光伝送システムの容量は、ペアの直交関係のWDMチャネルを入射することで改善できる。チャネル間隔とチャネル間の偏波状態を選択することで、スペクトル効率を向上させ、システム容量を増大することができる。光チャネルを受信する際、選択した目的のチャネルに隣接する直交チャネルをヌルにすることで、チャネルの選択性を高めることができる。
図1を参照しながら、本発明に従って送信機140の一実施形態を説明する。図示した例示的な実施形態は、レーザ源又は光源142、オン/オフ・データ変調器144、振幅変調器146、及び位相変調器148を含む。レーザ源又は光源142はコヒーレント光信号150をオン/オフ・データ変調器144に提供し、このオン/オフ・データ変調器144は光オン/オフ・データ信号152を振幅変調器146に提供する。振幅変調器146は、振幅変調(AM)された光信号154を位相変調器148に提供する。位相変調器148は、波長多重器132を介して出力光信号134を伝送路106(光ファイバなど)に提供する。
レーザ源142は、送信機140の公称波長(又は変調器144、146、及び148の個々の実現形態に応じて、そこから多少の一定のオフセット)で光信号150を提供できる。振幅変調器146は、光信号152のパワー・エンベロープを整形して整形光信号154を提供するように構成することができる。振幅変調器146では、所望の整形光信号154を実現するために振幅変調器146を駆動する信号にクロック信号入力を変形する整形回路を含んでもよい。位相変調器148はクロック信号入力に応答し、「チャープされた」出力光信号134を生成できる。位相変調器148では、時間と共に変化する光位相角を与えることができるので、これによって出力光信号134に周波数シフト(及び対応する波長シフト)が与えられる。出力光信号134は、多重器132で受信し、異なる波長の他の出力光信号と多重化させ、伝送路106を介して伝送することができる。
送信機140は、図2に示すように、ペアの直交偏波関係を有する複数の光チャネル(例えば、伝送路106上の)に出力光信号を入射するように構成できる。例えば、波長λ1を持つ光チャネルは、波長λ2を持つ隣接する光チャネル2に対して直交するように偏波される。ペアの直交偏波関係により、第1のチャネル・サブセット(すなわち、奇数チャネル1、3、…Nodd)は個々の偏波軸Xで第1の偏波状態を持ち、第2のチャネル・サブセット(すなわち、偶数チャネル2、4、…Neven)は個々の偏波軸Yで第2の偏波状態を持つ。ペアの直交関係を有するチャネルを伝送するために、送信機140には当業者に知られている市販の偏波ビーム・コンバイナ(図示せず)を備えてもよい。
同期方式の光処理(例えば、振幅及び/又は位相変調)の結果として、光チャネルそれぞれの波長に基づいてフーリエ成分又は変調側波帯を生成できる。それぞれのチャネルは、上部の変調側波帯と下部の変調側波帯を含むことができる。例えば、波長λ1のチャネル1は波長λ1よりも高い上側波帯202−1と波長λ1よりも低い下側波帯204−1を持つ。同様に、波長λ2のチャネル2は波長λ2よりも高い上側波帯202−2と波長λ2よりも低い下側波帯204−2を持つ。変調側波帯を考慮し、各チャネルをある範囲又は帯域の波長と対応付けることができる。
一実施形態によれば、同一の偏波軸上で変調側波帯がオーバーラップしないように、チャネル間隔を選択できる。例えば、第1の偏波状態を有する第1のチャネル・サブセット内では、隣接する光チャネルの側波帯はオーバーラップしない。例えば、チャネル1に対応する上側波帯202−1は、チャネル3に対応する下側波帯204−3とオーバーラップしない。同様に、隣接する光チャネルの側波帯は、第2の偏波状態を有する第2のチャネル・サブセット内でオーバーラップしない。例えば、チャネル2に対応する上側波帯202−2は、チャネル4に対応する下側波帯204−4とオーバーラップしない。
