JP2009542161A - 無線ローカルエリアネットワーク(wlan)システムにおいてビーコン送信の通信を行うシステムおよび方法 - Google Patents
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Abstract
1つまたは複数のチャネル上で動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システム(100)においてビーコン送信を行う方法は、第1のチャネル上で第1の方向(D1)に指向性アンテナを使って第1のビーコン(C1)を送信することを含む。次いで、第1のチャネル上で第2の方向(D2)に指向性アンテナを使って第2のビーコン(C2)が送信される。その後、第1のビーコンと第2のビーコンとが所定のビーコン間隔後に行われるように処理が繰り返される。第1のビーコンの送信は目標ビーコン送信時刻(TBTT)に開始され、第2のビーコンの送信は、第1のビーコンの送信後のアンテナ切換え時間によって規定される連続した期間において開始される。
Description
本発明は、概して無線ネットワークアクセスポイント(AP)に関し、より詳細には、指向性アンテナを有するAPによるビーコン送信に関する。
IEEE(米国電気電子技術者協会)規格では、インフラストラクチャモードにおけるアクセスポイント(AP)からの送信、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)からの送信、および「アドホック」モードにおけるクライアントからの送信を含むいくつかの方法でのビーコン送信を定義している。WLAN環境では、「クライアント」は、APを利用して他のユーザまたは機器との無線通信を確立する移動局またはユーザであることを、当分野の技術者は理解し得る。さらに、当分野の技術者は、WLANにおける目標ビーコン送信時刻(TBTT)が、「タイミング同期機能」またはTSFタイマと呼ばれる共通ネットワークタイマとビーコン間隔とによって決定されることも理解し得る。ビーコンおよびその他の管理メッセージで搬送されるこれらの2つの情報要素は、APおよびそのAPによってサービス提供を受けるすべてのクライアントとに共通の、各ビーコン間隔での固有のTBTTを可能にする。TBTTは、ビーコンの目標送信時刻、または期待される送信時刻を表すにすぎない。しかし実際には、ビーコン送信は、干渉、読み込みなどといった様々な要因のために遅延し得る。
IEEE規格はシステムアーキテクチャを規定しているが、セクタ化APによるビーコン送信の方法は明確に定義されていない。当分野の技術者は、セクタ化APが、複数のセクタを形成する複数の指向性アンテナを有するAPであることを理解する。本明細書において、「セクタ」という用語と「指向性アンテナ」という用語は同義で使用される。さらに、多層のAPおよび/またはクライアントを有するネットワークにおける機能についてのIEEE規格による定義は一層少ない。
かかるネットワークにおいて解決を要する1つの問題として、同じAPのセクタを識別および探索するのに使用される、クライアントにおける「近隣」探索処理がある。この探索処理は、現在の規格では定義されていない。しかも、サービス提供APのセクタのビーコン送信時刻は、そのサービス提供APがクライアントと関連付けられているAPである場合には、クライアントに知られることがなく、または規格によって定義されていないため、(サイトダイバーシティおよび効率のよいメイクビフォアブレーク型ハンドオフのための)複数のセクタに対する、および複数のセクタからのトラフィックの高度なスケジューリングを行うことができない。また、ビーコンでの保留中のトラフィックの通知に基づいてトラフィック受信を効率よくスケジューリングすることも不可能である。言い換えると、クライアントは、大きなシグナリングオーバーヘッドなしでは、どのアンテナから、どの時間間隔でトラフィックを聴取すべきかを見分けることができない。従来技術の図1はかかる無線ネットワーク100を示している。無線ネットワーク100において、無線アクセスポイント101は、セクタ103、105、107および109を規定する指向性アンテナを利用する。クライアント111がセクタ109からセクタ103に移行していた場合、クライアント111がアクセスポイント101のセクタ103からビーコントラフィックを適時に受信することが重要である。
