JP2009527229A - シロアリを制御する方法およびシステム - Google Patents

シロアリを制御する方法およびシステム Download PDF

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Abstract

害虫シロアリを制御する方法。害虫シロアリが感知可能であり害虫シロアリの挙動に影響を与える振動信号が生成され、媒体に結合されて害虫シロアリに感知される。忌避的シロアリ警告信号を用いてもよい。新しいタイプの採餌信号が開示されており、シロアリを餌におびき寄せるために適用することができる。
【選択図】 図41

Description

本発明は、害虫制御、特に振動信号を生成することによるシロアリ害虫制御に関する。
本出願は、2006年2月24日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2006200814号および米国仮特許出願第60/776842号に基づく優先権を主張する。上記出願の内容を参照することにより本明細書に援用する。
シロアリは生きている又は死んだ植物組織、例えば木材、ガラス、または紙およびボール紙などの人工製品という形態のセルロースをエサとする。シロアリは、主要ペア(女王シロアリと王シロアリ)およびそれを助ける多くの働きシロアリからなるコロニーに生息し、さらに略奪者からコロニーを守る、働きシロアリよりも少数の兵隊シロアリも存在する。通常、幼虫も存在する。特定の天候(通常は嵐)が引き金となって、雄と雌の有翅虫ら(翼のあるシロアリ)が親の巣を離れてつがい、離散し、新たなコロニーを確立する、つがい戦争が始まる。
シロアリ種は通常「地中派」シロアリ、「乾木派」シロアリまたは「湿木派」シロアリに分類される。ほとんどの害虫種は地下派シロアリであり、土および水分との接触を必要とする。地下派の巣は土の盛り上がりとして目に見えるか、あるいは地下、湿った木材の中、または立木の中に隠れている。働きシロアリは巣から遠い摂食源まで地中トンネルを掘り、地中トンネルは時には50メートルを超える長さにもなる。建造物が攻撃されると、1を超える入口点ができることもある。木材の攻撃されやすさは様々であるが、攻撃を受けやすい木材には柔らかい木も堅い木も含まれる。シロアリに荒らされた木材はえぐられることが多い。地中シロアリは世界中のシロアリ害虫問題のおそらく95%を占めている。
家屋の骨組みに対する損害は非常に高価となることがあり、費用のかかる修理を必要とすることがある。最悪の場合、家屋または構造物が使用禁止となり取り壊さなければならないこともある。オーストラリアだけでも毎年、地中シロアリの害虫管理に1億オーストラリアドル、さらに関連する構造物損害の修理に6億8千万オーストラリアドルが必要であると推定されている。
シロアリ害虫制御法としては様々なものがある。特定の構造物にシロアリを寄せ付けないことを目的とする防御的方法には、物理的障壁、化学的障壁、毒餌システム、およびシロアリ耐性建材の使用が含まれる。例えば、床、レール、ベランダ、パーゴラおよび階段などの木材要素を地面と接触しないように保つ必要があり、さらに木、灌木および蔦のように這い登る植物と接触しないように保つ必要がある。成熟したユーカリ、木の切株、床梁支持硬材などにできたシロアリの巣は、建造物への侵入源となる可能性があり、防御的方法により破壊することができる。建造物がコンクリート板上にある場合は、土または木材が外壁にもたれて積み重なっていないことを確認することが、さらなる防御的方法となる。シロアリが木の切株または煉瓦製支持台上にある建造物に入ることを阻止するためには、通常「アリキャップ」が提供される。このようなアリキャップは、切株上に設けられて切株の側面から全方向に延びる円形または四角形の金属などを含み、シロアリのトンネルが地面から家屋まで形成されることを阻止する。このようなアリキャップは割れ目ができていないかどうか、定期的にチェックしなければならない。
建造物または構造物にシロアリが侵入していることが判明した場合、駆除手段が必要となる。化学的処理はシロアリ害虫制御の除去形態としては有効であり得るが、侵入を化学的に処理することができるのは免許のある害虫管理人のみである。さらに1995年に環境上の理由で有機塩化物殺虫剤の使用が禁止されたため、化学的シロアリ害虫制御はより困難になっている。害虫管理人は可能であればシロアリの源である巣を見つけて処理することを通常試みてもいる。
さらなる駆除手段としては、化学的土障壁または毒餌システムを据え付けることが含まれる。毒餌システムは、侵入を監視し処理するには有用であるが成功の度合いはまちまちである。なぜならシロアリは毒餌がある場所を迅速に見つけることがないからである。さらに毒餌がある場所にシロアリを誘引する公知の有効な手段がない。寄生虫菌および線虫などの生物学的シロアリ害虫制御因子も、可能性のある駆除手段として考えられている。
シロアリ間の社会的相互作用の調査も行われている。例えば、多くのシロアリ種では、兵士シロアリが脅威を察知すると兵士シロアリから他のシロアリへ警告信号が送られることが判明している。このような警告信号は、兵士シロアリが基層(substrate)に頭を打ち付けるか又は基層に固く保持された身体を揺することにより、一連の基層振動パルスを生成するという様式で音として生成される。搬送波の周波数は基層に依存し(場合によっては1kHz前後)、パルスの反復率は数十ヘルツである。この種の働きシロアリは、触角基部および脛骨に振動を感知する数種類の器官を有しており、振動音警告信号の一連のパルスを感知し、解釈し、巣に退去することにより警告信号に応答する能力を有する。さらに他の働きシロアリは、頭を打ち付けることによって自身の警告信号の生成を開始することにより、警告信号に応答する。
しかし、脅威に対する上記のような社会的相互作用とは対照的に、シロアリ害虫制御の大きな困難は、シロアリの採餌(foraging)挙動が概して十分に解明されていないことである。通常認識されているのは、シロアリは何でもがつがつと食べ、見つけた木はすべて消費するということである。しかし実際、シロアリは食糧に対して非常に選り好みをする。木種の美味しさと堅さ、および植物が作り出す防御的化学物質が重要である。しかしこれらが唯一の評価基準ではなく、シロアリが見るからに美味しそうな木片を見つけても食べようとはしないことに関しては逸話的説明が数多くある。シロアリが木片を食べるに適していると評価するメカニズム全体が十分に解明されていないことは明らかである。
さらに働きシロアリが大きな音をたてて食べることにより騒がしい音が発生する。このような音はシロアリの存在を検知できる手段であるが、害虫駆除制御の適用が必要である。音は、乾燥、熱、圧力またはシロアリの摂食により木の繊維が破壊されて発生し、20kHzを超えることがある。
本明細書に含まれる文献、行為、材料、装置、器具などに関する記載は、本発明を説明するためだけのものである。これらのいずれか又はすべてが先行技術の一部であるとか、本発明に関連する技術分野において本出願の各請求項の優先日前に存在した一般的な知識であるとかということを認めるものではない。
本明細書の全体を通して、用語「含む」またはその文法的変化形は、記載した要素、整数、工程、または要素群、整数群、工程群を含むことを示唆していると理解されるものであり、他の要素、整数、工程、または要素群、整数群、工程群を排除することを意図するものではない。
第1の観点によると、本発明は、害虫シロアリを制御する方法であって、
前記害虫シロアリが感知可能であり前記害虫シロアリの挙動に影響を与える振動信号を生成する工程と、
前記振動信号を媒体に結合して前記害虫シロアリに感知させる工程と、を含む方法を提供する。
第2の観点によると、本発明は、害虫シロアリを制御する装置であって、
前記害虫シロアリが感知可能であり前記害虫シロアリの挙動に影響を与える振動信号を生成する信号生成器と、
前記振動信号を媒体に結合して前記害虫シロアリに感知させるトランスデューサと、を含む装置を提供する。
従って本発明は、シロアリの挙動に影響を与える振動信号を感知するシロアリの能力を利用することが可能であることを認識する。この認識を特に害虫制御に適用することにより、本発明の実施形態は防御的および/または駆除的シロアリ害虫制御において価値のあるツールを提供することができる。
振動信号は、警告信号、採餌信号、音発生信号、人工的に合成した信号、または害虫シロアリの挙動に影響を与えるこれらの信号の組合せであってもよい。このような信号が第1の害虫シロアリ種と第2の害虫シロアリ種とで異なる場合、本発明の実施形態は1つの特定の害虫シロアリ種に適合されてもよい。
好ましい実施形態では、振動信号は振動採餌信号である。本発明は、振動採餌信号を生成することにより、対象の害虫シロアリに元々備わっている採餌挙動を利用してシロアリ害虫の挙動に影響を与えることが可能であることを認識する。本発明のこのような好ましい実施形態では、振動採餌信号は害虫シロアリに誘引的である。
振動信号が害虫シロアリに誘引的である実施形態では、シロアリ制御活性物質が提供されてもよい。
従って第3の観点によると、本発明は、害虫シロアリを制御する方法であって、
前記害虫シロアリを誘引する振動採餌信号を生成する工程と、
前記信号採餌信号を媒体に結合して前記害虫シロアリに感知させる工程と、
前記振動採餌信号に誘引されている前記シロアリをシロアリ制御活性物質に曝す工程と、を含む方法を提供する。
第4の観点によると、本発明は、害虫シロアリを制御する装置であって、
前記害虫シロアリを誘引する振動採餌信号を生成する信号生成器と、
前記振動採餌信号を媒体に結合して前記害虫シロアリに感知させるトランスデューサと、
前記振動採餌信号に誘引されている前記シロアリが曝されるシロアリ制御活性物質と、を含む装置を提供する。
本発明の実施形態では、振動採餌信号は好ましくは対象である害虫シロアリから記録され、信号生成器を介して再生される。さらなる実施形態では、振動採餌信号は、同時または順に再生された複数のこのような記録の組合せであってもよいし、自然信号に基づいた人工合成信号であってもよい。
従って本発明の第3および第4の観点の実施形態は、信号生成器およびトランスデューサを公知のタイプのシロアリ餌ステーションに追加することを含む。誘引的振動信号を生成することにより、シロアリは誘引されて餌ステーションに入る。従ってシロアリは、他の場合に比べて迅速に餌ステーションを見つける可能性がある。
これに加えてまたはこれに代えて、誘引的振動信号は非忌避的殺虫剤で処理した土または木にシロアリをおびき寄せるために用いられてもよい。これに加えてまたはこれに代えて、誘引的振動信号は保護が望まれる特定の構造物または場所からシロアリを忌避するために用いられてもよい。
本発明の別の実施形態では、振動採餌信号は害虫シロアリを忌避するタイプであってもよい。例えば振動採餌信号は、害虫シロアリ種と異なる種の第2のシロアリから得られてもよい。この場合、この信号は害虫シロアリ種を忌避するのに役立つ。例えば、第2のシロアリ種から得られた採餌信号は、害虫シロアリを他の場所で採餌させる効果を有することができ、それにより生成された信号採餌信号の近傍から害虫シロアリを忌避する効果を奏することができる。
本発明の第1および第2の実施形態の他の実施形態では、信号源近傍からシロアリを忌避する目的で、あるいは害虫シロアリを巣に退去させる目的で、振動信号は振動警告信号を含んでもよい。振動警告信号は、制御が望まれる害虫種によって生成された実際の警告信号から記録されてもよい。これに加えてまたはこれに代えて、振動警告信号は人工合成信号を含んでもよい。例えば、振動警告信号は、10Hz〜5kHzの範囲、より好ましくは10Hz〜30Hzの範囲のパルス反復周波数を有する一連のパルスを含んでもよい。パルス反復周波数は好ましくは、制御が望まれる害虫種の兵士シロアリが頭を打ち付けることによって生成する警告信号のパルス反復周波数と一致する。一連のパルスの搬送波周波数は好ましくは、制御が望まれる害虫種の兵士シロアリが頭を打ちつけることにより生成する媒体中の警告信号の搬送波周波数と一致する。例えば、振動警告信号の一連のパルスの搬送波周波数は、1〜3kHzの範囲であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態では信号生成器は、振動信号の記録を格納するストレージメディア(storage medium)を含む記録再生装置であってもよい。あるいは信号生成器、振動信号を生成するのに適した発振特性を有する1以上の発信器を含んでもよい。1以上の発信器は電気式でも機械式でもよい。
トランスデューサはシェーカを含んでもよく、シェーカは電磁または電気力学的励起器(exciter)/シェーカ(shaker)のいずれであってもよい。あるいはトランスデューサは、圧電要素を含んでもよい。これに加えてまたはこれに代えてトランスデューサは、振動信号と共振し、媒体に結合するように適合された共振器を含んでもよい。
信号生成器は、トランスデューサと電気的に接続されてもよい。これに加えてまたはこれに代えて信号生成器は、トランスデューサと無線で接続されてもよい。複数のトランスデューサが単一の信号生成器と関連づけられて、信号生成器によって生成された信号が複数のトランスデューサによって複製されるようになっていてもよい。
振動採餌信号が結合される媒体は、土、木、空気および/または建造構造物であってもよい。
本発明のさらに別の実施形態では、振動信号は圧縮セルロース振動信号を含んでもよい。圧縮セルロース振動信号は、シロアリが木などのセルロースを食べることにより生成する採餌振動を記録することによって得られてもよく、この場合、セルロースは引張り応力、圧縮応力またはねじれ応力を受けている。これに加えてまたはこれに代えて、圧縮セルロース振動信号は、このような自然採餌振動の挙動に対する影響を模倣し再生するように適合された合成振動信号を含んでもよい。本発明のいくつかの実施形態は、一部のシロアリ種が、木の構造的完全性が適切に維持されている間のみ木などを消費し、木が構造的に破壊される前に消費をやめることに精通していることを認識する。
振動信号が警告信号または忌避的振動採餌信号など、害虫シロアリにとって忌避的なものである場合、このような忌避的振動信号は、保護が望まれる特定の場所から害虫シロアリを忌避するために用いられてもよい。
