JP2009523434A - アミコラトプシス・ムジテラネイ細胞を利用した11ベータ−ヒドロキシ−9ベータ,10アルファ−ステロイドの製造方法 - Google Patents

アミコラトプシス・ムジテラネイ細胞を利用した11ベータ−ヒドロキシ−9ベータ,10アルファ−ステロイドの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、一般式(I)
【化1】
Figure 2009523434

の9β,10α−ステロイドの微生物変換のためのアミコラトプシス・ムジテラネイ(Amycolatopsis mediterranei)種の菌株の使用、それらの対応する11β−ヒドロキシルアナログ、並びにその種の特定の株に関する。更に、本発明は9β,10α−ステロイドの変換方法、アミコラトプシス・ムジテラネイ種の菌株を使用する、それらの対応する11β−ヒドロキシル誘導体、及びその後の該11β−ヒドロキシル誘導体の細菌培養培地からの単離に関する。結果として生じた11β−水酸化生成物は、11β−位に異なる種類の置換基をもつ9β,10α−配座を有する新規のステロイド化合物の製造に有用な中間体である。

Description

発明の分野
本発明は、9β,10α−ステロイド(レトロステロイド)の微生物変換のためのアミコラトプシス・ムジテラネイ(Amycolatopsis mediterranei)種の菌株の使用、それらの対応する11β−ヒドロキシルアナログ、並びにその種の特定の株に関する。更に、本発明は9β,10α−ステロイド(レトロステロイド)の変換方法、アミコラトプシス・ムジテラネイ種の菌株を使用するそれらの対応する11β−ヒドロキシル誘導体、及びその後の11β−ヒドロキシル誘導体の細菌培養培地からの単離に関する。結果として生じた11β−水酸化生成物は、11β−位に異なる種類の置換基をもつ9β,10α−配座を有する新規のステロイド化合物の製造に有用な中間体である。
発明の背景
本発明の背景、特に、当該実施を配慮した更なる詳細を提供する実例を明らかにするために本明細書中で使用された刊行物および他の資料は、参照により本明細書に援用されるが、先行技術であるとは認められない。
レトロステロイド
レトロステロイド、即ち、9β,10α−配座を有するステロイドは、現状技術において公知である。以下の式(I−1)
Figure 2009523434
の商業的に入手可能な化合物ジドロゲステロン((9β,10α)−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン)は、経口活性プロゲステロン性ホルモンであり且つ一般的に体内のプロゲステロンの欠乏を適正にするために使用される。照射及び光化学反応によるジドロゲステロンの合成は、例えば、欧州特許EP0152138B1号(US4,601,855号)及びEP0558119B1号(US5,304,291号)内に記載されている。
更に公知のレトロステロイドは、例えば、US3,937,700号内で開示された1,2−メチレン−3−ケト−Δ4,6−ビスデヒドロ−6−ハロ−9β,10α−ステロイド及びBE652,597号及びUS3,304,314号内に記載された3−ケト−Δ4,6−ビスデヒドロ−6−ハロ−9β,10α−ステロイドである。更に、特許US3,555,053号は、6−ハロ−又は6−アルキル−9β,10α−ステロイドの製造方法を記載している。いくつかの6,7−デヒドロ−9β,10α−ステロイドは、ウェスターホフ&ハルトフ(Westerhof & Hartog)[1965年]により記載されている。更なるレトロステロイドの合成は、いくつかの16−メチレン−17α−アセトキシ−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン誘導体のハルトフら[1972年]内に、及び1,2β−メチレン−17α−アセトキシ−9β,10α−プレグナンのハルケス(Halkes)ら[1972年]内に開示されている。更に、18−アルキル−9β,10α−プレグナン誘導体は、バン・モオルセラアル&ハルケス(Van Moorselaar & Halkes)[1969年]により開示されている。しかしながら、これまでに公知のレトロステロイド性化合物は全て、プロゲステロン性活性を有するため、即ち、プロゲステロン受容体アゴニストであるため発展した。
更に、ホルモン性活性を示し且つC11位にヒドロキシ又はエステル化ヒドロキシ置換基を有するレトロステロイドは、既にGB1,111,320号内に記載された。特に記載された化合物又は中間体は、
11β−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン(CAS No.22413−62−3)、
11β−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン(CAS No.10007−43−9)、及び