しかしながら、クライアント111は、その現在のセクタがそのセクタのビーコンをいつ送信し、またはアクティブにトラフィックをいつ受信することになるかを知らないために、アップリンクトラフィックを効率よくスケジューリングすることができない可能性がある。これにより、携帯型クライアントにおける不必要な再送信および電力の消耗が生じることになる。これらの問題は、異なる周波数上で異なるアンテナが動作するときには、複雑さが増大するものであり、無線ローカルエリアネットワークにおいてビーコンを伝搬する方法の改善が求められている。
添付の図において、類似の符号は各図を通して同一の、または機能的に類似した要素を示し、各図は以下の詳細な説明と共に本明細書に組み込まれ、本発明の一部を形成するものであり、すべて本発明によるところの、様々な実施形態をさらに例示し、様々な原理および利点を説明するために使用される。
各図の要素は、簡潔かつ明瞭にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らないことを当分野の技術者は理解し得る。例えば、各図のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を深めるのに役立つように、他の要素に比べて誇張されている場合もある。
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、各実施形態は、主として無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)におけるビーコン信号の送信および受信に関連する処理ステップおよび装置構成要素の組み合わせとして存在するものであることに留意すべきである。したがって、各装置構成要素および処理ステップは、適切な場合には、図面において従来からの符号によって表わされており、本明細書の説明による利益を得る当分野の技術者に容易に理解される詳細により本開示が不明瞭になることのないように、本発明の実施形態の理解に関連する具体的な詳細だけが示されている。
本明細書において、第1と第2、上と下といった関係のある用語は、主としてある実態または動作を別の実態または動作と区別するために使用されており、必ずしもそのような実態または動作の間での実際のそのような関係を必要とし、または示唆するものであるとは限らない。
本明細書で説明する本発明の実施形態は、1つまたは複数の従来のプロセッサ、および1つまたは複数のプロセッサを制御する固有の記憶されているプログラム命令を利用することにより、いくつかの非プロセッサ回路と共に、本明細書で説明するWLANにおいてビーコン信号を送信する、および受信する機能の一部、大部分、または全部を実施し得ることを理解し得る。非プロセッサ回路には、それに限らないが、無線受信機、無線送信機、信号ドライバ、クロック回路、電源回路、およびユーザ入力機器が含まれる。これらの機能は、WLANにおいてビーコン信号の送信および/または受信を行う方法のステップとして解釈されてもよい。代替として、一部または全部の機能を、記憶されているプログラム命令を持たないステートマシンによって、あるいは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)において実施することもでき、その場合は、各機能またはいくつかの機能の何らかの組み合わせがカスタム論理として実施される。当然ながら、これら2つの手法の組み合わせを使用することもできる。本明細書では、これらの機能の方法および手段を説明している。さらに、当分野の技術者であれば、おそらく、例えば、利用できる時間、最新の技術、経済的な考慮事項などによって動機付けられる多大な努力および多くの設計の選択肢があるにもかかわらず、本明細書で開示される概念および原理を参照すれば、かかるソフトウェア命令およびプログラムおよびICを、最小限の実験作業で容易に作成することができるものと期待される。
図2〜6に示すように、本発明の種々の実施形態は、AP挙動およびクライアント挙動を制御してクライアントにおけるセクタ探索およびセクタ間ハンドオフを円滑化するための要素を含む。これらの要素は、1)APがその異なるセクタ上で所定の方法でビーコンを送信し、その詳細をクライアントに通知するAPの挙動と、2)効率のよいセクタ探索およびセクタ間ハンドオフのためにAPによって提供される支援を利用するクライアント挙動とを含む。これにより、クライアントが、APの他のセクタに関してAPにより行われる通知情報を聴取し、その情報を使って、クライアント自体の「到達可能性」またはこれらのセクタとの通信の可否を探索することが可能になる。
