JP2009524684A - 眼疾患および障害の治療のための組成物および方法 - Google Patents

眼疾患および障害の治療のための組成物および方法 Download PDF

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    • A61P27/00Drugs for disorders of the senses
    • A61P27/02Ophthalmic agents

Abstract

本明細書では眼疾患および障害を治療するための組成物および方法を提供する。糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症を含む眼疾患および障害を治療および予防するのに有用な、レチニルアミン誘導体化合物を含む組成物を本明細書で提供する。眼疾患を治療するいずれかのある実施形態において、リポフスチン色素の蓄積が対象の眼において阻害され、具体的な実施形態において、リポフスチン色素はN−レチニリデン−N−レチニル−エタノールアミン(A2E)である。

Description

関連出願への相互参照
本願は、2006年1月26日に出願された米国仮特許出願第60/762,384号の利益を主張する。この米国仮特許出願第60/762,384号は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
発明の分野
本発明は一般に、神経変性疾患および障害、特に眼疾患および障害を治療するための組成物および方法に関するものである。糖尿病性網膜症および黄斑変性症を含む眼疾患および障害を治療および防止するのに有用であるレチニルアミン誘導体化合物を含む、レチノイド化合物を含む組成物を本明細書で提供する。
関連分野の説明
神経変性疾患、例えば緑内障、黄斑変性症、糖尿病性網膜症、およびアルツハイマー病は世界中で何百万人もの患者に影響を及ぼしている。これらの疾患に起因する生活の質の低下は考慮すべきであるため、本分野における薬物の研究開発は非常に重要である。
黄斑変性症は米国では500万〜1000万人の患者に影響を及ぼし、世界中で失明の主な原因である。黄斑変性症は中心視に影響を及ぼし、黄斑と呼ばれる網膜の中心部の光受容細胞の消失を引き起こす。黄斑変性症は2種類:非滲出型および滲出型に分類されうる。非滲出型は滲出型よりも一般的であり、加齢黄斑変性症(ARMD)患者の約90%が非滲出型と診断される。疾患の滲出型および非滲出型ARMDの末期表現型である地図状萎縮は、より深刻な失明に至る。滲出型ARMDを発症した患者はすべて、先に長期間にわたって非滲出型ARMDを有していた。加齢黄斑変性症の正確な原因は、なお不明である。ARMDの非滲出型は黄斑組織の加齢および薄層化から、そして黄斑への色素沈着から生じうる。滲出型ARMDにおいて、新たな血管が網膜の下で成長し、血液および体液を漏出する。この漏出が網膜細胞を死滅させ、中心視に盲点を形成する。
非滲出型の黄斑変性症を有する患者の圧倒的多数にとって、利用可能な治療法がない。非滲出型は黄斑変性症の滲出型の発症に先行するので、非滲出型の疾患進行への介入は現在非滲出型を有する患者に恩恵をもたらすことができ、滲出型の発症を遅延または防止しうる。
日常的な眼科検診中に患者によって、または眼科医によって認められた視覚の衰えが、黄斑変性症の最初の指標でありうる。黄斑のブルッフ膜下での滲出物、すなわち「ドルーゼン」の形成は、黄斑変性症が発症しうる最初の身体的徴候であることが多い。症状は直線の歪みの認知を含み、一部の症例では、視覚中心点が残りの視覚点よりも歪んで見える;暗くぼやけた範囲、すなわち「ホワイトアウト」が視覚中心点に出現する;および/または色覚が変化または減弱する。
より若い患者では、異なる形の黄斑変性症も発生しうる。非加齢性病因は遺伝、糖尿病、栄養不良、頭部外傷、感染、または他の因子に関連付けられうる。
緑内障は、しばしば他のいずれかの一般的な症状を伴わずに、視野消失を引き起こす疾患の群を説明するのに使用される幅広い用語である。症状がないことは、疾患末期までの緑内障の診断遅延につながることが多い。緑内障の患者数は米国で300万人と推定され、失明の約120,000症例が該状態に起因する。緑内障は日本でも蔓延しており、400万症例が報告されている。世界の他の地域では、米国や日本よりも治療が受けにくいため、緑内障は世界中で失明の主な要因として位置づけられている。緑内障に罹患した対象が失明しなくても、その視力は著しく損なわれる。
周辺視の消失は、網膜の神経節細胞の死によって引き起こされる。神経節細胞は眼を脳に連結する特定の種類の投射ニューロンである。緑内障は眼圧の上昇を伴うことが多い。現在の治療は、眼圧を低下させる薬物の使用を含む;しかしながら眼圧を低下させることは、疾患進行を完全に停止させるには不十分であることが多い。神経節細胞は、圧力に影響されやすいと考えられており、眼圧を低下させる前に永久変性を被ることがある。眼圧の上昇が認められずに神経節細胞が変性する、正常眼圧緑内障の症例数の増加が見られている。現在の緑内障薬は眼圧のみを治療するので、神経節細胞の変性を防止する、または逆行させる新しい治療剤を同定する必要がある。
最近の報告は、緑内障が、網膜ニューロンに特異的に影響を及ぼすことを除いて、脳におけるアルツハイマー病およびパーキンソン病に類似した神経変性疾患であることを示唆している。眼の網膜ニューロンは、脳の間脳ニューロンから生じる。網膜ニューロンは脳の一部でないと誤って考えられることが多いが、網膜細胞は中枢神経系の主要な構成要素であり、光感知細胞からのシグナルを解釈する。
アルツハイマー病(AD)は、高齢者間で最も一般的な認知症の形である。認知症は、ヒトが日常生活を営む能力に深刻な影響を及ぼす脳障害である。アルツハイマーは、米国だけで400万人に影響を及ぼす疾患である。それは記憶および他の精神機能に不可欠である脳の範囲における神経細胞の消失を特徴とする。一部の薬物はAD症状を有限の期間にわたって防止しうるが、疾患を治療する、または精神機能の進行性低下を完全に停止させる薬物は存在しない。近年の研究は、ニューロンまたは神経細胞を補助するグリア細胞がAD罹患者において欠陥を有しうることを示唆しているが、ADの原因は不明のままである。ADを有する個体は、緑内障および黄斑変性症の発症率がより高いように思われ、これらの脳および眼の神経変性疾患には同様の病原がありうることを示している。(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3を参照)。
失明の別の主な原因は、糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症である。糖尿病性網膜症は、糖尿病が網膜内の血管を損傷したときに発症する。非増殖網膜症は一般的な、通常は軽症型であり、一般に視力を妨害しない。異常は網膜に限定され、視力は黄斑が関与する場合にのみ損なわれる。治療せずに放置すると、糖尿病性網膜症のさらに深刻な形である増殖網膜症まで進行する。増殖網膜症は、新しい血管が網膜内およびその周囲で増殖するときに発症する。結果として、硝子体内への出血、網膜の膨潤、および/または網膜剥離が発症することがあり、失明へ至る。
これらの疾患の病状の根底には神経細胞の死がある。残念ながら、網膜神経細胞の生存、特に光受容細胞の生存を向上させる組成物および方法はごくわずかしか発見されていない。したがって網膜疾患および障害の治療および予防に使用されうる組成物を同定および開発する必要がある。
脊椎動物の光受容細胞において、光子は11−シス−レチニリデン発色団の視覚オプシン受容体に結合された、オールトランス−レチニリデンへの異性化を引き起こす。この光異化は、オプシンの配座変化を誘発し、これが次に光伝達と呼ばれる生化学反応の連鎖を開始させる(非特許文献4)。視覚色素の再生は、色素団がレチノイド(視覚)サイクルと集合的に呼ばれるプロセスにおいて11−シス配置に再度変換されることを必要とする(非特許文献5で総説されている)。まず、色素団がオプシンから放出され、レチノールデヒドロゲナーゼによって光受容体において還元される。生成物のオールトランス−レチノールは、付近の網膜色素上皮(RPE)に、レチノソームとして既知の細胞下構造の不溶性脂肪酸エステルの形で捕捉される(非特許文献6)。
ABCRトランスポータの突然変異に関連する疾患であるシュタルガルト病(Allikmetsら、Nat Genet 15:236−46、1997年)において、オールトランス−レチナールの蓄積は、リポフスチン色素A2Eの形成を担うことがあり、A2Eは網膜細胞に対して毒性であり、網膜変性症を発症させ、その結果、視力消失を引き起こす(非特許文献7;非特許文献8)。患者をレチノールデヒドロゲナーゼの阻害薬、13−シス−RA(Accutane(登録商標)、Roche)によって治療することは、A2Eの形成を防止または低速化させることがあり、正常な視力を維持するための防御特性を有しうることが提唱された(非特許文献9)。13−シス−RA(イソトレチノイン、またはAccutane(登録商標))は11−シス−RDH(LawおよびRando、Biochem Biophys Res Commun 161:825−9、1989年)を阻害し、誘発された夜盲症と関連付けられ、11−シス−RDHの阻害を通じて11−シス−レチナールの合成を低速化させるのに使用されてきた。一方、13−シス−RAが眼における異性化プロセスに不可欠なタンパク質であるRPE65を結合することによって発色団再生を防止するよう作用することが提唱されている(非特許文献10)。これらの調査者は、13−シス−RAがA2Eの形成を遮断することを見出し、この治療がリポフスチン蓄積を阻害し、それによってリポフスチン蓄積に関連するシュタルガルト患者における視力喪失の開始または黄斑変性症のどちらかを遅延させうることを示唆した。しかしながらレチノイドサイクルの遮断およびリガンド非結合オプシンの生成(非特許文献11;非特許文献12)は、より重篤な結果および患者の予後の悪化を生じうる。発色団の生成の失敗は、進行性網膜変性症につながることがあり、極端な症例では、レーバー先天黒内障(LCA)と同様の表現型を生成するであろう。この疾患は、誕生またはその直後から小児に影響を及ぼす非常にまれな小児状態である。さらに13−シス−RAを用いた治療は、誘発された夜盲症に関連している。
Giassonら、Free Radic.Biol.Med.32:1264−75(2002) Johnsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:11830−35(2002) Dentchevら、Mol.Vis.9:184−90(2003) Filipekら、Annu Rev Physiol 65:851−79、2003年 McBeeら、Prog Retin Eye Res 20:469−52、2001年 Imanishiら、J Cell Biol 164:373−8、2004年 MataおよびTravis、Proc Natl Acad Sci USA 97:7154−9、2000年 Wengら、Cell 98:13−23、1999年 Raduら、Proc Natl Acad Sci USA 100:4742−7、2003年 GollapalliおよびRando、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:10030−5、2004年 Van Hooserら、J.Biol.Chem.277:19173−82、2002年 Woodruffら、Nat.Genet.35:158−164、2003年
進行性網膜変性症、LCA、または夜盲症など、さらなる望ましくない副作用を引き起こさない、シュタルガルト病および加齢黄斑変性症(AMD)の効果的な治療が当分野に求められている。網膜に悪影響を及ぼす他の眼疾患および障害の効果的な治療も当分野に求められている。
発明の簡単な要旨
本明細書では、レチニルアミン誘導体化合物および組成物ならびに眼の変性疾患を含む、眼疾患または障害を治療または防止する方法であって、レチニルアミン誘導体の有効量および眼科的に許容される担体を含む、製薬的に許容される担体、ビヒクル、または賦形剤を対象に投与するステップを含む方法を提供する。本明細書では、眼または対象における網膜細胞(例えば網膜神経細胞)変性症を防止する(あるいは網膜細胞生存を向上または延長する、あるいは網膜細胞生存能を延長する)方法も提供する。他の実施形態において、対照に本明細書において詳細に記載するようなレチニルアミン誘導体および製薬的に許容される担体を投与するステップを含む、対象の眼における光受容体機能を回復する方法が提供される。これらの方法は、眼におけるレチノイドサイクルの発色団流動を低速化させて、眼における光受容体機能を回復させうる。別の実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物の投与は、レチノイドサイクルの異性化ステップを阻害しうる。
本明細書では、対象の眼疾患および障害を治療または防止する方法を提供し、眼疾患および障害が糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症より選択され、レチニルアミン誘導体は本明細書で提供する式Iの化合物である。ある実施形態において、方法は式Iの基礎構造(例えば式I(A)またはI(B)および化合物(I(a)−I(j)の基礎構造)を有するレチニルアミン誘導体化合物を含む。ある実施形態において、レチニルアミン誘導体は、オールトランス−異性体、9−シス−異性体、11−シス−異性体、13−シス−異性体、9,11−ジ−シス−異性体、9,13−ジ−シス−異性体、11,13−ジ−シス−異性体、または9,11,13−トリ−シス−異性体である。具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、11−シス−レチニルアミンである。別の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、9−シス−レチニルアミン、11−シス−レチニルアミン、13−シス−レチニルアミン、またはオールトランス−レチニルアミンである。別の詳細な実施形態において、レチニルアミン誘導体は中性pHにて(対イオンの存在下で)少なくとも+1の電荷を有する。
他の実施形態において、対象の眼疾患および障害を治療または防止する方法を提供し、眼疾患または障害が糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症より選択され、該方法はその必要がある対象にレチニルアミン誘導体および製薬的に許容される担体を含む組成物を投与するステップを含み、レチニルアミン誘導体は、本明細書に記載したような上記の式のいずれか1つの基礎構造を有する化合物を含む、11−シス固定レチニルアミンである式IIIのレチニルアミン誘導体化合物、および式V(a))の構造を有する化合物を含む、式II、式III、式IV、または式Vの化合物であり、そのすべてが本明細書において詳細に記載されている。詳細な実施形態において、レチニルアミン誘導体は中性pHにて(対イオンの存在下で)少なくとも+1の電荷を有する。
眼疾患を治療する上述の方法のいずれかのある実施形態において、リポフスチン色素の蓄積は対象の眼において阻害され、具体的な実施形態において、リポフスチン色素はN−レチニリデン−N−レチニル−エタノールアミン(A2E)である。
他の実施形態において、本明細書に記載する構造I、II、III、IV、またはVあるいはいずれかの基礎構造を有するレチニルアミン誘導体化合物は、黄斑変性症、緑内障、網膜剥離、網膜血管閉塞、出血性網膜症、網膜色素変性症、未熟児網膜症、視神経症、炎症性網膜疾患、増殖性硝子体網膜症、網膜ジストロフィー、虚血再灌流関連網膜損傷、遺伝性視神経症、代謝性視神経症、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、ソーズビー眼底ジストロフィー、ベスト病、ブドウ膜炎、網膜損傷、アルツハイマー病に関連する網膜障害、多発性硬化症に関連する網膜障害、パーキンソン病に関連する網膜障害、ウイルス感染に関連する網膜障害、過剰露光に関連する網膜障害、およびAIDSに関連する網膜障害より選択される眼疾患を治療する方法において使用される。他の具体的な実施形態において、眼疾患または障害を治療する方法は、加齢黄斑変性症およびシュタルガルト病(シュタルガルト黄斑ジストロフィー)を治療することを除外する。
他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は対象の眼に局所投与され、ある実施形態において、点眼薬、眼内注射、または眼周囲注射によって投与される。別の実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は、対象に経口投与される。別の実施形態において、眼疾患または障害を治療または防止するための薬剤の製造のための、本明細書に記載した構造I、II、III、IV、またはVあるいはいずれかの基礎構造のいずれか1つを有するレチニルアミン誘導体化合物の使用が提供される。ある具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体の使用は、糖尿病性網膜症、網膜虚血、糖尿病性黄斑浮腫、代謝性視神経症、虚血再灌流関連網膜損傷、または糖尿病性黄斑症を治療する薬剤の製造のためである。
別の実施形態において、対象に製薬的に許容される担体および本明細書に記載するような本明細書に記載した構造I、II、III、IV、またはVあるいはそのいずれかの基礎構造のいずれか1つを有する化合物であるレチニルアミン誘導体を含む組成物を投与するステップを含む、その必要がある対象における眼の網膜細胞の変性を阻害する方法を提供する。ある実施形態において、方法は式Iの基礎構造(例えば式I(A)またはI(B)および化合物(I(a)−I(j)の基礎構造)を有するレチニルアミン誘導体化合物を含む。ある実施形態において、レチニルアミン誘導体は、オールトランス異性体、9−シス異性体、11−シス異性体、13−シス異性体、9,11−ジ−シス異性体、9,13−ジ−シス異性体、11,13−ジ−シス異性体、または9,11,13−トリ−シス異性体である。具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は11−シス−レチニルアミンである。別の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、9−シス−レチニルアミン、11−シス−レチニルアミン、13−シス−レチニルアミン、またはオールトランス−レチニルアミンである。別の詳細な実施形態において、レチニルアミン誘導体は中性pHにて(対イオンの存在下で)少なくとも+1の電荷を有する。
他の実施形態において、対象にレチニルアミン誘導体および製薬的に許容される担体を含む組成物を投与するステップを含む、対象の眼における網膜細胞の変性を阻害する方法を提供し、レチニルアミン誘導体は、本明細書に記載したような上述の式のいずれか1つの基礎構造を有する化合物を含む、式II、式III、式IV、または式Vの化合物、および具体的な化合物(例えば11−シス固定レチニルアミンである式IIIのレチニルアミン誘導体化合物;式V(a)の構造を有する化合物)であり、そのすべてが本明細書において詳細に記載されている。詳細な実施形態において、レチニルアミン誘導体は中性pHにて(対イオンの存在下で)少なくとも+1の電荷を有する。
対象における眼の網膜細胞の変性を阻害する上述の方法のある実施形態において、網膜細胞は網膜神経細胞または他の成熟網膜細胞、例えば網膜色素上皮(RPE)細胞またはミュラーグリア細胞である。具体的な実施形態において、網膜神経細胞はアマクリン細胞、神経節細胞、双極細胞、水平細胞、および光受容細胞より選択される。
対象における眼の網膜細胞の変性を阻害する上述の方法の他のある実施形態において、レチニルアミン誘導体はレチノイドサイクルの異性化ステップを阻害する。別のある実施形態において、レチニルアミン誘導体は、網膜細胞の変性を防止しうる眼におけるレチノイドサイクルの発色団流動を低速化させることがあり、ある実施形態において、網膜細胞は網膜神経細胞である。他のある実施形態において、網膜神経細胞は光受容細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、および水平細胞より選択され;他のある実施形態において、網膜神経細胞は光受容細胞である。
対象の眼の網膜細胞の変性を阻害する上述の方法のいずれかのある実施形態において、該方法は対象の眼におけるリポフスチン色素の蓄積を阻害するステップをさらに含み、具体的な実施形態において、リポフスチン色素はN−レチニリデン−N−レチニル−エタノールアミン(A2E)である。
対象の眼の網膜細胞の変性を阻害する上述の方法のいずれかの別のある実施形態において、製薬担体および本明細書に記載するレチニルアミン誘導体を含む組成物を投与することによって対象の眼の網膜細胞の変性を阻害することは、眼の疾患または障害のための治療であり、眼の疾患または障害は、糖尿病性網膜症、網膜虚血、糖尿病性黄斑浮腫、代謝性視神経症、虚血再灌流関連網膜損傷、または糖尿病性黄斑症より選択される。他の実施形態において、眼の疾患または障害は、黄斑変性症、緑内障、網膜剥離、網膜血管閉塞、出血性網膜症、網膜色素変性症、未熟児網膜症、視神経症、炎症性網膜疾患、増殖性硝子体網膜症、網膜ジストロフィー、遺伝性視神経症、代謝性視神経症、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、ソーズビー眼底ジストロフィー、ベスト病、ブドウ膜炎、網膜損傷、アルツハイマー病に関連する網膜障害、多発性硬化症に関連する網膜障害、パーキンソン病に関連する網膜障害、ウイルス感染に関連する網膜障害、過剰露光に関連する網膜障害、およびAIDSに関連する網膜障害より選択される。別のある実施形態において、眼の疾患または障害は、緑内障、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、網膜虚血、糖尿病性黄斑浮腫、網膜剥離、網膜血管閉塞、出血性網膜症、網膜色素変性症、未熟児網膜症、視神経症、炎症性網膜疾患、増殖性硝子体網膜症、網膜ジストロフィー、虚血再灌流関連網膜損傷、遺伝性視神経症、代謝性視神経症、ソーズビー眼底ジストロフィー、ベスト病、ブドウ膜炎、網膜損傷、アルツハイマー病に関連する網膜障害、多発性硬化症に関連する網膜障害、パーキンソン病に関連する網膜障害、ウイルス感染に関連する網膜障害、過剰露光に関連する網膜障害、およびAIDSに関連する網膜障害より選択される。具体的な実施形態において、眼疾患は糖尿病性網膜症または糖尿病性黄斑症である。他の具体的な実施形態において、眼疾患または障害を治療する方法は、加齢黄斑変性症およびシュタルガルト病を治療することを除外する。他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は対象の眼に局所投与され、ある実施形態において、点眼薬、眼内注射、または眼周囲注射によって投与される。別の実施形態において、レチニルアミン誘導体は、対象に経口投与される。別の実施形態において、レチニルアミン誘導体の使用が眼疾患または障害を治療または防止する薬剤の製造のために使用される。
本明細書および添付請求項で使用するように、単数形「a」、「and」、および「the」は文脈が別途明確に記述しない限り、複数の指示対象を含む。それゆえ例えば、「薬剤(an agent)」への言及は複数のこのような薬剤を含み、「細胞(the cell)」への言及は1個以上の細胞および当業者に既知のその同等物などを含む。「約(about)」という用語は、数または数値範囲を指すときに、言及された数または数値範囲が実験的変動内(または統計的実験誤差内)での近似値であり、それゆえ数または数値範囲は記載した数または数値範囲の1%〜15%で変化しうる。「含む(comprising)という用語(および「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「有する(having)」または「含む(including)」などの関連用語)は、他のある実施形態において、例えば本明細書に記載した物質のいずれかの組成物、組成物、方法、またはプロセスなどの実施形態が、記載した特徴「より成り」うる、または「より本質的に成り」うることを除外するものではない。
本明細書で引用したおよび/または出願データシートに挙げたすべての米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
発明の詳細な説明
本発明は、レチニルアミン誘導体などのレチノイド化合物、および特に糖尿病などの代謝性疾患に関連する、またはその続発症である眼疾患および障害を含む、眼疾患および障害を治療および防止するのに有用である、このような化合物を含む組成物に関するものである。ストレスを受けた網膜神経細胞(例えばアマクリン細胞、神経節細胞、双極細胞、水平細胞、および特に光受容細胞)および他の成熟網膜細胞、例えばRPEおよびミュラーグリア細胞の神経変性は、細胞が本明細書に記載する化合物に曝露されたときにこれらの細胞において減弱または阻害されうる。ストレスを受けた網膜神経細胞の本明細書に記載するレチニルアミン誘導体化合物への曝露は、長期生存、すなわち化合物の非存在下で生存する細胞の数よりも増加した数の網膜神経細胞(例えば光受容細胞)の生存を齎しうる。本明細書に記載するレチニルアミン誘導体化合物を使用して、これに限定されないが、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症を含む眼疾患または障害を有する、またはそれを発症するリスクを有する対象を治療する方法を本明細書で提供する。
