JP2009535339A - 低下されたキャプシド免疫原性を有する改変aavベクターおよびその使用 - Google Patents

低下されたキャプシド免疫原性を有する改変aavベクターおよびその使用 Download PDF

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Abstract

AAV媒介性送達の細胞性免疫応答および/若しくは毒性の低下方法が記述される。該方法は、T細胞を誘導し、かつ、選択されたAAVキャプシド上に位置するRxxRモチーフを遮蔽若しくは除去することを提供する。該方法はAAVへのヘパリン結合を低下若しくは排除することをさらに提供する。改変AAVキャプシドを含有する組成物およびそれらの使用方法もまた提供される。

Description

連邦に支援される研究若しくは開発に関する声明
本出願は、米国国立保健研究所からの助成金NHLBI助成金番号第P01−HL−059407号により少なくとも部分的に支援された研究を記述する。米国政府は本発明にある種の権利を有しうる。
本発明はAAVの免疫原性の変更方法を提供する。
パルボウイルス科の1メンバー、アデノ随伴ウイルス(AAV)は、4.7キロベース(kb)ないし6kbの一本鎖直鎖状DNAゲノムをもつ、小型のエンベロープを持たない(nonenveloped)正二十面体ウイルスである。AAVは精製されたアデノウイルスストック中の汚染物質として発見されたため、該ウイルスはデペンドウイルス属(Dependovirus)に帰属されている。AAVの生活環は、AAVゲノムが感染後に宿主ゲノムに組込まれている潜伏期、およびアデノウイルス若しくは単純疱疹ウイルスいずれかの感染後に該組込まれたAAVゲノムがその後レスキューされ、複製されそして感染性ウイルスにパッケージングされる感染期を包含する。非病原性の特性、非分裂細胞を包含する広範な宿主感染性の範囲、および組込みは、AAVを魅力的な送達ベヒクルにする。
多様な異なるAAV配列およびそれの組織からの単離方法は記述されている。サル若しくはヒト組織供給源から得られる他のAAV配列のなかでもAAV1−6、AAV7、AAV9およびAAV9が記述されている。例えば特許文献1、特許文献2(AAV8)および特許文献3を参照されたい。これを用いて、厳密に血清学的交差反応性(血清型)によりAAVを定義することから離れる動きが起こった。最近の文献は、「クレード」と命名される群を提案する、系統的関係性に関するこれらAAV間の関係を定義する。例えば非特許文献1;特許文献3を参照されたい。
AAVは現在、診察室で遺伝子治療の送達ベクターとして考慮されている。アデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2ベクターのキャプシドに対するT細胞の活性化は、血友病Bの最近のヒト遺伝子治療試験で肝毒性と関連していた[非特許文献2]。
AAV2は細胞表面上でヘパリンおよびへパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)を結合することが既知である。該ビリオンのキャプシド上の585RGNR588モチーフがこの相互作用の原因であるドメインとしてマッピングされている。非特許文献3;非特許文献4。さらに、in vivoでHSPGに結合しないAAV2を送達することによるAAVの向性を変えることを改良するための試みが記述されている。
必要とされるものは、変えられた免疫効果を有するAAV組成物である。
国際特許公開第WO 02/33269号 国際特許公開第WO 02/386122号 国際特許公開第WO 2005/033321号 Gaoら、J Virol、78(12):6381−6388(2004年6月) Manno,C.S.ら Successful transduction of liver in hemophilia by AAV−Factor IX and limitations imposed by the host immune response.Nat Med(2006) A.Kernら、J Virol 77:11072−81(2003) S.R.Opieら、J Virol 77:6995−7006(2003)
[発明の要約]
一アスペクトにおいて、本発明は、免疫原性、およびとりわけAAVに向けられたT細胞応答を低下させるためにヘパリン結合ドメインの機能性がAAV中で変えられている組成物を提供する。一態様において、本発明は、選択されたAAVのヘパリン結合ドメインが、遺伝子送達の安全性および成功を増大させるために遮蔽若しくは除去されている組成物を提供する。
別のアスペクトにおいて、本発明は、本発明の改変AAVおよび生理学的に適合性のキャリヤーを含有する製薬学的およびワクチン組成物が提供される。
なお別のアスペクトにおいて、本発明の製薬学的およびワクチン組成物の送達方法が記述される。
本発明のなお他の利点は本発明の詳細な記述から明らかとなろう。
[発明の詳細な記述]
一アスペクトにおいて、本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)送達ベヒクルに対する細胞性免疫応答の低下方法を提供する。別のアスペクトにおいて、本発明はAAV送達ベヒクルの毒性の低下方法を提供する。なお別のアスペクトにおいて、本発明は改変AAVを含んでなる組成物を提供する。
一態様において、本発明はヘパリン結合部位を有するAAVキャプシドへのヘパリンの結合を予防することにより改変されるAAVを提供する。別の態様において、本発明は、ヘパリン結合ドメインおよび/若しくはヘパリン結合ドメインのT細胞活性化機能性を破壊するように改変されたキャプシドを有するAAVを提供する。
一アスペクトにおいて、本発明は、低下されたT細胞免疫原性をもつ分子のAAV媒介性送達のための組成物を提供する。一態様において、こうした組成物は改変されたキャプシドを有するAAV(前記AAVキャプシドはAAVキャプシドタンパク質中のヘパリン結合部位を除去するように改変されたAAVキャプシドを含んでなる)、および生理学的に適合性のキャリヤーを含有する。一態様において、改変AAVはAAV2由来でない。
一態様において、AAV配列がヘパリン結合部位を除去するよう改変される。ヘパリン結合部位を除去することにより、該部位がもはやT細胞を活性化せずかつ/若しくはヘパリンに結合する能力を欠くことを意味している。
理論により束縛されることを願うことなく、発明者は、彼らがAAVキャプシド中のヘパリン結合ドメインとT細胞の活性化の間の直接の関連を見出したと考える。予備データは、そのように活性化されるT細胞が、ペプチドでの刺激に応答してAAVキャプシドからIFNγを産生するものを包含することを示す。それらのT細胞集団のさらなるフェノタイピング(phenotyping)はCD8+キャプシド特異的T細胞を検出した。
従って、発明者は、AAV中のヘパリン結合を機能的に除去することによりT細胞活性化が低下若しくは排除されることを見出した。
Arg−Xaa−Xaa−Arg、配列番号2(RxxRモチーフ)を有するヘパリン結合ドメインはAAV2で記述された(すなわち、Kernら、J Virol 77:11072−81;Opieら、J Virol 77:6995−7006、第WO 02/33269号の中に具体的に説明される番号付け体系に基づき、AAV2VP1、配列番号3の座標585−588)。他の現在記述されるAAVはRxxR結合部位を欠くがしかしヘパリンを結合する(例えばAAV3)。従って、これらの他のAAVはヘパリン親和性の原因である異なるモチーフを有する。
選択されたAAVキャプシド中のヘパリン結合の存在は、多様なアッセイ形式(例えばヘパリン結合カラム)を使用して容易に同定し得、その多くはヘパリン若しくはその部分を使用する。選択されたAAVキャプシド中で一旦結合が同定されれば、該ヘパリン結合ドメインを当業者に既知の技術を使用してマッピングし得る。例えば、AAV6配列は、位置531のリシン残基の非保存的アミノ酸変化により除去されるヘパリン結合ドメインを有することが見出された。[AAV6.1の配列は国際特許出願第PCT/US06/13375号に提供され、そして残基番号はその国際特許出願に提供される番号付けスキームに基づく(例えば表を参照されたい)]。AAV2について真実であるとおり、AAV粒子の結合部位が一旦マッピングされれば、こうした部位の非存在若しくは存在はアライメントソフトウェアを利用することにより容易に決定し得る。結合ドメインの相同性は機能的ヘパリン結合を予測し、また、相同性の非存在はその欠如を予測する。機能的活性、すなわち結合部位を含有するウイルスベクターのヘパリン親和性は、例えばヘパリン結合アッセイ[Opie,S.R.ら、J Virol 77、6995−7006(2003)]の使用を包含する既知の方法を使用して容易に決定し得る。
他のAAVの類似の領域は、入手可能なコンピュータプログラムおよび公知の技術を使用して、選択されたAAVおよびAAV2のアライメントを実施することにより、容易に決定し得る。「整列された」配列若しくは「アライメント」は、参照配列に比較して欠けている若しくは付加的な塩基若しくはアミノ酸についての補正をしばしば含有する、複数の核酸配列若しくはタンパク質(アミノ酸)配列を指す。参照配列はAAV2若しくは別の選択された配列でありうる。例えば、AAV 1(米国特許第6,759,237号)、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、rh32.33、rh.10、hu.11、ヒトおよびヒト以外の供給源からの他のAAV(例えば、国際特許公開第WO 02/33269号、同第WO 02/386122号(AAV8)およびGenBankを参照されたい)、ならびにシングルトンエラーを是正するように変えられたような配列、例えばAAV6.2[AAV6、配列番号4、F129Lを伴う]、AAV6.1[AAV6、配列番号4、K531E変化を伴う]、AAV6.1.2[AAV6、配列番号4、K531E、F129Lを伴う]、rh.32.33、rh.10ならびにrh64R1[配列番号5、R697Wを伴う]ならびにrh8R[配列番号6、D531Eを伴う][例えば2006年10月19日公開の第WO 2006/110689号を参照されたい]を参照されたい。あるいは、既知技術[例えば国際特許公開第WO 2005/033321号およびGenBankを参照されたい]を使用して若しくは他の手段により当業者により同定されるものを包含する他のAAV配列を、本明細書に記述されるとおり改変しうる。
アライメントは、多様な公的に若しくは商業的に入手可能な複数の配列アライメントプログラムのいずれかを使用して実施する。こうしたプログラムの例は、「Clustal
W」、「CAP Sequence Assembly」、「MAP」および「MEME」を包含し、これらはインターネット上のウェブサーバーを通じてアクセス可能である
。こうしたプログラムの他の供給源は当業者に既知である。あるいは、Vector NTIユーティリティーもまた使用される。上述されたプログラムに含有されるものを包含する、ヌクレオチド配列の同一性を測定するのに使用し得る当該技術分野で既知の多数のアルゴリズムもまた存在する。別の例として、ポリヌクレオチド配列は、GCG Version6.1中のプログラムFastaTMを使用して比較し得る。FastaTMはクエリ配列と参照配列の間の最良のオーバーラップ領域のアライメントおよび配列の同一性パーセントを提供する。例えば、核酸配列間の配列の同一性パーセントは、GCG Version6.1(引用することにより本明細書に組み込まれる)に提供されるところのそのデフォルトのパラメータ(6のワードサイズ(word size)およびスコアリングマトリックスについてのNOPAM係数)を用いてFastaTMを使用して決定し得る。複数の配列アライメントプログラム、例えば「Clustal X」、「MAP」、「PIMA」、「MSA」、「BLOCKMAKER」、「MEME」および「Match−Box」プログラムがアミノ酸配列にもまた利用可能である。一般に、これらのプログラムのいずれもデフォルトの設定で使用されるとは言え、当業者はこれらの設定を必要とされるように変更し得る。あるいは、当業者は、少なくとも言及されるアルゴリズムおよびプログラムにより提供されるもののような同一性若しくはアライメントのレベルを提供する別のアルゴリズム若しくはコンピュータプログラムを利用し得る。例えばJ.D.Thomsonら、Nucl.Acids.Res.、”A comprehensive comparison of multiple sequence alignments“、27(13):2682−2690(1999)を参照されたい。
ある種のAAV配列はこうしたヘパリン結合部位を天然に欠く。ヘパリン結合部位を欠くAAV、例えばAAV8について、AAV配列、細胞若しくは培地の改変は必要とされない。ヘパリンを結合するAAVキャプシドの能力は、多様なアッセイ形式、およびAAVを結合するためのヘパリン若しくはその部分を使用して容易に同定し得る。さらに、AAVの感染/形質導入能力を遮断するヘパリンの能力は当業者により容易に測定し得る。AAVのいかなる感染/形質導入も遮断するヘパリンの能力を測定するための適するアッセイが、例えばC.Halbertら、J Virol、75(14):6615−6624(2001年7月)およびC.E.WalshとH.Chao、Haemophilia、8(Suppl.2)、p.60−67(2002)に記述されている。
他のAAV配列、例えばAAV6はヘパリン結合部位を有するが、しかし感染させるAAV6の能力はヘパリンの存在により部分的に阻害される(遮断されない)。別の例において、AAV6のvp1キャプシドの配列は、ヘパリン結合を媒介する単一のアミノ酸残基すなわち位置531[配列番号4]の天然のリシン残基を有するとして記述されている。[AAV6の配列は国際特許出願第PCT/US06/13375号に提供され、そして残基番号はその国際特許出願に提供される番号付けスキームに基づく。
一態様において、発明者は、ヘパリン結合ドメインを有しかつヘパリンにより遮断されるいずれかの検出可能な量の感染/形質導入能力を有することを特徴とするAAVが分泌しないことを見出した。こうしたAAVの例は、産生の間に大部分が細胞に会合しているAAV2、およびAAV3である。一態様において、ヘパリン結合ドメインは、AAV2で記述されたところのArg−Xaa−Xaa−Arg(RxxR)[配列番号2]モチーフである(すなわちAAV2 vp1キャプシドタンパク質、配列番号3のほぼアミノ酸585ないし588、Kernら、J Virol 77:11072−81;Opieら、J Virol 77:6995−7006(第WO 02/33269号に具体的に説明される番号付けに基づく))。Xaaはいずれかのアミノ酸を表す。発明者はRxxRモチーフを有する他のAAVキャプシドを記述することが最初の者であり、それらのいくつかはクレードBのAAVである。RxxRモチーフを有するこうしたAAVキャプシドの例は、hu.51[配列番号7]、hu.34[配列番号8]、hu.35[配
列番号9]、hu.45[配列番号10]およびhu.47[配列番号11]を包含する。RxxRドメインを有する他のAAVは、記述されたAAV配列のなかから当業者により容易に同定され得る。加えて、他のヘパリン結合部位は、当業者に既知の技術を使用してAAV中で容易に同定し得る。別の例において、AAV3はヘパリンを結合するが;しかしながらそれはRxxRドメインを含有しない。
