JP2009527563A - ウイルス感染症を治療するのに有用な置換タラキサスタン - Google Patents

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Abstract

本明細書ではウイルス感染症を治療するのに有用な置換タラキサスタンを提供する。したがって、第1の態様では、本発明は式Iの化合物
Figure 2009527563

式I
および薬学的に許容されるその塩(変数R、RおよびXは本明細書で定義されている)を提供する。本明細書に記載する化合物は、HIVウイルスのHIV1型およびHIV2型などの被包性レトロウイルスの成熟を含む、レトロウイルスの成熟を阻害することによって作用すると考えられる。そうした式Iの化合物を含む医薬組成物が本明細書に含まれる。本明細書では、そうした化合物を用いてHIVウイルスに感染したヒト患者を治療する方法、およびAIDSの死亡率を低減させる方法も提供する。

Description

本明細書ではウイルス感染症を治療するのに有用な置換タラキサスタンを提供する。特定の化合物は、HIV、特にHIV1型を含むレトロウイルスの高度に活性な阻害剤として作用する。そうした化合物を含む医薬組成物が本発明に含まれる。本明細書では、被包性ウイルス、特にHIVに感染した患者を治療する方法、およびAIDSなどのウイルス性疾患の死亡率を低減させる方法も提供する。
本出願は2006年2月21日出願の米国特許仮出願第60/775,138号の優先権を請求するものである。その全体を本願に引用して援用する。
レトロウイルスは、タンパク質カプシド中に包膜された一本鎖RNA粒子を含むウイルスである。レトロウイルスファミリーは3つのグループ、すなわち、ヒト泡沫状ウイルスなどのスプマウイルス;ヒト免疫不全ウイルス1型および2型などのレンチウイルスおよびヒツジのビスナウイルス;ならびにオンコウイルスからなる。
レトロウイルス粒子は2つの同一RNA分子からなる。各ゲノムは5’末端でキャップされ、3’端でポリアデニル化されたプラスセンスの一本鎖RNA分子である。原型C型オンコウイルスRNAゲノムは、ウイルス遺伝子の発現に必須のシグナルを含む領域によって境界がなされたgag、polおよびenvと称される3つのオープンリーディングフレームを含む。gag領域は、ウイルスカプシドの構造タンパク質をコードする。pol領域は、プロテアーゼ、逆転写酵素およびインテグラーゼを含む3つのウイルス酵素をコードする。env領域は、ウイルスエンベロープの糖タンパク質を特定する。これらの3つのオープンリーディングフレームに加えて、レンチウイルスおよびスプマウイルスのより複雑なゲノムは、ウイルス複製の制御に関わる調節タンパク質をコードする追加のオープンリーディングフレームを有する。
AIDSは、レンチウイルスファミリーに属するHIV、非形質転換ヒトレトロウイルスによって引き起こされるレトロウイルス疾患である。HIV1型およびHIV2型と称される、遺伝子的には異なるが関連する2つの型のHIVがAIDS患者から単離されている。HIV1型は、米国、ヨーロッパおよび中央アフリカにおいて、AIDSに関連する最も一般的な型であり、他方、HIV2型は、主に西アフリカにおいて、同様の疾患を引き起こす。
HIV感染症の治療用に現在利用できる薬物は、ウイルスゲノムによってコードされる15のタンパク質のうちの2つである、逆転写酵素(RT)とHIV1型プロテアーゼ(PR)酵素を標的とする。これらの薬物は、独立に投与された場合、不完全なウイルス抑制の条件下で選択される耐性菌が急速に出現するため、その有効性はわずかである。RT阻害剤とPR阻害剤を適切に組み合わせて用いた場合(高度に有効な抗レトロウイルス療法、HAART)、ウイルス量の持続的削減が達成される。しかし、適応性の欠如、抵抗性および他の薬物または食べ物との相互作用に起因して抑制が不十分であると、多くの患者に対するHAART療法の有効性が限られ、薬物−耐性菌のまん延をもたらす可能性があり、これは重大な問題である。
AIDSは日和見感染症、二次腫瘍および精神症状をもたらす著しい免疫抑制を特徴としている。HAART療法が利用可能であるのにもかかわらず、現在の治療法では、AIDSに関わる死亡率および疾病率は重大かつ未解決のままである。有害事象を低減するかまたは改善し、かつAIDSの臨床成績を向上させる、例えば、死亡率を低減させ、疾患に罹患している患者の生活の質を改善することができる新規の治療用化合物および方法が必要とされている。本発明は、HIV感染症を含むウイルス感染症を治療するのに有用な新規の治療用化合物を提供することによってこの必要性を満たし、かつ本明細書に記載するさらなる利点を提供する。
本明細書では、ウイルス複製の阻害剤として有用な化合物を提供する。そうした化合物は、特にHIVウイルスのHIV1型およびHIV2型を含むレトロウイルスを含む被包性ウイルスに対して、抗ウイルス活性を有する。本明細書で提供する化合物は一般に、式Iの置換タラキサスタンおよび薬学的に許容されるその塩である。したがって第1の態様では、式Iの化合物および薬学的に許容される塩を本明細書で提供する。
Figure 2009527563

式I
式中、Xは−CH−、NH、−O−または結合である。
は水素であるか、またはRはC〜C20カルボキシアルカノイル;C〜C20カルボキシアルケノイル;ホスホン酸C〜C20アルカノイルもしくはスルホニルC〜C20アルカノイルであり、そのそれぞれは任意選択で置換されており、各アルカノイルまたはアルケノイルの中で、単一のメチレンは−O−またはNR(Rは水素またはC〜Cアルキルである)で任意選択で置き換えられている。
は−COOH、−CONH、−(CH)OR、−(CH)SR、−(CH(C=O)R、−(CH(C=O)OR、−(CH(C=O)NHRまたは(CH(C=O)NRであり、xは0、1、または2である。
およびRは独立にC〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニルであり、そのC〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニルのそれぞれは任意選択で置換されており、各C〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニルの中で、1つのメチレンはフェニレン基で任意選択で置き換えられており、1つのメチレンは−O−、−(C=O)NR−、−NR(C=O)−またはNR(Rは独立に水素またはC〜Cアルキルである)で任意選択で置き換えられている。
あるいは、RおよびRは一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシで任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル環を形成していてよい。
本明細書では、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と併せて、式Iの化合物またはその塩を含む医薬組成物も提供する。その医薬組成物は、注射可能な流体、エアロゾル、クリーム剤、経口液剤、錠剤、ゲル剤、丸剤、カプセル剤、シロップ剤もしくは経皮パッチ、または他の薬学的に有効な形態で製剤することができる。医薬組成物は、式Iの化合物を単独の活性薬剤として含むこともでき、または1つ以上の追加の活性薬剤を含むこともできる。その1つ以上の追加の活性薬剤は、例えば1つ以上の式Iの追加の化合物、他の抗ウイルス剤または免疫刺激剤でよい。
本明細書では、細胞におけるウイルス複製を阻害する方法であって、インビトロでウイルス複製を検出できる程度に阻害するのに十分な量で、ウイルスに感染した細胞を式Iの化合物またはその塩と接触させ、それによって細胞におけるウイルス複製を阻害することを含む方法を提供する。
本明細書で提供する特定の実施形態内では、ウイルスに感染した細胞はヒトの中に存在するものである。
ヒトまたは非ヒト患者のウイルス感染症を治療または防止する方法であって、治療有効量の式Iの化合物またはその塩を患者に提供することを含む方法を提供する。ウイルス感染症は、HIVウイルスのHIV1型およびHIV2型を含むレトロウイルスなどの被包性ウイルスによる感染でよい。
上述したように、本発明は、式Iの置換タラキサスタンおよびその類似体を提供する。このような化合物は、インビトロでまたはインビボで、HIVウイルス、特にHIV1型ウイルスを含むレトロウイルスなどのウイルス活性を阻害するために用いることができ、また、以下でさらに詳細に論じるように、他の用途を有する。
<用語>
本明細書では一般に、化合物は標準的な命名法を用いて記載する。薬学的に許容される塩の形態、水和物、多形体およびプロドラッグはすべて、本明細書で説明する任意の化合物の定義に含まれる。化合物が様々な互変異性型で存在する場合、言及された化合物は、いずれか1つの特定の互変異性体に限定されるものではなく、すべての互変異性型を包含するものとする。化合物の記述は、その化合物において出現する原子の可能なすべての同位体を有する化合物を包含するものとする。同位体は、原子番号は同じであるが、質量数が異なっている原子である。一般的な例では、これらに限定されないが、水素の同位体は三重水素および重水素を含み、炭素の同位体は11C、13Cおよび14Cを含む。本明細書では、ある種の化合物は変数(例えば、XおよびR)を含む一般式を用いて記載されている。別段の指定のない限り、そうした式の中の各変数は任意の他の変数からは独立に定義され、式の中において2回以上出現する任意の変数は出現毎に独立に定義される。一般に、変数(例えば、X、RおよびR)は、安定化合物をもたらす本明細書に記載の任意の定義を有することができる。
「活性薬剤(active agent)」は、患者に単独かまたは1つ以上の他の薬剤と併用して投与した場合、患者に治療上の利益を提供する任意の化合物、元素(element)またはその混合物である。活性薬剤が化合物である場合、遊離の化合物もしくはその塩の溶媒和物(水和物を含む)、またはその化合物の結晶形体および非結晶形体ならびに様々な多形体が含まれる。例えば、活性薬剤は、化合物の光学異性体および薬学的に許容されるその塩を単独でまたは併せて含むことができる。
「置換タラキサスタン(substituted taraxastane(s))」という用語は、タラキサスタン化合物、例えば式Iの化合物の薬学的に許容される塩、水和物および多形体をすべて包含する。「置換タラキサスタン」は式Iの特定の鏡像異性体、ラセミ化合物および立体異性体も含む。「置換タラキサスタン」は、波線で示した結合において立体構造(stereochemistry)が変化し得る、式Iの化合物の立体異性体(R型およびS型)を含む。立体構造はR、RおよびX変数で示した位置で変化してもよい。
Figure 2009527563

