発すると示される一方で、miR−133のレベルは、例えば圧力の過負荷により誘発された肥大等の「疾患」in vivoモデルにおいて変更される。このように、本発明は、心筋症、特に心肥大及び心不全の診断及び治療におけるmiR−133の使用を構想する。
心肥大において、バイシストロニックなmiR−133及びmiR−1の起こり得る相互作用が存在する。骨格筋芽細胞の培養において、miR−133a及びmiR−1は、同じ一次RNA内に転写されるけれども、それぞれ分化又は増殖を促進する32。in vivoモデルにより、心肥大においてmiR−133及びmiR−1は同一のパターンに従い発現低下されることが示され(図1)、これら2種類のmiRは、肥大発生の基礎をなす同調的な2組の標的mRNAの翻訳から障害物を取り除くよう機能的に相互作用することができると示唆している。
本発明は、次に、本発明を限定することのない付随の図及び実施例を参考にして記述される。本明細書において引用される全ての参考文献は、他に記載がない限り、参照により援用される。
マウスの心肥大におけるmiR−133及びmiR−1発現に関するパネルである。(a)上のパネルは、偽手術されたマウス、大動脈アーチが収縮された(TAC)マウス、及び、Akt遺伝子導入マウス由来の全RNAを使用したmiR−133発現(代表的結果)のノーザンブロット分析である。下のパネルは、濃度測定分析により得られた相対発現値である(平均±SD、1つの群あたり最小n=5マウス)。偽手術されたマウスと比較した場合、*P<0.05、**P<0.01である。(b)aにおいて示されたのと同様の、miR−1発現の結果である。 Ad133を用いた新生仔CMCの感染及びアゴニスト誘発性肥大の阻止に関するパネルである。(a)Ad133に感染した293細胞株由来の全RNAを用いたmiR−133発現のノーザンブロット分析である(1、対照;2、感染多重度1;3、感染多重度50)。(b)Ad133に感染した(感染多重度100)又は感染していない新生仔CMC、及び、100μMのフェニレフリン(PE)若しくは100nMのエンドセリン−1(ET1)で処理した又は処理していない新生仔CMCにおいて、CMCHロイシン取込みとして評価した肥大レベルである(平均±SD、1つの群あたり最小3つの実験)。*P<0.01対モック、゜P<0.01対モック+PE若しくは+ET1。(c)アクチン(赤)及びANF(緑)蛋白質に対して免疫染色したモック並びにAd133に感染した細胞の共焦点顕微鏡法を示している。(d)新生仔CMCから抽出された全RNAで行ったドットブロットである。GAPDH発現に規準化された「胎児」心臓遺伝子の発現レベルは、モック細胞と比較した倍の誘発(fold induction)として評価されている(平均±SD、1つの群あたり最小n=3の実験)。*P<0.01対モック;ΔP<0.05、゜P<0.01対モック+PE。 AdDecoyを用いた新生仔CMCの感染及びフェニレフリン(PE)の存在下又は非存在下での肥大の誘発に関するパネルである。(a)左のパネルは、CMCHロイシン取込みアッセイである(平均±SD、1つの群あたり最小3つの実験)。右のパネルは、miR−133のノーザンブロットである。(b)アクチン(赤)及びANF(緑)蛋白質に対して免疫染色したモック並びにAdDecoyに感染した細胞の共焦点分析である。(d)AdDecoyに感染したCMCにおける「胎児」心臓遺伝子のドットブロット分析であり、モック対照値と比較した倍の誘発として評価されている(平均±SD、1つの群あたり最小3つの実験)。*P<0.05及び**P<0.01対モック;゜P<0.01対モック+PE。他の詳細に関しては、図3の説明を参照。 心肥大に対するAdDecoy及びAd133のin vivoでの作用に関するパネルである。(a)上のパネルは、wtマウスにおけるAdDecoy遺伝子導入後の左心室CMCサイズの相対度数分布分析及び累積度数分布分析である(1つの群あたりn=10)。遺伝子導入の14日後にCMCを単離し、細胞サイズをimageJで分析した(n=400)。その値は、任意の単位によって表され、モックと比較した場合、P<0.001である。下のパネルは、CMCから抽出された全RNAのドットブロットである(処理されたそれぞれの群に対してn=4)。GAPDH発現に規準化された「胎仔」心臓遺伝子の発現レベルは、モック細胞と比較した倍の誘発として評価されている(平均±SD)。*P<0.05、**P<0.01対モック。(b)上のパネルは、AktTgマウスにおけるAd133遺伝子導入後の左心室CMCサイズを示している(n=10)。モックと比較した場合、P<0.05である。下のパネルは、CMCにおける全RNA発現のドットブロットである(n=4)。*P<0.05対モック。 デコイ−133のin vivoでの作用の時間経過に関するグラフである。生理食塩水の群と比較した場合、*P<0.05、**P<0.01である。 アンタゴmiR−1のin vivoでの作用を示したグラフである。