JP2009544302A - アトピー性疾患の哺乳動物モデルの生成方法、及びその処置のためのスクリーニング方法 - Google Patents

アトピー性疾患の哺乳動物モデルの生成方法、及びその処置のためのスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、生理的に活性なビタミンD3(1α,25(OH)2D3)及びその作動性アナログを含む群より選ばれる少なくとも1つの化合物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物におけるヒトアトピー性疾患-様表現型、好ましくはアトピー性皮膚炎(AD)-様表現型を発生するための方法に関する。本発明はまた、少なくとも1つのビタミンD3アンタゴニストの有効量を患者に投与することを含む患者におけるアトピー性疾患を治療及び/又は予防するための方法に関する。

Description

発明の分野
本発明は、アトピー性疾患、特にアトピー性皮膚炎(AD)の分野に関する。
本願は、2006年7月24日に出願された米国仮出願第60/832,864号、及び2006年7月24日に出願された欧州特許出願第EP 06291201.9号の優先権を請求する;これらの出願の各々の内容全体は参考として本明細書に援用される。
背景
ヒトアトピー性疾患は、主な健康上の問題であり、アトピー性皮膚炎(AD)、喘息、アレルギー性鼻炎を含む(SPERGEL and PALLER, J. Allergy Clin. Immunol., vol.112 (6 Suppl), p: S118-27, 2003)。
ヒトアトピー性皮膚炎(AD)は、子供(10〜20%)及び成人(1〜3%)に感染する強力な遺伝的要素を有する慢性皮膚炎症性疾患である(LEUNG et al, J. Clin. Invest., vol.113, p: 651-657, 2004)。アトピー性皮膚炎は、特に、2型CD4+ Tヘルパー(Th2)細胞、樹状細胞、好酸球及び肥満細胞から主になる皮膚炎症性浸潤物、高い血清IgE及びIgGレベルを含む全身性異常、並びに血液及び組織の好酸球増加に関連する、乾燥症及び痒みを伴った皮膚湿疹様損傷を引き起こす。
喘息は、肺炎症(高い好酸球、Th2細胞及びマクロファージ、並びにTh2-型サイトカイン)、断続的可逆気道閉塞、気道過敏症(AHR)、過剰粘液産生、及びIgE及びTh2-型サイトカインの高い血清レベルによって特徴付けられる疾患である。西欧諸国では人口の約5%が罹患し、その発生は先進国では劇的に増加している(RENAULD, J. Clin. Pathol, vol.54(8), p: 577-89, 2001; ELIAS et al, J. Clin. Invest, vol.111(3), p: 291-7, 2003)。注目すべきは、AD患者の約半数は、その後の人生において喘息を発症し、一般的に重度のADに罹患する(SPERGEL and PALLER, 2003, 上記)。
核受容体(NR)は、リガンド-依存的転写制御因子のスーパーファミリーに属する(LAUDET, & GRONEMEYER, The nuclear receptor : factsbook, Academic Press, San Diego, 2002 ; MANGELSDORF et al, Cell, vol.83, p: 835-839, 1995)。このスーパーファミリーの中で、レチノイドX受容体(RXR)α、β及びγは、15 NRパートナー、例えば、レチノイン酸受容体(RAR)α、β及びγ、ビタミンD受容体(VDR)、ペルオキシソーム増殖因子-活性化受容体(PPAR)及び肝臓X受容体(LXR)、とのヘテロ二量化を介して重要な役割を果たす。
発明者らは、成熟したマウスの表皮ケラチノサイト(RXRαβep-/-マウス)の選択的除去がヒトアトピー性皮膚炎(AD)に類似した皮膚及び全身性表現型を誘発することを先に報告している(LI et al, Proc. Natl Acad. Sci. USA, vol.102, p: 14795-14800, 2005)。事実、これらのマウスは、(i) CD4+ Tヘルパー2型(Th2)細胞、樹状細胞、好酸球及び肥満細胞から主になる皮膚炎症浸潤物を伴う、乾燥症及び痒みと共に湿疹様損傷、及び (ii) 高い血清IgE及びIgレベルを含む全身性異常、並びに血液及び組織の好酸球増加症、を含むヒトAD症候群の主な特徴を示す。発明者らはまた、AD患者の表皮ケラチノサイトで産生されることが知られている、サイトカイン胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)の発現(SOUMELIS et al, Nat. Immunol, vol.3, p: 673-680, 2002)が、RXRαβep-/-マウスのケラチノサイトで急速に誘導されることを確立した。更に、発明者らは、ケラチノサイトでTSLPを過剰発現するK14-TSLPトランスジェニックマウスがRXRαβep-/-マウスのそれと同様のAD-様表現型を見せた、ことを示した(LI et al, 2005, 上記)。このことは、AD-様表現型をもたらす一連の免疫学的事象上で開始サイトカインとして働くことができることを証明している。更に、発明者らは最近、マウスのTSLP遺伝子の除去は、AD-様表現型の生成を抑制する(非公表データ)、ことを示している。このことは、TSLP発現がマウスにおいてADを生成するために十分かつ必須であることを証明している。これらの結果と整合するが、ヒト喘息性気道においてTSLP発現が増加し、Th2-誘導ケモカインの発現及び疾患の重度と関連することを示している者もいる。更に、TSLP転移遺伝子の肺-特異的発現は喘息-様症候群を引き起こし、一方反対に、TSLP受容体(TSLPR)を欠くマウスは、吸引抗原に反応して喘息を発症できなかった(LIU, J Exp. Med., vol.203, p: 269-273, 2006; ZHOU et al., Nat. Immunol, vol.6, p: 1047-1053, 2005 ; YOO et al., J. Exp. Med, vol 202, p: 541-549, 2005; AL-SHAMI et al., J. Exp. Med, vol.202, p: 829-839, 2005; YING et al, J. Immunol, vol.l74(12), p: 8183-8190, 2005)。従って、表皮及び肺上皮におけるTSLPの存在は、AD-様表現型及び喘息-様症候群をそれぞれマウスで誘発するためには必須かつ十分である。
しかしながら、TSLP発現の誘導を根底にある分子メカニズムは未だ知られていない、そのため、ヒト-様アトピー性疾患の発症が、TSLP発現を制御する生理的メカニズムを妨害することによってヒトアトピー性疾患治療のために使用され得る薬物のスクリーニングを可能にする、新規なマウスモデルの開発を不可能にしている。
発明の概要
本発明は、哺乳動物においてヒトアトピー性疾患-様表現型を生成する方法であっ、以下のステップ:(i) 生理学的に活性なビタミンD3(1α,25(OH)2D3)及びその作動性アナログを含む群より選ばれる少なくとも1つの化合物を該哺乳動物に投与することを含む、前記方法を提供する。
好ましい実施態様では、前記ステップ(i)は、天然及び合成レチノイン酸受容体(RAR)アゴニスト、好ましくはRARγ-選択的アゴニストを含む群から選択される少なくとも1つの化合物を前記哺乳動物に投与することを更に含む。
更に好ましい実施態様では、前記方法は、前記哺乳動物におけるアトピー性疾患の発症を評価するステップ(ii)を更に含む。
別の好ましい実施態様では、前記方法は、アトピー性疾患を治療及び/予防するために有用である化合物を前記哺乳動物に投与するステップ(iii)を更に含む。
更に別の好ましい実施態様では、前記方法は、ヒトアトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用であり得ると同定されている化合物を投与するか、又は投与しないで、前記哺乳動物のヒトアトピー性疾患-様表現型を分析するステップ(iv)を更に含む。
更に別の好ましい実施態様では、前記方法は、ヒトアトピー性疾患-様表現型に復帰する及び/又は該表現型を抑制する化合物を選択するステップ(v)を更に含む。
有利なことに、アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用であり得る前記化合物は、ビタミンD3アンタゴニスト及びRARアンタゴニストを含む群より選ばれる。
本発明はまた、少なくとも1つのビタミンD3アンタゴニストの有効量を患者に投与するステップ(i)を含む、患者のアトピー性疾患を治療及び/又は予防するための方法を提供する。
