JP2009544750A - 治療 - Google Patents
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Abstract
ロスコビチン等のCDK阻害剤を用いて、顆粒球、例えば、好中球のアポトーシスを誘導する方法が本明細書に記載される。したがって、炎症性疾患を治療する方法が提供される。
【選択図】 なし
【選択図】 なし
Description
本発明は、白血球においてアポトーシスを誘導する方法、並びに炎症性疾患、特に慢性及び/又は持続性炎症性疾患の治療におけるこのような方法の使用に関する。
好中球系顆粒球は、自然免疫において極めて重要な役割を果たし、感染及び損傷部位へ迅速に動員される。しかし、侵入している微生物を死滅させて破壊し、消化するためにこれらの細胞によって用いられる多数の防御機構(例えば、顆粒内容物の放出及び反応性酸素種の生成)が宿主組織にとって有害である可能性がある。したがって、これらの炎症細胞の生理学的機能が達成されると、それらが迅速に炎症部位から除去されることが極めて重要である。炎症を自発的に回復する間に、好中球はアポトーシス;予めプログラムされ、高度に調節された細胞死プロセスを受ける(Savill,J.S.ら.J.Clin.Invest 83巻、865〜875頁(1989年)、及び、Savill,J.Nature 343巻、170〜173頁(1990年))。好中球生存とアポトーシスは、炎症環境;例えば、炎症性メディエーター(例えば、GM−CSF、LPS)、環境条件(例えば、低酸素症)によって大きく影響を受け、アポトーシス促進性刺激(例えば、TNFα、FasL)の存在は、好中球寿命を劇的に変化させ得る(Gilroy,D.W,.Nat.Rev.Drug Discov. 3巻、401〜416頁(2004年)、Riley,N.A.らAnti−Inflammatory&Anti−Allergy Agents in Medicinal Chemistry 5巻、3〜12頁(2006年))。アポトーシスが行われると、好中球分泌活性は止まり、細胞は無傷のままで、炎症促進反応を誘発しない新規の認識機構を用いるマクロファージによって貪食される(Savill,J.S.らJ.Clin.Invest 83巻、865〜875頁(1989年)、Whyte,M.K.J.Immunol. 150巻、5124〜5134頁(1993年))。しかし、マクロファージ食作用又は好中球アポトーシスが損なわれている場合には、結果として慢性炎症が起こり得る(Gilroy,D.W.、Nat.Rev.Drug Discov. 3巻、401〜416頁(2004年)、Riley,N.A.らAnti−Inflammatory&Anti−Allergy Agents in Medicinal Chemistry 5巻、3〜12頁(2006年)及びJonsson,H.Nat.Med. 11巻、666〜671頁(2005年))。したがって、炎症細胞生存とアポトーシス間のバランスの調節に関与する機序は、考慮すべき研究努力の対象である。
真核細胞の細胞分裂は、4つの別個の期で起こる;DNA複製が準備されるG1期、次いで、染色体複製が起こる合成(S)期;これに、細胞を準備するギャップ(G2)期、次いで、有糸分裂(M)期が続き、最終的に細胞分裂をもたらし、その後、G1に戻り、この周期を繰り返す。例えば、増殖因子が取り除かれている、又は好中球等のように細胞が最終分化している特定の状況では、細胞は、G0期にとどまる。細胞周期の各段階で、細胞が分裂を行う前に、染色体複製及び分裂の正確な順序及び質を制御する重要なチェックポイントがある。
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、従来、細胞周期の重要な調節因子として記載されており、これでは、種々のCDKは、その関連サイクリンパートナーと複合体形成した場合に細胞周期進行中に活性化する(Vermeulen,Kら Cell Prolif. 36巻、131〜149頁(2003年))。この理由のために、特異的阻害剤によるCDKの阻害は、腫瘍進行を防ぐ又は制限するための標的とされてきた。実際、CDK阻害剤は、現在、食道癌、肺癌、前立腺癌及び非小細胞肺癌のための臨床試験にある(Senderowicz,A.M.Oncogene 22巻、6609〜6620頁(2003年))。興味深いことに、CDKはまた、アポトーシスも調節でき、最近の証拠から、これらのキナーゼはまた、最終分化したニューロンにおける死の調節においても明確な役割を果たしている可能性があるということも示唆されている(Monaco&Vallano、Curr.Med.Chem. 10巻、367〜379頁(2003年))。好中球は、その他の顆粒球のように、最終分化した細胞であり、したがって、現在の文献に基づいて、R−ロスコビチン等のCDK阻害剤は、効果がないか、又はニューロンに対する効果と同様に、アポトーシスを阻害すると予想される。
本発明者らは、in vivoで好中球及び好中球性炎症に対するCDK阻害剤の効果を調べた。上記のように、好中球等の顆粒球が最終分化した細胞であることを考え、ニューロンに対するCDK阻害剤の効果を考えると、CDK阻害剤は、効果がないか、又はこれらの細胞のアポトーシスに対して阻害効果を有すると予想された。しかし、以下に詳述するように、予想に反して、本発明者らは、好中球がCDKを発現し種々のCDK阻害剤がカスパーゼ依存性好中球アポトーシスを直接誘導し、多量の生存因子によって誘導される生存を阻害することを示した。
したがって、本発明の第1の態様において、顆粒球のアポトーシスを誘導又は加速する方法が提供され、前記方法は、前記顆粒球に有効用量のCDK阻害剤を投与するステップを含む。
一実施形態では、顆粒球は非増殖性顆粒球である。
CDK阻害剤が顆粒球でアポトーシスを誘導するという発見によって、顆粒球の活性が疾患の病態の一因となっている疾患又は状態の治療において、このような化合物を用いることが可能となる。したがって、本発明の第2の態様では、個体において顆粒球介在性疾患を治療する方法が提供され、前記方法は前記個体へ有効用量のCDK阻害剤を投与するステップを含む。
実施例に記載されるように、本発明者らは、in vivoで、CDK阻害剤、R−ロスコビチンが、カラゲナン誘発性の急性胸膜炎症マウスモデルの回復を著しく促進すること、及びこの回復が、R−ロスコビチン誘導性カスパーゼ誘導性アポトーシス促進効果によって駆動されることを示した。抗炎症性及び炎症に対する回復促進効果はまた、2つのさらなる炎症モデルにおいても実証された。これらの知見は、CDK阻害剤は、炎症性疾患の回復を促進するために使用できるということを示唆する。
したがって、本発明の一実施形態では、疾患は炎症性疾患である。
本発明の第3の態様は、顆粒球介在性状態、例えば、炎症性疾患の治療のための薬剤の調製におけるCDK阻害剤の使用を含む。
さらなる態様は、顆粒球介在性状態、例えば、炎症性疾患の治療において使用するためのCDK阻害剤を含む。
しかし、本発明の方法は、任意の顆粒球介在性疾患を治療するために使用できる。本発明の一実施形態では、顆粒球介在性疾患は、非増殖性顆粒球によって媒介される疾患である。一実施形態では、疾患は、好中球介在性疾患である。しかし、本発明のその他の実施形態は、好酸球又は好塩基球介在性疾患の治療を含み得る。
特定の実施形態では、本発明は、1種又は複数の症状が、主に顆粒球の存在、浸潤及び/又は活性化によって引き起こされる疾患を治療するために使用できる。一実施形態では、疾患は、顆粒球の存在、浸潤及び/又は活性化が、1種又は複数の症状の唯一の原因である顆粒球介在性疾患である。
一実施形態では、疾患又は障害は、非腫瘍性炎症性疾患である。
一実施形態では、疾患は、非増殖段階の炎症性疾患である。
疾患は、慢性疾患であり得る。もう1つの実施形態では、疾患は急性であり得る。
本発明では、任意の適したCDK阻害剤を使用してよい。本発明の一実施形態では、CDK阻害剤は、CDK1及び/又はCDK2の阻害剤である。本発明のもう1つの実施形態では、CDK阻害剤は、CDK5の阻害剤である。
本発明の一実施形態では、CDK阻害剤は、プリン又はピリミジン類似体である。特定の実施形態では、CDK阻害剤はロスコビチンである。もう1つの実施形態では、CDK阻害剤はNG75である。もう1つの実施形態では、CDK阻害剤は、ヒメニアルジシン(hymenialdisine)(HD)である。
本発明の各態様の好ましい特徴は、文脈から別に要求されない限り、変更すべきところは変更して、その他の態様の各々について同様である。
本発明は、種々のCDK阻害剤が、顆粒球、例えば、好中球のアポトーシスを誘導及び加速し、したがって、このような化合物は、顆粒球と関連している疾患又は顆粒球によって媒介される疾患の治療において使用できるという驚くべき証明に基づいている。上記のように、CDK阻害剤は、種々の癌の治療における使用のために提案されてきたが、これらの化合物が、顆粒球に対してアポトーシス促進効果を有することは予想されていなかった。実際、CDK阻害剤のニューロンに対する効果及び顆粒球が最終分化細胞であるという事実に基づいて、CDK阻害剤は、顆粒球のアポトーシスを阻害するか、このような細胞に対して何の効果もないと予想される。
したがって、本発明は、顆粒球においてアポトーシスを誘導する新規手段を提供し、顆粒球によって媒介される疾患を治療する手段となる。
顆粒球
顆粒球は、顕著な細胞質顆粒を特徴とする白血球の一クラスである。3つの主要な顆粒球細胞種:好中球、好酸球及び好塩基球がある。
顆粒球は、顕著な細胞質顆粒を特徴とする白血球の一クラスである。3つの主要な顆粒球細胞種:好中球、好酸球及び好塩基球がある。
好中球
顆粒球のうち最も多数のものは、好中球であり、これは血液白血球の約60%を占める。炎症の際は、血液中に存在する好中球の数が、劇的に増加する。これらの細胞は高度に食作用性があり、侵入病原体、特に、細菌に対する防御の第一線を形成する。それらはまた、急性炎症の際の損傷後の壊死組織の食作用にも関与している。病原体に対して好中球によって使用される多数の防御機構、例えば、顆粒内容物の放出及び反応性酸素種の生成は、炎症促進性であり、宿主組織に損傷を与える。好中球の過剰の活性化及び/又は損なわれた好中球アポトーシスを特徴とする状態では、慢性又は持続性炎症が結果として起こり得る。
顆粒球のうち最も多数のものは、好中球であり、これは血液白血球の約60%を占める。炎症の際は、血液中に存在する好中球の数が、劇的に増加する。これらの細胞は高度に食作用性があり、侵入病原体、特に、細菌に対する防御の第一線を形成する。それらはまた、急性炎症の際の損傷後の壊死組織の食作用にも関与している。病原体に対して好中球によって使用される多数の防御機構、例えば、顆粒内容物の放出及び反応性酸素種の生成は、炎症促進性であり、宿主組織に損傷を与える。好中球の過剰の活性化及び/又は損なわれた好中球アポトーシスを特徴とする状態では、慢性又は持続性炎症が結果として起こり得る。
好酸球
好酸球は、血液白血球の約1〜3%を占める。それらの主要な役割は、寄生生物に対する、特に、蠕虫類及び原虫感染に対する防御である。これに関連して、細胞は、好酸球カチオンタンパク質、主要塩基性タンパク質及びペルオキシダーゼ及びその他のリソソーム酵素等の細胞傷害性化合物を含有するリソソーム顆粒を含む。好酸球は、活性化されたリンパ球及び肥満細胞によって放出された物質によって誘引される。好酸球は、例えば、肥満細胞ヒスタミン放出脱顆粒の阻害による過敏症反応の調節において役割を果たし得るが、これらの細胞は、アレルギー反応において組織に損傷を与え得る。いくつかの状況では、例えば、花粉症、喘息、湿疹等では、細胞が組織及び血液に蓄積する。その結果、例えば、喘息又はアレルギー性接触皮膚炎において、それらは、脱顆粒を介して、アレルギー反応と関連する組織損傷の一因となり、又は引き起こし得る。
好酸球は、血液白血球の約1〜3%を占める。それらの主要な役割は、寄生生物に対する、特に、蠕虫類及び原虫感染に対する防御である。これに関連して、細胞は、好酸球カチオンタンパク質、主要塩基性タンパク質及びペルオキシダーゼ及びその他のリソソーム酵素等の細胞傷害性化合物を含有するリソソーム顆粒を含む。好酸球は、活性化されたリンパ球及び肥満細胞によって放出された物質によって誘引される。好酸球は、例えば、肥満細胞ヒスタミン放出脱顆粒の阻害による過敏症反応の調節において役割を果たし得るが、これらの細胞は、アレルギー反応において組織に損傷を与え得る。いくつかの状況では、例えば、花粉症、喘息、湿疹等では、細胞が組織及び血液に蓄積する。その結果、例えば、喘息又はアレルギー性接触皮膚炎において、それらは、脱顆粒を介して、アレルギー反応と関連する組織損傷の一因となり、又は引き起こし得る。