生理食塩水の群と比較した場合、*P<0.05である。 miR−133標的遺伝子、NELF−Aの同定に関するパネルである。(a)偽手術されたマウス、AktTgマウス、及びTACマウス由来のNELF−Aのウェスタンブロットである。(b)モック、Ad133、及びAdDecoyに感染した293細胞株のウェスタン(左)及びノーザン(右)ブロットである。(c)NELF−A発現に対して免疫染色された、モック、Ad133、及びAdDecoyに感染した成体CMCを示している(感染多重度200)。(d)上のパネルは、miR−133により標的にされたNELF−A mRNA 3’UTR部位を示している。下のパネルは、miR−133オリゴマーを同時導入した野生型又は成熟miR−133相補的部位を含有したNELF−A 3’UTRを用いて行ったルシフェラーゼレポーターアッセイである(平均±SD値、1つの群あたり最小で5つの実験)。対照非標的オリゴマーが含まれている。**P<0.01vs対照;°P<0.05vs野生型3’UTR+miR−133。 miR−133標的遺伝子、CDC42の同定に関するパネルである。(a)偽手術されたマウス、AktTgマウス、及びTACマウス由来のCDC42のウェスタンブロットである。(b)モック、Ad133、及びAdDecoyに感染した293細胞株のウェスタン(左)及びノーザン(右)ブロットである。(c)モック、Ad133、及びAdDecoyに感染し、CDC42発現に対して免疫染色された成体CMCを示している(感染多重度200)。(d)上のパネルは、miR−133により標的にされたCDC42 mRNA 3’UTR部位を示している。下のパネルは、miR−133オリゴマーを同時導入した野生型のCDC42 3’UTRを用いて行ったルシフェラーゼレポーターアッセイである(平均±SD値、1つの群あたり最小で4つの実験)。非標的オリゴマーが対照として含まれている。**P<0.01対対照。
Figure 2009545300
Figure 2009545300
胎仔及び成体組織におけるmiR−133及びmiR−1発現に関するパネルである。(a及びb)ヒトmiR−133−a−1/a−2及びmiR−1−1/−2前駆体アイソフォームを含んだマイクロアレイチップにより評価された、ヒト7週胚組織におけるmiR−133及びmiR−1の相対発現を示している(左のパネル)。結果をノーザンブロットにより確証した(右のパネル)。(c)成体マウス組織におけるmiR−133発現のマイクロアレイ分析である。(d)左のパネルは、胚発生中のマウスの心臓におけるmiR−133発現のマイクロアレイ分析である。右のパネルは、マウス発生から16日及び18日後に行われたインサイツハイブリダイゼーションを示している(左は胸部矢状切片、右は心臓切片である。トルイジンブルー染色及びmiR−133探索がそれぞれ上のパネル及び下のパネルに示されている)。マイクロアレイの結果が、中央値と比較した倍の増加(fold increase)によって表されている。CMCは心筋細胞である。 上のパネル:AdDecoyの構造を示している(miR−133aに相補的なタンデム「デコイ」配列は赤で示されている)。下のパネル:新生仔CMCをモック及びAdDecoyに感染させた(感染多重度200)。感染の3時間後、100μMのフェニレフリンを添加した。24時間後、GFP発現を評価した。 モック(A)、Ad133(B)、又はAdDecoy(C)に感染した成体CMC(感染多重度200)の、感染の48時間後に評価された形態学的分析を示している(平均±SD値)。各群あたり少なくとも300個のCMCを無作為に選択した。モックと比較した場合、**P<0.01、*P<0.05である。値は、任意の単位によって表されている。 3’UTRNELF−A「種子」配列の変異を示している。
〔材料及び方法〕
ヒト組織及びマウス
ヒト胚及び胎児を、制度ガイドラインに従い33合法的中絶によって受精後5〜10週で得た。前もって完全に説明をうけた上での母親からの承諾を得た。標準的な多数の基準に従い形態学的段階により年齢を注意深く確立した。異なる器官を倒立顕微鏡の下で解剖し、全RNA抽出まで液体窒素の下保存した。C57/B16マウスに対する実験を、制度ガイドラインに従い行った。
miR分析
マイクロアレイ
マイクロアレイ分析を記載されたように行った18。処理されたスライドをScanArray XL5Kにより走査し、発現レベルをQUANTARRAYソフトウェア(PerkinElmer社)により分析した。GENESPRINGソフトウェアバージョン6.1.1(Silicon Genetics社)を使用して生データを分析し、負の値を0.01に変えるよう各miRの平均値を変換し、per−chip50パーセンタイル法(per−chip 50th percentile method)を使用してその中央値を規準化した8、18
ノーザンブロット