好ましい実施態様では、アトピー性疾患を治療及び/又は予防するための前記方法は、少なくとも1つのRARアンタゴニストの有効量を患者に投与するステップ(i)を更に含む。
図1は、D0、D2、D3及びD4での血清TSLPレベル(pg/ml)を示す図である。 図2Aは、D17でのエタノール-及びMC903-処置マウスの耳漏れリンパ節及び肝臓のヘマトキシリン及びエオシン-染色切片を示す図である。 図2Bは、D17でのエタノール-及びMC903-処置マウスの耳漏れリンパ節及び肝臓のヘマトキシリン及びエオシン-染色切片を示す図である。 図3は、VDR CT(レーン1及び2)、VDRep-/-(レーン3及び4)及びVDR-/-(レーン5及び6)マウスのエタノール-及びMC903-処置耳におけるD4でのTSLP RNAレベル(Q-PCRによって決定)を示す図である。 図4は、エタノール、BMS961(4 nmol)、1α,25-(OH)2D3(0.4 nmol)、又はBMS961(4 nmol)及び1α,25-(OH)2D3(0.4 nmol)のいずれかで処理されたマウス耳においてD4に測定された、耳(左パネル)及び血清TSLPレベル(右パネル)におけるTSLP RNAレベル(Q-PCRによって測定)を示す図である。 図5は、マウスのケラチノサイトにおけるTSLP発現のRXRα(β)/VDR-及びRXRα(β)/RAR-介在調節の図解モデルを示す図である。 図6は、2つのビタミンD3アンタゴニストが1α,25-(OH)2D3-誘発TSLP発現をダウンレギュレートすることを示す図である。 図7は、BMS493がMC903-誘発TSLP発現をダウンレギュレートすることを示す図である。 図8Aは、示したように処置され及びアエロゾル化メタコリン(0.05M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M)の所定の濃度に曝露されたマウスの、体全体のプレチスモグラフィーによって測定された、気道過敏反応性(AHR)を示す図である。 図8Bは、は総細胞数(b);示すように処置されたマウスのBALにおける22日目の好酸球、マクロファージ、好中球及びリンパ球のパーセンテージ(c);22日目に示すように処置されたマウスからのヘマトキシリン及びエコシン-染色(HE)肺切片(d)、をそれぞれ示す図である。
詳細な説明
作動性リガンドがNRパートナーに結合されていないRXR/NRヘテロ二量体は、転写リプレッサーとして働くことができるので(PERISSI and ROSENFELD, Nat. Rev. Mol. Cell. Biol, vol.6, p: 542-554, 2005)、発明者らは、TSLP発現がNRアゴニストによって修飾され得るか否かを試験した。
試験されたNRアゴニストの中で、ビタミンD3及びビタミンAの活性化誘導体が考慮される。
ビタミンD3は、高等動物において幅広い生物的プロセスの制御に関連するセコステロイドである。これらのプロセスは、カルシウム・ホメオスタシス、免疫調節及び選択された細胞分化の維持を含む。ビタミンD3それ自体は、生物的に不活性である。しかしながら、ビタミンD3の生物活性化合物である1,25-ジヒドロキシビタミンD3 [1α,25-(OH)2D3]への代謝は、ビタミンDエンドクリン系の一部として観察される幅広い生物的反応の原因となっている。
ビタミンA(レチノール)は、食事の必須成分である。臨床的及び実験的方法は、ビタミンA誘導体(レチノイド)が、正常な成長、視覚及び多数の組織の維持、再生及び全体的な生存のために必要であることを示している(BLOMHOFF, Nutr. Rev., vol.52 (1 Pt 2), p: S13-23, 1994; SPORN et al, The retinoids. Biology, Chemistry and Medecine., New York: Raven 1994)。ビタミンAは、免疫応答における重要な役割を果たすことも知られている(STEPHENSEN, Annu. Rev. Nutr., vol.21, p: 167-92, 2001)。ビタミンAの活性誘導体は、レチノイン酸(RA)である。実験的に、ビタミンAが欠如した食事を提供することによって、あるいはRA又はその合成作動性アナログの投与によって、in vivoでのレチノイドレベルを操作することができる。
近年、ビタミンD及びビタミンAがAD患者を治療するために使用できることが示唆されている(WORM, Cwrr. Opin. Investig. Drugs, vol.3, p: 1596-1603, 2002; LEHMANN et al, Exp. Dermatol, vol.13 (Suppl 4), p: 11-15, 2004; ZASLOFF, J. Invest. Dermatol, vol.125, p: xvi-xvii, 2005; ZASLOFF, Nat. Med, vol.12, p: 388-390, 2006)。
対照的に、発明者らは、これらのビタミンの活性誘導体の投与がマウスにおいてAD-様表現型を生じ、よって、表皮におけるTSLPの発現を促進することによって患者のADを悪化させることがある、ことを確立した。
従って、本発明の第1の目的は、生理的に活性なビタミンD3 [1α,25 (OH)2D3]及びその作動性アナログからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を哺乳動物に投与するステップ(i)を含む、哺乳動物においてヒトアトピー性疾患-様表現型を発生させる方法に関する。
好ましくは、前記哺乳動物は、非-ヒト、好ましくは齧歯動物、最も好ましくはマウスである。
本明細書で用いる用語「アトピー性疾患」は、アトピー性皮膚炎(AD)、喘息及びアレルギー性鼻炎からなる群より選ばれる疾患を意味する。
本明細書で使用される用語「作動性アナログ」は、その受容体への結合によって、作動性リガンド、好ましくは内因性作動性リガンド、の機能の少なくとも一部を模倣する化合物を意味する。本発明で使用される用語「作動性アナログ」は、より具体的には、ビタミンD受容体(VDR)に結合し及び内因性リガンド1α,25(OH)2D3の少なくともある生物活性を誘発する化合物を意味する。
本明細書で使用する用語「拮抗性アナログ」は、作動性リガンド、好ましくは内因性作動性リガンドのインヒビター(完全又は一部)であって、それによってアゴニストの生理的活性の少なくとも一部を遮断するインヒビターを意味する。本発明で使用される用語「拮抗性アナログ」は、より具体的には、ビタミンD受容体(VDR)に結合し及び内因性リガンド1α,25(OH)2D3の生物活性を阻止する、化合物を言いする。
1つの実施態様では、前記アトピー性疾患はアトピー性皮膚炎である。
好ましくは、前記化合物は、前記哺乳動物の皮膚、好ましくは耳の皮膚に投与される。
加えて、前記方法は、ヒトアトピー性疾患表現型、好ましくはAD-様表現型の発生を評価するステップ(ii)を更に含む。かかる評価ステップは、外皮性状観察、皮膚組織検査(すなわち、好酸球、肥満細胞及び樹状細胞)、RNA転写物についての皮膚におけるTSLP及びTh2型サイトカイン発現を分析する(例えば、ノーザンブロット及び定量的RT-PCR(Q-PCR)、あるいはタンパク質のウェスタンブロット及び免疫組織化学による)ことによって、及びTSLP及びIgE血清レベル(例えば、ELISAによる)及び血中好酸球増加を分析することによって、実現される。
本明細書で使用される用語「生理的に活性なビタミンD3(1α,25(OH)2D3)は、1,25-ジヒドロキシビタミンD3を意味する。
ビタミンD3作動性アナログは当業者に知られており、非-限定的な例として、1α,18,25-(OH)3D3、23-(m-(ジメチルヒドロキシメチル)-22-イン-24,25,26,27(テラノル)-1α-(OH)2D3、1α,25-ジヒドロキシ-トランス-イソタキステロール(1,25-トランス-イソ-T)、(1S,3R,6S)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3、(1S,3R,6R)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3、22-(p-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3、PCT出願WO 95/17197に記載の22-(m-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3、26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903)、1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10−セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(EB1089)、及びCARLBERG等 (J. Steroid. Biochem. MoI. Biol, vol.51, p: 137-142, 1994)に記載の1α,25-(OH),-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリスホモビタミンD(KH1060)、並びにCARLBERG等 (J Cell Biochem., vol.88, p:274-281, 2003)に記載の1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3を含む。
