JP2009543810A - インターロイキン21およびチロシンキナーゼ阻害剤の併用治療の方法 - Google Patents

インターロイキン21およびチロシンキナーゼ阻害剤の併用治療の方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、チロシンキナーゼ(TK)阻害によるリン酸化の阻害および免疫機能の調節が臨床的に有利な役割を担う疾患の治療における、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)と組み合わせたIL-21の使用のための方法を提供する。これらの疾患には癌、例えば腎細胞癌および転移性メラノーマが含まれるが、これらに限定されない。

Description

発明の背景
インターロイキン21(IL-21)は、分子量が約15.6 kDaの133アミノ酸のポリペプチドとして活性化CD4+ T細胞により内因的に生産される、I型サイトカインである(Parrish-Novak, et al., Nature, 408:57-63, 2000(非特許文献1))。その配列、タンパク質構造、および遺伝子構造よりサイトカインのIL-2ファミリーに含められ、IL-2およびIL-15と最も高い類似性を有する。これらのサイトカイン同様、IL-21はその受容体複合体の構成成分として、共通のサイトカイン受容体γ鎖(γc)をリクルートする。ここでその受容体複合体はIL-21特異的な受容体タンパク質であるIL-21Rも含む(Parrish-Novak, et al., 2000(非特許文献1))。IL-21Rの発現は主としてリンパ系組織および末梢血単核細胞に限定されている。通常の生理学的条件下では、IL-21は恐らく産生局部内に隔離されている。
IL-21は臨床試験において腎細胞癌および転移性メラノーマの患者に対して単剤治療として投与されてきた(Redman et al., J. Clin. Oncology, 23 (16; Suppl 1.) 166S, 2005(非特許文献2); MacArthur et al., Eur. J. Cancer, Suppl. 3 (2):148, 2005(非特許文献3))。B細胞リンパ腫のインビトロおよびインビボモデルにおいて、IL-21およびリツキシマブ(rituximab)の併用治療が、リツキシマブのみに比べ、抗腫瘍効果を増強することが証明されている(Hughes et al., Blood 104 (11 Part 1): 394A, 2004(非特許文献4))。
チロシンキナーゼは、アデノシン三リン酸からのγリン酸基の標的タンパク質への転移を触媒する酵素である。チロシンキナーゼは受容体および非受容体タンパク質チロシンキナーゼに分類できる。これらは成長受容体を介する活性化を含む、様々な正常な細胞のプロセスにおいて必須の役割を果たしており、かつ様々な細胞型の増殖、生存、および成長に作用する。さらに、腫瘍細胞の増殖を促進し、抗アポトーシス効果を誘導し、そして血管新生および転移を促進すると考えられている。増殖因子による活性化に加え、体細胞変異によるタンパク質キナーゼの活性化は腫瘍形成の一般的なメカニズムである。同定された変異のいくつかは、B-Rafキナーゼ、FLt3キナーゼ、BCR-ABLキナーゼ、c-KITキナーゼ、上皮細胞増殖因子(EGFR)、およびPDGFR経路中にある。Her2、VEGFR、およびc-Metは、癌の進行および腫瘍形成に関与するその他の重要な受容体チロシンキナーゼ(RTK)経路である。多くの細胞プロセスがチロシンキナーゼによって開始されるため、これらは阻害剤の重要な標的として認識されてきた。
チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は細胞内で作用する小さい分子であり、受容体および非受容体チロシンキナーゼ両方の触媒チロシンキナーゼドメインへの結合についてアデノシン三リン酸(ATP)と競合する。この競合的な結合により、成長、生存、および血管新生のようなシグナル伝達イベントに関連するエフェクター機能へと導く下流シグナル伝達の開始がブロックされる。構造および計算的アプローチを用いて、チロシンキナーゼを阻害するいくつもの化合物が、多数の医薬化学コンビナトリアルライブラリーから同定された。BAY 43-9006(ソラフェニブ(sorafenib)、 Nexavar(登録商標))およびSU11248(スニチニブ(sunitinib)、Sutent(登録商標))は、転移性の腎細胞癌(RCC)への使用が最近認可された、2つのそのようなTKIである。いくつかのその他のTKIが、様々なタイプの癌の治療のための後期および初期の開発段階にある。
FDAは、進行腎臓癌の治療のための2つの新しい経口的に活性なチロシンキナーゼ阻害剤を認可したものの、治癒的治療は未だに達成できていない。現在では、高用量のインターロイキン2(IL-2)のみが、約7%の選択された患者おいて永続的な完全寛解をもたらしている。高用量のIL-2は顕著な臨床的毒性と関連し、永続的な応答率は比較的低いため、過去20年にわたってその使用は減少している。最近のイノベーションにもかかわらず、進行腎臓癌は未だに満たされない医学的なニーズに相当する。本発明は、IL-21およびTKIの組み合わせを用いて、腎臓癌および他の適応におけるこれらの満たされない医学的なニーズのための組成物および方法を提供する。
