JP2009544291A - ムチン1(muc1)t細胞エピトープ由来ペプチド含有癌ワクチン - Google Patents

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Abstract

細胞傷害性T細胞免疫反応を引き起こすことができるMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含む、樹状細胞のex vivoプライミング用の癌ワクチン及び組成物を提供する。特に、TTAPPVHGL、STAPPVHGL、STAPPAHGL、TTAPPAHGV及びSAPDTYPALを含むMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドを提供する。

Description

本発明は、ムチン1陽性(MUC1)腫瘍細胞を特徴とする癌の予防及び/又は治療に関する。特に、本発明は、樹状細胞のex vivoプライミング(priming)用の、MUC1のT細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含む癌ワクチン及び組成物に関する。
癌の治療及び/又は予防は、大きな障害である腫瘍関連抗原(TAAs)に対する寛容に関係する相互作用の複雑さに妨げられている。
ムチン1(MUC1)は、TAAの一例である。(MUC1を含む)ムチンは、正常組織内で発現し、また、乳癌、卵巣癌、結腸癌及び膵臓癌などの癌細胞上では過剰に発現する高分子糖蛋白質である。(i)癌細胞に存在するムチン量は、正常細胞の100倍にまで増加する、(ii)MUC1は、局所的というよりも、偏在的な細胞分布を有する、(iii)MUC1は、グリコシル化異常を有し、正常なムチンでは容易に同定されないペプチドエピトープが露呈される、といった理由から、MUC1は腫瘍免疫療法の標的候補として関心を集めている。
マウスにおいては、酸化マンナン(M−FP)に共役した20アミノ酸長のMUC1縦列反復配列(variable number tandem repeat:VNTR)融合蛋白質が、MUC1マウス腫瘍の投与からマウスを防御するH2拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTLs)を生じさせることが既に明らかになっている(参考文献8及び14〜21)。ヒトにおいては、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、及び結腸癌患者由来MUC1の特定エピトープに対するT細胞及びB細胞免疫応答が確認されており(参考文献10〜12)、MUC1に対する循環性免疫複合体が、乳癌及び卵巣癌患者の血清中で検出されている。これらの観察結果は、MUC1が免疫療法にとって実に適切な標的であることを示している。
ペプチド系ワクチンは容易に合成できる分子の一種であり、いかなる発癌性も有していない。また、この化学物質は、自己免疫反応が起こる可能性を制限するため、容易に修飾することもできる。
ペプチドによる免疫化の有効性は、高結合力のCTLを誘導し活性化させるペプチドの能力に依存する。主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子に結合する非自己抗原に由来する高親和性ペプチドは、通常、前記の高結合力をもつCTLを誘導する。ヒト白血球型抗原のA2型(HLA−A2)は、コーカサス人種集団において最も一般的なヒトMHCクラスI蛋白質である。HLA−A2は、2及び9位、及びあまり多くはないが6位にある特定のアンカー残基によって、9アミノ酸長のペプチドを選択的に結合する。最新の非自己CTLエピトープは、このような高親和性結合(もしくは「標準的」)残基を有することから同定されるに至っている。
しかしながら、ペプチドが、過剰発現した自己腫瘍抗原に由来する場合、ワクチン接種は有効でない可能性がある。ほとんどの腫瘍抗原は自己抗原であるため、寛容をもたらすp53癌抗原で実証されているように(参考文献23〜25)、その特異的CTLレパートリーは最も失われやすい。この寛容は、特に、高親和性MHC関連エピトープに関与することから、MHC親和性のより低いエピトープが、腫瘍免疫療法に好適な候補ペプチドになり得る(参考文献16〜22)。
しかしながら、親和性のより低いエピトープの使用には、2つの重大な問題が存在する。
第一に、親和性のより低いペプチドエピトープは、予測されたエピトープのモチーフと一致する可能性が低く、ゆえに、同定が困難である。したがって、そのような低親和性ぺプチドは、溶出試験及び予測アルゴリズムでは検知できないため、それらの同定に効果的な唯一の方法は、系統的な結合試験(systematic binding studies)及び、T細胞受容体(TcR)によるペプチドMHC(pMHC)の認識によるものである。
第二に、MHCに対するペプチド親和性、及びペプチド−MHC複合体の安定性は、免疫原性全体における重要因子であるとされてきた(参考文献29及び30)。この問題を克服するため、「アンカー」残基をあらかじめ決められた標準アミノ酸と置換することによって、MHCに対するペプチドの親和性を向上させる多くの試みがなされてきた(参考文献56)。この方法は、ペプチドとMHCの相互作用を強化し、寛容が生じる可能性を減少させることができる一方、多くの場合で、MHCアンカー残基への変異により、天然のカンウンターパートを認識しないCTLがもたらされる(参考文献35、36、37)。これらの結果は、効果的なエピトープ増強に必要とされるMHC親和性と受容体交差反応とのバランスの重要性を浮き彫りにしている。
親和性のより低いペプチドエピトープを用いたこれまでの変異研究では、周知のMHCアンカー残基を、非アンカー残基に変異させることなく、標準アミノ酸に置換することに焦点が置かれてきた。
本発明につながる研究において、MUC1ヒト乳癌抗原に対してHLA−A2拘束性CTLを誘導する、低親和結合性の9アミノ酸長のMUC1ペプチドが同定された。次いで、本発明者等は、MHCクラスI蛋白質に対するペプチドの親和性を改善し、さらに、TcRに対するpMHCの結合性を向上させる試みにおいて、MUC1ペプチドの様々な残基について置換を行った。すると驚くことに、変異したMUC1ペプチドエピトープの一部は、2位において標準的なI1e/Leu/Valを有さないにもかかわらず、HLA−A2に結合し、MUC1ヒト乳癌細胞株(MCF7)を特異的に溶解するCTLを誘導できることが分かった。
第一の態様において、本発明は、癌の予防及び/又は治療用ワクチン(すなわち癌ワクチン)であって、前記ワクチンは、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子(helper molecule)に随意に共役する、少なくとも1種のムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含み、対象への投与において、ムチン1に対する細胞傷害性T細胞(CTL)応答を誘発できることを特徴とするワクチンを提供する。
本発明において「ムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体」という用語は、CTL応答(すなわちCD8T細胞応答)を誘発できる、MUC1T細胞エピトープ由来のペプチドもしくはペプチド類似体を意味するが、マウス及び/又はヒトに生来存在するムチン1アミノ酸配列から構成されるペプチドを包含するものではない。例えば、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドにおいて、前記ペプチドは、マウス及び/又はヒトに生来存在するが(すなわちマウス及び/又はヒト野生型MUC1T細胞エピトープ)、1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換が組み込まれる程度に修飾されたアミノ酸配列に相当するものを含むことが好ましい。前記の1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換は、関連する野生型MUC1T細胞エピトープの1つもしくはそれ以上の非アンカー残基に位置していることが好ましい。このような1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換は、HLAクラスI蛋白質(特にHLA−A2)に対する結合親和性を増加させる、及び/又は野生型MUC1T細胞エピトープに関連するTcRへの、pMHCの結合性を向上させるように選択されることが好ましい。
前記の少なくとも1種のMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体は、ヒトMUC1T細胞エピトープに由来することが好ましい。
前記ワクチンは、ムチン1陽性(MUC1)腫瘍細胞を溶解させるのに効果的な、ムチン1に対するCTL応答を引き起こせることが好ましい。
第二の様態において、本発明は、対象における癌予防及び/又は治療方法であって、前記方法が、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に随意に共役する、少なくとも1種のムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含むワクチンを前記対象に有効量投与する段階を含み、前記ワクチンが、対象への投与において、ムチン1に対する細胞傷害性T細胞(CTL)応答を引き起こすことを特徴とする方法を提供する。
第三の態様において、本発明は、樹状細胞(DCs)のex vivoプライミング(priming)用組成物であって、前記組成物は、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に随意に共役する、少なくとも1種のムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含むことを特徴とする組成物を提供する。
第四の態様において、本発明は、対象における癌予防及び/又は治療方法であって、前記方法は、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に随意に共役する、少なくとも1種のムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含む組成物を用いて、樹状細胞(DCs)をex vivo治療する段階を含み、該段階が、前記DCsをMUC1で刺激し、その後、前記の刺激されたDCsを前記対象に投与するものであることを特徴とする方法を提供する。
前記の刺激されたDCsは、前記対象への投与において、ムチン1に対する細胞傷害性T細胞(CTL)応答を引き起こす。MUC1に対する前記のCTL応答は、ムチン1陽性(MUC1)腫瘍細胞の溶解を引き起こすのに効果的であることが好ましい。
図1は、抗H−2K特異抗体を用いたインキュベーションの前に、MUC1−8(SAPDTRPA;SEQ ID NO:1)(グラフA)、MUC1−8−5F(SAPDFRPA;SEQ ID NO:2)(グラフB)、MUC1−8−5F8L(SAPDFRPL;SEQ ID NO:3)(グラフC)、及びMUC1−8−8L(SAPDTRPL;SEQ ID NO:4)(グラフD)でパルスしたRMA−S細胞のフローサイトメトリー分析結果を表したものである。様々な濃度のペプチドを添加し、それぞれ10−4M、10−5M、10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、及び「ペプチド無し」と示した。