好塩基球
好塩基球は、循環白血球の1%未満を占め、血管作動性物質及びヘパリンを含む濃い青色の顆粒を有する。アレルギー反応では、それらは活性化されて脱顆粒し、これが、急性過敏症反応と関連している局所組織反応及び症状を引き起こし得る。
好塩基球は、循環白血球の1%未満を占め、血管作動性物質及びヘパリンを含む濃い青色の顆粒を有する。アレルギー反応では、それらは活性化されて脱顆粒し、これが、急性過敏症反応と関連している局所組織反応及び症状を引き起こし得る。
治療
本発明を用いて、顆粒球が疾患病態の一因である任意の疾患を治療できる。一実施形態では、疾患は、顆粒球が、疾患病態に主に関与している疾患である。このような疾患として、それだけには限らないが、白血球増多症、好中球増加症、顆粒球増加症又は好酸球増加症を特徴とするものが挙げられる。このような状態は、炎症、アレルギー反応、薬物反応、心臓異常等の症状をもたらし得る。
本発明が用途を見い出す疾患として、好中球、好酸球、好塩基球又はそれらのうち2種以上によって媒介されるものが挙げられる。
本発明を用いて、顆粒球が疾患病態の一因である任意の疾患を治療できる。一実施形態では、疾患は、顆粒球が、疾患病態に主に関与している疾患である。このような疾患として、それだけには限らないが、白血球増多症、好中球増加症、顆粒球増加症又は好酸球増加症を特徴とするものが挙げられる。このような状態は、炎症、アレルギー反応、薬物反応、心臓異常等の症状をもたらし得る。
本発明が用途を見い出す疾患として、好中球、好酸球、好塩基球又はそれらのうち2種以上によって媒介されるものが挙げられる。
本発明の場面では、用語「顆粒球介在性疾患」、「顆粒球介在性炎症」及び「炎症性疾患」は、腫瘍性疾患を包含しない。一実施形態では、疾患は、白血球の増殖によって、例えば、白血球の異常な過度の産生によって引き起こされない疾患である。
本発明の場面では、「治療」は、ヒト又は非ヒト動物に利益をもたらし得る任意の投与計画を含む。治療は、既存の状態に関するものである場合もあるし、又は予防のためのもの(予防的処置)である場合もある。したがって、治療は、治癒的効果、軽減効果及び/又は予防的効果を含み得る。
本発明の方法の一実施形態では、方法は、非増殖段階の顆粒球介在性疾患を治療する方法である。本発明の一実施形態では、顆粒球介在性状態は、好中球介在性状態である。本発明が用途を見い出し得る好中球介在性状態として、それだけには限らないが、好中球介在性炎症状態、例えば、関節炎、胸膜炎、肺線維症、全身性硬化症及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)が挙げられる。
本発明の一実施形態では、好中球介在性状態は、肺の炎症状態、例えば、胸膜炎である。
もう1つの実施形態では、好中球介在性状態は、肺線維症又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
さらなる一実施形態では、好中球介在性疾患は、関節リウマチ、全身性硬化症又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
本発明のもう1つの実施形態では、顆粒球介在性状態は、好酸球介在性状態である。本発明が用途を見い出し得る好酸球介在性状態として、それだけには限らないが、炎症性肺疾患、例えば、喘息、アトピー性皮膚炎、NERDS(小結節好酸球増加症、リウマチ、皮膚炎及び腫脹)、好酸球増加症候群又は肺線維症、接触皮膚炎、湿疹、花粉症又はその他のアレルギー反応が挙げられる。好酸球が関与し得る、及び、本発明を使用できるその他の状態として、炎症性腸疾患(IBD)、血管炎肉芽腫性(vasculitic granulomatous)疾患、例えば、多発性動脈炎及びウェゲナー肉芽腫症、自己免疫疾患、好酸球性肺炎、サルコイドーシス(sarcoiditis)及び特発性肺線維症が挙げられる。
本発明のさらなる一実施形態では、顆粒球介在性状態は、好塩基球介在性状態、例えば、急性過敏症反応等のアレルギー反応である。本発明が用途を見い出し得るその他の好塩基球介在性状態として、それだけには限らないが、喘息及びアレルギー、例えば、花粉症、慢性じんま疹、乾癬、湿疹、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)及び関節炎が挙げられる。
したがって、本発明によって治療できる疾患及び状態として、種々の組織及び臓器の疾患が挙げられる。
例えば、一実施形態では、本発明は、呼吸器系の疾患(1つ又は複数)の治療において使用できる。例えば、本発明を用いて、肺の炎症状態、例えば、間質性肺疾患を治療できる。本発明を用いて治療できる間質性肺疾患として、急性間質性肺炎等の急性疾患及び特発性肺線維症等の慢性状態の両方が挙げられる。本発明の方法を用いて治療できる、その他の呼吸器疾患及び状態として、胸膜炎、喘息、特に、重症喘息及びステロイド耐性喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び急性呼吸器疾患が挙げられる。
また、本発明を用いて、心臓の疾患/状態、例えば、心筋梗塞、アテロームによって引き起こされる再潅流障害を治療できる。
また、本発明を用いて、腎臓の疾患/状態、例えば、糸球体腎炎を治療できる。
また、本発明を用いて、皮膚の疾患/状態、例えば、ざ瘡、乾癬又は湿疹を治療できる。
本発明が用途を見い出し得るその他の状態として、関節炎、特に、関節リウマチ、痛風、続発性脳幹出血及び卒中が挙げられる。
一実施形態では、疾患/状態は、アレルギー状態である。このような一実施形態では、アレルゲンは非自己であり、すなわち、自己免疫反応ではない。
本発明の特定の一実施形態では、疾患又は障害は胸膜炎である。
本発明の特定のもう1つの実施形態では、疾患又は障害は肺線維症である。
本発明の特定のもう1つの実施形態では、疾患又は障害は関節炎である。
CDK阻害剤
本発明の方法では、任意の適したCDK阻害剤を使用できる。使用できるCDK阻害剤として、それだけには限らないが、プリン及びピリミジン誘導体、例えば、オロモウシン(olomoucine)、ロスコビチン、R−ロスコビチン(セリシクリブ(seliciclib))、N9−イソプロピル−オロモウシン(olmoucine)又はNG75及びヒメニアルジシンが挙げられる。使用できるその他のプリンベースのCDK阻害剤として、CGP79807及びCGP74514(それぞれ、C2として存在する環状ヒドロキシ又はアミノ−アルキルアミノ基を有する、Imbachら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、9巻、96頁(1999年);Dreyerら、J.Med.Chem.、44巻、524〜530頁(2001年))、グアニン誘導体、例えば、NU2058及びNU6102(Arrisら、J.Med.Chem、43巻、2797〜2804頁(2000年)、Daviesら、Nat.Struct.Biol.、9巻、745〜749頁(2002年))、フェニルアミノピリジン、例えば、CGP60474(Furetら、J.Comput.Aided Mol.Des.、14巻、403〜409頁(2000年))、CINK4(Soniら、J.Nat.Cancer Inst.、93巻、436〜446頁(2001年))、NU6027、チアゾロピリミジン(Fischerら、Eur.J.Cancer、38巻(付録7)、124(2002年))が挙げられる。使用できるその他のCDK阻害剤として、プルバラノール(purvalanols)、例えば、プルバラノールA(purvalanol A)及びプルバラノールB(purvalanol B)、インディルビン、オキシインドールベースのCDK阻害剤(Kentら、Biochem.Biophys.Res.Commun. 260巻、768〜774頁(1999年))、例えば、フェニルヒドラゾンオキシインドール及びアニリノメチレンオキシインドール、インデノピラゾール(Nugielら、J.Med.Chem.、44、1334〜1336頁(2001年))が挙げられる。使用できるその他のCDK阻害剤として、フラボピリドール及びその類似体、例えば、2−ベンジリジン−ベンゾフラン−3−オン(Kimら、J.Med.Chem.、43、4126〜4134頁(2000年);Schoepferら、J.Med.Chem.、45、1741〜1747頁(2002年))、スタウロスポリン及びその類似体、例えば、7−ヒドロキシスタウロスポリン、ブリオスタチン−1、BMS−387032、SU9516、AZ703、E7070、アミノイミダゾピリジン1d、NU6140、フラボピリドール、AG−024322、PD−0332991、PNU−252808、ジアリール尿素及びパウロン(paullones)、例えば、ケンパウロン(kenpaullone)、アルスターパウロン(alsterpaullone)、ブチロラクトン−1、サンギバミチン(sangivamychin)、SU9516 AZ703が挙げられる。これらの阻害剤の多くの詳細は、J Clin.Oncol. 23巻(36)9408〜9421頁及びJ Clin.Oncol. 24巻(11)1170〜1783頁に記載されている。本発明において使用できるさらなるCDK阻害剤は、国際公開第01/44217号パンフレット、国際公開第99/24416号パンフレット、国際公開第01/44242号パンフレット、国際公開第97/20842号パンフレット、国際公開第98/05335号パンフレット及び国際公開第99/07705号パンフレットに記載されている。
本発明の方法では、任意の適したCDK阻害剤を使用できる。使用できるCDK阻害剤として、それだけには限らないが、プリン及びピリミジン誘導体、例えば、オロモウシン(olomoucine)、ロスコビチン、R−ロスコビチン(セリシクリブ(seliciclib))、N9−イソプロピル−オロモウシン(olmoucine)又はNG75及びヒメニアルジシンが挙げられる。使用できるその他のプリンベースのCDK阻害剤として、CGP79807及びCGP74514(それぞれ、C2として存在する環状ヒドロキシ又はアミノ−アルキルアミノ基を有する、Imbachら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、9巻、96頁(1999年);Dreyerら、J.Med.Chem.、44巻、524〜530頁(2001年))、グアニン誘導体、例えば、NU2058及びNU6102(Arrisら、J.Med.Chem、43巻、2797〜2804頁(2000年)、Daviesら、Nat.Struct.Biol.、9巻、745〜749頁(2002年))、フェニルアミノピリジン、例えば、CGP60474(Furetら、J.Comput.Aided Mol.Des.、14巻、403〜409頁(2000年))、CINK4(Soniら、J.Nat.Cancer Inst.、93巻、436〜446頁(2001年))、NU6027、チアゾロピリミジン(Fischerら、Eur.J.Cancer、38巻(付録7)、124(2002年))が挙げられる。使用できるその他のCDK阻害剤として、プルバラノール(purvalanols)、例えば、プルバラノールA(purvalanol A)及びプルバラノールB(purvalanol B)、インディルビン、オキシインドールベースのCDK阻害剤(Kentら、Biochem.Biophys.Res.Commun. 260巻、768〜774頁(1999年))、例えば、フェニルヒドラゾンオキシインドール及びアニリノメチレンオキシインドール、インデノピラゾール(Nugielら、J.Med.Chem.、44、1334〜1336頁(2001年))が挙げられる。使用できるその他のCDK阻害剤として、フラボピリドール及びその類似体、例えば、2−ベンジリジン−ベンゾフラン−3−オン(Kimら、J.Med.Chem.、43、4126〜4134頁(2000年);Schoepferら、J.Med.Chem.、45、1741〜1747頁(2002年))、スタウロスポリン及びその類似体、例えば、7−ヒドロキシスタウロスポリン、ブリオスタチン−1、BMS−387032、SU9516、AZ703、E7070、アミノイミダゾピリジン1d、NU6140、フラボピリドール、AG−024322、PD−0332991、PNU−252808、ジアリール尿素及びパウロン(paullones)、例えば、ケンパウロン(kenpaullone)、アルスターパウロン(alsterpaullone)、ブチロラクトン−1、サンギバミチン(sangivamychin)、SU9516 AZ703が挙げられる。これらの阻害剤の多くの詳細は、J Clin.Oncol. 23巻(36)9408〜9421頁及びJ Clin.Oncol. 24巻(11)1170〜1783頁に記載されている。本発明において使用できるさらなるCDK阻害剤は、国際公開第01/44217号パンフレット、国際公開第99/24416号パンフレット、国際公開第01/44242号パンフレット、国際公開第97/20842号パンフレット、国際公開第98/05335号パンフレット及び国際公開第99/07705号パンフレットに記載されている。
