JP2009538011A - 低遅延サービスのための双方向rlc非永続モード - Google Patents

低遅延サービスのための双方向rlc非永続モード Download PDF

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Abstract

遅延に敏感なアプリケーションに対する転送遅延QoS属性は、不完全なデータ・パケットのその時点の有効性を最大データ転送遅延制約に基づいて判定することによって、無線アクセス・ネットワークにおいて実行される。1つの実施形態にしたがって、最大データ転送遅延制約を有するアプリケーションに関連する上位レイヤのパケット・データ・ユニット(PDU群)が、1つ以上の上位レイヤPDUに関連するRLCデータ・ブロックの最初の送信に応じてタイマーを開始することによって転送される。タイマーは、最大データ転送遅延制約に基づくタイマー値に初期化される。RLCデータ・ブロックは、タイマーが切れていない限り、RLCデータ・ブロックの受信が応答確認されていないことを示す受信メッセージに応じて再送信される。RLCデータ・ブロックは、タイマー切れること、またはRLCデータ・ブロックの受信が確認応答されていることを示す受信メッセージに応じて、メモリから削除される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、一般的には、無線アクセス・ネットワークに関するものであり、そして、特に、無線アクセス・ネットワークによってサービスが提供されるボイスオーバIP(VoIP)のような、遅延に敏感なアプリケーションに対してサービス品質(QoS)を維持することに関する。
一部の無線アクセス・ネットワークは、データをパケットにしてルーティングする。たとえば、汎用パケット無線サービス(GPRS)のようなパケット交換無線サービスは、回線交換通信サービスおよびパケット交換の通信サービスの両方を提供するために、全地球移動通信システム(GSM)ネットワークのような既存の回線交換ネットワークに追加される。GSM拡張型高速データ・レート(EDGE)または高度化GPRS(EGPRS)は、GPRS/GSMネットワークにおいてデータ送信レートの向上およびデータ送信信頼性の向上を可能にするデジタル移動電話技術である。EDGEでは、拡張信号配列(extended signal constellation)を介して3倍以上の情報を搬送する8−PSK変調方式を採用している。
GPRS/EDGE無線ネットワーク(GERAN群)は、パケット交換通信をサポートするために、ゲートウェイGPRSサポート・ノード(GGSN)および在圏(serving:サービング)GPRSサポート・ノード(SGSN)を含んでいる。GGSNは、無線ネットワークと、公衆交換パケット・データ・ネットワークおよび他のGPRSネットワークと少なくとも一方との間にゲートウェイを提供する。GGSNは、認証機能および位置管理機能を実装する。SGSNは、無線ネットワークと移動局との間の接続を制御する。SGSNは、セッション管理および、ハンドオーバおよびページングのようなGPRS移動管理を実行する。回線交換GSMネットワークの基地局サブシステム(BSS)コンポーネントは、パケット交換データ通信をサポートするために更新される。たとえば、パケット制御ユニット(PCU)は、パケット・データを無線インタフェースで移動局に転送できるフォーマントに変換するために提供される。
パケット・データは、GERANにおいては、いくつかのインタフェースを通して搬送される。各インタフェースでは、データは特定のプロトコルにしたがってパケット化される。たとえば、アプリケーション・データは、IPデータグラムとして、インターネットを介してGERANに送信される。IPデータグラムは、特定のIPアドレスにアドレス指定されているネットワーク・データ・パケット・ユニット(N−PDU)としてGGSNで受信される。GGSNは、N−PDUをGPRSコア・ネットワークを通してトンネルできるようにするGTPヘッダを追加することにより、GPRSトンネリング・プロトコル(GTP)を使用してN−PDUをカプセル化する。このGTP−PDUは、UDPレイヤに渡される。UDPレイヤは、PDUにUDPヘッダを付加する。このヘッダは、発信元(ソース)アドレスおよび宛先ポート・アドレスを示している。UDP−PDUは、その後、IPレイヤに転送される。IPレイヤは、SGSN発信元アドレスおよび宛先アドレスを付加する。PDUが長すぎる場合には、IPレイヤは、PDUをより小さいユニットに分割(セグメント化)する。
IP−PDUは、N−PDUとして扱われるSGSNに送信される。SGSNは、GGSNによって付加されている様々なヘッダを取り除き、そして、N−PDUをサブネットワーク依存コンバージェンス・プロトコル(SNDCP:Sub Network Dependent Convergence Protocol)レイヤに提供する。SNDCPレイヤは、N−PDUを、根底にあるGPRSネットワーク・アーキテクチャと互換性があるフォーマットに変換する。終了次第、SNDCP−PDUは、論理リンク制御(LLC)レイヤに渡される。LLCレイヤは、SGSNと、GERANによってサービスが提供されている移動局との間の論理接続を提供する。LLCレイヤは、SNDCP−PDUをLLCヘッダとともにカプセル化する。基地局システムGPRSプロトコル(BSSGP)レイヤは、LLCレイヤの直下に位置しており、そして、LLC−PDUが適切にBSSに(たとえば、フレーム・リレー物理レイヤ上で)ルーティングされるようにルーティング情報を提供する。BSSGPは、SGSNとBSSとの間で動作し、すなわち、BSSGPは、無線インタフェースに及ぶことはない。
BSSで、LLC−PDUは、無線リンク制御(RLC)レイヤに提供される。RLCレイヤは、BSSと移動局との間に(たとえば、対応するパケット交換サービスのQoSによって要求される場合)信頼性のあるリンクを確立する。RLCレイヤは、上位レイヤのPDU(この例では、LLC PDU)のRLCデータ・ブロックへの分割および再組立を実行する。本明細書では、用語「上位レイヤ」は、RLCレイヤより上位のプロトコルレイヤを意味する。RLCデータ・ブロックは、RLCヘッダ、RLCデータ・ユニット、およびスペアビットで構成される。RLCデータ・ブロックは、それから、ブロックをMACヘッダとともにカプセル化する媒体アクセス制御(MAC)レイヤに渡される。MACレイヤは、RLCデータ・ブロックを搬送するために使用されるアップリンクおよびダウンリンクの無線ブロックの割当を含む、無線インタフェースを介するアクセスシグナリングを制御する。次に、データは、物理レイヤを経由して無線インタフェース上で移動局に送信される。この目的を達成するために、テンポラリ・ブロック・フロー(TBF)が、BSSと移動局との間で確立される。TBFは、BSSと移動局との間の論理接続であり、その論理接続上でデータが送信される。1つ以上の動的(共用の)または固定の(専用の)パケット・データ・チャネル(タイムスロット)が、TBFが確立される場合に割り当てられることができる。移動局では、データは物理レイヤで受信され、そして、カプセル化されているヘッダが受信データから取り除かれ、移動局のプロトコル・スタックに移動する。最終的には、元のアプリケーション・データが、アプリケーションレイヤで受信される。
