JP2009536660A - 加水分解耐性ホウ素含有治療剤及びその使用方法 - Google Patents

加水分解耐性ホウ素含有治療剤及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

真菌、酵母、細菌、又はウイルスが原因である疾患治療用の治療剤としてのベンゾキサボロール、ベンザザボロール、及びベンズチアボロールを含むホウ素誘導体の組成物及び使用方法、並びに前記治療剤及びその組成物の合成方法を開示する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2006年5月2日出願の米国仮特許出願第60/813,623号明細書に対する優先権を主張するものであり、これらはあらゆる目的のために全体として本明細書に援用される。
発明の分野
本発明は、選択的治療剤を有する新規な化合物及び組成物、そのような化合物の合成方法、これらの方法において用いられる合成中間体、及び医療が必要なヒト又はその他の哺乳動物に関する。
発明の背景
爪感染及び/又は爪周囲感染として知られる爪及び蹄の感染によって、皮膚科学に深刻な問題がもたらされている。これらの爪及び/又は爪周囲は、真菌、ウイルス、酵母、細菌及び寄生生物などの感染源によって発生し得る。こうした厄介な爪感染及び/又は爪周囲感染の一例に爪真菌症があるが、これは少なくとも1種の真菌によって引き起こされる。爪感染及び/又は爪周囲感染に対する現行の治療は一般に、3つのカテゴリ:薬物の全身投与;爪又は蹄の全部又は一部の外科的除去に次いで露出組織の局所治療;或いは、慣用的なクリーム剤、ローション剤、ゲル剤又は溶剤の局所塗布(これらの剤形を爪又は蹄上の場所に保つための被覆材の使用をしばしば含む)に分けられる。これらの手法にはいずれも、大きな欠点がある。以下の議論は、特に、爪及び/又は爪周囲の抗真菌感染に対する現行の治療に関連した欠点に関する。
爪真菌症の治療を目的とした長期にわたる抗真菌剤の全身(経口)投与では、爪床に治療効果を生むことが求められることが多い。例えば、抗真菌化合物であるケトコンゾール(ketoconzole)を用いた経口治療では一般に、有意な治療的有用性が達成されるまでに200〜400mg/日を6ヶ月投与する必要がある。このような長期の高用量全身療法は、重大な副作用を持つ場合がある。例えば、ケトコンゾールは、肝臓毒性作用があり、睾丸に対する副作用によって血中テストステロン濃度を低下させることが報告されている。このような長期療法、特に深刻な副作用を伴うものでは、患者のコンプライアンスも問題である。さらに、このタイプの長期経口療法は、蹄の真菌感染に苦しむウマや他の反芻動物の治療には適していない。したがって、非経口治療に伴う危険性がその使用に対する意欲を大きく損ない、かなりの患者がコンプライアンスから外れる。
爪全体又は爪の一部を外科的に除去した後、局所治療を行う方法にも深刻な欠点がある。外科手術に伴う痛みと不快感と、爪又は爪床の望ましくない美容上の見た目が、特に女性患者又は容貌に気を遣うで患者大きな問題となる。一般に、このタイプの治療はウマなどの反芻動物では現実的ではない。
局所療法にも大きな問題がある。クリーム剤、ローション剤、ゲル剤などの局所剤形は、治療上有効な期間にわたって薬剤を感染部位に密着させたままに保つことができない。製剤の吸収を高めることを意図して、薬剤リザーバーを適所に保つために被覆材が用いられている。しかしながら、被覆材は厚い上に扱いにくく、面倒で、一般には患者のコンプライアンス低下を招く。
親水性及び疎水性の局所用被膜形成抗真菌溶液も開発されている。これらの剤形では薬剤と爪との接触性が改善されるが、被膜は密閉性の高いものではない。真菌感染治療用の局所製剤では主に、爪を通して又は爪を介して薬剤を拡散させることにより標的部位(感染爪床)に送達させようとしている。
爪は、化学組成及び浸透性に関しては角質層よりも毛に近い。窒素が爪の主成分であり、このため爪はタンパク質様の性質となる。成熟した爪の脂質総含有量は0.1〜1.0%であるのに対し、角質層の脂質は約10%w/wである。爪は角質層よりも100〜200倍厚く、抗真菌性の薬剤に結合して保持することに極めて高い親和性と能力を持つ。結果として、薬剤が爪を介して標的部位に達することがほとんどなく、あったとしてもごくわずかである。こうした理由から、真菌感染に対する局所療法は、一般に有効ではない。
浸透(penetration)又は透過(permeation)促進物として知られる化合物は、薬理学的活性剤に対する皮膚又はその他の体膜の透過性を高めることが当該技術分野において既知である。透過性が高まると、薬剤が皮膚を通って透過し、血流に入る率が増す。浸透促進物は、製剤の皮膚への不透過性を克服するには功を奏している。しかしながら、皮膚の薄い角質層の層は約10から15細胞厚で、基底層から皮膚表面に移動している細胞によって自然に形成されるものであるため、爪よりも浸透が容易である。さらに、既知の浸透促進物は爪組織を介して薬剤が移動しやすくするのに有用であることは実証されていない。
8−ヒドロキシキノリンとアルキルベンゼンスルホン酸の金属キレートを含む細菌感染及び真菌感染を制御するための抗菌組成物は、微小細胞(micro-cell)の類脂質層に浸透する親油性基の能力を高めることから、有効であることが示されている。しかしながら、この化合物では、皮膚の角化層又は角質層を介して薬学的に活性な抗真菌薬を運ぶ能力が効果的には高まらない。米国特許第4,602,011号明細書(Westら、1986年7月22日);米国特許第4,766,113号明細書(Westら、1988年8月23日)。
したがって、当該技術分野においては、爪を効果的に浸透することができる化合物に対する需要がある。また、当該技術分野においては、爪感染及び/又は爪周囲感染を効果的に治療できる化合物に対しても需要がある。本発明はこれらの需要並びに他の需要を対処する。
発明の概要
一態様において、本発明は、ホウ素を含有する治療化合物に関する。これらの化合物には、ベンゾキサボロール、ベンザザボロール、ベンズチアボロール、及び関連するアナログを包含する構造物が含まれる。
これらの化合物は、細菌、真菌、又はウイルス病因のいずれかを有する疾患の治療用に動物、最も好ましくはヒト、最も好ましくは、免疫学的に衰えた又は弱まった健康状態のヒトに投与することができる、医薬組成物としても提供される。
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、本明細書中に開示されるような好ましい置換基を有する式(I)、(II)、(III)によって与えられる構造を有するものである。
本発明は、これらの治療化合物及びその医薬組成物を調製する方法、並びに当該化合物を治療に用いる方法も提供する。本発明のこれらの化合物及び医薬組成物のキット及びパッケージングの実施形態も企図する。
本発明は、本明細書中に開示された化合物を用いた種々の病状を治療する方法にも関する。
発明の詳細な説明
I.定義と略語
本明細書にて使用する略語は、通常、化学分野及び生物学分野における慣用的な意味を持つ。
本明細書で用いる「本発明の化合物」及び「本発明の方法で用いる例示としての化合物」は、互換的に用いられ、本明細書にて述べる化合物、並びにこれらの化合物の薬学的に許容される塩及びプロドラッグを示す。
置換基が左から右に書く慣用的な化学式で特定される場合、それらは右から左に構造を書いて得られる化学的に同一の置換基も等しく包含する。例えば、−CHO−は−OCH−も示すことを意図している。
本明細書で使用する「ポリ(poly)」という用語は、少なくとも2を意味する。例えば、多価金属イオンとは、価数が少なくとも2の金属イオンのことである。
「部分」とは、別の部分に結合した分子のラジカル(radical)を示す。
記号
Figure 2009536660
は、結合として用いられても、或いは結合に垂直に表示されても、この表示された部分が分子の残部に結合する点を示す。
「アルキル」という用語は、単独又は別の置換基の一部として、特に明記しないかぎり、直鎖若しくは分岐鎖又は環式炭化水素ラジカル又はこれらの組み合わせを意味し、それらは完全に飽和していてもよいし、一不飽和又は多価不飽和であってもよく、二価及び多価ラジカルを含んでいてもよく、表記の数の炭素原子を有する(すなわち、C〜C10は1から10個の炭素を意味する)。飽和炭化水素ラジカルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、さらには、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルの相同体及び異性体などの基が含まれるが、これに限定されるものではない。不飽和アルキル基とは、1つ又は複数の二重結合又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例には、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、及びより高級の相同体及び異性体が含まれるが、これに限定されるものではない。「アルキル」という用語には、特に明記しないかぎり、「ヘテロアルキル」など、下記でより詳細に定義するアルキルの誘導体も含むことを意図している。炭化水素基に限定されるアルキル基を「ホモアルキル」と呼ぶ。
「アルキレン」という用語は、単独又は別の置換基の一部として、アルカン由来の二価ラジカルを意味し、−CHCHCHCH−が例示として含まれるがこれに限定されるものではなく、下記において「ヘテロアルキレン」として述べる基をさらに含む。一般に、アルキル(又はアルキレン)基は1から24個の炭素原子を有するが、本発明では10個以下の炭素原子を有するものが好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」とは、一般に8個以下の炭素原子を有する短鎖のアルキル基又はアルキレン基である。
「アルコキシ」「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)という用語は、慣用的な意味で用いられ、それぞれ、酸素原子、アミノ基又は硫黄原子を介して分子の残部に結合したアルキル基を示す。
「ヘテロアルキル」という用語は、特に明記しないかぎり、単独又は他の用語との組み合わせで、規定数の炭素原子と、及び少なくとも1種のヘテロ原子とからなる、安定した直鎖若しくは分岐鎖又は環式炭化水素ラジカル又はこれらの組み合わせを意味する。例示としての実施形態において、ヘテロ原子は、B、O、N及びSからなる群から選択することができ、窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されてもよい。ヘテロ原子であるB、O、N及びSは、ヘテロアルキル基内部のどの位置にあってもよいし、或いはアルキル基が分子の残部と結合する位置にあってもよい。具体例には、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH、−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−CH−CH=N−OCH、−CH=CH−N(CH)−CHが含まれるが、これに限定されるものではない。例えば、−CH−NH−OCHなど、最大で2個までのヘテロ原子が連続していてもよい。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、ヘテロアルキル由来の二価ラジカルを意味し、単独又は別の置換基の一部として、−CH−CH−S−CH−CH−及び−CH−S−CH−CH−NH−CH−の例示があげられるがこれに限定されるものではない。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子は鎖の一方の端又は両端を占めることができる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレン及びヘテロアルキレン架橋基では、架橋基の式が書かれる方向が架橋基の向きを示すものではない。例えば、式−C(O)R’−は−C(O)R’−と−R’C(O)2−の両方を表す。
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独又は他の用語との組み合わせで、特に明記しないかぎり、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環状のものを示す。さらに、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子が、複素環が分子の残部に結合する位置を占めることができる。シクロアルキルの例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが含まれるが、これに限定されるものではない。ヘテロシクロアルキルの例には、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが含まれるが、これに限定されるものではない。
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独又は別の置換基の一部として、特に明記しないかぎり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意図したものである。例えば、「ハロ(C〜C)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどを含むことを意図したものであるが、これに限定されるものではない。
「アリール」という用語は、特に明記しないかぎり、単環であってもよいし、一緒に縮合又は共有結合した多環であってもよい(好ましくは1から3環)多価不飽和の芳香族置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、1から4個のヘテロ原子を含有するアリール基(又は環)を示す。例示としての実施形態において、ヘテロ原子は、B、N、O及びSから選択され、窒素原子及び硫黄原子は任意に酸化されてもよく、窒素原子は任意に四級化されてもよい。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合することができる。アリール及びヘテロアリール基の非限定的な例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、及び6−キノリルが含まれる。上述したアリール及びヘテロアリール環系各々の置換基は、後述する許容可能な置換基の群から選択する。
簡潔にするために、「アリール」という用語は、他の用語(アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキルなど)との組み合わせで用いる場合、上記にて定義したアリール環とヘテロアリール環の両方を含む。よって、「アリールアルキル」という用語は、アルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)にアリール基が結合したラジカルを含むことを意図したものであり、該アルキル基には炭素原子(メチレン基など)が例えば酸素原子によって置換されたアルキル基が含まれる(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)。
上述の用語(「アルキル」「ヘテロアルキル」「アリール」及び「ヘテロアリール」など)は各々、表記のラジカルの置換された形態と非置換の形態の両方を含むことを意図したものである。各タイプのラジカルに好ましい置換基については後述する。
アルキル及びヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル,及びヘテロシクロアルケニルとしばしば称される基を含む)の置換基は、総称的に「アルキル基置換基」といい、0から(2m’+1)個の範囲にある数の、−OR’と、=Oと、=NR’と、=N−OR’と、−NR’R’’と、−SR’と、−ハロゲンと、−OC(O)R’と、−C(O)R’と、−COR’と、−CONR’R’’と、−OC(O)NR’R’’と、−NR’’C(O)R’と、−NR’−C(O)NR’’R’’’と、−NR’’C(O)R’と、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’と、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’と、−S(O)R’と、−S(O)R’と、−S(O)NR’R’’と、−NRSOR’と、−CNと、−NOと、から選択されるがこれに限定されるものではない種々の基のうちの1つ以上であることができる(ここで、m’は、このようなラジカルの炭素原子の総数である)。R’、R’’、R’’’及びR’’’’は各々、好ましくは独立に、水素、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のアリール、例えば、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、置換又は非置換のアルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、或いはアリールアルキル基を示す。例えば、本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、R’、R’’、R’’’及びR’’’’基が2つ以上存在する場合のこれらの各々と同様に、R基は各々独立に選択される。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合する場合、これらを窒素原子と連結させて5員環、6員環又は7員環を形成することができる。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むことを意図したものであるが、これに限定されるものではない。上述の置換基に関する説明から、当業者であれば、「アルキル」という用語は、ハロアルキル(−CF及び−CHCFなど)及びアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)など、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことを意図したものであることを理解できよう。
アルキルラジカルの場合で説明した置換基と同様に、アリール基及びヘテロアリール基の置換基を総称的に「アリール基置換基」という。置換基は、例えば、ゼロから芳香族環系の空きの原子価(open valence)の総数の範囲にある数の、ハロゲンと、−OR’と、=Oと、=NR’と、=N−OR’と、−NR’R’’と、−SR’と、−ハロゲンと、−OC(O)R’と、−C(O)R’と、−COR’と、−CONR’R’’と、−OC(O)NR’R’’と、−NR’’C(O)R’と、−NR’−C(O)NR’’R’’’と、−NR’’C(O)R’と、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’と、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’と、−S(O)R’と、−S(O)R’と、−S(O)NR’R’’と、−NRSOR’と、−CN及び−NOと、−R’と、−Nと、−CH(Ph)と、フルオロ(C〜C)アルコキシと、フルオロ(C〜C)アルキルと、から選択される(ここで、R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、好ましくは、水素と、置換又は非置換のアルキルと、置換又は非置換のヘテロアルキルと、置換又は非置換のアリールと、置換又は非置換のヘテロアリールと、から独立に選択される)。例えば、本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合、R’、R’’、R’’’ 、及びR’’’’基が2つ以上存在する場合のこれらの各々と同様に、R基は各々独立に選択される。
アリール環又はヘテロアリール環の隣接する原子の置換基のうちの2つが、任意に、式−T−C(O)−(CRR’)−U−(式中、T及びUは独立に、−NR−、−O−、−CRR’−又は単結合であり、qは0から3の整数である)で表される置換基で置換されていてもよい。或いは、アリール環又はヘテロアリール環の隣接する原子の置換基のうちの2つが、任意に、式−A−(CH−B−(式中、A及びBは独立に、−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)NR’−又は単結合であり、rは1から4の整数である)で表される置換基で置換されていてもよい。このようにして形成された新たな環の単結合のうちの1つが、任意に、二重結合で置換されていてもよい。或いは、アリール環又はヘテロアリール環の隣接する原子の置換基のうちの2つが、任意に、式−(CRR’)−X−(CR’’R’’’)−(式中、s及びdは独立に、0から3の整数であり、Xは、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−又は−S(O)NR’−である)で表される置換基で置換されていてもよい。置換基R、R’、R’’及びR’’’は、好ましくは、水素又は置換又は非置換の(C〜C)アルキルから独立に選択される。
本明細書で使用する場合、「環」とは、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール,又は置換又は非置換のヘテロアリールを意味する。環には縮合環部分を含む。環の原子数は、典型的には、環の員数によって決まる。例えば、「5員環から7員環」とは、5から7個の原子が環状の配置で存在することを意味する。環は任意に、ヘテロ原子を含んでいた。よって、「5員環から7員環」という用語には、例えばピリジニル及びピペリジニルを含む。「環」という用語はさらに、各「環」が独立に上記のごとく定義される2つ以上の「環」を含む環系も包含する。
本明細書で使用する場合、「ヘテロ原子」という用語は、炭素(C)及び水素(H)以外の原子を含む。具体例には、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)が含まれる。
「R」記号は、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のシクロアルキル及び置換又は非置換のヘテロシクロアルキル基と、から選択される置換基を示す一般的な略語である。
「有効」量の薬剤、製剤、又は浸透剤(permeant)とは、所望の局所作用又は全身作用を得られるだけの十分な量の活性剤を意味する。「局所的に有効な」「化粧上有効な」「薬学上有効な」又は「治療上有効な」量とは、所望の治療結果を発揮するのに必要な薬剤の量を示す。
「局所的に有効な」とは、皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄への適用時に、材料の活性成分の適用場所で局所的に或いは経皮通過の結果として全身に所望の薬理学的結果をもたらす材料を示す。
「化粧上有効な」とは、皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄への適用時に、材料の活性成分の適用場所で局所的に所望の化粧上の結果をもたらす材料を示す。
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載の化合物に見られる特定の置換基に応じて比較的無毒の酸又は塩基を用いて調製される本発明の化合物の塩を含むことを意図したものである。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合、中性の形のこのような化合物を、ニートで(neat)或いは好適な不活性溶媒中で、十分な量の望ましい塩基と接触させることで、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ又はマグネシウム塩或いは同様の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、中性の形のこのような化合物を、ニートで或いは好適な不活性溶媒中で、十分な量の望ましい酸と接触させることで、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸(monohydrogencarbonic)、リン酸、一水素リン酸(monohydrogenphosphoric)、二水素リン酸(dihydrogenphosphoric)、硫酸、一水素硫酸(monohydrogensulfuric)、ヨウ化水素酸又は亜リン酸などの無機酸に由来するもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的無毒の有機酸に由来する塩が含まれる。また、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、並びにグルクロン酸又はガラクツロン酸などのような有機酸の塩(例えば、Berge et al., Journal of Pharmaceutical Science 66: 1-19 (1977)を参照のこと)も含まれる。本発明の特定の具体的な化合物は、この化合物を塩基付加塩又は酸付加塩に変換できるようにする塩基性官能基と酸性官能基の両方を含有している。
中性の形態の化合物は、好ましくは、塩と塩基又は酸とを接触させ親化合物を慣用的な方法で単離することにより、再生される。化合物の親の形態は、極性溶媒での溶解性などのいくつかの物性で種々の塩の形態とは異なる。
塩の形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書に記載の化合物又は錯体のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を起こして本発明の化合物となる。さらに、プロドラッグは、化学的又は生化学的な方法で、ex vivo環境にて本発明の化合物に変換可能である。
本発明の特定の化合物は、水和形態を含む、溶媒和形態並びに非溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲に包含される。本発明のある種の化合物は、多結晶性又は非晶質の形態で存在してもよい。一般に、物理的な形態はいずれも、本発明で企図される用途に対して同等なものであり、これらも本発明の範囲に含むことを意図している。
本発明のある種の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有する。ラセミ酸塩、ジアステレオマー、幾何異性体及び個々の異性体は本発明の範囲に包含される。
本発明の化合物は、このような化合物を構成する1つ以上の原子において、非天然の割合の原子アイソトープを含有するものであってもよい。例えば、化合物を、例えばトリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)、又は炭素−14(14C)などの放射性アイソトープで放射性標識してもよい。本発明の化合物の種々のアイソトープは、放射性であるか否かを問わず、本発明の範囲に包含されることを意図したものである。