これらの化合物は、一般に神経疾患または障害を治療する、そして特に眼および脳の変性疾患を治療する方法に使用されうる。レチニルアミン化合物は、神経変性疾患または障害、特に眼疾患または障害の症状を治療、治癒、防止、改善するのに、あるいはその進行を低速化、阻害、または停止するのに有用でありうる。代表的な眼疾患としては、これに限定されないが、黄斑変性症(非滲出型黄斑変性症を含む)、緑内障、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜剥離、網膜血管(動脈または静脈)閉塞、出血性網膜症、網膜色素変性症、未熟児網膜症、視神経症、炎症性網膜疾患、増殖性硝子体網膜症、網膜ジストロフィー、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、遺伝性視神経症、代謝性視神経症、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、ソーズビー眼底ジストロフィー、ベスト病、ブドウ膜炎、網膜損傷、アルツハイマー病、多発性硬化症、および/またはパーキンソン病に関連する網膜障害、ウイルス感染に関連する網膜障害、あるいはAIDSに関連する、またはAIDSの続発症の網膜障害が挙げられる。網膜障害は、光への過剰曝露に関連する網膜損傷も含む。ある詳細な実施形態において、眼疾患または障害を治療するための本明細書に記載したレチニルアミン化合物の使用は、加齢黄斑変性およびシュタルガルト黄斑ジストロフィーを治療するための化合物の使用を除外する。
本明細書では、製薬的に許容される担体中のレチノイド誘導体、例えばレチニルアミン誘導体をその必要がある対象に投与するステップを含む、眼の変性疾患などの眼疾患を治療または防止する方法について記載する。本明細書では、理論に束縛はされないが、眼のレチノイドサイクルでの発色団流動を低速化させうる、製薬的に許容される担体中のレチノイド化合物、例えばレチニルアミン誘導体をその必要がある対象に投与するステップを含む、脊椎動物の目における光受容体変性を防止するための、または光受容体機能を回復させるための方法も提供する。
光の吸収および11−シス−レチナールのオールトランス−レチナールへの光異性化の後、視覚発色団の再生は光受容体をその暗順応状態に回復させるのに不可欠なステップである。この再生プロセスは、レチノイド(視覚)サイクルと呼ばれ、光受容体外節および網膜色素上皮(RPE)で発生する。研究は、眼における発色団の再生がレチニルカルボカチオン中間体を通じて発生しうること、および正に帯電したレチノイドが異性化プロセスの遷移状態類似体として作用しうることを示唆している(例えばGolczakら、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 102:8162−67(2005))を参照。異性化プロセスは、分子的詳細事項においてまだ十分に特徴付けられていない(例えばRando、Biochemistry 30:595−602(1990);Kuksaら、Vision Res 43:2959−81(2003);Stecherら、J Biol Chem 274:8577−85(1999);McBeeら、Biochemistry 39:11370−80(2000);StecherおよびPalczewski、Methods Enzymol 316:330−44(2000)を参照)。
いずれかの特定の理論に束縛はされないが、異性化プロセスの分子的キャラクタリゼーションは、少なくとも2つの仮説によって記載されている。「アイソメロヒドラーゼ(isomerohydrolase)」仮説は、レチニルエステル加水分解のエネルギーを利用して吸熱異性化反応を実施する酵素の存在を提唱している(Rando、Biochemistry 30:595−602、1990年)。本機構は、オールトランス−レチニルパルミテートのC11位置での求核攻撃を、アルキル開裂によるパルミテートの同時脱離と共に含む。複合体は回転してC11〜C12結合を新たな高次構造内に再配置して、発色団−タンパク質複合体の遷移状態の再水和が続き、11−シス−レチノールの産生に至る。本機構の直接の証拠は不足しており、その賛否両論が広範に議論されてきた(例えばKuksaら、Vision Res.43:2959−81、2003年を参照)。オールトランス−レチニルエステルが活性化エステルの亜集団であるオールトランス−レチノールでありうる、同定されていない中間体、または当分野でまだ既知でないレチノイド中間体に変換される代わりの機構が提案されている(Stecherら、J.Biol.Chem.274:8577−85、1999年)。本中間体は次にレチニルカルボカチオンに転換され、遷移状態で再水和されて、11−シス−レチノールとして放出される(例えばMcBeeら、Biochemistry 39:11370−80、2000年)。本吸熱反応では著しい生成物の形成は、レチノイド結合タンパク質の存在下のみで見られるはずであり(例えばStecherおよびPalczewski、Methods Enzymol.316:330−44、2000年を参照)、研究は、産生された同位体の比がレチノイド結合タンパク質の特異性に影響を受けやすいように思われることを指摘している(例えばStecherら、J.Biol.Chem.274:8577−85、1999年;McBeeら、Biochemistry 39:11370−80、2000年を参照)。両方の機構において、経路は実験的に観測されるように、アルキル開裂を介して進行する(例えばKuksaら、Vision Res.43:2959−81、2003年を参照)。
レチニルアミン(Ret−NH)はRPEミクロソーム中のタンパク質を結合するが、異性化反応に関与するタンパク質であるRPE65は結合しない。Golczakら(同上)は、正に帯電したレチノイド誘導体、例えばレチニルアミンが、13−シス−レチノイン酸(13−シス−RA)よりも特異的に発色団流量を調節できることを示唆している。化合物13−シス−RAは、レチノイドサイクルを低速化することによってシュタルガルト病の症状を治療することが提唱されてきた;しかしながら化合物は眼以外の多くの他の組織に悪影響を及ぼしうる。加えて13−シス−RAは自発的にオールトランス異性体へと異性化することができ、オールトランス異性体は次に核受容体RXRおよびRARを活性化する。Ret−NHはマイクロモル濃度ではRXRおよびRARと相互作用しない。
理論に束縛はされないが、11−シス−レチニルアミンおよび本明細書に記載する他のレチニルアミン化合物は、異性化プロセスを阻害、遮断、またはある方法で妨害し、それゆえ眼疾患および障害を治療するのに有用である。11−シス−レチニルアミンは、11−シス−レチナールの還元的アミノ化によって調製される。アミンはイソメラーゼ、または視覚サイクルに関与するタンパク質であるイソメロヒドラーゼの強力な阻害薬である。光退色後のイソメラーゼの生体内阻害は、視覚色素発色団の回復には至らず、それゆえレチナールの形成を防止して、レチニルエステルの量を増加させる。レチナールは、網膜細胞にとって非常に毒性であり、網膜変性に寄与すると考えられている毒性リポフスチン色素、A2Eの蓄積を担う。したがって、そして本明細書に記載されているように、本明細書に記載されているようなレチニルアミン誘導体化合物、例えば11−シス−レチニルアミンは、本明細書に記載されているような多くの眼疾患および障害を治療するのに使用されうる。
「レチノイド」は、頭−尾様式で結合された4個のイソプレノイド単位より成る化合物のクラスを指す。IUPAC−IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclatureを参照。すべてのレチノイドは、正式には5個の炭素間二重結合および非環式部分の末端における官能基を含有する単環式親化合物に由来しうる。基本的なレチノイド構造は一般に3つの部分、すなわち(1)極性末端(例えば末端アミン、アルコール、アルデヒドまたは酸);(2)コンジュゲート側鎖;および(3)シクロヘキセニル環または非極性アルキル側鎖に細分される。最も一般的な天然レチノイドの基本構造はレチノール、レチンアルデヒド、およびレチノイン酸と呼ばれる。
レチニルアミン誘導体は、正に帯電した置換基、例えば(4級アミンに存在するような)正に帯電した窒素原子を持つ、化合物のレチノイドクラスと呼ばれる正に帯電したレチノイド誘導体を含む。正に帯電したレチノイド誘導体は、プロトン化によって、または塩として(例えば対イオンの存在下で、化合物は中性pHにて正に帯電しうる)正に帯電しうる。レチニルアミン誘導体化合物は、生理的に活性状態にあるときに、ならびに/あるいは化合物が酵素および/または基質結合部位にて酵素と相互作用するときに、正に帯電しうる。正に帯電した置換基としては、(1)ヒドロン(イオンH+)の、窒素、カルコゲン、およびハロゲンファミリの単核親水素化物への付加に由来するカチオン(その対イオンを含む)(例えばアンモニウム(H);オキソニウム(H);フルオロニウム(H);ホスホニウム(H);スルホニウム(H);クロロニウム(HCl);アルソニウム(HAs);セレノニウム(HSe);ブロモニウム(HBr);スチボニウム(HSb);テルロニウム(HTe);ヨードニウム(H);およびビスムトニウム(HBi));(2)置換された水素原子の数が形容詞の1級、2級、3級、または4級によって示される、親イオンの1価基による置換((1)を参照)によって形成された誘導体;(3)親イオンの同じ原子上に2または3個の自由価数を有する基による置換((1)を参照)によって形成された誘導体(例えばイミニウム化合物であるRC=N)(例えばIUPAC Compendium of Chemical Terminology、第2版(1997)を参照)を含む、オニウム化合物を含む。追加の正に帯電した置換基としては、これに限定されないが、アミン、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジウム、イソウロニウム、ヨードニウム、またはスルホニウム(例えばSMe )が挙げられ、これらの置換基がさらにプロトン化されると、正の電荷が与えられる(例えばプロトン化1級、2級、または3級アミン、あるいはプロトン化2置換イミダゾリウムなど)。正に帯電したレチノイド誘導体の例は、レチニルアミン誘導体がさらにプロトン化されるときの11−シス−レチニルアミン、13−シス−レチニルアミン、および9−シス−レチニルアミンを含むレチニルアミン誘導体である。
ある実施形態において、「合成レチノイド」は、「合成シス−レチノイド」または「合成シス−レチニルアミン」であるレチニルアミン誘導体などのレチノイド化合物を含み、ある他の実施形態において、合成レチノイドは、「合成トランス−レチノイド」または「合成トランス−レチニルアミン」であるレチノイド化合物を含む。合成レチノイドとしては、11−シス−レチニルアミン誘導体、13−シス−レチニルアミン誘導体、または9−シス−レチニルアミン誘導体、例えば次の:アクリル酸レチニルアミン;修飾されたポリエン鎖長を持つレチニルアミン、例えばトリエン酸またはテトラエン酸レチニルアミン;置換ポリエン鎖、例えばアルキル、ハロゲンまたはヘテロ原子置換ポリエン鎖を持つレチニルアミン;修飾ポリエン鎖、例えばトランスまたはシス固定ポリエン鎖を持つ、あるいは例えばアレンまたはアルキン修飾を持つレチニルアミン;および環修飾、例えば複素環式、複素芳香環式、あるいは置換シクロアルカンまたはシクロアルケン環を持つレチニルアミンが挙げられる。
対象の(これに限定されないが糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症を含む)眼疾患または障害を治療または防止する方法が本明細書で提供され、該方法は製薬的に許容される担体中の本明細書でより詳細に記載する式I〜Vのいずれか1つの構造およびその基礎構造を有するレチニルアミン誘導体をその必要がある対象に投与するステップを含む。製薬的に許容される単体および本明細書に記載する式I〜Vのいずれか1つの構造およびその基礎構造を有するレチニルアミン誘導体をその必要がある対象に投与するステップを含む、対象の眼における網膜細胞の変性を阻害する(あるいは網膜細胞生存を強化または延長する、あるいは網膜細胞生存能を促進する)方法も本明細書で提供する。
その必要がある対象において眼疾患または障害を治療する本明細書に記載する方法の一実施形態において、該方法は、製薬的に許容される担体および式I:
Figure 2009524684
の構造を有する化合物あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、N−オキシドまたは同形結晶形であるレチニルアミン誘導体を含む組成物を投与するステップを含み、
式中、
およびRは独立して、CまたはNであり;
は、CH、NまたはNR であり;
およびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
は、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
、RおよびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
式Iの化合物が次の少なくとも1つ:
(1)RがNである;
(2)RがNまたはNR である;
(3)RがNである;
(4)R、R、およびRの少なくとも1つは、−NRまたは−NR である;
を含むという条件である。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体は、RがNであり;RがN;またはNR であり;RがNである;式(I)の構造を有する。他の実施形態において、R、R、およびRの少なくとも1つは、−NRまたは−NR である。別の具体的な実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。
別の具体的な実施形態において、RおよびRはそれぞれCであり、RはCHであり、R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である。なお別の具体的な実施形態において、RおよびRのそれぞれが低級アルキルであり、Rが−NRまたは−NR である。さらに具体的な実施形態において、RおよびRのそれぞれがメチルであるか、またはRおよびRのそれぞれの少なくとも1つがメチルである。他の具体的な実施形態において、RおよびRのそれぞれが低級アルキルであり、Rが−NRまたは−NR である。
他の具体的な実施形態において、Rは置換C〜C14アルキルまたは置換C〜C10シクロアルキルである。詳細な実施形態において、C〜C14アルキルまたはC〜C10シクロアルキルは、NRまたは−NR によって置換され、他の詳細な実施形態において、置換基は、アルキル鎖の末端における炭素を含むアルキルまたはシクロアルキル中の炭素原子のいずれか1個以上にて水素原子を置換する。ある具体的な実施形態において、RはHであり、Rは水素または低級アルキル(すなわちメチル(CH)、エチル、プロピルなどのC1〜6アルキル)である。
具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体が正に帯電しているとき、式(I)の化合物は塩であり、対イオンXをさらに含む。ある詳細な実施形態において、Xはアニオン、例えばCl、Br、I、SOH、またはP(O)(OH)である。他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、中性pHにて少なくとも1+電荷を有し、ある具体的な実施形態において、少なくとも1個の窒素原子が正電荷を持つ。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体は、式(I)の基礎構造(本明細書では基礎構造IAと呼ぶ)を有し、式中、RよびRはCであり、RはCHであり;R、RおよびRは式(I)の構造について上で定義した通りであり(すなわちRおよびRは同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;Rは、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR である)、R、R、およびRの少なくとも1つが−NR、または−NR であるという条件である。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体が正に帯電しているとき、ある基礎構造IAは塩であり、対イオンXをさらに含む。ある詳細な実施形態において、Xはアニオン、例えばCl、Br、I、SOH、またはP(O)(OH)である。他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、中性pHにて少なくとも1+電荷を有し、ある具体的な実施形態において、少なくとも1個の窒素原子が正電荷を持つ。
別のある実施形態では、レチニルアミン化合物は、RおよびRがCであり、RがCHである次の基礎構造I(B)を有し、レチニルアミン誘導体化合物は、式I(B)の次の構造を有し:
Figure 2009524684
式中、RおよびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−N R、または−NR であり;
は、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
、RおよびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR であるという条件である。
式I(B)の基礎構造のある実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。なお別の具体的な実施形態において、RおよびRのそれぞれは低級アルキルであり、Rは−NRまたは−NR である。さらに具体的な実施形態において、RおよびRのそれぞれがメチルであるか、またはRおよびRの少なくとも1つがメチルである。
ある実施形態において、上および本明細書に記載した構造および基礎構造のいずれか1つにおいて、RおよびRのどちらか一方または両方が、飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。他のある実施形態において、Rは飽和C〜C14アルキル、C〜C14アルケニル、C〜C14アルキニル、またはC〜C14分岐アルキルである。別の具体的な実施形態において、R、R、およびRのいずれか1つ以上が水素あるいは飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。別の具体的な実施形態において、Rは−NH、または−NRであり、RはHであり、Rは低級アルキル(すなわちC1〜6アルキル、例えばメチル(CH)、エチル、プロピルなど)または−OR10であり、別の具体的な実施形態において、R10は低級アルキル(すなわちC1〜6アルキル、例えばメチル(CH)、エチル、プロピルなど)であり、具体的な実施形態において、R10はCHである。さらに本明細書で定義するように、アルキル、シクロアルキル、複素環基は置換されうるか、または非置換でありうる。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体が正に帯電しているとき、ある基礎構造IBは塩であり、対イオンXをさらに含む。ある詳細な実施形態において、Xはアニオン、例えばCl、Br、I、SOH、またはP(O)(OH)である。他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は、中性pHにて少なくとも1+電荷を有し、ある具体的な実施形態において、少なくとも1個の窒素原子が正電荷を持つ。
具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、オールトランス−異性体、9−シス−異性体;11−シス−異性体;13−シス−異性体;9,11−ジ−シス−異性体;9,13−ジ−シス−異性体;11,13−ジ−シス−異性体;または9,11,13−トリ−シス−異性体である。ある実施形態において、レチニルアミン誘導体は、中性pHにて少なくとも1+電荷を有し、ある具体的な実施形態において、少なくとも1個の窒素原子が正電荷を持つ。
ある具体的な実施形態において、レチノイド化合物は、次の構造I(a)〜I(j)のいずれか1つを有する。
Figure 2009524684
Figure 2009524684
さらなる実施形態において、レチニルアミン誘導体は11−シス−レチニルアミンである。なお他の実施形態において、レチニルアミン誘導体は、9−シス−レチニルアミン、13−シス−レチニルアミン、およびオールトランス−レチニルアミンより選択される。
ある実施形態において、上および本明細書でさらに記載するレチニルアミン誘導体化合物は、レチノイドサイクルの異性化ステップを阻害しうる。
その必要がある対象における眼疾患または障害(例えば眼の疾患または障害が、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症より選択される)を治療するための本明細書に記載する方法の別の実施形態において、該方法は製薬的に許容される担体およびレチニルアミン誘導体を投与するステップを含み、レチニルアミン誘導体は式II:
Figure 2009524684
の構造を有する化合物あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、Nオキシドまたは同形結晶形であり、
式中、nは、1、2、3、または4であり;mプラスmは、1、2、または3に等しく;
およびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してCまたはNであり;
は、CH、NまたはNR であり;R11は、C(H)、N(R)、またはN(Rであり;Rは、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
は、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;R、RおよびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
式IIの化合物が次の少なくとも1つ:
(1)RがNである;
(2)RがNまたはNR である;
(3)RがNである;
(4)R11が、N(R)、またはN(Rであり;
(5)RおよびRの少なくとも1つは、−NRまたは−NR である;
を含むという条件である。
ある詳細な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、RがNであり、および/またはRがNまたはN(Rである式(II)の構造を有する化合物を含む。他の具体的な実施形態において、RはNであり;R11はN(R)、またはN(Rであり;および/またはRおよびRの少なくとも1つは、−NRまたは−NR である。なお別の具体的な実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。詳細な実施形態において、該方法は、RおよびRのそれぞれがCであり、RがCHであり、R11がC(H)であり;RおよびRの少なくとも1つが−NRまたは−NR である、式(II)の構造を有する化合物を投与するステップを含む。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体が正に帯電しているとき、式(II)の化合物は塩であり、対イオンXをさらに含む。ある詳細な実施形態において、Xはアニオン、例えばCl、Br、I、SOH、またはP(O)(OH)である。他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、中性pHにて少なくとも1+電荷を有し、ある具体的な実施形態において、少なくとも1個の窒素原子が正電荷を持つ。
ある他の実施形態において、レチニルアミン誘導体は式IIの基礎構造(本明細書では基礎構造IIAと呼ぶ)を有し、式中、RおよびRはCであり、RはCHであり、R11はC(H)であり、RおよびRならびの他のすべての置換基(すなわちR、R、およびRならびにR10)は、式(II)の構造を有する化合物について上で定義した通りであり、RおよびRの少なくとも1つが−NR、または−NR であるという条件である。
別のある実施形態において、レチニルアミン誘導体は式IIの基礎構造(本明細書では基礎構造IIBと呼ぶ)を有し、RおよびRはCであり、RはCHであり、R11はC(H)であり;Rは、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;Rは、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SRR8、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;式中、R、R、およびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OHまたは−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;RおよびRの少なくとも1つは、−NRまたは−NR である。
ある実施形態において、Rは飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。さらに具体的な実施形態において、Rはメチルである。他のある実施形態において、Rは飽和C〜C14アルキル、C〜C14アルケニル、C〜C14アルキニル、またはC〜C14分岐アルキルである。別のある実施形態において、R、R、およびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立して水素あるいは飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。さらに本明細書で定義するように、アルキル、シクロアルキル、複素環基は置換されうるか、または非置換でありうる。別の具体的な実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体が正に帯電しているとき、基礎構造II(A)またはII(B)の化合物は塩であり、対イオンXをさらに含む。ある詳細な実施形態において、Xはアニオン、例えばCl、Br、I、SOH、またはP(O)(OH)である。他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、中性pHにて少なくとも1+電荷を有し、ある具体的な実施形態において、少なくとも1個の窒素原子が正電荷を持つ。
別の実施形態において、式IIのレチニルアミン誘導体化合物が式III:
Figure 2009524684
の次の構造あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、Nオキシドまたは同形結晶形を有し、
式中、nは、1、2、3または4であり;
およびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してCまたはNであり;Rは、CH、NまたはN(Rであり;R11は、C(H)、N(R)、またはN(Rであり;Rは、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;Rは、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;R、R、およびRは独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
式IIIの化合物が次の少なくとも1つ:
(1)RがNである;
(2)RがNまたはN(Rである;
(3)RがNである;
(4)R11が、N(R)、またはN(Rであり;
(5)RおよびRの少なくとも1つは、−NRまたは−NR である;
を含むという条件である。
ある詳細な実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は、式(III)の構造を有する化合物を含み、式中、RはNであり;RはNまたはN(R )であり;RはNであり;R11はN(R)、またはN(Rであり;および/またはRおよびRの少なくとも1つは−NR、または−NR である。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は式IIIの基礎構造(本明細書では基礎構造III(A)と呼ぶ)を有し、式中、RおよびRはCであり、RはCHであり、R11はC(H)であり、RおよびRならびに他のすべての置換基(すなわちR、R、RおよびR10)は、式(III)の構造を有する化合物について上で定義した通りであり、RおよびRの少なくとも1つが−NR、または−NR であるという条件である。別の具体的な実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。
別のある実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は式IIIの基礎構造(本明細書では基礎構造III(B)と呼ぶ)を有し、RおよびRはCであり、RはCHであり、R11はC(H)であり;Rは、H、低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−NH、または−NR であり;Rは、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;R、R、およびRは独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OHまたは−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;RおよびRの少なくとも1つは、−NRまたは−NR であるという条件である。別の具体的な実施形態において、RおよびRはそれぞれCであり、RはCHであり、R11はC(H)であり、RおよびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である。
ある実施形態において、式III、式IIIA、または式IIIBの構造および基礎構造のいずれかにおいて、Rは、水素あるいは飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。さらに具体的な実施形態において、Rはメチルである。他のある実施形態において、Rは飽和C〜C14アルキル、C〜C14アルケニル、C〜C14アルキニル、またはC〜C14分岐アルキルである。別のある実施形態において、R、R、およびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立して水素あるいは飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。さらに本明細書で定義するように、アルキル、シクロアルキル、複素環基は置換されうるか、または非置換でありうる。別の具体的な実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。
具体的な実施形態において、正に帯電したレチノイド誘導体は、11−シス固定レチニルアミン(すなわち回転は、例えば環への包含によって、二重結合にて11−シス幾何異性体に制限される)。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体が正に帯電しているとき、構造III、基礎構造III(A)またはIII(B)のいずれの化合物も塩であり、対イオンXをさらに含む。ある詳細な実施形態において、Xはアニオン、例えばCl、Br、I、SOH、またはP(O)(OH)である。他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、中性pHにて少なくとも1+電荷を有し、ある具体的な実施形態において、少なくとも1個の窒素原子が正電荷を持つ。
その必要がある対象における眼疾患または障害(例えば糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症)を治療するために本明細書に記載する方法のなお別の実施形態において、レチニルアミン誘導体および製薬的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含み、レチニルアミン誘導体が式IV:
Figure 2009524684
の化合物あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、Nオキシドまたは同形結晶形であり、
13は独立して、水素、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−OR14、−SR14、または−NR1415であり;R14およびR15はそれぞれ独立して、Hまたは飽和低級アルキルであり;
、R、およびRは独立して、CまたはNであり;
およびRはそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
は、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
、RおよびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
式IVの化合物が次の少なくとも1つ:
(1)R、R、およびRの少なくとも1つがNであり;
(2)R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である;
を含むという条件である。
ある詳細な実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は、R、R、およびRの少なくとも1つがNであり、および/またはR、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、式(IV)の構造を有する化合物を含む。別の詳細な実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体は本明細書で式IV(A)と呼ばれる式IVの基礎構造を有し、式中、R、R、およびRのそれぞれはCであり;R13、R、R、およびRならびに他の置換基(すなわちR、R、R、R10、R14およびR15)は式IVの構造について上で定義した通りであり;R、R、およびRの少なくとも1つが−NR、または−NR であるという条件である。
別のある実施形態において、レチニルアミン誘導体は、本明細書で式IV(B)と呼ばれる式IVの基礎構造を有し、各R13は独立して、水素、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−OR14、−SR14、または−NR1415であり、R14およびR15はそれぞれ独立して、Hまたは飽和低級アルキルであり;R、R、およびRはそれぞれCであり;RおよびRはそれぞれ独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;Rは、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;R、R、およびRの少なくとも1つが−NR、または−NR であるという条件である。さらに本明細書で定義するように、アルキル、シクロアルキル、複素環基は置換されうるか、または非置換でありうる。
他のある実施形態において、式IV、式IV(A)、または式IV(B)の構造または基礎構造のいずれかにおいて、RおよびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立して水素あるいは置換または非置換、飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。さらに具体的な実施形態において、RおよびRのそれぞれがメチルであるか、またはRおよびRのそれぞれの少なくとも1つがメチルである。他のある実施形態において、各R13は同じまたは異なり、独立して水素あるいは置換または非置換、飽和C〜C14アルキル、C〜C14アルケニル、C〜C14アルキニル、またはC〜C14分岐アルキルである。なお別のある実施形態において、R13は同じまたは異なり、独立して置換または非置換、飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。なお他のある実施形態において、Rは置換または非置換飽和C〜C14アルキル、C〜C14アルケニル、C〜C14アルキニル、またはC〜C14分岐アルキルである。なお別の具体的な実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。別のある実施形態において、R、R、および/またはRは、水素置換または非置換、飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。別の詳細な実施形態において、ポリエン鎖が3、4、5、6、または7個の炭素原子を有するように、R、R、およびRの少なくとも1つならびにそれぞれが結合される炭素原子の少なくとも1個が非存在である。
具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、オールトランス異性体、9−シス−異性体、11−シス−異性体、13−シス−異性体、9,11−ジ−シス−異性体、9,13−ジ−シス−異性体、11,13−ジ−シス−異性体、または9,11,13−トリ−シス−異性体である。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体が正に帯電しているとき、レチニルアミン誘導体は、式IV(A)の基礎構造および式IV(B)の基礎構造などの本明細書に記載する構造を含む、構造IVのいずれかの化合物であり、レチニルアミン誘導体は塩であり、さらに対イオンXを含む。ある詳細な実施形態において、Xはアニオン、例えばCl、Br、I、SOH、またはP(O)(OH)である。他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、中性pHにて少なくとも1+電荷を有し、ある具体的な実施形態において、少なくとも1個の窒素原子が正電荷を持つ。
別の実施形態において、対象における眼疾患または障害(例えば糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症)を治療するために本明細書に記載する方法は、レチニルアミン誘導体および製薬的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含み、レチニルアミン誘導体が式V:
Figure 2009524684
の化合物あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、Nオキシドまたは同形結晶形であり、
式中、R16およびR17は同じまたは異なり、独立して置換または非置換低級アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、−NR、−NR 、または−NHC(=O)Rであり;RおよびRは独立して、CまたはNであり;Rは、CH、NまたはNR であり;RおよびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;Rは、H、C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;R、R、およびRは独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
式Vの化合物が次の少なくとも1つ:
(1)RがNである;
(2)RがNまたはNR である;
(3)RがNである;
(4)R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である;
を含むという条件である。
ある詳細な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、RがNであり;RがNまたはNR であり;および/またはRがNであり;および/またはR、R、およびRの少なくとも1つが−NRまたは−NR である、式(V)の構造を有する化合物を含む。詳細な実施形態において、RおよびRはCであり、RはCHであり;R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である。他のある実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は、本明細書で式V(A)と呼ばれる式Vの基礎構造を有し、式中、RおよびRはCであり、RはCHであり;R16、R17、R、R、R、R、RおよびRは、式(V)の構造について上で定義した通りであり;R、R、およびRの少なくとも1つが−NRまたは−NR であるという条件である。
別のある実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は、本明細書で式V(B)と呼ばれる式Vの基礎構造を有し、式中、R16およびR17のそれぞれは独立して、置換または非置換低級アルキル;ヒドロキシル、アルコキシ、−NR、−NR 、または−NHC(=O)Rであり;RおよびRのそれぞれはCであり、RはCHであり;RおよびRはそれぞれ同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;Rは、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;R、RおよびRは同じまたは異なり、独立してH、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR であるという条件である。
ある実施形態において、式V、式V(A)、または式V(B)の構造または基礎構造のいずれかにおいて、R16およびR17のそれぞれは同じまたは異なり、独立して水素あるいは置換または非置換低級アルキルであり、低級アルキルは飽和または不飽和である(すなわち置換または非置換飽和C〜Cアルキル、置換または非置換C〜Cアルケニル、あるいは置換または非置換C〜Cアルキニル)。さらなる実施形態において、置換または非置換低級アルキルは置換または非置換分岐低級アルキルである。別のある実施形態において、RおよびRのそれぞれは同じまたは異なり、独立して水素あるいは飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。なお他のある実施形態において、Rは置換または非置換、飽和C〜C14アルキル、C〜C14アルケニル、C〜C14アルキニル、またはC〜C14分岐アルキルである。なお別の実施形態において、Rは、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である。別のある実施形態において、R、RおよびRのそれぞれは同じまたは異なり、独立して水素あるいは飽和または不飽和低級アルキル(すなわち飽和C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルキニル)である。
具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は、10−エチル−3,7−ジメチル−ドデカ−2,4,6,8−テトラエニルアミンであり、次の構造式(V(a)):
Figure 2009524684
を有する。
ある実施形態において、レチニルアミン誘導体が正に帯電しているとき、レチニルアミン誘導体は、式V(A)の基礎構造および式V(B)の基礎構造などの本明細書に記載する構造を含む、構造Vのいずれかの化合物であり、レチニルアミン誘導体は塩であり、さらに対イオンXを含む。ある詳細な実施形態において、Xはアニオン、例えばCl、Br、I、SOH、またはP(O)(OH)である。他の具体的な実施形態において、レチニルアミン誘導体は、中性pHにて少なくとも1+電荷を有し、ある具体的な実施形態において、少なくとも1個の窒素原子が正電荷を持つ。
本明細書に記載するレチニルアミン誘導体化合物のいずれか1つを投与することによって眼疾患を治療する上述の方法のある実施形態において、対象の眼における網膜細胞の変性を阻害(すなわち統計的または生物学的に有意な方法で防止、減弱、低速化、遅延)するステップを含む。網膜細胞は、網膜神経細胞または他の成熟網膜細胞、例えば網膜色素上皮(RPE)細胞またはミュラーグリア細胞を含む。具体的な実施形態において、網膜神経細胞は、アマクリン細胞、神経節細胞、双極細胞、水平細胞、または光受容細胞である。さらに具体的な実施形態において、本明細書に記載した方法は光受容細胞の変性を阻害(すなわち統計的または生物学的に有意な方法で防止、減弱、低速化、遅延)する。
眼疾患を治療または防止する、そして対象における眼の網膜細胞の変性を阻害する上述の方法の他のある実施形態において、レチニルアミン誘導体はレチノイドサイクルの異性化ステップを阻害または遮断しうる。別のある実施形態において、レチニルアミン誘導体は、眼におけるレチノイドサイクルの発色団流動を低速化(減少、阻害、遅延)することができ、それにより網膜細胞の変性を防止する。ある実施形態において、網膜細胞は網膜神経細胞である。他のある実施形態において、網膜神経細胞は光受容細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、および水平細胞より選択され;他のある詳細な実施形態において、網膜神経細胞は光受容細胞である。
本明細書に記載するレチニルアミン誘導体のいずれかの1つ以上を使用して、眼疾患または障害を治療する、および/または対象の眼における網膜細胞の変性を阻害する上述の方法のいずれかのある実施形態において、レチニルアミン誘導体は対象の眼におけるリポフスチン色素の蓄積を阻害(すなわち防止、減少、減弱)しうる。具体的な実施形態において、リポフスチン色素はN−レチニリデン−N−レチニル−エタノールアミン(A2E)である。
化学定義
本明細書で使用するように、2置換イミダゾリウムという用語は、2個の非H置換基を持つ正に帯電したイミダゾリル環を意味し、例えば2個の炭素原子それぞれで少なくとも1個の水素原子が置換されるか、1個の炭素原子および1個の窒素原子それぞれで少なくとも1個の水素原子が置換されるか、または2個の窒素原子それぞれで少なくとも1個の水素原子が置換される。本明細書で使用するように、3置換イミダゾリウムという用語は、3個の非H置換基を持つ正に帯電したイミダゾリル環を意味し、例えば3個の炭素原子それぞれで少なくとも1個の水素原子が置換されるか、1個の炭素原子および2個の窒素原子それぞれで少なくとも1個の水素原子が置換されるか、または2個の炭素原子および1個の窒素原子それぞれで少なくとも1個の水素原子が置換される。
本明細書で使用するように、アルキル、アリール、アリールアルキル、ホモ環、シクロアルキル、複素環、および複素環アルキルは、置換または非置換アルキル、アリール、アリールアルキル、ホモ環、シクロアルキル、複素環、および複素環アルキルをそれぞれ含む。「置換された」という用語は置換アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環および複素環アルキルの文脈において、アルキル、アリール、アリールアルキル、ホモ環、シクロアルキル、複素環、および複素環アルキル部分の少なくとも1個の水素原子が置換基によって置換されることを意味する。オキソ置換基(「=O」)の場合、2個の水素原子が置換される。置換される少なくとも1個の水素原子は、アルキルまたはシクロアルキル、あるいは複素環アルキルの炭素原子のいずれか1個の水素原子を含む。
「置換基」としては本明細書で使用するように、オキソ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキル、置換複素環アルキル、−NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR−NRSO、−OR、−C(=O)R−C(=O)OR、−C(=O)NR、−OC(=O)NR、−SH、−SR、−SOR、−S(=O)、−OS(=O)−S(=O)NRおよび−S(=O)ORを含み、RおよびRは同じまたは異なり、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環アルキルまたは置換複素環アルキルである。
代表的な置換基としては(これに限定されないが)、アルコキシ(すなわちアルキル−O−、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ)、アリールオキシ(例えばフェノキシ、クロロフェノキシ、トリルオキシ、メトキシフェノキシ、ベンジルオキシ、アルキルオキシカルボニルフェノキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アシルオキシフェノキシ)、アシルオキシ(例えばプロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ、アセトキシ)、カルバモイルオキシ、カルボキシ、メルカプト、アルキルチオ、アシルチオ、アリールチオ(例えばフェニルチオ、クロロフェニルチオ、アルキルフェニルチオ、アルコキシフェニルチオ、ベンジルチオ、アルキルオキシカルボニルフェニルチオ)、アミノ(例えばアミノ、モノ−およびジ−C〜Cアルカニルアミノ、メチルフェニルアミノ、メチルベンジルアミノ、C〜Cアルカニルアミノ、アシルアミノ、カルバムアミド(carbamamido)、ウレイド、グアニジノ、ニトロおよびシアノ)が挙げられる。その上、いずれの置換基もそれに結合する1〜5個のさらなる置換基を有しうる。
「アルキル」は、1〜20個の炭素原子を、そしてある実施形態においては1〜14個の炭素原子を含有する直鎖または分岐、非環式または環式、不飽和または飽和脂肪族炭化水素を意味する。低級アルキルは、アルキルと同じ意味を有するが、1〜6個の炭素原子を含有する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられる。飽和分岐アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチルなどが挙げられる。代表的な飽和シクロアルキル(環式アルキル)としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CHシクロプロピル、−CHシクロブチル、−CHシクロペンチル、−CHシクロヘキシルなどが挙げられ、これに対して不飽和環式アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが挙げられる。「ホモ環式環」とも呼ばれるシクロアルキルは、ジ−およびポリ−ホモ環式環、例えばデカリンおよびアダマンチルを含む。不飽和アルキルは、隣接炭素原子間に少なくとも1個の2重または3重結合を含有する(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。代表的な直鎖および分岐アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどが挙げられる。代表的な直鎖および分岐アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1ブチニルなどが挙げられる。
ヘテロアルカニル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルカニルを含む「ヘテロアルキル」は、炭素原子の1個以上(およびいずれの結合した水素原子)がそれぞれ独立して同じまたは異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基によって置換された、本明細書で定義するようなアルキル基を指す。これらの基に含まれうる代表的なヘテロ原子またはヘテロ原子基としては、−O−、−S−、−O−O−、−S−S−、−O−S−、−O−S−O−、−O−NR’−、−NR’−、−NR’−S−S、−NR’−NR−、−N=N−、−N=N−NR’−、−P(=O)−、−O−P(=O)−、−S(=O)−など、および−NR’−S(=O)−を含むその組み合せが挙げられ、各R’は本明細書で定義するような水素、アルキル、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルより独立して選択される。ヘテロ原子の一例は、R’が水素(アミノ)である−NR’−である;別のヘテロ原子基はジスルフィド−S−S−である。
「アリール」は、フェニルまたはナフチル(1−または2−ナフチル)などの芳香族炭素環式部分を意味する。
「アリールアルキル」は、アリール部分によって置換された少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキル、例えば−CH−フェニル、−CH=CH−フェニル、−C(CH)=CH−フェニルなどを意味する。
「ヘテロアリール」は、単環式および2環式環系の両方を含む、5〜10員で、窒素、酸素、および硫黄より選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、少なくとも1個の炭素原子を含有する芳香族複素環を意味する。代表的なヘテロアリールは、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンズオチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルである。