ビタミンD3はカルシウム・ホメオシタシスにも関連し、哺乳動物へのその投与は高カルシウム血症を引き起こすことがある。
有利なことに、前記ビタミンD3作動性アナログは、低-血漿カルシウム上昇性ビタミンD3作動性アナログである。かかる低-血漿カルシウム上昇性ビタミンD3作動性アナログは当業者に知られており、非-限定的な例として、26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903)、1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(EB 1089)、1α,25-(OH),-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリスホモビタミンD(KH 1060)、及び1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3からなる群より選ばれる低-血漿カルシウム上昇性ビタミンD3合成作動性アナログを含む。
発明者らは、AD-様表現型を招く一連の免疫学的事象上での開始サイトカインとして働くTSLPが、1α,25 (OH)2D3又はMC903の耳皮膚への投与によって誘発される、ことを証明した。
従って、前記ビタミンD3作動性アナログは、TSLP発現を誘導しなければならず、例えば26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903)に対応する。
当業者は、AD-様表現型を誘発するために、一般的知識及び実施例に記載のプロトコールの観点から、投与されるビタミンD3又はその作動性アナログの有効量を容易に決定することができる。
例えば、ビタミンD3についてのこのような有効量は、0.025 nmol〜4 nmol/皮膚(cm2)の範囲、好ましくは0.1 nmol〜0.5 nmol/皮膚(cm2)の範にある。
例として、MC903ビタミンD3作動性アナログについてのこのような有効量は、0.025 nmol〜5 nmol/皮膚(cm2)の範囲、好ましくは0.5 nmol〜2.5 nmol/皮膚(cm2)の範囲にある。
発明者らはまた、RARアゴニスト、好ましくはPARγ-選択的アゴニストの局所投与が1α,25(OH)2D3投与によって誘発されるTSLP増加を起こすことを証明した。
別の実施態様では、前記ステップ(i)は、天然及び合成レチノイン酸受容体(RAR)アゴニストを含む群より選ばれる少なくとも1つの化合物の前記哺乳動物への投与を更に含む。
天然及び合成RARアゴニストは当業者には周知であり、例として、天然RARアゴニストとしてのレチノイン酸(RA)、並びにR-及びS-3-フルオロ-4-[2-ヒドロキシ-2-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-アセチルアミノ-安息香酸のRARγ-選択的ラセミ混合物(BMS961; BOURGUET & GERMAIN et al, Trends Pharmacol. Sci, vol.21(10), p: 381-8, 2000)、パン-RARアゴニストである(R)-3-フルオロ-4-[2-ヒドロキシ-2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルナフタレン-2-イル-2-アセチルアミノ]安息香酸(BMS270394; KLAHOLZ et al, Proc. Natl. Acad. Sci U S A, vol.97, p: 6322-6327, 2000; KLAHOLZ et al, J. Mol. Biol., vol.302, p: 155-170, 2000)、及びパン-RARアゴニストである(E)-4-[2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルナフタレン-2-イル)プロプ-1-エン-1-イル]安息香酸(TTNPB; THACHER, VASUDEVAN et al., Curr. Pharm. Des., vol.6(1), p: 25-58, 2000)のような合成RARアゴニストを含む。
当業者は、一般的知識及び実施例に記載のプロトコールの観点から、AD-様表現型を誘発するために、ビタミンD3又はその作動性アナログを用いて投与される天然又は合成RARアゴニストの有効量を容易に決定することができる。
例として、BMS961についてのそのような有効量は、0.025 nmol〜5 nmol/皮膚(cm2)の範囲、好ましくは0.5 nmol〜2.5 nmol/皮膚(cm2)の範囲にある。
別の好ましい実施態様では、前記投与ステップは、毎日の投与に対応し、アトピー性疾患、好ましくはアトピー性皮膚炎を誘発するために十分な期間、維持される。
例として、前記のアトピー性疾患、好ましくはアトピー性皮膚炎を誘発するために十分な期間は、1〜30日間、好ましくは3日〜1ケ月、より好ましくは10〜20日間の期間の毎日の投与に対応し、その後いつでも再開できる。
更に別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用である化合物を前記哺乳動物に投与するステップ(iii)を更に含む。従って、本発明の方法は、アトピー性疾患、好ましくはアトピー性皮膚炎(AD)を治療及び/予防するために有用である化合物を特定することができる。
本明細書で使用される、アトピー性疾患を「治療及び/又は予防する」とは、アトピー性疾患の症状が前記化合物の投与の後に予防、減少又は阻害されることを意味する。
生理的に活性なビタミンD3及びその作動性アナログを含む群より選ばれる化合物の投与ステップ(i)、及びアトピー性疾患を治療及び予防するために有用である化合物の投与ステップ(iii)は、同時に又は連続して実行される。
本明細書で使用される用語「アトピー性疾患を治療及び/予防するために有用である化合物」は、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、多糖、ビタミンD3アンタゴニスト又はRARアンタゴニストのような任意の化合物を意味する。
有利なことに、前記化合物は、ビタミンD3アンタゴニスト又はRARアンタゴニストであり、より好ましくはビタミンD3アンタゴニストである。
より有利なことには、前記組成物は、ビタミンD3アンタゴニストとRARアンタゴニストとの組み合わせである。
好ましくは、前記の少なくとも1つのビタミンD3アンタゴニスト及び少なくとも1つのRARアンタゴニストは、同時に又は連続して投与される。
ビタミンD3アンタゴニストは当業者によく知られており、例として、14-エピ-1,25-(OH)2D3、14-エピ-1,25-(OH)2-プレ-D3、1,25-(OH)2-7,8-シス-D3、PCT出願WO 95/17197に記載の1,25-(OH)2-5,6-トランス-7,8-シス-D3、PCT出願WO 02/15894に記載のビタミンD3アンタゴニスト、及びブチル-(5Z,7E,22E)-(1S,3R,24R)-1,3,24-トリヒドロキシ-26,27-シクロ-9,10-セココレスタ-5,7,10(19),22-テトラエン-25-カルボキシレート(ZK159222)、(23S)-25-デヒドロ-1α(OH)D3-26,23-ラクトン(TEI 9647)、並びにCARLBERG(2003、上記)に記載のZK168281を含む群より選ばれるビタミンD3拮抗性アナログを含む。
好ましくは、前記ビタミンD3拮抗性アナログは、免疫系に対する生理的に活性なビタミンD3の効果を選択的に拮抗する。
