JP2009523818A - 虚血性疾患からの保護方法 - Google Patents

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Abstract

トロンボポエチンを単独または他の薬剤と組み合わせて、心筋虚血などの心臓傷害を患う、またはそのリスクのある患者に投与することにより、心筋梗塞によるものなどの虚血の治療的または予防的処置法。トロンボポエチンは、被験者の血小板総数または血小板の産生が有意な影響を受けないような濃度で投与される。

Description

関連出願の相互参照
本願は2006年1月23日出願の米国仮出願第60/761,150号の利益を主張するものである。
政府支援の研究開発に関する記載
本発明は、国立衛生研究所(the National Institutes of Health(MH))、国立心臓肺研究所(the National Heart and Lung Institute (NHLI))、NIH/NHLI助成第HL54075号からの政府支援を受けて行われたものである。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
発明の背景
ほとんどの急性心筋梗塞、うっ血性心不全、不整脈および突然心臓死の基礎にある原因である虚血性心疾患は、全工業国の死亡および罹患の主因である。米国では、虚血性心疾患は全死亡数の20%近くの原因となっている(年間約600000人の死亡)。本年、推計千百万人の米国人が新たなまたは再発性の急性心筋梗塞を起こし、多くの生存者が長期罹患し、心不全や死亡へと進行すると思われる。人口が高齢化し、肥満や糖尿病などの併発罹患が増えるので、虚血性心疾患により引き起こされる莫大な公衆衛生負荷はさらに一層増大するものと思われる(Bolli, et al., Circ. Res. 95:125-134, 2004)。
トロンボポエチン(Tpo)は身体に見られる、骨髄を刺激して血小板を産生し、それらの発達を助けるタンパク質である。ペグ化(pegylated)組換えヒト巨核球増殖および発達因子(PEG−rHuMGDF)は、受容体結合領域のみを含み、PEGの付加により化学的に修飾(N末端還元的アルキル化)された末端切断型タンパク質(アミノ酸163個)であり、PEG−rHuMGDFはAmgenにより開発された。Tpoのペグ化は血漿半減期をさらに10倍引き延ばす。両形態のTpoは包括的な臨床研究を経たが、これら両形態のタンパク質の生物活性は同じである。両形態とも巨核球増殖および血小板産生の強力な刺激因子であることが示され、非骨髄アブレーション的化学療法の血小板減少症軽減において生物的に活性である。全身投与から3〜5日後に、血小板総数が増え始める。
心臓手術および移植(心筋全虚血)および心臓発作(局部的心筋虚血)の状況を含む虚血により引き起こされる傷害に対する心臓の耐性を有効に高める療法および治療製品を提供することが望まれる。
発明の概要
一態様において、本発明は、哺乳類の組織および器官、特に心臓を虚血の有害作用から保護する方法を提供し、また、このような方法に用いるための、Tpo受容体リガンドを配合した医薬組成物を提供する。
本発明者らは、本発明の方法に従ってTpoを哺乳類患者に投与することが、特に虚血に対する心臓の耐性を高める上で、心臓に対して有益な即時型および遅延型の心臓保護作用をもたらすことを見い出した。本発明によれば、Tpo受容体リガンド、好ましくはTpoは心臓保護のための治療剤として、虚血−再潅流作用により引き起こされる傷害を含む虚血症の治療において投与される。本発明の最も好ましい形態では、この治療は血小板総数を10%を超えて、最も好ましくは1%を超えて増加させない。
本発明は、ヒトまたは他の哺乳類において心筋虚血の影響を即時に軽減し、心臓に対する損傷を予防または軽減する方法を提供する。本方法はTpoを医薬組成物として、心筋虚血の損傷作用を軽減するのに有効な量で投与することを含む。
一実施形態では、本方法は、患者にTpo受容体リガンドを、このような傷害をその発生時に実質的に即時に予防または軽減するのに有効な濃度および時間で投与することにより、心筋虚血(虚血性傷害)に対して患者を前処置(precondition)することを含む。例えば、本方法は、外科手術などの予定または計画された虚血イベントの前にTpoを患者に投与して患者を前処置することを含み得る。好ましくは、Tpo受容体リガンド組成物を投与して短時間内(好ましくは1〜20分以内)にTpo受容体リガンド血中レベル約0.01〜10.0ng/mlをもたらすのに有効なTpo受容体リガンド量を含有する組成物が、虚血イベント前、一般にイベントの1〜60分前、好ましくは5〜15分前に患者に投与される。好ましい用量は、約0.01〜1.0マイクログラム/kg患者体重のTpo受容体リガンドである。
本発明の実施形態では、ドナー器官(例えば心臓)に、移植前にTpo受容体リガンドが血管系を通じて、移植手順からの虚血および再潅流の影響による傷害を予防または軽減するのに有効な濃度および時間で投与することができる。好ましくは、有効量のTpo受容体リガンドを、好ましくは約0.01〜10.0ng/ml濃度のTpo受容体リガンドを含有する溶液を移植1〜60分前、好ましくは5〜20分前に器官に投与して、器官内に約1.0ng/ml濃度のTpo受容体リガンドをもたらす。これはTpo受容体リガンドを器官採取前に体全体に全身投与するか、または器官のみに投与することにより達成することができる。
別の実施形態では、Tpoは、心臓に対する損傷を治療、予防または軽減するために虚血イベントの発生時および/または虚血イベントの後に投与することができる。このようなイベントの例としては、心臓または他の器官の手術などの器官または組織の再潅流時に虚血再潅流傷害が起こり得る外科手術、移植手術などが挙げられる。さらに、例えば心筋梗塞などの病態の症候を受けている患者に、Tpo受容体リガンドを投与して、心臓に対する虚血性傷害を実質的に即時に軽減することができる。Tpo受容体リガンドは、虚血イベントによって引き起こされる心臓に対する損傷を実質的に即時に軽減または予防するのに有効な治療量のTpo受容体リガンドを含有する医薬組成物として患者に投与することができる。好ましくは、Tpo受容体リガンド血中レベル約0.1〜10.0ng/mlをもたらすのに有効量のTpo受容体リガンドを含有する組成物が、患者に、虚血イベントの発生時もしくは虚血イベントの発生時付近に、かつ/または虚血イベント後の短時間内に有効期間で投与され、実施的に即時に、好ましくは投与1〜20分以内に心臓保護および減少した虚血性傷害をもたらす。好ましい用量はTpo受容体リガンド0.01〜1.0マイクログラム/kgである。
本発明を限定するものではないが、Tpoが虚血により引き起こされる傷害を軽減し、実質的に即時に心臓保護作用をもたらし得る1つの方法はカリウムチャネルを活性化することによると考えられる。よって、本発明はまた、例えばカリウムチャネル(例えばKATP)を活性化させて心臓保護作用を得るために心臓保護シグナル伝達経路を活性化させる方法も提供する。好ましくは、投与後実質的に即時に、好ましくは約1〜20分以内にTpo受容体リガンド血中レベル約0.05〜0.5ng/mlをもたらすのに有効な量のTpo受容体リガンドを含有する組成物の好ましい用量は、Tpo受容体リガンド約0.01〜1.0マイクログラム/kgである。