「薬学的に許容されるキャリア」又は「薬学的に許容されるビヒクル」という用語は、本明細書に定義する有効量の活性剤を適切に送達し、活性剤の生物活性の有効性を妨げず、宿主又は患者にとって十分に無毒ないずれの製剤又はキャリア媒質も示す。代表的なキャリアには、水、油(植物油及び鉱油の両方)、クリーム基剤、ローション基剤、軟膏基剤などが含まれる。これらの基剤には、懸濁化剤、増粘剤、浸透促進剤などが含まれる。その配合については化粧及び局所用の製薬分野の当業者で既知である。キャリアに関する別の情報は、本明細書に援用する、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Lippincott, Williams & Wilkins (2005)に記載において見ることができる。
「薬学的に許容される局所用キャリア」と、これに相当する用語は、局所適用に適した本明細書にて上述したような薬学的に許容されるキャリアを示す。活性剤を懸濁又は溶解させることができ、皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄に適用したときに無毒で非炎症性であるという特性を持つ不活性の液体又はクリームビヒクルが、薬学的に許容可能な局所用キャリアの一例である。この用語は特に、局所用化粧品での使用の認められたキャリア材料を包含することを意図したものである。
「薬学的に許容される添加剤」という用語は、薬剤分野で既知又は用いられ、活性剤の生物活性の有効性を過度に妨げず、宿主又は患者にとって十分に無毒な保存剤、抗酸化剤、香料、乳化剤、染料及び賦形剤を示す。局所用製剤の添加剤は、当該技術分野において既知であって、薬学的に許容されて上皮細胞又はその機能に悪影響を及ぼさない限りは局所用組成物に添加できるものである。さらに、これらの添加剤は、組成物の安定性を損なうものであるべきではない。例えば、不活性フィラー、抗刺激剤、粘着付与剤、賦形剤、香料、乳白剤、抗酸化剤、ゲル化剤、安定剤、界面活性剤、皮膚軟化剤、着色剤、保存剤、緩衝剤、他の透過促進剤、並びに当該技術分野において既知の局所用又は経皮送達製剤の他の慣用的な成分など。
「促進」、「浸透促進」、又は「透過促進」という用語は、薬剤が皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄を介して透過する速度を高めるように、薬剤に対する皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄の透過性が高まることに関する。例えば、動物又はヒトの皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄を介する薬剤の拡散速度を拡散セル装置で測定することにより、このような促進剤を用いて得られる促進された透過を観察することができる。拡散セルについては、Merritt et al., J of Controlled Release, 1 (1984) pp. 161-162に記載されている。「透過促進剤」又は「浸透促進剤」という用語は、単独又は組み合わせで、薬剤に対する皮膚、爪、毛又は蹄の透過性を高めるように作用する作用剤又は作用剤の混合物を意図する。
「賦形剤」という用語は、所望の用途に有効な薬剤組成物を配合するのに用いられるキャリア、希釈剤及び/又はビヒクルを意味することが慣用的に知られている。
「局所投与」という用語は、皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄の外側表面を作用剤が通過して下側にある組織に到達するように、皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄の外側表面に製剤を適用することを示す。局所投与には、無傷の皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄、或いは、皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄の生傷又は開放創に組成物を適用することが含まれる。医薬製剤の局所投与によって、皮膚及び周辺組織に作用剤を限定的に分散させることが可能であり、或いは、血流によって作用剤が治療部分から取り除かれるときにはこの作用剤を全身に分散させることができる。
「経皮送達」という用語は、組成物を局所投与又は他の形で適用した結果、皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄の障壁を通って作用剤が拡散することを示す。角質層が障壁として作用し、無傷の皮膚に浸透できる製剤はほとんどない。これとは対照的に、表皮及び真皮は多くの溶質に対して透過性であるため、削ったりそうでなければ角質層を取り除いたりして表皮を露出させた皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄を介する薬剤の吸収はより簡単に起こる。経皮送達には、注射、或いは皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄又は粘膜の任意の部分を介するその他の送達、及び残りの部分を介した吸収又は透過が含まれる。薬学的に許容される適当なビヒクル中に活性剤を加えた後に皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄へ適用することにより、無傷の皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄を介した吸収を促進することも可能である。控えめな(passive)局所投与であれば、皮膚軟化剤又は浸透促進剤と組み合わせで活性剤を治療部位に直接に適用することからなるものであってもよい。本明細書で使用する場合、経皮送達には、外皮すなわち皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄を介して、或いは、これを通って透過することによる送達を含むことを意図している。
「微生物感染」という用語は、ウイルス、細菌、マイコバクテリア、真菌、及び寄生生物を含まれるがこれに限定されるものではない病原菌(infectious agents)による宿主組織のいずれの感染も示す(例えば、Harrison's Principles of Internal Medicine, pp. 93-98 (Wilson et al., eds., 12th ed. 1991); Williams et al., J. of Medicinal Chem. 42:1481-1485 (1999)(各々その内容全体を本明細書に援用する))などを参照のこと)。
本明細書で使用する「生物学的培地(biological medium)」は、in vitroとin vivoの両方の生物学的環境を示す。例示としてのin vitroの「生物学的培地」には、細胞培養、組織培養、ホモジネート、血漿、及び血液が含まれるが、これに限定されるものではない。in vivoでの適用は一般に、哺乳動物、好ましくはヒトで行われる。
MIC又は最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration)は、化合物が未処置の対照に対して90%超の細胞発育(cell growth)を停止させる点である。
「阻害」及び「遮断」は、本明細書ではtRNA合成酵素の修正ドメインの部分的又は完全な封鎖を示すものとして互換的に用いられる。
本発明は、新規なホウ素化合物及びこれらの分子を調製する方法を提供する。本発明は、薬物部分などの官能部分を含むアナログとしてのホウ素化合物及び前記アナログの使用方法をさらに提供する。
II.本化合物
最初の実施態様において、本発明は、本明細書に記載された化合物である。例示としての実施形態において、本化合物は、式(I)、(II)、又は(III)(それらの塩を含む)から選択されるメンバである構造を有する:
Figure 2009536660
式中、Bは、ホウ素である。q1及びq2は、1〜3から独立して選択される整数である。q3は、0〜4から選択される整数である。Mは、H、ハロゲン、−OCH、及び−CH−O−CH−O−CHから選択されるメンバである。Mは、ハロゲン、−CHOH、及び−OCHから選択されるメンバである。Xは、O、S、及びNR1cから選択されるメンバである。R1cは、H及び置換又は非置換アルキルから選択されるメンバである。R、R1a、R1b、R、及びRは、H、OH、NH、SH、CN、NO、SO、OSOOH、OSONH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバである。Rは、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロアリールアルキル、及び置換又は非置換ビニルから選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、ただし、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがClであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがHであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない(式中、添字sは、1及び2から選択される整数である。R及びRは、メチル及びエチルから独立して選択されるメンバである。)。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがOCHであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、Rは置換又は非置換アリールである。別の例示としての実施形態において、アリールは、以下の構造を有する:
Figure 2009536660
式中、R10、R11、R12、R13、及びR14は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換アルキルオキシ、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換オキサゾリジン−2−イル、(CHOH、COH、CO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、CON(アルキル)、OH、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223、SONH、OCHCHNH、OCHCHNH−アルキル、及びOCHCHN(アルキル)から独立して選択されるメンバである。添字tは、1、2、及び3から選択されるメンバである。添字uは、0、1、及び2から選択されるメンバである。R22及びR23は、H、置換又は非置換アルキル、及び置換又は非置換アルカノイルから独立して選択されるメンバである。
別の例示としての実施形態において、Rは、置換又は非置換アリールアルキルである。別の例示としての実施形態において、アリールアルキルは、以下の構造を有する:
Figure 2009536660
式中、R10、R11、R12、R13、及びR14は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換アルキルオキシ、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換オキサゾリジン−2−イル、(CHOH、COH、CO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、CON(アルキル)、OH、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223、SONH、OCHCHNH、OCHCHNH−アルキル、及びOCHCHN(アルキル)から独立して選択されるメンバである。添字tは、1、2、及び3から選択される整数である。添字uは、0、1、及び2から選択されるメンバである。R22及びR23は、H、置換又は非置換アルキル、及び置換又は非置換アルカノイルから独立して選択されるメンバである。R15及びR16は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換アルキルオキシ、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換オキサゾリジン−2−イル、(CHOH、COH、CO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、CON(アルキル)、OH、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223、SONH、OCHCHNH、OCHCHNH−アルキル、及びOCHCHN(アルキル)から独立して選択されるメンバである。添字wは、1〜6から選択されるメンバである。
別の例示としての実施形態において、Rは置換又は非置換ヘテロアリールである。別の例示としての実施形態において、ヘテロアリールは、
Figure 2009536660
から選択されるメンバである構造を有する。Xは、CH=CH、N=CH、NR19、O、及びSから選択されるメンバである。R19は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換アリールアルキルから選択されるメンバである。Yは、CH及びNから選択されるメンバである。R17及びR18は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、(CHOH、(CHNR2425、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF及びNOから独立して選択されるメンバである。R24及びR25は、水素、置換又は非置換アルキル、及び置換又は非置換アルカノイルから独立して選択されるメンバである。添字vは、1、2、及び3から選択されるメンバである。添字wは、0、1、2、及び3から選択されるメンバである。
別の例示としての実施形態において、Rは、置換又は非置換ビニルである。別の例示としての実施形態において、ビニルは、次式による構造を有する:
Figure 2009536660
式中、R31、R32及びR33は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換アリールアルキル、(CHOH、(CHNR2425、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、及びNOから独立して選択されるメンバである。R24及びR25は、水素、置換又は非置換アルキル、及び置換又は非置換アルカノイルから独立して選択されるメンバである。添字vは、1、2、及び3から選択されるメンバである。添字wは、0、1、2、及び3から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、R
Figure 2009536660

Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、式(I)でMはH、Cl、又はFであるか、或いは式(II)でMはH、Cl、又はFであり、いずれの式でもR
Figure 2009536660
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、式(I)でMはFであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、式(I)でMはFであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、式(I)でMがFであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、式(I)でMがHであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、Mが式(I)でHであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、Mが式(I)でHであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、Mが式(I)でClであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、Mが式(I)でClであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、式(II)でMはFであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、式(II)でMはFであり、次いで、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、R及びRは、H、置換又は非置換アルキル、及び置換又は非置換アリールから独立して選択されるメンバである。例示としての実施形態において、Rは、Hであり、Rは、H、置換又は非置換アルキル、及び置換又は非置換アリールから選択されるメンバである。例示としての実施形態において、Rは、Hであり、Rは、H、非置換アルキル、及び非置換フェニルから選択されるメンバである。例示としての実施形態において、Rは、Hであり、Rは、非置換アルキル、及び非置換フェニルから選択されるメンバである。例示としての実施形態において、Rは、Hであり、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、ヘキシル、及びイソヘキシルから選択されるメンバである。例示としての実施形態において、Rは、Hであり、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びt−ブチルから選択されるメンバである。例示としての実施形態において、Rは、Hであり、Rは、メチル、エチル、及びプロピルから選択されるメンバである。例示としての実施形態において、Rは、Hであり、Rは、H、メチル、及びフェニルから選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、本化合物は式(I)によるものであり、q1は1である。例示としての実施形態において、本化合物は式(I)によるものであり、q1は2である。例示としての実施形態において、本化合物は式(II)によるものであり、q1は1である。例示としての実施形態において、本化合物は式(II)によるものであり、q1は2である。例示としての実施形態において、本化合物は式(III)によるものであり、q1は1であり、q2は1である。例示としての実施形態において、本化合物は式(III)によるものであり、q1は1であり、q2は2である。例示としての実施形態において、本化合物は式(III)によるものであり、q1は2であり、q2は3である。例示としての実施形態において、本化合物は式(III)によるものであり、q1は1であり、q2は3である。例示としての実施形態において、本化合物は式(III)によるものであり、q3は0である。
例示としての実施形態において、本化合物は
Figure 2009536660
から選択されるメンバである構造である。
例示としての実施形態において、本化合物は
Figure 2009536660
から選択されるメンバである構造である。
例示としての実施形態において、本化合物は
Figure 2009536660
から選択されるメンバである構造である。
例示としての実施形態において、化合物は
Figure 2009536660
から選択されるメンバである構造である。
例示としての実施形態において、化合物は
Figure 2009536660
から選択されるメンバである構造である。
例示としての実施形態において、化合物は
Figure 2009536660
から選択されるメンバである構造である。
例示としての実施形態において、化合物は
Figure 2009536660
から選択されるメンバである構造である。
例示としての実施形態において、本化合物は
Figure 2009536660
である。
式(I)、(II)、又は(III)の化合物などの本明細書に記載された化合物は、水との水和物、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコールとの溶媒和物、アンモニア、メチルアミン、エチルアミンなどのアミノ化合物との付加物、蟻酸、酢酸などの酸との付加物、エタノールアミン、キノリン、アミノ酸などとの複合体を形成することができる。
ホウ素含有小分子の調製
以下の例示としてのスキームは、本発明のホウ素含有分子の調製方法を例示する。これらの方法は、示した化合物の製造に限定するものではなく、本明細書に記載された化合物及び複合体などの種々の分子の調製に使用することができる。本発明の化合物は、スキームで明確に例示されたものではない方法によっても合成することができるが、十分に当業者の能力の範囲内である。本化合物は、容易に入手できる既知中間体材料を用いて調製することができる。
スキーム1で示すように、アリール、ヘテロアリール、又はビニル置換基を1位に保有するジヒドロベンゾキサボロール(9〜15)を、2−ブロモ−5−フルオロベンズアルデヒド(3)又は2−ブロモベンジルアルコール(4a)から出発して合成した。4a、bのヒドロキシ基をメトキシメチルエーテルとして保護し、5a、bを得た。化合物5を−78℃においてブチルリチウムで処理し、形成されたアニオンを、対応するボロン酸及びエチレングリコールから調製されたボロン酸エチレングリコールエステル(7)によってトラップし、ボリン酸(8)を得た。化合物11及び15については、中間体5bをグリコールエステル6に変換し、これをグリニャール試薬と反応させて、8を得た。最後に、酸性条件化で保護基を除去し、遊離アルコールが自発的に環化して、標的化合物(9〜15)を得た。
Figure 2009536660
スキーム2で示すようにして、1−ヒドロキシ−ジヒドロベンゾキサボロール(19b〜m)を合成した。16又は17から調製した保護されたo−ブロモベンジルアルコール誘導体(18)を対応するフェニルボロン酸に変換した。塩酸を用いてメトキシメチルエーテルを脱保護し、続いて自発的な環化により、標的化合物19b〜mが得られた(19c(R=Me)はラセミ体として調製された)。化合物がブチルリチウムに感受性の官能基(ニトリル基など)を有する場合、イン・サイチュー・トラップ法を適用した。Li, W., J. Org. Chem. 2002, 67, 5394-5397。
3−フルオロ−ベンジルアルコール(20)のオルト指向金属化(directed ortho-metallation)を介して、7−フルオロ誘導体(19n)を合成した(スキーム3)。Austin, P.W., PCT Int. Appl. WO 95/33754 (1995)。
Figure 2009536660
Figure 2009536660

Figure 2009536660
スキーム4に示すようにして、6員のベンゾキサボリンアナログを合成した。6−フルオロアナログでは、ベンズアルデヒド(3)をWittig反応に曝し、得られたエノールエーテルを加水分解して、フェニルアセトアルデヒド(21a)を得た。カルボニル基を還元し、続いて得られたアルコールを保護することで、メトキシメチルエーテル(22a)を得て、これを前述と同じ化学を用いて最終生成物23a及び24に変換した。非置換誘導体(23b)を市販の2−ブロモフェニルアセトアルデヒド(21b)から合成した。
これらの化合物の抗真菌活性を決定するために、爪甲真菌症の原因となる主要な皮膚糸状菌の紅色白癬菌(T. rubrum)及び毛瘡白癬菌(T. mentagrophytes)、並びに酵母及びカビのC・アルビカンス(C. albicans)及びA・フミガーツス(A. fumigatus)に対するそれらの最小発育阻止濃度(MIC)をスクリーニングし、広域スペクトル活性について検査した。現在、爪甲真菌症の局所治療に使用されている抗真菌剤であるシクロピロックス(ciclopirox)を基準(reference)として用いた。
最初のリード化合物を1−フェニル−ジヒドロベンゾキサボロール(9a)とした(表1)。これは中程度の広域スペクトル活性を示し、MIC値は4〜8μg/mLの範囲であった。最初の改変の1つは、5−フルオロ基を挿入して、化合物9bを得たことであった。この置換により、被検した株に対する効力(potency)が2〜8倍に増加した。続いて、以下の合成したアナログのほとんどがこのフルオロ置換を含むものであった。
Figure 2009536660
9の1−フェニル基を種々の置換に置き換えた効果を決定した。1−スチリル置換ジヒドロベンゾキサボロール10a及び10bは、それぞれ、被検したすべての真菌に対してリード9a及び9bとほぼ等しい活性となった(表1)。再び、R=5−F(10b)の場合、効力が4〜8倍に改善した。9bの1−フェニル基を1−ビニル(11)又は1−(フラン−3−イル)(12)に置き換えることにより、活性が約2〜8倍減少した一方、1−(チオフェン−3−イル)(13)又は1−(4−メチルチオフェン−3−イル)(14)に置き換えることで、毛瘡白癬菌(T. mentagrophytes)を除く真菌に対してほぼ等しい活性となり、4〜8倍の減少となった(表1)。興味深いことに、9bの1−フェニル基を1−(ピリド−3−イル)(15)に置き換えることで、非皮膚糸状菌株に対する選択性が示された。皮膚糸状菌である紅色白癬菌(T. rubrum)及び毛瘡白癬菌(T. mentagrophytes)に対する活性では16〜64倍の減少があったが、C・アルビカンス(C. albicans)に対する活性には何ら変化はなく、C・ネオフォルマンス(C. neoformans)及びA・フミガーツス(A. fumigatus)に対する活性では4倍の減少だけであった(表1)。
親水性を向上させる別の改変において、9a及び9bの1−フェニル基を1−ヒドロキシ基に置き換えて、それぞれ19a及び19bを得た。化合物19a及び19bは、それぞれ9a及び9bより広域のスペクトルプロフィールを有することが証明された。それらは、C・ネオフォルマンス(C. neoformans)を除くすべての株に対してほぼ等しいMIC値を有し、19a及び19bは8倍の活性増加を示した(表1)。
オキサボロール環に対する3−置換の効果を理解するための試みでは、3位にメチル基を加えて、化合物19cを得た。しかしながら、この改変により、活性が8〜32倍減少した(表1)。
次いで、9a、9b、及び19bの5員のオキサボロールから対応する6員のオキサボリンに環のサイズを大きくし、それぞれ23a、23b、及び24を得た。これらの結果を表1に示す。1−フェニル置換オキサボリン23aでは、オキサボロール9aより活性が約2倍だけ小さかった。対照的に、5−フルオロ−1−フェニルオキサボリン23bでは、対応するオキサボロール9bより活性が4〜16倍小さかった。最後に、1−ヒドロキシオキサボリン24では、対応するオキサボロール19bより活性が32〜256倍小さかった。