しかしながら、移動局は、たとえば、劣悪な無線状態、送信誤り等のために、BSSによる最初の送信後、すべてのRLCデータ・ブロックを受信できるとは限らない。同じように、BSSは、移動局によって送信される任意の所与のRLCデータ・ブロックの最初の送信を受信できるとは限らない。RLCデータ・ブロックは、3Gパートナーシップ・プロジェクト RLC/MACプロトコル(3GPP TS 44.060 V7.7.0)のリリース7に定義されているように、矛盾のないパリティ・ビットを有するレイヤ1フレームで受信される場合に受信されたとみなされる。RLCデータ・ブロックは、また、順不同で受信される可能性がある。送信されたRLCデータ・ブロックの各々は、一連のRLCデータ・ブロック内での当該RLCデータ・ブロックの位置を示すシーケンス番号を有している。
3GPP RLC/MACプロトコルのリリース7は、RLCの受信機エンドポイント(endpoint:端点)に、紛失(missing)RLCデータ・ブロックを3つの方法のうちの1つで処理できるようにする。ケース1:RLC応答確認モードで動作している場合、RLCの受信機エンドポイントは、パケット応答確認/非応答確認(ACK/NACK)メッセージを、RLCデータ・ブロックが紛失していることを示しているRLCの送信機エンドポイントに送信する。次に、RLCの送信機エンドポイントは、紛失RLCデータ・ブロックを再送信する。紛失RLCデータ・ブロックは、未処理の(非確認応答の(unacknowledged))RLCデータ・ブロックの数が、RLCの送信機エンドポイントで大きくなり過ぎることになるような行き詰まりにRLCプロトコルが直面するけれども、RLC応答確認モードで無制限に再送信される。ケース2:RLC非応答確認モードで動作している場合、RLCの送信機エンドポイントは、RLCデータ・ブロックを再送信しない。したがって、RLC非応答確認モードでは、紛失RLCデータ・ブロックは、RLCの受信機エンドポイントで無視される。ケース3:RLC非永続モードでは、RLCデータ・ブロックの再送信は、制限回数だけ可能である。しかしながら、全てのRLCデータ・ブロックは、RLCの受信機エンドポイントで正しく受信されることは必要とされない。
RLC応答確認モードに対して、RLCのエンドポイントは、ブロック・シーケンス番号(BSN)に基づいてRLCデータ・ブロックのスライディング・ウィンドウを維持する。スライディング・ウィンドウは、所定の幅(たとえば、GPRSでは64ブロック、そして、EDGEでは64から1024ブロックまで)を有する。RLCの受信機エンドポイントは、スライディング・ウィンドウ内で全ての紛失RLCデータ・ブロックの再送信を、パケットACK/NACKメッセージを介して要求し続ける。RLC応答確認モードに関連するこの従来のスライディング・ウィンドウに基づく方法は、また、RLC非永続モードに対しても使用される。従来のスライディング・ウィンドウに基づく方法は、RLCデータ・ブロックが受信側のRLCエンドポイントにより否定的に応答確認(NACK)されるべきか、または送信側のRLCエンドポイントによって再送信されるべきかを判定するために使用される。しかしながら、その方法は、受信側のRLCエンドポイントがNACKを送信側のRLCエンドポイントに送信すること、および紛失RLCデータ・ブロックの連続再送信に関連する、比較的長いラウンド・トリップ信号伝搬時間を考慮すると、VoIPのような遅延に敏感なアプリケーションに対しては、QoSの課題をもたらす。VoIPのような遅延に敏感なアプリケーションは、ユーザの観点からの十分なQoSを保証するために満足しなければならない最大パケット・データ送信遅延制約を有する。たとえば、VoIPに対して話し手から聞き手までの最大音声フレーム伝搬は、典型的には、300ミリ秒以下である。300ミリ秒の遅延後に受信される紛失音声フレームは、音声通話品質の劣化をユーザが感じることになる可能性がある。
たとえば、現状の無線状態に基づいて、低スループットの変調および符号化(コーディング)方式(たとえば、MCS−1)は、VoIPサービスをサポートするために確立される双方向TBFに対する符号化方式として選択される。特定の形式のヘッダ圧縮(たとえば、ロバスト性のあるヘッダ圧縮、すなわち、ROHC)が、また、TBFが(たとえば、SNDCPレイヤにより)確立される場合に取り決められる。したがって、1つ以上のRLCデータ・ブロックは、SNDCPにより適用されるヘッダ圧縮を伴うRTP/UDP/IP PDUの各々に対して無線インタフェースで送信される(すなわち、VoIPに対して、完全なプロトコル・スタックは、1つ以上のRLCデータ・ブロックによって搬送されるRTP/UDP/SNDCP/LLC PDUを含んでいる)。さらに、低転送遅延属性を有するパケット・サービス(VoIPのような)に対して、RLC非永続モードが、スライディングRLCウィンドウの適用を受ける全てのRLCデータ・ブロックを本質的に有効で、そして常に再送信を前提とすると考えることからもたらされる課題を回避するために、RLC応答確認の代わりに選択される。このように、制限回数分の再送信は、音声フレームを無線インタフェースで搬送する場合に、VoIPアプリケーションによって許容される最大総転送遅延を超えることなく許容できる低フレーム誤りレートを達成することを目指して、RLCデータ・ブロックの各々に対して(必要であれば)行われることができる。換言すれば、RLC非永続モードは、スライディングRLCウィンドウ概念の使用を依然として維持しながら(但し、RLCデータ・ブロックの有効性を判定するために使用するのではなく)、TBFセットアップ時に確立されている(受信側および送信側のRLCエンドポイントの両方に適用できる)転送遅延閾値を考慮することに基づいて、RLCデータの有効性を確立する。
RLCウィンドウ・サイズは、明示的な制御プレーン信号方式(シグナリング)によって確立され、そして、RLC応答確認モードおよびRLC非永続モードの両方に対して構成される。RLC非永続モードに対して依存として構成されるけれども、この場合におけるRLCウィンドウ・サイズは、スライディングRLCウィンドウ内でシーケンス番号を有する紛失RLCデータ・ブロックが有効と考えられる(すなわち、受信側のRLCエンドポイントで待ち合わされている(expect)と依然として考えられ、そして、送信側のRLCエンドポイントによって再送信を前提としていると依然として考えられる)か否かを判定するためには使用されない。固定のRLCウィンドウ・サイズに依存することが、遅延に敏感なアプリケーション(VoIPのような)に対して、紛失RLCデータ・ブロックの有効性を判定するには十分ではないことを立証するために、以下の例を示す。