好ましい実施形態では、振動信号は1kHzを超える、より好ましくは2kHzを超える、さらに好ましくは3kHzを超える主要周波数を有する。好ましい実施形態では、振動信号は20kHz未満の、より好ましくは15kHz未満の、さらに好ましくは10kHz未満の主要周波数を有する。
本発明のいくつかの実施形態は、特定の種の害虫シロアリに適合された振動信号を用いてもよい。このような好ましい実施形態では、種がCryptotermes domesticusである場合、振動信号は好ましくは2.5kHzを超える、より好ましくは5kHzを超える、さらに好ましくは7kHzを超える、さらに好ましくは実質的に7.2kHzである主要周波数を有する。特定の実施形態では、振動信号は好ましくは図3に示す信号4と実質的に同一である。
本発明の実施形態は、間欠的に(例えば規則正しい間隔で)振動信号を生成してもよい。本発明のこのような実施形態はさらに、シロアリの音発生を検知することと、シロアリの音発生を検知すると振動信号を生成することとを含んでもよい。このような実施形態に用いるに適した音発生検知システムは、米国特許第6,883,375号および米国特許第5,285,688号などに記載されたタイプのものであってもよい。
本明細書において、用語「シロアリ」(単数、複数とも)はシロアリ目のいずれかの種を指す。例えば、Mastotermitidae、Termopsidae (Zootermopsis、Archotermopsis、Hodotermopsis、PorotermesおよびStolotermes)、Kalotermitidae (Kalotermes、Neotermes、Cryptotermes、IncisitermesおよびGlyptotermes)、Hodotermitidae (Hodotermes、MicrohodotermesおよびAnacanthotermes)、Rhinotermitidae (Reticulitermes、Heterotermes、CoptotermesおよびSchedorhinotermes)、SerritermitidaeおよびTermitidae (Amitermes、Drepanotermes、Hospitalitermes、Trinervitermes、Macrotermes、Odontotermes、Microtermes、Nasutitermes、PericapritermesおよびAnoplotermes)が含まれるがこれらに限定されない。さらに、現在、太平洋地域で制御されているシロアリの具体例は、Reticulitermes speratus、Reticulitermes mivatakei、Reticulitermes flaviceps amamianus、Reticulitermes sp.、Coptotermes formosanus、Coptotermes gestroi、Coptotermes guangzhoensis、Coptotermes vastator、Incisitermes minor、Cryptotermes domesticus、Cryptotermes brevis、Cryptotermes dudleyi、Odontotermes formosanus、Neotermes koshunensis、Glyptotermes satsumensis、Glyptotermes nakajimai、Glyptotermes fuscus、Glyptotermes kodamai、Glyptotermes kushimensis、Hodotermopsis japonica、Nasutitermes takasagoensis、Pericapriterme nitobei、Sinocapritermes mushaeなどを含む。本明細書において「害虫シロアリ」は、使用可能な木を採餌するいずれのシロアリ種をも含む。例えば、木造建造物、木製フェンス、木製構造物、人間が作った他の木製の物体を採餌して、価値のある木製の物体に経済的損失、構造的ダメージまたは装飾上のダメージを与えるシロアリを含む。このような害虫シロアリは、地中、樹上、乾燥した又は湿った木を摂食する生態系からの種を含む。このような害虫属は例えば、Mastotermitidae、Cryptotermes、Incisitermes、Kalotermes、Neotermes、Coptotermes、Heterotermes、Psammotermes、Reticulitermes、Schedorhinotermes、Macrotermes、Microtermes、OdontotermesおよびNasutitermesを含むがこれらに限られない。
さらに「害虫制御」、「害虫を制御する」、「誘引する」、「忌避する」などの表現は本発明の実施形態を説明するために用いられており、害虫シロアリの挙動を完全に制御する必要性を示唆するものではない。むしろこのような表現は、振動採餌信号の生成から生じる、害虫シロアリの挙動の測定可能な変化を引き起こす実施形態を含むと理解すべきである。例えば、挙動の測定可能な変化は、振動採餌信号に応答するシロアリの挙動の統計的重要性を決定することにより評価してもよい。
本発明の方法および装置で用いられる餌は、シロアリ制御活性物質および必要に応じて1以上のキャリアを含む。
シロアリ制御活性物質は例えば、フェノブカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、カルバリル、イソプロカルブ、プロポキスルおよびメトキサジアゾンなどのカルバメート化合物;クロルピリホス、フェニトロチオン、マラチオンおよびホキシムなどの有機リン化合物;トラロメトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、d−フェノトリン、シラフルオフェン、エトフェンプロックス、ハルフェンプロックス、ビフェントリン、アクリナトリン、トランスフルトリン、シフェノトリン、フェンバレレート、プラレトリンおよびイミプロトリンなどのピレスロイド化合物;クロルフェナピルなどのアリールピロール化合物またはアリールプラゾール化合物;アセタミプリド、ニテンピラム、チアメトキサン、チアクロプリドおよびジノテフランなどのニトログアニジン化合物またはシアノグアニジン化合物;イベルメクチン、アベルメクチン、エマメクチン、ネマデクチンおよびスピノサドなどのマクロライド化合物;ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、ノビフルムロン、ルフェヌロン、ルフェヌロン、フルフェノクスロン、ジアフェンチウロン、ノバルロン、フルアズロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、シロマジン、ジシクラニル、ブプロフェジン、エトキサゾール、ピリダベン、ピリプロキシフェン、テブフェノジド、メトキシフェノジド、ハロフェノジド、フェノキシカルブ、ジオフェノラン、メトプレンおよびヒドロプレンなどの昆虫成長調節剤;フェニルピラゾール化合物;ネペタラクトンなど、ならびにこれらの混合物を含むがこれらに限られない。
シロアリ制御活性物質は、生物学的制御因子であってもよい。例えば、Beauveria sp. およびMetarhizium sp.などの菌類、ならびに線虫の伝染段階を含むがこれらに限られない。
シロアリに向けた忌避性をも有するシロアリ制御活性物質を用いる場合、このような忌避活性が本発明の誘引手段を妨げないことを保証する手段を取ることが好ましい。例えば、当該分野で公知の方法を用いてシロアリ制御活性物質を極小カプセルに包んでもよい。
US20050031581に記載のシトステロールおよびその模倣物、ならびに(3Z,6Z,8E)−ドデカトリエノールなどの化学的誘引因子を提供してもよい。
本発明で有用な餌は、液体、ゲル、ペースト、固体、カプセルのいずれの形態であってもよい。シロアリ制御活性物質が液体、ゲル、ペーストなどの流動可能な形態である場合、当業者に公知の方法を用いて適切な基質に吸収、コーティングまたは含浸させることができる。シロアリ制御活性物質が固体である場合、溶液、分散液または乳濁液中の液体キャリアと組み合わせることができる。その後液体キャリアを基質に吸着、コーティング、含浸させることができる。その後必要に応じて液体キャリアを気化して、基質上にコーティング剤として固体毒物を残してもよい。シロアリ制御活性物質を基質に適用する他の方法は、当業者には明らかである。
「キャリア」は、セルロースなど当業者に公知のいずれの適切な材料でもあってもよい。
多くの餌が当業者に公知である。これらは、フェロモン、食物の臭いを有する物質(食材を含む)、例えば脂肪、油、タンパク質、トウモロコシグルテン、大豆タンパク質、炭水化物、でんぷん、砂糖(例えばブドウ糖、果糖、麦芽糖、蔗糖および糖蜜、キシロース)、水ならびにこれらの混合物を含む。
餌は以下のようにして調製することができる。細かく分けたセルロース材料(例えばおがくず)と所望の結果を得るに十分な量(例えば約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは約0.02重量%〜約5重量%)の成分との混合物をシロアリ制御活性物質と混合し、得られた混合物に約1%〜約5%の水ベースの結合剤(例えば寒天)を追加することによりペースト状にする。
一実施形態では、餌はタブレット形態である。例えば適切な一実施形態では、餌は少なくとも1つの圧縮されたタブレットを含む。タブレットは、約10グラムと約45グラムとの間の質量、より好ましくは約25グラムと約40グラムとの間の質量、さらに好ましくは約35グラムの質量を有する。
別の実施形態では、シロアリ制御活性物質は遅効性毒物である。より具体的には、標的昆虫が、餌ステーション内のシロアリ制御活性物質で処理されるが、シロアリはシロアリ制御活性物質ですぐには死なないことが望ましい。従って一実施形態では、シロアリ制御活性物質は、シロアリが巣またはコロニーに戻ってシロアリ制御活性物質が標的昆虫ポプレーションの他のメンバーにも伝わるに十分な時間が経つまで、シロアリを殺さない。遅効性シロアリ制御活性物質は当業者には公知である。本発明で有用な遅効性シロアリ制御活性物質は、スルフラミド、ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、ノビフルムロンおよびアベルメクチンを含む。本発明で有用である適切な遅効性シロアリ制御活性物質の1つは、US4,929,696に開示された過フッ素化殺虫剤である。
典型的には、餌は適切な「餌ステーション」に設けられる。これは、構造物の内外に近い少数の場所にシロアリを集めてシロアリ制御活性物質をステーション内の食物基質に適用するか又は直接シロアリに適用するためである。少なくともいくつかの実施形態では、シロアリはシロアリ制御活性物質を巣まで持ち帰り、互いに食物の交換またはグルーミングをすることにより巣の仲間にシロアリ制御活性物質を広げる。本発明の装置および方法に用いるように適合された餌ステーションの例は、US5,329,726、US6,016,625、US20010025447、US20020134003、US20040237380、US20040065001およびUS20040200134に記載されているものを含む。
害虫シロアリを誘引または忌避する振動信号を生成および/または再生する装置は、多くの様式の1つで構成することができる。振動信号生成の当業者であればこれを理解する。例えば装置は、適切な信号を含むストレージメディアを含んでもよい。適切な信号とは、記録されたシロアリ採餌信号、記録されたシロアリ警告信号、記録された音発生信号、人工的に合成された信号、または害虫シロアリの挙動に影響を与える信号の組合せであり得る。媒体は、CD、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、メモリースティック、フラッシュドライブおよび/またはハードディスクドライブなど、いずれの電子ストレージメディアの形態を取ってもよい。
装置はさらに、ストレージメディア内に含まれる信号を再生する、信号調整器および/または増幅器を備えた信号生成器を含んでもよい。これは、CDプレーヤ、上記1で特定したストレージメディアを再生することができるMP3プレーヤ、または他の再生装置という形態を取り得る。再生装置の周波数範囲は、DCから10kHzまで、好ましくは20kHzまででなければならない。さらに装置は、振動または音として受け取った信号を媒体に結合して害虫シロアリに感知させるトランスデューサを含んでもよい。トランスデューサは、電磁的/電気力学的励起器/シェーカ、圧電要素(例えばPVDFフィルム)、または圧電セラミック要素またはラウドスピーカという形態を取り得る。トランスデューサの周波数範囲は、DCから10kHzまで、好ましくは20kHzまででなければならない。振動を媒体(例えば基板または木材構造体)に結合するために、機械的固定部材(例えばボルト、ねじ、釘、ピン)または接着剤を用いてトランスデューサを取り付けてもよい。信号生成器からの信号をトランスデューサに送るコネクタは物理的コネクタでもよいし無線(ブルートゥースまたはWiFi技術、例えば802.11b、802.11gなどに基づく)でもよい。
装置内のすべての要素が単一の集積ユニット内に収容されるように構成してもよい。信号の無線送信の場合、信号生成器が、適切な信号をレシーバを備えた複数のトランスデューサに送る基地局として構成されることが予想される。このようなトランスデューサはその後害虫制御に適するものとして、例えば保護すべきエリアの周縁の周辺に物理的に分配配備され、基地局から無線信号を受け取って対応する振動を出力する。
乾木Cryptotermes domesticus働きシロアリの挙動に影響を与えると述べてきた物理的装置の一例を以下に述べる。様々な長さ(20、40、80および160mmの長さ)のマツの木ブロック内にいるCryptotermes domesticus働きシロアリ群により生成された振動信号を
Figure 2009527229