式I
Figure 2009527563

は二重結合でも単結合でもよい結合を示す。次の結合
Figure 2009527563

で連結された炭素原子の原子価は充足されていなければならないが、過剰でなくてもよい。式Iにおいて、
Figure 2009527563

で示した1つの結合は単結合であり、他の結合は二重結合である。したがって、式Iは以下の2つの構造式を含む。
Figure 2009527563

Figure 2009527563
.
「アルキル」は表示した数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素を指す。例えば、C〜Cアルキル基は1〜約6個の炭素原子を有する。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシルおよび3−メチルペンチルなどの1〜20個の炭素原子(C〜C20アルキル)、1〜10個の炭素原子(C〜C10アルキル)および1〜4個の炭素原子(C〜Cアルキル)を有する基を含む。アルキル基は、化学的に適切な任意の部分を介して、対象分子内の原子と結合していてよい。
「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素二重結合が存在する直鎖または分枝鎖の炭化水素基を指す。アルケニル基は、エテニル、アリルまたはイソプロペニルなどの2〜6個、または2〜4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜CアルケニルおよびC〜Cアルケニル基を含む。
「アルコキシ」は酸素の架橋を介して結合している上記のアルキル基を意味する。アルコキシ基は、1〜6個、または1〜4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜CアルコキシおよびC〜Cアルコキシ基を含む。アルコキシ基には、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシおよび3−メチルペントキシが含まれる。
「アルカノイル」は、ケト(−(C=O)−)の架橋を介して結合している上記のアルキル基を表す。アルカノイル基は、表示した数の炭素原子を有し、そのケト基の炭素は、表示した炭素原子の数に含まれる。例えば、Cアルカノイル基は式CH(C=O)−を有するアセチル基である。
「アルキルアミノ」は、一般構造式−NH(アルキル)または−N(アルキル)(アルキル)を有する第二もしくは第三アミンを指し、各アルキルは同じであっても異なっていてもよい。そうした基には、例えば、モノ−および/またはジ−(C〜Cアルキル)アミノ基が含まれ、ただし、各アルキルは直鎖、分枝鎖または環状アルキルであり、同じであっても異なっていてもよく、例えば1〜6個の炭素原子または1〜4個の炭素原子の表示された数の炭素原子を含む。
「カルボキシアルカノイル」は、一方の末端にカルボン酸(−COOH)基を有し、他方の末端にケト(−(C=O)−)基を有するアルキル基を表す。カルボキシアルカノイル置換基は、ケト基の炭素との単一の共有結合を介してコア分子と結合している。カルボン酸基およびケト基の炭素原子は、表示した炭素原子の中に含まれる。したがって、Cカルボキシアルカノイルは次式
Figure 2009527563

の基である。次式
Figure 2009527563

の基はCカルボキシアルカノイル基の例である。
「カルボキシアルケノイル」は、一方の末端にカルボン酸基を有し、他方の末端にケト(−(C=O)−)基を有するアルケニル基を指す。「ホスホン酸アルカノイル」は、一方の末端に(−(P=O)(OH)基を有し、他方の末端にケト(−(C=O)−)基を有するアルカノイル基を指す。「スルホニルアルカノイル」は、一方の末端にスルホニル(−SOH)基を有し、他方の末端にケト(−(C=O)−)基を有する。本明細書で記載するカルボキシアルケノイル、ホスホン酸アルカノイルおよびスルホニルアルカノイル基のそれぞれについて、コア分子との結合点はケト基炭素との単一の共有結合である。
「シクロアルキル」基は、環員として炭素原子を含む完全に飽和した環状基である。シクロアルキル基は、単一の飽和環を有する3〜7員のシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含む。
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素である。
「ハロアルキル」は、1個以上のハロゲン原子で置換された分枝鎖または直鎖アルキル基(例えば、1〜2個の炭素原子を有する「C〜Cハロアルキル」基)である。ハロアルキル基の例には、これらに限定されないが、モノ−、ジ−、またはトリ−フルオロメチル;モノ−、ジ−またはトリ−クロロメチル;モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−フルオロエチル;モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−クロロエチルおよび1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチルが含まれる。典型的なハロアルキル基はトリフルオロメチルおよびジフルオロメチルである。
「ハロアルコキシ」は、酸素の架橋を介して結合している上記のハロアルキル基を表す。「C〜Cハロアルコキシ」基は1〜2個の炭素原子を有する。
2つの文字または記号の間に存在していないダッシュ記号(「−」)は、置換基のための結合点を表すのに用いられる。例えば、−CONHは炭素原子を介して結合している。
本明細書で用いる「ヘテロ原子」は酸素、硫黄または窒素である。
「ヘテロシクロアルキル」基は完全に飽和している上記の複素環である。特定の実施形態では、好ましいヘテロシクロアルキル基は、1つまたは2つの環員がN、OおよびSから独立に選択され、残りの環員が炭素である、5つから7つの環員を有する単一の飽和環を有する5〜7員のヘテロシクロアルキル基である。
「薬学的に許容される塩」は、過度の毒性、炎症、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、ヒトまたは動物の組織と接触して用いるのに適していると当業界で通常考えられている酸性塩または塩基性塩である。そうした塩には、アミンなどの塩基残基の鉱酸および有機酸塩、ならびにカルボン酸などの酸残基のアルカリまたは有機塩が含まれる。具体的な薬剤用の塩には、これらに限定されないが、塩酸、リン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メシル酸、ベンゼンスルホン酸、トシル酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、酢酸などのアルカン酸、HOOC−(CH−COOH(nは0〜4)など酸の塩が含まれる。同様に、薬学的に許容されるカチオンには、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウムおよびアンモニウムが含まれる。当業者は、レミントンのPharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,p.1418(1985)に挙げられているものを含む、本明細書で提供する化合物の薬学的に許容されるさらなる塩を認識するであろう。一般に、薬学的に許容される酸性塩または塩基性塩は、慣用の任意の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。簡単に述べれば、そうした塩は、これらの化合物の遊離酸または遊離塩基の形態物を、水もしくは有機溶媒またはその2つの混合物(一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体を使用することが好ましい)中の理論量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができる。
「プロドラッグ」は、本明細書で提供する化合物の構造要件を完全には満たしていなくてもよいが、患者に投与した後にインビボで改変されて式Iまたは本明細書で提供する他の式の化合物を生成する化合物である。例えば、プロドラッグは本明細書で提供する化合物のアシル化誘導体でよい。プロドラッグには、対象に投与した際にヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が切断されて遊離のヒドロキシ、アミノまたはスルフヒドリル基をそれぞれ生成する任意の基と結合した化合物が含まれる。プロドラッグの例には、これらに限定されないが、本明細書で提供する化合物のアルコールおよびアミン官能基の酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体が含まれる。本明細書で提供する化合物のプロドラッグは、化合物中に存在する官能基を、その改変体が切断されて親化合物になるような形で改変することによって調製することができる。
本明細書で用いる「置換基」は当該分子内の原子と共有結合している分子の部分を指す。例えば、環置換基は、環員である原子(好ましくは炭素または窒素原子)と共有結合しているハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基または他の基などの部分でよい。置換基または芳香族基は通常、環炭素原子と共有結合している。「置換」という用語は、指定された原子の原子価を超えることなく、かつその置換によって化学的に安定した化合物(すなわち、生物活性について単離し、特徴付け、試験することができる化合物)がもたらされるように、分子構造中の水素原子を置換基で置き換えることを指す。
「任意選択で置換された」という語句は、そうした基が、使用できる位置のいずれか1つ以上、一般に1つ、2つ、3つまたは4つで、本明細書に記載のものなどの1つ以上の適切な基によって置換されていなくてもよく、または置換されていてもよいことを表す。
「任意選択で置換された」位置に存在することができる適切な基には、これらに限定されないが、例えばハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、オキソ、アジド、アルカノイル(例えば、アシルまたは同様のものなどのC〜Cアルカノイル基);カルボキサミド;アルキルカルボキサミド;アルキル基、アルコキシ基、1つ以上のチオエーテル結合を有するものを含むアルキルチオ基、1つ以上のスルフィニル結合を有するものを含むアルキルスルフィニル基、1つ以上のスルホニル結合を有するものを含むアルキルスルホニル基、1つ以上のN原子を有するものを含むモノ−およびジ−アミノアルキル基(上記任意選択のアルキル置換基はすべて、酸素または−NH−で置き換えられた1つ以上のメチレン基を有することができ、約1〜約8個、約1〜約6個または1〜約4個の炭素原子を有する)、シクロアルキル;フェニル;フェニルアルキル(ベンジルが例示的なフェニルアルキル基である)、フェニルアルコキシ(ベンジルオキシが例示的なフェニルアルコキシ基である);1つの環と1つ以上のN、OまたはS原子を有する飽和、不飽和または芳香族の複素環基、例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニルおよびピロリジニルが含まれる。置換に使用できる追加の位置を有するそうした任意の基は、例えば、アミノ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシならびにモノ−およびジ−アルキルアミノなどから独立に選択される置換基でさらに置換されていてよい。
「患者」は医療処置を必要とするヒトまたは非ヒト動物を意味する。医療処置は、疾患または障害などの既存の状態の処置、予防または防止処置、あるいは診断的処置を含むことができる。いくつかの実施形態では、患者はヒト患者である。
「提供する(Providing)」とは与えること、投与すること、販売すること、流通させること、移動させること(営利目的または非営利目的で)、製造すること、配合することまたは分配することを意味する。
「治療有効量」という用語は、ヒトまたは非ヒト患者に投与した場合、症状の改善などの何らかの治療的有用性を提供するのに効果的な量、例えばウイルス感染症の症状を低減させるのに効果的な量、好ましくはHIV感染症の症状を軽減するのに十分な量を意味する。特定の状況では、ウイルス感染症に罹患している患者は、感染した症状を示さないこともある。したがって、治療有効量の化合物は、疾患の何らかの兆候に対して好ましい効果を提供するのに十分な量、例えば、患者の血液、血清または組織中のウイルスまたはウイルス抗体の大幅な増大を阻止するか、あるいはその検出できるレベルを著しく減少させるのに十分な量でもある。ウイルスまたはウイルス抗体の検出できるレベルの大幅な増大または減少は、統計的有意性の標準的パラメトリック試験、例えばスチューデントT−検定(p<0.05である)において統計的に有意である任意の検出可能な変化である。
<ウイルス複製の阻害剤>
上記の式Iの化合物およびその塩に加えて、本発明は、以下の条件のうちの1つ以上を満たす式Iの化合物およびその塩を提供する。
式Iは次式の化合物およびその塩を含む。
Figure 2009527563

