JP2009544498A - ポリマー層の表面をパターニングするための装置および方法 - Google Patents

ポリマー層の表面をパターニングするための装置および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリマー層の表面上に構造体を形成するための装置および方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ポリマー層(1)と、導電体を備える基板(2)であって、前記基板(2)上に前記ポリマー層(1)の第1の表面(1a)が与えられている基板と、前記装置の使用時に、前記ポリマー層(1)の第2の表面(1b)と相互に作用し合う少なくとも1つの電極(3)とを備え、使用時に、前記基板(2)に関して少なくとも1つの電極(3)に第1の電位を印加し、それによって前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)上に突出部(4)が形成されるように動作可能な、ポリマー層の表面上に構造体(地形的特性)を形成するための装置に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高分子層ないし重合体層〈以下、ポリマー層と記載する〉の表面にパターン形成をする(以下、パターニングをすると言う)ための装置および方法に関する。特に、本発明は、ポリマー層の表面上にトポグラフィ的フィーチャ、つまり、構造体(地形的形状)、とりわけ突出部を形成するための装置および方法に関する。
原子間力顕微鏡(AFM)に基づくプローブ・タイプのデータ・ストレージ・デバイス(以下、データ記憶装置)は、2000年3月のP.Vettiger等による「The millipede−more than 1,000 tips for future AFM data storage」、IBM社の Journal Research Development、Vol.44、No.3に開示されている。該記憶装置は、それぞれがチップを有するプローブの配列を備えた、記憶媒体の機械的x、yスキャニングに基づく、読み取りおよび書き込み機能を有する。プローブは、動作時に、各プローブが記憶媒体の関連フィールドをスキャニング、つまり走査をするのと並行して動作する。記憶媒体は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)層を備える。それぞれが5nmから40nmの直径を有するチップ(先端)は、ポリマー層の表面全体にわたって接触モードで移動する。接触モードは、プローブのチップがポリマー層の表面に接触できるように、プローブに力を印加することによって達成される。このためプローブは、その端部にチップを支持するカンチレバー(cantilever)を備える。ビットは、ポリマー層内で、それぞれが論理「1」をエンコードするインデント・マーク、またはそれぞれが論理「0」をエンコードする非インデント・マークによって、表される。カンチレバーは、読み取り/書き込みモードでの装置の動作中に、ポリマー層の表面全体にわたって移動しながら、これらの地形的(構造)変化に応答する。
インデント・マークは、熱機械的レコーディングによって、ポリマー層上に形成される。これは、ポリマー層に対して接触モードで動作する、それぞれのプローブのチップを加熱することによって達成される。チップの加熱は、インデント・マークの書き込み/形成専用のヒータを介して達成される。ポリマー層は、加熱されたチップによって接触されている部分が局所的に柔らかくなる。その結果として、たとえば、その形成で使用されるチップの直径に匹敵するナノスケールの直径を有するインデント・マークが、層上に生成される。インデント・マークの読み取りも熱機械の概念によって実施され、インデント・マークの書き込みに使用されるものと同じプローブを使用して実行することができる。ポリマー層内にインデント・マークを書き込むために使用される機械的応力によって、通常、チップ又は媒体あるいはその両方の磨耗が生じることが予想される可能性がある。
