JP2009527491A - (3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールの結晶形 - Google Patents

(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールの結晶形 Download PDF

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Abstract

式(I):
Figure 2009527491

(I)
の(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールの結晶形が提供される。癌および他の増殖性疾患の治療における、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールの一つ以上の結晶形を含む医薬組成物、並びに(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールの一つ以上の結晶形の使用方法もまた提供される。

Description

本発明は一般に、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールの結晶形に関する。本発明はまた、癌および他の増殖性疾患の治療における、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールの結晶形を含む医薬組成物、並びに(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールの結晶形の使用方法にも関する。
背景技術
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞の細胞膜を横切った生化学的シグナルの伝達に重要である。これらの膜貫通分子は、特徴的には、細胞膜内のセグメントを通して細胞内チロシンキナーゼドメインにつながった細胞外リガンド結合ドメインからなる。
ヒト上皮増殖因子受容体(HER)ファミリーは4つの別個のポリペプチドからなり、各々は他のタンパク質チロシンキナーゼと相同な細胞質内の配列を有する。調査によって、HER1およびHER2が多くの腫瘍型において過剰発現されていることが示されている。HER1が固形腫瘍の大部分において過剰発現されることが示されており、ストロマ成分(stromal element)によるリガンドのオートクリン発現(autocrine expression)またはパラクリンリガンド発現(paracrine ligand expression)によって活性化されうる。大腸および非小細胞肺癌(NSCLC)の80〜90%もHER1発現が示されている。HER2遺伝子増幅および該タンパク質の過剰発現が、全乳癌の約30%で起こることが示されている。臨床試験によって、HER2遺伝子増幅が乳癌における予後不良についての予後指標であることが明確に示されている。乳癌に加えて、HER2遺伝子増幅と、胃癌、唾液腺癌、および膀胱癌における過剰発現との間で良い相関がある。HER1およびHER2の共発現が、乳腺腫瘍、卵巣腫瘍、膀胱腫瘍、および胃腫瘍、並びに頭頚部の扁平上皮癌(SCCHN)において示されている。HER1およびHER2は、EGFおよび関連リガンドによって活性化されるヘテロ二量体を形成するので、ヘテロ二量体のシグナル伝達は、これらの腫瘍の病理生物学において、並びに該受容体の一つだけを標的とする薬剤への耐性において重要な役割を果たすと考えられる。腫瘍細胞における受容体の共発現によって、HER1とHER2の両方のターゲティングが、いずれかの受容体のみを阻害するよりも細胞増殖を調節するのに効果的であることが示唆されている。HER2が過剰発現する細胞を標的とするハーセプチン(登録商標)は、HER2/HER1ヘテロ二量体形成には効果がない。
血管内皮増殖因子(VEGF)は、腫瘍血管新生に必要な分裂促進増殖因子であり、内皮細胞上のVEGF受容体2(VEGFR2)を通してシグナルを送る。VEGFシグナル伝達の阻害が、固形腫瘍、とりわけ大腸およびNSCLCの治療のための臨床的に証明されたアプローチであることが示されている。腫瘍におけるHER1およびHER2発現(ホモ二量体とヘテロ二量体の両方)の疫学、並びに腫瘍増殖をサポートする脈管構造におけるVEGFR2の発現によって、腫瘍と内皮細胞の両方においてこれらの3つのシグナル伝達経路を標的とする分子が、個々の経路のみを阻害するよりも大きな有効性をもたらすことが示唆される。
(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールは、HER1、HER2、HER4、およびVEGFR2の強力な阻害剤であり、それによって様々な腫瘍細胞株における広範囲の抗増殖活性、並びにHER2およびHER1駆動型腫瘍異種移植モデルにおける優れた抗腫瘍効果が示されている。
(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールは、式I:
Figure 2009527491
(I)
の構造を有しており、本明細書で「化合物I」と呼ばれる。化合物Iは、HER1、HER2、およびHER4のような増殖因子受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害し、それによって抗癌剤として有用となる。化合物Iは、本譲受人に譲渡され、その全体が本明細書に引用される、2005年8月18日に公開されたUS 20050182058A1に開示されている。
典型的には、医薬組成物の製造において、目的の特性、例えば、溶解速度、溶解度、バイオアベイラビリティ、および/または保存安定性と均衡を保っている活性成分の形態が求められる。例えば、必要な溶解度およびバイオアベイラビリティを有しており、また医薬組成物の製造または保存の間に、異なる溶解度および/またはバイオアベイラビリティを有する異なった形態へと変換されない十分な安定性も有する活性成分の形態が望ましい。癌のような疾患の治療に適した医薬組成物の製造を可能にする特性および安定性を有する化合物Iの一つ以上の形態が望ましい。さらに、例えば、分取過程の間、化合物Iの単離および/または精製を可能にする化合物Iの一つ以上の形態が望ましい。
単離された様々な形態の広範な試験を通して、室温から50℃の温度で、N−2型がN−1型よりも熱力学的に安定であることが見出されている。N−1型は約137℃で融解し、N−2型として再結晶し、次いで約150℃で融解する。また、N−1およびN−2のスラリー混合物はN−2型に変換し、それが単変的に(monotropically)より安定であることを示している。
発明の概要
本発明の第1の態様によって、N−2型を含む化合物I:
Figure 2009527491
(I)
の結晶形が提供される。
本発明の第2の態様によって、N−1型を含む化合物Iの結晶形が提供される。
本発明の第3の態様によって、N−1型を含む化合物Iの塩酸塩の結晶形が提供される。
本発明のさらなる態様によって、化合物IのN−2型、N−1型、および/またはN−1型の塩酸塩の一つ以上、並びに医薬的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物が提供される。