名目上の固定のRLCウィンドウ・サイズは、所与の変調および符号化方式(Modulation and Coding Scheme:MCS)に必要なRTP/UDP/IP PDUを搬送するために必要となるRLCデータ・ブロックの比率Xに基づいて、(最初のTBF確立時に)確立できる。MCS−1、音声(RTP)フレームあたり20ミリ秒の音声およびX=2を想定すると、ウィンドウ・サイズは、たとえば、8Xに設定でき、これは8RTPフレーム(RTP/UDP/IP PDUs)を搬送する16RLCデータ・ブロックを意味しており、そして、したがって、160ミリ秒前の音声ペイロードは有効と考えられるであろう。時間が経過するにつれて、無線状態は、各RLCデータ・ブロックのペイロード負担能力が2倍に(たとえば、MCS−4に)なるように改善される場合がある。この時点で、RTP/UDP/IP PDUを送信するために必要なRLCデータ・ブロックの数は半分にされる(すなわち、Xは1に減る)。このようにして、RCLウィンドウ・サイズによって可能になる16以下のRLCデータ・ブロックを用いて、320ミリ秒前のRTPフレームは、当初確立されているウィンドウ・サイズに基づいて事実上有効と考えられるであろう。RTPフレームを無線インタフェースを通して搬送するために許容される時間内でのそのような変動は、VoIPアプリケーションに対するQoS遅延属性を超えるという結果になりうる。勿論、無線状態は、本明細書で考えているMCS−4よりもよくなる場合があり、320ミリ秒よりもさらに前にバッファされているRLCデータ・ブロックが、それで有効と考えられるであろう。この固定のRLCウィンドウ・サイズによる方法は、紛失RLCデータ・ブロックがVoIPアプリケーションに対するQoS遅延属性を超える期間、紛失しているとしても依然として待ち合わせる、RLCの受信機エンドポイントで同じような課題を引き起こす。また注目すべきは、RLCウィンドウ・サイズを無線状態が変化するにつれて動的に再度取り決めるいかなる試みも、実際上煩わしすぎる(すなわち、制御プレーン信号を必要とする)であろうし、そして、実際にQoS劣化体験として実感されるであろうサービス中断を発生させる結果となる場合がある。
名目上の固定のRLCウィンドウ・サイズによる方法は、また、次の例で示されるように、RTP音声フレームをこれ以上有効ではないと時期尚早に考えられてしまうようにさせる可能性がある。最初のTBFの確立中に選択されているMCS符号化方式が、少し高位(たとえば、MCS−4)である場合、平均Y個のRLCデータ・ブロックが、無線インタフェースで送信される各RTPフレーム(RTP/UDP/IP PDU)を搬送するために必要である。MCS−4、音声(RTP)フレームあたり20ミリ秒の音声およびY=1を想定すると、ウィンドウ・サイズは、たとえば、8Yに設定でき、これは、8RTPフレーム(RTP/UDP/IP PDUs)を搬送する8RLCデータ・ブロックを意味し、そしてしたがって、160ミリ秒前の音声ペイロードは有効と考えられるであろう。時間が経過するにつれて、無線状態は劣化する場合があり、各RLCデータ・ブロックのペイロード負担能力が半分に(たとえば、MCS−1に)される。これが発生する場合、RTP/UDP/IP PDUの各々に対して送信されるRLCデータ・ブロックの数は、2倍になる(すなわち、Yが2に増加する)。したがって、従前に確立されているウィンドウ・サイズが、今度は、80ミリ秒以内の音声ペイロードを含むRLCデータ・ブロックが有効であると考えられるようにできる。このように、無線状態が劣化する場合、(送信側のRLCエンドポイントで)バッファされているRLCデータ・ブロックまたは(受信側のRLCエンドポイントで)紛失RLCデータ・ブロックが有効であると考えられる時間は極端に短くなる場合があり、その結果、不必要に高い音声フレーム誤りレートをもたらすことになる。
他の例では、MCS方式、RTP/UDP/IP PDU当たりのRLCデータ・ブロック数、ヘッダ圧縮、1つのRTPフレームで搬送される音声サンプルのサイズおよびウィンドウ・サイズは、最初の2つの例におけると同一である。しかしながら、今度は、音声ペイロードのフローでの一時的な停止(たとえば、ユーザが話を中断する場合)を考える。固定のRLCウィンドウ・サイズによる方法は、今度の場合も、次のように最適なパフォーマンスより劣る結果になるであろう。ユーザが話を中断する場合、RLCの送信機エンドポイントは、管理フレームまたは「キープ・アライブ(keep alive)」フレーム(すなわち、SIDフレームとしても知られる無音記述子フレーム(Silence Descriptor frames))を依然として生成する場合がある。SIDフレームは、RTPフレームより少ないペイロードを含み、そして、RTPフレームより送信される頻度は少ない(たとえば、第8RTPフレームごとに相当)ので、RLCデータ・ブロックが送信される総合レートは、送信が必要な実際の音声フレームがない期間では著しく減少する。しかしながら、これはバッファリング要求の減少をもたらす可能性があり、要求の減少が、今度は、無音期間に入る前にバッファされている音声フレーム・ペイロードを含むRLCデータ・ブロックが、RLCウィンドウ・サイズが固定で、そしてウィンドウの終端に達するのに長く時間が掛かるので(すなわち、無音期間の間に遭遇するRLCデータ・ブロックのスループットレートが減少するために)、過度に長期間にわたって有効と考えられる結果となる可能性がある。(音声フレーム・ペイロードを含む)RLCデータ・ブロックが有効と考えられる時間を伸ばすことは、したがって、上述のように、VoIPアプリケーションに対するQoS遅延属性を超える結果となりうる。今度の場合も、この同一のシナリオが、紛失RLCデータ・ブロックが然るべき期間よりも長く有効であると考えられる(すなわち、依然として待ち合わせる)RLCの受信機エンドポイントで同じような課題を生じうる。
さらにもう1つの例では、MCS方式、RTP/UDP/IP PDU当たりのRLCデータ・ブロック数、ヘッダ圧縮、1つのRTPフレームで搬送される音声サンプルの大きさおよびウィンドウ・サイズは、最初の2つの例におけると同一である。しかしながら、今度は、TBFの確立中のヘッダ圧縮効率が低く、その後に時間が経過するにつれて圧縮効率がその後増加する(すなわち、向上する)と考える。圧縮効率の変化が、それからまた、VoIPセッションが最初に確立されていて、そして良好なレベルの圧縮効率が確立されてから十分たってから、(たとえば、ハンドオーバを使用して遂行されるセル変更のために)生じる場合がある。圧縮効率が低い期間中は、各RTP/UDP/IP PDUを送信するために必要なRLCデータ・ブロックの数は(すなわち、RTP/UDP/IP PDU数は、圧縮効率が低い期間中はより大きいので)高い。さらに、最初のTBF確立時に確立される固定のRLCウィンドウ・サイズは、典型的には、定常状態の間に適用できるような比較的高い圧縮効率を想定する。したがって、圧縮効率が低い期間中は、RLCデータ・ブロックが、固定の(但し、スライディングの)RLCウィンドウから外れるようにすぐに考えられるようになる場合があり、そして、それ故、実際にRLCデータ・ブロックが、相当するVoIPアプリケーションの遅延QoS属性によって許容される転送遅延時間の十分範囲内にある場合に、(送信側および受信側のRLCエンドポイントの両方によって)無効であると扱われるようになる場合がある。
本明細書で教示される方法および装置にしたがって、(VoIPのような)遅延に敏感なパケット・サービスに対する転送遅延QoSは、無線アクセス・ネットワーク内において、受信側のRLCエンドポイントおよび送信側のRLCエンドポイントの両方でパケット・データのペイロードの有効性をスライディングRLCウィンドウ・サイズ方法ではなく最大データ転送遅延制約に基づいて判定することによって、満足することができる。送信機側では、タイマーに基づくパケット・バッファリング方法が、VoIPデータ・パケットのような遅延に敏感なパケット・データを送信する場合に採用される。送信されるパケット・データは、最初のTBF確立時に確立される転送遅延時間値(すなわち、ここでは、割り当てられる転送遅延値は、割り当てられたTBFによってサポートされるパケット・データ・アプリケーションに対する転送遅延QoS属性の反映である)によって判定される期間の間バッファされる。バッファされたRLCデータ・ブロックは、対応する転送遅延タイマーが切れてから削除され、それ故、削除された(そして、これ以上有効ではない)RLCデータ・ブロックのその後の再送信を防止する。