一実施形態では、CDK阻害剤はロスコビチン(6−ベンジルアミノ−2−[(R)−1−エチル−2−ヒドロキシエチルアミノ]−9−イソプロピルプリン)である。
もう1つの実施形態では、CDK阻害剤はNG75である。
さらなる一実施形態では、CDK阻害剤はヒメニアルジシン(HD)である。
さらに、これらの方法では、本明細書に記載されるCDK阻害剤の、障害を治療するのに有用なその他の薬剤との組合せを用いる治療が提供される。その他の薬剤の選択は、治療される個々の状態に応じて異なり、医師の判断による。
例えば、本発明においてCDK阻害剤との組合せにおいて使用できるその他の薬剤として、それだけには限らないが、NSAID、糖質コルチコステロイド、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD、例えば、関節炎のための筋肉内金、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン及びメトトレキサート)及び生物製剤を用いる抗TNF治療が挙げられる。
1種又は複数のその他の薬剤と組み合わせた治療にCDK阻害剤が用いられる場合には、CDK阻害剤(複数のCDK阻害剤)及びその他の薬剤(複数のその他の薬剤)の濃度は、相乗作用を提供するのに十分な濃度で提供されることが好ましい。相乗作用は、Romaneli(Romanelli,Sら、Cancer Chemother Pharmacol、41巻:385〜390頁、(1998年))によって改変されたKernの方法(Kern,D.Hら、Cancer Res、48巻:117〜121頁、(1988年))を用いて、1を超えるRIとして定義されることが好ましい。RIは、A及びBの組合せについて観察された細胞生存(S obs )に対する、予想される細胞生存(S exp 、薬物A単独を用いて観察された生存及び薬物B単独を用いて観察された生存の積として定義される)の割合(RI=S exp /S obs )として算出できる。その結果、相乗作用は、1を超えるRIとして定義できる。
薬剤組成物
本発明において使用するためのCDK阻害剤は、薬剤組成物として投与できる。本発明の薬剤組成物及び本発明に従って使用するための薬剤組成物は、有効成分に加え、製薬上許容される賦形剤、担体、バッファー、安定剤又は当業者に公知のその他の物質を含み得る(例えば、Remington:the Science and Practice of Pharmacy、第21版、Gennaro ARら編、Lippincott Williams&Wilkins、2005年参照のこと)。このような物質は、酢酸塩、Tris、リン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸等のバッファー;抗酸化剤;保存料;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;炭水化物;キレート化剤;等張化剤(tonicifiers);及び界面活性剤を含み得る。
本発明において使用するためのCDK阻害剤は、薬剤組成物として投与できる。本発明の薬剤組成物及び本発明に従って使用するための薬剤組成物は、有効成分に加え、製薬上許容される賦形剤、担体、バッファー、安定剤又は当業者に公知のその他の物質を含み得る(例えば、Remington:the Science and Practice of Pharmacy、第21版、Gennaro ARら編、Lippincott Williams&Wilkins、2005年参照のこと)。このような物質は、酢酸塩、Tris、リン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸等のバッファー;抗酸化剤;保存料;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;炭水化物;キレート化剤;等張化剤(tonicifiers);及び界面活性剤を含み得る。
薬剤組成物はまた、治療されている特定の適応症にとって必要であると選択される、好ましくは、CDK阻害剤の活性に悪影響を及ぼさない補完的な活性を有する1種又は複数のさらなる活性化合物を含み得る。例えば、関節炎等の炎症性疾患の治療では、CDK阻害剤に加え、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤等のその他の抗炎症薬を用いてよい。
有効成分(例えば、CDK阻害剤及び/又はその他の抗炎症薬)は、ミクロスフェア、マイクロカプセル、リポソーム、その他の微粒子送達系によって投与してよい。例えば、有効成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合、例えば、それぞれ、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)における、又はマクロエマルジョンにおける、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート(methylmethacylate))マイクロカプセルによって調製できるマイクロカプセル内に封入してもよい。さらなる詳細については、Remington:the Science and Practice of Pharmacy、第21版、Gennaro ARら編、Lippincott Williams&Wilkins、2005年参照のこと。
徐放性製剤を活性薬剤の送達に使用してもよい。徐放性製剤の適した例として、例えば、フィルム、坐剤又はマイクロカプセル等の造形品の形である、例えば、抗体等の活性薬剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられる。徐放性マトリックスの例として、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸及びエチル−Lグルタメートの共重合体、非分解性エチレン酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
用量
本発明の、及び本発明において使用するための組成物は、個体に「治療上有効な量」で投与されることが好ましく、これは、個体に利点を示すのに十分である。実際の投与計画は、治療されている状態、その重症度、治療されている患者、用いられている(複数の)薬剤をはじめとするいくつかの因子に応じて変わり、医師の判断による。
本発明の、及び本発明において使用するための組成物は、個体に「治療上有効な量」で投与されることが好ましく、これは、個体に利点を示すのに十分である。実際の投与計画は、治療されている状態、その重症度、治療されている患者、用いられている(複数の)薬剤をはじめとするいくつかの因子に応じて変わり、医師の判断による。
最適用量は、いくつかのパラメーター、例えば、年齢、性別、体重、治療されている状態の重症度、投与されている(複数の)有効成分及び投与経路に基づいて医師によって決定することができる。
以下、本発明を、以下の非限定的な実施例においてさらに記載する。以下の添付の図面が参照される。
方法
ヒト好中球単離及び培養
ヒト好中球を、新たに取り出した静脈血から単離し、シトレーション(citration)、デキストラン沈降及び不連続PBS−パーコール勾配(Ward,C.らJ.Biol.Chem. 274巻、4309〜4318頁(1999年)、Haslett,CらAm.J.Pathol. 119巻、101〜110頁(1985年))の、完了するのにおよそ2時間かかるプロセス後に分離した。次いで、好中球(5×106個/ml)を、10%自己血清を補充したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)中で、指示された時間の間37℃で培養した。実験は、三連で実施し、少なくとも3回反復した。
ヒト好中球単離及び培養
ヒト好中球を、新たに取り出した静脈血から単離し、シトレーション(citration)、デキストラン沈降及び不連続PBS−パーコール勾配(Ward,C.らJ.Biol.Chem. 274巻、4309〜4318頁(1999年)、Haslett,CらAm.J.Pathol. 119巻、101〜110頁(1985年))の、完了するのにおよそ2時間かかるプロセス後に分離した。次いで、好中球(5×106個/ml)を、10%自己血清を補充したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)中で、指示された時間の間37℃で培養した。実験は、三連で実施し、少なくとも3回反復した。
好中球アポトーシスの評価
試薬[R−ロスコビチン、(R)−2−[[9−(1−メチルエチル)−6−[(フェニルメチル)アミノ]−9H−プリン−2−イル]アミノ]−1−ブタノール(A.G.Sclentific,Inc製)、ヒメニアルジシン(hymenialdisine)HD、4−(2−アミノ−4−オキソ−2−イミダゾリジン−5−イリデン)−2−ブロモ−4,5,6,7−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−8−オン(Dr Laurent Meijer, Roscoff, Franceから提供されたもの)及びNG−75(2−(1R−イソプロピル−2−ヒドロキシエチルアミノ)−6−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−9−イソプロピルプリン、Dr Nathanael Gray,University of California,Berkeley,USAから提供されたもの)、dbcAMP(Sigma)、GMCSF(R&D Systems)及びLPS(大腸菌(E.Coli)0127:B8,Sigma)]とともにインキュベートした後、好中球の100μlアリコートを、細胞遠心分離し、メタノールで固定し、Diff−Quik(商標)(Baxter Healthcare)で染色した。好中球は、アポトーシスに特徴的な形態変化について光学顕微鏡によって評価した(Savill,J.らJ.Clin.Invest 83巻、865〜875頁(1989年)、Ward,C.らJ.Biol.Chem. 274巻、4309〜4318頁(1999年))。1スライドあたり少なくとも500個の細胞を計数し、アポトーシスのパーセンテージを算出した。ホスファチジルセリン(PS)露出を測定するためのヒト組換えアネキシン−V−FITC(Roche,UK)を、ヨウ化プロピジウム(Sigma)と組み合わせて用いるフローサイトメトリーによって、アポトーシス及び膜の完全性の喪失も評価した。ストックのアネキシン−V−FITCを、アネキシン−V結合バッファー(500mlの、5μM CaCl2を含有するハンクス平衡塩類溶液)で1:500希釈し、5×104個の細胞に280μlの容積で加え、次いで、氷上で10分間インキュベートした。サンプルに、1μlのPI(ストック1mg/ml)を加え、直後に、EPICS XL2フローサイトメーター(Beckman Coulter,High Wycombe,UK)を用いて分析した。アポトーシスのデータがアネキシン−V結合として示されている場合は、アポトーシスはまた、形態学的評価によっても確認された。