本発明はさらに、生理学上許容される担体中にTpoを含んでなる医薬組成物を提供する。これらの組成物は、例えば心臓および/または他の組織または器官に対する虚血の影響を軽減するために実質的に即時に心臓保護作用をもたらすのに有効な量のTpoを提供するよう、好ましくは投与約1〜20分以内に、好ましくは血中レベル約0.1〜10.0ng/ml、または好ましくは約1.0ng/mlをもたらすTpo受容体リガンド濃度で処方される。好ましい医薬組成物はTpo受容体リガンド約0.01〜1.0マイクログラム/kg、好ましくはTpo受容体リガンド0.05マイクログラム/kgの用量を好ましくは1回の処置でもたらすように処方される。典型的な患者では、これはTpo受容体リガンド0.8〜80マイクログラム、好ましくは2〜6マイクログラムを含んでなる組成物である。
本発明の方法は有利には、虚血により引き起こされる傷害に対して実質的に即時型(および遅延型)の心臓保護作用をもたらす。心臓発作、脳卒中もしくは他の病態と共存する場合、または例えば器官移植を行う際は、虚血性傷害に対する即時の心臓保護または脳保護が遅効性の作用よりも望ましい。本発明は心臓保護作用までにかかる待機時間をなくす、または実質的に短縮する。
概要
トロンボポエチン(Tpo、c−mplリガンド、巨核球増殖分化因子、血小板新生刺激因子としても知られる)は、分子量およそ70,000ダルトンのホルモンである。c−mplリガンドであるTpoは巨核球および血小板の発達の主要な生理学的レギュレーターである。Tpoは主として肝臓で産生される。rhTpoおよびPEG−rHu MEDFをはじめとするいくつかの組換えTpoが臨床評価のために開発されている。rhTpo(Genentech, South San Francisco, CA)のアミノ酸配列は、内因性のTpoと同じ全長ポリペプチドである。rhTpoは哺乳類細胞で産生され、グリコシル化される。PEG−rHu MGDFは大腸菌(Escherichia coli)で産生される。
Tpoの受容体が心臓に存在するかどうか、またはTpoが心臓において生理学的役割を果たすかどうか、または虚血/再潅流から起こる傷害から器官/組織を保護し得るかどうかは分かっていない。
虚血は、心臓または脳(心虚血;虚血性心筋症)など、身体のある部位に血流および酸素が低下または欠損することから起こる症状であり、遮断部から遠位の組織に損傷を起こす。心臓手術および器官移植などのある種の外科手術中では、血流は一時的に停止され、その後、再開(再潅流)されるが、その結果、虚血−再潅流傷害が起こる。心臓発作中、心臓に供給されていた血液は停止され、この場合にも虚血が起こり、梗塞を招くことがある。心臓発作を救済する現行の処置には、血栓溶解薬および経皮経管冠動脈形成術を用いて心臓の虚血領域を再潅流することが必要である。
TpoはMplサイトカイン受容体のリガンドであり、巨核球成熟の主要なレギュレーターである。Tpoは肝臓、腎臓および骨髄で産生され、血漿中に通常50〜250pg/mlの濃度で循環している。このMpl受容体は血小板、巨核球、およびCD34+再構築幹細胞を含むあらゆる段階の巨核球前駆体で発現する。Tpo血中レベルの減少と心疾患の間の関連はまだ結論が出ていない。
一態様において、本発明は、Tpoを使用して心筋虚血により引き起こされる傷害から患者の心臓または脳を即時に保護する方法を対象とする。「即時に」とは、TpoまたはTpo受容体リガンドを含んでなる組成物を投与した後即座に、または短時間内に、好ましくは投与後少なくとも35分以内、より好ましくは1〜20分以内、より好ましくは1〜15分以内、より好ましくは1〜10分以内、最も好ましくは1〜5分以内に虚血に対する心臓保護作用が生じることを意味する。
別の実施形態において、Tpoはまた、不安定狭心症の処置に適切な遅効性の心臓保護を与える。「遅効性」とは、TpoまたはTpo受容体リガンドを含有する組成物を投与した後、一定の時間の後に虚血に対する心臓保護作用が現れる、好ましくは、心臓保護が24時間後、好ましくは96時間後に現れることを意味する。
好適なTpo調製物
本発明の方法で用いるための好適なTpo調製物(「Tpo受容体リガンド」または「トロンボポエチン受容体リガンド」)としては、天然Tpo(例えば、ヒト尿から抽出され、精製されたTpo)または組換えヒトTpo(rhTpo)、および哺乳類Tpo、特にヒトTpoおよびrhTpoのものに実質的に匹敵する生理学的および生物学的特性(最も好ましくは、血小板総数/血小板数増加能)を有するその改変物がある。血小板総数/血小板数の増加については、Somlo, et al,. Blood 93:2798-7806, 1999およびVadhan-Raj et al., Ann. Intern. Med. 126:673-681, 1997に例示されている。
本発明で用いるのに好適なTpo調製物は、以下の参照文献に例示されているように血小板総数/血小板数を、上記の参照文献の方法で測定した場合に少なくとも20%増加させる。
Tpoは商業的に得られるか、または米国特許第5,830,647号(Eaton, et al.)および同第5,879,673号(Thomas, et al.)に記載されているように得ることができる。組換えヒトTpo(rhTpo)はGenentech (South San Francisco, CA)およびPfizer (New York, NY)から市販されている。末端切断型分子がAmgen Inc. (Thousand Oaks, CA)により開発されている。
本発明に包含される好適なTpo受容体リガンドはまた、その分子の血小板新生活性を向上させることに対して活性を有するTpo誘導分子を含み、限定されるものではないが、例えば、カルボキシ末端にアミノ酸を有するもの;1分子当たり種々の数のシアル酸残基を有するTpoアイソフォーム;米国特許第5,869,451号、同第5,932,546号、同第6,083,913号、同第6,121,238号、同第5,869,451号、同第6,251,8646号、同第506,362号および同第6,465,430号ならびに米国特許公開番号US2003/0158116に記載され、Glaxo Smith Klineからの化合物497115で例示される、Tpo受容体と結合するペプチド、米国特許公開番号US2003/0195231、US2003/0162724、US2004/0063764、US2004/0082626に記載されている小分子ミメティクス;Elliot, et al. (Nature Biotechnology 21:414-421, 2003)に記載されているようなグリコシル化により修飾されたポリエチレングリコールTpoで修飾されたTpo、AMG531(Amgen, Thousand Oaks, CA)ならびにAlexion Pharmaceuticals (Cheshire, CT)およびXoma (Berkeley, CA)に記載され、米国特許公開番号US2004/0136980に記載されているTpoアゴニスト抗体を含む。さらなる修飾型としては、限定されるものではないが、カルボニル化Tpo、スクシニル化Tpo、アセチル化Tpo、ビオチニル化Tpo、ヨウ素化TpoおよびカルボキシメチルリシルTpoなどが挙げられる。他の好適なTpo受容体リガンドは米国特許第6,887,890号、同第5,989,538、同第5,756,083号、同第5,498,599号および同第6,866,998号に記載され、特許請求されている。
Tpo受容体と結合し、「Tpo受容体リガンド」である他の新規な化合物は下記に記載されている(全て引用することにより本明細書の一部とされる)。
1. Wang. B. et al., Clin. Pharmacol. Ther. 73:628-638, 2004.
2. Orita, T., et al., Blood 105:562-566, 2005.
3. Inagaki, K., et al., Blood 104:58-64, 2004.
4. de Serres, M., et al., Stem Cells 17:203-209, 1999.
5. de Serres, M., et al., Stem Cells 17:316-326, 1999.