RARアンタゴニストも当業者によく知られており、例として、4-(6-メトキシエトキシメトキシ-7-アダマンチルナフタレン-2-イル)安息香酸(CD2665; SZOND Yet al, Mol. Pharmacol, vol.51(6), p: 972-82, 1997)、4-[2-(5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-p-トリルナフタレン-2-イル)エチニル]安息香酸(AGN 193109; KLEIN et al, J. Biol Chem., vol.271(37), p: 22692-6, 1996)及び(E)-4-[2-[5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-(2-フェニルエチニル)ナフタレン-2-イル]エテン-1-イル]安息香酸(BMS493; GERMAIN et al, Nature, vol.415(6868), p: 187-92, 2002)を含む群より選ばれるパン-RARアンタゴニストを含む。
好ましくは、前記RARアンタゴニストは、RARγ-選択的アンタゴニストである。
好ましい実施態様では、アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用である化合物の同定を可能にする前記方法は、炎症性アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用である化合物を投与し又は投与しないで、哺乳動物のアトピー性疾患表現型を比較するステップ(iv)を更に含む。
更に好ましい実施態様では、アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用である化合物の同定を可能にする前記方法は、アトピー性疾患表現型、好ましくはAD-様表現型に復帰する及び/又は該表現型を抑制する化合物を選択するステップ(v)を更に含む。
選択された化合物は、次いで、他の動物モデルにおいて、アトピー性疾患を予防又は治療するその毒性及び/又は能力を更に試験してもよい。
更に別の好ましい実施態様では、アトピー性疾患は喘息である。
好ましくは、生理的に活性なビタミンD3及びその作動性アナログを含む群より選ばれる化合物、及び最終的には喘息を治療及び/又は予防するために有用である化合物は、肺に投与される。肺への化合物の投与のための方法は当業者によく知られており、アエロゾル吸入を含む。
有利なことに、前記方法は、喘息の発症を評価するステップ(ii)を更に含む。かかる評価ステップは、組織病理学的検査(例えば、肺炎症の同定)、気管支肺胞洗浄(BAL)液の分析、肺TSLP及びTh2-型サイトカイン発現の分析、並びに肺機能の生理的試験によって実現される(例えば、RANGASAMY等(J. Exp. Med., vol.202(1), p: 47-59, 2005)に記載の気道反応性亢進の測定)及び気道感作の動物モデル(Unit 15.18 in Current Protocols in immunology, John Wiley & Sons, Inc., 1999)において)。
本発明の第2の目的は、少なくともビタミンD3アンタゴニストの有効量を患者に投与するステップを含む、患者におけるアトピー性疾患を治療及び/又は予防するための方法に関する。
本明細書で使用する用語「患者」は、哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。
好ましくは、前記アトピー性疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)又は喘息、より好ましくはアトピー性皮膚炎(AD)である。
より好ましくは、前記方法は、少なくとも1つのRARアンタゴニストを患者に投与するステップを更に含む。
少なくとも1つのビタミンD3アンタゴニスト及び少なくとも1つのRARアンタゴニストは、同時に又は連続して投与することができる。
少なくとも1つのビタミンD3アンタゴニストは、少なくとも1つのRARアンタゴニストと共に又は該アンタゴニスト無しに、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物(「医薬」とも称される)に調合することができる。本発明の医薬組成物の調合は当業者の範囲内にあり、例えば、本明細書に参考文献としてその全体が援用されている、Remington's Pharmaceutical Science, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa. (1985) に記載されている。
本発明によれば、少なくとも1つのビタミンD3の「有効量」及び場合により少なくとも1つのRARアンタゴニストの「有効量」は、所望の生物的効果、この場合にはアトピー性疾患の予防及び回復を達成するために十分な量である。承知のように、この有効量は、レシピエントの年齢、性別、健康状態及び体重、もしあれば現在の治療の種類、治療の頻度、並びにその受容体への前記アンタゴニストの親和性に依拠することになる。
本発明の第3の目的は、患者におけるアトピー性疾患を治療及び/又は予防するための医薬の製造のための、少なくとも1つのビタミンD3拮抗性アナログを含む組成物の使用に関する。
好ましくは、前記疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)又は喘息であり、より好ましくはアトピー性皮膚炎(AD)である。
より好ましくは、該組成物は少なくとも1つのRARアンタゴニストを更に含む。
好ましくは、前記医薬は患者の皮膚又は肺に投与され、より好ましくは皮膚に投与される。
本発明を以下の非-限定的な実施例によって説明する。
1) 1α,25-(OH)2D3(生理的に活性なビタミンD3)又はその低-血漿カルシウム上昇性アナログMC903の局所投与は、表皮ケラチノサイトでのTSLP発現を誘発する
作動性リガンドがNRパートナーに結合されていないRXR/NRへテロ二量体は、転写リプレッサーとして働くことができるので(PERISSI and ROSENFELD, 2005、上記)、我々は、TSLP発現が、RXRとヘテロ二量化することが知られているNRの様々な作動性リガンドによって誘発され得るか否かを試験した。
エタノールに溶解した4 nmolのリガンドを、6〜8週齢雌性CD1野生型(WT)マウスの耳全体に4日間連続して(D1〜D4)局所的に適用し、TSLP RNAレベルを5日目に測定した。
図1のaは、エタノール、BMS961、BMS649、フェノフィブラート、GW501516、ロシグリタゾン及び1α,25(OH)2D3の皮膚局所適用の5日(D5)後に耳の表皮ケラチノサイトにおけるTSLP RNAレベル(Q-PCRによって測定)を示す。
この結果は、RXR(BMS649、SR11237としても知られている; LEHMANN et al, Science, vol.258, p: 1944-1946, 1992)、PPARα (フェノフィブラート) (INOUE et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., vol.290, 131-139, 2002)、PPARβ (GW501516, OLIVER et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.98, p:5306-5311, 2001)、PPARγ (ロシグリタゾン; LEHMANN et al., J. Biol. Chem., vol.270, p: 3406-3410, 1997) 及びLXR (25-ヒドロキシコレステロール; FOWLER et al., J. invest. Dermatol., vol.120, p: 246-255, 2003)の選択的アゴニストの局所適用が、TSLP発現に対して何の効果を有さなかった、ことを示している(Q-PCRによって測定;図1のa参照)。対照的に、1α,25-(OH)2D3に適用は、D5におけるTALP転写物で劇的な増加を招いたが(>300倍)、RARγ-選択的アゴニストの適用では、適度にしかし有意に増加した(5倍)(BMS961; CHAPELLIER et al., Embo J, vol.21, p: 3402-3413, 2002; 図1のa参照)。
この投薬量で1α,25-(OH)2D3適用は、マウスの高カルシウム血症及び死を招いたので、我々は、0.25 nmol用量で1日おきに1α,25-(OH)2D3を適用し、あるいは低-血漿カルシウム上昇活性を示し、乾癬治療に使用される(KRAGBALLE and IVERSEN, Dermatol. Clin., vol.11, p: 137-141, 1993)そのアナログMC903(カルシポトリオール, Dovonex ; CARLBERG, 2003、上記)を毎日適用した。1α,25-(OH)2D3又はMC903及びエタノール(ビヒクル)をそれぞれWTマウスの右耳及び左耳に適用した。背側皮膚の2つの毛を剃った部位(各1 cm2)も、MC903又はエタノールで処置した。
図1のbは、皮膚局所適用の2、3及び4日後(D2、D3及びD4)の、エタノール-処置左耳及びMC903-処置右耳のTSLP及びCYP24A1 RNAレベル(Q-PCRによって測定)を示す。