発明者は、非保存的アミノ酸変化を含有するようにヘパリン結合ドメイン(モチーフ)の決定的な一部分を形成するアミノ酸残基(1個若しくは複数)を変えることを変化させることにより、ヘパリン結合が除去されるのみならず、しかしまたT細胞活性化が有意に低下されることを見出した。一態様において、ヘパリン結合を媒介するアミノ酸残基の単一の非保存的アミノ酸変化が、このモチーフの機能を除去するのに十分である。本明細書に具体的に説明されるとおり、AAV6のK531の非保存的変化はヘパリン結合およびT細胞活性化を除去する。加えて、RxxRヘパリン結合ドメインの第一のアルギニン若しくは最後のアルギニンいずれかでの単一の非保存的変化は、ヘパリン結合を除去することができる。本明細書に具体的に説明されるとおり、一態様において、改変されたヘパリン硫酸糖タンパク質結合部位の第一のアミノ酸は、Argから例えばSer若しくはGluに変化し得る。別の態様において、改変されたヘパリン硫酸糖タンパク質結合部位の最後のアミノ酸をArgからThrに変化させる。他の適する非保存的アミノ酸変化は当業者に明らかであろう。
一態様において、AAVキャプシドのヘパリン結合部位をコードする核酸配列は、部位特異的突然変異誘発技術を使用して改変され、該モチーフの最初のアルギニンおよび/若しくは最後のアルギニンのコドンは、該アミノ酸の一方(若しくは双方)で非保存的変化をなすように変えられている。非保存的アミノ酸変化の例は、タンパク質の機能に影響を及ぼすもの、例えば異なる化学構造(特性)の別のアミノ酸での一アミノ酸の置換を包含する。以下の表は最も一般的なアミノ酸およびそれらの特性を具体的に説明する。
Figure 2009535339
アミノ酸のコーディング配列の他の適する変更技術を利用しうる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)を参照されたい。なお別の態様において、ヘパリン結合ドメインは、RxxRモチーフに1個若しくはそれ以上の外因性アミノ酸配列を挿入してそれにより該モチーフを破壊することにより除去しうる。
別の態様において、ヘパリン結合部位を含有するAAVへのヘパリンの結合を、ヘパリン結合部位の配列を変えること以外の方法により除去する。例えば、産生体細胞中でヘパリン結合部位を効果的に遮蔽する分子をもつAAVキャプシドを提供しうる。例えば、ウイルス粒子へのポリエチレングリコール分子の提供方法が記述されている。
なお別の態様において、細胞へのヘパリン結合、例えば細胞表面上で細胞にヘパリン分子(へパラン硫酸プロテオグリカン)を提供することを、一過性に若しくは永続的にのいずれかで排除若しくは実質的に低下させるように標的細胞の改変しうる。例えば、適する一技術は例えばヘパリナーゼのような酵素によるヘパリンの酵素消化を必要としうる。別の態様において、可溶性ヘパリンをAAVとともに送達し得る。
別の態様において、本発明はヘパリン結合モチーフを除去するように改変されたAAVキャプシドを提供する。一態様において、AAVキャプシドの供給源はAAV2以外のAAVである。別の態様において、AAVは、改変がAAV2のR585SおよびR588T以外であることを除き、最低1種の改変AAV2キャプシドタンパク質[配列番号3]を含んでなる。
新規AAVキャプシドをもつrAAVの製造
本発明は、DNAおよび/若しくはこれらのウイルスが天然に会合している細胞物質を含まない、新規の改変AAVキャプシドおよびそれらをコードする配列を包含する。別のアスペクトにおいて、本発明は、標的細胞への異種遺伝子若しくは他の核酸配列の送達で有用な分子の製造のための、そのフラグメントを包含する本発明の新規AAV核酸およびタンパク質配列を利用する分子を提供する。AAV配列を含有する本発明の分子は、それに保有される配列を移入する、宿主細胞に送達されうるいかなる遺伝因子(ベクター)、例えば、裸のDNA、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、エピソーム、ウイルス以外の送達ベヒクル(例えば脂質に基づくキャリヤー)中のタンパク質、ウイルスなども包含する。選択されるベクターは、トランスフェクション、電気穿孔法、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNA被覆ペレット、ウイルス感染およびプロトプラスト融合を包含するいずれかの適する方法により送達しうる。本発明のいずれかの態様を構築するのに使用される方法は核酸操作の当業者に既知であり、そして遺伝子工学、組換え工学および合成技術を包含する。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照されたい。
適しては、本発明の改変AAVキャプシドは、標的細胞への送達のための発現カセットが該改変AAVキャプシドにパッケージングされる、感染性AAV粒子の製造で利用される。
発現カセット、rep配列、cap配列、およびAAVを製造するのに必要とされるヘルパー機能は、それに保有される配列を移入するいずれかの遺伝因子の形態でパッケージング宿主細胞に送達しうる。選択される遺伝因子は、本明細書に記述されるものを包含するいずれかの適する方法により送達しうる。本発明のいずれかの態様を構築するのに使用される方法は核酸操作の当業者に既知であり、そして遺伝子工学、組換え工学および合成技術を包含する。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照されたい。同様に、rAAVビリオンの生成方法は公知であり、そして適する方法の選択は本発明に対する制限でない。例えば、K.Fisherら、J.Virol.、70:520−532(1993)および米国特許第5,478,745号を参照されたい。
別の方法で明記されない限り、AAV ITR、および本明細書に記述される他の選択されるAAV成分は、とりわけ、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV9を制限なしに包含するいかなるAAVのなかからも容易に選択しうる。これらのITR若しくは他のAAV成分は、当業者に利用可能な技術を使用してAAV配列から容易に単離しうる。こうしたAAVは学術的、商業的若しくは公的供給源(例えばAmerican Culture Type Collection、バージニア州マナサス)から単離する若しくは得ることができる。あるいは、AAV配列は、例えばGenBank(R)、PubMed(R)などのような文献若しくはデータベースで入手可能であるような公表された配列への参照により、合成若しくは他の適する手段により得ることができる。
A.発現カセット
発現カセットは、少なくとも、5’AAV末端逆位配列、その転写、翻訳および/若しくは発現を指図する制御配列に作動可能に連結された、所望の産物を場合によってはコードするか若しくはそれ自身である核酸配列を含んでなる核酸分子、ならびに3’AAV ITRより構成される。望ましい一態様においてAAV血清型2のITRを使用する。しかしながら他の適する供給源からのITRを選択してもよい。キャプシドタンパク質にパッケージングされかつ選択された宿主細胞に送達されるのは、このミニ遺伝子である。
1.核酸配列
一態様において、核酸配列はAAV ITRに対し異種でありかつ治療上有用である。適する配列の一例は例えばRNAである。望ましいRNA分子は、tRNA、dsRNA、リボソームRNA、触媒RNA、siRNA、低分子ヘアピン型RNA、トランススプライシングRNAおよびアンチセンスRNAを包含する。有用なRNA配列の一例は、処置される動物における標的とされる核酸配列の発現を阻害する若しくは消滅させる配列である。典型的には、適する標的配列は腫瘍学的標的およびウイルス性疾患を包含する。こうした標的の例について、免疫原に関する節で下に同定される腫瘍学的標的およびウイルスを参照されたい。
別の態様において、目的のポリペプチド、タンパク質若しくは他の産物をコードする核酸配列は、AAV ITRに対し異種である。該核酸コーディング配列は、宿主細胞中での導入遺伝子の転写、翻訳および/若しくは発現を可能にする様式で調節成分に効果的に連結される。
核酸配列の組成は、生じるベクターがもたらされることができる使用に依存することができる。例えば、1つの型の配列は、発現に際して検出可能なシグナルを生じるレポーター配列を包含する。しかしながら、望ましくは、該配列は、タンパク質、ペプチド、RNA、酵素、ドミナントネガティブな変異体若しくは触媒RNAのような、生物学および医学で有用である産物をコードする非マーカー配列である。
該核酸配列は単一産物をコードしうる。本発明は複数の遺伝子を使用することをさらに包含する。ある状況では、1タンパク質の各サブユニットをコードするため、または異なるペプチド若しくはタンパク質をコードするために異なる遺伝子を使用しうる。これは、タンパク質サブユニットをコードするDNAの大きさが大きい場合、例えば免疫グロブリン、血小板由来増殖因子若しくはジストロフィンタンパク質に望ましい。細胞が多サブユニットタンパク質を産生するためには、異なるサブユニットのそれぞれを含有する組換えウイルスに細胞を感染させる。あるいは、タンパク質の異なるサブユニットを同一の導入遺伝子によりコードしうる。この場合、単一遺伝子がサブユニットのそれぞれをコードするDNAを包含し、各サブユニットのDNAは配列内リボザイム進入部(IRES)により分離される。これは、サブユニットのそれぞれをコードするDNAの大きさが小さい、例えばサブユニットおよびIRESをコードするDNAの大きさの合計が5キロベース未満である場合に望ましい。IRESに対する一代替として、DNAは、翻訳後事象で自己切断する2Aペプチドをコードする配列により分離しうる。例えば、M.L.Donnellyら、J.Gen.Virol.、78(Pt 1):13−21(1997年1月);Furler,S.ら、Gene Ther.、8(11):864−873(2001年6月);Klump H.ら、Gene Ther.、8(10):811−817(2001年5月)を参照されたい。この2AペプチドはIRESより有意により小さく、空間が制限要因である使用にそれを良好に適するようにする。よりしばしば、遺伝子が大きいか、多サブユニットよりなるか、若しくは2種の遺伝子を共送達する場合、所望の遺伝子(1種若しくは複数)またはサブユニットを保有するrAAVを共投与して、それらをin vivoで鎖状体化させて単一のベクターゲノムを形成させる。こうした一
態様において、第一のAAVは単一遺伝子を発現する発現カセットを保有することができ、また、第二のAAVは、宿主細胞中での共発現のための異なる遺伝子を発現する発現カセットを保有しうる。しかしながら、選択された遺伝子は、いかなる生物学的活性産物若しくは他の産物、例えば研究に所望の産物もコードしうる。
適する遺伝子は当業者により容易に選択されうる。遺伝子の選択は本発明の制限であると考えられない。
2.調節エレメント
発現カセットについて上で同定された主要エレメントに加え、ベクターは、該プラスミドベクターでトランスフェクトしたか若しくは本発明により製造したウイルスに感染させた細胞中でのその転写、翻訳および/若しくは発現を可能にする様式で核酸コーディング配列に作動可能に連結されている慣習的調節領域もまた包含する。本明細書で使用されるところの「作動可能に連結されている」配列は、目的の遺伝子と連続する発現制御配列およびトランスで若しくは離れて作用して目的の遺伝子を制御する発現制御配列の双方を包含する。
発現制御配列は、適切な転写開始、終止、プロモーターおよびエンハンサー配列;イントロン、スプライシングおよびポリアデニル化(ポリA)シグナルのような効率的RNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を高める配列(すなわちコザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を高める配列;ならびに、所望の場合はコードされる産物の分泌を高める配列を包含する。天然の、構成的、調節可能および/若しくは組織特異的であるプロモーターを包含する多数の発現制御配列が、当該技術分野で既知でありかつ利用しうる。
構成的プロモーターの例は、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(場合によってはRSVエンハンサーを伴う)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(場合によってはCMVエンハンサーを伴う)[例えばBoshartら、Cell、41:521−530(1985)を参照されたい]、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、β−アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、およびEF1プロモーター[Invitrogen]を制限なしに包含する。調節可能なプロモーターは、外因性に供給される化合物、温度のような環境因子、または特定の生理学的状態の存在(例えば急性期、細胞の特定の分化状態)により、若しくは複製する細胞のみで遺伝子発現の調節を可能にしかつ調節され得る。調節可能なプロモーターおよび調節可能な系は、Invitrogen、ClontechおよびAriadを制限なしに包含する多様な商業的供給源から入手可能である。多くの他の系が記述されており、そして当業者により容易に選択され得る。外因性に供給される化合物により調節される調節可能なプロモーターの例は、亜鉛で誘導可能なヒツジメタロチオニン(MT)プロモーター、デキサメサゾン(Dex)で誘導可能なマウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーター系[国際特許公開第WO 98/10088号];エクダイソン昆虫プロモーター[Noら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:3346−3351(1996)]、テトラサイクリンで抑制可能な系[Gossenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:5547−5551(1992)]、テトラサイクリンで誘導可能な系[Gossenら、Science、268:1766−1769(1995)、Harveyら、Curr.Opin.Chem.Biol.、2:512−518(1998)もまた参照されたい]、RU486で誘導可能な系[Wangら、Nat.Biotech.、15:239−243(1997)およびWangら、Gene Ther.、4:432−441(1997)]ならびにラパマイシンで誘導可能な系[Magariら、J.Clin.Invest.、100:2865−2872(1997)]を包含す
る。本情況で有用でありうる他の型の調節可能なプロモーターは、特定の生理学的状態、例えば温度、急性期、細胞の特定の分化状態により、若しくは複製する細胞のみで調節されるものである。
別の態様において、導入遺伝子の天然のプロモーターを使用することができる。天然のプロモーターは、導入遺伝子の発現が天然の発現を模倣すべきであることが望ましい場合に好ましいことができる。天然のプロモーターは、導入遺伝子の発現を一時的に若しくは発達的に、または組織特異的様式で、あるいは特定の転写刺激に応答して調節しなければならない場合に使用しうる。さらなる一態様において、エンハンサーエレメント、ポリアデニル化部位若しくはコザックコンセンサス配列のような他の天然の発現調節領域もまた、天然の発現を模倣するのに使用しうる。
