JP2009537140A - ジヒドロ葉酸還元酵素の不活性化のための方法及び組成物 - Google Patents

ジヒドロ葉酸還元酵素の不活性化のための方法及び組成物 Download PDF

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Abstract

本明細書では、ジンクフィンガータンパク質及び開裂ドメイン又は開裂ハーフドメインを含む融合タンパク質を用いて、ジヒドロ葉酸還元酵素を不活性化する方法、及び組成物が開示される。該融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチド及び融合タンパク質を含む細胞も提供される。

Description

技術分野
本開示は、ゲノム工学、細胞培養及びタンパク質産生の分野にある。
関連出願の相互参照
本願は、米国仮出願第60/801,867号(2006年5月19日出願)の利益を請求する。その開示は、全ての目的のためにその全体が参考として援用される。
連邦政府によって後援された研究の下でなされた発明に対する権利の記載
適用なし。
背景
ゲノムDNAの標的開裂のための様々な方法及び組成物が記載されてきた。例えば標的された突然変異誘発を誘導し、細胞DNA配列の標的された欠損を誘導し、及び所定の染色体座での標的された組換えを促進するために、このような標的開裂事象が使用され得る。例えば、米国特許公開第20030232410号、20050208489号、20050026157号、20050064474号、20060188987号、20060063231号、及び国際公開WO 07/014275を参照せよ。その開示は、それらはすべての目的のためにその全体が文献として援用されている。
ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR, 5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸: NADP+酸化還元酵素)は、真核細胞及び原核細胞の両方で本質的な酵素であり、ジヒドロ葉酸のテトラヒドロ葉酸へのNADPH-依存型還元を触媒し、チミジル酸、プリンヌクレオチド、グリシン及びメチル化合物の生合成にける1炭素単位の必須担体である。
速分割細胞において、DHFRの阻害は、細胞テトラヒドロ葉酸の欠損、DNA合成の阻害及び細胞死をもたらす。例えば、新生細胞が分割しないようにすることができるので、DHFR阻害剤メトトレキサート(MTX)は癌療法として使用される。しかしながら、現代の抗-葉酸治療の有用性は、2つの因子によって制限されている。第1に、腫瘍組織は、抗葉酸に対する耐性を急速に生じ、治療を役に立たなくさせるかもしれない。第2に、治療は速く分割する通常組織、特に骨髄及び末梢幹細胞に対して毒性であるかもしれない。
加えて、DHFR-欠陥細胞は、組換えタンパク質の産生のために長く使用されてきた。DHFR-欠陥細胞は、葉酸代謝に関連するある因子によって補充された媒体中で、又はDHFRが該細胞に提供される場合には例えば導入遺伝子として、増殖するにすぎない。dhfr導入遺伝子が安定的に統合されている細胞は、非補充媒体中で該細胞を増殖させることによって選択され得る。更に、外来配列は単一のポリヌクレオチドを用いて細胞内に導入される時に、典型的には同時統合される。従って、dhfr導入遺伝子がまた対象のタンパク質をコードする配列を含む時に、選択された細胞は、DHFR及び対象のタンパク質を発現するだろう。更に、MTXのような阻害剤に反応して、dhfr遺伝子コピー数は増幅され得る。従って、外来dhfrで同時統合される対象のタンパク質をコードする配列は、細胞を増加するメトトレキサート濃度に徐々に曝露させることによって増幅され、対象の組換えタンパク質の過剰発現を起こす。しかしながら、組換えタンパク質発現用のdhfr-欠陥細胞系の幅広い使用にもかかわらず、現在使用可能なDHFR-欠陥細胞株は増殖せず、及びそれらが由来する親DHFR-コンピテント細胞も増殖しない。
従って、葉酸疾患を治療するための並びにタンパク質産生及び過発現を促進するための、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の不活性化のための方法及び組成物の必要性が依然としてある。
概要
細胞ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子の部分的又は完全な不活性化のための組成物が本明細書に開示されている。例えば、治療目的のために細胞内のdhfrを不活性化し、及び/又はdhfr遺伝子が不活性化される細胞株を産生するために、これらの組成物(試薬)を製造し及び使用する方法も開示される。
1つの局面では、dhfr遺伝子内で結合するように操作されるジンクフィンガータンパク質が提供される。本明細書に記載のジンクフィンガータンパク質はいずれも、1、2、3、4、5、6個又はそれ以上のジンクフィンガーであって、各々のジンクフィンガーがdhfr遺伝子内の標的サブサイトに結合する認識ヘリックスを有する、ジンクフィンガーを含んでもよい。ある実施態様では、ジンクフィンガータンパク質は、(F1、F2、F3及びF4と称される)4種のフィンガーを含み、図1で示される認識ヘリックスのアミノ酸配列を含む。
ある実施態様では、本開示は、操作されたジンクフィンガータンパク質DNA-結合ドメインを含むタンパク質であって、該DNA-結合ドメインは、N-末端からC-末端までF1からF4の順で4つのジンクフィンガー認識部位を含み、F1、F2、F3およびF4は、以下のアミノ酸配列:F1: QSGALAR (配列番号7); F2: RSDNLRE (配列番号3); F3: QSSDLSR (配列番号29); 及びF4: TSSNRKT (配列番号30) を含む、前記タンパク質を提供する。
他の実施態様では、本開示は、操作されたジンクフィンガータンパク質DNA-結合ドメインを含むタンパク質であって、該DNA-結合ドメインは、N-末端からC-末端までF1からF4の順で4つのジンクフィンガー認識部位を含み、F1、F2、F3およびF4は、以下のアミノ酸配列:F1: RSDTLSE (配列番号12); F2: NNRDRTK (配列番号13); F3: RSDHLSA (配列番号40); 及びF4: QSGHLSR (配列番号41) を含む、前記タンパク質を提供する。
別の局面では、本明細書に記載のジンクフィンガータンパク質のいずれか、及び少なくとも1つの開裂ドメイン又は少なくとも1つの開裂ハーフドメインを含む融合タンパク質も提供される。ある実施態様では、該開裂ハーフドメインは、野生型FokI開裂ハーフドメインである。他の実施態様では、該開裂ハーフドメインは、操作されたFokI開裂ハーフドメインである。
更に別の局面では、本明細書に記載のタンパク質のいずれかをコードするポリヌクレオチドが提供される。
更に別の局面では、本明細書に記載のタンパク質及び/又はポリヌクレオチドのいずれかを含む単離された細胞も提供される。
加えて、細胞又は細胞株においてdhfrを不活性化する方法における、ジンクフィンガータンパク質及びその融合体を用いる方法も提供される。ある実施態様では、dhfrの不活性化は、より高いレベルで(タンパク質を過剰発現する)対象の組換えタンパク質を産生することができる細胞株を生じる。
従って、別の局面では、本明細書では、細胞において細胞dhfr遺伝子(例えば、外来dhfr遺伝子)を不活性化する方法であって、(a) 細胞に、第1ポリヌクレオチドをコードする第1核酸を導入することを含み、
ここで該第1ポリヌクレオチドは、該ポリヌクレオチドが該細胞内で発現され、それによって該ポリペプチドが該標的部位に結合し、dhfrを開裂するように、
(i) 内因性dhfr遺伝子内の第1標的部位に結合するようにつくられるジンクフィンガーDNA-結合ドメイン;及び
(ii) 開裂ドメイン
を含む、前記方法が提供される。
更に別の局面では、開示は、宿主細胞内の対象の組換えタンパク質を産生する方法であって、以下のステップ:
(a) 内因性dhfr遺伝子を含む宿主細胞を提供し;
(b) 本明細書に記載の方法のいずれかによって該宿主細胞の内因性dhfr遺伝子を活性化し;
(c) 該宿主細胞に、導入遺伝子を含む発現ベクター、ここで、該導入遺伝子はdhfr遺伝子及び対象のタンパク質をコードする配列を含む、を導入し;並びに
(d) 該導入遺伝子は該宿主細胞に安定的に統合され及び該宿主細胞によって発現され、それによって該組換えタンパク質を産生する、細胞を選択すること、
を含む、前記方法を提供する。ある実施態様では、本方法は、この統合された導入遺伝子を含む宿主細胞をDHFR阻害剤(例えば、メトトレキサート)に曝露するステップを更に含む。
更なる局面では、本開示は、細胞増殖疾患を有する対象を治療する方法であって、以下のステップ:該対象の1以上の細胞内でdhfr遺伝子を請求項15記載の方法に従って不活性化するステップをポリペプチド含む、前記方法を提供する。ある実施態様では、該細胞増殖疾患は癌であり、例えば白血病又はリンパ腫である。本方法は、vivo又はex vivoで行われる。
本明細書に記載の細胞及び方法のいずれかにおいて、該細胞又は細胞株は、COS、CHO (例えば、CHO-S、CHO-K1、CHO-DG44、CHO-DUXB11、CHO- DUKX、CHOK1SV)、VERO、MDCK、WD 8、V79、B14AF28-G3、BHK、HaK、NSO、SP2/0-Ag14、HeLa、HEK293 (例えば、HEK293-F、HEK293-H、HEK293-T)、perC6、昆虫細胞、例えばスポプテラ・フルギペルタ(Spodoptera fugiperda)(Sf)、又は真菌細胞、例えばサッカロマイセス(Saccharomyces)、ピキア(Pischia)及びシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)でよい。
詳細な説明
dhfr遺伝子の部分的な又は完全な不活性化のための組成物及び方法が本明細書に記載されている。例えばdhfr遺伝子を標的細胞中で不活性化するための、これらの組成物(試薬)の製造法及びこれらの組成物(試薬)の使用法も開示される。標的細胞中でのdhfr遺伝子の不活性化は、葉酸阻害剤によって現在取り扱われる任意の条件を取り扱うために使用される。加えて、本明細書に記載の組成物及び方法は、組換えタンパク質発現のための細胞株を産生するために使用され得る。
ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)産物(DHFR)は、すべての真核細胞における本質的なアミノ酸及びヌクレオチド生合成に必要とされる。DHFRは、葉酸のジヒドロ葉酸へのNADPH-依存的還元を触媒し、テトラヒドロ葉酸にする。これらの還元された葉酸は、グリシン、プリンヌクレオチド及びDNA前駆体チミジル酸の生合成において本質的な補助因子である(Mitchell & Carothers (1986) Mol. Cell. Biol. 6(2): 425-440)。S-期のチミジル酸のde novo合成は、主なテトラヒドロ葉酸-消費反応であり、よって、このハウスキーピング遺伝子の活性は、増殖細胞において特に重要である。更に、dhfr遺伝子は、選択的圧力、例えばDHFR-特異的阻害剤、メトトレキサート(MTX)の存在、に反応して遺伝子増福を経る。Alt et al. (1978) J. Biol. Chem. 253(5): 1357-1370; Schimke et al. (1978) Science 202(4372): 1051-1055参照。
従って、DHFRは、長い間、治療的インターベンションのための標的であった。葉酸アンタゴニストは、抗感染薬、抗新生物薬及び抗炎症薬として試験されてきた (Scweitzer et al. (1990) FASEB J. 4(8): 2441-2552)。抗葉酸性トリメトプリム及びピリメタミンは、それぞれ、細菌及び原生動物のDHFRの強力な阻害剤であるが、哺乳動物のDHFRの弱い阻害剤にすぎない。メトトレキサートは、抗癌剤として、及び抗炎症剤及び免疫抑制剤として臨床的状況で最も頻繁に使用されるDHFR阻害剤である。
細胞増殖におけるDHFRの本質的役割は、組換えタンパク質発現のための改良された哺乳動物細胞に基づく系の開発も可能にした。治療的タンパク質産生の収量を上げる点にかなりの努力が払われてきた。組換えDNA技術における初期の努力は、内因性DHFR発現が、dhfr遺伝子座での両アレル変異もしくは欠陥によって除かれ又はかなり減じられるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を利用した (Urlaub et al. (1980) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 77(7): 4216-4220; Urlaub et al. (1983) Cell 33(2): 405-412)。これらの細胞は、葉酸代謝経路及びDHFR欠損を回避したサルベージ経路の構成要素によって補充された媒体中でのみ増殖するだろう(グリシン、チミジン及びヒポキサンチンを含む)。