各偏波軸内で変調側波帯がオーバーラップしないようにするため、チャネルの間隔Δf(例えば、チャネル1、2、3、4、…Nの)は、Bの1/2の奇数の刻み又はインクリメントに基づくことができる(ここで、Bはギガビット/秒(Gb/s)のライン・レート)。例えば、10Gb/s(9.9533Gb/s)システムでは、前方誤り訂正(FEC)符号化を使用して、12.3Gb/sライン・レートを提供できる。このようなシステムでは、Δf=1.5(12.3GHz)=18.45GHzとしてチャネル間隔を算出できる。この結果、スペクトル効率はおよそ(9.9533Gb/s)/18.45GHz=0.54(bits/s)/Hzになる。およそ0.54(bits/s)/Hzのスペクトル効率では、それぞれが10Gb/sを伝送する128本の光チャネルを19nmの帯域幅で送信するか、又はそれぞれが10Gb/sを伝送する256本のチャネルを38nmの帯域幅で送信することができ、そのいずれもエルビウムのCバンド内に入る。したがって、この例では、ライン・レートBの1 1/2倍のチャネル間隔Δfを選択することで、スペクトル効率を高めることができる。
総パワーの観点から言えば(即ち、偏波にかかわらず)、隣接する光チャネルの変調側波帯はオーバーラップする場合がある。例えば、チャネル2に対応する下部の変調側波帯204−2は、チャネル1に対応する上部の変調側波帯202−1とオーバーラップする場合がある。同様に、チャネル3に対応する下部の変調側波帯204−3は、チャネル2に対応する上部の変調側波帯202−2とオーバーラップする場合がある。このオーバーラップにより、ペアの直交関係で送信されるチャネルを、受信機側で一般的なフィルタリング方式を使用して完全に分割すると、何らかの受信機障害を招く場合がある。
図3を参照すると、本明細書の一実施形態に従った例示的な光受信機300は、前述したように、ペアの直交関係を使用して光チャネルが入射されたときにチャネルの選択性を向上するために、偏波制御を備えている。受信機300には、複数のチャネルから目的のチャネルを少なくとも1つ選択するフィルタ310と、直交偏波(即ち、選択されたチャネルと隣接及び直交するチャネル又はチャネルの一部)のパワーを最小限にする偏波制御ループ312を含んでもよい。フィルタ310は、少なくとも目的のチャネルに対応する波長のバンド帯を通過させ、他の波長は通過しないように防止して、他のチャネルをドロップする、光帯域フィルタであってもよい。また、受信機300は、偏波制御ループ312に先立ち、選択されたチャネルの波長で分散補償を実現するために、分散補償段314を含んでもよい。
偏波制御ループ312は、位相差板又は電気光学偏波制御器などの偏波制御器322、偏波ビーム・スプリッタ324、光電気変換器326、及び制御回路328を含んでもよい。フィルタ310によって選択されたチャネルで受信された光信号302は偏波制御器322に渡され、偏波制御器322は偏波ビーム・スプリッタ324に先立ち、この光信号を回転させる。ビーム・スプリッタ324は、異なる偏波状態を有する第1の光成分304と第2の光成分306に光信号を分割する。偏波制御器322は受信した光信号302を方向づけして、第1の光成分304が選択されたチャネルの偏波状態と全体的に準拠又は合致した偏波状態を持ち、第2の光成分306が選択されたチャネルと直交関係にある隣接するチャネルの偏波状態と全体的に準拠又は合致した偏波状態を持つようにする。
第1の光成分304は、選択されたチャネルを含み、光電気(O/E)変換器330に渡される。これにより、選択されたチャネルで受信された光信号が電気信号に変換されデータ・パス308に出力される。当業者には周知のように、O/E変換器330の後、電気信号は従来の検出及び復号化回路(図示せず)と結合できる。第2の光成分306はO/E変換器326によって電気信号に変換され、制御回路328に渡される。電気信号に応答して、制御回路328は、第2の光成分306のパワーが最大源になるように偏波制御器322を制御し、これによって、選択されたチャネルを含む第1の光成分304内の直交偏波のパワーを最小限にする。第1の光成分304内の直交偏波のパワーを最小限にすることにより、選択されたチャネルがオーバーラップする隣接チャネルから事実上分離されるため、偏波制御ループ312はデータ・パスへのスループットを最大限にする。この結果、偏波制御ループ312は、選択されたチャネルに隣接する直交チャネルを実質的に「ヌル」にする。本明細書で用いられているように、「ヌル」という用語は隣接する直交チャネルのパワーを最小限にすることを示し、必ずしもパワーをゼロにまでする必要はない。