超顕微法(Ultramicroscopy)42〜44(1992年)262に記載されたような、以前に提案された他のプローブ・タイプのデータ記憶装置では、データは、電荷注入により、窒化物−二酸化シリコン−シリコン(Nitride-Silicon Dioxide-Silicon)などの絶縁体上にエンコードされ、すなわち、ビットは絶縁体表面上の局在した捕獲電荷(trapped charge)によって表される。したがって、各捕獲電荷は論理「1」を示し、これがない場合は論理「0」を示す。データは、それぞれの局在した捕獲電荷に関連付けられた浮遊電場(electrical stray field)を検出することによって取り出され、この電場は、例えば、およそ1nNの、測定可能であるが比較的小さな相互作用力を発生させる。局在した捕獲電荷の検出において考慮をする必要がある他の問題は、(1)前述の浮遊電場は本質的に長距離であるため、ビット位置の不鮮明化ないしスミア・アウト(smearing out)する可能性があること、(2)局在した捕獲電荷は、通常、例えば、水分子などの極性汚染物によって遮られ、それによって、通常は24時間以内という短時間内に、およそ電荷注入の大きさだけ、関連付けられた浮遊電場の大きさが減少すること、および(3)前述の相互作用力の大きさが、データ転送速度をMHzではなくおよそkHzに制限する可能性があること、である。
さらに、以前に提案された他のプローブ・タイプのデータ記憶装置では、ビットは、磁気レコーディングに類似した強誘電性メディア内の配向領域として格納される。ある領域に関連付けられた電気双極子配向の検出は、対応する浮遊電場の強さを測定することによって実行可能である。しかしながらこのケースでも、前述の(1)から(3)で列挙された問題を考慮することが必要であろう。別の方法として、電気双極子配向の検出は、それらの検出のために高感度ロックイン機構を必要とする、およそナノメートルの何分の1という精密な極めて局在した表面構造(地形)の変調を誘導する、圧電応答(piezo-electric response)を測定することによって実行することも可能である。この場合、信号の劣化は、電気機械的変換(electromechanical transduction)によって避けられる可能性がある。しかしながら、およそ0.1nmであることから、構造体(地形的形状)は、それらが存在する表面の粗さに匹敵するか、またはそれ以下である可能性がある。さらに、既知の検出器を使用した、寸法がナノメートル以下のこうした特性の検出は、通常、kHz範囲内の制限付きデータ転送速度で実行される可能性がある。
ポリマー層の表面は、リソグラフィで使用されるようなインプリントによって、および、プローブ・ストレージ・アプリケーションに関して知られているエンボスによって、パターニングすることが知られている。これらの場合、通常、圧子(indenter)本体がポリマー層の表面上に押し付けられ、機械的圧力が圧子本体に印加され、それによってポリマー層の表面内に圧子本体の構造がインプリント/複製される。印加される機械的圧力と共に、たとえば熱の形の追加エネルギーを使用することができる。
前述の技法を使用すると、圧子本体の特性がポリマー層の表面にインプリントされ、すなわち、それら特性が表面下方向に延在する。これらの技法を使用して、ポリマー層の表面上に、たとえば突出部などの凹凸(asperity)を生成することは困難である。
2000年3月のP.Vettiger等による「The millipede−more than 1,000 tips for future AFM data storage」、IBM社 Journal Research Development、Vol.44、No.3 超顕微法((Ultramicroscopy)42〜44(1992年)262
したがって、ポリマー層の表面上に突出部を形成するための装置および方法を提供することが望まれる。
本発明の第一の側面から見た実施形態に依れば、ポリマー層と、導電体を備える基板であって、その基板上にポリマー層の第1の表面が与えられている基板と、装置の使用時にポリマー層の第2の表面と相互に作用し合う少なくとも1つの電極とを備える、ポリマー層の表面上に構造体(地形的特性)を形成するための装置が提供され、この装置は、使用時に、基板に関して少なくとも1つの電極に第1の電位を印加し、それによってポリマー層の第2の表面上に突出部が形成されるように動作可能である。
本発明を実施化する装置は、ポリマー層を備え、その第1の表面は導電体を備える基板上に設けられ、その第2の表面は少なくとも1つの電極と相互に作用し合うように設けられる。基板に関して少なくとも1つの電極に電位、すなわち第1の電位を印加することによって、ポリマー層の第2の表面上に電荷が注入される。ポリマー材料の第2の表面に注入された電荷は、ポリマー材料が非導電性であることによって、その上に局在したままとなる。ポリマー層の第2の表面上に電荷が注入されると、ポリマー材料は隆起し、突出部が形成される。上部への突出部の形成による、ポリマー層の第2の表面の構造(地形的ランドスケープ)の変形は、(前述のように)形成された構造体が、ポリマー層の表面下方向(sub−surface)に延在する、ポリマー層表面におけるくぼみであるという、以前に提案された技法とは対照的である。