核酸コーディング配列の別の態様は、組織特異的プロモーターに作動可能に連結された遺伝子を包含する。例えば、骨格筋中での発現が望ましい場合は、筋中で活性のプロモーターを使用すべきである。これらは、骨格βアクチン、ミオシン軽鎖2A、ジストロフィン、筋クレアチンキナーゼをコードする遺伝子からのプロモーター、ならびに天然に存在するプロモーターより高い活性をもつ合成の筋プロモーターを包含する(Liら、Nat.Biotech.、17:241−245(1999)を参照されたい)。組織特異的であるプロモーターの例は、とりわけ、肝(アルブミン、Miyatakeら、J.Virol.、71:5124−32(1997);B型肝炎ウイルスコアプロモーター、Sandigら、Gene Ther.、3:1002−9(1996);α−フェトプロテイン(AFP)、Arbuthnotら、Hum.Gene Ther.、7:1503−14(1996))、骨オステオカルシン(Steinら、Mol.Biol.Rep.、24:185−96(1997));骨シアロタンパク質(Chenら、J.Bone Miner.Res.、11:654−64(1996))、リンパ球(CD2、Hansalら、J.Immunol.、161:1063−8(1998);免疫グロブリンH鎖;T細胞受容体α鎖)、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(Andersenら、Cell.Mol.Neurobiol.、13:503−15(1993))、神経細線維軽鎖遺伝子(Piccioliら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:5611−5(1991))およびニューロン特異的vgf遺伝子(Piccioliら、Neuron、15:373−84(1995))のような神経型について既知である。
場合によっては、治療上有用な導入遺伝子を保有するプラスミドは選択可能なマーカーもまた包含しうるか、または、レポーター遺伝子はとりわけ、ジェネチシン、ハイグロマイシン若しくはピューリマイシン(purimycin)耐性をコードする配列を包含しうる。こうした選択可能なレポーター若しくはマーカー遺伝子(好ましくは本発明の方法によりレスキューされるべきウイルスゲノムの外側に配置される)を使用して、アンピシリン耐性のような細菌細胞中のプラスミドの存在を知らせることができる。プラスミドの他成分は複製起点を包含しうる。これらおよび他のプロモーターおよびベクター要素の選択は慣習的であり、そして多くのこうした配列が入手可能である[例えばSambrookら、およびその中に引用される参考文献を参照されたい]。
本発明の教示を提供されれば、こうした発現カセットの設計は慣習的技術に頼ることによりなし得る。
3.パッケージング宿主細胞への発現カセットの送達
発現カセットは、宿主細胞に送達されるいずれかの適するベクター、例えばプラスミド上に保有され得る。それらが複製および場合によっては原核生物細胞、哺乳動物細胞、若しくは双方への組込みに適するような、本発明で有用なプラスミドを工作しうる。これら
のプラスミド(若しくは5’AAV ITR−異種分子−3’AAV ITRを保有する他のベクター)は、真核生物および/若しくは原核生物中での発現カセットならびにこれらの系の選択マーカーの複製を可能にする配列を含有する。選択可能なマーカー若しくはレポーター遺伝子は、とりわけ、ジェネチシン、ハイグロマイシン若しくはピューリマイシン耐性をコードする配列を包含しうる。該プラスミドは、アンピシリン耐性のような、細菌細胞中のベクターの存在を知らせるのに使用し得るある種の選択可能なレポーター若しくはマーカー遺伝子もまた含有しうる。プラスミドの他成分は複製起点、およびエプスタイン−バーウイルスの核抗原を使用するアンプリコン系のようなアンプリコンを包含しうる。このアンプリコン系若しくは他の類似のアンプリコン成分は、細胞中での高コピーのエピソーム複製を可能にする。好ましくは、発現カセットを保有する分子を細胞にトランスフェクトし、それはそこで一過性に存在しうる。あるいは、発現カセット(5’AAV ITR−異種分子−3’AAV ITRを保有する)は、染色体に若しくはエピソームとしてのいずれかで宿主細胞のゲノムに安定に組込まれうる。ある態様において、発現カセットは、場合によっては頭から頭、頭から尾若しくは尾から尾の鎖状体で複数コピーで存在する。適するトランスフェクション技術は既知であり、そして宿主細胞にミニ遺伝子を送達させるのに容易に利用しうる。
一般に、発現を含んでなるベクターをトランスフェクションにより送達する場合、該ベクターは、約5μgから約100μgまでのDNA、約10μgないし約50μgのDNAの量で、約1×10細胞ないし約1×1013細胞、若しくは約1×10細胞に送達する。しかしながら、宿主細胞に対するベクターDNAの相対量は、選択されたベクター、送達方法および選択された宿主細胞のような因子を考慮に入れて調節しうる。
B.repおよびcap配列
ミニ遺伝子に加え、宿主細胞は、宿主細胞中での本発明の新規AAVキャプシドタンパク質(若しくはそのフラグメントを含んでなるキャプシドタンパク質)の発現を駆動する配列、およびミニ遺伝子中で見出されるAAV ITRの供給源と同一の供給源若しくは交差相補する供給源のrep配列を含有する。AAVのcapおよびrep配列は、上述されたところのAAV供給源から独立に得ることができ、そして、上述されたところの当業者に既知のいずれかの様式で宿主細胞に導入しうる。加えて、改変AAV中でAAVベクターをシュードタイピングする場合、必須のrepタンパク質のそれぞれをコードする配列を、異なるAAV供給源(例えばAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9)により供給しうる。例えば、rep78/68配列はAAV2からであってよい一方、rep52/40配列はAAV8からであってよい。
一態様において、宿主細胞は、上述されたもののような適するプロモーターの制御下にキャプシドタンパク質を安定に含有する。最も望ましくは、本態様において、キャプシドタンパク質は調節可能なプロモーターの制御下に発現される。別の態様において、キャプシドタンパク質はトランスで宿主細胞に供給される。宿主細胞にトランスで送達される場合、キャプシドタンパク質は、選択されたキャプシドタンパク質の宿主細胞中での発現を指図するのに必要な配列を含有するプラスミドを介して送達しうる。最も望ましくは、宿主細胞にトランスで送達される場合、キャプシドタンパク質を保有するプラスミドは、rAAVをパッケージングするのに必要とされる他の配列、例えばrep配列もまた保有する。
別の態様において、宿主細胞は、上述されたもののような適するプロモーターの制御下にrep配列を安定に含有する。最も望ましくは、本態様において、必須のrepタンパク質が調節可能なプロモーターの制御下に発現される。別の態様において、repタンパク質はトランスで宿主細胞に供給される。宿主細胞にトランスで送達される場合、rep
タンパク質は、選択されたrepタンパク質の宿主細胞中での発現を指図するのに必要な配列を含有するプラスミドを介して送達しうる。最も望ましくは、宿主細胞にトランスで送達される場合、キャプシドタンパク質を保有するプラスミドはrAAVをパッケージングするのに必要とされる他の配列、例えばrepおよびcap配列もまた保有する。
従って、一態様において、repおよびcap配列は、単一の核酸分子上で宿主細胞にトランスフェクトされることができ、そして該細胞中で1個のエピソームとして安定に存在しうる。別の態様において、repおよびcap配列は細胞の染色体中に安定に組込まれる。別の態様は、宿主細胞中で一過性に発現されるrepおよびcap配列を有する。例えば、こうしたトランスフェクションのための有用な核酸分子は、5’から3’へ、プロモーター、プロモーターとrep遺伝子配列の開始部位との間に挿入された任意のスペーサー、AAV rep遺伝子配列、およびAAV cap遺伝子配列を含んでなる。
場合によっては、repおよび/若しくはcap配列は、宿主細胞に導入されるべきである他のDNA配列を含有する1ベクター上で供給しうる。例えば、ベクターはミニ遺伝子を含んでなるrAAV構築物を含有しうる。ベクターは、ヘルパー機能をコードする遺伝子、例えばアデノウイルスタンパク質E1、E2aおよびE4 ORF6、ならびにVAI RNAの遺伝子の1種若しくはそれ以上を含みうる。
好ましくは、本構築物で使用されるプロモーターは、当業者に既知の若しくは上で論考されたところの構成的、調節可能な若しくは天然のプロモーターのいずれでもありうる。一態様においてAAV P5プロモーター配列を使用する。これらの配列のいずれかを提供するためのAAVの選択は本発明を制限しない。
別の好ましい態様において、repのプロモーターは、導入遺伝子の調節エレメントに関して上で論考されたような調節可能なプロモーターである。rep発現のための好ましい一プロモーターはT7プロモーターである。T7プロモーターにより調節されるrep遺伝子、およびcap遺伝子を含んでなるベクターを、T7ポリメラーゼを構成的に若しくは誘導可能にのいずれかで発現する細胞にトランスフェクト若しくは形質転換する。1998年3月12日公開の国際特許公開第WO 98/10088号を参照されたい。
スペーサーはベクターの設計における任意の一要素である。スペーサーは、プロモーターとrep遺伝子のATG開始部位との間に挿入されるDNA配列である。スペーサーはいかなる所望の設計を有してもよい。すなわち、それはヌクレオチドの無作為の配列でありうるか、若しくは、あるいは、それはマーカー遺伝子のような遺伝子産物をコードしうる。スペーサーは開始/終止およびポリA部位を典型的に組み込む遺伝子を含有しうる。スペーサーは、原核生物若しくは真核生物からの非コーディングDNA配列、反復非コーディング配列、転写制御を伴わないコーティング配列、または転写制御を伴うコーディング配列でありうる。スペーサー配列の例示的2供給源はファージラダー配列若しくは酵母ラダー配列であり、それらは例えばとりわけGibco若しくはInvitrogenから商業的に入手可能である。スペーサーは、rep52、rep40およびcap遺伝子産物を正常レベルで発現されるままにしてrep78およびrep68遺伝子産物の発現を低下させるのに十分ないかなる大きさのものであってもよい。スペーサーの長さは、従って約10bpから約10.0kbpまで、好ましくは約100bpないし約8.0kbpの範囲の範囲にわたりうる。組換えの可能性を低下させるため、スペーサーは、好ましくは長さ2kbp未満であるが;しかしながら、本発明はそのように制限されない。
repおよびcapを提供する分子(1種若しくは複数)が宿主細胞中に一過性に存在しうる(すなわちトランスフェクションにより)とは言え、repおよびcapタンパク質の一方若しくは双方およびそれらの発現を制御するプロモーター(1種若しくは複数)
が、例えばエピソームとして若しくは宿主細胞の染色体中への組込みにより宿主細胞中で安定に発現されることが好ましい。本発明の態様を構築するために使用される方法は、上の参考文献に記述されるもののような慣習的な遺伝子工学若しくは組換え工学技術である。本明細は本明細書に提供される情報を使用して特定の構築物の具体的に説明する例を提供する一方、当業者は、スペーサー、P5プロモーター(AAVと同一供給源、若しくは周囲の配列と異なる供給源からでありうるか、または発現を制御するためにrep発現カセットの下流に再配置されうる)、イントロン、ならびに最低1個の翻訳開始および終止シグナルを包含する他のエレメントの選択、ならびにポリアデニル化部位の任意の付加を使用して、他の適する構築物を選択かつ設計しうる。
本発明の別の態様において、rep若しくはcapタンパク質は宿主細胞により安定に提供されうる。
C.ヘルパー機能
パッケージング宿主細胞は、本発明のrAAVをパッケージングするためにヘルパー機能もまた必要とする。場合によっては、これらの機能はヘルペスウイルスにより供給されうる。最も望ましくは、必要なヘルパー機能は、上述されたものおよび/若しくはAmerican Type Culture Collection(ATCC)、バージニア州マナサス(米国)を包含する多様な供給元から入手可能であるようなヒト若しくはヒト以外の霊長類のアデノウイルス供給源からそれぞれ提供される。現在好ましい一態様において、宿主細胞は、E1a遺伝子産物、E1b遺伝子産物、E2a遺伝子産物、および/若しくはE4 ORF6遺伝子産物を提供されかつ/若しくは含有する。宿主細胞はVAI RNAのような他のアデノウイルス遺伝子を含有しうるが、しかしこれらの遺伝子は必要とされない。好ましい一態様において、他のアデノウイルス遺伝子若しくは遺伝子機能が宿主細胞中に存在しない。
アデノウイルスE1a、E1b、E2aおよび/若しくはE4ORF6遺伝子産物、ならびにいずれかの他の所望のヘルパー機能は、細胞中でのそれらの発現を可能にするいずれかの手段を使用して提供され得る。これらの産物をコードする配列のそれぞれは別個のベクター上にありうるか、または1種若しくはそれ以上の遺伝子が同一ベクター上にありうる。ベクターは、プラスミド、コスミドおよびウイルスを包含する、当該技術分野で既知若しくは上で開示されたいずれのベクターでもありうる。ベクターの宿主細胞への導入は、とりわけ、トランスフェクション、感染、電気穿孔法、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNA被覆ペレット、ウイルス感染およびプロトプラスト融合を包含する、当該技術分野で既知若しくは上で開示されたところのいずれの手段によっても達成しうる。アデノウイルス遺伝子の1種若しくはそれ以上は、宿主細胞のゲノム中に安定に組込まれても、エピソームとして安定に発現されても、若しくは一過性に発現されてもよい。遺伝子産物は全部、エピソーム上で一過性に発現されうるか、若しくは安定に組込まれうるか、または遺伝子産物のいくつかが安定に発現されうる一方で他者が一過性に発現される。さらに、アデノウイルス遺伝子のそれぞれのプロモーターは、構成的プロモーター、調節可能なプロモーター若しくは天然のプロモーターから独立に選択しうる。プロモーターは、生物体若しくは細胞の特定の生理学的状態により(すなわち分化状態により、または複製若しくは静止期細胞で)、あるいは例えば外因性に添加した因子により調節しうる。
D.宿主細胞およびパッケージング細胞株
宿主細胞それ自身は、原核生物(例えば細菌)細胞、ならびに昆虫細胞、酵母細胞および哺乳動物細胞を包含する真核生物細胞を包含するいずれの生物学的生物体からも選択しうる。とりわけ望ましい宿主細胞は、A549、WEHI、3T3、10T1/2、BHK、MDCK、COS 1、COS 7、BSC 1、BSC 40、BMT 10、VERO、WI38、HeLa、293細胞(機能的アデノウイルスE1を発現する)、S
aos、C2C12、L細胞、HT1080、HepG2、ならびにヒト、サル、マウス、ラット、ウサギおよびハムスターを包含する哺乳動物由来の初代線維芽細胞、肝細胞および筋芽細胞のような細胞を制限なしに包含するいずれかの哺乳動物種のなかから選択する。細胞を提供する哺乳動物種の選択は本発明の制限でなく;また、哺乳動物細胞の型、すなわち線維芽細胞、肝細胞、腫瘍細胞などもそうでない。使用される細胞に対する要件は、それがE1、E2aおよび/若しくはE4 ORF6以外のいかなるアデノウイルス遺伝子も保有せず;それがrAAVの産生の間に汚染するウイルスの相同的組換えをもたらし得るいかなる他のウイルス遺伝子も含有せず;そしてそれがDNAの感染若しくはトランスフェクションおよびトランスフェクトされたDNAの発現が可能であることである。好ましい一態様において、宿主細胞は細胞中でrepおよびcapが安定にトランスフェクトされているものである。