本発明のこれらおよびその他の局面は、以下により完全に記載した本発明の詳細を読めば、当業者には明らかになる。
Parrish-Novak, et al., Nature, 408:57-63, 2000 Redman et al., J. Clin. Oncology, 23 (16; Suppl 1.) 166S, 2005 MacArthur et al., Eur. J. Cancer, Suppl. 3 (2):148, 2005 Hughes et al., Blood 104 (11 Part 1): 394A, 2004
1つの局面において、本発明は、腎細胞癌または転移性メラノーマを治療する方法であって、IL-21ポリペプチドを含む組成物およびチロシンキナーゼ阻害剤を含む組成物を患者に同時投与する工程を含む、方法を提供する。
1つの局面において、本発明は、腎細胞癌を治療する方法であって、IL-21ポリペプチドを含む組成物およびスチニチブを含む組成物を患者に同時投与する工程を含む、方法を提供する。
1つの局面において、本発明は、腎細胞癌を治療する方法であって、IL-21ポリペプチドを含む組成物およびソラフェニブを含む組成物を患者に同時投与する工程を含む、方法を提供する。
前記方法の特定の態様においては、IL-21組成物は疾患が進行するまで5/9/5スケジュールで投与される。前記方法の他の態様においては、IL-21組成物は週に1〜3回投与される。前記方法の他の態様においては、IL-21組成物はソラフェニブ組成物と同時に投与される。前記方法の特定の他の態様においては、ソラフェニブ組成物は1日に800 mgで投与される。
発明の説明
発明を詳細に説明する前に、以下の用語を定義することが発明の理解に役立つと思われる。
「癌」または「癌細胞」との用語は、本明細書においては、正常の組織または組織細胞から区別させるような特徴を持つ、新生物中にある組織または細胞を表すために用いられる。そのような特徴は限定されないが、以下のものが含まれる:退生の程度、形状の不規則性、細胞輪郭の不明確さ、核のサイズ、核または細胞質の構造の変化、その他の表現型の変化、癌状態または前癌状態を示す細胞タンパク質の存在、有糸分裂の回数の増加、および転移する能力。「癌」に関連する単語には、癌腫、肉腫、腫瘍、白血病、リンパ腫、ポリープ、新生物等が含まれる。
「同時投与」との用語は、本明細書においては、IL-21ポリペプチドまたはタンパク質およびTKIが、治療サイクルにおいて同時にまたは異なった時間に与えられ得ることを表すために用いられる。同時投与は、IL-21およびTKIの両方の単回の同時投与であってもよく、またはIL-21およびTKIの両方が3ヶ月の期間内に少なくとも1回与えられる、複数サイクルの同時投与であってもよい。IL-21またはTKIのいずれかが患者に投与されるのは同時投与時のみである必要はなく、どちらの薬剤も単独で、またはIL-21以外の治療剤との組み合わせで、投与されてもよい。
「併用治療」との用語は、本明細書においては、少なくとも1つの治療的に効果のある用量のIL-21組成物(「IL-21」)およびTKIが対象に投与されることを表すために用いられる。
「レベル」との用語は、免疫細胞、例えばNK細胞、T細胞、特に細胞傷害性T細胞、B細胞等に言及する際には、増加した細胞の数もしくは細胞機能の増強した活性のいずれかとしての増加したレベル、および減少した細胞の数もしくは細胞機能の減少した活性としての低下したレベルを表す。
「最適な免疫応答」との用語は、IL-21もしくはIL-21+TKIの組み合わせを投与した後、TKIのみを投与した場合に比べて、見られる免疫応答の変化を表し、以下であり得る:(1)活性化または腫瘍特異的CD8 T細胞の数の増加;(2)グランザイムB(granzyme B)またはパーフォリンまたはIFNγをより高いレベルで発現している、活性化または腫瘍特異的CD8 T細胞の数の増加;(3)Nk細胞、単球、または好中球上のFcγ受容体(CD16、CD32またはCD64)のアップレギュレーション;(4)血清中の可溶性CD25の増加;(5)腫瘍細胞より遊離したタンパク質(Taro et al., J. Cell Physiol. 203(1):1-5, 2005参照)、例えば癌胎児性抗原(CEA)、IgG、CA-19-9、または卵巣癌抗原(CA125)の血清レベルの減少;(6)グランザイムB、パーフォリン、またはIFNγをより高いレベルで発現するNK細胞の数の増加;(7)活性化サイトカイン、例えばIL-18、IL-15、IFNγ、およびエフェクター細胞の腫瘍へのホーミングを可能にするケモカイン、例えばIP-10、RANTES、IL-8、MIP1aもしくはMIP1bのレベルの増加;(8)末梢においてもしくは腫瘍部位での活性化マクロファージの数の増加であって、ここで活性化は増加したMHCクラスIもしくはクラスIIの発現、IL-15、IL-18、IFNγ、もしくはIL-21の生成によって検出できる、増加;または(9)赤血球数の減少によって示されるようなマクロファージの活性(貧血の重症度)。