好ましくは、少なくとも1つの電極は、ポリマー層の第2の表面と接触していることによって、その表面と相互に作用し合う。この場合、少なくとも1つの電極がポリマー層の第2の表面と接触するようになると、好ましくはそれに関してスキャンされるか、又は、少なくとも1つの電極に負荷力(loading force)が印加される、あるいはその両方である。
ポリマー層の第2の表面と少なくとも1つの電極との間の接触を確立させることによって、ポリマー層の第2の表面上に突出部が形成される、本発明の実施形態では、少なくとも1つの電極に印加される第1の電位の大きさは、ポリマー層の第2の表面と少なくとも1つの電極とが分けられた場合よりも、相対的に小さい。ポリマー層の第2の表面上への突出部の形成は、少なくとも1つの電極のスキャン運動、又は、負荷力の印加に応答した少なくとも1つの電極の垂直衝撃運動、あるいはその両方によって、支援することができる。例を挙げると、少なくとも1つの電極に印加される負荷力は、事前に定義された値とすることが可能であり、したがってその結果、少なくとも1つの電極とポリマー層の第2の表面との間に1MPaから100MPaの範囲の圧力が生じることになる。
別の方法として、接触しないでいることによって、すなわち、少なくとも1つの電極とポリマー層の第2の表面との間には分離が介在していることによって、少なくとも1つの電極がポリマー層の第2の表面と相互に作用し合うことができる。この場合、少なくとも1つの電極とポリマー層の第2の表面との間の距離は、好ましくは少なくとも1nmである。
この別法の場合、ポリマー層の第2の表面も少なくとも1つの電極も、どちらも磨耗することがない。
好ましくは、装置は、突出部が形成されている領域内でポリマー層の第2の表面と相互に作用し合う少なくとも1つの電極に、第2の電位を印加するように動作可能であり、この第2の電位は、第1の電位とは反対の極性を有する。第2の電位に適切な極性および大きさを選択することによって、ポリマー層の第2の表面上に形成される突出部を増大させたりまたは減少させたりすることが可能であるか、あるいは、ポリマー層の第2の表面が帯電していない中性状態に戻すことさえもできる。さらに、こうした可逆的動作によって、ポリマー層の第2の表面の構造(地形的なランドスケープ)の改変をも逐次実行することが可能である。
好ましくは、装置は、熱、照射、またはそれらの組み合わせをポリマー層に印加するように動作可能である。ポリマー層の第2の表面上に形成された突出部は、たとえば、熱、紫外線照射、あるいは荷電粒子、又はそれらすべての印加、あるいはそれらの組み合わせなどの、好適な形のエネルギーを印加することによって、全体的に除去することができる。このようにして、ポリマー層の第2の表面は、その後、その上に単純かつ時間効率良く新しい突出部を書き込むことができる状態に戻ることができる。この場合、ポリマー層は100℃から200℃の温度まで加熱されることが好ましい。注入された電荷の減衰速度は、通常、20℃の温度変化につき1桁増加するため、本発明の実施形態では、100℃から200℃の温度までポリマー層を加熱することによって、おおよそ何秒かのタイムスケールで電荷を中性化することができる。
好ましくは、ポリマー層はポリスチレン−r−ベンゾシクロブテン30%ランダム共重合体、PS−30%−BCBを備える。
本発明の実施形態では、ポリマー層は、たとえば、ポリスチレン−r−ベンゾシクロブテン30%ランダム共重合体、PS−30%−BCBなどの、相互リンク可能な非導電性重合体を備える。ポリマー層によって顕示されるこれらの特性によって、ポリマー層の第2の表面上に形成される突出部は、ポリマー層を室温で数日間にわたって保管しても、ほとんど形が失われることなくその上に局在したままである。
好ましくは、少なくとも1つの電極は大幅に延長された構造を有する。
この場合、少なくとも1つの電極とポリマー層の第2の表面との間の接触は、選択的に、およびインプリント・リソグラフィを想起させるような方法で、確立することができる。
好ましくは、少なくとも1つの電極は、パターン化された構造を有する表面を介して、ポリマー層の第2の表面と相互に作用し合う。
この場合、パターン化された構造を有する表面は、ポリマー層の第2の表面との相互作用を確立する際に使用される、少なくとも1つの電極の表面とすることが可能であり、このパターン化された構造は、ポリマー層の第2の表面をどのようにして地形的パターニングが望ましいかに従うものである。パターン化された構造を有する表面は、たとえばマスクとすることもできる。