本発明で有用な一宿主細胞は、repおよびcapをコードする配列で安定に形質転換されかつアデノウイルスE1、E2aおよびE4ORF6 DNAならびに上述されたところのミニ遺伝子を保有する構築物でトランスフェクトされている宿主細胞である。B−50(国際特許出願公開第WO 99/15685号)、若しくは米国特許第5,658,785号明細書に記述されるもののような安定なrepおよび/若しくはcapを発現する細胞株もまた同様に使用しうる。別の所望の宿主細胞はE4 ORF6を発現するのに十分である最少のアデノウイルスDNAを含有する。
本発明の宿主細胞の製造は選択されたDNA配列の集成のような技術を必要とする。この集成は慣習的技術を利用して達成しうる。こうした技術は、公知でありかつ上で引用されたSambrookらに記述されるcDNAおよびゲノムクローニング、ポリメラーゼ連鎖反応と組合せたアデノウイルスおよびAAVゲノムのオーバーラップオリゴヌクレオチド配列の使用、合成法、ならびに所望のヌクレオチド配列を提供するいずれかの他の適する方法を包含する。
宿主細胞中への(プラスミド若しくはウイルスとしての)分子の導入は、当業者に既知かつ本明細を通じて論考されるところの技術を使用してもまた達成しうる。好ましい態様において、標準的トランスフェクション技術、例えばCaPOトランスフェクション若しくは電気穿孔法、および/またはヒト胎児由来腎臓細胞株HEK 293(トランスに作用するE1タンパク質を提供する機能的アデノウイルスE1遺伝子を含有するヒト腎細胞株)のような細胞株へのハイブリッドアデノウイルス/AAVベクターによる感染を使用する。
AAVウイルス粒子の適する製造方法は記述されている。
加えて、AAVの望ましい一製造方法が、共通に所有される米国仮出願、”Scalable Production Method for AAV(AAVの規模適応性の製造方法)”(本明細書と同時に出願されておりかつ引用することによりここに組込まれる)に記述される。細胞溶解を必要とすることのないAAVの製造方法が記述される。該方法はAAVを上清から収集することを必要とする。一アスペクトにおいて、本発明は分泌しないAAVを改変することを必要とする。例えば、ヘパリンにより遮断されるその形質導入(感染)能力を有することを特徴とするヘパリン結合ドメインを有するAAVは、検出可能な量で分泌しないことが見出されている。こうしたAAVの例はAAV2およびAAV3である。従って、一態様において、該方法は、AAVのヘパリン結合部位と産生体細胞の間の結合を実質的に低下若しくは排除するようにAAVキャプシド、細胞および/若しくは培養条件を改変してそれによりAAVが上清すなわち培地にわたることを可能にすることを必要とする。本方法は、細胞溶解段階を使用する方法を使用して製造されるAAVに比較して、細胞膜および細胞内物質からのより高程度の純度を有するAAVの高
収量を含有する上清を提供する。
組換えウイルスおよびそのための用途
一アスペクトにおいて、本発明の改変AAVは、治療的、免疫原若しくはワクチン分子の宿主細胞への送達に使用する。一態様において、本発明の改変AAVは免疫応答を低下させるのに有用であり、かつ/または、該改変AAVの毒性は、ヘパリン結合を除去するようにAAVを改変することの前の該AAVの免疫応答および/若しくは毒性より実質的により低い。本発明の改変AAVは、免疫応答を低下させるのに有用であり、かつ/または、該改変AAVの毒性は、RxxRモチーフを変えるようにAAVを改変することの前の該AAVの免疫応答および/若しくは毒性より実質的により低い。
A.ウイルスの送達
別のアスペクトにおいて、本発明は、本発明の改変AAVキャプシドを用いて生成したAAVウイルスベクターで、選択された宿主細胞をトランスフェクト若しくは感染させることを必要とする、宿主への選択された異種核酸分子若しくは配列の送達方法を提供する。送達方法は当業者に公知でありかつ本発明の制限でない。
望ましい一態様において、本発明は宿主への分子のAAV媒介性送達方法を提供する。本方法は、選択された分子の発現を指図する配列の制御下の選択された分子、および改変AAVキャプシドタンパク質を含有する組換えウイルスベクターで、選択された宿主細胞をトランスフェクト若しくは感染させることを必要とする。
場合によっては、宿主からのサンプルを、選択されたAAV供給源(例えば血清型)に対する抗体の存在について最初にアッセイしうる。中和抗体を検出するための多様なアッセイ形式が当業者に公知である。こうしたアッセイの選択は本発明の制限でない。例えば、Fisherら、Nature Med.、3(3):306−312(1997年3月)およびW.C.Manningら、Human Gene Therapy、9:477−485(1998年3月1日)を参照されたい。本アッセイの結果を、特定の1供給源のキャプシドタンパク質を含有するどのAAVベクターが送達に好ましいかを、例えばそのキャプシド供給源に特異的な中和抗体の非存在により決定するのに使用しうる。
本方法の一アスペクトにおいて、本発明の改変AAVキャプシドタンパク質を含むベクターの送達は、異なるAAVキャプシドタンパク質を含むベクターを介する遺伝子の送達に先行しても若しくは後に続いてもよい。従って、AAVベクターを介する遺伝子送達を、選択された宿主細胞への反復遺伝子送達に使用しうる。望ましくは、その後投与されるAAVベクターは第一のAAVベクターと同一の導入遺伝子を保有するが、しかし、その後投与されるベクターは、第一のベクターと異なる供給源(および好ましくは異なる血清型)のキャプシドタンパク質を含有する。
場合によっては、複数のAAVベクターを使用して、in vivoで鎖状体化して単一のベクターゲノムを形成するAAVベクターの共投与により大型遺伝子若しくは複数の遺伝子を送達し得る。こうした一態様において、第一のAAVは単一遺伝子(若しくはその1サブユニット)を発現する発現カセットを保有することができ、そして第二のAAVは宿主細胞中での共発現のため第二の遺伝子(若しくは異なるサブユニット)を発現する発現カセットを保有しうる。第一のAAVは、多シストロン性構築物の第一の一片(例えばプロモーターおよび導入遺伝子若しくはサブユニット)である発現カセットを保有することができ、そして第二のAAVは、多シストロン性構築物の第二の一片(例えば遺伝子若しくはサブユニットおよびポリA配列)である発現カセットを保有しうる。多シストロン性構築物のこれら二片がin vivoで鎖状体化して、第一および第二のAAVにより送達される遺伝子を共発現する単一のベクターゲノムを形成する。こうした態様におい
て、第一の発現カセットを保有する改変AAVベクターおよび第二の発現カセットを保有する改変AAVベクターを、単一の製薬学的組成物中で送達し得る。他の態様において、2種若しくはそれ以上の改変AAVベクターは、実質的に同時にまたは相互の直前若しくは後に投与し得る別個の製薬学的組成物として送達される。
上述された組換えベクターは、公表された方法に従って宿主細胞に送達しうる。好ましくは生理学的に適合性のキャリヤーに懸濁した改変AAVを、ヒト若しくはヒト以外の哺乳動物患者に投与しうる。適するキャリヤーは、移入ウイルスが向けられる適応症を鑑みて当業者により容易に選択されうる。例えば、1種の適するキャリヤーは、多様な緩衝溶液とともに処方されうる生理的食塩水を包含する(例えばリン酸緩衝生理的食塩水)。他の例示的キャリヤーは、滅菌生理的食塩水、乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストラン、アガー、ペクチン、ラッカセイ油、ゴマ油および水を包含する。キャリヤーの選択は本発明の制限でない。
場合によっては、本発明の組成物は、改変AAVおよびキャリヤー(1種若しくは複数)に加え、保存剤若しくは化学的安定剤のような他の慣習的製薬学的成分を含有しうる。適する例示的保存剤はクロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化イオウ、没食子酸プロピル、パラベン類、エチルバニリン、グリセリン、フェノールおよびパラクロロフェノールを包含する。適する化学的安定剤はゼラチンおよびアルブミンを包含する。
該ベクターは、細胞をトランスフェクトし、かつ、医学の技術分野の当業者により決定され得る過度の悪影響を伴わずに若しくは医学的に許容できる生理学的効果を伴い治療的利益を提供するのに十分なレベルの遺伝子移入および発現を提供するのに十分な量で投与する。慣習的なおよび製薬学的に許容できる投与経路は、限定されるものでないが所望の器官(例えば肝(場合によっては肝動脈を介して)若しくは肺)への直接送達、経口、吸入、鼻内、気管内、動脈内、眼内、蝸牛内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、および他の非経口投与経路を挙げることができる。投与経路は所望の場合に組み合わせうる。
ウイルスベクターの投薬量は、主として、治療されている状態、患者の齢、体重および健康状態のような因子に依存することができ、そして従って患者間で異なりうる。例えば、ウイルスベクターの治療上有効なヒト投薬量は、一般に約1×10から1×1016までのゲノムウイルスベクターの濃度を含有する約0.1mLから約100mLまでの溶液の範囲にある。大型の器官(例えば肝、筋、心および肺)への送達に好ましいヒト投薬量は、約1ないし100mLの容量で1kgあたり約5×1010ないし5×1013AAVゲノムでありうる。眼若しくは耳(蝸牛)への送達に好ましい投薬量は、約0.1mLないし1mLの容量で約5×10ないし5×1012ゲノムコピーである。投薬量は、いかなる副作用に対しても治療的利益の均衡を図るように調節することができ、そして、こうした投薬量は組換えベクターを使用する治療的応用に依存して変動しうる。導入遺伝子の発現のレベルをモニターして、ウイルスベクター、好ましくはミニ遺伝子を含有するAAVベクターをもたらす投薬頻度を決定し得る。場合によっては、治療の目的上記述されるものに類似の投与計画を、本発明の組成物を使用する免疫化に利用しうる。
本発明の改変AAV含有ベクターによる送達のための治療的産物および免疫原産物の例を下に提供する。これらのベクターは、本明細書に記述されるところの多様な治療若しくはワクチンレジメンに使用しうる。加えて、これらのベクターは所望の治療および/若しくはワクチンレジメンにおいて1種若しくはそれ以上の他のベクター若しくは有効成分と組合せで送達しうる。
B.治療的産物
発現カセットに保有される核酸分子によりコードされる有用な治療的産物は、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン(GH)、副甲状腺ホルモン(PTH)、成長ホルモン放出因子(GRF)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオポエチン、アンジオスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、エリスロポエチン(EPO)、結合組織増殖因子(CTGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン成長因子IおよびII(IGF−IおよびIGF−II)、TGFα、アクチビン、インヒビンを包含するトランスフォーミング成長因子αスーパーファミリーのいずれか1種、若しくは骨形成タンパク質(BMP)BMP1〜15のいずれか、成長因子のヘレグルイン(heregulin)/ニューレグリン/ARIA/neu分化因子(NDF)ファミリーのいずれか1種、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィンNT−3およびNT−4/5、絨毛様神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アグリン、セマフォリン/コラプシンのファミリーのいずれか1種、ネトリン−1およびネトリン−2、肝細胞増殖因子(HGF)、エフリン、ノギン、ソニックヘッジホッグならびにチロシンヒドロキシラーゼを制限なしに包含するホルモンならびに増殖および分化因子を包含する。
他の有用な導入遺伝子産物は、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン(IL)IL−1からIL−25(例えばIL−2、IL−4、IL−12およびIL−18を包含する)、単球化学遊走物質タンパク質、白血病阻害因子、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子、Fasリガンド、腫瘍壊死因子αおよびβ、インターフェロンα、βおよびγ、幹細胞因子、flk−2/flt3リガンドのようなサイトカインおよびリンホカインを制限なしに包含する免疫系を調節するタンパク質を包含する。免疫系により産生される遺伝子産物もまた本発明で有用である。これらは、免疫グロブリンIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE、キメラ免疫グロブリン、ヒト化抗体、一本鎖抗体、T細胞受容体、キメラT細胞受容体、一本鎖T細胞受容体、クラスIおよびクラスII MHC分子、ならびに工作された免疫グロブリンおよびMHC分子を制限なしに包含する。有用な遺伝子産物は、補体調節タンパク質、膜補助因子タンパク質(MCP)、崩壊促進因子(DAF)、CR1、CF2およびCD59のような補体調節タンパク質もまた包含する。
なお他の有用な遺伝子産物は、ホルモン、成長因子、サイトカイン、リンホカイン、調節タンパク質および免疫系タンパク質の受容体のいずれか1種を包含する。本発明は、低密度リポタンパク質(LDL)受容体、高密度リポタンパク質(HDL)受容体、超低密度リポタンパク質(VLDL)受容体およびスカベンジャー受容体を包含するコレステロール調節および/若しくは脂質調節のための受容体を包含する。本発明はまた、グルココルチコイド受容体およびエストロゲン受容体、ビタミンD受容体ならびに他の核受容体を包含するステロイドホルモン受容体スーパーファミリーのメンバーのような遺伝子産物も包含する。加えて、有用な遺伝子産物は、jun、fos、max、mad、血清応答因子(SRF)、AP−1、AP2、myb、MyoDおよびミオゲニン、ETSボックス含有タンパク質、TFE3、E2F、ATF1、ATF2、ATF3、ATF4、ZF5、NFAT、CREB、HNF−4、C/EBP、SP1、CCAATボックス結合タンパク質、インターフェロン調節因子(IRF−1)、ウィルムス腫瘍タンパク質、ETS結合タンパク質、STAT、GATAボックス結合タンパク質、例えばGATA−3、ならびに翼状らせんタンパク質のフォークヘッドファミリーのような転写因子を包含する。
他の有用な遺伝子産物は、カルバモイル合成酵素1、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギノコハク酸合成酵素、アルギノコハク酸リアーゼ、アルギナーゼ、フマリルアセト酢酸加水分解酵素、フェニルアラニン水酸化酵素、α−1アンチトリプシン、グルコ
ース−6−ホスファターゼ、ポルフォビリノーゲン脱アミノ酵素、シスタチオンβ−合成酵素、分枝状鎖ケト酸脱炭酸酵素、アルブミン、イソバレリル−coA脱水素酵素、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ、メチルマロニルCoAムターゼ、グルタリルCoA脱水素酵素、インスリン、β−グルコシダーゼ、ピルビン酸カルボキシレート、肝ホスホリラーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、グリシン脱炭酸酵素、H−プロテイン、T−プロテイン、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)配列、およびジストロフィン遺伝子産物[例えばミニ若しくはミクロジストロフィン]を包含する。なお他の有用な遺伝子産物は、酵素の不足した活性から生じる多様な状態で有用である酵素補充療法で有用でありうるような酵素を包含する。例えば、マンノース−6−リン酸を含有する酵素は、リソゾーム蓄積症の治療で利用しうる(例えば、適する遺伝子はβ−グルクロニダーゼ(GUSB)をコードするものを包含する)。