試薬[R−ロスコビチン、(R)−2−[[9−(1−メチルエチル)−6−[(フェニルメチル)アミノ]−9H−プリン−2−イル]アミノ]−1−ブタノール(A.G.Sclentific,Inc製)、ヒメニアルジシン(hymenialdisine)HD、4−(2−アミノ−4−オキソ−2−イミダゾリジン−5−イリデン)−2−ブロモ−4,5,6,7−テトラヒドロピロロ[2,3−c]アゼピン−8−オン(Dr Laurent Meijer, Roscoff, Franceから提供されたもの)及びNG−75(2−(1R−イソプロピル−2−ヒドロキシエチルアミノ)−6−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−9−イソプロピルプリン、Dr Nathanael Gray,University of California,Berkeley,USAから提供されたもの)、dbcAMP(Sigma)、GMCSF(R&D Systems)及びLPS(大腸菌(E.Coli)0127:B8,Sigma)]とともにインキュベートした後、好中球の100μlアリコートを、細胞遠心分離し、メタノールで固定し、Diff−Quik(商標)(Baxter Healthcare)で染色した。好中球は、アポトーシスに特徴的な形態変化について光学顕微鏡によって評価した(Savill,J.らJ.Clin.Invest 83巻、865〜875頁(1989年)、Ward,C.らJ.Biol.Chem. 274巻、4309〜4318頁(1999年))。1スライドあたり少なくとも500個の細胞を計数し、アポトーシスのパーセンテージを算出した。ホスファチジルセリン(PS)露出を測定するためのヒト組換えアネキシン−V−FITC(Roche,UK)を、ヨウ化プロピジウム(Sigma)と組み合わせて用いるフローサイトメトリーによって、アポトーシス及び膜の完全性の喪失も評価した。ストックのアネキシン−V−FITCを、アネキシン−V結合バッファー(500mlの、5μM CaCl2を含有するハンクス平衡塩類溶液)で1:500希釈し、5×104個の細胞に280μlの容積で加え、次いで、氷上で10分間インキュベートした。サンプルに、1μlのPI(ストック1mg/ml)を加え、直後に、EPICS XL2フローサイトメーター(Beckman Coulter,High Wycombe,UK)を用いて分析した。アポトーシスのデータがアネキシン−V結合として示されている場合は、アポトーシスはまた、形態学的評価によっても確認された。
ウエスタンブロッティング
細胞(5×106個)を、PBSで洗浄し、その後、1:100 Sigmaプロテアーゼ阻害剤カクテル、7mM AEBSF、3mM アプロチニン、10mM ベンズアミジン、10mM β−グリセロリン酸、0.4mM ロイペプチン、40mM レバミソール、30mM ペプスタチンA、20mM オルトバナジウム酸ナトリウム及び1mlのTBS中0.1%のNP−40を含有する100μlの溶解バッファーに再懸濁した(Ward,C.らJ.Biol.Chem. 274巻、4309〜4318頁(1999年))。次いで、細胞を氷上で15分間インキュベートした。続いて、サンプルを23,100gav、4℃で20分間遠心分離した。1レーンあたり、タンパク質(40μg)又は1.5×106個の細胞に相当する量を添加し、サンプルを、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって分離し、ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)メンブランにトランスファーした。次いで、ブロットを、TBS/Tween中、5%スキムミルク粉末でブロッキングし、次いで、抗CDK1(BD Transduction Laboratories)、抗CDK2(BD Transduction Laboratories)、抗CDK5(Santa−Cruz Biotechnology)、抗カスパーゼ3(Cell Signaling Technologies)、Mcl−1(Santa−Cruz Biotechnology)又はβ−アクチン(Sigma)抗体でプローブした。
細胞(5×106個)を、PBSで洗浄し、その後、1:100 Sigmaプロテアーゼ阻害剤カクテル、7mM AEBSF、3mM アプロチニン、10mM ベンズアミジン、10mM β−グリセロリン酸、0.4mM ロイペプチン、40mM レバミソール、30mM ペプスタチンA、20mM オルトバナジウム酸ナトリウム及び1mlのTBS中0.1%のNP−40を含有する100μlの溶解バッファーに再懸濁した(Ward,C.らJ.Biol.Chem. 274巻、4309〜4318頁(1999年))。次いで、細胞を氷上で15分間インキュベートした。続いて、サンプルを23,100gav、4℃で20分間遠心分離した。1レーンあたり、タンパク質(40μg)又は1.5×106個の細胞に相当する量を添加し、サンプルを、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって分離し、ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)メンブランにトランスファーした。次いで、ブロットを、TBS/Tween中、5%スキムミルク粉末でブロッキングし、次いで、抗CDK1(BD Transduction Laboratories)、抗CDK2(BD Transduction Laboratories)、抗CDK5(Santa−Cruz Biotechnology)、抗カスパーゼ3(Cell Signaling Technologies)、Mcl−1(Santa−Cruz Biotechnology)又はβ−アクチン(Sigma)抗体でプローブした。
キナーゼアッセイ
好中球(20×106個)をペレットにし、アッセイされるまで−80℃で保存した。キナーゼ活性は、キナーゼの免疫沈降と、それに続く、ヒストンH1及び[γ−32P]ATPとのインキュベーションによってアッセイした。免疫沈降及びヒストンH1キナーゼアッセイを実施した(Gil−Gomez,GらEMBO J. 17巻、7209〜7218頁(1998年))。CDK1にはA17抗体(Pharmingen)及びCDK2免疫沈降にはM2抗体(Santa Cruz Biotechnology)を用いた。キナーゼアッセイは、SDS−12%ポリアクリルアミドゲルで分離し、クーマシーブルーで染色して、ヒストンH1バンドを可視化し、乾燥させ、オートラジオグラフィーのために曝露した。
好中球(20×106個)をペレットにし、アッセイされるまで−80℃で保存した。キナーゼ活性は、キナーゼの免疫沈降と、それに続く、ヒストンH1及び[γ−32P]ATPとのインキュベーションによってアッセイした。免疫沈降及びヒストンH1キナーゼアッセイを実施した(Gil−Gomez,GらEMBO J. 17巻、7209〜7218頁(1998年))。CDK1にはA17抗体(Pharmingen)及びCDK2免疫沈降にはM2抗体(Santa Cruz Biotechnology)を用いた。キナーゼアッセイは、SDS−12%ポリアクリルアミドゲルで分離し、クーマシーブルーで染色して、ヒストンH1バンドを可視化し、乾燥させ、オートラジオグラフィーのために曝露した。
カラゲナン誘導性胸膜炎
雄の8〜12週齢のC57BL/6Jマウス(B&K,Hull,UK)を、地方のガイドラインに従って、University of Edinburgh Animal Facilitiesに収容した。動物に、普通食及び水道水を自由に給餌した。マウスに、0.1mlの1% λ−カラゲナン(Marine Colloids,Philadelphia,Pennsylvaniaから提供されたもの)を胸膜内注射した。マウスを、カラゲナンを用いた注射の24時間後に、0.5mlの生理食塩水対照、0.5mlの0.5% DMSOビヒクル対照、10mg/Kg又は100mg/KgのR−ロスコビチン(腹腔内)のいずれか処理した。動物を、カラゲナンの注射後種々の時間に(36〜166時間)CO2の濃度を上げることによって処分した。胸膜腔を、1mlの、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、3.15%(重量/容積)のクエン酸ナトリウムで洗浄した。全胸腔浸出液を秤量することによって、浮腫形成を測定し、Coulter(登録商標)Counter(モデルDN;Beckman Coulter,High Wycombe,UK)を用いて全細胞数を測定した。
雄の8〜12週齢のC57BL/6Jマウス(B&K,Hull,UK)を、地方のガイドラインに従って、University of Edinburgh Animal Facilitiesに収容した。動物に、普通食及び水道水を自由に給餌した。マウスに、0.1mlの1% λ−カラゲナン(Marine Colloids,Philadelphia,Pennsylvaniaから提供されたもの)を胸膜内注射した。マウスを、カラゲナンを用いた注射の24時間後に、0.5mlの生理食塩水対照、0.5mlの0.5% DMSOビヒクル対照、10mg/Kg又は100mg/KgのR−ロスコビチン(腹腔内)のいずれか処理した。動物を、カラゲナンの注射後種々の時間に(36〜166時間)CO2の濃度を上げることによって処分した。胸膜腔を、1mlの、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、3.15%(重量/容積)のクエン酸ナトリウムで洗浄した。全胸腔浸出液を秤量することによって、浮腫形成を測定し、Coulter(登録商標)Counter(モデルDN;Beckman Coulter,High Wycombe,UK)を用いて全細胞数を測定した。
in vivoでのzVAD−fmkの投与
z−Val−Ala−DL−Asp−フルオロメチルケトン(zVAD−fmk)(Bachem(UK)Ltd,St Helens,UK)を、200mg/mlで100%DMSOに溶解し、0.9%生理食塩水で希釈して最終濃度1mg/mlとした。0.1mlの1% λ−カラゲナンの胸膜内注射の24時間後、いくつかの動物に、0.5ml 10mg/kgのR−ロスコビチン及び/又は0.5ml 1μg/kgのzVAD−fmkを腹腔内注射した。4及び8時間後、zVAD−fmkの2回のさらなる用量を腹腔内に投与し、12時間後、すべての動物をCO2の濃度を上げることによって屠殺した。すべての対照動物は、適当な量のDMSOビヒクルで処理した。
z−Val−Ala−DL−Asp−フルオロメチルケトン(zVAD−fmk)(Bachem(UK)Ltd,St Helens,UK)を、200mg/mlで100%DMSOに溶解し、0.9%生理食塩水で希釈して最終濃度1mg/mlとした。0.1mlの1% λ−カラゲナンの胸膜内注射の24時間後、いくつかの動物に、0.5ml 10mg/kgのR−ロスコビチン及び/又は0.5ml 1μg/kgのzVAD−fmkを腹腔内注射した。4及び8時間後、zVAD−fmkの2回のさらなる用量を腹腔内に投与し、12時間後、すべての動物をCO2の濃度を上げることによって屠殺した。すべての対照動物は、適当な量のDMSOビヒクルで処理した。
サイトカイン分析
細胞サイトカインプロフィールは、マウス炎症サイトカインビーズアッセイ(カタログ番号552362;BD Bioscience,Oxford,UK)を、製造業者の使用説明書に従って用いて測定し、BD Facs Calibur(BD Bioscience,Oxford,UK)を用いるフローサイトメトリーによって分析した。
細胞サイトカインプロフィールは、マウス炎症サイトカインビーズアッセイ(カタログ番号552362;BD Bioscience,Oxford,UK)を、製造業者の使用説明書に従って用いて測定し、BD Facs Calibur(BD Bioscience,Oxford,UK)を用いるフローサイトメトリーによって分析した。
胸膜腔から得られたアポトーシス細胞のアポトーシス及びマクロファージ食作用の形態学的評価