本発明の別の態様によって、化合物Iの治療上の有効量を治療が必要な哺乳類種に投与することを特徴とし、化合物Iが、N−2型、N−1型、および/またはN−1型の塩酸塩を含む結晶形で提供される、癌の治療方法が提供される。
特定の形態を評価するのに本明細書で用いられる名前、例えば「N−1」などは、類似または同一の物理的および化学的特徴を有するいずれかの他の物質に限定するものと考えられるべきではなく、むしろこれらの命名は、本明細書にもまた与えられる特徴情報に従って解釈されるべき識別子に過ぎないことが理解されるべきである。
発明の詳細な説明
本明細書中で用いられるように、「多形」とは、同一の化学組成を有するが、結晶を形成する分子および/またはイオンの異なった空間配置を有する結晶形をいう。
本明細書で用いられるように、「非結晶の」とは、結晶性ではない分子および/またはイオンの固形をいう。非結晶固形物は、鋭い極大を有する明確な(definitive)X線回折パターンを示さない。
本明細書中で用いられるように、「実質的に純粋」は、結晶形に関連して用いられる場合に、化合物の重量に基づいて、化合物の90重量パーセント超、例えば90、91、92、93、94、95、96、97、98、および99重量パーセント超、また例えば約100重量パーセントと同等の純度を有する化合物の結晶形のサンプルを意味する。残りの物質には、化合物の他の形態、並びに/あるいは反応不純物および/またはその製造で生じる製造不純物が含まれる。例えば、化合物Iの結晶形は、化合物Iの結晶形の90重量パーセント以上の純度を有する場合に実質的に純粋であると見なされうるが、それは残りの10重量パーセントより少ない物質には、化合物Iの他の形態および/または反応不純物および/または製造不純物が含まれるという、当該技術分野において現時点で公知であり一般に受け入れられている方法によって測定されるからである。反応不純物および/または製造不純物の存在は、当該技術分野で公知の分析技術によって決定され、それは例えば、クロマトグラフィー、核磁気共鳴法、質量分析、または赤外分光法でありうる。
本明細書中で用いられるように、パラメータ「分子/非対称単位」とは、非対称単位中の化合物Iの分子数をいう。
本明細書中で用いられるように、単位格子パラメータ「分子/単位格子」とは、単位格子中の化合物Iの分子数をいう。
溶解する場合、化合物Iの結晶形はその結晶構造を失い、それゆえ化合物Iの溶液と呼ばれる。本明細書で開示される化合物Iの一つ以上の結晶形は、該化合物が溶解または懸濁される液体製剤の製造に用いられうる。
化合物IのN−2結晶形、N−1結晶形、および/またはN−1結晶形の塩酸塩の治療上の有効量は、医薬的に許容される担体または希釈剤と組み合わされて、本発明の医薬組成物を提供しうる。「治療上の有効量」によって、単独で投与されるか、または別の治療剤と共に投与される場合、疾患もしくは症状または疾患もしくは症状の進行を予防し、抑制し、もしくは寛解させるのに有効な量が意図される。
本発明によって、化合物I:
Figure 2009527491
(I)
の結晶形が提供される。
本発明の第1の態様によって、化合物Iの無溶媒結晶形が提供され、本明細書で「N−2型(Form N-2)」または「N−2型(N-2 Form)」と呼ばれる。
一つの態様において、結晶形の測定は約25℃の温度で行われ、N−2型の化合物Iは、下表:
Figure 2009527491
におおよそ等しい単位格子パラメータの特徴を有する。
異なる態様において、N−2型の化合物Iは、実質的に図1に示されるものに従ったシミュレーションされた粉末X線回折パターン、および/または実質的に図1に示されるものに従った実測された粉末X線回折パターンの特徴を有する。
別の態様において、結晶形の測定は約25℃の温度で行われ、N−2型の化合物Iは、10.5±0.1、13.0±0.1、13.6±0.1、15.8±0.1、16.2±0.1、16.9±0.1、20.6±0.1、21.2±0.1、21.5±0.1、24.4±0.1、および28.6±0.1から選択される4つ以上の2θ値を含む、好ましくは5つ以上の2θ値を含む、粉末X線回折パターン(約25℃の温度でCuKα λ=1.5418Å)の特徴を有する。室温での特徴的な回折ピーク位置(2θ±0.1度)は、回転キャピラリー(spinning capillary)を有する回折計(CuKα)で収集した質の高いパターン(high quality pattern)およびNIST(米国標準技術局)または他の適当な基準で較正された2θに基づいている。
さらなる態様において、N−2型の化合物Iは、実質的に表1に記載される部分原子座標(fractional atomic coordinate)の特徴を有する。
表1:T=25℃でのN−2型についての部分原子座標
Figure 2009527491
さらなる態様において、N−2型の化合物Iは、実質的に図4に示されるものに従った示差走査熱量測定サーモグラムの特徴を有する。N−2型は、約145℃〜約149℃の範囲にある融点の特徴を有しうる。
別の態様において、N−2型の化合物Iは、約150℃の温度に加熱すると、ごくわずかな重量減少を有する熱重量分析(TGA)サーモグラムの特徴を有する。本発明はまた、実質的に図7に示されるものと同じTGAサーモグラムを示すN−2型の化合物Iも提供する。
さらに別の態様において、N−2型は、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態のこのN−2型の化合物Iは、例えば、
賦形剤および担体から選択される一つ以上の他の成分;並びに
適宜、異なる分子構造の活性化学物質を有する一つ以上の他の活性医薬成分
を適宜含みうる医薬組成物中で用いられてもよい。
好ましくは、N−2型は、シミュレーションされたPXRDパターンにはない余分なピークから生じる実験で測定された粉末X線回折(PXRD)パターンが、全ピーク面積の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満で示される、実質的に純粋な相均一性を有する。シミュレーションされたPXRDパターンにはない余分なピークから生じる実験で測定されたXRPDパターンが全ピーク面積の1%未満である、実質的に純粋な相均一性を有する結晶形が最も好ましい。
例えば、N−2型は、実質的な純度が、純度90重量%超、好ましくは純度95重量%超、より好ましくは純度99重量%超である、実質的に純粋な形態で提供されうる。
異なる態様において、本質的にN−2型の化合物Iからなる組成物が提供される。この態様の組成物は、組成物中の化合物Iの重量に基づいて、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%のN−2型の化合物Iを含んでいてもよい。
本発明の第2の態様によって、化合物Iの無溶媒結晶形が提供され、本明細書で「N−1型(Form N-1)」または「N−1型(N-1 Form)」と呼ばれる。
一つの態様において、結晶形の測定は約25℃の温度で行われ、N−1型の化合物Iは、下表:
Figure 2009527491
におおよそ等しい単位格子パラメータの特徴を有する。