なお他の有用な遺伝子産物は、血友病B(第IX因子を包含する)ならびに血友病A(第VIII因子、ならびにヘテロ二量体のL鎖およびH鎖ならびにB欠失ドメインのようなそのバリアントを包含する;米国特許第6,200,560号および同第6,221,349号)を包含する血友病の処置に使用されるものを包含する。第VIII因子遺伝子は2351アミノ酸をコードし、そして該タンパク質は6ドメインを有し、アミノから末端のカルボキシ末端へA1−A2−B−A3−C1−C2と呼称される[Woodら、Nature、312:330(1984);Veharら、Nature 312:337(1984);およびTooleら、Nature、342:337(1984)]。ヒト第VIII因子は細胞内でプロセシングされて、A1、A2およびBドメインを含有するH鎖ならびにA3、C1およびC2ドメインを含有するL鎖を主として含んでなるヘテロ二量体を生じる。一本鎖ポリペプチドおよびヘテロ二量体の双方が、Bドメインを遊離しかつA1およびA2ドメインよりなるH鎖をもたらすA2およびBドメインの間のトロンビン切断により活性化されるまで、不活性前駆体として血漿中を循環する。Bドメインは活性化された凝血原の形態のタンパク質中では除去されている。加えて、天然のタンパク質中でBドメインに隣接する2本のポリペプチド鎖(「a」および「b」)は、二価のカルシウム陽イオンに結合している。
いくつかの態様において、ミニ遺伝子は、10アミノ酸のシグナル配列をコードする第VIII因子H鎖の最初の57塩基対、ならびにヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化配列を含んでなる。代替の態様において、ミニ遺伝子は、A1およびA2ドメイン、ならびにBドメインのN末端からの5アミノ酸および/若しくはBドメインのC末端の85アミノ酸、ならびにA3、C1およびC2ドメインをさらに含んでなる。なお他の態様において、第VIII因子H鎖およびL鎖をコードする核酸が、Bドメインの14アミノ酸をコードする42核酸により分離される単一のミニ遺伝子中に提供される[米国特許第6,200,560号]。
本明細書で使用されるところの治療上有効な量は、被験体の血液が凝固するのにそれがかかる時間を短縮するのに十分な量の第VIII因子を産生するAAVベクターの量である。一般に、正常レベルの1%未満の第VIII因子を有する重症血友病患者は、非血友病患者についてのおよそ10分に比較して60分より長い全血凝固時間を有する。
本発明はいずれかの特定の第VIII因子配列に制限されない。多くの天然のおよび組換えの形態の第VIII因子が単離かつ生成されている。天然に存在するおよび組換えの形態の第VII因子の例は、米国特許第5,563,045号、同第5,451,521号、同第5,422,260号、同第5,004,803号、同第4,757,006号、同第5,661,008号、同第5,789,203号、同第5,681,746号、同第5,595,886号、同第5,045,455号、同第5,668,108号、同第5,633,150号、同第5,693,499号、同第5,587,310号、同第
5,171,844号、同第5,149,637号、同第5,112,950号、同第4,886,876号明細書;国際特許公開第WO 94/11503号、同第WO 87/07144号、同第WO 92/16557号、同第WO 91/09122号、同第WO 97/03195号、同第WO 96/21035号および同第WO 91/07490号明細書;欧州特許出願第EP 0 672 138号、同第EP 0 270 618号、同第EP 0 182 448号、同第EP 0 162 067号、同第EP 0 786 474号、同第EP 0 533 862号、同第EP 0 506 757号、同第EP 0 874 057号、同第EP 0 795 021号、同第EP 0 670 332号、同第EP 0 500 734号、同第EP 0 232 112号および同第EP 0 160 457号明細書;Sanbergら、XXth Int.Congress of the World Fed.Of Hemophilia(1992)、ならびにLindら、Eur.J.Biochem.、232:19(1995)を包含する特許および学術論文に見出し得る。
上述された第VIII因子をコードする核酸配列は、組換えの方法を使用して、若しくは該配列を包含することが既知のベクターからそれを派生させることにより得ることができる。さらに、所望の配列を、フェノール抽出およびcDNA若しくはゲノムDNAのPCRのような標準的技術を使用して、それを含有する細胞および組織から直接単離し得る[例えばSambrookらを参照されたい]。ヌクレオチド配列はまた、クローン化されるよりはむしろ合成で製造し得る。完全な配列は、標準的方法により製造したオーバーラップオリゴヌクレオチドから集成し得、そして完全なコーディング配列に集成し得る[例えば、Edge、Nature 292:757(1981);Nambariら、Science、223:1299(1984);およびJayら、J.Biol.Chem.259:6311(1984)を参照されたい。
さらに、本発明はヒト第VIII因子に制限されない。事実、本発明は、限定されるものでないがコンパニオンアニマル(例えばイヌ、ネコおよびウマ)、家畜(例えばウシ、ヤギおよびヒツジ)、実験動物、海棲哺乳類、大型のネコなどを挙げることができるヒト以外の動物からの第VIII因子を包含することを意図している。
AAVベクターは、それ自身生物学的に活性でないがそれでもなお被験体に投与される場合に血液凝固時間を改良若しくは復帰させる第VIII因子のフラグメントをコードする核酸を含有しうる。例えば、上で論考されたとおり、第VIII因子タンパク質は2個のポリペプチド鎖、すなわちプロセシングの間に切断されるBドメインにより分離されたH鎖およびL鎖を含んでなる。本発明により示されるとおり、第VIII因子のHおよびL鎖でレシピエント細胞を共形質導入することは、生物学的に活性の第VIII因子の発現に至る。大部分の血友病患者は該鎖の一方(例えばH若しくはL鎖)のみに突然変異若しくは欠失を含有するため、患者で欠損の鎖のみを投与して他方の鎖を供給することが可能でありうる。
他の有用な遺伝子産物は、挿入、欠失若しくはアミノ酸置換を含有する天然に存在しないアミノ酸配列を有するキメラ若しくはハイブリッドポリペプチドのような天然に存在しないポリペプチドを包含する。例えば、一本鎖の工作された免疫グロブリンはある種の免疫無防備状態の患者で有用であり得る。他の型の天然に存在しない遺伝子配列は、アンチセンス分子、および標的の過剰発現を低下させるのに使用し得るリボザイムのような触媒核酸を包含する。
遺伝子の発現の低下および/若しくは調節は、癌および乾癬がそうであるように、過剰増殖する細胞を特徴とする過剰増殖状態の処置にとりわけ望ましい。標的ポリペプチドは、正常細胞に比較して過剰増殖細胞中で独占的に若しくはより高レベルで産生されるポリペプチドを包含する。標的抗原は、myb、myc、fynのような癌遺伝子、ならびに転位遺伝子bcr/abl、ras、src、P53、neu、trkおよびEGRFによりコードされるポリペプチドを包含する。標的抗原としての癌遺伝子産物に加え、抗癌処置および保護的レジメンの標的ポリペプチドは、B細胞リンパ腫により作成される抗体の可変領域およびT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域を包含し、それらは、いくつかの態様において自己免疫疾患の標的抗原としてもまた使用される。モノクローナル抗体17−1Aにより認識されるポリペプチドおよび葉酸結合ポリペプチドを包含する、腫瘍細胞中でより高レベルで見出されるポリペプチドのような、他の腫瘍関連ポリペプチドを標的ポリペプチドとして使用し得る。
他の適する治療的ポリペプチドおよびタンパク質は、細胞受容体および「自己」に向けられた抗体を産生する細胞を包含する自己免疫と関連する標的に対する広範囲にわたる保護免疫応答を与えることにより、自己免疫疾患および障害に苦しめられている個体を処置するのに有用でありうるものを包含する。T細胞媒介性の自己免疫疾患は、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、インスリン依存型糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、脈管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、クローン病および潰瘍性大腸炎を包含する。これらの疾患のそれぞれは、内因性抗原に結合しかつ自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始するT細胞受容体(TCR)を特徴とする。
C.免疫原性導入遺伝子
適しては、本発明のAAVベクターは、AAVキャプシド配列に対する免疫応答の生成を回避する。しかしながら、これらのベクターは、それにもかかわらず、該ベクターにより保有される導入遺伝子の発現が選択された抗原に対する免疫応答を誘導することを可能にする様式で処方しうる。例えば、免疫応答を促進するために、遺伝子産物を構成的プロモーターから発現させることができ、該ベクターを本明細書に記述されるとおり補助し(adjuvanted)得、かつ/若しくは該ベクターを変性組織に置くことができる。
本発明の改変AAV含有ベクターによる送達のための適する抗原および免疫原産物の例を下に提供する。これらのベクターは、本明細書に記述されるところの多様な免疫原若しくはワクチンレジメンに使用しうる。加えて、これらのベクターは、所望の免疫調節および/若しくはワクチンレジメンで1種若しくはそれ以上の他のベクター若しくは有効成分とともに送達しうる。例えば、プライム−ブースト(prime−boost)レジメンは、2005年4月27日出願の国際特許出願第PCT/US2005/014556号明細書に記述されるAAVベクターを利用したを参照されたい。
適しては、本発明のAAVベクターは、該ベクター内に含有されるAAVに対する細胞性(すなわちT細胞)免疫応答を高める。しかしながら、これらのベクターは、それにもかかわらず、該ベクターにより保有される導入遺伝子の発現が選択された抗原に対する免疫応答を誘導することを可能にする様式で処方されうる。例えば、免疫応答を促進するために、導入遺伝子を構成的プロモーターから発現させることができ、該ベクターを本明細書に記述されるとおり補助し得、かつ/若しくは該ベクターを変性組織に置くことができる。
適する免疫原かつ抗原産物の例は多様なウイルス科由来のものを包含する。免疫応答が望ましいとみられる所望のウイルス科の例は、一般的な風邪の症例の約50%の原因であるライノウイルス属を包含するピコルナウイルス科;ポリオウイルス、コックサッキーウイルス、エコーウイルス、およびA型肝炎ウイルスのようなヒトエンテロウイルスを包含するエンテロウイルス属;ならびに主としてヒト以外の動物での口蹄疫の原因であるアプトウイルス属を包含する。ウイルスのピコルナウイルス科内で、標的抗原はVP1、VP2、VP3、VP4およびVPGを包含する。他のウイルス科はアストロウイルスおよびカルシウイルス(calcivirus)科を包含する。カルシウイルス科は、流行性胃腸炎の重要な原因病原体であるノーウォーク群のウイルスを包含する。ヒトおよびヒト以外の動物で免疫応答を誘導するための抗原の標的設定における使用に望ましいなお別のウイルス科は、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス、ならびにベネズエラ、東部および西部ウマ脳炎ウイルスを包含するアルファウイルス属、ならびに風疹ウイルスを包含するルビウイルス属を包含するトガウイルス科である。フラビウイルス科は、デング熱、黄熱病、日本脳炎、セントルイス脳炎およびダニ媒介脳炎ウイルスを包含する。他の標的抗原は、C型肝炎ウイルス、または感染性気管支炎ウイルス(家禽)、ブタ伝染性胃腸ウイルス(ブタ)、ブタヘマグルチナチン(hemagglutinatin)脳脊髄炎ウイルス(ブタ)、ネコ感染性腹膜炎ウイルス(ネコ)、ネコ腸コロナウイルス(ネコ)、イヌコロナウイルス(イヌ)のような多数のヒト以外のウイルス、ならびに、一般的な風邪および/または非A、B若しくはC型肝炎を引き起こすことがありかつ重症急性呼吸器症候群(SARS)の推定の原因を包含するヒト呼吸器コロナウイルスを包含するコロナウイルス科から生成しうる。コロナウイルス科内で、標的抗原は、E1(Mすなわちマトリックスタンパク質ともまた呼ばれる)、E2(Sすなわちスパイクタンパク質ともまた呼ばれる)、E3(HEすなわちヘマグルチン−エルテロース(elterose)ともまた呼ばれる)糖タンパク質(全部のコロナウイルスに存在するわけではない)若しくはN(ヌクレオキャプシド)を包含する。なお他の抗原はアルテリウイルス科およびラブドウイルス科を標的としうる。ラブドウイルス科は、ベシクロウイルス(例えば水疱性口内炎ウイルス)および一般的なリッサウイルス(例えば狂犬病)属を包含する。ラブドウイルス科内で、適する抗原はGタンパク質若しくはNタンパク質に由来しうる。マルブルクおよびエボラウイルスのような出血性熱ウイルスを包含するフィロウイルス科が抗原の適する供給源となりうる。パラミクソウイルス科は、パラインフルエンザウイルス1型、パラインフルエンザウイルス3型、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ルブラウイルス(流行性耳下腺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス2型、パラインフルエンザウイルス4型、ニューカッスル病ウイルス(ニワトリ)、牛疫、麻疹およびイヌジステンパーを包含するモルビリウイルス、ならびにRSウイルスを包含するニューモウイルスを包含する。インフルエンザウイルスはオルトミクソウイルス科内で分類され、そして抗原の適する供給源である(例えばHAタンパク質、N1タンパク質)。ブニヤウイルス科は、ブニヤウイルス(カリフォルニア脳炎、ラクロス)、フレボウイルス(リフトバレー熱)、ハンタウイルス(プーマラ(puremala)はヘマハギン(hemahagin)熱ウイルスである)、ナイロウイルス(ナイロビ羊病)、および多様な割り当てられていないブンガウイルス(bungavirus)属を包含する。アレナウイルス科はLCMおよびラッサ熱ウイルスに対する抗原の供給源を提供する。抗原の別の供給源はボルナウイルス科である。レオウイルス科は、レオウイルス、ロタウイルス(小児で急性胃腸炎を引き起こす)、オルビウイルスおよびカルチウイルス(cultivirus)(コロラドダニ熱、レボンボ(ヒト)、ウマ脳症、ブルータング)属を包含する。レトロウイルス科は、ネコ白血病ウイルス、HTLVIおよびHTLVII、レンチウイルス亜科の(lentivirinal)(HIV、サル免疫不全ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ウマ感染性貧血ウイルスおよびスプマウイルス亜科の(spumavirinal)を包含する)のようなヒトおよび家畜の疾患を包含するオンコリウイルス(oncorivirinal)亜科を包含する。パボーバウイルス科は、ポリオーマウイルス亜科(BKUおよびJCUウイルス)ならびにパピローマウイルス亜科(癌若しくは乳頭腫の悪性進行と関連する)を包含する。アデノウイルス科は呼吸器疾患および/若しくは腸炎を引き起こすウイルス(EX、AD7、ARD、O.B.)を包含する。パルボウイルス科はネコパルボウイルス(ネコ腸炎)、ネコ汎白血球減少症ウイルス、イヌパルボウイルスおよびブタパルボウイルスを包含する。ヘルペスウイルス科は、シンプレックスウイルス(HSVI、HSVII)、ワリセロウイルス(varicellovirus)(偽性狂犬病、帯状疱疹)属を包含するアルファヘルペスウイルス亜科、およびサイトメガロウイルス属(HCMV、ムロメガロウイルス)を包含するベータヘルペスウイルス亜科、ならびに、リンホクリプトウイルス属、EBV(バーキットリンパ腫)、6A、6Bおよび7型ヒトヘルペスウイルス、カポシ肉腫関連ヘルペスウイルスならびにオナガザルヘルペスウイルス(Bウイルス)、感染性鼻気管炎、マレック病ウイルスならびにラジノウイルス属を包含するガンマヘルペスウイルス亜科を包含する。ポックスウイルス科は、オルトポックスウイルス(大疱瘡(天然痘)およびワクシニア(牛痘))、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス属を包含するチョルドポックスウイルス亜科、ならびにエントモポックスウイルス亜科を包含する。ヘパドナウイルス科はB型肝炎ウイルスを包含する。抗原の適する供給源となりうる1種の分類されないウイルスは、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスおよびプリオンである。抗原の供給源となる別のウイルスはニパンウイルスである。なお他のウイルス供給源は、トリ伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスおよびブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルスを包含しうる。アルファウイルス科はウマ動脈炎ウイルスおよび多様な脳炎ウイルスを包含する。