図1のcは、D2、D3及びD4の、エタノール-処置及びMC903-処置背側皮膚(c)のTSLP RNAレベル(Q-PCRによって測定)を示す。図1は、D0、D2、D3及びD4での血清TSLPレベル(pg/ml)を示す(これらのデータは、3つの独立した実験の代表である)。
この結果は、第1適用の1日後(D2)に、TSLP RNAレベルが右耳で増加し、更にD3及びD4に更に増加したが、左耳では増加が認められなかったことを示している(図1のbの左パネル参照)。CYP24A1、1α,25-(OH)2D3-誘発性遺伝子の転写物(JONES et al, Physiol. Rev., vol.78, p: 1193-1231, 1998)は、予想どおり、MC903適用の際に増加した(図1のbの右パネル参照)。TSLP RNAは、MC903-処置背側皮膚でも増加し(図1のc参照)、血清TSLPレベルはD2〜D4で増加したが、D0では検出できなかった(処置前、図1のd参照)。MC903の用量の増加(0.4、1又は4 nmol/耳)は、TSLP転写物の用量-依存的増加をもたらした、これは、同様に、EB 1089及びKH 1060を含む、他の1α,25-(OH)2D3の低-血漿カルシウム上昇性アナログで観察された(CARLBERG, 2003、上記; CARLBERG et al, 1994、上記; 及び我々のデータ非表示)。
TSLPのMC903-誘発発現が皮膚に限定されるか否かを試験するために、様々な他の臓器をD5に分析した。
図1のeは、エタノール又はMC903によって耳等:耳(E)、肺(Lu)、胸腺(Thy)、唾液腺(Sa)、舌(To)、結腸(Co)、脾臓(Sp)、リンパ節(LN)及び肝臓(Li)に局所的に処置されたマウスのD5におけるTSLP RNAレベル(Q-PCRによって決定)を示す。
この結果は、TSLP転写物における増加が、耳を除いて、これらの臓器では観察されなかったことを示している(図1のe参照)。
図1のfは、エタノール又はMC903で局所的に処置されたマウスの耳の切片(上パネル)及び背側皮膚の切片(下パネル)におけるD4での免疫化学による、TSLP及びケラチン1(K1)の発現を示している。白色の矢の根は、自家蛍光赤血球を示し、白色の矢は、真皮/表皮の結合を示している(スケールバー、50 μm)。
図1のfに示される免疫組織化学(IHC)は、エタノール-処置耳又は背側皮膚の真皮及び表皮におけるTSLP発現を明らかにしなかったが、MC903処置ではD4において容易に検出された(図1のf:耳皮膚:上パネル;背側皮膚:下パネル)。TSLP及びケラチン1のための2つのIHC(K1、基底上ケラチノサイトマーカーとして使用される)は、TSLPがMC903-処置耳及び背側皮膚においてこれらのケラチノサイトに主に存在しているが、(ケラチン14を発現する)基底ケラチノサイトではより低いレベルでも検出された、ことを示した(図1のf参照、及びデータ非表示)。
図2のtは、エタノール及び1α,25(OH)2D3(0.25 nmol/耳の用量で)の1日おきでの皮膚局所適用の18日後(D18)の、耳表皮ケラチノサイトにおけるTSLP RNAレベル(Q-PCRによって測定)を示す。
この結果は、18日目に、TSLP RNAレベルが耳において増加したことを示している(図2のt参照)。高カルシウム血症又は全体的な健康不良及び体重減少は観察されなかった。
2) MC903又は1α,25(OH)2D3の局所適用はAD-様症候群を誘発する
TSLP発現はマウスのAD-様皮膚炎の開始に非常に関連するようであるので(LI et al, 2005, 上記, YOO et al, 2005, 上記)、我々は、MC903及び1α,25(OH)2D3の長期間処置がAD-様表現型を誘発することができるか否かを研究した。
6〜8週齢の雌性CD1野生型 (WT) マウスの耳に、MC903 (4 nmol) 又は1α,25(OH)2D3 (0,25 nmol) を、16日間、それぞれ、毎日又は1日おきに適用した。高カルシウム血症又は全体的な健康不良及び体重減少は観察されなかった。エタノール適用は、耳の概観には何の変化も起こさなかったが、赤み及び膨れが観察され、これはMC903-処置耳又は1α,25(OH)2D3-処置耳ではD5から時間と共に悪化した。
図2は、MC903、1α,25(OH)2D3、又はエタノールでの耳局所的処置の効果を示す。白色矢印は、真皮/表皮結合を示している。
図2のa及び2bは、それぞれ、エタノール及びMC903の処置の17日後での耳概観を示す。
図2のc及び2のdは、それぞれ、17日目のエタノール-処置マウス及びMC903-処置マウスのヘマトキシリン及びエオシン-染色(HE)耳切片を示す。好酸球-選択的細胞赤色染色は、(d)の画像内で矢印によって示されている。
図2のuは、18日目(D18)の、0.25 nmolの用量で1日おきにエタノール-及び1α,25(OH)2D3-処置したマウスのヘマトキシリン及びエオシン-染色(HE)耳切片を示す。
図2のe〜図2のnは、GR1 (e及びf)、CD3 (g及びh)、CD4 (i及びj)、CD8 (k及びl) 及びCD11c (m及びn) に対する抗体を用いて、D17でのエタノール-及びMC903-処置したマウスからの耳切片について実施したIHCの結果を示す。黄色は抗体の染色に対応し、青色は核のDAPI染色に対応する。
図2のo及び図2のpは、耳切片のトルイジンブルー(TB)染色を示す。赤色矢印は、真皮において濃い青色を有する肥満細胞の1つを示している。
図2のqは、D17でのエタノール-及びMC903-処置耳におけるサイトカインRNAレベル(Q-PCRによって決定)を示す。この結果は、D17でのエタノール-及びMC903-処置マウスにおける血清IgE及びIgGレベルを評価するELISA実験の結果を示す。図2は、D17でのエタノール-及びMC903-処置マウスの耳漏れリンパ節及び肝臓のヘマトキシリン及びエオシン-染色切片を示す。黄色矢印は、MC903-処置マウスのリンパ節及び肝臓の切片における多数の好酸球(赤色細胞染色)の内の3つを示している(スケールバー、50 μm)。
この結果は、D17において、これらの耳が赤くなり、鱗状になり、膨れ及び外皮で覆われ(図2参照、a及びbを比較)、一方、頻繁の耳の掻き落とし(非表示)は痒みを示唆した、ことを示している。組織的分析は、表皮肥厚化及び重い真皮細胞浸潤物を明らかにした。そこでは多数の好酸球がヘマトキシリン/エコシン染色の際に容易に同定された(図2のd及び差し込み図、及び2u参照)。それらの同定は、好酸球-選択的ルナ染色で確認した(非表示)。対照的に、エタノール-処置耳では好酸球は見出されなかった(図2のc及び図2のu参照)。(顆粒球及び単球を認識する)抗-GR1抗体を有するIHCは、好酸球の陽性細胞であって好中球の陽性細胞ではない真皮における非常に多数の陽性細胞が主な成分であることを明らかにした(図2のf参照、及びデータ非表示)。多数のTリンパ球(CD3+)は、MC903-処置真皮において観察されたが(図2のh参照)、僅かに残っているTリンパ球のみがエタノール-処置耳において検出できた(図2のg参照)。浸潤T細胞のほとんどは、CD4+ヘルパーT細胞であり(図2のj参照)、僅かなCD8+細胞傷害性T細胞のみが見出された(図2のl参照)。CD11c+真皮樹状細胞の相当な増加は、MC903-処置耳でも観察されたが(図2のm及びn参照)、肥満細胞は真皮において4倍に増加した(図2のo及びp参照、及びデータ非表示)。
0.25 nmolの1α,25(OH)2D3/耳の用量で1日おきに処置されたWTマウスにおいて、D18にTSLP発現が有意に誘発され(図2のt参照)、CD4+リンパ球、樹状細胞、好酸球及び肥満細胞を含む炎症性浸潤物も観察された(図2のu、及びデータ非表示)。