図2は、ELISpotアッセイによる、T細胞から分泌されたIFN−γの測定値を示したものである。MUC1−8(i)、MUC1−8−5F(ii)、MUC1−8−5F8L(iii)、もしくはMUC1−8−8L(iv)ペプチドでパルスしたDCで、C57BL/6マウス(グラフA)、及びMUC1xHLA−A2遺伝子導入マウス(グラフB)を免疫化した。全ての免疫化マウス群において、MUC1−8(■)、MUC1−8−5F(□)、MUC1−8−5F8L(▲)もしくはMUC1−8−8L(△)ペプチドを認識する、特異的IFN−γ分泌CD8T細胞が産生されている。オボアルブミン(OVA8)を陰性対照として、ConA(T細胞の非特異的刺激)を内部陽性対照として使用した。本データは、5×10細胞あたりのスポット形成単位(spot forming units:SFU)で表す。実験は、1グループ当り3匹のマウスを用い、少なくとも2回行った。
図3の(A)は、MUC1−8−5F8Lの最終的な電子密度図を示したものである。(B)はMUC1−8−5F8LとMUC1−8、(C)はMUC1−8−5F8LとOVA8のCα主鎖を重ね合わせた図(superimposition)である。MUC1−8−5F8Lは黄色、MUC1−8はピンク、OVA8は青緑で表示している。(D)はOVA8(青緑)とMUC1−8(結晶構造)、(E)はOVA8(青緑)とMUC1−8−5F(モデル)、及び(F)はOVA8(青緑)とMUC1−8−8L(モデル)のCα主鎖を重ね合わせた図である。
図4は、(A)MUC1−8−5F8L、(B)MUC1−8、及び(C)OVA8をもつ結晶複合体における、H−2K結合グルーブ内の水素結合ネットワークを図示したものである。ペプチドの残基をP1〜P8、H−2K分子の残基を、アミノ酸の3文字の記号及び上付き数字で示し、水素結合は点線で示した。結合グルーブ及びペプチドのみを図示する。
図5は、(A)MUC1−8−5F8L、(B)MUC1−8、及び(C)OVA8における、H−2K水の結合グルーブ内の水分子(青緑部分)位置を示した図である。ペプチドの残基をP1〜P8で示した。また、結合グルーブポケットを示す。標準アンカー残基が、C及びFポケットをほとんど完全に埋めている一方で、小さな非標準アンカーは、前記ポケットをほとんど埋めていないことに留意する。
図6は、変異させたペプチドで免疫化した後のCTL応答をグラフ化したものである。KLHに共役し、その後、酸化マンナンに共役させた、STAPPAHGV(SEQ ID NO:5)(◆)、TTAPPVHGL(SEQ ID NO:6)(○)、DLHWASWV(SEQ ID NO:7)(■)で、HLA−A2/Kマウスをそれぞれ免疫化した。酸化マンナン−MUC1融合蛋白質(MFP)(+)を、内部陽性対照として使用した。MCF7MUC1陽性腫瘍細胞を51Crで標識し、標準的CTLアッセイにおける標的として用いた。
第一の態様において、本発明は、癌の予防及び/又は治療用ワクチン(すなわち癌ワクチン)であって、前記ワクチンは、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に随意に共役する、少なくとも1種のムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含み、対象への投与において、ムチン1に対する細胞傷害性T細胞(CTL)応答を誘発できることを特徴とするワクチンを提供する。上述の通り、本発明において「ムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体」という用語は、CTL応答を誘発できる、MUC1T細胞エピトープ由来のペプチドもしくはペプチド類似体を意味するが、マウス及び/又はヒトに生来存在するムチン1アミノ酸配列から構成されるペプチドを包含するものではない。
本発明に適するMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドにおいて、前記ペプチドは、マウス及び/又はヒトに生来存在するが(すなわちマウス及び/又はヒト野生型MUC1T細胞エピトープ)、1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換が組み込まれる程度に修飾されたアミノ酸配列に相当するものを含むことが好ましい。
前記の1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換は、関連する野生型MUC1T細胞エピトープの1つもしくはそれ以上の非アンカー残基に位置していることが好ましい。前記非アンカー残基は、MHC/HLA蛋白質に対するエピトープペプチドの高親和性結合に必要であるとして当業者にこれまで認識されていなかった残基から構成される。したがって、例えば、HLA−A2に対する9アミノ酸長のペプチドの高親和性結合において、アンカー残基の位置は、2及び9位、及びあまり多くはないが6位であり(位置の番号付けは、通常、N末端アミノ酸残基から始まる)、非アンカー残基位置は、1、3、4、5、7、及び8位である。
前記の1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換は、HLAクラスII蛋白質(特にHLA−A2)に対する結合親和性を増加させる、及び/又は野生型MUC1T細胞エピトープに関連するTcRへの、pMHC結合性を向上させるように選択されることが好ましい。これは、1種もしくはそれ以上のアミノ酸を、HLAクラスII蛋白質に対するエピトープペプチドの結合に有利なアミノ酸に置換することで達成できる。上記は、前記アンカー残基位置にある1種もしくはそれ以上のアミノ酸の、標準残基への置換を含む。したがって、例えば、HLA−A2に対して低もしくは中程度の結合親和性を有する9アミノ酸長のペプチドの結合親和性を増加させるために、6位のアンカー残基のアミノ酸を、標準アミノ酸Val(V)に置換し、及び/又は9位のアンカー残基のアミノ酸を、標準アミノ酸Leu(L)もしくはVal(V)に置換してもよい。しかしながら、2位のアンカー残基のアミノ酸は変えずにおく(すなわち、アミノ酸が非標準である場合)か、または、Thr(T)などの非標準アミノ酸に置換することが好ましい。
前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドは9アミノ酸長であることが好ましい。
前述の通り、適したMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドは、マウス及び/又はヒト野生型MUC1T細胞エピトープに由来することが好ましい(すなわち、適したMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドは、マウス及び/又はヒト野生型MUC1T細胞エピトープのアミノ酸配列に相当するが、1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換を組み込むことによって修飾された配列を含むことが好ましい)。より好適には、適したMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドは、
(i) STAPPAHGV (SEQ ID NO:5);及び、
(ii)SAPDTRPAP (SEQ ID NO:8)
から選択されるマウス及び/又はヒト野生型MUC1T細胞エピトープに由来する。
このように、好適なMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドとしては、SEQ ID N:5もしくはSEQ ID NO:8に相当するが、1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換を組み込むことによって(その結果、「非自己」エピトープを生じる)修飾されたアミノ酸配列を含むペプチドが挙げられる。アミノ酸置換数は、好適には1〜4、より好適には2〜4である。前記の1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換は、アンカー残基位置、非アンカー残基位置、及び/又はアンカー及び非アンカー残基を組み合わせた位置に施すことができる。また、前記の1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換は、保存的もしくは非保存的アミノ酸置換(conservative or non−conservative amino acid substitutions)から選択することもできる。
典型的な保存的アミノ酸置換を下記表1に挙げる。想定される特定の保存的アミノ酸置換としては、G、A、V、I、L、M;D、E;N、Q;S、T;K、R、H;F、Y、W、H;及びP、Nα―アルキルアミノ酸が挙げられる。
さらに、特に好適なMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドとして、下記一般式(I)で表されるペプチドが挙げられる。
(I)X−X−TAPP−X−HG−X−X (SEQ ID NO:9)
(式中、Xは欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列である:
はSer(S)及びThr(T)から選択される:
は、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)及びIle(I)から選択される:
は欠失しているか、もしくは、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Met(M)、Phe(F)、Ala(A)及びNleから選択される:
は欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列である。ただし、1つ又はそれ以上のアミノ酸置換が組み込まれる。)
好適には、Xは欠失しており、XはS及びTから選択され、XはA及びVから選択され、XはV及びLから選択され、Xは欠失している。
さらに、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドは、次のアミノ酸配列の1つから成ることが最も好ましい。
(i)TTAPPVHGL (SEQ ID NO:6);
(ii)STAPPVHGL (SEQ ID NO:10);
(iii)STAPPAHGL (SEQ ID NO:11);
(iv)TTAPPAHGV (SEQ ID NO:12);及び
(v)SAPDTYPAL (SEQ ID NO:13)
適したMUC1T細胞エピトープ由来ペプチド類似体としては、一般式(I)で表されるペプチドの類似体、及びSEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12及びSEQ ID NO:13として上記に示したアミノ酸配列の1種から成るペプチドの類似体が挙げられる。二次及び三次構造の情報がない場合は、ペプチド配列に基づくペプチドの類似体を設計する公知の方法を任意に用い、前記のような類似体を設計してもよい(参考文献60)。例えば、ペプチド類似体は、ペプチドの特定領域の疎水性を増加させるためにアミノ酸側鎖を修飾する段階(例えば、ペプチドの芳香族残基において水素基をメチル基に置換する)、アミノ酸側鎖を非アミノ酸側鎖に置換する段階(例えば、ペプチドの芳香族残基を他のアリル基に置換する)、及び、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端を様々な置換基に置換する段階(例えば、脂肪族基を置換して疎水性を増加する)ことにより製造することができる。または、適したMUC1T細胞エピトープ由来ペプチド類似体は、ペプチド主鎖の修飾(すなわち、例えば、ペプチド主鎖中の窒素原子を炭素原子に置換することによるアミド結合の代替の導入)を含むか、もしくは、N置換グリシン残基、(L−アミノ酸に代わる)1種もしくはそれ以上のD−アミノ酸、及び/又は(β−アミノ酸もしくはγ−アミノ酸に代わる)1種もしくはそれ以上のα−アミノ酸を含む、いわゆるペプトイド(すなわち非ペプチド)であってもよい。さらに、適したMUC1T細胞エピトープ由来ペプチド類似体には、ペプチド結合が逆になっており、D−アミノ酸がベースとなるペプチド配列のL−アミノ酸に対して逆順に組み立てられている「retro−inverso型ペプチド」、及び、ステロイド、サッカリド、ベンザゼピン1,3,4三置換ピロリジノン(benzazepine 1,3,4−trisubstituted pyrrolidinone)、ピリドン及びピリドピラジンなどの非ペプチド骨格が挙げられる。