11β−17α−ジヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン(CAS No.4076−89−5)、
並びにそれらの11β−アセトキシ誘導体であり、該誘導体は対応する11β−ヒドロキシ化合物から化学修飾により得られたものであった。
アゴニスト、部分的なアゴニスト(即ち、部分的な活性化体及び/又は組織特異性活性化体)及び/又は有利には均衡したアゴニスト/アンタゴニストプロフィールを示す、プロゲステロン受容体のアンタゴニストである化合物は、女性の健康増進のために非常に価値があるものと考えられているので、新規な化合物の開発がまだ必要とされている。該化合物は、改良されたアゴニスト及び/又はアンタゴニストの状態でプロゲステロン受容体を治療上調整し、他のステロイドホルモン受容体に対して現在公知の化合物よりも高いプロゲステロンの受容体−選択性を示し、そして良好な組織−選択性(例えば、乳房組織に対する子宮組織の選択性)をもたらす。C11β−位に異なる種類の置換基をもつレトロステロイド化合物はこの目的を果たし得る。しかしながら、該化合物がGB1,111,320号に開示されているにも関わらず、C11β−位に置換基をもつレトロステロイド誘導体は、これまで全く開示されていなかった。
従って、本発明の主な態様は、C11β−位に異なる種類の置換基をもつ9β,10α−配座を有する新規のステロイド化合物の製造に有用な重要中間体化合物を提供すること並びに高収率及び高収量の所望の中間体を得る方法を提供することである。これらの重要中間体は、有利には、C11β−位にステロイド核のヒドロキシ基を有し且つ11β−ヒドロキシ−ジドロゲステロン、11β−ヒドロキシ−9β,10α−プロゲステロン及びそれらの誘導体を含む。
微生物変換−ステロイド核のC11位の水酸化
ステロイド核のC11−位の水酸化を含む、ステロイド化合物の微生物変換は、現状技術において公知の方法である。典型的には、アスペルギルス種又はクモノスカビ属の真菌株は、9α,10β−配座を有するステロイドの11α−水酸化のために使用される(例えば、欧州特許出願EP0028309号、及び米国特許第6,046,023号に開示される)。9α,10β−配座を有するステロイドの11β−水酸化は、クルブラリア属(米国特許第4,353,985号)、又は更に特にクルブラリア・ルナータ属(米国特許第4,588,683号)、又はコクリオボラス・ルナータス(Cochliobolus lunatus)属[Zakelj-Mavricら、1990年]などの菌類(funghi)を使用することによって達成される。
レトロステロイドの水酸化
van der Sijdeらによる刊行物[1966年]は、レトロステロイドの、例えば、9β,10α−プロゲステロンのC11−水酸化を扱い、真菌株アスペルギルス・オクラセウス(Aspergillus ochraceus)NRRL405を扱う。しかしながら、レトロステロイド核の水酸化は11α−位で起こった。
Saucyらによる別の刊行物[1966年]はまた、11α−水酸化用のアスペルギルス・オクラセウス(Aspergillus ochraceus)及び11β−水酸化用の現れていない微生物を使用しながら、レトロステロイドをC11位で微生物により水酸化することを開示している。
特許明細書GB1,111,320号は、C11位でいくつかの特定のレトロステロイドを微生物により水酸化することを開示した。特に、本明細書は、分類学上の部分群の微生物である不完全菌類(Funghi imperfecti)、子嚢菌類、フィトミセテス(Phytomycetes)類、担子菌類又は放線菌類を用いて、対応する11−非置換レトロステロイドを発酵させることを含むいくつかの11β−ヒドロキシ−レトロステロイドの製造方法を示した。特に水酸化法を実施するのに適した前述の分類学上の部分群の特定の株として、グリオクラジウム・カテヌラタム(Gliocladium catenulatum)、グリオクラジウム・ロソイム(Gliocladium roseum)、ヘリコスチルウム・ピリホルム(Helicostylum piriforme)、ペニシリウム・カネセンス(Penicillium canescens)、ムコル・グリセオシアヌス(Mucor griseocyanus)、ムコル・コリンビフェル(Mucor corymbifer)、コアネホラ・シルシナンス(Choanephora circinans)、ノカルジア・ルリダ(Nocardia lurida)(=アミコラトプシス・オリエンタリス(Amycolatopsis orientalis)亜種ルリダ(lurida))、ストレプトミセス・リモサス(Streptomyces rimosus)及びストレプトミセス・フラジア(Streptomyces fradiae)が挙げられる。