次に、1−フェニル環に対する置換の効果を決定するために1−フェニル−ジヒドロベンゾキサボロール骨格(9)に着目し、これらの具体例を表2に示す。前述の通り、すべての場合において、R=Fの化合物は、R=Hの化合物よりも効力が高い。リード化合物9bは、ほぼ等しい活性を示した3’−Clアナログ(9f)でのみ最大の効力を保持した。
最後の研究において、5−フルオロ−1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2,1−ベンゾキサボロール(19b)の種々のアナログを合成し、この骨格の構造−活性相関を決定した。この研究結果を表3に示す。最初に、5−F基を他の基に置き代えることで19d〜19iを得て、この位置の最適な置換基を決定した。
Figure 2009536660
Figure 2009536660
別の改変において、6位において第2のフルオロ基を加えることにより、19kを得て、5−フルオロ置換基によって得られる追加の効力が効果的に補われる(offset)ことが見い出された。最後の改変において、フルオロ基をベンゾ環の周りの他の位置に移動するで化合物19l〜nを得て、フルオロ基の最適な位置が5位であることが見い出された。
III.微生物の発育を阻害する又は微生物を死滅する方法
別の実施態様において、本発明は、微生物を本明細書に記載された化合物と接触させることを含む、微生物の発育を阻害する方法若しくは微生物を死滅させる方法又はその両方の方法を提供する。例示としての実施形態において、本化合物は、式(I)、(II)及び/又は(III)(それらの塩を含む)によるものである。例示としての実施形態において、ただし、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがClであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがHであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない(式中、添字sは、1及び2から選択される整数である。R及びRは、メチル及びエチルから独立して選択されるメンバである。)。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがOCHであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
微生物は、真菌と、酵母と、ウイルスと、細菌と、寄生生物とから選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、微生物が、動物の体内又は表面上にある。例示としての実施形態において、動物が、ヒトと、ウシと、シカと、トナカイと、ヤギと、ミツバチと、ブタと、ヒツジと、ウマと、雌ウシと、雄ウシと、イヌと、モルモットと、アレチネズミと、ウサギと、ネコと、ラクダと、ヤクと、ゾウと、ダチョウと、カワウソと、ニワトリと、アヒルと、ガチョウと、ホロホロチョウと、ハトと、ハクチョウと、シチメンチョウと、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、動物がヒトである。
例示としての実施形態において、微生物は、真菌及び酵母から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、真菌又は酵母は、カンジダ属(Candida)種と、白癬菌(Trichophyton)種と、小胞子菌(Microsporium)種と、アスペルギルス(Aspergillus)種と、クリプトコッカス(Cryptococcus)種と、ブラストミセス(Blastomyces)種と、コクシジオイデス(Cocciodiodes)種と、ヒストプラスマ(Histoplasma)種と、パラコクシジオイデス(Paracoccidiodes)種と、藻菌類(Phycomycetes)種と、マラセジア(Malassezia)種と、フザリウム(Fusarium)種と、表皮菌(Epidermophyton)種と、スキタリジウム(Scytalidium)種と、スコプラリオプシス(Scopulariopsis)種と、アルテルナリア(Alternaria)種と、ペニシリウム(Penicillium)種と、フィアロフォラ(Phialophora)種と、クモノスカビ(Rhizopus)種と、セドスポリウム(Scedosporium)種と、接合菌類(Zygomycetes)クラスと、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、真菌又は酵母が、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergilus fumigatus)(A. fumigatus)と、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)と、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(C. albicans、フルコナゾール感受性株とフルコナゾール耐性株の両方)と、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)(C. glabrata)と、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)(C. krusei)と、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)(C. neoformans)と、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)(C. parapsilosis)と、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)(C. tropicalis)と、コクシジオイデス・イミティス(Cocciodiodes immitis)と、有毛表皮糸状菌(Epidermophyton floccosum)(E. floccosum)と、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)(F. solani)と、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)と、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)(M. furfur)と、マラセチア・パチデルマティス(Malassezia pachydermatis)(M. pachydermatis)と、マラセチア・シンポジアリス(Malassezia sympodialis)(M. sympodialis)と、オードアン小胞子菌(Microsporum audouinii)(M. audouinii)と、イヌ小胞子菌(Microsporum canis)(M. canis)と、石膏状小胞子菌(Microsporum gypseum)(M. gypseum)と、パラコクシジオイデス・ブラジリエンジス(Paracoccidiodes brasiliensis)及び藻菌類(Phycomycetes)種と、毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)(T. mentagrophytes)と、紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)(T. rubrum)と、トリコフィートン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)(T. tonsurans)と、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、真菌又は酵母が、渦状白癬菌(Trichophyton concentricum)と、紫色白癬菌(T. violaceum)と、シェーンライン白癬菌(T. schoenleinii)と、T・ベルルコスム(T. verrucosum)と、T・ソウダネンス(T. soudanense)と、石膏状小胞子菌(Microsporum gypseum)と、M・エクイヌム(M. equinum)と、カンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondii)と、マラセチア・グロボーサ(Malassezia globosa)と、M・オブツセ(M. obtuse)と、M・レストリクタ(M. restricta)と、M・スルーフィアエ(M. slooffiae)と、黄色アスペルギルス(Aspergillus flavus)と、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、真菌又は酵母が、皮膚糸状菌と、白癬菌(Trichophyton)と、小胞子菌(Microsporum)と、表皮糸状菌(Epidermophyton)と、酵母様真菌から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、微生物は細菌である。例示としての実施形態において、細菌はグラム陽性菌である。例示としての別の実施形態において、グラム陽性菌は、ブドウ球菌(Staphylococcus)種と、連鎖球菌(Streptococcus)種と、バチルス(Bacillus)種と、マイコバクテリウム(Mycobacterium)種と、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種(プロピオン酸菌(Propionibacterium)種)と、クロストリジウム(Clostridium)種と、放線菌(Actinomyces)種と、腸球菌(Enterococcus)種と、ストレプトマイセス(Streptomyces)種と、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、細菌がグラム陰性菌である。例示としての別の実施形態において、グラム陰性菌が、アシネトバクター(Acinetobacter)種と、ナイセリア(Neisseria)種と、シュードモナス(Pseudomonas)種と、ブルセラ(Brucella)種と、アグロバクテリウム(Agrobacterium)種と、ボルデテラ(Bordetella)種と、エシェリヒア(Escherichia)種と、赤痢菌(Shigelia)種と、エルジニア(Yersinia)種と、サルモネラ(Salmonella)種と、クレブシエラ(Klebsiella)種と、エンテロバクタ(Enterobacter)種と、ヘモフィルス(Haemophilus)種と、パスツレラ(Pasteurella)種と、ストレプトバシラス(Streptobacillus)種と、スピロヘータ(spirochetal)種と、カンピロバクター(Campylobacter)種と、ビブリオ(Vibrio)種と、ヘリコバクター(Helicobacter)種と、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、細菌が、座瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)と、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と、腐敗性ブドウ球菌(Staphylococcus saprophyticus)と、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)と、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)と、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)と、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)と、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faeciumと、炭疽菌(Bacillus anthracis)と、マイコバクテリウム・アビウム−イントラセルラー(Mycobacterium avium-intracellulare)と、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)と、アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumanii)と、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)と、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)と、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)と、破傷風菌(Clostridium tetani)と、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)と、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)と、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)と、Legionella pneumophilaと、大腸菌(Escherichia coli)と、ペスト菌(Yersinia pestis)と、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)と、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)と、カンピロバクター・フェタス(Campylobacter fetus)と、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)と、コレラ菌(Vibrio cholerae)と、腸炎ビブリオ(Vibrio parahemolyticus)と、Trepomena pallidumと、イスラエル放線菌(Actinomyces israelii)と、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)と、斑点熱リケッチア(Rickettsia rickettsii)と、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)と、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)と、ウシ流産菌(Brucella abortus)と、アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)と、野兎病菌(Francisella tularensis)と、から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、微生物は、マイコバクテリウム(Mycobacterium)種を含む抗酸菌と、バチルス(Bacillus)種と、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種(プロピオニバクテリウムとも呼ばれる)及びクロストリジウム(Clostridium)種を含む桿菌と、放線菌(Actinomyces)種及びストレプトマイセス(Streptomyces)種を含む糸状菌と、シュードモナス(Pseudomonas)種と、ブルセラ(Brucella)種と、アグロバクテリウム(Agrobacterium)種、ボルデテラ(Bordetella)種、エシェリヒア(Escherichia)種と、赤痢菌(Shigelia)種と、エルジニア(Yersinia)種と、サルモネラ(Salmonella)種と、クレブシエラ(Klebsiella)種と、エンテロバクター(Enterobacter)種と、ヘモフィルス(Haemophilus)種と、パスツレラ(Pasteurella)種と、ストレプトバシラス(Streptobacillus)種などの桿菌と、スピロヘータ(spirochetal)種と、カンピロバクター(Campylobacter)種と、ビブリオ(Vibrio)種と、ヘリコバクター(Helicobacter)種及びクラミジア(Chlamydia)種を含む細胞内細菌と、から選択されるメンバである細菌である。
本発明は、放線菌症と、炭疽と、細菌性赤痢と、ボツリスムと、ブルセラ症と、蜂巣炎と、コレラと、結膜炎と、膀胱炎と、ジフテリアと、細菌性心内膜炎と、喉頭蓋炎と、壊疽と、胃腸炎と、鼻疽と、淋病と、レジオネラ症と、レプトスピラ症と、細菌性髄膜炎と、ペスト(plague)と、細菌性肺炎と、中耳炎と、産褥性敗血症と、腎盂腎炎と、リウマチ熱と、ロッキー山紅斑熱と、猩紅熱と、副鼻腔炎と、連鎖球菌性咽頭炎と、梅毒と、破傷風と、毒素性ショック症候群と、結核と、ツラレミアと、腸チフスと、発疹チフスと、百日咳とを含むが限定するものではない、動物及びヒトの両方の疾患の治療用の抗体として有用である。
例示としての実施形態において、微生物はウイルスである。例示としての実施形態において、ウイルスは、A〜B型肝炎と、ヒトライノウイルスと、黄熱病ウイルスと、ヒト呼吸器コロナウイルスと、重症急性呼吸器症候群(SARS)と、呼吸器合胞体ウイルスと、インフルエンザウイルスと、パラインフルエンザウイルス1〜4型と、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)と、ヒト免疫不全ウイルス2型(HIV−2)と、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)と、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)と、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)と、水痘帯状疱疹ウイルスと、エプスタイン・バー(EBV)と、ポリオウイルスと、コクサッキーウイルスと、エコーウイルスと、風疹ウイルスと、神経皮膚炎(neuroderma-tropic)ウイルスと、痘瘡ウイルスと、パポウイルス(papovirus)と、狂犬病ウイルスと、デングウイルスと、ウエストナイルウイルスと、SARSウイルスと、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、ウイルスは、ピコルナウイルス科(picornaviridae)と、フラビウイルス科(flaviviridae)と、コロナウイルス科(coronaviridae)と、パラミクソウイルス科(paramyxoviridae)と、オルソミクソウイルス科(orthomyxoviridae)と、レトロウイルス科(retroviridae)と、ヘルペスウイルス科(herpesviridae)と、ヘパドナウイルス科(hepadnaviridae)と、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、ウイルスが、以下の表に含まれるウイルスから選択されるメンバである。
Figure 2009536660
Figure 2009536660
Figure 2009536660
例示としての別の実施形態において、微生物は寄生生物である。例示としての実施形態において、寄生生物は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)と、三日熱マラリア原虫(P. vivax)と、卵形マラリア原虫(P. ovale)と、四日熱マラリア原虫(P. malariae)と、ネズミマラリア原虫(P. berghei)と、ドノバン・リーシュマニア(Leishmania donovani)と、小児リーシュマニア(L. infantum)と、シャーガス・リーシュマニア(L. chagasi)と、メキシコリーシュマニア(L. mexicana)と、アマゾン・リーシュマニア(L. amazonensis)と、ベネズエラ・リーシュマニア(L. venezuelensis)と、熱帯リーシュマニア(L. tropics)と、森林型熱帯リーシュマニア(L. major)と、小形リーシュマニア(L. minor)と、エチオピア・リーシュマニア(L. aethiopica)と、ブラジルリーシュマニア(L. Biana braziliensis)と、アマゾン・リーシュマニア(L. (V.) guyanensis)と、パナマ・リーシュマニア(L. (V.) panamensis)と、ペルー・リーシュマニア(L. (V.) peruviana)と、ローデシア・トリパノソーマ(Trypanosoma brucei rhodesiense)と、ガンビア・トリパノソーマ(T. brucei gambiense)と、クルーズ・トリパノソーマ(T. cruzi)と、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)と、ランブル鞭毛虫(G. lambda)と、トキソプラスマ(Toxoplasma gondii)と、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)と、腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)と、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)と、クリプトスポリジウム・パルブム(Cryptosporidium parvum)と、から選択されるメンバである。
IV.感染を治療又は予防する方法
別の態様では、本発明は、感染を治療又は予防する方法又は両方の方法を提供する。該方法は、前記感染を治療又は予防するのに十分な治療有効量の本明細書中に記載の化合物を動物に投与することを含む。例示としての実施形態において、本発明の化合物は、式(I)、(II)、及び(III)(それらの塩を含む)によるものである。例示としての実施形態において、ただし、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがClであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがHであるとき、R
Figure 2009536660
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない(式中、添字sは、1及び2から選択される整数である。R及びRは、メチル及びエチルから独立して選択されるメンバである。)。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがOCHであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。例示としての別の実施形態において、動物は、ヒトと、ウシと、シカと、トナカイと、ヤギと、ミツバチと、ブタと、ヒツジと、ウマと、雌ウシと、雄ウシと、イヌと、モルモットと、アレチネズミと、ウサギと、ネコと、ラクダと、ヤクと、ゾウと、ダチョウと、カワウソと、ニワトリと、アヒルと、ガチョウと、ホロホロチョウと、ハトと、ハクチョウと、シチメンチョウと、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、動物はヒトである。例示としての別の実施形態において、動物は、ヒトと、ウシと、ヤギと、ブタと、ヒツジと、ウマと、雌ウシと、雄ウシと、イヌと、モルモットと、アレチネズミと、ウサギと、ネコと、ニワトリと、シチメンチョウと、から選択されるメンバである。例示としての別の実施形態において、感染は、全身感染と、皮膚感染と、爪感染又は爪周囲感染と、から選択されるメンバである。
IV.a)爪感染及び/又は爪周囲感染を治療又は予防する方法
別の態様では、本発明は、爪感染及び/又は爪周囲感染を治療又は予防する方法を提供する。該方法は、前記感染を治療又は予防するのに十分な治療有効量の本発明に記載された化合物を動物に投与することを含む。例示としての別の実施形態において、該方法は、皮膚と、爪と、毛と、蹄と、鉤爪と、爪、毛、蹄及び鉤爪を囲む皮膚と、から選択されるメンバである部位において本発明の化合物を投与することを含む。
IV.a)1)爪真菌症
爪真菌症は、酵母、皮膚糸状菌又は他のカビによって引き起こされる爪の疾患であり、爪の障害の約50%をなす。足指爪の感染が爪真菌症の罹患率の約80%を占めるのに対し、症例の約20%で指の爪が罹患している。皮膚糸状菌は、特に足指爪での爪真菌症で爪板侵襲の最も多い原因である。皮膚糸状菌によって引き起こされる爪真菌症は爪白癬(Tinea unguium)と呼ばれる。紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)は最も多く単離される皮膚糸状菌であり、次が毛瘡白癬菌(T. mentagrophytes)である。最も一般的に見られる爪白癬は端部(distal)爪下の爪真菌症であり、下爪皮(指から離れた爪の遠位端の下にある厚い表皮)を介した主な進入部位から次第に進行して爪床と爪板が巻き込まれる。変色、爪甲剥離症、爪下の壊死組織片(debris)の蓄積及び爪板ジストロフィが該疾患の特徴である。該疾患は、被害者の生活の質に悪影響を及ぼし、被験者の不満は、爪の見苦しさや履き物を履いたときの不快感から二次細菌感染を含むさらに深刻な合併症にまで及ぶ。
抗生物質(ナイスタチン及びアムホテリシンBなど)、ミコナゾール、クロトリマゾール、フルコナゾール、エコナゾール及びスルコナゾールなどのイミダゾール抗真菌薬、アリルアミン誘導体テルビナフィン及びナフチフィンなどの非イミダゾール真菌薬、ベンジルアミンブテナフィンなどの経口及び局所使用を含む、真菌感染を治療するための多くの方法が既知である。
しかしながら、爪真菌症は、ほとんどの治療に抵抗性があることが実証されている。爪真菌感染は、慣用的な局所治療薬が届きにくい部分に起こり、抗真菌剤が爪板に浸透して爪の下にある感染部位まで到達するのは容易ではない。よって、今まで爪真菌症の治療は抗真菌剤の経口投与によって行われてきた。しかしながら、このような薬剤の副作用、特にイトラコナゾール及びケトコナゾールなどのより効力のある抗真菌剤によって引き起こされる副作用の可能性ゆえに、これは明らかに望ましくない。これに代わる爪真菌症の治療方法は、爪を取り除いた後に局所的に有効な抗真菌薬で治療することである。このような治療方法も同じく望ましくない。全身用の抗真菌薬は長期にわたる使用を必要とし、重大な副作用の可能性がある。主に爪の塊に抗真菌薬が浸透しにくいことから、局所作用剤には通常はあまり利点がない。
例示としての実施形態において、本発明は、爪真菌症を治療又は予防する方法を提供する。該方法は、爪真菌症を治療又は予防するのに十分な治療有効量の本発明の医薬製剤を動物に投与することを含む。例示としての別の実施形態において、この方法は、皮膚と、爪と、毛と、蹄と、鉤爪と、爪、毛、蹄及び鉤爪を囲む皮膚と、から選択されるメンバである部位に、本発明の医薬製剤を投与することを含む。
IV.a)2)その他の爪感染及び爪周囲感染
