JP2009528346A - Rps27lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することによる癌治療に対する細胞の感作 - Google Patents

Rps27lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することによる癌治療に対する細胞の感作 Download PDF

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Abstract

本発明は、RNA干渉剤またはアンチセンス・ヌクレオチド分子であるオリゴヌクレオチを用いて、RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することを含む、癌治療に対して細胞を感作する方法に関する。本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば化学療法用の、少なくとも一種類の細胞増殖抑制剤と併用して用いることができる。さらに、本発明は、本発明の方法に用いられるオリゴヌクレオチドを含む発現ベクターと、該オリゴヌクレオチドを本発明の方法に用いられる少なくとも一種類の化学療法剤とともに含む医薬とに関する。

Description

本発明は、RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節する(ことが可能な)化合物を細胞に投与することを含む、癌治療に対して細胞を感作する方法に関する。そのような調節が可能な化合物として、例えばRNA干渉剤またはアンチセンス・ヌクレオチド分子であり得るオリゴヌクレオチドが挙げられる。本発明で開示されるそのようなオリゴヌクレオチドを、少なくとも一種類の細胞増殖抑制剤と併用して、例えば化学療法に使用することができる。さらに本発明は、典型的な実施形態では、本発明で用いられるオリゴヌクレオチドを含む発現ベクターと、そのようなオリゴヌクレオチドを本発明の少なくとも一種類の化学療法剤とともに含む医薬組成物とに関する。
癌は、一群の細胞(通常、単一細胞由来)が正常な増殖制御機構を失った病理学的障害であることから、無秩序な増殖を示す。癌性(悪性)細胞は、いかなる器官のいかなる組織からでも発生し得る。癌性細胞が成長かつ増殖するにつれて、癌性細胞は正常な隣接組織に侵入して破壊する癌性組織(腫瘍と呼ばれる)の塊を形成する。用語「腫瘍」とは、異常成長または塊のことを指すものである。腫瘍は癌性または非癌性であり得る。原発(初期)部位由来の癌性細胞は、体全体に拡散(転移)し得る。癌は世界的に主要な死因であり、先進国では主要な死因の第2位であり、さらにオーストラリア、日本、韓国、シンガポールでは死因の第1位であり、また英国およびスペインでは男性の死因の第1位である。毎年、癌を患う人々の数が連続的に増加している。
現在、癌の治療に使用される入手可能な薬は、腫瘍を形成するそれらの細胞を特異的に死に至らせることを目的としている。腫瘍学の現在の見解によれば、化学療法で抗癌剤により処置された腫瘍(悪性)細胞はアポトーシスによって死に至る。アポトーシスは、正常組織での細胞の欠失に関与する細胞死の様態とは異なる。また、アポトーシスは特定の病理学的背景で起こる。形態学的に、アポトーシスは周辺の常在細胞により貪食かつ消化されるほぼ完全な器官を含む膜包含アポトーシス小体の形成による細胞の急激な凝縮および分裂を伴う。関連する炎症はない。このプロセスの生化学的特徴は、オリゴヌクレオソーム・フラグメントの生産をもたらすヌクレオソーム間のリンカー領域での核DNAの二本鎖切断である。アポトーシスが生ずる状況の全てではないが、多くの場合において、それは伝令RNAおよびタンパク質合成の阻害剤によって抑制される。アポトーシスは自然発生的に悪性腫瘍に起こり、しばしば該悪性腫瘍の増殖を著しく遅らせ、さらにそれは照射、細胞障害性化学療法、加熱、およびホルモン療法に反応する腫瘍で増加する。しかし、かかるプロセスに対する現在の関心の多くは、それが特定の癌原遺伝子(プロトオンコジーン)およびp53腫瘍抑制遺伝子によって調節され得るという発見に端を発する。p53腫瘍抑制因子は、致死プログラムを効果的に実行する上で必要とされる。
p53依存性細胞死プログラムを開始させるために、患者に対して、例えば異なる種類の細胞毒性剤による化学療法を施す。理想的な化学療法剤は、正常細胞に害を与えることなく癌細胞を破壊するものではあるが、そのような薬剤はほとんど存在しない。その代わりに、現在の化学療法では、薬剤は正常な非悪性細胞よりも癌(悪性)細胞に対して、より大きな損害を与えるように設計されている。それにもかかわらず、すべての化学療法剤は正常細胞に影響を及ぼして副作用を生じる。このことから、副作用がより少ない、癌治療のためのさらなる方法を開発することが、求められている。
したがって、本発明の目的は、副作用を過度に引き起こすことのなく、またはまったく引き起こすことなく、癌(悪性)細胞を殺すことが可能な方法を提供することである。
一態様では、本発明は、RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性またはRPS27Lタンパク質を調節する化合物を細胞に投与することを含む、癌治療に対して細胞を感作する方法に関する。
一態様では、上記RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することが、核酸分子等の化合物を被験者に投与することを含む。核酸分子の活性を調節することが可能である適当な核酸分子の例には、RNA干渉剤またはアンチセンス・ヌクレオチド分子等のオリゴヌクレオチドが含まれる。
さらに別の態様では、この方法は少なくとも一種類の化学療法剤を投与することを、さらに含む。
本発明はまた、本発明の方法に用いられる少なくとも一種類のオリゴヌクレオチドを含む発現ベクターに関する。
別の態様では、本発明は、本発明の方法に用いられる少なくとも一種類の化学療法剤と、本発明の方法に用いられる少なくとも一種類の化合物、例えば少なくとも一種類のRNA干渉剤または/および少なくとも一種類のアンチセンス・ヌクレオチド分子とを含む、医薬製剤に関する。
(図面の簡単な説明)
図1は、p53の直接的な転写標的であるRPS27Lを示す(より詳しくは、実施例1も参照)。図1Aは、RPS27Lの発現がDNA損傷剤アドリアマイシン(ADR)および5−フルオロウラシル(5−FU)によってRPS27Lの発現がP53遺伝子野生型HCT116細胞において誘発されたこと実証するマイクロアレイ分析を示す。一般に、図1Aは、p53に依存敵に遺伝毒性物質5−フルオロウラシル(5−FU)およびアドリアマイシン(ADR)により未制御となった遺伝子を示すマイクロアレイ・データのクラスター図である。図1Bは示した時間にわたるp53+/+およびp53−/−HCT116細胞のADR(1μM)または5−FU(375μM)処理を示す。RPS27LレベルをRT−PCRによって測定した。GAPDHを添加対照として用いた。図1Bは、p53ネガティブである細胞ではなくp53野生型HCT116細胞のみで、RPS27LmRNAがADRまたは5−FU処置後に誘導されたことを示す。これらの結果は、RPS27Lの発現とp53の活性化および発現との間につながりがあることを示す。図1Cは、p53がRPS27L遺伝子の第1のイントロンと結合することを示す。HCT116細胞での全ゲノムp53結合標的は、ChIP−PET技術を用いて既に実施されている(Wei, C.L., Wu, Q., et al., (2006) "A global map of p53 transcription-factor binding sites in the human genome" Cell, vol. 124, p.207-219)。例示したものは、5−FUで処置したHCT116細胞でのRPS27L遺伝子の第1イントロンに対して結合した9つのPETである。重複領域は、コンセンサスP53遺伝子結合モチーフを含む。これらの結果は、RPS27LがDNA直接結合を介してp53により上方制御されることを示している。図1Dは、p53結合部位を含むRPS27L遺伝子プロモータをp53が活性化させることを示す。上側の図は、RPS27L遺伝子プロモータの概略図である。1.1kbRPS27Lプロモータ領域(フラグメントA)内に仮想のp53結合部位とChIP検証p53結合部位(フラグメントB)を含む領域とを含む2つのルシフェラーゼ・レポータ構築物を構築した。p53REとはp53応答要素である。下側の図は、上記構築物に対して野生型p53およびDNA結合突然変異体p53(175H)を同時遺伝子導入し、ルシフェラーゼ活性を測定した。p21プロモータを含むレ
ポーター構築物を陽性対照として用いた。これらの結果は、ChIP分析によって測定されたように、第1のイントロン内に位置したp53結合が機能的であり、p53応答性を与える。
図2は、異なるストレス信号に応答してRPS27Lタンパク質が差別的に発現されることを実証したウェスタンブロット分析を示す(より詳しくは実施例2を参照)。図2Aは、示した時間にわたってp53+/+およびp53−/−HCT116細胞をADR(1μM)、5−FU(375μM)、およびニュートリン3(10μM)によって処置して得られた結果を示す。p53、RPS27Lおよびp21タンパク質レベルをウエスタンブロット分析により測定した。チューブリンを添加対照として試験した。図2Aから明らかなように、細胞をADRおよびニュートリン3で処置した場合にRPS27Lのタンパク質レベルが増加したことがわかる。図2Bは、示した時間にわたってU2OS、Saos−2、およびSH−SY5Y細胞をリン酸エトポシド(VP16(登録商標))(10μM)、ADR(1μM)、または5−FU(375μM)で処置して得られた結果を示す。p53、p21、およびRPS27Lタンパク質レベルをウエスタンブロット分析により測定した。チューブリンを添加対照として試験した。再び、RPS27Lタンパク質レベルがADRおよびリン酸エトポシド(VP16(登録商標))により細胞を処置することで上昇した。
図3は、RPS27L発現がp53依存型アポトーシスを調節することを明らかにしている(より詳しくは実施例3を参照)。図3Aはフローサイトメトリーにより測定されるように、HCT116細胞(p53+/+およびp53−/−)での細胞周期およびアポトーシス分析を示す。細胞を、ADR(1μM)または5−FU(375μM)で48時間処理した。図3Aは、DNA損傷剤であるADRがp53遺伝子依存性細胞周期停止(高倍数体細胞(4N)数の増加)を誘導する一方で、5−FU処理がp53依存性のアポトーシスを誘導することを明らかにしている。図3Bは、HCT116細胞に対してRPS27LsiTNAまたは対照siRNAの形質移入をおこなった後、示した時間にわたってリン酸エトポシド(VR16(登録商標))(10μM)処置して得られた結果を示す。RPS27L、RPS27、およびGAPDHmRNAレベルの測定をRT−PCRによっておこなった。図3Bは、siRNAの標的配列が、RPS27L発現をほぼ完全に取り除き、DNA損傷後のその誘導を抑制する一方で、密接に関連したRPS27に影響を及ぼさないことから、効率的かつ特異的であったことを、示している。図3Cは、安定的にRPS27LshRNAまたは対照shRNAを発現するHCT116細胞を、ADR(1μM)で48時間処理することを示している。サブG1DNA含有量を有する細胞で、細胞死(アポトーシス)の測定をおこなった。棒グラフは、示した標準偏差(s.d)とともに、個々におこなった3回の実験の平均値となる結果を示す。対照shRNAを発現するp53野生型HCT116細胞において、48時間にわたるADR処置は、増殖停止反応をもたらし、一方RPS27L欠乏細胞ではADR処理されたマーカー細胞死を受ける。図3Dは、RPS27LsiRNAをHCT116細胞に形質移入させた後、24時間にわたりリン酸エトポシド(VP16(登録商標)(10μM)またはADR(1μM)処置をおこなって得られた結果を示す。サブG1DNA含有量を有する細胞で、細胞死(アポトーシス)の測定をおこなった。各棒は、個々におこなった3回の実験の平均値±s.d.を表す。図3Dは、一過性siRNA形質移入を介したRPS27Lのノックダウンが、HCT116細胞でのADRまたはリン酸エポシド(VR16(登録商標))処置における細胞死の顕著な増加も示すが、p53が無である対照物ではそのような増加が示されないことを示している。図3Eは、図1Cに示した細胞として処置した後に、JC−1染色およびフローサイトメトリー分析をおこなった細胞を示す。ミトコンドリアの欠陥が、膜電位(ΔΨm)の低い細胞の割合として表された。棒グラフは、個々におこなった3回の実験の結果を示す。図3Eは、ΔΨmの著しい減少をもたらしたRPS27LshRNA細胞のADR処置と対照細胞との比較(33.5%対13.5%)が、ミ