本発明の対応する方法態様が提供され、本発明の第2の態様の実施形態では、ポリマー層の表面に構造体(地形的特性)を形成するための方法が提供され、該ポリマー層の第一の表面は導電体を備える基板上に設けられ、前記方法は、少なくとも1つの電極とポリマー層の第2の表面とを相互に作用させるステップと、基板に関して少なくとも1つの電極に第1の電位を印加し、それによってポリマー層の第2の表面上に突出部を形成させるステップと、を含む。
本発明の第3の態様の実施形態では、ポリマー層が提供され、その表面は、本発明の第1の側面からの実施形態による装置、又は本発明の第2の側面を実施化する方法を使用して、構造体を備えるようにパターニングされる。
本発明の方法の観点の実施形態には装置の任意の特徴を適用することが可能であり、その逆もまた可能である。発明の一観点の特徴は、他の任意の発明の観点に対して適用することが可能である。開示された任意の実施形態は、図示又は記載した、あるいはその両者の、他の実施形態のうちの1つまたはいくつかと組み合わせることが可能である。これは、諸実施形態の1つまたは複数の特徴についても可能である。
次に、例としての添付の図面を参照する。
図1は、本発明の実施形態の原理を示す概略図である。
ポリマー層1の第1の表面1aが基板2上に提供される。これは、基板2の上、またはたとえばシリコン酸化膜とすることが可能なスペーサ層の上に、直接提供することができる。ポリマー層1は、ポリスチレン−r−ベンゾシクロブテン30%ランダム共重合体、PS−30%−BCBを備える。しかしながら本発明は、PS−30%−BCBに限定されるものではなく、非導電性であり、任意選択で相互リンク可能な、任意の他の重合体を使用することができる。基板2は、たとえば1016cm−3のnタイプのドーピング濃度を有するシリコンを備える。もちろん基板2は、シリコンの使用に限定されるものではなく、適切な導電性を有する任意の他の材料を使用することができる。
ポリマー層1の第2の表面1bは、接触すること、またはそれに近接すること、すなわちポリマー層1の第2の表面1bと少なくとも1つの電極3との間に分離が存在することの、いずれかによって、少なくとも1つの電極3と相互に作用し合うように提供される。電位、すなわち第1の電位P1を、電気スイッチS1を介して基板2に関して少なくとも1つの電極3に印加することによって、ポリマー層1の第2の表面1b上に電荷が注入される。非導電性の材料を備えるポリマー層1によって、ポリマー層1の第2の表面1bに注入された電荷は、その表面上に局在したままとなる。ポリマー層1の第2の表面1b上に電荷が注入された図1の(B)からわかるように、ポリマー材料は隆起し、突出部4が形成される。
本発明の実施形態では、ポリマー層1の第2の表面1b上に電荷を注入させ、それによってポリマー層1の第2の表面1b上に電荷誘導隆起/突出部を形成させることになる、電気機械的変換、すなわち、少なくとも1つの電極3に印加される電位である電気信号の変換を使用して、ポリマー層1の表面がトポグラフィ的にパターニングされる。その上に突出部4を形成することによる、ポリマー層1の第2の表面1bの構造(トポグラフィ的ランドスケープ)の変形は、(前述のように)形成されたトポグラフィ的構造体が、ポリマー層の表面下方向に延在する/表面内のくぼみであるという、以前に提案された技法とは対照的である。
本発明の実施形態に関係する実験結果は、ポリマー層1が特にPS−30%−BCBを備える場合、第2の表面1b上に注入された電荷がその表面上に蓄積するだけでなく、ポリマー層1を室温で数日間にわたって保管しても、この電荷がほとんど散逸することなく保持されたままであることを示している。
ポリマー層1の第2の表面1b上に注入される電荷の極性は、ポリマー層1の第2の表面1bと相互に作用し合う場合、第1の電位P1を少なくとも1つの電極3に印加することによって、逆になる可能性がある。これは好ましくは、電荷が注入された、すなわち突出部4が形成された、第2の表面1b上の領域と相互に作用し合うように、少なくとも1つの電極3を配置構成することによって、および、第1の電位P1とは極性が逆の第2の電位P2を少なくとも1つの電極3に印加することによって、実行される。この場合、少なくとも1つの電極3は、たとえば、ポリマー層1の第2の表面1b上の帯電領域上で再スキャンすることができる。第2の電位P2に適切な極性および大きさを選択することによって、ポリマー層1の第2の表面1b上に形成される突出部4を増大または減少させることが可能であるか、あるいは、第2の表面1bが帯電していない中性状態に戻る可能性さえもある。さらに、こうした可逆的動作によって、ポリマー層1の第2の表面1bの構造の修正を逐次実行することが可能である。