しかしながら、内因性DHFRの欠如は、DHFR発現カセットを有するプラスミドを細胞に送達することによっても解決され得る。この相補的方法は細胞選択を可能にするものであり、そこでは、dhfr-/-遺伝的背景において、dhfr導入遺伝子が安定的に統合され及び発現されるようになった。選択は、救援経路の重要な基質−通常、ヒポキサンチン及びチミジンにおいて欠如している媒体に細胞を移動させることによって容易に達成される (Grouse et al. (1983) Mol. Cell Biol 3(2): 257-266)。組換えタンパク質産生プロセスは、プラスミドにしっかりと結合される外来DNA配列が共統合される可能性があるという事実を利用している。従って、dhfr選択マーカーを標的タンパク質の発現構造体に結合させることによって、後者は、dhfr導入遺伝子及びdhfrマーカーを介して選択された安定なクローンと一緒に共統合するだろう。
統合されたdhfrマーカー遺伝子のコピー数は、標的組換えタンパク質の関連発現カセットと共に、DHFR阻害剤すなわちメトトレキサートの形態で選択的圧力を適用することによってその後増福される。メトトレキサートの増加するレベルは、選択的圧力を回避することができる細胞のみについて選び出す。高レベルのメトトレキサートの存在下で生存する細胞の能力は、dhfr導入遺伝子の増加したコピー数と関連する。遺伝子増福のプロセスの間に、dhfrマーカーに隣接して存在するプラスミド上の他の遺伝子はまた、コピー数が増幅されることになるだろう、それによってその発現産物のレベルを増加させるだろう。この方法によって、組換えタンパク質収量の増加が達成され得る。
従って、本明細書に記載の方法及び組成物は、細胞増殖速度、生存性又は他の代謝的プロセスに対する逆の効果なしに、dhfrの速い機能性欠失を可能にする標的された遺伝子ノックアウトのための非常に効率的な方法を提供する。
概要
本明細書に開示された方法、並びに組成物の製造及び組成物の使用の実施は、他に指摘しない限り、分子生物学、生化学、クロマチン構造及び分析、計算機化学、細胞培養、組換えDNA及び当該分野の技術内にある関連分野における慣用技術を採用する。これらの技術は、文献で十分に説明される。例えば、Sambrook et al. MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989及び第3版, 2001; Ausubel et al, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, New York, 1987及び定期的更新; シリーズMETHODS IN ENZYMOLOGY, Academic Press, San Diego; Wolffe, CHROMATIN STRUCTURE AND FUNCTION, 第3版, Academic Press, San Diego, 1998; METHODS IN ENZYMOLOGY, Vol. 304, "Chromatin" (P.M. Wassarman and A. P. Wolffe著), Academic Press, San Diego, 1999; 並びにMETHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, Vol. 119, "Chromatin Protocols" (P .B. Becker著) Humana Press, Totowa, 1999を参照。
定義
用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、交換的に使用され、直鎖又は環状の構造の及び単一-又は二重-鎖形態のいずれかでの、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーを意味する。本開示の目的のために、これらの用語は、ポリマーの長さに関して限定するものと解釈してはならない。用語は、天然ヌクレオチド、及び塩基、糖及び/又はリン酸部分において修飾されるヌクレオチド、の公知のアナログを含む(例えば、ホスホロチオエート型骨格)。一般的に、特定のヌクレオチドのアナログは、同一の塩基対特異性を有する、すなわちAのアナログはTと塩基対を形成する。
用語「ポリヌクレオチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを称するために交換的に使用される。該用語はまた、1以上のアミノ酸が対応する天然アミノ酸の化学的アナログ又は修飾誘導体である、アミノ酸ポリマーに適用される。
「結合」は、高分子間(例えば、タンパク質と核酸との間)の配列特異的な非-共有結合を意味する。全体が配列特異的であるような相互作用である限り、結合相互作用のすべての成分が配列特異的である(例えば、DNA骨格中のリン酸残基と相互作用する)必要はない。このような相互作用は、一般的に、10-6 M-1以下の解離定数(Kd)によって特徴付けられる。「親和性」は結合強度を称し;高い結合親和性は低いKdに関連する。
「結合タンパク質」は、別の分子に非-共有結合的に結合することができるタンパク質である。結合タンパク質は、例えば、DNA分子(DNA-結合タンパク質)、RNA分子(RNA-結合タンパク質)及び/又はタンパク質分子(タンパク質-結合タンパク質)に結合できる。タンパク質-結合タンパク質の場合に、それは、(ホモダイマー、ホモトリマー等を形成するために)それ自体に結合し、及び/又は異なったタンパク質(又は複数)の1以上の分子に結合できる。結合タンパク質は、1種を超える結合活性を有することができる。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA-結合、RNA-結合及びタンパク質-結合の活性を有する。
「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」(又は結合ドメイン)は、タンパク質、又はより大きなタンパク質内のドメインであり、それは、その構造が亜鉛イオンの配位によって安定化される結合ドメイン内のアミノ酸配列の部位である1以上のジンクフィンガーによって配列特異的な方法でDNAと結合する。用語ジンクフィンガーDNA結合タンパク質は、ジンクフィンガータンパク質又はZFPとして一般的に略される。
ジンクフィンガー結合ドメインは、所定のヌクレオチド配列に結合するように「操作され」得る。ジンクフィンガータンパク質をつくる方法の非-限定的な例は、デザイン及び選択である。デザインされたジンクフィンガータンパク質は、そのデザイン/組成が基本的には合理的な基準から起こる、本来、天然でないタンパク質である。デザインの合理的基準は、置換規則の適用、並びに既存のZFPデザイン及び結合データのデータベース保存情報における情報を処理するためのコンピュータ化されたアルゴリズムを含む。例えば、米国特許第6,140,081号明細書; 同第6,453,242号明細書; 及び同第6,534,261号明細書を参照;WO 98/53058; WO 98/53059; WO 98/53060; WO 02/016536及びWO 03/016496も参照。
「選択された」ジンクフィンガータンパク質は、その産生がファージディスプレイ、相互作用トラップ又はハイブリッド選択のような実証的プロセスから主に得られる、本来、見出されないタンパク質である。例えば、米国特許第5,789,538号明細書; 同第5,925,523号明細書; 同第6,007,988号明細書; 同第6,013,453号明細書; 同第6,200,759号明細書; WO 95/19431; WO 96/06166; WO 98/53057; WO 98/54311; WO 00/27878; WO 01/60970 WO 01/88197、及びWO 02/099084を参照。
用語「配列」は、DNA又はRNAでよく、直鎖、環状又は分岐でよく、単一-鎖又は二重鎖のいずれかでよい、任意の長さのヌクレオチド配列を称する。用語「ドナー配列」は、ゲノムに挿入されるヌクレオチド配列を称する。ドナー配列は、任意の長さ、例えば2〜10,000ヌクレオチド長(又はその間の任意の整数もしくはそれを超える任意の整数)、好ましくは約100〜1,000ヌクレオチド長(又はその間の任意の整数)、より好ましくは約200〜500ヌクレオチド長でよい。
「相同な非-同一配列」は、第2配列とある程度の配列同一性を共有するが、その配列は第2配列の配列とは同一ではない、第1配列を称する。例えば、変異遺伝子の野生型配列を含むポリヌクレオチドは、変異遺伝子の配列に対して相同であり、かつ非-同一である。ある実施態様では、2つの配列間の相同性の程度は、通常の細胞メカニズムを利用して、それらの間の相同組換えを許容するために十分である。2つの相同な非-同一配列は、任意の長さでよく、非-相同の程度は、(例えば、標的された相同組換えによるゲノム点変異の修正のために)単一ヌクレオチド程に小さくてよく、あるいは(染色体中の所定の異所性部位での遺伝子の挿入のために)10キロベース以上程大きくてもよい。相同な非-同一配列を含む2つのポリヌクレオチドは、同一の長さである必要はない。例えば、20〜10,000ヌクレオチド又はヌクレオチド対の外来ポリヌクレオチド(すなわち、ドナーポリヌクレオチド)が使用され得る。
核酸及びアミノ酸配列同一性を決定するための技術は、当該分野で知られている。典型的には、このような技術は、遺伝子用のmRNAのヌクレオチド配列を決定し、及び/又はそれによってコードされるアミノ酸配列を決定すること、並びにこれらの配列を、第2ヌクレオチド又はアミノ酸配列と比較すること、を含む。ゲノム配列も、この方法で決定され比較され得る。一般的に、同一性は、2つのポリヌクレオチドもしくはポリペプチド配列の正確なヌクレオチド-対-ヌクレオチド又はアミノ酸-対-アミノ酸対応を称する。2以上の配列(ポリヌクレオチド又はアミノ酸)は、それらの同一性パーセントを決定することによって比較され得る。2つの配列の同一性パーセントは、核酸であろうとアミノ酸配列であろうと、短い配列の長さによって割って100を乗じた、2つ並べた配列間の正確な一致の数である。核酸配列の好適なアラインメントは、Smith and Waterman, Advances in Applied Mathematics 2: 482-489 (1981) のローカル相同性アルゴリズムによって提供される。このアルゴリズムは、Dayhoff, Atlas of Protein Sequences and Structure. M.O. Dayhoff ed., 5 suppl. 3: 353-358, National Biomedical Research Foundation, Washington, D.C., USA, and normalized by Gribskov, Nucl. Acids Res. 14(6): 6745-6763 (1986) によって開発されたスコアリングマトリックスを用いて、アミノ酸配列に適用され得る。配列の同一性パーセントを決定するためのこのアルゴリズムの具体的な実行は、"BestFit" Utility ApplicationにおけるGenetics Computer Group (Madison, WI) によって提供される。この方法のデフォルトパラメータは、Wisconsin Sequence Analysis Package Program Manual, Version 8 (1995) (Genetics Computer Group, Madison, WIから入手可能) に記載されている。本発明の開示の文脈において同一性パーセントを確立する好ましい方法は、John F. Collins and Shane S. Sturrok, and distributed by IntelliGenetics, Inc. (Mountain View, CA) によって開発されたエディンバラ大学により著作権を取得したプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。この一組のパッケージから、Smith-Watermanアルゴリズムは、デフォルトパラメータがスコア・テーブル(例えば、12のギャップオープンペナルティー、1つのギャップ伸張ペナルティー、及び6つのギャップ)のために使用される場合に採用され得る。生じたデータから、「マッチ」値は配列同一性を反映する。配列間の同一性のパーセント又は類似性のパーセントを計算するための他の好適なプログラムは、当該分野で一般的に知られており、例えば、別のアラインメントプログラムはデフォルトパラメータと共に使用されるBLASTである。例えば、BLASTN及びBLASTPは、以下のパラメータ:遺伝子コード = スタンダート; フィルタ = なし; ストランド = 2つ; カットオフ = 60; エクセプト = 10; マトリックス = BLOSUM62; ディスクリプション = 50配列; 分類 = ハイスコア; データベース = 非-重複、GenBank + EMBL + DDBJ + PDB + GenBank CDS翻訳 + Swiss protein + Spupdate + PIRを用いて使用され得る。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレスに見出される:http://www.ncbi.nlm.gov/cgi-bin/BLAST。本明細書に記載の配列に関して、配列同一性の所望の範囲は、約80%〜100%、及びその間の任意の整数値である。典型的には、配列間の同一性パーセントは、少なくとも70〜75%、好ましくは80〜85%、より好ましくは85〜90%、更により好ましくは92%、なおより好ましくは95%、及び最も好ましくは98%の配列同一性である。