胸膜腔を、3.15%(重量/容積)のクエン酸ナトリウム in リン酸緩衝生理食塩水(PBS)1mlで洗浄し、細胞を遠心分離した(300g)。細胞を、1×106個細胞/mlで再懸濁し、細胞遠心分離調製物を作製し、Diff−Quik(商標)(Baxter Healthcare)で染色した。細胞を顕微鏡で調べて、各群の遊離アポトーシス細胞、マクロファージ食作用のパーセンテージ及び食作用指数を評価した。
胸膜腔を、3.15%(重量/容積)のクエン酸ナトリウム in リン酸緩衝生理食塩水(PBS)1mlで洗浄し、細胞を遠心分離した(300g)。細胞を、1×106個細胞/mlで再懸濁し、細胞遠心分離調製物を作製し、Diff−Quik(商標)(Baxter Healthcare)で染色した。細胞を顕微鏡で調べて、各群の遊離アポトーシス細胞、マクロファージ食作用のパーセンテージ及び食作用指数を評価した。
ブレオマイシン誘導性肺損傷
雄の8〜12週齢のC57BL/6Jマウス(B&K,Hull,UK)を、現地のガイドラインに従って、University of Edinburgh Animal Facilitiesに収容した。動物に、普通食及び水道水を自由に給餌した。マウスに、0.05mlの0.1Uブレオマイシン(Apollo Scientific, Bredbury, UK)又は生理食塩水(偽の対照)のいずれかを気管内投与し、次いで、24時間後に、0.5ml 0.5%DMSOビヒクル対照又は100mg/KgのR−ロスコビチンのいずれかで処理した。いくつかの動物を未処理のままとして、正常の生理状態を比較した。動物を、ブレオマイシン又は生理食塩水投与の72時間又は7日後、致死量のペントバルビトンによって処分した。急性72時間実験では、0.8mlの氷冷生理食塩水を用いる3回の連続洗浄で気管支肺胞洗浄を実施し、その後、組織の組織学的解析のために、4%ホルムアルデヒドで灌流した。エオシン及びヘマトキシリン染色を用いて細胞遠心分離調製物で種々の細胞計数を実施した。7日実験の組織学的解析を、組織の完全性を維持するために気管支肺胞洗浄を行わずに実施した。実験は、未処理対照、偽の対照(生理食塩水及びDMSO処理)、R−ロスコビチン対照(生理食塩水及び100mg/KgのR−ロスコビチン)、ブレオマイシン/ビヒクル(DMSO)対照及びブレオマイシン/R−ロスコビチン処理群を用い、1群あたり6匹のマウスを用いて実施した。
雄の8〜12週齢のC57BL/6Jマウス(B&K,Hull,UK)を、現地のガイドラインに従って、University of Edinburgh Animal Facilitiesに収容した。動物に、普通食及び水道水を自由に給餌した。マウスに、0.05mlの0.1Uブレオマイシン(Apollo Scientific, Bredbury, UK)又は生理食塩水(偽の対照)のいずれかを気管内投与し、次いで、24時間後に、0.5ml 0.5%DMSOビヒクル対照又は100mg/KgのR−ロスコビチンのいずれかで処理した。いくつかの動物を未処理のままとして、正常の生理状態を比較した。動物を、ブレオマイシン又は生理食塩水投与の72時間又は7日後、致死量のペントバルビトンによって処分した。急性72時間実験では、0.8mlの氷冷生理食塩水を用いる3回の連続洗浄で気管支肺胞洗浄を実施し、その後、組織の組織学的解析のために、4%ホルムアルデヒドで灌流した。エオシン及びヘマトキシリン染色を用いて細胞遠心分離調製物で種々の細胞計数を実施した。7日実験の組織学的解析を、組織の完全性を維持するために気管支肺胞洗浄を行わずに実施した。実験は、未処理対照、偽の対照(生理食塩水及びDMSO処理)、R−ロスコビチン対照(生理食塩水及び100mg/KgのR−ロスコビチン)、ブレオマイシン/ビヒクル(DMSO)対照及びブレオマイシン/R−ロスコビチン処理群を用い、1群あたり6匹のマウスを用いて実施した。
肺損傷の評価
肺損傷は組織学的検査によって評価し、肺を膨張させ、1mlの10%ホルマリンで固定し、5%硝酸を用いて3時間脱灰した。光学顕微鏡による形態学的検査のためにパラフィン包埋された肺の切片を作製し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
肺損傷は組織学的検査によって評価し、肺を膨張させ、1mlの10%ホルマリンで固定し、5%硝酸を用いて3時間脱灰した。光学顕微鏡による形態学的検査のためにパラフィン包埋された肺の切片を作製し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
関節炎の誘導及び評価
60日齢の関節炎のK/BxNマウスから抽出した血清(100μl)を、6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウス(B&K,Hull,UK)に腹腔内注射した。レシピエントには2日離して2回の注射を与え、R−ロスコビチン又はビヒクルを、図の凡例に示されるように、腹腔内に投与した。臨床検査によって関節炎をスコア化した。簡潔に述べると、1のスコアを、1指の紅斑単独又は腫脹するものに付した。2のスコアを、足根関節の紅斑及び腫脹又は踵関節又は手首関節単独の腫脹に起因するものに付した。3の最大スコアは、足根関節及び踵関節の両方、又は手首と指の両方又は2を超える指及び足根関節に腫脹が存在する場合に得られた。各肢のスコアを加えた、最大で12のスコアが得られ、平均スコアは、1群あたりのレシピエントマウスの数で除した総スコアを示す。データは、R−ロスコビチンの最初の注射の3日前に得られた臨床スコアのパーセンテージとして表されている。
60日齢の関節炎のK/BxNマウスから抽出した血清(100μl)を、6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウス(B&K,Hull,UK)に腹腔内注射した。レシピエントには2日離して2回の注射を与え、R−ロスコビチン又はビヒクルを、図の凡例に示されるように、腹腔内に投与した。臨床検査によって関節炎をスコア化した。簡潔に述べると、1のスコアを、1指の紅斑単独又は腫脹するものに付した。2のスコアを、足根関節の紅斑及び腫脹又は踵関節又は手首関節単独の腫脹に起因するものに付した。3の最大スコアは、足根関節及び踵関節の両方、又は手首と指の両方又は2を超える指及び足根関節に腫脹が存在する場合に得られた。各肢のスコアを加えた、最大で12のスコアが得られ、平均スコアは、1群あたりのレシピエントマウスの数で除した総スコアを示す。データは、R−ロスコビチンの最初の注射の3日前に得られた臨床スコアのパーセンテージとして表されている。
統計分析
in vitro実験の分析は、ANOVA及びスチューデント−ニューマン−クールズ(Student−Neuman−Keuls)比較検定を用いて実施した。<0.05のP値を有意と考えた。結果は、各々3連で実施された、少なくとも3つの別個の実験の平均±標準誤差として表されている。すべてのin vivo実験は、1群あたり6〜9匹のマウスを用いて行い、いくつかの実験では、反復して当初の知見を確認した。統計分析は、95%の信頼区間を用いるボンフェローニ多重比較ポストホック検定を用いる一元配置ANOVAによって実施した。データは、平均±標準誤差として表されている。
in vitro実験の分析は、ANOVA及びスチューデント−ニューマン−クールズ(Student−Neuman−Keuls)比較検定を用いて実施した。<0.05のP値を有意と考えた。結果は、各々3連で実施された、少なくとも3つの別個の実験の平均±標準誤差として表されている。すべてのin vivo実験は、1群あたり6〜9匹のマウスを用いて行い、いくつかの実験では、反復して当初の知見を確認した。統計分析は、95%の信頼区間を用いるボンフェローニ多重比較ポストホック検定を用いる一元配置ANOVAによって実施した。データは、平均±標準誤差として表されている。
結果
CDK阻害剤が、好中球アポトーシスに直接影響を及ぼし得るかどうかを調査するために、ヒト好中球を、漸増濃度の構造的に異なるCDK阻害剤(R−ロスコビチン(De Azevedo,W.F.らEur.J.Biochem. 243巻、518〜526頁(1997年)、Meijer,LらEur.J.Biochem. 243巻、527〜536頁(1997年)、Bach,S.らJ.Biol.Chem. 280巻、31208〜31219頁(2005年))、NG75(Gray,N.S.らScience 281巻、533〜538頁(1998年)、Chang,Y.T.らChem.Biol. 6巻、361〜375頁(1999年))及びHD(Meijer,L.らChem.Biol. 7巻、51〜63頁(2000年)、WilliamsらEur.J.Immunol. 30巻、709〜713頁(2000年))とともに20時間かけてインキュベートした。特に、用いたCDK阻害剤の濃度は、CDK阻害に関して具体的な効果を有するとこれまでに公開されたもの又はそれよりも低かった。簡潔に述べると、ヒト好中球(5×106個細胞/ml)を、10%自己血清を含むIMDM中で、漸増濃度のR−ロスコビチン、NG75又はHDとともに20時間インキュベートした。アポトーシスを、アネキシン−V−FITC結合によって評価し、形態学的評価によって確認した。値は、少なくともn=3の平均±標準誤差を表す。**(p<0.001)は、対照からの有意差を表す。結果は、図1aに示されている。図1bは、種々のCDK阻害剤が、好中球の時間依存性アポトーシスを誘導することを示す。簡潔に述べると、ヒト好中球(5×106個細胞/ml)を、10%自己血清を含有するIMDM中で20μMのR−ロスコビチン、10μMのNG75又は10μMのHDとともに20時間かけてインキュベートした。アポトーシスを、アネキシン−V−FITC結合によって評価し、形態学的評価によって確認した。
CDK阻害剤が、好中球アポトーシスに直接影響を及ぼし得るかどうかを調査するために、ヒト好中球を、漸増濃度の構造的に異なるCDK阻害剤(R−ロスコビチン(De Azevedo,W.F.らEur.J.Biochem. 243巻、518〜526頁(1997年)、Meijer,LらEur.J.Biochem. 243巻、527〜536頁(1997年)、Bach,S.らJ.Biol.Chem. 280巻、31208〜31219頁(2005年))、NG75(Gray,N.S.らScience 281巻、533〜538頁(1998年)、Chang,Y.T.らChem.Biol. 6巻、361〜375頁(1999年))及びHD(Meijer,L.らChem.Biol. 7巻、51〜63頁(2000年)、WilliamsらEur.J.Immunol. 30巻、709〜713頁(2000年))とともに20時間かけてインキュベートした。特に、用いたCDK阻害剤の濃度は、CDK阻害に関して具体的な効果を有するとこれまでに公開されたもの又はそれよりも低かった。簡潔に述べると、ヒト好中球(5×106個細胞/ml)を、10%自己血清を含むIMDM中で、漸増濃度のR−ロスコビチン、NG75又はHDとともに20時間インキュベートした。アポトーシスを、アネキシン−V−FITC結合によって評価し、形態学的評価によって確認した。値は、少なくともn=3の平均±標準誤差を表す。**(p<0.001)は、対照からの有意差を表す。結果は、図1aに示されている。図1bは、種々のCDK阻害剤が、好中球の時間依存性アポトーシスを誘導することを示す。簡潔に述べると、ヒト好中球(5×106個細胞/ml)を、10%自己血清を含有するIMDM中で20μMのR−ロスコビチン、10μMのNG75又は10μMのHDとともに20時間かけてインキュベートした。アポトーシスを、アネキシン−V−FITC結合によって評価し、形態学的評価によって確認した。
示す通り、3種のCDK阻害剤すべてによって誘導される好中球アポトーシスにおいて、劇的な濃度依存的(図1a)及び時間依存的(図1b)な増大があった。