および(B&K)製2635充電増幅器(charge amplifer)を用いて、パーソナルコンピュータのサウンドカードに記録した。信号を、CDに格納されたオーディオファイルに変換した。ソニー(東京)製携帯CDプレーヤDEJ100S/Lを用いてCDを再生した。CDプレーヤのヘッドホンジャックからの信号をPhilip Harris(Leicestershire、英国)製C5H30701振動シェーカに送った。ネジを用いてシェーカをマツの木に連結した。CDプレーヤの音量調整で信号の振幅を調整した。
実施例
実施例1−Cryptotermes domesticus
実施例1−材料および方法
食物サイズの好み: 我々は木ブロック対を用いたバイオアッセイで、シロアリが食物サイズの好みを有する可能性およびシロアリが食物サイズを直接測定することなく検知することができる可能性をテストした。味付けし空気乾燥したPinus radiata木(断面積:20×20mm)を用いた。ブロック対を順に切って各対のブロックが互いにできるだけ同様になるようにした。ブロック長としては20mmと160mmの2つの可能性があった。図1は、すべての実験処理を示す模式図である。処理は、2つのブロック長(mm)と再生信号(ある場合のみ)とを示す。中央のセル内のシロアリ記号は、15匹の働きシロアリを表す。
まず、シロアリが木のサイズを評価するために振動音信号を用いる可能性を調べた。すなわち、働きシロアリが、自分たちが採餌することにより生成される振動/音響信号を検知してこれらの信号を用いて食物の量を判定することが可能か否かを調べた。この目的のために、木ブロックを3つの処理用に、すなわち図1に示すように処理1:20mmと20mm(n=16回の反復)、処理2:160mmと160mm(n=16回の反復)、および処理3:20mmと160mm(n=44回の反復)に配列した。
ブロックを10mm隔てて、切断したばかりの面を対向させ、アルミホイルで共に保持し、3面にテープを貼り上面にガラスを置いて中央セルを作成した(図1)。15匹の働きシロアリ群をこれらのセルに入れ、ほぼ同一の20×20mmの面に露出するがこれ以外には木ブロックに直接接触しないようにした。オーストラリア北部で収集した実験室培地内のコロニーから採った働きCryptotermes domesticusシロアリ群を中央セル内に密閉した。ブロックを35℃かつ相対湿度90%に保持し、黒いプラスチックで覆った。最初の5日間は毎日シロアリの位置を記録した。この期間の後9日間に亘って、シロアリを黒いプラスチックで覆ったまま邪魔することなく放置して木の中にトンネルを掘るままにさせた(計2週間)。
信号の測定: 長さ20mm、40mm、80mmおよび160mmのマツの木ブロック内のCryptotermes domesticus働きシロアリ群により生成された振動信号を記録した。各ブロックの上面から深さ5mmの穴をドリルで掘り、その中に15匹のシロアリ群を入れた。穴の上に置いたガラスのスライド内にシロアリを含めた。テスト中の木ブロックの基部に
Figure 2009527229
(充電感度:10.121pC/ms-2)を取り付け、これを
Figure 2009527229
およびTektronix差動増幅器(AM502)に接続した。実験は無反響室で行った。信号を小野測器(横浜、日本)製高速フーリエ変換CF350アナライザを用いて監視し、パーソナルコンピュータに記録してMATLAB信号処理ツールボックス(MathWorks、Natick、マサチューセッツ)を用いて分析した。
図2は、C. domesticus働きシロアリにより励起されたP. radiata木ブロックの主要周波数を示す。矢印は、再生実験で用いた信号を示し、矢印の模様は図1に示したものと一致させている。図2は、木ブロックから記録された主要周波数がブロック長とは逆方向に増減し、ブロックサイズが増加するにつれて主要周波数が減少することを示している。
信号と食物の好み: 以下に詳細に述べるように、食物サイズの好み実験の結果は、C. domesticus働きシロアリは優先的に20mmブロックにトンネルを掘ることを選択したことを示している。シロアリが木ブロックのサイズを測定するのに振動信号を用いたか否かを判定するために、働きシロアリが木ブロックを選択した決定に対する、記録された2つの自然信号および人工的に合成した2つの信号の影響を、図1に示す処理4〜7を用いて調べた。処理4〜7では、順に切断した2本のマツの木ブロック(上記の処理3同様、一方は20mm、他方は160mm)間に15匹のC. domesticus働きシロアリ群を密閉した。処理4では、160mmブロック内のC. domesticus働きシロアリから記録された2.8kHzを主要周波数とする信号(「自然2.8kHz信号」)を20mmブロック(n=40回の反復)に対して再生または結合した。処理7では、160mmブロックで記録された主要周波数と同等の、人工的に生成した2.8kHzの信号を20mmブロック(n=8回の反復)に対して再生した。
自然2.8kHz信号は160mmブロック内のシロアリから記録されたものであり、自然7.2kHz信号は20mmブロック内のシロアリから記録されたものであり、人工ピンクノイズは、コンピュータによって生成したエネルギー変調静的ノイズであり、人工2.8kHz信号はコンピュータを用いて生成したものである。自然2.8kHz信号、自然7.2kHz信号、およびコンピュータで合成した2つの人工信号の時間的軌跡を図3Aに示す。これに対応する周波数スペクトルであって、高速フーリエ変換を時間的軌跡に適用することにより得られた周波数スペクトルを、各信号について図3Bに示す。図3Bでは、自然信号の主要周波数は明らかである。図3の模様つき矢印は再生実験で用いた信号を示し、各矢印の模様のタイプが図1に示したものと一致させている。
処理4〜7では、ブロック対をすべて処理3に関して上記したように、すなわち、切断したばかりのほぼ同一の面をセルに向けて対向させて組み立てた。しかし処理4〜7では組み立てるのにガラスもアルミホイルも用いなかった。なぜならこれらの材料は一部の信号を通過させる可能性があったからである。代わりに再生処理4〜7では、薄いプラスチックシートの20mm管を用いて組み立てた。シロアリが歩き易いように、この管の基部をざらざらにした。20mmの木ブロックをねじでPhilip Harris(Leicestershire、英国)製シェーカに取り付け、これがソニー(東京)製ディスクマンからの信号を受信するようにした。処理4〜7の場合も処理1〜3同様、最初の5日間はシロアリの位置を記録し、2週間後に実験を停止した。シロアリの数と穴の数とを数え、木ブロック内部のトンネルの深さを測定した。
1対のブロックのいずれを好むかを対t検定を用いてテストし、処理間の差異をANOVAを用いて20mmブロック内で起こった全トンネル掘り活性の均衡度(proportion)によりテストした。トンネルの長さのデータをログ変換して、ばらつき想定価の標準化および均等性を向上させた。
実施例1−結果および考察
食物サイズの好み: 2つのほぼ同一の木片を提供された場合、シロアリはいずれかを好むことはなかった。図4は、実験の最初の5日間のC. domesticus働きシロアリの毎日の位置を示す。各プロットは上記した単一の処理に対応している。図4に示すのは、各ブロックの働きシロアリの平均数(±標準誤差)である。白丸と点線は20mmブロックを表し、黒丸と実線は160mmブロックを表す。図4において重要度レベルを以下のように示す。nsは結果が重要ではないことを示し、*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示し、***はp<0.001を示す。
図4からわかるように、処理1(20:20)と処理2(160:160)の両方の内面で最初の5日間に観察したシロアリの数は近かった。2週間後、各ブロックでシロアリは近い数のトンネルを掘っていた(処理1の場合、15df(t15)=0.169、P=0.868でのt価、処理2の場合、t15=0.355、P=0.728でのt価)。さらに、これらのトンネルの長さは近かった(処理1の場合、t15=0.554、P=0.587、処理2の場合、t15=0.684、P=0.505)。図5は、振動音信号がある場合およびない場合の、木ブロックの選択に対するC. domesticus働きシロアリの応答を示す。図5において、各カラム対は上記の単一の処理に対応している。図5Aは、対をなす木ブロック内のトンネル数(平均±標準誤差)を示し、図5Bは、実験終了時における、対をなす木ブロック内のトンネルの全長(平均±標準誤差)を示す。白いカラムは20mmブロックに対応し、黒いカラムは160mmブロックに対応している。図5において重要度レベルを以下のように示す。nsは結果が重要ではないことを示し、*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示し、***はp<0.001を示す。
処理1および2とは全く対照的に、処理3(20:160)ではシロアリは20mm木ブロックに対する明確な好みを示した。最初の5日間に観察されたシロアリは20mmの面上での方が多く(図4参照)、2週間後、シロアリが噛んで掘っていたトンネルの数(t43=4.687、P<0.001)および深さ(t43=2.189、P<0.034)は20mmブロックの方がはるかに大きかった(図5)。
信号および食物の好み: 実験の最初の5日間に内面のシロアリの位置を観察した結果、以下のことが示された。20mmブロックを2.8kHz信号で励起した場合、シロアリは明らかに160mmブロックに対する好みを示し、ピンクノイズ信号で励起した場合、20mmブロックに対する好みを示し、7.2kHz信号で励起した場合、20mmブロックに対してはるかに大きな好みを示し、2.8kHz人工信号で励起した場合、いずれのブロックに対する好みも示さなかった(図4)。
これらの挙動の観察結果は、実験終了時に記録されたトンネル掘りパターンにより確認された。図5Aおよび図5Bにそれぞれ示すトンネルの数および全長は共に、処理4において160mmブロックの方が大きかった(トンネル数:t31=2.252、P=0.032、トンネル長さ:t31=2.926、P=0.006)。処理5ではトンネル掘りの差異は大きくなかったが、トンネル掘り活性は記しておく価値がある(トンネル数:t31=1.775、P=0.086、トンネル長さ:t31=1.623、P=0.115)。処理6では、トンネル掘り活性は20mmブロックではるかに大きかった(トンネル数:t7=2.049、P=0.080、トンネル長さ:t7=3.565、P=0.009)。最後に処理7では、トンネル掘り活性は大きく異なることはなかった(トンネル数:t7=0.243、P=0.815、トンネル長さ:t7=0.427、P=0.682)。
処理5においてトンネル掘り活性に大幅な差異がなかったことは、ランダムなノイズがシロアリのトンネル掘り挙動を変化させて20mmブロックから離れさせる効果を有していたことを示唆している。しかし、図4および図5のデータを調べると、処理3、5および6が、20mmブロックのトンネル掘り活性の方が大きいという同一のパターンを有することが示される。このパターンは、20mmブロック内でのトンネルの均衡度を比較することにより支持される。図6は、実験終了時における20mmブロック内でのC. domesticus働きシロアリのトンネル掘り活性の均衡度を示す。黒丸はトンネルの平均(±標準誤差)の均衡度に対応し、白四角は20mmブロック内でのトンネルの平均全長に対応している。処理1および2の場合、各対の1ブロックをランダムに選択してトンネル掘り活性の均衡度を計算し、他の処理と比較した。点線は50%(すなわち好みがないこと)を示している。模様つき矢印はここでも、処理4〜7の再生実験で用いた信号を示し、矢印の模様は図1、図3および図5に示したものと一致させている。図6において重要度レベルを以下のように示す。*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示し、***はp<0.001を示す。
図6からわかるように、トンネル総数の均衡度は処理間で大きく異なった(F6,149=4.336、P<0.001)。この結果は、処理4と、処理3(Bonferroni補正したP<0.001)および処理5(P=0.003)との間の差異によって起こった。なぜなら、他のいずれの対も大きく異ならなかったからである(但し、処理4と処理6とは大きく異なったに近かった)。20mmブロック内のトンネル長の均衡度も処理間で大きく異なった(F6,149=3.446、P=0.003)。上記のトンネル数の均衡度同様、この結果は、処理4と、処理3(Bonferroni補正したP=0.014)および処理5(P=0.010)および処理6(P=0.017)との間の差異によって起こった。他のいずれの対も大きく異ならなかった。
これらの結果は、シロアリが生き延びた結果ではなかった。なぜなら生き延びたシロアリの数は処理間で大きく異ならなかったからである(F6,149=1.625、P=0.144)。しかし、二次的ネオテニー生殖型の数は処理間で大きく異なった(F6,149=9.826、P<0.001)。大幅な差異のパターンは複雑であったが、処理4および処理6と残りの処理との差異がもっとも一貫していた。そのため処理を、再生しないもの(1、2および3、ネオテニーの平均:4.0±0.2)、自然な記録信号を有するもの(4および6、ネオテニーの平均:1.8±0.2)、人工生成信号を有するもの(5および7、ネオテニーの平均:3.6±0.3)のグループに分類した。生き延びたシロアリの数はこれらのグループ間で大きく異なることはなかった(F2,153=1.149、P=0.320)が、二次的ネオテニー生殖型の数はグループ間で大きく異なった(F2,153=20.883、P<0.001)。この後者の差異は、自然信号を有するグループに分類された処理が有するネオテニーの数が他の2つのグループに分類された処理(Bonferroni補正したポストホック比較、P<0.001)が有するネオテニーの数よりも大幅に少ないこと、および他の2つのグループ(P=0.864)間で差異がないことにより起こった。