および
Figure 2009527563
Xは−O−である。
(ii)Rは任意選択で置換されたC〜C20カルボキシアルカノイルであり、アルカノイル中の単一のメチレンは−O−で任意選択で置き換えられている。
(iii)Rは3’炭素原子においてジェミナルに(geminally)置換されているC〜C16カルボキシアルカノイル基である。
(iv)Rは式−(C=O)CHCR’R”(CHCOOHを有する。ただし、nは0〜12の整数である(または、特定の実施形態では、nは0〜4の整数である)。R’およびR”はそれぞれ独立に、C〜Cアルキルであるか、またはR’は水素であり、R”はC〜Cアルキルであるか、あるいはR’およびR”は一緒になって、N、OおよびSから独立に選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を有する3員〜7員のシクロアルキル環または3員〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成している。
(v)Rは式−(C=O)CHC(CH(CHCOOHを有し、nは0または1である。
(vi)Rは式−(C=O)CHO(CHCOOHを有し、nは0〜12の整数である。
(vii)R−X−は、
Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

Figure 2009527563

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Figure 2009527563

および
Figure 2009527563

のうちの1つである。
(viii)Rは、
Figure 2009527563

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または
Figure 2009527563

である。
(ix)Rは式(i)の基
Figure 2009527563

式(i)
である。ただし、j、kおよびlは0〜16の整数であり、j、kおよびlの合計は4〜16である。Yは結合、−O−、−(C=O)NR−、−NR(C=O)−またはNRであり、Zは結合またはフェニレン基であり、R、R、RおよびRは独立に水素またはC〜Cアルキルであり、式(i)の基の中のメチレンとメチル炭素の合計数は20を超えない。
(x)Rは−(C=O)NHRである。
(xi)Rは−(C=O)NHRであり、Rは任意選択で置換されたC〜C20アルキルであり、アルキルにおいて、単一のメチレンは−(C=O)NR−で任意選択で置き換えられている。
(xii)Rは−(C=O)NHRであり、Rは末端が−COOH、−(C=O)OCHまたは−CONHで置換されている。
(xiii)Rは、
Figure 2009527563