与えられた実施例は、9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン(ジドロゲステロン)、9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン(9β,10α−プロゲステロン)又は17α−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオンの水酸化、即ち、ジドロゲステロンに対応する又は最も類似したレトロステロイドの水酸化を示し、これは以下の株:ノカルジア・ルリダ(Nocardia lurida)、ペニシリウム・カネセンス(Penicillium canescens)、グリオクラジウム・カテヌラツム(Gliocladium catenulatum)、ヘリコスチルウム・ピリホルム(Helicostylum piriforme)、コアネホラ・シルシナンス(Choanephora circinans)、ストレプトミセス・フラジア(Streptomyces fradiae)、ムコル・グリセオシアヌス(Mucor griseocyanus)、及びストレプトミセス・リモサス(Streptomyces rimosus)を使用する。開示された発酵法の主な欠点は、所望の発酵生成物の収率が比較的低いことであった。これは典型的には2〜10%の間、ある実施例において30%以下の対応する遊離体であった。
アミコラトプシス・ムジテラネイ
アミコラトプシス・ムジテラネイ細菌種はまた、以前はストレプトミセス・ムジテラネイ(Streptomyces mediterranei)及びノカルジア・ムジテラネイ(Nocardia mediterranei)の名称で公知であった[Margalith及びBeretta、1960年、並びにLechevalierら、1986年]。アミコラトプシス・ムジテラネイは、放線細菌の類、特に分類学上の部分群の放線菌類に属し、そしてアミコラトプシス属に属す。いくつかの株がこの種から公知であり且つ公的な微生物寄託所、例えば「Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen」、DSMZ(住所:Mascheroder Weg 1b、D−38124ブラウンシュヴァイク、独国)、例えばDSM43304(またATCC13685、CBS121.63、CBS716.72、DSM40501、IFO13415、IMET7651、ISP5501、JCM4789、KCC S−0789、LBGA3136、NBRC13142、NBRC13415、NCIB9613、NRRL B−3240、RIA1376、又はVKM Ac−798の下で他の微生物寄託所にも寄託される)、DSM40773、及びDSM46096(またATCC21411、IMET7669の下で他の微生物寄託所にも寄託される)から入手可能である。
アミコラトプシス・ムジテラネイ株は、抗生作用活性化合物リファマイシンBの微生物産生で公知である;しかしながら、これまでこの種はステロイド化合物の水酸化、特にレトロステロイドのC11β−水酸化について記載されなかった。
微生物培養からのステロイドの精製方法
発酵工程の産物は典型的には、純粋な化合物を得るために、ろ過(菌糸の除去)、抽出、任意にクロマトグラフィによる精製、結晶化及びその後の再結晶化の多段階の工程により培養培地から単離される。例えば、特許明細書GB1,111,320号に開示された微生物による水酸化産物は、数回の液-液抽出工程及びその後のカラムクロマトグラフィ又は更なる精製のための再結晶化を含む十分に練られた手順によって発酵バッチから得られ、それによって有毒な及び/又は不健康な有機溶剤、例えばベンゼン又は四塩化炭素が使用される。
従って、レトロステロイド化合物を微生物により11β−水酸化するための最適化工程、特に高い効力及び高い収率でこの水酸化工程を実行することが可能な細菌種及び対応する株を同定することが依然として求められている。
発明の概要
本発明の目的は、C11β−ヒドロキシル基を有するレトロステロイド化合物を容易に且つ定量的に製造するための新規な微生物変換法を開発することであった。該化合物は、公知のプロゲステロンアゴニストのジドロゲステロンのレトロステロイド核をベースとする新規なプロゲステロン受容体調節因子化合物を合成するための主要な中間体として有用である。従って、本発明の目的は、高い効率及び高い収率でジドロゲステロンと同一及び類似のレトロステロイドの11β−水酸化が可能な微生物種を同定することである。
驚くことに、アミコラトプシス・ムジテラネイ種の細菌微生物を使用することによって、一般式(I)
Figure 2009523434
(式中、
R1及びR4は一緒に酸素を形成し、又は
R4はβ−アセチル基でありR1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、そして
R2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成する)の9β,10α−ステロイド(レトロステロイド)化合物を、その対応する11β−ヒドロキシルアナログに変換できることが見出された。