「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリール部分によって置換された少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキル、例えば−CHピリジニル、−CHピリミジニルなどを意味する。
「複素環」(本明細書では「複素環式環」とも呼ばれる)は、飽和、不飽和、または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素、および硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有して、窒素および硫黄ヘテロ原子が場合により酸化されることがあり、窒素ヘテロ原子が場合により4級化されることがある、4〜7員単環式、または7〜10員2環式、複素環式環を意味し、上の複素間のいずれかがベンゼン環に縮合された2環式環を含む。複素環は、いずれかのヘテロ原子または炭素原子を介して結合されうる。複素環は、上で定義したようなヘテロアリールを含む。それゆえ上に挙げたヘテロアリールに加えて、複素環としてはモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなども挙げられる。
「複素環アルキル」は、複素環によって置換された少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキル、例えば−CHモルホリニルなどを意味する。
「ホモ環」(本明細書では「ホモ環式環」とも呼ばれる)は、3〜7個の炭素原子を含有する飽和または不飽和(しかし芳香族ではない)炭素環式環、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロヘキセンなどを意味する。
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
「ハロアルキル」は、ハロゲンによって置換された少なくとも1個の水素原子を有するアルキル、例えばトリフルオロメチルなどを意味する。
「アルコキシ」は、酸素ブリッジ(すなわち−O−アルキル)を通じて結合されたアルキル部分、例えばメトキシ、エトキシなどを意味する。
「チオアルキル」は、硫黄ブリッジ(すなわち−S−アルキル)を通じて結合されたアルキル部分、例えばメチルチオ、エチルチオなどを意味する。
「製薬的に許容される塩」としては、酸添加塩および塩基添加塩の両方が挙げられる。構造I〜Vの製薬的に許容される塩は、その基礎構造の製薬的に許容される塩と同様に、ありとあらゆる製薬的に適切な塩形を含むものである。本明細書に記載する化合物の好ましい製薬的に許容される塩は、製薬的に許容される酸添加塩および製薬的に許容される塩基添加塩である。
「製薬的に許容される酸添加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持して、生物学的またはそれ以外でも望ましく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、および酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸によって生成される、塩を指す。
「製薬的に許容される塩基添加塩」は、生物学的またはそれ以外でも望ましい、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持する塩を指す。これらの塩は、無機塩基または有機塩基の遊離酸への添加によって調製される。無機塩基に由来する塩としては、これに限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などが挙げられる。好ましい有機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩である。有機塩基に由来する塩としては、これに限定されないが、1級、2級、および3級アミン、天然型置換アミンを含む置換アミン、環式アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
合成レチノイド化合物および誘導体を作製する方法は、例えば次の参考文献に開示されている:Anal.Biochem.272:232−42、1999年;Angew,Chem.36:2089−93、1997年;Biochemistry 14:3933−41、1975年;Biochemistry 21:384−93、1982年;Biochemistry 28:2732−39、1989年;Biochemistry 33:408−16、1994年;Biochemistry 35:6257−62、1996年;Bioorganic Chemistry 27:372−82、1999年;Biophys.Chem.56:31−39、1995年;Biophys.J.56:1259−65、1989年;Biophys.J.83:3460−6、2002年;Chemistry 7:4198−204、2001年;Chemistry(Europe)5:1172−75、1999年;FEBS 158:1、1983年;J.American Chem.Soc.104:3214−16、1982年;J.Am.Chem.Soc.108:6077−78、1986年;J.Am.Chem.Soc.109:6163、1987年;J.Am.Chem.Soc.112:7779−82、1990年;J.Am.Chem.Soc.119:5758−59、1997年;J.Am.Chem.Soc.121:5803−04、1999年;J.American Chem.Soc.123:10024−29、2001年;J.American Chem.Soc.124:7294−302、2002年;J.Biol.Chem.276:26148−53、2001年;J.Biol.Chem.277:42315−24、2004年;J.Chem.Soc.−Perkin T.1:1773−77、1997年;J.Chem.Soc.−Perkin T.1:2430−39、2001年;J.Org.Chem.49:649−52、1984年;J.Org.Chem.58:3533−37、1993年;J.Physical Chemistry B 102:2787−806、1998年;Lipids 8:558−65;Photochem.Photobiol.13:259−83、1986年;Photochem.Photobiol.44:803−07、1986年;Photochem.Photobiol.54:969−76、1991年;Photochem.Photobiol.60:64−68(1994);Photochem.Photobiol.65:1047−55、1991年;Photochem.Photobiol.70:111−15、2002年;Photochem.Photobiol.76:606−615、2002年;Proc.Natl Acad.Sci.USA 88:9412−16、1991年;Proc.Natl Acad.Sci.USA 90:4072−76、1993年;Proc.Natl Acad.Sci.USA 94:13442−47、1997年;およびProc.R.Soc.Lond.Series B、Biol.Sci.233(1270):55−76、1988年(その開示は参照により本明細書に組み込まれている)。
レチニルエステルは、当分野で既知の方法によって、例えばレチノールのカルボン酸による酸触媒エステル化によって、同様にジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカップリング試薬の存在下でのレチナールとカルボン酸との反応によって、あるいはトリフェニルホスフィンおよびジエチル(イソプロピル)アゾジカルボキシラートの存在下でのレチノールとカルボン酸との間の光延反応によって、アシルハライドとレチノールとの反応によって、酸無水物とレチノールとの塩基触媒反応によって、レチニルエステルのカルボン酸によるトランスエステル化によって、1級ハライドとレチノイン酸のカルボキシラート塩との反応などによって生成されうる。例示的な実施形態において、レチニルエステルは、レチノールのカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、リノール酸、コハク酸、フマル酸などによる酸触媒エステル化によって生成されうる。別の例示的な実施形態において、レチニルエステルは、アシルハライドとレチノールとの反応によって生成されうる(例えばVan Hooserら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、97:8623−28、2000年)。適切なアシルハライドとしては、例えば塩化アセチル、塩化パルミトイルなどが挙げられる。
レチニルエーテルは、当分野で既知の方法、例えばレチノールと1級アルキルハライドとの反応によって生成されうる。
ある実施形態において、トランス−レチノイドはUV光への曝露によってシス−レチノイドに異性化されうる。例えばオールトランス−レチナール、オールトランス−レチノール、オールトランス−レチニルエステルまたはオールトランス−レチノイン酸はそれぞれ、9−シス−レチナール、9−シス−レチノール、9−シス−レチニルエステルまたは9−シス−レチノイン酸に異性化されうる。トランス−レチノイドは、本明細書でさらに記載されるように、例えば約365nmの波長を有し、およびシス−レチノイドの分解を引き起こすより短い波長を実質的に含まないUV光への曝露によって、9−シス−レチノイドに異性化されうる。
レチニルアセタールおよびヘミアセタールは例えば、酸触媒の存在下での9−シス−および11−シス−レチナールとアルコールとの反応によって調製されうる。反応中に生成された水は、例えばモレキュラーシーブのAlによって除去される。レチニルオキシムは、例えばレチナールとヒドロキシルアミン、O−メチルまたはO−エチルヒドロキシルアミンなどとの反応によって調製されうる。
本明細書に記載する方法で利用される化合物は、プロドラッグ形で存在しうる。「プロドラッグ」は、このようなプロドラッグが対象に投与されたときに、例えば式I、II、III、IV、またはVのいずれか1つで示されるような構造、あるいは本明細書で記載するいずれかの基礎構造を有するレチニルアミン誘導体化合物を含む、本明細書に記載する化合物である、活性親薬物を放出するいずれかの共有結合担体を含むものである。プロドラッグは医薬品の多くの望ましい品質(例えば可溶性、生物学的利用能、製造など)を向上させることが既知であるので、該方法で使用される化合物は所望ならば、プロドラッグ形で送達されうる。それゆえ本明細書に記載する方法は、プロドラッグとしてのレチニルアミン化合物の送達を含む。本明細書に記載する化合物のプロドラッグは、日常的な操作または治療される対象の生体内で修飾物が親化合物に開裂されるような方法で、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製されうる。
したがってプロドラッグは例えば、ヒドロキシ、アミノ、またはカルボキシ基が、哺乳類対象にプロドラッグが投与されたときに遊離ヒドロキシル、遊離アミノ、またはカルボン酸にそれぞれ開裂する、いずれかの基に結合する、本明細書に記載する化合物を含む。例としては、これに限定されないが、アルコールの酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体ならびにアミノ官能基;ならびにアルキル、炭素環式、アリール、およびアルキルアリールエステル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、フェニル、ベンジル、またはフェネチルエステルが挙げられる。
レチニルアミンのプロドラッグの例としてはさらに、これに限定されないが、レチニルアミンのアミド誘導体、チオアミド誘導体、カルバメート誘導体、チオカルバメート誘導体、イミド誘導体、スルホンアミド誘導体、イミン誘導体、プロトン化イミン誘導体、イソシアナート誘導体、またはイソチオシアナート誘導体が挙げられる。プロドラッグは例えば、レチニルアミド、レチニルチオアミド、レチニルカルバメート、またはレチニルチオカルバメートでありうる。
一般に、本明細書に記載する反応で使用した化合物は、市販の化学薬品および/または化学文献に記載された化合物から開始して、当業者に既知の有機合成技法に従って作製されうる。「市販の化学薬品」は、Acros Organics(Pittsburgh PA)、Aldrich Chemical(Milwaukee WI,Sigma Chemical and Flukaを含む)、Apin Chemicals Ltd.(Milton Park UK)、Avocado Research(Lancashire U.K.)、BDH Inc.(Toronto,Canada)、Bionet(Cornwall,U.K.)、Chemservice Inc.(West Chester PA)、Crescent Chemical Co.(Hauppauge NY)、Eastman Organic Chemicals,Eastman Kodak Company(Rochester NY)、Fisher Scientific Co.(Pittsburgh PA)、Fisons Chemicals(Leicestershire UK)、Frontier Scientific(Logan UT)、 ICN Biomedicals,Inc.(Costa Mesa CA)、Key Organics(Cornwall U.K.)、Lancaster Synthesis(Windham NH)、Maybridge Chemical Co.Ltd.(Cornwall U.K.)、Parish Chemical Co.(Orem UT)、Pfaltz & Bauer,Inc.(Waterbury CN)、Polyorganix(Houston TX)、Pierce Chemical Co.(Rockford IL)、Riedel de Haen AG(Hanover,Germany)、Spectrum Quality Product,Inc.(New Brunswick,NJ)、TCI America(Portland OR)、Trans World Chemicals,Inc.(Rockville MD)、およびWako Chemicals USA,Inc.(Richmond VA)を含む、標準化学薬品供給元から入手されうる。
当業者に既知の方法は、各種の参考書籍およびデータベースを通じて確認されうる。本明細書に記載する化合物の調製で有用な反応物質の合成を詳説する、または調製について記載する記事への参考文献を提供する適切な参考書籍および論文としては、例えば“Synthetic Organic Chemistry”、John Wiley & Sons,Inc.,New York;S.R.Sandlerら、“Organic Functional Group Preparations”、第2版、Academic Press、New York、1983年;H.O.House、“Modern Synthetic Reactions”、第2版、W.A.Benjamin,Inc.Menlo Park,Calif.1972年;T.L.Gilchrist、“Heterocyclic Chemistry”、第2版、John Wiley & Sons,New York,1992年;J.March、“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure”、第4版、Wiley−Interscience,New York,1992年が挙げられる。本明細書に記載する化合物の調製で有用な反応物質の合成を詳説する、または調製について記載する記事への参考文献を提供する追加の適切な参考書籍および論文としては、例えばFuhrhop,J.およびPenzlin G.“Organic Synthesis:Concepts,Methods,Starting Materials”、第2改訂増補版(1994)John Wiley & Sons ISBN:3−527−29074−5;Hoffman,R.V.“Organic Chemistry,An Intermediate Text”(1996)Oxford University Press、ISBN 0−19−509618−5;Larock,R.C.“Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations”第2版(1999)Wiley−VCH,ISBN:0−471−19031−4;March,J.“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure”第4版(1992)John Wiley & Sons、ISBN:0−471−60180−2;Otera,J.(編者)“Modern Carbonyl Chemistry”(2000)Wiley−VCH、ISBN:3−527−29871−1;Patai,S.“Patai’s 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups”(1992)Interscience ISBN:0−471−93022−9;Quin,L.D.ら、“A Guide to Organophosphorus Chemistry”(2000)Wiley−Interscience、ISBN:0−471−31824−8;Solomons,T.W.G.“Organic Chemistry”第7版(2000)John Wiley & Sons、ISBN:0−471−19095−0;Stowell,J.C.、“Intermediate Organic Chemistry”第2版(1993)Wiley−Interscience、ISBN:0−471−57456−2;“Industrial Organic Chemicals:Starting Materials and Intermediates:An Ullmann’s Encyclopedia”(1999)John Wiley & Sons、ISBN:3−527−29645−X、全8巻;“Organic Reactions”(1942−2000)John Wiley & Sons、全55巻超;および“Chemistry of Functional Groups”John Wiley & Sons、全73巻が挙げられる。
具体的かつ類似の反応物質も、大半の公共および大学図書館ではもちろんのこと、オンラインデータベース(詳細に関しては、American Chemical Society,Washington,D.C.に連絡できる)を通じて利用できる、Chemical Abstract Service of the American Chemical Societyによって作成された既知の化学薬品のインデックスを通じて確認されうる。既知ではあるが、カタログで市販されていない化学物質は、注文化学合成会社によって調製されることができ、標準化学薬品供給会社(例えば上に記載した会社)の多くが注文合成サービスを提供している。本明細書に記載するレチニルアミン誘導体化合物の製薬的塩の調製および選択についての参考文献は、P.H.StahlおよびC.G.Wermuth“Handbook of Pharmaceutical Salts”、Verlag Helvetica Chimica Acta,Zurich、2002年である。
眼疾患および障害の治療
上記のレチニルアミン誘導体化合物および化合物を含む組成物を使用する、本明細書に記載する方法は、糖尿病などの代謝性疾患に関連する、またはその続発症である眼疾患および障害を治療するのに使用されうる。本明細書に記載するレチニルアミン誘導体はしたがって、これに限定されないが、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷(例えば移植、外科外傷、低血圧、血栓または外傷性傷害などによって生じたもの)、および代謝性視神経症を含む眼疾患または障害を有する、またはそれを発症するリスクを有する対象を治療するのに有用でありうる。
これらの方法は、黄斑変性、緑内障、網膜剥離、網膜血管閉塞、出血性または高血圧性網膜症、網膜色素変性症、未熟児網膜症、視神経症、炎症性網膜疾患、増殖性硝子体網膜症、網膜ジストロフィー、視神経への外傷性損傷(例えば物理的損傷、過剰な露光、またはレーザ光によって)、遺伝性視神経症、毒性薬剤による、あるいは悪性薬物反応またはビタミン不足によって引き起こされた神経障害、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、ソーズビー眼底ジストロフィー、ベスト病、ブドウ膜炎、アルツハイマー病に関連する網膜障害、多発性硬化症に関連する網膜障害;ウイルス感染に関連する網膜障害(ウイルスはサイトメガロウイルスまたは単純ヘルペスウイルスである)、パーキンソン病に関連する網膜障害、AIDSに関連する網膜障害、あるいは他の形の進行性網膜萎縮または変性などの眼疾患および障害を有する対象を治療するのに有用である。具体的な実施形態において、疾患または障害は糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、または糖尿病性黄斑症である。別の具体的な実施形態において、疾患または障害は機械的損傷、化学的または薬物誘発性損傷、熱的損傷、放射線による損傷、光による損傷、レーザによる損傷から生じる。これらの方法は、光誘発酸化的網膜損傷、レーザ誘発網膜損傷などの環境因子による眼損傷を防止するのにも有用である。
本明細書に記載するように、対象は、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、および糖尿病性黄斑症を含む、糖尿病などの代謝性疾患に関連する、またはその続発症である眼疾患または障害が治療されうる。糖尿病は、網膜下の血管壁の透過性を向上させて、体積および脂肪滲出物を黄斑に蓄積させる。この蓄積は黄斑浮腫を引き起こし、RPE膜を不安定化させ、異常な血管機能を引き起こして、光によって悪化する失明に至らせる。これらの滲出物(または光毒性構成要素、例えばA2E)の蓄積の予防は、糖尿病性網膜が変性するのを防止しうる。
一実施形態において、該方法は眼へのリポフスチン色素の蓄積を阻害(すなわち防止、減少、低速化、抑止、最小化)する。別の実施形態において、眼における蓄積N−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(A2E)を阻害(すなわち防止、減少、低速化、抑止、最小化)するための方法が提供される。眼疾患は少なくとも一部は、眼のリポフスチン色素蓄積から、および/またはN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(A2E)の蓄積から生じうる。したがって、ある実施形態において、対象の眼でのリポフスチン色素および/またはA2Eの蓄積を阻害または防止する方法が提供される。これらの方法は、製薬的に許容される担体ならびに本明細書に記載する式I〜Vのいずれか1つで示されるような構造、その基礎構造、およびレチニルアミン化合物を含む本明細書に詳細に記載するレチニルアミン誘導体化合物を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
背景として、網膜色素上皮(RPE)細胞への色素リポフスチンの蓄積は、加齢黄斑変性症を含む、失明を生じる網膜疾患の進行に関連付けられている(De Laeyら、Retina 15:399−406(1995))。リポフスチン顆粒は自己蛍光リソソーム遺残体(加齢色素とも呼ばれる)である。リポフスチンの主な蛍光種はA2E(オレンジ色発光フルオロフォア)であり、これはオールトランス−レチンアルデヒドとホスファチジルエタノールアミン(2:1比)によって生成された、正に帯電したシッフ塩基縮合生成物である(例えばEldredら、Nature 361:724−6(1993)を参照;Sparrow,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:4353−54(2003)も参照)。不消化性リポフスチン色素の多くは、光受容細胞で発生すると考えられている;RPEへの沈着は、RPEが光受容細胞によって毎日捨てられている膜性細片を内部移行させるために発生する。本化合物の生成は、いずれの酵素による触媒作用によっても発生しないと考えられるが、むしろA2Eは自発的な環化反応によって生成する。加えてA2Eは、いったん生成されると酵素によって分解できないピリジニウムビスレチノイド構造を有する。リポフスチン、およびそれゆえA2Eは、ヒトの眼の加齢と共に蓄積し、シュタルガルト病と呼ばれる若年型黄斑変性にも蓄積しうる。
A2Eは、複数の異なる機構によって網膜に損傷を誘発しうる。低濃度では、A2Eはリソソームにおける正常なタンパク質分解を阻害する(Holzら、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.40:737−43(1999))。より高い十分な濃度では、A2Eは正に帯電したリソソーム作用清浄剤として作用し、細胞膜を溶解させ、リソソーム機能を変化させて、アポトーシス促進性タンパク質をミトコンドリアから放出させ、最終的にRPE細胞を死滅させうる(例えばEldredら、同上;Sparrowら、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.40:2988−95(1999);Holzら、同上;Finnemanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:3842−347(2002);Suterら、J Biol.Chem.275:39625−30(2000)を参照)。A2Eは光毒性であり、RPE細胞にて青色光誘発アポトーシスを開始する(例えばSparrowら、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.43:1222−27(2002)を参照)。青色光への曝露時に、DNAを含む細胞巨大分子を損傷する、A2Eの光酸化的生成物が生成される(例えばエポキシド)(Sparrowら、J.Biol.Chem.278(20):18207−13(2003))。A2Eは、A2Eと反応して炭素間二重結合にてエポキシドを産生する一重項酸素を自己産生する(Sparrowら、同上)。A2Eの光励起時の酸素反応性種の産生は、細胞に対して酸化的損傷を引き起こして、細胞死を生じることが多い。A2Eの直接前駆物質オールトランス−レチナールの生合成を阻害することによってA2Eの生成を遮断する間接的方法が記載されている(米国特許出願公開番号:2003/0032078を参照)。しかしながらそれに記載された方法の有用性は、オールトランス−レチナールの産生が視覚サイクルの重要な構成要素であるために限定されている。記載された他の治療法としては、スーパーオキシドジスムターゼミメティックスを使用することにより酸化的ラジカル種によって引き起こされた損傷を中和すること(例えば米国特許出願公開番号:2004/0116403を参照)および負に帯電したリン脂質により網膜細胞中のA2E誘発チトクロムCオキシダーゼを阻害すること(例えば米国特許出願公開番号:2003/0050283を参照)が挙げられる。