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-CH2OH
Figure 2009527563

または
Figure 2009527563

である。
(xiv)Rは−COOHである。
いくつかの実施形態では、Rが少なくとも2個の炭素原子または少なくとも3個の炭素原子を含む基でない限り、Rは水素でないことが好ましい。
安定した化合物が得られる限り、式Iについてのどの上記条件を組み合わせることもできる。
<医薬組成物>
式Iの化合物および塩はそのままの化学物質として投与することができるが、通常、補助剤、希釈剤、賦形剤または他の成分と併用される。
一般式Iの化合物は、通常の非毒性の薬学的に許容される担体を含む投与単位製剤で、経口で、局所で、点眼用液剤として、または他の手段で投与することができる。
本明細書では、組成物が、注射可能な流体、エアロゾル剤、クリーム剤、ゲル剤、丸剤、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、経皮パッチまたは点眼剤として製剤された式Iの化合物またはその塩を含む医薬組成物を提供する。
対象の化合物に加えて、本発明の組成物は、薬学的に許容される担体、動物に投与するのに適した1つ以上の適合した固体もしくは液体の増量希釈剤または被包性物質を含むことができる。担体は、治療される動物への投与に適したものにするのに十分高純度であり、かつ、十分低い毒性でなければならない。担体は不活性であるか、またはそれ自体で薬剤としての利点を備えていてもよい。化合物と一緒に使用する担体の量は、化合物の単位用量当たりの投与する材料の実際量を提供するのに十分な量である。
例示的な、薬学的に許容される担体またはその成分は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびメチルセルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムなどの固体潤滑剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油およびコーン油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;アルギン酸;TWEENSなどの乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;香味剤;錠剤成形剤、安定剤;酸化防止剤;保存剤;発熱物質非含有水;等張食塩水;ならびにリン酸緩衝液である。
具体的には、全身投与のための薬学的に許容される担体には、糖類、デンプン、セルロースおよびその誘導体、モルト、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝液、乳化剤、等張食塩水ならびに発熱物質非含有水が含まれる。非経口的投与のための好ましい担体には、プロピレングリコール、オレイン酸エチル、ピロリドン、エタノールおよびゴマ油が含まれる。
経口製剤は0.1〜99%の本発明の化合物、通常少なくとも約5%(重量%)の本発明の化合物を含む。いくつかの実施形態は、約25%〜約50%または5%〜75%の本発明の化合物を含む。
<液体製剤>
本発明の化合物は、例えば水性または油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤またはエリキシル剤などの経口液体製剤中に混ぜ込むことができる。さらに、これらの化合物を含む製剤は、使用前に水または他の適切な媒体で構成するための乾燥製品として提供することができる。そうした液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ剤、メチルセルロース、グルコース/糖、シロップ剤、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルおよび食用硬化油脂)、乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタンまたはアカシア)、食用油(例えば、アーモンドオイル、ヤシ油、シリルエステル、プロピレングリコールおよびエチルアルコール)を含むことができる非水性媒体ならびに保存剤(例えば、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートおよびソルビン酸)などの慣用的な添加剤を含むことができる。
経口で投与する組成物には、液剤、乳剤、懸濁剤、粉剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、シロップ剤なども含まれる。そうした組成物の調製に適した薬学的に許容される担体は当業界で周知である。経口製剤は保存剤、香味剤、スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤、味覚マスキング剤および着色剤を含むことができる。
シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および懸濁剤のための担体の一般的な成分には、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトールおよび水が含まれる。シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースを用いて製剤することができる。そうした製剤は粘滑薬を含むこともできる。
<懸濁剤>
懸濁剤については、一般的な懸濁化剤はメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC−591、トラガカントおよびアルギン酸ナトリウムを含み、一般的な湿潤剤はレシチンおよびポリソルベート80を含み、一般的な保存剤はメチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムを含む。
水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合された(1つまたは複数の)活性物質を含む。そうした賦形剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム;分散化剤または湿潤剤;天然由来のホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトール置換体、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタン置換体である。水性懸濁剤は1つ以上の保存剤、例えば、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエートを含むこともできる。
油性懸濁剤は有効成分を、植物油、例えばピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油、または流動パラフィンなどの鉱油中に懸濁させることによって製剤することができる。油性懸濁剤は、増粘剤、例えば蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含むことができる。上記で示したものなどの甘味剤、および香味剤を加えて口当たりの良い経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えて保存することができる。
<乳剤>
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態でもよい。その油相は植物油、例えばオリーブ油もしくはピーナッツ油、または鉱油、例えば流動パラフィンまたはこれらの混合物でよい。適切な乳化剤は、天然由来のゴム、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴム、天然由来のホスファチド、例えば大豆、レシチン、ならびに脂肪酸とヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル、無水物、例えばモノオレイン酸ソルビタンおよび前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートでよい。
<錠剤およびカプセル剤>
錠剤は一般に、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトースおよびセルロースなどの不活性希釈剤;デンプン、ゼラチンおよびスクロースなどの結合剤;デンプン、アルギン酸およびクロスカルメロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクなどの滑剤などの薬剤として適合性のある通常の補助剤を含む。粉末混合物の流動特性を改善するために二酸化ケイ素などの流動促進剤を用いることができる。見映えを良くするためにFD&C染料などの着色剤を用いることができる。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミントおよび果実フレーバなどの甘味剤や香味剤は、チュアブル錠に有用な補助剤である。カプセル剤(経時放出および持続放出製剤を含む)は一般に上記に開示した1つ以上の固体希釈剤を含む。担体成分の選択は味覚、コストおよび保存安定性のような二次的考慮事項によってしばしば決まる。
そうした組成物は、一般にpHまたは時間依存性のコーティングを用いて従来の方法によってコーティングし、それによって、対象化合物を、所望の局所適用部近傍の胃腸管内か、または所望の作用を延長させるように異なる時間で放出させることもできる。そうした剤形は一般に、これらに限定されないが、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックスおよびシェラックの1つ以上を含む。
経口使用のための製剤では、有効成分は、不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合された硬質ゼラチンカプセルとして、あるいは、有効成分が、水または油性媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合された軟質ゼラチンカプセルとして存在することもできる。
<注射可能な非経口製剤>
医薬組成物は無菌性の注射可能な水性または油性懸濁剤の形態でよい。この懸濁剤は、上記した適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて当業界で周知の技術によって調製することができる。無菌性の注射可能な製剤は、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒中、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としての無菌性の注射可能な液剤または懸濁剤でもよい。許容される媒体や溶媒には、水、リンゲル液および等張食塩水が含まれる。さらに、無菌性固定油は通常、溶媒または懸濁用媒体として用いられる。このためには、合成のモノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性(bland)の固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は注入物質の調製に有用である。
式Iの化合物は、無菌性媒体に入れて非経口で投与することができる。非経口投与には、皮下注射、静脈内、筋肉内、髄腔内注射または注入技術が含まれる。用いる媒体および濃度に応じて、薬物は、媒体中に懸濁するかまたは溶解することができる。有利には、局所麻酔剤、保存剤および緩衝剤などの補助剤を、媒体中に溶解させることができる。非経口投与のための組成物においては、担体は、全組成物の少なくとも約90重量%を構成する。
<局所製剤>
本発明の化合物は、皮膚、および眼などの粘膜への局所適用のため、眼への適用のため、または嚢内もしくは髄腔内への適用のためなど、局部または局所適用のために、ゲル剤、クリーム剤およびローションの形態で製剤することができる。本発明の局所組成物は、例えば液剤、クリーム剤、軟膏、ゲル剤、ローション、乳液、クレンザ、保湿剤、スプレー剤、皮膚用パッチ剤などを含む任意の形態でよい。
そうした液剤は、適切な塩を有するpH約5〜7の0.01%〜10%等張性溶液として製剤することができる。本発明の化合物は、経皮パッチとして経皮投与用に製剤することもできる。
活性化合物を含む局所組成物は、例えば水、アルコール、アロエゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA油およびビタミンE油、鉱油、プロピレングリコール、PPG−2ミリスチルプロピオネートなどの当業界で周知の様々な担体材料と混合することができる。
局所担体に用いるのに適した他の材料には、例えば皮膚軟化剤、溶媒、保湿剤、増粘剤および粉末剤が含まれる。単独でまたは1つ以上の材料の混合物として用いることができる、この種の材料のそれぞれの例は以下の通りである。
ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ミンクオイル、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン−2−オル、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ−n−ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ココナッツ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシルおよびミリスチン酸ミリスチルなどの皮膚軟化剤;プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素および亜酸化窒素などの噴射剤;エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどの溶媒;グリセリン、ソルビトール、ナトリウム2−ピロリドン−5−カルボキシレート、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチルおよびゼラチンなどの保湿剤;ならびにチョーク、タルク、活性白土、カオリン、デンプン、ゴム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学改変ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機改変モンモリロナイト粘土、ケイ酸アルミニウム水和物、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマ、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびモノステアリン酸エチレングリコールなどの粉末剤である。
本発明の化合物は、小さな単層ベシクル、大きな単層ベシクルおよび多層ベシクルなどのリポソーム送達系の形態で局所に投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から調製することができる。
<他の製剤>
対象の化合物を全身に送達させるのに有用な他の組成物には、舌下、頬側および経鼻剤形が含まれる。そうした組成物は一般に、スクロース、ソルビトールおよびマンニトールなどの可溶性増量物質、ならびにアカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤の1つ以上を含む。上記に開示した流動促進剤、滑剤、甘味剤、着色剤、酸化防止剤および香味剤も含めることができる。
吸入用の組成物は通常、慣用の噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタン)を用いて、乾燥粉末として、またはエアロゾルの形態で投与できる液剤、懸濁剤または乳剤の形態で提供することができる。
<追加の成分>
本発明の組成物は任意選択で活性増進剤を含むこともできる。活性増進剤は、本発明の化合物の抗ウイルス効果を増進させるように様々な形で機能する広範囲の分子から選択することができる。活性増進剤の具体的な部類には、皮膚浸透増進剤および吸収増進剤が含まれる。
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の抗ウイルスまたは治療効果を増進させるように様々な形で機能し得る広範囲の分子から選択される他の活性薬剤を含むこともできる。これらの任意選択の他の活性薬剤は、存在する場合、一般に、約0.01%〜約15%の範囲のレベルで本発明の組成物中に用いられる。いくつかの実施形態では、組成物の約0.1%〜約10重量%が含まれる。他の実施形態では、組成物の約0.5%〜約5重量%が含まれる。