異なる態様において、N−1型の化合物Iは、実質的に図2に示されるものに従ったシミュレーションされた粉末X線回折パターン、および/または実質的に図2に示されるものに従った実測された粉末X線回折パターンの特徴を有する。
別の態様において、結晶形の測定は約25℃の温度で行われ、N−1型の化合物Iは、7.7±0.1、13.4±0.1、14.6±0.1、19.5±0.1、19.8±0.1、20.3±0.1、20.9±0.1、22.7±0.1、および26.9±0.1から選択される4つ以上の2θ値を含む、好ましくは5つ以上の2θ値を含む(CuKα λ=1.5418Å)、粉末X線回折パターン(約25℃の温度でCuKα λ=1.5418Å)の特徴を有する。室温での特徴的な回折ピーク位置(2θ±0.1度)は、回転キャピラリーを有する回折計(CuKα)で収集した質の高いパターンおよびNISTまたは他の適当な基準で較正された2θに基づいている。
さらなる態様において、N−1型の化合物Iは、実質的に表2に記載される部分原子座標の特徴を有する。
表2:T=25℃でのN−1型についての部分原子座標
Figure 2009527491
さらなる態様において、N−1型の化合物Iは、実質的に図5に示されるものに従った示差走査熱量測定サーモグラムの特徴を有する。N−1型は、約134℃〜約140℃の範囲にある融点の特徴を有しうる。
別の態様において、N−1型の化合物Iは、約150℃の温度に加熱すると、最小の重量減少を有する熱重量分析(TGA)サーモグラムの特徴を有する。本発明はまた、実質的に図8に示されるものと同じTGAサーモグラムを示すN−1型の化合物Iも提供する。
さらに別の態様において、N−1型は、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態のこのN−1型の化合物Iは、例えば、
賦形剤および担体から選択される一つ以上の他の成分;並びに
適宜、異なる分子構造の活性化学物質を有する一つ以上の他の活性医薬成分
を適宜含みうる医薬組成物中で用いられてもよい。
好ましくは、N−1型は、シミュレーションされたPXRDパターンにはない余分なピークから生じる実験で測定された粉末X線回折(PXRD)パターンが、全ピーク面積の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満で示される、実質的に純粋な相均一性を有する。シミュレーションされたPXRDパターンにはない余分なピークから生じる実験で測定されたXRPDパターンが全ピーク面積の1%未満である、実質的に純粋な相均一性を有する結晶形が最も好ましい。
例えば、N−1型は、実質的な純度が、純度90重量%超、好ましくは純度95重量%超、より好ましくは純度99重量%超である、実質的に純粋な形態で提供されうる。
異なる態様において、本質的にN−1型の化合物Iからなる組成物が提供される。この態様の組成物は、組成物中の化合物Iの重量に基づいて、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%のN−1型の化合物Iを含んでいてもよい。
本発明の第3の態様によって、化合物Iの塩酸塩結晶形が提供され、本明細書で「N−1型のHCl塩(HCl salt of Form N-1)」または「N−1型のHCl塩(N-1 Form HCl salt)」と呼ばれる。
一つの態様において、結晶形の測定は約25℃の温度で行われ、N−1型の化合物IのHCl塩は、下表:
Figure 2009527491
におおよそ等しい単位格子パラメータの特徴を有する。
異なる態様において、N−1型の化合物IのHCl塩は、実質的に図3に示されるものに従ったシミュレーションされた粉末X線回折パターン、および/または実質的に図3に示されるものに従った実測された粉末X線回折パターンの特徴を有する。
別の態様において、結晶形の測定は約25℃の温度で行われ、N−1型の化合物IのHCl塩は、5.2±0.1、11.2±0.1、16.3±0.1、16.7±0.1、19.1±0.1、22.1±0.1、23.5±0.1、および27.5±0.1から選択される4つ以上の2θ値を含む、好ましくは5つ以上の2θ値を含む(CuKα λ=1.5418Å)、粉末X線回折パターン(約25℃の温度でCuKα λ=1.5418Å)の特徴を有する。室温での特徴的な回折ピーク位置(2θ±0.1度)は、回転キャピラリーを有する回折計(CuKα)で収集した質の高いパターンおよびNISTまたは他の適当な基準で較正された2θに基づいている。
さらなる態様において、N−1型の化合物IのHCl塩は、実質的に表3に記載される部分原子座標の特徴を有する。
表3:T=25℃でのN−1型のHCl塩についての部分原子座標
Figure 2009527491

Figure 2009527491
さらなる態様において、N−1型の化合物IのHCl塩は、実質的に図6に示されるものに従った示差走査熱量測定サーモグラムの特徴を有する。N−1型のHCl塩は、約230℃〜約245℃の範囲にある融点の特徴を有しうる。
別の態様において、N−1型の化合物IのHCl塩は、約150℃の温度に加熱すると、ごくわずかな重量減少を有する熱重量分析(TGA)サーモグラムの特徴を有する。本発明はまた、実質的に図9に示されるものと同じTGAサーモグラムを示すN−1型の化合物IのHCl塩も提供する。
さらに別の態様において、N−1型のHCl塩は、実質的に純粋な形態で提供される。実質的に純粋な形態のこのN−1型の化合物IのHCl塩は、例えば、
賦形剤および担体から選択される一つ以上の他の成分;並びに
適宜、異なる分子構造の活性化学物質を有する一つ以上の他の活性医薬成分
を適宜含みうる医薬組成物中で用いられてもよい。
好ましくは、N−1型のHCl塩は、シミュレーションされたPXRDパターンにはない余分なピークから生じる実験で測定された粉末X線回折(PXRD)パターンが、全ピーク面積の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満で示される、実質的に純粋な相均一性を有する。シミュレーションされたPXRDパターンにはない余分なピークから生じる実験で測定されたXRPDパターンが全ピーク面積の1%未満である、実質的に純粋な相均一性を有する結晶形が最も好ましい。
例えば、N−1型のHCl塩は、実質的な純度が、純度90重量%超、好ましくは純度95重量%超、より好ましくは純度99重量%超である、実質的に純粋な形態で提供されうる。
異なる態様において、本質的にN−1型の化合物IのHCl塩からなる組成物が提供される。この態様の組成物は、組成物中の化合物Iの重量に基づいて、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%のN−1型の化合物IのHCl塩を含んでいてもよい。
本発明はまた、N−2型である化合物Iの結晶形;並びに医薬的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物も提供する。該医薬組成物には、実質的に純粋な形態のN−2型が含まれうる。
本発明はまた、N−1型である化合物Iの結晶形;並びに医薬的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物も提供する。該医薬組成物には、実質的に純粋な形態のN−1型が含まれうる。