低分子量に濃縮された全RNAを、チオシアン酸グアニジンフェノールクロロホルムの標準手順に従い単離し、記載されたようにハイブリッド形成した。使用したプローブは:
miR−133a、5’−ACAGCTGGTTGAAGGGGACCAA−3’(SEQ ID番号:3)
miR−1、5’−TACATACTTTACATTCCA−3’(SEQ ID番号:4)及び
荷重制御として、Met−tRNA、5’−TGGTAGCAGAGGATGGTTTCGATCCATCGACCTCTG−3’(SEQ ID番号:5)である。
Scion Image Software(www.scioncorp.com)により発現レベルを分析した。
インサイツハイブリダイゼーション
10〜18日のマウス胚、1日齢及び成体のマウス由来の7μmのOCT切片をパラフィン固定し、10mg/mlのプロテイナーゼKで処理し、さらに、33PmiR−133プローブ/mlとハイブリッド形成させた。標準手順に従い、アンチセンスRNAオリゴを5’末端でラベルし、ハイブリッド形成をRTにて一晩実行した。対比染色を0.02%のトルイジンブルーにおいて行い、スライドをPermount液内でマウントした。Olympusの顕微鏡を使用して画像を撮った。
In vivoでの実験
圧力過負荷心肥大の誘発
C57BL/6マウス(Harlan社)を使用した。記載されているように、ケタミン−キシラジン(それぞれ100又は2.5mg/Kg)の混合物を用いた麻酔下で、大動脈バンド形成(TAC)を介して圧力−過負荷モデルを得た34
Akt遺伝子導入マウス
心臓特異的に恒常的活性型のAktを過剰発現する遺伝子導入マウスは、以前に記載された19。特に、Akt過剰発現は、CMCサイズ及び求心性LV肥大の有意な増加を誘発する。
心エコー分析
TACの前及び1週間後に、HPSonos 5500超音波心臓検査計を使用して経胸壁心エコーをイソフルラン麻酔下で行った。記載されているように、15MHzの線形変換器を使用して、2次元、Mモード、及びドップラーの心エコー検査を行った35
プラスミド及びベクター
アデノウイルスmiR−133a(Ad133)
AccuPrime Taq DNA polymerase high fidelity(Invitrogen社)を使用することによって、miR−133a前駆体DNAをマウスゲノムDNAからPCR増幅した。増幅した断片(683bp)を、第一に、pcDNA3(Invitrogen社)にサブクローニングし、次に、ウイルス作製のため、CMVプロモーターの下、アデノウイルスベクターVQ Ad5CMV K−NpA(ViraQuest Inc.社)に挿入した。
アデノウイルスmiR−133aデコイ(AdDecoy)(図10)
スペースにより隔てられたmiR−133a(「デコイ」)に相補的なタンデム配列を含むようEGFP3’UTRを修飾した。次に、EGFP−修飾された3’UTRを、CMVにより駆動されるVQ Ad5CMV K−NpAベクターにサブクローニングした(上のパネル)。miRレベルが下方制御された場合、EGFPセンサーレベルは増加する(下)。より重要なことは、デコイ配列が内在性のmiR−133を隔離し、その活性を遮断することである(図3b、パネル右)。
pGL−3’UTRプラスミド
ルシフェラーゼレポーター実験に対して、miR−133と特異的に相互作用すると予想されたNELF−A及びCDC−42の3’UTRセグメントを、PCR(AccuPrime)Taq DNA polymerase high fidelity(Invitrogen社)によりマウスゲノムDNAから増幅した。ルシフェラーゼ遺伝子の終止コドンからすぐ下流のXba I部位を使用して、標的遺伝子由来の3’UTRを標準手順によりpGL3−Promoter vector(Promega社)にサブクローニングした。NELF−Aに対しては、250bpの断片から成る3’UTRを増幅した。CDC−42に対しては、1400bpの断片である3’UTRを増幅した。
In vitroでの機能研究
マウス心筋細胞(CMC)の単離、培養、及び処理
標準的な酵素技術36に従い、新生仔CMCを1日齢の子から単離した。ペニシリン(100U ml−1)、ストレプトマイシン(100μg ml−1)、ヘペス(25mM)、グルタミン(2mM)、10%の新生ウシ血清、及び、5%の胎児ウシ血清(FBS)を追加したD−MEM(Sigma社)において、CMCを24時間培養した。処理の24時間前に、培地を血清無しの培地に変えた。アゴニスト処理は、100μMのフェニレフリン(PE)又は100nMのエンドセリン−1(ET1)の添加を必要とし、処理の48時間後に細胞を分析した。アデノウイルス感染(感染多重度は結果に記されている)を血清無しの培地において行い、感染の5時間後培地を取り換え、細胞を48時間さらにインキュベートした。アデノウイルスベクターと組み合わせて使用した場合、感染後に新しい培地と取り換える際に100μMのPE又は100nMのET1を添加した。標準的な酵素技術36を使用して、成体CMCを12〜16週齢の雄のマウスから単離した。新しく単離したCMCを、20μg/mLのラミニンでプレコートしたディッシュ(Collaborative Biomedical Products社)内で、1mMのCaCl、15mMのブタンジオンモノキシム、25mMのヘペス、及び、ペニシリンをプラスしたストレプトマイシン1%を追加したD−MEMにおいて、0.5から1x10/cmの密度で培養した。次に、細胞を記載されたように処理した36