好中球集団の通常のアネキシン−V及びPIプロフィールによって、NG75処理の8時間後、アネキシンV陽性細胞の著しい増大が観察されることが実証された(図1c〜e)。より長い処理(すなわち、20時間)を施すと、続発性壊死に相当する、核の喪失及びひだ状の原形質膜によって形態学的に同定され得る細胞に対応して、増大した数のアネキシン−V/PI陽性細胞集団が観察された(図1e)。同様のプロフィールが、R−ロスコビチン及びHD処理を用いても見られ、アネキシンV結合%として示されたすべてのアポトーシスのデータは、形態学的評価によって確認された(データを示さず)。このように、R−ロスコビチン、NG75及びHDは、構成的アポトーシスの比率を大幅に増大させた。経時変化研究については、R−ロスコビチン(20μM)及びNG75(10μM)は、8時間後にアポトーシスの比率を劇的に増大させたのに対し、10μMのHDは、アポトーシスの基本比率を増大させなかった(図1b)。本発明者らは生存因子によって誘導される遅発性アポトーシスに対するCDK阻害剤の効果を試験しようとしたために、本発明者らは、10μMのHD、構成的アポトーシスの比率自体に大幅に影響を及ぼさない濃度を意図的に用いた(以下及び図1h参照のこと)。R−ロスコビチンの細胞標的の系統的な研究は、CDK1、CDK2及びCDK5に対して著しく高い特異性を有し、CDK4及びCDK6を含むその他のキナーゼに対してはそうではなく、さらに、NG−75及びHDの両方とも、同様のCDKに対して高い特異性を有することを示している。実際、R−ロスコビチンと複合体形成しているヒトCDK2の結晶構造が、ロスコビチンのR−立体異性体が精製CDK1/サイクリンBの阻害の際にS−立体異性体よりもわずかにより強力であることを示す証拠とともに記載されている(それぞれ、IC50=0.45μM及び0.95μM)。20μMで立体異性体を用いた本発明者自身の研究は、6時間後にアネキシンV結合によって評価され、形態学的判定基準によって確認されたアポトーシスの比率は、対照について12.4±0.4%、DMSO(0.04%)対照について12.8±1.3%、R−ロスコビチンについて75.9±3.5%及びS−ロスコビチンについて75.6±3.3%であった(平均±標準誤差;n=4 別個のドナーについてそれぞれ3連で実施した読み取り)ということを示した。
CDK阻害剤はアポトーシスを加速できたので、本発明者らは、これらの化合物が、種々のシグナル伝達経路によってアポトーシスを遅延することがわかっている薬剤の効果も逆転できるかどうかを調べた(Riley,N.A.らAnti−Inflammatory&Anti Allergy Agents in Medicinal Chemistry 5巻、3〜12頁(2006年))。例えば、dbcAMPは、細胞膜を透過し、内因性cAMPを模倣し、タンパク質合成に対する直接効果を含まず、PKAとは独立して作用し得る機序によって好中球アポトーシスを遅延する(MartinらJ.Biol.Chem. 276巻、45041〜45050頁(2001年))。GM−CSFは、GM−CSF受容体を介してアポトーシスを阻害し、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)及びシグナル伝達性転写因子1(STAT1)の活性化をもたらすことが実証されている。リポ多糖類(LPS)は、Toll様受容体(TLR)4と結合し、これがCD14と相互作用し、最終的にマイトジェン活性化キナーゼ(MAPK)、P13K及び/又はNF−κBシグナル伝達につながり、アポトーシスを阻害する。さらに、好中球アポトーシスのLPS誘導性遅延の多くが、単球の存在に応じて変わることを示唆する強力な証拠がある(Sabroe,Iら、J.Immunol. 68巻、4701〜4710頁(2002年)、Sabroe,Iら、J.Immunol. 170巻、5268〜5275頁(2003年))。好中球のdbcAMP、GMCSF及びLPS介在性生存に対するCDK阻害剤の効果を調査し、結果は図1f〜hに示した。この研究では、ヒト好中球(5×106個細胞/ml)を、10%自己血清を含むIMDM中で、示されるとおり0.2μM dbcAMP、50U/ml GMCSF又は1μg/ml LPSとともに30分間プレインキュベートした。続いて、適当な濃度のR−ロスコビチン(図1f)、NG75(図1g)又はHD(図1h)を加え、細胞をさらに20時間インキュベートした。アポトーシスは、アネキシン−V−FITCによって評価し、形態によって確認した。
図1f〜hに示すように、しかしながら驚くべきことに、CDK阻害剤は、これらの生存シグナルのすべてを、濃度依存的に(図1f〜h)、アポトーシス自体を直接誘導しない濃度でも無効にすることができた(10μM HDデータを参照のこと)。この後者の観察結果は、アポトーシスの生存因子誘導性遅延に対するCDK阻害剤の効果が、それらが有するアポトーシスに対する任意の直接効果とは独立に生じるか、より感受性があること、並びに、CDK阻害剤が、抗アポトーシス薬によって誘発されるシグナル伝達経路とはかかわりなく好中球の生存を無効にすることができるということを示唆する。
根底にある潜在的な分子機構を調査するために、本発明者らは、CDK阻害剤誘導性アポトーシスがカスパーゼ依存性であるかどうかを調査した。結果は、図2a及び2bに示されている。ヒト好中球(細胞5×106個/ml)を、10%自己血清を含むIMDM中で6時間、R−ロスコビチン(20μM)及びzVAD−fmk(100μM)とともに、又はzVAD−fmk(100μM)は伴わずR−ロスコビチン(20μM)とともにインキュベートした。アポトーシスを、アネキシン−V−FITCによって評価し、形態によって確認した。CDK1及びCDK2タンパク質は、好中球において発現され、R−ロスコビチンは、好中球においてカスパーゼ切断を誘導する。図2bについては、ヒト好中球(5×106個細胞/ml)を、単離後(0時間)又はバッファー、GM−CSF(50U/ml)、R−ロスコビチン(20μM)又はGM−CSF(50U/ml)及びR−ロスコビチン(20μM)で4時間処理した後に溶解した。続いてタンパク質をSDSゲルで分離した。ウエスタンブロッティング後、PVDFメンブランを、抗カスパーゼ3、抗CDK1、抗CDK2又は抗β−アクチン抗体でプローブした。ブロットは、少なくとも3の別個の実験を代表するものである。
このように、本発明者らは、広域カスパーゼ阻害剤z−VAD−fmkとともの好中球のプレインキュベーションが、R−ロスコビチン誘導性アポトーシスを防いだので(図2a)、CDK阻害剤誘導性アポトーシスは、カスパーゼ依存性であることを実証した。CDK阻害剤が、好中球においてカスパーゼ活性化することの直接検証は、図2bにおいて実証され、これでは、R−ロスコビチンがカスパーゼ−3切断をもたらすことがウエスタンブロット解析によって検出されている。さらに、本発明者らは、R−ロスコビチン誘導性カスパーゼ−3切断は、好中球が生存促進因子GMCSFとともに共培養される場合に減弱されることを示す(図2b)。4時間という初期の時点で、基礎アポトーシスの比率は低く(<5%;図1b)、したがって、カスパーゼ3切断のレベルは最小である(図2b)。しかし、好中球がR−ロスコビチン単独で処理される場合には、カスパーゼ−3切断は、4時間ですでに極めて明らかである。生存促進因子GM−CSFの存在下でのR−ロスコビチン処理は、おそらくは、アポトーシス促進経路と抗アポトーシス経路が競合するために、カスパーゼ−3切断の量を減少させた(図2b)。しかし、20時間で、R−ロスコビチンのアポトーシス促進性効果が、生存因子介在性効果を上回って支配的であることは明らかである(図1f)。
好中球は、最終分化しており、細胞分裂を受けないので、好中球におけるCDK及びその結合パートナーは現在まで詳細には研究されていなかった。本発明者らは、好中球アポトーシスの前及び間のCDK1及びCDK2タンパク質発現を評価した。簡潔に述べると、ヒト好中球(5×106個細胞/ml)を、単離後(0時間)又はバッファー、GM−CSF(50U/ml)又はグリオトキシン(0.1μg/ml)で20時間処理した後に溶解した。続いて、タンパク質を、SDSゲルで分離した。ウエスタンブロッティング後、PVDFメンブランを、抗CDK1又は抗CDK2抗体でプローブした。ブロットは、3の別個の実験を代表している。
結果は、CDK1及びCDK2タンパク質発現は、好中球アポトーシスの間、変化しないということを示す。ウエスタンブロッティング解析によって、CDK1及びCDK2の両方とも存在することがわかった(図2b及びc)。その他の細胞系では、CDK1は、サイクリンA及びサイクリンBと結合することがわかっており、CDK2は、サイクリンE及びEと結合するのに対し、CDK5は、サイクリンとは結合せず、非サイクリンp35及びp39調節タンパク質によって活性化されるようである。しかし、本発明者らの研究によって、新たに単離された好中球(完了するのに約2時間かかるプロセス)、時間経過した好中球(4時間)又はGM−CSF、R−ロスコビチン単独又は組み合わせて処理されたもの(4時間)では、CDKタンパク質レベルの相違はないと思われるということが示唆される。好中球を、バッファー、GM−CSFとともに20時間インキュベートした場合又はグリオトキシンでのアポトーシスの誘導後でも(Ward,C.らJ.Biol.Chem. 274巻、4309〜4318頁(1999年))、CDKのレベルは変化しなかった(図2c)。したがって、CDKはアポトーシスの誘導にとって重要であると思われたが、CDK1及び/又はCDK2は、アポトーシスの間の分解の標的ではなかった。さらに、R−ロスコビチンはまたCDK5も阻害し得るので、本発明者らは、ウエスタンブロット解析を実施し、ヒト好中球におけるCDK5の存在を示した(データを示さず)。この知見は、Rosalesらと一致する。CDK活性を測定し、CDK1についての結果を図2d及びeに示した。好中球(5×106個細胞/ml)を、抗Fas活性化抗体CH11(500ng/ml)を用いて、指示される時間処理した。続いて、各サンプルについて107個の細胞を溶解し、溶解物を抗CDK1抗体とともにインキュベートし、CDK1活性をヒストンH1への32P移動によって測定した。アポトーシス(アネキシン−V−FITC/PI)及びCDK1活性は、2時間毎に8時間にわたり測定した。CDK1活性は、0時間及び2時間で検出したが、続いて、経時的にアポトーシスのレベルが増大したので検出不能になった。やはり、実験の間にCDK1発現レベルにおいて相違は、検出できなかった。CDK2活性も測定したが、活性は検出できなかった(結果を示さず)。結果は、少なくとも3の別個の実験を代表するものである。興味深いことに、好中球において、CDK1(図2d及びe)、CDK2(示さず)及びCDK5活性が実証された。単離された好中球におけるCDK1活性は、細胞が抗Fas活性化抗体CH11によって誘導されたアポトーシスを受けるので、急速に低下した(図2e)。
本発明者らは、アポトーシスの重要な調節因子であるとわかっている重要な生存タンパク質Mcl−1の発現に対するR−ロスコビチンの効果をさらに精査した(Michelsら、Int J.Biochem.Cell Biol. 37巻、267〜271頁(2005年)、Mouldingら、Blood 92巻、2495〜2502頁(1998年))。ヒト好中球(5×106個細胞/ml)をバッファー、GM−CSF(50U/ml)、R−ロスコビチン(20μM)又はGM−CSF(50U/ml)及びR−ロスコビチン(20μM)を用いて4時間処理した。続いて、サンプルを溶解し、タンパク質をSDSゲルで分離した。ウエスタンブロッティング後、PVDFメンブランを抗Mcl−1抗体でプローブした。ブロットは、少なくとも3の別個の実験を代表するものである。結果を、図2fに示す。本発明者らは、単離細胞中のMcl−1のレベルが2時間の培養以内に急速に低下すること、GM−CSF処理によって防がれる効果を実証している。R−ロスコビチンは、GM−CSFによって媒介されるMcl−1の上方調節を阻害する(図2f)。
好中球アポトーシスが、CDK阻害剤によって劇的に影響を受けることがin vitroで示したので、本発明者らは、次いで、in vivoでの好中球優性炎症の回復に対するR−ロスコビチンの効果を判定した。カラゲナン誘導性胸膜炎症の急性回復モデルを用いて、CDK阻害剤の効果を評価した。この十分に確立されたモデルを上手く用いて、炎症細胞動員の動態を調べ、炎症機序並びに潜在的な抗炎症特性を有する薬剤を調査した(Gilroy,D.W.らNat.Med. 5巻、698〜701頁(1999年)、Gilroy,D.W.らFASEB J. 17巻、2269〜2271頁(2003年)、Sawatzkyら、Am.J.Pathol. 168巻、33〜41頁(2006年)、Cailhier,J.F.らAm.J.Respir.Crit Care Med. 173巻、540〜547頁(2006年))。本研究では、1%カラゲナンの胸膜内注射の24時間後、雄のC57/bl6マウスを、生理食塩水、DMSO、10又は100mg/KgのR−ロスコビチン(腹腔内)で処理した。すべてのマウスを、カラゲナンの36時間後に屠殺し、総胸膜炎症細胞数(図3a)、単核細胞及びPMN数(図3b)及び浸出液容積(図3c)の数を測定した。値は、1群あたり8〜10匹のマウスの平均±標準誤差を表す。**p<0.01及び***p<0.001は、DMSO対照からの有意差を表す。