さらに、本発明は、N−1型のHCl塩である化合物Iの結晶形;並びに医薬的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。該医薬組成物には、実質的に純粋な形態のN−1型のHCl塩が含まれうる。
本発明はさらに、化合物Iの治療上の有効量を治療が必要な哺乳類種に投与することを特徴とし、化合物Iが、N−2型、N−1型、および/またはN−1型のHCl塩を含む結晶形で提供される、増殖性疾患の治療方法を提供する。好ましくは、哺乳類種はヒトである。該方法は、本質的にN−2型からなる化合物Iを投与することを特徴としてもよい。あるいは、該方法は、本質的にN−1型からなる化合物Iを投与することを特徴としてもよい。また、該方法は、本質的にN−1型のHCl塩からなる化合物Iを投与することを特徴としてもよい。
使用および有用性
本発明は、特定のピロロトリアジンがタンパク質キナーゼの阻害剤であるという発見に基づいている。より具体的には、本発明で記載されるようなピロロトリアジンは、受容体のHERファミリーのメンバーのタンパク質チロシンキナーゼ活性を阻害する。これらの阻害剤は、一つ以上のこれらの受容体によるシグナル伝達に依存している増殖性疾患の治療に有用である。このような疾患には、乾癬、関節リウマチ、並びに、肺、頭頚部、乳房、大腸、卵巣、および前立腺の固形腫瘍が含まれる。本発明は、哺乳類における過剰増殖性障害の治療における、式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは水和物、並びに医薬的に許容される担体の医薬組成物に関する。特に、前記医薬組成物は、HER1(EGF受容体)およびHER2と関連している原発性および再発性固形腫瘍、特にその増殖および拡散(spread)のためにHER1またはHER2に著しく依存する腫瘍、例えば、膀胱、扁平細胞、頭、結腸直腸、食道、婦人科(gynecological)(例えば卵巣)、膵臓、乳房、前立腺、産卵口、皮膚、脳、尿路、リンパ系(例えば甲状腺)、胃、喉頭、および肺の癌の増殖を阻害すると期待される。別の態様において、本発明の化合物はまた、非癌性障害、例えば乾癬および関節リウマチの治療にも有用である。
そのため本発明の更なる態様によれば、温血動物、例えば人間において抗増殖効果を生み出すのに用いる薬物の製造における、式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩の使用が提供される。
本発明の更なる特徴によれば、上記で定義した式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物に投与することを特徴とする、このような治療が必要な温血動物、例えば人間において抗増殖効果を生み出す方法が提供される。
HER1、HER2、およびHER4キナーゼを阻害する能力のおかげで、本発明の化合物は、増殖性疾患、例えば乾癬および癌の治療に用いられうる。HER1受容体キナーゼが、多くの固形腫瘍、例えば頭頚部癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、および乳癌において発現および活性化されることが示されている。同様に、HER2受容体キナーゼが、乳癌、卵巣癌、肺癌、および胃癌において過剰発現されることが示されている。HER2受容体の存在量(aboundance)をダウンレギュレートするか、またはHER1受容体によるシグナル伝達を阻害するモノクローナル抗体は、前臨床試験および臨床試験において抗腫瘍効果が示されている。そのため、HER1およびHER2キナーゼの阻害剤が、いずれの2つの受容体からのシグナル伝達に依存する腫瘍の治療にも効果があることが期待される。また、これらの化合物は、HER受容体ヘテロ二量体シグナル伝達に依存する腫瘍を阻害するのに効果がある。これらの化合物は、単剤として、または他の化学療法剤、例えばタキソール(登録商標)、アドリアマイシン、およびシスプラチンと併用して(同時にまたは連続して)、効果があると期待される。HER1およびHER2シグナル伝達が、血管形成因子、例えば血管内皮増殖因子(VEGF)およびインターロイキン8(IL8)の発現を制御することが示されているので、これらの化合物は、腫瘍細胞の増殖および生存の阻害に加えて、血管形成の阻害から生じる抗腫瘍効果を有すると期待される。HER2受容体は、関節リウマチにおける滑膜細胞の過剰増殖に関与していることが示されており、その炎症性疾患状態の血管形成成分に寄与しうる。本発明で記載された阻害剤は、それゆえ、関節リウマチの治療に効果があると期待される。HER1を阻害するこれらの化合物の能力によって、抗血管新生薬としてのその使用がさらに加えられる。本明細書に引用される以下の文書および引用文献を参照せよ:Schlessinger J. , "Cell signaling by receptor tyrosine kinases", Cell 103(2), p. 211-225 (2000); Cobleigh, M. A., Vogel, C. L., Tripathy, D., Robert, N. J., Scholl, S., Fehrenbacher, L., Wolter, J. M., Paton, V., Shak, S., Lieberman, G., and Slamon, D. J., 「Multinational study of the efficacy and safety of humanized anti-HER2 monoclonal antibody in women who have HER2-overexpressing metastatic breast cancer that has progressed after chemotherapy for metastatic disease」, J. of Clin. Oncol. 17(9), p. 2639-2648 (1999); Baselga, J., Pfister, D., Cooper, M. R., Cohen, R., Burtness, B., Bos, M., D'Andrea, G., Seidman, A., Norton, L., Gunnett, K., Falcey, J., Anderson, V., Waksal, H., and Mendelsohn, J., 「Phase I studies of anti-epidermal growth factor receptor chimeric antibody C225 alone and in combination with cisplatin」, J. Clin. Oncol. 18(4), p. 904-914 (2000); Satoh, K., Kikuchi, S., Sekimata, M., Kabuyama, Y., Homma, M. K., and Homma Y., "Involvement of ErbB-2 in rheumatoid synovial cell growth", Arthritis Rheum. 44(2), p. 260-265 (2001).