トコンドリア機能不全を伴うアポトーシス細胞死を示していることを、説明するものである。
図4は、RPS27LがDNA損傷に対してDNA損傷焦点を形成する核タンパク質であることを示す(より詳しくは実施例4を参照)。図4Aは、Mycタグ化RPS27L発現ベクターを形質移入されたHCT116細胞を示す。トランスフェクト細胞を固定し、抗Myc抗体およびFITC結合抗マウスIgで染色(緑色)した後、共焦点顕微鏡検査をおこなった。核をDRAQ5で染色(青色)した。ローダミン・ファロイアジンをアクチン細胞骨格の対比染色(赤色)に用いた。図4Bは、VP16(20μM)で16時間処理したHCT116対照およびRPS27L欠乏細胞(緑色)を示す。RPS27LとγーH2AXまたはTopBP1との共局在化を、抗RPS27L(緑色)および抗γ−H2AXまたは抗TopBP1(赤色)による蛍光免疫染色で検出した。核をDRAQ5(青色)で染色した。
図5は、RPS27L欠損は、不完全な細胞周期チェックポイントおよびDNA修復をもたらす(すなわち、RPS27Lの損失が染色体不安定性に至る)ことを示す(詳しくは、実施例5を参照)。図5Aは、ADR(1μM)で24時間処理したHCT116対照およびRPS27L欠乏細胞を示す。該細胞をBrdUで30分間処理し、FITC結合抗BrdUおよび7−AA−Dで染色した。BrdUの取り込み(y軸)および全DNA含有量(x軸)をフローサイトメトリーで分析した。典型的なヒストグラムは、S期にある細胞の割合を示す。棒グラフは、個々におこなわれた3回の実験の結果を示す。図5Bは、リン酸エトポシド(VP16(登録商標))(20μM)で3時間処理したHCT116対照およびRPS27L欠乏細胞を示す。その後、新鮮な培地に置き換えることでリン酸エトポシド(VP16(登録商標))を取り除き、抗γH2AX染色をおこなうために細胞を0、3、6、および16時間目に回収した。染色された細胞を共焦点顕微鏡で検討した。核をDRAQ5で染色した。図5Cは、ADR処置24時間後にHCT116対照およびRPS27L欠乏細胞でのコメット・アッセイによって測定されるDNA損傷を示す。テイル・モーメント(テイル長の積およびDNAの分数)として測定される損傷分布は、2つの細胞系統間で異なった。処置後のテイル・モーメント(マイクロンで)を与える。図5Dは、ADR処置24時間後、CBMNアッセイにより測定された微小核の数(割合)を示す。示したデータは、未処置試料と比較した場合のADR処置(1μM)したHCT116対照およびRPS27L欠乏細胞に関するものである。合計1000個の二核細胞を記録した。
図6は、RPS27L欠乏がDNA損傷に対するp21蓄積を損なうことを示すウエスタンブロット分析を示す(より詳しくは実施例6を参照)。図6Aは、ADR(1μM)を24および48時間処理したHCT116対照およびRPS27L欠乏細胞p53とその標的遺伝子p21、Puma、およびMDM2とのウエスタンブロット分析を示す。チューブリンを充填対照として用いた。図6Bは、RPS27LsiRNAまたは対照SiRNAを形質移入したU2OS細胞の分析を示す。トランスフェクション細胞をADR(1μM)で24時間処理した。図6Aと同様に、p53およびその標的遺伝子の発現レベルを示す。図6Cは、図に示すように、ADR処理したHCT116対照およびRPS27L欠乏細胞におけるRPS27Lおよびp21mRNAのRT−PCR分析を示す。図6Dは、p21を形質移入したHCT116細胞のタンパク質分析の結果とRPS27Lの増加とを示す。p21およびRPS27Lタンパク質発現をウエスタンブロット分析によって試験した。アクチンを充填対照として用いた。
図7は、p21欠乏が細胞周期チェックポイント欠損およびDNA損傷に応答したアポトーシスの増加を誘発するのに十分であることを明らかにしている(より詳しくは実施例6を参照)。図7Aは、ADRで24時間処理したHCT16対照およびp21欠乏細胞
と、ウエスタンブロット用に調製したp53、p21、およびPumaの細胞溶解物とについてのウエスタンブロット分析を示す。図7Bは、ADRを24時間処理し、DNA合成およびDNA含有量についてBrdUおよび7−AA−Dによる染色を夫々施したHCT116対照およびp21欠乏細胞を示す。染色した細胞をFACSで分析した。ヒストグラムは、S期にある細胞の割合とDNA含有量が>4Nである細胞集団とを示す。棒グラフは、個々におこなわれた3回の実験の結果を示す。図7Cは、図7Aに示す細胞と同様に処置された細胞を示し、細胞死はサブG1含有量を有する細胞と同様に評価した。図7Dは、DNA損傷応答におけるRPS27L機能のモデルを示す。p53によるRPS27Lの誘導は、p21依存および非依存機能を介したDNA損傷を防ぐ。
本発明は、非限定的な例及び添付図面とともに検討する場合に、詳細な説明を参照することで、より詳しく理解される。
本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用する特定の用語を以下により詳しく説明する。別段の定めがない限り、本明細書中に使用される技術用語および科学用語の全ては、本明細書が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同義である。同様に、本明細書中で使用される術語は、特定の実施形態のみを説明するものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。本出願で引用される全ての文献を本明細書中に参照により組み込む。
「含む」が意味することは、限定されるものではないが、「含む」という語に続くものに限定される。したがって、「含む」という用語は、列挙された要素が必要すなわち必須であることを示すが、他の要素は任意であることすなわち存在が望まれるても望まれなくてもよいことを示している。
「からなる」が意味することは、限定されるものではないが、「からなる」という語に続くものに限定される。したがって、「からなる」という言葉は、列挙された要素が必要または必須であり、他の要素は存在しないと思われることを示している。
「投与すること」または「投与」とは、治療効果のある核オリゴヌクレオチドまたは化学療法剤等の本発明で言及される化合物/分子あるいは本発明で言及される該分子を含む医薬組成物を、RPS27Lの発現を調節することで影響され得る癌または他の疾患の予防または治療を目的として、生物に送達することをいう。
用語「形質移入」は、核酸媒介遺伝子移入によって核酸(例えば発現ベクター)を受容細胞に導入することを意味する。
用語「ベクター」とは、連結している別の核酸を輸送することができる核酸分子のことをいう。ベクターの一種類は、ゲノム組込み型ベクター、すなわち「組込み型ベクター」であり、これは宿主細胞の染色体DNAに組み込まれることができる。ベクターの別の種類は、エピソーム型ベクター、すなわち適当な宿主(例えば、真核または原核宿主細胞)内での染色体外複製をおこなうことができる核酸である。作用可能に連結した遺伝子の発現を指示することができるベクターのことを、本明細書中で「発現ベクター」という。本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は、文脈から明らかである場合を除いて、同義的に用いられる。
用語「核酸」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド分子」、または「オリゴヌクレオチド」とは、ポリヌクレオチド(例えばデオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA))のことをいう。この用語もまた、説明されている実施形態に当てはまるように、単鎖(例えば、センスまたはアンチセンス)および二本鎖ポリヌクレオチドを含むものと理解されなければならない。リボースまたはデオキシリボースの他に、ヌクレオチド・サブ
ユニットの糖基は、修飾誘導体(例えば2’−O−メチル・リボース)であってもよい。オリゴヌクレオチドのヌクレオチド・サブユニットは、ホスホジエステル結合、ホスホロチオエート結合、エチルホスホネート結合、またはオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを阻害しない他の稀なもしくは非天然の結合によって、連結可能である。さらに、オリゴヌクレオチドは、異常なヌクレオチドまたは非ヌクレオチド部分を有する場合がある。
「核酸ハイブリダイゼーション」という言葉は、全面的または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を持つ2本の核酸鎖が所定の反応条件下で重合し、特異的な水素結合を持つ安定な二本鎖ハイブリッドを形成するプロセスを意味する。いずれの核酸鎖もデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)またはこれらの核酸のうちの1つの類似体であってもよいことから、ハイブリダイゼーションはRNA:RNAハイブリッド、DNA:DNAハイブリッド、またはRNA:DNAハイブリッドを含み得る。
「相補的」が意味することは、2本の単鎖核酸の類似の領域または同一単一鎖核酸の異なる領域が、単鎖同士が安定な二重鎖水素結合領域でハイブリダイズすることを可能にするヌクレオチド塩基組成を有することである。一本鎖領域のヌクレオチドの連続した配列が、他の一本鎖領域のヌクレオチドの類似配列と一連の「標準的な」水素結合塩基対(AがUもしくはTと対をなし、CがGと対をなすように)を形成することが可能である場合、該ヌクレオチド配列は「完全に」相補的である。
「タンパク質コード配列」または特定のポリペプチドまたはペプチドを「コードする」配列は、適当な制御配列の制御下に置かれた場合に、生体内(in vitro)または生体外(in vivo)で転写(DNAの場合)され、ポリペプチドに翻訳(mRNAの場合)される核酸配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決まる。コード配列は、限定されるものではないが、真核mRNA由来のcDNA、真核DNA由来のゲノムDNA配列、さらには合成DNA配列も含み得る。転写終結配列は、通常、コード配列に対して3’方向に位置する。
「細胞」または「宿主細胞」は、本明細書中で同義的に使用される用語である。そのような用語は、特定の被験細胞のみを指すものではなく、そのような細胞の子孫または潜在的子孫も指すものと理解される。
本発明の明細書および特許請求の範囲で使用される用語「感作する(sensitizing)」は、特定の治療に対して以前よりも感受性が高いことを表現している。例えば、本明細書中で説明する化学療法剤を用いた癌(化学療法剤が効果なしまたは投与量が高い場合のみに効果があった癌)を処置するための治療方法を、そのまま用いるか、または本発明の方法を用いて細胞の「感作」した後でより低い投与量で用いることが可能である。
「核酸の活性を調節する」ことの意味は、ポリペプチド(例えば、タンパク質、生成物)へのゲノムDNA、mRNA等のコード配列転写レベルおよび/または翻訳(発現)レベルを変更または調節(例えば減少もしくは増加)させることである。
DNA損傷に反応して、哺乳類動物細胞は防御系を活性化させることで、正常な生活環を続けるために修復を可能にさせる、あるいは既に述べられたように、過度かつ修復不能な損傷に直面した場合にアポトーシス機構を活性化させることが可能である(Zhou, B.B.