蛍光顕微鏡
培養したCMCを、4%PFAにおいて固定し、PBS内でリンスし、20分間ブロッキングバッファーで浸透処理して(0.1%のトリトンX100、1%の正常なロバの血清、1%の冷水魚ゼラチン、及び20nMのグリシン)、最終的に、4℃で一晩、希釈したバッファーにおいて、抗ANF(R&D Systems社)、抗NELF−A/WHSC2(Novus Biologicals社)、又は、抗CDC42(Cell Signalling社)の抗体で染色した。長期の洗浄後、第2の抗体(Sigma社)及び/又はAlexa Fluor 546ファロイジン(Molecular Probes社)を、4℃で1時間添加した。その後、細胞をバッファーで再度大規模に洗浄した。Bio−Rad Radiance 2000 共焦点/2光子顕微鏡により画像表示するまで、スライドを冷蔵庫内で保存した。蛍光パターンを確認するために、実験を少なくとも2回繰り返した。
ウェスタンブロット
標準手順に従いウェスタンブロットによって、NELF−A及びCDC42の発現をライセートにおいて評価した。抗NELF−A(Abcam社)及び抗CDC42(Cell Signalling社)のポリクローナルな抗体を、それぞれTBST−1%ミルクにおいて1:2000で、及び、TBST−5%BSAにおいて1:1000で希釈した。内部制御として、抗アクチン(Oncogene Research Products社)のモノクローナルな抗体を使用した。
H〕ロイシン取込みアッセイ
1日齢の新生仔マウスCMCを使用して、〔H〕ロイシンの取込みによる蛋白質合成を評価した。24時間の血清不足の後、1μCi/mlの〔H〕ロイシンの添加に先立ち48時間、CMCを、モック、Ad133、又はAdDecoyに重感染、及び/又は、薬物で処理した。放射能アッセイの前に、細胞を12時間さらにインキュベートした。
細胞サイズの測定
NIH Image J1.32jソフトウェア(http://rsb.info.nih.gov/ij/)を使用して、CMCの表面積、周囲長、長さ、及び幅を測定した。平均350〜400個のCMC細胞を、細胞サイズの測定のために無作為に選択した。
ドットブロット
Trizol Reagent(GIBCO BRL社)を使用して、全RNAを対照及び処理済みの新生仔又は成体のCMCから単離した。ドットブロットのために、精密濾過装置(BioRad社)を使用して、2μgの変性RNAを減圧下でナイロン膜(BrightStar−Plus、Ambion社)に適用した。プレハイブリダイゼーション(55℃で1時間)及びハイブリダイゼーション(55℃で一晩)を、10mg/mlのサケ精子DNAを追加したUltraHyb buffer(Ambion社)において行った。〔32P〕dATPでラベルされたcDNAプローブを、以下のオリゴヌクレオチドの末端ラベリングにより得た。
ANF
(5’AATGTGACCAAGCTGCGTGACACACCACAAGGGCTTAGGATCTTTTGCGATCTGCTCAAG)(SEQ ID番号:6)
心臓のアクチン
(5’TGTACAATGACTGATGAGAGATGGGGAGGGGGCTCAGAGGATTCCAAGAAGCACAATAC)(SEQ ID番号:7)
骨格のアクチニン
(5’TGGAGCAAAACAGAATGGCTGGCTTTAATGCTTCAAGTTTTCCATTTCCTTTCCACAGGG)(SEQ ID番号:8)
α−MHC
(5’CGAACGTTATGTTTATTGTGTATTGGCCACAGCGAAGGGTCTGCTGAGAG)(SEQ ID番号:9)
β−MHC
(5’−GCTTTATTCTGCTTCCACCTAAAGGGCTGTTGCAAAGGCTCCAGGTCTGAGGGCTTC)(SEQ ID番号:10)
GADPH
(5’GGAACATGTAGACCATGTAGTTGAGGTCAATGAAG)(SEQ ID番号:11)
In vivoでの機能研究