例示としての実施形態において、本発明は、動物で爪感染又は爪周囲感染を治療又は予防する方法を提供する。該方法は、治療有効量の本発明の化合物を哺乳動物に投与することで、爪感染又は爪周囲感染を治療又は予防することを含む。例示としての実施形態において、爪感染又は爪周囲感染は、緑爪と、爪周囲炎と、類丹毒と、爪縦裂症と、淋病と、プール肉芽腫と、幼虫移行症と、らい病と、伝染性深膿痂疹小結節(Orf nodule)と、搾乳者小結節と、ヘルペス性ひょう疽と、急性細菌性痕跡爪皮(acute bacterial perionyxis)と、慢性痕跡爪皮(chronic perionyxis)と、スポロトリクム症と、梅毒と、皮膚疣状結核と、野兎病と、スナノミ症と、爪囲・爪下疣贅と、帯状疱疹と、爪ジストロフィ(粗造爪)と、さらには、乾癬、膿疱性乾癬、円形脱毛症(alopecia aerata)、膿疱性不全角化症(parakeratosis pustulosa)、接触皮膚症(contact dermatosis)、ライター症候群、乾癬状肢端皮膚炎(psoriasiform acral dermatitis)、扁平苔癬、爪における特発性萎縮、光沢苔癬(lichin nitidus)、線状苔癬、炎症性線状疣贅状表皮母斑(ILVEN)、脱毛症、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水疱症、ダリエル病、毛孔性紅色粃糠疹、掌蹠角化症、接触性湿疹、多型紅斑、疥癬、バゼックス症候群、全身性強皮症、全身性紅斑性狼瘡、慢性紅斑性狼瘡、皮膚筋炎(dermatomyositus)などの爪に影響のある皮膚科学的な疾患と、から選択されるメンバである。
爪及び爪周囲に適用する上で有用な本発明の化合物及び医薬製剤には、化粧分野、特に爪の不規則形、匙形爪、ボー線、爪甲縦線(longitudinal ridging)、嵌入爪甲を治療する上でも用途がある。
例示としての実施形態において、感染は、皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄、毛、耳、及び眼の感染であり、スポロトリクム症と、真菌性角膜炎と、伸展性眼真菌症(extension oculomycosis)と、内在性眼真菌症(endonenous oculomycosis)と、ロボ真菌症と、菌腫と、砂毛症と、癜風と、体部白癬と、股部白癬と、足部白癬と、白癬性毛瘡と、頭部白癬と、黒癬と、耳真菌症と、黄癬と、黒色真菌症と、渦状癬と、から選択されるメンバである。
IV.b)全身疾患を治療する方法
別の態様では、本発明は、全身疾患を治療する方法を提供する。該方法は、動物に本明細書中に記載の化合物を接触させることを含む。全身疾患治療薬の送達方法には、経口、静脈内、又は経皮であってもよい。
例示としての実施形態において、感染が全身性であり、カンジダ症と、アスペルギルス症と、コクシジオイデス症と、クリプトコッカス症と、ヒストプラズマ症と、ブラストミセス症と、パラコクシジオイデス症と、接合真菌症と、フェオフィホ真菌症と、リノスポリジウム症から選択されるメンバである。
IV.c)ウイルスが関与する疾患を治療する方法
本発明の化合物は、ウイルスが関与する、動物とヒトの両方の疾患の治療に有用である。例示としての実施形態において、該疾患は、A型、B型、C型の肝炎と、黄熱病と、呼吸器合胞体と、インフルエンザと、AIDSと、単純ヘルペスと、水疱と、水痘帯状疱疹と、エプスタイン・バー疾患と、から選択されるメンバである。
IV.d)寄生生物が関与する疾患を治療する方法
本発明の化合物は、寄生生物が関与する、動物とヒトの両方の疾患の治療に有用である。例示としての実施形態において、該疾患は、マラリアと、シャーガス病と、レーシュマニア症と、アフリカ睡眠病(ヒトアフリカトリパノソーマ症)と、ジアルジア症と、トキソプラズマ症と、アメーバ症と、クリプトスポリジウム症と、から選択されるメンバである。
V.爪浸透方法
活性剤の蹄又は爪板への浸透の悪さ及び/又はケラチン(爪及び毛の主なタンパク質)との過剰な結合が、臨床試験に通らなかった市販のラッカー及び他の局所用治療薬において8%シクロピロクスw/wという効力(efficacy)の低さの理由であると考えられる。軽度の爪真菌症の事例では、病原体となる真菌が爪板だけにしか存在しない。中程度から重症の事例では、病原体となる真菌が爪板と爪床に存在する。感染が、爪床ではないではなく明らかに爪板からであれば、真菌の病原体は爪板を再感染することができる。したがって、爪真菌症を有効に治療するためには、爪板と爪床から感染をなくさなければならない。これをするために、活性剤が実質的に爪板及び爪床全体に浸透して散在しなければならない。
感染部位全体に散在した後に活性剤が有効であるには、これが真菌病原体にとって生物利用可能でなければならず、薬剤が不活性となるほどにはケラチンと密に及び/又は優先的に結合できないと考えられる。
爪板の形態学を理解することにより、爪板の浸透を容易にする活性剤のある種の物理化学的特性が示唆される。所望の物理化学的特性について隈なく説明する。本発明の被検化合物は、爪板に浸透でき、紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)及び毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)並びに他の種に対して活性であった。さらに、5%ケラチン粉末の存在下、被検化合物は紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)に対しても活性である。
別の実施態様において、本発明は、本明細書に記載された化合物を爪板の外側の層から爪床に送達する方法を提供する。例示としての実施形態において、本化合物は、式(I)、(II)、及び/又は(III)(それらの塩を含む)による構造を有する。例示としての実施形態において、ただし、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがClであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがHであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない(式中、添字sは、1及び2から選択される整数である。R及びRは、メチル及びエチルから独立して選択されるメンバである。)。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがOCHであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。この方法は、細胞を爪に浸透するのに十分な条件下で爪板に浸透することができる化合物と接触させることを含む。本化合物は、約100Daから200Daの分子量を有する。該化合物は、約1.0から約2.6のlogP値も有する。該化合物はさらに、約0.1mg/mLから1g/mLのオクタノール/飽和水の水溶解性をさらに有し、それにより前記化合物を送達する。
好ましい実施形態において、分子量、log P、及び水への溶解性などを含むがこれらに限定されるものではない化合物の爪板を介した移動について推測できる量によって説明される本発明の化合物の物理化学的特性は、爪板の実質的な浸透を得るのに有効である。
分子量200Da未満の化合物は、市販の爪真菌症治療薬よりも優れた方法で爪板に浸透する。本発明の一実施形態において、本化合物の分子量は130から200である。本発明の別の実施形態において、本化合物の分子量は約140から約200Daである。本発明の別の実施形態において、本化合物の分子量は約170から約200Daである。本発明の別の実施形態において、本化合物の分子量は約155から約190Daである。本発明の別の実施形態において、本化合物の分子量は約165から約185Daである。本発明の別の実施形態において、本化合物の分子量は約145から約170Daである。さらに別の実施形態において、分子量は151.93又は168.39Daのいずれかである。
本発明の一実施形態において、本化合物のLog P値が約−3.5から約2.5である。例示としての別の実施形態において、本化合物のLog P値が約−1.0から約2.5である。例示としての別の実施形態において、本化合物のLog P値が約−1.0から約2.0である。例示としての別の実施形態において、本化合物のLog P値が約−0.5から約2.5である。例示としての別の実施形態において、本化合物のLog P値が約−0.5から約1.5である。例示としての別の実施形態において、本化合物のLog P値が約0.5から約2.5である。例示としての別の実施形態において、本化合物のLog P値が約1.0から約2.5である。さらに例示としての別の実施形態において、本化合物のLog P値が1.9又は2.3である。
Log P値が2.5未満であり、分子量200Da未満であり、それでも爪板に浸透する化合物も本発明に企図される。
本発明の一実施形態において、オクタノール飽和水における本化合物の水溶解性が約0.1mg/mLから1g/mLである。本発明の一実施形態において、本化合物の水溶解性が0.1mg/mLから100mg/mLである。本発明の別の実施形態において、本化合物の水溶解性が約0.1mg/mLから10mg/mLである。本発明の別の実施形態において、本化合物の水溶解性が約0.1mg/mLから1mg/mLである。本発明の別の実施形態において、本化合物の水溶解性が約5mg/mLから1g/mLである。本発明の別の実施形態において、本化合物の水溶解性が約10mg/mLから500g/mLである。本発明の別の実施形態において、本化合物の水溶解性が約80mg/mLから250mg/mLである。
例示としての実施形態において、本発明は、Log P値が上述した範囲から選択され、分子量が上述した範囲から選択され、それでも爪板に浸透できる化合物を提供する。
例示としての実施形態において、本発明は、分子量が上述した範囲から選択され、水溶解性が上述した範囲から選択され、それでも爪板に浸透できる化合物を提供する。
例示としての実施形態において、本発明は、Log Pが上述した範囲から選択され、水溶解性が上述した範囲から選択され、それでも爪板に浸透できる化合物を提供する。
例示としての実施形態において、本発明は、分子量が上述した範囲から選択され、Log Pが上述した範囲から選択され、水溶解性が上述した範囲から選択され、それでも爪板に浸透できる化合物を提供する。
活性成分の爪への浸透は、製剤の極性によってもたらされてもよい。しかしながら、製剤の極性は、活性成分の分子量又はLog Pなどの他の要因ほどは爪への浸透に大きく影響するとは考えられない。浸透促進剤が製剤中に含まれていると、浸透促進剤を含有しない同様の製剤に比して活性剤の浸透が高まることが多い。
最適な物理化学的特性を持つ分子のいくつかの例を以下の表にあげておく。
Figure 2009536660
以下の化合物3は、分子量がシクロピロクスに近く、シクロピロクスと同じように爪板にはほとんど浸透しない化合物の一例である。
Figure 2009536660
好ましい実施形態において、式(I)、(II)、及び/又は(III)によるものなどの本明細書に記載の化合物を含む局所用製剤は、総分子量が200Da未満、Log Pが2.5未満であり、紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)に対する最小発育阻止濃度が5%ケラチンの存在下にも実質的に変化しない。
本発明はさらに、哺乳動物で、皮膚糸状菌、白癬菌(Trichophyton)種、小胞子菌(Microsporum)種、又は表皮糸状菌(Epidermophyton)種、或いはカンジダ(Candida)種を含む酵母様真菌によって少なくとも一部仲介されるウイルス感染を治療する方法に関し、該方法は、薬学的に許容される希釈剤と治療有効量の本明細書に記載の化合物又は1種以上のこのような化合物の混合物とを含む医薬組成物を、前記ウイルス感染があると診断された或いは前記ウイルス感染を発症する危険性のある哺乳動物に投与することを含む。一実施形態において、感染は爪真菌症である。
本発明で企図される化合物は、広域のスペクトル抗真菌活性を持ってもいてもよく、それ自体が他の皮膚の真菌感染に対する用途の候補となることがある。
本発明のこの態様において提供される方法は、爪及び蹄の浸透、並びに爪及び爪周囲の症状の治療に有用である。
さらなる議論並びにlog P、分子量、及び水溶解性を検査するためのアッセイは、本明細書に援用する米国特許出願番号第11/357,687号及び第11/505,591号に記載されている。
VI.医薬製剤
別の実施態様では、本発明は、(a)薬学的に許容できる賦形剤;及び(b)本明細書中に記載の化合物を含む医薬製剤である。例示としての実施形態において、当該化合物は、式(I)、(II)、及び/又は(III)(それらの塩を含む)による構造を有する。例示としての実施形態において、ただし、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがClであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがHであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない(式中、添字sは、1及び2から選択される整数である。R及びRは、メチル及びエチルから独立して選択されるメンバである。)。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがOCHであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
別の例示としての実施形態において、ただし、MがFであるとき、R
Figure 2009536660
から選択されるメンバではない。
本発明の医薬製剤は、選択した投与経路に適合された様々な形態をとり得る。当業者であれば、本明細書に記載の化合物を取り入れた無毒の医薬製剤を調製するのに用いることのできる種々の合成方法論を認識するであろう。当業者であれば、水、エタノール、プロピレングリコール、鉱油、植物油及びジメチルスルホキシド(DMSO)など、本発明の化合物の溶媒和物を調製するのに用いることのできる薬学的に許容される無毒の溶媒を認識するであろう。
本発明の組成物は、慣用的な無毒の薬学的に許容されるキャリア、アジュバント及びビヒクルを含有する製剤の投薬単位で、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入若しくはスプレーにより、又は直腸に投与できるものである。さらに、最適な投与方法は、方法の組み合わせであると理解されたい。丸剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤、舐剤、トローチ剤などの形での経口投与が特に好ましい。本明細書で使用される非経口という用語には、皮下注射、皮内、血管内(静脈内など)、筋肉内、脊髄、髄腔内注射若しくは同様の注射、又は融合技術が含まれる。
本発明の化合物を含有する医薬製剤は、好ましくは、例えば錠剤、トローチ剤、舐剤、水性懸濁剤又は油性懸濁剤、分散可能な散剤又は顆粒剤、乳化剤、硬カプセル剤若しくは軟カプセル剤、又はシロップ剤、或いはエリキシル剤などの経口用途に好適な形態である。
経口用途を意図した組成物は、医薬製剤製造の技術分野において既知である任意の方法で調製してもよく、このような組成物は、薬学的に優れた口当たりのよい製剤を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種以上の作用剤を含んでいてもよい。錠剤には、錠剤の製造に適した薬学的に許容される無毒の賦形剤と混合して活性成分を含有させてもよい。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えばスターチ、ゼラチン、又はアカシア;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであってもよい。錠剤は、コーティングされていないものでもよいし、消化管での崩壊と吸収を遅らせるようにし、これによって長期間にわたる徐放を得るように既知の技術でコーティングをほどこしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いてもよい。
経口用途の製剤は、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンなどの不活性固体希釈剤と活性成分とが混合されている硬質のゼラチンカプセルとして、或いは、例えば落花生油、流動パラフィン又はオリーブ油などの油又は水の媒質と活性成分とが混合されている軟質のゼラチンカプセルとして与えられてもよい。
水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤との混合で活性材料を含有する。このような賦形剤には、懸濁化剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ガムトラガント及びガムアカシア、分散剤又は湿潤剤があげられ、これらは天然に発生するホスファチド、例えば、レシチンであってもよいし、例えばステアリン酸ポリオキシエチレンなどの脂肪酸と酸化アルキレンの縮合物、或いは例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、或いは、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなど、脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、或いは、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンなど、脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物であってもよい。水性懸濁剤は、1種以上の保存剤、例えばエチル又はn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエート、1種以上の着色剤、1種以上の着香剤、1種以上の甘味剤(スクロース又はサッカリン)などを含んでいてもよい。
例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油、又はヤシ油などの植物油或いは流動パラフィンなどの鉱油に活性成分を懸濁させて、油性懸濁剤を配合してもよい。油性懸濁剤は、例えば蜜ろう、硬質パラフィン、又はセチルアルコールなどの増粘剤を含むものであってよい。上述したものなどの甘味剤及び着香剤を加えて口当たりのよい経口用製剤を得るようにしてもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの添加によって保存される。
水を加えて水性懸濁剤を調製するのに適した分散可能な粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1種以上の保存剤との混合物で活性成分を提供する。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤については、一例を上述したとおりである。別の賦形剤、例えば甘味剤、着香剤、及び着色剤が存在してもよい。
本発明の医薬製剤は、水中油型乳剤及び油中水型乳剤の形態であってもよい。油相は、例えばオリーブ油又は落花生油などの植物油、或いは例えば流動パラフィンなどの鉱油、或いはこれらの混合物であってもよい。好適な乳化剤は、例えばガムアカシア又はガムトラガントなどの天然に発生するガム;例えばダイズ、レシチン、エステル、或いは、脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステル;無水物、例えばモノオレイン酸ソルビタン;例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物などであってもよい。乳剤に甘味剤及び着香剤を含ませるようにしてもよい。
シロップ剤及びエリキシル剤を、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースなどの甘味剤と一緒に製剤化してもよい。このような製剤は、粘滑剤、保存剤、着香剤、及び着色剤を含有するものであってもよい。医薬製剤は、無菌の注射可能な水性又は油性懸濁剤の形態であってもよい。この懸濁剤は、上述した好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて既知の技術で製剤化できる。無菌の注射可能な製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液などとして、非経口的に許容される無毒の希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶剤又は懸濁剤であってもよい。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液、及び等張の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油が溶媒又は懸濁化媒質として慣用的に用いられている。この目的のため、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含むどの銘柄の固定油を用いてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射可能なものを調製する上での用途がある。
本発明の組成物を、薬剤の直腸投与用などの坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、常温では固体であるが直腸温では液体になるために直腸で溶けて薬剤を放出する好適な非刺激性賦形剤と薬剤とを混合することにより、調製可能である。このような材料は、カカオバター及びポリエチレングリコールである。
或いは、無菌の媒質中で組成物を非経口的に投与することができる。使用されるビヒクル及び濃度によって、薬剤をビヒクルに懸濁させるか、或いは溶解させることができる。有利なことに、局所麻酔薬、保存剤、及び緩衝化剤などのアジュバントをビヒクルに溶解させることもできる。
非ヒト動物への投与については、治療用化合物を含有する組成物を動物の飼料又は飲料水に加えてもよい。また、動物が食餌で適切な量の化合物を摂取するように、動物の飼料及び飲料水製品を配合すると好都合である。飼料又は飲料水に加えるための予めの混合として組成物中に化合物を含ませておくとさらに都合がよいであろう。さらに、ヒト用の食物又は飲料サプリメントに組成物を添加することもできる。
上述した症状の治療には、体重1キログラムあたり1日量で約5mgから約250mg、より好ましくは体重1キログラムあたり1日量で約25mgから約150mgの投与レベルが有用である。単一の剤形を製造するためにキャリア材料と合わせることのできる活性成分の量は、治療対象となる症状及び特定の投与形式によって異なる。単一の剤形(dosage unit form)は一般に、約1mgから約500mgの活性成分を含む。本組成物は、投与方法に依存して、0.1重量%〜99重量%、好ましくは10〜60重量%の活性成分を含有してもよく、
投与頻度は、使用する化合物及び治療対象となる特定の疾患に応じて変えてもよい。しかしながら、ほとんどの障害の治療では、1日4回以下の投与計画が好ましい。しかしながら、任意の特定の患者のための特定の投薬レベルは、使用する具体的な化合物、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路と排泄速度、薬剤の組み合わせ、治療を受ける特定の疾患の重症度を含む種々の要因に拠ることは理解されている。一般に、治療は、化合物の最適用量よりも少ない少量の投与量で始める。その後、少しづつ増大させることにより、このような条件下において最適な効果に達するまで、投与量を増していく。好都合には、所望する場合、1日投与量の全体を分けて、1日の間に数回投与してもよい。
好ましい本発明の化合物は、経口用バイオアベイラビリティ、低い毒性、低い血清タンパク質結合、望ましいin vitro及びin vivoでの半減期を含むがこれに限定されるものではない望ましい薬理学的特性を持つ。CNS障害の治療に使用する化合物では血液脳関門への浸透が必要であるのに対し、末梢障害の治療に用いる低い脳濃度(brain level)の化合物が好ましいことが多い。
アッセイを用いてこれらの望ましい薬理学的特性を予測することができる。バイオアベイラビリティの予測に用いるアッセイには、Caco−2細胞単層膜を含むヒトの腸の細胞単層膜を通る輸送を含む。培養した肝細胞に対する毒性を用いて、化合物の毒性を予測してもよい。ヒトでの化合物の血液脳関門の浸透は、化合物を静脈内注射される実験動物の脳濃度から予測できることがある。
血清タンパク質結合率は、アルブミン結合アッセイで予測できる。このようなアッセイは、Oravcova, et al. (J. Chrom. B, 677, 1-27 (1996))の概説に記載されている。
化合物の半減期は化合物の投与頻度に反比例する。化合物のin vitroでの半減期は、Kuhnz and Gieschen (Drug Metabolism and Disposition, 26: 1120-1127 (1998))に記載されているように、ミクロソームの半減期のアッセイで予測できる。
治療に用いるのに必要な組成物の量は、選択する特定の化合物だけでなく、投与経路、治療される症状の性質、患者の年齢と状態によっても変わり、最終的には担当内科医又は臨床医の判断にゆだねることになる。
抗菌薬、抗真菌薬、及び抗マイコプラズマ剤(antimycoplasmal agent)を送達するための例示としての手順は、Rogersらによって発行された米国特許第5,041,567号及び国際特許出願第EP94/02552(WO95/05384)号(それらの文献の内容全体を本明細書に援用する)に記載されている。概して、阻害剤を送達するための本発明の方法では、薬剤を送達するための当該技術分野で認められたプロトコルを利用し、実質的な手順の改変は、単に、例えば、式(I)、(II)、及び/又は(III)の化合物などの本明細書中に記載された化合物の阻害剤を当該技術分野で認められたプロトコルにおける薬物に代えて用いることである。同様に、例えば細胞培養の細菌異物混入レベルを削減又は減少させるために培地中の細胞を処理するための特許請求の範囲に記載された組成物の使用方法では、当該技術分野で認められたプロトコルを利用し、実質的な手順の改変は、単に、式(I)、(II)、及び/又は(III)の化合物などの本明細書中に記載された化合物を当該技術分野で認められたプロトコルで使用される薬剤に代えて用いることである。
VII.a)局所用製剤
好ましい実施形態において、本発明の方法を本明細書に記載の化合物の局所適用によって使用することができる。