このように処理1および処理2では、ほぼ同一のブロック間では、座ってるにしろトンネルを掘っているにしろ、シロアリがいずれかに対する好みを示さなかったことがわかる。処理3ではシロアリは小さい方のブロックに対する明確な好みを示した。これらの面を区別するために使用可能な唯一の情報源は、シロアリが生成した振動音信号であると考えられ、これらの振動音信号は木ブロックのサイズに影響を受けた。
従って本発明は、食物源の評価においてシロアリに関する1つの可能性のあるパラメータは食物の量であることを認識する。同一の生息地に生息する異なるシロアリ種は特定のサイズの木を摂食する。一部の種は比較的小さい落下した枝および棒を標的とし、他の種は大きな落下した枝または木全体を標的とする。これが競争を避けるために行われているか否かにかかわらず、シロアリがどのようにして木片のサイズを測定するかという疑問は依然として残る。シロアリは一旦木片の小さい部分に接触し、この小さい接触に基づいてこれを食べようと決める。シロアリは、木片を直接測定する前に木片を食べようと決める。シロアリは線状に進むことはない。なぜなら線状に進むと略奪者に曝されるからである。シロアリは目視で食物を評価するはずもない。なぜなら働きシロアリは盲目だからである。
予想されるように、木ブロックのサイズが増加するにつれ、木ブロックの共振周波数は減少した(図2)。大きい又は小さいブロックからの記録信号が小さいブロックに対して再生されると、シロアリは挙動を変化させた。特に、大きいブロックからの信号が再生されると、好みが消え失せたか又は逆転した(処理4)。小さいブロックからの信号が再生されると、好みは維持され応答が増加した(処理6)。ランダムなピンクノイズ信号が小さいブロックに対して再生されてもシロアリは挙動を変えなかった(処理5)が、大きいブロックの主要周波数を有する人工生成信号が小さいブロックに対して再生されると、シロアリの好みは消え失せた(処理7)。
これらの結果は、シロアリがブロックのサイズを判定するためにブロックの振動応答を用いていたことを示している。しかし主要周波数が、シロアリが感知した唯一の情報であるとは考えられない。このことは自然2.8kHz大ブロック信号からの結果と人工2.8kHz大ブロック信号からの結果との比較により示される(処理4および処理7)。処理7では、20mmブロックを介して人工2.8kHz信号を再生したとき、シロアリはいずれのブロック(信号を伴う160mmまたは20mm)に対する好みも示さなかった。これは、シロアリが両方のブロックを同一のものと感知したことを示している。処理4では、20mmブロックを介して自然2.8kHz信号を再生したとき、シロアリはいずれのブロックに対する好みも示さないか又は大きい方の160mmブロックに対する好みを示した(測定値に依存する)。このことは、シロアリがブロックを異なるものと感知したことを示している。このように処理4および処理7を処理3と比較することにより、20mmの木ブロックに結合された上記振動信号がシロアリに感知可能であり、シロアリの挙動に影響を与えたことがわかる。すなわちシロアリは、シロアリの振動記録に対しては、同一の主要周波数を有する人工生成信号に対する場合と異なる応答を示した。このことはシロアリが振動源を判別できることを示唆している。
このような振動信号を再生することによる影響は、処理3(信号なし)の結果と処理6(自然7.2kHz信号)の結果とを比較すること、特に図4の結果を比較することにより、さらにわかる。シロアリは同一の応答パターン、すなわち小さいブロックを好むというパターンを示した。しかし度合いは異なった。なぜならシロアリは自然信号(処理6)の場合に、小さいブロックをより好んだからである。シロアリの決定における振動信号の影響は、信号が再生されたとき(処理6)に応答の可変性が減少することからもわかる。20mmブロックおよび160mmブロック内のトンネル数のばらつきは、信号なし群(処理1〜3、それぞれ0.68および0.79)の方が、自然信号群(処理4および6、それぞれ0.46および0.41)および人工信号群(処理5および7、それぞれ0.52および0.61)よりも大きかった。
これらの結果は、C. domesticusシロアリは、より大きい160mmの食物源よりもより小さい20mmの食物源を好むことを示している。さらにこれらの結果は、この好みは、これまで同定されていない振動音信号により振動音評価によって実用化されるということである。このように本発明は、特定の振動信号がシロアリの食物選択決定プロセスに影響を与え得るという認識を利用する。
実施例2−Cryptotermes secundus
上記実施例は、C. domesticusは大きい方(160mm)の食物よりも小さい方(20mm)の食物を優先的に選択することを示している。常識では、シロアリは食物供給を最大にするために大きい方の食物を選択したはずだと考えられる。そこでこの結果より、他のシロアリ種はこの挙動を示すのか否かという疑問、そしてこの挙動の利点は何かという疑問が更にわく。これらの点を調べるため、同属の別の種の比較評価が行われてきた。
Cryptotermesは乾木シロアリの中でも大きく且つ広範囲に分布する属であり、その種は同一の基本的生活史を共有する。乾木シロアリは全体的に食物である木の中に生息しており、その木を離れるのは新しいコロニーを始める新しい食物源を探す有翅虫としてのみである。同属の種間の差異は、主に分布にある。C. domesticusを含む一部の種は広範囲に分布し、人間の活動によって全世界に分布しているものさえあり、経済的害虫となっている。他の乾木種は土着の種の木の小さく限定されたエリアのみに生息しており、害虫とは考えられていない。
分布は挙動に関連すると考えられる。ある範囲のCryptotermes種は、害虫であるか否かにかかわらず食物量に対して異なる応答を示したことが判っている。C. domesticusを含む害虫種の働きシロアリは、コロニーから離されることに対して応答し、多くの働きシロアリは急速に成熟してネオテニー二次生殖型になった。その後ネオテニー二次生殖型は生殖的支配のために闘い、1対のみが生き残った。これは少量の木の中で行なわれた。対照的に、限定されたエリアの種はゆっくりと応答し、少数の又は僅かに2匹が成熟してネオテニー二次生殖型になった。闘いがあったとしても僅かであった。上記でC. domesticusについて同定した振動/音信号が関係しているかもしれない。なぜならこの信号が再生されたとき、成熟してネオテニー二次生殖型になったシロアリはより少なかったからである。
従って、害虫種としてのC. domesticusの振動信号と採餌選択を、限定されたエリアに生息する種のそれらと比較することにより、種間の差異を見抜くことができるかもしれない。地理的に最も限定されたエリアに生息する乾木種の1つはC. secundusであり、オーストラリアの北部熱帯地方のマングローブエリアでのみ見ることができる。C. secundusは、Darwin市の港周辺のマングローブによく見られるが、Darwinの家屋では害虫として記録されていない。これらの理由によりC. secundusを、C. domesticusに対抗する例として選択した。
実施例2−方法
食物サイズの好み: C. secundusをテストして、シロアリが振動を用いて食物サイズを検知することができるか否かを判定し、食物サイズの好みを確定した。上記でC. domesticusについて用いた方法をここでも用いたが、さらに処理を加えた。図7は、食物サイズ実験処理を示す模式図である。各処理は、2つのブロック(20mmおよび160mm)の長さと再生信号(ある場合のみ)とを示す。さらに再生信号がある場合、以下の記号により適用した再生信号を示す。160→=自然160mm信号、20→=自然20mm信号、
Figure 2009527229
Figure 2009527229
およびP→=ピンクノイズ信号。模様は、いずれのブロックが信号によって励起されるかを示す。シロアリ記号は、中央のセルに15匹の働きシロアリがいることを示す。食物サイズの好みは、断面積20mm×20mmのマツの木ブロックを用いてテストした。ブロック対を順に切って各対のブロックができるだけ互いに同様になるようにした。ブロック長としては20mmと160mmの2つがあった。これらを以下の処理で配列した。括弧内に反復回数を示す。
1.20mmおよび20mm(12)、
2.160mmおよび160mm(12)、
3.20mmおよび160mm(12)、
4.20mmが160mmブロック(主要周波数:3.5kHz)上のシロアリから記録された「自然160mm信号」を受け取り、160mmは信号なし(24)、
5.20mmが信号なしで、160mmが「自然160mm信号」を受け取る(12)、
6.20mmが20mmブロック(主要周波数:5.9kHz)上のシロアリから記録された「自然20mm信号」を受け取り、160mmは信号なし(24)、
7.20mmが信号なしで、160mmが「自然20mm信号」を受け取る(12)、
8.20mmがピンクノイズ(すなわち各周波数帯域のエネルギーが同一である静的ノイズ)信号を受け取り、160mmは信号なし(12)、
9.20mmが信号なしで、160mmがピンクノイズ信号を受け取る(12)、
10.20mmがコンピュータにより生成された「人工160mm信号」(主要周波数:3.5kHz)を受け取り、160mmは信号なし(24)、
11.20mmが信号なしで、160mmが「人工160mm信号」を受け取る(12)、
12.20mmがコンピュータにより生成された「人工20mm信号」(主要周波数:5.9kHz)を受け取り、160mmは信号なし(12)、および
13.20mmが信号なしで、160mmが「人工20mm信号」を受け取る(12)。
実施例1でC. domesticusに関して記載したようにブロックを組み立てた。信号再生のない処理1、2および3のブロックを約15mm隔てて、切断したばかりの面を対向させ、アルミホイルで共に保持し、3面にテープを貼り上面にガラスを置いて図7に示すような中央セルを作成した。処理4〜13のすべて、すなわち信号再生を含む処理のブロックを上記のように隔てて薄いプラスチックシートの15mm管を用いて保持し、シロアリが歩き易いように、基部をざらざらにした。処理4〜13では、信号の伝達を最小にするために軟プラスチックを用いた。再生処理のブロックをねじでPhilip Harris製シェーカに取り付け、これがソニー製ディスクマンからの信号を処理に適した様式で受信するようにした。すべての処理において、ブロック対とブロック対が置かれたトレイとの間で振動を分断するために泡材を用いた。
各処理で、15匹の働きシロアリ群を中央セルに置き、ほぼ同一の20mm×20mmの面に露出するがこれ以外には木ブロックに接触しないようにした。シロアリは、オーストラリア北部のDarwin港(南緯12度31分、東経130度55分)のマングローブで収集したコロニーから採ったものである。ブロックを14日間に亘って、28℃かつ相対湿度90%に保持した。最初の5日間は毎日シロアリの位置を記録した。この期間の後9日間に亘って、シロアリを暗闇の中に邪魔することなく放置して木の中にトンネルを掘るままにさせた。これらの実験は同時に進行させなかったため、後で行った反復実験における方が死亡率が高かったはずであり、分析から排除した。1対のブロックのうちいずれを好むかを、95%信頼区間を用いてテストした。
分析で用いた反復実験では、シロアリの生存率は高く(平均±標準誤差で89.3±1.0%)、処理間で大きく異なることはなかった(F12,146=1.124、ρ=0.345)。この実験では成熟してネオテニー二次生殖型になるシロアリは少なく、典型的にはいずれの反復実験でも1匹または2匹であり(1.4±0.1)、さらなる考察は行わなかった。
信号の測定: それぞれ長さ20mmおよび160mmのPinus radiata木のブロック上のC. secimdus働きシロアリ群により生成された振動信号を記録した。各ブロックの上面から深さ5mmの穴をドリルで掘り、その中に15匹のシロアリ群を入れた。穴の上に置いたガラスのスライド内にシロアリを含めた。テスト中の木ブロックの基部に
Figure 2009527229
(充電感度:10.121pC/ms-2)を取り付け、これを
Figure 2009527229
に接続した。実験は無反響室で行った。信号を小野測器製高速フーリエ変換(FFT)アナライザCF350を用いて監視し、パーソナルコンピュータに記録してMATLAB信号処理ツールボックスを用いて分析した。
信号の誘引性: 自然の振動信号が実際に誘引効果を有するか否かを判定するために、信号の潜在的誘引性を調べた。図8は、信号誘引性実験処理を示す模式図である。ボール紙を図示するT字経路に切った。シロアリ記号はT字経路の近位端にいる1匹の働きシロアリを示す。模様つき矢印は、T字経路の2つの遠位端の一方で再生される信号を示す。薄い灰色に網掛けしたT形状は、経路を覆う透明プラスチック製T字形状カバーを示す。記号P→は、ピンクノイズが2つ目のT字経路の遠位端で再生されることを示す。記号160→は、3つ目のT字経路の遠位端で自然2.8kHz信号の再生が起こることを示す。
図8に示すボール紙のT字経路は長さ120mm、幅120mmであり、ボール紙の各部の幅が20mmであった。2つの遠位端を、Philip Harris製シェーカに取り付けられた紙ばさみによって把持し、Philip Harris製シェーカをソニー製ディスクマンに接続した。T字経路を中央線に沿って、遠位端から近位端の15mm手前まで切り、2つの遠位端を引っ張って約0.5mm離し、T字経路の一方側から他方側への信号の伝達を減少させた。
図9は、T字経路全体の信号減衰を示す。図9Aは記録に用いられるT字経路上の位置を示す。すなわち位置1=遠位端での信号源、位置3=シロアリが置かれた近位端、位置5=信号のない遠位端である。位置1のハッチングされた矩形は、自然160mm信号を再生するシェーカに接続された、遠位端を保持する紙ばさみを示す(対応する模様のタイプが図7および図8で用いられている)。図9Bは、T字経路に沿った5つの位置で測定した加速度(加速度スペクトル)の高速フーリエ変換周波数(FFT)をプロットしたものである。これらのT字経路記録には、両方の実験でソニー製ウォークマンの同一音量レベルを用いた。番号を付けたスペクトルは同一の番号を付けた記録位置に対応する。信号のある側と信号のない側とは図9Aに従って分離している。テスト用シロアリの近位端側開始位置である位置3の加速度スペクトルは、図9Bのグラフの両側に複製されている。