あるいは、ポリヌクレオチド間の配列類似性の程度は、相同な部位間の安定な二重鎖形成を可能にする条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、次いで単一鎖-特異的ヌクレアーゼ(複数)による消化、及び消化された断片のサイズ決定によって決定され得る。配列が、上記の方法を用いて決定される分子の確定した長さに渡って、少なくとも約70%〜75%、好ましくは80%〜82%、より好ましくは85%〜90%、更により好ましくは92%、なおより好ましくは95%、及び最も好ましくは98%の配列同一性である時に、2つの核酸、又は2つのポリヌクレオチド配列は、実質的に他のものと相同である。本明細書に記載されているように、実質的な相同性は、特定のDNA又はポリペプチド配列と完全同一性を示す配列も意味する。実質的に相同であるDNA配列は、特定の系について定義された、例えばストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験で特定され得る。好適なハイブリダイゼーション条件を定義することは、当業者の範囲内である。例えば、Sambrook et al., 前掲; Nucleic Acid Hybridization: A Practical Approach, editors B.D. Hames and SJ. Higgins, (1985) Oxford; Washington, DC; IRL Press) を参照
2つの核酸断片の選択的ハイブリダイゼーションは、以下のようにして決定され得る。2つの核酸分子間の配列同一性の程度は、このような分子間のハイブリダイゼーション事象の効率及び強度に影響を与える。部分的に同一な核酸配列は、標的分子と完全に同一の配列のハイブリダイゼーションを少なくとも部分的に阻害するだろう。完全に同一の配列のハイブリダイゼーションの阻害は、当該分野で周知であるハイブリダイゼーションアッセイを用いて評価され得る (例えば、Southern (DNA) blot, Northern (RNA) blot, solution hybridization, or the like, see Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, (1989) Cold Spring Harbor, N. Y.)。かかるアッセイは、変動する選択性の程度、例えば低緊縮性から高緊縮性に変化する条件を用いることによって用いて行われる。緊縮性の条件が採用される場合、非-特異的結合事象の非存在下において、二次的プローブが標的にハイブリダイズしないように、非-特異的結合の非存在は、配列同一性の部分的程度でさえ欠ける二次的プローブ(例えば、標的分子と約30%未満の配列同一性を有するプローブ)を用いて評価され得る。
ハイブリダイゼーション-型検出系を利用する場合、対照の核酸配列と相補的である核酸プローブが選択され、次いで、好適な条件の選択によって、プローブ及び参照配列は、選択的に互いにハイブリダイズし又は結合して二重鎖分子を形成する。中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で参照配列に選択的にハイブリダイズすることができる核酸分子は、選択された核酸プローブの配列と少なくとも約70%の配列同一性を有する少なくとも約10〜14ヌクレオチド長の標的核酸配列の検出を可能にする条件下で、典型的にハイブリダイズする。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、典型的には、選択された核酸プローブの配列と少なくとも約90〜95%超の配列同一性を有する少なくとも約10〜14ヌクレオチド長の標的核酸配列の検出を可能にする。プローブ及び参照配列が特定の配列同一性を有するプローブ/参照配列のハイブリダイゼーションに有用なハイブリダイゼーション条件は、当該分野で知られているようにして決定され得る(例えば、Nucleic Acid Hybridization: A Practical Approach, editors B. D. Hames and SJ. Higgins, (1985) Oxford; Washington, DC; IRL Press参照)。
ハイブリダイゼーションの条件は当業者に周知である。ハイブリダイゼーション緊縮性は、ハイブリダイゼーション条件がミスマッチのヌクレオチドを含むハイブリッドの形成を嫌う程度を意味し、ミスマッチのハイブリッドに対するより低い寛容性と相関するより高い緊縮性がある。ハイブリダイゼーションの緊縮性に影響を与える因子は、当業者に周知であり、温度、pH、イオン強度及びホルムアミド及びジメチルスルホキシドのような有機溶媒の濃度を含むがこれらに限定されない。当業者に知られているように、ハイブリダイゼーション緊縮性は、より高温、より低いイオン強度及びより低い溶媒濃度によって増大される。
ハイブリダイゼーションの緊縮性条件に関して、当該分野では周知なことであるが、多数の等価な条件は、以下の因子:配列の長さ及び性質、様々な配列の塩基組成、ハイブリダイゼーション溶液中のブロッキング剤の存在又は非存在(例えば、硫酸デキストラン及びポリエチレングリコール)、ハイブリダイゼーション反応温度及び時間パラメータを変えることによって、並びに洗浄条件を変えることによって、特定の緊縮性を確立するために採用され得る。ハイブリダイゼーション条件の特定のセットの選択は、当該分野における以下の標準的な方法に従って選択される(例えば、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Second Edition, (1989) Cold Spring Harbor, N.Y.を参照)。
「組換え」は、2つのポリヌクレオチド間の遺伝子形成の交換プロセスを意味する。この開示の目的のために、「相同的な組換え(HR)」は、例えば細胞での二重鎖切断の修復中に起こるこのような交換の特定の形態を意味する。このプロセスは、ヌクレオチド配列相同性を必要とし、「標的」分子の鋳型修復に対して「ドナー」分子(すなわち、二重鎖切断の経験した分子)を使用し、そして、ドナーから標的までの遺伝子形成の移動をもたらすので、「非交差型遺伝子変換」又は「小さい領域の遺伝子変換」として広く知られている。任意の特定の理論に拘束されるものではないが、このような移動は、切断された標的とドナーとの間に形成するヘテロ二重鎖DNAのミスマッチ修正、及び/又は「合成-依存型鎖アニーリング」を含むことができる。そこでは、ドナーは、標的の一部となる遺伝子形成及び/又は関連したプロセスを再合成するために使用される。ドナーポリヌクレオチドの配列の一部又は全部が標的ポリヌクレオチドに取り込まれるように、このような特定のHRは、通常、標的分子の配列の変更をもたらす。
「開裂」は、DNA分子の共有結合骨格を意味する。開裂は、リン酸ジエステル結合の酵素的又は化学的加水分解を含むがこれらに限定されない様々な方法によって開始される。単一鎖開裂及び二重鎖開裂はいずれも可能であり、二重鎖開裂は、2つの異なった単一鎖開裂事象の結果として起こり得る。DNA開裂は、平滑末端又はねじれ末端のいずれかの生成をもたらすことができる。ある実施態様では、融合ポリペプチドは、標的二重鎖DNA開裂のために使用される。
「開裂ハーフドメイン」は、第2ポリペプチド(同一又は異なった)と関連して、開裂活性(好ましくは二重鎖開裂活性)を有する複合体を形成する、ポリペプチド配列である。用語「第1及び第2開裂ハーフドメイン」、「+及び-開列ハーフドメイン」、及び「右及び左開裂ハーフドメイン」は、重合する開裂ハーフドメイン対を意味するために交換的に使用される。
「操作された開裂ハーフドメイン」は、別の開裂ハーフドメイン(例えば、別の操作された開裂ハーフドメイン)とヘテロダイマーを形成させるように修飾された開裂ハーフドメインである。文献としてその全体が本明細書に援用されている、米国特許出願第10/912,932号及び同第11/304,981号、及び米国仮出願第第60/808,486号(2006年5月25日出願)を参照。
「クロマチン」は、細胞ゲノムを含む核タンパク質構造である。核クロマチンは、核酸、主にDNA、及びヒストン及び非-ヒストンの染色体タンパク質を含むタンパク質、を含む。真核細胞クロマチンの大部分は、ヌクレオソームの形態で存在する。ヌクレオソーム核は、ヒストンH2A、H2B、H3及びH4の内の2つを含むオクタマーと会合した約150塩基対のDNAを含み;リンカーDNA(生物によって長さが変わる)はヌクレオソーム核間に延びている。ヒストンH1の分子は、一般的にリンカーDNAと関連する。本開示の目的のために、用語「クロマチン」は、原核生物及び真核生物の細胞核タンパク質のすべての種類を包含することを意味する。細胞クロマチンは、染色体クロマチン及びエピソームクロマチンを含む。
「染色体」は、細胞のゲノムのすべて又は一部分を含むクロマチンである。細胞ゲノムは、通常、その核型によって特徴付けられ、それは、細胞ゲノムを含む染色体のすべての集合である。細胞ゲノムは、1以上の染色体を含むことができる。
「エピソーム」は、複製核酸、核タンパク質複合体、又は細胞の染色体核型の一部でない核酸を含む他の構造である。エピソームの例は、プラスミド及びあるウイルスゲノムを含む。
「接近可能な領域」は、核酸に存在する標的部位が、該標的部位を認識する外因性分子によって結合され得る、細胞クロマチン内の部位である。任意の特定の理論に拘束されるものではないが、接近可能な領域は、ヌクレオソーム構造にパッケージされないものであると考えられる。接近可能な領域の異なった構造は、通常、化学的及び酵素的プローブ、例えばヌクレアーゼへのその感度によって検出され得る。
「標的部位」又は「標的配列」は、結合のための十分な条件が存在することを条件に、結合分子が結合する核酸の一部を定義する、核酸配列である。例えば、配列5'-GAATTC-3'は、Eco RI制限エンドヌクレアーゼのための標的部位である。
「外来」分子は、通常、細胞中に存在しないが、1以上の遺伝的、生化学的又は他の方法によって、細胞に導入され得る、分子である。「細胞中の正常な存在」は、特定の発達段階及び細胞の環境条件に関して決定される。従って、例えば、筋肉の胚発育中にのみ存在する分子は、成人筋肉細胞に関して外因性分子である。同様に、ヒートショックによって誘導される分子は、非-ヒートショック細胞に関して外因性分子である。外因性分子は、例えば、うまく機能しない内因性分子、又は正常に機能する内因性分子のうまく機能しない種類を含むことができる。
内因性分子は、他のものの中で、例えばコンビナトリアル化学法によってつくられる小分子、又は高分子、例えばタンパク質、核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポ蛋白、多糖、上記の分子の任意の修飾誘導体、もしくは上記の分子の1以上を含む任意の複合体でよい。核酸は、DNA及びENAを含み、単一-又は二重-鎖でよく;直線状、分岐状又は環状でよく;及び任意の長さでよい。核酸は、二重鎖を形成することができるもの及び三重鎖を形成する核酸を含む。例えば、米国特許第5,176,996号明細書及び同第5,422,251号明細書を参照。タンパク質は、DNA-結合タンパク質、転写因子、クロマチン再構築因子、メチル化DNA結合タンパク質、ポリメラーゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、アセチラーゼ、デアセチラーゼ、キナーゼ、フォスファターゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、リガーゼ、トポイソメラーゼ、グリラーゼ及びヘリカーゼを含むがこれらに限定されない。
外因性分子は、内因性分子として同一の種類の分子、例えば外来タンパク質又は核酸を含むことができる。例えば、内因性核酸は、細胞に導入された感染ウイルスゲノム、プラスミドもしくはエピソーム、又は細胞に通常存在する染色体を含むことができる。外来性分子の細胞への導入のための方法は、当業者に公知であり、脂質-介在トランスファー(すなわち、中性脂質及びカチオン性脂質を含むリポソーム)、エレクトロポレーション、直接的注入、細胞融合、粒子照射、リン酸カルシウム共沈殿、DEAE-デキストラン-介在トランスファー及びウイルスベクター-介在トランスファーを含むがこれらに限定されない。
対照的に、「内因性」分子は、特定の環境的条件下で特定の発達段階の特定の細胞に一般的に存在するものである。例えば、内因性核酸は、染色体、ミトコンドリアのゲノム、クロロプラストもしくは他のオルガネラ、又は天然エピソーム核酸を含むことができる。更なる内因性分子は、タンパク質、例えば転写因子及び酵素を含むことができる。