上記で定義した抗増殖性治療は、単独療法として適用されるか、または本発明の化合物に加えて、一つ以上の他の物質および/または処置を含みうる。このような結合治療(conjoint treatment)は、治療の個々の構成要素の同時の、連続の、または別々の投与によって遂行されうる。本発明の化合物はまた、公知の抗癌剤および細胞傷害性薬物並びに処置、例えば照射と併用しても有用でありうる。固定用量として製剤化される場合、このような併用製品には、以下に記載する用量の範囲内で本発明の化合物が用いられ、その認められた用量の範囲内で他の医薬的に活性な薬剤が用いられる。組合せ製剤が不適当である場合は、式Iの化合物は、公知の抗癌剤または細胞傷害性薬物、並びに処置、例えば照射と連続して用いられうる。
腫瘍内科学の分野において、異なった形態の処置の組合せを使用して、癌を有する各患者を治療することは通常の慣行である。腫瘍内科学において、上記で定義した抗増殖性、抗血管新生、および/または血管透過性減少治療に加えて、このような結合治療の他の構成要素は、手術、放射線療法、または化学療法でありうる。このような化学療法には、3つの主要なカテゴリーの治療剤が含まれうる:
(i) 上記で定義したものと異なる機序で作用する抗血管新生薬(例えば、リノマイド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤、アンジオスタチン、およびラゾキサン);
(ii) 抗エストロゲン剤のような細胞分裂阻害剤(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、およびヨードキシフェン(iodoxifene))、プロゲストーゲン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール(borazole)、およびエキセメスタン)、抗ホルモン、抗プロゲストーゲン、抗アンドロゲン(例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、および酢酸シプロテロン)、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト(例えば酢酸ゴセレリンおよびロイプロリド)、テストステロン 5α−ジヒドロリダクターゼの阻害剤(例えばフィナステリド)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、抗侵襲剤(anti-invasion agent)(例えばマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤およびウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤)および増殖因子機能(増殖因子、例えばEGF、FGF、血小板由来増殖因子および肝細胞増殖因子)の阻害剤、例えば増殖因子抗体、増殖因子受容体抗体、例えばアバスチン(登録商標)(ベバシズマブ)およびエルビタックス(登録商標)(セツキシマブ);
チロシンキナーゼ阻害剤、およびセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤);並びに
(iii) 腫瘍内科学に用いられる抗増殖性/抗悪性腫瘍薬およびその組合せ、例えば代謝拮抗剤(例えばメトトレキセートのような葉酸代謝拮抗薬、5−フルオロウラシルのようなフルオロピリミジン、プリンおよびアデノシン類縁体、シトシンアラビノシド);
挿入抗腫瘍抗生物質(intercalating antitumor antibiotics)(例えばアントラサイクリン、例えばドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、およびミトラマイシン);
白金誘導体(例えばシスプラチンおよびカルボプラチン);
アルキル化剤(例えばナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、シクロホスファミド、イホスファミドニトロソ尿素、チオテパ;
有糸分裂阻害剤(例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチンおよびタキソイド系、例えばタキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)および最近の微小管剤(microbtubule agent)、例えばエポシロン類縁体、ディスコデルモリド類縁体、およびエリュテロビン類縁体);
トポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド、テニポシド、アムサクリン、およびトポテカン);
細胞周期阻害剤(例えばフラボピリドール);
生物学的応答調節物質、およびプロテアソーム阻害剤、例えばベルケード(登録商標)(ボルテゾミブ)。
上記のように、化合物Iは、その抗血管新生および/または血管透過性減少効果のため興味深い。この化合物Iは、広範囲の病状、例えば癌、糖尿病、乾癬、関節リウマチ、カポジ肉腫、血管腫、肥満症、急性および慢性腎症、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、並びに網膜血管増殖関連の視覚疾患、例えば糖尿病性網膜症に有用であることが期待される。
より具体的には、化合物Iは、様々な癌、例えば(これらに限らないが)以下:
− 癌腫、例えば膀胱癌、乳癌、大腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(例えば小細胞肺癌)、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌、および皮膚癌(例えば扁平上皮癌);
− リンパ系の造血性腫瘍、例えば白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫、およびバーキットリンパ腫;
− 骨髄系の造血性腫瘍、例えば急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形性症候群、および前骨髄球性白血病;
− 間葉に由来する腫瘍、例えば線維肉腫および横紋筋肉腫;
− 中枢および末梢神経系の腫瘍、例えば星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、およびシュワン腫;並びに
− 他の腫瘍、例えばメラノーマ、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトアカントーマ、濾胞性甲状腺癌、およびカポジ肉腫の治療に有用である。
一般に、細胞増殖の制御におけるキナーゼの重要な役割のため、阻害剤は、異常細胞増殖、例えば、良性前立腺肥大症、家族性大腸ポリープ症、神経線維腫症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成もしくは血管手術後の再狭窄、肥大性瘢痕形成、および炎症性腸疾患を特徴とするいずれの疾患過程の治療にも有用でありうる可逆性細胞分裂阻害剤として作用しうる。
式Iの化合物は、チロシンキナーゼ活性の高い発生率を有する腫瘍、例えば結腸腫瘍、肺腫瘍、および膵腫瘍の治療に特に有用である。本発明の化合物の組成物(または組合せ)の投与によって、哺乳類宿主における腫瘍の進行は弱まる。
式Iの化合物はまた、増殖因子受容体、例えばHER1(EGF受容体)、HER2、またはHER4を通して作用するシグナル伝達経路に関連しうる、癌以外の疾患の治療にも有用でありうる。
本明細書で開示された形態の一つである化合物Iは、経口、静脈内、または皮下投与のための医薬的なベヒクルまたは希釈剤で製剤化されうる。該医薬組成物は、目的の投与方法に適した固形もしくは液体ベヒクル、希釈剤、および/または添加剤を用いた古典的な方法で製剤化されうる。経口的に、開示された形態の一つ、例えば化合物IのN−2型、N−1型、および/またはN−1型のHCl塩は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの形態で投与されうる。化合物Iの一つ以上の結晶形、例えばN−2型、N−1型、および/またはN−1型のHCl塩はまた、この投与方法に適した担体を用いた懸濁液としても投与されうる。