6. Cwirla, S.E., et al., Science 276:1696-1699, 1997.
7. Case, B.C., et al., Stem Cells 18:360-365, 2000.
8. Erickson-Miller, C.L., et al.. Exp. Hematol. 33:85-93, 2005.
医薬組成物
本発明では、Tpo受容体リガンドは、Tpo受容体リガンドを患者の心筋虚血を軽減して心臓に対する損傷を少なくするのに有効な治療量で薬学上許容される担体と合わせることにより、医薬組成物として処方される。
この医薬組成物は経口、静脈内、皮下、筋肉内、腹膜内、経皮、鼻腔または坐剤により投与することができる。一般に、全身投与が好ましい。
心筋虚血の軽減のための有効成分としてのTpo受容体リガンドは、無菌蒸留水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液またはハンクス溶液などのように、Tpoと適合し、実質的に無毒かつ非治療性であり、かつ、患者に生理学的に許容される、注射投与用の便宜な薬学上許容される非経口担体を用いて処方することができる。非経口投与では、Tpoは溶液または懸濁液、好ましくは緩衝溶液または懸濁液に配合することができる。
鼻腔用処方物は、患者が吸入するための例えばネブライザーまたはアトマイザーを用いて液滴またはスプレーの形態で送達するための溶液または懸濁液としての非経口調製物として調製することができる。非経口用または鼻腔用調製物は、アンプル、バイアル、使い捨てシリンジおよび他の好適な容器に無菌滴に封入することができる。
経皮送達系では、Tpo受容体リガンドは、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、溶液または懸濁液などの液体または半液体状で局所用組成物として調製することができる。皮膚浸透にTpoの経皮送達は、皮膚に含水させ、皮膚温度を高める密封技術(例えば、ラップまたは不透性プラスチックフィルム)の使用により、あるいは好適な浸透剤(例えば、水、グリセリンやプロピレングリコールなどのポリオール類)の使用により促進することができる。
坐剤投与形は、Tpo受容体リガンドと、室温(約20℃)で固体であり、体温で融解するココアバター基剤、またはポリエチレングリコールおよびグリセリドなどの水溶性もしくは水分散性基剤を含む担体を合わせることにより調製することができる。坐剤は一般に個々にホイル包装するか、または成形プラスチック容器に湿度から密閉する。
本発明の方法を用いた患者の治療は、その意図する目的に好適な用量を提供するのに有効な量でTpo受容体リガンドを含有する治療量のTpo受容体リガンド医薬組成物を投与することを含む。
好ましい組成物および調製物は、単位投与形が投与後即時にTpo受容体リガンド血中濃度0.01〜10.0ng/ml、好ましくはTpo受容体リガンド0.05〜0.5ng/ml、好ましくはTpo受容体リガンド0.5〜5.0ng/ml、好ましくはTpo受容体リガンド約1.0ng/mlをもたらすのに有効な量のTpo受容体リガンドを含有するように調製される。好ましくは、この組成物は、投与後少なくとも35分以内、好ましくは1〜20分以内、好ましくは1〜15分以内、好ましくは1〜10分以内、好ましくは1〜5分以内に所望のTpo受容体リガンド血中濃度をもたらすのに有効な量でTpo受容体リガンドを含む。
投与されるTpo受容体リガンドの有効用量は投与経路、患者の年齢、体重および/または健康状態、ならびに治療される症状などの他の因子によって異なり得る。
これらの医薬組成物は等張性、生理学的安定性およびpH安定性を維持するためのバッファーや保存剤のような少量のアジュバントを含むことができ、これらのものはTpo受容体リガンド組成物の有効性に悪影響を及ぼさない。
好ましい実施形態では、患者は、実質的に即時の心臓保護作用を得るためのTpo受容体リガンド約0.01〜1.0マイクログラム/kg、好ましくはTpo受容体リガンド0.05マイクログラム/kgの(例えば、多回または反復処置ではなく)1回処置を受ける。
本発明のTpo受容体リガンドの好ましい用量は典型的な患者では0.6〜60マイクログラムの間である。最も好ましくは、用量は2〜6マイクログラムの間である。
方法
本発明の方法は、虚血により引き起こされる傷害から患者の影響を受ける組織、好ましくは心臓または脳を保護するためにTpoを利用する。この方法は、Tpo受容体リガンドを含んでなる医薬組成物をヒトまたは他の哺乳類に、虚血発生により引き起こされる心筋傷害および/または脳傷害を処置する上で所望の作用を達成するのに有効な量で投与することを含む。
Tpo受容体リガンドの投与時間は一般に、Tpo受容体リガンド組成物の処方および所望の投与量によって異なる。投与時間を変動させ得る他の因子としては、他の因子の中でも、例えば、提供される処置の種類または実施される手順、例えば、移植される器官の調製、移植(ドナー)器官の前処置、心臓発作または脳卒中患者の処置、心臓手術前、手術中および手術後の処置、虚血−再潅流傷害の予防など;ならびに実施される処置または手順の所望の、または必要な時間が挙げられる。
本発明の方法による虚血性傷害に対する実質的に即時の心臓保護の利益のためには、Tpo受容体リガンド組成物が1〜60分、好ましくは30分まで、好ましくは20分まで、好ましくは5〜15分の間投与されることが好ましい。投与時間は、必要に応じて、患者の正常血小板総数を10%、または最も好ましくは1%(すなわち、増加が見られない)を超えて増加させずに心臓保護を付与し、かつ/または付加的治療効果をもたらすよう、必要に応じて例えば24時間まで、またはそれを超えて延長することができる。
虚血性傷害に対する(例えば、狭心症に対する)遅延型心臓保護の利益のためには、Tpo受容体リガンド組成物が1〜60分、好ましくは30分まで、好ましくは20分まで、好ましくは5〜15分の間投与される。
本方法の一実施形態では、Tpo受容体リガンドを、虚血イベントを軽減するのに有効な量で含有する医薬組成物を虚血イベントの前、例えば、予定された外科手術前に投与して、患者を虚血性傷害に対して前処置する。例えば、虚血性傷害に至り得る外科手術としては、心臓手術、心臓移植、血管形成術および腹腔鏡手術などが挙げられる。別の例として、Tpo受容体リガンドはまた、移植用ドナー器官(例えば、心臓移植物)の保存および器官の虚血−再潅流傷害の予防のためにドナー患者に有益に投与することができる。好ましくは、Tpo受容体リガンド組成物は、実質的に即時の心臓保護のためのTpo受容体リガンド血中濃度が得られるよう、好ましくは、1〜35分以内にTpo受容体リガンド血中レベル約0.1〜10.0ng/mlが得られるように、虚血イベント前に患者に投与される。Tpo受容体リガンド組成物は好ましくはイベント前少なくとも1〜60分、好ましくは1〜30分、好ましくは約1〜20分、好ましくは5〜15分の間投与される。
さらなる例としては、器官移植レシピエントにおける心筋虚血の影響を軽減するため、例えば心臓などの被移植器官を、薬学上許容される処方物中の、移植時に器官に対する虚血および再潅流の影響を軽減するのに有効な量のTpoに曝すことができる。移植器官は例えば、有効量のTpoを含有する溶液を血管から被移植器官へ注入することによりTpoに曝すことができる。好ましくは、このTpo受容体リガンドの器官への注入は、1〜35分以内にTpo受容体リガンド約0.5〜5.0ng/mlという血中Tpo受容体リガンド濃度をもたらす。この移植器官のTpo曝露は移植までの時間継続することができ、好ましくは移植前1〜60分、好ましくは移植前1〜30分、好ましくは移植前5〜15分である。
本発明の別法は、例えば外科手術中または病態の症候を受けている際などの虚血イベントの発生時または発生後に、心臓に対する虚血性傷害を実質的に即時に処置、予防または軽減して、心筋虚血症の重篤度を軽減し、さらなる損傷を予防するのに有効な治療量でTpo受容体リガンドを投与することを含む。虚血性傷害、特に虚血−再潅流傷害に至り得る外科手術の例としては、心臓手術、心臓移植、血管形成術および腹腔鏡手術などが挙げられる。例えば、Tpo受容体リガンドは、処置中の虚血および再潅流により引き起こされる損傷を軽減するために心臓手術中に患者に投与することができる。別の例としては、Tpo受容体リガンドは再潅流の開始時、再潅流中、またはその双方に投与することができる。症候の発現時に心臓の虚血性傷害に対して実質的に即時の心臓保護を提供するために本方法が適用可能な病態の例としては、例えば、心筋梗塞、肺梗塞、末梢血閉塞疾患、脳卒中、脳梗塞、血管閉塞、出生前または出生後酸素欠乏、外科手術および放射線療法を含む外傷、慢性閉塞性肺疾患、気腫、成人性呼吸窮迫症候群、敗血性ショック、鎌形赤血球性発作、律動異常、窒素麻酔および心肺バイパス術により引き起こされる神経欠損が挙げられる。