in vivoでの遺伝子導入のために、イケダ(Ikeda)等37から修正した方法を使用して、動物をAd133又はAdDecoyで処理した。Akt Tg又はwtマウスを、それぞれAd133又はAdDecoyの遺伝子導入のために使用した。モック感染を対照において適用した。各群は、10匹の成体マウスを含んだ。動物を最初に単一容量のケタミン(50mg/kg BW)キシラジン(2.5mg/Kg BW)で麻酔し、次に、O中0.5〜2.0%のイソフルランに維持された圧調節呼吸器で挿管及び換気した。小さな左前下の開胸を介して、結紮糸で大動脈及び肺動脈の周りを囲み、オクルダーチューブに突き通した。動脈圧の測定のため、及び、大動脈弁の上に配置されたカテーテルの先端を用いて注入を行うために、右の頸動脈をカニューレ処置した。動物を19〜21℃の核心温度までクールダウンさせ、80〜100/分の心拍数に達した。肺動脈及び大動脈をふさぎ、特に、(1)CP液(2ngのサブスタンスPを追加した、全容積が100μlの、110mMのNaCl、10mMのKCl、1.2mMのCaCl、16nMのMgCl、及び、10mMのNaHCO);(2)3s後に、心臓の停止を達成するために、25mMのKCl及び2ngのサブスタンスPを含有したCP液(100μl);(3)45秒後に、10mMのKCl及び1ngのサブスタンスPを有したCP液(75μl)中のAdベクター(9.2x1010ウイルス粒子)の3つの注入を隣接する大動脈根内に行った。3分後、どちらの係蹄もはずし、ドブタミン(20μg/kg/分)の大動脈内の注入を開始した。動脈圧が約65〜70mmHgに達した場合、その動物を電気パッド(42℃)上に置き、胸を閉じて胸腔内の空気を抜いた。自発呼吸後に動物から抜管し、完全に覚醒するまで念入りに観察した。全てのプロトコールは、カリフォルニア大学のSan Diego Animal Subjects Committeeにより認可された。
標的分析
ルシフェラーゼアッセイ
293FT又はHeLa細胞(1つのウェルあたり5x10個の細胞)に:(a)それぞれ0.02〜0.8mgのpGL3−3’UTRプラスミド、(b)20pmolの安定性が強化された、miR−133aオリゴヌクレオチドの21−O−メチル非標的RNA対照(Dharmacon Inc.社)、又は(c)Lipofectamine 2000(Invitrogen社)を形質移入した。形質移入された細胞の割合を評価するために、GFP−Emdプラスミドも形質移入した。FACS分析から48時間後、細胞を溶解し、そのルシフェラーゼ活性をFemtomasterFB 12(Zylux社)を使用することにより測定した。相対的なレポーター活性を、pGL3−3’UTR対照オリゴヌクレオチドの同時形質移入に対する規準化によって得た。
3’UTR NELF−Aの変異原性(図12)
6ヌクレオチドの変異を、miR−133と相互作用する2つの「種子」配列に挿入した。修飾した及びHPLC精製したオリゴマー(Invitrogen社)を、Pfu酵素を用いて行われる増幅に使用し、変異原性を続けた(Invitrogen社)。
統計的分析
統計的及び発生頻度分布分析を、GraphPad Prism 4.0により行った。2つ又は3つの群間の差を、それぞれスチューデントのt−検定又は一元配置ANOVAを用いて比較した。p<0.05の値を統計学的に有意であるとみなした。
〔結果〕
miR−133及びmiR−1は、心筋及び骨格筋において選択的に発現される。
CMC肥大におけるmiR遺伝子のあり得る役割を調査するために、生理的条件及び病理学上の条件双方の下、ヒト及びマウス由来の胎性及び成体の心臓におけるmiRの発現プロファイルを評価した。161のヒト及び84のマウス前駆体miRから生じた、遺伝子特異的な40塩基長のオリゴヌクレオチドプローブを含有したマイクロアレイチップ8、18を使用することによって分析を行った。2種類のmiR、miR−133及びmiR−1は、肥大性の心臓において著しく減少した。マイクロアレイチップ及びノーザンブロット分析により、miR−133もmiR−1も、ヒト胚性及び成体の組織由来の心筋及び骨格筋において特異的に発現されることが明らかになった(図9a、b)。マイクロチップ分析により示されているように、miR−133はマウスの心筋及び骨格筋組織においても発現され、miR−133発現は、E12日から少なくともE17日までマウス胚の発生において増加される(図9d)。これは、miR−133が、他の細胞からは実質的に欠けていたけれども、胚性の心筋及び骨格筋において選択的に発現されると実証したインサイツハイブリダイゼーションにより確証した(図9d右)。
miR−133及びmiR−1のレベルは、心肥大に対して逆相関している。
miR−133及びmiR−1の発現が心肥大中に調節されるかどうかを決定するために、2つのマウスモデル:(a)大動脈アーチが収縮した(TAC)マウス、及び(b)Akt活性変異体が選択的に心臓で過剰発現したTgマウス19を分析した(表1の血行動態データを参照)。第1のモデルでは、多数のシグナル伝達経路が圧力過負荷により同時に誘発され、CMC肥大を引き起こす20。第2のモデルでは、肥大は、mRNA翻訳及び遺伝子発現に対するAktの下流作用により媒介される21。TACの1週間後、心臓の重さを量り、左心室、右心室、及び心房に分けた。偽手術された非遺伝子組み換えの同腹子対照を含んだ。TACで処理したマウスでは、予測されたように、心筋肥大が、増加した心臓胎児遺伝子(ANF、SkA、及びβ−MHC)の発現と付随した(結果は示されていない)。