本発明の組成物は、ポリマー、増粘剤、緩衝剤、中和剤、キレート化剤、保存剤、界面活性剤又は乳化剤、抗酸化剤、蝋又は油剤、皮膚軟化剤、日焼け止め剤、溶媒又は混合溶媒系を含むがこれに限定されるものではない、液体又は半固体ビヒクルを含む。溶媒又は混合溶媒系は、主に薬剤の溶解を担うため、構成にとって重要である。最適な溶媒又は混合溶媒系は、製剤に貧溶媒を加える場合であっても臨床的に関連する濃度の薬剤を溶液中に維持することができる。本発明において有用な局所用組成物は、多岐にわたる製品タイプに製造できる。一例として、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、粘着剤(sticks)、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、泡剤(foams)、ムース剤(mousses)、及び洗浄剤が含まれるが、これに限定されるものではない。これらの製品タイプは、粒子、ナノ粒子、リポソームを含むがこれに限定されるものではない、複数タイプのキャリア系を含むことができる。所望する場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を添加することもできる。製剤化及び投与技術については、上掲のRemington: The Science and Practice of Pharmacyに見いだすことができる。製剤は、体内の所望の標的部位への送達を最大限にするように選択することができる。
ローション剤は、摩擦なしで皮膚、爪、毛、鉤爪、又は蹄の表面に塗布される製剤であり、一般に、微粉砕した固体、ワックス、又は液体が中に分散された液体又は半液体の製剤である。ローション剤は、一般に、よりよい分散を成すための懸濁化剤と、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどの皮膚、爪、毛、鉤爪、又は蹄と接触した状態で活性剤を局在及び保持するのに有用な化合物とを含有することになる。
本発明による送達用の活性剤を含有するクリーム剤は、粘性の液体又は半固体乳剤であり、水中油型又は油中水型のいずれかである。クリーム基剤(cream bases)は水で洗浄可能であり、油相と、乳化剤と、水相とを含む。油相は一般に、ワセリン又は脂肪族アルコール(セチルアルコール又はステアリルアルコールなど)からなる。水相は、必ずしもそうとはかぎらないが、通常は油相よりも容積が多く、一般に湿潤剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、上掲のRemington: The Science and Practice of Pharmacyに説明されているように、一般に、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤である。
本発明に関連して、ゲル製剤も用いることができる。局所用医薬製剤の分野で働いている人であれば理解している通り、ゲルは半固体である。単相ゲルは、一般に水性であるが溶媒又は溶媒のブレンドであってもよいキャリアの液体全体に実質的に均一に分散された有機巨大分子を含有する。
軟膏剤は半固体製剤であり、典型的にはワセリン又は他の石油系誘導体を主成分とする。当業者であれば理解している通り、用いる具体的な軟膏基剤(ointment base)は、特定の製剤用に選択された活性剤のための最適な送達が得られるようなものであり、好ましくは、他の所望の特性、例えば皮膚軟化作用なども得られるようなものである。他のキャリア又はビヒクルと同様に、軟膏基剤も、不活性かつ安定で、刺激がなく、非感作のもの(nonsensitized)でなければならない。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Ed. (Easton, Pa.: Mack Publishing Co., 1995)の第1399〜1404ページに説明されているように、軟膏基剤は、油脂性基剤、乳化可能な基剤、乳濁基剤、水溶性基剤の4つのクラスに分けられる。油性の軟膏剤基剤には、例えば、植物油、動物の脂肪、石油から得られる半固体炭化水素が含まれる。乳化可能な軟膏基剤は、吸収性軟膏剤基剤しても知られており、水をほとんど含有しないかまったく含有せず、例えば、硫酸ヒドロキシステアリン、無水ラノリン、及び親水性ワセリンを含む。乳濁液の軟膏剤基剤は、油中水型(W/O)乳濁液又は水中油型(O/W)乳濁液のいずれかであり、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラノリン、及びステアリン酸を含む。好ましい水溶性の軟膏基剤は、種々の分子量のポリエチレングリコールから調製される。繰り返すが、上掲のRemington: The Science and Practice of Pharmacyを参照すれば、さらに情報を得ることができる。
本発明の有用な製剤は、スプレー剤も包含する。スプレー剤は、一般に、皮膚や爪、毛、鉤爪、又は蹄に噴霧して送達させることができる水溶液及び/又はアルコール溶液中に活性剤を提供する。このようなスプレー剤には、送達後に投与部位で活性剤溶液の濃縮が得られるように製剤化されたものが含まれる。例えば、スプレー剤溶液は、主に、薬剤又は活性剤を溶解させておくことができるアルコール又は他の同様の揮発性物質の液体からなる。皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄への送達時、キャリアが蒸発し、投与部位に濃縮された活性剤が残る。
局所用医薬組成物は、好適な固体又はゲル相キャリアを含んでいてもよい。このようなキャリアの例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、スターチ、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれるが、これに限定されるものではない。
局所用医薬組成物は、水中油型又は油中水型の混合及び懸濁化を促進又は容易にする作用剤である好適な乳化剤を含んでいてもよい。本明細書で使用する乳化剤は、単一の乳化剤からなるものであってもよく、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性の界面活性剤又は2種類以上の界面活性剤のブレンドであってもよい。本明細書で使用するのに好ましいのは、非イオン性又はアニオン性の乳化剤である。このような界面活性剤は、“McCutcheon’s Detergent and Emulsifiers,” North American Edition, 1980 Annual published by the McCutcheon Division, MC Publishing Company, 175 Rock Road, Glen Rock, N.J. 07452, USAに記載されている。
本明細書で用いるのに好ましいのは、セテアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、乳化蝋、モノステアリン酸グリセリルなどの高分子量のアルコールである。他の例として、ジステアリン酸エチレングリコール、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン(SPAN 60)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、モノパルミチン酸ソルビタン、ジオレイン酸スクロース、ステアリン酸スクロース(CRODESTA F-160)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(BRIJ 30)、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル(BRIJ 72)、ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテル(BRIJ 721)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(Myrj 45)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN 60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN 80)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN 20)、オレイン酸ナトリウムが含まれる。外用の乳剤ではコレステロール及びコレステロール誘導体を用いてw/o乳剤を促進することもできる。
特に好適な非イオン性乳化剤は、Paul L. Lindner in “Emulsions and Emulsion”, edited by Kenneth Lissant, published by Dekker, New York, N.Y., 1974, pages 188-190に記載されている方法で決定した場合に、親水性親油性バランス(HLB)がw/o系で約3から6、o/w系で8から18のものである。本明細書で用いるのに一層好ましいのが、HLBが約8から約18の系となる1種以上の非イオン性界面活性剤である。
このような非イオン性乳化剤の例には、HLBが4.9のポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテルの商品名「BRIJ 72」、HLBが15.5のポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテルの商品名「BRIJ 721」、HLBが9.7のポリオキシエチレンラウリルエーテルの商品名「Brij 30」、HLBが8.0の乳化蝋の商品名「Polawax」、HLBが4.7のモノステアリン酸ソルビタンの商品名「Span 60」、HLBが14.5のステアリン酸スクロースの商品名「Crodesta F-160」が含まれるが、これに限定されるものではない。これらの材料はいずれも、Ruger Chemicals Inc.; Croda; ICI Americas, Inc.; Spectrum Chemicals及びBASFから入手可能である。本発明の局所用製剤が少なくとも1種の乳化剤を含有する場合、それぞれの乳化剤は、約0.5から約2.5wt%、好ましくは0.5から2.0%、より好ましくは1.0%又は1.8%の量で存在する。好ましくは、乳化剤は、ステアレス(steareth)21(約1.8%)とステアレス2(約1.0%)との混合物を含む。
局所用医薬組成物は、好適な皮膚軟化剤を含んでいてもよい。皮膚軟化剤は、皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄の乾燥の予防又は緩和のため及び保護のために用いられる材料である。有用な皮膚軟化剤には、セチルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリルアルコールなどが含まれるが、これに限定されるものではない。多岐にわたる好適な皮膚軟化剤が既知であり、本明細書で使用可能である。例えば、Sagarin, Cosmetics, Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 1, pp. 32-43 (1972)、並びにDecknerらに付与された1990年4月24日発行の米国特許第4,919,934号明細書(いずれも全体を本明細書に援用する)を参照のこと。これらの材料は、Ruger Chemical Co, (Irvington, NJ)から入手可能である。
本発明の局所用製剤が少なくとも1種の皮膚軟化剤を含有する場合、それぞれの皮膚軟化剤は、約0.1から15%、好ましくは0.1から約3.0、より好ましくは0.5、1.0、又は2.5wt%の量で存在する。好ましくは、皮膚軟化剤は、1/5/2比のセチルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリルアルコールの混合物である。皮膚軟化剤は、1/2比のセチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物であってもよい。
本発明のこの実施態様によれば、校正ドメイン阻害剤を薬学的に許容される担体中に入れ、既知の薬物送達方法に従って校正ドメイン阻害剤を受容対象者(好ましくはヒト)に送達する。抗菌薬、抗真菌薬、及び抗マイコプラズマ剤を送達するための例示としての手順は、Rogersらによって発行された米国特許第5,041,567号及び国際特許出願第EP94/02552(WO95/05384)号(それらの文献の内容全体を本明細書に援用する)に記載されている。概して、阻害剤を送達するための本発明の方法では、薬剤を送達するための当該技術分野で認められたプロトコルを利用し、実質的な手順の改変は、単に、例えば、式(I)、(II)、及び/又は(III)の化合物などの本明細書中に記載された化合物の阻害剤を当該技術分野で認められたプロトコルにおける薬物に代えて用いることである。同様に、例えば細胞培養の細菌の混入レベルを削減又は減少させるために培地中の細胞を処理するための特許請求の範囲に記載された組成物の使用方法では、抗菌剤で細胞培養物を処理するための当該技術分野で認められたプロトコルを利用し、実質的な手順の改変は、単に、式(I)、(II)、及び/又は(III)の化合物などの本明細書中に記載された化合物を当該技術分野で認められたプロトコルで使用される薬剤に代えて用いていることである。
局所用医薬組成物は、酸化を阻害することが知られている物質である好適な抗酸化剤を含んでいてもよい。本発明によって用いるのに適した抗酸化剤には、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸パルミチン酸エステル(ascorbic palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、エリソルビン酸、グアヤク脂、没食子酸プロピル、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸ジラウリル、tert−ブチルヒドロキノン、ビタミンEなどのトコフェロールなどが含まれるが、これに限定されるものではない(これらの化合物の薬学的に許容される塩及びエステルを含む)。好ましくは、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、これらの薬学的に許容される塩若しくはエステル、又はこれらの混合物である。最も好ましくは、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエンである。これらの材料は、Ruger Chemical Co, (Irvington, NJ)から入手可能である。
本発明の局所用製剤が少なくとも1種の抗酸化剤を含有する場合、存在する抗酸化剤の総量は、約0.001から0.5wt%、好ましくは0.05から約0.5wt%、より好ましくは0.1%である。
局所用医薬組成物は、好適な保存剤を含んでいてもよい。保存剤は、抗菌剤として作用するよう医薬製剤に添加される化合物である。有効かつ非経口製剤で許容されるような当該技術分野で既知の保存剤は、塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロロヘキシジン、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、o−クレゾール、p−クレソール、クロロクレソール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、安息香酸、及びこれらの種々の混合物である。例えば、Wallhausser, K.-H., Develop. Biol. Standard, 24:9-28 (1974) (S. Krager, Basel)を参照のこと。好ましくは、保存剤は、メチルパラベンと、プロピルパラベンと、これらの混合物と、から選択される。これらの材料はInolex Chemical Co (Philadelphia, PA)又はSpectrum Chemicalsから入手可能である。
本発明の局所用製剤が少なくとも1種の保存剤を含有する場合、存在する保存剤の総量は約0.01から約0.5wt%、好ましくは約0.1から0.5%、より好ましくは約0.03から約0.15である。好ましくは、保存剤は、5/1比のメチルパラベンとプロピルバラベンの混合物である。アルコールを保存剤として利用する場合、その量は、通常、15から20%である。
局所用医薬組成物は、脂質二重層とクロスしない金属陽イオンと錯体を形成するための好適なキレート化剤を含んでいてもよい。好適なキレート化剤の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、及び8−アミノ−2−[(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)メチル]−6−メトキシキノリン−N,N,N’,N’−四酢酸、テトラカリウム塩(QUIN-2)が含まれる。好ましくは、キレート化剤はEDTA及びクエン酸である。これらの材料は、Spectrum Chemicalsから入手可能である。
本発明の局所用製剤が少なくとも1種のキレート化剤を含有する場合、存在するキレート化剤の総量は約0.005%から2.0重量%、好ましくは約0.05%から約0.5wt%、より好ましくは約0.1重量%である。
局所用医薬組成物は、製剤のpHを薬学的に許容される範囲に調整するのに用いられる好適な中和剤を含んでいてもよい。中和剤の例には、トロラミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、及び酢酸が含まれるが、これに限定されるものではない。このような材料は、Spectrum Chemicals (Gardena, CA)から入手可能である。
本発明の局所用製剤が少なくとも1種の中和剤を含有する場合、存在する中和剤の総量は約0.1wtから約10wt%、好ましくは0.1wt%から約5.0wt%、より好ましくは約1.0wt%である。中和剤は、一般に、製剤を所望のpHにするのに必要な適宜の量で添加される。
局所用医薬組成物は、好適な増粘剤を含んでいてもよい。これらの成分は、作用剤とポリマーとの相互作用によってポリマー含有溶液の粘度を高めることのできる拡散可能な化合物である。CARBOPOL ULTREZ 10を増粘剤として用いることができる。これらの材料は、Noveon Chemicals, Cleveland, OHから入手可能である。
本発明の局所用製剤が少なくとも1種の増粘剤を含有する場合、存在する増粘剤の総量は約0.25%から約5.0重量%、好ましくは約0.25%から約1.0wt%、より好ましくは約0.4%から約0.6重量%である。
局所用医薬組成物は、好適な爪浸透促進剤を含んでいてもよい。爪浸透促進剤の例には、メルカプタン化合物、亜硫酸塩及び重亜硫酸塩、角質溶解薬及び界面活性剤がある。本発明で用いるのに適した爪浸透促進剤が、Malhotra et al., J. Pharm. Sci., 91:2, 312-323 (2002)(その全体を本明細書に援用する)に詳細に記載されている。
局所用医薬組成物は、1種以上の好適な溶媒を含んでいてもよい。固体物質(溶質)が液体物質(溶媒)に溶解する能力は、溶質と溶媒の物性に左右される。溶質と溶媒が似たような物性を持つ場合、溶媒に対する溶質の溶解性が最大になる。これは、「似たもの同士は溶解される」という従来の理解につながる。溶媒は、一方では非極性の脂溶性油として、他方では極性の親水性溶媒として特徴付けできるものである。油性の溶媒はファン・デル・ワールス相互作用によって他の非極性物質を溶解させ、水や他の親水性溶媒はイオン相互作用、双極子相互作用又は水素結合相互作用によって極性物質を溶解させる。溶媒はいずれも、最も極性の低い、すなわちデカンなどの炭化水素から、最も極性の高い溶媒である水まで、連続して列挙できるものである。溶質は、溶媒と同等の極性を持つときに溶媒への溶解性が最大になる。よって、水への溶解性が最も低い薬剤の場合、これよりも極性の低い溶媒を用いると溶解性が改善され、極性が溶質とほぼ等しい溶媒で溶解性が最大になる。ほとんどの薬剤は中間の極性を持つため、水よりもかなり極性が低いプロピレングリコール又はエタノールなどの溶媒への溶解性が最大になる。薬剤の水に対する溶解性(例えば0.1%(w/w))よりもプロピレングリコールに対する溶解性(例えば8%(w/w))のほうが高い場合、プロピレングリコールに水を加えると、純粋なプロピレングリコールを用いる場合よりもその溶媒混合物への薬剤溶解性の最大量が少なくなる。優れた溶媒に貧溶媒を加えると、その優れた溶媒での最大溶解性に比してブレンドの最大溶解性が低くなる。
局所用製剤に化合物を取り入れる場合、選択した溶媒及び/又はキャリアへの活性成分の溶解性によって製剤中の活性成分の濃度を制限することができる。非脂溶性の薬剤は一般に、薬学的に許容される溶媒及び/又はキャリアに対して極めて低い溶解性を示す。例えば、本発明におけるいくつかの化合物の水に対する溶解性は0.00025%wt/wt未満である。本発明における同じ化合物の溶解性を、プロピレングリコール又はミリスチン酸イソプロピルのいずれかに対して約2%wt/wt未満にすることができる。本発明の一実施形態において、式(I)、(II)、及び/又は(III)の化合物を溶解させるのに使用する溶媒は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME)である。本製剤に有用な本発明における化合物は、DGMEに対して約10%wt/wtから約25%wt/wtの溶解性を持つと考えられている。別の実施形態において、DGME水共溶媒系を用いて、式(I)、(II)、及び/又は(III)の化合物などの本明細書に記載された化合物を溶解させる。水を加えるとDGMEの溶媒容量が低下する。しかしながら、約0.1%から約5%wt/wtの活性成分という所望の濃度を維持するようにDGME/水共溶媒系を設計することができる。好ましくは、活性成分は、そのままで塗布できる局所用製剤中に約0.5%から約3%wt/wtで存在し、より好ましくは約1%wt/wtで存在する。DGMEは水よりも揮発性が低いため、塗布した際に局所用製剤が揮発すると、クリーム製剤に活性剤が溶解しやすくなる。このように溶解性が高まることで、皮膚、爪、毛、鉤爪、又は蹄の表面で沈殿する薬剤によって引き起こされるバイオアベイラビリティ減少の尤度が低下する。
局所投与に適しているか、化粧用途に適したローションなどの液体の形態は、緩衝液、懸濁剤及び分配剤(dispensing agent)、増粘剤、浸透促進剤などを含む好適な水性又は非水性ビヒクルを含んでいてもよい。クリーム又はペーストなどの固体の形態は、例えば、以下の成分のいずれを含んでいてもよい。界面活性剤を用いる場合の基剤としての水、油、アルコール又はグリース、ポリエチレングリコールなどのポリマー、増粘剤、固体など。液体又は固体の製剤は、リポソーム、ミクロソーム、マイクロスポンジなどの送達促進技術を含んでいてもよい。
また、治療薬を含有する固体の疎水性ポリマーの半透過性マトリクスなどの徐放系を用いて化合物を送達させることができる。種々の徐放材料が構築されており、当業者で既知である。
本発明を実施する際の局所治療計画には、皮膚、爪、毛、鉤爪、又は蹄の適用部位に1日1回から数回にわたって直接に組成物を適用することを含む。
本発明の製剤は、細菌感染、ざ瘡、炎症などに関連する状態又は症状を治療、軽減、又は予防するのに利用可能なものである。
例示としての実施形態において、医薬製剤は、単純溶液を含む。例示としての実施形態において、単純溶液にはアルコールが含まれる。例示としての実施形態において、単純溶液はアルコールと水を含む。例示としての実施形態において、アルコールは、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、ポリプロピレングリコール、イソプロパノール又はブタノールである。例示としての別の実施形態において、単純溶液は、約10%のポリプロピレングリコール及び約90%のエタノールと、約20%のポリプロピレングリコール及び約80%のエタノールと、約30%のポリプロピレングリコール及び約70%のエタノールと、約40%のポリプロピレングリコール及び約60%のエタノールと、約50%のポリプロピレングリコール及び約50%のエタノールと、約60%のポリプロピレングリコール及び約40%のエタノールと、約70%のポリプロピレングリコール及び約30%のエタノールと、約80%のポリプロピレングリコール及び約20%のエタノールと、約90%のポリプロピレングリコール及び約10%のエタノールと、から選択されるメンバである。
例示としての実施形態において、医薬製剤はラッカーである。ラッカーの製造についての情報に関しては、上掲のRemingtonの資料を参照のこと。
例示としての実施形態において、本化合物は、約0.5%から約15%の濃度で前記医薬製剤に存在する。例示としての実施形態において、本化合物は、約0.1%から約12.5%の濃度で前記医薬製剤に存在する。例示としての実施形態において、本化合物は、約1%から約10%の濃度で前記医薬製剤に存在する。例示としての実施形態において、本化合物は、約1%から約5%の濃度で前記医薬製剤に存在する。例示としての実施形態において、本化合物は、約0.5%から約5%の濃度で前記医薬製剤に存在する。例示としての実施形態において、本化合物は、約0.5%から約7.5%の濃度で前記医薬製剤に存在する。例示としての実施形態において、本化合物は、約5%から約7.5%の濃度で前記医薬製剤に存在する。例示としての実施形態において、本化合物は、約2%から約8%の濃度で前記医薬製剤に存在する。例示としての実施形態において、本化合物は、約4%から約9%の濃度で前記医薬製剤に存在する。
VI.b)別の活性剤
以下、本発明の局所用医薬製剤に添加可能な化粧品及び製剤の例をあげておく。以下の作用剤は、既知化合物であり、容易に商業入手可能である。
抗炎症薬には、ビサボロール、メンソレータム、ダプソン、アロエ、ヒドロコルチゾンなどが含まれるが、これに限定されるものではない。
ビタミンには、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンDなどや、タザロテン、カルシポトリエン、トレチノイン、アダパレンなどのビタミン誘導体が含まれるが、これに限定されるものではない。
老化防止剤には、ナイアシンアミド、レチノール、及びレチノイド誘導体、AHA、アスコルビン酸、リポ酸、コエンザイムQ10、β−ヒドロキシ酸、サリチル酸、銅結合ペプチド、ジメチルアミノエチル(DAEA)などが含まれるが、これに限定されるものではない。
日焼け止め製剤及び/又は日焼け緩和剤には、PABA、ホホバ、アロエ、パジマート−O、メトキシ桂皮酸塩、プロキサミンHCl、リドカインなどが含まれるが、これに限定されるものではない。サンレスタンニング作用剤には、ジヒドロキシアセトン(DHA)が含まれるが、これに限定されるものではない。
乾癬治療剤及び/又はざ瘡治療剤には、サリチル酸、ベンゾイルパーオキサイド、コールタール、硫化セレン、酸化亜鉛、ピリチオン(亜鉛及び/又はナトリウム)、タザロテン、カルシポトリエン、トレチノイン、アダパレンなどが含まれるが、これに限定されるものではない。
角化を制御又は調節するのに有効な作用剤には、限定的ではなく、トレチノイン、タザロテン、及びアダパレンがある。