好ましくは、Tpo受容体リガンド組成物は、虚血イベントの発生時および/または虚血イベントの発生後短時間のうちに患者に、1〜35分以内にTpo受容体リガンド約0.1〜10.0ng/mlという血中Tpo受容体リガンド濃度が得られるように投与される。Tpo受容体リガンドを患者に投与するタイミングは、イベント後有効な時間、好ましくは約1〜60分、好ましくは1〜30分、好ましくは約5〜15分であり得る。
本発明のさらに別の方法は、心臓保護シグナル伝達経路を活性化するのに有効な量のTpo受容体リガンドを投与することである。一実施形態では、本方法は、Tpo−Rを活性化させて虚血性傷害に対して実質的に即時の心臓保護作用をもたらすのに有効な量および時間で、医薬組成物(好ましくは、1〜35分間患者(ヒトまたは他の哺乳類)に送達した際にTpo受容体リガンド血中レベル約0.1〜10.0ng/mlを達成するための組成物)としてのTpoを投与することを含む。Tpo受容体リガンドを患者に投与するタイミングは、イベントの前または後の有効な時間、好ましくは約1〜60分、好ましくは1〜30分、好ましくは約5〜15分であり得る。
別の実施形態では、Tpoは、KATPなどのカリウムチャネルを活性化して、虚血性傷害に対して実質的に即時の心臓保護を達成する、好ましくは、1〜35分間患者に送達した際にTpo受容体リガンド血中レベル約0.1〜10.0ng/mlを達成するのに有効な量および時間で医薬組成物として投与される。このTpo受容体リガンド組成物は、虚血性傷害に対して実質的に即時の心臓保護作用をもたらすよう、イベントの前または後の有効な時間、好ましくは約1〜60分、好ましくは1〜30分、好ましくは5〜15分の間患者に投与される。
本発明に従って予防または軽減され得る心筋虚血性傷害としては、例えば、冠動脈疾患、心筋梗塞、冠動脈性心疾患、プリンズメタル型狭心症(Prinzmetal angina)、心破裂およびうっ血性心不全が挙げられる。本組成物およびその投与の有効性は、心酵素漏出、心収縮タンパク質漏出、左心室圧および右心室圧、不整脈ならびにS−T上昇(S-T segment elevation)などの標準的な方法を用い、心筋虚血性傷害の重篤度が無いか、または軽減されていることでモノタリングすることができる。Tpo受容体リガンド組成物の作用は、医薬組成物の投与して1〜48時間後に評価することができる。
以下、詳細な実施例を示して本発明をさらに説明し、その中で方法論を記載する。これらの実施例は、以上の記載に示された本発明の範囲を限定するものではない。本発明の精神および範囲に留まりつつ、本発明の概念の範囲内の変更および改変を行うことができると理解すべきである。本願中に引用された参照文献、特許および特許出願の開示は引用することにより本明細書の一部とされる。
実施例1:in vitro全虚血に対するトロンボポエチンおよびカリウムチャネルの活性化による媒介の即時心臓保護作用
虚血性心疾患は、ほとんどの急性心筋梗塞、うっ血性心不全、不整脈および心臓突然死の基礎にある原因であり、全工業国の死亡および罹患の主因である(Bolli et al., Circ. Res. 95:125-134, 2004)。虚血からの心臓の保護は、依然として心臓病専門医および心臓外科医のチャレンジであり続けている。しかしながら、ヒトにおいて虚血の悪影響から心臓を直接保護することが分かっている現行療法はない。最近の研究では、赤血球産生を刺激するために用いられるサイトカインであるエリスロポエチンも、カリウム依存性カリウム(KATP)チャネルの活性化を含んだ機構により、虚血性傷害から心臓を保護することが示されている(Shi, et al., Basic Res. Cardiol. 99:173-182, 2004)。エリスロポエチンと限定された相同性を有する別のサイトカイン、Tpoは、細胞移植後の血小板の産生を促進するために臨床使用されている。しかしながら、Tpoが心筋において生理学的機能を果たすかどうかは現在のところまだ分かっていない。本発明者らは、Tpoは、虚血/再潅流により引き起こされる傷害から心臓を保護することができ、その結果、梗塞サイズおよびアポトーシスを軽減し、虚血後の血管機能の回復を増強すると仮説を立てた。
心臓保護およびその基礎にある機構におけるTpoの可能性のある役割を調べるため、成体ラットの心臓を虚血前にヒト組換えTpoで処置した。この試験の目的は、心臓のTpo急性曝露(慢性曝露に対して)がその後の虚血に対する耐性を高めるかどうか、心臓の最適な保護を与えるTpo濃度および心臓保護の媒介におけるカリウムチャネルの役割を調べることであった。
本試験は、Tpo(0.01〜10.0ng/ml)がラット心臓において即時心臓保護を与えるかどうか、および基礎にある機構へのカリウムチャネルの寄与を調べることを目的とした。正常酸素の8週齢のSprague Dawleyラット(n=8/群)の心臓を単離し、Langendorffモードで潅流した。25分血液停止全虚血および180分再潅流前の定常条件下で血流力学的機能を記録した。
方法
動物 本試験に用いたラットは、the National Research Council, 1996により作成された「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals」に準拠して人の世話を受けた。8週齢のSprague Dawleyを正常酸素(SaO>95%)または環境で維持した。
試薬 組換えヒトTpoはCell Science, Inc. (Norwood, Mass.)から得た。グリベンクラミドはCalbiochem (San Diego, Calif.)から得た。5−HDはSigma-Aldrich (St. Louis, Mo.)から購入した。Tpo受容体に対する抗体はSanta Cruz Biotechnologyから得た。二次抗体はZymed (South San Francisco, Calif.)から得たセイヨウワサビペルオキシダーゼであった。
単離心臓の潅流 単離されたラット心臓を、重炭酸バッファーを用い、低圧逆行様式で潅流し、Baker, et al., Am. J. Physiol. Heart Circulat. Phvsiol. 278:1395-1400, 2000に記載のように装備し、必要に応じてこの潅流液にカリウムチャネル遮断薬を加えた。カニューレ部位のすぐ上にある三方向蛇口は、全潅流液を心臓からそらせて、血流停止全虚血をもたらすことを可能とする。再潅流は、潅流液を心臓へ送達させる蛇口の位置を変えることにより達成した。左心室機能は、Baker, et al.,前掲, 2000に記載されているような各実施例により継続的にモニタリングした。終末拡張期圧は最初は2分間、mmHgに設定した。次に、バルーンを段階的にマイクロシリンジで膨らませ、左心室では終末拡張期圧を8mmHgに設定した(定常条件での拡張期圧および心拍率を記録した)。冠動脈流速は、心臓の右側からの冠動脈流出をメスシリンダーに一定時間採取することにより試験中測定した。冠動脈流速はml/分/湿重gで表した。
心筋虚血に対する耐性 成体ラットの心臓を重炭酸バッファーで潅流し、Baker, et al., 前掲, 2000に記載されているように両心室機能を各実験中、継続的にモニタリングした。濃度応答試験では、次に、心臓を25分虚血および180分再潅流前に15分間、Tpo(0.01〜10.0ng/ml)で潅流した。用いた試験プロトコールを図2に示す。カリウムチャネル遮断薬を用いる機構試験では、心臓を虚血前、薬剤単独で15分間、その後Tpoと組み合わせて15分間潅流した。虚血前30分間、Tpoの不在下、カリウムチャネル遮断薬単独で潅流した心臓をこれらの試験の非処置対照として用いた。虚血後の右心室拡張期圧の回復を、その薬剤前、虚血前の値のパーセンテージとして表した。