図9Bは、振動信号が主に経路の再生側に存在し、源から遠くなるにつれて減少したことを示している。3つの処理を行った。処理1では、いずれのディスクマンからも信号はなかった。処理2では、一方のディスクマンからピンクノイズ静的信号が再生された。処理3では、一方のディスクマンから自然160mm信号が再生された。処理2および3では、左右のディスクマンから同じ回数だけ信号が再生された。
T字経路の近位端に1匹のシロアリを置き、T字経路上に透明のT字形状プラスチックカバー(T字形状のボール紙より全寸法において約5mm小さい)を置いた。このカバーはシロアリが嫌う空気の移動を減少させ、シロアリがT字経路下を歩くことを阻止するのに役立った。シロアリは、2分以内にT字経路を歩き、左折または右折し、紙ばさみに向かって30mm歩いたときに選択を行ったと判定された。この2分という時間が選択されたのは、働きシロアリが経路の長さを歩くことができる期間(12秒)の10倍だからである。シロアリが2分以内に選択を行わなかった場合、このシロアリを放棄して新たにテストを開始した。6つのコロニーの20匹のシロアリが各処理で選択を行うまでテストを行った。軌跡を辿る潜在的フェロモンの影響により判断を誤ることを避けるために、同じT字経路は2度用いなかった。放棄の数、各信号選択の数、および選択に要した時間をANOVAおよび対t検定を用いてテストした。
実施例2−結果
食物サイズの好み: まず2週間に亘ってC. secundusシロアリに、異なる長さ(長さ20cmおよび160cm)のマツの木ブロック2つと、互いに同じ長さのコントロール(共に長さ20cmであるか共に長さ160cm)のマツの木ブロック2つを選択させることにより、食物サイズの好みを判定した(図7の処理1〜3)。シロアリが各ブロックのほぼ同じ一面だけを這うことができ、ブロックの長さ方向は這えないようにした。図10は食物サイズの好み実験でのCryptotermes secundusシロアリの毎日の位置を示す。各処理において観察の最初の5日間に各ブロック上にいた働きシロアリの平均(±標準誤差)数を示す。各プロットは、単一の処理に対応し、各プロット上にそれぞれの処理番号とブロック長とが示されている。さらに適用した再生信号がある場合は、図7で用いたものと同一の記号によって示している。
図10のプロットでは、白丸と点線が20mmブロックの結果を示し、黒丸と実線が160mmブロックの結果を示す。毎日の結果の重要度を以下のように示す。*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示し、***はp<0.001を示す。重要でない場合は示していない。
図11は、食物サイズの好み実験終了時におけるC. secundusシロアリのトンネル堀り活性を示す。データは、20mmブロック内の全トンネルの均衡度である。白いバーはトンネル数の95%信頼区間を表し、黒いバーはトンネル全長平均の95%信頼区間を表す。処理1(20:20)および処理2(160:160)の場合、各対の1ブロックをランダムに選択してトンネル掘り活性の均衡度を計算し、他の処理と比較した。点線は50%(すなわち好みがないこと)を示す。従ってバーがこの線に重なっていなければ、平衡から大幅に離れている。処理の記号は、図10と同じである。
図10は、Cryptotermes secundusシロアリは、2つの同一サイズの木片を提供された場合、いずれかを好むことはなかったことを明らかにしている。観察の最初の5日間、処理1では、2つの20mmブロックの内面上で観察されたシロアリの数は近く、処理2では、2つの160mmブロックの内面上で観察されたシロアリの数は近かった。さらに図11は、2週間後、処理1および2のシロアリがいずれかのブロックに近い数の穴を形成し、穴の長さが近かった(95%CIが0.5上)ことを示している。
対照的に処理3では、Cryptotermes secundusシロアリは、160mm木ブロックと20mmブロックとを対にした場合、160mm木ブロックに対する明確な好みを示した。図10は、最初の5日間に160mmの面で観察された働きシロアリの数の方が大きかったことを示している。図11は、2週間後、処理3のシロアリが160mmブロックの方にはるかに多い数の穴とはるかに深いトンネルを掘っていた(95%CIは0.5よりはるかに低い)ことを示している。
食物サイズを判定するメカニズムも調べた。長さ20mmまたは160mmのマツの木を消費する15匹のC. secundus働きシロアリ群によって生成された振動信号を記録した。図12Aの上の2つのプロットは、このように記録した自然信号を時系列的に示し、図12Aの下の2つのプロットは、人工生成振動信号を時系列的に示す。図12Bのプロットは、自然および人工振動信号の、互いに対応する高速フーリエ変換を示し、周波数スペクトルを示す。実験ではこれらの5つの異なるタイプの信号を用いた。図12Bの各グラフの右上隅の記号は各信号タイプを特定し、図7、図8、図10、図11、図13、図14および図15ならびに表2Aを通じて用いられて各再生実験で用いた特定の信号を示す。
図12Bの上の2つのプロットからわかるように、160mmブロックの主要周波数は3.5kHzであり、20mmブロックの主要周波数は5.9kHzであった。従って、木ブロックを食べるシロアリから記録された主要周波数は、C. domesticusに見られたようにブロック長とは逆方向に増減した(図2参照)。図12Aおよび図12Bの下の2つのプロットに示されるように、それぞれ3.5kHzおよび5.9kHzの主要周波数を有する人工信号を合成して自然信号に似せた。さらにこれらの信号を、20mmと160mmのマツの木ブロック対内にいるC. secundus働きシロアリに対して再生し(図7の処理10〜13)、C. domesticusの場合と同様の様式で食物の好みが変化したか否かを判定した。さらに各自然信号を20mmまたは160mm木ブロックに対して再生し(図7の処理4〜7)、シロアリの応答を観察した。ランダムなノイズ(ピンクノイズ)信号も再生して、信号の存在を制御した(処理8および9)。
処理4では自然160mm信号を20mmブロックに対して再生した。すると、木ブロックの好みがシロアリの移動に関して逆転し(図10に示す)、さらにトンネルの数および長さに関して逆転した(図11)。このように処理4により、C. secundusは振動信号に基づいて木ブロックを選択すると考えられることが明らかになった。処理10における対応する人工160mm信号に関する結果も変化を示しており、シロアリの移動の大幅な変化がなくなったこと(図10に示す)およびトンネルの数の大幅な変化がなくなったこと(図11の白いバー)を示している。トンネルの長さについては、処理10のシロアリが20mmブロック(図11の黒いバー)に対する明確な好みを示した。
ランダムなノイズはシロアリの決定にほとんど影響を及ぼさない。なぜなら、ピンクノイズ処理(処理8および9)でのシロアリの挙動は、記録が再生されない状態(すなわち、処置3、20:160)で観察された挙動にほぼ合致していたからである。20mmブロックに対して再生されたピンクノイズ信号(処理8)および160mmブロックに対して再生されたピンクノイズ信号(処理9)の場合、シロアリが大きい方のブロックで観察された回数がはるかに多く(図10)、大きい方のブロックに掘ったトンネルの方がはるかに深かった(図11)。
近いサイズのブロックに対して自然信号を再生した。処理5では、160mmブロックに対して自然160mm信号を再生し、処理6では、20mmブロックに対して自然20mm信号を再生した。図10に示すように、これらの処理では処理3と比べるとシロアリの移動の大幅な差異はない。図11に示すトンネル堀りデータは、これらの処理では処理3と比べて160mm木ブロックに対する好みが減少したことを示唆しているが、160mmブロックに対する好みは依然として強い。
処理7では、160mm木ブロックに対して20mm信号を再生した。図10に示すように、シロアリの移動については160mmブロックに対する好みは消え失せたが、図11のトンネル掘りデータでは160mmブロックに対する好みが依然として見受けられた。処理11、12および13の、それぞれ対応する人工信号再生実験では、自然信号と同じ結果は得られなかった。従って、C. secundusが信号の主要周波数のみに基づいて木ブロックを選択していたとは考えられない。そこでC. secundusシロアリに対する信号の誘引性を評価するために、さらなる実験を行った。
信号の誘引性: 食物サイズの好み実験の結果は、C. secundus働きシロアリは、木サイズを示す主要信号周波数の情報のみを用いて木ブロックにトンネルを掘ることを選択したのではないことを示唆している。自然信号が誘引的であるか否かをテストするために、図8に示すタイプのボール紙製T字経路に個々のシロアリを置いた。T字経路の一方側は160mm自然信号またはピンクノイズ信号を受け取ったか、あるいは全く信号が再生されなかった。
図13は、誘引性実験で選択を行わなかったC. secundusシロアリの数を示す。データは、制限時間(120秒)以内にT字経路を完了しなかった働きシロアリの平均±標準誤差である。信号の記号および重要度は図10と同じように示している。これからわかるように、シロアリは信号が再生されたときに決定をする傾向が非常に強い。2分のテスト時間以内に選択を行わなかったシロアリの数は、処理間で大幅に異なった(F2,15=8.177、p=0.004)。処理1(信号なし)で選択を行わなかったシロアリの数は他の処理、すなわち処理2(ピンクノイズ)および処理3(自然160mm信号)(Bonferroni調整p<0.05)よりも大幅に多かった。
シロアリは左と右のいずれかを好むことはなかった。なぜなら図8の処理1で信号を再生しなかったとき、左折したシロアリの数と右折したシロアリの数は近かったからである。全61匹のシロアリが左折し、59匹のシロアリが右折した。この差異は大きくなかった(コロニーごとのシロアリの平均数:左折=10.2±0.5、右折=9.8±0.5、x2 1=0.033、p=0.855)。
シロアリはランダムなノイズには誘引されなかった。なぜなら図8の処理2でピンクノイズを再生したとき、信号方向に歩くことを選択したシロアリの数と信号から離れる方向に歩くことを選択したシロアリの数とは近かったからである。全58匹のシロアリが信号方向に歩き、62匹のシロアリが信号から離れる方向に歩いた。この差異は大きくなかった(コロニーごとの平均数:信号を選択=9.7±1.8、信号なしを選択=10.3±1.8、x2 1=0.133、p=0.715)。図14は、誘引性実験で決定を行ったC. secundusシロアリの数を示す。データは、制限時間(120秒)以内にT字経路を完了した働きシロアリの平均±標準誤差である。但し、データが左右に分割されているため値が半分になっている。信号の記号および重要度は図10と同じように示している。図14は、図8の処理2でピンクノイズに誘引されなかったのは、信号が左側と右側のいずれで再生されたかとは無関係であったことを明らかにしている。
対照的に図8の処理3は、シロアリが他のシロアリの記録に誘引されたことを明らかにしている。処理3でシロアリに対して自然160mm信号を再生したとき、信号方向に歩くことを選択したシロアリの数は信号から離れる方向に歩くことを選択したシロアリの数の約5倍であった。図14に示すように、全101匹対19匹であった。さらに全6つのコロニーで半数を超えるシロアリが信号方向に歩くことを選択した。この差異は大きかった(コロニーごとの平均数:信号を選択=16.8±0.8、信号なしを選択=3.2±0.8、χ2 1=55.962、p<0.001)。
図15は、誘引実験でC. secundusシロアリが決定を行うのに要した時間を示す。データは、T字経路を歩くのに要した時間の平均±標準誤差である。信号の記号および重要度は図10と同じように示している。図15は、図8の処理1、2または3で信号方向に歩かなかったシロアリは、処理1、2、3(F2,198=0.440、p=0.645)のいずれにおいても決定に同様の長さの時間(約78秒)をかけたことを示している。信号方向に歩いたシロアリについては、ピンクノイズ信号(F1,157=17.647、p<0.001)を再生したときよりも自然160mm信号を再生したときの方がはるかに速く歩いた。さらに、ピンクノイズ信号方向に歩いたシロアリは、ピンクノイズ信号から離れる方向に歩いた(t118=0.458、p=0.647)シロアリよりも速く歩いたわけではなかった。
表2Aは、誘引実験でCrypt. secundusシロアリが決定を行うのに要した時間を示す。歩行時間を四分位(quartiles)に分割し、四分位内で選択を行った個々のシロアリ数を数えた。留意すべきは、ピンクノイズ信号処理では、信号から「離れる」シロアリのデータと信号に「近づく」シロアリのデータとが同様に分布しており、第1および第2の四分位内にいるシロアリが僅か1/5であったのに対し、160mm自然信号処理では、シロアリの約1/2がこれら2つの最短の四分位内にいたことである。
Figure 2009527229
実施例2−考察
食物サイズの好み実験における処理3の結果は、Cryptotermes secundus働きシロアリは食物サイズを検知することができたことを明らかにしている。なぜなら、160mmブロックにトンネルを掘ることを選択したからである。しかし再生処理の結果を考慮すると、食物サイズだけがブロック選択に影響を与えたとは考えられない。4対の再生処理、すなわち処理4および10、処理5および11、処理6および12、ならびに処理7および13で自然信号と人工信号とを比較した。ブロック選択がブロックサイズを示す信号の主要周波数のみに影響を受けたのであれば、これらの処理対の結果は同じであったはずだが、実際はそうではなかった。このことは、シロアリが主要周波数以外のより複雑な自然信号から情報を検知していたことを示唆している。働きシロアリが自然信号に誘引されたが人工ピンクノイズ信号には誘引されなかったことを示す信号の誘引性実験によって、さらなる効果が示された。