受信側では、タイマーに基づくパケット再送信要求方法が、RLCデータ・ブロックが紛失したと検出される場合に同様に採用される。受信機で紛失したと検出されるRLCデータ・ブロックは、対応する転送遅延タイマーが切れるまで、受信されるものとして待ち合わされる。対応する転送遅延タイマーが切れる場合、紛失RLCデータ・ブロックは、これ以上受信されるものとしては待ち合わされない。次に、対応するアプリケーションレイヤには、1つ以上の紛失RLCデータ・ブロックがこれ以上待ち合わされることはない、RTP/UDP/IP PDUの部分的に不完全なもの(すなわち、誤ったもの)が提供される可能性がある。
最大データ転送遅延制約は、アプリケーション・タイプに依存することが好ましい。無線インタフェース上でのデータ転送遅延は、VoIPデータ・パケットに対してほぼ100ミリ秒である。そのようなものとして、最初の送信後、約100ミリ秒の間にバッファされたままの送信RLCデータ・ブロックは、RLCの送信機エンドポイントでメモリから削除される。同様に、RLCの受信機エンドポイントで、RLCデータ・ブロックは、最初に紛失したと検出されてからほぼ100ミリ秒の間待ち合わされ続け、その後にRLCデータ・ブロックは無効化されることになる。他の実装形態では、パケット・データ転送遅延属性の値は、マルチメディアブロードキャストマルチキャスト・サービス(MBMS)に基づくアプリケーションに対して、ほぼ3秒以下である。
1つの実施形態にしたがって、最大データ転送遅延制約を有するアプリケーションに関連する上位レイヤのパケット・データ・ユニット(PDU群)は、1つ以上の上位レイヤPDU(たとえば、LLC PDU群)に関連するRLCデータ・ブロックの最初の送信に応じて、タイマーを開始することによって転送される。タイマーは、最大データ転送遅延制約に基づいているタイマー値に初期化される。タイマーが切れていない限り、RLCデータ・ブロックは、その受信が応答確認されていないことを示す受信メッセージに対応して再送信される。RLCデータ・ブロックは、タイマー切れまたは受信が応答確認されていないことを示す受信メッセージに応じて、メモリから削除される。タイマーの値は、最初のTBF確立時に(たとえば、対応するパケット・サービスの転送遅延QoS属性に基づいて)判定できる。
他の実施形態にしたがって、受信側のRLCエンドポイントは、1つ以上の上位レイヤPDUに関連する1つ以上の送信されたRLCデータ・ブロックのシーケンスの中で、紛失RLCデータ・ブロックを検出する。タイマーは、紛失RLCデータ・ブロックの検出に応じて開始される。タイマーは、最大データ転送遅延制約に基づいているタイマー値に初期化される。紛失RLCデータ・ブロックは、タイマーが切れるまでは受信されるものとして待ち合わされる。紛失RLCデータ・ブロックは、タイマーが切れる時点でメモリから削除されても良い。
もちろん、本発明は上述の特徴および長所に限定されない。当業者は、以下の詳細な明細書を理解し、そして、添付の図面を参照することで、更なる特徴および長所を認識するであろう。
無線アクセス・ネットワークの1つの実施形態のブロック図である。 最大データ転送遅延制約に基づいて、送信されたデータ・パケットを送信機でバッファするための処理ロジックの実施形態を示する図である。 最大データ転送遅延制約に基づいて、紛失データ・パケットを受信機で処理するための処理ロジックの実施形態を示す図である。
図1は、GPRS/EDGE無線アクセス・ネットワーク(GERAN)100の実施形態を示している。GERAN100は、回線交換通信とパケット交換通信の両方をサポートする。GERAN100は、ダウンリンクTBFとしても知られるダウンリンク通信チャネル104上で、移動電話のような移動装置102にデータ・パケットを送信する。勿論、GERAN100は、マルチメディアブロードキャストマルチキャストサービス(MBMS)のようなポイント・ツー・マルチポイント送信方法を使用して、同一のデータ・パケットを複数のデバイス(不図示)に送信することもできる。説明を簡単にするだけのために、GERAN100の動作を、本明細書では、GERAN100と単一の移動装置102との間のポイント・ツー・ポイント通信リンクに関して説明する。しかしながら、当業者は、本明細書で開示される技術がポイント・ツー・マルチポイント送信方式に等しく適用することを容易に理解するであろう。
GERAN100は、VoIPデータ・パケットのような遅延に敏感なデータ・パケットを送信する場合に、タイマーに基づくパケット・バッファリング方法(timer-based packet buffering approach)を実装する。タイマーに基づくパケット・バッファリング方法は、対応するRLCデータ・ブロックがスライディングRLCウィンドウ内に留まっているか否かに基づいて、パケット・データのその時点での有効性は判定しない。その代わりに、送信されたデータ・パケットは、サービスが提供されているアプリケーションに対応する転送遅延QoS属性によって判定される時間の間、GERAN100によってバッファされる。サービスが提供されているアプリケーションによって示される送信時間の制約は、本明細書では、最大データ転送遅延と呼んでいる。最大データ転送遅延は、データ・パケットの送受信に許容される最大の時間に相当し、最大の時間を超えるとパケットは無効と考えられ、そして、最大の時間は、サービスが提供されている、遅延に敏感なアプリケーションの転送遅延QoS属性によって判定される。BSS122または移動装置102に配置されている、送信側のRLCエンドポイントで、送信された上位レイヤのPDU(すなわち、LLC PDU)の各々は、サービスが提供されているアプリケーションによって示されるデータ転送遅延に相当する時間の間(1つ以上のRLCデータ・ブロックを使用して)バッファされる。バッファされたRLCデータ・ブロックは、許容されるデータ転送遅延を超えて格納された場合に削除され、このようにして、後でより詳細に説明するように、遅延に敏感なアプリケーションの転送遅延QoS属性の遵守を保証する。