化合物Iの有効量は当業者によって決定されてもよく、それには、1回の用量で、または2回から4回の分割用量で、哺乳類について、約0.05から約300mg/kg/日、好ましくは約200mg/kg/日未満の例示的な投与量が含まれる。いずれの特定の患者に対しても、特定の服用量および服用の頻度は変化しうるし、それは様々な要因、投与された形態における化合物Iのバイオアベイラビリティ、化合物Iの代謝的安定性および作用時間、患者の生物種、年齢、体重、全般の健康状態、性別、および食事、投与の方法および時間、排泄速度、混合薬、並びに特定の症状の重症度に依存することが理解される。治療のために好ましい対象には、動物、最も好ましくは哺乳類種、例えばヒトおよび家畜(例えば犬、猫、馬など)が含まれる。化合物Iの投与のための好ましい形態には、N−2型、N−1型、およびN−1型のHCl塩が含まれ;より好ましくは、N−2型である。
経口投与のための例示的な組成物には、液体媒質に分散した本明細書で開示された一つ以上の形態の化合物Iの粒子を含む懸濁液が含まれる。好ましくは、懸濁液には、N−2型、N−1型、およびN−1型のHCl塩の化合物Iが含まれ;より好ましくはN−2型である。該懸濁液にはさらに、例えば、容積を分け与えるための微結晶性セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および当該技術分野で公知の甘味料または香料を含みうる懸濁剤が含まれてもよく;例えば、微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、および/または乳糖、および/または当該技術分野で公知の他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤を含みうる即時放出錠剤が含まれてもよい。N−2型、N−1型、および/またはN−1型のHCl塩の化合物Iはまた、例えば、成形され、圧縮され、または凍結乾燥された錠剤で、舌下および/またはバッカルの投与によっても送達されうる。例示的な組成物には、マンニトール、乳糖、ショ糖、および/またはシクロデキストリンのような速溶性の希釈剤が含まれうる。また、このような製剤には、セルロース(アビセル(登録商標))またはポリエチレングリコール(PEG)のような高分子量の賦形剤;ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、および/または無水マレイン酸共重合体(例えば、ガントレッツ(登録商標))のような粘膜付着を促進する賦形剤;並びにポリアクリル酸共重合体(例えば、カルボポール934(登録商標))のような放出を調節する薬剤も含まれうる。滑沢剤、流動促進剤、香料、着色料、および安定剤もまた、製造および使用を容易にするために加えられうる。
医薬的に活性な物質の製造、安定性、および/または性能はその固形に依存しうるので、典型的には、医薬的に活性な物質の固形は、固形製剤、例えば錠剤またはカプセル剤の製造において重要である。一般に、結晶形は、均一特性、例えば、溶解度、密度、溶解速度、および安定性を有する医薬的に活性な物質を提供する。本発明において、N−2型、N−1型、および/またはN−1型のHCl塩の化合物Iは、錠剤またはカプセル剤の製造、安定な経口製剤の提供、および/または治療が必要な患者への化合物Iの送達に適した特性を有する。
製造方法および評価
結晶形は様々な方法によって製造されうるが、それには、例えば、適当な溶媒からの結晶化または再結晶化、昇華、融解からの成長、固体以外から固体への状態変換、超臨界流体からの結晶化、および噴射スプレーが含まれる。溶媒混合物からの結晶形の結晶化または再結晶化のための技術には、例えば、溶媒の蒸発、溶媒混合物の温度の低下、分子および/または塩の過飽和溶媒混合物への種晶の付加、溶媒混合物の凍結乾燥、および溶媒混合物への貧溶媒(逆溶媒(countersolvent))の付加が含まれる。ハイスループット結晶化技術は、多形を含む結晶形の製造に用いられうる。
多形を含む薬物の結晶、製造方法、および薬物の結晶の評価は、Solid-State Chemistry of Drugs, S. R. Byrn, R.R. Pfeiffer, and J.G. Stowell, 2nd Edition, SSCI, West Lafayette, Indiana (1999)において議論される。
溶媒を用いる結晶化技術のために、溶媒の選択は一般に一つまたはそれ以上の因子に依存し、その因子は例えば、化合物の溶解度、結晶化技術、および溶媒の蒸気圧である。溶媒は組み合わせて用いてもよく、例えば、化合物は第一の溶媒の中に可溶化されて溶液を得、続いて貧溶媒の付加によって溶液中の化合物の溶解度を減少させ、結晶の形成が得られうる。貧溶媒は、化合物が低溶解度を有する溶媒である。
結晶を製造するための一つの方法において、化合物は適当な溶媒の中で懸濁および/または撹拌されてスラリーを得るが、それは加熱されて溶解を促進しうる。用語「スラリー」は、本明細書中で用いられるように、化合物の飽和溶液を意味し、それはまた化合物の付加的な量を含み、所定の温度で化合物および溶媒の不均一な混合物が得られうる。
種晶はいずれの結晶化混合物にも加えられ、結晶化を促進しうる。種晶の添加は、特定の多形の成長を調節し、または結晶性生成物の粒子サイズ分布を調節するのに用いてもよい。したがって、必要な種晶の量の計算は、利用できる種晶のサイズおよび平均的な生成物粒子の目的のサイズに依存し、これは例えば、「Programmed Cooling of Batch Crystallizers」, J. W. Mullin and J. Nyvlt, Chemical Engineering Science, 1971, 26, 369-377に記載されている。一般に、小さなサイズの種晶は、バッチにおける結晶の成長を効果的に調節するのに必要である。小さなサイズの種晶は、大きな結晶のふるい分け、粉砕、または微粉化、あるいは溶液の微結晶化によって生成しうる。結晶の粉砕または微粉化は、目的の結晶形からの結晶化度においていずれの変化(すなわち、アモルファスまたは別の多形への変化)ももたらさないことに注意を払うべきである。
冷却された結晶化混合物は真空下でろ過されてもよく、単離された固体は適当な溶媒、例えば冷却した再結晶溶媒で洗浄してもよく、窒素でパージしながら乾燥して目的の結晶形を得てもよい。単離された固体は、適当な分光学的技術または分析技術、例えば、固体核磁気共鳴法、示差走査熱量測定、粉末X線回折などによって分析し、生成物の好ましい結晶形の形成を確かめてもよい。生じた結晶形を、本来結晶化の手順において用いられる化合物の重量に基づいて、単離収率約70重量パーセント、好ましくは単離収率90重量パーセント以上の量で製造してもよい。生成物は、必要であればともに粉砕され、または網目スクリーンを通過して生成物を粉々にしてもよい。
結晶形は、化合物Iを製造するための最終段階の反応系から直接製造されうる。これは、例えば化合物Iが結晶化されうる溶媒または溶媒混合物を、本方法の最終段階で用いることによって達成されうる。もう一つの方法として、結晶形は蒸留または溶媒付加技術によって得られうる。この目的のための適当な溶媒には、例えば前述の非極性溶媒および極性溶媒、並びにアルコールのようなプロトン性極性溶媒、およびケトンのような非プロトン性極性溶媒が含まれる。
サンプル中の一つより多い結晶形および/または多形の存在は、粉末X線回折(PXRD)または固体核磁気共鳴法のような技術によって決定されうる。例えば、実験で測定されたPXRDパターンとシミュレーションされたPXRDパターンの比較において、余分なピークの存在によって、サンプル中の一つより多くの結晶形および/または多形の存在が示唆されうる。シミュレーションされたPXRDは、単一の結晶X線データから計算されうる。Smith, D.K., 「A FORTRAN Program for Calculating X-Ray Powder Diffraction Patterns」, Lawrence Radiation Laboratory, Livermore, California, UCRL-7196 (April 1963)を参照せよ。
本発明に従った化合物Iの結晶形を、その操作が当業者に周知である様々な技術を用いて評価してもよい。化合物Iの結晶形は、標準化された操作条件下および温度で行われる単結晶X線回折を用いて評価および識別してもよく、それは一定の分析温度での単結晶の形態の単位格子測定に基づいている。オングストローム(Å)でのおおよその単位格子定数、並びに結晶格子の体積、空間群、格子あたりの分子、および結晶密度を、例えば25℃のサンプル温度で測定してもよい。単位格子の詳細な記載は、Stout & Jensen, X-Ray Structure Determination: A Practical Guide, Macmillan Co., New York (1968), Chapter 3 において与えられ、それは本明細書に引用される。