他の免疫原は、ヒトおよびヒト以外の脊椎動物を感染させる細菌、真菌、寄生性微生物若しくは多細胞寄生生物を包含する他の病原体に対しヒト若しくはヒト以外の動物を免疫するのに有用であるか、または癌細胞若しくは腫瘍細胞からであるものを包含する。細菌性病原体の例は肺炎球菌;ブドウ球菌(およびそれにより産生される毒素、例えばエンテロトキシンB);ならびに連鎖球菌をはじめとする病原性グラム陽性球菌を包含する。病原性グラム陰性球菌は髄膜炎菌;淋菌を包含する。病原性の腸グラム陰性桿菌は、腸内細菌科;シュードモナス菌、アシネトバクテリア(acinetobacteria)およびエイケネラ(eikenella);類鼻疽;サルモネラ(salmonella);シゲラ(shigella);ヘモフィルス(haemophilus);モラクセラ(moraxella);軟性下疳菌(H.ducreyi)(軟性下疳を引き起こす);ブルセラ(brucella)スピーシーズ(ブルセラ症);野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病を引き起こす);ペスト菌(Yersinia pestis)(ペスト)および他のエルジニア(yersinia)(パスツレラ菌);ストレプトバチルス モニリフォルミス(streptobacillus moniliformis)およびらせん菌を包含し;グラム陽性桿菌はリステリア菌(listeria monocytogenes);豚丹毒菌(erysipelothrix rhusiopathiae);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)(ジフテリア);コレラ;炭疽菌(B.anthracis)(炭疽);ドノヴァン症(鼠径部肉芽腫);およびバルトネラ症を包含する。病原性嫌気性細菌により引き起こされる疾患は、破傷風;ボツリヌス中毒(クロストリズム ボツリヌム(Clostridum botulinum)およびその毒素);ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)およびそのε毒素;他のクロストリジウム;結核;らい;ならびに他のミコバクテリアを包含する。病原性のスピロヘータ疾患は梅毒;トレポネーマ症;イチゴ腫、ピンタおよび風土病性梅毒;ならびにレプトスピラ症を包含する。より高病原性の細菌および病原性真菌により引き起こされる他の感染症は、鼻疽(バークホルデリア マレイ(Burkholderia mallei));アクチノミセス症;ノカルジア症;クリプトコックス症、ブラストミセス症、ヒストプラスマ症およびコクシジオイデス真菌症;カンジダ症、アスペルギルス症およびムコール症;スポロトリクス症;パラコクシジオイドミコーシス、ペトリエリジオシス(petriellidiosis)、トルロプシス症、菌腫およびクロモミコーシス;ならびに皮膚糸状菌症を包含する。リケッチア感染症は、発疹チフス、ロッキー山熱、Q熱(コクシエラ
ブルネティ(Coxiella burnetti))およびリケッチア痘を包含する。マイコプラスマおよびクラミジア感染症の例は:マイコプラスマ肺炎;性病性リンパ肉芽腫;オウム病;および周産期クラミジア感染症を包含する。病原性真核生物は病原性原生動物および蠕虫を包含し、また、それらにより生じられる感染症は:アメーバ症;マラ
リア;リーシュマニア症;トリパノソーマ症;トキソプラスマ症;ニューモシスチス カリニ(Pneumocystis carinii);トリカンス(Trichans);トキソプラスマ(Toxoplasma gondii);バベシア症;ジアルジア症;旋毛虫症;フィラリア症;住血吸虫症;線虫;吸虫(trematodes)すなわち吸虫(flukes);および条虫(cestode)(条虫(tapeworm))感染症を包含する。
これらの生物体および/若しくはそれらにより産生される毒素の多くは、生物学的攻撃での使用に関する潜在性を有する剤として疾病対策センター(Centers for Disease Control)[(CDC)、米国保健福祉省の部門]により同定された。例えば、これらの生物学的剤のいくつかは、炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)およびその毒素(ボツリヌス中毒)、ペスト菌(Yersinia pestis)(ペスト)、大疱瘡(天然痘)、野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病)、ならびにウイルス性出血熱[フィロウイルス(例えばエボラ、マルブルク]、ならびにアレナウイルス[例えばラッサ、マチュポ])(それらの全部は現在カテゴリーAの病原体に分類されている);コクシエラ ブルネティ(Coxiella burnetti)(Q熱);ブルセラ属(Brucella)スピーシーズ(ブルセラ症)、バークホルデリア マレイ(Burkholderia mallei)(鼻疽)、バークホルデリア シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)(類鼻疽)、トウゴマ(Ricinus communis)およびその毒素(リシン毒素)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)およびその毒素(ε毒素)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)スピーシーズおよびそれらの毒素(エンテロトキシンB)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)(オウム病)、水の安全性に対する脅威(例えばコレラ菌(Vibrio
chlerae)、クリトスポリジウム パルブム(Crytosporidium parvum))、発疹チフス(発疹チフスリケッチア(Richettsia powazekki))、ならびにウイルス性脳炎(アルファウイルス、例えばベネズエラウマ脳炎;東部ウマ脳炎;西部ウマ脳炎);(それらの全部は現在カテゴリーBの剤として分類されている);ならびにニパンウイルスおよびハンタウイルス(現在カテゴリーCの病原体として分類されている)を包含する。加えて、そのように分類されるか若しくは異なって分類される他の生物体が、将来同定かつ/若しくはこうした目的上使用されうる。本明細書に記述されるウイルスベクターおよび他の構築物が、これらの生物学的剤での感染症若しくはそれらとの他の有害反応を予防かつ/若しくは処置することができるこれらの生物体、ウイルス、それらの毒素若しくは他の副生成物からの抗原を送達するのに有用であることが容易に理解されるであろう。
T細胞の可変領域に対する免疫原を送達するための本発明のベクターの投与は、それらのT細胞を排除するためのCTLを包含する免疫応答を導き出す。関節リウマチ(RA)において、該疾患に関与するTCRの数個の特異的可変領域が特徴づけられている。これらのTCRはV−3、V−14、V−17およびV−17を包含する。従って、これらのポリペプチドの最低1種をコードする核酸配列の送達は、RAに関与するT細胞を標的とすることができる免疫応答を導き出すことができる。多発性硬化症(MS)において、該疾患に関与するTCRの数個の特異的可変領域が特徴づけられている。これらのTCRはV−7およびV−10を包含する。従って、これらのポリペプチドの最低1種をコードする核酸配列の送達は、MSに関与するT細胞を標的とすることができる免疫応答を導き出すことができる。強皮症において、該疾患に関与するTCRの数個の特異的可変領域が特徴づけられている。これらのTCRはV−6、V−8、V−14およびV−16、V−3C、V−7、V−14、V−15、V−16、V−28およびV−12を包含する。従って、これらのポリペプチドの最低1種をコードする核酸分子の送達は、強皮症に関与する
T細胞を標的とすることができる免疫応答を導き出すことができる。
従って、本発明の改変rAAVウイルスベクターは、生物体が1種若しくはそれ以上のAAV供給源に対する中和抗体を有する場合であっても、選択された導入遺伝子を選択された宿主細胞にin vivo若しくはex vivoで送達し得る効率的な遺伝子移入ベヒクルを提供する。一態様において、rAAVおよび細胞をex vivoで混合し;感染した細胞を慣習的方法論を使用して培養し;そして形質導入された細胞を患者に再注入する。
従って、本発明の改変AAVは、生物体が1種若しくはそれ以上のAAV供給源に対する中和抗体を有する場合であっても、選択された導入遺伝子を選択された宿主細胞にin
vivo若しくはex vivoで送達し得る効率的な遺伝子移入ベヒクルを提供する。一態様において、AAVおよび細胞をex vivoで混合し;感染した細胞を慣習的方法論を使用して培養し;そして形質導入された細胞を患者に再注入する。
これらの組成物は、保護免疫を誘導することを包含する治療的目的上および免疫化のための遺伝子送達にとりわけ良好に適する。さらに、本発明の組成物は所望の遺伝子産物のin vitroでの製造にもまた使用しうる。in vitro製造のため、所望の産物(例えばタンパク質)は、該所望の産物をコードする分子を含有するAAVでの宿主細胞のトランスフェクション、および発現を可能にする条件下で細胞培養物を培養することの後に、所望の培養物から得ることができる。発現された産物をその後、所望のとおり精製かつ単離しうる。適するトランスフェクション、細胞培養、精製および単離技術は当業者に既知である。
[実施例]
本明細書に提供される研究は、キャプシドに対するT細胞の活性化への決定的な経路が、MHCクラスI拘束の関数でなく、しかしむしろへパラン硫酸糖タンパク質(若しくはヘパリン)へのキャプシドの結合に依存することを示す。本明細において、ヘパリンを結合しないAAVの工作された若しくは天然のバリアントが、該キャプシドに対しT細胞を活性化することがよりありそうでないことが、マウスおよびヒト以外の霊長類の双方で示される。クレードA、C、D、EおよびFからのAAVの全部の現在既知のメンバーはRxxR[配列番号2]モチーフが欠けている。さらに、それぞれ肝および心への優れた形質導入プロファイルを示すAAV8およびAAV9を包含する、今日まで研究されたクレードのメンバーは、AAV2のアビディティーでヘパリンを結合しない[Halbert,C.L.ら、J Virol 75、6615−24(2001)]。事実、ヘパリン結合ドメイン中を除きAAV2に事実上同一であるhu.13のようなクレードBファミリーの数メンバーは、キャプシドT細胞の問題を伴わずにAAV2に類似のin vivo遺伝子移入のレベルを保持する。
ヘパリン結合がキャプシドに対するT細胞の活性化を指図する機構は不明である。HSPは、樹状細胞に結合しかつそれらの活性化を促進することが他者により示された。HSPへのキャプシドの結合が、そのプロセシングおよびMHCクラスI提示につながる樹状細胞経路にビリオンを往復輸送する(shuttle)ことが発明者により仮定されている。これが起こる経路は、飲食作用若しくは貪食性取り込みで開始し、次いで一連のタンパク質分解段階、そしてMHCクラスI複合体にペプチドが最終的に負荷される。これらの経路に沿ってどこでHSP結合が交差提示の過程を促進するかは不明である。多様なクレードのヘパリン結合欠損ビリオンが優れた形質導入プロファイルを保持するため、これらの経路がベクター形質導入に依存しないことは興味深い。さらに、ヘパリン結合は導入遺伝子へのTおよびB細胞応答に必要でなく;導入遺伝子産物に対しわれわれが観察する最高のT細胞応答は、非ヘパリン結合体AAV7および8からである。AAVはそのキャ
プシドの構造により指図されるMHCクラスI経路の興味深い相違を呈する。
以下の実施例は、AAV2キャプシド[配列番号3]中のRxxR[配列番号2]ドメインへのT細胞エピトープのマッピングを示す。除去されたRxxRドメイン若しくは人工的に挿入されたRxxRドメインを有する改変AAVの例示的構築方法が具体的に説明される。哺乳動物を包含する動物へのこうした構築物の送達方法もまた具体的に説明する。
表1は本明細を通じて言及されるAAV単離物および変異体の記述を提供する。単離物、AAV2[配列番号3]、hu.51[配列番号7]、hu.13[配列番号12]、AAV8[配列番号13]およびAAV7[配列番号14]、ならびにAAV8[配列番号13]のAAV8RQNR変異体、hu.29[配列番号15]のhu.29R変異体、ならびにAAV2[配列番号3]のAAV2HSPG−変異体のキャプシド配列は以前に公表されているが、しかし便宜上配列表にもまた提供する。単離物若しくは変異体の名称、その系統分類クレード、AAV2に類似のRxxR[配列番号2]モチーフのアミノ酸配列、ヘパリンカラム結合親和性(+、特異的結合;−、結合なし)およびRxxRドメインの外側のAAV2からの距離が提供される。該距離は、AAV2に比較した場合のRxxRの外側の残基の差違の数で示す。クレードBメンバーについて、アミノ酸の差違をそれらの座標とともに提示する。
Figure 2009535339
AAV投与後のマウスにおけるT細胞の活性化
本研究において、マウス(C57BL/6およびBalb/C)にAAV2、2/7および2/8の1011ゲノム含有粒子(GC)をIM注入し、そして、キャプシドタンパク質に対するT細胞の活性化について酵素結合ImmunoSPOT(ELISPOT)により評価した(全ベクターは異なるキャプシドで被包化されたAAV2に基づく同一ゲノムを含有する)。VP1キャプシド全体にわたる合わせたペプチド、ならびにマッピングされたドミナントペプチドで脾細胞を刺激した。高レベルのキャプシド特異的T細胞が、AAV2、および多数の系統発生的に関係したAAVバリアントに基づくベクターに対し検出された。しかしながら、AAV8[Gao,G.P.ら Proc Natl Acad Sci U S A 99、11854−9(2002)]のような他のAAV