本明細書に記載するレチニルアミン誘導体化合物は、RPEへのA2Eの蓄積(すなわち沈着)を阻害(すなわち防止、減少、低速化、遅延、または減弱)するために有用でありうる。理論に束縛はされないが、RPEは光受容細胞の完全性の維持に重要であるため、RPEに対する損傷を防止、減少、または阻害することは、網膜神経細胞、特に光受容細胞の変性を阻害する(その生存を強化、または細胞生存能を上昇させる)。A2Eに特異的に結合する、またはA2Eと相互作用する、あるいはA2E生成または蓄積に影響を及ぼす化合物は、網膜神経細胞(光受容細胞を含む)の損傷、消失、または神経変性を生じる、あるいは一部の方法において、網膜神経細胞の生存能の低下を引き起こす、A2Eの1つ以上の毒性効果も減少、阻害、防止、または減弱させうる。このような毒性効果としては、アポトーシスの誘発、一重項酸素の自己産生および酸素反応性種の産生;DNA傷害を誘発して、それゆえ細胞DNAを損傷し、細胞損傷を誘発するA2E−エポキシドを生成するための一重項酸素の自己産生;細胞膜の溶解;リソソーム機能の改変;ミトコンドリアからのアポトーシス促進性タンパク質放出の実施が挙げられる。
このような治療が必要な対象は、眼疾患または障害の症状を発症した、または眼疾患または障害を発症するリスクを有する、ヒトでありうるか、または非ヒト霊長類または他の動物(すなわち獣医用途)でありうる。非ヒト霊長類または他の動物の例としては、これに限定されないが、農場動物、ペット、および動物園の動物(例えばウマ、ウシ、バッファロー、ラマ、ヤギ、ウサギ、ネコ、イヌ、チンパンジー、オラウータン、ゴリラ、サル、ゾウ、クマ、大型ネコ)が挙げられる。
本明細書では、製薬的に許容される担体および式I〜Vで示す構造、その基礎構造のいずれか1つの化合物、および本明細書に記載する具体的なレチニルアミン化合物を含む、本明細書で詳細に記載するレチニルアミン誘導体化合物の少なくとも1つを含む組成物をその必要がある対象に投与するステップを含む、網膜神経細胞の変性を阻害(すなわち減少、低速化、遅延、防止)して、網膜神経細胞の生存を強化または延長する(あるいは細胞生存能を延長する)方法も提供する。網膜神経細胞は、光受容細胞、双極細胞、水平細胞、神経節細胞、およびアマクリン細胞を含む。別の実施形態において、RPE細胞またはミュラーグリア細胞などの成熟網膜細胞の生存を強化または延長する、あるいはその変性を阻害する方法を提供する。別の実施形態において、本明細書に記載するレチニルアミン化合物および製薬的に許容される担体を含む組成物をその必要がある対象に投与するステップを含む、対象の眼における光受容体変性を防止または阻害する方法あるいは対象の眼の光受容体機能を回復する方法を提供する。このような方法は、製薬的に許容される担体および本明細書に記載する式I〜Vで示す構造またはその基礎構造のいずれか1つを有する化合物を含む、本明細書に記載するレチニルアミン誘導体をその必要がある対象に投与するステップを含む。ある実施形態において、レチニルアミン誘導体は、本明細書に記載するような正に帯電したレチノイド化合物である。理論にしばられたくはないが、レチニルアミン誘導体は、レチノイドサイクルの異性化ステップを阻害しうる、および/または眼におけるレチノイドサイクルの発色団流量を低速化させうる。
眼疾患は少なくとも一部は、眼のリポフスチン色素蓄積から、および/またはN−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(A2E)の蓄積から生じうる。したがってある実施形態において、対象の眼でのリポフスチン色素および/またはA2Eの蓄積を阻害または防止する方法が提供される。これらの方法は、製薬的に許容される担体ならびに本明細書に記載する式I〜Vのいずれか1つで示されるような構造またはその基礎構造を含む本明細書に詳細に記載するレチニルアミン誘導体化合物を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
レチニルアミン化合物は、眼中の過剰なレチノイド(例えば過剰な11−シス−レチノールまたは11−シス−レチナール)、オールトランス−レチナールの再利用における過剰なレチノイド老廃物または中間体などを有する対象に投与される。眼は通例、野生型オプシンタンパク質を含む。脊椎動物の眼における内在性レチノイドレベル、およびこのようなレチノイドの過剰または欠乏を決定する方法は例えば、米国特許出願公開番号:2005/0159662に開示されている(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)。このようなレチノイドのレベルが正常範囲より上かどうかを判定するために有用である、対象における内在性レチノイドレベルを決定する他の方法としては、例えば対象からの生体サンプル中のレチノイドの高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析が挙げられる。例えばレチノイドレベルは、対象からの血液サンプル(血清または血漿を含む)である生体サンプル中で決定されうる。生体サンプルは、硝子体液、房水、眼液または涙も含みうる。
例えば血液サンプルは対象および各種のレチノイド化合物から入手可能であり、サンプル中の1つ以上のレチノイド化合物のレベルは順相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分離および分析されうる(例えば1.4ml/分の流量にて10%酢酸エチル/90%ヘキサンを使用して、HP1100HPLCおよびBeckman、Ultrasphere−Si、4.6mm×250mmカラムによって)。レチノイドは例えば、ダイオードアレイ検出器およびHPChemstaion A.03.03ソフトウェアを使用して325nmでの検出によって検出されうる。レチノイドの過剰量は例えば、サンプル中のレチノイドの特徴(すなわち具体的な化合物の定性的な例えば同一性および各具体的な化合物の定量的な例えばレベル)の、正常対照からのサンプルとの比較によって決定されうる。このようなアッセイおよび技法に精通している当業者は、適切な対照が含まれることをただちに認識するであろう。
本明細書で使用するように、内在性レチノイド、例えば11−シス−レチノールまたは11−シス−レチナールの上昇した、または過剰なレベルは、同種の脊椎動物の健康な眼で見出されるよりも高い内在性レチノイドのレベルを指す。合成レチニルアミン誘導体の投与は、内在性レチノイドの必要を減少または消滅させうる。
網膜細胞
眼の網膜は、神経組織の薄く繊細な層である。網膜の主要な目印は、眼の後部の中心野および眼の前部の周辺部網膜である。網膜は後部で最も厚く、周辺部付近でより薄くなる。中心野は後部網膜に位置し、窩および小窩を含有しており、霊長類では黄斑を含有する。小窩は最大網膜錐体密度の区域を含有し、それゆえ網膜において最高の視力を与える。小窩は、黄斑内に含有される窩内に含有される。
網膜の周辺または前部は、視野を拡大させる。周辺部網膜は、眼の前部から赤道まで延伸して、4つの領域:近周辺(最も後)、中周辺、遠周辺、および鋸状縁(最も前)に分けられる。鋸状縁は網膜の終端を示す。
ニューロン(または神経細胞)という用語は、本明細書で理解され、本明細書で使用するように、神経上皮細胞前駆体から生じる細胞を示す。成熟ニューロン(すなわち成人からの完全に分化した細胞)は、複数の特異的抗原マーカーを提示する。ニューロンは、機能的に3つの群:(1)意識的知覚および運動協調性について脳内へ情報を伝達する求心性ニューロン(または感覚ニューロン);(2)筋肉および腺に命令を伝達する運動ニューロン;(3)局所回路網を担う介在ニューロン;(4)脳の1つの領域から別の領域に情報を中継して、したがって長い軸索を有する投射介在ニューロンに分類される。介在ニューロンは脳の特定の下部領域内で情報を処理して、比較的短い軸索を有する。ニューロンは通例、4つの定義された領域:細胞体(または神経細胞体);軸索;樹状突起;およびシナプス前終末を有する。樹状突起は他の細胞からの情報の一次入力として作用する。軸索は、細胞体にて開始される電気信号を他のニューロンまたは効果器に運搬する。シナプス前終末にて、ニューロンは、別のニューロン、筋肉細胞、または分泌細胞でありうる情報を別の細胞(シナプス後細胞)まで伝達する。
網膜は、複数の種類の神経細胞より構成される。本明細書に記載するように、本方法によって試験管内で培養されうる網膜神経細胞の種類としては、光受容細胞、神経節細胞、および介在ニューロン、例えば双極細胞、水平細胞、およびアマクリン細胞が挙げられる。光受容細胞は、特殊化された光反応性神経細胞であり、2つの主要なクラス、杆体および錐体を含む。杆体は暗所視または低度照明視に関与しているのに対して、明所視または高度照明視は3色色素の存在により錐体で発生する。失明を引き起こす多くの神経変性疾患、例えば黄斑変性、網膜剥離、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症などは光受容体に影響を及ぼす。
光受容体は細胞体から延伸して、2つの形態的に別個の領域、内節および外節を有する。外節は光受容細胞体から最も遠くに位置して、入射光エネルギーを電気インパルスに変換する(光伝達)円板を含有する。外節は非常に細く壊れやすい繊毛によって内節に付着している。外節のサイズおよび形状は杆体と錐体との間で異なり、網膜内の位置に依存する。Eye and Orbit、第8版、Bronら、(ChapmanおよびHall、1997年)を参照。
神経節細胞は、網膜介在ニューロン(水平細胞、双極細胞、アマクリン細胞を含む)から脳へ情報を伝える出力ニューロンである。双極細胞はその形態に従って名付けられ、光受容体からの入力を受信し、アマクリン細胞を結合して、神経節細胞に出力を放射状に送出する。アマクリン細胞は、網膜面に平行なプロセスを有し、通例、神経節に対して抑制出力を有する。アマクリン細胞は、神経伝達物質または神経調節物質またはペプチド(例えばカルレチニンまたはカルビンジン)によって下位分類されることが多く、互いに、双極細胞と、および光受容体と相互作用する。双極細胞は、その形態に従って名付けられた網膜介在ニューロンである;双極細胞は光受容体から入力を受けて、入力を神経節細胞に送出する。水平細胞は多数の光受容体からの視覚情報を調節および変換して、水平統合を有する(これに対して双極細胞は、網膜を通じて情報を放射状に中継する)。
本明細書に記載する網膜細胞培養物中に存在しうる他の網膜細胞としては、ミュラーグリア細胞などのグリア細胞と、網膜色素上皮細胞(RPE)とが挙げられる。グリア細胞は、神経細胞体および軸索を包囲する。グリア細胞は電気インパルスを運搬しないが、正常脳機能の維持に寄与する。ミュラーグリアは、網膜内のグリア細胞の主要な種類であり、網膜の構造支持体を与え、網膜の代謝に関与する(例えばイオン濃度の制御、神経伝達物質の分解に寄与して、ある特定の代謝産物を除去する(例えばKljavinら、J.Neurosci.11:2985(1991)を参照))。ミュラー線維(網膜の支持線維としても既知)は、網膜の厚さにわたって内境界膜から杆体および錐体の基底まで及び、そこで接合部複合体の列を形成する、網膜の支持神経膠細胞である。
網膜色素上皮(RPE)細胞は、血管の多い脈絡膜に最も近い、網膜の最外層を形成する。RPE細胞は、眼の光受容体の下に存在して、マクロファージのように機能する、食作用上皮細胞の一種である。RPE細胞の背面は杆体の端部に近接して並べられ、杆体外節から円板が放出されると、それらは内部移行して、RPE細胞によって消化される。RPE細胞は、光受容体の正常機能および生存に寄与する各種の因子も産生、貯蔵、および運搬する。RPE細胞の別の機能は、明および暗順応の間にビタミンAが光受容体とRPEとの間を移動するときにそれを再利用することである。
網膜ニューロンを含む成熟細胞の少なくとも2〜4週間、2ヶ月超、または6ヶ月もの長期にわたる培養で生存を許容および促進する、例示的な長期試験管内細胞培養系を本明細書に記載する。細胞培養系は、眼疾患または障害を治療および/または予防するための、あるいはリポフスチンおよび/またはA2Eの眼への蓄積を防止または阻害するための本明細書に記載する方法で有用であるレチノイド化合物を、同定およびキャラクタリゼーションするのに有用である。網膜細胞は非胚性、非腫瘍原性組織から単離され、例えば形質転換または発癌性ウイルスの感染などのいずれの方法によって不死化されていない。細胞培養系は、すべての主要な網膜神経細胞種(光受容体、双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞、および神経節細胞)を含むことができ、網膜色素上皮細胞およびミュラーグリア細胞などの他の成熟網膜細胞も含みうる。
レチニルアミン化合物の効果を判定するための生体内および試験管内系
一実施形態において、網膜神経細胞生存を含む、神経細胞生存を強化または延長する方法を提供する。本明細書では、網膜神経細胞(例えば光受容細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、および神経節細胞)および網膜色素上皮細胞またはミュラーグリア細胞などの他の成熟網膜細胞を含む、網膜細胞の変性を阻害または防止する方法も提供する。このような方法は、本明細書に記載するようなレチニルアミン誘導体化合物の投与を含む。このような化合物は、本明細書に記載する、眼疾患または障害あるいは網膜損傷の進行の低速化または停止を引き起こしうる、光受容細胞生存を含む網膜細胞生存を強化または延長するのに有用である。
レチニルアミン化合物の網膜細胞生存に対する効果は、細胞培養モデル、動物モデル、および本明細書に記載され、当業者によって実施される他の方法を使用することによって決定されうる。一例として、制限なく、このような方法およびアッセイとしては、Oglivieら、Exp.Neurol.161:675−856(2000);米国特許番号:6,406,840;WO 01/81551;WO 98/12303;米国特許出願番号:2002/0009713;WO 00/40699;米国特許番号:6,117,675;米国特許番号:5,736,516;WO 99/29279;WO 01/83714;WO 01/42784;米国特許番号:6,183,735;米国特許番号:6,090,624;WO 01/09327;米国特許番号:5,641,750;および米国特許出願シリアル番号:10/903,880に記載された方法が挙げられる。
良好な動物モデルがないことは、網膜疾患および障害を治療する新薬を開発するための大きな障害であることが判明した。例えば黄斑は霊長類(ヒトを含む)に存在するが、げっ歯類には存在しない。最近開発された動物モデルは、黄斑変性症の治療を評価するのに有用であり、Ambatiら(Nat.Med.9:1390−97(2003);電子出版、2003年10月19日)に記載されている。本動物モデルは、神経変性疾患、特に眼疾患の進行または発症を治療する(防止を含む)化合物またはいずれかの分子を評価するために現在利用できるごくわずかな例示的な動物モデルの1つである。したがって細胞培養法、例えば本明細書に記載する方法は、網膜神経細胞生存の効果を判定するのに特に有用である。
細胞培養系
その分子が眼疾患および障害を治療するのに有用である、本明細書に記載したようなレチニルアミンが神経細胞、特に網膜神経細胞の生存を強化または延長して、眼、あるいは網膜またはその網膜細胞の変性を阻害、防止、低速化、または遅延する能力を判定するのに有用である例示的な細胞培養モデルは、本明細書に記載され、米国特許出願公開番号:US 2005−0059148(参照によりその全体が組み込まれている)に記載されている。
細胞培養モデルは、網膜神経細胞(例えば光受容細胞、アマクリン細胞、神経節細胞、水平細胞、および双極細胞)を含む成熟網膜細胞の長期または延長培養を含む。細胞培養系および細胞培養系を産生する方法は、光受容細胞の延長培養を提供する。細胞培養系は、網膜色素上皮(RPE)細胞およびミュラーグリア細胞も含みうる。
網膜細胞培養系は、細胞ストレッサも含みうる。ストレッサの利用または存在は、網膜神経細胞を含む成熟網膜細胞に試験管内で、網膜疾患または障害で観察される疾患病態を研究するのに有用な方法で影響を及ぼす。本明細書に記載する細胞培養モデルは、一般に神経疾患または障害の治療に、そして特に眼および脳の変性疾患の治療に適切である、レチニルアミン化合物の同定および生物学的試験に有用であろう試験管内神経細胞培養系を提供する。ストレッサの存在下で延長された期間にわたる試験管内の培養で網膜ニューロンを含む成熟した完全分化網膜細胞から一次細胞を得る能力は、細胞間相互作用の検査、神経刺激性化合物および物質の選択および分析、生体内CNSおよび眼科試験のための管理された細胞系の使用、ならびに一貫した網膜細胞集合からの単一の細胞に対する効果の分析を可能にする。
細胞培養系および網膜細胞ストレスモデルは、疾患により損傷されたCNS組織の再生を誘発または刺激することができるレチニルアミン化合物をスクリーニングおよびキャラクタリゼーションするのに特に有用である、培養された成熟網膜細胞、網膜ニューロン、および網膜細胞ストレッサを含む。細胞培養系は、成熟網膜ニューロン細胞および非ニューロン網膜細胞の混合物である成熟網膜細胞培養物である。細胞培養系は、すべての主要な網膜神経細胞種(光受容体、双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞、および神経節細胞)を含むことができ、RPEおよびミュラーグリア細胞などの他の成熟網膜細胞も含む。異なる種類の細胞を試験管内培養系に包含させることによって、系は網膜の生体内状態における自然の器官により似ている「人工器官」に本質的に類似している。
1つ以上の成熟網膜細胞型の生存能は、延長された期間、例えば少なくとも4週間、2ヶ月(8週間)、または少なくとも4〜6ヶ月にわたって、網膜組織から単離(収集)して、細胞培養のためにプレーティングした成熟網膜細胞の少なくとも10%、25%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%について維持される。網膜細胞の生存能は、本明細書に記載され、当分野で既知である方法に従って決定されうる。網膜神経細胞は、一般に神経細胞に似ており、生体内で能動的に分割する細胞ではなく、それゆえ網膜神経細胞の細胞分割は必ずしも生存能を示すものではない。細胞培養系の利点は、アマクリン細胞、光受容体、および関連する神経節投射ニューロンを延長された期間にわたって培養して、それにより網膜疾患の治療に関する本明細書に記載するレチニルアミン化合物の有効性を判定する機会を提供する能力である。
成熟網膜細胞および網膜ニューロンは、試験管内で延長された期間にわたって、2日または5日以上、2週間、3週間、または4週間以上、2ヶ月(8週間)、3ヶ月(12週間)、および4ヶ月(16週間)以上、6ヶ月以上培養され、それゆえ長期培養を与えうる。成熟網膜細胞型の1つ以上の少なくとも20〜40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%は、この長期細胞培養系において生存を維持する。網膜細胞または網膜組織の生物源は、哺乳類(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、有蹄類、げっ歯類、イヌ、ブタ、ウシ、または他の哺乳類源)、鳥類、または他の属からでありうる。出生後非ヒト霊長類、出生後ブタ、または出生後ニワトリからの網膜ニューロンを含む網膜細胞が使用されうるが、いずれの成体または出生後網膜組織も本網膜細胞培養系での使用に適しうる。
細胞培養系は、非網膜組織に由来する、あるいは非網膜組織から単離または精製した細胞を包含せずに、網膜細胞の強い長期生存を与える。細胞培養系は、眼の網膜のみから単離した細胞を含み、それゆえ網膜から離れた眼の他の部分または領域、例えば毛様体および硝子体からの細胞型を実質的に含まない。非網膜細胞を実質的に含まない網膜細胞培養物は、培養物中に好ましくは少なくとも80〜85%の細胞型を、好ましくは90%〜95%の、または好ましくは96%〜100%の細胞型を含有する網膜細胞を含有する。細胞培養系における網膜細胞は生存可能であり、非網膜源からの追加の精製(または単離)されたグリア細胞または幹細胞、あるいは他の非網膜細胞なしで細胞培養系で生存する。網膜細胞培養系は、単離された網膜組織のみから調製され、それにより細胞培養系が実質的に非網膜細胞を含まないようにする。
本明細書に記載する試験管内網膜細胞培養系は、網膜の生理学をキャラクタリゼーションするのに使用されうる生理学的網膜モデルとして作用しうる。本生理学的網膜モデルは、より幅広い一般的な神経生物学モデルとしても使用されうる。細胞ストレッサはモデル細胞培養系に含まれうる。本明細書に記載するように網膜細胞ストレッサである細胞ストレッサは、または細胞培養系における網膜神経細胞型を含む、1つ以上の各種の網膜細胞型の生存能に悪影響を及ぼすか、その生存能を低下させる。当業者は、本明細書に記載するように、減少した生存能を示す網膜細胞が、網膜細胞が細胞培養系で生存する期間が減少または低下されること(寿命の低下)を意味することと、および/または適切な対照細胞系(例えば細胞ストレッサの非存在下の本明細書に記載する細胞培養系)で培養された網膜細胞と比較して、網膜細胞が生物または生化学機能の減弱、阻害または悪影響(例えば代謝低下または異常;アポトーシスの開始など)を示すこととをただちに認識および理解するであろう。網膜細胞の低下した生存能は、細胞死;細胞構造または形態の改変または変化;アポトーシスの誘発および/または進行;網膜神経細胞神経変性(または神経細胞損傷)の開始、強化および・または加速によって示されうる。
細胞生存能を判定する方法および技法は、本明細書に詳細に記載され、当業者はそれらに精通している。細胞生存能を判定する方法および技法は、細胞培養系における網膜細胞の健康および状態を監視するために、そして本明細書に記載するレチニルアミン化合物が網膜細胞生存能または網膜細胞生存を変化(好ましくは上昇、延長、強化、改善)して、網膜細胞変性を阻害する能力を判定するために使用されうる。
細胞ストレッサの細胞培養系への添加は、レチニルアミン化合物がストレッサの効果を抑止、阻害、消滅、または減弱する能力を判定するのに有用である。網膜神経細胞系としては、化学的(例えばA2E、タバコ煙濃縮物);生物学的(例えば毒素曝露;ベータアミロイド;リポ多糖類);または非化学的、例えば物理的ストレッサ、環境的ストレッサまたは機械的力(例えば圧力または露光の増加)である細胞ストレッサを含みうる。
網膜細胞ストレッサモデル系は、細胞ストレッサ、例えばこれに限定されないが、さまざまな波長および強度の光;タバコ煙濃縮物曝露;グルコース酸素欠乏;酸化的ストレス(例えば過酸化水素、ニトロプルシド、Zn++、またはFe++の存在またはそれへの曝露に関連するストレス);圧力上昇(例えば大気圧または静水圧);グルタメートまたはグルタメートアゴニスト(例えばN−メチル−D−アスパルテート(NMDA);アルファ−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソキサゾール−4−プロピオナート(AMPA);カイニン酸;キスカル酸;イボテン酸;キノリン酸;アスパルテート;トランス−1−アミノシクロペンチル−1,3−ジカルボキシラート(ACPD));アミノ酸(例えばアスパルテート;L−システイン;ベータ−N−メチルアミン−L−アラニン);重金属(例えば鉛);各種の毒素(例えばミトコンドリア毒素(例えばマロナート、3−ニトロプロピオン酸;ロテノン、シアン化物);その活性毒性代謝産物MPP+(1−メチル−4−フェニルピリジン)へと代謝するMPTP(1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6,−テトラヒドロピリジン));6−ヒドロキシドーパミン;アルファ−シヌクレイン;タンパク質キナーゼC活性化物質(例えばホルボールミリステートアセテート);生体アミン刺激薬(例えばメタンフェタミン、MDMA(3−4メチレンジオキシメタンフェタミン));または1つ以上のストレッサの組み合せを含む、例えばこれに限定されないが、疾患または障害におけるリスク因子でありうる、あるいは疾患または障害の発症または進行に寄与しうるストレッサも含みうる。有用な網膜細胞ストレッサとしては、本明細書に記載する成熟網膜細胞の1つ以上に影響を及ぼす神経変性疾患を模倣する細胞ストレッサが挙げられる。慢性疾患モデルは、大半の神経変性疾患が慢性であるために特に重要である。本試験管内細胞培養系の使用により、細胞分析に延長された期間が利用できるので、長期疾患発症プロセスにおける最も早期のイベントが同定されうる。
網膜細胞ストレッサは、例えば網膜神経細胞を含む網膜細胞の生存を変化させることによって、または網膜神経細胞の神経変性を変化させることによって、網膜細胞の生存能を変化(すなわち統計的に有意な方法で上昇または低下)させうる。好ましくは、網膜細胞ストレッサは、網膜神経細胞の生存が低下または悪影響を受けるように(すなわち細胞が生存可能である期間の長さがストレッサの存在下で減少される)または細胞の神経変性(またはニューロン細胞損傷)が増大または強化されるように、網膜神経細胞に悪影響を及ぼす。ストレッサは網膜細胞中の単一の網膜細胞型にのみ影響を及ぼしうるか、またはストレッサは異なる細胞型の2つ、3つ、4つ以上に影響を及ぼしうる。例えばストレッサは、光受容細胞の生存能および生存を変化しうるが、他の主要な細胞型すべて(例えば神経節細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、RPE、およびミュラーグリア)には影響を及ぼさない。ストレッサは網膜細胞の生存時間(生体内または試験管内)を短縮し、網膜細胞の神経変性の迅速性または程度を上昇させる、またはある他の方法では網膜細胞の生存能、形態、成熟度、または寿命に悪影響を及ぼしうる。