式(I)、(II)、及び/又は(III)のものなど、本明細書に記載された化合物/活性剤と、任意にこれらの別の作用剤を少なくとも1種とを含む組成物を、局所投与する。最初の適用時には、本発明の化合物及び他の活性剤が作用して皮膚、爪、毛、鉤爪又は蹄を治療する。或いは、局所的に適用される活性剤のうちのいずれかを、経皮経路で全身送達させてもよい。
このような組成物では、例えば抗炎症剤、ビタミン、老化防止剤、日焼け止め製剤、及び/又はざ瘡治療剤などの化粧上又は薬学上有効な別の作用剤は、通常、微量成分(約0.001%から約20重量%又は好ましくは約0.01%から約10重量%)であり、残りが種々のビヒクル又はキャリアと所望の投与形態にする助けとなる加工助剤である。
VI.c)試験
本局所用製剤で用いるのに好ましい化合物は、特定の薬理学的特性を持つことになる。このような特性として、毒性の低さ、血清タンパク質結合率の低さ、望ましいin vitro及びin vivo半減期が含まれるが、これに限定されるものではない。アッセイを用いてこれらの望ましい薬理学的特性を予測することができる。バイオアベイラビリティの予測に用いるアッセイには、Caco−2細胞単層膜を含むヒトの腸の細胞単層膜を通る輸送を含む。血清タンパク質結合率は、アルブミン結合アッセイで予測できる。このようなアッセイについては、Oravcova et al. (J. Chromat. B677: 1-27 (1996))の概説に記載されている。化合物の半減期は化合物の投薬頻度に反比例する。化合物のin vitroでの半減期は、Kuhnz and Gleschen (Drug Metabolism and Disposition, 26: 1120-1127 (1998))に記載されているようにしてミクロソーム半減期のアッセイで予測できる。
このような化合物の毒性及び治療有効性を、LD50(個体群の50%で致死量)とED50(個体群の50%で治療上有効)を求める手法など、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手法で求めることができる。毒性と治療効果との間の用量比が治療係数であり、LD50とED50との比で表される。治療係数の大きい化合物が好ましい。ヒトでの場合の投薬量の範囲で処方する際に、これらの細胞培養アッセイ及び動物実験で得られたデータを利用することができる。このような化合物の投薬量は、毒性がわずかであるかまったくないED50を含む循環濃度範囲内であることが好ましい。投薬量は、使用する剤形や利用する投与経路に応じてこの範囲内で変動することができる。厳密な処方、投与経路及び投与量については、患者の状態に照らして個々の医師が選択できる(例えば、Fingl et al., 1975, in “The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Ch. 1, p. 1を参照のこと)。
VI.d)投与
本明細書に開示するように、本発明の方法に用いられるいずれの化合物についても、最初に細胞培養アッセイから治療上有効な用量を推定することができる。例えば、細胞培養で求めたEC50(50%増加の有効用量)を含む循環濃度範囲を達成する用量すなわち、細菌細胞の発育の半値幅阻害(half-maximal inhibition)を達成する被検化合物濃度を動物モデルで決めることができる。このような情報を利用すれば、ヒトでの有効用量をより一層正確に求めることができる。
通常、本明細書に記載の方法により及び本明細書に記載の中間体から調製される本化合物は、同様の有用性に資する作用剤の容認された任意の投与形式により、治療上又は化粧上有効な量で投与される。しかしながら、任意の特定患者の具体的な投与量レベルが、用いる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬剤の組み合わせ、治療を受ける特定の疾患の重症度、処方医師の判断を含む様々な要因に左右されることは、理解できよう。この薬剤は、1日1回から2回投与可能であり、或いは、1日最大3回又は4回まで投与可能である。
投与量及び投与間隔を個々に調節して、細菌細胞の発育阻害効果を維持するのに十分な活性部分の血漿濃度を得ることができる。通常の患者の投与量は、全身投与の場合で、0.1から1000mg/日、好ましくは、1〜500mg/日、より好ましくは10〜200mg/日、なお一層好ましくは100〜200mg/日の範囲である。患者の体の表面積に関して言えば、通常の投与量は50〜91mg/m/日の範囲である。
製剤中の本化合物の量は、当業者が用いるあらゆる範囲内で変動することができる。一般に、製剤は、製剤の総量に対して重量パーセント(wt%)ベースで、約0.01〜10wt%の薬剤を含有し、残りが1つ以上の好適な薬剤用賦形剤である。好ましくは、化合物は約0.1〜3.0wt%の濃度で存在し、より好ましくは、約1.0wt%の濃度で存在する。
以下、実施例を参照して本発明についてさらに説明する。実施例は、本発明の範囲を定義又は限定することを意図したものではない。
実施例
概要:融点はMel−Temp−II融点測定器を用いて得たものであり、訂正はしていない。H NMRスペクトルは、Oxford 300(300MHz)分光計(Varian)で記録した。質量スペクトルは、API 3000(Applied Biosystems)で決定した。HPLCによる純度(相対領域)は、ProStar Model 330(PDA検出器、Varian)、Model 210(ポンプ、Varian)、及びBetaBasic−184.6×150mmカラム(Thermo Electron Corporation)を用い、220nmにて10分間にわたる0.01% HPO中の0〜100% MeCN、続いてさらに10分間の100% MeCNの直線勾配により決定した。
実施例1
CBO及びCBEの前駆体
1.1 2−ブロモ−5−フルオロ−[1−(メトキシメトキシ)メチル]ベンゼン(5b)
MeOH(400mL)中の3(62.0g,293mmol)の溶液に、NaBH(5.57g,147mmol)を0℃で数回に分けて添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。水を添加し、溶媒を減圧下で除去して半分の体積とした。混合物をEtOAc及び水に注いだ。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去すると4bが得られ、これを精製することなく次の工程で用いた。CHCl中の4b(60.8g,293mmol)及びi−PrNEt(61mL,0.35mol)の溶液にクロロメチルメチルエーテル(27mL,0.35mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。水を添加し、混合物をCHClで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去すると、5b(73.2g,quant)が得られた。H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)3.43(s,3H),4.62(s,2H),4.78(s,2H),6.88(td,J=8.5,3.2Hz,1H),7.25(dd,J=9.6,3.1Hz,1H),7.48(dd,J=8.8,5.3Hz,1H)。
1.2 2−ブロモ−[1−(メトキシメトキシ)メチル]ベンゼン(5a)
この化合物を化合物5bと同じ様式で2−ブロモベンジルアルコールから作製し、精製することなく次の工程で用いた。
1.3 2−[4−フルオロ−2−[(メトキシメトキシ)メチル]フェニル]−[1,3,2]ジオキサボロラン(6)
THF(130mL)中の5b(16.2g,65.1mmol)の溶液にsec−BuLi(1.4M,56mL)及び(MeO)B(14.5mL,130mmol)を窒素雰囲気下、−78℃で添加し、混合物を室温に温め、2時間攪拌した。水及び1N NaOHを混合物に添加し、これをEtOで洗浄した。次いで、pHを1N HClで4に調整し、混合物をEtOAcで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。次いで、溶媒を減圧下で除去するとボロン酸が得られ、これを精製することなく次の工程で用いた。トルエン(300mL)中のボロン酸の溶液にエチレングリコール(3.29g,53mmol)を添加し、混合物をDean−Starkトラップを用いて3時間還流した。溶媒を減圧下で除去すると、6(12.1g,77%)が得られた。H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)3.42(s,3H),4.36(s,4H),4.76(s,2H),4.87(s,2H),6.96(td,J=8.2,2.6Hz,1H),7.26(dd,J=10.6,2.6Hz,1H),7.83(dd,J=8.2,6.4Hz,1H)。
1.4 2−(3−クロロフェニル)[1,3,2]ジオキサボロラン(7b;Riii=3−Cl−Ph)
3−クロロフェニルボロン酸(3.041g,19.4mmol)を窒素雰囲気下で乾燥THF75mLに溶解した。エチレングリコール(1.32g,21.3mmol)を添加し、溶液を18時間還流した。溶液を冷却し、THFを減圧下で除去すると、7b(3.55g,100%)が褐色のオイルとして得られ、これを冷蔵庫中で冷却して固体化した。H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)4.39(s,4H),7.32(t,J=7.9Hz,1H),7.45(dd,J=8.2,1.2Hz,1H),7.67(d,J=7.0Hz,1H),7.78(brs,1H)。
化合物7a及び7c〜kを7bと同様の様式で合成した。
1.5 2−フェニル[1,3,2]ジオキサボロラン(7a;Riii=Ph)
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.30(s,4H),7.35−7.41(t,J=8.2Hz,2H),7.46−7.52(m,1H),7.68−7.72(dd,J=6.2,2.6Hz,2H)。
1.6 2−(4−クロロフェニル)[1,3,2]ジオキサボロラン(7c;Riii=4−Cl−Ph)
H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)4.38(s,4H),7.36(d,J=6.7Hz,2H),7.74(d,J=7.0Hz,2H)。
1.7 2−(3−フルオロフェニル)[1,3,2]ジオキサボロラン(7d;Riii=3−F−Ph)
H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)4.39(s,4H),7.1−7.2(m,1H),7.36(td,J=8.2,5.6Hz,1H),7.48(dd,J=9.1,2.6Hz,1H),7.58(d,J=7.0Hz,1H)。
1.8 2−(4−フルオロフェニル)[1,3,2]ジオキサボロラン(7e;Riii=4−F−Ph)
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.29(s,4H),7.17−7.23(t,J=8.5Hz,2H),7.71−7.76(dd,J=8.5,6.1Hz,2H)。
1.9 2−(3−メチルフェニル)[1,3,2]ジオキサボロラン(7f;Riii=3−Me−Ph)
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)2.31(s,3H),4.31(s,4H),7.29−7.32(m,2H),7.50−7.53(m,2H)。
1.10 2−スチリル[1,3,2]ジオキサボロラン(7h;Riii=スチリル)
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.20(s,4H),6.15(d,J=18.5Hz,1H),7.31−7.39(m,4H),7.56(dd,J=1.5,7.6Hz,2H)。
1.11 2−(チオフェン−3−イル)[1,3,2]ジオキサボロラン(7j;Riii=チオフェン−3−イル)
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.27(s,4H),7.30(dd,J=4.8,0.9Hz,1H),7.58(dd,J=4.5,2.4Hz,1H),8.03(dd,J=2.7,1.2Hz,1H)。
1.12 2−(4−メチルチオフェン−3−イル)[1,3,2]ジオキサボロラン(7k;Riii=4−メチルチオフェン−3−イル)
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)2.31(s,3H),4.25(s,4H),7.13−7.14(m,1H),7.93(d,J=3.0Hz,1H)。
実施例2
CBE
2.1 1−(3−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−2,1−ベンゾキサボロール(9f)
化合物5b(1.06g,4.20mmol)を窒素雰囲気下で乾燥THF50mLに溶解し、−78℃に冷却した。tert−BuLi(ペンタン中1.7M,5.3mL)をゆっくりと溶液に添加した。−78℃で10分間攪拌した後、乾燥THF10mL中の化合物7b(764mg,4.20mmol)を添加し、溶液をさらに0.5時間攪拌した。次いで、溶液を室温まで温め、18時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をHO40ml及びジエチルエーテル80mL間で分配した。溶液を激しく数分間攪拌し、次いで6N HClで中和した(pH7)。有機相を分離し、水溶液をエーテル(2×80mL)で再び抽出した。エーテル抽出物を合わせ、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発させると、粗製の8f(1.22g)が黄色のオイルとして得られ、これを精製することなく次の工程で用いた。化合物8f(700mg,2.30mmol)をTHF46mL及び濃HCl4mLに溶解した。溶液を室温で12時間攪拌した。次いで、水(10mL)を添加し、THFを減圧下で除去した。これにより懸濁液となった。沈殿物を真空下でろ過し、水(10mL)で洗浄し、次いでヘキサン(5mL)で洗浄し、乾燥させると、化合物9f(334mg,59%)が白色の固体として得られた:融点112−114℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.15(s,2H),7.02−7.08(t,J=8.8Hz,1H),7.14−7.17(d,J=8.8Hz,1H),7.23−7.33(m,2H),7.65−7.72(m,3H);ESI−MS m/z 247.08,249.03(M−H);HPLC純度:97.1%;分析値(C13BClFO)C,H。
化合物9a〜e、9g〜j、10a,b、及び12〜15を9fと同様の様式で合成した。
2.1 1,3−ジヒドロ−1−フェニル−2,1−ベンゾキサボロール(9a)
無色のオイル;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.41(s,2H),7.43−7.61(m,6H),8.11(d,J=9.4Hz,2H),8.18(d,J=8.2Hz,1H);ESI−MS m/z 観測されず;HPLC純度:95.5%。
2.2 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−フェニル−2,1−ベンゾキサボロール(9b)
融点90−99℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.37(s,2H),7.22(dt,J=2.3,8.9Hz,1H),7.38(dd,J=2.1,9.4Hz,1H),7.45−7.57(m,3H),8.06(dd,J=1.8,7.9Hz,2H),8.16(dd,J=5.9,8.2Hz,1H);ESI−MS m/z 213(M+H);HPLC純度:95.1%。
2.3 1−(3−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−2,1−ベンゾキサボロール(9c)
無色のオイル;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.26(s,2H),7.29−7.45(m,5H),7.77−7.86(m,3H);ESI−MS m/z 観測されず;HPLC純度:96.0%;分析値(C1310BClO)C,H。
2.4 1,3−ジヒドロ−1−(3−フルオロフェニル)−2,1−ベンゾキサボロール(9d)
無色のオイル;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.28(s,2H),7.23(m,1H),7.34(m,1H),7.41−7.48(m,3H),7.57−7.61(dd,J=9.6,2.6Hz,1H),7.74−7.77(d,J=7.3Hz,1H),7.93−7.95(d,J=7.3Hz,1H);ESI−MS m/z 観測されず;HPLC純度:98.3%;分析値(C1310BFO)C,H。
2.5 1,3−ジヒドロ−1−(4−フルオロフェニル)−2,1−ベンゾキサボロール(9e)
融点53−55℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.37(s,2H),7.26−7.32(m,2H),7.42(m,1H),7.53−7.55(m,2H),8.11−8.16(m,3H);ESI−MSm/観測されず;HPLC純度:99.3%;分析値(C1310BFO)C,H。
2.6 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−(3−フルオロフェニル)−2,1−ベンゾキサボロール(9g)
融点80−82℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.20(s,2H),7.06−7.18(m,2H),7.22(dd,J=9.6,1.8Hz,1H),7.39(td,J=7.8,5.4Hz,1H),7.49(dd,J=9.9,2.7Hz,1H),7.63(dd,J=6.9,0.9Hz,1H),7.83(dd,J=8.1,5.7Hz,1H);ESI−MSm/観測されず;HPLC純度:98.5%;分析値(C13BFO)C,H。
2.7 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−(4−フルオロフェニル)−2,1−ベンゾキサボロール(9h)
融点75−77℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.33(s,2H),7.19−7.30(m,3H),7.36(dd,J=9.9,2.1Hz,1H),8.05−8.14(m,3H).;ESI−MSm/観測されず;HPLC純度:99.0%;分析値(C13BFO)C,H。
2.8 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−(3−メチルフェニル)−2,1−ベンゾキサボロール(9i)
融点48−49℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)2.37(s,3H),5.36(s,2H),7.25(m,1H),7.3−7.5(m,3H),7.8−7.9(m,2H),8.20(dd,J=7.9,5.9Hz,1H);ESI−MS m/z 227(M+H);HPLC純度:99.8%;分析値(C1412BFO)C,H。
2.9 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2,1−ベンゾキサボロール(9j)
融点48−49℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)2.36(s,3H),5.35(s,2H),7.25(m,1H),7.29(d,J=7.6Hz,2H),7.40(dd,J=9.4,1.5Hz,1H),7.99(d,J=7.6Hz,2H),8.20(dd,J=7.9,5.6Hz,1H);ESI−MS m/z 227(M+H);HPLC純度:98.9%;分析値(C1412BFO)C,H。
2.10 1,3−ジヒドロ−1−スチリル−2,1−ベンゾキサボロール(10a)
融点57−59℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.33(s,2H),6.85(d,J=18.8Hz,1H),7.38−7.46(m,4H),7.56(d,J=4.7Hz,2H),7.64(d,J=7.9Hz,2H),7.83(d,J=18.8Hz,1H),8.14(d,J=7.3Hz,1H);ESI−MS m/z 221(M+H);HPLC純度:98.5%;分析値(C1310BFO 0.1HO)C,H。
2.11 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−スチリル−2,1−ベンゾキサボロール(10b)
融点84−86℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.32(s,2H),6.86(d,J=18.8Hz,1H),7.24(td,J=2.3,10.6Hz,1H),7.38−7.47(m,4H),7.74(d,J=7.0Hz,2H),7.83(d,J=18.8Hz,1H),8.19(dd,J=5.9,8.2,1H);ESI−MS m/z 239(M+H);HPLC純度:99.1%;分析値(C1310BFO)C,H。
2.12 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−(フラン−3−イル)−2,1−ベンゾキサボロール(12)
無色のオイル;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.34(s,2H),6.84(m,1H),7.24(m,1H),7.37−7.40(d,J=9.4Hz,1H),7.83(m,1H),8.14−8.18(dd,J=8.2,5.9Hz,1H),8.49(m,1H);ESI−MS m/z 203(M+H);HPLC純度:96.9%;分析値(C11BFO)C,H。
2.13 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−(チオフェン−3−イル)−2,1−ベンゾキサボロール(13)
融点33−35℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.33(s,2H),7.24(m,1H),7.35−7.38(d,J=9.3Hz,1H),7.65(m,2H),8.17−8.22(dd,J=8.4,6.3Hz,1H),8.48(m,1H);ESI−MS m/z 219(M+H);HPLC純度:97.8%;分析値(C11BFOS)C,H。
2.14 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−(4−メチルチオフェン−3−イル)−2,1−ベンゾキサボロール(14)
融点51−53℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)2.46(s,3H),5.36(s,2H),7.20−7.27(m,2H),7.37−7.40(dd,J=9.4,2.1Hz,1H),8.14−8.19(dd,J=8.2,5.9Hz,1H),8.48−8.49(d,J=2.6Hz,1H);ESI−MS m/z 233(M+H);HPLC純度:100%;分析値(C1210BFOS)C,H。
2.15 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−ビニル−2,1−ベンゾキサボロール(11)
THF(30mL)中の化合物5b(2.0g,8.0mmol)を−78℃に冷却し、ペンタン中の1.7M溶液としてのtert−ブチルリチウム(9.9mL,16.8mmol)をゆっくりと添加した。−78℃で30分間攪拌した後、ビニルボロン酸のジブチルエステルを滴下して添加した。混合物を−78℃で1時間攪拌し、次いで最高で室温まで温め、一晩攪拌した。濃HCl(4mL)を添加し、室温で4時間攪拌した。水(10mL)を添加し、THFを減圧下で除去した。残渣をエチルエーテルで抽出し、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製の生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(9:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製すると、11(383mg,30%)が黄ばんだオイルとして得られた;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.27(s,2H),6.25(t,J=8.5Hz,1H),6.50(d,J=9.4Hz,2H),7.06−7.15(m,2H),7.89(dd,J=5.6,7.9Hz,1H);ESI−MS m/z (M+H);HPLC純度:98.7%;分析値(CBFO 0.1HO)C,H。
2.16 3−(1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−2,1−ベンゾキサボロール−1−イル)ピリジン(15)
THF(5mL)中の3−ブロモピリジン(731mg,4.63mmol)の溶液に塩化イソプロピルマグネシウム(THF中1M;2.3mL)を窒素雰囲気下、室温で添加し、混合物を1時間攪拌した。混合物にTHF(4mL)中の化合物6(1.11g,4.63mmol)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。水を添加し、pHを1N HClで7に調整した。次いで、混合物を酢酸エチルで抽出した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をTHF(30mL)に溶解した。混合物に1N HCl(10mL)を添加し、混合物を一晩還流した。pHをNaHCO水溶液で7に調整し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をi−PrOから再結晶化すると、化合物15(76mg,7.7%)が得られた:融点210−212℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ4.94(s,2H),6.9−7.1(m,2H),7.36(brs,1H),7.66(dd,J=6.7,5.3Hz,1H),8.19(d,J=6.7Hz,1H),8.24(brs,1H),8.64(d,J=5.3Hz,1H):ESI−MS m/z 214(M+H);分析値(C12BFNO 0.6HO)C,H,N.