BSS122において、バッファされたRLCデータ・ブロックは、移動装置102からの要求で、たとえば、否定的に応答確認されたパケットに応じて(すなわち、RLC非永続モードで、移動装置102から受信されるパケットNACKメッセージに応じて)、再送信に利用できる。パケットNACKメッセージは、たとえば、RLCデータ・ブロックが移動装置102で順不同で受信されているために、RLCデータ・ブロックが移動装置102によって受信されていないことを示すものである。このように、BSS122は紛失RLCデータ・ブロックを移動装置102に、対応するデータ転送遅延が超過していないかぎり再送信する。さらに、順不同のRLCデータ・ブロックを識別すると、移動装置102は、紛失RLCデータ・ブロックを待ち合わせ続けようとする期間を判定するために使用される、対応するタイマー132を開始する。タイマー132が切れると、移動装置102は、紛失RLCデータ・ブロックまたは同一の上位レイヤPDUに対応する任意の他の更なるRLCデータ・ブロックをこれ以上待ち合わせないので、不完全な(すなわち、誤った)上位レイヤPDUを生成しうる。不完全な上位レイヤPDUを生成することは、この場合、全く上位レイヤPDUを生成しないよりは有益となりうる。1つの実施形態では、無線インタフェースのデータ転送遅延は、VoIPデータ・パケットに対してほぼ100ミリ秒である。バッファされているVoIPデータ・パケット(すなわち、所与のデータ・パケットを送信するために使用される全てのバッファされたRLCデータ・ブロック)は、対応するパケット応答確認(パケットACK)メッセージが移動装置102から受信される前に100ミリ秒以上格納されていると、削除され、このようにして、VoIPアプリケーションに対するQoSを実行する。
移動装置102は、アップリンク通信に対して、同様のタイマーに基づくパケット再送信要求方法を実装する。アップリンク通信中、BSS122は、アップリンクTBFとしても知られるアップリンク通信チャネル106上で移動装置102からRLCデータ・ブロックを受信する。この実施形態にしたがって、BSS122は、紛失RLCデータ・ブロックの再送信を、たとえば、移動装置102にパケットNACKメッセージを送信することによって要求する。BSS122は、アプリケーションによって要求されるデータ転送遅延が、ダウンリンク通信チャネル104上で送信されるパケット・データに対して、上述の方法と同様の方法で超過してしまうまで、紛失RLCデータ・ブロックを受信するものとして待ち合わせる。このことが発生すると、BSS122は、紛失RLCデータ・ブロックまたは同一の上位レイヤのPDUに対応する任意の他の更なるRLCデータ・ブロックを受信することをこれ以上待ち合わせないので、不完全な(すなわち、誤った)上位レイヤPDUを直ちに生成する場合がある。
移動装置102は、同様のタイマーに基づくパケット・データ・バッファリングおよび、遅延に敏感なアプリケーションにサービスを提供する場合にBSS122によって使用される再送信要求方法を実装する。すなわち、移動装置102は、アップリンク通信チャネル106上で送信するRLCデータ・ブロックを、RLCデータ・ブロックがサービスが提供されているアプリケーションによって要求される最大データ転送遅延により許容される以上に長くバッファされるまで格納する。データ転送遅延で示されるように許容されるよりも長くバッファされたRLCデータ・ブロックは、削除される。ダウンリンク構成では、移動装置102は、最大データ転送遅延制約を超えるまでは、ダウンリンク通信チャネル104上で紛失RLCデータ・ブロックを受信するものとして待ち合わせる。対応するパケット・データ転送遅延QoS属性で示されるよりも長く紛失しているRLCデータ・ブロックは、移動装置102によってこれ以上待ち合わされない。このように、転送遅延QoS属性は、サービスが提供されている、遅延に敏感なアプリケーションに対して実行される。
たとえば、MCS−1のような低スループットの変調および符号化方式は、無線状態が劣悪な場合に使用できる。RTP/UDP/IP PDUのようなVoIPデータを搬送するために使用される上位レイヤのパケット・データ・ユニット(PDU)の各々は、MCS−1を使用して符号化される場合、20ミリ秒の音声データを含むことができる。符号化方式は、無線状態が改善される場合、たとえば、MCS−4にアップグレードすることができる。上位レイヤのVoIP PDUを送信するために必要なRLCデータ・ブロックの数は、符号化方式がMCS−1からMCS−4にアップグレード場合には、半分にされる。VoIPアプリケーションによって特定される最大データ転送遅延制約は、したがって、無線状態が遅延に敏感なアプリケーションの経過中にどのように変化し得るかとは無関係に一定のままである。
更に詳細には、GERAN100は、GERAN100と公衆交換電話網(PSTN)110との間にゲートウェイを提供するためのGSMゲートウェイ移動交換局(GMSC)108を含んでいる。GERAN100は、また、回線交換通信をサポートするために移動サービス交換局(Mobile services Switching Center:MSC)および訪問先ロケーション・レジスタ(Visitor Location Register:VLR)112を含んでいる。MSC/VLR112は、回線交換機能を実行して、他の回線交換ネットワーク(不図示)への接続を提供し、そして、回線交換サービスを提供するために必要な加入者情報を含んでいる。中央データベース114は、GERAN100を使用することを認可されている各移動電話加入者に関連する情報を含むホーム・ロケーション・レジスタ(Home Location Register:HLR)を維持している。
GERAN100は、さらに、パケット交換通信をサポートするための補完的な構成要素を含んでいる。ゲートウェイGPRSサポート・ノード(GGSN)116は、GERAN100と、公衆交換パケット・データ・ネットワーク118および他のGPRSネットワーク(不図示)の少なくとも一方との間のゲートウェイを提供する。GGSN116は、認証および位置管理の機能を実装する。GERAN100は、また、GERAN100と移動装置102との間の接続を制御する在圏(サービング)GPRSサポート・ノード(SGSN)120を含んでいる。SGSN120は、セッション管理および、ハンドオーバおよびページングのようなGPRS移動管理を実行する。SGSN120は、SGSNアドレスを格納し、そして、GPRS加入者データおよびルーティング情報を維持する中央データベース114によって維持されるGPRSレジスタへのアクセスを有している。GERAN100は、さらに、移動装置102とGERAN100との間でトラヒックおよび信号を処理するための基地局サブシステム(BSS)122を含んでいる。BSS122は、音声チャネルをトランスコード(transcode)し、無線チャネルを割り当て、ページングを実行し、無線インタフェース上での送受信品質を管理し、また、当業者には周知のGERAN100に関連している多くの他のタスクを管理する。
説明を簡単にするだけのために、BSS122および移動装置102の動作を、BSS122から移動装置102へのダウンリンクデータ・パケット転送に関して次に説明する。そのようなものとして、BSS122は、移動装置102に(1つ以上のRLCデータ・ブロックを使用して搬送される)データ・パケットを送信する場合、タイマーに基づくパケット・バッファリング方法を実装する。移動装置102は、BSS122からデータ・パケットを受信する場合、タイマーに基づく再送信要求方法を実装する。しかしながら、アップリンク構成では、タイマーに基づくパケット・データ・バッファリング方法は、移動装置がBSS122にデータ・パケットを送信する場合、移動装置102によって実装される。これに対応して、アップリンクの場合、BSS122は、アップリンク通信チャネル106上で移動装置102からデータ・パケットを受信する場合、タイマーに基づく再送信要求方法を実装する。これを理解した上で、本明細書で使用する用語「無線受信機」は(1つ以上のRLCデータ・ブロックを使用して搬送される)データ・パケットを受信する装置を意味するものとし、そして、本明細書で使用する用語「無線送信機」は、データ・パケットを送信する装置を意味するものとする。