細胞培養系における網膜細胞の生存能に対する細胞ストレッサの効果は、各種の網膜細胞型の1つ以上について判定されうる。細胞生存能の判定は、一定期間にわたって間隔を置いて、または網膜細胞培養物を調製した後に特定の時点で、網膜細胞の構造および/または機能を連続して評価することを含みうる。1つ以上の異なる網膜細胞型または1つ以上の異なる網膜神経細胞型の生存能または長期生存は、形態または構造変化の観察前に、アポトーシスなどの生存能の低下または代謝機能の低下を示す1つ以上の生化学または生物パラメータに従って判定されうる。
化学的、生物的、または物理的細胞ストレッサは、長期細胞培養物を維持するために本明細書に記載する条件下で細胞培養物にストレッサを添加したときに、細胞培養系に存在する1つ以上の網膜細胞型の生存能を低下させうる。あるいは1つ以上の培養条件は、網膜細胞に対するストレッサの効果がより早く観察されうるように調整されうる。例えばウシ胎仔血清の濃度またはパーセントは、細胞を特定の細胞ストレッサに曝露させたときに細胞培養物から低下または排除されうる。特定の目的のために無血清培地が望ましいとき、細胞は動物血清源から、血清を含まない培地または非血清代替物を含有する培地中へ徐々に離脱されうる(すなわち血清の濃度はますます、そしてしばしば系統的に低下される)。血清濃度の低下および血清の各低下した濃度における培養物の期間は、細胞生存が維持されるように連続的に評価および調整されうる。網膜細胞培養系が細胞ストレッサに曝露されるとき、ストレスモデルが網膜細胞型に対するストレッサの効果を評価するために、および/または網膜細胞に対するストレッサの悪影響を阻害、減弱、または抑止するレチニルアミンを同定するために有用であるように条件を達成するために、血清濃度はストレッサの利用と同時に調整されうる((化学的または生物学的である場合)滴定または(物理的ストレッサである場合)調整もされうる)。あるいは細胞の維持のために血清を特定の濃度で含有する培地で培養した網膜細胞を、いずれのレベルの血清も含有しない培地に突然曝露することができる。
網膜細胞培養物は細胞ストレッサに、網膜細胞培養系において1つ以上の網膜細胞型の生存能を低下させると判定された期間にわたって曝露されうる。細胞は細胞ストレッサに、網膜組織から単離後の網膜細胞のプレーティング時にすぐに曝露されうる。あるいは網膜細胞培養物は、培養物が確立された後、またはその後いつでもストレッサに曝露されうる。2つ以上の細胞ストレッサが網膜培養系に含まれるとき、各ストレッサは網膜細胞系の培養中に、細胞培養系に同時に、そして同じ長さの時間にわたって添加されうるか、または別個に別の時点に、同じ長さの時間にわたって、または異なる長さの時間にわたって添加されうる。
細胞培養系における網膜細胞の生存能は、本明細書に記載され、当業者によって実施されるいずれかの1つ以上の複数の方法および技法によって判定されうる。ストレッサの効果は、ストレッサ存在下の細胞培養系中の網膜神経細胞を含む網膜細胞の構造または形態を、ストレッサ非存在下の細胞培養系の同じ細胞型の構造または形態と比較することと、それから神経細胞の神経変性を変化させることができるストレッサと同定することとによって判定されうる。生存能に対するストレッサの効果も、当分野で既知であり、本明細書に記載する方法によって、例えばストレッサの存在下で細胞培養系の神経細胞の生存を、ストレッサの非存在下で細胞培養系の神経細胞の生存と比較することによって評価されうる。
光受容体は、オプシン、ペリフェリンなどの光受容体特異性タンパク質に特異的に結合する抗体を使用して同定されうる。細胞培養物中の光受容体は、パンニューロナルマーカーを使用することによって免疫細胞学的に標識した細胞の形態サブセットとしても同定されうるか、または生培養物のコントラストの向上した画像で形態学的に同定されうる。外節は光受容体への付着物として形態学的に検出されうる。
光受容体を含む網膜細胞は、機能分析によっても検出されうる。例えば電気生理学方法および技法が光受容体の光に対する応答を測定するために使用されうる。光受容体は、光に対する段階的応答では特異的な動態を示す。活性光受容体を含有する培養物内で光に対する段階的応答を検出するために、カルシウム感受性染料も使用されうる。ストレス誘発化合物または潜在的な神経治療を分析するために、網膜細胞培養物を免疫組織化学のために処理することができ、光受容体および/または他の網膜細胞は手作業で、またはコンピュータソフトウェアによって顕微鏡撮影および撮像技法を使用してカウントされうる。当分野で既知の他のイムノアッセイ(例えばELISA、免疫ブロッティング、フローサイトメトリー)も、本明細書に記載する細胞培養モデル系の網膜細胞および網膜神経細胞を同定およびキャラクタリゼーションするのに有用でありうる。
網膜細胞培養ストレスモデルは、興味のある生物活性物質、例えばレチニルアミン化合物による直接および間接薬理作用物質効果の両方の同定にも有用でありうる。例えば1つ以上の網膜細胞ストレッサの存在下で細胞培養系に添加された生物活性物質は、他の細胞型の生存を強化または減少する方法で1つの細胞型を刺激しうる。細胞/細胞相互作用および細胞/細胞外成分相互作用は、疾患および薬物機能の機構を理解するのに重要でありうる。例えば1つの神経細胞型は、別の神経細胞型の成長または生存に影響を及ぼす栄養素を分泌しうる(例えばWO99/29279を参照)。
別の実施形態において、レチニルアミン誘導体化合物は、化合物が複数の網膜細胞の生存能を上昇させる(すなわち統計的にまたは生物学的に有用な方法で上昇させる)かどうか、および/あるいは上昇させるレベルまたは程度を判定するために、本明細書に記載する網膜細胞培養ストレスモデル系を含むスクリーニングアッセイに包含される。当業者は、本明細書に記載するように、上昇した生存能を示す網膜細胞が細胞培養系で生存する期間が増加されること(寿命の増加)を意味することと、および/または適切な対照細胞系(例えば細胞ストレッサの非存在下の本明細書に記載する細胞培養系)で培養された網膜細胞と比較して、網膜細胞が生物または生化学機能(正常な代謝および小器官機能;アポトーシスの消失など)を維持することとをただちに認識および理解するであろう。網膜細胞の生存能上昇は、遅延された細胞死または死滅した、または死滅しつつある細胞数の減少;構造および/または形態の維持;アポトーシスの消失またはアポトーシスの開始遅延;網膜神経細胞神経変性の阻害、低速化された進行および/または抑止あるいは神経細胞損傷の効果の遅延または抑止または防止によって示されうる。網膜細胞の生存能、それゆえ網膜細胞が生存能上昇を示すかどうかを判定する方法および技法は、本明細書により詳細に記載され、当業者に既知である。
ある実施形態において、レチニルアミン化合物が光受容細胞の生存を強化するかどうかを判定する方法を提供する。1つの方法は、網膜神経細胞と化合物との相互作用を可能にするのに十分な条件で、十分な時間にわたって、本明細書に記載する網膜細胞培養系に薬物を接触させるステップを含む。強化された生存(延長された生存)は、ロドプシンの発現を検出するステップを含む、本明細書に記載され、当分野で既知の方法にしたがって測定されうる。タンパク質オプシンおよびレチナール(ビタミンA形)より成るロドプシンは、眼の網膜中の光受容細胞の膜に位置し、視力の光感受性ステップのみを触媒する。11−シス−レチナール発色団は、タンパク質のポケットに存在して、光が吸収されるときにオールトランス−レチナールに異性化される。レチナールの異性化はロドプシンの形状変化につながり、このことは視神経によって脳に伝達される神経インパルスにつながる一連の反応を引き起こす。
本明細書に記載した直接または間接結果として、レチニルアミン化合物が網膜細胞生存能を増大させる、および/または細胞生存を強化、促進、または延長する(すなわち網膜神経細胞が生存する期間を長期化する)、および/または神経変性を障害、阻害、または妨害する能力は、当業者に既知の複数の方法のいずれか1つによって決定されうる。例えば化合物の非存在または存在下での細胞形態の変化は、目視検査によって、例えば光学顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、または当分野で既知の他の顕微鏡法によって判定されうる。細胞の生存も例えば、生細胞および/または非生細胞をカウントすることによって判定されうる。免疫化学または免疫組織学技法(例えば固定細胞染色またはフローサイトメトリー)を使用して、細胞骨格構造を同定および評価する(例えば細胞骨格タンパク質、例えばグリア線維性酸性タンパク質、フィブロネクチン、アクチン、ビメンチン、チューブリンなどに特異性の抗体を使用することによって)あるいは本明細書に記載する細胞マーカーの発現を評価することができる。細胞の完全性、形態、および/または生存に対するレチニルアミン化合物の効果も、神経細胞ポリペプチド、例えば細胞骨格ポリペプチドのホスホリル化状態を測定することによって判定されうる(例えばSharmaら、J.Biol.Chem.274:9600−06(1999);Liら、J.Neurosci.20:6055−62(2000))。細胞生存または、あるいは細胞死も、アポトーシスを測定するための本明細書に記載され、当分野で既知である方法(例えばアネキシンV結合、DNA断片化アッセイ、カスパーゼ活性化、マーカー分析、例えばポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)など)に従って判定されうる。
レチニルアミン化合物の存在下での1つ以上の網膜細胞型の強化された生存(あるいは延長または長期生存)は、化合物が神経変性疾患、特に網膜疾患または障害の治療に有効な薬剤でありうる。細胞生存および強化された細胞生存は、生存能アッセイおよび網膜細胞マーカータンパク質の発現を検出するアッセイを含む本明細書に記載され、当業者に既知である方法に従って判定されうる。光受容細胞の強化された生存を判定するために、例えば杆体によって発現されるタンパク質ロドプシンを含むオプシンが検出されうる。
別の実施形態において、対象はシュタルガルト病またはシュタルガルト黄斑変性症を治療されうる。ABCA4(ABCRとも呼ばれる)トランスポータの突然変異に関連するシュタルガルト病では、オールトランス−レチナールの蓄積が、網膜細胞に対して毒性であり、網膜変性、結果として失明を引き起こすリポフスチン色素A2Eの生成を担うことが提唱されてきた。
なお別の実施形態では、対象は加齢黄斑変性症(AMD)を治療されている。各種の実施形態において、AMDは滲出型または非滲出型である。AMDにおいて、失明は疾患後期の合併症が網膜下に新たな血管の増殖、または網膜萎縮を引き起こすときに起こる。いずれの詳細な理論にも縛られたくはないが、オールトランス−レチナールの蓄積が、網膜細胞に対して毒性であり、網膜変性、結果として失明を引き起こすリポフスチン色素、N−レチニリデン−N−レチニルエタノールアミン(A2E)の生成を担うことが提唱されてきた。
脊椎動物の眼、例えば哺乳類の眼では、A2Eの生成は光依存プロセスであり、その蓄積は眼に多数の負の効果を引き起こす。これらは網膜色素上皮(RPE)膜の脱安定化、青色損傷に対する細胞の感作、およびリン脂質の分解障害を含む。分子酸素(オキシラン)によるA2E酸化の生成物は、培養されたRPE細胞におけるDNA損傷を誘発することがなお示された。これらすべての因子は、視力の段階的な低下、そして最終的には失明を引き起こす。視覚プロセスの間のレチナール生成を減少させることが可能ならば、眼におけるA2Eの量の減少につながる。このことはRPEおよび網膜の老化を遅延させて、失明を低速化または防止する。11−シス−レチニルアミンによって患者を治療することは、A2Eの生成を防止または低速化することができ、網膜の保護特性を有しうる。
神経変性疾患の治療
別の実施形態において、神経変性疾患および障害、特に本明細書に記載するような神経変性網膜疾患および眼疾患を治療および/または防止する方法を提供する。このような治療が必要な患者は、神経変性網膜疾患の症状を発症した、または神経変性網膜疾患を発症するリスクを有するヒトまたは非ヒト霊長類あるいは他の動物でありうる。本明細書に記載するように、製薬的に許容される担体およびレチニルアミン化合物(例えば式I〜Vのいずれか1つの構造およびその基礎構造を有する化合物)を含む組成物をその必要がある対象に投与することによって、眼疾患または障害を治療する(防止または予防を含む)方法も提供される。本明細書に記載するように、レチニルアミン化合物を含む本明細書に記載する組成物を投与することによって、組成物神経細胞、例えば光受容細胞を含む網膜神経細胞の生存を強化または延長する、および/または網膜神経細胞を含む網膜細胞の変性を阻害する(生存または生存能を延長または強化する)方法を提供する。
本明細書に記載する化合物および方法がその症状を治療、治癒、防止、改善、あるいはその進行を低速化、阻害、または停止する神経変性網膜疾患または障害は、視力障害の原因である網膜神経細胞消失を引き起こす、または網膜神経細胞消失を特徴とする疾患または障害である。このような疾患または障害は、これに限定されないが、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症が挙げられる。本明細書に記載する方法および組成物を使用して治療されうる他の眼疾患および障害としては、黄斑変性症(黄斑変性症の非滲出型および滲出型を含む)、緑内障、網膜剥離、網膜血管(動脈または静脈)閉塞、出血性網膜症、網膜色素変性症、未熟児網膜症、炎症性網膜疾患、増殖性硝子体網膜症、網膜ジストロフィー、遺伝性視神経症、シュタルガルト黄斑ジストロフィー、ソーズビー眼底ジストロフィー、ベスト病、ブドウ膜炎、他の神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病または脳細胞に影響を及ぼす他の神経変性疾患に関連する網膜損傷、視神経症、および網膜障害、ウイルス感染、またはAIDSなどの他の状態に関連する網膜障害が挙げられる。網膜障害は、露光増加(すなわち光に対する過剰露光)、例えば手術中の偶発的な強力または激烈な露光;砂漠または雪に覆われた地面での強力、激烈、または延長された日光への曝露;戦闘中に、例えば爆発またはレーザ機器由来のものを観察したとき;に関連する網膜に対する光損傷も含む。
本明細書に記載するような黄斑変性症は、黄斑(網膜の中心領域)に影響を及ぼし、中心視の衰えおよび消失を生じる。加齢黄斑変性症は通例、55歳を超えた個体で発生する。加齢黄斑変性症の病因は、環境的な影響および遺伝的構成要素の療法を含みうる(例えばLyengarら、Am.J.Hum.Genet.74:20−39(2004)(電子出版Epub、2003年、12月19日);Kenealyら、Mol.Vis.10:57−61(2004);Gorinら、Mol.Vis.5:29(1999))。さらにまれなことに、黄斑変性症は小児および幼児を含むより若い個体においても発生し、一般に該障害は遺伝子突然変異から生じる。若年性黄斑変性症の型としては、シュタルガルト病(例えばGlazerら、Ophthalmol.Clin.North Am.15:93−100,viii(2002);Wengら、Cell 98:13−23(1999)を参照);ベスト卵黄様黄斑ジストロフィー(例えばKramerら、Hum.Mutat.22:418(2003);Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:4008−13(2002)を参照)、ドイン蜂巣状黄斑ジストロフィー(例えばKermaniら、Hum.Genet.104:77−82(1999)を参照);ソーズビー眼底ジストロフィー、Malattia Levintinese、黄色斑眼底、および常染色体優性出血性様黄斑ジストロフィー(例えばSeddonら、Ophthalmology 108:2060−67(2001);Yatesら、J.Med.Genet.37:83−7(2000);Jaaksonら、Hum.Mutat.22:395−403(2003)も参照)が挙げられる。
シュタルガルト黄斑変性症は、劣性遺伝性疾患であり、小児の遺伝性失明病である。シュタルガルト病の主要な病理的欠陥は、網膜色素上皮(RPE)の細胞へのA2Eなどの毒性リポフスチン色素の蓄積でもある。本蓄積は、シュタルガルト患者に見出される光受容体の死および重篤な視力喪失を担うように思われる。レチニルアミンは、視覚サイクルにおいてイソメラーゼを阻害することによって、11−シス−レチンアルデヒド(11cRAL)の合成および−5−ロドプシンの再生を低速化させうる。ロドプシンの光活性化は、A2E生合成における第1の反応物質を構成するオールトランス−レチナールのその放出を引き起こす。レチニルアミンによる治療は、リポフスチン蓄積を阻害して、それゆえレチニルアミン化合物による治療を妨げる毒性効果なしに、シュタルガルトおよびAMD患者における視力喪失の開始を遅延させうる。本明細書に記載する化合物は、リポフスチン蓄積に関連する網膜または黄斑変性症の他の型の有効な治療にも使用されうる。
本明細書に記載する合成レチニルアミン誘導体化合物の対象への投与は、網膜細胞に対して毒性であり、網膜変性を引き起こすリポフスチン色素A2Eの生成を防止しうる。ある実施形態において、レチニルアミン化合物の投与は老廃物、例えばリポフスチン色素の産生を減少させるか、または失明(例えば脈絡膜新生血管および/または網脈絡膜萎縮)を低速化しうる。先の研究では、RPEへのA2E蓄積を防止するために、一般に座瘡の治療に使用される薬物および11−シス−レチノールデヒドロゲナーゼの阻害薬である、13−シス−レチノイン酸(Accutane(登録商標)またはイソトレチオニン)が患者に投与されている。しかしながらこの提案された治療の主な欠点は、13−シス−レチノイン酸がオールトランス−レチノイン酸に容易に異性化しうることである。オールトランス−レチノイン酸は、細胞増殖および発生に悪影響を生じる非常に強力な催奇性化合物である。レチノイン酸は肝臓にも蓄積して、肝臓病の寄与因子でもありうる。
なお他の態様において、レチニルアミン化合物は眼のABCA4トランスポータに突然変異を持つヒトなどの対象に投与される。レチニルアミン化合物は、高齢対象にも投与されうる。本明細書で使用するように、高齢ヒト対象は通例、少なくとも45歳、または少なくとも50歳、または少なくとも60歳、または少なくとも65歳である。ABCA4トランスポータの突然変異に関連するシュタルガルト病では、オールトランス−レチナールの蓄積が、網膜細胞に対して毒性であり、網膜変性、結果として失明を引き起こすリポフスチン色素A2Eの生成を担うことが提唱されてきた。理論に束縛はされないが、本明細書に記載するレチニルアミン化合物は、視覚サイクルに関与するイソメロヒドラーゼタンパク質の強力な阻害薬でありうる。対象をレチニルアミン誘導体、例えば11−シス−レチニルアミンで治療することは、A2Eの生成を防止または低速化することができ、正常視力に対する保護特性を有しうる。このような治療は他のレチノイド関連毒性副生成物、例えば糖尿病を有する患者に蓄積しうる脂肪浸出物の生成および蓄積も減少または阻害しうる。
本明細書で使用するように、患者(または対象)は、神経変性疾患または状態を有しうる、または罹患しうる、あるいは検出可能な疾患のない、ヒトを含むいずれの哺乳類でもよい。したがって治療は既存疾患を有する対象に投与されうるか、または治療は予防的であり、疾患または状態を発症するリスクを有する対象に投与されうる。本明細書に記載する少なくとも1つのレチニルアミン誘導体化合物の有効量を投与することにより治療することまたは治療は、いずれの主観的および客観的パラメータ、例えば症状の軽減;寛解;減弱を含む、損傷、病態または状態の治療または改善、あるいは損傷、病態または状態を患者にとってより耐えられるようにすること;変性または衰えの速度を低速化すること;変性の終点をあまり衰弱させないこと;あるいは対象の身体的または精神的幸福を改善することにおける成功の何らかの兆候を指す。
症状の治療または改善は、理学的検査の客観的または主観的パラメータに基づきうる。したがって「治療すること」という用語は、疼痛、痛覚過敏、異痛、または侵害受容イベントを治療するための、疼痛、痛覚過敏、異痛、侵害受容イベントに関連する症状または状態、あるいは他の疾患の発症を防止または遅延するための、軽減するための、あるいは停止または阻害するための、本明細書に記載する化合物または薬剤の投与を含む。「治療効果」という用語は、患者における疾患、疾患の症状、または疾患の続発症の減少、除去、または防止を指す。治療は、経時的に測定したような(例えば数週間または数ヶ月で測定したような)(脊椎動物視覚系、例えば視力および視野試験などにおける網膜神経細胞機能(光受容体機能を含む)を回復または改善することも含む。治療は、疾患進行を安定化すること(例えば眼疾患および関連症状の進行の低速化、最小化、または停止)および脊椎動物視覚系のさらなる変性を最小化することも含む。治療は予防も含み、対象の脊椎動物視覚系の変性またはさらなる変性または悪化またはさらなる悪化を防止するために、そして疾患および/または関連する症状および続発症の発症を防止または阻害するための、レチニルアミン化合物の、その必要がある対象への投与を指す。
対象または患者は、本明細書に記載する化合物が投与されうるいずれの脊椎動物または哺乳類患者または対象を指す。「脊椎動物」または「哺乳類」という用語は、ヒトおよび非ヒト霊長類はもちろんのこと、ウサギ、ラット、およびマウスなどの実験動物、ならびに家庭用ペットおよび動物園の動物などの他の動物も含む。本明細書に記載する治療が必要な対象は、本明細書に記載する眼疾患または状態に関連するリスク因子または症状を判定するために、あるいは対象における既存の眼疾患または状態の状況を判定するために利用される、医学分野において認められたスクリーニング方法に従って識別されうる。これらおよび他の日常的な方法は、臨床医に本明細書に記載する方法および組成物を含む治療が必要な患者を選択させる。
レチニルアミン誘導体化合物は好ましくは、選択した投与経路および例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.,Easton,PA、1980年)に記載されているような標準薬務に基づいて選択された製薬担体(すなわち活性成分を妨害しない非毒性物質である、製薬的に許容される賦形剤、希釈剤など)と組み合されうる。
レチニルアミン誘導体化合物は純化学薬品として投与されうるが、好ましくは活性成分は製薬組成物として投与される。したがって本明細書では、1つ以上のレチニルアミン化合物、例えば正に帯電したレチノイド化合物、またはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的または眼科的に許容される水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、N−オキシドまたは同形結晶形を、そのための1つ以上の製薬的に許容される担体、および場合により他の治療および/または予防成分と共に含む製薬組成物を提供する。(複数の)担体は、組成物の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに対して有害でないという点で許容されねばならない。製薬的に許容されるまたは適切な組成物は、眼科的に適切なまたは許容される組成物を含む。
(例えば経口投与または注射による送達のための、あるいは点眼薬としての利用のための)製薬組成物は、液体形でありうる。液体製薬組成物としては例えば、次の1つ以上:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒として作用しうる固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤;抗酸化剤;キレート剤;緩衝剤および張度調整剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロースを含みうる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回用量バイアルに封入されうる。生理食塩水の使用が好ましく、注射用製薬組成物または眼に送達される組成物は好ましくは滅菌である。
レチニルアミン誘導体化合物は、ヒトまたは他の非ヒト脊椎動物に投与されうる。ある実施形態において、化合物は、約5%未満または約1%未満の、または約0.1%未満の他のレチノイドを含有するという点で、実質的に純粋である。他の実施形態において、レチニルアミン化合物の組み合せが投与されうる。
レチニルアミン誘導体化合物は、例えば経口または局所投与を含むいずれかの適切な手段によっても眼に送達されうる。局所投与の様式としては例えば、点眼薬、眼内注射または眼周囲注射が挙げられる。眼周囲注射は通例、合成レチニルアミン誘導体の結膜内への、またはテノン(眼を被覆する線維状組織)への注射を含む。眼内注射は通例、合成レチニルアミン誘導体の硝子体内への注射を含む。ある実施形態において、投与は点眼薬または経口投薬形などの非侵襲性である。
レチニルアミン誘導体化合物は、製薬的に許容される(適切な)担体またはビヒクルはもちろんのこと、当分野で日常的に使用される技法も使用して投与のために調合されうる。製薬的に許容されるまたは適切な担体は、眼科的に適切な、または許容される担体を含む。ビヒクルはレチニルアミンの化合物の溶解度に従って選択される。適切な眼科用組成物としては、点眼薬、注射などによって眼に局所的に投与可能な組成物が挙げられる。点眼薬の場合、調合物は場合により、例えば眼科的に適合性の薬剤、例えば等浸透圧性の薬剤、例えば塩化ナトリウムなどの等張剤、濃グリセリンなど;緩衝剤、例えばリン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど;界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンオレアート(Polysorbate 80とも呼ばれる)、ポリオキシルステアレート40、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油など;安定化剤、例えばクエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウムなど;保存料、例えば塩化ベンズアルコニウム、パラベンなど;および他の成分も含みうる。保存料は例えば、約0.001〜約1.0重量/体積のレベルで利用されうる。調合物のpHは通常、約4〜8の範囲内などの眼科用調合物に許容される範囲内である。