あるいは、結晶格子内の空間関係における固有の原子配置を、測定された部分原子座標に従って評価してもよい。結晶構造を評価する別の方法は、回折プロファイルが、純粋な粉末物質を表すシミュレーションされたプロファイルと比較される(好ましくは、両者は同一の分析温度で実行される)粉末X線回折解析による方法、および一連の2θ値(通常は4つ以上)を特徴とする対象の形態(subject form)についての測定による方法である。
形態を評価する他の方法、例えば、固体核磁気共鳴(NMR)、示差走査熱量測定、サーモグラフィ、および結晶もしくは非結晶の形態の肉眼的検査が用いられうる。またこれらのパラメータを組み合わせて用いて、対象の形態を評価してもよい。
結晶形を、以下に記載する試験方法の一つまたはそれ以上を用いて解析した。
単結晶X線測定
ブルカー−ノニウスCAD4連続回折計(Bruker-Nonius CAD4 serial diffractometer)(Bruker AXS, Inc. Madison, WI)においてデータを収集した。25高角反射の実験用回折計の調節の最小二乗解析を通して、単位格子パラメータを得た。θ−2θ可変走査法による恒温でのCuKα照射(λ=1.5418Å)を用いて強度を測定し、ローレンツ偏光因子についてのみ補正した。バックグラウンド計数を、走査時間の半分について走査の先端で収集した。あるいは、CuKα照射(λ=1.5418Å)を用いたブルカー−ノニウスカッパCCD2000システム(Bruker-Nonius Kappa CCD 2000 system)において単結晶データを収集した。測定した強度データの索引付けおよび加工を、集積プログラムスイート(Collect program suite)(Collect: Data collection software, R. Hooft, Nonius B.V., 1998)におけるHKL2000ソフトウェアパッケージ(Otwinowski, Z. and Minor, W., in Macromolecular Crystallography, eds. Carter, W.C. Jr and Sweet, R.M., Academic Press, NY, 1997)で行った。必要であれば、データ収集の間、オックスフォード クライオシステムズ クライオストリーム冷却器(Oxford Cryosystems Cryostream Cooler)(Oxford Cryosystems, Inc., Devens, MA)の冷却流の中で結晶を冷却した。
構造を直接的な方法によって解析し、マイナー部分の改良を施したSDPソフトウェアパッケージ(SDP Strucuture Determination Package, Enraf-Nonius, Bohemia, NY)または結晶学パッケージ,maXus(maXus Solution and Refinement Software Suite: S. Mackay, CJ. Gilmore, C. Edwards, M. Tremayne, N. Stewart, and K. Shankland.)を用いて、実測した反射に基づいて精密化した。maXusは、回折データから結晶構造を解析し、精密化するためのコンピュータプログラムである。
導かれた原子パラメータ(座標および温度因子)を、完全行列最小二乗法を通して精密化した。精密化において最小化した関数は、Σw(|Fo|−|Fc|)2であった。RをΣ||Fo|−|Fc||/Σ|Fo|として定義し、一方、Rw=[Σw(|Fo|−|Fc|)2/Σw|Fo21/2であり、ここでwは実測強度における誤差に基づく適当な重み関数である。距離マップを、精密化の全段階で調査した。水素原子を、等方性温度因子を用いて理想的な位置に導入したが、水素パラメータは変えなかった。
特に断りがなければ、シミュレーションされた粉末X線回折パターンを、データ収集温度での単結晶原子パラメータから生成した。
粉末X線回折測定−方法A
バックローディング法(backloading method)によって、約200mgをフィリップス粉末X線回折(PXRD)サンプルホルダーの中に詰めた。サンプルをフィリップスMPDユニット(45KV、40mA、Cu Kα)に移した。データを室温で2〜32の2θの範囲で収集した(連続走査モード、走査速度0.03度/秒、オートダイバージェンス(auto divergence)および散乱防止スリット(anti scatter slit)、受光スリット(receiving slit):0.2mm、サンプルスピナー(sample spinner):ON)。
粉末X線回折測定−方法B
ブルカー C2 GADDSを用いて、粉末X線回折データを得た。照射はCu Kα(40KV、50mA)であった。サンプル−検出器距離は15cmであった。粉末サンプルを直径1mm以下の密封したガラスキャピラリーの中に入れ;データ収集の間、キャピラリーを回転させた。少なくとも2000秒のサンプル露出時間(sample exposure time)で、3≦2θ≦35°についてデータを収集した。3〜35度の2θの範囲で、0.02度の2θのステップサイズで、生じた2次元回折円弧(two-dimensional diffraction arc)を合わせて(integrated)、通常の1次元PXRDパターンを作成した。
粉末X線回折測定−方法C
ブルカー GADDS(General Area Detector Diffraction System)マニュアル カイ プラットフォーム ゴニオメーター(manual chi platform goniometer)を用いて、粉末X線回折(PXRD)データを得た。粉末サンプルを直径1mm以下の薄壁ガラスキャピラリー(thin walled glass capillary)の中に入れ;データ収集の間、キャピラリーを回転させた。サンプル−検出器距離は17cmであった。照射はCu Kα(λ=1.5418Å)であった。少なくとも300秒のサンプル露出時間で、3≦2θ≦35°についてデータを収集した。
DSC(オープン皿)
示差走査熱量測定(DSC)実験を、ティー・エイ・インスツルメント(登録商標)モデルQ1000または2920において行った。サンプル(約2〜6mg)をアルミニウム皿において秤量し、100分の1ミリグラムまで正確に記録し、DSCに移した。窒素ガスを用いて50ml/分で装置をパージした。10℃/分の加熱速度で、室温と300℃の間でデータを収集した。下向きの吸熱ピークでプロットを作成した。
TGA(オープン皿)
熱重量分析(TGA)実験を、ティー・エイ・インスツルメント(登録商標)モデルQ500または2950において行った。サンプル(約10〜30mg)を、あらかじめ風袋を量った白金皿に置いた。サンプルの重量を正確に測定し、装置によって1000分の1ミリグラムまで記録した。窒素ガスを用いて100mL/分で炉(furnace)をパージした。10℃/分の加熱速度で、室温と300℃の間でデータを収集した。
実施例
実施例1
無溶媒N−2型
化合物Iの反応混合物(76mL)を、メカニカルスターラー(mechanical stirrer)を備えた三つ口フラスコ(100mL)に満たした。反応混合物には、化合物I、トルエンおよび1−プロパノールもしくはイソブタノールが含まれる。溶液を、大気圧下で49mLに蒸留した。浴温は130℃であり、最終バッチ温度は111℃であった。溶液を87℃に冷却した。種晶(36mg)を入れ、バッチを2時間かけて87℃〜80℃に冷却した。バッチを2時間かけて80℃〜20℃にさらに冷却し、終夜20℃で攪拌し続けた。スラリーを濾過し、ウェットケーキをトルエン(10ml)で洗浄した。ウェットケーキを真空オーブン中、終夜50℃で乾燥した。乾燥した粉末を秤量した(2.98g、89.1M%)。
実施例2
無溶媒N−1型
N−1型は、メタノール、酢酸エチル、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、またはメチルt−ブチルエーテルから製造されうる。化合物I(287mg)を50℃でメタノール(0.4mL)に溶解した。溶液を65℃に加熱して、溶解の完了を確認した。溶液を65℃で30分間攪拌し、90分かけて20℃に冷却し、次いで終夜攪拌し続けた。スラリーを濾過し、ウェットケーキを真空下、終夜30℃で乾燥した。
実施例3
N−1型のHCl塩
化合物I(600mg)を50℃でIPA(18mL)に溶解した。それとは別に、HCl(37%、136.5μL)をIPA(1mL)に溶解した。該HCl溶液(0.1mL)をバッチに加え、該HCl塩(6mg)の種晶を加えた。種晶は溶解しなかった。残存するHCl溶液を、何回かにわけて5時間かけてバッチに加えた。バッチを50℃で1時間攪拌し、1時間かけて20℃に冷却した。スラリーを20℃で少なくとも2時間攪拌した。スラリーを濾過し、ウェットケーキをIPA(2mL)で洗浄した。ウェットケーキを真空下、終夜30℃で乾燥した。乾燥粉末を秤量した(0.4g)。