前記ワクチンは、HLAクラスII蛋白質に結合したヘルパー分子であって、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体へ(共有もしくは非共有のどちらかで)共役できるヘルパー分子を少なくとも1つ含むことが好ましい。少なくとも1種のHLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子の存在は、ヘルパー(CD4)T細胞の刺激に効果的である。
少なくとも1種のHLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子は、例えば、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド、もしくはPADREペプチドなどのより小さなT細胞ヘルパーエピトープ(参考文献58)、及びそれらの組合せなど、当業者に周知のものであればよい。少なくとも1種のヘルパー分子は、2種もしくはそれ以上のHLAクラスII蛋白質タイプもしくはハプロタイプへ結合していることが好ましい。また、少なくとも1種のHLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子が、KLHであることが最も好ましい。
少なくとも1種のHLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子は、短いリンカーを介し、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体に共有共役していることが好ましい。短いリンカーとは、たとえば、単一アミノ酸、もしくは、アミノ酸数が2〜15、より好適には3〜10の短いアミノ酸配列である。適したリンカーの例としては、(Lys−Gly)が挙げられる。
前記ワクチンは、さらに、医薬として許容される担体を含んでもよい。本願では、「医薬として許容される担体」という用語は、生物学的またはその他の面において不適切ではない(すなわち、実質的な副作用を引き起こすことなく、担体が、活性物質とともに対象へ投与される)任意の溶液、物質もしくはそれらの組合せを意味するものと理解される。したがって、前記担体は、賦形剤及び、希釈剤(例えば水、生理食塩水、グリセロール、エタノールもしくはその類など)、界面活性剤、着色剤、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、防腐剤及びその類、及びそれらの組合せなどのようなその他の添加剤から選択してもよい。前記担体は、任意の蛋白質、ペプチド、ポリペプチド、多糖類、もしくは、抗原もしくはエピトープが細胞内に輸送され、その後処理されて、MHCクラスIもしくはII分子とともに細胞表面上に現れる能力を増強するその他の分子を追加的または代替的に含むことができる。このような担体分子の例としては、マンナン、酸化マンナン、部分酸化マンナン、還元マンナン、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来TAT蛋白質、単純ヘルペスウイルス(HSV)由来VP22蛋白質、両親媒性ペプチドPep−1、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)転写因子の60アミノ酸DNA結合ドメイン(「ホメオドメイン」)、アンテナペディア(Antennapedia)、細胞内移送に関与するアンテナペディアの16アミノ酸領域(すなわち、「透過性(penetration)」もしくは「内部(int)」ペプチド)、及びその他の受容体介在の担体分子が挙げられる。これらの担体分子は、例えば、上述のような短いリンカーを介して、直接的もしくは間接的(例えば、HLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子を介して)に、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体に共有共役してもよい。特に好適な担体分子は、酸化マンナン(参考文献61)である。酸化マンナンは、HLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子を介して、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体に共有共役することが好ましい。前記ワクチンは、対象への投与において、MUC1に対するCTL応答を引き起こす。MUC1に対する前記のCTL応答は、ムチン1陽性(MUC1)腫瘍細胞を溶解するのに効果的であることが好ましい。
前記ワクチンは、MUC1腫瘍細胞を特徴とする癌の予防もしくは治療に用いることができる。このような癌としては、卵巣癌、乳癌、膵癌、結腸癌が挙げられる。
第二の態様において、本発明は、対象における癌予防及び/又は治療方法であって、前記方法が、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に随意に共役する、少なくとも1種のムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含むワクチンを前記対象に有効量投与する段階を含み、前記ワクチンが、対象への投与において、ムチン1に対する細胞傷害性T細胞(CTL)応答を引き起こすことを特徴とする方法を提供する。
本願では、「対象」という用語は、任意の動物を意図するものと理解される。しかしながら、前記対象は、好適には哺乳類であり、より好適には、ヒト、純血種のウマなどの家畜、及びイヌやネコなどのペット動物から成る群から選択される。もちろん、前記対象はヒトであることが最も好ましい。
本発明のワクチンは、主として、溶液状もしくは懸濁液状の注射製剤(例えば、静脈注射、筋肉注射、腔腹内注射、皮下注射もしくは皮内注射など)として対象へ投与するために処方されるが、経口、経鼻、口腔、膣内、及び直腸投与などのその他の投与経路に適した剤形も意図している。また、本発明のワクチンは、通常、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの変性剤を組み込んだ免疫賦活剤(adjuvants)の使用を避けるように処方されるが、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(アラム(alum))、及び成長因子及びサイトカインを含む、その他の医薬的に許容し得る免疫賦活剤は適し得る。
本発明のワクチンは、対象における癌予防及び/又は治療のために、有効量で対象へ投与される。前記有効量とは、「治療有効量」(すなわち、MUC1及び、特にMUC1腫瘍細胞に対するCTL応答を引き起こすのに有効な量)と考えられる。したがって、本願において、「有効量」及び「治療有効量」という用語は、所望する治療的もしくは生理学的な効果又は転帰をもたらすのに十分なワクチン量を意味すると理解される。当業者には明らかなように、前記のような効果もしくは転帰は、好ましくない作用(例えば副作用)をともなう可能性があるため、実施者は、適切な「有効量」を決める際に、潜在的リスクと潜在的利益のバランスをとる必要があり得る。さらに、正確な必要量は、対象の種、年齢及び一般的な条件、投与方法などによって、対象ごとに異なる。しかしながら、一例として、1投与当たり1〜10,000μg、より好適には5〜500μgの範囲のMUC1T細胞エピトープペプチドもしくはペプチド類似体が供給されるように、有効量のワクチンを対象へ投与することが可能である。
対象における癌治療のための本発明のワクチンの使用は、放射線治療、化学療法(例えば、アントラサイクリン、5−フルオロウラシル(5FU)、トポイソメラーゼ阻害剤、シスプラチン、及びカルボプラチンを用いるもの)、もしくはホルモン治療又はホルモン調整剤(例えばクエン酸タモキシフェン(catamoxifen))を用いた療法などといった従来の癌治療の1種もしくはそれ以上と組み合わせて行ってもよい。当然のことながら、前記のような併用療法も本発明に包含される。
さらに、当然のことながら、本発明は、ex vivo使用のための組成物(例えば、癌樹状細胞療法用など)を包含する。
第三の態様において、本発明は、樹状細胞(DCs)のex vivoプライミング(priming)用組成物であって、前記組成物は、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に随意に共役する、少なくとも1つのムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含むことを特徴とする組成物を提供する。
前記の少なくとも1種のMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体は、本発明のワクチンとの関連で既に述べた通りである。したがって、本組成物は、下記のアミノ酸配列のうち1種からなるMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドを少なくとも1つ含むことが最も好ましい。
(i)TTAPPVHGL (SEQ ID NO:6);
(ii)STAPPVHGL (SEQ ID NO:10);
(iii)STAPPAHGL (SEQ ID NO:11);
(iv)TTAPPAHGV (SEQ ID NO:12);及び
(v)SAPDTYPAL (SEQ ID NO:13)
前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体は、HLAクラスII蛋白質(例えばKLH)及び/又は、上述の医薬として許容される担体に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に、(共有もしくは非共有のどちらかで)共役してもよい。特に好適な、医薬として許容される担体は、酸化マンナンである。
第四の態様において、本発明は、対象における癌予防及び/又は治療方法であって、前記方法は、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に随意に共役する、少なくとも1種のムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含む組成物を用いて、樹状細胞(DCs)をex vivo治療する段階を含み、該段階が、前記DCsをMUC1で刺激し、その後、前記の刺激されたDCsを前記対象に投与するものであることを特徴とする方法を提供する。
前記の刺激されたDCsは、前記対象への投与において、ムチン1に対する細胞傷害性T細胞(CTL)応答を引き起こす。MUC1に対する前記のCTL応答は、ムチン1陽性(MUC1)腫瘍細胞の溶解を引き起こすのに効果的であることが好ましい。
前記の刺激されたDCsは、MUC1腫瘍細胞を特徴とする癌の予防もしくは治療に用いることができる。このような癌としては、卵巣癌、乳癌、膵癌、及び結腸癌が挙げられる。
本組成物によるDCsのex vivo治療段階は、適切な条件の下、前記組成物の存在下においてDCsを培養及び/又はインキュベートするなどの、当業者に周知の任意の方法によって達成することができる。好適には、前記治療段階には、前記組成物存在下においてDCsを「パルスする(pulsing)」従来技術が含まれる。