次に、BSS122について見てみると、BSS122に含まれるプロセッサ124は、プロトコル・スタック管理を含むデータ・パケット操作を管理する。BSSプロセッサ124は、全てをハードウェアで実装されても良く、あるいは、一部をハードウェアおよび一部をソフトウェアで実装されても良く、または完全にソフトウェアで実装されても良い。これに関係することなく、BSSプロセッサ124は、移動装置102とSGSN120との間でコヒーレント通信を可能にする。たとえば、SGSN120は、論理リンク制御(LLC)プロトコルレイヤのような上位レイヤのプロトコルレイヤを使用してBSS122と通信する。移動装置102は、媒体アクセス制御(MAC)のような低位のプロトコルレイヤおよびRLCプロトコルレイヤでBSS122と通信する。BSSプロセッサ124は、上位レイヤのLLC PDUを、RLCおよびMACブロックに変換し、またその逆変換も行う。
BSSプロセッサ124は、また、(1つ以上のRLCデータ・ブロック内で搬送される)データ・パケットを、GPRS/EDGEパケット・データ・トラヒック・チャネル(PDTCH)のような固定または動的なダウンリンク通信チャネル104上で移動装置102に送信する場合に、パケット・バッファリングを管理する。BSSプロセッサ124は、VoIPパケット・データのようなアプリケーション・データから、RLCデータ・ブロックを生成する。ダウンリンクVoIPパケット・データは、IPデータグラムとしてGERAN100に到達する。GGSN116およびSGSN120は、一群のLLC PDUとしてBSS122に到達するVoIPデータを処理する。BSSプロセッサ124は、BSSプロトコル・スタックに基づいて、LLC PDUをRLCデータ・ブロックに変換する。BSSプロセッサ124は、それから、テンポラリ・ブロック・フロー(TBF)確立メッセージ、たとえば、パケットダウンリンク割当メッセージを生成する。TBF確立メッセージは、移動装置102に送信される。それに応えて、TBFがBSS122と移動装置102との間で確立される。ここで、TBFは、RLCデータ・ブロックが転送される動的な物理接続である。
各RLCデータ・ブロックは、送信される前に、たとえば、図2のステップ200で示されるように、BSS122に含まれるバッファ126に格納される。次に、RLCデータ・ブロックは、ダウンリンク通信チャネル104上で、たとえば、図2のステップ202で示されるように、送信される。BSSプロセッサ124は、RLCデータ・ブロックが送信される毎に、プロセッサ124に含まれるまたは関連するタイマー128を開始する。タイマー128は、対応するVoIPアプリケーションに対する最大データ転送遅延制約に基づいている値に初期化される。データ転送遅延制約は、SGSN120とGGSN116の両方に存在するパケット・データ・プロトコル(PDP)コンテキスト・データ構造の一部として確立される転送遅延QoS属性から導出することができ、このPDPコンテキスト・データ構造は、起動されるPDPコンテキストの各々に適用できる加入者セッションQoS属性を含んでいる。1つの実施形態では、アプリケーションは、VoIPに基づいていて、そして、データ転送遅延は、ほぼ100ミリ秒である。したがって、タイマー128は、ほぼ100ミリ秒の値に初期化される。他の実施形態では、アプリケーションはMBMSに基づいている。この実施形態にしたがって、タイマー128は、ほぼ3秒以下のデータ転送遅延の値に初期化される。
タイマー128は、対応するRLCデータ・ブロックがBSS122によって最初に送信される場合、たとえば、図2のステップ204で示されるように、初期化された状態からカウントダウンされ始める。BSSプロセッサ124は、たとえば、図2のステップ206で示されるように、1つ以上のタイマー128が切れているかどうかを判定するために、送信されたRLCデータ・ブロックの各々に対する現状のタイマー値を定期的に監視する。タイマー128のインスタンスが切れている場合、BSSプロセッサ124は、バッファ126から対応するRLCデータ・ブロックを、たとえば、図2のステップ208で示されるように、削除する。このように、RLCデータ・ブロックは、移動装置102から受信される後続のパケットNACKメッセージに応じて再送信されることはない。BSSプロセッサ124は、所与の上位レイヤPDUを送信するために必要とされる複数の潜在的なRLCデータ・ブロックのうちの最初のものがバッファされる場合、RLCデータ・ブロックの全てが、タイマー128が切れる前にRLCの受信側エンドポイントに正常に送信されなければならないので、タイマー128のうちの1つのインスタンスのみを開始することができる(すなわち、これらのRLCデータ・ブロックの各々に対するタイマー128のインスタンスを開始する必要はなくてもよい)。
BSSプロセッサ124は、また、図2のステップ210およびステップ208で示されるように、RLCデータ・ブロックが受信されたことを示す移動装置102からパケットACKメッセージが受信される場合、タイマー128が切れる前でも、送信バッファ126からRLCデータ・ブロックを取り除く。バッファされたRLCデータ・ブロックは、図2のステップ212およびステップ214で示されるように、RLCデータ・ブロックに関連するタイマー128のインスタンスが切れる前にパケットNACKメッセージが受信される場合、パケットNACKメッセージに応答して再送信される。このように、移動装置102によって紛失と確認されているRLCデータ・ブロックは、そのブロックのタイマー128が切れていないかぎり、再送信することができる。
BSSプロセッサ124によって使用されるタイマー値は、移動装置102に明示的に送信される、またはPDPコンテキスト起動時に確立される転送遅延QoS属性から導出される。それにより、移動装置102は、BSS122によって送信されるRLCデータ・ブロックを処理する場合に、そのタイマー値を使用することができる。移動装置102は、紛失RLCデータ・ブロックをこれ以上待ち合わせるべきではない時点を判定するために、そのタイマー値を使用することができる。移動装置102は、また、BSS122が対応する受信をまだ応答確認していないRLCデータ・ブロックのBSS122への再送信をいつ停止すべきかを判定するために、そのタイマー値を使用することができる。1つの実施形態では、最大データ転送遅延制約が、たとえば、RLCデータ・ブロックが送信される(PDPコンテキストのサポートに使用される)TBFに適用できる(転送遅延を含む)QoS属性を判定するために使用されるPDPコンテキスト起動手順の一部として、移動装置102に提供される。他の実施形態では、BSSタイマー128によって使用されるタイマー値は、たとえば、メッセージのIE部分として、移動装置102に提供される。
これとは無関係に、移動装置102は、また、紛失ダウンリンクRLCデータ・ブロックのその時点での有効性を最大データ転送遅延制約に基づいていつ確立すべきかが指示される。1つの実施形態では、RLCデータ・ブロックがBSS122によって送信されるダウンリンクTBFを確立するために使用されるTBF確立メッセージの中に、IEをプログラムする。たとえば、EDGE TBF確立メッセージのウィンドウ・サイズIE内で1つ以上の未使用ビットが、移動装置102が、紛失ダウンリンクRLCデータ・ブロックのその時点の有効性を最大データ転送遅延制約に基づいて確立すべきであることを示すために、BSSプロセッサ124によってプログラムされることができる。移動装置102に含まれるプロセッサ130は、移動装置102が、紛失ダウンリンクRLCデータ・ブロックのその時点の有効性を最大データ転送遅延制約に基づいて確立すべきかどうかを判定するために、TBF確立メッセージ内の適切なIEを検索する。そうでなければ、移動装置102は、紛失ダウンリンクRLCデータ・ブロックのその時点の有効性を、従来のスライディングRLCウィンドウ方法に基づいて確立する。