注射では、レチニルアミン誘導体化合物は、注射用リポソーム溶液などの形の注射等級の食塩溶液中で供給されうる。眼内および眼周囲注射は当業者に既知であり、例えばSpaeth,Ed.,Ophthalmic Surgery:Principles of Practice、W.B.Sanders Co.,Philadelphia,Pa.、85−87、1990年を含む多数の文献に記載されている。
適切な経口投薬形としては例えば、錠剤、丸剤、サシェ剤、または硬または軟ゼラチン、メチルセルロースの、あるいは消化管で容易に溶解する他の適切な材料のカプセルが挙げられる。例えば製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む、適切な非毒性固体担体が使用されうる。(例えばGennaro,Ed.,Remington“Pharmaceutical Sciences”、第17版、Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania、1985年を参照。
本明細書に記載するレチニルアミン化合物は、持続または低速放出用に調合されうる。このような組成物は一般に、周知の技術を使用して調製され、例えば経口、眼周囲、眼内、経直腸または皮下インプラントによって、あるいは所望の標的部位でのインプラントによって投与されうる。持続放出調合物は、担体マトリクスに分散された、および/または律速膜に包囲されたリザーバ内に含有された薬剤を含有しうる。このような調合物内での使用のための賦形剤および担体は生体適合性であり、生分解性でもありうる;好ましくは調合物は、比較的一定の活性成分放出レベルを提供する。持続放出調合物中に含有された活性化合物の量は、インプラントの部位、放出の速度および予想期間ならびに治療または防止される状態の性質によって変わる。
眼経路で投与された薬物または組成物の全身薬物吸収は、当業者によって理解される(例えばLeeら、Int.J.Pharm.233:1−18(2002))。一実施形態において、レチニルアミン化合物は、局所眼投与法によって送達される(例えばCurr.Drug Metab.4:213−22(2003))。組成物は点眼薬、膏薬および軟膏など、例えば水性点眼剤、眼科用懸濁剤、非水性点眼薬、および非水性眼科用懸濁ゲル、眼科用軟膏などの形でありうる。ゲルを調製するには、例えばカルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレンマレイン酸無水物ポリマーなどが使用されうる。本明細書に記載する少なくとも1つのレチニルアミン誘導体化合物を含む組成物の用量は、患者(例えばヒト)の状態、すなわち疾患の段階、一般健康状況、年齢、および当業者が用量を決定するために使用する他の因子に応じて異なりうる。組成物が例えば点眼薬として使用されるとき、単位用量当たり1〜数滴、好ましくは1または2滴(1滴当たり約50μl)が1日約1〜約6回利用されうる。
製薬組成物は、医学界の当業者によって決定されるような、治療(または防止)される疾患に適切な方法で投与されうる。適切な用量および投与の適切な期間および頻度は、患者の状態、患者の疾患の種類および重症度、活性成分の詳細な型、および投与方法などの因子によって決定されるであろう。一般に、適切な用量および治療計画は、治療および/または予防上の利益(例えば改善された臨床結果、例えばより頻繁な完全寛解または部分寛解、あるいはより長い無疾患および/または全生存、あるいは症状の重症度の低下)を供給するのに十分な量で(複数の)組成物を供給する。予防用途では、用量は、網膜神経細胞の神経変性に関連する疾患の開始を防止、遅延するのに、またはその重症度を低下させるのに十分であるべきである。最適用量は一般に、実験モデルおよび/または臨床試験を使用して決定されうる。最適用量は患者のボディマス、体重、または血液量に依存しうる。
レチニルアミン化合物の用量は、対象の臨床状況、状態および年齢、投薬形などに応じて適切に選択されうる。点眼薬の場合、合成レチニルアミン誘導体は例えば、1回用量当たり約0.01mg、約0.1mg、または約1mgから約25mgまで、約50mgまで、約90mgまで投与されうる。点眼薬は必要に応じて、1日1回以上投与されうる。注射の場合、適切な用量は例えば、週に1〜4回、合成レチニルアミン誘導体約0.0001mg、約0.001mg、約0.01mg、または約0.1mgから約10mg、約25mg、約50mg、または約90mgまででありうる。他の実施形態において、合成レチニルアミン誘導体約1.0〜約30mgが週に1〜3回投与されうる。
経口用量は通例、1日当たり1〜4回、またはそれ以上で、約1.0〜約1000mgの範囲でありうる。経口投与のための例示的投薬範囲は、1日当たり1〜3回、約10〜約250mgの範囲である。
他の実施形態および用途は、本開示に照らして当業者に明らかとなるであろう。次の実施例は単に各種の実施形態の例示として提供され、本発明を決して制限すると解釈されないものとする。
実施例1
実験手順
物質−新しいウシ眼は地元の屠殺場(Schenk Packing Co.,Inc.,Stanwood,WA)より入手する。ウシRPEミクロソームの調製は、先に記載した方法に従って実施する(Stecherら、J Biol Chem 274:8577−85、1999年;Golczakら、同上も参照)。すべての化学薬品はSigma−Aldrich(St.Louis,MO)より入手する。11−シス−レチナールはDr.Rosalie Crouch(Medical University of South Carolina,Charleston,South Carolina)より入手する。あるいは11−シス−レチナールは本明細書に記載するように購入または合成されうる。
レチノイド調製物−オールトランス−レチノールは、オールトランス−レチナールの、0℃のEtOH中の過剰なNaBHによる還元によって得られ、順相HPLC(Beckman Ultrasphere Si 5μ 4.5×250mm、10%EtOAc/ヘキサン;325nmにて検出)によって精製される。精製したオールトランス−レチノールをアルゴン流で乾燥させて、最終濃度3mMまでDMFに溶解させ、−80℃で貯蔵する。EtOH中のレチノイド濃度は、分光光度的に決定される。Ret−NH(レチニルアミン)の吸収係数は、レチノール異性体の吸収係数と同じと仮定される(Hubbardら、Methods Enzymol.18:615−53(1971);Robesonら、J.Am.Chem.Soc.77:4111−19(1955))。
化学合成−Ret−NHは、一部変更を伴う先に記載した方法によって得る(Yangら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 94:13559−64(1997);Golczakら、同上も参照)。レチナールの対応する異性体をEtOHに溶解させて、MeOH中の5倍過剰量の7NNHと室温にて1時間反応させて、レチニルイミンを生成させる。次にレチニルイミンを5倍過剰量のNaBHによってRet−NHに還元する。反応の進行を分光光度的に追跡する。0℃での1時間後、水を添加して、Ret−NHをヘキサンによって2回抽出する。合せたヘキサン抽出物を水および塩水で洗浄し、層を分離して、有機相をシリカゲルに添加する。カラムをヘキサンで、次に1:1EtOAc/ヘキサンで洗浄する。10% 7N NH/MeOHの添加により、Ret−NHをEtOAcで溶離させる。代表的な収率は、純Ret−NH30%である。試験管内実験の前に、順相カラムを使用してEtOAc/MeOH中7N NH(99:0.5)による溶離により、Ret−NHをさらに精製する。
レチニルアミン異性体の合成およびHPLC分離を次のように実施する(例えばGolczakら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:8162−67(2005))。Ret−NHは、MnOによるレチノールのレチナールへの酸化によって合成される(325から383nmへのAλmaxのシフト)。酸化生成物は、Ret−NHを生成するためにNHによってさらに酸化される(反応の進行は、吸収極大の青色シフトはもちろんのこと、酸化時の著しい赤色シフトと同時に起きる)。レチニルイミンは、NaBHによってRet−NH(Aλmax=325nm)に還元される。
N置換オールトランス−Ret−NHは、上記のように調製されるが、NHの代わりに、対応するアルキルアミンの過剰量をオールトランス−レチナールのEtOHによる溶液に添加した。N−アルキル−Ret−NHは、上記の条件を使用してHPLCカラムで精製する。
ヒドロキシルアミン誘導体は、レチナールと対応するヒドロキシアミンとのEtOH中での反応によって調製される。オールトランス−レチナールオキシムはヘキサンによって抽出し、酢酸の添加(10%v/v)によってEtOH:MeOH(1:1)に再溶解させて、NaBHCNによって還元する。合成レチノイドのMS分析は、Kratos profile HV−3直接プローブ質量分析計を使用して実施する。
レチニルアミドは、N,N−ジメチルアミノピリジンの存在下での無水ジクロロメタン中でのオールトランス−レチニルアミンと酢酸無水物または塩化パルミトイルの過剰量との、0℃での30分間の反応によって調製される。反応が完了した後に、水を添加して、生成物をヘキサンで抽出する。ヘキサン層を水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、蒸発させる。合成レチノイドの質量分析は、Kratos profile HV−3直接プローブ質量分析計を使用して実施する。
実施例2
イソメラーゼおよびLRAT反応
複数のレチニルアミン化合物が視覚サイクルトランス−シスイソメロヒドラーゼ(イソメラーゼ)の活性を阻害する能力を判定した。
イソメラーゼおよびLRAT反応−イソメラーゼ反応は、本質的に先に記載されたように実施した(Stecherら、J Biol Chem 274:8577−85(1999);Golczakら、同上も参照)。ウシ網膜色素上皮(RPE)ミクロソーム膜は、視覚サイクルトランス−シスイソメロヒドラーゼ(イソメラーゼ)源であった。RPEミクロソーム膜抽出物は、購入または当分野で実施される方法に従って調製して、−80℃で貯蔵されうる。粗RPEミクロソーム抽出物を37℃水浴で解凍して、次にただちに氷上に置いた。粗RPEミクロソーム50mlは、携帯型DeWaltドリルを動力源として備えた氷上の50mlテフロン(登録商標)ガラスホモジナイザー(Fisher Scientific、カタログ番号:0841416M)に入れ、最高速度にて氷上を10回上下にホモジナイズした。本プロセスは、粗RPEミクロソーム溶液がホモジナイズされるまで反復した。ホモジナートを次に、4℃にて15分間遠心分離(50.2Tiロータ(Beckman,Fullerton,CA)、13,000RPM;15360 Rcf)にかけた。上清を収集して、42,000RPM(160,000Rcf;50.2Tiロータ)で、4℃にて1時間、遠心分離にかけた。上清を除去して、ペレットを冷10mMMOPS緩衝液、pH7.0 12ml(最終体積)に懸濁させた。5ml一定分量に再懸濁させたRPE膜をガラス−ガラスホモジナイザー(Fisher Scientific、カタログ番号:K885500−0021)を高度の均質性までホモジナイズした。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイを製造者のプロトコルに従って使用して定量した(Pierce,Rockford,IL;catalog no.23227)。ホモジナイズしたRPE調製物を−80℃にて貯蔵した。
組み換えヒトアポ細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)を、分子生物学分野での標準方法に従ってクローニングして、発現させた(Crabbら、Protein Science 7:746−57(1998);Crabbら、J.Biol.Chem.263:18688−92(1988)を参照)。簡潔には、全RNAをコンフルエントARPE19細胞(American Type Culture Collection,Manassas,VA)から調製して、オリゴ(dT)12−18プライマーを使用してcDNAを合成し、次に2つの連続するポリメラーゼ連鎖反応によってCRALBPをコードするDNAを増幅させた(Crabbら、J.Biol.Chem.263:18688−92(1988);Intresら、J.Biol.Chem.269:25411−18(1994);GenBank Accession No.L34219.1を参照)。PCR生成物を製造者のプロトコル(Invitrogen Inc.,Carlsbad,CA;カタログ番号:K4400−01)に従ってpTrcHis2−TOPO TAベクター内にサブクローニングして、次に標準ヌクレオチド配列決定技法に従って配列を確認した。組み換え6xHis−taggedヒトCRALBPをOne Shot TOP 10ケミカルコンピテントE.coli細胞(Invitrogen)において発現させて、組み換えポリペプチドをE.coli細胞溶解液から、HPLC用NiSepharose XK16−20カラムを使用したニッケルアフィニティクロマトグラフィー(Amersham Bioscience,Pittsburgh,PA;カタログ番号:17−5268−02)によって単離した。精製した6xHis−taggedヒトCRALBPを10mMビス−トリス−プロパン(BTP)で透析して、SDS−PAGEによって分析した。組み換えヒトCRALBPの分子量は約39kDalであった。
イソメラーゼアッセイは、10mM BTP緩衝液、pH7.5、1mM ATPおよび6μMアポ−CRALBP(細胞レチンアルデヒド結合タンパク質)を含有する1%BSA中で実施した。レチニルアミン誘導体化合物の阻害特性を調査するために、RPEミクロソームを、アポ−CRALBPおよび10μMオールトランス−レチノールの添加前に、10mMBTP緩衝液、pH7.5、1% BSA、および1mM ATP中の化合物によって、37℃にて5分間プレインキュベートした。レチニルアミン誘導体化合物をエタノール2μl中の反応混合物に送達した。混合物がエタノールに溶解性でない場合、混合物が溶解するまでDMFを添加した。同量のエタノールおよび/またはDMFを対照反応物(試験化合物の非存在下)に添加した。ウシREPミクロソーム(上を参照)を次に添加して、混合物を37℃に移して反応を開始させた(総体積=200μl)。反応を30分後にメタノール(300μl)を添加することによって停止させた。ハプテン(300μl)を添加して、ピペット操作によって反応混合物中に混入させた。反応混合物を撹拌することと、続いての微量遠心機での遠心分離によって、レチノイドを抽出した。上有機層をHPLCバイアルに移し、次に順相カラムを備えたAgilent 1100 HPLCシステム:SILICA(Agilent Technologies、dp 5μ、4.6mmX、25CM)を使用してHPLCによって分析した。溶媒成分は、酢酸エチル中2%イソプロパノール20%および100%ヘキサン80%であった。各実験は2通りずつ3回実施した。イソメラーゼ活性(IC50)の阻害を各化合物について判定して、下の表1に示す。
Figure 2009524684
Figure 2009524684
Figure 2009524684
実施例3
生体内マウスイソメラーゼアッセイ
レチニルアミン誘導体がイソメラーゼを阻害する能力を生体内マウスイソメラーゼアッセイによって決定する。強い光への眼の短時間の曝露(視覚色素の「光退色」または単に「退色」)は、網膜中のほぼすべての11−シス−レチナールを光異性化することが既知である。退色後の11−シス−レチナールの回復を使用して、生体内でのイソメラーゼの活性を推定できる。10%エタノールを含有するトウモロコシ油に溶解させた化合物を経口的に胃管栄養摂取されたCD−1(アルビノ)マウスでの、光退色後(3,000ルクスの白色光で10分間)の11−シス−レチナールの再生を各種の時間間隔で評価する。
眼レチノイドの抽出
すべてのステップは、最小限の赤色光照明を用いた暗所(微光暗室ライトおよび必要に応じてスポット照明用の赤色フィルタ付きフラッシュライト)にて実施する(例えばMaedaら、J.Neurochem 85:944−956、2003年;Van Hooserら、J Biol Chem 277:19173−82、2002年)を参照。マウス(6週齢)を殺処分して、眼をただちに取り出して、液体窒素に入れる。眼を次に、レチノイド分析緩衝液1ml(50mMMOPS、10mM NHOH、50% EtOH、pH7.0を含有するガラス/ガラスホモジナイザー(Kontes Glass Co.、homogenizer & pestle 21)でホモジナイズする。目視できる組織が残存しなくなるまで、眼をホモジナイズする(約3分)。サンプルを室温で20分間(ホモジナイズを含めて)インキュベートして、氷の上に載せる。冷EtOH1mlをホモジナートに添加して乳棒をすすぎ、ホモジナート混合物を氷上の7mlガラス製ネジ蓋式試験管に移す。ホモジナイザーをヘキサン7mlですすぎ、これを氷上の7ml試験管に添加する。
ホモジナートを高速で1分間ボルテックスにかけて混合する。相を遠心分離によって分離する(4000rpmにて5分間、4℃)。上相を収集して、清潔なガラス試験管に移し、界面を乱さないように注意して、試験管に上相約0.2mlを残す。収集した上相を含む試験管を25℃の加熱ブロックに置いて、アルゴン流下で乾燥させる(〜30分間)。ヘキサン4mlを添加することによって下相を再度抽出し、ボルテックスにかけて、遠心分離によって相を分離する。上相を上記のように収集し、乾燥管にプールする。乾燥させたサンプルをヘキサン300μl(Fisher Optima等級)に溶解させて、軽くボルテックスにかけた。サンプルをHPLCバイアル内の清潔な300μlガラスインサートにガラスピペットを使用して移し、バイアルを圧着してしっかり閉じる。
サンプルを、Beckman Ultraspere Siカラム(5μ粒径、4.6mm ID X 25cm長;Part# 235341)を用いてHPLC(HP 1100シリーズまたはAgilent 1100シリーズ、Agilent Technologies)によって分析する。ランパラメータは次の通りである:流量:1.4ml/分、10%酢酸エチル+90%ヘキサン;325nmにて検出(レチノールの吸収極大)。
網膜電図(ERG)−マウスを準備して、ERG記録は先に公開されているように実施する(Haeseleerら、Nat Neurosci 7:1079−87、2004年)。単一のフラッシュ刺激は、ある範囲の強度を有した(−3.7〜2.8logcd・s・m−2)。通例、すべての条件において各点の記録のために動物3〜4匹を使用する。一元ANOVA検定を使用して統計解析を実施する。Deignerら、Science、244:968−971、1989年;Gollapalliら、Biochim Biophys Acta.1651:93−101、2003年;Parishら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、14609−14613、1998年;Raduら、Proc Natl Acad Sci USA、101:5928−5933、2004年も参照。
実施例4
網膜神経細胞培養系の調製
本実施例は、網膜神経細胞の長期培養物を調製する方法について記載する。
すべての化合物および試薬は、記載したものを除いて、Sigma Aldrich Chemical Corporation(St.Louis,MO)より入手する。
網膜神経細胞培養
ブタ眼をKapowsin Meats,Inc.(Graham,WA)より入手する。眼を眼球除去して、眼窩から筋肉および組織を一掃する。眼をその赤道に沿って半分に切断して、当分野で既知の標準方法に従って緩衝食塩溶液中で神経網膜を眼の前部から切除する。簡潔には、網膜、毛様体およびガラス体を眼の前半体から一体として除去して、網膜を透明硝子体から徐々に剥離させる。各網膜をパパイン(Worthington Biochemical Corporation,Lakewood,NJ)によって解離させて、ウシ胎仔血清(FBS)による不活性化およびDNasel134Kunitz単位/mlの添加を続けた。酵素によって解離させた細胞を粉砕して、遠心分離によって収集し、インスリン25μg/ml、トランスフェリン100μg/ml、60μMプトレシン、30nMセレニウム、20nMプロゲステロン、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml、0.05MHepes、および10% FBSを含有する、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)/F12培地(Gibco BRL,Invitrogen Life Technologies,Carlsbad,CA)に懸濁させる。解離した一次網膜細胞を、24ウェル組織培養プレート(Falcon Tissue Culture Plates,Fisher Scientific,Pittsburgh,PA)に置いたポリ−D−リジンおよびMatrigel(BD,Franklin Lakes,NJ)でコートしたガラスカバースリップにプレーティングする。細胞を、37℃および5%COにて、培地0.5ml(1% FBSのみを含むことを除いて、上の通り)中で5日〜1ヶ月にわたって培養状態を維持した。
免疫組織化学分析
網膜神経細胞を1、3、6および8週間培養して、細胞を各時点で免疫組織化学によって分析する。免疫組織化学分析は、当分野で既知の標準技法に従って実施する。杆体光受容体は、ロドプシン特異性抗体(マウスモノクローナル、1:500希釈;Chemicon,Temecula,CA)によって標識することによって同定される。中重量神経フィラメントに対する抗体(NFMウサギポリクローナル、1:10,000希釈、Chemicon)を使用して、神経節細胞を同定する;β3−チューブリンに対する抗体(G7121マウスモノクローナル、1:1000希釈、Promega,Madison,WI)を使用して介在ニューロンおよび神経節細胞を一般に同定し、カルビンジン(AB1778ウサギモノクローナル、1:250希釈、Chemicon)およびカルレチニン(AB5054ウサギポリクローナル、1:5000希釈、Chemicon)に対する抗体を使用して、内顆粒層におけるカルビンジン−およびカルレチニン−発現介在ニューロンの亜集団を同定する。簡潔には、網膜細胞培養物を4%パラホルムアルデヒド(Polysciences,Inc,Warrington,PA)および/またはエタノールによって固定し、ダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)ですすぎ、1次抗体により37℃にて1時間インキュベートする。次に細胞をDPBSによってすすぎ、2次抗体(Alexa 488−またはAlexa 568−コンジュゲート2次抗体(Molecular Probes,Eugene,OR))によってインキュベートして、DPBSですすぐ。核を4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI,Molecular Probes)で染色して、ガラスカバースリップを除去する前にDPBSですすぎ、観察および分析のためにそれらをFluoromount−G(Southern Biotech,Birmingham,AL)によってガラススライド上に載せる。
培養物中の各種の時間の後の成熟網膜ニューロンの生存は、組織化学分析によって示される。光受容細胞はロドプシン抗体を使用して同定される;神経節細胞はNFM抗体を使用して同定される;ならびにアマクリンおよび水平細胞は、カルレチニンに特異性の抗体による染色によって同定される。
細胞は、Olympus IX81またはCZX41顕微鏡(Olympus、東京、日本)を使用してロドプシン標識光受容体およびNFM標識神経節細胞をカウントすることによって分析される。カバースリップ1枚につき20個の視野を20×対物レンズを用いてカウントする。この方法により、各実験の各条件について6枚のカバースリップを分析する。ストレッサに一切曝露されていない細胞をカウントして、ストレッサに曝露された細胞は対照中の細胞の数に正規化する。
実施例5
網膜細胞生存に対するレチニルアミン化合物の効果
本実施例は、網膜細胞の生存能に対するレチニルアミン誘導体化合物の効果を判定するために、細胞ストレッサを含む成熟網膜細胞培養系の使用について記載する。
網膜細胞培養物は、実施例2に記載するように調製する。A2Eを網膜細胞ストレッサとして添加する。細胞を1週間培養した後、化学的ストレスA2Eを利用する。A2Eをエタノールで希釈して、網膜細胞培養物に0、10μM、20μM、および40μMの濃度で添加する。培養物を24および48時間処理する。A2EはDr.Koji Nakanishi(Columbia University,New York City,NY)より入手するか、またはParishらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:14602−13(1998))に従って合成する。レチニルアミン誘導体化合物を次に培養物に添加する。他の網膜細胞培養物にレチニルアミン誘導体化合物を、ストレッサの利用前に添加するか、またはA2Eが網膜細胞培養物に添加されるのと同時に添加する。培養物を組織培養インキュベータ内にストレス期間にわたって37℃および5%COで維持する。細胞は次に、実施例1に記載したように免疫組織化学によって分析する。
アポトーシス分析