and Elledge, SlJ. (2000) "The DNA damage response: putting checkpoints in perspective" Nature, vol. 408, p.433-439)。腫瘍抑制因子p53は、DNA損傷応答にお
いて重要な役割を果たすと考えられている。DNA結合活性を有する転写因子として、p53はヒト・ゲノム内の300個ほどの標的遺伝子に結合し(Wei, C.L., Wu, Q. et al.
(2006) "A global map of p53 transcription-factor binding sites in the human genome" Cell, vol. 124, p.207-219) and actively regulates the expression of its downstream target genes (Kho, P. S., Wang, Z. et al. (2004) "p53-regulated transcriptional program associated with genotoxic stress-induced apoptosis" J Biol Chem,
vol. 279, p.21183- 21192)の発現を調節する。DNA損傷後のP53遺伝子活性化の
主な結果は、細胞周期停止、老化、またはアポトーシスの誘導である(Lane, D.P. and Lain, S. (2002) "Therapeutic exploitation of the p53 pathway" Trends MoI Med, vol. 8, p.38-42; Vogelstein, B., Lane, D. and Levine, AJ. (2000) "Surfing the p53 network" Nature, vol. 408, p.307-310)。
現在の証拠は、p53依存細胞周期停止が主に、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤p21の転写誘導を介して媒介される(el-Deiry, W.S., Tokino, T., et al., (1993) "WAFl, a potential mediator of p53 tumor suppression" Cell, vol. 75, p.817-825; Harper, J.W., Adami, G.R., et al., (1993) "The p21 Cdk-interacting protein Cipl is a potent inhibitor of Gl cyclin-dependent kinases" Cell, vol. 75, p.805-816)。しかし、p53誘導アポトーシスの機構は不透明である。p53はアポトーシス
標的遺伝子、例えばPUMA、BAX、NOXA、BID、PIG3、CD95、DR5、またはp53A1P1の転写活性化を介してアポトーシスを誘導すると考えられている(Vogelstein, B., Lane, D. and LeVine, AJ. (2000), 前掲; Vousden, K.H. and Lu, X. (2002) "Live or let die: the cell's response to p53" Nat Rev Cancer, vol. 2, p.594-604)。
DNA損傷後のp53に対する細胞性応答は、細胞型および刺激によって変化する。この応答は、DNA修復の開始および損傷チェックポイントであり得、細胞周期停止をもたらし、あるいは不完全なDNA修復の結果としてアポトーシスをもたらす。例えば、DNA損傷剤アドリアマイシン(ADRまたはドキソルビシンともいう)によるp53の活性化はHCT116細胞(野生型p53を含むヒト大腸癌細胞系統)でのp53依存性細胞周期停止をもたらした一方で、同一細胞において、DNA類似体5−フルオロウラシルによるp53活性化がアポトーシスを起こす。異なる遺伝毒性ストレスへのp53遺伝子応答の後の細胞の運命を支配するシグナルは、いまだ理解されていない。
さらに、増えつつある証拠が示唆することは、p53依存性転写がしばしば、ヒト癌細胞で抗アポトーシス応答を誘発し、p21がこの抗アポトーシス応答を媒介する重要な分子であると考えられる(Yu, Q. (2006) "Restoring p53-mediated apoptosis in cancer cells: New opportunities for cancer therapy" Drug Resist Updates, vol. 9, p.19-25)。p21がCDK抑制剤として機能することも周知である。したがって、p21レベ
ルの操作は、化学療法的応答を調節するための可能性のあるアプローチであると思われる(Weiss, R.H. (2003) "p21Wafl/Cipl as a therapeutic target in breast and other cancers" Cancer Cell, vol. 4, p.425-429)。
化学療法剤等によって生じたDNA損傷に対する細胞の運命に影響を与えるのに有用であると思われる別のp53標的を同定することを目的として、本発明者は、今まで未知の機能を持つS27様リボソームタンパク質(RPS27L)をコードするRPS27Lがp53によって調節されること観察した(さらに詳しくは実施例1を参照)。実施例1に記載された結果は、RPS27L発現が直接DNA結合を介してp53によって上方制御されることを示す。この発明では、RPS27Lタンパク質発現がp53活性化のストレスの種類に依存するという、さらなる知見が得られた。ADR処理細胞でのそれの誘導が細胞周期停止応答に関連する一方で、5−FU処理でのRPS217タンパク質レベルの
減少が強いアポトーシス応答に相関する(さらに詳しくは実施例2を参照)。このことは、例えば、RPS27Lがない状態で、化学療法剤等によって生じたDNA損傷が細胞周期停止の代わりにアポトーシスを誘導することを意味する。したがって、RPS27Lは、p53活性化に続く細胞のアウトプットを決定する制御スイッチとして機能すると思われる。
したがって、本発明の一態様は、癌治療に対して細胞を感作する方法であって、RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性または該RPS27タンパク質そのものを、RPS27Lをコードする核酸の遺伝子活性を調節することができる、またはRPS27タンパク質を調節することができるそれぞれの化合物によって、調節する方法を提供する。反応性が高められる細胞は、任意の与えられた細胞とすることができ、一般には哺乳類細胞である。例えば、該哺乳類細胞は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ブタ、またはウシ由来のものであり、例えば、ヒト患者またはマウスあるいは任意の他の哺乳類を本発明の感作する方法を用いて処置することができることを意味している。
実施例3では、本発明はRPS27Lタンパク質のレベルがp53依存性DNA損傷応答を増殖停止から細胞死へと変える。したがって、本発明の方法は、例えば、RPS27Lタンパク質をコードする前記核酸の活性を調節することによって、悪性細胞でアポトーシスを誘導するために使用し得る。
このアプローチを、以下でさらに例示する。HCT116細胞では、DNA損傷剤ADR(化学療法的癌治療に使用されるトポイソメラーゼ阻害剤)が主にp53依存性細胞周期停止を誘導することが知られている(Bunz, F., Hwang, P.M., et al. (1999) "Disruption of p53 in human cancer cells alters the responses to therapeutic agents" J Clin Invest, vol. 104, p.263-269; Tan, J., Zhuang, L., et al. (2005) "Pharmacologic modulation of glycogen synthase kinase-3beta promotes p53 -dependent apoptosis through a direct Bax-mediated mitochondrial pathway in colorectal cancer cells" Cancer Res, vol. 65, p.9012-9020)。HCT116細胞内でのRPS27Lタンパ
ク質のレベルが減少してADRによる処理を繰り返した場合、細胞周期停止に切り替わる代わりに、細胞は著しい細胞死を経験する(詳しくは図3Aおよび実施例3を参照)。同様の効果を、リン酸エトポシド(VP16(登録商標)、別のトポイソメラーゼ阻害剤)または他の細胞系統、例えばU2OS、Saos−2、およびSH−SY5Yを用いた同じ実験を実施した場合に観察することができる。癌の処置におけるこのアプローチの後で、細胞を感作することができる。すなわち、RPS27Lタンパク質のレベルおよびRPS27Lタンパク質をコードするRPS27LmRNAが減少する場合に、例えば一種類以上の化学療法用抗癌剤での処理に対して、細胞をより感受性のあるものにする。したがって、DNA損傷を有する細胞毒性の薬剤(例えば、抗癌化学療法において)の使用に直面して、悪性腫瘍細胞は、RPS27Lタンパク質レベルが欠乏した場合に、DNA修復よりもアポトーシスを経験する。本発明の方法の使用によって悪性細胞を感作することで、悪性細胞におけるRPS27タンパク質レベルの減少によって細胞修復のための経路が妨げられることから、高投与量の化学療法用抗癌剤の使用が避けられる。したがって、既に低い量の抗癌剤は、腫瘍の効果的処置を提供する。低量の抗癌剤を使用することは、明らかに、比較的深刻さが少なく、抗癌化学療法で一般に使用される薬物で通常観察され得る副作用さえもない。
RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することができる化合物は、コードされた核酸の活性に影響を及ぼすことができる核酸分子であってもよい。したがって、一実施形態では、本発明の方法は、オリゴヌクレオチド等の適当な核酸を投与することによって、RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することを含む。このオリゴヌクレオチドは、真核生物の細胞(好ましくは悪性細胞)またはさらに正確には哺
乳類細胞に投与されると、ヒトの悪性細胞のように、RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性の調節を引き起こす。一態様では、RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性の調節は、この核酸の減少または増加を意味する。
RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することができるオリゴヌクレオチド等の核酸分子は、例えば、RNA干渉剤またはアンチセンス・ヌクレオチド分子であり得る。細胞へのアンチセンス・ヌクレオチド分子の導入および転写は、RPS27LをコードするmRNA分子に相補的であるRNA分子の合成をもたらす。次に、このRNA分子(すなわち、アンチセンスRNA)は、RPS27LをコードするmRNAの発現を抑制するために使用し得る遺伝学的ツールを提供する。もちろん、このアンチセンス分子は、RPS27LをコードするRNA分子全体に対して相補的であるRNA分子を提供することができる必要はないが、RPS27LをコードするmRNAの発現を阻害するアンチセンスRNAのフラグメントを提供するのに十分なものである。アンチセンス技術は、確立した方法論になり(例えば、Weiss, B. (ed.): Antisense Oligodeoxynucleotides
and Antisense RNA : Novel Pharmacological and Therapeutic Agents, CRC Press, Boca Raton, FL, 1997またはCrooke, S.T. Progress in Antisense Technology, Annual Review of Medicine, February 2004, Vol. 55: Page 61 - 95を参照)、またそれぞれのアンチセンス・ヌクレオチド分子の設計は、当該技術分野の当業者の技術範囲である。
アンチセンス・ヌクレオチド分子に加えて、またはそれに代わって、RNA干渉剤(すなわち、干渉リボ核酸)もまた、RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節する化合物として使用し得る。干渉RNA、短ヘアピンRNA、およびマイクロRNA等の干渉リボ核酸の使用は、特定の遺伝子を「ノックダウン」するための強力なツールとなっている。RNAi方法論は、転写後レベルで起こり、かつmRNA分解を伴うRNA干渉(RNAi)を介した遺伝子サイレンシングまたは遺伝子抑制を利用する。RNA干渉は、ゲノムを保護する細胞機能に相当する。siRNAおよびmiRNA分子は、複数の酵素からなる複合体にsiRNAが会合することで相補的RNAの分解を媒介し、いわゆるRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を形成する。siRNAまたはmiRNAはRISCの一部になり、相補的RNA種(次に切断される)を標的とする。siRNAは、対応する相補鎖と完全に対を形成する塩基であり、一方miRNA二本鎖は不完全に対を形成する。RISCの活性化は、各々の遺伝子の発現の喪失に至る(概要についてはZamore, P.D. and Haley, B. (2005) "Ribo-gnome: The Big World of Small RNAs" Science, vol. 309, p. 1519-1524を参照)。干渉リボ核酸は、長さが約100nt未満で
あり、概して約75nt長未満であると思われる。干渉リボ核酸が、互いにハイブリダイズした2つの異なるリボ核酸の二本鎖構造(例えば、siRNA)である場合には、該二本鎖構造の長さが概して約15〜30bp、通常は約15〜29bpの範囲である。RNAi剤が、ヘアピン形成に存在する単一のリボ核酸の二本鎖構造(すなわちshRNA)である場合、該ヘアピンのハイブリッド部分の長さは概して、上記したsiRNA型の薬剤のものと同じか、それよりも4〜8ヌクレオチド長い。
本発明の癌治療に対して細胞を感作する方法で使用し得るsiRNA分子の具体例は、配列番号1に示す19塩基対長のヌクレオチド配列を含むかまたは有する(実施例3も参照)。したがって、本発明の方法で用いる薬剤は、癌の治療または予防のための治療法に用いることができる。
悪性標的細胞が生体内である場合、本発明の方法で使用されるオリゴヌクレオチドを、当業者に公知の任意の簡便なプロトコールを用いて、哺乳類宿主に対して投与することができる。以下の説明は、使用してもよい代表的な核酸投与プロトコールを概説したものである。核酸を、数多くの経路(ウイルス感染、顕微注射、または小胞の融合を含む)によって、組織または宿主細胞に導入することが可能である。
placeCityFurth, P.A., Shamay, A., et al. (1992) "Gene transfer into somatic tissues by jet injection" Anal Biochem, vol. 205, p.365-368に記載されているように
、ジェット式注射を筋肉内投与に使用することも可能である。文献(Tang, D. C, De Vit, M., et al., (1992) "Genetic immunization is a simple method for eliciting an immune response" Nature, vol. 356, p.152- 154)に記載されているように、核酸を金の微粒子上に被覆し、微粒子銃装置または「遺伝子銃」によって皮内送達することも可能である。siRNAを送達するためにナノ粒子を用いることは、細胞特異的ターゲッティングにとってもう一つの好適なアプローチである。この方法は、例えば、Weissleder, R., Kelly, K., et al. (2005) "Cell-specific targeting of nanoparticles by multivalent attachment of small molecules" Nature Biotech, vol. 23, p. 1418-1423に記載されている。
本発明の方法で使用されるオリゴヌクレオチドを生体内で選択細胞に送達する別の具体例は、重鎖抗体フラグメント(Fab)と核酸結合タンパク質プロタミンとの融合タンパク質に対するその非共有結合である(Song, E., Zhu, P., et al. (2005) "Antibody mediated in vivo delivery of small interfering RNAs via cell-surface receptors" Nature Biotech, vol. 23, p. 709-717)。生体内で選択細胞内へsiRNA分子を送達する別の具体例は、それをリポソームに封入することである。Morrissey, D., Lockridge, J., et al. "Potent and Persistent hi Vivo Anti-HBV Activity of Chemically Modified
siRNAs" Nature Biotech (2005), vol. 23, p. 1002-1007は、例えば、静脈内投与のた
めのリポソームを形成するためにポリエチレングリコール・脂質複合体により被覆された安定した核酸・脂質粒子を用いた。本発明では、リポフェクタミン2000システム(インヴィトロゲン社(Invitrogen))を、siRNAおよびshRNAをコードする核酸配列を細胞に形質移入するための具体的な例として用いた(より詳しくは実施例3を参照)。
選択された悪性標的細胞にRNA干渉剤を送達するさらに別の例は、各々の核酸分子を含む細菌またはウイルス(例えば、アデノウイルス)等の生物学的媒体の使用である。Xiang, S., Fruehauf, J., et al. (2006) "Short hairpin RNA-expressing bacteria elicit RNA interference in mammals" Nature Biotech, vol. 24, p. 697-702は、例えば、
プラスミド(とりわけshRNAおよび湿潤により、哺乳類細胞への侵入とそれに続く遺伝子抑制を可能にする)から転写された大腸菌(E.coli)を投与することでこのアプローチを用いている。
本発明の方法で使用されるオリゴヌクレオチドを所望の細胞に導入するために、発現ベクターを使用することが可能である。また、本発明の方法で使用されるオリゴヌクレオチドを、標的遺伝子(すなわち、RPS27L)を含む宿主生物へ直接供給したり、注射することができる。このオリゴヌクレオチドを直接細胞に導入(細胞内的に)したり、または細胞外的に空洞、間質腔へ導入したり、生物の循環器系へ、経口的に導入したり等が可能である。経口的導入の方法として、RNAを生物の餌と直接混ぜることも含まれる。核酸を導入するための物理的方法として、RNA溶液を細胞内に直接注射すること、または生物に細胞外注射することが挙げられる。薬剤の導入は、一細胞あたり少なくとも1つのコピーの送達を可能にする量で、おこなうことが可能である。高用量(例えば、一細胞あたり少なくとも5、10、100、500、または1000コピー)の薬剤は、より有効な阻害を生ずると考えられ、低用量もまた特定の用途では有用であると考えられる。
既に述べたように、本発明の方法で言う癌治療は、化学療法剤が使用される化学療法であり得る。本発明の方法で使用される化学療法剤として、限定されるものではないが、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗有糸分裂剤、トポイソメラーゼ抑制剤、白金含有化合物、ホ
ルモン、シグナル伝達阻害剤、モノクローナル抗体、生体応答調節剤、または分化誘導剤が挙げられる。
通常、化学療法剤は細胞周期の特定の期間の異なる生化学的プロセスに作用する。例えば、5−フルオロウラシルおよび葉酸拮抗薬等の代謝拮抗剤は、主にDNA合成を阻害することで、細胞のS期に作用する。コルヒチンおよびビンクリスチンは、細胞のM期を阻害する。他の化学療法剤は、細胞周期の異なる期に作用する。
アルキル化剤の例として、シクロホスファミド、クロラムブシル、およびメルファランが含まれる。これらの化合物は、DNAと化学結合を形成し、DNAを切断して、該DNAの複製にエラーを生じさせる。代謝拮抗剤の例として、メトトレキセート、シタラビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、および5−フルオロウラシル(5−FU)が含まれる。これらの化合物は、DNAの合成を阻害する。抗有糸分裂剤の例として、ビンクリスチン、コルヒチン、パクリタキセル、およびビノレルビンが含まれる。これらの化合物は、癌細胞の分裂を阻害する。トポイソメラーゼ抑制剤の例として、限定されるものではないが、ドキソルビシン(アドリアマイシン、ADR)、リン酸エトポシド(VP16(登録商標))、およびイリノテカンが挙げられる。これらの化合物は、トポイソメラーゼと呼ばれている酵素の阻害を介して、DNA合成および修飾を妨げる。白金含有化合物/誘導体の例として、シスプラチンおよびカルボプラチンが挙げられる。そのような化合物は、DNAと結合して破壊する。ホルモン癌治療に用いられる化合物の例として、限定されるものではないが、タモキシフェンおよびビカルタミドが挙げられる。例えば、タモキシフェンはエストロゲンの作用(乳癌で)を阻害し、一方ビカルタミドはアンドロゲンの作用(前立腺癌で)を阻害する。シグナル伝達阻害剤の例は、イマチニブという化合物である。イマチニブは、慢性骨髄性白血病での細胞分裂のシグナルを阻害する。モノクローナル抗体の具体例として、リタキシマブ、トラスツズマブ、およびゲムツズマブ・オゾガマイシンが挙げられる。リタキシマブは、リンパ球から派生した腫瘍上の細胞表面受容体への結合を介して、細胞死を引き起こす。トラスツズマブは、乳癌細胞上の増殖因子受容体を阻害し、ゲムツズマブ・オゾガマイシンは、白血病細胞上に見いだされる受容体に結合する特異的抗体を含み、その化学療法的成分の毒性用量を該白血病細胞に送達する。生体応答調節剤の一例は、インターフェロンーアルファである(これに関しては正確な生化学的機能はまだ知られていない)。分化誘導剤の一例は、白血病細胞の分化および死を誘導するトレチノインである。