AP挙動、セクタビーコン送信および通知に関して、APの役割は、その各セクタにおいて予測可能な時刻にビーコンを送信することである。次いで、APはクライアントに、セクタビーコン送信時刻およびチャネル番号に関する情報を通知する。セクタアンテナ(不図示)は、同一チャネル上で動作してもよいし、異なるチャネル上で動作してもよいし、または混成チャネル上で(すなわち、一部はあるチャネル上、一部は別のチャネル上で)動作してもよい。以下の説明では、これら3つの場合のそれぞれについてのビーコン送信方法を例示するとともに、APがセクタビーコン伝搬についてクライアントに知らせるのに使用可能な通知方法を例示する。
図2に、APセクタがすべて同一チャネル上で動作する場合のセクタビーコン送信タイムラインを示す。図において、D1、D2、D3、D4は、様々なAPセクタ方向を表し、C1は単一のチャネルを表す。よって、この例では、各セクタアンテナが同一チャネル(C1)上にある。すなわち、各セクタビーコンは、個々の指向性アンテナ(D1〜D4)上で、目標ビーコン送信時刻(TBTT)から開始され、アンテナ切換え時間分だけ間隔を置いたシーケンスとして個別に送信される。アンテナ切換え時間は、ある指向性アンテナから別の指向性アンテナに切り換わる(あるいは代替として、同じ指向性アンテナをある方向から別の方向に切り換える)間に発生する遅延として最小限に規定される。一実施形態では、アンテナ切換え時間は、あるセクタにおけるセクタビーコンの送信から、別のセクタにおいてセクタビーコンの送信が可能になるまでの間にAPが被るすべての遅延(例えば、ハードウェア要素の切換え、ソフトウェア要素の切換えなど)に相当するものとすることができる。一実施形態では、指向性アンテナ(D1〜D4)のうちの1つまたは複数が、4つのセクタに使用されるように方向を切り換える同じ物理的アンテナである。したがって、4つのセクタのそれぞれがビーコン({D1,C1}、{D2,C1}、{D3,C1}、{D4,C1})を使用し、各ビーコンは、個々のセクタごとに(各指向性アンテナ上で1つずつ連続して)それぞれの方向に送信される。これらのビーコンは、APアンテナをセクタからセクタに切り換えるのに利用される時間分だけ時間的に分離される。同じTBTTまたはTSFタイマが、APがビーコン伝搬を開始するのに使用される。言い換えると、ただ1つの固有のTBTTの値が生成され、APのビーコン送信用とクライアントのビーコン受信用の両方に使用される。図2には、D1セクタビーコンがTBTTで開始し、この後にD2、D3およびD4セクタビーコンが続く様子が示されている。当分野の技術者であれば、各セクタビーコンの送信順序を「その時々(on the fly)」で変更することが可能であることを理解し得る。これにより、すべてのセクタ内のクライアントに規則的な待機期間を生じさせることが可能になり、携帯型機器の省電力化が向上する。
図3は、各セクタが、均一性のためにまたは別の理由で異なるチャネル(C1、C2、C3、C4)を使用する場合の、各ビーコン送信が無視できないほどの時間的オフセットで隔てられている、図2に示す実施形態の代替の実施形態を示す。図2に示すように各セクタが同一チャネル上にある場合に対して、この実施形態における主要な違いは、セクタ間の切換えの間に無視できないほどのアンテナおよび周波数またはチャネル切換え遅延が発生することである。したがって、アンテナおよびチャネル切換えのたびに多少の追加システムオーバーヘッドが生じることになる。そのような場合には、連続したビーコン送信が不要な切換えオーバーヘッド生じ得る。よって、各セクタビーコンは、アンテナ切換え時間にチャネル切換え時間を加えたものよりはるかに大きい、無視できないほどの「チャネル間オフセット」分だけ時間的に間隔が置かれる。各セクタビーコンは、個々の指向性アンテナ(D1、D2、D3、D4)およびチャネル(C1、C2、C3、C4)上で、アンテナおよびチャネルの切換え時間よりはるかに大きい、無視できないほどのオフセットである「チャネル間オフセット」分だけ間隔を置いて送信される。この実施形態では、4つのチャネルを使用する4つのセクタがあり、4つのビーコンがそのチャネル上で指向性アンテナを使って送信される。これらのビーコンは、「チャネル間オフセット」分だけ間隔が置かれている。各セクタビーコンは、互いに異なる時間間隔で送信されるため、各セクタは独自のTSFタイマおよびTBTTを必要とする。したがって、1つのAPに4つの仮想TBTT(各セクタごとに1つ)がある。図3から分かるように、各セクタビーコンは、独自の仮想TBTTで、すなわち、TBTT_C1、TBTT_C2、TBTT_C3およびTBTT_C4で送信される。なお、4セクタおよび4チャネルは一例にすぎない。本発明の別の実施形態では、チャネルC1、C2、C3、C4は同一のものである。本発明の別の実施形態では、「n」個のチャネルと「m」個のアンテナとすることができ、「n」は「m」より小さく、やはり前述の方式を使用した場合は、「m」個の仮想TBTTを使用する。