心室機能の評価 Baker, et al., 前掲, 2000に記載されているように、左心室機能を各試験中、継続的にモニタリングした。虚血後の左心室圧の回復を用い、虚血に対する耐性を評価した。
3時間再潅流時に梗塞サイズ/リスク面積の評価を用い、心筋虚血に対する耐性を評価した。梗塞サイズの同定のため、心臓を37℃にて、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(SIGMA)を含有する重炭酸バッファー10mlで潅流した。
心臓を頂部から房室溝へと横断面として2mmの切片にした。各切片を記録し、ホルマリンに入れた。24時間後、マウントカメラでこの標本のデジタル写真を撮り、標本とレンズの距離をノーマライズした。次に、各写真をAdobe Photoshop(Adobe(商標))に追加し、非梗塞面積に対する梗塞面積の画素密度を測定した。各スライドの梗塞のパーセンテージを全心臓面積のパーセンテージとして表した。全ての標本のパーセンテージを合計すると、各動物の全梗塞パーセンテージとなる。
アポトーシスの測定
Sprague Dawleyラットの心臓を重炭酸バッファーで245分間潅流し、非虚血対照とした(図5)。心臓を有気的に35分間潅流し、25分の全虚血、その後3時間の再潅流を行い、虚血−再潅流対照群とした。心臓を、虚血および再潅流前に20分間バッファーで有気的に潅流し、次いで15分間Tpo(1ng/ml)で潅流し、Tpo処置群とした。各心臓を潅流の終了時に液体窒素中で急速凍結させた。各心臓(全部で72切片)から4つの凍結切片(10ミクロン厚)に対し、製造業者のプロトコール(Roche)に従い、TUNELアッセイを行った。これらのスライドを蛍光顕微鏡(400倍、励起490nm、発光515nm)で観察した。各心臓サンプルから22の無作為な高出力視野を選択し、盲険として定量した。TUNEL結果は%(1視野当たりの陽性核/1視野当たりの全核×100%)として表す。
統計分析 報告されたデータは平均値±SDである。統計分析は、I型誤差の膨張リスクを補正するのに用いられるグリーンハウス−ガイザー調整法(Greenhouse-Geisser adjustment)とともに反復測定ANOVAを用いて行った(Baker, et al., Circulation 99:1249-1254, 1999)。有意であれば、どの群が有意に異なるかを特定するため第二段階としてマン−ホイットニー(Mann- Whitney)検定を用いた。ANOVAの後、多重比較に関する差異についてデータを分析した(Baker, et al, 前掲, 1999)。有意性をP<0.05に設定した。
試験および結果
心臓におけるトロンボポエチン受容体(c−mpl)の存在(図1)
Tpo受容体に対するプライマー(フォワードプライマー=5’−CTA GCT CCC GAG GCT TCT TC−3’;リバースプライマー=5’−GGC TCC AGC ACC TTC CAG TCC−3’)をRouleau, et al.およびGenBankに寄託されているラットのTpo受容体mRNA配列(GI番号:34871077)に従ってデザインした。
成体ラット心室心筋細胞を雄Sprague Dawleyラットから、従前に記載されているように(Konorev, et al., Arch. Biochem. Biophys. 368:421-428, 1999)単離した。
ラットのTpo受容体配列に基づいたプライマーを用い、本発明者らは、RT−PCRを用い、ラットの心臓ホモジネートおよび心筋細胞中のTpo受容体に関するメッセージをサブクローニングした。ラットTpo受容体の配列はGenBankに寄託されている(登録番号はDahl SラットではDQ013345、Brown NorwayラットではDQ013344、Sprague DawleyラットではDQ013343)。ウサギTpo受容体の配列もGenBankに寄託されている(登録番号DQ013342)。次に、Sprague Dawleyラットから得られた心臓ホモジネートおよび心筋細胞中のTpo受容体タンパク質の存在をウエスタンブロット法により検出した。ヒト慢性骨髄性白血病細胞を陽性対照として用いた(図1)。
A.トロンボポエチン濃度応答試験 エリスロポエチンは、カリウムチャネル活性化を含む機構により、虚血傷害から心臓を保護する(Shi, Y., et al., Basic Res. Cardiol. 99:173-182, 2004)。TpoはN末端ドメインにおいてエリスロポエチンとアミノ酸配列でおよそ25%の相同性を有する。
Figure 2009523818
8週齢のSprague Dawleyラットの心臓を単離し、25分全虚血および180分再潅流の前に15分間、0.01、0.1、1.0および10ng/mlのTpoで潅流した(図2)。Tpo(1.0ng/ml)を虚血前に冠動脈流速を6±1ml/分/gから5±1ml/分/gに低下させ、左心室拡張期圧を119±15mmHgから151±19mmHgに上昇させ、心拍数を240±34拍/分から228±17拍/分に低下させた。表1(上記)は、正常酸素状態の心臓におけるTpo濃度応答試験の血流力学的数値を示す(図3および4参照)。
Tpoは、虚血および再潅流後の左心室拡張期圧の回復を釣り鐘型の濃度依存様式で高めた。虚血後左心室および右心室拡張期圧の最大回復をもたらした最適濃度は1.0ng/mlで見られた(図3)。
Tpoは、虚血および再潅流後の梗塞サイズを「U」型の濃度依存様式で軽減した。梗塞サイズの最大軽減をもたらしたTpoの最適濃度は1.0ng/mlで見られた。Tpoは、虚血前に1.0ng/ml濃度で投与した場合、虚血および再潅流後のアポトーシスを軽減した(図4)。
Tpo(1.0ng/ml)は、虚血および再潅流後のアポトーシスを軽減した(図5)。Tpoが梗塞サイズを軽減し、LVDPの回復を高めたことから、本発明者らはまた、Tpoが虚血心筋をアポトーシスから保護するかどうかを調べた。25分全虚血、3時間再潅流の後の左心室切片のTUNEL標識により、TUNEL陽性細胞は非虚血心臓の場合(1.91±0.54%)の2倍観察された(3.56±0.75%)。Tpo処置群では、有意に低い染色が見られた(1.94±0.55%、P<0.05)。代表的なTUNEL染色切片を図5に示すが、これはTpoで処置された心臓ではアポトーシス陽性細胞が少ないことを示す。
B.心拍数の回復は非処置心臓の虚血前値94±6%から1.0ng/mlのTpoで処置した心臓の85±7%まで低下した 冠動脈流速の回復は1.0ng/mlによっては影響を受けなかった。これらのデータは、Tpoが濃度依存様式で虚血性傷害から心臓を即時に保護することを示した。
C.トロンボポエチン誘導性の心臓保護におけるAktの役割 Aktは重要な心臓保護のメディエーターである。Tpo誘導性の心臓保護の媒介におけるAktの役割を調べるため、正常酸素状態のラットにおいて次の試験を行った。
虚血前、心臓をAkt阻害剤単独で15分間、その後、Tpo(1.0ng/ml)と組み合わせてさらに15分間潅流した。
特異的Akt阻害剤ワートマニン(100nM)は、Tpo(1.0ng/ml)の心臓保護作用を完全に無効にした(図6A/B)。ワートマニン単独では心臓保護に効果は無かった(図6A/B)。
よって、Tpoの心臓保護作用はAktにより媒介されることが示された。
D.トロンボポエチン誘導性心臓保護におけるK ATP チャネルの役割 心筋筋線維膜で発現が高く、心筋ミトコンドリアで発現すると思われるATP感受性K(KATP)チャネルは、心臓保護のメディエーターとして働くことが分かっている。Tpo誘導性の心臓保護の媒介におけるKATPチャネルの役割を調べるため、正常酸素状態のラットにおいて次の試験を行った。
虚血前、心臓をKATPチャネル遮断薬単独で15分間、その後、Tpo(1.0ng/ml)と組み合わせてさらに15分間潅流した。
非特異的KATPチャネル遮断薬グリベンクラミド(3μM)は、Tpo(1.0ng/ml)の心臓保護作用を完全に無効にした(図7A/B)。グリベンクラミド単独では心臓保護に効果は無かった(図7A/B)。
よって、Tpoの心臓保護作用はKATPチャネルにより媒介されることが示された。
考察