別の実施形態では、化学療法剤は、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ニュートリン3、リン酸エトポシド(VP16(登録商標))、または5−フルオロウラシルであってもよい。もちろん、PRS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することが可能なここに記載した化合物とともに、異なる化学療法剤の組み合わせを用いることも、可能である。
留意すべき点は、アポトーシスにより再び細胞死に影響を及ぼし得るDNA損傷を、すべての化学療法剤が直接または間接的に生じる点である。細胞のアポトーシス経路の活性化により、RPS27Lをコードする核酸の活性を調節することが、細胞の運命に影響を与え得る。腫瘍の場合、所望のアプローチは、悪性細胞が細胞停止または老化ではなくてアポトーシス経路に入るように、RPS27Lの活性が調節されることである。したがって、このように、本発明の方法において言及されるRNA干渉剤またはアンチセンス・ヌクレオチド分子の併用効果は、これらのオリゴヌクレオチドと化学療法剤との直接相互作用に依存するのではなく、むしろ細胞損傷(例えば、DNA損傷)によって活性化される同一の生化学的経路に対するそれらの影響に依存する。したがって、当業者には、本発明の現方法が優先的に悪性細胞のアポトーシスを誘導することが理解される。
RPS27Lが実際にDNA損傷後にp53依存性生物学的経路で重要な役割を果たすことは、実施例4〜6に記載した結果によって実証される。この実施例に記載された結果は、さらに、RPS27LがDNA損傷応答に関与し、かつDNA二本鎖切断の一部に採用される核タンパク質であることを説明する。
別の態様では、本発明は医薬製剤に関し、該医薬製剤は、上記した少なくとも一種類の化学療法剤を単独で、あるいは、例えば本発明の方法で使用した少なくとも一種類のオリゴヌクレオチド(例えばRNA干渉剤および/またはアンチセンス・ヌクレオチド分子)とともに含む。
医薬製剤を、治療を目的とした投与のために、種々の剤形で投与することができる。より詳しくは、本発明の医薬製剤を、医薬的に許容される担体または希釈剤と組み合わせて処方して医薬組成物とすることができ、固体、半固体、液体、または気体状の製剤(例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、軟膏、液剤、坐剤、注射剤、吸入抗原、およびエアゾール)に処方してもよい。このように、医薬製剤の投与は種々の方法で達成することができ、該方法として、経口投与、口腔投与、直腸投与、非経口投与、腹腔内投与、皮内投与、経皮投与、気管内投与等が挙げられる。
薬剤投与形態では、本発明の医薬製剤を単独で、または他の薬剤活性化合物と関連させてもしくは組み合わせて投与してもよい。以下の方法および賦形剤は、単に例として挙げるものであり、決して限定するものではない。
経口剤として、医薬製剤を単独で、あるいは錠剤、粉剤、顆粒剤、またはカプセル剤を作るための適当な添加物、例えば、従来の添加物(例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、もしくはポテトスターチ)、結合剤(例えば、結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ、もしくはゼラチン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、もしくはカルボキシメチル・セルロース・ナトリウム)、潤滑剤(例えば滑石またはステアリン酸マグネシウム)、ならびに、必要に応じて、希釈剤、干渉剤、湿潤剤、防腐剤、および香料と組み合わせて用いることができる。
上記のものを水性溶媒または非水性溶媒(例えば植物油もしくは他の同様の油、合成脂肪酸グリセリド、高脂肪酸エステル、またはプロピレングリコール)に、必要に応じて従来の添加剤(例えば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤、および防腐剤)とともに、溶解、懸濁、または乳化することによって、注射用に医薬製剤を処方することができる。
医薬製剤を、吸息を経て投与されるエアゾール製剤に用いることができる。本発明の製剤を、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の加圧可能な推進剤に処方することができる。
医薬製剤を全身的な方法よりも局所的な方法、例えば化合物を充実性腫瘍に直接注射(デポー製剤または徐放製剤として)することによって、投与することも可能である。さらに、各々の化合物または医薬組成物を標的薬物送達系、例えば腫瘍特異的抗体で被覆したリポソームに使用することも可能である。そのようなリポソームは、例えば腫瘍に対して標的化され、かつ選択的に該腫瘍に取り込まれるものであってもよい。
既に述べられた製剤に加えて、医薬製剤もまたデポー製剤として処方することが可能である。そのような長期間作用性の製剤を、注入(例えば、皮下または筋注)あるいは筋肉注射によって投与してもよい。したがって、例えば、医薬製剤を適当な高分子材料または疎水性材料(例えば、許容される油内のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂とと
もに、あるいは難溶性誘導体として(例えば、難溶性の塩として)、処方することも可能である。
(実施例1)
ゲノム分析はp53の直接的な転写標的としてRPS27Lを同定する
p53は、主に下流の標的の転写制御を介して、腫瘍抑制因子機能を発揮する(Vogelstein, B., Lane, D. and Levine, AJ. (2000)前掲、Vousden, K.H. and Lu, X. (2002)前掲)。p53結合遺伝子座をゲノム規模でマッピングすることを通して、さらなるp53下流標的を同定する以前の研究(Wei, C.L., Wu, Q., et al., (2006)前掲)では、既に
知られている機能を有するS27様リボソームタンパク質(RPS27L)をコードするRPS27Lが潜在的にp53によって調節されることが、観察された。RPS27Lは、ヒト第15染色体上の位置61235856〜61237660に局在している。
図1Aは、p53遺伝子野生型HCT116細胞(野生型p53を含むヒト大腸癌細胞系統)において、DNA損傷剤アドリアマイシン(ADR)および5−フルオロウラシル(5−FU)によって発現が誘導されたが、p53ヌル対照では発現が誘導されなかった一組の遺伝子を示すマイクロアレイ分析を示す。いずれの処理でも、RPS27Lは、cdkn1a(p21をコード)、Pmaid(Noxaをコード)、およびccd3(Pumaをコード)等の真正のp53標的とともに、p53依存的な形式で調節されていなかった。マイクロアレイ・データを確認するために、RT−PCR分析をおこなった(図1B)。図1Bは、RPS27LmRNAが、p53野生型HCT116細胞においてのみ、ADRまたは5−FU処理の後に、誘導されたことを示している。これらの結果は、RPS27Lの発現とp53の活性化および発現との間に関連性があることを実証している。
クロマチン免疫沈降(ChIP)−PET技術(Wei, C.L., Wu, Q., et al., (2006)
前掲)を用いてヒト・ゲノムで本発明者らが既に同定した>500であるp53結合標的のうち、RPS27Lが、第1のイントロンに位置したp53結合モチーフを介してp53によって強く結合するという知見が得られた(図1C)。したがって、RPS27L発現は、直接的なDNA結合を介してp53により上方制御されるように思われる。
RPS27L遺伝子におけるp53結合の生理学的的関連性も、ここで評価した。第1のイントロン内に位置した確認された結合部位に加えて、図1D(上側の図)に図示したように、配列分析によって1.1kbのプロモータ領域内に4つの推定上のp53応答要素を確認した。これらの部位のいずれもがRPS27Lのp53依存性活性を調節するかどうかを判断するために、プロモータ領域(Luc−RPS27L−A)または第1のイントロン(Luc−RPS27L−B)内のp53結合部位に及ぶゲノムDNAフラグメントをルシフェラーゼ・レポーター・プラスミドにクローニングした。p53発現プラスミドとともにp53ヌルHCT116細胞に同時形質移入した場合、イントロン配列を含むレポーターのみが野生型p53によって活性化されたが、DNA結合欠損p53突然変異体(R175H)によっては活性化されなかった(図1D、下側の図)。陽性対照として、突然変異ではない野生型のp53もまた、p21プロモータを含むレポーターを活性化する。これらの結果は、ChIP分析で測定されたように、RPS27Lの第1のイントロンに位置したp53結合が機能的であり、p53応答性を与えることを、裏付けている。
この実施例および以下の実施例で言及される核酸修飾を実施する一般的な手順は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual", Cold Spring Harbour Lab Publ. 1989 およびAusubel, et al. "Current Protocols in Molecular Biology" Grene Publishing Associates and Wiley-Interscience, 1987.に記述されている。
(実施例2)
p53依存性RPS27Lタンパク質誘導は刺激依存性である
p53によって誘導されたRPS27LmRNAの増加が、タンパク質レベルの増加ももたらすかどうかを検討するために、ADR、5−FU、またはニュートリン3(p53を直接活性化する小分子MDM2アンタゴニスト)(Vassilev, L.T., Vu, B.T., et al.