本明細書において用いられる「無増悪生存時間(progression free survival)」(PFS)との用語は、無作為化から客観的な腫瘍進行または死までの時間として定義される。非無作為化試験においては、PFSとは試験薬の初回投与から客観的な腫瘍進行または死までの時間として定義される。
本明細書において用いられる「相乗的な」との用語は、計測した場合に、いずれかの単独の薬剤よりも高い、2つまたはそれ以上の治療的薬剤の生物学的または臨床的な活性を示す。
本発明は記載された特定の態様に限定されず、これらはもちろん多様であり得ると理解するべきである。また、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書中で用いられる術語は特定の態様を説明するためだけのものであり、限定を意図するものではないと理解するべきである。
特に定義しない限り、本明細書中に用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載された方法および材料と同様または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができる。本明細書中で記載された全ての文献は、引用された文献に関連した方法および/または材料を開示および説明するために、参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書および添付の請求の範囲において用いられるように、単数形式である「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかに他の内容を示さない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。従って、例えば、「1つの(a)多型」への言及は複数のそのような多型を含み、「1つの(a)核酸分子」への言及は複数のそのような核酸分子を含み、かつ「その(the)方法」への言及は当業者にとって既知の、1つまたは複数の方法、方法のステップ、およびその同等物を含むなどである。
本発明は、TK阻害によるリン酸化の阻害および免疫機能の調節が臨床的に有益な役割を担う疾患および障害の治療における、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)と組み合わせたIL-21の使用に関する。これらの疾患および障害は癌、感染症、および自己免疫疾患を含むが、これらに限定されない。
特定の学説によって縛られることを意図してはいないが、IL-21およびTKIの組み合わせが治療に用いることができ、アデノシン三リン酸から標的タンパク質へのγリン酸基の転移の阻害、ならびに下流シグナル伝達の開始および免疫応答の刺激のブロッキングが重要な役割を担っている特定のケースがある。このような疾患および障害の治療には、腫瘍細胞増殖の阻害、抗アポトーシス効果の誘導、ならびに血管新生および転移の阻害が含まれる。増殖因子を介した活性化に加え、体細胞変異を介したプロテインキナーゼの活性化は腫瘍形成の一般的なメカニズムである。TKIおよびIL-21の組み合わせの前臨床評価から、治療的曝露をシミュレートした濃度で使用した場合、TKIはインビトロにおいてIL-21または免疫エフェクター機能を阻害しないことが示唆されている。さらに、TKIと組み合わせたIL-21は前臨床モデルにおいて相加効果を有することが示された。
診療所においてIL-21タンパク質またはTKIのどちらかを用いた治療に対して感受性を示した3種の癌は、腎細胞癌、転移性メラノーマ、および肝細胞癌である。RCCならびにその他の癌および疾患における患者予後は、TKIおよび免疫治療剤の組み合わせを使用することにより、向上できる。現在までは、免疫治療(高用量のアルデスロイキン(aldesleukin)を用いる)が、RCCおよび転移性メラノーマ(MM)患者において永続的な完全寛解(CR)と結び付けられる唯一の治療である。したがって、これら2つのクラスの治療剤を組み合わせることは、患者に対して相加的な、またはおそらく相乗的な利益さえもをもたらすと考えられる。
多くのTKIは腫瘍細胞の直接的な阻害または血管新生の阻害を通して腫瘍の成長を阻害すると考えられている。一方、IL-21は腫瘍細胞に対する免疫活性を増強させる。これらの2つの薬剤の組み合わせは、複数の、しかし独立した経路を介して癌を攻撃することによって、相加的または相乗的な効果をもたらす。