総合すれば、これらのデータは、MC903-及び1α,25(OH)2D3-処置耳の皮膚において観察された炎症性細胞浸潤物が、AD-様皮膚炎症の特徴を有したことを示した(LI et al, 2005、上記)。このことは、MC903-処置耳で発現されたサイトカインRNAのQ-PCR分析によって十分に支持された。D16には、TSLP転写物は顕著に増加し(図2のq参照)、Th2-型サイトカイン転写物(IL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL10及びIL-6)(LI et al, 2005、上記)は全て顕著に増加した(図2のq参照)。Th1-型サイトカインIFN-γの発現も亢進されたが、TNF-β及び他のTh1-型サイトカインの発現は変化しなかった。重要なことには、基本的にTh2-型炎症の発現プロファイルであるこのサイトカイン発現プロファイルは、RXRαβep-/-及びK14-TSLPトランスジェニックマウスの皮膚で観察されたものと同様であった(LI et al, 2005、上記)。このことは、ケラチノサイトにおける亢進したTSLP産生におそらく起因したことを示している。血液及び組織の好酸球に関連して高い血清IgE及びIgGレベルを含む全身的な異常は、RXRαβep-/-及びK14-TSLPマウスで観察された。これは、AD患者において観察されたものと同様であることを示した(LI et al, 2005、上記)。血清IgE及びIgGレベルは、MC903が耳に16日目に局所的に適用されたマウスにおいて増加した(図2のr参照)。更に、D16では、MC903-処置マウスは、耳漏れリンパ節、肝臓及び脾臓において増加した好酸球数を示した(図2のs参照、及びデータ非表示)。分化血液細胞の総数は、MC903-処置マウスにおける好酸球の顕著な増加も示した(693±220細胞/μlに対して、エタノール-処置マウスでは204±134細胞/μl)。従って、MC903の局所適用は、ヒトADの表現型を模倣した、皮膚及び全身性表現型を招く。
3) ケラチノサイトVDR及びRXRは、MC903処置時にTSLP発現の誘導及びAD-様皮膚炎症の発生のために必要とされる
MC903-誘導TSLP発現及びAD-様皮膚炎症の外観がVDRによって仲介されるか否かを研究するために、MC903を「フロックスされた(floxed)」VDR対照(CT)マウス(2つのVDRアレルがLoxP部位を有するVDRL2/L2)のマウスの耳、及びそのVDRep-/-同腹子のマウス[VDRアレルがケラチノサイトで選択的に除かれ、そしてK14-Cre(tg/0)トランスジェニックマウスをフロックスされたVDRL2/L2マウスと交配することによって得られる、K14-Cre(tg/0)/VDRL2/L2マウス(LI et al, Development, vol.128, p: 675-688, 2001)(我々の公表データ)]の耳に局所的に適用した。
図3のa及びbは、D17でのVDR対照(CT)(a)及びVDRep-/-マウス(b)のMC903-処置耳の外観を示す。(a)の白色矢印は損傷皮膚を示す。
図3のc及びdは、ヘマトキシリン及びエコシン-染色耳切片を示す。差し込み図(c)の黄色矢印は、MC903-処置CT皮膚における多数の好酸球(赤色細胞染色)内の3つを示す。黒色矢印は、真皮/表皮結合を示す。hf、毛嚢; u、卵形嚢(VDRep-/-マウスの毛嚢退化から得られる)(スケールバー、50μm)。
図3は、VDR CT(レーン1及び2)、VDRep-/-(レーン3及び4)及びVDR-/-(レーン5及び6)マウスのエタノール-及びMC903-処置耳におけるD4でのTSLP RNAレベル(Q-PCRによって決定)を示す。
この結果は、MC903処置のD17において、AD-様炎症がVDR CTマウスの耳では明らかであるが、VDRep-/-耳は、何の炎症の兆候も示さなかったことを示している(図3のa及びb)。従って、好酸球、CD4+ヘルパー細胞T細胞、樹状細胞及び肥満細胞を含む炎症性細胞の大量の真皮浸潤物が、MC903-処置VDR CTの耳切片で検出されたが(図3のc参照、及びデータ非表示)、VDRep-/-マウスの耳切片で検出されなかった(図3のd参照)。同様に、AD-様炎症が、DR(生殖細胞系ノックアウト)マウスの局所MC903処置の際に発症した(YOSHIZAWA et al, Nat. Genet., vol.16, p: 391-396, 1997; データ非表示)。TSLP発現(Q-PCRによって決定)は、VDR CTマウスのMC903-処置皮膚において強力に誘発されたが(図3のe参照、レーン1及び2)、VDR-/-マウスのMC903-処置皮膚では全く誘発されなかった(レーン5及び6)、一方、VDRep-/-変異体のMC903-処置皮膚では僅かに増加した(レーン3及び4)この後者の増加は、非-ケラチノサイト細胞においてMC903に対する弱い反応を反映しているかもしれない。いずれにしろ、我々のデータは、MC903適用時のラチノサイトでのTSLP発現の誘発が、AD-様表型の発生をもたらすVDR-依存的細胞-自律的事象である、ことを明確に証明した。この点に関して、重要なことには、VDR-欠損変異体マウスが実験的喘息の症状を発症できないことを最近報告している(WITTLE et al, J. Immunol, vol.173, p: 3432-3436, 2004)。
MC9037の効果が、RXR/VDRヘテロ二量体によって変換されるか否かを調べるために、RXRαβep-/-マウスの耳(タモキシフェン-処置K14-Cre-ERT2(tg/0)/RXRαL2/L2/RXRβL2/L2;LI et al, 2005、上記)、及び対照の同腹子(RXRαβ CT)をMC903で局所的に処置した。
図3のfは、エタノール-及びMC903-処置耳においてD4での、RXRαβ CTマウスのTSLP RNAレベル(Q-PCRによって測定)(レーン1及び2)及びRXRαβep-/-マウスのTSLP RNAレベル(レーン3及び4)を示す。
予想したように(LI et al, 2005、上記)、成熟マウスのケラチノサイトの選択的RXRαβ-欠如は、増加したTSLP発現をもたらした(レーン1及び3)。しかしながら、MC903によるTSLP誘発は、RXRαβep-/-皮膚ではかなり減少した(レーン2及び4)、このことは、おそらくRXR/VDRヘテロ二量体の関連を反映する、VDRアゴニストによるTSLP誘発におけるケラチノサイトRXRの必須機能を示している。
4) VDR及びRARγ作動性リガンドは相乗作用して皮膚TSLP発現を誘発する
図1のaは、活性型ビタミンD3 [1α,25-(OH)2D3]よりも非常に効力があるが、マウス耳皮膚に対するRARγ-選択的アゴニスト(BMS961)の適用がTSLP転写物の有意な増加をもたらしたことを示している。RAの局所的適用は、同様に誘発をもたらした(データ非表示)。
VDR及びRARγアゴニストがTSLP発現をアップレギュレートする点で相乗作用することができたか否かを試験するために、WTマウス耳を、エタノール、BMS961(4 nmol)、1α,25-(OH)2D3(0.4 nmol)の限界用量、又は2つのリガンドの組み合わせのいずれかで3日目に局所的に処置した。耳TSLP転写物及び血清TSLPをD4に測定した。
図4のaは、エタノール、BMS961(4 nmol)、1α,25-(OH)2D3(0.4 nmol)、又はBMS961(4 nmol)及び1α,25-(OH)2D3(0.4 nmol)のいずれかで処理されたマウス耳においてD4に測定された、耳(左パネル)及び血清TSLPレベル(右パネル)におけるTSLP RNAレベル(Q-PCRによって測定)を示す。
この結果は、BMS961の効果と1α,25-(OH)2D3の効果との明確な相乗作用を示す(図4のa参照)。このことは、TSLP発現の転写活性化におけるRARγ-及びVDR-介在事象の相乗的関連を示唆している。しかしながら、BMS961又はRAのいずれかによる局所的処置の際にTSLP発現の誘発は、そのままでは、明白なAD-様表現型を誘発するには低すぎる(データ非表示)。
重要なことに、VDR及びRARγのアゴニストがそれ自体で又は相乗的にTSLP発現を誘発できたという事実は、対応するRXRへテロ二量体が明確な同系の反応要素に結合することを示唆している。
この点に関して、RXR/VDRヘテロ二量体(VDRE: DR3)又はRXR/RARヘテロ二量体(RARE: DR2及びDR1)(LEID et al, Trends Biochem. Sci, vol.17, p: 427-433, 1992)に結合することがある、マウス及びヒトTSLPプロモーター部位が推定上の反応要素(RE)を含むことは注目に値する(それぞれ、図4のb及びc参照)。
これらの証拠に基いて、発明者らは、RXRα(β)/VDR及びRXRα(β)/RARγヘテロ二量体によるTSLPプロモーター活性の調節を説明するモデルを提案する。
図5は、マウスのケラチノサイトにおけるTSLP発現のRXRα(β)/VDR-及びRXRα(β)/RAR-介在調節の図解モデルを示す。マウス及びヒトTSLP遺伝子のプロモーター部位は、TATAボックス要素及び近接要素(例えば、NF-κb結合部位)(基底プロモーター)、並びに推定上のVDRE及びRAREを含む(図4のb及びc参照)。