前記方法で処理されたDCsは、自家性(すなわち、刺激されたDCsを投与する対象から得られたもの)であることが好ましい。前記DCsは、対象の血液についてアフェレーシスを行い(例えば、アフェレーシス装置を用いて)、その後、DCs産生に適切な条件下(参考文献63)で、分離した白血球(すなわち、リンパ球、顆粒球、及び単球)を培養することによって治療用に調製することができる。一度DCsが産生されれば、例えば、DC培養物に前記組成物を添加することによって、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含む組成物でDCsを処理することができる。その後、刺激されたDCsは、成熟度及び/又は純度の試験を行い、例えば液体窒素中で随意に保存し、その後、好ましくは注射によって対象へ投与するため、必要に応じ、医薬として許容される担体(例えば、生理食塩水)中で懸濁することができる。
第五の態様において、本発明は、以下のアミノ酸配列の1つから成る、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドを実質的に精製された形態で提供する。
(i)TTAPPVHGL(SEQ ID NO:6);
(ii)STAPPVHGL(SEQ ID NO:10);
(iii)STAPPAHGL(SEQ ID NO:11);
(iv)TTAPPAHGV(SEQ ID NO:12);及び
(v)SAPDTYPAL(SEQ ID NO:13)
第六の態様において、本発明は、以下のアミノ酸配列の1つから成り、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合するヘルパー分子と融合したMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドを含む融合ポリペプチドを提供する。
(i)TTAPPVHGL (SEQ ID NO:6);
(ii)STAPPVHGL (SEQ ID NO:10);
(iii)STAPPAHGL (SEQ ID NO:11);
(iv)TTAPPAHGV (SEQ ID NO:12);及び
(v)SAPDTYPAL (SEQ ID NO:13)
HLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子は、単一アミノ酸、もしくは、アミノ酸数が2〜15、より好適には3〜10の短いアミノ酸配列などの短いリンカーを介し、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドと融合することができる。前記HLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子は、標準的な組み換え発現技法による融合ポリペプチドの発現が可能な方法で、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドと融合することが好ましい。
また、第七の態様において、本発明は、第六の態様にかかる融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子を提供する。
前記ポリヌクレオチド分子は、DNA、RNAもしくはそれらの混合であり、また、実質的に精製された形態であってよい。前記ポリヌクレオチド分子は、当業者に周知の発現カセット及び/又は複製DNA、RNAもしくはDNA/RNAベクター(例えば、発現ベクターなど(参考文献62))に含まれ得る。前記のような発現カセットもしくはベクターは、当業者に周知の任意の方法によって、コードされた融合ポリペプチドの発現に適した宿主細胞中に導入することができる。
本願において、(「a」、「an」及び「the」といった)単数形は、明確な指示がない限り、複数の態様も包含する。したがって、例えば、「a vaccine」という表現は、1種のワクチンと同様に2種以上のワクチンも包含し、「an agent」もしくは「a reagent」という表現は、1種の製剤もしくは試薬と同様に2種以上の製剤もしくは試薬も包含しており、その他についても同様とする。
以下、非限定の実施例及び添付図面に関して、本発明を説明する。
実施例
実施例では下記の略称を使用する。
BSA ウシ血清アルブミン
CTL 細胞傷害性Tリンパ球
CTLp 細胞傷害性Tリンパ球前駆細胞
DCs 樹状細胞
ELISA 酵素結合免疫吸着定量法
ELISPOT 酵素結合免疫スポット法
E:T 標的細胞に対するエフェクターの割合
FACS 蛍光活性化細胞選別装置
FITC フルオレセインイソチオシアネート
HLA ヒト白血球抗原
kDa キロダルトン
KLH スカシ貝リンペットヘモシアニン
MHC 主要組織適合遺伝子複合体
mPBS マウスリン酸緩衝生理食塩水
MUC1 ムチン1
NaCl 塩化ナトリウム
O/N 一晩
OVA オボアルブミン
OxMan 酸化マンナン
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PI ヨウ化プロピジウム
RedMan 還元マンナン
RMSD 標準偏差
RT 室温
SE 標準誤差
TAA 腫瘍関連抗原
TcR T細胞受容体
<マウスによるMHCクラスI結合性の調査:H−2K結合性増進に対する腫瘍関連MUC1−8ペプチドのアンカー修飾>
本実施例では、MUC1由来非標準腫瘍関連ペプチド、すなわちMUC1−8(SAPDTRPA;SEQ ID NO:1)を、そのMHCアンカー残基において、SAPDFRPL(SEQ ID NO:3)(MUC1−8−5F8L)で修飾した。これによって、H−2Kに対する結合性が向上し、免疫反応が改善された。さらに、H−2Kと複合化したMUC1−8−5F8Lの結晶構造が決定され、MHCに対するペプチド結合性が、標準ペプチドOVA8(SIINFEKL;SEQ ID NO:13)の結合性と類似していることが明らかになった。
材料と方法
ペプチド
ペプチドとして、SAPDTRPA(SEQ ID NO:1)(MUC1−8)、及び、アンカー修飾された類似体であるSAPDFRPA(SEQ ID NO:2)(MUC1−8−5F)、SAPDFRPL(SEQ ID NO:3)(MUC1−8−5F8L)及びSAPDTRPL(SEQ ID NO:4)(MUC1−8−8L)を合成した。高親和結合性ペプチドである、SIINFEKL(SEQ ID NO:14)−ニワトリオボアルブミン257−264(OVA8)、FAPGNYPAL(SEQ ID NO:15)−センダイウイルスNP324−332(SEV9)、及び、RGYVYQGL(SEQ ID NO:16)−水疱性口内炎ウイルスNP52−59(VSV8)を、MUC1−8アンカー修飾ペプチドとの比較に用いた。ペプチドは全て、Chiron Mimotopes社(オーストラリア国所在、VIC社)によって合成され、その純度は95%より高く、分子量はエレクトロスプレー質量分析法で測定された。
可溶性H−2K の製造
参考文献46、47及び48に記載の通り、メタロチオネインプロモーターの支配下において、H−2Kの可溶性細胞外ドメイン(C末端ヒスチジンタグ(His−tag)を有する重鎖残基1−274、及びβ−ミクログロブリン残基1−99)が、キイロショウジョウバエ(D. melanogaster)細胞で発現した。端的に言うと、キイロショウジョウバエ細胞は、無血清のInsect Xpress(登録商標)培地(アメリカ合衆国ニュージャージー州イーストラザフォード所在、Cambrex Corporation社製)中で、大規模(最大6Lまで)に増殖させ、H−2Kの発現を誘導するため、採取の3〜5日前にCuSO(最終濃度625μM)を添加した。上清を、CENTRAMATE接線流入式濃縮器(アメリカ合衆国ニューヨーク州イーストヒルズ所在、PALL Corporation社製)で10kDaのMWCO膜(PALL社製)を用いて濃縮し、その後、Ni−NTAカラムに注入し、10−250mMのイミダゾール緩衝液(pH7.5)のグラジェントによって溶出した。さらに、Mono−Qカラム(アメリカ合衆国所在、GE Healthcare社製;トリス塩酸緩衝液(pH8.0)における25−500mMのNaClグラジェントによる溶出。)を用いて精製を行い、最終サンプルを再蒸留水で一晩透析した。これを、さらに、Nanosep濃縮器(10kDaのMWCO膜)(PALL社製)を用いて濃縮し、最終濃度を10〜15mg/mlとした。前記最終濃度は、NanoDrop分光光度計(アメリカ合衆国デラウェア州ウィルミントン所在、NanoDrop Technologies Inc社製)を用いて計測した。
親和性測定
可溶性H−2K分子に対するペプチド結合の親和性測定を、参考文献48及び49の通りに行った。全ての親和性測定は、少なくとも2〜3回くり返された。
RMA−S細胞を用いたペプチド安定化試験
マウス細胞株RMA−S(C57BL/6 TAP2−欠損細胞)のMHCクラスI分子は、クラスI分子に対するペプチドの直接結合の体外(in vitro)での測定に用いることができる。RMA−S細胞(5×10細胞)を、ペプチド(10−4〜10−13M)とともに26℃で3時間、その後、37℃に移して30分間インキュベートした。0.5%のBSA/PBS(2ml)で洗浄した後、上清である抗H−2K(HB−158)IgG2a(1/50希釈、100μl)を、RMA−Sペプチド保持細胞に添加し、4℃で45分間インキュベートした。前記細胞を再度洗浄し、100μl(1:500希釈)のFITC共役ヒツジ(Fab’)抗マウス免疫グロブリンを添加し、4℃で45分間インキュベートした。そして、さらに洗浄した後、細胞をFACScanで分析した。
マウス、樹状細胞(DC)発生と免疫化
C57BL/6(H−2)もしくはMUC1×HLA−A2(H−2/H−2/HLA−A2)遺伝子導入の6〜8週齢のマウスを用いた。C57BL/6もしくはMUC1×HLA−A2雌マウスの骨髄細胞を、10ng/mlのGM−CSF/IL−4が補充された組織培養培地にて1x10細胞/ml濃度で培養した。6日目に、細胞を洗浄し、同じ培地中で再懸濁して、20μg/mlのペプチドをDCsに3時間負荷した。パルスしたDCを洗浄し、100μl(1−2×10細胞)を雌マウスのしっぽの付け根に皮内注射した。14日後にマウスを追加免疫し、16日後の脾細胞をELISpotで評価した。
ELISpotアッセイ
各ペプチドについて、CD8T細胞によるペプチド特異的IFN−γの産生を評価するため、免疫化マウス由来の脾細胞をIFN−γ ELISpotアッセイに使用した。脾臓細胞は、10−5〜10−10Mの各MUC1ペプチド、無関係ペプチド(OVA8、SIINFEKL;SEQ ID NO:8)もしくは、内部陽性対照であるコンカナバリンA(ConA)とともに、(抗マウスIFN−γモノクローナル抗体で予め被覆された)ニトロセルロース平板上で、8%のCO下にて37℃で18時間インキュベートした。平板は、参考文献50の通りに作成した。
H−2K /MUC1−8−5F8L複合体の調製及び結晶化
参考文献46、47及び48記載の通り、H−2Kの可溶性細胞外ドメイン(重鎖残基1−274及びβ−ミクログロブリン残基1−99)は、キイロショウジョウバエ細胞で発現した。5倍モル過剰量のMUC1−8−5F8Lペプチドにより、H−2K−MUC1−8−5F8L複合体の大型結晶(>10mg/ml)が、1〜2%(v/v)の2−メチル−2,4−ペンタンジオール(MPD)を含む1.8〜2.0MのNaHPO/KHPO(pH6.6〜7.4)中に、18℃の条件下で生成した。H−2K及びペプチドの両方を再蒸留水中に入れ(結晶の生成前に予め3時間インキュベートしておく)、0.5μlのMHCペプチド混合物をプラットフォームに加え、その直後に0.5μlの母液を添加したものを用いるシッティングドロップ蒸気拡散法により結晶を生成させた。1モルの母液を、24ウェルCryschem plate(アメリカ合衆国カリフォルニア州アリソビエホ所在、Hampton Research社製)の各ウェルへ添加した。5日以内に結晶が生成され、2週以内に0.2×0.2×0.1mmの大きさへ成長した。