ノーザンブロット分析により示されているように、TAC処理した心臓においてもAkt過剰発現の心臓においても心肥大は、miR−133の発現レベルもmiR−1の発現レベルも減少した(図1a、b;表2も参照)。その減少は、特に、左心室(どちらのモデルも2分の1)において、及び、心房(TAC肥大では2分の1、さらに、AktTgマウスでは3〜4分の1)において顕著であった。右心室では、減少はTACモデルにおいて観察されず、右心室の肥大に結びつけられなかったけれども、miR−133発現もmiR−1発現もAktTgマウスにおいては有意に減少した(表2)。概して、これらのin vivoモデル由来のデータは、miR−133及びmiR−1の発現と心筋肥大との逆相関を示している。
miR−133の過剰発現は、in vitroで心肥大を阻止する。
これらの観察の機能的意義を評価するために、CMC肥大のin vitroモデルにおけるmiR−133過剰発現の作用を検査した。新生仔マウスのCMCを、成熟miR内に処理されるマウスmiR−133a−2前駆体配列(Ad133)由来の683bpから成る発現カセットを含有したアデノウイルスベクターに感染させた(図2a)。in vivoでの肥大のモデルとしてin vitroでのCMC肥大を誘発するために、フェニレフリン(PE)又はエンドセリン1(ET)処理を用いた17(図2)。in vitroでのアゴニスト誘発性の肥大における明確に区別できる特徴は:(i)増加した細胞サイズ、(ii)〔H〕ロイシン取込みにより測定された、増加した蛋白質合成、(iii)ANF、SkA及びβ−ミオシン重鎖を含めた胎児遺伝子の上方調節、(iv)アクトミオシン鎖の再構成及び後の細胞骨格の再構築、並びに(v)ANF蛋白質における核周囲の局在化である。PE及びETにより誘発されたこれらの作用全てを、Ad133を用いたCMC感染により妨ぎ(図2)、その結果、miR−133はCMC肥大の基礎をなす分子機構を制御すると示した。
「デコイ」配列による内在性のmiR−133の抑制が、in vitroで心肥大を誘発する。
内在性のmiR−133発現の阻止における機能的影響を分析するために、マウスmiR−133aに相補的なタンデム「デコイ」配列と3’UTRで連結したEGFPレポーター遺伝子から成る発現カセットを有するAdベクターを構築した(AdDecoy、図10上を参照)。類似のアプローチが、造血細胞において最近報告された22。新生仔マウスCMCのAdDecoy感染は、無刺激の細胞と比較して、PE誘発性の肥大におけるEGFP発現の著しい増加を明らかにした。この結果は、miR−133発現の減少がデコイ配列に対するその結合を防ぎ、従って、EGFP mRNAが翻訳されるのを可能にすると示している(図10下)。次に、in vitroでの機能アッセイを行った。新生仔マウスCMCのAdDecoy感染は、miR−133のレベルを完全に抑制する一方で、〔H〕ロイシン取込み及び胎児の遺伝子発現に基づき劇的な肥大を引き起こした(図3)。著しく、前記感染は〔H〕ロイシンの増加を誘発し、該増加は、PEにより誘発されたものよりも有意に多かった(図3a)。さらに、胚性のストレス遺伝子及びANFの核周囲の局在化、並びに細胞サイズパラメータも、AdDecoyにより著しく増加した(図3b、c、データは示されていない)。
最後に、上記の結果が、類似しているが異なるモデルシステムにおいて再現することができるかどうか決定するために、成体マウスCMCをAdDecoy又はAd133に感染させた。新生仔のCMC実験と一致して、miR−133過剰発現は反対の作用を及ぼしたけれども、デコイ配列を用いた内在性のmiR−133の抑制は成体CMCサイズを大きくした(図11)。
概して、これらの結果により、miR−133は心肥大において中心的役割を果たすことが示されている。特に、miR−133の発現低下及び肥大は量的に関係している。実際、AdDecoyは全miR抑制及びより明白な肥大を誘発するけれども、アゴニスト処理は、肥大に結びつけられるmiR発現の減少を引き起こした。
miR−133及びmiR−1はin vivoで心肥大を調節する。
本発明者等によるin vitroデータは、miR−133が心肥大の有力なモジュレーターであると強く示唆している。肥大に対するmiR−133の作用をin vivoで決定するために、成体マウスの心筋への冠動脈遺伝子の送達に基づき、一連の実験を行った23。特に、AdDecoyをwtマウスに、及び、Ad133をAktTg動物に送達した。
AdDecoyに感染したwtマウスの心筋を、遺伝子導入の14日後に評価した(図4a)。単離した左心室CMCの分析は、モック対照の値と比較して、細胞サイズの有意な増加を明らかにした(平均±SD AU値、各0.139±0.003対0.094±0.005、P<0.001)(上のパネル)。この研究成果を、心肥大のマーカーの上方制御によりさらに支持した(下のパネル)。特に、左心室CMCのうち40%までのみを感染させ(GFP発現に基づき対照群において評価した、データは示されていない)、miR−133レベルは穏やかに減少した(0.69±0.04倍、データは示されていない)。これらの研究成果を考慮すると、AdDecoyの作用は特に著しい。興味深いことに、miR−1発現も減少し(0.81±0.07、示されていない)、前記2つのmiR間の関連を示唆している。