前述のように、少なくとも1つの電極3は、以下で接触モード動作と呼ばれる、接触することによって、または、以下で非接触モード動作と呼ばれる、たとえば少なくとも1nmだけ分離してそれに近接していることの、いずれかによって、ポリマー層1の第2の表面1bと相互に作用し合う。
非接触モードで動作する場合、少なくとも1つの電極3およびポリマー層1の第2の表面1bは、それぞれ接触状態で維持される場合よりも磨耗が少ない。
接触モードで動作する場合、ポリマー層1の第2の表面1b上に注入可能な電荷の量は、少なくとも1つの電極3に印加された第1の電位P1によって乗算され、電荷担体がポリマー層1内に浸透可能な深さ、すなわち浸透深さによって除算された、およそεであり、ここで、ε=8.84×10−12CV−1−1であり、この浸透深さはおよそ1nmである。したがって、およそ0.1電子/nmの電荷密度は、10V未満の第1の電位P1を少なくとも1つの電極3に印加することによって達成可能である。これは、非接触モードで動作が実行される場合に実行されるような電界放出による電荷の注入と比較すると、特に有利であり、非接触モードでは、前述の電荷密度を達成するために、少なくとも1つの電極3に印加される第1の電位P1の大きさがおよそ100Vとなるようにしなければならない。これには、注入された電荷が、接触モードでの動作の場合よりも、ポリマー層1の第2の表面1bに深く浸透することになるという、関連する影響もある。
動作が接触モードで実行される場合、ポリマー層1の第2の表面1bへの電荷の注入は、少なくとも1つの電極3のスキャン運動、あるいは、それに印加される負荷力に応答した少なくとも1つの電極3の垂直衝撃運動、またはその両方によって、支援することができる。例を挙げると、少なくとも1つの電極3に印加される負荷力は、事前に定義された値とすることが可能であり、したがってその結果、少なくとも1つの電極3とポリマー層1の第2の表面1bとの間に1MPaから100MPaの範囲の圧力が生じることになる。第1の電位P1が印加される少なくとも1つの電極3は、ポリマー層1の第2の表面1bに対して擦り付けられることにより、摩擦電気効果によってその表面に電荷が注入される。
ポリマー層1の第2の表面1b上に注入される電荷、および、その上に作成される構造体(トポグラフィ的フィーチャ)/突出部4は、たとえば、熱、紫外線照射、あるいは荷電粒子、またはそれらすべての印加、あるいはそれらの組み合わせなどの、好適な形のエネルギーを印加することによって、全体的に除去することができる。注入された電荷の減衰速度は、通常、20℃の温度変化につき1桁増加するため、100℃から200℃の温度までポリマー層1を加熱することによって、何秒かのうちに電荷を中性化することができる。
図1からわかるように、少なくとも1つの電極3は、大幅に延長された構造を有することが可能であり、その結果、ポリマー層1の第2の表面1bとの接触は、選択的に、およびインプリント・リソグラフィを想起させるような方法で、確立することができる。
少なくとも1つの電極3は、パターニング構造を有する表面を介して、ポリマー層1の第2の表面1bと相互に作用し合うように提供することができる。パターン化された構造を有する表面は、ポリマー層1の第2の表面1bとの相互作用を確立する際に使用される、少なくとも1つの電極3の表面とすることが可能であり、このパターン化された構造は、ポリマー層1の第2の表面1bのどのようなトポグラフィ的パターニングが望ましいかに従うものである。パターン化された構造を有する表面は、たとえばマスクとすることもできる。
その表面が本発明の実施形態に従ってパターニングされたポリマー層1は、以下で説明するように、リソグラフィ、生体工学、生命科学などのいくつかの異なるナノテクノロジの適用によって、活用することができる。
可逆的接着
2つの表面の接着は、その上の凹凸をそれぞれ結合(インターロック)することによって調節できることが知られている。図2を参照すると、本発明の実施形態が使用可能な可逆的接着の応用例が示されている。ポリマー層1の第2の表面1bは、本発明の実施形態に従って、図1を参照しながら前述したように、複数の突出部4がその上に作成されるように構造化される。図2に示される例では、突出部4は関連付けられた負の電荷を有する。
第2の表面1bは、カバー表面5と接触させられる。第2の表面1bの突出部4は、カバー表面5上の対応する凸凹6とインターロックする。第2の表面1bとカバー表面5との間の接着は、ポリマー層1の第2の表面1b上の突出部4に関連付けられた電荷によって、カバー表面5で誘導されたイメージ分極化相互作用によって、さらに支援される。図2からわかるように、突出部4は関連付けられた負の電荷を有するため、突出部4に対応するカバー表面5の凹凸には、正の電荷が誘導される。このようにして、ポリマー層1の第2の表面1bおよびカバー表面5は、併せて保持することができる。それらの間の接着は、システムに対してたとえば熱などのエネルギーを与え、それによってポリマー層1の第2の表面1b上の電荷を中性化することによって解除することが可能であり、その後、その初期の非機能化状態に戻り、カバー表面5から分離される。