図10に示す食物サイズ実験の結果は、一方では食物サイズの効果に関して評価されており、他方では他の同種のシロアリから出る振動の誘引効果に関して評価されている。前者は、食物サイズの好み実験における処理3の結果により示されており、この結果は大きい方の160mmブロックが好まれることを示している。後者は例えば、食物サイズの好み実験における処理4を考慮することにより示されている。処理4では、信号のない160mmブロックと対にした20mmブロックに対して自然160mm信号を再生した。この処理では、シロアリは信号の主要周波数が3.5kHzであるために、両方のブロックのサイズが近いと感知するはずであるが、20mmブロックを好むはずである。なぜなら、他のシロアリの存在を示す自然信号が20mmブロックから出るからである。
表2Bは、これらの2つの効果を適用または「加算」した場合にCryptotermes secundusが餌として選択すると予想される木を、観察された採餌選択と比較して示す。表2Bの数字は、シロアリが選択すると予想された木ブロック(予想選択(expected choice))または実際に選択された木ブロック(観察選択(observed choice))のサイズを示す。観察選択は、より多くのシロアリ、より多くのトンネル、より長いトンネル、図12、図13および図14からのデータによって測定した。ダッシュは選択が予想も観察もされなかったことを示し、クエスチョンマークは処理6の効果の「合計」がわからなかったことを示す。信号の記号は図10と同じように示している。
Figure 2009527229
表2Bからわかるように、明確な予想選択が決定できた12の処理のうち11の処理で、予想選択が観察結果と一致した。唯一の例外は処理11であった。処理11では、160mmブロックに対して人工160mm信号が再生された。予想選択は160mmブロックであったが、シロアリは明確な選択をしなかった。処理6は、予想選択が決定できなかった唯一の処理であった。なぜなら2つの効果が逆の選択を予測し、いずれの効果が勝るかが判らないからである。
実施例3−Coptotermes acinaciformis
実施例1および2は共に、乾木シロアリ属であるCryptotermes属のメンバーに関するものであった。乾木シロアリは土中にトンネルを掘ることはできず、そのため自然の森林では(新しいコロニーを確立するために飛ぶ有翅虫以外は)1本の木の中に閉じこもっている。地中シロアリは土中にトンネルを掘ることができ(従ってこういう名前がついた)、そのため多数の食物源(例えば、有用な立木、丸太、木)を見つけて用いることができる。乾木シロアリ種は、食物の量が少ないために、地中シロアリに比べて小さい女王シロアリおよび小さいコロニーを有する傾向がある。これらの差異を考慮して、地中シロアリ種に関して、振動摂食信号の可能性のある誘引効果を調べることにした。広範囲に分布し且つ経済的に重要な種であるCoptotermes acinaciformisを選択し、類似の種であるCoptotermes lacteusから記録された信号を用いてテストを行った。
実施例3−方法
信号の測定: それぞれ長さ20mm、80mm、160mmおよび320mmのPinus radiataの木ブロック上のCoptotermes lacteus働きシロアリ群によって生成された振動信号を記録した。小さいプラスチック製の囲い(水を含ませたスポンジで密封)を木ブロックの上面に取り付けた。これらのシロアリは水の供給を要するため、これが必要であった。約250匹のCopt. lacteus働きシロアリと兵士シロアリをプラスチック箱内に入れた。テスト中の木ブロックの基部に
Figure 2009527229
(充電感度:10.121pC/ms-2)を取り付け、これを
Figure 2009527229
に接続した。実験は無反響室で行った。信号を小野測器製高速フーリエ変換(FFT)アナライザCF350を用いて監視し、パーソナルコンピュータに記録してMATLAB信号処理ツールボックスを用いて分析した。
信号の誘引性: 自然の振動信号が実際に誘引効果を有するか否かを判定するために、信号の潜在的誘引性を調べた。図16は、信号誘引性実験処理を示す模式図である。ボール紙を図示するT字経路に切った。シロアリ記号はT字経路の近位端にいる1匹のCoptotermes acinaciformis働きシロアリを表す。模様つき矢印は、T字経路の2つの遠位端の一方で再生される信号を表す。薄い灰色に網掛けしたT形状は、経路を覆う透明プラスチック製T字形状カバーを示す。記号P→は、ピンクノイズが2つ目のT字経路の遠位端で再生されることを示す。記号320→は、3つ目のT字経路の遠位端で、320mm木ブロック信号上で摂食するCoptotermes lacteusから記録された自然周波数の再生が起こることを示す。
図16に示すボール紙のT字経路は長さ120mm、幅120mmであり、ボール紙の各部の幅が20mmであった。2つの遠位端を、Philip Harris製シェーカに取り付けられた紙ばさみによって把持し、Philip Harris製シェーカをソニー製ディスクマンに接続した。T字経路を中央線に沿って、遠位端から近位端の15mm手前まで切り、2つの遠位端を引っ張って約0.5mm離し、T字経路の一方側から他方側への信号の伝達を減少させた。
T字経路の近位端に1匹のCoptotermes adnaciformisシロアリを置き、T字経路上に透明のT字形状プラスチックカバー(T字形状のボール紙より全寸法において約5mm小さい)を置いた。このカバーはシロアリが嫌う空気の移動を減少させ、シロアリがT字経路下を歩くことを阻止するのに役立った。シロアリは、8秒以上80秒以下の時間以内にT字経路を歩き、左折または右折し、紙ばさみに向かって40mm歩いたときに選択を行ったと判定された。この短い制限時間が選択されたのは、これがCoptotermes adnaciformis働きシロアリがT字経路を歩いて調査し、すべての使用可能な刺激物に基づいて選択を行うことができる最短時間だったからである。より短い時間は、Coptotermes adnaciformis働きシロアリがT字経路の刺激物を調査することなく直線状にT字経路を走る飛行応答を示す(実際、これほど急ぐと働きシロアリは停止できないためT字経路の端部から落ちることが多い)。時間の上限は下限の10倍であったために選択した。シロアリがこの時間以内に選択を行わなかった場合、このシロアリを放棄して新たにテストを開始した。3つのコロニーの20匹のシロアリが各処理で選択を行うまでテストを行った。軌跡を辿る潜在的フェロモンの影響により判断を誤ることを避けるために、同じT字経路は2度用いなかった。破棄の数、各信号選択の数、および選択に要した時間をANOVAおよび対t検定を用いてテストした。
実施例3−結果
信号の測定: 図17は、Copt. lacteus働きシロアリにより励起されたP. radiata木ブロックの主要周波数を示す。矢印は、信号の誘引性実験において再生に用いた320mm自然信号を示す。図17は、Cryptotermes domesticusおよびCrypt. secundusについて観察されたのと同様に、木ブロックから記録された主要周波数がブロック長とは逆方向に増減し、ブロックサイズが増加するにつれて主要周波数が減少することを示している。
信号の誘引性: 図18は、誘引実験で選択を行わなかったCopt. acinaciformisシロアリの数を示す。データは、制限時間(8〜80秒)以内にT字経路を完了しなかった働きシロアリの平均±標準誤差である。信号の記号および重要度は図16と同じように示しており、総数は各カラム上に記載している。これからわかるように、シロアリは信号が再生されたときに決定を行う傾向がより大きかったが、これらの差異は大きくはなかった(F2,6=0.513、p=0.623、おそらくテストしたコロニーの数が大きくばらついたため)。
シロアリは左と右のいずれかを好むことはなかった。なぜなら図16の処理1で信号を再生しなかったとき、左折したシロアリの数と右折したシロアリの数は同じであったからである。全30匹のシロアリが左折し、30匹のシロアリが右折した。この差異は大きくなかった(コロニーごとのシロアリの平均数:左折=10.0±0.0、右折=10.0±0.0、χ2 1=0.000、p=1.000)。
シロアリはランダムなノイズには誘引されなかった。なぜなら図16の処理2で、信号方向に歩くことを選択したシロアリの数とピンクノイズ信号から離れる方向に歩くことを選択したシロアリの数とは近かったからである。全28匹のシロアリが信号方向に歩き、32匹のシロアリが信号から離れる方向に歩いた。この差異は大きくなかった(コロニーごとの平均数:信号を選択=10.3±0.7、信号なしを選択=9.7±0.7、χ2 2=0.076、p=0.782)。図19は、誘引実験で決定を行ったCopt. acinaciformisシロアリの数を示す。データは、制限時間(8〜80秒)以内にT字経路を完了した働きシロアリの平均±標準誤差である。但し、データが左右に分割されているため値が半分になっている。信号の記号および重要度は図16と同じように示している。図19は、図16の処理2でピンクノイズに誘引されなかったことは、信号が左側と右側のいずれで再生されたかとは無関係であったことを明らかにしている。
対照的に図16の処理3は、シロアリが他のシロアリの記録に誘引されたことを明らかにしている。処理3でシロアリに対して自然320mm信号を再生したとき、信号方向に歩くことを選択したシロアリの数は信号から離れる方向に歩くことを選択したシロアリの数の約7倍であった。図19に示すように、全53匹対7匹であった。さらに全3つのコロニーで半数を超えるシロアリが信号方向に歩くことを選択した。この差異は大きかった(コロニーごとの平均数:信号を選択=17.7±0.7、信号なしを選択=2.3±0.7、χ2 1=13.78、p<0.001)。
表3Aは、誘引実験でCopt. acinaciformisシロアリが決定を行うのに要した時間を示す。データは正常に分布されておらず、そのためパラメータの分析は不可能であった。代わりに、歩行時間を四分位に分割し、四分位内で選択を行った個々のシロアリ数を数えた。留意すべきは、ピンクノイズ信号処理では、信号から「離れる」シロアリのデータと信号に「近づく」シロアリのデータとが同様に分布しており、約1/3のシロアリが最短時間の四分位内にいたのに対し、320mm自然信号処理では、信号に「近づく」シロアリの1/2が最短時間の四分位内にいたことである。
Figure 2009527229
実施例4−Coptotermes acinaciformisの忌避
シロアリは、兵士シロアリが基層に頭を打ち付けるか又は基層に固く保持された身体を揺することにより、一連の基層振動パルスを生成するという様式で生成される振動音信号によって警告を発する。パルスの反復率は数十ヘルツである。この種の働きシロアリは、触角基部および脛骨に振動を感知する数種類の器官を有しており、振動音警告信号の一連のパルスを感知し、解釈する能力を有する。これに対する通常の反応は、巣への退去である。他の兵士シロアリはしばしば、頭を打ち付けることによって自身の警告信号を生成することにより警告信号に応答する。
警告信号に対する働きシロアリの応答が通常、退去することであることを考慮して、シロアリをあるエリアから忌避するために警告信号を再生することが可能か否かを調べた。さらに種が異なれば振動音警告信号も異なることを考慮して、信号の特異性が重要か否かを調べた。テストには経済的に重要な種であるCoptotermes acinaciformisを選択し、2つの警告信号、すなわちC. acinaciformisからの警告信号およびこれと同じ分類単位に属するC. frenchiからの警告信号を用いた。
実施例4−方法
警告信号の測定 Coptotermes acinaciformisおよびCoptotermes frenchiにより生成された振動音警告信号を記録した。9センチのペトリ皿内に約50匹の働きシロアリと50匹の兵士シロアリとを入れ、その後ペトリ皿を
Figure 2009527229
(充電感度:10.121pC/ms-2)に取り付けた。シロアリを励起して(空気流、ペイントブラシおよび死んだIridomyrmex purpureusアリにより)警告信号を生成した。信号を調整し、
Figure 2009527229
を用いて増幅し、パーソナルコンピュータに記録してMatlabを用いて分析した。スペクトルを750Hzより高いハイパスフィルタにかけて低周波数ノイズを減少させた。
警告信号の忌避: さらにテストしたのは、シロアリの警告信号で木を励起することによりシロアリが木を食べることを阻止することができるか否かである。これはバイオアッセイを用いて行った。基本的な実験ユニットは大きいペトリ皿(直径15.5cm×高さ6.5cm)であり、これに水分を含んだバーミキュライトを深さ2センチまで充填した。オーストラリアのNSW、Griffith(南緯34度30分0秒、東経146度0分0秒)で集めた約3000匹(または9g)のCoptotermes acinaciformis (Froggatt)の働きシロアリおよび兵士シロアリをペトリ皿に入れた。味付けし空気乾燥したPinus radiata木のテストブロック(19×19×30mm)を乾燥状態で計量しボルトにねじ込んだ。ボルトをペトリ皿の壁に固定してコントロールとして用いるか、またはシェーカに固定してシェーカがCDプレーヤーの警告信号を受信するようにした。
3つの処理をそれぞれ8回反復した。処理1では選択も信号もなく、1つのテスト用木ブロックが信号を受け取らなかった。処理2では選択なしで信号があり、1つのテスト用木ブロックが警告信号を受け取った。処理3では選択ありで信号がない場合とある場合とがあり、2つのテスト用木ブロックのうち一方は信号を受け取らず他方は受け取った。
第1の実験では、C. acinaciformis (Froggatt)から記録された警告信号を再生した。Eucalyptus regnans化粧板片(50×30×2mm)もペトリ皿に入れて追加の食物を提供した(図20)。この組合せは自然の状態により近いと判定された。実験を6日間行った。