移動装置のプロセッサ130内に含まれるまたは関連するタイマー132は、BSSプロセッサ124にそうするように指示される場合、移動装置102でタイマーに基づくパケット再送信要求方法をサポートする。移動局のタイマー132は、紛失ダウンリンクRLCデータ・ブロック、すなわち、移動装置102により待ち合わされてはいるが、まだ受信されていないRLCデータ・ブロックの経時を追跡する。RLCデータ・ブロックが最初に紛失しているとして検出されるたびに、たとえば、図3のステップ300で示されるように、新しいタイマーが開始される。1つ以上のRLCデータ・ブロックが、送信されているRLCデータ・ブロックの各々の一部として含まれるシーケンス番号によって示される順序と違って受信される場合、RLCデータ・ブロックは、紛失しているとして検出される。移動局のタイマー132は、移動装置102によってそれまでに受信されている最大データ転送遅延制約に基づく値に初期化される。生のデータ転送遅延そのものが、タイマー値として使用することもでき、または移動装置102は、RLCデータ・ブロックが紛失していることを検出する場合、(BSSによる最初の送信以降)既に経過している可能性のある時間を明らかにするために、典型的な無線インタフェース送信時間間隔を考慮に入れることができる。
移動局のプロセッサ130は、検出した紛失RLCデータ・ブロックの各々に対して、たとえば、図3のステップ302で示されるように、移動局のタイマー132が切れているかどうかを定期的に判定する。対応するRLCデータ・ブロックが受信される前にタイマーが切れる場合、紛失RLCデータ・ブロックは、移動局のプロセッサ130によって、たとえば、図3のステップ304で示されるように、無効化される。移動装置102は、無効化されたRLCデータ・ブロックを受信することをこれ以上待ち合わせない。その代わりに、移動局のプロセッサ130は、それから、上位レイヤのPDUを全く送信しない代わりに不完全な(すなわち、誤った)上位レイヤPDUを生成しても良い。
移動局のプロセッサ130は、それぞれのタイマー132がまだ切れていない紛失RLCデータ・ブロックを待ち合わせ続ける。タイマー132が切れていなくて、そして対応するRLCデータ・ブロックがまだ受信されていない場合、移動局のプロセッサ130は、たとえば、図3のステップ306およびステップ308で示されるように、紛失RLCデータ・ブロックの再送信を要求する。タイマー132が切れる前に受信されている紛失RLCデータ・ブロックは、移動局のプロセッサ130によって有効と見なされる。有効なRLCデータ・ブロックは、移動局のプロセッサ130によってデータ・パケットが移動局のプロトコル・スタックに上がって処理されるにつれて、たとえば、図3のステップ310で示されるように、カプセル化のヘッダを取り除くことによって処理される。アップリンクRLCデータ・ブロックをBSS122に送信する場合、移動装置102は、また、BSS122内のタイマー128に対して、上述の機能と同一の機能を有するタイマーを維持する。アップリンクRLCデータ・ブロックを移動装置102から受信する場合と同様の方法で、BSS122は、移動装置102内のタイマー132に対して上述の機能と同一の機能を有するタイマーを維持する。
変形および用途の上記範囲を考慮に入れて、当然のことながら、本発明は、上述の明細書に限定されるものではなく、また、添付の図面に制限されるものでもないことが理解されるべきである。その代わりに、本発明は、特許請求の範囲、およびそれらの法的均等物によってのみ限定される。

Claims (28)

  1. 最大データ転送遅延制約を有するアプリケーションに関連する上位レイヤのパケット・データ・ユニットであるPDUを送信する方法であって、
    1つ以上の前記上位レイヤのPDUに関連する無線リンク制御データ・ブロックであるRLCデータ・ブロックの最初の送信に応じて、前記最大データ転送遅延制約に基づいているタイマー値に初期化されるタイマーを開始するステップと、
    前記タイマーが切れていない限り、前記RLCデータ・ブロックの受信が応答確認されていないことを示す受信メッセージに応じて、前記RLCデータ・ブロックを再送信するステップと、
    前記タイマーが切れていることまたは前記RLCデータ・ブロックの受信が応答確認されていることを示す受信メッセージに応じて、前記RLCデータ・ブロックをメモリから削除するステップと
    を備えることを特徴とする方法。
  2. 前記アプリケーションがボイスオーバIPに基づくものである場合、前記タイマーをほぼ100ミリ秒に初期化するステップを更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記アプリケーションがマルチメディアキャストマルチキャストサービスに基づくものである場合、前記タイマーをほぼ3秒以下に初期化するステップを更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記タイマー値を、前記上位レイヤのPDUを受信するように構成されている1つ以上の無線受信機に送信するステップを更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記送信するステップは、前記1つ以上の無線受信機に送信されるメッセージ内の情報要素として該タイマー値を含めることを含んでいる
    ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 受信された前記RLCデータ・ブロックを処理する場合に、前記タイマー値を使用することを、前記1つ以上の無線受信機に指示するステップを更に備える
    ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 前記指示するステップは、テンポラリ・ブロック・フロー確立メッセージであるTBF確立メッセージ内に情報要素をプログラムすることを含み、
    前記情報要素は、紛失RLCデータ・ブロックを処理する場合に、前記タイマー値を使用することを、前記1つ以上の無線受信機に指示するように構成されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 最大データ転送遅延制約を有するアプリケーションに関連する上位レイヤのパケット・データ・ユニットであるPDUを送信する無線送信機であって、
    1つ以上の前記上位レイヤのPDUに関連する無線リンク制御データ・ブロックであるRLCデータ・ブロックの最初の送信に応じて、カウントを開始するように構成されているタイマーであって、前記最大データ転送遅延制約に基づいているタイマー値に初期化されるタイマーと、
    前記タイマーが切れていることまたは前記RLCデータ・ブロックの受信が応答確認されていることを示す受信メッセージに応じて、前記RLCデータ・ブロックをバッファから削除するように構成されているバッファと、