別の実施形態として、図4に、各セクタがそれぞれ図2および図3で示されているものの混成として動作する場合のセクタビーコン送信を示す。すなわち、同じチャネル上の各セクタは単一の仮想TBTTに結び付けられており、その仮想TBTTで連続して送信される。しかし、「m」を所与のAPのすべてのセクタに含まれるチャネルの総数とすると、「m」個の仮想TBTTがある。各仮想TBTTは、無視できないほどの「チャネル間オフセット」分だけ間隔が置かれている。この例では、セクタD1およびセクタD2がチャネルC1を利用し、セクタD3およびセクタD4がチャネルC2を利用する。D1およびD3のビーコンの仮想TBTTは、チャネル間オフセット分だけ間隔が置かれている。同様に、新たなセクタD5が、チャネルC3の使用に当てられ、セクタD6およびセクタD7がチャネルC4と共に使用される。図4に示すように、各チャネルは独自の固有仮想TBTT、すなわち、TBTT_C1、TBTT_C2、TBTT_C3およびTBTT_C4を有する。本発明の別の実施形態では、チャネルC1、C2、C3、C4は同一のものである。本発明の別の実施形態では、チャネルの任意の組み合わせを、アンテナとチャネルの適切なグループ化を用いて再利用することもできる。
動作に際して、APは、高速なセクタ探索およびセクタ間ハンドオフを円滑化するために、クライアントに何らかのセクタ特有の情報を通知する必要がある。この情報には、セクタ番号、(仮想TBTTを計算するのに使用される)仮想TSF時期、チャネル数といった情報が含まれる。具体的に、クライアントは、その関連性(association)を判定するために、セクタ番号を使って様々なセクタを区別する。当分野の技術者は、セクタ番号が、ビーコン/プローブ応答/アソシエーション応答などのような管理フレーム内で搬送され得ることを理解し得る。よって、APは、そのような通知に多くの周知の技術を使用し得る。
本明細書で示すように、TSFタイマは、ビーコンおよびその他の管理メッセージ内で搬送され、単一のAPおよびそのAPと関連付けられるすべてのクライアントに対応するビーコン間隔内の固有のTBTTを計算するのに使用される。これは、さらに、クライアントがそのAPのTBTTを予測する際に役立つ。図2に示す実施形態では、この方法が再利用される。なぜなら、ビーコン間隔内の固有のTBTTが必要とされるからである。しかし、以下の多くの本発明の実施形態では、複数のセクタとのAPによる効率的なビーコン伝送をサポートするために、同じビーコン間隔内で複数の仮想TBTTをサポートすることが求められる。さらに、各クライアントは、少なくともクライアントが関連付けられているセクタの仮想TBTTを予測できる必要がある。この位置を判定するために、仮想TSFタイマ値が、個々のセクタのビーコンおよびプローブ応答で送信される。これらの値は、別の独自のフィールドで搬送され得るTSFタイマ値を置き換えることもでき、本明細書で定義するセクタ情報要素(IE)から推論することもできる。
仮想TSFタイマ値は次式を使って計算される。
TSF_timerCi=Master_TSF_Timer+(i−1)*Offset
式中、i=チャネル番号であり、Master_TSF_TimerはAPで実行されている(または連続して記録されている)メインまたは実TSFタイマであり、Offsetはチャネル間オフセットである。
TSF_timerCi=Master_TSF_Timer+(i−1)*Offset
式中、i=チャネル番号であり、Master_TSF_TimerはAPで実行されている(または連続して記録されている)メインまたは実TSFタイマであり、Offsetはチャネル間オフセットである。
この式では、1チャネル当たりの1つの仮想TSFタイマを想定しているが、これは、「i」の値およびオフセットをしかるべく解釈することにより、1セクタ当たり、または1セクタグループ当たり1つの仮想TSFタイマを含むように一般化し得ることも当分野の技術者には理解される。
さらに、その他のセクタビーコンに関するすべての情報を搬送してクライアントにおけるセクタ探索を容易にするために、(本明細書ではセクタ情報要素と呼ぶ)新規の情報要素を追加することができる。この要素は、ビーコン/アソシエーション応答/プローブ応答によって搬送することができる。セクタIEは、図4との関連で表1に示すフィールドのうちの1つまたは複数を含み得る。しかし、仮想TBTTは、この情報をセクタまたは他の任意の代替物の観点から一般化することのできる、(チャネルベースではなく)セクタベースのものとすることもできることを当分野の技術者は理解し得る。