上記実施形態のすべてにおいて、本発明の化合物は単独でも、混合物としても投与することができ、その組成物は、徴候に応じて追加の薬物または賦形剤をさらに含むことができる。
<包装製剤>
本発明は包装した薬剤製剤を含む。そうした包装製剤は、容器の中に1つ以上の式Iの化合物または塩を含む医薬組成物を含み、HIV1型またはHIV2型感染症を含むHIV感染症などのウイルス感染症に罹患している動物(一般にヒト患者)を治療するか、または動物のウイルス感染症を防止する組成物を用いるための説明書を任意選択で含む。特定の実施形態では、説明書は、HIV1型感染症に罹患している患者を治療する組成物を用いるための説明書である。
<治療方法>
本発明は、ウイルス感染症の危険性があるかまたはウイルス感染症に罹患しているヒトもしくは非ヒト患者に、治療有効量の1つ以上の式Iの化合物を提供することによって、ウイルス感染症を防止および治療する方法を含む。動物は、魚類、両生類、は虫類または鳥類でよいが、好ましくは哺乳類である。多くの実施形態では、その動物はヒト患者である。本明細書では、レトロウイルス感染症、例えばHIV1型およびHIV2型感染症を含むHIV感染症などのレンチウイルス感染症を含むウイルス感染症を治療するための方法を開示する。
例示的なウイルスには、
アレナウイルス、
ブニアウイルス、ハンタウイルス、ナイロウイルスおよびフレボウイルスなどのブニアウイルス科、
SARSウイルスおよびトロウイルスを含むコロナウイルスなどのコロナウイルス科、
シストウイルス科、
マールブルグウイルスおよびエボラウイルスを含むフィロウイルス科、
フラビウイルス、ペスチウイルスおよびC型肝炎ウイルスなどのフラビウイルス科(フラビウイルスにはダニ媒介脳炎、黄熱病およびデング熱ウイルスが含まれる。)、
B型肝炎ウイルスなどのヘパドナウイルス科、
単純ウイルス、バリセロウイルスおよびサイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルス科、
インフルエンザウイルスなどのオルトミクソウイルス科、
パラミクソウイルス、モルビリウイルスおよびニューモウイルスなどのパラミクソウイルス科、
エンテロウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、脳心筋炎ウイルスおよびアフトウイルスなどのピコルナウイルス、
レンチウイルス、ヒトスプマウイルスおよびオンコウイルスを含むレトロウイルス(レンチウイルスにはHIVウイルスが含まれる)、ならびに
風疹ウイルスを含むトガウイルス科、
などが含まれる。
本明細書では特に、HIV1型感染症を防止または治療する方法、およびヒト患者のAIDSを治療する方法を含む。
状況によっては、式Iの化合物の有効量は、ウイルス感染症の症状を低減させるのに十分な量でよい。あるいは、式Iの化合物の有効量は、患者の組織または体液中の検出可能なウイルス粒子またはウイルスに対する抗体の量を大幅に低減させるのに十分な量でよい。
本発明は、個体間でのHIVまたは他のウイルスの伝染を防止する方法も提供する。例えば、本発明は治療有効量の式Iの化合物を、妊娠中、または出産の直前、その間もしくはその後に、その女性および/または胎児に提供することを含む感染した妊婦から胎児へのHIV伝染を防止する方法を提供する。
治療方法は、インビトロでウイルス複製を阻害するのに十分な濃度の式Iの化合物を投与することによって、ウイルスに感染した動物においてインビボでウイルス複製を阻害することも含む。ウイルスは、HIV1型を含むHIVなどのレトロウイルスでよい。いくつかの実施形態では、動物はHIV1型に感染しているか、またはAIDSに罹患しているヒト患者である。治療方法は、HIV1型に感染したヒト患者に治療有効量の式Iの化合物を提供することによって、HIV1型感染症および/またはAIDSの死亡率を低減させることも含む。死亡率の低減については、死亡率の低減または生存率の上昇を測定するための一般に認められた任意の手段でよい。例えば、死亡率の低減については、式Iの化合物を投与されておらず、かつHIV1型感染症のための他の何らかの治療を受けていないHIV1型感染患者に対する、式Iの化合物を投与されたHIV1型感染患者の2年超または5年超の生存率でよい。動物に投与される化合物の「十分な濃度」とは、感染症を防止するかまたはそれと戦うのに必要な動物の系における利用可能な化合物の濃度を意味する。そうした濃度は、例えば、化合物の血中濃度についてアッセイを行うか、または理論的にバイオアベイラビリティを計算することによって確認することができる。インビトロでの細菌の生存を阻害するのに十分な化合物の量は、例えば、以下に説明する実施例4aで示す細胞保護アッセイを用いて決定することができる。
約0.1mg〜約140mg/kg体重/日程度の投与レベルが、上記した状態の治療に有用である(患者当たり約0.5mg〜約7g/日)。単一剤形を作製するために担体材料と混合することができる有効成分の量は、治療を受ける宿主や具体的な投与方式に応じて変わることになる。単位剤形は通常約1mg〜約500mgの活性薬剤を含む。
投与の頻度も、用いる化合物および治療される具体的な疾患に応じて変えることができる。しかし、たいていのHIV1型感染症の治療のためには、日に4回以下の投与法が好ましく、日に1回もしくは2回またはそれ未満の投与法が特に好ましい。
しかし、特定の任意の患者に対する具体的な用量レベルは、用いる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与の時間、投与経路、排出速度、薬物併用および治療を受ける具体的な疾患の重篤度を含む様々な因子に依存することが理解されるであろう。
<薬剤の併用>
本明細書では、薬剤として使用するための式Iの化合物と第2の活性薬剤を含む組合せを提供する。第2の活性薬剤は、単一の活性化学物質または2つ以上の活性化学物質を含むことができる。第2の活性薬剤は免疫調節化合物でもよく、または抗ウイルス剤でもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は式Iの化合物と第2の活性薬剤を含み、その第2の活性薬剤は免疫調節化合物もしくは抗ウイルス剤、または上記活性薬剤の1つ以上を含む組合せである。ただし、その第2の活性薬剤は、インターフェロン、ヌクレオシドまたはヌクレオシド類似物ではない。例えば、抗ウイルス剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、CCR5阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤、インテグラーゼ阻害剤または免疫調節化合物でよい。第2の活性薬剤は、上記活性薬剤でも、またその1つ以上の組合せでもよい。一実施形態では、第2の活性薬剤は1日1回またはそれ以下の頻度で投与することができる薬剤である。他の実施形態では、第2の活性薬剤は、D4T(スタブジンとしても知られるZERIT(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)、カルボビル、アシクロビル(ZOVIRAX(登録商標)、GlaxoSmithKline)、3TC、FTC(エムトリシタビン)、RACIVIR(登録商標)(エムトリシタビンとその正の鏡像異性体の混合物)、インターフェロン、ddI(VIDEX(登録商標))、ddC(ザルシタビン)またはL−(−)−FMAU、ファムシクロビルもしくはペンシクロビルまたはエルブシタビンである。
第2の活性薬剤は、単一の化学物質でも、2つ以上の化学物質を含んでもよい。第2の活性薬剤が2つ以上の活性化学物質を含む場合、式Iの化合物は、活性化学物質の1つ以上と単一の剤形で作製し、その他のもの(1つまたは複数)を別個に投与することができる。あるいは、すべての活性化学物質を、単一剤形中に式Iの化合物と混合することができる。
式Iの化合物と1つ以上の他の活性薬剤を含む組合せは本明細書に含まれる。特定の実施形態は、エルブシタビン、追加のヌクレオシド類似物、および非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤のいずれかを含む組合せに関する。非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は、例えばエファビレンツ(SUSTIVA,Bristol−Myers Squibb,New York,NY)またはネビラピン(VIRAMUNE,Boehringer Ingelheim,Danbury,CT)でよい。
免疫調節化合物は、免疫機能を改変または調節することができる任意の化合物であり、HBVおよびHIV治療の関連では、免疫調節化合物には、これらに限定されないが、グルココルチコイド、サリドマイド、αインターフェロンおよびその類似物、IL−2ならびにヘマトポエチンが含まれる。
グルココルチコイドには、これらに限定されないが、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾンおよびデキサメタゾンが含まれる。
サリドマイド類似物には、これらに限定されないが、ACTIMIDおよびREVIMID(Celgene,Warren,NJ)が含まれる。
ヘマトポエチンには、これらに限定されないが、ヘマトポエチン−1およびヘマトポエチン−2が含まれ、また、ヘマトポエチンスーパーファミリの他のメンバ、例えば様々なコロニ刺激因子(例えば、(例えば、G−CSF、GM−CSF、M−CSF)、Epo、SCF(幹細胞因子)、様々なインターロイキン(IL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−11、IL−12)、LIF、TGF−β、TNF−α)および他の低分子量因子(例えば、AcSDKP、pEEDCK、胸腺ホルモンおよびミニサイトカイン)も含まれる。
第2の活性薬剤はチロシンキナーゼ阻害剤を含むことができる。チロシンキナーゼは、アデノシン三リン酸の末端リン酸の、標的タンパク質中に存在するチロシン残基のフェノール系ヒドロキシル基への転移の触媒作用をする酵素の部類である。チロシンキナーゼは、細胞増殖、発癌、アポトーシスおよび細胞分化を含むいくつかの細胞機能のためのシグナル伝達において重要な役割を果たす。チロシンキナーゼ阻害剤は、抗ウイルス特性を有しており、第2の活性薬剤として使用できることが分かっている。チロシンキナーゼ阻害剤には、メシル酸イマチニブ(GLEEVECまたはGLIVEC、Novartis)、ゲフィチニブ(IRESSA、Astra Zeneca)およびエルロチニブ(TARCEVA、OSI Pharmaceuticals)が含まれる。いくつかの他のチロシンキナーゼ阻害剤は臨床試験で第II相または第III相の段階にある。例えば、AMN107(Novartis Pharma AG)は慢性骨髄性白血病の治療用として第II相の臨床試験段階に入る予定であり、リンゴ酸スニチニブ(SU11248としても知られている。商標名SUTENT、Pfizer)は癌治療用として第II相の臨床試験段階にある。エルブシタビン、リンゴ酸スニチニブおよび任意選択のAMN107の併用は本発明の範囲内である。
第2の活性薬剤はCCR5阻害剤を含むことができる。CCR5はHIV1型の融合および侵入に関わる受容体である。CCR5のアミノ末端ドメイン中のチロシンおよび負に荷電した残基はこの機能にとって重要である。CCR5の阻害剤には、小分子、ペプチド、ケモカインおよびその誘導体ならびにモノクローナル抗体が含まれる。現在試験されているCCR5阻害剤にはGlaxoSmithKlinesのGSK−873,140(アプラビロック)およびSchering Plough CorporationのSCH−417690(ビクリビロック)が含まれる。他のCCR5阻害剤には、1−[(2,4−ジメチル−3−ピリジニル)カルボニル]−4−メチル−4−[3(S)−メチル−4−[1(S)−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−1−ピペラジニル]−ピペリジンN1−オキシド;SCH−C;SCH−D;TAK−779;CCR5に対する抗体であるUK−427,857またはマルビロック(marviroc)(Pfizer);ならびに上記CCR5阻害剤の1つ以上を含む組合せが含まれる。
第2の活性薬剤は追加のヌクレオシド逆転写酵素阻害剤を含むことができる。逆転写酵素阻害剤は逆転写酵素を妨害し、ウイルスの複製を阻止する。適切なヌクレオシド逆転写酵素阻害剤には、ラミブジン(EPIVIR、3TC、GlaxoSmithKline)、エルブシタビン(Achillion)、ジドブジン(RETROVIR(AZT)、GlaxoSmithKline)、ラミブジンとジドブジンの併用(COMBIVIR、GlaxoSmithKline)、エムトリシタビン(EMTRIVA、Gilead)、アバカビルおよびラミブジン(EPZICOM、GlaxoSmithKline)、ザルシタビン(HIVID、Roche US Pharmaceuticals)、アバカビル、ジドブジンおよびラミブジン(TRIZIVIR、GlaxoSmithKline)、フマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビン(TRUVADA、Gilead)、ジダノシン(VIDEX、VIDEX EC(持続放出)、Bristol Myers−Squibb)、スタブジン(ZERIT、Bristol Myers−Squibb)ならびにアバカビル(ZIAGEN、GlaxoSmithKline)、アシクロビル、ddI、ddCおよびd4Tが含まれる。ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤の組合せも用いることができる。
第2の活性薬剤は非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤を含むことができる。適切な非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤には、(S)−6−クロロ−4−(シクロプロピルエチニル)−1,4−ジヒドロ−4−(トリフルオロメチル)−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2−オン(エファビレンツ)(SUSTIVA、Bristol−Myers Squibb)、9−[(R)−2−[[ビス[[(イソプロポキシカルボニル)オキシ]メトキシ]ホスフィニル]メトキシ]プロピル]アデニンジソプロキシルフマレート(テノホビル)(VIREAD、Gilead)およびデラビリジン(RESCRIPTOR、Pfizer)が含まれる。非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤の組合せも用いることができる。
第2の活性薬剤はプロテアーゼ阻害剤を含むことができる。プロテアーゼ阻害剤は、新規に生成したタンパク質鎖を切断してより小さいタンパク質にする酵素であるウイルスプロテアーゼを妨害する。適切なプロテアーゼ阻害剤には、例えばアンプレナビル(AGENERASE、GlaxoSmithKline)、ホスアンプレナビル(LEXIVA、GlaxoSmithKline)、GW−433908(アンプレナビルのプロドラッグ、Glaxo/Vertex)、インジナビル(CRIXIVAN、Merck)、サキナビル(FORTOVASE、Roche)、メシル酸サキナビル(INVERASE、Hoffman−La Roche)、ネルフィナビル(VIRACEPT、Pfizer)、リトナビル(NORVIR、Abbott Laboratories)、ロピナビルとリトナビルのブレンド(KALETRA、Abbott Laboratories)、アタザナビル(REYATAZ、Bristol−Myers Squibb)、チプラナビル(APTIVUS、Boehringer−Ingelheim)および上記プロテアーゼ阻害剤の1つ以上を含む組合せが含まれる。
第2の活性薬剤はインテグラーゼ阻害剤を含むことができる。インテグラーゼ阻害剤は、HIVが、宿主細胞中にそれ自体の遺伝物質を挿入するのを阻止し、それによってHIVが新たなウイルスを作製できないようにする。複数のインテグラーゼ阻害剤が現在試験されている。それらにはGilead社のJTK303やMerck社のL−870,810が含まれる。
第2の活性薬剤は融合阻害剤を含むことができる。融合阻害剤は、ウイルスと細胞膜の融合過程を妨害することによって、細胞内へのHIVの侵入を阻止する。ある種の融合阻害剤はCD4細胞内へのHIVの侵入を阻止する。適切な融合阻害剤の1つの例はエンフビルチド(FUZEON、Hoffman−La Roche and Trimeris)である。
第2の薬剤は、ヒドロキシ尿素(HIV再生産に必要な宿主細胞酵素を抑制することによって作用する白血病の治療に用いられる化合物)、ホスカルネットまたはホスホノ酢酸でよい。
(実施例1)
<ベツリン酸からのベツロン酸の合成(スキーム1)>
Figure 2009527563