「融合」分子は、2以上のサブユニット分子が好ましくは共有結合的に結合された分子である。該サブユニット分子は、同一の化学種の分子でよく、又は異なった化学種の分子でもよい。第1種の融合分子の例は、融合タンパク質(例えば、ZFP DNA-結合ドメインと開裂ドメインとの融合)、及び融合核酸(例えば、前掲の融合タンパク質をコードする核酸)を含むがこれらに限定されない。第1種の融合分子の例は、三重鎖-形成核酸とポリペプチドとの融合、及び副溝結合剤と核酸との融合を含むが、これらに限定されない。
細胞中の融合タンパク質の発現は、融合タンパク質の細胞への送達から起こるか、又は融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの細胞への送達によって起こり得る。その細胞では、ポリヌクレオチドは転写され、転写物は翻訳されて融合タンパク質を生じる。トランス-スプライシング、ポリペプチド開裂及びポリペプチドライゲーションも、細胞内のタンパク質の発現に関連し得る。ポリヌクレオチド及びポリペプチドの該細胞への送達方法は、本開示の至る所に記載されている。
本開示の目的のための「遺伝子」は、遺伝子産物をコードするDNA領域(後記参照)、及び該遺伝子産物の産生を調節するすべてのDNA領域(そのような調節配列がコーディング及び/又は転写された配列に隣接しているか否かにかかわらず)を含む。従って、遺伝子は、プロモーター配列、ターミネーター、翻訳制御配列、例えばリボゾーム結合部位及び内部リボゾーム進入部位、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、境界因子、複製起点、マトリックス接合部位及び遺伝子座制御領域を含むが、必ずしもこれらに限定されない。
「遺伝子発現」は、遺伝子内に含まれる情報の、遺伝子産物への変換を意味する。遺伝子産物は、直接的転写遺伝子産物(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボゾーム、構造的RNA又は任意の他の種類のRNA)、あるいはmRNAの翻訳によって産生されるタンパク質でよい。遺伝子産物はまた、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化及び編集のようなプロセスによって修飾されるRNA、及び例えばメチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADP-リボシル化、ミリスチル化及びグリコシル化によって修飾されるタンパク質を含む。
遺伝子発現の「調節」とは、遺伝子の活性の変化を意味する。発現の調節は、遺伝子活性化及び遺伝子抑制を含むがこれらに限定されない。
「真核」細胞は、真菌細胞(例えば酵母)、植物細胞、動物細胞、哺乳動物細胞及びヒト細胞(例えば、T-細胞)を含むがこれらに限定されない。
「対象の領域」は、外因性分子に結合することが好ましい細胞クロマチンの任意の領域、例えば、遺伝子、又は遺伝子内のもしくは遺伝子に隣接した非-コーディング配列である。結合は、標的DNA開裂及び/又は標的組換えの目的のためでよい。対象の領域は、例えば、染色体、エピソーム、オルガネラゲノム(例えば、ミトコンドリア、クロロプラスト)、又は感染ウイルスゲノムに存在し得る。対象の領域は、遺伝子のコーディング領域内、転写された非-コーディング領域内、例えばリーダー配列、トレーラー配列又はイントロン、あるいは該コーディング領域の上流又は下流のいずれかの非-転写領域内にある。対象の領域は、単一ヌクレオチド対、又は最高2,000ヌクレオチド対の長さのように小さくてもよく、あるいはヌクレオチド対の任意の整数値でもよい。
用語「作動的連結」及び「作動的に連結された」(又は「作動可能に連結された」)は、2以上の成分(例えば配列要素)の並びに関して交換的に使用される。そこでは、2つの成分が正常に機能し、該成分の少なくとも1つが他の成分の少なくとも1つに働く機能を介在することができる可能性を許容するように、該成分が並べられる。例として、転写制御配列が、1以上の転写制御因子の存在又は非存在への応答において、コーディング配列の転写レベルを制御する場合には、プロモーターのような転写制御配列は、コーディング配列に作動的に連結される。転写制御配列は、一般的に、コーディング配列とシスに作動的に連結されるが、それに直接、隣接する必要はない。例えば、エンハンサーは、それらが隣接していなくても、コーディング配列に作動的に連結される転写制御配列である。
融合タンパク質に関して、用語「作動的に連結された」は、成分の各々が、例え連結されてなくても、他の成分と連結して同一の機能を果たすという事実を意味する。例えば、ZFP DNA-結合ドメインが開裂ドメインに融合される融合ポリペプチドに関して、ZFP DNA-結合ドメイン及び開裂ドメインは、融合ポリペプチドにおいて、ZFP DNA-結合ドメイン部分がその標的部位及び/又はその結合部位に結合することができる場合には、作動的連結にあり、一方、開裂ドメインは、標的部位の近くでDNAを開裂することができる。
タンパク質、ポリペプチド又は核酸の「機能性断片」は、その配列が完全長タンパク質、ポリペプチド又は核酸とは同一でないが、完全長タンパク質、ポリペプチド又は核酸と同一の機能を保持する、タンパク質、ポリペプチド又は核酸である。機能性断片は、対応する天然分子よりも多い残基、少ない残基、又は同一数の残基を有し、及び/又は1以上のアミノ酸もしくはヌクレオチド置換を含むことができる。核酸の機能を決定する方法(例えば、コーディング機能、別の核酸にハイブリダイズする能力)は、当該分野で周知である。同様に、タンパク質機能を決定する方法は周知である。例えば、ポリペプチドのDNA-結合機能は、例えば、フィルター-結合、電気泳動移動-シスト、又は免疫沈降アッセイによって決定され得る。Ausubel et al(前掲)参照。別のタンパク質と相互作用するタンパク質の能力は、例えば、共-免疫沈降、ツーハイブリッドアッセイ、又遺伝的及び生化学的な相補性によって決定され得る。例えば、Fields et al (1989) Nature 340: 245-246; 米国特許第5,585,245号明細書及びPCT WO 98/44350参照。
ジンクフィンガーヌクレアーゼ
dhfr遺伝子の不活性化に使用され得るジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)が本明細書に記載されている。ZFNは、ジンクフィンガータンパク質(ZFP)及びヌクレアーゼ(開裂)ドメインを含む。
A. ジンクフィンガータンパク質
ジンクフィンガー結合ドメインは、最適な配列に結合するように操作され得る。例えば、Beerli et al (2002) Nature Biotechnol. 20: 135-141; Pabo et al. (2001) Ann. Rev. Biochem. 70: 313-340; Isalan et al. (2001) Nature Biotechnol. 19: 656-660; Segal et al (2001) Curr. Opin. Biotechnol. 12: 632-637; Choo et al (2000) Curr. Opin. Struct. Biol. 10: 411-416参照。操作されたジンンクフィンガー結合ドメインは、天然ジンクフィンガータンパク質と比べて、新規な結合特異性を有することができる。操作方法は、合理的デザイン、及び様々な種類の選択を含むがこれらに限定されない。合理的デザインは、例えばデータベースを用いて、三重鎖(又は四重鎖)ヌクレオチド配列及び各々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含む。各三重鎖又は四重鎖ヌクレオチド配列は、特定の三重鎖又は四重鎖ヌクレオチド配列に結合するジンクフィンガーの1以上のアミノ酸配列に関連している。例えば、文献としてその全体が本明細書に援用される、共有の米国特許第6,453,242号明細書及び同第6,534,261号明細書を参照。
ファージディスプレイ及びツーハイブリッド系を含む具体的な選択法は、米国特許第5,789,538号明細書; 同第5,925,523号明細書; 同第6,007,988号明細書; 同第6,013,453号明細書; 同第6,410,248号明細書; 同第6,140,466号明細書; 同第6,200,759号明細書; 及び同第6,242,568号明細書; 並びにWO 98/37186; WO 98/53057; WO 00/27878; WO 01/88197及びGB 2,338,237に開示されている。
ジンクフィンガー結合ドメインの結合特異性の増加は、例えば共有のWO 02/077227に開示されている。
標的部位の選択;融合タンパク質(及び融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド)のデザイン及び構築の方法は、当業者に知られており、文献としてその全体は本明細書に援用されている、米国特許出願第10/912,932号及び同第11/304,981号に詳細に記載されている。
表1は、dhfr遺伝子のヌクレオチド配列に結合するように操作されている多数のジンクフィンガー結合ドメインを記載している。また、図1を参照。各矢印は、別個のジンクフィンガーDNA-結合ドメインを記載している。各ドメインのDNA標的配列は、第1カラムに示されており(DNA標的部位は大文字で示され;非-接触ヌクレオチドは小文字で示されている)、第2〜第5カラムは、タンパク質のジンクフィンガー(F1〜f4)の各々の認識領域のアミノ酸配列(ヘリックスの開始に関して、-1〜+6のアミノ酸)を示す。第1カラムでは、あるタンパク質について特定された数が示される。
Figure 2009537140
以下に記載するように、ある実施態様では、表1に示される4-又は5-フィンガー結合ドメインは、開裂ハーフドメイン、例えば、FokIのようなIIS型制限エンドヌクレアーゼの開裂ドメインに融合される。このようなジンクフィンガー/ヌクレアーゼハーフドメイン融合体の一対は、例えば米国特許公開第20050064474号(出願第10/912,932号)に開示されているように、標的開裂のために使用される。
標的開裂のためには、結合部位の近傍縁は、5以上のヌクレオチド対によって分離され、融合タンパク質の各々はDNA標的の反対鎖に結合できる。表1及び図1に示されるデザインの対を形成する組み合わせのすべては、dhfr遺伝子の標的開裂のために使用され得る。本開示に従って、ZFNは、dhfr遺伝子内の任意の配列に標的され得る。
B. 開裂ドメイン
ZFNは、ヌクレアーゼ(開裂ドメイン、開裂ハーフドメイン)も含む。本明細書に開示された融合タンパク質の開裂ドメイン部分は、任意のエンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼから得られる。開裂ドメインが得られる具体的なエンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼ及びホーミング・エンドヌクレアーゼを含むがこれらに限定されない。例えば、2002-2003 Catalogue, New England Biolabs, Beverly, MA; and Belfort et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25: 3379-3388。DNAを開裂する更なる酵素が知られている (例えば、 S1ヌクレアーゼ; 緑豆ヌクレアーゼ; 膵臓DNase I; ミクロコッカル・ヌクレアーゼ; 酵母HOエンドヌクレアーゼ; Linn et al. (eds.) Nucleases, Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照)。これらの酵素(又はその機能性断片)の1以上は、開裂ドメイン及び開裂ハーフドメインの起源として使用され得る。
同様に、開裂ハーフドメインは、開裂活性のための重合化を必要とする、上記の任意のヌクレアーゼ又はその部分から誘導され得る。一般的に、融合タンパク質が開裂ハーフドメインを含む場合には、2つの融合タンパク質が開裂に必要とされる。あるいは、2つの開裂ハーフドメインを含む単一タンパク質が使用される。2つの開裂ハーフドメインは、同一のエンドヌクレアーゼ(又はその機能性断片)から得られるか、又は各々の開裂ハーフドメインは、異なったエンドヌクレアーゼ(又はその機能性断片)から得られる。加えて、各々の標的部位への2つの融合タンパク質の結合が、例えば重合によって開裂ハーフドメインを機能性開裂ドメインに形成させる空間方向で、開裂ハーフドメインを互いに配置するように、2つの融合タンパク質のための標的部位は好ましくは互いに処理される。従って、ある実施態様では、標的部位の近傍縁は、5〜8ヌクレオチド又は15〜18ヌクレオチドによって分離される。しかしながら、任意の整数のヌクレオチド又はヌクレオチド対は、2つ(例えば、2〜50ヌクレオチド対又はそれ以上)の標的部位間に介在できる。一般的に、開裂部位は標的部位間に存在する。