虚血直前に15分間Tpoを投与すると、壊死およびアポトーシスが軽減され、心筋虚血後の心臓の心室機能の回復が高まる。拡張期圧の最大回復をもたらしたTpoの最適濃度は1.0ng/mlで見られた。
この試験は、Tpoが、カリウムチャネルより媒介される心筋虚血に対する耐性の増強をともなって濃度依存性の心臓保護作用を即時に発揮することを示した。心筋虚血に対する耐性の増強はTpoで処置した直後に見られ、このことはその心臓保護作用の発現に新たな遺伝子の誘導は必要でないことを示唆している。この試験は、Tpoの生物学的作用は、1つのカリウムチャネルであるKATPチャネルの即時の活性化をもたらすシグナル経路により媒介されることを示す。
これらの結果はまた、Tpoがカリウムチャネル(KATP)を活性化することにより即時の心臓保護を与えることも示す。心臓にはいくつかの異なるタイプのカリウムチャネルが存在し、その1つであるKATPチャネルは低酸素および虚血などの酸素欠乏の症状から心臓を保護する働きをする。これらの結果は、虚血に対するTpo誘導性の保護が非特異的KATPチャネル遮断薬グリベンクラミドにより完全に妨げられることを示す。グリベンクラミド単独では心臓保護に効果は無かったが、このことはKATPチャネルがTpoに曝されていない心臓では活性化されないことを示した。このKATPチャネルは、Tpo誘導性の心臓保護の媒介において中枢的な役割を果たすと思われる。このカリウムチャネルは細胞内の2つの部位、すなわち筋線維膜とミトコンドリアに存在すると考えられる。一度活性化されると、筋線維膜KATPチャネルはサイトゾルから細胞外へとカリウムの流出を促進し、ミトコンドリアKATPチャネルが活性化されると、サイトゾルからミトコンドリアへとカリウムの流入が起こる。筋線維膜KATPチャネルの活性化は、虚血中、細胞内へのカルシウム流入を低下させる働きもする可能性がある。さらに、筋線維膜KATPチャネルはまた、ミトコンドリアKATPチャネルの開口も担っている可能性もある。これに対し、ミトコンドリアKATPチャネルの活性化はエネルギー特性の改良により心臓保護を媒介する可能性がある(Eells, et al., Circ, Res. 87:915-921, 2000)。
Tpoが虚血により引き起こされる心臓傷害から保護するシグナル伝達経路は、一部はAktおよびKATPチャネルにより媒介される。Aktの活性化は心臓の虚血/再潅流傷害を軽減すること、および抗アポトーシス遺伝子のbclファミリーをアップレギュレーションすることが知られている。このことの裏付けとして、これらの結果は、Tpoが心臓において虚血および再潅流により誘導されるアポトーシスの程度を軽減したことを示す。また、KATPチャネルの活性化は虚血および薬理的前処置により付与される心筋虚血耐性の増強と関連している。
Tpoは、虚血の発生後、すなわち症候の発生後に与えた場合、傷害からの保護をもたらす。心筋梗塞の症候を受けている患者または心臓手術を受ける前後の患者においては、心臓に対する虚血性傷害を軽減するためにTpoを急性投与することができる。このように、Tpoは即時に心臓保護を増強するための重要かつ強力な薬剤であると言える。
Tpoにより達成される心臓保護のレベルは虚血前処置によって付与されるものに匹敵する(Baker, et al., Circulation 99:1249-1254, 1999)。虚血前処置は強力な内因性の現象であり、有害に至らない虚血性発作の短時間の挿入がより長期の致死的虚血に対する大きな保護を誘導する。虚血前処置の基礎にある分子機構はまだ解明されておらず、虚血前処置の臨床適用はまだどちらとも言えず、治療戦略として広く受け入れられるに至っていない。
虚血に対する薬理学的前処置は、心臓保護の増強を担う分子機構を利用するより実用的な方法を与える。本試験は、Tpoによる薬理学的前処置が有効であり、心臓手術や血管形成術中に遭遇するような随意的な心筋虚血の状況での新規な心臓保護戦略となることを示した。有利なことに、Tpoは現在、ヒトの臨床使用に認可されており、利用可能である。この十分許容される化合物は、遺伝子に基づく多くの療法で必要であるような精密な薬物送達系を必要としない。
これらの結果は、Tpoが虚血に対して心臓を薬理学的に前処置するための好適な外因性薬剤であることを示す。これらの結果はさらに、心臓保護を付与するために、Tpoは、例えば、心臓手術、血管形成術または移植用ドナー心臓の保存などの計画的虚血イベントを含む虚血発作前に与えるのが有利である。
実施例2:虚血発生前に与えた場合の、局部的心筋虚血に対するトロンボポエチンの即時心臓保護作用に関するin vivo試験
冠動脈結紮モデルを用いてTpoの即時保護作用を示した。本試験に用いた動物は成体雄Sprague Dawleyラット(200〜350g、一般に300g)であった。動物は標準的な条件下で飼育し、餌は自由に摂取させた。The Animal Care and Use Committee of the Medical College of Wisconsinは、国立衛生研究所が採択した規制に従って行った全ての手順を認可した。
ラットをナトリウムペントバルビタール(50mg/kg i.p.)で麻酔した。ヘパリン(150U/kg i.p.)を投与して、冠動脈中の血栓の形成を防いだ。6−0プロレン縫合糸を用いて左主動脈を結紮することで心筋梗塞を起こした(例えば、Clements-Jewerv, et al., Br. J. Pharmacol. 135:807-815, 2002; Farkas, et al., J. Cardiovasc. Pharmacol. 39:412-424, 2002参照)。左主冠動脈を特定し、オクルダーとして働かせるため、ポリエチレンチューブに通した5−0プロレン縫合糸で結紮した。対照群は、左主冠動脈に縫合糸を通しただけの擬似手術心臓を含んだ。
動物を虚血発生前15分間、Tpo(0.005〜0.5マイクログラム/kg)の静脈投与で処置した。オクルダーを締め、それを緩めることで局部的虚血と再潅流を誘発した。次に、心臓に対して30分の局部的虚血と続いて3時間の再潅流を行った。3時間再潅流時に左心室拡張期圧の回復および梗塞サイズ/リスク面積を用い、心筋虚血に対する耐性を評価した。梗塞サイズの同定のため、心臓を37℃にて、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(SIGMA)を含有する重炭酸バッファー10mlで潅流した。
心臓を頂部から房室溝へと横断面として2mmの切片にした。各切片を記録し、ホルマリンに入れた。24時間後、マウントカメラでこの標本のデジタル写真を撮り、標本とレンズの距離をノーマライズした。次に、各写真をAdobe Photoshop(Adobe(商標))に追加し、非梗塞面積に対する梗塞面積の画素密度を測定した。各スライドの梗塞のパーセンテージを全心臓面積のパーセンテージとして表した。全ての標本のパーセンテージを合計すると、各動物の全梗塞パーセンテージとなる。
各群間で体重、心臓重またはリスク領域に有意な差はなかった。心拍数、平均動脈圧、心拍数×血圧(rate pressure product)をベースライン、虚血15分および再潅流2時間で定量し、各群について非処置擬似手術ラットと比較した(表2)。擬似手術と比べた際、いくつかの群で平均動脈圧および心拍数×血圧に有意な差が見られた。各群について全左動脈重と比較してリスク面積を算出した。群間で有意差は見られなかった(データは示されていない)。
Figure 2009523818
図8は、左主冠動脈の結紮により誘発されるin vivo局部的心筋虚血の15分前にTpoを投与した際の心筋梗塞サイズの軽減を示す。Tpoは「U」型濃度依存様式で虚血後梗塞サイズを軽減した。梗塞サイズの最大の軽減をもたらした最適濃度は0.05μg/kgで見られた(図8)。
実施例3:虚血発生後に投与した場合の、局部的心筋虚血に対するトロンボポエチンの即時心臓保護作用に関するin vivo試験
冠動脈結紮モデルを用いてTpoの即時保護作用を示した。本試験に用いた動物は成体雄Sprague Dawleyラット(200〜350g、一般に300g)であった。動物は標準的な条件下で飼育し、餌は自由に摂取させた。The Animal Care and Use Committee of the Medical College of Wisconsinは、国立衛生研究所が採択した規制に従って行った全ての手順を認可した。