スキーム1
新たに調製したジョーンズ(Jones)試薬(4.2mL)をアセトン(1L)中のベツリン酸(2g、4.3ミリモル)の撹拌混合液に添加する。10分間撹拌した後、その容積が、当初の容積の約20%(200mL)に減少するまで、減圧下でアセトンを除去する。水(1L)を加え、溶液をろ過する。得られた固体を、フラッシュクロマトグラフィ(80/20ヘキサン/酢酸エチル)でさらに精製してベツロン酸を得る。ときには、酢酸エチルおよびヘキサンの中での結晶化によりさらに精製する必要がある。
(実施例2)
<ベツリンからのヘテロベツリン酸の合成(スキーム2)>
Figure 2009527563
[ステップ1.ギ酸アロベツリン(4)の調製]
ベツリン(3、1.6g、3.62ミリモル)をギ酸(19.2mL)に溶解する。その溶液を2時間還流させる。冷却後、エタノール(48mL)を加え、溶液を2時間撹拌する。溶液をろ過し、真空乾燥して化合物を得る。これをさらに精製することなく次のステップで使用する。
[ステップ2.アロベツリン(5)の調製]
ギ酸アロベツリン(4、1.05g、2.24ミリモル)をトルエン(70ml)および1N KOH/EtOH(8.6mL)の中に溶解し、その溶液を1時間還流させる。冷却後、混合物を、(等量を用いて)水で3回、1N HClで1回洗浄し、水で1回洗浄する。有機層をMgSOで脱水し、ろ過し、回転型蒸発器にかけ(rotovapped)、粗生成物(5)を得る。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製する。
[ステップ3.ジベンゾイルヘテロベツリン(6)]
アロベツリン(5、0.4g、0.90ミリモル)をアルゴン下で乾燥したフラスコに入れる。フラスコに無水ジフェニルエーテル(2〜4mL)を加え、混合物を加熱して固体を溶解させる。新たに蒸留した塩化ベンゾイル(0.4mL、3.2当量)をその溶液に加え、混合物を10時間還流させる。溶液を室温に冷却し、MeOH(6mL)を加え、混合物を終夜撹拌する。少量の固体を収集し、これをろ過し、ろ液を濃縮して粗生成物を濃厚なシロップ剤として得る。粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル(1〜2%)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィ(100〜200メッシュ)により精製して純粋なジベンゾイルヘテロベツリンを白色結晶性固体として得る。また、純粋化合物を溶出させる前に少量のジフェニルエーテルも収集する。
[ステップ4.ヘテロベツリン(7)の調製]
ジベンジルヘテロベツリン(6、0.4g、0.615ミリモル)を、トルエン(67ml)および1N KOH/エタノール(10.5mL)の中で2時間けん化する。その溶液を水で2回洗浄し、NaSOで脱水し、ろ過し、回転型蒸発器にかけ粗生成物(7)を得る。粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル(5〜7%)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィ(100〜200メッシュ)により精製して純粋な生成物を白色結晶性固体として得る。
[ステップ5.ヘテロベツロン酸アルデヒド(8)の調製]
ヘテロベツリン(0.15g、0.34ミリモル)をCHCl(300mL)および無水酢酸ナトリウム(2.087g、25.4ミリモル)に加える。PCC(0.547g、2.54ミリモル)をCHCl(150mL)に溶解し、反応液に加える。反応液を2時間撹拌する。ジエチルエーテル(300mL)を溶液に加え、溶液をセライト(Celite)でろ過し、次いで中性アルミナでろ過し、減圧下で溶媒を除去して8を粗製固体として得る。
[ステップ6.ヘテロベツロン酸(9)の調製]
ヘテロベツロン酸アルデヒド(8、50mg、0.114ミリモル)をアセトン(10mL)に溶解し、新たに調製したジョーンズ試薬(0.1mL)を加える。反応液を15分間撹拌する。水(15mL)を加え、溶液をろ過して9を白色固体として得る。粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル(7〜8%)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィ(100〜200メッシュ)により精製して純粋な酸9を白色結晶性固体として得る。
[ステップ7.ヘテロベツリン(10)]
ヘテロベツロン酸(9、30mg、0.066ミリモル)をTHF(50mL)に溶解し、氷浴中で冷却する。NaBH(22mg)を溶液に加える。溶液を終夜かけて室温に加温する。反応液を1N HClでクエンチし、減圧下で溶媒を除去する。得られた残留物をクロロホルムに溶解し、溶液を等容積の飽和NaCl溶液で2回、水で1回洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去して10を灰白色固体として得る。
(実施例3)
<テルペンの2,2’−ジメチルコハク酸エステルの合成>
Figure 2009527563
ベツリン酸/ウルソル酸/オレアノール酸またはヘテロベツリン(100mg、1.0当量)、ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.0当量)、2,2’−ジメチルコハク酸無水物(10当量)の混合物を無水ピリジン(6ml)中、110℃で18時間還流させる。
反応が完了したら、真空下で反応混合物からピリジンを完全に除去する。次いで粗製物質をトルエンにとり、真空下で2〜3回蒸発させて痕跡量のピリジンを完全に除去する。次いで、得られた固体をn−ヘキサンで、次いで酢酸エチルで粉砕し、上清液中の上位の不純物類(top impurities)のいくらかを除去する。TLCは、得られた固体が、分析にかけるのに十分高純度であることを示している。
(実施例4)
<他のテルペン誘導体>
実施例3で示した方法を用いて、以下のヘテロベツリン酸のコハク酸エステル誘導体および他の誘導体を合成する。
Figure 2009527563