データ収集及び構造決定
データ収集に先立ち、結晶が生成された溶液よりも0.2M低く、1〜2%のMPD、及び抗凍結剤として25%(v/v)のグリセリンを含むNaHPO/KHPO溶液(pH6.6〜7.4)中で、結晶を採取した。結晶を、窒素気流中で、−170℃に低温冷却した。40kV及び20mAで操作されたMicroMax007 RigakuX線発生装置を用いて、X線回折データを収集した。Osmic Blue共焦点光学装置(confocal optics)を用い、X線を直径0.3mmに合わせ、さらに、R−Axis IV++検出器を用い、結晶−検出器間距離200mmにて、回折像(Δφ=0.5°)を撮影した。回折データを、HKLプログラムスイート(バージョン1.96.6)を用いて処理した。関連データ処理の統計データを表2に示す。
CNSプログラムによる、高分解能(1.6オングストローム)のH−2K−MUC1−8構造の座標を用いてデータを段階的に実行することによって、H−2K−MUC1−8−5F8L結晶構造を決定した。まずは、MUC1−8ペプチドを除外し、プログラムTURBO−FRODO VERSION5.5(フランス国マルセイユ所在、BioGraphics社)を用い、|Fo|−|Fc|電子密度中にMUC1−8−5F8Lぺプチドを構築した。CNSプログラムスイート(バージョン0.9)を用い、最尤ターゲットと相互に検証をした結晶構造精密化を実行した。結晶構造の精密化サイクルの合間に、Silicon Graphicsワークステーション上において、プログラムTURBO−FRODOを用いて、2|Fo|−|Fc|及び|Fo|−|Fc|分布図に構造モデルを適合させた。結晶学的R−因子(Rwork)が0.25を下回った時点で、炭水化物成分(NAG及びFUC)、PO43−イオン、溶媒(MPD及び水)を前記モデルに加えた。構造精密化の最終サイクル中に、バルク溶媒補正及び全体として異方性のあるB因子の精密化を行った。表3は、精密化の最終段階と、PROCHECK(Laskowski社)によって評価されたモデル特性とをまとめたものである。PROCHECKによる最終モデルの分析によると、残基の89.3%はラマチャンドランプロットの最適領域に存在し、非許容領域にはないことが示された。MHCポリペプチドの回転側鎖領域以外の、全残基に対する電子密度が明確となった。TURBO−FRODO 5.5及びDS Modeling 1.1(アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ所在、Accelrys Inc社製)を用いて図を作成した。
Protein Data Bankの受入番号
H−2K−MUC1−8−5F8L複合体の原子座標及び構造因子を、受入番号(accession code)2F04として、RCSB Protein Data Bankに登録した。
分子モデリング
MUC1−8ペプチド類似体(MUC1−8−5F及びMUC1−8−8L)のモデルは、MUC1−8−5F8Lに複合体化した、マウスMHCクラスI分子H−2Kのα−鎖のMUC1−8−5F8L結晶構造(本願記載)を基にした。分子構造を最適化するために、CHARMM力場を利用するDS Modeling 1.1ソフトウェア(Accelrys社)により分子モデリングを行った。分子動力学シミュレーションに先立ち、RMSDが0.1kcalmol−1未満になるまで最急降下勾配アルゴリズムを用い、その後、RMSDが0.01kcalmol−1未満になるまで、基底系導入ニュートラン−ラプソンアルゴリズムを用いて構造を緩和させた。距離依存性の誘電体を用い、水性溶媒条件をシミュレートした。続いて、前記ペプチドの半径20オングストローム内のペプチド分子及び全ての原子を、1000段階でRT(300K)まで加熱し、200psの分子動力学シュミレーションを開始する前に、同じ温度において、さらに1000段階で平衡化し、100段階毎に構造を保存した。最終的な立体構造は、全ての追加的な解析に採用した。ペプチドの立体構造における変化の基準として、MUC1−8、OVA8、MUC1−8−5F8L及びアンカー修飾類似体(MUC1−8−5F及びMUC1−8−8L)の間にある全残基について、主鎖のCα原子間のRMSDを計算した。ペプチドとH−2K分子の間にある全ての満足なH結合及び塩橋が同定された。
結果
MUC1−8ペプチド変異体の可溶性H−2K との親和性測定
MUC1−8ペプチドは、P2、P5及びP8位に好適なアンカー残基を含まなかったため、低親和性で結合することが見出されたが、C57BL/6マウスにおいて、CTLを誘導した(参考文献48)。MUC1−8の親和性は、4℃で4.3×10−7M、23℃で8.7×10−7M(表3:OVA8もしくは他の高親和性ペプチドVSV8及びSEV9よりも100〜300倍低い)とする阻害試験により測定した。Thr−P5からPhe−P5への変異(MUC1−8−5F)では、23℃及び37℃において、ペプチド親和性が少なくとも7倍に増加し、Ala−P8からLeu−P8への変異(MUC1−8−8L)では、23℃及び37℃において、ペプチド親和性が少なくとも3倍に増加した。一方、Thr−P5/Ala−P8からPhe−P5/Leu−P8への二重置換変異(MUC1−8−5F8L)では、単独変異の場合よりもペプチド親和性が著しく増加し(すなわち、23℃で14倍)、37℃において高い熱安定化がもたらされた(表3)。
MUC1−8、MUC1−8−5F、MUC1−8−8L及びMUC1−8−5F8LペプチドによるRMA−S細胞上MHCクラスIの安定化
26℃下におけるTAP2欠損細胞(RMA−S)中のMHC重鎖のペプチドに依存した安定性に基づいて、MUC1−8、MUC1−8−5F、MUC1−8−8L及びMUC1−8−5F8LペプチドのMHCクラスIであるH−2Kへの結合を、アセンブリ試験において測定した。MUC1−8は10−4Mを超えてMHCクラスIであるH−2Kを安定化、MUC1−8−5Fは10−7Mを超えてH−2Kを安定化、MUC1−8−8Lは10−6Mを超えてH−2Kを安定化、MUC1−8−5F8Lは10−9Mを超えて安定化した(図1)。
生体内におけるT細胞発生
生体外での18時間のELISpotアッセイでは、特異的に活性化した記憶(エフェクター)細胞(CD4及びCD8両方のサイトカインを産生する末端エフェクター)を検知するため、細胞増殖を必要としない。前記アッセイの検出感度は、限界希釈法、FACscan分析もしくはELISA法よりも高く、500,000個の細胞につき1個の抗原特異的エフェクターの前駆体頻度を確実に検知できる(参考文献20及び21)。このように、前記方法は、低い前駆体頻度で抗原特異的細胞を検知するのに適切な方法であるため、CTLアッセイは行わなかった。
C57BL/6マウスにおいて、MUC1−8、MUC1−8−5F、MUC1−8−8L及びMUC1−8−5F8LペプチドがT細胞反応を誘発する能力の測定は、様々な濃度(10−5〜10−12M)でのMUC1−8、MUC1−8−5F、MUC1−8−8L及びMUC1−8−5F8Lペプチドを認識させた後、ELISpot分析によってIFN−γを測定することにより行った。DC−MUC1−8で免疫されたマウスでは、10−7〜10−5Mの濃度において全てのペプチドを認識するIFN−γ分泌T細胞が産生された(図2A、i)。DC−MUC1−8−5FもしくはMUC1−8−5F8Lで免疫されたマウスのT細胞では、10−10〜10−5Mの範囲で全てのペプチドを認識するIFN−γ分泌T細胞が産生されたが、細胞500,000個あたりのsfu値は、MUC1−8−5F8Lで免疫されたマウスのほうが高かった(図2A、ii及びiii)。MUC1−8−8Lで免疫されたマウスでは、10−9〜10−5Mで他のペプチド全てを認識するT細胞が産生された(図2A、iv)。したがって、ペプチドの親和性と相関するT細胞誘導は、すなわち、強度の増加において、MUC1−8−5F8L>MUC1−8−5F>MUC1−8−8L>MUC1−8という順序であった。
MUC1−8が、C57BL/6マウスにおいて免疫原性であることは明らかであるので、該ペプチドは、MUC1xHLA−A2遺伝子導入マウスにおいては免疫原性でない(図2B、i)。しかし、MUC1−8−5F、MUC1−8−5F8L及びMUC1−8−8LをもたらすMUC1−8ペプチドに対する変異によって、MUC1xHLA−A2遺伝子導入マウス(MUC1−8は自己である)におけるT細胞応答の大きさは増加する(図2B)。すなわち、MUC1−8−5F及びMUC1−8−8Lは、MUC1−8よりも10倍高く全ペプチドを認識し(図2B、I、ii及びiv)、二重置換変異ペプチド類似体MUC1−8−5F8Lで免疫されたマウスでは、全てのペプチドを認識する、親和性のより一層高いT細胞が産生した(図2B、iii)。さらに、MUC1−8ペプチドの免疫化は、200sfu/500,000細胞=1/2,500の前駆体頻度をもたらし、MUC1−8−5F8Lの免疫化では、400sfu/500,000細胞=1/1,250の前駆体頻度をもたらす。前駆体頻度が2倍に増加することが、生体内におけるペプチドの予防効果及びCTLによる腫瘍細胞の認識に、劇的な影響を及ぼす。このことは、前駆体頻度が腫瘍予防及びCTL誘導に関連している、様々なMUC1抗原製剤において実証されており、2倍の増加でも劇的な効果を生じる(参考文献53)。さらに、肝臓段階のマラリアを使った研究では、前駆体頻度が2倍(1/8,000〜1/4,000)増加することにより、CD8T細胞の予防効果が4倍増加することが示されている(参考文献51)。重要なことに、これらの頻度値における差異は、統計的に有意であり、一層高い親和性を伴ったMUC1−8−5F8L結合を示唆し、図1及び表3に示した結合アッセイのデータを裏付ける定量的に有効なデータをもたらす。野生型MUC1−8ペプチドへの変異が、寛容を克服し、より親和性の高いT細胞をもたらすことは明らかである。
MUC1−8−5F8L変異ペプチドのH−2K との結合:X線結晶構造
2.7オングストローム分解能におけるH−2K−MUC1−8−5F8Lの結晶構造を分子置換によって決定し、精密化によって最終的なRworkは19.3%、Rfreeは24.7%となった(表2)。最終的な原子座標は、H−2K重鎖(残基1−274)、β−ミクログロブリン(残基1−99)、4つの糖鎖(重鎖Asn86におけるNAG及び、重鎖Asn176におけるNAG及びFUC)及び、全てのペプチド残基P1−P8(MUC1−8−5F8L)から構成されていた。さらに、2個のリン酸(PO 3−)分子及び4個のMPD分子が存在していた。結合ペプチドの電子密度は、連続的で、よく分離されていた(図3A)。
MUC1−8−5F8L、MUC1−8及びOVA8の重ね合わせ図では、横から見た際に、よく似たオーバーレイが確認された(図3、B及びC)。MUC1−8とMUC1−8−5F8Lとの間のRMSDは非常に低かった(0.19オングストローム、表4)が、OVA8とMUC1−8−5F8Lとの間のRMSDは大幅に高く(0.57オングストローム、表4)、MUC1−8とOVA8との間(RMSD 0.51オングストローム;図3D)と同程度であった。
MUC1−8−5F8LペプチドのH−2K との相互作用:X線結晶構造
高親和性の相互作用は、主にN及びC末端周辺にあるMHC側鎖とペプチド主鎖間の高度に保存された水素結合ネットワークの構造、及び、MHCポケット(pocket)中のペプチド側鎖の最適適合と一致する。ペプチド残基とMHCとの間にある分子間H結合を、表5及び図4にまとめた。