6−0プロレン縫合糸を用いて左主動脈を結紮することで心筋梗塞を起こした(例えば、Clements-Jewerv, et al., 前掲, 2002; Farkas, et al., 前掲, 2002参照)。ラットをナトリウムペントバルビタール(50mg/kg i.p.)で麻酔した。左主冠動脈を特定し、オクルダーとして働かせるため、ポリエチレンチューブに通した5−0プロレン縫合糸で結紮した。対照群は、左主冠動脈に縫合糸を通しただけの擬似手術心臓を含んだ。
オクルダーを締め、それを緩めることで局部的虚血と再潅流を誘発した。次に、心臓に対して30分の局部的虚血と続いて3時間の再潅流を行った。3時間再潅流時に左心室拡張期圧の回復および梗塞サイズ/リスク面積を用い、心筋虚血に対する耐性を評価した。梗塞サイズの同定のため、心臓を37℃にて、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(SIGMA)を含有する重炭酸バッファー10mlで潅流した。
心臓を頂部から房室溝へと横断面として2mmの切片にした。各切片を記録し、ホルマリンに入れた。24時間後、マウントカメラでこの標本のデジタル写真を撮り、標本とレンズの距離をノーマライズした。次に、各写真をAdobe Photoshop(Adobe(商標))に追加し、非梗塞面積に対する梗塞面積の画素密度を測定した。各スライドの梗塞のパーセンテージを全心臓面積のパーセンテージとして表した。全ての標本のパーセンテージを合計すると、各動物の全梗塞パーセンテージとなる。
各群間で体重、心臓重またはリスク領域に有意な差はなかった。心拍数、平均動脈圧、心拍数×血圧(rate pressure product)をベースライン、虚血15分および再潅流2時間で定量し、各群について非処置擬似手術ラットと比較した(表2)。擬似手術と比べた際、いくつかの群で平均動脈圧および心拍数×血圧に有意な差が見られた。各群について全左動脈重と比較してリスク面積を算出した。群間で有意差は見られなかった(データは示されていない)。
図9は、左主冠動脈の結紮により誘発されるin vivoにおける30分の局部的心筋虚血後の潅流15分前にTpo(0.05μg/kg)を投与した際の心筋梗塞サイズの軽減を示す。
実施例4:再潅流後に投与した場合の、局部的心筋虚血に対するトロンボポエチンの即時心臓保護作用に関するin vivo試験
冠動脈結紮モデルを用いてTpoの即時保護作用を示した。本試験に用いた動物は成体雄Sprague Dawleyラット(200〜350g、一般に300g)であった。動物は標準的な条件下で飼育し、餌は自由に摂取させた。The Animal Care and Use Committee of the Medical College of Wisconsinは、国立衛生研究所が採択した規制に従って行った全ての手順を認可した。
6−0プロレン縫合糸を用いて左主動脈を結紮することで心筋梗塞を起こした(例えば、Clements-Jewerv, et al., 前掲, 2002; Farkas, et al., 前掲, 2002参照)。ラットをナトリウムペントバルビタール(50mg/kg i.p.)で麻酔した。左主冠動脈を特定し、オクルダーとして働かせるため、ポリエチレンチューブに通した5−0プロレン縫合糸で結紮した。対照群は、左主冠動脈に縫合糸を通しただけの擬似手術心臓を含んだ。
オクルダーを締め、それを緩めることで局部的虚血と再潅流を誘発した。次に、心臓に対して30分の局部的虚血と続いて3時間の再潅流を行った。3時間再潅流時に左心室拡張期圧の回復および梗塞サイズ/リスク面積を用い、心筋虚血に対する耐性を評価した。梗塞サイズの同定のため、心臓を37℃にて、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(SIGMA)を含有する重炭酸バッファー10mlで潅流した。
各群間で体重、心臓重またはリスク領域に有意な差はなかった。心拍数、平均動脈圧、心拍数×血圧(rate pressure product)をベースライン、虚血15分および再潅流2時間で定量し、各群について非処置擬似手術ラットと比較した(表2)。擬似手術と比べた際、いくつかの群で平均動脈圧および心拍数×血圧に有意な差が見られた。各群について全左動脈重と比較してリスク面積を算出した。群間で有意差は見られなかった(データは示されていない)。
図10は、左主冠動脈の結紮により誘発されるin vivoにおける30分の局部的心筋虚血後の潅流の後10秒でTpoを投与した際の心筋梗塞サイズの軽減を示す。
実施例5:局部的心筋虚血に対するトロンボポエチンの遅延型心臓保護作用に関するin vivo試験
冠動脈結紮モデルを用いてTpoの遅延型保護作用を示した。本試験に用いた動物は成体雄Sprague Dawleyラット(200〜350g、一般に300g)であった。動物は標準的な条件下で飼育し、餌は自由に摂取させた。
ラットをナトリウムペントバルビタール(50mg/kg i.p.)で麻酔した。ヘパリン(150U/kg i.p.)を投与して、冠動脈中の血栓の形成を防いだ。6−0プロレン縫合糸を用いて左主動脈を結紮することで心筋梗塞を起こした(例えば、Clements-Jewerv, et al., 前掲, 2002; Farkas, et al., 前掲, 2002参照)。左主冠動脈を特定し、オクルダーとして働かせるため、ポリエチレンチューブに通した5−0プロレン縫合糸で結紮した。対照群は、左主冠動脈に縫合糸を通しただけの擬似手術心臓を含んだ。
動物をTpo(0.05マイクログラム/kg)の腹膜内投与で処置し、これらの動物を虚血の発生前に24時間回復させた。オクルダーを締め、それを緩めることで局部的虚血と再潅流を誘発した。次に、心臓に対して30分の局部的虚血と続いて3時間の再潅流を行った。3時間再潅流時に左心室拡張期圧の回復および梗塞サイズ/リスク面積を用い、心筋虚血に対する耐性を評価した。梗塞サイズの同定のため、心臓を37℃にて、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(SIGMA)を含有する重炭酸バッファー10mlで潅流した。
各群間で体重、心臓重またはリスク領域に有意な差はなかった。心拍数、平均動脈圧、心拍数×血圧(rate pressure product)をベースライン、虚血15分および再潅流2時間で定量し、各群について非処置擬似手術ラットと比較した(表2)。擬似手術と比べた際、いくつかの群で平均動脈圧および心拍数×血圧に有意な差が見られた。各群について全左動脈重と比較してリスク面積を算出した。群間で有意差は見られなかった(データは示されていない)。
図11は、左主冠動脈の結紮により誘発されるin vivoにおける30分の局部的心筋虚血の24時間前にTpoを投与した際の心筋梗塞サイズの軽減を示す。
実施例6:トロンボポエチン処置は血小板総数およびヘマトクリットの増加をもたらさない
in vivoにおいて即時型および遅延型の心臓保護を付与するTpoの単回投与が血小板総数の増加をもたらしたかどうかを調べるため、ラットをTpo(0.05μg/kg i.v.)で前処置した。処置前の未処置ラットの血小板総数は850±96 10/μlであり、未処置ラットのヘマトクリットは43.8±1.8%であった。図12A/Bは、Tpo処置の後、血小板総数およびヘマトクリットの値は14日の追跡期間の間変化しなかった。
本発明者らの試験に用いた即時型および遅延型の心臓保護を付与するための0.05μg/kgというTpo用量は癌患者で血小板の産生を刺激するため(Vadhan-Raj, et al., Ann. Intern. Med. 126:673-681, 1997)、また末梢血前駆体細胞を可動化するため(Gajewski, et al., Biol. Blood Marrow Transplant. 8:550-556, 2002; Linker, et al, Biol. Blood Marrow Transplant. 9:405-413, 2003)にヒトで用いられるもののおよそ10倍少ない。最初のヒト試験では、1〜5μg/kgのTpo用量は血小板産生を健常個体の、また、悪性腫瘍の化学療法を受けようとしている人の5〜10倍増強した。同様にラットでも、その用量のペグ化Tpoを用いて血小板減少症を軽減し(100μg/kg)(Harada, et al., J. Pharm. Pharmacol. 52:321-325, 2000)、カルボプラチン処置ラットの血小板減少症を緩和し(1〜30μg/kg)、Ide, et al., Int. J. Hematol. 70:91-96, 1999もまた、本発明者らが用いた用量よりもかなり高い。本発明者らが用いたTpo(0.05μg/kg)の1回投与では、14日の追跡期間の間、血小板総数およびヘマトクリットを上昇させなかった。