サイズ選択接着
ある種の粒子は、それらのサイズに基づいて、具体的に言えばナノメートル・スケールで、分離できることが望ましい。図3を参照すると、ある種の粒子のサイズ選択分離に関して、本発明の実施形態がどのように適用可能であるかが示されている。図3に示された例では、分離される粒子は同様に帯電している。
ポリマー層1の第2の表面1bは、本発明の実施形態に従い、図1を参照しながら前述したように、複数の突出部4がその上に作成されるように構造化される。図3に示された例では、突出部4は関連付けられた負の電荷を有する。突出部4は、負に帯電した粒子7の直径よりも小さい、所定の分離を伴って作成され、この粒子7は他の負に帯電した粒子8から遮られていることが望ましい。
図3の(A)からわかるように、ポリマー層1の第2の表面1b上にある突出部4は、関連付けられた負の電荷を有し、隣接する突出部4の間の分離よりも小さい/分離に対応する直径を有する粒子8は、隣接する突出部4の間の第2の表面1bに吸着することになる。負に帯電した粒子8がポリマー層1の第2の表面1bに吸着すると、正の電荷が誘導され、その結果、静電引力によって粒子8がその上に接着される。これに対して、図3の(B)からわかるように、より大きな粒子7は、隣接する突出部4の間の分離よりも大きな直径を有することにより、および、突出部4に関連付けられた負の電荷によって反発されることにより、ポリマー層1の第2の表面1bに接着されることができない。
印刷時のインク転写
本発明の実施形態には、図4を参照しながら説明するような、印刷時のインクの転写に関する応用例も見ることができる。単なる例として、この領域における本発明の応用例は、関連付けられた正の電荷を有するインク分子9に関して説明される。同様に、この方法は、双極子、四極子などの高位電荷分布を伴う分子に対しても有効である。またこの方法は、双極静電相互作用を効果的に提供するイメージ電荷効果により、非帯電分子に対しても有効である。
図4の(A)を参照すると、インク分子9は、本発明の実施形態に従ってパターニングされた、ポリマー層1の第2の表面1b上に作成された突出部4上に吸着される。この例では、突出部4は関連付けられた負の電荷を有する。
図4の(B)からわかるように、その上へのインク分子9の吸着によって修正されたポリマー層1の第2の表面1bは、カバー表面5と接触している。
図4の(C)を参照すると、たとえば加熱などによってポリマー層1にエネルギーが与えられることによって、非機能化状態に戻され、その結果、インク分子9への接着が除去される。このようにして、インク分子9のカバー表面5への転写が実行され、こうした転写は、インク分子9に関連付けられた電荷によって、カバー表面5で誘導されるイメージ分極化相互作用によって、さらに支援される。
所望表面へのインク分子9の付着あるいは転写またはその両方は、トポグラフィおよび電荷の組み合わせを使用して、ナノメートル規模で制御することが可能であるため、従来の印刷方法では非常にしばしば遭遇した縁部漂白効果(edge bleaching effect)を避けることができる。
印刷時のインク転写に関する本発明の実施形態の他の応用例について、図5を参照しながら説明する。
図5の(A)を参照すると、ポリマー層1の第2の表面1bは、本発明の実施形態に従ってパターン形成される。具体的に言えば、突出部4の高さは、カバー表面5上に転写されることになるインク分子9の直径よりも大きくなるように選択される。このようにして、インク分子9は、カバー表面5がポリマー層1の第2の表面1bと位置合わせされた場合に、擦り取られないように保護される。
さらに突出部4は、所定の分離で形成される。図5の(A)に示された例では、隣接する突出部4の間の所定の分離は固定されるように選択されるため、少なくとも4つのインク分子9が隣接する突出部4の間のくぼみ(trough)内に吸着される。もちろん、1ペアの隣接する突出部4の間の分離はこれに制限されるものではなく、他のペアの隣接する突出部4のそれとは異なるように選択することもできる。このようにして、隣接する突出部4のペア間の所定の分離が、インク分子9の吸着に関するパターンを提供する。突出部4は、境界でのインク分子9の漏れを防ぐような働きもする。