「チャネルの数」は、所与のAPの各セクタによって使用されるチャネルの総数の値である。例えば、図4では、4つのチャネルが使用されている。「チャネル番号[i]」は、その仮想TSFタイマがTSF_timerCiで表されるチャネル番号である。ここで、仮想TBTT値はi(i=1,2,…n、n=チャネルの数)の昇順である。例えば、図4では、4つのチャネルが使用されており、n=4である。さらに、チャネル番号C1、C2、C3、C4は、それぞれ、1、2、3、4である。例えば、チャネル番号[2]は2である。「セクタ数[i]」は、「チャネル番号[i]」上のセクタの数である。例えば、図4において、チャネルC3のセクタの数は1である。したがって、チャネル番号[3]は3であり、セクタ数[3]=1である。「オフセット」は図4に示すようなチャネル間オフセットである。表1にセクタIEフィールドの一例を示す。
各セクタが同一のチャネルを利用し、かつビーコン送信の方法が図2に従う(すなわち、1つの固有のTBTTを用いる)セクタビーコン受信に関する限りにおいて、クライアントは、クライアント自体のセクタビーコンに基づいてTBTTを計算する。TBTTにおいて、クライアントはクライアント自体のセクタとクライアントのサービス提供APの他のセクタのビーコンを待ち受ける。受信されたセクタビーコンは、到達可能なセクタを指示する。各セクタが同一のチャネルを利用し、ビーコン送信の方法が図2に従う近隣APの各セクタにおいて、クライアントは、サービス提供APからの近隣報告、能動的スキャン、受動的スキャンなどといった当分野で周知の手順を使って、その近隣APのTBTTを計算する。近隣探索の間、クライアントは、所与の近隣のTBTTから開始される、近隣APの各セクタのビーコンを待ち受ける。受信されたセクタビーコンは、「到達可能な」セクタ、すなわち、クライアントが通信することのできるセクタを指示する。旧来のクライアントは、それがオーバーラップするセクタ領域内にある場合、複数の連続したビーコンを受信し得ることを当分野の技術者は理解し得る。しかし、ビーコンのそれぞれは、同じTBTT値にマップするための更新された値を搬送し、よって、クライアントは利用可能な最新の情報を使用することになる。
サービス提供APの各セクタが異なるチャネル上にあり、またはビーコン送信の方法が図3または図4に示すものに従う(すなわち、1ビーコン間隔当たり複数の仮想TBTTを用いる)状況においては、クライアントは、クライアント自体のセクタビーコンに基づいてその仮想TBTTを計算する。さらに、クライアントは、クライアントのサービス提供APによって通知される情報に基づき、そのAPの他の仮想TBTTについても知る。セクタ探索の間、クライアントは、クライアントのサービス提供APのその他のセクタのビーコンをその個々の仮想TBTTおよびチャネル番号において待ち受ける。受信されたセクタビーコンは、クライアントが通信することのできる「到達可能な」セクタを指示する。
近隣APの各セクタが異なるチャネル上にあり、またはビーコン送信の方法が図3または図4に示すものに従う近隣のAPの各セクタにおいて、クライアントは、近隣報告、能動的スキャン、受動的スキャンなどを使ってその近隣APの少なくとも1つの仮想TBTTおよびその他の関連情報を計算する。近隣探索の間、クライアントは、近隣APの各セクタビーコンを、その個々の仮想TBTTおよびチャネル番号において待ち受ける。受信されたセクタビーコンは、「到達可能な」セクタ、すなわち、そこで通信が可能なセクタを指示する。旧来のクライアントは、動作しているチャネル上で、そのクライアントが仮想TBTT値の計算を可能にするための仮想TSFタイマを用いて、ただ1つのビーコンを受信することになる。よって、旧来のクライアントも通常通り動作することができる。
サービス提供APの各セクタが混成セクタチャネル方式に基づいている、またはビーコン送信の方法が図4に示すものに従う状況では、クライアントは、クライアント自体のセクタビーコンに基づいてその仮想TBTTを計算する。さらに、クライアントは、クライアントのAPによって通知される情報に基づいて、そのAPのその他の仮想TBTTおよび仮想TBTTの1つあたりのセクタを知る。セクタ探索の間、クライアントは、クライアントのサービス提供APのその他のセクタのビーコンを、その個々の仮想TBTTおよびチャネル番号において待ち受ける。受信されたビーコンは、到達可能なセクタを指示する。