制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は、多くの種に存在し、(認識部位で)DNAに配列-特異的に結合することができ、結合部位又はその近傍でDNAを開裂することができる。ある制限酵素(例えば、IIS型)は、認識部位から除かれた部位でDNAを開裂し、分離可能な結合及び開裂ドメインを有する。例えば、IIS型酵素FokIは、1つの鎖の認識部位から9ヌクレオチド、及び他方の認識部位から13ヌクレオチドで、DNAの二重鎖開裂を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号明細書; 同第5,436,150号明細書及び同第5,487,994号明細書; 並びにLi et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4275-4279; Li et al (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2764-2768; Kim et al. (1994a) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 883-887; Kim et al. (1994b) J. Biol. Chem. 269: 31, 978-31, 982参照。従って、1つの実施態様では、融合タンパク質は、少なくとも1つのIIS型制限酵素由来の開裂ドメイン(又は開裂ハーフドメイン)、及び操作されても又は操作されなくてもよい1以上のジンクフィンガー結合ドメインを含む。
その開裂ドメインが結合ドメインから分離できる具体的なIIS型制限酵素は、FokIである。この特定の酵素は、二量体として活性である。Bitinaite et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 10,570-10,575。従って、本開示の目的のために、開示された融合タンパク質で使用されたFokI酵素の部分は、開裂ハーフドメインと考えられる。従って、ジンクフィンガー-FokI融合体を用いる標的二重鎖開裂及び/又は細胞配列の標的置換のために、2つの融合タンパク質(それぞれ、FokI開裂ハーフドメインを含む)は、触媒的に活性な開裂ドメインを再構築するために使用され得る。あるいは、ジンクフィンガー結合ドメイン及び2つのFokI開裂ハーフドメインを含む単一ポリペプチド分子も使用される。ジンクフィンガー-FokI融合体を用いる標的開裂及び標的配列改変のためのパラメータは、本開示の至るところで提供される。
開裂ドメイン又は開裂ハーフドメインは、開裂活性を保持する又は機能性開裂ドメインを形成するための多量化(例えば二量化)する能力を保持するタンパク質の任意の部分でよい。
具体的なIIS型制限酵素は、本明細書にその全体が援用される国際出願WO 07/014275に記載されている。追加の制限酵素は、分離可能な結合及び開裂ドメインも含み、これらは本開示によって考慮される。例えば、Roberts et al. (2003) Nucleic Acids Res. 31: 418-420参照。
ある実施態様では、例えば、本明細書にその全体が文献として援用されている米国特許公開第20050064474号及び同第20060188987号 (それぞれ、出願第10/912,932号及び出願第11/304,981号)、並びにUS仮出願第60/808,486号 (2006年5月25日出願) に記載されているように、開裂ドメインは、ホモ二量化を最少化又は抑制する1以上の操作された開裂ハーフドメイン(二量化ドメイン変異体とも称される)を含む。FokIの位置446、447、479、483、484、486、487、490、491、496、498、499、500、531、534、537及び538のアミノ酸残基は、FokI開裂ハーフドメインの二量化に影響を与えるためのすべての標的である。
典型的なヘテロ二量化を形成させる操作されたFokIの開裂ハーフドメインは、第1開裂ハーフドメインがFokIの位置490及び538のアミノ酸残基での変異を含み、第2開裂ハーフドメインがアミノ酸残基486及び499での変異を含むペアを含む。
従って、1つの実施態様では、490での変異体はGlu(E)をLys(K)で置換し;538での変異体はIso(I)をLys(K)で置換し;486での変異体はGln(Q)を(E)で置換し;及び499での変異体はIso(I)をLys(K)で置換する。具体的には、本明細書に記載の操作された開裂ハーフドメインは、"E490K:I538K"と称される操作された開裂ハーフドメインを製造するために1つの開裂ハーフドメインにおける位置490(E→K)及び538(I→K)を変異させることによって、及び"Q486E:I499L"と称される操作された開裂ハーフドメインを製造するために別の開裂ハーフドメインにおける位置486(Q→E)及び499(I→L)を変異させることによって調製される。本明細書に記載の操作された開裂ハーフドメインは、ヘテロ二重鎖を、異常な開裂が減少し又異常な開裂がない変異体にさせる。例えば、すべての目的のためにその全体が文献として援用される、米国仮出願第60/808,486号(2006年5月25日出願)の実施例1を参照。
本明細書に記載の操作された開裂ハーフドメインは、任意の好適な方法、例えば、米国特許公開第20050064474号 (出願第10/912,932号, 実施例5) 及び米国仮出願第60/721,054号 (実施例38)に記載の野生型開裂ハーフドメイン(FokI)の特定部位-突然変異誘発を用いて調製され得る。
C. DHFRにおける標的開裂のための更なる方法
DHFR遺伝子に標的部位を有する任意のヌクレアーゼは、本明細書に開示の方法で使用され得る。例えば、ホーミング・エンドヌクレアーゼ及びメガヌクレアーゼは、非常に長い認識配列を有する。その中には、統計的な根拠に基いて、ヒトのサイズのゲノムに以前存在したらしいものもある。DHFR遺伝子に独特の標的部位を有する任意のそのようなヌクレアーゼは、DHFR遺伝子における標的開裂のために、ジンクフィンガーヌクレアーゼの代わりに又はそれに加えて使用され得る。
具体的なホーミング・エンドヌクレアーゼは、I-SeeI、I-CeuI、PI-JspI、PI-Sce、I-SceJV、I-CsmI、I-PanI、I-SceU、I-PpoI、I-SceIII、I-CreI、I-TevI、I-TevI、及びI-TevIIIを含む。それらの認識配列は知られている。米国特許第5,420,032号明細書; 米国特許第6,833,252号明細書; Belfort et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25: 3379-3388; Dujon et al (1989) Gene 82: 115-118; Perler et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22, 1125-1127; Jasin (1996) Trends Genet. 12: 224-228; Gimble et al. (1996) J. MoL Biol. 263: 163-180; Argast et al. (1998) J. MoI. Biol. 280: 345-353、及びNew England Biolabsカタログを参照。
ほとんどのホーミング・エンドヌクレアーゼの開裂特異性は、その認識部位に関して絶対的ではないが、該部位は、哺乳動物のサイズのゲノムについての単一開裂事象がその認識部位の単一コピーを含む細胞中でホーミング・エンドヌクレアーゼを発現することによって得られる程の十分な長さである。ホーミング・エンドヌクレアーゼ及びメガヌクレアーゼの特異性が非-天然標的部位に結合するように操作され得るとも報告されている。例えば、Chevalier et al. (2002) Molec. Cell 10: 895-905; Epinat et al. (2003) Nucleic Acids Res. 31: 2952-2962; Ashworth et al. (2006) Nature 441: 656-659; Paques et al. (2007) Current Gene Therapy 7: 49-66参照。
送達
本明細書に記載のZFNは、任意の好適な手段によって標的細胞に送達され得る。好適な細胞は、真核細胞及び原核細胞及び/又は細胞株を含むがこれらに限定されない。そのような細胞又は細胞株の非-限定的な例は、COS, CHO(例えば、CHO-S、CHO-K1、CHO-DG44、CHO-DUXB 11、CHO-DUKX、CH0K1SV)、VERO、MDCK、WI38、V79、B14AF28-G3、BHK、HaK、NSO、SP2/0-Ag14、HeLa、HEK293 (例えば、HEK293-F、HEK293-H、HEK293-T)、及びperC6細胞、並びに昆虫細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルタ(Spodoptera fugiperda)(Sf)、又は真菌細胞、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)、ピキア(Pischia)及びシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)を含む。
ジンクフィンガーを含むタンパク質を送達するための方法は、例えば、本明細書に文献としてその全体が援用される、米国特許第6,453,242号明細書; 同第6,503,717号明細書; 同第6,534,261号明細書; 同第6,599,692号明細書; 同第6,607,882号明細書; 同第6,689,558号明細書; 同第6,824,978号明細書; 同第6,933,113号明細書; 同第6,979,539号明細書; 同第7,013,219号明細書; 及び同第7,163,824号明細書に記載されている。
本明細書に記載のDHFR ZFNは、1以上のZFNをコードする配列を含むベクターを用いて送達してもよい。プラスミドベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター;ヘルペスウイルスベクター及びアデノ-関連ウイルスベクター等を含むがこれらに限定されない任意のベクター系が使用できる。例えば、本明細書に文献としてその全体が援用される、米国特許第6,534,261号明細書; 同第6,607,882号明細書; 同第6,824,978号明細書; 同第6,933,113号明細書; 同第6,979,539号明細書; 同第7,013,219号明細書; 及び同第7,163,824号明細書参照。
慣用的なウイルス型及び非-ウイルス型遺伝子転移方法は、細胞(例えば、哺乳動物細胞)及び標的組織において操作されたZFPをコードする核酸を導入するために使用され得る。かかる方法は、in vitroでZFPをコードする核酸を細胞に投与するためにも使用され得る。ある実施態様では、ZFPをコードする核酸は、in vivo又はex vivo遺伝子療法的な用途のために投与される。非-ウイルスベクター送達系は、DNAプラスミド、裸の核酸、及びリポソーム又はポロキサマーのような送達ビヒクルと複合化された核酸を含む。ウイルスベクター送達系は、細胞への送達後にエピソームゲノム又は統合されたゲノムのいずれかを有するDNA及びRNAウイルスを含む。遺伝子療法の検討のために、Anderson, Science 256: 808-813 (1992); Nabel & Feigner, TIBTECH 11: 211-217 (1993); Mitani & Caskey, TIBTECH 11: 162-166 (1993); Dillon, TIBTECH 11: 167-175 (1993); Miller, Nature 357: 455-460 (1992); Van Brunt, Biotechnology 6(10): 1149-1154 (1988); Vigne, Restorative Neurology and Neuroscience 8: 35-36 (1995); Kremer & Perricaudet, British Medical Bulletin 51(l): 31-44 (1995); Haddada et ai, in Current Topics in Microbiology and Immunology Doerfler and Bohm (eds.) (1995); 及びYu et al., Gene Therapy 1: 13-26 (1994)参照。
操作されたZFPをコードする核酸の非-ウイルス送達方法は、エレクトロポレーション、リポフェクチン、マイクロインジェクション、バイオリスティクス、ビロゾーム、リポソーム、イムのリポソーム、ポリカチオン又は脂質:核酸腹具体、裸のDNA、人工ビリオン、及びDNAの薬剤-亢進取り込みを含む。例えばSonitron 2000装置 (Rich-Mar) を用いる超音波遺伝子導入法も、核酸の送達のために使用され得る。