In vivoでのホメオスタティック条件下では、RAは全く存在しないか(Calleja et al., Genes & Dev. 20, p.1525-15.38, 2006)又は存在したとしてもかなり少ないので、表皮ケラチノサイトにおける活性型ビタミンD3、TSLPプロモーター基底活性は、コリプレッサーと関連して、非リガンド性RXRα(β)/VDR及びRXRα(β)/RARγヘテロ二量体によって封じられる(PERISSI & ROSENFELD, Nat. Rev. Mol Cell. Biol, vol.6, p: 542-554, 2005; 図5a参照)。この抑制はVDR又はRARγのいずれかの欠如によって軽減され得ないので、この抑制は、RXRα(β)/VDR又はRXRα(β)/RARγヘテロ二量体のいずれかによって効果的に発揮され得る(図3のe参照、及びデータ非表示;図5のb及びc参照)。一方、その結合部位から2つのヘテロ二量体を除くRXRα及びβの切除(図5d参照)は、この抑制を止め、AD-様表現型の発生を誘発するために十分な基底活性(図3のf、レーン3参照)へのTSLP転写を基底プロモーター-結合転写因子が刺激することを許容する(LI et al, 2005、上記)。
活性型ビタミンD3又は低-血漿カルシウム上昇性アナログ(MC903)のいずれかの局所適用(図5のe)は、その転写活性(図3のf、レーン2参照)がRXR/RARγ-コリプレッサー複合体によって奏される抑制を低減するだけでなく、基底プロモーター活性を更に亢進するくらいに十分に効率的である、RXR/VDR-活性化補助因子複合体を生成する。興味深いことに、BMS961の適用時に形成されたRXR/VDR-活性化補助因子複合体は、RXRα及びβについて切除されたケラチノサイトにおいて観察されるように(図3のf、レーン3参照)、基底プロモーター活性から得られるレベルよりも低いTSLP転写物レベルを生じる(図1のa参照)ので、かなり効率的である(図5f参照)。しかしながら、BMS961及び1α,25-(OH)2D3の限界用量での補助-処置(図5g参照)において、リガンドされたRXR/RARγ及びRXR/VDRヘテロ二量体は、効率的に相乗作用してTSLP基底プロモーターの活性を亢進することができる(図4a参照)。
5) VDR及びRARアンタゴニストはビタミンD3-誘発TSLP発現をダウンレギュレートする
活性ビタミンD3又は低-血漿カルシウム上昇性ビタミンD3アナログ(例えば、MC903)による局所的処置の際にマウスのケラチノサイトでのTSLPの迅速かつ制御可能な誘発は、VDR及び/又はRARアンタゴニストがTSLPの発現をダウン-レギュレートするために使用できたか否かを試験するための相当簡便なAD前臨床モデルを提供する。
ビタミンD3アンタゴニスト ZK 168281 (2.5 nmol) 又はTEI 9647 (2.5 nmol)、エタノール、及び1α,25-(OH)2D3 (0.25 nmol)、あるいはビタミンD3アンタゴニスト ZK 168281 (2.5 nmol) 又はTEI 9647 (2.5 nmol)及びエタノールを、6〜8週齢の雌性CD1(WT)マウスの耳に局所的に毎日適用した。4日目(D4)に耳のTSLP RNAレベルを測定した。
この結果は、これらの2つのビタミンD3アンタゴニストが1α,25-(OH)2D3-誘発TSLP発現をダウンレギュレートすることを示している(図6参照)。
RARアンタゴニストであるBMS493 (2.5 nmol)、エタノール及びMC903 (1.25 nmol)、あるいはRARアンタゴニストであるBMS493 (2.5 nmol)及びエタノールを、6〜8週齢の雌性CD1(WT)マウスの耳に局所的に毎日適用した。D3に耳のTSLP RNAレベルを測定した。
この結果は、BMS493がMC903-誘発TSLP発現をダウンレギュレートすることを示している(図7参照)。このことは、RARアンタゴニストに結合したRXR/RARγがこのTSLP発現の誘発を抑制できることを示唆している。
6) オボアルブミン-誘発マウスモデルの喘息表現型は、アゴニストビタミンD3アナログによって亢進される
ADは、AD患者の>30%で喘息及びアレルギー鼻炎を引き起こす「アトピー・マーチ」の開始ステップであるので、我々は、マウスの耳へのMC903の局所適用によって誘発されるADが喘息の表現型を亢進することによって「アトピー・マーチ」に影響を与えるか否かを試験した。
実験的オボアルブミン(OVA)-誘発喘息マウスモデルを使用した。マウスに、0及び7日目に、2 mgの水酸化アルミニウム(Alum)に吸着された50μgのOVAを用いて腹腔内に投与し、次いで10μgのOVAの鼻腔内注入によって18、19、20及び21日目にチャレンジした。対照として、マウスをAlumで腹腔内に投与し、生理食塩水の鼻腔内注入を行った。これらのマウスは、耳ADを発生させるために、0日〜21日まで1日おきに各耳に、エタノール(対照として)又はMC9033 (1.125 nmol) のいずれかで局所的に処置した。
呼吸器機能の評価、気管支肺胞洗浄(BAL)液及び肺の回収は、22日目に行った。
この結果は、マウス耳へのMC903の局所適用は、増加した気道反応性亢進(AHR)(図8のa)、高いBAL細胞数(好酸球が豊富)(図8のb及びc)、気道表皮肥大の増加、及び好酸球が豊富な血管周囲及び気管支周囲の肺炎症性浸潤物(図8のd)、を含む、AD(提供なし)及び喘息の表現型の増加をもたらした、ことを示している。従って、マウスにおいてオボアルブミン-誘発喘息を有する耳ADに関連する本モデルは、重度の喘息の予防及び治療のために有用であろう化合物を選別するための興味深いモデルを提供する。
図8のaは、示したように処置され及びアエロゾル化メタコリン(0.05M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M)の所定の濃度に曝露されたマウスの、体全体のプレチスモグラフィーによって測定された、気道反応性亢進(AHR)を示す。アエロゾル化生理食塩水を対照として使用した。
図8のbは総細胞数を示し、図8のcは、示すように処置されたマウスのBALにおける22日目の好酸球、マクロファージ、好中球及びリンパ球の割合を示す。
図8のdは、22日目に示すように処置されたマウスからのヘマトキシリン及びエコシン-染色(HE)肺切片を示す。耳へのMC903処置は、オボアルブミンに敏感でチャレンジされたマウスにおいて、気道上皮肥大の増加、肺における高い血管周囲及び気管支周囲の肺炎症性浸潤物、特に豊富な好酸球(差し込み図で矢印で示す)によって特徴付けられる増加した気道炎症を引き起こした。
上記のものを含む本願で言及したすべての文献は、本明細書にその全体が参考文献として引用される。上記の実施態様の様々な修飾は、本明細書で提供された開示から当業者には明らかであろう。従って、本発明は、本発明の趣旨又は必須の特徴から逸脱することなく他の特定の形態において実施してもよい。

Claims (34)

  1. 非ヒト哺乳動物においてヒトアトピー性疾患-様表現型を発生させる方法であって、以下のステップ:
    (i) 生理学的に活性なビタミンD3(1α,25(OH)2D3)及びその作動性アナログを含む群より選ばれる少なくとも1つの化合物を該哺乳動物に投与することを含む、前記方法。
  2. 前記アトピー性疾患がアトピー性皮膚炎(AD)である、請求項1記載の方法。
  3. (ii) 前記哺乳動物におけるアトピー性皮膚炎-様表現型の発生を評価するステップを更に含む、請求項2記載の方法。
  4. 前記評価ステップが、外部皮膚局面観察、皮膚組織実験、皮膚におけるTSLP及びTh2型サイトカイン発現を分析すること、TSLP及びIgE血清レベルを分析すること、並びに血液好酸球増加を分析すること、によって実現される、請求項3記載の方法。
  5. 前記アトピー性疾患が喘息である、請求項1記載の方法。
  6. 前記化合物が前記哺乳動物の皮膚に投与される、請求項2〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記化合物が、耳皮膚に投与される、請求項6記載の方法。
  8. 前記化合物が、前記哺乳動物の肺に投与される、請求項5記載の方法。
  9. (ii) 前記哺乳動物における喘息の発症を評価するステップを更に含む、請求項5記載の方法。
  10. 前記評価ステップが、肺組織病理学検査、気管支肺胞洗浄(BAL)液の分析、肺TSLP及びTh2-型サイトカイン発現、及び肺機能の生理的試験によって実現される、請求項9記載の方法。