近隣APの各セクタが混成セクタチャネル方式に基づいている、またはビーコン送信の方法が図4に示すものに従う近隣APの各セクタでは、クライアントは、近隣報告、能動的スキャン、受動的スキャンなどといった公知の技術によってその近隣APの少なくとも1つの仮想TBTTおよびその他の関連情報を計算する。近隣探索の間、クライアントは、近隣APの各セクタのビーコンを、その個々の仮想TBTTおよびチャネル番号において待ち受ける。受信されたセクタビーコンは、到達可能なセクタを指示する。本明細書に示すように、旧来のクライアントは、クライアント自体のチャネル上でやはり複数の連続したビーコンを受け取る。前述のように、これがクライアント動作に影響を及ぼすことはない。
図5に、APをクライアントのサービス提供APまたは近隣APとして定義することができる場合に、APのセクタ探索のためにクライアントによって使用される方法(500)を示す。本明細書で開示しているように、処理が開始すると(501)、APの少なくとも1つのセクタと関連付けられた仮想TBTTまたは仮想TSFタイマであるAPの基準タイミングが得られる(502)。APがサービス提供APである場合、基準点は、サービス提供セクタの仮想TBTTまたは仮想TSFタイマとすることができる。APが近隣APであるとき、クライアントは、その近隣APの基準タイミングを、サービス提供APからの近隣報告、能動的スキャン、受動的スキャンなどといった、当分野で周知の手順を使って得ることができる。
クライアントは、APのセクタ構成およびセクタビーコンタイミングを把握する(503)。APのセクタ構成は、APにおいて使用されるチャネルの数、セクタの数、および1チャネル当たりのセクタの数のうちの少なくとも1つを含む。セクタビーコンタイミングは、セクタの仮想TSFタイマ値、チャネル間オフセット、およびビーコン間隔のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、クライアントは、サービス提供APからの、または前述のように各APによって送信されるセクタ特有の通知に従ったAPからのセクタ特有の通知によって、関連する情報、すなわち、所与のAPのチャネルの数およびセクタの数ならびに各セクタビーコンのセクタビーコンタイミングを把握する。別の実施形態では、この情報がクライアントにおいて事前設定される。
クライアントにおいてセクタ探索を行う時刻になると、この判定が行われ(505)、その時刻がきた後で、クライアントは、対象となる各セクタと関連付けられる推定仮想TBTTを(506)で計算する。クライアントは、既知のチャネルの数、1チャネル当たりのセクタの数、(503)からのセクタビーコンタイミング、および(502)で得られたAPの基準タイミングのうちの少なくとも1つに基づいて、所与のセクタの推定仮想TBTTを計算する。このステップの間に、クライアントは、対象となる各セクタのチャネル番号も計算してもよい。
次いで、クライアントは、計算した仮想TBTTにおいて、ならびに既知の対象となる各セクタごとのチャネル番号において、セクタビーコン信号を適切に聴取する(507)。セクタビーコン信号などの関連情報が受信されるか、または処理が時間切れになると、この処理が完了する(509)。
セクタ間ハンドオフは、同じAPのセクタ間のクライアントのトラフィックストリームのハンドオフとして定義される。言い換えると、正常なセクタ間ハンドオフの後、クライアントのダウンリンクトラフィックストリームは、古いセクタではなく新たなセクタによって配信されることになる。セクタ間ハンドオフでは、クライアントがすでにAPと関連付けられているため、セクタ間ハンドオフは、明示的アソシエーション/認証が必要とされないような暗黙的なやり方で行うことができる。クライアント開始のアクセス方式が用いられる場合、クライアントは、新たなセクタアンテナがアクティブになったとき、クライアントのトラフィックを取り出し、または送信するために、APにトリガフレームを送信する。APは、その所与のセクタアンテナを介してこのトリガフレームを受信すると、このクライアントを新たなセクタに暗黙的に関連付ける。用いられるチャネルアクセス方式がクライアント開始のものではない場合、クライアントは、暗黙的セクタ間ハンドオフを達成するために新たなセクタアンテナがアクティブであるとき、APにダミーフレームまたは(利用できる場合には)データフレームを送信することが必要になり得る。純粋なコンテンションベース方式(DCF(Distributed Coordination Function)、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)など)では、クライアントは、(コンテンションベースの手順を使って)このフレームをできる限り早く送信することができる。純粋なポーリング/スケジュールベース方式(PCF(Point Coordination Function)、HCCA(Hybrid Coordination Function Controlled Channel Access)など)では、クライアントは、チャネルが(コンテンションベースの手順を使って)このフレームを送るのに利用できるようになるまで待機することが必要になる。