クレードからのベクター[Gao,G.ら J Virol 78、6381−8(2004)]は、キャプシド特異的T細胞の活性化につながらなかった。
A.AAVベクターの構築
使用したパッケージングプラスミドは、記述された[Gao,G.P.ら Proc Natl Acad Sci U S A 99、11854−9(2002)]ところの特定のcap遺伝子とともにシスでクローン化されたAAV2 repを発現する。全部の天然の単離物は以前に記述された[Gao,G.ら、J Virol 78、6381−8(2004);G.Gaoら、(2002);Gao,G.ら Proc Natl Acad Sci U S A 100、6081−6(2003)]。高力価のベクター調製物を三重トランスフェクションにより製造し、そしてCsCl勾配での3回の沈降により精製した。
B.マウス免疫化
雄性C57Bl/6およびBalb/CはCharles River Laboratoriesから得た。動物に、後肢の2注入部位での筋肉内注入により1011GCを注入した。マウス免疫化研究は、1)ウシ成長ホルモンからのポリアデニル化シグナル配列を伴う増強ニワトリβ−アクチンプロモーターから駆動される核を標的とするLacZ導入遺伝子およびAAVベクター、ならびに2)増強ニワトリβ−アクチンプロモーターから駆動されるヒトα−1アンチトリプシン(A1AT)遺伝子双方で実施した。遺伝子移入効率実験を、A1ATベクターを用いて実施した。
INF−γ ELISPOTアッセイは、マウスについて以前に記述されたプロトコル[Simmons,G.ら Virology 318、224−30(2004);Zhi,Y.ら Virology 335、34−45(2005)]を使用して実施した。AAV2、7若しくは8タンパク質のVP1由来のペプチドライブラリーを、先行するペプチドを伴う10アミノ酸オーバーラップをもつ15−merとして合成し(Mimotopes)、そしておよそ100mg/mlでDMSOに溶解した。
Balb/cマウス実験は、以下のH2拘束性エピトープ、すなわちVPQYGYLTL、配列番号22(AAV2)ならびにIPQYGYLTL、配列番号1(AAV7およびAAV8)を用いて行った。ペプチドは全実験で2μg/mlの濃度で使用し、また、DMSO濃度は全最終アッセイ混合物中で0.1%(v/v)より下に保った。スポットをELISPOTリーダー(AID)で計数した。ペプチド刺激は別にして、ペプチドなし条件、ならびにSEBおよびPMA/イオノマイシン対照での非特異的刺激を実施した。スポット数は、ELISPOTアッセイでの細胞密度のわずかな変動を説明するために、PMA/イオノマイシン値で細胞数について正規化した。
C.マウス研究におけるAAV2キャプシド特異的T細胞の検出
T細胞応答を図1に提示する。AAV2はキャプシドに対する高T細胞頻度をもたらしたが、しかしながら、同一用量のAAV2/7および2/8は、in vivo形質導入がAAV2と比較してAAV2/7および2/8ベクターで最低5ないし10倍より高かったという事実にもかかわらず、キャプシドに対するT細胞活性化の証拠をほとんど生じなかった。T細胞応答における血清型特異的差違は、マウスの系統(図1AおよびB)ならびにベクター調製物および用量(データは示されない)に依存しなかった。
霊長類研究におけるAAV2キャプシド特異的T細胞の検出
類似の研究を、HIV抗原を発現するAAVベクターを受領したカニクイザルで実施した。カニクイザルはニュージャージー州オックスフォードのBarton’s West
End Facilities(BWEF)で処置かつ世話した。
霊長類研究において、以下のベクターを使用した。AAV.CMV.HIVgp140、AAV.CMV.HIVRT3およびAAV.CMV.HIVGN2。該ベクターを、以前に記述されたとおりAAV2、7若しくは8血清型でパッケージングした。例えば、を参照されたい、(例えば図2を参照されたい、各血清型について、gp140、RTおよびgag−nef融合を発現する3種のベクターを合わせた)。動物(群あたり5)にAAV2、AAV2/7若しくはAAV2/8をIM注入した。ベクターの各混合物は群あたり5動物に1012粒子の用量で注入した(AAV2、AAV2/7およびAAV2/8)。各サルに、動物あたり1mlのPBSに再懸濁したベクターの全混合物を、25ゲージ針を用いて右大腿四頭筋の2部位に筋肉内注入した。
血液サンプルは伏在静脈の静脈穿刺を介して採取した。末梢血単核細胞(PBMC)を全血から単離し、そして、合わせたVP1ペプチドを使用して、以前に記述されたとおり[Mueller,Y.M.ら J Virol 79、4877−85(2005)]キャプシド特異的T細胞についてアッセイした。INF−γ ELISPOTアッセイは、サルについて以前に記述されたプロトコル[Reyes−Sandoval,A.ら J Virol 78、7392−9(2004)]を使用して実施した。
5匹のAAV2を注入した動物のうち4匹が、キャプシドに対する非常に高いT細胞頻度を示し;AAV2/7若しくはAAV2/8を投与した動物の大部分がキャプシド抗原に応答することに失敗した(すなわちバックグラウンドより2.5倍未満より高い)。興味深いことに、これらの動物におけるHIV−1導入遺伝子に対するT細胞応答は、AAV2でよりもAAV2/7およびAAV2/8でより高くかつより広範であり、導入遺伝子産物に比較しての抗原プロセシングおよびキャプシドについてのT細胞活性化の解離(uncoupling)を示す。
AAV2キャプシド中のT細胞エピトープの同定
A.ハイブリッドはAAV2のVP3タンパク質に対するAAVのT細胞エピトープにマッピングする
AAV2/AAV8ハイブリッドを、T細胞の活性化を指図するドメインをマッピングするために生成した。
使用したAAV2とAAV8の間のハイブリッドキャプシドを、オーバーラップ伸長[Horton,R.M.ら、Gene 77、61−8(1989)]を使用するスプライシングにより生成した。一対のハイブリッドについて、AAV2とAAV8の間の接合部をVP2開始部位で工作した。AAV2からAAV8へ若しくはその逆への移行がVP3開始コドンの近位の保存された領域に配置されている(VP1開始を通り越す660bp)別のハイブリッド対を使用した。これらのハイブリッドを使用して、記述されたとおりAAVを生成した。
AAV2とAAV8の間のハイブリッドの分析は、該キャプシドにT細胞を向ける原因であるドメインがVP3オープンリーディングフレーム内にあることを決定した。多数の重要な機能的ドメインが、AAV2中の残基585ないし588にわたるRXXRモチーフを特徴とする以前にマッピングされたヘパリン結合ドメインを包含するVP3中に位置している[Kern、A.ら J Virol 77、11072−81(2003);Opie、S.R.、J Virol 77、6995−7006(2003)]。
T細胞応答をキャプシドに向けることにおけるヘパリン結合の潜在的役割をさらに研究
するため、われわれは、RXXRモチーフを保持する1種(すなわちhu.51)ならびに保持しない2種(すなわちhu.29Rおよびhu.13)を包含する、AAV2が属するクレードBファミリーの他メンバーからのベクターを研究した(表1)。hu.29RはG396E変化後に良好な産生のため至適化した。無傷の結合モチーフの存在はキャプシドT細胞応答と相関し(図1AおよびB);hu.13はヘパリン結合ドメイン中以外の2残基のみでAAV2と異なり、このドメインが重要であることを示唆する。ヘパリン結合欠損クレードBバリアントの導入遺伝子発現は、筋に向けられた遺伝子移入後のレポーター遺伝子α1アンチトリプシン(A1AT)の発現に関してヘパリン結合バリアントで見られたものと識別不可能であった(表1)。
これらのハイブリッドにより、該ドメインはVP3のRXXRモチーフにマッピングされた。天然のおよび工作されたAAVバリアントの評価は、ヘパリン結合、ヒト樹状細胞への取り込み、およびキャプシドT細胞の活性化の間の直接の相関を示した。キャプシドT細胞応答を指図することにおけるRXXRモチーフの役割の決定的な確認が、2種の工作実験で提供された。
B.T細胞活性化におけるRXXRモチーフの役割の確認
RGNRを、15種のクレードBのヘパリンに結合しないAAV単離物の分析からのコンセンサス配列であるSGNTに転化することにより、ヘパリン結合部位を除去した(表1)。AAV2HSPG−は、R585S、R588T突然変異誘発、配列番号3によりAAV2パッケージングプラスミドバックボーンで生成した(Quickchange II、Stratagene)。生じるベクターはキャプシドに対しT細胞を活性化しなかった(図1AおよびB)。
AAV2/8中の対応する残基を、ヘパリンへの結合を与えるはずであるモチーフに転化した(すなわちQQNTからRQNRへ[表1])。AV8RQNRはQ588R、T591R突然変異誘発後に部位特異的に工作した。再構築されたヘパリン結合部位をもつAAV2/8バリアントは、高レベルのキャプシド反応性T細胞を活性化した(図1AおよびB)。
AAV T細胞アッセイのため、各血清型のペプチドライブラリーを、プール2AがAAV2 VP1の最初の50ペプチドを含有し、プール2Bがペプチド51〜100を含有し、そしてプール2Cがペプチド101〜145を含有するような3プールに分割した。ドミナントエピトープに対応するペプチドをInvitrogen(カールズバッド)若しくはMimotopesから得、そしてDMSOに可溶化した(4mg/ml)。ドミナントH2拘束性エピトープTSNYNKSVN(AAV2)、配列番号23、NSLVNPGVA、配列番号24(AAV7)、NSLANPGIA、配列番号25(AAV8)をC57Bl/6マウスで使用した。
表2に、最低3種のベクター調製物からの平均収量を標準偏差とともに示す。C57Bl/6(n=5)マウスでの遺伝子移入効率を、筋肉内注入および門脈内注入(肝)28日後の、それぞれのキャプシド単離物での遺伝子送達後のA1AT血清濃度の平均および標準偏差により表す。
Figure 2009535339
上述された研究は、RxxRヘパリン結合部位の存在とキャプシド特異的T細胞の活性化の間の直接の相関の証拠を提供する。これらの天然のおよび工作されたバリアントの1サブセットを、ヘパリンへの結合の生化学的および細胞の証拠についてさらに評価した。ベクターの精製した調製物にヘパリン結合カラムを通過させ、そして通過物(flow through)をベクターゲノムについて分析した。RXXR含有バリアント−AAV2、AAV2/hu.51およびAAV2/8RQNR−の事実上完全な結合が観察された一方、かなりの量のベクターが、RXXRモチーフを欠くベクター−AAV2/hu.29R、AAV2/hu.13、AAV2HSPG−およびAAV2/8の通過物中で見出された(表2)。
ベクターは、4℃でのインキュベーション、および洗浄した細胞のベクターゲノムの保持についての分析により、HeLaおよびCHO細胞への結合についてもまた評価した。HelaおよびCHO細胞の付着培養物をATCCに従って維持し、そして、細胞解離溶液(Sigma−Aldrich)とのインキュベーション後に細胞を非酵素的に遊離した。図3はAAV2で観察されたものに関する結合を示す。AAV2/8、および除去されたヘパリン結合部位を伴うAAV2バリアント(AAV2HSPG−)の結合は、ヘパリンの存在下でのAAV2の結合がそうであるように、双方の細胞株について実質的に低下される。AAV2/8中のRXXRモチーフの再構築は、AAV2で見られるものに対し過剰のレベルまでの細胞結合を与える。
樹状細胞によるヘパリン媒介性の取り込みの研究
出現しつつある仮説は、樹状細胞によるベクターのHSP媒介性の取り込みが、キャプシドに対するT細胞の活性化における律速段階であることである。これを、ヒト単球由来樹状細胞の初代培養物を使用して、in vitroで研究した。
ヒト初代樹状細胞をCFAR、ペンシルバニア大学により提供されたPBMCから培養した。簡潔には、プラスチック付着性単球をGM−CSF(Berlex)およびIL−4(R&D)の存在下で7日間培養した。未熟樹状細胞を、以下のマーカーすなわちCD11c、CD80、CD86、CD83、HLA−DR、CD14およびDC−SIGN(BD Biosciences)を使用してフェノタイピングした。ウイルス結合に先立ち、20単位のヘパリン塩(Sigma−Aldrich)若しくは等容量のPBSの存在下で1010GCを氷上で30分インキュベーションした。細胞(10)をベクタ
ーと混合し、そして揺動プラットフォーム上4℃でインキュベートした。3時間後に細胞を遠心分離により回収し、そして無血清培地で3回洗浄した。細胞ペレットを400mM
NaCl溶液に懸濁し、3回凍結−融解し、そして上清をTaqman PCRによりAAVゲノムの存在についてアッセイした。
AAV2をAlexa Fluor 488タンパク質標識キット(Invitrogen)と複合させた。Alexa Fluor 647微小スケールタンパク質標識キットを使用して、抗へパラン硫酸プロテオグリカンモノクローナル抗体F58−10E4(生化学、日本)を標識した。細胞をヘパリンの存在若しくは非存在下にウイルスおよび抗体と4℃で1時間インキュベートし、そしてその後PBS/2.5%FBS/0.1%NaN3で3回洗浄した。細胞を4%PFA/PBS溶液中で固定し、そしてスライドにマウントする前に等容量のVectashield(Vector Laboratories)と混合した。落射蛍光のための水銀灯、z軸スライスのためのApotome装置、および青色(DAPI;フィルターセット#49)、緑色(488;フィルターセット#10)若しくは遠赤外(647;フィルターセット#50)フィルターキューブを正しい位置に装備した倒立型Zeiss Axiovert 200Mで顕微鏡検査を実施した。AxioVision(バージョン4.3)ソフトウェアにより駆動される冷却CCD AxioCam HRmカメラで画像を取得した。全顕微鏡部品(顕微鏡、アーク灯、Apotome、フィルターキューブ、カメラ、ソフトウェア)はCarl Zeiss MicroImagingから得た。
結合研究は該細胞株で観察されたものに同一の結果を示した(図3)。全RXXR含有ベクターが樹状細胞を結合した一方、このドメインを伴わないものは同様に結合しなかった。
樹状細胞へのAAVの結合を、HSPに対する抗体での間接的免疫蛍光と一緒に蛍光標識したAAV2を使用する顕微鏡検査により直接可視化した。
AAV2は、HSPと共局在化した別個の中心の細胞の表面に結合した。AAV2の検出可能な結合は、過剰のヘパリンの存在下で観察されなかった。
異なるキャプシドを有する多様なAAVのT細胞活性化に対する影響を評価するために免疫化研究を実施した。該研究は、位置531のリシン残基にヘパリン結合ドメインを有することが既知の天然のAAV6キャプシドを、部位特異的改変を導入したキャプシドを有する3種の改変AAVと比較した。AAV2/6.2(K531以外の1位置で改変した)、AAV2/6.1(グルタミン酸を含有する(すなわち非保存的アミノ酸変化)ように位置531でAAV6キャプシドを改変させた)、ならびにAAV6.2およびAAV6.1キャプシドの改変の双方を伴うAAV6キャプシドを有するAAV2/6.1.2と呼称されるこれらのAAVを利用した。これらのベクターの配列および生成は国際特許出願第PCT/US06/13375号に記述されている。AAV1は陰性対照としてはたらき、また、AAV2が陽性対照としてはたらいた。