  11. 前記哺乳動物がマウスである、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記化合物が、生理学的に活性なビタミンD3(1α,25(OH)2D3)である、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記化合物が、ビタミンD3作動性アナログである、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  14. 前記ビタミンD3作動性アナログが、1α,18,25-(OH)3D3、23-(m-(ジメチルヒドロキシメチル)-22-イン-24,25,26,27(テラノル)-1α-(OH)2D3、1a,25-ジヒドロキシ-トランス-イソタキステロール(1,25-トランス-イソ-T)、(1S,3R,6S)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3、(1S,3R,6R)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3、22-(p-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3、22-(m-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3、26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3 (MC903)、1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(EB 1089)、1α,25-(OH)-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリショモビタミンD(KH1060)、及び1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3を含む群より選ばれる、請求項13記載の方法。
  15. 前記ビタミンD3作動性アナログが、26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903)、1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z)J(E),10(19)-トリエン(EB1089)、及び1α,25-(OH),-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリスホモビタミンD(KH1060)、並びに1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3を含む群より選ばれる低-血漿カルシウム上昇性ビタミンD3作動性アナログである、請求項13又は14記載の方法。
  16. 前記ステップ(i)が、天然及び合成レチノイン酸受容体(RAR)アゴニストを含む群より選ばれる少なくとも1つの化合物を前記哺乳動物に投与することを更に含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 前記化合物が、R-及びS-3-フルオロ-4-[2-ヒドロキシ-2-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-アセチュルアミノール-安息香酸(BMS961)のラセミ混合物、(R)-3-フルオロ-4-[2-ヒドロキシ-2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルナフタレン-2-イル)-2-アセチルアミノ安息香酸(BMS270394)、及び(E)-4-2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルナフタレン-2-イル)プロプ-1-エン-1-イル]安息香酸(TTNPB)を含む群より選ばれる、合成RARアゴニストである、請求項16記載の方法。
  18. 前記投与ステップが毎日の投与であり、該投与が1〜30日間の期間維持され、そしてその後いつでも再開され得る、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有効である任意の化合物を同定するための方法であって、前記哺乳動物にそのような化合物の少なくとも1つを投与するステップ(iii)を更に含む、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用である前記化合物が、ビタミンD3アンタゴニスト及びPARアンタゴニストを含む群より選ばれる、請求項19記載の方法。
  21. アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用である前記化合物が、14-エピ-1,25-(OH)2D3、14-エピ-1,25-(OH)2-プレ-D3、1,25-(OH)2-7,8-シス-D3、1,25-(OH)2-5,6-トランス-7,8-シス-D3、ブチル-(5Z,7E,22E)-(1S,3R,24R)-1,3,24-トリヒドロキシ-26,27-シクロ-9,10-セココレスタ-5,7,10(19),22-テトラエン-25-カルボキシレート(ZK159222)、(23S)-25-デヒドロ-1α(OH)D3-26,23-ラクトン(TEI9647)、及びZK168281を含む群より選ばれるビタミンD3拮抗性アナログである、請求項20記載の方法。
  22. 前記化合物が、アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用である前記化合物が、免疫系に対する活性型ビタミンD3の効果を選択的に拮抗するビタミンD3拮抗性アナログである、請求項20記載の方法。
  23. アトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用である前記化合物が、4-(6-メトキシエトキシメトキシ-7-アダマンチルナフタレン-2-イル)安息香酸(CD2665)、4-[2-(5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-p-トルイルナフタレン-2-イル)エチニル安息香酸(AGN 193109)、及び(E)-4-[2-[5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-(2-フェニルエチニル)ナフタレン-2-イル]エテン-1-イル安息香酸 (BMS493)を含む群より選ばれるRARアンアゴニストである、請求項20記載の方法。
  24. ヒトアトピー性疾患を治療及び/又は予防するために有用であるらしいと同定されている化合物を投与して又は投与せずに、前記哺乳動物のヒトアトピー性疾患-様表現型を分析するステップ(iv)を更に含む、請求項19〜23のいずれか1項記載の方法。
  25. ヒトアトピー性疾患-様表現型に復帰する及び/又は該表現型を抑制する化合物を選択するステップ(v)を更に含む、請求項19〜24のいずれか1項記載の方法。
  26. 患者におけるアトピー性疾患を治療及び/又は予防するための医薬の製造のための少なくとも1つのビタミンD3拮抗性アナログを含む組成物の使用。
  27. 前記アトピー性疾患がアトピー性皮膚炎(AD)である、請求項26記載の使用。
  28. 前記アトピー性疾患が喘息である、請求項26記載の使用。
  29. 前記ビタミンD3アンタゴニストが、14-エピ-1,25-(OH)2D3、14-エピ-1,25-(OH)2-プレ-D3、1,25-(OH)2-7,8-シス-D3、1,25-(OH)2-5,6-トランス-7,8-シス-D3、ブチル(5Z,7E,22E)-(1S,3R,24R)-1,3,24-トリヒドロキシ-26,27-シクロ-9,10-セココレスタ-5,7,10(19),22-テトラエン-25-カルボキシレート(ZK159222)、(23S)-25-デヒドロ-1α(OH)D3-26,23-ラクトン(TEI 9647)、及びZK168281を含む群より選ばれるビタミンD3拮抗性アナログである、請求項27又は28記載の使用。
  30. 前記ビタミンD3拮抗性アナログが、免疫系に対する活性型ビタミンD3の効果を選択的に拮抗する、請求項26〜28のいずれか1項記載の使用。
  31. 前記医薬が患者の皮膚に投与される、請求項26〜30のいずれか1項記載の使用。
  32. 前記組成物が、少なくとも1つのPARアンタゴニストを更に含む、請求項26〜31のいずれか1項記載の使用。
  33. 前RARアンタゴニストが、4-(6-メトキシエトキシメトキシ-7-アダマンチル ナフタレン-2-イル)安息香酸(CD2665)、4-[2-(5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-p-トルイルナフタレン-2-イル)エチニル]安息香酸(AGN 193109)、及び(E)-4-[2-[5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-(2-フェニルエチニル)ナフタレン-2-イル]エテン-1-イル] 安息香酸(BMS493)を含む群より選ばれる、請求項32記載の使用。
  34. 前記医薬が肺に投与される、請求項28、29、30、32又は33に記載の使用。
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