図6に、セクタ間ハンドオフ、すなわち、それによってAPのセクタ間のハンドオフが生じる方法(600)を示す。この処理が開始されると(601)、クライアントは、新たなセクタアンテナがAPにおいていつアクティブになるかを把握する(603)。新たなセクタアンテナとはこの場合、クライアントがそこにハンドオフしようとしているセクタと関連付けられたアンテナをいう。新たなセクタアンテナがアクティブである場合(605)、クライアントがコンテンション期間にあるかどうか判定される(607)。コンテンション期間とはこの場合、任意のクライアントまたはAPが、その期間に、ランダムバックオフ、差などのような周知のチャネルアクセス規則に従った後でフレームの送信を開始し得る、APによって決定される時間間隔をいう。コンテンション期間にある場合、クライアントは、DCF、EDCAなどといった、当分野で周知のコンテンションベースのアクセス方法を使ってAPに向けてデータフレームまたはトリガフレームを送信する。その後、処理が完了する(611)。
当分野の技術者であれば、本明細書で述べる発明が、a)クライアントが同じAPの各セクタから受信されたビーコンに基づいてこれらのセクタを識別および探索することができる、およびb)クライアントが、APの様々なセクタのビーコンタイミングおよびチャネル番号を予測することができる、という特徴を有することにより、近隣探索およびセクタ間ハンドオフに関していくつかの利点を提供することを理解し得る。したがって、クライアントは、セクタ近隣探索にあまり時間を費やさずにすみ、ハンドオフ効率および省力化が向上する。
また、本発明は、サイトダイバーシティおよび効率のよいメイクビフォアブレークハンドオフのためのトラフィックのバイキャストまたはnキャストを円滑化する。言い換えると、複数のセクタからの同じまたは異なるパケットを、ソフトハンドオフを円滑化する、またはサイトダイバーシティを提供するようにクライアントに送ることができる。そのような場合、関与する各セクタのビーコンは、トラフィック指示マップによってトラフィックの存在を指示する。予測可能なビーコン送信時刻を用いた非オーバーラップセクタビーコンは、クライアントが、関与するすべてのセクタビーコンを調べ、これらのセクタのそれぞれからいつパケットを取り出すべきか決定することを可能にする。さらに、この方法は、クライアントに、APのセクタごとのアソシエーション/認証プロセスではなく、APとの単一のアソシエーション/認証プロセスを提供する。よって、追加のアソシエーション/認証プロセスを必要とせずに、サイトダイバーシティをシームレスに可能とすることができる。最後に、クライアントは、サービス提供APの到達不可能なセクタがアクティブである時間を使って、他の到達可能なクライアントと直接通信することができる。
よって、本発明は、同じAPの様々なセクタに渡ってビーコンを伝搬する新規な方法を提供する。各フィールドが、セクタ番号、仮想TSFタイマ、セクタIEといった、様々なセクタのビーコンを区別するための情報を提供するために使用される。この方法は、APが、クライアントにおけるセクタ探索およびセクタ間ハンドオフを支援するために、セクタ特有の情報を通知することを可能にする。本方法は、1つのビーコン間隔およびセクタ探索およびセクタ間ハンドオフ当たりの複数の仮想TBTTの作成を可能にする。
以上、本明細書においては、本発明の具体的実施形態を説明してきた。しかし、添付の特許請求の範囲に示す本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形および変更を加え得ることを当分野の技術者は理解し得る。すなわち、本明細書および各図は、限定のためではなく例示のためのものとみなすべきであり、そのようなあらゆる変形が本発明の範囲内に含まれることを意図するものである。利益、利点、問題の解決、および任意の利益、利点、もしくは解決を生じさせ、またはより顕著なものとし得る任意の(1つまたは複数の)要素は、いずれかの、またはすべての特許請求の範囲の、重要な、必要とされる、または不可欠な特徴または要素であるとはみなすべきではない。本発明は、もっぱら本出願の係属中に行われる任意の補正を含む添付の特許請求の範囲および開示されるこれら特許請求の範囲のあらゆる均等物によって定義されるものである。