網膜細胞培養物は実施例1に記載された通りに調製して、2週間培養し、次に6000ルクスの白色光に24時間曝露して、13時間の静止時間が続く。規定の波長の光を24ウェルプレートの規定のウェルに均一に送達する機器を組み立てた。機器には、交流電源に配線された低温白色蛍光球(GEP/N FC12T9/CW)が含まれていた。蛍光球を標準組織培養インキュベータ内に取り付ける。白色光ストレスは、細胞のプレートを蛍光球の下に直接配置することにより印加される。COレベルを5%に維持して、細胞プレートにおける温度を37℃に維持する。細い熱電対温度を使用することによって温度を監視した。Extech Instruments Corporation(P/N 401025;Waltham,MA)による照度計を使用して、すべての機器の光強度を測定および調整した。レチニルアミン誘導体化合物を、細胞の白色光への曝露の前に培養プレートのウェルに添加して、白色光への曝露の後に培養物の他のウェルに添加する。
アポトーシスを評価するために、本明細書に記載するようにTUNELを実施する。
網膜細胞を青色光に曝露した後にも、アポトーシス分析を実施する。網膜細胞培養物は、実施例1に記載するように調製する。細胞を1週間培養した後、青色光ストレスを与える。青色光は、各LEDが24ウェル使い捨てプレートの1個のウェルに位置合せされるように設計された、2列の24個(4×6)の青色発光ダイオードより成る特注光源(SunbriteLED P/N SSP−01 TWB7UWB12)によって送達される。第1列は細胞でいっぱいの24ウェルプレート上に配置されるのに対して、第2列は細胞プレートの下に配置されて、両方の列に細胞のプレートに光ストレスを同時に供給させる。装置全体を標準組織培養インキュベータ内に配置する。COレベルを5%に維持して、細胞プレートにおける温度を37℃に維持する。温度を細い熱電対によって監視する。各LEDへの電流は、独立した電位差計によって個別に制御され、すべてのLEDへ均質な光を出力する。細胞プレートを2000ルクスの青色光ストレスに2時間または48時間のどちらかにわたって曝露して、14時間の静止期間を続ける。レチニルアミン誘導体化合物を、細胞の青色光への曝露の前に培養プレートのウェルに添加して、青色光への曝露の後に培養物の他のウェルに添加する。アポトーシスを評価するために、本明細書に記載するようにTUNELを実施する。
アポトーシスを評価するために、当分野で実施される標準技法に従って、そして製造者の指示に従ってTUNELを実施する。簡潔には、網膜細胞培養物を最初に4%パラホルムアルデヒドによって、次にエタノールで固定して、DPBSですすぐ。固定細胞を、Chroma−Tide Alexa568−5−dUTP(0.1μM最終濃度)(Molecular Probes)と組み合せた反応緩衝液(Fermentas,Hanover,MD)中のTdT酵素(0.2単位/μl最終濃度)によって37℃にて1時間インキュベートする。培養物をDPBSによってすすぎ、1次抗体によって4℃にて一晩または37℃にて1時間インキュベートする。細胞を次にDPBSによってすすぎ、Alexa488コンジュゲート2次抗体でインキュベートして、DPBSによってすすぐ。核をDAPIによって染色して、ガラスカバースリップを除去する前に培養物をDPBSですすぎ、観察および分析のためにそれらをFluoromount−Gによってガラススライド上に載せる。
培養物は、Olympus IX81またはCZX41顕微鏡(Olympus、東京、日本)を使用してTUNEL標識核をカウントすることによって分析する。カバースリップ1枚につき20個の視野を、20×対物レンズを用いてカウントする。この方法により、各条件について6枚のカバースリップを分析する。レチニルアミン誘導体化合物に曝露されていない細胞をカウントして、抗体に曝露された細胞は対照中の細胞の数に正規化する。対応のないStudent t検定を使用してデータを分析する。
本明細書で物理的特性、例えば分子量または化学的特性、例えば化学式について範囲を使用するとき、範囲のすべての組み合せおよび下位組み合せならびにその中の具体的な実施形態が含まれるものとする。
上記より、具体的な実施形態が例証の目的で本明細書において説明されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく各種の変更形態が行われうることが認識されるであろう。当業者は、日常的な実験のみを用いて、本明細書に記載した具体的な実施形態の多くの等価物を認識する、またはそれを確認できるであろう。このような等価物は、次の請求項に含まれるものである。

Claims (68)

  1. 対象における眼疾患または障害を治療する方法であって、該眼疾患または障害が糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症より選択され、該方法が、レチニルアミン誘導体および製薬的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含み、該レチニルアミン誘導体が式I:
    Figure 2009524684
    の構造を有する化合物あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、Nオキシドまたは同形結晶形であり、
    式中、RおよびRが独立して、CまたはNであり;
    が、CH、NまたはNR であり;
    およびRがそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    が、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRが独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
    式Iの化合物が次の少なくとも1つ:
    (1)RがNである;
    (2)RがNまたはNR である;
    (3)RがNである;
    (4)R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である;
    を含むという条件である;
    方法。
  2. がNである、請求項1に記載の方法。
  3. がNまたはNR である、請求項1に記載の方法。
  4. がNである、請求項1に記載の方法。
  5. 、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、請求項1に記載の方法。
  6. が2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である、請求項1に記載の方法。
  7. およびRのそれぞれがCであり、RがCHであり、R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、請求項1に記載の方法。
  8. およびRのそれぞれが低級アルキルであり、Rが−NRまたは−NR である、請求項1に記載の方法。
  9. およびRのそれぞれがメチルである、請求項1に記載の方法。
  10. およびRがそれぞれCであり、RがCHであり、レチニルアミン誘導体化合物が以下の式I(B):
    Figure 2009524684
    の構造を有し、
    式中、RおよびRが独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    が、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRがそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
    、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR であるという条件である;
    請求項1に記載の方法。
  11. が2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である、請求項10に記載の方法。
  12. およびRのそれぞれが低級アルキルであり、Rが−NRまたは−NR である、請求項10に記載の方法。
  13. およびRのそれぞれがメチルである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記レチニルアミン誘導体化合物がレチノイドサイクルの異性化ステップを阻害する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記レチニルアミン誘導体がオールトランス−異性体、9−シス−異性体、11−シス−異性体、13−シス−異性体、9,11−ジ−シス−異性体、9,13−ジ−シス−異性体、11,13−ジ−シス−異性体、または9,11,13−トリ−シス−異性体より選択される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記レチニルアミン誘導体が11−シス−レチニルアミンである、請求項1に記載の方法。
  17. 前記レチニルアミン誘導体が9−シス−レチニルアミン、13−シス−レチニルアミン、およびオールトランス−レチニルアミンより選択される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記レチニルアミン誘導体が以下の構造I(a)〜I(j):
    Figure 2009524684
    Figure 2009524684
    より選択される構造を有する化合物である、請求項1に記載の方法。
  19. 前記レチニルアミン誘導体化合物が中性pHにて少なくとも1+の電荷を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 対象における眼疾患または障害を治療する方法であって、該眼疾患または障害が糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症より選択され、該方法が、レチニルアミン誘導体および製薬的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含み、該レチニルアミン誘導体が式II:
    Figure 2009524684
    の構造を有する化合物あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、Nオキシドまたは同形結晶形であり、
    式中、nが、1、2、3、または4であり;
    プラスmが、1、2、または3に等しく;
    およびRがそれぞれ独立して、CまたはNであり;Rが、CH、NまたはNR であり;R11が、C(H)、N(R)、またはN(Rであり;
    が、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    が、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRがそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
    式IIの化合物が以下の少なくとも1つ:
    (1)RがNである;
    (2)RがNまたはNR である;
    (3)RがNである;
    (4)R11が、N(R)、またはN(Rであり;
    (5)RおよびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である;
    を含むという条件である;
    方法。
  21. がNである、請求項20に記載の方法。
  22. がNまたはNR である、請求項20に記載の方法。
  23. がNである、請求項20に記載の方法。
  24. 11がNR またはNR である、請求項20に記載の方法。
  25. およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、請求項20に記載の方法。
  26. が2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である、請求項20に記載の方法。
  27. およびRのそれぞれがCであり、RがCHであり、RがCHであり;RおよびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、請求項20に記載の方法。
  28. およびRがCであり、RがCHであり、R11がC(H)であり;
    が、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    が、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SR、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRがそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
    およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR であるという条件である;
    請求項20に記載の方法。
  29. 前記レチニルアミン誘導体が式III:
    Figure 2009524684
    の構造を有する化合物あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、Nオキシドまたは同形結晶形であり、
    式中、nが、0、1、2、3または4であり;
    およびRがそれぞれ独立して、CまたはNであり;Rが、CH、NまたはNR であり;R11が、C(H)、N(R)、またはN(Rであり;
    が、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    が、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRがそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10が飽和低級アルキルであり;
    式IIIの化合物が次の少なくとも1つ:
    (1)RがNである;
    (2)RがNまたはNR である;
    (3)RがNである;
    (4)R11が、N(R)、またはN(Rであり;
    (5)RおよびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である;
    を含むという条件である;
    請求項20に記載の方法。
  30. がNである、請求項29に記載の方法。
  31. がNまたはNR である、請求項29に記載の方法。
  32. がNである、請求項29に記載の方法。
  33. 11がN(R)またはN(Rである、請求項29に記載の方法。
  34. およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、請求項29に記載の方法。
  35. が2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である、請求項29に記載の方法。
  36. およびRのそれぞれがCであり、RがCHであり、R11がC(H)であり、RおよびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、請求項29に記載の方法。
  37. およびRがCであり、RがCHであり、R11がC(H)であり;
    が、H、低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−NH、または−NR であり;
    が、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRが独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10が飽和低級アルキルであり;
    およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR であるという条件である;
    請求項29に記載の方法。
  38. が2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記レチニルアミン誘導体が11−シス固定レチニルアミンである、請求項29に記載の方法。
  40. 前記レチニルアミン誘導体化合物が中性pHにて少なくとも1+の電荷を有する、請求項20〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 対象における眼疾患または障害を治療する方法であって、眼疾患または障害が糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症より選択され、該方法が、レチニルアミン誘導体および製薬的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含み、該レチニルアミン誘導体が式IV:
    Figure 2009524684
    の化合物あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、Nオキシドまたは同形結晶形であり、
    13が独立して、水素、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−OR14、−SR14、または−NR1415であり;R14およびR15はそれぞれ独立して、Hまたは飽和低級アルキルであり;
    、R、およびRがそれぞれ独立して、CまたはNであり;
    およびRはそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    は、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRがそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
    式IVの化合物が次の少なくとも1つ:
    (1)R、R、およびRの少なくとも1つがNであり;
    (2)R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である;
    を含むという条件である;
    方法。
  42. 、R、およびRの少なくとも1つが、Nである、請求項41に記載の方法。
  43. 、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、請求項41に記載の方法。
  44. が2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である、請求項41に記載の方法。
  45. 、R、およびRがCであり;R、R、およびRの少なくとも1つが−NRまたは−NR である、請求項41に記載の方法。
  46. 各R13が独立して、水素、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−OR14、−SR14、または−NR1415であり、R14およびR15がそれぞれ独立して、Hまたは飽和低級アルキルであり;
    、R、およびRがCであり;
    およびRが独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    が、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRがそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10が飽和低級アルキルであり;
    、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR であるという条件である;
    請求項41に記載の方法。
  47. が2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である、請求項46に記載の方法。
  48. 前記レチニルアミン誘導体がオールトランス−異性体、9−シス−異性体;11−シス−異性体;13−シス−異性体;9,11−ジ−シス−異性体;9,13−ジ−シス−異性体;11,13−ジ−シス−異性体;または9,11,13−トリ−シス−異性体である、請求項41に記載の方法。
  49. 前記レチニルアミン誘導体化合物が中性pHにて少なくとも1+の電荷を有する、請求項41〜48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 対象における眼疾患または障害を治療する方法であって、該眼疾患または障害が糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜虚血、虚血再灌流関連網膜損傷、および代謝性視神経症より選択され、該方法が、レチニルアミン誘導体および製薬的に許容される担体を含む組成物を対象に投与するステップを含み、該レチニルアミン誘導体が式V:
    Figure 2009524684
    の化合物あるいはその立体異性体、プロドラッグ、製薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、Nオキシドまたは同形結晶形であり、
    式中、R16およびR17が、独立して置換または非置換低級アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、−NR、−NR 、または−NHC(=O)Rであり;
    およびRがそれぞれ独立して、CまたはNであり;
    が、CH、NまたはNR であり;
    およびRがそれぞれ独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    が、H、C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、ホスホニウム、グアニジニウム、イソウロニウム、ヨードニウム、スルホニウム、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRは独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
    式Vの化合物が次の少なくとも1つ:
    (1)RがNである;
    (2)RがNまたはNR である;
    (3)RがNである;
    (4)R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である;
    を含むという条件である;
    方法。
  51. がNである、請求項50に記載の方法。
  52. がNまたはNR である、請求項50に記載の方法。
  53. がNである、請求項50に記載の方法。
  54. 、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、請求項50に記載の方法。
  55. が2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である、請求項50に記載の方法。
  56. およびRのそれぞれがCであり、RがCHであり;R、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR である、請求項50に記載の方法。
  57. 16およびR17が、独立して置換または非置換低級アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、−NR、−NR 、または−NHC(=O)Rであり;
    およびRがCであり、RがCHであり;
    およびRが独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−CH−SR 、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    が、H、飽和または不飽和C〜C14アルキル、C〜C10シクロアルキル、ハロゲン、複素環、−CH−SR 、−OR、−SR、−CH−NR、−NR、または−NR であり;
    、RおよびRが独立して、H、飽和または不飽和低級アルキル、C〜Cシクロアルキル、−OH、または−OR10であり、R10は飽和低級アルキルであり;
    、R、およびRの少なくとも1つが、−NRまたは−NR であるという条件である;
    請求項50に記載の方法。
  58. が2置換イミダゾリウム、3置換イミダゾリウム、ピリジニウム、およびピロリジニウムより選択される複素環である、請求項57に記載の方法。
  59. 前記レチニルアミン誘導体が構造(V(a)):
    Figure 2009524684
    を有する化合物10−エチル−3,7−ジメチル−ドデカ−2,4,6,8−テトラエニルアミンである、請求項50に記載の方法。
  60. 前記レチニルアミン誘導体化合物が中性pHにて少なくとも1+の電荷を有する、請求項50〜59のいずれか一項に記載の方法。
  61. リポフスチン色素の蓄積が前記対象の眼において阻害される、請求項1、20、41、および50のいずれか一項に記載の方法。
  62. 前記リポフスチン色素がN−レチニリデン−N−レチニル−エタノールアミン(A2E)である、請求項61に記載の方法。
  63. 前記レチニルアミン誘導体が前記対象の眼に局所的に投与される、請求項1、20、41、および50のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記レチニルアミン誘導体が点眼薬、眼内注射、または眼周囲注射によって局所的に投与される、請求項63に記載の方法。
  65. 前記レチニルアミン誘導体が前記対象に経口投与される、請求項1、20、41、および50のいずれか一項に記載の方法。
  66. 網膜細胞の変性が阻害される、請求項1、20、41、および50のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記網膜細胞が網膜神経細胞である、請求項66に記載の方法。
  68. 前記網膜神経細胞が光受容細胞、アマクリン細胞、水平細胞、神経節細胞、および双極細胞より選択される、請求項67に記載の方法。
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