例示した光受信機300は1つのチャネルを選択するように構成されているが、この光受信機300と類似した追加の受信機を、複数のWDMチャネル内の各チャネルを選択するように構成することもできる。当業者ならば、受信機300の他の実現形態も可能であることを理解できよう。例えば、デマルチプレクサの一部としてフィルタ310を実現してもよい。受信機の内部又は外部の別の場所で分散補償を行ってもよい。当業者ならば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はその任意の組み合わせで制御回路328を実現できることを理解できよう。
図4を参照しながら、隣接する直交光チャネルをヌルにするための別の実施形態であるシステム400について説明する。システム400は、偏波選択ユニット420、少なくとも一対のチャネル・フィルタ440、442、少なくとも一対の光電気変換器450、452、及び制御回路428を含んでもよい。システム400は、前述したように、ペアの直交関係で入射された、複数の波長(λ1、λ2、…λN)の複数の光チャネルの多重化された光信号402を受信できる。
偏波選択ユニット420は、光信号402を直交チャネルの偏波状態に分離するように構成される。偏波選択ユニット420は、偏波制御器422と偏波ビーム・スプリッタ424を含んでもよい。偏波制御器422は、制御回路428から受信した制御信号に従って、光信号402の偏波を回転又は方向づける。偏波ビーム・スプリッタ424は、異なる偏波状態を有する第1の光成分460と第2の光成分462に光信号を分割する。光フィルタ440、442はそれぞれ第1の光成分460と第2の光成分462を受信し、それぞれの光成分460、462の中で隣接するチャネル(例えば、波長λ1のチャネルと波長λ2のチャネル)を選択する。
フィルタ440は、例えば、1つのチャネル(例えば、波長λ1のチャネル1)に対応する特定の波長又は波長帯域に対して高い伝送特性を有し、他の波長に対して高い反射率特性を有する、干渉フィルタ、ファイバ・ブラッグ回折格子フィルタ、又は他の光フィルタとしてもよい。同様に、フィルタ442についても、例えば、隣接するチャネル(例えば、波長λ2のチャネル2)に対応する波長又は波長帯域に対して高い伝送特性を有し、他の波長に対して高い反射率特性を有する、干渉フィルタ、ファイバ・ブラッグ回折格子フィルタ、又は他の光フィルタとしてもよい。
2つの隣接するチャネル(例えば、波長λ1及びλ2のチャネル)には一対のフィルタ440、442を使用できるが、複数の隣接するチャネルのペア(例えば、λ1とλ2、λ3とλ4、λ5とλ6…)に複数のフィルタのペア(図示せず)を使用してもよい。システム400は1xN結合器430、432を含み、この複数の隣接するチャネルのペアに対応するこの複数のフィルタのペア(図示せず)にそれぞれ第1及び第2の光成分460、462を提供してもよい。
システム400は、選択された隣接するチャネル(例えば、波長λ1及びλ2のチャネル)に対応するフィルタ処理されたそれぞれの光成分480、482の一部(例えば、およそ5〜10%)をタップするために、光タップ470、472を含むことができる。隣接するチャネルに対応するフィルタ処理された光成分480、482の残りの部分は、検出及び復号化のために渡される。フィルタ処理された光成分480、482のタップされた部分は、それぞれの光電気(O/E)変換器450、452に供給される。O/E変換器450、452(光検出器など)は、フィルタ処理された光成分480、482を対応する電気信号490、492に変換する。O/E変換器450、452からの電気信号490、492は制御回路428に供給される。制御回路428は、例えば、電気信号490、492を受信し、2つの隣接するチャネル(λ1のチャネル1とλ2のチャネル2など)の検出パワーが最大になるように偏波制御器422を制御するために誤り信号494を生成する差動増幅回路を含んでもよい。