MHCグルーブ内のペプチド付近に位置する水分子の数は、MUC1−8−5F8L、MUC1−8及びOVA8の結晶構造間で異なっていた。MUC1−8−5F8L結晶構造では、MUC1−8結晶構造(10個の水分子;図5B)、もしくはOVA8(7個の水分子;図5C)よりも少ない水分子(6個の水分子;図5A)が確認された。MUC1−8では、AspP4とLys66との間に塩橋の損失が観察されたが、MUC1−8−5F8L結晶構造には、AspP4とArg155との間、及び、ArgP6とGlu152との間に分子間塩橋が保存されていた。MUC1−8−5F8Lペプチドでは、親である非標準ペプチドMUC1−8で確認されたように、AspP4とArgP6との間に認められる分子間塩橋が保存されていた。OVA8において、GluP6とLysP7との間に存在する分子間塩橋によって、GluP6を伴うArg155とLysP7を伴うAsp77との間に分子間塩橋が確認された。
H−2Kグルーブ内のペプチド結合は、主に、H結合と塩橋形成の相対的な寄与に起因している。さらに、H−2Kポケット内、すなわち、C及びF内の関連残基に対するペプチド残基の結合を補助する水分子の介入もまた大きな要因である。H−2K−MUC1−8−5F8L結晶のC及びFの両ポケットは、OVA8において確認されたのと同様に、P5及びP8の側鎖によって占められている。MUC1−8の短いP5及びP8のアンカー残基をそれぞれPhe及びLeuに修飾することが、MUC1−8−5F8LペプチドのH−2Kに対する強固な結合に貢献していたのである。対して、MUC1−8のH−2Kに対する弱い結合は、これらのポケットを埋める位置に、適切なアンカーが欠如していることによると考えられる。結果的に、ペプチドのMHCに対する結合は、ポケットC及びFの近傍における水分子との間接的なH結合を通じて行われる。
MUC1−8ぺプチド類似体のH−2K との相互作用:分子モデリング
MUC1−8−5F8Lの結晶構造を、MUC1−8−5F及びMUC1−8−8Lペプチド類似体のモデル化に使用した。これらの得られたモデルを、MUC1−8−5F8Lの結晶構造(本願記載)と同様、親である非標準ペプチドMUC1−8(1G7Q)及び標準ペプチドOVA8(1VAC)の結晶構造と比較した。H−2Kへの結合におけるアンカー修飾の効果を評価するために、MUC1−8−5F8L、MUC1−8及びOVA8間における比較も行った。Cα主鎖原子におけるRMSDsを計算し、表4に記載した。MUC1−8−5F8Lと、分子モデルのMUC1−8−5F及びMUC1−8−8Lとを重ね合わせたところ、それぞれ、1.18オングストローム及び0.58オングストロームというRMSD値が得られた。比較のために、すべてのペプチドを標準OVA8ペプチドと重ね合わせたところ、0.51オングストローム(MUC1−8)、0.57オングストローム(MUC1−8−5F8L)、0.60オングストローム(MUC1−8−8L)及び1.27オングストローム(MUC1−8−5F)というRMSD値が得られた(図3D−F)。最大偏差は、5Fアンカー修飾ペプチド(MUC1−8−5F)において確認され、RMSD値は、1.27オングストローム(OVA8)、1.18オングストローム(MUC1−8)及び1.14オングストローム(MUC1−8−5F8L)であった。このデータは、4℃で行った親和性測定と非常に相関していた(表2)。分子間H結合を、表5にまとめる。
考察
癌患者において効果的な免疫反応を導き出すために適切な抗原を選択することは、効果的なワクチン設計の第一歩である。しかし、そのような抗原に対する寛容が、依然として克服における障害となっている。さらに、抗原部分の同定及び、もっとも重要な免疫原性断片の同定においても課題が残されている。今日まで、癌免疫療法のために選択された中〜高程度の親和性ペプチドは、臨床試験において限られた成果しかもたらしてこなかった。例えば、部分的もしくは全体的な腫瘍退縮は、メラノーマペプチドを投与された患者の10〜30%にしか確認されなかった(参考文献54)。免疫系の構築中に除去されているT細胞が欠乏してしまうため、効果的なCTL応答を引き起こし、腫瘍細胞の予防もしくは根絶をもたらす親和性の高い「自己」エピトープの有効性については成果が得られていなかった(参考文献23〜26)。つい最近では、より有望な結果が得られる低〜中程度の親和性ペプチドが選択されている。例えば、自然発現したマウステロメラーゼ逆転写酵素(mTERT)由来の低親和性エピトープのヘテロクリット性(heteroclitic)変異体は、ワクチン接種による高い有効性が確認され、低親和性p572及びp988エピトープで免疫されたマウスにおいて、腫瘍負荷に対する保護作用がもたらされた(参考文献55)。
H−2Kと複合化した低親和性の非標準MUC1−8ペプチドの結晶構造は、すでに報告されている(参考文献20)。さらに、MUC1−8は、H−2Kに対して低親和性であるにもかかわらず、マウスにおいて免疫反応を引き起こす能力があることが示されている。本願では、H−2Kと複合化したMUC1−8−5F8Lペプチドの結晶構造を報告しており、これは、非標準アンカー残基を標準アンカー残基に修飾して(ThrP5をPhe、AlaP8をLeu)、MUC1−8−5F8Lとした後に、親であるMUC1−8ペプチドのH−2Kに対する結合性が向上することを理解する上での手掛かりとなる。本発明では、T細胞応答の向上が確認され、この応答は、修飾するアンカーによって異なっていた。生物学的データによって、P8のLeuへの修飾(MUC1−8−8L)は、MUC1−8と比べると3倍しかペプチド親和性を増加させなかったが、主要アンカーP5のPheへの修飾(MUC1−8−5F)においては、P8残基のLeuへの修飾(MUC1−8−8L)に比べて7倍もペプチド親和性を増加させたことが判明した(競合研究における測定より)。比較において、MUC1−8−5F8Lは、結合親和性において14倍もの増加を示した。FACSによって測定を行った、TAP2欠損RMA−S細胞を用いた安定化研究においても同様の結果が得られた。
生体内におけるT細胞応答では、二重置換MUC1−8ペプチド、すなわちMUC1−8−5F8Lで免疫されたC57BL/6マウスにおいて、その他の全てのペプチド(MUC1−8、MUC1−8−5F及びMUC1−8−8L)がより強く認識されることも明らかにした。MUC1×HLA−A2遺伝子導入マウスでは、もっと弱いT細胞応答が確認されたが、全体的傾向においては、非標準低親和性MUC1−8ペプチドに対するアンカー置換によって、より一層免疫原性が高くなる(すなわち、寛容を克服する)ことが判明した。P1位におけるチロシン置換によって、免疫原性、及びHLA−A2.1に対する非免疫原性の低親和性ペプチドの結合性が向上した。親ペプチドに比べ、結合親和性を55倍に増加する及び/又は2時間を超えて安定化することが可能となる。もっとも重要なことに、前記変異によって、親ペプチドをも認識するCTLが誘導された(参考文献42)。低親和性MUT1ペプチド(3LLルイス肺癌から分離されたTAA)を、アンカー位置P3、P5及びP8で修飾したところ、同様に、免疫応答及びH−2Kに対する結合性において向上がみられた(参考文献43)。さらに、もっと親和性の高いペプチド(SAPDTRPA(SEQ ID NO:1)から、MUC1−8−5F8Lと同程度の親和性であるSAPDT−GalNAc−RPA(SEQ ID NO:17)までを用いてマウスを免疫化した。発生したT細胞は、非変異のより低親和性ペプチドに比べ、変異した親和性のより高いペプチドを一層効率的に認識した(参考文献21)。
H−2Kと複合化したMUC1−8及びOVA8の両結晶構造を比較したところ、MUC1−8−5F8Lの結晶構造においては、N末端、すなわち、Tyr、Glu63、Tyr159及びTyr171を伴うSerP1において多くのH結合が失われていることが判明した。また、様々なC末端H結合も、OVA8に関してSer73ではなくTyr147を伴うProP7、及び、Lys146を伴うLeuP8(P8位のAla残基をもつMUC1−8に見られる)に認められた。MUC1−8−5F8Lペプチドの結合配座は、MUC1−8の主鎖と非常に類似しており、OVA8のものと同等であった。興味深いことに、MUC1−8−5F8Lペプチドを取り巻く水分子の数は、MUC1−8(10個)よりも低く(6個)、OVA8(7個)とほぼ同程度であった。C及びFポケットは、大型の疎水性残基であるPhe及びLeuで完全に埋まっており、OVA8と同様のペプチドのH−2Kに対する強い結合親和性に起因すると考えられる方法で、このペプチドが結合グルーブ内で安定化するのを助けている。MUC1−8構造中のC及びFの両ポケットに存在する大きな空洞は、低親和性MUC1−8ペプチドの安定化を助ける水分子で占められている。つまり、これらの水分子は、高親和性結合ペプチドであるMUC1−8−5F8L及びOVA8には存在しない。OVA8及びMUC1−8と比較すると、H−2K−MUC1−8−5F8L結晶構造では、H−2KのEポケットに水分子が存在しないことに注目すべきである。
分子モデリング研究では、MUC1−8−5Fが最大値を過ぎて、親であるMUC1−8ペプチド構造OVA8及びMUC1−8−5F8Lから逸脱していることを示した(表4)。MUC1−8−8LとMUC1−8との間、OVA8とMUC1−8−5F8Lとの間のRMSDsはさらに低く(表4)、ペプチドのC末端における修飾が、ペプチド−H−2K複合構造に影響しないことを同程度に示している。つまり、そのデータには、4℃で得られた親和性のデータとの相関性が認められた。
全体的に、本実施例の成果によって、MUC1−8などの非標準腫瘍エピトープになされたアンカー修飾により、MHCクラスI分子H−2Kへの結合性が著しく向上し、その際には、T細胞応答もまた改善され得ることが実証された。
<人体研究−HLA−A2に対する親和性を高めるペプチド修飾の原理>
MUC1エピトープペプチドを参考文献22記載の通りに同定し、低い親和性でHLA−A0201クラスI分子に結合することができ、さらに、MUC1ヒト乳癌細胞を直接溶解可能なCTLを誘発することのできるペプチドを選択した。生体内におけるCD8及びCD4T細胞応答によって測定されたペプチドの免疫原性は、MHCクラスIもしくはIIに対するペプチド結合親和性と相関を示すと考えられたため(参考文献29及び30)、本実施例では、「アンカー」残基をあらかじめ決められた標準アミノ酸に置換(参考文献31)することによって、ペプチドMHC相互作用の向上と、それに続く免疫原性の改善がもたらされるかを調べた。
参考文献59の研究では、下記の観察結果が得られている。
模倣ペプチドDAHWESWL(SEQ ID NO:18)への変異
マウス模倣ペプチド(DAHWESWL;SEQ ID NO:18)は、周知のHLA−A2アンカーアミノ酸を含まない。マウス模倣ペプチドに対していくつかの変異を施した。つまり、MUC1に対する免疫反応が向上したものもあったが、特異免疫反応を減少させたもの、もしくは特異免疫反応を全く示さなかったものもあった。まとめると、
DAHWESWL(SEQ ID NO:18)は、1/18,000のCTLpを生じた;
DAHWRSWL(SEQ ID NO:19)は、1/1,000,000より少ないCTLpを生じた;
DAHWYSWL(SEQ ID NO:20)は、1/800,000のCTLpを生じた;及び、
DAHWFSWL(SEQ ID NO:21)は、1/130,000のCTLpを生じた。
つまり、前記ペプチドに対する変異は、必ずしも免疫反応の向上をもたらすものではなかった。
また、DAHWESWL(SEQ ID NO:18)を、DLHWASWV(SEQ ID NO:7)へ変異させた。ここでは、ある特定のアンカー残基を置換し、HLA−A2とより相性のよいペプチドを生成した。ペプチドDLHWASWV−KLH酸化マンナンによるHLA−A2遺伝子導入マウスの免疫化によって、MCF7細胞(ヒトMUC1乳癌細胞株)を特異的に溶解することができるCTLの産生がもたらされた。この変異されたペプチドを、現在の試験において対照として用いた。