R−ロスコビチンは、1%カラゲナンの胸膜内注射の24時間後に腹腔内投与された場合に、確立された炎症の回復を加速した(図3)。したがって、10mg/kgのR−ロスコビチン(腹腔内)処理は、ビヒクル対照と比較して50%を超える総炎症細胞数を抑制し(図3a)、単球/マクロファージ及び好中球の数が減少した(図3b)。注目すべきことに、100mg/kgのR−ロスコビチンは、炎症細胞の量を、未処理のマウス胸膜腔において通常見られるベースラインレベル付近に低減させた。R−ロスコビチンはまた、胸腔洗い流しによって得られる総浸出液容積によって測定される浮腫形成が、生理食塩水対照と比較して、R−ロスコビチン処理で3倍減少したので、機能的抗炎症効果を示した(*p<0.05;図3c)。
同時に、R−ロスコビチンの存在下では、炎症浸出液中の炎症促進性メディエーターIL−6(図3d)、IFN−γ(図3e)及びMCP−1(図3f)の放出も減少した。この研究では、1%カラゲナンの胸膜内注射の24時間後に、雄のC57/bl6マウスを、生理食塩水、DMSO、10又は100mg/KgのR−ロスコビチン(腹腔内)で処理した。カラゲナンの36時間後、サイトカインビーズアッセイによって、胸腔浸出液中のIL−6(図3d)、IFN−γ(図3e)及びMCP−1(図3f)を測定した。値は、1群あたり8〜10匹のマウスの平均±標準誤差を表す。**p<0.01及び***p<0.001は、DMSO対照からの有意差を表す。
炎症回復の加速に対するR−ロスコビチンの濃度依存性効果を実証したので、本発明者らは、次いで、7日間という期間にわたるCDK阻害剤の効果を判定した。炎症のピークで(24時間で)投与されたR−ロスコビチン(100mg/kg腹腔内)は、炎症の著しい回復をもたらしたことが、調べたすべての時点の胸膜腔総細胞数(図3g)、及び、カラゲナンの36時間後に計数された総細胞、好中球及び単球/マクロファージ数(図3a及びb)によって評価され、このことは、CDK阻害剤が、炎症回復を増強するというさらなる証拠を提供する。R−ロスコビチンは、in vitroでヒト好中球のカスパーゼ依存性アポトーシスを誘導したので(図2a及びb)、全身R−ロスコビチンを用いて観察された炎症回復の増強が、in vivoにおいてカスパーゼ依存性炎症細胞アポトーシスの同様の誘導によって媒介されるかどうかを確定することは重要であった。これを確定するために、1%カラゲナンの胸膜内注射の24時間後、雄のC57/b6マウスを、10mg/KgのR−ロスコビチン(腹腔内)及び/又は1μg/KgのzVAD−fmk(4時間間隔で腹腔内)を用いて腹腔内処理した。すべてのマウスを、カラゲナンの36時間後に屠殺し、総胸膜炎症細胞数(図4a)及び浸出液容積(図4b)を測定した。zVAD−fmkの効果を以下のとおり調べた(図4c)。1%カラゲナンの胸膜内注射の24時間後、雄のC57/bl6マウスを、10mg/KgのR−ロスコビチン(腹腔内)及び/又は1μg/KgのzVAD−fmk(4時間間隔で腹腔内)を用いて腹腔内処理した。すべてのマウスを、カラゲナンの36時間後に屠殺し、アネキシンV標識及びフローサイトメトリーによって胸膜炎症細胞におけるアポトーシスを分析した。また、炎症細胞アポトーシスをヘマトキシリン及びエオシン染色した細胞遠心分離調製物上で形態によって評価した。
広域性スペクトルカスパーゼ阻害剤zVAD−fmkの全身投与は、カラゲナン誘導性胸膜炎症の急性モデルにおける胸膜腔中の炎症細胞及び浮腫形成のR−ロスコビチン誘導性減少を防いだ(図4)。興味深いことに、zVAD−fmkは、生理食塩水又はビヒクル対照と比較した場合に、総炎症細胞数(図4a)及び浮腫形成(図4b)を増大することによってin vivoにおいて炎症の回復を防いだ。さらに、胸膜腔におけるR−ロスコビチン処理で観察された、炎症細胞アポトーシス(図4c)及びアポトーシス小体含有マクロファージ(図4d及びe参照)の増大が、zVAD−fmkでの処理によって劇的に阻害された。本発明者らはまた、胸膜腔においてカラゲナンで処理したマウスの肺はまた、肺区域に、結果として著しい炎症浸潤液を有することを注記した(図4f)。この肺炎症もまた、R−ロスコビチン処理によって劇的に低減した(図4g)。
R−ロスコビチン処理での抗炎症効果及び回復促進効果を、別の2種の炎症モデルにおいてさらに確認した。ブレオマイシン誘導性肺炎症の回復に対するCDK阻害剤R−ロスコビチンの効果は、以下のとおり評価し、結果を図5aに示している:ブレオマイシンの気管内投与の48時間後に、100mg/KgのR−ロスコビチン(腹腔内)を投与し、ここでは好中球(黒バー)及び単球/マクロファージ(白バー)の数を、ブレオマイシン投与の3日後にBAL液から得られた種々の細胞計数によって確定した。
慢性ブレオマイシン誘導性肺損傷モデルにおいて、肺において炎症が確立された後に投与されたR−ロスコビチン(100mg/kg腹腔内)は、ブレオマイシン投与の3日後の気管支肺胞洗浄(BAL)液中の好中球の総数を減少させた(**p<0.01;図5a)。このモデルでは、炎症及び組織損傷に対するR−ロスコビチンの効果を、以下のように確定した:100mg/KgのR−ロスコビチン(腹腔内;d)又はビヒクル対照(0.5% DMSO;腹腔内;c)を、ブレオマイシン又は生理食塩水(偽の対照;b)の気管内投与の48時間後に投与した。ブレオマイシン処理の7日後、肺炎症及び組織学的組織損傷を、各処理群のヘマトキシリン及びエオシン染色したパラホルムアルデヒド固定した肺切片の形態学的検査(原倍率×40)によって評価した。結果を図5b〜dに示す。
組織学的検査によって、ブレオマイシン誘導性肺損傷が7日間持続することを許される場合には、R−ロスコビチンは、ブレオマイシン誘導性組織損傷を防ぐことが示された(図5b〜d)。R−ロスコビチンは、偽の気管内生理食塩水対照とともに投与される場合には、肺病態に対する明らかな有害な効果はなかった(図5b)。
別の実験セットにおいて、本発明者らは、ブレオマイシン誘導性致死性に対するロスコビチンの効果を調査した。12日までに、ブレオマイシン単独で処理した8匹のマウスのうち3匹が死亡したのに対し、対照及びロスコビチン処理したマウスは全く死亡しなかった。14日目に実験が終了する前に、13日までに、ブレオマイシン及びロスコビチン処理動物のうち1匹が死亡した(データを示さず)。
さらに、本発明者らは、受動的に誘導された関節炎のモデルにおいてR−ロスコビチンの効果をさらに調査した。マウス(各群においてn=10)に、関節炎(60日目)のK/BxNトランスジェニックマウスから得たK/BxN血清を用いて2回注射した(0及び3日目)。示された日に臨床スコアを評価した。対照マウスには、ビヒクル0.5mlを腹腔内に投与し、処理マウスには、R−ロスコビチン(0.5ml、10mg/kg、腹腔内)を3、5、7、9、11、13、15、17、19日目に投与した。結果を、図5eに示す。データを、R−ロスコビチンの最初の注射の3日前に得られた臨床スコアのパーセンテージとして表す。本発明者らは、臨床スコアによって評価される関節炎が、ロスコビチン処理動物において、対照処理動物よりも迅速に劇的に回復することを観察した。
考察
炎症細胞アポトーシスの特異的誘導は、炎症性疾患の将来の治療における新規アプローチに相当する。急性又は慢性いずれかの設定における、炎症発作後に起こる事象の協調されたカスケードは、発症から回復相まで高度に調節されている。これは、多数のメディエーター(例えば、PGs、PAF、ロイコトリエン、リポキシン)、増殖因子(例えば、GM−CSF)、サイトカイン(例えば、TNFα、IL−1β)及びケモカイン(例えば、IL−8、エオタキシン)の生成によって細胞遊走及び浸潤、生存及び炎症反応の永続化を制御する、一連のチェックポイントを含む。遊走された細胞の寿命も高度に調節され、個々の細胞は、アポトーシスによる予めプログラムされた形での死滅に感受性があり、又は生体内原位置(in situ)で潜在的に有害な形で持続し、継続する過剰な分泌活性によって、又は続発性壊死による細胞死の結果によって組織破壊を促進する場合もある。CDKは、従来、もっぱら増殖細胞の運命を制御すると考えられてきた重要な細胞シグナル伝達タンパク質であり、CDK機能障害は、細胞ターンオーバーの増大及び腫瘍進行に関与している可能性がある。CDKの阻害を目的とした最新の治療が、種々の癌、例えば、非小細胞肺癌及び乳癌の治療のために開発中である。
炎症細胞アポトーシスの特異的誘導は、炎症性疾患の将来の治療における新規アプローチに相当する。急性又は慢性いずれかの設定における、炎症発作後に起こる事象の協調されたカスケードは、発症から回復相まで高度に調節されている。これは、多数のメディエーター(例えば、PGs、PAF、ロイコトリエン、リポキシン)、増殖因子(例えば、GM−CSF)、サイトカイン(例えば、TNFα、IL−1β)及びケモカイン(例えば、IL−8、エオタキシン)の生成によって細胞遊走及び浸潤、生存及び炎症反応の永続化を制御する、一連のチェックポイントを含む。遊走された細胞の寿命も高度に調節され、個々の細胞は、アポトーシスによる予めプログラムされた形での死滅に感受性があり、又は生体内原位置(in situ)で潜在的に有害な形で持続し、継続する過剰な分泌活性によって、又は続発性壊死による細胞死の結果によって組織破壊を促進する場合もある。CDKは、従来、もっぱら増殖細胞の運命を制御すると考えられてきた重要な細胞シグナル伝達タンパク質であり、CDK機能障害は、細胞ターンオーバーの増大及び腫瘍進行に関与している可能性がある。CDKの阻害を目的とした最新の治療が、種々の癌、例えば、非小細胞肺癌及び乳癌の治療のために開発中である。
本明細書に記載されるように、本発明者らは、驚くべきことに、CDK阻害剤は、最終分化した細胞であると考えられている好中球においてアポトーシスを促進することを示した。
炎症部位での炎症細胞ターンオーバーは、細胞動員、アポトーシス及びそれらのその後のクリアランス間のバランスによって抑制されている。さらに、炎症マクロファージによるアポトーシス細胞の摂取はまた、抗炎症特性を有するメディエーター(例えば、TGF−β1及びIL−10)の合成及び放出を促進する。本研究によって、in vitroでCDK阻害剤によるヒト好中球のアポトーシスを加速する新規機序が示され、マウスでは、in vivoにおけるこのアポトーシスの増強が、好中球依存性炎症の回復の増大もたらすことが実証された。本発明者らは、ヒト好中球は、CDK1(図2)、CDK2(図2)及びCDK5(データを示さず)を有し、これらが炎症において機能的な役割を果たしている可能性があることを示した。本発明者らはまた、CDKの特異的阻害剤、R−ロスコビチン、NG75及びHDは、カスパーゼ依存性機序を含むヒト好中球アポトーシスを、時間及び濃度依存的に誘導するということを実証した。CDK阻害剤が、強力な生存促進剤(例えば、dbcAMP、GM−CSF及びLPS)の存在下でさえもアポトーシスを誘導することは重要である。このことは、この研究において試験のために選択された生存促進剤が、別個の、異なる分子機構によってヒト好中球アポトーシスを遅延させるので特に興味深い。単球が混入していることが、LPS介在性好中球生存の一因となるということを示唆する有力な証拠がある。したがって、LPSは、単球が、その他の生存因子(例えば、IL−1、GM−CSF、IL−8等)を合成及び放出して好中球生存を誘導することを誘発し得る。好中球アポトーシスに対するLPSの正確な作用機序がなんであろうと、本発明者らのデータは、CDK阻害剤がそれらを克服することができるということを明らかに示す。したがって、CDK阻害剤の、内因性生存促進メディエーターを無効にする能力は、このようなメディエーターのレベルが、炎症部位で局所的に上昇して見られる炎症性疾患におけるそれらの使用の可能性をさらに示唆する。本発明者らは、CDK1及びCDK2酵素のタンパク質発現レベルは、アポトーシス過程の間に変化しないが、その酵素活性は変更されることを見出した。したがって、アポトーシス促進性抗Fas抗体CH11での好中球の処理は、アポトーシスの発生に先立ってCDK1活性の喪失をもたらした。対照的に、これまでに研究は、非循環神経細胞には、アポトーシスの誘導のためにCDK活性化が必要であり、CDK阻害剤は細胞死を防ぐことができるということを示していた。