第2の実験では、オーストラリアのACT、Canberra(南緯35度18分0秒、東経149度8分0秒)で集めたC. frenchi (Hill)から記録した警告信号を再生した。ペトリ皿には追加の食物はなかった(図21)。この組合せは警告信号の効能に対して、より厳しいテストであると判定された。実験を7日間行った。得られたデータは消費された木の量であり、ばらつき推定をより均一にするためにログ変換した。処理1と処理2とを非対t検定で比較し、処理3までの選択を対t検定で比較した。
実施例4−結果
警告信号の測定 警告信号は、兵士シロアリが基質に繰り返し頭を打ち付けることによって起こる、比較的低い周波数(8〜20Hz)のインパルスによって特徴づけられた。図22は、個々のCoptotermes acinaciformis兵士シロアリからの単一警告信号イベント(969Hzと2605Hzとの間のバンドパスフィルタにかけてノイズを減少させた後)を時系列的に示す。これからわかるように、インパルスはかなり規則的であり、この例では約55ミリ秒の間隔を有する。
応答スペクトルの長時間平均の振幅最大値は、Coptotermes frenchiの場合(図24に示す)よりもCoptotermes acinaciformisの場合(図23に示す)に概して小さかった。表4Aは、C. frenchiおよびC. acinaciformisの警告信号間の差異を、異なるパルス反復周波数とスペクトルピークの独自の位置との両方について示す。
Figure 2009527229
警告信号の忌避: 図20に示す第1の実験では、C. acinaciformis (Froggatt)から記録された警告信号を用いて、処理間の木の消費の明確な差異が見つかった。図20Aに示す処理1(選択なし、信号なし)では、シロアリは平均約0.3グラムの木をテストブロックから取り除いた。図20Bに示す処理2(選択なし、信号あり)では、シロアリはこの約半分の量を食べた(図25)。この差異は大きかった(t14=2.549、p=0.023)。
図20Cに示す処理3では、信号なしブロックの約0.180gが食べられたが、これは信号ありブロック(図25)の0.115gよりも多かった。信号ブロックの場合に木の消費が少ない傾向にあったのは明らかであるが、差異は大きくなかった(t7=1.886、p=0.101)。差異が大きくない理由は、平均消費量が少なく可変度が高いこと、またはペトリ皿の壁を介した警告信号の伝達が可能であることにより説明することができる。警告により励起したブロックによって表される食べられた木の総量の均衡度を調べる(図26)ことにより、前者の説明がより適切であることが示唆される。
図21に示す第2の実験では、C. frenchi (Hill)から記録された警告信号を用いたが、差異は見つからなかった。処理1(選択なし、信号なし)および処理2(選択なし、信号あり)では、シロアリは平均約1.3グラムの木をテストブロックから取り除いた。処理3(選択あり、信号なし及び信号あり)では、図27に示すように、シロアリは各ブロックでこの約半分の量を食べた(そのため両ブロックの近い量を加算した)。これらの差異は大きくなかった(処理2に対する処理1:t14=0.019、p=0.985、処理3、信号ありに対する信号なし:t7=0.657、p=0.532)。図27は、代替の食物がない場合、C. acinaciformisシロアリは異種の警告信号を無視することを示唆している。
実施例5−異種からの摂食信号の比較
シロアリはすべて、類似の振動音信号を用い且つ有するが、異なる同属種および異なる属では互いに信号が異なる傾向にある。これらの可能性のある差異を定量するために、ある範囲の木ブロックサイズを用いて、経済的に重要な属であるCoptotermesとCryptotermesとを比較した。摂食振動音信号の周波数は木のサイズだけでなく部分的には木の種にも依存する傾向があることが予想される。これらの要因の比較を可能にするために、シロアリ種と木種の比較を行う。
実施例5−方法
摂食信号の測定1: Coptotermesの2種(acinaciformisおよびlacteus)ならびにCryptotermesの5種(domesticus、dudleyi、primus、queenslandisおよびsecundus)の群により生成された振動音摂食信号を記録した。Coptotermesの種の場合、小さいプラスチック製の囲い(水を含ませたスポンジで密封)を木ブロックの上面に取り付けた。これらのシロアリは水の供給を要するため、これが必要であった。約250匹のCopt. lacteus働きシロアリをプラスチック箱内に入れた。Cryptotermesの種の場合、各ブロックの上面から深さ約5mmの穴をドリルで掘り、その中に15匹のシロアリ群を入れた。
Pinus radiataの木ブロックのサイズは長さ5mmから320mmの範囲であった(正確な長さは多少増減したが通常、20、40、80、160および320mmを含んでいた)。テスト中の木ブロックの基部に
Figure 2009527229
(充電感度:10.121pC/ms-2)を取り付け、これを
Figure 2009527229
に接続した。実験は無反響室で行った。信号を小野測器製高速フーリエ変換(FFT)アナライザCF350を用いて監視し、パーソナルコンピュータに記録してMATLAB信号処理ツールボックスを用いて分析した。
摂食信号の測定2: 地中シロアリの4種、すなわちCoptotermes lacteus、Mastotermes darwiniensis、Nasutitermes exitiosusおよびSchedorhinotermes actuosusの群により生成された振動音摂食信号を記録した。これらの種はすべて4種の木、すなわちCeratopetalum apetalum(コーチウッド)、Eucalyptus regnans(マウンテンアッシュ)、Populus euramerica(ポプラ)およびPinus radiata(モンタレーパイン)を摂食する。球果植物種(Pinus radiata)はテルペン(ピーネン)を含み、これはNasititermes exitiosusが生成する防御的化学物質に似ている。そのため、このシロアリ種はこの木種を食べず、従ってこれら2種の組合せを用いた実験は行わなかった。
水を含ませたスポンジを入れたプラスチック箱(26×19×10cm)を用いて、シロアリを収容し水を供給した。プラスチック箱内に約1000匹の働きシロアリおよび兵士シロアリを入れた。摂食信号を記録するために、1サイズ(80×50×20mm)の木ブロックを1つ用いた。木ブロックの一端にドリルで穴を掘り(直径10mm、深さ10mm)、穴にマイクロホンを入れた。信号を増幅し(
Figure 2009527229
)、コンピュータに記録した。小野測器製高速フーリエ変換(FFT)アナライザCF350を用いて分析し、MATLAB信号処理ツールボックスを用いて処理した。
実施例5−結果
摂食信号1: 全体的な傾向は、木ブロック長が増加するにつれて記録した信号の主要周波数が減少するというままであったが、種間で差異があった。最も明確な差異は、より短い木ブロックの場合、Coptotermes種(表5A、図28)の信号周波数は、ブロックサイズが同一であればCryptotermes種(表5B、図29)の信号周波数よりも低かった。さらに、より長い木ブロック(特に320mmおよび160mm)の場合、Coptotermes acinaciformisの信号主要周波数は、ブロックサイズが同一であればCryptotermes種の信号主要周波数よりも高かった。対照的に、より長い木ブロック(特に320mmおよび160mm)の場合、Coptotermes lacteusの信号主要周波数は、ブロックサイズが同一であればCryptotermes種の信号主要周波数よりも低かった。Cryptotermes種間でも差異があったが、一貫したパターンは明らかになかった。以下の表5Aは、Coptotermesに対する実験結果を示す。
Figure 2009527229
Figure 2009527229
摂食信号2−複数の種の比較: 周波数分析に関しては、平均周波数を計算するために用いたピークの数はかなり多かった。同一の木種にいる同一のシロアリ種からの記録間にある程度の可変性があった(C. acinaciformisについては図30の、M. darwiniensisについては図31の、N. exitiosusについては図32の、そしてS. actuosusについては図33の代表的スペクトルを参照のこと)。可変性が低い場合、平均値を用いた。可変性が高い場合、直近の記録の周波数のみを用いた。なぜなら、後に行った記録ではシロアリが落ち着き、摂食が観察されたからである。
留意すべきは、主要振動音周波数はシロアリと木種の間で一貫したパターンで変化したことである。特定の木種について、異なる種では異なる周波数が得られた。さらに周波数の順としては、シロアリの各種は各木種で同一の順で現れた。すなわち、M. darwiniensisの周波数が最も低く、次いでN. exitiosus、S. actuosusの順であり、C. lacteusの周波数が最も高かった(図34、周波数に対する波の速度)。
上記実施例1および2は、Cryptotermes属内の2つの種の挙動が異なることを示している。C. secundusはより大きい食物を好み、同種の信号に誘引され、C. domesticusはより小さい食物を好み、自然信号を忌避したと考えられる(自然信号が再生されると、C. domesticusは好みをより小さい木に変えた。図4〜図6)。しかしいずれの例でも、振動信号の再生がシロアリの挙動に影響を与えることが示されている。さらに実施例3では、広範囲に生息し商業的に重要であるCoptotermes acinaciformisがCoptotermes lacteus種の振動信号に誘引されること、および振動信号の再生がシロアリの挙動に影響を与えることが示されている。本発明は害虫制御の目的のためにこの認識を利用する。本発明はさらに、他のタイプの影響のある振動信号の再生が害虫制御の目的に適用され得ると認識する。再生用の種特異的振動信号が他の種についても、実施例1〜5で上記したものと同一または類似の様式で取得可能であり、このような信号を代替の種のために記録および再生することも本発明の範囲内であると理解すべきである。
図35は、本発明の第1の実施形態による、シロアリの挙動に影響を与える振動信号を生成する装置のブロック図である。シロアリ制御装置は、4つの主要概念成分を有する。電源3510は、Liイオン再充電可能電源を含むデュアル電源である。装置が要するパワーはこのように比較的小さいが、増幅段階は高電圧で動作する必要がある。実際のパワー出力は適用態様に合うように決定される。
信号生成は、高忠実度でWAVフォーマットを再生することが可能な携帯フラッシュベースのMP3プレーヤにより3520で行われる。これに加えて又はこれに代えて、1〜10kHzの周波数範囲の信号を生成するために、増幅のない携帯CDプレーヤ(ソニーD−EJ100)を用いてもよい。
アクチュエータ3540を駆動するために高電圧増幅が必要である。この実施形態では、最大出力電圧±150Vを有するHV電源を備えた高電圧増幅器3530が用いられる。他の実施形態における増幅システムの詳細は通常、アクチュエータのタイプに依存する。
アクチュエータ3540は、環形状の圧電チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)トランスデューサであり、外径が約15mm、内径が約7mmである。アクチュエータ3540は、自己タップ型ねじを用いて木製基板に機械的に連結可能であり、あるいはボルトによりコンクリート製または金属製基板に連結可能である。この実施形態ではトランスデューサは、金属製ワッシャシステムに埋め込まれたPZT/バイモルフ要素(RS285−784)である。別の実施形態では、アクチュエータのタイプは概して、対象である適用態様に必要な出力振動振幅に依存する。
図35の電源3510、信号生成器3520および増幅器3520はシロアリ耐性容器に収容されている。シロアリはShore D硬度が80未満のプラスチックを破壊することができるため、容器のプラスチック部材は非可塑化PVCから形成されている。同様に、容器からアクチュエータ3540まで延びるケーブルは、ナイロンおよび/または織ステンレス鋼から形成されたシロアリ耐性外装を有している。装置は耐水性になっている。なぜなら装置は、大半のシロアリ害虫問題が起こっている高湿度の場所に設置される可能性が高く、さらに土中に掘られた壕または土の上(例えば家屋の床下空間)に設置されるかもしれないからである。
図36は、図35の装置の配置構造を示す模式図であり、左側の側面図と右側の平面図とを含む。図示するように、装置によって生成された信号は1を超えるアクチュエータに分配されて、それぞれの木製基板に対して再生されてもよい。図37は、図35の装置を2つの餌ステーションに配置した様子を示す。一方のステーションは土中にあり、他方のステーションは土の上にある。各構成において、適切なシロアリ餌を備えた生け贄の木製基板に対して誘引信号が再生される。
図35の装置は使用する際に、様々な場所に設置され、様々な形状および位置の木ブロックに連結される。容器からアクチュエータへのケーブル接続は、このような様々な使用に合うだけの十分な長さを有している。さらに振動信号がアクチュエータから対象の媒体まで効率的に結合されることを保証するために、適切な連結取り付けを行うべきである。図38は、図35の装置のアクチュエータ3540を木製梁3800に連結する第1の構造を示す。梁3800にパイロット穴3820をドリルで開けてねじ3810を入れる。ねじ3810は環状アクチュエータ3540の目を通過して環状アクチュエータ3540を梁3800にしっかりと取り付ける。これにより信号が梁3800に効率的に結合される。
図39は、図35の装置のアクチュエータを木製梁3900に連結する第2の構造を示す。この構造では、アクチュエータはねじ3910へのワッシャタイプの取り付け具として形成されている。ねじはパイロット穴3920内に収容され、梁3900にしっかりと取り付けられる。これによりアクチュエータ信号が梁3900に効率的に結合される。