(2004) "In vivo activation of the p53 pathway by small-molecule antagonists of MDM2" Science, vol. 303, p.844-848)により処理したp53野生型およびp53ヌルHCT116細胞の免疫ブロット分析を実施した。ADRまたはニュートリン3処理は、p53およびp21の蓄積をもたらす。ADRまたはニュートリン3処理後に、時間とともにRPS27Lタンパク質レベルが増加したことを、RPS27Lに対して生じた抗体によって検出した(図2A)。しかし、RPS27LmRNAの5−FU誘導上方制御は、タンパク質レベルの増加をもたらさなかった。その代わりに、p53活性化とともに、RPS27タンパク質レベルが下方制御され、このことはp21タンパク質の発現が増加したことと正反対のものであった。この観察を他の細胞系統および他のp53刺激に対して広げるために、U2OS(ヒト骨肉腫細胞系統)およびSH−SY5Y(ヒト神経芽腫細胞系統)細胞(p53野生型)、同様にSaos−2細胞(ヒト骨肉腫細胞系統、p53欠損)を、ADR、リン酸エトポシド(VP16(登録商標))、および5−FUにより、処理した(図2B)。また、ADRおよびリン酸エトポシド(VP16(登録商標))は、RPS27Lタンパク質のp53依存性上方制御を誘導したが、5−FUはその下方制御を誘導した。集合的に、これらの結果は、p53誘導RPS27Lタンパク質発現が、p53活性化をもたらすストレスの種類に依存することを示している。明らかに、5−FUは、mRNA発現の増加にかかわらず、RPS27Lタンパク質下方制御を生ずる翻訳後機構を作動させる。
(実施例3)
RPS27L欠乏はp53依存性DNA損傷応答を増殖停止から細胞死に変える
HCT116細胞では、DNA損傷剤ADRがp53依存性細胞周期停止(高倍数体細胞(4N)数の増加)を誘導する一方で、5−FU処理はp53依存性アポトーシスを引き起こす(Bunz, F., Hwang, P.M., et al. (1999),前掲、 Tan, J., Zhuang, L., et al. (2005), 前掲)(図3A)。RPS27Lタンパク質発現の増加は細胞周期停止表現型に相関していることから、本発明者らは次に、HCT116細胞でのRPS27LノックダウンがADR処理に対して細胞周期停止よりもアポトーシスを与えるかどうかを決定することにした。この目的を達成するために、本発明者らは、配列番号1の低分子干渉RNA(siRNA)を用いてRPS27L発現を停止させた。siRNAの標的配列は、DNA損傷後、ほぼ完全にRPS27L発現を抑えるとともに、その誘導を抑えたので、効率的かつ特異的であり、一方で密接に関連したRPS27に対して何ら影響を及ぼさなかった(図3B)。本研究を容易にするために、本発明者らは、p53野生型およびヌル・バックグラウンドの両方でRPS27Lを欠乏した配列番号1の短ヘアピン(RPS27LshRNA)または非特異的対照shRNA(対照shRNA)を安定して発現するHCT116細胞系統を創出し、ADRに対するそれらの細胞性応答を調べた。対照shRNAは、ダールマコン社(Dharmacon Inc.[米国コロラド州ラフィーエット(Lafayette)所在]から得た。
対照shRNAを発現するp53野生型HCT116細胞では、48時間にわたるADR処理は主に増殖停止応答を生じ、一方、同様の処理を受けたRPS27L欠乏細胞は顕著な細胞死を被った(図3C)。この効果は、p53ヌルHCT116細胞でのRPS27L欠乏が同じ結果を生じないことから、p53依存性と思われた。一過性siRNA形質移入を介したRPS27Lのノックダウンもまた、HCT116細胞でのADRまたはリン酸エトポシド(VP16(登録商標))における細胞死を著しく増加させたが、p53ヌル対照ではそのような増加は見られなかった(図3D)。類似の効果もまた、肺癌A549および骨肉腫U2OS細胞で見られたが(データ不図示)、DNA損傷に対する細胞死応答の増加がRPS287L欠損の一般的特徴であることが示される。
この細胞死応答の性質をさらに定義するために、本発明者らは別のアッセイ(すなわちJC−1染色した細胞のフローサイトメトリー検出)を用いた。このJC−1染色は、細胞死現象をミトコンドリア膜電位(ΔΨm)の結果として同定する。図3Eに示すように、RPS27LshRNA細胞のADR処理は、対照細胞と比較して(33.5%対13.5%)、ΔΨmの著しい減少をもたらし、このことはアポトーシス細胞死がミトコンドリア機能障害を伴うことを示した。したがって、RPS27Lの欠損は、DNA損傷によるp53活性化に応答して細胞周期停止よりもアポトーシスをもたらす。
この実験は、DNA損傷後の細胞運命を制御するための手段として、RPS27Lの有用性を明らかに示す。転写または翻訳の増加または減少によるRPS27Lをコードする核酸の活性を調節することは、この実施例で示すように化学療法剤により悪性細胞を処理した場合に該悪性細胞を細胞死に導くことを可能にする。制御分子(すなわち、RNA干渉剤またはアンチセンス・ヌクレオチド分子等、本発明の方法で使用されるオリゴヌクレオチド)の使用は、RPS27Lをコードする核酸の転写または翻訳(すなわち、発現)に影響を及ぼすことを可能にする。
(実施例4)
RPS27Lは、DNA損傷に対して核焦点を形成する核タンパク質である
DNA損傷応答におけるPRS27Lの機能をさらに特徴付けるために、PRS27Lの細胞局在を評価した。c−Mycタグ化RPS27LをHCT116細胞内で過剰発現させ、抗Myc抗体による免疫蛍光染色によって発現の検出をおこなった。異所的に発現したRPS27Lは、核に局在する(図4A)。内因性RPS27Lの細胞部位を決定するために、またDNA損傷に対するその応答を評価するために、本発明者らは次に、抗RPS27L抗体を用いて免疫蛍光研究を実施した。野生型およびRPS27L欠乏HCT116細胞を固定前にリン酸エトポシド(VP16(登録商標))で16時間処理した。未処置の細胞におけるRPS27Lのレベルが低いことから、本発明者らはこれらの細胞で弱い核染色が得られた(データ不図示)。リン酸エトポシド(VP16(登録商標))処理に応じて、本発明者らは、抗RPS27Lを有するHCT116細胞で核焦点様染色パターンを検出した(図4B)。また、RPS27Lは、リン酸化ヒストンH2AX(γ−HA2X)によって部分的に共局在化した。γ−H2AXは、DNA二本鎖切断(DSB)の部位でリン酸化したヒストンであり、DSBのホールマークである(Rogakou, E.P., Pilch, D.R., et al., (1998) "DNA double-stranded breaks induce histone H2AX phosphorylation on serine 139" J Biol Chem, vol. 273, p. 5858-5868)。RPS27
L発現の欠乏は、この共局在性を無効にしたが、γ−HA2X焦点形成になんら効果を示さなかった。これらのデータは、RPS27LがDNA損傷応答に関わる核タンパク質であり、DNA二本鎖切断の一部に採用されることを示唆している。
(実施例5)
RPS27L欠乏はDNA損傷チェックポイントおよびDNA修復における機能的欠失をもたらす
RPS27L欠乏によりDNA損傷に対する反応性が増加したと考え、本発明者らは次に、RPS27Lの欠損がDNA損傷チェックポイントを損い得るかどうかを調べた。7アミノ・アクチノマイシンD染色によるFACS分析(全DNA含有量に関して)およびブロモデオキシウリジン(BrdU)標識化(DNA合成に関して)は、DNA損傷前に対照対RPS27L欠乏HCT116細胞におけるDNA合成の違いを検出することができなかった。しかし、親細胞は、ADR処理後24時間でDNA合成が著しく減少(85%から11%)し、一方でRPS27Lを欠損したHCT116細胞では、このDNA合成の減少は部分的に救われた(86%から27%)(図5A)。加えて、RPS27L欠乏HCT116細胞は、対照細胞と比較して(30%対10.5%)、高倍数体DNA合成用含有量(>4N)を有する細胞の実質的な蓄積を生じた。これらの知見は、RPS27Lの欠損が、染色体不安定性を導くDNA損傷細胞周期チェックポイント欠損を生じる
場合があることを示唆している。
不完全DNA損傷チェックポイントは、DNA損傷を増加させると考えられる。γ−H2AX焦点は、二本鎖切断(DSB)の高感度な指標であると考えられる。我々は、リン酸エトポシド(VP16(登録商標))処理後、γ−H2AX焦点形成を探索し、可逆性ポストVP16ウオッシュアウトをモニターした。図5Bは、強いγ−H2AX染色によって明らかにされたように、VP16による1時間処理が顕著なDSB焦点を誘導したことを示す。対照細胞では、γ−H2AX染色は時間とともに減少し、VP16除去後16時間、γ−H2AZ染色はほとんど検出不可能であり、これらの細胞でDNA修復プロセスが熟達されたものであることが示唆された。対照的に、RPS27L欠乏HCT116細胞は、持続性のγ−H2AX染色を示し、このことはこれらの細胞でDNA損傷が増加したことを示した。これらの結果は、DNA損傷応答においてRPS27Lが保護的役割を果たすという我々の仮説を支持している。
DNA損傷を直接検討するために、次にコメット・アッセイを用いた。このコメット・アッセイは、損傷したDNAが移動して、DNA損傷量に比例した「彗星の尾」を形成する単一細胞ゲル電気泳動アッセイである(The comet assay for DNA damage and repair:
principles, applications, and limitations" MoI Biotechnol, vol. 26, p. 249-261
)。細胞をADRで24時間インキュベートし、回収し、さらにコメット・アッセイの処理をおこなった。図5Cに示すように、ADR誘導DNA損傷は、RPS27L欠乏細胞で著しく増強し、このことはDNA修復でRPS27Lが果たす役割と一致する。次に、我々はDNA損傷が増加することで染色体不安定性が生ずるかどうかを調べた。この可能性を試験するために、微小核(MN)分析を用いた。なぜなら、それは、染色体損傷およびゲノム不安定性についての信頼性の高い指標となることが判明しているからである(Fenech, M. (2005) "hi vitro micronucleus technique to predict chemosensitivity" Methods MoI Med, vol. I ll, p. 3-32; Poonepalli, A., Balakrishnan, L., et al. (2005) "Lack of poly(ADP-ribose) polymerase- 1 gene product enhances cellular sensitivity to arsenite" Cancer Res, vol. 65, p. 10977-10983)。ADR処理に応じてRPS27L欠乏細胞における微小核頻度の増加が見られ、染色体安定に対するRPS27L欠損の効果がさらに支持された(図5D)。全体的に、これらの実験は、ADRによる細胞の処理後に、PRS27Lの損失は、DNA損傷の増加および染色体切断をもたらすことを明らかにしている。