したがって、ビーム・スプリッタ424からの光成分460、462が、ペアの直交関係で入射されたチャネルの第1と第2の偏波状態と合致する偏波状態を持つように、誤り信号494は偏波制御器422を方向づけする。例えば、2つの隣接するチャネルの検出パワーが最大になると、ビーム・スプリッタ424は、図2に示すように「Y」軸上の奇数チャネルの偏波状態と合致する偏波状態の第1の光成分460と、図2に示すように「X」軸上の偶数チャネルの偏波状態と合致する偏波状態の第2の光成分462を生成する。したがって、光成分460、462それぞれで隣接する直交チャネル(オーバーラップする変調側波帯を含む)が事実上「ヌル」になっている。偏波状態それぞれの中の隣接するチャネルはオーバーラップしない(例えば、図2に示すように)ため、隣接する直交チャネル(例えば、チャネル1、2、3、…N)間のスペクトルのオーバーラップに関係なく、フィルタ440、442は所望する目的のチャネルを選択できる。
図5は、例えば、フィルタ440の入力側の光スペクトル解析器(OSA)で観測されるような、チャネル1、2...Nの光信号の相対的な強度を示したものである。隣接するチャネルの間(例えば、チャネル1とチャネル2の間)の相対的な強度差Δが最大であるときに、隣接する直交チャネル(例えば、偶数チャネルなど)をヌルにできる。一実施例では、Δ≡30dBのときに相対的な強度差を最大にできる。
代替実施形態によれば、隣接する直交光チャネルをヌルにするためのシステムでは、光成分を電気信号に変換することなく、偏波制御器を制御できる。光成分内の隣接するチャネル(例えば、チャネル1とチャネル2)の波長を検出(OSAなどで)でき、その隣接するチャネル間の強度差を判定できる。隣接するチャネル間の強度差が最大になるように、偏波制御器を(例えば、ハードウェア又はソフトウェアを使用して)回転又は制御することができる。
したがって、本発明の一様態によばれ、光伝送システムは、光チャネルの第1のサブセットが第1の偏波状態を持ち、光チャネルの第2のサブセットが第1の偏波状態と直交する第2の偏波状態を持つような、ペアの直交関係を有する複数の光チャネルを生成する構成の光送信機を備える。この光送信機は、光チャネルの第1のサブセット及び第2のサブセットのそれぞれでは隣接し合う光チャネルの変調側波帯はオーバーラップせず、複数の光チャネル内で隣接し合う光チャネルの変調側波帯がオーバーラップするようなチャネル間隔を使用し、種々の波長で光チャネルを生成するように構成されている。光伝送システムはまた、ペアの直交関係を有する複数の光チャネルの少なくとも一部を受信し、少なくとも1つの目的のチャネルを選択し、目的のチャネル上の光信号を検出するように構成された光受信機を備える。送信機と受信機の間に光伝送路を結合できる。
本発明の別の様態によれば、システムは、ある波長帯域を有する少なくとも1つの選択されたチャネル上の光信号を受信するように、またその光信号の偏波を方向づけするように構成された偏波制御器を含む。偏波ビーム・スプリッタは偏波制御器と連結させ、異なる偏波状態を有する第1と第2の光成分に光信号を分割するように構成してもよい。制御回路は、偏波制御器に結合して、光成分の1つで選択されたチャネルに隣接する直交チャネルのパワーが最低限になるように偏波制御器を制御するよう構成できる。
本発明の更なる様態によれば、方法は、ペアの直交関係で生成された、複数の対応する波長を有する複数の光チャネルを受信するステップと、複数の光チャネルから少なくとも1つの目的のチャネルを選択するステップと、少なくとも1つの目的のチャネルに隣接し直交するチャネルのパワーを最小化するステップと、少なくとも1つの目的のチャネル上の光信号を検出するステップとを含む。
上記は本発明の実施形態に関するが、本発明の他の多くの実施形態が本発明の基本範囲から逸脱せずに構成されてもよく、本発明の範囲は以下の特許請求によって決定される。