図13A/Bは、血小板総数およびヘマトクリットに対するTpo(1.0μg/kg i.v.)の1回投与を評価した追加データのプロットである(平均値±標準偏差、n+6/群)。
法に従い、本発明を構造的特徴および方法論的特徴について言語で記載した。しかしながら、本明細書に開示される手段は本発明を達成する好ましい形態を含むので、本発明は、示され、記載されている特定の特徴に限定されるものではないと理解すべきである。従って、本発明は、均等性の原則に従って適宜解釈される付属の特許請求の範囲の適切な範囲内にあるそのいずれかの形態または改変形においても請求される。
心臓におけるTpo受容体の存在を示すウエスタンブロットである。 Tpo濃度応答試験に用いた試験プロトコールを表す。 25分全虚血および180分再潅流前に0.01、0.1、1.0および10.0ng/mlのTpoで15分処置した後の心臓の梗塞サイズ(左心室(LV)%)の減少を示すin vitroTpo濃度応答試験の結果を示したグラフである。データは平均値±SD、n=8心臓/群である。=P<0.05、Tpo対薬剤無し対照。 25分全虚血および180分再潅流前に0.01、0.1、1.0および10.0ng/mlのTpoで15分処置した後の心臓の、左心室拡張期圧の回復率(%)(黒四角)を示すin vitroTpo濃度応答試験の結果を示したグラフである。データは平均値±SD、n=8心臓/群である。=P<0.05、Tpo対薬剤無し対照。 25分全虚血および180分再潅流前にTpo(1.0ng/ml)で15分処置した後にTpoが制限するアポトーシスの範囲を示したグラフである。=P<0.05、対再潅流、#=P<0.05、対虚血/再潅流。 Aktにより媒介されるTpo心臓保護作用の結果を示すグラフである。in vitro25分全虚血および180分再潅流前にTpo(1.0ng/ml)およびAkt阻害剤で15分処置した後の、左心室拡張期圧(Left Ventricular Developed Pressure (LVDP))の回復(図6B)および梗塞サイズの程度(図6A)。用いたAkt阻害剤はワートマニン(wortmannin)(「Wort」)100nMであった。データは平均値±SD(n=8心臓/群)である。=P<0.05、Tpo対薬剤無し対照。+=P<0.05、Tpo+薬剤対Tpo。 カリウムチャネルにより媒介されるTpoの心臓保護作用の結果を示すグラフである。in vitro25分全虚血および180分再潅流前にTpo(1.0ng/ml)およびカリウムチャネル遮断薬で15分処置した後の、左心室拡張期圧(Left Ventricular Developed Pressure (LVDP))の回復(図7B)および梗塞サイズの程度(図7A)。用いたカリウムチャネル遮断薬はグリベンクラミド(Glibenclamide3μMであった。データは平均値±SD(n=8心臓/群)である。=P<0.05、Tpo対薬剤無し対照。+=P<0.05、Tpo+薬剤対Tpo。 左主冠動脈結紮によって誘発した30分のin vitro局部的心筋虚血および3時間の再潅流の15分前に静脈投与した際のin vivo心筋梗塞サイズ(リスク面積の割合%として)に対するTpo(0.05マイクログラム/kg)の作用を示すグラフである。=P<0.05、Tpo有対Tpo無し(対照)。 左主冠動脈結紮によって誘発した30分のin vivo局部的心筋虚血および3時間の再潅流開始の15分後に静脈投与した際のin vivo心筋梗塞サイズ(リスク面積の割合%として)に対するTpo(0.05μg/kg)の作用を示すグラフである。=P<0.05、Tpo有対Tpo無し(対照)。 左主冠動脈結紮によって誘発した30分のin vivo局部的心筋虚血後3時間の再潅流開始10秒後に静脈投与した際のin vivo心筋梗塞サイズ(リスク面積の割合%として)に対するTpo(0.05μg/kg)の作用を示すグラフである。=P<0.05、Tpo有対Tpo無し(対照)。 左主冠動脈結紮によって誘発した30分のin vitro局部的心筋虚血および3時間の再潅流の30分前に24時間Tpo(0.05マイクログラム/kg)を静脈投与した際のin vivo心筋梗塞サイズの減少を示すグラフである。=P<0.05、Tpo有対Tpo無し(対照)。 Tpo(0.05マイクログラム/kg)で1回処置した後の、14日追跡期間にわたる血小板総数(図12A)/ヘマトクリット(図12B)を示したグラフである。 Tpo(1.0マイクログラム/kg)で1回処置した後の、28日追跡期間にわたる血小板総数(図13A)/ヘマトクリット(図13B)を示したグラフである。

Claims (18)

  1. 虚血の有害作用から哺乳類組織または器官を保護する方法であって、
    (a)トロンボポエチン受容体リガンドを哺乳類患者に虚血の有害作用の軽減に有効な量で投与することを含んでなり、患者の血小板総数の上昇が10%未満である、方法。
  2. 上昇が1%未満である、請求項1に記載の方法。
  3. リガンドがヒトトロンボポエチンである、請求項1に記載の方法。
  4. 0.8〜80マイクログラムのTpo受容体リガンドが投与される、請求項1に記載の方法。
  5. 有効量のリガンドがTpo受容体リガンド血中レベル0.1〜10.0ng/mlをもたらす、請求項3に記載の方法。
  6. リガンドが天然に存在するトロンボポエチン、組換えトロンボポエチンおよび哺乳類トロンボポエチンの改変体に実質的に匹敵する生理学的および生物学的特性を有するトロンボポエチンの改変体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 2〜6マイクログラムのTpo受容体リガンドを含んでなる医薬投与量が投与される、請求項1に記載の方法。
  8. リガンドが薬学上許容される担体をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
  9. リガンドがドナー器官に供給される、請求項1に記載の方法。
  10. リガンドが虚血イベントの発生時または虚血イベントの後に投与される、請求項1に記載の方法。
  11. リガンドが虚血イベントの前に投与される、請求項1に記載の方法。
  12. リガンドが経口、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、経皮、鼻腔または坐剤からなる群から選択される方法で投与される、請求項1に記載の方法。
  13. (b)患者の血小板総数を評価することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. (b)虚血の有害作用の軽減を評価することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  15. 哺乳類組織器官を虚血の有害作用から保護する量のTpo受容体リガンドエフェクターを含んでなり、0.6〜60マイクログラムのTpo受容体リガンドを含む、医薬組成物。
  16. 組成物が3〜5マイクログラムのTpo受容体リガンドを含む、請求項15に記載の組成物。
  17. Tpo受容体リガンドが天然トロンボポエチンおよび組換えトロンボポエチンからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
  18. Tpo受容体リガンドがヒトトロンボポエチンからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
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