    前記タイマーが切れない限り、前記RLCデータ・ブロックの受信が応答確認されていないことを示す受信メッセージに応じて、前記RLCデータ・ブロックを再送信するように構成されているプロセッサと
    を備えることを特徴とする無線送信機。
  9. 前記プロセッサは、更に、前記アプリケーションがボイスオーバIPに基づくものである場合、前記タイマーをほぼ100ミリ秒に初期化するように構成されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の無線送信機。
  10. 前記プロセッサは、更に、前記アプリケーションがマルチメディアキャストマルチキャストサービスに基づくものである場合、前記タイマーをほぼ3秒以下に初期化するように構成されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の無線送信機。
  11. 前記プロセッサは、更に、前記タイマー値を、前記上位レイヤのPDUを受信するように構成されている1つ以上の無線受信機に送信するように構成されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の無線送信機。
  12. 前記プロセッサは、更に、前記1つ以上の無線受信機に送信されるメッセージ内の情報要素として該タイマー値を含めるように構成されている
    ことを特徴とする請求項11に記載の無線送信機。
  13. 前記プロセッサは、更に、受信された前記RLCデータ・ブロックを処理する場合に、前記タイマー値を使用することを、前記1つ以上の無線受信機に指示するように構成されている
    ことを特徴とする請求項11に記載の無線送信機。
  14. 前記プロセッサは、テンポラリ・ブロック・フロー確立メッセージであるTBF確立メッセージ内に情報要素をプログラムするように構成されていて、
    前記情報要素は、紛失RLCデータ・ブロックを処理する場合に、前記タイマー値を使用することを、前記1つ以上の無線受信機に指示するように構成されている
    ことを特徴とする請求項13に記載の無線送信機。
  15. 最大データ転送遅延制約を有するアプリケーションに関連する1つ以上の上位レイヤのパケット・データ・ユニットであるPDUを受信する方法であって、
    前記1つ以上の上位レイヤのPDUに関連する、1つ以上の送信された無線リンク制御データ・ブロックであるRLCデータ・ブロックのシーケンスにおいて、紛失RLCデータ・ブロックを検出するステップと、
    前記紛失RLCデータ・ブロックの検出に応じて、前記最大データ転送遅延制約に基づいているタイマー値に初期化されるタイマーを開始するステップと、
    前記タイマーが切れるまで、前記紛失RLCデータ・ブロックを受信するものとして待ち合わせるステップと
    を備えることを特徴とする方法。
  16. 前記アプリケーションがボイスオーバIPに基づくものである場合、前記タイマーをほぼ100ミリ秒に初期化するステップを更に備える
    ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記アプリケーションがマルチメディアキャストマルチキャストサービスに基づくものである場合、前記タイマーをほぼ3秒以下に初期化するステップを更に備える
    ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  18. 受信メッセージに含まれる情報要素から前記タイマー値を取得するステップを更に備える
    ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  19. 紛失RLCデータ・ブロックが前記タイマー値に基づいて処理されることを指示するステップを更に備える
    ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  20. 前記指示するステップは、受信されるテンポラリー・ブロック・フロー確立メッセージであるTBF確立メッセージに応じて、メッセージを生成することを含み、
    前記TBF確立メッセージは、紛失RLCデータ・ブロックを処理する場合に、前記タイマー値の使用を指示するように構成されている情報要素を含んでいる
    ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 前記紛失RLCデータ・ブロックが受信される前に、前記タイマーが切れることに応じて、該紛失RLCデータ・ブロックをメモリから削除するステップを更に備える
    ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  22. 最大データ転送遅延制約を有するアプリケーションに関連する1つ以上の上位レイヤのパケット・データ・ユニットであるPDUを受信する無線受信機であって、
    前記1つ以上の上位レイヤのPDUに関連する、1つ以上の送信された無線リンク制御データ・ブロックであるRLCデータ・ブロックのシーケンスにおいて、紛失RLCデータ・ブロックを検出し、
    前記紛失RLCデータ・ブロックの検出に応じて、前記最大データ転送遅延制約に基づいているタイマー値に初期化されるタイマーを開始し、
    前記タイマーが切れるまで、前記紛失RLCデータ・ブロックを受信するものとして待ち合わせる
    ように構成されているプロセッサを備える
    ことを特徴とする無線受信機。
  23. 前記プロセッサは、更に、前記アプリケーションがボイスオーバIPに基づくものである場合、前記タイマーをほぼ100ミリ秒に初期化するように構成されている
    ことを特徴とする請求項22に記載の無線受信機。
  24. 前記プロセッサは、更に、前記アプリケーションがマルチメディアキャストマルチキャストサービスに基づくものである場合、前記タイマーをほぼ3秒以下に初期化するように構成されている
    ことを特徴とする請求項22に記載の無線受信機。
  25. 前記プロセッサは、更に、受信メッセージに含まれる情報要素から前記タイマー値を取得するように構成されている
    ことを特徴とする請求項22に記載の無線受信機。
  26. 前記プロセッサは、更に、紛失RLCデータ・ブロックが前記タイマー値に基づいて処理されることを指示するように構成されている
    ことを特徴とする請求項22に記載の無線受信機。
  27. 前記プロセッサは、更に、受信されるテンポラリー・ブロック・フロー確立メッセージであるTBF確立メッセージに応じて、メッセージを生成するように構成されていて、
    前記TBF確立メッセージは、紛失RLCデータ・ブロックを処理する場合に、前記タイマー値を使用することを前記無線受信機に指示するように構成されている情報要素を含んでいる
    ことを特徴とする請求項26に記載の無線受信機。
  28. 前記プロセッサは、更に、前記紛失RLCデータ・ブロックが受信される前に、前記タイマーが切れることに応じて、該紛失RLCデータ・ブロックをメモリから削除するように構成されている
    ことを特徴とする請求項22に記載の無線受信機。
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