ある実施態様において、前述の変換において使用された9β,10α−ステロイド(レトロステロイド)化合物は、一般式(II)
Figure 2009523434
(式中、
R1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され;そして
R2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成する)の化合物により示される。
更なる実施態様は、前述の変換のためのアミコラトプシス・ムジテラネイ種の細菌微生物の使用に関し、該細菌微生物はアミコラトプシス・ムジテラネイLS30、DSM43304(ATCC13685、CBS121.63、CBS716.72、DSM40501、IFO13415、IMET7651、ISP5501、JCM4789、KCC S−0789、LBG A3136、NBRC13142、NBRC13415、NCIB9613、NRRL B−3240、RIA1376又はVKM Ac−798に対応する)、DSM40773、及びDSM46096(ATCC21411、IMET7669に対応する)からなる群から選択される株である。有利に使用される微生物は、「Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen」、DSMZ(住所:Mascheroder Weg 1b, D-38124ブラウンシュヴァイク、独国)においてDSM17416として寄託されているアミコラトプシス・ムジテラネイLS30菌株である。
前記微生物変換に使用されるある特定の微生物は、アミコラトプシス・ムジテラネイLS30菌株であり、これは新規に同定されたがこれまでに文献に記載されなかった。該菌株LS30は、肉眼的及び顕微鏡的外観(コロニーの形態)に基づき、化学分類による分類(脂肪酸パターン)に基づき、並びに比較16S rRNA塩基配列決定法に基づき、アミコラトプシス・ムジテラネイ種に属すことを特徴とした。従って、本発明はまた、「Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen」、DSMZ(住所:Mascheroder Weg 1b, D-38124ブラウンシュヴァイク、独国)においてDSM17416として寄託されているアミコラトプシス・ムジテラネイLS30菌株に関する。
一般式(I)のレトロステロイド化合物の変換時に、それらの11β−ヒドロキシルアナログが、以下の一般式(IV)
Figure 2009523434
(式中、
R1及びR4は一緒に酸素を形成し、又はR4はβ−アセチル基でありR1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、そしてR2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成する)により表される変換生成物として得られる。
一般式(II)のレトロステロイド化合物の変換時に、それらの11β−ヒドロキシルアナログが、以下の一般式(V)
Figure 2009523434
(式中、
R1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、そして
R2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成する)により表される変換生成物として得られる。
一般式(IV)及び(V)の前記化合物は、所望の主要な中間体化合物であり、これはC11β位において異なる種類の置換基をもつ9β,10α−配座を有する新規のステロイド化合物の製造に有用である。
一般式(V)の範囲に入る幾つかの特定の化合物、例えば11β−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン(CAS No.22413−62−3)、11β−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン(CAS No.10007−43−9)、及び11β−17α−ジヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン(CAS No.4076−89−5)は既に公知である;しかしながら、一般式(V)の残りの化合物は新規であり、また本発明の一部を形成する。
従って、本発明の更なる目的は、一般式(V)
Figure 2009523434
(式中、
a)R1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、R2及びR3は一緒にメチレン基を形成し、又は
b)R1は−O−(C−C)アルキル及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、R2及びR3は共に水素を表し;又は