(実施例6)
RPS27L欠乏によってDNA損傷に応じたp21の蓄積が損なわれ、DNA損傷に対する過敏性をもたらす
PRS27L欠乏によってp53野生型細胞のみがDNA損傷に対して感作することから、次に本発明はp53シグナル伝達経路に対するRPS27L欠乏の効果を評価した。p53およびその下流標的p21、puma、およびMDM2に対するRPS27L欠乏の効果を免疫ブロット分析によって調べた。RPS27Lの欠乏がADR誘導p53活性化に対して顕著な効果を示さないことを見いだした(図6A)。しかし、ADRに応じたp21の蓄積は、対照細胞と比較して、RPS27L欠乏細胞では著しく減少した。対照的に、PumaおよびMDM2のp53依存性活性化がRPS27損失に応じた減少が生じなかった。この結果は、RPS27Lの損失に応じたp53によるp21誘導の選択的欠陥を示唆している。RPS27Lが安定的に欠乏したHCT116細胞の状況と同様に、本発明者らは、RPS27Lが一過性形質移入によってノックダウンされたU2OS細胞で、p21タンパク質レベルが実質的に減少するという知見を得た(図6B)。これらの結果は、RPS27Lの損失に応じてp21タンパク質蓄積が損なわれることが細胞の種類に特異的ではなかったことを示している。
さらに、対照細胞と比較してRPS27L欠乏細胞においてp21mRNAレベルの著
しい変化が生じなかったことから、p21タンパク質レベルの減少がp21転写阻害によるものではないという知見が得られた(図6C)。RPS27Lがp21タンパク質発現を制御することの直接的な証拠を得るために、本発明者らは、p21発現ベクター(pcDNA2)を増加量のRPS27発現ベクターとともに、HCT116細胞に同時形質移入したところ、RPS27L過剰発現が用量依存的にp21タンパク質発現を著しく増加させるという結果が得られた(図6D)。まとめると、これらの知見は、RPS27Lがp21タンパク質を正に制御することを示唆している。RPS27Lの損失は、DNA損傷の後にp21タンパク質誘導を弱める結果を生じさせる。
p21欠乏細胞は細胞周期停止が不完全であり、かつDNA損傷剤に対してよりいっそう感受性があるということは、周知である(Bunz, F., Kobayashi, R., et al. (1993) "cDNAs encoding the large subunit of human replication factor C" Proc Natl Acad Sd USA, vol. 90, p. 11014-11018およびFan, S., Chang, J.K., et al. (1997) "Cells lacking CIPl/WAFl genes exhibit preferential sensitivity to cisplatin and nitrogen mustard" Oncogene, vol. 14, p. 2127- 2136)。RPS27L欠乏に応じた表現型変
化にp21減少が果たす機能的役割を明らかにするために、本発明者らは、p21shRNAを安定的に発現するHCT116細胞系統を作り出した(p21shRNAとして、ダールマコン社(Dharmacon Inc. [米国コロラド州ラフィーエット(Lafayette)所在]から得た市販品を用いた)。これらの細胞では、ADR処理後のp21発現およびその誘導は、ほぼ完全に無効になった(図7A)。ADR処理に応答して、p21shRNA細胞が大量に細胞死となり、その一方で対照細胞は増殖が停止したままであった(図7B)。さらに、BrdU染色によって、ADR処理後のBrdU取り込みの抑制がp21欠乏細胞で減少することが示された(図7C)。したがって、p21欠乏細胞は、RPS27L欠乏細胞のアポトーシスおよび細胞周期の表現型に類似していた。p21欠乏細胞でのRPS27Lのさらなるノックダウンは、ADRに応じて、細胞死またはBrdu染色のレベルにさらなる効果を奏した(データ不図示)。これらの結果は、RPS27L欠損細胞でのDNA損傷に応じた不十分なp21タンパク質蓄積が、細胞周期停止およびDNA損傷に対する過敏性を損なうのに十分であることを示唆している。
しかし、ADR処理後のp21欠乏細胞に占める高倍数体細胞数の増加は観察されなかった(図7C)。さらに、コメット・アッセイは、p21欠乏細胞におけるDNA損傷の増加は、PRS21L欠乏細胞の場合のような歴然としたものではなかった(データ不図示)。したがって、RPS27L損失に応じた不完全DNA修復および染色体不安定性の増加は、p21減衰とは独立したもののように見えた。本発明者らは、p53によるRPS27Lの誘導がp21タンパク質蓄積の強化を介したDNA損傷に応じた増殖停止のみならず、付加的な機構を介したDNA修復および染色体安定性も促進することを、提示する(図7D)。まとめると、これらの機能は、効果的にDNA損傷反応を妨げる。
上述した実施例で使用された実験手順についての詳細
細胞培養および薬物
ヒト結腸癌細胞系統HCT116およびそのP53遺伝子ノックアウト由来細胞は、バート、ボーゲルスタイン(Bert Vogelstein)博士がご厚意により提供してくださったものである。HCT116細胞をATCC番号CCL247に基づいて購入することもできる。ヒト骨肉腫細胞系統U2OSおよびSaos−2は、以下のATCC番号にもとづいて購入することができる。すなわち、U2OSはATCC HTB−96、Saos−2はATCC HTB−85およびSH−SY5Y、ATCC CRL−2266である。細胞の増殖を、10%ウシ胎児血清およびペニシリン・ストレプトマイシン(インヴィトロゲン社(Invitrogen))を添加したDMEMでおこなった。アドリアマイシン、エトポシド・リン酸塩(VP16(登録商標))、および5−フルオロウラシルを、シグマ・アルトリッチ社(Sigma−Aldrich)から購入した。
フローサイトメトリー
DNA含有量を数量化することで、細胞周期分析をおこなった。細胞を70%エタノールで固定し、ヨウ化プロピジウム(50μg/ml)で染色した。染色された細胞をFACScalibur(ビー・ディー バイオサイエンス(BD Bioscience))によって分析した。BrdUの取り込み分析およびミトコンドリア膜電位検出に関しては、手引き書に従ってBrdU Flow Kit およびJC−1染色キット(両方とも(ビー・ディー バイオサイエンス(BD Bioscience))を用いた。染色された細胞をFACScalibur(ビー・ディー バイオサイエンス(BD Bioscience))を用いて分析し、CellQuestソフトウェア(ビー・ディー バイオサイエンス(BD Bioscience))を用いて定量した。
RNA干渉による遺伝子発現停止
siRNAオリゴ標的化RPS27L(配列番号1:ggttgctacaagattacta)は、プロリゴ社(Proligo)から購入し、形質移入をLipofectamine 2000(インヴィトロゲン社(Invitrogen))を用いて製造元の情報に従って実施した。安定したノックダウン細胞系統を生成するために、製造元の指示に従い、siRNAをpSIREN−RetroQレトロウィルス発現ベクター(ビー・ディー バイオサイエンス(BD Bioscience)内にクローン化した。2μg/mlピューロマイシンを含有する培地中でウイルス感染細胞を選択し、個々の薬剤耐性クローンの回収、プール、および拡大した。
タンパク質分析および抗RPS27L抗体の産生
細胞を集め、RIPA緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.4、1mM EDTA、150mM NaCl、1%Nonidet P−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム塩、およびプロテイナーゼ阻害剤)で溶解した。溶解産物を16,000xg、40℃で15分間遠心することによって分画した。タンパク質濃度の測定は、Bradford Protein Assay Kit(バイオ・ラッド社(Bio− Rad)を用いておこなった。20〜50μgタンパク質試料をSDS−PAGEによって分離し、Immobilonメンブラン(ミリポア社(Millipore))に転写し、抗体でブロットした。抗p53および抗p21抗体をサンタ・クルーズ社(Santa
Cruz)から入手し、抗MDM2および抗体Puma抗体はメルク社(Merck)から入手した。RPS27Lに対するウサギ多価抗体は、ヒトRPS27L(配列番号2:LHPSLEEEKKKHKK)由来の14個のアミノ酸からなるペプチドに対して産生させたものである。
ルシフェラーゼ・レポート・アッセイ
RPS27Lのプロモータ要素をpGL3ルシフェラーゼ・ベクター(プロメガ社(Promega))にクローン化した。HCT116p53+/−細胞を24穴細胞培養プレートに蒔いて、p53発現ベクターおよびRPS27Lプロモータ・プラスミドを同時形質移入した。形質移入の24時間後、記述通りに、Dual Luciferaseシステム(プロメガ社(Promega))を用いてルシフェラーゼ活性の測定をおこなった(Kho, P.S., Wang, Z., et al. (2004) "ρ53 -regulated transcriptional program associated with genotoxic stress-induced apoptosis" J Biol Chem, vol. 279, p. 21183-21192))。
蛍光抗体法と共焦点顕微鏡
細胞を4穴または8穴培養スライドに播種した。処理後、細胞を3.7%パラホルムアルデヒド含有PBSで固定し、0.2%Triton−X100で透過性にした。細胞を一次抗体(上記「タンパク質分析および抗PRPS27L抗体の産生」の項目を参照)およびAlexa Fluor 488またはAlexa Fluor 546結合二次抗体(インヴィトロゲン社(Invitrogen))を用い、各々1時間にわたって連続的にインキュベートし、Fluorsave(メルク社(Merck))封入剤でマウントした。核染色用にDRAQ5(バイオスタッツ社(Biostats)[英国所在])
を封入剤で希釈した。染色された細胞をZeiss LSM510共焦点顕微鏡で調べた。
プラスミド
pcDNA4/RPS27L−Mycの生成を、正常結腸組織全RNA(アンビオン社(Ambion))、PowerScript Reverse Transcriptase(クロンテック社(Clontech))、およびPlatium PCR SuperMix High Fidelity(インヴィトロゲン社(Invitrogen))を用いたRT−PCRによっておこない、この際、用いたプライマーは、GGTACCATGCCTTTGGCTAGAGATTT (順方向、配列番号3)およびGAATTCTTAGTGTTGCTTTCTTCTAAATGA(逆方向、配列番号4)であった。PCR産物および空のベクターをKpnIおよびEcoRI(ニュー・イングランド・バイオラボ社(NEB))により消化し、T4リガーゼ(NEB)により連結し、その後、形質移入および選択をおこなった。