miR−133の過剰発現はin vitroでCMC肥大を阻止するため、心肥大に対するAd133感染の作用をAktTgマウスにおいて検査した(図4b)。Ad133感染の14日後、骨格のα−アクチンを除いて胚性遺伝子の発現において有意な減少を誘発したけれども(下のパネル)、miR−133の過剰発現は左心室CMCの細胞サイズを減少させた(モック対Ad133感染したマウスにおいて、それぞれ0.485±0.019及び0.333±0.007AU、P<0.05)(上のパネル)。
概して、これら2つのモデルにおいて得た結果は互いを捕捉して強化し、本発明者等によるin vitroでの機能研究と一致して、miR−133はin vivoで心肥大の重要なモジュレーターであると示している。
次に、デコイ配列の過剰発現を介したmiR−133阻止の作用をin vivoで決定することを目標とした別の一連の実験を行った。miR−133又はそのデコイの発現がテトラサイクリン誘発性の(Tet)オペロンにより駆動されるコンストラクトを作製した。Tetオペロン、最小CMVプロモーター、miR−133又はデコイ配列、及び、終止配列−PolyAを含有したDNA断片を使用して遺伝子導入マウスを作製した。親切にもDr.Wolfgang Dillmannの研究室(UCSD)によって提供された心臓特異的α−ミオシン重鎖(α−MHC)下で、リバーステトラサイクリン応答性転写活性化因子rtTAを発現するマウスと創始者(F0)を交雑させた。
デコイ−133オペロンもrtTAも陽性であるF1動物において、通常のストレスのない条件下でデコイmiR−133を誘発し、心肥大の主要な心エコーパラメータ及び形態計測パラメータを調べた。データは、2種類の主要な心肥大の心エコーパラメータである、左心室拡張期/収縮期の後壁厚(LVPWd、LVpWs)及び心室中隔厚(IVsd)の有意な増加を示している(図5)。屠殺後に得た重量測定パラメータである、体重に対する左心室重量(LV/BW)の比も、miR−133デコイのテトラサイクリン誘発後に有意に増加した(図5)。miR−133に加えて、miR−1も心肥大に関与しているかどうかin vivoで決定するために、miR−1に対抗するアンタゴmiRと命名された3’−コレステロール結合miR−1アンチセンス分子33を使用して、in vivoでの実験を行った。塩基全てを2’−OMe修飾した。miR−1に相補的なアンタゴmiR配列は:
5’−P−UACAUACUUCUUUACAUUCCA−コレステロール3’
である。このヌクレオチド部分は(SEQ ID番号:12)である。
アンタゴmiRオリゴヌクレオチドを脱保護及び脱塩し、さらに、高速液体クロマトグラフィー(HPLC;Dharmacon社)により精製した。C57BL/6雌マウス(8週齢)に、Alzet浸透圧ミニポンプ(モデル1003D、Alza社)を介して80mg/kg体重の投与量でアンタゴmiRを受けさせた。ミニポンプを調製し、371Cの無菌の0.9%生理食塩水で満たされたペトリ皿内に、移入前に少なくとも4時間配置して、薬物の連続送達のためにポンプを刺激した。対照には生理食塩水のミニポンプを受けさせた。
心エコー及び形態計測分析を、アンタゴmiR−1で処理したマウス及び生理食塩水の対照群に対して行った(図6)。処理の30日後に行った分析により、LVPWs及びIVs等の収縮期機能のパラメータの増加と共に、IVSd厚及びLV/BW比の有意な増加が明らかになった。
NELF−A及びCDC42は、miR−133の重要な標的である。
観察した肥大−調節処理に関与する1又は複数のあり得るmiR標的を同定するために、ソフトウェアプログラムTargetScan(http://genes.mit.edu/targetscan/)、miRanda(http://www.microrna.org/)24、及び、PicTar(http://pictar.bio.nyu.edu/)25を使用して、推測上の1又は複数のmiR標的を捜した。興味深いことに、その分析は心臓の発生及び肥大に関連した多様なmiR−133標的遺伝子を示唆した。mRNA3’UTR領域が基準の「種子」配列及びmiR−133にマッチするフランキングヌクレオチドを含むNELF−A/WHSC2並びにCDC42に焦点をおいた(図7及び8、下のパネル)。RNAポリメラーゼIIと相互作用してその機能を負に制御する核分子であるNELF−A26は、多数の異常の中で心臓の形成不全により特徴づけられるウォルフ・ヒルシュホーン症候群に結びつけられる27。CDC42は、心肥大中に細胞骨格及び筋原繊維の再構築に関与する、低分子量GTP結合蛋白質のRhoサブファミリー(RhoA、Rac1、及びCDC42)のメンバーである28。単離されたネズミCMCにおいて、活性化された、CDC42を含めた低分子量GTP結合蛋白質の過剰発現は、種々の肥大の特徴を誘発する29