c)R1は−OHであり、R2及びR3は共に水素を表し、そして該化合物は4,6−ジエンである)の11β−ヒドロキシ−レトロステロイド化合物を提供することである。
一実施態様において、11β−ヒドロキシ−レトロステロイド中間体化合物は、
11β−ヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
17α−エトキシ−11β−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
17α−エトキシ−11β−ヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
11β−17α−ジヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
11β−17α−ジヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
11β−ヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン、
17α−エトキシ−11β−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン、
17α−エトキシ−11β−ヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン、及び
11β−17α−ジヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオンからなる群から選択される。
本発明の目的は、前記中間体化合物を送達するための新規な且つ改良された方法を開発することであるため、本発明の更なる態様は、一般式(I)
Figure 2009523434
(式中、
R1及びR4は一緒に酸素を形成し、又は
R4はβ−アセチル基でありR1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、そして
R2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成する)のレトロステロイド化合物の、その対応する11β−ヒドロキシルアナログへの、インビトロでの微生物変換方法であって、式(I)の化合物と、式(I)の化合物のその対応する11β−ヒドロキシルアナログへの変換が実行可能なアミコラトプシス・ムジテラネイ種の細菌構成員とを(好適な)発酵培地において接触させることを含む方法に関する。
ある実施態様において、本発明は一般式(II)
Figure 2009523434
(式中、
R1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され;そして
R2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成する)のレトロステロイド化合物の、その対応する11β−ヒドロキシルアナログへの、インビトロでの微生物変換方法であって、式(II)の化合物と、式(II)の化合物のその対応する11β−ヒドロキシルアナログへの変換が実行可能なアミコラトプシス・ムジテラネイ種の細菌構成員とを(好適な)発酵培地において接触させることを含む方法に関する。
本発明の更なる実施態様は、一般式(III)
Figure 2009523434
(式中、
R1は水素又は−O−(C−C)アルキルであり;そして
R2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成する)の9β,10α−ステロイド化合物の、その対応する11β−ヒドロキシルアナログへの、インビトロでの微生物変換方法であって、式(III)の化合物と、式(III)の化合物のその対応する11β−ヒドロキシルアナログへの変換が実行可能なアミコラトプシス・ムジテラネイ種の細菌構成員とを(好適な)発酵培地において接触させることを含む方法に関する。
更に、本発明は、上記で定義された一般式(IV)及び/又は(V)の所望の11β−ヒドロキシ−レトロステロイド化合物を発酵ブロスから単離するための最適化された方法に関する。従って、本発明はまた、上記で定義された一般式(I)、(II)又は(III)のレトロステロイド化合物の変換後に、アミコラトプシス・ムジテラネイ種の一部を用いて、前記11β−ヒドロキシルアナログを発酵培地(=細菌培養培地)から単離する方法に関し、それによって該11β−ヒドロキシルアナログは、以下の工程:
a)任意に細菌細胞、細菌細片、粘滑質及び固形物を除去した発酵培地から上清を得る工程、
b)工程a)において得られた上清、前記上清の容積を減らすことによって形成された濃縮物、及び前記上清の膜濾過によって得られた濃縮水からなる群から選択された上清材料と、該上清材料中に含有される11β−ヒドロキシルアナログの吸着に十分な量の非イオン半極性高分子吸着樹脂とを接触させ、それにより11β−ヒドロキシルアナログで充填された非イオン半極性高分子吸着樹脂が得られ、その後充填された吸着樹脂を残りの上清材料から分離させる工程;