さらに、ソラフェニブおよびスニチニブを含む特定のTKIはVEGFファミリー受容体を介してシグナル伝達に作用する。VEGFは血管新生性でありかつまた免疫系に作用することが示されている。インビトロ試験において、VEGFが樹状細胞を介した抗原特異的T細胞の刺激を阻害することができることが示され(Laxmanan et al., BBRC 334(1):193-8, 2005)、かつインビボ試験において、抗VEGF抗体およびペプチドパルス樹状細胞(peptide-pulsed dendritic cells)の投与はマウスにおける抗腫瘍効果の増加と関連付けられている(Gabrilovich et al., Clin Can Res. 5(10):2963-70, 1999)。したがって、IL-21、およびVEGFを阻害するTKIを含む併用治療の使用は、患者において免疫応答を増強し得る。
TKIは腫瘍の直接阻害によって、または腫瘍の微環境への影響(血管新生)を通して、腫瘍の成長に作用する。TKIを介した腫瘍死の阻害は、マクロファージおよび樹状細胞等の抗原提示細胞(APC)による、死んだ腫瘍細胞の抗原提示の増加へとつながり得る。IL-21は次にAPCによって提示されたこれらの腫瘍抗原に特異的なT細胞活性を増強し得る。
いくつかのケースにおいて、TKIが樹状細胞および他の先天性免疫細胞、例えばNK細胞の機能を活性化することが示されている。これは最近動物モデルにおいてイマチニブ(imatinib)について報告されている。イマチニブはTKIであり、樹状細胞およびNK細胞によるキラー活性を増強することが示されている(総説については、Smyth et al., NEJM 354:2282, 2006を参照)。IL-21はこれらのNK細胞の活性および樹状細胞を介する免疫応答を増強し得る。
新規のビアリール尿素であるソラフェニブは、RAFキナーゼの阻害剤を同定するための大規模なスクリーニングにおいて最初に発見された。さらなるキャラクタリゼーションによって、ソラフェニブがc-Raf、b-raf、VEGFR2、VEGFR3、PDGFRβ、c-kit、およびflt3を含む複数のチロシンキナーゼ経路を強く阻害することができることが示されている(Wilhelm et al., Cancer Res. 64:7099, 2004)。多くのこれらのキナーゼの阻害のIC50は、nMの範囲(6〜250 nM)にあることが証明されている。インビトロでは、ソラフェニブは複数の腫瘍細胞株の増殖を阻害することができる。インビボでは、1日10〜60 mg/kgの範囲の用量のソラフェニブの治療的な経口送達は、ヌードマウスにおいて様々な異種移植腫瘍の成長を有意に阻害することが示された(Wilhelm et al., 2004,前記)。これらには結腸腫瘍、乳腺腫瘍、NSCLC、膵腫瘍およびその他の固形腫瘍が含まれる。ソラフェニブのメカニズムは、Rafキナーゼを阻害することによる直接的な抗腫瘍活性、ならびにVEGFおよびPDGF経路が介する血管新生の阻害の組み合わせによって介された抗腫瘍効果であると考えられている。ソラフェニブは国際公開公報第00/41698号に記載されている。
ソラフェニブは、皮下および同所性モデルの両方においてインビボでマウス腎細胞癌細胞株RenCaの成長を阻害すると報告されている(Schoffski et al., Annals of Oncology 17(3):450-6, 2006)。BAY 43-9006(ソラフェニブ)は、腎臓腺癌(RenCa)のネズミモデルの異所性(皮下)および同所性の成長を、主に腫瘍血管新生の阻害によって、阻害した(米国癌学会第96回年会、4月16〜20日、Anaheim、CA、要旨5831、2005年)。腫瘍成長の用量依存的な減少が報告され、これは1日7.5 mg/kgでの腫瘍の成長の30%の阻害から1日60 mg/kgでの84%の阻害の範囲であった。作用メカニズムは血管新生の阻害によるものであった。
スニチニブは経口オキシインドールTK阻害剤であり、VEGFR1、VRGFR2、VEGFR3、PDGFRα、PDGFRβ、Flt3、およびc-kitキナーゼの選択的な複数の標的阻害を行う。スニチニブはRETキナーゼ経路を阻害することも最近示されている。Rafキナーゼ経路を阻害するためのその能力については、現在ではデータは得られていない。インビトロにおいては、スニチニブは4〜70 nMのIC50で複数のキナーゼを通して活性化を阻害することができた(Mendel et al., Clin Can Res 9:327, 2003)。インビボでは、スニチニブの経口送達は1日20〜80 mg/kgの範囲の用量でマウスにおいてヒト腫瘍の異種移植片の成長を阻害することができる。腫瘍の成長の阻害は、結腸腫瘍、NSCLC、グリオーマ、メラノーマ、乳腺腫瘍、および類表皮腫を含む、複数の腫瘍のタイプにおいて証明された。いくつかのケースにおいて、治療的送達の後に腫瘍の退縮が観察された(Mendel et al., 2003,前記箇所)。スニチニブに誘導された腫瘍の退縮のメカニズムは、インビボにおける血管新生の阻害によるものであることが証明された。スニチニブはまた、flt3キナーゼを介したシグナル伝達をブロックすることによって、AML株に対してインビトロおよびインビボにおいて強力な抗腫瘍活性を示し(O’Farrell et al., Blood 101:3597, 2003)、放射線治療との組み合わせにおいて強力な抗腫瘍活性を示した(Schueneman et al., Cancer Res. 63:4009, 2003)。スニチニブは米国特許第6,573,293号において記載されている。