更なる典型的な核酸送達系は、Amaxa Biosystems (Cologne, Germany), Maxcyte, Inc. (Rockville, Maryland) and BTX Molecular Delivery Systems (Holliston, MA) によって提供されるものを含む。
リポフェクチンは、例えば、米国特許第5,049,386号明細書、米国特許第4,946,787号明細書; 及び米国特許第4,897,355号明細書に記載され、リポフェクチン試薬は、商業的に販売されている(例えば、Transfectam(商標)及びLipofectin(商標))。効率的な受容体-認識リポフェクチン及びポリヌクレオチドのために適したカチオン性及び中性脂質は、Feigner、WO 91/17424、WO 91/16024の脂質を含む。送達は、細胞(ex vivo投与)又は標的組織(in vivo投与)でよい。
脂質:核酸複合体の調製は、免疫脂質複合体のような標的リポソームを含み、当業者に周知である(例えば、Crystal, Science 270: 404-410 (1995); Blaese et al., Cancer Gene Ther. 2: 291-297 (1995); Behr et al, Bioconjugate Chem. 5: 382-389 (1994); Remy et al, Bioconjugate Chem. 5: 647-654 (1994); Gao et al, Gene Therapy 2: 710-722 (1995); Ahmad et al, Cancer Res. 52: 4817-4820 (1992); 米国特許第4,186,183号明細書、同第4,217,344号明細書、同第4,235,871号明細書、同第4,261,975号明細書、同第4,485,054号明細書、同第4,501,728号明細書、同第4,774,085号明細書、同第4,837,028号明細書、及び同第4,946,787号明細書参照)。
操作されたZFPをコードする核酸の送達のためのRNA又はDNAウイルス系の使用は、体内の特定の細胞にウイルスを標的し、及び核にウイルスのペイロードを輸送するための高度に発達したプロセスを利用する。ウイルスベクターは、患者(in vivo)に直接的に投与されるか、又はそれらはin vitroで細胞を処理するために使用され、修飾された細胞は、患者(ex vivo)に投与される。ZFPの送達のための慣用的なウイルス系は、遺伝子移動のための、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ-関連、ワクシニア及び単純ヘルペスウイルスベクターを含むがこれらに限定されない。宿主ゲノムにおける統合は、レトロウイルス、レンチウイルス及びアデノ-関連ウイルス遺伝子移動法によって可能であり、挿入された導入遺伝子の長期間発現を通常もたらす。加えて、高い形質導入率は、多くの異なった細胞種及び標的組織で観察されている。
レトロウイルスの親和性は、外来エンベローブタンパク質を取り込むことによって変更することができ、標的細胞の潜在的な標的集団を拡げることができる。レンチウイルスベクターは、非-分割細胞を形質導入又は感染することができ、典型的に高ウイルス力価をつくることができる、レトロウイルスベクターである。レトロウイルス遺伝子移動系の選択は、標的組織に依拠する。レトロウイルスベクターは、外来配列の最大6〜10 kbのパッケージング能力を有するシス-作用性の長い末端反復からなる。最小のシス-作用性LTRは、ベクターの複製及びパッケージングのために十分である。次いで、これは、永久的な導入遺伝子発現を提供するために、標的細胞に治療的遺伝子を統合するために使用される。広く使用されているレトロウイルスベクターは、ネズミ白血病ウイルス (MuLV)、テナガザル白血病ウイルス (GaLV)、サル免疫不全ウイルス (SIV)、ヒト免疫不全ウイルス (HIV)、及びそれらの組み合わせに基づくものを含む(例えば、Buchscher et al, J. Virol. 66: 2731-2739 (1992); Johann et al, J. Virol. 66: 1635-1640 (1992); Sommerfelt et al, Virol 176: 58-59 (1990); Wilson et al, J. Virol 63: 2374-2378 (1989); Miller et al, J. Virol 65: 2220-2224 (1991); PCT/US94/05700参照)。
ZFP融合タンパク質の一時的な発現が好ましい適用においては、アデノウイルス系が使用できる。アデノウイルス型ベクターは、多くの細胞種において非常に高い形質導入効率が可能であり、細胞分割を必要としない。かかるベクターでは、高力価及び高レベルの発現が得られる。このベクターは、比較的単純な系で大量に産生され得る。アデノ-関連ウイルス(「AAV」)ベクターもまた、標的核酸で細胞を形質導入するために、例えば、核酸及びペプチドのin vitroでの産生において、及びin vivo及びex vivo遺伝子療法のために使用される(例えば、West et al, Virology 160: 38-47 (1987); 米国特許第4,797,368号明細書; WO 93/24641; Kotin, Human Gene Therapy 5: 793-801 (1994); Muzyczka, J. Clin. Invest. 94: 1351 (1994)参照。組み換えAAVベクターの構築は、米国特許第5,173,414号明細書; Tratschin et al, Mol Cell. Biol. 5:3251-3260 (1985); Tratschin, et al, Mol Cell. Biol. 4: 2072-2081 (1984); Hermonat & Muzyczka, PNAS 81: 6466-6470 (1984); and Samulski et al, J. Virol 63: 03822-3828 (1989) を含む、多数の刊行物に記載されている。
少なくとも6種のウイルスベクター方法が、臨床試験における遺伝子移動のために、現在、利用可能である。それは、形質導入剤をつくるためにヘルパー細胞株に挿入された遺伝子によって欠陥ベクターの相補性を含む方法を利用する。
pLASN及びMFG-Sは、臨床試験で使用されてきたレトロウイルスベクターの例である (Dunbar et al., Blood 85: 3048-305 (1995); Kohn et al., Nat. Med. 1: 1017-102 (1995); Malsch et al., PNAS 94: 22 12133-12138 (1997))。PA317/pLASNは、遺伝子療法試験で使用される最初の治療的ベクターであった (Blaese et al., Science 270: 475-480 (1995))。50%以上の形質導入効率は、MFG-Sパッケージングベクターについて観察された (Ellem et al., Immunol Immunother. 44(1): 10-20 (1997); Dranoff et al., Hum. Gene Ther. 1: 111-2 (1997)。
組み換えアデノ-関連ウイルスベクター(rAAV)は、欠陥的かつ非病原性のパルボウイルスアデノ-関連2型ウイルスに基づく、有望な別の遺伝子送達系である。すべてのベクターは、導入遺伝子発現カセットに隣接するAAV 145 bpの反転末端反復のみを保持するプラスミドから得られる。形質導入された細胞のゲノムへの統合に因る効率的な遺伝子移動及び安定な導入遺伝子送達は、このベクター系の重要な特徴である (Wagner et al., Lancet 351: 9117 1702-3 (1998), Kearns et ah, Gene Ther. 9: 748-55 (1996))。
複製-欠陥組み換えアデノウイルスベクター(Ad)は、高力価で産生され、多数の異なった細胞種を容易に感染する。ほとんどのアデノウイルスベクターは、導入遺伝子がAd E1a、E1b及び/又はE3遺伝子を置換するように操作され;次いで、複製欠陥ベクターは、削除された遺伝子機能をトランスで供給するヒト293細胞で増殖する。Adベクターは、非分割の分化細胞、例えば肝臓、腎臓及び筋肉で見られるものを含む、複数の種類の組織をin vivoで形質導入することができる。慣用的なAdベクターは、大きな運搬能力を有する。臨床試験におけるAdベクターの使用の例は、筋肉内注射による抗癌免疫化のためのポリヌクレオチド療法を含んだ (Sterman et al., Hum. Gene Ther. 7: 1083-9 (1998))。臨床試験における遺伝子移動のためのアデノウイルスベクターのための使用の更なる例は、Rosenecker et al., Infection 24: 15-10 (1996); Sterman et al., Hum. Gene Ther. 9: 7 1083-1089 (1998); Welsh et al., Hum. Gene Ther. 2: 205-18 (1995); Alvarez et al., Hum. Gene Ther. 5: 597-613 (1997); Topf et al., Gene Ther. 5: 507-513 (1998); Sterman et al, Hum. Gene Ther. 7: 1083-1089 (1998) を含む。
パッケージング細胞は、宿主細胞を感染することができるウイルス粒子を形成するために使用される。かかる細胞は、アデノウイルスをパッケージする293細胞、及びレトロウイルスをパッケージするψ2細胞又はPA317細胞を含む。遺伝子療法で使用されたウイルスベクターは、通常、核酸ベクターをウイルス粒子にパッケージするプロデューサー細胞株によって産生される。ベクターは、典型的には、パッケージング及び続く宿主への統合(適用可能ならば)のために必要とされる最小のウイルス配列、及び発現されるタンパク質をコードする発現カセットによって置換される他のウイルス配列を含む。欠損ウイルス機能は、パッケージング細胞株によってトランスに供給される。例えば、遺伝子療法で使用されるAAVベクターは、典型的に、パッケージング及び宿主ゲノムへの統合のために必要とされるAAVゲノム由来の転換末端反復(ITR)配列を有するにすぎない。ウイルスDNAは、他のAAV遺伝子すなわちrep及びcapをコードするヘルパープラスミドを含むが、ITR配列を欠く、細胞株にパッケージングされる。該細胞株はまた、ヘルパーとしてのアデノウイルスで感染されている。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製及びヘルパープラスミドからのAAV遺伝子の発現を促進する。ヘルパープラスミドは、ITR配列の欠如に因って大量にパッケージングされない。アデノウイルスによる汚染は、例えば、アデノウイルスがAAVよりも感受性である加熱処理によって減少される。
多くの遺伝子療法の適用では、遺伝子療法ベクターは、特定の組織種に対して高い特異性を持って送達されることが望ましい。従って、ウイルスベクターは、ウイルスの外面上にウイルスコートタンパク質を有する融合タンパク質としてリガンドを発現することによって、所与の細胞種に対する特異性を有するように修飾され得る。リガンドは、対象の細胞種上に存在することが知られている受容体に対する親和性を有するように選択される。例えば、Han et al, Proc. Natl. Acad. Sci USA 92: 9747-9751 (1995) は、モロニー・ネズミ白血病ウイルスがgp70に融合されたヒトヘレグリンを発現するように修飾され、組み換えウイルスは、ヒト表皮増殖因子受容体を発現するあるヒト乳癌細胞を感染する、ことを報告した。この原則は、標的細胞が受容体を発現し、ウイルスが細胞-表面受容体のリガンドを含む融合タンパク質を発現する、他のウイルス-標的細胞ペアに拡張され得る。例えば、線維状ファージは、事実上任意の選択された細胞受容体に対する特定の結合親和性を有する抗体断片(例えば、FAB又はFv)を提示するように操作され得る。上記の記載は、ウイルスベクターに主に適用するものであるが、同一の原則は、非ウイルスベクターにも適用され得る。かかるベクターは、特定の標的細胞による取り込みを助ける特定の取り込み配列を含むように操作され得る。
遺伝子療法ベクターは、個々の患者への投与によって、典型的には、以下に示すように、全身性投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、又は頭蓋内注入)又は局所的適用によってin vivoで送達され得る。あるいは、ベクターは、ex vivoで細胞、例えば個々の患者から外植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄吸引、組織生検)、又は万能供血者の造血幹細胞に送達され、次いで、通常、ベクターを取り込んだ細胞の選択の後に、患者に細胞の再植え込がなされる。