図5の(B)を参照すると、ポリマー層1にたとえば熱などのエネルギーを提供することによって、ポリマー層1上の表面電荷が除去され、突出部4が水平になる。このレベリングにより、インク分子9は最終的にカバー表面5と接触し、その後、接着によって引き上げられる。接着は、インク分子9に関連付けられた電荷に応答して発生する可能性のある、カバー表面5内の電荷分極化によって強化することができる。こうした接着は、カバー表面5がポリマー層1の第2の表面1bと位置合わせされる前に、事前に帯電させることによって、さらに支援することができる。インク粒子9に対して第2の表面1bよりも強い接着である好適な界面エネルギーを提供する、カバー表面5に好適な材料を使用することによって、接着を強化することもできる。
図5の(B)を参照すると、ここに示される構成は、特定のパターンでのインク分子9の移送あるいは格納またはその両方に使用することができる。もちろんこの構成は、インク分子9および他の分子に限定されるものではなく、たとえば、たんぱく質もこのようにして格納あるいは移送することができる。たとえばこれは、医者または患者による分析試料の準備と、遠隔の研究所でのその後の分析との間などの、サンプルの転移時に、環境からたんぱく質を保護する必要がある生物検定の応用例に有用な場合がある。
以上、本発明について単なる例として説明し、細部の修正は本発明の範囲内で実行可能である。
説明ならびに(適切であれば)特許請求の範囲および図面で開示された各特徴は、独立して、または任意の適切な組み合わせで、提供することができる。
本発明の実施形態の原理を示す概略図である。 本発明の実施形態が使用可能な可逆的接着の応用例を示す図である。 ある種の粒子のサイズ選択分離に関する、本発明の実施形態の応用例を示す概略図である。 印刷時のインク転写の方法に関する、本発明の実施形態の応用例を示す概略図である。 印刷時のインク転写の他の方法に関する、本発明の実施形態の応用例を示す概略図である。

Claims (23)

  1. ポリマー層の表面上に構造体を形成するための装置であって、
    ポリマー層(1)と、
    導電体を備える基板(2)であって、前記基板(2)上に前記ポリマー層(1)の第1の表面(1a)が設けられる基板と、
    前記装置の使用時に、前記ポリマー層(1)の第2の表面(1b)と相互に作用し合う少なくとも1つの電極(3)と、を備え、
    使用時に、前記基板(2)に関して少なくとも1つの電極(3)に第1の電位(P1)を印加し、それによって前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)上に突出部(4)が形成されるように動作可能なことを特徴とする装置。
  2. 前記少なくとも1つの電極(3)が、前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と接触していることによってその表面と相互に作用し合う、請求項1に記載の装置。
  3. 前記少なくとも1つの電極(3)が前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と接触するようになると、それが該表面に対してスキャンされるか、又は前記少なくとも1つの電極(3)に負荷力が印加されるか、あるいはその両方である、請求項2に記載の装置。
  4. 接触しないことによって、前記少なくとも1つの電極(3)が前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と相互に作用し合う、請求項1に記載の装置。
  5. 前記少なくとも1つの電極(3)と前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)との間の距離が少なくとも1nmである、請求項4に記載の装置。
  6. 前記装置が、前記突出部(4)が形成されている領域内で前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と相互に作用し合う、前記少なくとも1つの電極(3)に、第2の電位(P2)を付与するように動作可能であり、前記第2の電位(P2)は、前記第1の電位(P1)とは反対の極性を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
  7. 熱、照射、又はそれらの組み合わせを前記ポリマー層(1)に印加するように動作可能である、前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
  8. 前記ポリマー層(1)が100℃から200℃の温度まで加熱される、請求項7に記載の装置。