HLA−A2に結合する低親和性MUC1ペプチド(SAPDTRPA;SEQ ID NO:1)及び低〜中程度の親和性ペプチド(STAPPAHGV;SEQ ID NO:5)は、高親和性結合を可能にする標準アンカーアミノ酸を含んでいない。P2、P6、P9位の残基は、HLA−A2のペプチド結合グルーブ中に向かって「下向く(point “down”)」(参考文献20)。結合に好適な残基は、P2におけるLeu/Met及び、P9におけるLeu/Valである。さらに、P6のValは、補助的なアンカー残基として働く(参考文献31)。残りのアミノ酸残基は、主に、TcRへの提示に関与している。
STAPPAHGV(SEQ ID NO:5)を、P6位及びP9位における変異によって変化させた(高親和性への変化と想定される)。2種類のアミノ酸を置換し、ペプチドSTAPPVHGL(SEQ ID NO:10)を生成させた。さらに、P1位のSer残基をThrへ変異させた(TTAPPVHGL;SEQ ID NO:6)。ペプチドTTAPPVHGL−KLH−酸化マンナンによるHLA−A2遺伝子導入マウスの免疫化は、MCF7細胞(ヒトMUC1乳癌細胞株)を特異的に溶解できるCTLの産生をもたらした。TTAPPVHGL(SEQ ID NO:6)は、STAPPAHGV(SEQ ID NO:5)で免疫されたマウスと同様に、MCF7細胞を溶解した。つまり、前記の溶解は、マンナン−MUC1融合蛋白質と、模倣変異ペプチド(DLHWASWV;SEQ ID NO:7)の場合とも似ていた(図1)。
<人体研究−共役体の調製とマウスの免疫化>
材料及び方法
ペプチド−KLH共役
グルタルアルデヒドを介して、ペプチドをKLHに結合させた。端的に言うと、2mgのKLHを含む1mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と、2mgのペプチドを含む1mlのPBSとを混合し、0.75%のグルタルアルデヒドを1ml滴下添加し、室温で一晩反応させた。グルタルアルデヒドは、アミノ基を介して2つの化合物を連結させる二官能性カップリング試薬である。
ペプチド−KLHへの酸化マンナン共役
14mgのマンナンを、1mlのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6)中に溶解し、続いて、0.1Mの過ヨウ素酸ナトリウム(pH6のリン酸緩衝液で溶解)を100μl添加し、暗所にて氷上で1時間インキュベートした。その後、10μLのエタンジオールを前記混合物に添加し、氷上でさらに30分間インキュベートした。得られた混合物(酸化マンナン)を、予めpH9.0のリン酸緩衝液中で平衡化したPD−10カラム(Sephadex G−25Mカラム)に通過させ、過ヨウ素酸ナトリウム及びエタンジオールを除いた。酸化マンナン(7mg/ml)を、2mlのリン酸緩衝液(pH9)で溶出し、そこに、1mgのペプチド−KLHを添加し、暗所にて、室温で一晩反応させた。共役は、KLH及び酸化マンナンの遊離アミノ基間におけるシッフ塩基形成を介して起こる。試料は、さらに精製することなく用いた。酸化マンナンは、参考資料8、15、16、18、19、22及び28にすでに記載の通り、MUC1融合蛋白質(M−FP)に共役された。
マウスの免疫化
HLA−A2/K遺伝子導入マウスを、0日目、10日目、17日目に、5μgのペプチドを腹腔内投与して免疫化し、7〜10日後に、参考資料18、19、22及び28記載の通り、標準的なCTLアッセイを用いてCTL応答を測定した。
結果及び考察
本結果によって、ペプチドTTAPPVHGL(SEQ ID NO:6)−KLH−酸化マンナンで免疫されたHLA−A2遺伝子導入マウスが、MCF7細胞(ヒトMUC1乳癌細胞株)を特異的に溶解できるCTLの産生をもたらすことが実証された。変異したエピトープは、2位に標準Ile/Leu/Valを有していなかったため、本結果は驚くべきものである。
本明細書全体にわたり、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という用語、あるいは「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載される要素や、整数、または要素群や整数群を包含するが、任意の他の要素、整数または、要素群もしくは整数群を排除するものではない。
以下で参照される全ての科学的引用、特許、特許出願及び製造者の技術仕様書は、余すところ無く本願に組み込まれる。
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Claims (43)

  1. 癌予防及び/又は治療用ワクチンであって、前記ワクチンは、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に随意に共役する、少なくとも1種のムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含み、対象への投与において、ムチン1に対する細胞傷害性T細胞(CTL)応答を誘発することを特徴とするワクチン。
  2. 請求項1に記載のワクチンにおいて、前記の少なくとも1種のHLAクラス蛋白質結合ヘルパー分子が、2種もしくはそれ以上のHLAクラスII蛋白質タイプもしくはハプロタイプへ結合していることを特徴とするワクチン。
  3. 請求項1もしくは2に記載のワクチンにおいて、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体が、マウス及び/又はヒトに生来存在するが、1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換が組み込まれる程度に修飾されたアミノ酸配列に相当するものを含むことを特徴とするワクチン。
  4. 請求項3に記載のワクチンにおいて、前記の1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換が、関連する野生型MUC1T細胞エピトープの1つもしくはそれ以上の非アンカー残基位置に位置していることを特徴とするワクチン。
  5. 請求項3に記載のワクチンにおいて、前記の1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換が、1もしくはそれ以上の非アンカー残基位置及び、1もしくはそれ以上のアンカー残基位置に位置していることを特徴とするワクチン。
  6. 請求項3から5のいずれかに記載のワクチンにおいて、前記ペプチドが9アミノ酸長であることを特徴とするワクチン。
  7. 請求項3から6のいずれかに記載のワクチンにおいて、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドが、
    (i)STAPPAHGV (SEQ ID NO:5);及び
    (ii)SAPDTRPAP (SEQ ID NO:8)
    から選択されるマウス及び/又はヒト野生型MUC1T細胞エピトープに由来することを特徴とするワクチン。
  8. 請求項3から5のいずれかに記載のワクチンにおいて、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドが、下記の一般式(I)で表されることを特徴とするワクチン。
    (I) X−X−TAPP−X−HG−X−X (SEQ ID NO:9)
    (式中、Xは欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列であり、
    はSer(S)及びThr(T)から選択され、
    は、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)及びIle(I)から選択され、
    は欠失しているか、もしくは、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Met(M)、Phe(F)、Ala(A)及びNleから選択され、
    は欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列である。)
  9. 請求項8に記載のワクチンにおいて、Xは欠失し、XはS及びTから選択され、XはA及びVから選択され、XはV及びLから選択され、Xは欠失していることを特徴とするワクチン。
  10. 請求項3から7のいずれかに記載のワクチンにおいて、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドが、次のアミノ酸配列の1つから成ることを特徴とするワクチン。
    (i) TTAPPVHGL (SEQ ID NO:6);
    (ii) STAPPVHGL (SEQ ID NO:10);
    (iii) STAPPAHGL (SEQ ID NO:11);
    (iv) TTAPPAHGV (SEQ ID NO:12);及び、
    (v) SAPDTYPAL (SEQ ID NO:13)
  11. 請求項1もしくは2に記載のワクチンにおいて、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体が、下記の一般式(I)で表されるペプチドの類似体であることを特徴とするワクチン。
    (I) X−X−TAPP−X−HG−X−X (SEQ ID NO:9)
    (式中、Xは欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列であり、
    はSer(S)及びThr(T)から選択され、
    は、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)及びIle(I)から選択され、
    は欠失しているか、もしくは、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Met(M)、Phe(F)、Ala(A)及びNleから選択され、
    は欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列である。)
  12. 請求項1もしくは2に記載のワクチンにおいて、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体が、次のアミノ酸配列の1つから成るペプチドの類似体であることを特徴とするワクチン。
    (i) TTAPPVHGL (SEQ ID NO:6);
    (ii) STAPPVHGL (SEQ ID NO:10);
    (iii) STAPPAHGL (SEQ ID NO:11);
    (iv) TTAPPAHGV (SEQ ID NO:12);及び、
    (v) SAPDTYPAL (SEQ ID NO:13)
  13. 請求項1から12のいずれかに記載のワクチンにおいて、MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体が、HLAクラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に共役することを特徴とするワクチン。
  14. 請求項13に記載のワクチンにおいて、前記の少なくとも1種のHLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子が、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド、PADREペプチド、及びそれらの組合せから成る群から選択されることを特徴とするワクチン。