診断、研究又は遺伝子療法のための(例えば、宿主生物へのトランスフェクトされた細胞の再-融合を介する)ex vivo細胞トランスフェクションは、当業者によく知られている。好ましい実施態様では、細胞は、対象生物から単離され、ZFP核酸(遺伝子又はcDNA)によってトランスフェクトされ、対象生物(例えば、患者)に再-注入されて戻される。Ex vivoトランスフェクションのために好適な様々な細胞種は、当業者によく知られている(例えば、患者からの細胞の単離及び培養の仕方の考察について、Freshney et al., Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Technique (3rd ed. 1994)参照)、及びそこに記載の文献参照)。
1つの実施態様では、幹細胞は、細胞トランスフェクション及び遺伝子療法のためのex vivo方法で使用される。幹細胞を用いる利点は、それらがin vitroで他の細胞種に分化され得るか、又はそれらが骨髄中に植え付けられる哺乳動物(例えば、細胞の提供者)に導入され得ることである。GM-CSF、IFN-γ及びTNF-αのようなサイトカインを用いる臨床的に重要な免疫細胞種へのin vitroでのCD34+細胞の分化の方法は、知られている(see Inaba et al., J. Exp. Med. 176: 1693-1702 (1992)参照)。
幹細胞は、公知の方法を用いて形質導入及び分化のために単離される。例えば、幹細胞は、CD4+及びCD8+ (T細胞)、CD45+ (panB細胞)、GR-1 (顆粒球)、及びIad(分化抗原提示細胞)のような望ましくない細胞と結合する抗体で骨髄細胞をパニングすることによって骨髄細胞から単離される(Inaba et al., J. Exp. Med. 176: 1693-1702(1992)参照)。
治療的ZFP核酸を含むベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、リポソーム等)はまた、in vivoで細胞の形質導入のための生物に直接的に導入され得る。あるいは、裸のDNAが投与され得る。投与は、分子と、注射、注入、局所的適用及びエレクトロポレーションを含むがこれらに限定されない血液又は組織細胞とを最終的に接触させるために使用される一般的な任意の経路による。かかる核酸を投与する好適な方法は、当業者によく知られており、1超の経路が特定の組成物を投与するために使用されるが、特定の経路は、通常、別の経路よりもより迅速でかつより効果的な反応を提供することができる。
造血幹細胞へのDNAの導入方法は、例えば、米国特許第5,928,638号明細書に開示されている。造血幹細胞例えばCD34+細胞への導入遺伝子の導入のための有用なベクターは、アデノウイルス35型を含む。
免疫細胞(例えば、T-細胞)への導入遺伝子の導入のために好適なベクターは、非-統合レンチウイルスベクターを含む。例えば、Ory et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11382-11388; Dull et al. (1998) J. Virol. 72: 8463-8471; Zuffery et al., (1998) J. Virol. 72: 9873-9880; Follenzi et al., (2000) Nature Genetics 25: 217-222参照。
薬学的に許容される担体は、投与される特定の組成物及び該組成物を投与するために使用される特定の方法によって、ある程度、決定される。従って、以下に記載するように、非常に幅広い、利用可能な医薬組成物の好適な製剤がある (例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第17版, 1989参照)。
上で述べたように、開示された方法及び組成物は、原核細胞、真菌細胞、古細菌(Archaeal)細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞及びヒト細胞を含むがこれらに限定されない細胞を含む任意の種類の細胞において使用される。タンパク質発現のための好適な細胞株は、当業者に知られており、COS、CHO (例えば、CHO-S、CHO-K1、CHO-DG44、CHO-DUXB11)、VERO、MDCK、WI38、V79、B14AF28-G3、BHK、HaK、NSO、SP2/0-Ag14、HeLa、HEK293 (例えば、HEK293-F、HEK293-H、HEK293-T)、perC6、昆虫細胞例えばスポドプテラ・フルギペルタ(Spodopterafitgiperda)(Sf)、及び真菌細胞例えばサッカロミセス(Saccharomyces)、ピキア(Pischia)及びシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)を含むがこれらに限定されない。これらの細胞株の子孫、変異体及び誘導体も使用できる。
適用
開示された方法及び組成物は、dhfrゲノム配列の不活性化のために使用され得る。dhfr遺伝子の不活性化は、例えば、単一開裂事象によって、開裂次いで非-相同末端結合によって、2つの部位での開裂次いで2つの開裂部位間の配列を削除するように結合することによって、ミスセンス又はナンセンスコドンのコーディング領域への標的化組み換えによって、遺伝子又は制御領域を妨害するように、関連しない配列(すなわち、「スタッファー配列」)の遺伝子又はその制御領域への標的化組み換えによって、あるいは、転写物のミス-スプライシングを引き起こす、スプライスアクセプター配列のイントロンへの組み換えを標的化することによって、達成され得る。
DHFRのZFN-介在不活性化(ノックアウト)のための様々な適用がある。例えば、本明細書に記載の方法及び組成物は、遺伝子増幅系を含む、組み換えタンパク質産生における使用のための新規受容体DHFR-欠陥細胞株の産生を可能にする。本明細書に記載の細胞は、改良された増殖性、及び改良された組み換えタンパク質産生を示す。
従って、本明細書に記載のDHFR-欠陥細胞株は、存在するDHFR-欠損CHO細胞を用いた時に起こる著しい欠点を解消する。すなわち、その欠点とは、おそらく、電離放射線のようなdhfr遺伝子を破壊するために使用される非-特異的突然変異誘発法の結果として起こるゲノムに広く渡る損傷に起因して、存在する細胞株が、DHFR-コンピテント親細胞株よりも低い増殖性を示すことである。標的細胞中で特異的にDHFRを不活性化することによって、本明細書に記載の方法は、DHFRを欠損するが、通常の増殖性を示す細胞を提供する。
本明細書に記載の方法及び組成物は、細胞株の価値又は有効性を減少させる危険性なしに、すでに高度に精製され又は最適化された細胞株において使用され得るDHFR-型選択法も提供する。
加えて、本明細書に開示された主題の別の適用は、過剰の葉酸が関連している任意の疾患における治療的インターベンション用である。かかる疾患の非限定的な例は、癌性又は非癌性の細胞増殖疾患、例えば、多発性骨髄腫、色素性蕁麻疹、全身性肥満細胞症、ナチュラルキラー細胞リンパ球増殖性疾患 (NK-LPD)、白血病、頭頸部癌、乳癌、生殖細胞癌、非-ホジキンズリンパ腫、結腸直腸癌、胃癌、リウマチ様関節炎、乾癬、自己免疫疾患、及び移植後の移植-対-宿主疾患を含む。
これらの疾患の多くは、現在、葉酸アンタゴニスト(例えば、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、アミノプテリン、トリメトレキサート、ロメトレキソール、ペメトレキセド、ロイコボリン及びチミタック)を用いて治療されている。加えて、抗葉酸性薬物も、細菌感染(トリメトプリム)、マラリア(ピリメタミン)、及びニューモシスティス・カリニ乾癬(トリメトレキサート及びロイコボリン)を治療するために使用される。しかしながら、感染性疾患又は癌を治療するために使用される他の薬物については、耐性の発症は、これらの葉酸アンタゴニストの有効性を限定する。Gorlick et al. (1996) NEJM 335: 1041-1048参照。
従って、dhfr遺伝子を特異的に不活性化することによって、本開示の組成物及び方法は、葉酸代謝の遮断が望ましい任意の疾患の治療に容易に適用され得る。
実施例 1: DHFR-ZFNの設計及び構築
我々は、広く使用されている組み換えタンパク質産生細胞株、CHO-S(Invitrogen)におけるdhfr遺伝子座の効率的な両アレル標的破壊のための方法をここに示す。本明細書に例示されたこの方法は、細胞の本来のDNA損傷修復経路の1つ、すなわち非-相同末端連結(NHEJ)を利用する。このプロセスによって、我々は、dhfr遺伝子のオープン・リーディング・フレーム内の二重鎖DNA切断をつくるために、操作されたジンクフィンガータンパク質ヌクレアーゼ(ZFN)を使用する。次いで、遺伝子損傷は、一般的に開裂部位の変異を生じる不完全なNHEJプロセスによって修復される。
dhfr遺伝子のゲノム断片は、CHO-細胞からPCRクローン化し、配列決定した(配列番号55; 図8)。使用したPCRプライマーの配列は、5'プライマー 118F-CTAGCCTTAAAGACAGACAGCTTTGTT (配列番号57); 3'プライマー 107R-CGCACTTCCACGTCTGCATTG (配列番号58) であった。
ジンクフィンガーンヌクレアーゼ(ZFN)の数個のペアは、dhfrゲノム断片内の配列を認識するように設計した。各々のヌクレアーゼの標的配列を、4つのジンクフィンガーの各々の認識へリックスのアミノ酸配列と共に、図1に示す。
DHFR-ZFNをコードする配列を含むプラスミドは、Urnov et al. (2005) Nature 435(7042): 646-651に記載のようにして基本的に構築した。3つのヌクレアーゼペアのセットを、特定の標的部位の内因性CHO dhfr遺伝子座を開裂する能力について試験した。DMEM (Invitrogen)、10% FBSγ (JRH BioSciences)、非-必須アミノ酸 (Invitrogen)、8 mM L-グルタミン (Invitrogen)、1xHT 補助剤 (Invitrogen) で、24-ウェルディッシュに3x105細胞/ウェルで、粘着性のCHO-S細胞を蒔いた。
翌日、リポフェクタミン2000(商標)を用いて、細胞を100 ngの各ZFN発現プラスミド (対で) + 400 ng pCDNAでトランスフェクトした。処理された細胞の各々の一部を72時間後に回収し、Cel-1ミスマッチアッセイによる分析のためにゲノムDNAを抽出した(実施例2)。
実施例 2: Cel-1ミスマッチアッセイ
Cel-1ミスマッチアッセイは、基本的に製造者の教示(Trangenomic SURVEYOR(商標))に基づいて行った。PCR産物は、95℃で融解し次いでゆっくりと冷却して(2℃/秒〜85℃、及び0.1℃/秒で25℃まで継続)、再-アニールした。再-アニールPCR産物の5μlに、1μlのCel-1エンドヌクレアーゼを加え、42℃で20分間インキュベーションした。次いで、試料を15%アクリルアミドゲル上で展開し、臭化エチジウムで視覚化した。開裂産物は、ZFN開裂部位のいくつかのdhfrアレルにおいて、ZFN-介在変異の存在を示した。
特に、CHO-S細胞は、それぞれdhfr遺伝子のエキソン1内の部位を標的する3つの異なったZFNのペア (7835+7842; 7846+7842; 7844+7843) でトランスフェクトした(図2)。PCRは、各処理細胞試料の部分からのゲノムDNA抽出物に基づいて行った。一方、残りの細胞は培養し続けた。使用したPCRプライマーの配列は、野生型ゲノム配列 (配列番号56; 図9) からの383bp産物を生じる、5'プライマー 129F-TAGGATGCTAGGCTTGTTGAGG (配列番号:59); 3'プライマー 130R-GCAAAGGCTGGCACAGCATG (配列番号60) であった。
PCR産物は、次いでクローン化し、各試料由来の96個の各々の細菌クローンは、96-ウェルプレートで10μl水に再懸濁し、4℃で保存した。各々のコロニーは、dhfrアレルのプール由来の単一アレルを示した。
PCRは、プライマー129F及び130Rを用いて各コロニーで行った。各々からの96個のPCR産物は、8個ずつ12つにプールし、次いでCel-1ミスマッチアッセイによりアッセイした。
Cel-1アッセイの結果を図3に示す。明らかなように、ZFNペア、7844+7843及び7835+7842で処理した細胞由来のDNAは、すべてのレーンに存在するバンドの総数によって決定されるように最も高い頻度のアレル変異を示した。ZFNペア、7844+7843は、dhfrノックアウト細胞株の産生に使用するためのリードペアとして選択した。
加えて、トランスフェクション後72時間に、ZFN-処理細胞を限定希釈(1細胞/ウェルの平均)で96-ウェル型に蒔いた以外は、ZFNペア、7844+7843を用いて上記のようにして、細胞をトランスフェクトした。サブクローンがコンフルエントになった時に、それらを24-ウェル型に移した。そこでは、段階ゲノムDNAを各々から抽出し、プライマー129F及び130Rを用いてPCRによって増幅した。