実施例3
CBOの前駆体
3.1 2−ブロモ−5−フルオロ−[1−(メトキシメトキシ)エチル]ベンゼン(18c)
THF(30mL)中の化合物3(4.23g,20.0mmol)の溶液にMeMgBr(THF中1.4mol/L;18mL)を窒素雰囲気下、−78℃で添加し、混合物を室温まで温めながら2時間攪拌した。反応物を2N HClを用いてクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。CHCl(100mL)中の残渣(4.62g)の溶液にi−PrNEt(5.2mL,30mmol)及びクロロメチルメチルエーテル(2.0mL,26mmol)を0℃で添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。水を添加し、混合物をCHClで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製すると、18c(4.97g,2工程94%)が得られた:H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)1.43(d,J=6.5Hz,3H),3.38(s,3H),4.55(d,J=6.5Hz,1H),4.63(d,J=6.5Hz,1H),5.07(q,J=6.5Hz,1H),6.85(m,1H),7.25(dd,J=9.7,2.6Hz,1H),7.46(dd,J=8.8,5.3Hz,1H)。
3.2 2−ブロモ−5−クロロ−1−(メトキシメトキシメチル)ベンゼン(18d)
無水THF(70mL)中の2−ブロモ−5−クロロ安息香酸(5.49g,23.3mmol)の溶液に窒素下でBH THF溶液(1.0M,55mL)を0℃で滴下して添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、混合物を冷浴で冷却し、MeOH(20mL)を滴下して添加して過剰のBHを分解した。得られた混合物を泡が放出しなくなるまで攪拌し、次いで10%NaOH(10mL)を添加した。混合物を濃縮し、残渣を水(200mL)と混合し、EtOAcで抽出した。回転蒸発から得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5:1ヘキサン/EtOAc)により精製すると、2−ブロモ−5−クロロベンジルアルコールが白色の固体として得られた(4.58g,88%):H NMR(300MHz,DMSO−d):δ(ppm)7.57(d,J=8.7Hz,1H),7.50−7.49(m,1H),7.28−7.24(m,1H),5.59(t,J=6.0Hz,1H),4.46(d,J=6.0Hz,2H)。
上で得られた2−ブロモ−5−クロロベンジルアルコールをCHCl(150mL)に溶解し、冷浴で0℃に冷却した。この溶液に窒素下でi−PrNEt(5.4mL,31mmol)及びクロロメチルメチルエーテル(2.0mL,26mmol)を連続して添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、NaHCO飽和水、次いで塩水で洗浄した。回転蒸発後の残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5:1ヘキサン/EtOAc)により精製すると、18d(4.67g,85%)が無色のオイルとして得られた:H NMR(300MHz,DMSO−d):δ(ppm)3.30(s,3H),4.53(s,2H),4.71(s,2H),7.32(dd,J=8.4,2.4Hz,1H),7.50(dd,J=2.4,0.6Hz,1H),7.63(d,J=8.7Hz,1H)。
3.3 4−ブロモ−3−(メトキシメトキシメチル)トルエン(18e)
この化合物を化合物18dと同じ様式で2−ブロモ−5−メチル安息香酸から作製した:H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)2.27(s,3H),3.30(s,3H),4.51(s,2H),4.68(s,2H),7.05(dd,J=7.9,2.3Hz,1H),7.30(d,J=1.5Hz,1H),7.46(d,J=8.2Hz,1H)。
3.4 2−ブロモ−5−メトキシ−1−(メトキシメトキシメチル)ベンゼン(18g)
この化合物を化合物18dと同じ様式で2−ブロモ−5−メトキシ安息香酸から作製した:H NMR(300MHz,DMSO−d):δ3.30(s,1H),3.74(s,3H),4.50(s,2H),4.69(s,2H),6.83(dd,J=8.8,2.9Hz,1H),7.40(d,J=2.9Hz,1H),7.48(d,J=8.8Hz,1H)。
3.5 2−ブロモ−1,5−ビス(メトキシメトキシメチル)ベンゼン(18h)
この化合物を化合物18dと同じ様式で4−ブロモ−1,3−フタル酸から作製した:H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)3.28(s,3H),3.30(s,3H),4.50(s,2H),4.54(s,2H),4.64(s,2H),4.69(s,2H),7.20(dd,J=8.8,2.5Hz,1H),7.46(d,J=2.5Hz,1H),7.58(d,J=8.8Hz,1H)。
3.6 2−ブロモ−4,5−ジフルオロ−1−(メトキシメトキシメチル)ベンゼン(18k)
この化合物を化合物18dと同じ様式で2−ブロモ−4,5−ジフルオロ安息香酸から作製した:H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)3.42(s,3H),4.57(d,J=1.2Hz,2H),4.76(s,2H),7.3−7.5(m,2H)。
3.7 2−ブロモ−6−フルオロ−1−(メトキシメトキシメチル)ベンゼン(18l)
この化合物を化合物18dと同じ様式で2−ブロモ−6−フルオロ安息香酸から作製した:H NMR(300MHz,CDCl) δ(ppm)3.43(s,3H),4.74(s,2H),4.76(d,J=2.1Hz,2H),7.05(t,J=9.1Hz,1H),7.18(td,J=8.2,5.9Hz,1H),7.40(d,J=8.2Hz,1H)。
3.8 2−ブロモ−4−フルオロ−1−(メトキシメトキシメチル)ベンゼン(18m)
この化合物を化合物18dと同じ様式で2−ブロモ−4−フルオロ安息香酸から作製し、精製することなく次の工程で用いた。
3.9 4−ブロモ−3−(メトキシメトキシメチル)ベンゾニトリル(18f)
四塩化炭素(200mL)中の17(10.0g,49.5mmol)の溶液にN−ブロモスクシンイミド(8.81g,49.5mmol)及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(414mg,5mol%)を添加し、混合物を3時間還流した。水を添加し、混合物をクロロホルムで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。残渣にジメチルホルムアミド(150mL)及び酢酸ナトリウム(20.5g,250mmol)を添加し、混合物を80℃で一晩攪拌した。水を添加し、混合物をエーテルで抽出した。有機相を水及び塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。残渣にメタノール(150mL)及び1mol/L水酸化ナトリウム(50mL)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して3分の1の体積とした。水及び塩酸を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水及び塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、続いてジクロロメタンで粉砕すると、2−ブロモ−5−シアノベンジルアルコール(4.63g,全44%)が得られた:H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.51(d,J=5.9hz,2H),5.67(t,J=5.6Hz,1H),7.67(dd,J=8.2,2.0Hz,1H),7.80(s,J=8.2Hz,1H),7.83(d,J=2.0Hz,1H)。
ジクロロメタン(80mL)中の2−ブロモ−5−シアノベンジルアルコール(4.59g,21.7mmol)の溶液にジイソプロピルエチルアミン(5.6mL,32mmol)及びクロロメチルメチルエーテル(2.3mL,30mmol)を0℃で添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。水を添加し、混合物をクロロホルムで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(6:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製すると、18f(4.08g,71%)が得られた:H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)3.43(s,3H),4.65(s,2H),4.80(s,2H),7.43(dd,J=8.2,4.1Hz,1H),7.66(d,J=8.2Hz,1H),7.82(d,J=4.1Hz,1H)。
3.10 2−ブロモ−5−トリフルオロメチル−1−(メトキシメトキシメチル)ベンゼン(18i)
この化合物を化合物5bと同じ様式で2−ブロモ−5−トリフルオロメチルベンズアルデヒドから作製し、精製することなく次の工程で用いた。
3.11 1−ブロモ−2−(メトキシメトキシメチル)ナフタレン(18j)
この化合物を化合物5bと同じ様式で1−ブロモナフトアルデヒドから作製した:H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)3.42(s,3H),4.75(s,2H),4.81(s,2H),7.5−7.7(m,3H),7.99(d,J=7.7Hz,2H),8.22(d,J=7.7Hz,1H)。
3.12 1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2,1−ベンゾキサボロール(19a)
この化合物をLancaster Synthesisから購入した。
3.13 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,1−ベンゾキサボロール(19b)
乾燥THF(400mL)中の5b(73.2g,293mmol)の溶液にn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M;200mL)を45分にわたって、窒素雰囲気下、−78℃で添加した。アニオンが沈殿した。5分後、(i−PrO)B(76.0mL,330mmol)を10分にわたって添加し、混合物を1.5時間にわたって室温まで温めた。水及び6N HCl(55mL)を添加し、溶媒を減圧下で除去して2分の1の体積とした。混合物を酢酸エチル及び水に注いだ。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。テトラヒドロフラン(360mL)中の残渣の溶液に6N HCl(90mL)を添加し、混合物を30℃で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去して2分の1の体積とした。混合物を酢酸エチル及び水に注いだ。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をi−PrO/ヘキサンで処理すると、19b(26.9g,60%)が白色の粉末として得られた:融点118−120℃;H NMR(300MHz,DMSO−d) δ(ppm)4.95(s,2H),7.15(m,1H),7.24(dd,J=9.7,1.8Hz,1H),7.74(dd,J=8.2,6.2Hz,1H),9.22(s,1H);ESI−MS m/z 151(M−H);HPLC純度97.8%;分析値(CBFO)C,H。
3.14 1,3−ジヒドロ−5−フルオロ−1−ヒドロキシ−3−メチル−2,1−ベンゾキサボロラン(19c)
この化合物を化合物19bと同じ様式で18cから作製した:融点72−76℃.H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)1.37(d,J=6.4Hz,3H),5.17(q,J=6.4Hz,1H),7.14(m,1H),7.25(dd,J=9.7,2.3Hz,1H),7.70(dd,J=8.2,5.9Hz,1H),9.14(s,1H)。ESI−MS m/z 165(M−H);HPLC純度95.2%;分析値(CBO)C,H。
3.15 5−クロロ−1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2,1−ベンゾキサボロール(19d)
この化合物を化合物19bと同じ様式で18dから作製した:融点142−144℃.H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.96(s,2H),7.38(d,J=7.8Hz,1H),7.49(s,1H),7.71(d,J=7.8Hz,1H),9.30(s,1H);ESI−MS m/z 167(M−H);HPLC純度99.0%;分析値(CBClO・0.1HO)C,H。
3.16 1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−5−メチル−2,1−ベンゾキサボロール(19e)
この化合物を化合物19bと同じ様式で18eから作製した:融点124−128℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)2.33(s,3H),4.91(s,2H),7.13(d,J=7.2Hz,1H),7.18(s,1H),7.58(d,J=7.2Hz,1H),9.05(s,1H);ESI−MS m/z 147(M−H);HPLC純度99.0%;分析値(CBO)C,H。
3.17 1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−5−メトキシ−2,1−ベンゾキサボロール(19g)
この化合物を化合物19bと同じ様式で18gから作製した:融点102−104℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)3.77(s,3H),4.91(s,2H),6.88(d,J=8.1Hz,1H),6.94(s,1H),7.60(d,J=8.1Hz,1H),8.95(s,1H);ESI−MS m/z 163(M−H);HPLC純度100%;分析値(CBO)C,H。
3.18 1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2,1−ベンゾキサボロール(19h)
この化合物を化合物19bと同じ様式で18hから作製した:融点124−128℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.53(d,2H),4.94(s,2H),5.24(t,1H),7.26(d,1H),7.33(s,1H),7.64(d,1H),9.08(s,1H);ESI−MS m/z 163(M−H);HPLC純度100%。
3.19 1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンゾキサボロール(19i)
この化合物を化合物19bと同じ様式で18iから作製した:融点113−118C;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.05(s,2H),7.65−7.68(d,J=7.5Hz,1H),7.78(s,1H),7.90−7.93(d,J=7.8Hz,1H),9.47(s,1H);ESI−MS m/z 201(M−H);HPLC純度100%。
3.20 1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2,1−ナフト[2,1−d]オキサボロール(19j)
この化合物を化合物19bと同じ様式で18jから作製した:融点139−143℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.09(s,2H),7.59−7.47(m,3H),7.95(d,J=7.5Hz,1H),7.99(d,J=8.1Hz,1H),8.28(dd,J=6.9,0.6Hz,1H),9.21(s,1H);ESI−MS m/z 185(M+H);分析値(C11BO)C,H。
3.21 1,3−ジヒドロ−4−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,1−ベンゾキサボロール(19l)
この化合物を化合物19bと同じ様式で18Lから作製した:H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)5.06(s,2H),7.26(ddd,J=9.7,7.9,0.6Hz,1H),7.40(td,J=8.2,4.7Hz,1H),7.55(d,J=7.0Hz,1H),9.41(s,1H);ESI−MS m/z 151(M−H);HPLC純度98.7%;分析値(CBFO)C,H。
3.22 1,3−ジヒドロ−6−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,1−ベンゾキサボロール(19m)
この化合物を化合物19bと同じ様式で18mから作製した:H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.95(s,2H),7.29(td,J=9.0,2.7Hz,1H),7.41−7.46(m,2H),9.29(s,1H);ESI−MS m/z 151(M−H);HPLC純度100%;分析値(CBFO)C,H。
3.23 5,6−ジフルオロ−1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2,1−ベンゾキサボロラン(19k)
THF(30mL)中の18k(2.97g,11.1mmol)及び(i−PrO)B(2.8mL,12mmol)の溶液にn−BuLi(1.6mol/Linヘキサン;7.5mL)を30分間にわたって、窒素雰囲気下、−78℃で添加し、混合物を室温まで温めながら2時間攪拌した。反応物を2N HClを用いてクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。THF(25mL)中の残渣の溶液に6N HCl(5mL)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。EtOAc/i−PrOからの再結晶化により、19k(1.14g,60%)が白色の粉末として得られた:融点134−140℃.H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.94(s,2H),7.50(dd,J=10.7,6.8Hz,1H),7.62(dd,J=9.7,8.2Hz,1H),9.34(s,1H)。ESI−MS m/z 169(M−H);HPLC純度96.6%;分析値(CBF)C,H。
3.24 5−シアノ−1,3−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2,1−ベンゾキサボロラン(19f)
この化合物を化合物19kと同じ様式で18fから作製した:融点98−101℃.H−NMR(300MHz,DMSO−d) δ(ppm)5.03(s,2H),7.76(d,J=8.2Hz,1H),7.89(d,J=8.2Hz,1H),7.90(s,1H),9.53(s,1H);ESI−MS m/z 158(M−H);HPLC純度97.7%。
3.25 1,3−ジヒドロ−7−フルオロ−1−ヒドロキシ−2,1−ベンゾキサボロラン(19n)
THF(100mL)中の20(2.00g,15.9mmol)及びTMEDA(5.70mL,38.0mmol)溶液に1.4M溶液としてのsec−ブチルリチウム(25mL,35.0mmol)を−78℃で添加した。混合物を−78℃で1時間攪拌した後、(i−PrO)B(8.10mL,35.0mmol)を添加した。反応物を最高で室温まで非常にゆっくりと温め、次いで一晩攪拌した。水を添加し、pHを12に調整し、次いでこれをエチルエーテルで洗浄した。水相を6N HClを用いてpH2に酸性化し、次いでエチルエーテルで抽出し、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製の生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(2:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製すると、19n(270mg)が白色の固体として得られた:融点120−124℃.H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)4.99(s,2H),7.00(t,J=8.7Hz,1H),7.21(d,J=7.8Hz,1H),7.48(td,J=5.1,7.8Hz,1H),9.25(s,1H);ESI−MS m/z 151(M−H);HPLC純度97.4%;分析値(CBNO)C,H。
実施例4
ベンゾキサボリン
4.1 2−ブロモ−5−フルオロフェニルアセトアルデヒド(21a)
N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の化合物3(4.23g,20.0mmol)、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(8.49g,24.0mmol)、及びカリウムtert−ブトキシド(2.83g,24.0mol)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応物を6N塩酸でクエンチし、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水で2回及び塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。この残渣にテトラヒドロフラン(60mL)及び6N塩酸を添加し、混合物を8時間加熱還流した。水を添加し、混合物をエーテルで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去すると、21a(3.60g,83%)が得られた:H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)3.86(d,J=1.5Hz,2H),6.9−7.1(m,2H),7.57(dd,J=8.8,5.3Hz,1H),9.76(t,J=1.5Hz,1H)。
4.2 1−ブロモ−4−フルオロ−2−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンゼン(22a)
メタノール(40mL)中の21a(3.60g,16.6mmol)の溶液に水素化ホウ素ナトリウム(640mg,16.6mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。残渣にジクロロメタン(50mL)、ジイソプロピルエチルアミン(3.5mL,20mmol)、及びクロロメチルメチルエーテル(1.5mL,20mmol)を0℃で添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。水を添加し、混合物をクロロホルムで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15:1ヘキサン/酢酸エチル)により精製すると、22a(2.99g,2工程68%)が無色のオイルとして得られた:H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)3.04(t,J=6.7Hz,2H),3.31(s,3H),3.77(t,J=6.7Hz,2H),4.62(s,2H),6.82(td,J=8.2,3.2Hz,1H),7.04(dd,J=9.4,2.9Hz,1H),7.48(dd,J=8.8,5.3Hz,1H)。
4.3 1−ブロモ−2−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンゼン(22b)
この化合物を22aと同様の様式で21bから合成し、精製することなく次の工程で用いた。
4.4 6−フルオロ−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,1−ベンゾキサボリン(23a)
この化合物を化合物9fと同様の様式で22a及び7aから合成した:無色のオイル;H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm)3.02(t,J=6.1Hz,2H),4.34(t,J=6.1Hz,2H),6.9−7.1(m,2H),7.4−7.6(m,3H),7.8−7.9(m,3H);ESI−MS m/z 227(M+H);HPLC純度95.3%;分析値(C1412BFO・0.1HO)C,H。
4.5 1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,1−ベンゾキサボリン(23b)
この化合物を化合物9fと同様の様式で22b及び7aから合成した:無色のオイル;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)2.94(t,J=5.9Hz,2H),4.21(t,J=5.9Hz,2H),7.28(t,J=7.9Hz,2H),7.3−7.5(m,4H),7.66(d,J=7.0Hz,1H),7.75(d,J=7.6Hz,2H);ESI−MSm/観測されず;HPLC純度96.0%;分析値(C1413BO)C.H。
4.6 6−フルオロ−1−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,1−ベンゾキサボリン(24)
この化合物を化合物19bと同様の様式で22aから合成した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(2:1ヘキサン/酢酸エチル)、続いてペンタンで粉砕して、24が白色の粉末として得られた:融点77−82℃;H NMR(300MHz,DMSO−d)δ(ppm)2.86(t,J=5.9Hz,2H),4.04(t,J=5.9Hz,2H),7.0−7.1(m,2H),7.69(dd,J=8.2,7.2Hz,1H),8.47(s,1H);ESI−MS m/z 165(M−H);HPLC純度99.0%;分析値(CBFO)C,H。
実施例5
真菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)の決定
紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)、毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、及びアスペルギルス・フミガートゥス(Aspergillus fumigatus)に対するMIC試験はすべて、以下の酵母及び糸状菌の抗菌試験のための米国臨床検査標準委員会(NCCLS)ガイドラインに従って決定したi,ii
簡潔に述べると、化合物をDMSOに溶解し、滅菌水中で希釈して、作用保存液(working stock)を得た。被検化合物の2倍連続希釈液を96ウェルプレート中で調製した。プレートに真菌懸濁液で植菌し、酵母では0.5〜2.5×10細胞/mL又は糸状菌では0.4〜5×10CFU/mLの最終の接種物サイズが得られ、次いで35℃で24〜168時間インキュベーションした。DMSOの最終濃度は5%を上回らなかった。MICは、薬物なしの対照と比較して90%超の発育の減少をもたらす最低濃度と定義した。
i. Pfaller MA, Chaturvedi V, Espinel-Ingroff A, Ghannoum MA, Gosey LL, Odds FC, Rex JH, Rinaldi MG, Sheehan DJ, Walsh TJ, Warnock DW. NCCLS publication M27-A2 − Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Testing of Yeasts; Approved Standard − Second Edition. Wayne, PA: NCCLS; 2002 (Vol. 22, No. 15).