(化合物12)
Figure 2009527563

(化合物13)
Figure 2009527563

(化合物14)
Figure 2009527563

(化合物15)
Figure 2009527563

(化合物16)
(実施例5)
<細胞生存率およびウイルス複製アッセイ>
置換ヘテロベツリン酸の抗ウイルス能を評価するためにウイルス学的検討を実施する。これらの化合物の抗ウイルス効果を、ウイルス複製の阻害と細胞生存率の並行試験によって評価する。これらのアッセイで用いるウイルスおよび細胞はNIH AIDS Reagent Programから得ることができる。
[5a.抗ウイルス効果の判定と細胞毒性の評価]
インビトロでの細胞保護アッセイにより式Iの化合物を試験する。細胞保護アッセイには、HIV1型およびCEM−SS細胞の実験室的に順応させたRF菌株、またはHIV1型およびMT4細胞のNL4/3(アクセッション番号M19921)菌株(NIH AIDS Reagent Programのカタログ#120)を使用する。
CEM−SS細胞を十分に混合し、カウントし、10%加熱不活性化したウシ胎仔血清2mmL−グルタミン、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび10μg/mlゲンタマイシンを入れたRPMI1640培地中に再懸濁させる。RPTI1640中の試験化合物の連続希釈物または半連続希釈物を調製する(一般的な6点カーブ法(6−point curve)のための5回希釈物)。6点細胞生存率カーブ用に100μM〜0.3μMの濃度での化合物の一般的な半対数希釈物を用いる。100μl試験化合物または0.01μM AZTなどの対照化合物を96−ウェルプレートの試験ウェルにピペットで取る。50μlのCEM−SS細胞と既知のMOIの50μlウイルスを、化合物を含むウェルにそれぞれ加える。培地だけを含む試薬バックグラウンドウェルと、100μlのRPMI1640培地および50μlウイルスを含む陰対照ウェルも調製する。
プレートを、加湿COインキュベータ中、37℃で6日間インキュベートする。化合物を含むHIV1型感染細胞のインキュベーションに続いて、細胞生存率を、XTT、MTTもしくはWST−1アッセイ、またはBrdU取り込みアッセイなどの代謝活性の比色アッセイを用いて評価する。その化合物で処置した偽感染細胞の生存率を測定することによって、化合物の細胞毒性を並行して判定する。化合物を有していない非感染細胞を100%生存率対照のために用いる。化合物が加えられていない感染細胞は、ウイルス感染症に起因した細胞死の100%の値をもたらす。生き残っている細胞すなわち生存細胞の数を、CellTiter96試薬(Promega,Madison,WI)を用いたテトラゾリウムをベースとした比色法で定量化する。
[5b.初期ウイルス複製の阻害]
初期遺伝子、Tatの発現を介したウイルス粒子の付着による初期ウイルス複製に対する化合物の効果を、CD4陽性LTR−β−ガラクトシダーゼ発現HeLa(MAGI)細胞指示株を用いて評価する。β−gal発現のレベルを評価するために先に説明したこのアッセイは、本発明者らの実験室で改変して採用した。β−galのレベルは光子検出アッセイにより定量化する。カプシド形成阻害剤で処置されていないウイルス感染細胞は、最も高いレベルの発現をもたらす。効果的なカプシド形成阻害剤は、試験した濃度範囲において、β−gal発現を50%以上低減させ、多くの場合90%を超えて低減させる。
MAGI細胞をトリプシン処理し、トリパンブルー排除法を用いてカウントし、10%FBS完全RPMI1640中に所定の濃度(通常2×10細胞/ウェル)で再懸濁させる。細胞を37℃で終夜インキュベートする。
ウイルスを、Pre−MAGI培地+20μg/ウェルDEAF−デキストラン中で所定のMOI/ウェル、一般に0.01〜1に希釈する。
アッセイプレートを以下のようにセットする。
各薬物を6つの用量で3連で試験する。一般に、6点カーブ法用に100μM〜0.3μMの濃度での化合物の半対数希釈物を用いる。
各プレートには、以下の対照ウェルを含める。
ウイルス対照、全部で200uLのPre−MAGI培地+20ug/mL DEAE−デキストラン中にウイルスおよび20ug/mL硫酸デキストランを入れたもの;
細胞対照、薬物またはウイルスを含まない200uL Pre−MAGI培地+20ug/mL DEAE−デキストラン中に細胞を入れたもの;ならびに、
陽性対照、100uL/ウェルPre−MAGI培地+20ug/mL DEAE−デキストラン、50μL調製/希釈ウイルスおよび50μLの既知の活性の化合物中に細胞を入れたもの。
細胞から培地を除去し、100uL/ウェルPre−MAGI培地+20ug/mL DEAE−デキストランで置き換えて、試験化合物を含むウェルを調製する。50uLの4×濃度試験化合物を各ウェルに加える。50uLの調製/希釈ウイルスを各ウェルに加える。プレート(1つまたは複数)を37℃で48時間インキュベートする。
48時間のインキュベーション期間に続いて、4℃よりGal−Screen試薬を取り出し、使用する前に室温に温める。その試薬が室温に達したら、Gal−Screen基質をGal−Screen緩衝剤AまたはBで1:25に希釈する(960μL毎に40μL)。
試験化合物ウェル、細胞対照、ウイルス対照および陽性対照を含むすべてのウェルから100μLの上清を除去し廃棄する。ウェル毎に100uLのGal−Screen試薬(Applied Biosystems,Foster City,CA)を加える。
室温(25℃)で60〜90分間または一定の光放射に達するまで、プレートをインキュベートする。プレート(1つまたは複数)を照度計で読み取り、0.1〜1.0秒間/ウェルについて測定する。化合物11をこのアッセイにより試験し、0.00125のMOIで2μモル未満のEC50を示すことが分かった。化合物12をこのアッセイにより試験し、0.00125のMOIで100nM未満のEC50を示すことが分かった。どちらの化合物も細胞傷害性は認められなかった。
CDClおよびDMSO中での化合物11のH NMRスペクトルを示す図である。 化合物11のIRスペクトル(積算回数4、分解能4cm−1)を示す図である。 CDClおよびDMSO中での化合物12のH NMRスペクトルを示す図である。 化合物12のIRスペクトル(積算回数4、分解能4cm−1)を示す図である。