  15. 請求項14に記載のワクチンにおいて、前記の少なくとも1種のHLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子が、KLHであることを特徴とするワクチン。
  16. 請求項1から15のいずれかに記載のワクチンにおいて、さらに、医薬として許容される担体を含むことを特徴とするワクチン。
  17. 請求項16に記載のワクチンにおいて、前記の医薬として許容される担体が、マンナン、酸化マンナン、部分酸化マンナン、還元マンナン、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来TAT蛋白質、単純ヘルペスウイルス(HSV)由来VP22蛋白質、両親媒性ペプチドPep−1、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)転写因子の60アミノ酸DNA結合ドメイン、アンテナペディア(Antennapedia)、細胞内移送に関与するアンテナペディアの16アミノ酸領域、及びその他の受容体介在の担体分子から成る群から選択される担体分子であることを特徴とするワクチン。
  18. 請求項17に記載のワクチンにおいて、前記担体分子が酸化マンナンであることを特徴とするワクチン。
  19. 対象における癌予防及び/又は治療方法であって、前記方法が、請求項1から18のいずれかに記載のワクチンを前記対象に有効量投与する段階を含むことを特徴とする方法。
  20. 樹状細胞(DCs)のex vivoプライミング(priming)用組成物であって、前記組成物が、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に随意に共役する、少なくとも1種のムチン1(MUC1)T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体を含むことを特徴とする組成物。
  21. 請求項20に記載の組成物において、前記の少なくとも1種のHLAクラス蛋白質結合ヘルパー分子が、2種もしくはそれ以上のHLAクラスII蛋白質タイプもしくはハプロタイプへ結合していることを特徴とする組成物。
  22. 請求項20もしくは21に記載の組成物において、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体が、マウス及び/又はヒトに生来存在するが、1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換が組み込まれる程度に修飾されたアミノ酸配列に相当するものを含むことを特徴とする組成物。
  23. 請求項22に記載の組成物において、前記の1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換が、関連する野生型MUC1T細胞エピトープの1つもしくはそれ以上の非アンカー残基位置に位置していることを特徴とする組成物。
  24. 請求項22に記載の組成物において、前記の1種もしくはそれ以上のアミノ酸置換が、1もしくはそれ以上の非アンカー残基位置及び、1もしくはそれ以上のアンカー残基位置に位置していることを特徴とする組成物。
  25. 請求項22から24のいずれかに記載の組成物において、前記ペプチドが9アミノ酸長であることを特徴とする組成物。
  26. 請求項22から25のいずれかに記載の組成物において、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドが、
    (i) STAPPAHGV (SEQ ID NO:5);及び
    (ii) SAPDTRPAP (SEQ ID NO:8)
    から選択されるマウス及び/又はヒト野生型MUC1T細胞エピトープに由来することを特徴とする組成物。
  27. 請求項22から24のいずれかに記載の組成物において、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドが、下記の一般式(I)で表されることを特徴とする組成物。
    (I) X−X−TAPP−X−HG−X−X (SEQ ID NO:9)
    (式中、Xは欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列であり、
    はSer(S)及びThr(T)から選択され、
    は、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)及びIle(I)から選択され、
    は欠失しているか、もしくは、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Met(M)、Phe(F)、Ala(A)及びNleから選択され、
    は欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列である。)
  28. 請求項27に記載の組成物において、Xは欠失し、XはS及びTから選択され、XはA及びVから選択され、XはV及びLから選択され、Xは欠失していることを特徴とする組成物。
  29. 請求項22から25のいずれかに記載の組成物において、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドが、次のアミノ酸配列の1つから成ることを特徴とする組成物。
    (i) TTAPPVHGL (SEQ ID NO:6);
    (ii) STAPPVHGL (SEQ ID NO:10);
    (iii) STAPPAHGL (SEQ ID NO:11);
    (iv) TTAPPAHGV (SEQ ID NO:12);及び、
    (v) SAPDTYPAL (SEQ ID NO:13)
  30. 請求項20もしくは21に記載の組成物において、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体が、下記の一般式(I)で表されるペプチドの類似体であることを特徴とする組成物。
    (I) X−X−TAPP−X−HG−X−X (SEQ ID NO:9)
    (式中、Xは欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列であり、
    はSer(S)及びThr(T)から選択され、
    は、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)及びIle(I)から選択され、
    は欠失しているか、もしくは、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Met(M)、Phe(F)、Ala(A)及びNleから選択され、
    は欠失しているか、もしくは、任意のアミノ酸、又は、2〜5個の任意のアミノ酸の配列である。)
  31. 請求項20もしくは21に記載の組成物において、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体が、次のアミノ酸配列の1つから成るペプチドの類似体であることを特徴とする組成物。
    (i) TTAPPVHGL (SEQ ID NO:6);
    (ii) STAPPVHGL (SEQ ID NO:10);
    (iii) STAPPAHGL (SEQ ID NO:11);
    (iv) TTAPPAHGV (SEQ ID NO:12);及び、
    (v) SAPDTYPAL (SEQ ID NO:13)
  32. 請求項20から31のいずれかに記載の組成物において、前記MUC1T細胞エピトープ由来ペプチドもしくはペプチド類似体が、HLAクラスII蛋白質に結合する少なくとも1種のヘルパー分子に共役することを特徴とする組成物。
  33. 請求項32に記載の組成物において、前記の少なくとも1種のHLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子が、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド、PADREペプチド、及びそれらの組合せから成る群から選択されることを特徴とする組成物。
  34. 請求項33に記載の組成物において、前記の少なくとも1種のHLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子が、KLHであることを特徴とする組成物。
  35. 請求項20から34のいずれかに記載の組成物において、さらに、医薬として許容される担体を含むことを特徴とする組成物。
  36. 請求項35に記載の組成物において、前記の医薬として許容される担体が、マンナン、酸化マンナン、部分酸化マンナン、還元マンナン、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来TAT蛋白質、単純ヘルペスウイルス(HSV)由来VP22蛋白質、両親媒性ペプチドPep−1、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)転写因子の60アミノ酸DNA結合ドメイン、アンテナペディア(Antennapedia)、細胞内移送に関与するアンテナペディアの16アミノ酸領域、及びその他の受容体介在の担体分子から成る群から選択される担体分子であることを特徴とする組成物。
  37. 請求項36に記載の組成物において、前記担体分子が酸化マンナンであることを特徴とする組成物。
  38. 対象における癌予防及び/又は治療方法であって、前記方法が、請求項20から37のいずれかに記載の組成物を用いて、樹状細胞(DCs)をex vivo治療する段階を含み、該段階が、前記DCsをMUC1で刺激し、その後、刺激されたDCsを前記対象に投与するものであることを特徴とする方法。
  39. 請求項38に記載の方法において、前記組成物を用いてDCsをex vivo治療する段階が、該組成物の存在下においてDCsをパルスする(pulsing)ことで達成されることを特徴とする方法。
  40. 次のアミノ酸配列の1つから成り、実質的に精製された形態であることを特徴とするMUC1T細胞エピトープ由来ペプチド。
    (i) TTAPPVHGL (SEQ ID NO:6);
    (ii) STAPPVHGL (SEQ ID NO:10);
    (iii)STAPPAHGL (SEQ ID NO:11);
    (iv) TTAPPAHGV (SEQ ID NO:12);及び
    (v) SAPDTYPAL (SEQ ID NO:13)
  41. 次のアミノ酸配列の1つから成り、ヒト白血球抗原(HLA)クラスII蛋白質に結合するヘルパー分子と融合したMUC1T細胞エピトープ由来ペプチドを含むことを特徴とする融合ポリペプチド。
    (i) TTAPPVHGL (SEQ ID NO:6);
    (ii) STAPPVHGL (SEQ ID NO:10);
    (iii)STAPPAHGL (SEQ ID NO:11);
    (iv) TTAPPAHGV (SEQ ID NO:12);及び
    (v) SAPDTYPAL (SEQ ID NO:13)
  42. 請求項41に記載の融合ポリペプチドにおいて、前記HLAクラスII蛋白質結合ヘルパー分子が、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)であることを特徴とする融合ポリペプチド。
  43. 請求項41もしくは42に記載の融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子。

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