Balb/cマウス(雄性)を、1×1011GCのAAV2/6、AAV2/6.1、AAV2/6.2、AAV2/6.1.2、AAV2/1若しくはAAV2ベクターで筋肉内に免疫した。13日後に群あたり3マウスから脾細胞を収集しかつ合わせた。等量の脾細胞を、ELISPOTアッセイでBalb/c AAVエピトープIPQYGYLTL[配列番号1]でin vitroで刺激した。図4を参照されたい。
これらの結果は、未改変のAAV6キャプシドを含有するウイルスベクターが、AAV
2キャプシドにより誘導されるものに匹敵するT細胞のレベルを誘導したことを示す。対照的に、除去されたヘパリン結合ドメインを有する改変AAV6ベクター(AAV2/6.1およびAAV2/6.1.2)は、陰性対照(AAV1)と事実上識別不可能であるT細胞応答を有した。
これは、AAVキャプシドへのヘパリン結合を媒介する原因であるアミノ酸残基を非保存的アミノ酸残基に変更することが、ヘパリン結合を除去するのみならず、しかしまたT細胞活性化も有意に低下させることを示す。
ヘパリン媒介性のAAVキャプシド免疫原性に対するAAV−Capメモリー(既存の免疫)の影響
実験では、それぞれ、ナイーブな若しくはAAV免疫前被験体を模倣する無関係の抗原(SARSのnスパイク)若しくはAAV8 VP1キャプシドタンパク質を発現するアデノウイルスベクターいずれかでマウスを免疫した。免疫するキャプシドベクターは、免疫化により誘導される中和抗体応答を克服するためにAAV投与されるベクターのものと異なる血清型のものである。抗体の存在下でのAAV投与は、キャプシドを中和しかつ細胞性免疫応答の読出しを混乱させることができる。Balb/cマウスで、それがAAV2とAAV8の間で機能的に交差反応する保存されたMHCIエピトープを有することが、以前に示されている[Sabatino,D.E.ら Mol Ther 12、1023−33(2005)およびわれわれの研究室における観察結果、現在Wang,L.ら、Hum Gene Ther(2007)として公表されている]。これは、一方の血清型および他方の投与ベクターでのこれらのマウスでの免疫化を可能にする。このアプローチは、メモリーT細胞応答が、別個のAAV血清型で交差反応性でない可能な混乱させる中和抗体の非存在下で研究されることを可能にする。
免疫化数か月後に、これらのマウスにAAV2若しくはAAV2HSPG−(天然のAAV2ヘパリン硫酸結合ドメインを除去させている)いずれかを多様な投薬量で投与した。AAV投与7日後に、AAV Cap特異的T細胞の数を、フローサイトメトリーにより、ドミナントなAAV Capエピトープに特異的な四量体により測定する。AAV2HSPG−変異体に対する最小限のみのT細胞応答を除いて、AAV2投与後のAAVキャプシドT細胞の期待された上昇が観察された。免疫前状態で、AAV2投与は、ナイーブな状態で該応答に対し大きさが明確により大きかったキャプシドT細胞の用量応答性の上昇を示した。類似のおよびより高用量でAAV2HSPG−を投与された動物は、キャプシドに向けられたT細胞の上昇されたレベルを誘導することに失敗した。
C57Bl/6マウスでの尾静脈注入後のAAVゲノム体内分布に対するヘパリンの影響
AAV2、AAV2HSPG−、AAV8若しくはAAV8RQNRを1×1011GCの用量で静脈内注入した。組織を収集し、そして定量的TaqmanTM PCRによりベクターゲノムの存在について分析した。組織分布は全ベクターについて異なり、そして、脾から回収されたベクターゲノムの存在についてを除き、ヘパリンに結合しないベクター(AAV2HSPG−およびAAV8)とヘパリンに結合するもの(AAV2およびAAV8RQNR)の間で明瞭な相関は観察されなかった。
ヘパリン結合ベクターで送達されたゲノムは、ヘパリンに結合するベクターを受領した全動物について早期の第3日の時間点で10倍より多い量で回収された(その特定の動物の全組織でのより低いコピー数により、部分的に失敗した注入を受領したことがありそうであるAAV2を受領した1動物を除き、そのヘパリンに結合しないホモログに比較して)。注入後第30日の時間点で、AAV2HSPG−に対するAAV2の脾での差違はよ
り少なく明瞭である一方、AAV8RQNRに対しAAV8については、全体的な絶対量は減少したが、しかし、AAV8RQNRのレベルに対しヘパリンに結合しないAAV8について2対数より多かった。
脾はT細胞の活性化に関連する二次リンパ器官である。AAV2でのヘパリン結合がベクターゲノムを脾に向け直すという知見は、そのより高い免疫原性の指標である。従って、AAV中のヘパリン結合ドメインの除去はその免疫原性を低下させる。
機能性を維持しながらのクレードAのAAVに基づくベクターの免疫原性に対する改変
AAV1の低下された免疫原性は、AAV6のヘパリン結合残基(配列番号4のK531)と相関すると思われたAAV6と比較して以前に観察された。AAV1の免疫原性が低下される場合であっても、それはin vivo T細胞活性化アッセイにより検出不可能でない。
構造機能分析において、AAV1およびAAV6双方に存在する付加的な1残基が、この残余の免疫原性の原因でありそうであることが見出された。この正に荷電したR576は、ヘパリン結合によりAAVキャプシドの免疫原性に関与するとして以前に同定された全残基(AAV6、配列番号4のK531、AAV2、配列番号3の585RGNR)と類似のポケット中に厳密に配置される。クレードAのメンバー(AAV1およびAAV6を含んでなる)のみがこのR576残基を保有する一方、他の血清型はグルタミン酸若しくはグルタミンいずれかを保有する(正に荷電したからそれぞれ負に若しくは荷電していないへの極性変化)。
AAV6.12(除去)ベクターを、以下の変化、すなわち配列番号4のR576Q若しくはR576Eいずれかを伴う部位特異的突然変異誘発により工作した。これらの変化を伴うベクターは、AAV6と比較した場合に約5〜10倍より良好、およびAAV1若しくはAAV6.1.2と等しく良好に産生する。マウスでの骨格筋へのin vivo遺伝子移入は、AAV6.1.2R576QウイルスについてCB.hA1ATをコードするAAVの筋肉内投与後に血清中のhA1ATにより測定されるとおり、高レベルで維持される。構造のモデル化および外挿は、これらR576QおよびR576E変化が、機能性を維持しつつクレードAのAAVに基づくベクターの免疫原性に影響することを示す。
本明細に引用される全刊行物は引用することにより本明細書に組込まれる。本発明はとりわけ好ましい態様に関して記述した一方、本発明の技術思想から離れることなく改変をなし得ることが認識されるであろう。
C57Bl/6マウスでのAAVの筋肉内注入7日後に収集した脾細胞のELISPOTアッセイでのIFN−γスポット形成単位(SFU)の数を示す棒グラフである。数種のクレードBの天然に存在するAAV単離物(AAV2、hu.51、hu.29R、hu.13)および変異体(AAV2HSPG−)をT細胞応答について評価した。加えて、マウスにAAV 2/7(AAV7として示される)、AAV2/8(AAV8として示される)およびAAV2/8変異体RQNR(AAV8RZNRとして示される)を注入して、T細胞活性化をモニターした。全AAVは図1Bのx軸に沿って同定される。細胞を、AAV2若しくはAAV8キャプシドに全体に一緒にわたる3種のペプチドプール(A、BおよびCと同定される)、AAV2若しくはAAV8のC57Bl/6ドミナントエピト―プ(黒棒)またはペプチドなし陰性対照(白棒)で刺激した。 Balb/CマウスでのAAVの筋肉内注入14日後に収集した脾細胞のELISPOTアッセイでのIFN−γスポット形成単位(SFU)の数を示す棒グラフである。AAV2、AAV2/hu.51およびAAV2HSPG−変異体IM注入群を、ペプチドなし、包括的AAV2ペプチドプール(A、B、C)およびAAV2ドミナントエピトープで刺激した。AAV7、AAV8およびAAV8RQNR注入群からの細胞を、ペプチドの非存在下に、合わせたAAV2/8ペプチド若しくはそのドミナントエピトープペプチドとインキュベートした。各場合で、スポットの数(y軸)は、細胞を刺激するのに使用した異なるペプチド(ドミナントおよびプール)について、注入されたベクター(x軸)の関数として提示する。刺激ペプチドの符号は図1Aについてのものと同一である。 個別のサルでの異なる血清型のAAVベクターでの筋肉内ワクチン接種後のカニクイザルにおけるAAVキャプシドに対するT細胞応答の時間経過を示す棒グラフである。サルは、AAV.CMV.HIVgp140、AAV.CMV.HIVGN2およびAAV.CMV.HIV RT3のそれぞれ1012GCの混合物のIM注入により免疫した。免疫化後第2、4、8、14、24および32週にPBMCを単離し、そして特定のAAV血清型に対応するペプチドプールでin vitroで刺激しかつINF−γ ELISPOTアッセイを使用して分析した。合計15動物にベクター血清型あたり5動物で投与した(AAV2:図2A、AAV2/7:図2B、AAV2/8:図2C)。ELISPOTにより測定されたところのスポットの頻度を、5桁数により同定される個々の動物につき、週(例えば8週)で示される時間の関数として提示する。各アッセイについて、対応するキャプシドの全VP1領域にわたる3種のペプチドプールを使用する。(n/a:アッセイせず)。符号は、グラフの多様に影付きの棒により表される刺激ペプチドを同定する。 AAV結合に対するヘパラン硫酸プロテオグリカンの親和性の影響を示す。ヒト単球由来樹状細胞(DC、黒棒)、HeLa(白棒)およびCHO(影付き棒)細胞へのAAVの相対結合をAAV2と比較する。細胞を、AAV2、AAV2HSPG−、ヘパリンの存在下のAAV2、AAV8およびAAV8RQNRと4℃で3時間インキュベートした。細胞ペレットを収集し、培地で3回洗浄し、そして400mM NaCl溶液に再懸濁した。DNアーゼ抵抗性ゲノムコピーを定量的PCRにより測定し、そしてAAV2結合したウイルス条件からの値で正規化した。結合データは増大倍数(fold increase)としてAAV2に関して各ベクターについて提示し;正の数はAAV2より大きい結合を表し、そして負の数はAAV2より小さい結合を表す。 T細胞活性化に関する多様なAAVでの免疫化の結果を示す棒グラフである。Balb/cマウスを1×1011GCのAAV2/6、AAV2/6.1、AAV2/6.2、AAV2/6.1.2、AAV2/1およびAAV2ベクターで免疫した。13日後に脾細胞を群あたり3マウスから収集しかつ合わせた。等量の脾細胞をELISPOTアッセイでBalb/c AAVエピトープIPQYGYLTL[配列番号1]でin vitroで刺激した。

Claims (26)

  1. 改変されたキャプシドを有するアデノ随伴ウイルス(AAV)であって、AAVキャプシドタンパク質中のヘパリン結合部位を除去するように改変されたAAVキャプシドタンパク質を含む前記AAV;
    および生理学的に適合性のキャリヤー
    を含んでなる、低下されたAAV免疫原性をもつ分子のAAV媒介性送達のための組成物。
  2. AAVが、AAV3、AAV6、hu.51、hu.34、hu.35、hu.45およびhu.47から選択されるキャプシドタンパク質を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
  3. ヘパリン結合部位が、ヘパリン結合部位をコードする配列の部位特異的突然変異誘発により永続的に除去される、請求項1に記載の組成物。
  4. ヘパリン結合部位が、ヘパリン結合部位に別の特異的若しくは無特異的(aspecific)分子を結合することにより除去される、請求項1に記載の組成物。
  5. ヘパリン結合部位がヘパリン結合部位を遮蔽することにより遮断される、請求項1に記載の組成物。
  6. AAVキャプシドタンパク質中のRxxR(配列番号2)部位を除去するように改変されたキャプシドタンパク質を有する改変AAV、および生理学的に適合性のキャリヤー
    を含んでなる、低下されたAAV免疫原性をもつ分子のAAV媒介性送達のための組成物。
  7. AAVが、クレードBのAAVから選択されるAAV vpタンパク質を含んでなるAAVキャプシドを有する、請求項6に記載の組成物。
  8. ヘパリン結合部位が、アミノ酸配列RxxR、配列番号2を特徴とするモチーフを有する、請求項6に記載の組成物。
  9. AAVが、それがアルギニンと非保存的であるアミノ酸をコードするようにRxxRヘパリン結合配列(配列番号2)中の第一の若しくは最後のアルギニンを変えることにより改変されている、請求項6に記載の組成物。
  10. ヘパリン結合部位がRxxR配列(配列番号2の第一のアミノ酸で改変される、請求項9に記載の組成物。
  11. ヘパリン結合部位の第一のアミノ酸がArgからSer若しくはGluに変更される、請求項10に記載の組成物。
  12. ヘパリン結合部位がRxxR配列の最後のアミノ酸で改変される、請求項9に記載の組成物。
  13. 改変されたヘパリン結合部位の最後のアミノ酸がArgからThrに変更される、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記AAVが、細胞中でのその発現を指図する配列の制御下に治療的分子をコードする
    核酸配列を含んでなる、請求項1ないし13のいずれかに記載の組成物。
  15. 前記AAVが、細胞中でのその発現を指図する配列の制御下に免疫原分子をコードする核酸配列を含んでなる、請求項20に記載の組成物。
  16. ヘパリン結合部位をもつキャプシドタンパク質を有するAAVを、ヘパリン結合を除去するように改変する段階
    を含んでなる、ヘパリン結合部位をもつキャプシドを有するAAVの免疫原性および/若しくは毒性の低下方法。
  17. 被験体に改変AAVを送達して、それにより、該改変AAVの免疫応答および/若しくは毒性が、ヘパリン結合を除去するようにAAVを改変することの前の該AAVの免疫応答および/若しくは毒性より実質的により低くなる段階をさらに含んでなる、請求項16に記載の方法。
  18. ヘパリン結合部位が、ヘパリン結合部位に別の特異的若しくは特異的分子を結合することにより除去される、請求項16に記載の方法。
  19. ヘパリン結合部位がヘパリン結合部位を遮蔽することにより遮断される、請求項16に記載の方法。
  20. ヘパリン結合部位が、ヘパリン結合部位をコードする核酸配列の部位特異的突然変異誘発により永続的に除去されている、請求項16に記載の方法。
  21. アルギニンと非保存的であるアミノ酸でこのモチーフの第一のアルギニンおよび/若しくは最後のアルギニンを置き換えるように、RxxRモチーフをもつキャプシドタンパク質を有するAAVを改変する段階
    を含んでなる、RxxRモチーフをもつキャプシドを有するAAVの免疫原性および/若しくは毒性の低下方法。
  22. モチーフがRxxR配列(配列番号2)の第一のアミノ酸で改変される、請求項21に記載の方法。
  23. 該モチーフの第一のアミノ酸がArgからSer若しくはGluに変更される、請求項22に記載の方法。
  24. モチーフ部位がRxxR配列(配列番号2)の最後のアミノ酸で改変される、請求項22に記載の方法。
  25. RxxR配列の最後のアミノ酸がArgからThrに変更される、請求項22に記載の方法。
  26. 請求項21ないし25のいずれかに記載の方法により製造される改変AAV。
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