図40は、図35の装置のアクチュエータを木製梁4000に連結する第3の構造を示す。この構造では、アクチュエータ3540はロッド形状に形成され、ガイド穴4020に摩擦により適合して挿入され、例えばエポキシなどの接着剤で梁4000に連結される。これによりアクチュエータ信号が梁4000に効率的に結合される。これは図示する穴に挿入される代わりに基板または部材の表面に直接適用されてもよい。
図41は、木製建造物構造4100を保護するために、図35に示すタイプの装置4110が複数配置された様子を示す。各装置4110は、建造物構造の木製部材4110間に分配された複数のトランスミッタ4120を有している。
当業者であれば、包括的に記載した本発明の思想または範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態で示した本発明に様々な変更および/または改変を行うことが可能であることを理解する。従って上記実施形態はあらゆる意味で本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではないと考えるべきである。
本発明を図面を参照して述べてきた。図面は以下の通りである。
図1は、実施例1でテストした全実験処理を示す模式図である。 図2はC. domesticus働きシロアリにより励起されたP. radiata木ブロックの主要共振周波数を示す図である。 図3AおよびBは、実施例1の再生信号の時間とスペクトルの軌跡を示す図である。 図4は、C. domesticus働きシロアリの毎日の位置を示す図である。 図5は、振動音信号がある場合およびない場合の木ブロックの選択に対するC. domesticus働きシロアリの応答を示す図である。 図6は、C. domesticus働きシロアリのトンネル掘り活性の均衡度を示す図である。 図7は、実施例2の食物サイズ実験処理を示す模式図である。 図8は、Cryptotermes secundusの信号誘引実験処理を示す模式図である。 図9は、T字経路の信号減衰を示す図である。 図10は、食物サイズの好み実験におけるCryptotermes secundusシロアリの毎日の位置を示す図である。 図11は、C. secundusシロアリのトンネル掘り活性を示す図である。 図12AおよびBは、実施例2の再生信号の時間とスペクトルの軌跡を示す図である。 図13は、誘引実験で選択を行わなかったC. secundusシロアリの数を示す図である。 図14は、誘引実験で決定を行ったC. secundusシロアリの数を示す図である。 図15は、誘引実験でC. secundusシロアリが決定を行うのに要した時間を示す図である。 図16は、Coptotermes acinaciformisに対する信号誘引性実験処理を示す模式図である。 図17は、Coptotermes lacteus働きシロアリによって励起されたP. radiata木ブロックの主要共振周波数を示す図である。 図18は、図16の誘引実験で選択を行わなかったCoptotermes acinaciformisシロアリの数を示す図である。 図19は、図16の誘引実験で決定を行ったCoptotermes acinaciformisシロアリの数を示す図である。 図20A〜Cは、Coptotermes acinaciformisシロアリに対するCoptotermes acinaciformis警告信号の忌避効果をテストする第1の実験の3つの処理を示す図である。 図21A〜Cは、Coptotermes acinaciformisシロアリに対するCoptotermes frenchi警告信号の忌避効果をテストする第2の実験の3つの処理を示す図である。 図22は、個々のCoptotermes acinaciformis兵士シロアリからの単一警告信号が969Hzと2605Hzとの間のバンドパスフィルタにかけられてノイズを減少させた後の、約1.8秒の時系列の警告信号イベントを示す図である。 図23AおよびBはそれぞれ、図22の警告信号イベントを、時間ドメインと周波数ドメインにおいて、より長時間に亘ってプロットした図である。 図24AおよびBはそれぞれ、個々のCoptotermes frenchi兵士シロアリからの単一警告信号が969Hzと2605Hzとの間のバンドパスフィルタにかけられてノイズを減少させた後の警告信号イベントを、時間ドメインと周波数ドメインにおいてプロットした図である。 図25は、図20の実験でのCoptotermes acinaciformisシロアリによる木の消費を示す図である。 図26は、図20Cに示す処理の各反復実験において、警告信号によって励起されたブロックから食べられた木の総量の均衡度をプロットした図である。 図27は、図21の実験でのCoptotermes acinaciformisシロアリによる木の消費を示す図である。 図28AおよびBはそれぞれ、Coptotermes acinaciformisシロアリおよびCoptotermes lacteusシロアリによって様々なサイズの木に対して生成された振動音採餌信号の主要周波数をプロットした図である。 図29A〜Eはそれぞれ、Cryptotermes domesticusシロアリ、Cryptotermes dudleyiシロアリ、Cryptotermes primusシロアリ、Cryptotermes queenslandisシロアリおよびCryptotermes secundusシロアリによって様々なサイズの木に対して生成された振動音採餌信号の主要周波数をプロットした図である。 図30AおよびBはそれぞれ、Coptotermes lacteusが様々なタイプの木を摂食したときに生成したサンプル振動採餌信号を、周波数ドメインと時間ドメインでプロットで表した図である。 図31AおよびBはそれぞれ、Mastotermes darwiniensisが様々なタイプの木を摂食したときに生成したサンプル振動採餌信号を、周波数ドメインと時間ドメインでプロットで表した図である。 図32AおよびBはそれぞれ、Nasititermes exitiosusが様々なタイプの木を摂食したときに生成したサンプル振動採餌信号を、周波数ドメインと時間ドメインでプロットで表した図である。 図33AおよびBはそれぞれ、Schedorhinotermes actuosusが様々なタイプの木を摂食したときに生成したサンプル振動採餌信号を、周波数ドメインと時間ドメインでプロットで表した図である。 図34は、Coptotermes、Schedorhinotermes、NasutitermesおよびMastotermesの振動採餌信号の各々について、周波数に対する波の速度をプロットした図である。 図35は、本発明の第1の実施形態による、シロアリの挙動に影響を与える振動信号を生成する装置のブロック図である。 図36は、図35の装置が壕に配置された様子を示す模式図である。 図37は、図35の装置の2つの餌ステーションの配置を示す図である。 図38は、図35の装置のアクチュエータを所望の基板に連結する第1の構造を示す図である。 図39は、図35の装置のアクチュエータを所望の基板に連結する第2の構造を示す図である。 図40は、図35の装置のアクチュエータを所望の基板に連結する第3の構造を示す図である。 図41は、建造構造物を保護する目的で図35に示すタイプの装置を複数配置した様子を示す図である。

Claims (40)

  1. 害虫シロアリを制御する方法であって、
    前記害虫シロアリが感知可能であり前記害虫シロアリの挙動に影響を与える振動信号を生成する工程と、
    前記振動信号を媒体に結合して前記害虫シロアリに感知させる工程とを含む、方法。
  2. 前記振動信号が振動採餌信号を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記振動信号が警告信号を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記振動信号が音発生信号を含む、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
  5. 前記振動信号が人工的に合成した信号を含む、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
  6. 前記振動信号が特定の害虫シロアリ種に特異的である、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
  7. 前記振動信号が同種の害虫シロアリから記録され信号生成器により再生される、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
  8. 前記振動信号が前記害虫シロアリからの複数の記録の組合せであり、同時および/または順に再生される、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
  9. 前記振動信号が前記害虫シロアリにとって誘引的である、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
  10. 前記誘引的振動信号が、非忌避的殺虫剤で処理した土または木に前記シロアリをおびき寄せるために用いられる、請求項9に記載の方法。
  11. 前記誘引的振動信号が、特定の場所から前記シロアリを忌避するために用いられる、請求項9に記載の方法。
  12. 前記振動信号が前記害虫シロアリにとって忌避的である、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
  13. 前記振動信号が、遠方に位置するトランスデューサと無線で通信される、請求項1から12のいずれか1つに記載の方法。
  14. 前記振動信号が、遠方に位置する複数のトランスデューサと無線で通信される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記振動信号が間欠的に生成される、請求項1から14のいずれか1つに記載の方法。
  16. シロアリの音発生を検知する工程と、前記シロアリの音発生を検知したときに前記振動信号の生成を開始する工程とをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  17. 害虫シロアリを制御する装置であって、
    前記害虫シロアリが感知可能でありかつ前記害虫シロアリの挙動に影響を与える振動信号を生成する信号生成器と、
    前記振動信号を媒体に結合して前記害虫シロアリに感知させるトランスデューサとを含む、装置。
  18. 前記トランスデューサが圧電トランスデューサである、請求項17に記載の装置。
  19. 前記トランスデューサがPZTによって形成されている、請求項18に記載の装置。
  20. 前記信号生成器による再生のために、前記振動信号の記録を保存するストレージメディアをさらに含む、請求項17から19のいずれか1つに記載の装置。
  21. 前記ストレージメディアがフラッシュメモリを含む、請求項20に記載の装置。
  22. 前記振動信号の記録がWAVフォーマットである、請求項20または21に記載の装置。
  23. 前記ストレージメディアがコンパクトディスクを含む、請求項20から22のいずれか1つに記載の装置。
  24. 前記振動信号が振動採餌信号を含む、請求項17から23のいずれか1つに記載の装置。
  25. 前記振動信号が警告信号を含む、請求項17から24のいずれか1つに記載の装置。
  26. 前記振動信号が音発生信号を含む、請求項17から25のいずれか1つに記載の装置。
  27. 前記振動信号が人工的に合成した信号を含む、請求項17から26のいずれか1つに記載の装置。
  28. 前記振動信号が特定の害虫シロアリ種に特異的である、請求項17から27のいずれか1つに記載の装置。
  29. 前記振動信号が同種の害虫シロアリから記録され前記信号生成器により再生される、請求項17から28のいずれか1つに記載の装置。
  30. 前記振動信号が前記害虫シロアリからの複数の記録の組合せであり、同時および/または順に再生される、請求項17から29のいずれか1つに記載の装置。
  31. 前記振動信号が前記害虫シロアリにとって誘引的である、請求項17から30のいずれか1つに記載の装置。
  32. 前記誘引的振動信号が、非忌避的殺虫剤で処理した土または木に前記シロアリをおびき寄せるために用いられる、請求項31に記載の装置。
  33. 前記誘引的振動信号が、特定の場所から前記シロアリを忌避するために用いられる、請求項31に記載の装置。
  34. 前記振動信号が前記害虫シロアリにとって忌避的である、請求項17から30のいずれか1つに記載の装置。
  35. 前記振動信号が、遠方に位置するトランスデューサと無線で通信される、請求項17から34のいずれか1つに記載の装置。
  36. 前記振動信号が、遠方に位置する複数のトランスデューサと無線で通信される、請求項35に記載の装置。
  37. 前記信号生成器が前記振動信号を間欠的に生成するように適合されている、請求項17から36のいずれか1つに記載の装置。
  38. シロアリの音発生を検知すると前記振動信号の生成を開始するように適合されたシロアリ音発生検知器をさらに含む、請求項37に記載の装置。
  39. 害虫シロアリを制御する方法であって、
    前記害虫シロアリを誘引する振動採餌信号を生成する工程と、
    前記信号採餌信号を媒体に結合して前記害虫シロアリに感知させる工程と、
    前記振動採餌信号に誘引されている前記シロアリをシロアリ制御活性物質に曝す工程とを含む、方法。
  40. 害虫シロアリを制御する装置であって、
    前記害虫シロアリを誘引する振動採餌信号を生成する信号生成器と、
    前記振動採餌信号を媒体に結合して前記害虫シロアリに感知させるトランスデューサと、
    前記振動採餌信号に誘引されている前記シロアリが曝されるシロアリ制御活性物質とを含む、装置。
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