その他のTKIには以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:メシル酸イマチニブ(Imatinib mesylate)(Gleevec(登録商標), Novartis)、ゲフィチニブ(Gefitinib)(Iressa(登録商標), AstraZeneca)、塩酸エルロチニブ(Erlotinib hydrochloride)(Tarceva(登録商標), Genentech)、バンデタニブ(Vandetanib)(Zactima(登録商標), AstraZeneca)、チピファーニブ(Tipifarnib)(Zarnestra(登録商標), Janssen-Cilag)、ダサチニブ(Dasatinib)(Sprycel(登録商標), Bristol Myers Squibb)、ロナファーニブ(Lonafarnib)(Sarasar(登録商標), Schering Plough)、コハク酸バタラニブ(Vatalanib succinate)(Novartis, Schering AG)、ラパチニブ(Lapatinib)(Tykerb(登録商標), GlaxoSmithKline)、ニロチニブ(Nilotinib)(Novartis)、レスタウルチニブ(Lestaurtinib)(Cephalon)、塩酸パゾパニブ(Pazopanib hydrochloride)(GlaxoSmithKline)、アキシチニブ(Axitinib)(Pfizer)、カネルチニブ二塩酸塩(Canertinib dihydrochloride)(Pfizer)、ペリチニブ(Pelitinib)(国立癌研究所, Wyeth)、タンヅチニブ(Tandutinib)(Millennium)、ボスチニブ(Bosutinib)(Wyeth)、セマキサニブ(Semaxanib)(Sugen, Taiho)、AZD-2171(AstraZeneca)、VX-680(Merck, Vertex)、EXEL-0999(Exelixis)、ARRY-142886(Array BioPharma, AstraZeneca)、PD-0325901(Pfizer)、AMG-706(Amgen)、BIBF-1120(Boehringer Ingelheim)、SU-6668(Taiho)、CP-547632(OSI)、AEE-788(Novartis)、BMS-582664(Bristol-Myers Squibb)、JNK-401(Celgene)、R-788(Rigel)、AZD-1152 HQPA(AstraZeneca)、NM-3(Genzyme Oncology)、CP-868596(Pfizer)、BMS-599626(Bristol-Myers Squibb)、PTC-299(PTC Therapeutics)、ABT-869(Abbott)、EXEL-2880(Exelixis)、AG-024322(Pfizer)、XL-820(Exelixis)、OSI-930(OSI)、XL-184(Exelixis)、KRN-951(Kirin Brewery)、CP-724714(OSI)、E-7080(Eisai)、HKI-272(Wyeth)、CHIR-258(Chiron)、ZK-304709(Schering AG)、EXEL-7647(Exelixis)、BAY-57-9352(Bayer)、BIBW-2992(Boehringer Ingelheim)、AV-412(AVEO)、YN-968D1(Advenchen Laboratories)、ミドスタウリン(Midostaurin)(Novartis)、ペリフォシン(Perifosine)(AEterna Zentaris, Keryx, 国立癌研究所)、AG-024322(Pfizer)、AZD-1152(AstraZeneca)、ON-01910Na(Onconova)、およびAZD-0530(AstraZeneca)。
最適なIL-21の投与計画は、免疫細胞の最も有益かつ持続的な刺激を提供する。IL-21が腫瘍細胞に対して直接的な作用を有さないと思われる腫瘍、たとえばMMおよびRCCについては、腫瘍細胞のIL-21への最大限の曝露は治療の目的ではない。IL-21治療の潜在的な利点は免疫系を活性化することによって達成される。IL-21治療サイクルとは、IL-21の投与および休息期間が完了される計画である。同時投与は、IL-21およびTKI両方の単回の同時投与であってもよく、または3ヶ月の期間のうちに少なくとも1回IL-21およびTKIの両方が両方とも与えられる、同時投与の複数のサイクルであってもよい。治療サイクルは、さらなる臨床的有益性が見込まれない、または毒性が許容されなくなるまで繰り返すことができる。1つの態様においては、IL-21のための治療サイクルは、5日間の治療およびその後の休息期間によって定義されるサイクルによって定義される。特定の態様においては、9日間の休息(IL-21治療なし)および任意の休息の1週間である(5/9/5)。別の態様においては、休息期間は16日間に延長してもよい。5日間の投与期間はrIL-21の臨床的に有意な薬理学的効果を提供すると考えられ、9〜16日間の無投与期間は新しい治療サイクルを開始する前にパラメーターを正常化させるために使用される。5/9/5投与計画は前臨床腫瘍モデルにおいて有効であることが証明された(Hughes et al., J. of Clinical Oncol. 22(14S):187S, 2004)。