Claims (30)

  1. 次式を有することを特徴とする化合物、
    Figure 2009527563

    [式中、
    Xは−CH−、NH、−O−または結合であり、
    は水素であるか、または
    はC〜C20カルボキシアルカノイル;C〜C20カルボキシアルケノイル;ホスホン酸C〜C20アルカノイルもしくはスルホニルC〜C20アルカノイルであり、そのそれぞれは任意選択で置換されており、各アルカノイルまたはアルケノイルの中で、単一のメチレンは−O−またはNR(Rは水素またはC〜Cアルキルである)で任意選択で置き換えられており、
    は−COOHもしくは−CONHであるか、または
    は−(CH)OR、−(CH)SR、−(CH(C=O)R、−(CH(C=O)OR、−(CH(C=O)NHRもしくは−(CH(C=O)NR(xは0、1または2である)であり、
    およびRは独立にC〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニルであり、そのC〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニルのそれぞれは任意選択で置換されており、各C〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニルの中で、1つのメチレンはフェニレン基で任意選択で置き換えられており、1つのメチレンは−O−、−(C=O)NR−、−NR(C=O)−もしくはNR(Rは水素またはC〜Cアルキルである)で任意選択で置き換えられているか、あるいは
    およびRは一緒になって、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシで任意選択で置換された5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル環を形成していてよい]
    または薬学的に許容されるその塩。
  2. 請求項1に記載の化合物またはその塩であって、次式を有することを特徴とする化合物またはその塩。
    Figure 2009527563
  3. 請求項1に記載の化合物またはその塩であって、Xが−O−であることを特徴とする化合物またはその塩。
  4. 請求項3に記載の化合物またはその塩であって、Rが任意選択で置換されたC〜C20カルボキシアルカノイルであり、前記アルカノイルの中で、単一のメチレンが−O−で任意選択で置き換えられていることを特徴とする化合物またはその塩。
  5. 請求項3に記載の化合物またはその塩であって、Rが3’炭素原子においてジェミナルに置換されているC〜C16カルボキシアルカノイル基であることを特徴とする化合物またはその塩。
  6. 請求項3に記載の化合物またはその塩であって、Rが式−(C=O)CHCR’R”(CHCOOH(nは0〜12の整数である)を有し、
    R’およびR”がそれぞれ独立にC〜Cアルキルであるか、あるいは
    R’が水素であり、R”がC〜Cアルキルであるか、あるいは
    R’およびR”が一緒になって3員〜7員のシクロアルキル環、またはN、OおよびSから独立に選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有する3員〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成していることを特徴とする化合物またはその塩。
  7. 請求項6に記載の化合物またはその塩であって、nが0〜4の整数であることを特徴とする化合物またはその塩。
  8. 請求項6に記載の化合物またはその塩であって、R’とR”がどちらもメチルであり、nが0または1であることを特徴とする化合物またはその塩。
  9. 請求項3に記載の化合物またはその塩であって、Rが式−(C=O)CHO(CHCOOHを有し、nが0〜12の整数であることを特徴とする化合物またはその塩。
  10. 請求項1に記載の化合物またはその塩であって、R−X−が
    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    および
    Figure 2009527563

    のうちの1つであることを特徴とする化合物またはその塩。
  11. 請求項3に記載の化合物またはその塩であって、R
    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    または
    Figure 2009527563

    であることを特徴とする化合物またはその塩。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩であって、Rが式(i)の基
    Figure 2009527563

    式(i)
    (式中、
    j、kおよびlは0〜16の整数であり、j、kおよびlの合計は4〜16であり、
    Yは結合、−O−、−(C=O)NR−、−NR(C=O)−またはNRであり、
    Zは結合またはフェニレン基であり、
    、R、RおよびRは独立に水素またはC〜Cアルキルであり、式(i)の基のメチレンおよびメチルの炭素の合計数は20を超えない)
    であることを特徴とする化合物またはその塩。
  13. 請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩であって、Rが−(C=O)NHRであることを特徴とする化合物またはその塩。
  14. 請求項13に記載の化合物またはその塩であって、Rが任意選択で置換されたC〜C20アルキルであり、前記アルキルの中で、単一のメチレンが−(C=O)NR−で任意選択で置き換えられていることを特徴とする化合物またはその塩。
  15. 請求項13に記載の化合物またはその塩であって、Rが末端で−COOH、−(C=O)OCHまたは−CONHで置換されていることを特徴とする化合物またはその塩。
  16. 請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩であって、R
    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    Figure 2009527563

    -CH2OH
    Figure 2009527563

    または
    Figure 2009527563

    であることを特徴とする化合物またはその塩。
  17. 少なくとも1つの薬学的に許容される担体と併せて、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物またはその塩を含むことを特徴とする医薬組成物。
  18. 請求項17に記載の医薬組成物であって、抗ウイルス剤、免疫刺激剤または前記の薬剤の組合せである、1つ以上の他の活性薬剤をさらに含むことを特徴とする医薬組成物。
  19. 請求項18に記載の医薬組成物であって、前記抗ウイルス剤が、ジドブジン、ラミブジン、ザルシタビン、スタブジン、ジダノシン、テノホビル、アバカビル、ネビラピン;デラビルジン、エムトリシタビン、エファビレンツ、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、アンプレナビル、アタザナビル、エンフビルチド、ヒドロキシ尿素、インターロイキン−2、アマンタジン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、γ−インターフェロン、リファンピン、リバビリン、ホスカルネット、エルブシタビン、ホスホノ酢酸、アシクロビル、ガンシクロビルまたは前記の抗ウイルス剤のうちの1つ以上の組合せであることを特徴とする医薬組成物。
  20. 請求項17から19のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、前記組成物を、注射可能な流体、エアロゾル、クリーム剤、経口液剤、錠剤、ゲル剤、丸剤、カプセル剤、シロップ剤または経皮パッチとして製剤されていることを特徴とする医薬組成物。
  21. 細胞におけるウイルス複製を阻害する方法であって、インビトロでウイルス複製を検出できる程度に阻害するのに十分な量で、ウイルスに感染した細胞を請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物またはその塩と接触させ、それによって細胞におけるウイルス複製を阻害することを含むことを特徴とする方法。
  22. 請求項21に記載の方法であって、前記ウイルスがレトロウイルスであることを特徴とする方法。
  23. 請求項21に記載の方法であって、前記ウイルスがHIVであることを特徴とする方法。
  24. 請求項23に記載の方法であって、前記ウイルスがHIV1型であることを特徴とする方法。
  25. 請求項21から24のいずれか一項に記載の方法であって、前記ウイルスに感染した細胞がヒトの中に存在することを特徴とする方法。
  26. レトロウイルスに感染しているか、またはレトロウイルスによる感染に感受性である患者を治療する方法であって、治療有効量の請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物またはその塩を患者に提供することを含むことを特徴とする方法。
  27. 請求項26に記載の方法であって、前記患者がヒト患者であることを特徴とする方法。
  28. 請求項26または27に記載の方法であって、前記レトロウイルスがHIVであることを特徴とする方法。
  29. 請求項28に記載の方法であって、前記レトロウイルスがHIV1型であることを特徴とする方法。
  30. HIV1型感染症の死亡率を低減させる方法であって、治療有効量の請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物またはその塩を、HIV1型に感染したヒト患者に提供することを含むことを特徴とする方法。
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