下記の添付図面を引用して、本発明を説明する。
図1は、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールのN−2結晶形の(室温で)実測および(T=25°で)シミュレーションされた粉末X線回折パターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
図2は、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールのN−1結晶形の(室温で)実測および(T=25°で)シミュレーションされた粉末X線回折パターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
図3は、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールのN−1結晶形の塩酸塩の(室温で)実測および(T=25°で)シミュレーションされた粉末X線回折パターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
図4は、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールのN−2結晶形の示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
図5は、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールのN−1結晶形の示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
図6は、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールのN−1結晶形の塩酸塩の示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
図7は、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールのN−2結晶形の熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
図8は、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールのN−1結晶形の熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
図9は、(3R,4R)−4−アミノ−1−[[4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル]メチル]ピペリジン−3−オールのN−1結晶形の塩酸塩の熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。

Claims (23)

  1. 無溶媒N−2型を含む、化合物I:
    Figure 2009527491
    (I)
    の結晶形。
  2. 本質的に前記N−2型からなる、請求項1の結晶形。
  3. 前記N−2型が実質的に純粋な形態である、請求項1の結晶形。
  4. 前記N−2型が、実質的に図1に示されるシミュレーションされた粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項1の結晶形。
  5. 前記N−2型が、実質的に図1に示される実測された粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項1の結晶形。
  6. 結晶形の測定が約25℃の温度で行われ、前記N−2型が、10.5±0.1、13.0±0.1、13.6±0.1、15.8±0.1、16.2±0.1、16.9±0.1、20.6±0.1、21.2±0.1、21.5±0.1、24.4±0.1、および28.6±0.1から選択される4つ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項1の結晶形。
  7. 結晶形の測定が約25℃の温度で行われ、前記N−2型が、10.5±0.1、13.0±0.1、13.6±0.1、15.8±0.1、16.2±0.1、16.9±0.1、20.6±0.1、21.2±0.1、21.5±0.1、24.4±0.1、および28.6±0.1から選択される5つ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項1の結晶形。
  8. 結晶形の測定が約25℃の温度で行われ、前記N−2型が、下表:
    Figure 2009527491
    に実質的に等しい単位格子パラメータの特徴を有する、請求項1の結晶形。
  9. a) 結晶形の測定が約25℃の温度で行われる、下表:
    Figure 2009527491

    b) 前記結晶形の測定が約25℃の温度で行われる、10.5±0.1、13.0±0.1、13.6±0.1、15.8±0.1、16.2±0.1、16.9±0.1、20.6±0.1、21.2±0.1、21.5±0.1、24.4±0.1、および28.6±0.1から選択される4つ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターン;および/または
    c) 約150℃の温度に加熱すると、ごくわずかな重量減少を有する熱重量分析サーモグラム
    のa)〜c)のいずれか一つ以上の特徴を前記N−2型が有する、請求項1の結晶形。
  10. N−1型を含む、化合物I:
    Figure 2009527491
    (I)
    の結晶形。
  11. 結晶形の測定が約25℃の温度で行われ、前記N−1型が、7.7±0.1、13.4±0.1、14.6±0.1、19.5±0.1、19.8±0.1、20.3±0.1、20.9±0.1、22.7±0.1、および26.9±0.1から選択される4つ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項10の結晶形。
  12. 結晶形の測定が約25℃の温度で行われ、前記N−1型が、下表:
    Figure 2009527491
    に実質的に等しい単位格子パラメータの特徴を有する、請求項10の結晶形。
  13. 前記N−1型が、約134℃〜約140℃の範囲にある融点の特徴を有する、請求項10の結晶形。
  14. N−1型のHCl塩を含む、化合物I:
    Figure 2009527491
    (I)
    の結晶形。
  15. 結晶形の測定が約25℃の温度で行われ、前記N−1型のHCl塩が、5.2±0.1、11.2±0.1、16.3±0.1、16.7±0.1、19.1±0.1、22.1±0.1、23.5±0.1、および27.5±0.1から選択される4つ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項14の結晶形。
  16. 結晶形の測定が約25℃の温度で行われ、前記N−1型のHCl塩が、下表:
    Figure 2009527491
    に実質的に等しい単位格子パラメータの特徴を有する、請求項14の結晶形。
  17. 前記N−1型のHCl塩が、約230℃〜約245℃の範囲にある融点の特徴を有する、請求項14の結晶形。
  18. 請求項1の結晶形、および医薬的に許容される担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物。
  19. 前記結晶形が実質的に純粋な形態である、請求項18の医薬組成物。
  20. 化合物I:
    Figure 2009527491
    (I)
    が請求項1の結晶形で提供され、前記化合物Iの治療上の有効量を治療が必要な哺乳類種に投与することを特徴とする、増殖性疾患の治療方法。
  21. 前記増殖性疾患が非小細胞肺癌または膵癌である、請求項20の方法。
  22. 化合物I:
    Figure 2009527491
    (I)
    が請求項10の結晶形で提供され、前記化合物Iの治療上の有効量を治療が必要な哺乳類種に投与することを特徴とする、増殖性疾患の治療方法。
  23. 化合物I:
    Figure 2009527491
    (I)
    が請求項14の結晶形で提供され、前記化合物Iの治療上の有効量を治療が必要な哺乳類種に投与することを特徴とする、増殖性疾患の治療方法。
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