IL-21組成物は、IL-21の生物学的活性を示す、成熟ポリペプチド、その断片、融合物、またはコンジュゲートであってもよい。IL-21組成物は緩衝液を含んでいてもよく、例えば、ヒスチジン、クエン酸、またはコハク酸緩衝液を使用してもよい。浸透圧の調節剤、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、またはグリシンを使用することができる。その他の賦形剤も本発明の組成物に含まれていてもよい。例えば、許容される賦形剤には以下が含まれる:安定化剤として二糖類、例えばトレハロースおよびスクロース;安定化剤または湿潤剤としてポリエチレングリコール;安定化剤または湿潤剤として界面活性剤、例えばtween 20、tween 80、またはtriton-X-100;またはその他の充填剤、例えばグリシン、ヒトロキシエチルスターチ。本発明の組成物、特に複数回の使用のためにパッケージされた組成物には、1つまたは複数の防腐剤が含まれていてもよい。本発明において使用できる防腐剤には薬学的調製物に一般的に使用されるもの、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、m-クレゾール、エチル水銀チオサリチル酸塩、フェノール、チメロサール等が含まれる。
IL-21組成物は注入により、静脈(IV)または筋肉内(IM)または皮下(SC.)投与経路のいずれかで、与えられる。本発明は、各用量が約10 μg/kg〜500 μg/kgの範囲内である、IL-21組成物を提供する。特定の態様においては、IL-21の用量は10〜300 μg/kgの範囲内である。他の態様においては、用量は週に1〜5回で、10〜30、30〜50、50~75、または75~100 μg/kgである。したがって、1つの態様においては、本発明は、病気の進行があるまで、IL-21組成物を5/9/5スケジュールで投与する方法を提供する。別の態様においては、本発明はIL-21組成物が週に1回投与される方法を提供する。他の態様において、IL-21組成物は週に2、3、または4回投与される。
ソラフェニブ用量は400 mg、1日2回として、1日の最大投与量が800 mgで、投与される。治療は、患者が治療より臨床的に利益を得なくなるまで、または許容できない毒性が生じるまで続けられる。疑われる薬物有害反応への対応には、一時的な中断および/または用量の減量が必要になり得る。用量は1日1回400 mgまで減量してもよく、追加の用量の減量は単回の400 mgの用量を1日おきであり得る(Bayer Pharmaceuticals, West haven, CTのNexavar(登録商標)の処方情報を参照)。しかし、IL-21はソラフェニブと組み合わせて、他の承認された投与計画を用いて使用してもよい。本発明の特定の態様においては、IL-21組成物はソラフェニブ組成物と同時に与えられる。
スニチニブは1日1回の50 mg用量として、4週間の治療およびその後の2週間の無治療のスケジュールで、投与される(Pfizer, New York, NYのSutent(登録商標)の処方情報を参照)。スニチニブは1日37.5 mgで無治療の期間なしで、または他の任意の承認された投与計画を用いて、与えられてもよい。
IL-21はソラフェニブまたはスニチニブと同時に与えられてもよい。1つの態様においては、一般的な治療戦略は、許容できない毒性、腫瘍の進行、または完全な寛解の達成まで、TKIと同時に、5/9/5計画で継続的なサイクルのIL-21を送達するものである。
以下の実施例は本発明の代表的な態様を説明するために提供されており、発明の範囲を限定していると理解するべきではない。
実施例
実施例1
RenCa.2マウス腎細胞癌モデルにおいてソラフェニブおよびスニチニブの効果を調べるために、用量反応を行った。ソラフェニブは10 mg/kg〜60 mg/kgの範囲の用量で腫瘍クリアランスを媒介するのに最大限に有効であったが、10 mg/kg未満の用量では部分的に有効であった。一方、経口投与されたスニチニブは40 mg/kgより高い用量でのみ最大限に有効であった。