Cel-1アッセイは、各々のゲノムPCR産物で直接、行った。総数68クローンを分析した。5個のクローンは、Cel-1開裂産物の存在を示した。図5のaは、これらのクローンの内の2つ、#14 and #15についてのCel-1アッセイからの結果を示し、dhfr遺伝子の変異アレルの存在を示す。
実施例 3: 蛍光メトトレキサート (F-MTX) アッセイ
機能性DHFR発現の損失を証明するために、蛍光メトトレキサート(F-MTX)アッセイを用いてクローン14及び15を評価した。このアッセイでは、DHFR発現レベルは、蛍光メトトレキサートの細胞への取り込みによって反映される。
すなわち、細胞は、粘性血清含有培地(+HT)中、24-ウェルプレートで約75%培養密度にまで増殖した。該培地は、10μMフルオレセイン-複合化的メトトレキサート (F-MTX; Invitrogen/Molecular Probes) を含む500μlの新鮮培地で置換し、37℃で2時間インキュベーションした。培地を除き、F-MTXを含まない1 mlの新鮮培地で置換し、37℃で30分間インキュベーションした。培地を除き、PBSで1回細胞を洗浄した。細胞をトリプシン消化し、PBS+1% FBSに再懸濁した。次に、496 nmの励起波長、516 nmの発光波長を有する蛍光細胞アナライザ(uava EasyCyte(登録商標), Guava Technologies)で、5,000細胞/試料を評価した。
図5bは、クローン14及び15について、主な蛍光ピークが、野生型陽性対照の約半分の蛍光レベル(DHFR発現)に対応し、これらの細胞はdhfr遺伝子の単一機能性アレルのみを含んでもよい可能性と一致する、ことを示している。加えて、クローン14はまた、バックグラウンド蛍光のみを示す小集団を示し、これは、DHFR発現の完全なノックアウトを示唆している。そのため、クローン14を更にサブクローン化し、得た単離物はF-MTXアッセイによって分別した。
図5cは、2つの得られたサブクローン14/1及び14/7/26についてのF-MTXアッセイの結果を示す。それらはいずれもF-MTXを利用することができず、機能性DHFRを欠くことを示唆している。
実施例 4: 配列決定及びウェスタンブロット分析
次いで、推定上のdhfr-/-クローンは、遺伝子レベルで分析した。ゲノムPCR産物(プライマー129F及び130R)をクローン化し、シークエンスした。2つのクローンは、ンウクレアーゼ開裂の部位での変異の存在を示した(図6a)。クローン14/1は、1つのアレルが開裂部位での単一塩基対挿入を含んでいる、化合物のヘテロ接合変異体であったが、他のアレルは、2塩基対挿入を含んでいた。2つの変異体は、複数の停止コドンを生じるリーディング・フレームでのシフトをもたらす。
クローン14/7/26は、1つのアレルにおいて同一の2塩基対挿入も含んだが、他のアレルは、5個の必須コドンを除いた15塩基対の欠損を含んだ。
これらのクローンのDHFRタンパク質発現の完全な欠失は、細胞からのタンパク質抽出物のウェスタンブロット分析によって更に確認した。CHO-S、dhfr-欠陥細胞株DG44、CHO-Sクローン14/1、及びCHO-Sクローン14/7/26細胞株由来の細胞溶解物をブロットし、DHFRに対する一次抗体 (Santa Cruz Biotechnology, Cat. # sc-14780; 1: 200に希釈) 及びHRP-複合化二次抗体 (Santa Cruz Biotechnology, Cat. # sc-2020; 1: 5000に希釈) で最初にプローブ化した。ブロットをECL Plus Western blotting Detection Reagents (GE Healthcare) を用いて展開した。次いで、ローディング対照として役目を果たすために、ブロットをTIIFB一次抗体 (1: 1000) 及びHRP-複合化二次抗体 (1: 50,000) (それぞれ、Santa Cruz Biotechnology Cat. # sc-225及びsc-2370) で再-プローブ化した。
図6bに示すように、クローン14/1及び14/726は、DHFRの検出可能なレベルを含まなかった。
実施例 5: 葉酸-依存性増殖アッセイ
DHFR発現及び葉酸経路の機能性破壊を証明するために、クローンをヒポキサンチン/チミジン(HT)補充剤の非存在下又は存在下で数日増殖させた。HTは、機能性葉酸代謝性経路を含まない細胞増殖のために必須である。HT補助剤あり又はなしの培地を含む12ウェルディッシュ中で、1x105細胞/ウェルで複数のウェルに細胞を蒔いた。1週間毎日、増殖及び形態を監視した。
図7は、2つのクローンの増殖がHTの存在を必要とするが、補助剤の存在又は非存在下に、野生型CHO-S細胞が等しく増殖する、ことを示している。更に、HTの存在下では、dhfr-/-細胞株の増殖は、野生型と有意な差を示さない。このことは、ZFN-介在標的方法が葉酸代謝経路をノックアウトする以外の細胞に対する検出可能な効果を示さなかった、ことを示している。
これらの結果は、オープン・リーディング・フレーム内のdhfr遺伝子を開裂するように標的されたZFNを用いる新規なDHFR-欠陥CHO細胞株の急速な生成を示す。開裂部位でのNHEJのエラー-プローンプロセスを介する許容されないDNA修復は、2つのアレルの機能的に有害な変異及びDHFRタンパク質発現の損失をもたらした。
本明細書に記載のすべての特許、特許出願及び刊行物は、文献として本明細書に援用される。
開示は、理解の明確性の目的のために説明及び実施例によって詳細に提供してきたが、当業者に明らかなように、様々な変更及び修飾が本開示の趣旨又は範囲を逸脱することなく実行できる。従って、先の説明及び実施例は限定するものと解釈されるべきでない。
図1は、dhfr遺伝子に結合する具体的なジンクフィンガーデザインを示す表である。DNA標的部位は大文字で示し;非-接触ヌクレオチドは小文字で示す。 図2は、本明細書に記載の具体的なジンクフィンガーによって結合された標的配列を示し、dhfrのエキソン1内の具体的なジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)の結合を図解する。 図3のパネルa、b及びcは、ZFN-処理細胞の細菌クローンで行ったCel-1 ミスマッチアッセイの結果を示す。各ZFNの効率(各パネルの左に示す)は、親PCR産物の下の開裂産物の総数において影響される。 図4のパネルA、B及びCは、dhfrのエキソン1内のZFN 7843及び7844の結合の位置を示す。aは、ZFN二量体の図である。bは、エキソン1の3’末端のZFN 7843及び7844の結合部位の位置を示す。cは、ZFN 7843及び7844の認識へリックスのアミノ酸配列を示す。 図5のパネルa、b及びcは、ZFNを用いて産生されたDHFR-欠損クローンの同定及び特徴付けを示す。aは、Cel-1アッセイの結果を示す。「M」で示されるレーンは、サイズマーカーである;レーン1は、Cel-1内部対照を示し;レーン2は、偽-トランスフェクト細胞を示し;及びレーン3及び4は、ZFN-処理細胞由来のクローンを示す。bは、初期クローン#14及び#15におけるDHFR発現の蛍光メトトレキサート(F-MTX)分析を示す。cは、クローン#14のサブクラスにおけるDHFR発現のF-MTX分析を示す。 図6のパネルa及びbは、遺伝子分析、及びZFNを用いて得られるdhfr-/-変異体の保護発現を示す。aは、+1/+2遺伝子型で示されるようにクローン14/1の部分アレル配列、及び+2/Δ15遺伝子型で示されるように14/7/26クローンを示す。bは、クローン14/1及び14/7/26におけるDHFRタンパク質発現の損失を図示するウェスタンブロットを示す。「CHO-S」は、野生型細胞を意味し;「DG44」は、DHFR-欠損CHO DG44細胞からの抽出物を意味し;「TFHB」は、ローディング対照として働く。 図7のパネルA、B及びCは、(機能性葉酸代謝性経路を含まない細胞増殖のために必須である)ヒポキサンチン/チミジン(HT)補助剤あり又はなしのZFNを用いて得られた野生型及び具体的なdhfr-/-細胞株における総細胞数を示すグラフである。図7のAは、HTの存在下又は非存在下で細胞数のわずかな差がある、野生型細胞を示す。図7のBは、#14/1で示されるdhfr-/-細胞株の細胞数を示す。図7のCは、#14/7/26で示されるdhfr-/-細胞株の細胞数を示す。図7のB及びCにおいて、グラフの上の線は、HTの存在下での細胞数を示し、グラフの下(底)の線は、HTの非存在下での細胞数を示す。明らかなように、ZFNによって産生されたdhfr-/-細胞株は、葉酸代謝の欠失を示したが、他の変化は検出されなかった。 図8 (配列番号55) は、CHO-S細胞からクローン化された1398塩基対dhfr遺伝子断片のヌクレオチド配列を示す(実施例1)。 図9 (配列番号56) は、Cel-1ミスマッチアッセイで使用された383 bp PCR産物のヌクレオチド配列を示す(実施例1)。

Claims (16)

  1. 操作されたジンクフィンガータンパク質DNA-結合ドメインを含むタンパク質であって、該DNA-結合ドメインは、N-末端からC-末端までF1からF4の順で4種のジンクフィンガータンパク質認識部位を含み、F1、F2、F3及びF4はそれぞれ以下:
    F1: QSGALAR (配列番号7)、
    F2: RSDNLRE (配列番号3)、
    F3: QSSDLSR (配列番号29)、
    F4: TSSNRKT (配列番号30)、
    のアミノ酸配列を含む、前記タンパク質。
  2. 操作されたジンクフィンガータンパク質DNA-結合ドメインを含むタンパク質であって、該DNA-結合ドメインは、N-末端からC-末端までF1からF4の順で4種のジンクフィンガータンパク質認識部位を含み、F1、F2、F3及びF4はそれぞれ以下:
    F1: RSDTLSE (配列番号12)、
    F2: NNRDRTK (配列番号13)、
    F3: RSDHLSA (配列番号40)、
    F4: QSGHLSR (配列番号41)、
    のアミノ酸配列を含む、前記タンパク質。
  3. 開裂ドメインを更に含む、請求項1又は2記載のタンパク質。
  4. 前記開裂ドメインが開裂ハーフドメインである、請求項3記載のタンパク質。
  5. 前記開裂ハーフドメインが、野生型又は操作されたFokI開裂ハーフドメインである、請求項4記載のタンパク質。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項記載のタンパク質を含む単離された細胞。
  8. 請求項6記載のポリヌクレオチドを含む単離された細胞。
  9. 細胞内の内因性dhfr遺伝子を不活性化する方法であって、以下のステップ:
    (a) 細胞に、第1ポリヌクレオチドをコードする第1核酸を導入することを含み、
    ここで該第1ポリヌクレオチドは、該ポリヌクレオチドが該細胞内で発現され、それによって該ポリペプチドが該標的部位に結合し、dhfrを開裂するように、
    (i) 内因性dhfr遺伝子内の第1標的部位に結合するように操作されるジンクフィンガーDNA-結合ドメイン;及び
    (ii) 開裂ドメイン
    を含む、前記方法。
  10. 前記核酸が請求項6記載のポリヌクレオチドを含む、請求項9記載の方法。
  11. 前記第1核酸が第2ポリヌクレオチドを更にコードする、請求項9又は10記載の方法であって、該第2ポリペプチドは、該第2ポリヌクレオチドが該細胞内で発現され、それによって該第1及び第2ポリペプチドがそれぞれの標的部位に結合し、dhfr遺伝子を開裂するように、
    (i) 前記dhfr遺伝子内の第2標的部位に結合するように操作されるジンクフィンガーDNA-結合ドメイン;及び
    (ii) 開裂ドメイン
    を含む、前記方法。
  12. 宿主細胞内の対象の組換えタンパク質を産生する方法であって、以下のステップ:
    (a) 内因性dhfr遺伝子を含む宿主細胞を提供し;
    (b) 請求項9又は10記載の方法によって該宿主細胞の内因性dhfr遺伝子を活性化し;
    (c) 該宿主細胞に、導入遺伝子を含む発現ベクター、ここで、該導入遺伝子はdhfr遺伝子及び対象のタンパク質をコードする配列を含む、を導入し;並びに
    (d) 該導入遺伝子は該宿主細胞に安定的に統合され及び該宿主細胞によって発現され、それによって該組換えタンパク質を産生する、細胞を選択すること、
    を含む。前記方法。
  13. 前記統合された導入遺伝子を含む宿主細胞をDHFRインヒビターに曝露するステップを更に含む、請求項12記載の方法。
  14. 前記宿主細胞がCHO細胞である、請求項12又は13記載の方法。
  15. 対象の1以上の細胞において請求項9又は10の方法に記載のdhfr遺伝子を活性化するステップを含む、細胞増殖疾患を有する対象を治療する方法。
  16. 前記細胞増殖疾患が癌である、請求項15記載の方法。
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