細胞質分裂は微小核(CBMN)アッセイを妨害した
ADRによる処理の後、細胞をサイトカラシンB(Sigma、5μg/ml)とともに、さらに22時間インキュベートした。次に細胞をトリプシン処理し、続いてカルノワ固定液(酢酸:メタノール、1:3)と3〜4滴のホルムアルデヒド(細胞質固定のため)との組み合わせを用いて固定した。固定された細胞をきれいなスライド上に滴下し、3μg/mlのAcridine Orange(細胞質および核を区別して染色)で染色した(Hande, M.P., et al. (1996) "Induction and persistence of cytogenetic damage in mouse splenocytes following whole-body X-irradiation analysed by fluorescence in situ hybridization. II. Micronuclei." Int J Radiat Biol; vol. 70(4), p.375-83; Hande, M.P., et al. (1997))。
1000個の二核細胞が各試料で記録された。
アルカリ単細胞ゲル電気泳動(コメット)アッセイ
上記した用量のADRで細胞を処理した。既に記述されたように(Poonepalli, A., Balakrishnan, L., et al. (2005)前掲)、処理された細胞を単細胞ゲル電気泳動(コメッ
ト)アッセイにかけ、SYBR緑色染料で染色した。メタシステム社(Metasystems)[ドイツ所在]の分析用ソフトウェア「Comet imager version 1.2」を用いて、コメットの尾部モーメント(tail moment)を生成した。試料毎に無作為に選択した50個のコメットを分析した。観察されたDNA損傷の程度を、コメットの尾部にあるDNAの分画に対応する尾部モーメントとして表した。
RT−PCR分析
RT−PCRのすべてをTitanium One Step RT−PCR Kit(ビー・ディークロンテック(BD Clontech)を用いて実施した。プライマー配列は以下の通り:
p21、順方向、配列番号5: 5’−ATGTCAGAACCGGCTGGGGA−3’;
p21、逆方向、配列番号6: 5’−ATCACAGTCGCGGCTCAGCT−3’;
Puma、順方向、配列番号7:5’−CGGACGACCTCAACGCACAGTA−3’;
Puma、逆方向、配列番号8:5’−AATTGGGCTCCATCTCGGGG−3’;
RPS27L,順方向、配列番号9:5’−GTGACGACCTACGCACACGA−3’;
RPS27L,逆方向、配列番号10:5’−GTGCTGCTTCCTCCTGAAGG−3’;
GAPDH、順方向、配列番号11:5’−CAAAGTTGTCATGGATGACC−3’;
GAPDH、逆方向、配列番号12:5’−CCATGGAGAAGGCTGGGG−3’。
この明細書中の既に公開された文献の羅列または考察は、技術水準の一部またはありふれた一般的知識であると必ずしも認知されるべきものではない。
本明細書中に例証的に説明された本発明は、本明細書中に具体的に開示されていない1または複数の任意の要素や1または複数の限定がなくても、好適に実施することが可能である。したがって、例えば、用語「含む」は、拡張的に読むべきであり、限定的に読むべきものではない。さらに、本明細書中に使用される用語および表現は、説明のための用語として用いられたものであり、限定のためのものではない。また、該用語および表現を、図示および説明した特徴またはその一部のいかなる等価物を除外するために使用することを意図したものではなく、特許請求の範囲に記した本発明の範囲内において種々の修飾が可能であると理解される。したがって、本発明が好ましい実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されてはいるが、開示された本明細書中に具体化された本発明の修飾および変更が当業者によってなされることも可能であり、そのような修飾および変更は本発明の範囲内であると考えられる。
本発明は、本明細書中に大まかに、かつ総称的に記述されている。一般的な開示の範囲内においてより狭く種および亜種に分類された各々についても、本発明の一部を形成するものである。このことは、削除された材料が本明細書中に具体的に詳述されるかどうかに関わらず、任意の対象が属から除かれる条件付または消極的な限定付きの本発明の一般的な記述を含む。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲および非限定的例の範囲内にあり、また本発明の特徴または態様がマーカッシュ(Markush)グループの言葉で説明されている場合、当業者は本発明もまた該マーカッシュ(Markush)グループの任意の個々の構成要素または下位群(サブグループ)の構成要素の言葉で説明されることを理解する。
図1は、p53の直接的な転写標的であるRPS27Lを示す(より詳しくは、実施例1も参照)。 異なるストレス信号に応答してRPS27Lタンパク質が差別的に発現されることを実証したウエスタンブロット分析を示す。 RPS27L発現がp53依存型アポトーシスを調節することを明らかにしている(より詳しくは実施例3を参照)。 RPS27LがDNA損傷に対してDNA損傷焦点を形成する核タンパク質であることを示す(より詳しくは実施例4を参照)。 RPS27L欠損は、不完全な細胞周期チェックポイントおよびDNA修復をもたらす(すなわち、RPS27Lの損失が染色体不安定性に至る)ことを示す(詳しくは、実施例5を参照)。 図6は、RPS27L欠乏がDNA損傷に対するp21蓄積を損なうことを示すウエスタンブロット分析を示す(より詳しくは実施例6を参照)。 図7は、p21欠乏が細胞周期チェックポイント欠損およびDNA損傷に応答したアポトーシスの増加を誘発するのに十分であることを明らかにしている(より詳しくは実施例6を参照)。

Claims (27)

  1. 癌治療に対して細胞を感作する方法であって、RPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することが可能な化合物を前記細胞に投与することを含む方法。
  2. 前記細胞が真核細胞である請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞が哺乳類細胞である請求項2に記載の方法。
  4. 前記哺乳類細胞がヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ブタ、またはウシに由来する請求項3に記載の方法。
  5. 前記RPS27Lタンパク質をコードする前記核酸の活性を調節することが、少なくとも一種類のオリゴヌクレオチドを投与することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記オリゴヌクレオチドがRNA干渉剤またはアンチセンス・ヌクレオチド分子である請求項5に記載の方法。
  7. 前記RNA干渉剤が干渉リボ核酸である請求項6に記載の方法。
  8. 前記干渉リボ核酸がsiRNAまたはshRNAである請求項7に記載の方法。
  9. 前記shRNAが配列番号1で表されるヌクレオチド配列を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 少なくとも一種類の化学療法剤が前記癌治療に用いられる請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記癌治療が化学療法である請求項10に記載の方法。
  12. 前記化学療法剤が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗有糸分裂剤、トポイソメラーゼ抑制剤、白金誘導体、ホルモン療法、シグナル伝達阻害剤、モノクローナル抗体、生物応答調節剤、及び分化誘導剤からなる群から選択される請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記化学療法剤が、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ニュートリン3、リン酸エトポシド、および5−フルオロウラシルからなる群から選択される請求項12に記載の方法。
  14. 癌治療に対して細胞を感作する方法であって、
    RPS27Lタンパク質の活性を阻害することが可能な化合物を前記細胞に投与する方法。
  15. 前記細胞が真核細胞である請求項15に記載の方法。
  16. 前記細胞が哺乳類細胞である請求項14または15に記載の方法。
  17. 少なくとも一種類の化学療法剤が前記癌治療に用いられる請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記癌治療が化学療法である請求項17に記載の方法。
  19. 前記化学療法剤が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗有糸分裂剤、トポイソメラーゼ抑制剤、白金誘導体、ホルモン療法、シグナル伝達阻害剤、モノクローナル抗体、生物応答調節剤、及び分化誘導剤からなる群から選択される請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記化学療法剤が、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ニュートリン3、リン酸エトポシド、および5−フルオロウラシルからなる群から選択される請求項19に記載の方法。
  21. 請求項5〜9のいずれかで定義された少なくとも一種類のオリゴヌクレオチドを含む発現ベクター。
  22. 請求項6〜9のいずれかで定義された少なくとも一種類のRNA干渉剤あるいは請求項6に記載の少なくとも一種類のアンチセンス・ヌクレオチド分子を含む医薬組成物。
  23. 少なくとも一種類のRNA干渉剤と少なくとも一種類のアンチセンス・ヌクレオチド分子とを含む請求項22に記載の医薬組成物。
  24. 請求項10〜13または17〜20のいずれかに示す少なくとも一種類の化学療法剤をさらに含む請求項22または23に記載の医薬組成物。
  25. 医薬として許容し得る送達担体をさらに含む請求項22〜24のいずれかに記載の医薬組成物。
  26. 癌治療に対して細胞を感作する薬物を調製するためのRPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節することが可能な化合物の使用。
  27. 癌治療に対して細胞を感作する薬物を調製するためのRPS27Lタンパク質をコードする核酸の活性を調節する化合物の使用。
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