  9. 前記ポリマー層(1)がポリスチレン−r−ベンゾシクロブテン30%ランダム共重合体、PS−30%−BCBを備える、前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
  10. 前記少なくとも1つの電極(3)が実質的に延長された構造を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
  11. 前記少なくとも1つの電極(3)が、パターン化された構造を有する表面を介して、前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と相互に作用し合う、前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
  12. ポリマー層の表面上に構造体を形成するための方法であって、基板(2)上に設けられた前記ポリマー層(1)の第1の表面(1a)が導電体を備え、
    少なくとも1つの電極(3)と前記ポリマー層(1)の第2の表面(1b)とを相互に作用させるステップと、
    前記基板(2)に関して前記少なくとも1つの電極(3)に第1の電位(P1)を印加し、それによって前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)上に突出部(4)を形成させるステップと、
    を備えた方法。
  13. 前記少なくとも1つの電極(3)が、前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と接触していることによってその表面と相互に作用し合う、請求項12に記載の方法。
  14. 前記少なくとも1つの電極(3)が前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と接触するようになると、前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)に対して前記少なくとも1つの電極(3)をスキャンするステップ又は、前記少なくとも1つの電極(3)に負荷力を印加するステップあるいはその両方をさらに備えた、請求項13に記載の方法。
  15. 接触しないことによって、前記少なくとも1つの電極(3)が前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と相互に作用し合う、請求項12に記載の方法。
  16. 前記少なくとも1つの電極(3)と前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)との間の距離が少なくとも1nmである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記突出部(4)が形成されている領域内で前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と相互に作用し合う、前記少なくとも1つの電極(3)に、第2の電位(P2)を印加するステップをさらに備え、前記第2の電位(P2)は、前記第1の電位(P1)とは反対の極性を有するようにした、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 熱、照射、又はそれらの組み合わせを前記ポリマー層(1)に印加するステップを更に備えた、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記ポリマー層(1)が100℃から200℃の温度まで加熱される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記ポリマー層(1)がポリスチレン−r−ベンゾシクロブテン30%ランダム共重合体、PS−30%−BCBを備える、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記少なくとも1つの電極(3)が実質的に延設された構造を有する、請求項12から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記少なくとも1つの電極(3)が、パターニング構造を有する表面を介して、前記ポリマー層(1)の前記第2の表面(1b)と相互に作用し合う、請求項12から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 請求項1から11のいずれか一項に記載の装置、または請求項12から22のいずれか一項に記載の方法を使用して、表面が構造体でパターン化される、ポリマー層(1)。
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