Claims (10)
- 複数のチャネル上で動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システムにおいてビーコン送信を行う方法であって、
a)第1のチャネル上で第1の方向に指向性アンテナを用いて第1のビーコンを送信すること、
b)前記第1のチャネル上で少なくとも1つの第2の方向に指向性アンテナを用いて第2のビーコンを送信すること、
c)所定のビーコン間隔後に前記a)および前記b)を繰り返すこと、
を備える方法。 - 複数のチャネル上で動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システムにおいて異なるセクタにビーコン送信を行う方法であって、
a)第1の仮想目標ビーコン送信時刻(TBTT)に、あるセクタにおいて第1のチャネル上で第1のビーコン信号を送信すること、
b)第2の仮想TBTTに、少なくとも1つの別のセクタにおいて少なくとも1つの第2のチャネル上で第2のビーコン信号を送信すること、
c)所定のビーコン間隔後に前記a)から前記b)までを繰り返すこと、
を備える方法。 - 複数のチャネル上で動作する無線通信ネットワーク(WLAN)において高速なセクタ探索およびセクタ間ハンドオフを円滑化するためにセクタビーコン送信を行う方法であって、
a)第1の仮想目標ビーコン送信時刻(TBTT)に、第1のセクタにおける第1のチャネル上の第1のビーコン信号と、第2のセクタにおける前記第1のチャネル上の少なくとも1つの第2のビーコン信号とをアンテナ切換え時間によって規定される連続した期間において送信すること、
b)第2の仮想目標ビーコン送信時刻(TBTT)に、第3のセクタにおいて第2のチャネル上で少なくとも1つの第3のビーコン信号を送信すること、
c)所定のビーコン間隔後に前記a)から前記b)までを繰り返すこと、
を備える方法。 - 複数のチャネル上で動作する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システムであって、
少なくとも1つのセクタにおける通信を提供する少なくとも1つのアクセスポイント(AP)と、
前記アクセスポイントに接続され、前記少なくとも1つのセクタに無線周波数(RF)信号を送信する少なくとも1つの指向性アンテナと、
を備え、
第1のビーコンが、第1のチャネル上で第1の方向に前記少なくとも1つの指向性アンテナを用いて送信され、アンテナ切換え時間によって規定される所定間隔後に、少なくとも1つの第2のビーコンが、前記第1のチャネル上で少なくとも1つの第2の方向に指向性アンテナを用いて送信される、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システム。 - 前記第1のビーコンの送信を目標ビーコン送信時刻(TBTT)に開始する請求項4に記載の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システム。
- ビーコンの前記所定間隔が、連続するTBTT間の時間として規定されている、請求項5に記載の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システム。
- 前記少なくとも1つのセクタが前記WLANのカバレージエリアを包含する、請求項4に記載の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システム。
- 固有の目標ビーコン送信時刻(TBTT)を計算するためにビーコン送信にタイミング同期機能(TSF)タイマが含まれている、請求項4に記載の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システム。
- 前記APが、高速なセクタ探索およびセクタ間ハンドオフを円滑化するためにクライアントにセクタ特有の情報を通知する、請求項4に記載の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システム。
- 前記セクタ特有の情報が、セクタ番号と、タイミング同期機能(TSF)時期とを含む、請求項9に記載の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)通信システム。
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