RCCのRenCa.2モデルにおいて、ソラフェニブと同時に投与された場合に、mIL-21が相加的な効果を有するかどうかを調べるために、2つの実験を設計した。第1の実験においては、25 μgのmIL-21を、最大下用量である2 mg/kgのソラフェニブと同時に投与した。表1に示す通り、この用量でのmIL-21のみでは、2 mg/kgのソラフェニブ同様、腫瘍の成長を阻害するには部分的に有効であった。mIL-21およびソラフェニブの同時投与は、いずれかの薬物のみに比べて、腫瘍成長のより良い阻害を示し(21日目でp=0.007)、これはIL-21およびソラフェニブがこのモデルにおいて相加的な効果を有していたことを示唆した。
第2の実験においては、50 μgのmIL-21または最大60 mg/kgのソラフェニブ用量を、単独でまたは2つの試薬を組み合わせて、マウスに同時に投与した。治療を受けたマウスの生存を35日間にわたりモニターした。表2に示す通り、いかなる治療も受けなかったマウスは22日目を超えて生存しなかった。mIL-21を単独で受けたマウスは、35日目までに10%の生存率しか示さなかった。一方で、60 mg/kgのソラフェニブを受けたマウスはこの時点で50%の生存率を示した。対照的に、mIL-21およびソラフェニブの両方を受けたマウスは、35日目において100%の生存率を示した。これはIL-21が高用量のソラフェニブとの組み合わせにおいては、IL-21またはソラフェニブを単独で受けたマウスに対して、生存上の優位性を有していたことを証明し、相加的または相乗的な活性を示す。
A. mIL-21および最大下用量のソラフェニブの同時投与はマウスにおいてRenCa.2腫瘍成長を相加的に阻害する
mIL-21およびソラフェニブの同時投与がマウスにおける腫瘍成長に相加的な効果を有するかをテストするために、0日目にRenCa.2腫瘍をマウス群に皮下注入した。次に25 μgのmIL-21または2 mg/kgのソラフェニブを、単独でまたは組み合わせてマウスに注入した。腫瘍容積を週に3回、3週間の間モニターした。mIL-21およびソラフェニブ両方の組み合わせを注入されたマウスは、対照試薬またはmIL-21もしくはソラフェニブのいずれかを単独で注入されたマウスに比べて、有意により小さい腫瘍を示し、これはこれらの2つの試薬の同時投与がこのモデルにおいて相加的な効果を有することを示唆する。
10週齢の雌のBALB/cマウス(Charles River Laboratories)の右側腹部に0.1×106のRenCa.2細胞を0日目に皮下注入した。3日目からの開始で、マウス群(1群につきn=10)に、無治療(第1群)、または25 μgのmIL-21腹腔内注入(第2群)を単独で5日間(第1群)、2 mg/kgのソラフェニブを単独で10日間強制経口投与(第3群)または2つの試薬の組み合わせ(第4群)を行った。腫瘍の成長をキャリパー測定を用いて週に3回、3週間の間モニターした。腫瘍容積は式1/2*(B)2*L(mm3)を用いて計算される。
mIL-21およびソラフェニブの組み合わせを注入されたマウスは、mIL-21を単独でもしくはソラフェニブを単独でのいずれかを注入されたマウスに比べて、有意により小さい腫瘍を示し、これはこれらの2つの試薬を組み合わせることがこのモデルにおいて相加的な効果を有することを示唆する(表1、mIL-21単独またはソラフェニブ単独に比べて21日目でp=0.007、スチューデントt-検定)。
B. mIL-21および高用量のソラフェニブ用量の同時投与は、RenCa.2腫瘍を有するマウスに対して生存上の優位性を有する。
mIL-21および高用量のソラフェニブの同時投与がマウスにおける腫瘍成長に相加的な効果を有するかをテストするために、0日目にRenCa.2腫瘍をマウス群に皮下注入した。次に50 μgのmIL-21または60 mg/kgのソラフェニブを、単独でまたは組み合わせて、マウスに注入した。マウスの生存を35日間にわたってモニターした。対照の試薬またはIL-21もしくはソラフェニブのいずれかを単独で注入されたマウスに比べ、mIL-21およびソラフェニブ両方の組み合わせを注入された全てのマウスは35日目では生存しており、これはこれらの2つの試薬の同時投与がこのモデルにおいて相加的な効果を有することを示唆する。
10週齢の雌のBALB/cマウス(Charles River Laboratories)の右側腹部に0.1×106のRenCa細胞を0日目に皮下注入した。5日目からの開始で、マウス群(1群につきn=10)に、無治療(第1群)、または50 μgのmIL-21(第2群)+ソラフェニブビヒクルを5日間腹腔内注入した後に9日間の休息、その後5日間の治療(第4群)、60 mg/kgのソラフェニブを単独で10日間強制経口投与、または2つの試薬の組み合わせ(第3群)を行った。腫瘍の成長をキャリパー測定を用いて週に3回、3週間の間モニターした。マウスの生存は35日間にわたりモニターされた。腫瘍を有するマウスは、最大腫瘍サイズ(1200 mm3)または当初の体重の>=20%の重量減少に関するIACUCの方針に従って殺処理された。