ii. Pfaller MA, Chaturvedi V, Espinel-Ingroff A, Ghannoum MA, Gosey LL, Odds FC, Rex JH, Rinaldi MG, Sheehan DJ, Walsh TJ, Warnock DW. NCCLS publication M38-A − Reference Method for Broth Dilution Antifungal Susceptibility Testing of Filamentous Fungi; Approved Standard. Wayne, PA: NCCLS; 2002 (Vol. 22, No. 16).
Figure 2009536660
Figure 2009536660
本出願におけるすべての文献及び参照(特許を含む)の開示は、本明細書に援用される。
本発明の手順を行うために、特定の緩衝液、培地、試薬、細胞、培養条件等は、限定するものではなく、議論される特定のコンテクストに興味又は重要性があると当業者が認めるすべての関連する材料を含むように読み取るものであることを意図すると当然に理解する。例えば、ある緩衝系又は培地を別のものに置き換えることで、同じではないが類似の結果をなお達成することがしばしば可能である。当業者は、本明細書に開示された方法及び手順の使用の目的に最も望ましく役に立つであろうそのような置き換えが過度の実験をせずに可能となるような系及び方法について十分な知識を有するであろう。
以下の非限定的な実施例において、本発明をより詳細に記載する。これらの方法及び実施例は本明細書に記載した実施形態に本発明を限定するものではなく、他の実施形態及び使用は疑いなく当業者に示唆されていると理解すべきである。
米国臨床検査標準委員会(NCCLS)によるガイドライン及び手順(例えば、NCCLS資料M7-A3, 1993 - Antimicrobial Susceptibility Testing)により、本発明の化合物をその抗菌活性について評価する。
MIC決定のプロトコル
MIC決定の有用なプロトコルは、以下の通りである。
1.約2.5mgの被検化合物の重さを測り、凍結保存バイアル(cryovials)に入れた。
2.分相応に、試料に添加することにより、5mg/mlの保存溶液を作製した。
3.分相応に、5mg/mlの保存溶液を用い、かつ、滅菌希釈水を添加することにより、256μg/mlの作用溶液を作製した。
4.以下のように96ウェルプレートをブロス及び化合物で充填するように、Beckman2000自動ワークステーションをプログラミングした:
− 100μlの適切なブロスをカラム1〜11に添加した。
− 200μlの適切なブロスをカラム12添加した。
− 256μg/mlの作用溶液における100μlの化合物をカラム1に添加した(1列あたり1化合物)。
− 2倍連続希釈をカラム1〜10で行った。
− カラム11を発育対照として用いた。
5.10種の生物パネルを80℃で保存された保存バイアルから平板培養し、34℃で24時間インキュベーションした。次いで、該生物を継代培養し、34℃で24時間インキュベーションした。
− 620nmの波長での0.09〜0.11の吸光度が得られるように、まず接種物を滅菌蒸留水中に調製した。
− 1/100希釈を適切なブロスに対して行った。
− 生物を含む100μlのブロスをカラム1〜11に添加した。
− カラム12をブランクの対照として用いた。
6.完了した96ウェルプレートを34℃で24時間インキュベーションした。次いで、Beckman自動プレート読み取り装置を用い、650nmの波長で96ウェルプレートを読み取った。発育対照(カラム11)及びブランクの対照(カラム12)を伴った計算により、MICを決定した。
計算
Biomek自動プレート読み取り装置からの吸光度の読み取りを用いて、各被検ウェルの阻害パーセント(percent inhibition)を決定した。用いた式は以下の通りである。
阻害%=[1−(ABS被検−ABSブランク)/(ABS平均の発育−ABSブランク)]×100%
ABS被検:被検ウェルの吸光度
ABSブランク:被検ウェルと同じ列におけるブランクウェルの吸光度(カラム12)
ABSm平均の発育:発育対照ウェルの平均吸光度(カラム11)
最小発育阻止濃度(MIC)は、阻害パーセントが80%以上である化合物の最低濃度で認定する。
これらの手順を用いて、1mlあたりのマイクログラムとして表される値を用いたMIC(最小発育阻止濃度)として、表1に示される化合物10〜19について代表的な微生物学的データを得る。
前述のガイドライン及び手順により、抗ウイルス活性について本発明の化合物を評価する。
抗ウイルスの決定プロトコル
7日目にアッセイが終わることを可能とするために用いたHeLa細胞を用いて、黄熱病(YFV)抗ウイルスアッセイを行った。HeLa細胞をT−75フラスコ中に通過させた。アッセイの前日に、細胞をトリプシン処理し、ペレット化し、計数し、96ウェル平底組織培養プレートの組織培地での1×10/ウェルに1ウェルあたり100μlの体積で再懸濁させた。細胞の平板培養後1日して、ウェルを洗浄し、当該培地を一連の半log(half-log)での培地中に希釈された種々の濃度の被検化合物を含む完全培地(2%血清)に換えた。17D株YFVウイルスの予めタイター測定した(pretitered)アリコートを各実験の直前に冷蔵庫(−80℃)から取り除いた。各ウェルに添加されたウイルス量が感染後7日で完全に細胞を死滅させるように、ウイルスを組織培地中に希釈した。
HepG2 2.15抗ウイルス評価アッセイ−HBV ayw1株を産生するHepG2 2.2.15細胞を、2%ウシ胎児血清を含むDMEM培地を有する2.5×10/ウェルの濃度の96ウェルコラーゲン被膜マイクトタイタープレート中で平板培養した。細胞の平板培養後1日して、ウェルを洗浄し、当該培地を一連の半logでの培地中に希釈された被検化合物を含む完全培地に換えた。
正対照化合物であるラミブジン(lamivudine)を最初に添加後3日して、培地を、新たに希釈した化合物を含む新鮮な培地に1回換えた。Vmaxプレート読み取り装置(Molecular Devices、カリフォルニア州サニーベール)を用い、Cell Titer96(登録商標)試薬(Promega、ウィスコンシン州マジソン)を用いて製造元のプロトコルに従い、細胞生存能(vaibility)を決定した。代謝が活性な細胞のミトコンドリア酵素により混合物を代謝し、可溶性のホルマザン生成物にすることで、細胞数の早い定量分析が可能となる。培地を取り除き、100μlの新鮮な培地及び10μlのCell Titer96に換えた。プレートを37℃で4時間再びインキュベーションし、490nm及び650nmにおいてMolecular Devices社のVmaxプレート読み取り装置で分光光度の読み取りを行った。化合物なしの対照と比較される化合物で処理したウェルの細胞生存パーセントを社内コンピュータプログラムを用いて計算し、該プログラムにより、各薬物濃度でのウイルス細胞傷害性効果の減少パーセント及び細胞数を対照の値について比較してグラフ化した。該プログラムにより、細胞変性効果を50%減少させる薬物の発育阻止濃度(IC50)及び50%の細胞を死滅させる毒性濃度(TC50)が内挿して得られる。
Figure 2009536660
安定したルシフェラーゼ(LUC)レポーターを含む新規なHCV RNAレプリコンであるET細胞系(luc−ubi−neo/ET)を用いた。レプリコンの組成を上に図示する(Krieger, N., V. Lohmann, and R. Bartenschlager. 2001. Enhancement of hepatitis C virus RNA replicon replication by cell culture-adaptive mutations. J. Virol. 75:4614-4624)。HCV RNAレプリコン ETは、ホタルルシフェラーゼ(Luc)、ユビキチン(Ubiq)、及びネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(Neo)融合タンパク質の生成を推進するHCV(5’)の5’NTR(IRES)を含む。ユビキチンの開裂により、LUC及びNeo遺伝子が放出される。EMCV IRES要素(E−I)によって、HCV構造タンパク質NS3−NS5の翻訳が制御される。
NS3タンパク質がHCVポリタンパク質を開裂し、HCV複製に必要な成熟NS3、NS4A、NS4B、NS5A、及びNS5Bポリタンパクが放出する。HCVの真正(authentic)3’NTRは、レプリコンの3’末端にある。LUCレポーターは、HCV複製の間接的な尺度として用いる。LUCレポーターの活性はHCV RNAレベルに正比例し、正対照の抗ウイルス化合物はLUC又はRNA終点(endpoint)のいずれかを用いて比較可能に挙動する。LUC終点の使用はHCV RNAより経済的であり、化合物ライブラリーをスクリーニングするためのハイスループット用途に用いることができる。
HCV RNAレプリコン抗ウイルス評価アッセイで、それぞれ、5倍の半log濃度(での化合物の効果が調べられる。ヒトインターフェロンアルファ−2bは、各実施において正対照化合物として含まれる。細胞数(細胞毒性)又は抗ウイルス活性の分析に用いられる96ウェルプレート中でET系のサブコンフルエント(subconfluent)培養物を平板培養し、次の日に薬物を適切なウェルに添加する。細胞が未だサブコンフルエントである72時間後において、細胞を処理する。化合物のIC50及びIC90の値は、HCV RNAレプリコン由来のLUC活性として或いはTaqMan RT−PCRを用いたHCV RNAとして評価されるHCV RNAレベルから得る。化合物のTC50及びTC90の値は、LUCアッセイシステムを用いる場合、細胞数及び細胞毒性の指標として比色アッセイを用いて計算される一方で、TaqMan RTPCRによって決定されたリボゾーム(rRNA)レベルは、RNAベースのアッセイにおける細胞数の指標として用いられる。化合物のT150及びT190の値は、表計算ソフトから計算する。
本明細書に記載の実施例及び実施形態は例示目的のものにすぎず、これを踏まえて当業者には種々の改変又は変更が示唆されるが、いずれも本出願の主旨及び範囲(purview)並びに添付の特許請求の範囲に包含されるものであると理解されたい。本明細書に引用した刊行物、特許明細書、特許出願明細書はいずれも、あらゆる目的で本明細書に援用される。

Claims (15)

  1. 式(I)、(II)、及び(III)(それらの塩を含む)から選択されるメンバである構造を有する化合物:
    Figure 2009536660
    式中、
    Bは、ホウ素であり;
    q1及びq2は、1〜3から独立して選択される整数であり;
    q3は、0〜4から選択される整数であり;
    Mは、H、ハロゲン、−OCH、及び−CH−O−CH−O−CHから選択されるメンバであり;
    は、ハロゲン、−CHOH、及び−OCHから選択されるメンバであり;
    Xは、O、S、及びNR1cから選択されるメンバであり、
    ここで、
    1cは、H及び置換又は非置換アルキルから選択されるメンバであり;
    、R1a、R1b、R、及びRは、H、OH、NH、SH、CN、NO、SO、OSOOH、OSONH、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバであり;
    は、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロアリールアルキル、及び置換又は非置換ビニルから選択されるメンバであり、
    ただし、MがFであるとき、R
    Figure 2009536660
    Figure 2009536660
    から選択されるメンバではなく、
    ただし、MがClであるとき、R
    Figure 2009536660
    から選択されるメンバではなく、
    ただし、MがHであるとき、R
    Figure 2009536660
    Figure 2009536660
    から選択されるメンバではなく;
    式中、sは、1及び2から選択される整数であり;
    及びRは、メチル及びエチルから独立して選択されるメンバであり、
    ただし、MがOCHであるとき、Rは、
    Figure 2009536660
    から選択されるメンバではなく、
    ただし、MがFであるとき、R
    Figure 2009536660
    から選択されるメンバではない)。
  2. は置換又は非置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記アリールは以下の構造を有する、請求項2に記載の化合物:
    Figure 2009536660
    (式中、
    10、R11、R12、R13及びR14は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換アルキルオキシ、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換オキサゾリジン−2−イル、(CHOH、COH、CO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、CON(アルキル)、OH、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223、SONH、OCHCHNH、OCHCHNH−アルキル、及びOCHCHN(アルキル)から独立して選択されるメンバであり、
    ここで、
    tは、1、2及び3から選択されるメンバであり;
    uは、0、1及び2から選択されるメンバであり;
    22及びR23は、H、置換又は非置換アルキル、及び置換又は非置換アルカノイルから独立して選択されるメンバである)。
  4. は置換又は非置換アリールアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  5. 前記アリールアルキルは以下の構造を有する、請求項4に記載の化合物:
    Figure 2009536660
    (式中、
    10、R11、R12、R13、及びR14は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換アルキルオキシ、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換オキサゾリジン−2−イル、(CHOH、COH、CO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、CON(アルキル)、OH、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223、SONH、OCHCHNH、OCHCHNH−アルキル、及びOCHCHN(アルキル)から独立して選択されるメンバであり、
    ここで、
    tは、1、2、及び3から選択される整数であり;
    uは、0、1、及び2から選択されるメンバであり;
    22及びR23は、H、置換又は非置換アルキル、及び置換又は非置換アルカノイルから独立して選択されるメンバであり、
    15及びR16は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換アルキルオキシ、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換オキサゾリジン−2−イル、(CHOH、COH、CO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、CON(アルキル)、OH、SH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF、NO、(CHNR2223、SONH、OCHCHNH、OCHCHNH−アルキル、及びOCHCHN(アルキル)から独立して選択されるメンバであり;
    wは、1〜6から選択されるメンバである)。
  6. は置換又は非置換ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
  7. 前記ヘテロアリールは、
    Figure 2009536660
    から選択されるメンバである構造を有する、請求項6に記載の化合物
    (式中、
    Xは、CH=CH、N=CH、NR19、O、及びSから選択されるメンバであり、
    ここで、
    19は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換アリールアルキルから選択されるメンバであり、
    Yは、CH及びNから選択されるメンバであり、
    17及びR18は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、(CHOH、(CHNR2425、COH、CO−アルキル、CONH、S−アルキル、S−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SO−アルキル、SO−アリール、SOH、SCF、CN、ハロゲン、CF3、及びNOから独立して選択されるメンバであり、
    ここで、
    24及びR25は、水素、置換又は非置換アルキル、及び置換又は非置換アルカノイルから独立して選択されるメンバであり;
    vは、1、2、及び3から選択されるメンバであり;
    wは、0、1、2、及び3から選択されるメンバである)。
  8. 請求項1に記載の化合物及び薬学的に許容できる担体を含む組成物。
  9. (a)前記微生物を治療上有効な量の請求項1に記載の化合物と接触させることを含む、微生物を死滅させる又は微生物の発育を阻害する方法。
  10. (a)治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む、真菌又は酵母が原因となる疾患をそれらに罹患した患者において治療する方法。
  11. 治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を動物に投与することを含む、動物における感染症を治療又は予防する方法。
  12. (a)ウイルスを請求項1に記載の化合物と接触させることを含む、ウイルス増殖を阻害する方法。
  13. (a)治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を対象者に投与することを含む、ウイルスが原因となる疾患に罹患した対象者を治療する方法。
  14. 請求項1に記載の化合物を合成する方法。
  15. 請求項10に記載の医薬製剤を合成する方法。
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