いくつかの証拠が、NELF−A及びCDC42は心肥大においてmiR−133により制御されると示している。特に、(a)TAC処理したマウス及びAktTgマウスにおいて、miR−133発現レベルは前記2種類の蛋白質の量に対し逆相関している(図7a、8a;図2も参照)。さらに、(b)新生仔CMCにおいても成体CMCにおいても、mRNAレベルは無修飾であるけれども、AdDecoy又はAd133の感染によるmiR−133の過剰発現又は発現低下は、それぞれ前記2種類の蛋白質の増加又は著しい発現低下を引き起こしている(図7b、c、図8b、c)。
これらのデータは、NELF−A及びCDC42のmRNAがCMCにおいてmiR−133により標的にされることを示唆している。この仮説をテストするために、miR−133陰性293FT及びHeLa細胞株においてルシフェラーゼレポーターアッセイを行った。ホタルルシフェラーゼ遺伝子の下流に挿入された3’UTR領域に、miR−133又は対照非標的miRを同時導入した。図7d及び8dに示されているように、NELF−A及びCDC42の野生型UTRを用いたmiR−133の形質移入は、ルシフェラーゼ活性の有意な減少を誘発した。これとは対照的に、NELF−A又はCDC42UTRへの対照非標的miRの同時導入はこの抑制を無効にし、従って、miR−133−UTR相互作用の特異性を示した。NELF−A3’UTRは2種類の「種子」標的配列を含むため(図7d)、種子配列において6ヌクレオチドの置換をそれぞれ含む2種類の変異したUTRも検査した(図11)。これらの変異はルシフェラーゼ活性の抑制を無効にし、どちらの種子配列もmiR−133誘発性翻訳の抑制を媒介することが必要であると示した。少なくとも4つの種子標的部位が、CDC42の長い(1.4Kb)3’UTRに存在する(2つの「ハイスコア」部位が図8dに示されている)。
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Claims (16)

  1. SEQ ID番号1若しくはSEQ ID番号2、又は、その変異体若しくは異型のうち全て又は実質的な部分を含むRNAの、心疾患の治療又は予防に対する薬物の製造における使用。
  2. 前記RNAがNELF−A及びCDC−42のmRNAに結合することができる、請求項1に記載の使用。
  3. 前記RNAが、配列の点でSEQ ID番号1又はSEQ ID番号2の配列とは50%以下まで異なり、依然としてin vivoでCDC−42mRNAに結合することができる、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記配列の変異が、40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である、請求項3に記載の使用。
  5. 前記RNAがSEQ ID番号1の配列を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の使用。
  6. 前記RNAがSEQ ID番号2の配列を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の使用。
  7. 前記RNAが150ヌクレオチド以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の使用。
  8. 前記RNAが一次転写物の形状で提供される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の使用。
  9. 前記RNAがSEQ ID番号1から成る、請求項5に記載の使用。
  10. 前記RNAがSEQ ID番号2から成る、請求項6に記載の使用。
  11. 前記薬物が、前記RNAをCMC内に導入するのに適したベクターを含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の使用。
  12. 前記薬物が、規定のRNAをコードする核酸配列を含有したベクターを含み、該ベクターが、前記コードする核酸配列を用いてCMCを形質転換するのに適している、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の使用。
  13. 前記核酸配列がDNAである、請求項12に記載の使用。
  14. 前記核酸配列がRNAである、請求項12に記載の使用。
  15. SEQ ID番号1の変異体又は異型。
  16. SEQ ID番号2の変異体又は異型。
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