明らかに対照的に、本発明者らの結果は、CDK活性が好中球生存にとって必要であり、必須であるということを示唆する。さらに、本発明者らは、R−ロスコビチン誘導性アポトーシスがカスパーゼ依存性であり、Mcl−1;好中球アポトーシスの制御において重要であるとわかっている抗アポトーシスタンパク質のBcl−2ファミリーのメンバー(Moulding.Blood 92巻、2495〜2502頁(1998年))の発現の喪失を伴うことを示す。CDK阻害剤によるMcl−1発現の喪失は、かなり興味深い焦点であり、アポトーシスの制御に関与する重要な機序である可能性がある。さらに、CDK5もR−ロスコビチンの標的であり、このCDKはヒト好中球において報告されている(Rosales,J.Lら、Biol.Chem. 279巻、53932〜53936頁(2004年))ので、本発明者らはウエスタンブロット解析を実施し、CDK5タンパク質がヒト好中球において実際に存在することを確認した(データを示さず)。
CDK阻害剤がin vitroでアポトーシスを調節できることを実証したので、本発明者らは、カラゲナン誘導性胸膜炎のin vivoモデルにおいて、R−ロスコビチンが用量依存的に炎症の回復を促進することの確認を進めた。R−ロスコビチンはまた、炎症促進性サイトカイン、例えば、IL−6、MCP−1及びIFN−γの放出も阻害し、このことは、回復促進的役割をさらに支持した。R−ロスコビチンがin vivoで、アネキシンV標識によって、及び形態学的分析によって評価されるアポトーシスを誘導することが実証されたことは重要である。本発明者らは、これまでに、ラットにおけるカラゲナン誘導性胸膜炎の急性in vivoモデルにおいて、MAPK及びBcl−2ファミリーに由来する生存促進分子、すなわち、Bcl−xL及びERK1/2を阻害することは、炎症細胞アポトーシスを誘導することによって炎症の回復を促進し得ることを示している(SawatzkyらAm.J.Pathol. 168巻、33〜41頁(2006年))。反対に、本発明者らはまた、アポトーシス促進分子、Baxの阻害は、このモデルにおいて炎症の回復を妨げるということも実証している。したがって、カラゲナン誘導性胸膜炎は、炎症回復を調査するためのアポトーシスの薬理学的処置のための優れたモデルであると思われる。
さらに、炎症反応の絶頂で投与されたR−ロスコビチンは、ブレオマイシン誘導性肺炎症の回復を増強した。このモデルは、その臨床的関連のためだけではなく(AzambujaらPulm.Pharmacol.Ther. 18巻、363〜366頁(2005))、劇的急性炎症反応の進行が、慢性炎症及び線維症に至るために(Nagase,T.らNat.Med. 8巻、480〜484頁(2002年)、Teder,P.らScience 296巻、155〜158頁(2002年))用いられた。このモデルでは、本発明者らは、気管支肺胞洗浄液中への初期好中球蓄積並びに後の肺炎症及び損傷が、R−ロスコビチン処理によって減弱されることを示す。重要なことに、本発明者らは、R−ロスコビチンがブレオマイシン誘導性致死性を減少させたことも観察し、このことから、肺損傷及び結果として起こる死につながるブレオマイシンが誘導する長期の炎症も、CDK阻害剤によって減弱されることが示唆される。別の炎症モデルでは、本発明者らは、血清誘導性関節炎において、臨床スコアの改善によって評価される、炎症反応の回復の顕著な増強を観察した。CDK阻害剤が好中球アポトーシスを促進することを示す本発明者らのin vitro研究は、特に興味深いものであり、カラゲナン誘導性胸膜炎(SawatzkyらAm.J.Pathol. 168巻、33〜41頁(2006年))、ブレオマイシン誘導性肺損傷(Nagase,T.らNat.Med. 8巻、480〜484頁(2002年)、Teder,P.らScience 296巻、155〜158頁(2002年))及び関節炎(Jonsson,H.Nat.Med. 11巻、666〜671頁(2005年))のモデルを含めて、好中球がin vivoにおける炎症反応の調節において非常に重要であることを示す一連の証拠を増大させる。
本発明者らはまた、in vivoにおいて、CDK阻害剤による炎症の回復の増強が、アポトーシスの増強によって媒介されるかどうかを調査した。本発明者らは、カラゲナン誘導性胸膜炎のマウスモデルにおいて、広域性スペクトルカスパーゼ阻害剤;zVAD−fmkを用いるアポトーシスの阻害は、炎症の回復を妨げるということを示した。zVAD−fmk投与の投与計画は、in vivoで効果を誘発するために最も重要であり、3時間毎に注射を投与した先の研究に基づいていた(De Paepeら、Am.J.Physiol Lung Cell Mol.Physio l287巻、L730〜L742頁(2004年))。重要なことに、in vivoで、R−ロスコビチン誘導性アポトーシス及び抗炎症性効果は、カスパーゼ阻害剤zVAD−fmkによって逆転され得る。このことは、CDK阻害剤の抗炎症性機序が、カスパーゼ依存性炎症細胞アポトーシスの誘導によるものであるというさらなる証拠を提供する。
CDKは、多数の細胞種において豊富であり、細胞分裂及び増殖を決定的に調節する。ここで、本発明者らは、CDKの特異的阻害剤の全身投与は、炎症細胞のアポトーシスを原位置で誘導し、炎症回復を促進できることを実証する。癌におけるCDK阻害の効果を調査するその他のマウスin vivo研究は、R−ロスコビチンの全身投与が、腫瘍の大きさの特異的低減を引き起こすことを示している(McClue,S.J.らInt.J.Cancer 102巻、463〜458頁(2002年))。その研究の著者はまた、R−ロスコビチン(2g/kgという高用量でさえも)は、耐容性良好であるということを注記した。腫瘍細胞は、欠陥のあるCDK経路を有し、これが細胞増殖を促進し、細胞アポトーシスを妨げるということは広く認められており(Vermeulen,Kら、Cell Prolif. 36巻、131〜149頁(2003年)、Senderowicz,A.M.Oncogene 22巻、6609〜6620頁(2003年))、したがって、CDK阻害剤は、これを特異的に標的とし、その治療的作用を誘発すると考えられている。本発明者らの研究は、CDK阻害剤はまた、in vitroで、非増殖性炎症細胞においてアポトーシスを促進し、in vivoでは、アポトーシスを促進し、続いて、マクロファージによる好中球の安全なクリアランスによって炎症回復を加速するということを実証する最初のものである。結論として、本発明者らは、増大した、又は持続性の炎症反応を伴う疾患の治療にとって可能性を有し得るCDK阻害剤の新規な役割を同定した。
本明細書において言及されるすべての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。記載された本発明の実施形態に対する種々の変更及び改変は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかである。本発明は、具体的な好ましい実施形態に関連して記載されているが、特許請求に係る本発明は、このような具体的な実施形態に過度に制限されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者に明らかである記載された本発明を実施する様式の種々の変更は、本発明によって包含されるものとする。
Claims (31)
- 顆粒球のアポトーシスを誘導及び/又は加速する方法であって、前記顆粒球に、有効用量のCDK阻害剤を投与するステップを含む方法。
- 個体において顆粒球介在性障害又は疾患を治療する方法であって、CDK阻害剤の投与を含む方法。
- 疾患又は障害が、炎症性疾患又は障害である、請求項2に記載の方法。
- 疾患又は障害が、非腫瘍性炎症性疾患である、請求項2又は請求項3に記載の方法。
- 前記治療が、非増殖段階の炎症性疾患の治療である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記疾患又は障害が、慢性炎症性疾患又は障害である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記疾患又は障害が、急性炎症性疾患又は障害である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記疾患又は障害が、呼吸器疾患又は障害である、請求項3〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 疾患又は障害が、間質性肺疾患、胸膜炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び急性呼吸器疾患からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
- 前記間質性肺疾患が、急性間質性肺炎又は特発性肺線維症である、請求項9に記載の方法。
- 前記疾患又は障害が関節炎である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 疾患又は障害が、アレルギー性障害である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
- CDK阻害剤が、CDK1及び/又はCDK2の阻害剤である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- CDK阻害剤がCDK5の阻害剤である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- CDK阻害剤が、ピリミジン又はプリンベースの阻害剤である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記CDK阻害剤が、ロスコビチン、NG75又はヒメニアルジシンを含む群から選択される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
- 顆粒球介在性疾患の治療のための薬剤の調製におけるCDK阻害剤の使用。
- 疾患又は障害が、炎症性疾患又は障害である、請求項17に記載の使用。
- 疾患又は障害が非腫瘍性炎症性疾患である、請求項17又は請求項18に記載の使用。
- 前記治療が、非増殖段階の炎症性疾患の治療である、請求項17〜19のいずれか一項に記載の使用。
- 前記疾患又は障害が、慢性炎症性疾患又は障害である、請求項17〜20のいずれか一項に記載の使用。
- 前記疾患又は障害が、急性炎症性疾患又は障害である、請求項17〜20のいずれか一項に記載の使用。
- 前記疾患又は障害が、呼吸器疾患又は障害である、請求項17〜22のいずれか一項に記載の使用。
- 疾患又は障害が、間質性肺疾患、胸膜炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び急性呼吸器疾患からなる群から選択される、請求項23に記載の使用。
- 前記間質性肺疾患が、急性間質性肺炎又は特発性肺線維症である、請求項24に記載の使用。
- 前記疾患又は障害が関節炎である、請求項17〜22のいずれか一項に記載の使用。
- 疾患又は障害がアレルギー性障害である、請求項17〜22のいずれか一項に記載の使用。
- CDK阻害剤が、CDK1及び/又はCDK2の阻害剤である、請求項17〜27のいずれか一項に記載の使用。
- CDK阻害剤がCDK5の阻害剤である、請求項17〜28のいずれか一項に記載の使用。
- CDK阻害剤がピリミジン又はプリンベースの阻害剤である、請求項17〜28のいずれか一項に記載の使用。
- 前記CDK阻害剤が、ロスコビチン、NG75又はヒメニアルジシンを含む群から選択される、請求項17〜29のいずれか一項に記載の使用。
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