表2に示す通り、いかなる治療も受けなかったマウスは22日目を超えて生存しなかった。mIL-21を単独で受けたマウスは、35日目までに10%の生存率しか示さなかった。一方で、60 mg/kgのソラフェニブを受けたマウスはこの時点で50%の生存率を示した。対照的に、mIL-21およびソラフェニブの両方を受けたマウスは、35日目において100%の生存率を示した。これはIL-21が高用量のソラフェニブとの組み合わせにおいては、IL-21またはソラフェニブを単独で受けたマウスに対して、生存上の優位性を有していたことを示す(p<0.0001、カプラン・マイヤー生存テスト)。
Figure 2009543810
Figure 2009543810
実施例2
原発性肝癌には2つの異なるタイプが存在する。最も典型的な種類は肝腫または肝細胞癌(HCC)と呼ばれ、肝臓の主要な細胞(肝細胞)から発生する。このタイプは、場合によっては他の臓器に広がるものの、通常は肝臓に留まる。B型肝炎またはC型肝炎ウイルスのいずれかによる感染症は肝癌に繋がる可能性があり、かつ肝腫を発生するリスクを高める肝硬変の原因にもなり得る。肝細胞癌は肝炎(例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、およびD型肝炎)感染症と関連しているかも知れないし、関連していないかも知れない。
IL-21組成物とTKIの組み合わせの腫瘍応答に対する効果は、肝細胞癌のトランスジェニックマウスモデルにおいて評価することができ、これには以下が含まれる:形質転換増殖因子-α(TGF-α)単独の過剰発現(Jhappan et al., Cell, 61:1137-1146 (1990); Sandgren et al., Mol. Cell. Biol., 13:320-330 (1993); Sandgren et al., Oncogene, 4:715-724 (1989); およびLee et al., Cancer Res., 52:5162:5170 (1992))、またはc-myc(Murakami et al., Cancer Res., 53:1719-1723 (1993))、変異型H-ras(Saitoh et al., Oncogene, 5:1195-2000 (1990))、B型肝炎ウイルス遺伝子がコードするHbsAgおよびHBx(Toshkov et al., Hepatology, 20:1162-1172 (1994)およびKoike et al., Hepatology, 19:810-819 (1994))、SV40ラージT抗原(Sepulveda et al., Cancer Res., 49: 6108-6117 (1989)およびSchirmacher et al., Am. J. Pathol., 139:231-241 (1991))、ならびにFGF19(Nicholes et al., American Journal of Pathology, 160(6):2295-2307(2002年6月)との組み合わせの過剰発現。

Claims (16)

  1. IL-21ポリペプチドを含む組成物およびチロシンキナーゼ阻害剤を含む組成物を患者に同時投与する工程を含む、
    腎細胞癌または転移性メラノーマを治療する方法。
  2. IL-21ポリペプチドを含む組成物およびスチニチブ(sutinitib)を含む組成物を患者に同時投与する工程を含む、
    腎細胞癌を治療する方法。
  3. IL-21ポリペプチドを含む組成物およびソラフェニブ(sorafenib)を含む組成物を患者に同時投与する工程を含む、
    腎細胞癌を治療する方法。
  4. IL-21組成物が、疾患が進行するまで5/9/5スケジュールで投与される、請求項1記載の方法。
  5. IL-21組成物が、疾患が進行するまで5/9/5スケジュールで投与される、請求項2記載の方法。
  6. IL-21組成物が、疾患が進行するまで5/9/5スケジュールで投与される、請求項3記載の方法。
  7. IL-21組成物が週に1〜3回、投与される、請求項1記載の方法。
  8. IL-21組成物が週に1〜3回、投与される、請求項2記載の方法。
  9. IL-21組成物が週に1〜3回、投与される、請求項3記載の方法。
  10. IL-21組成物がソラフェニブ組成物と同時に投与される、請求項2記載の方法。
  11. ソラフェニブ組成物が1日に800 mgで投与される、請求項10記載の方法。
  12. IL-21ポリペプチドを含む組成物およびチロシンキナーゼ阻害剤を含む組成物を患者に同時投与する工程を含む、
    転移性メラノーマを治療する方法。
  13. IL-21ポリペプチドを含む組成物およびスチニチブを含む組成物を患者に同時投与する工程を含む、
    転移性メラノーマを治療する方法。
  14. IL-21ポリペプチドを含む組成物およびソラフェニブを含む組成物を患者に同時投与する工程を含む、
    転移性メラノーマを治療する方法。
  15. IL-21組成物が、疾患が進行するまで5/9/5スケジュールで投与される、請求項12記載の方法。
  16. IL-21組成物が週に1〜3回、投与される、請求項12記載の方法。
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