c)充填された吸着樹脂を、少なくとも12.0、有利には12.5〜14のpH値を有するアルカリ性水性洗浄液で洗う工程;
d)任意に、充填された吸着樹脂を水で洗浄する、中間洗浄工程を行う工程;及び
e)洗浄された吸着樹脂と、その上に吸着された11β−ヒドロキシルアナログの脱着に十分な量の溶離液とを接触させる工程であって、前記溶離液は、水混和性エーテル、低級アルカノール、及び低級脂肪族ケトンからなる群から選択される少なくとも1種の水混和性有機溶剤又は任意にアルカリ性にされた水と水混和性エーテル、低級アルカノール、及び低級脂肪族ケトンからなる群から選択される少なくとも1種の水混和性有機溶剤との混合液を含む工程、及び
f)11β−ヒドロキシルアナログを含有する溶離物を吸着樹脂から分離し、任意に容積減少により溶離液を濃縮させる工程
を含む方法によって発酵培地から単離される。
発明の詳細な説明
定義:
本明細書において使用されるように、以下の用語は、特に明示的な記載のない限り、以下の意味で定義される。
本明細書において使用されるように、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、本明細書では、開かれた、非限定の意味で使用される。
「化合物」という語は、特に記載のない限り、本明細書では、任意の及び全ての異性体(例えば、鏡像異性体、立体異性体、ジアステレオマー、回転異性体、互変異性体)又は任意の異性体の混合物、プロドラッグ、及び前記化合物の任意の製薬学的に許容される塩を包含するものとして解釈されるべきである。
複数の形態が化合物、塩等に使用される場合、これも単一の化合物、塩等を意味するものとして解釈される。
本発明の化合物は、種々の置換基の性質に応じて、分子、例えば、キラル炭素原子上に少なくとも1種の不斉中心を含有し得る。係る不斉中心の場合、該化合物は従って2つの光学活性の立体異性体の形態で又はラセミ体として存在し得る。本発明は、例えば、9β,10α−配座について又はC11β配座について又はC17β−アセチル基について、文書中で又は示された構造式内で特に示されない限り、ラセミ混合物と異性体的に純粋な化合物との両方を含むべきである。本発明の化合物は、種々の置換基の性質に応じて、分子上に更なる不斉中心を含有し得る。場合によっては、規定の化合物の2つの芳香環に隣接する中心結合の周りの束縛回転のために、非対称もまた存在し得る。目的とすることは、全ての異性体(鏡像異性体及びジアステレオマーを含む)が、上述の不斉中心の性質又は束縛回転のいずれかによって、分離された、純粋な又は部分的に純化された異性体又はそれらのラセミ混合物として、本発明の範囲内に含まれることである。
全ての不斉炭素原子は、(R)−、(S)−又は(R,S)−配座、有利には(R)−又は(S)−配座の内で、どちらか最も活性な方で存在し得る。二重結合又は環における置換基は、シス−(.=Z−)又はトランス(=E−)の形態で存在し得る。
「レトロステロイド」という用語は9β,10α配座を有するステロイド化合物を指す。
「置換された」という用語は、規定の基又は部分が1個以上の置換基を有することを意味する。任意の基が複数の置換基を有し、種々の可能な置換基が与えられる場合、該置換基は無関係に選択され、同一である必要はない。「非置換の」という用語は、規定の基が置換基をもたないことを意味する。「任意に置換された」という用語は、規定の基が1個以上の置換基により置換されない又は置換されたことを意味する。
「ヒドロキシル」又は「ヒドロキシ」という用語は−OH基を指す。
「アルキル」という用語は、アルキル基が一般に1〜12個の炭素原子を含むために、単一の又は複数の分枝形成を有する、直鎖状、環状又は分枝鎖状であってよい炭化水素基を意味する。ある実施態様において、「アルキル」という用語は、(C−C)アルキルという用語によって例示された、1〜4個の炭素原子の直鎖状又は分枝鎖状の(単一又は複数の分枝形成を有する)アルキル鎖を意味する。(C−C)アルキルという用語は、更にメチル;エチル;n−プロピル;イソプロピル;n−ブチル;sec−ブチル;イソブチル;及びtert−ブチルなどの基によって例示される。アルキル又は(C−C)アルキル基は部分的に非置換であってよく、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、及びブテニルなどの基を形成する。「アルキル」という用語は更にシクロアルキル基、有利にはシクロ(C−C)アルキルを含み、これはシクロプロピル又はシクロブチル、及びそれらの異性体形態、例えばメチルシクロプロピルを指す。シクロアルキル基はまた部分的に不飽和であってよい。更に、(C−C)アルキルという用語はまた、シクロプロピルメチル基を含む。
「メチレン」という用語は−CH−を指す。
「アセチル」という用語は−CO−CHを指す。
化合物の番号付け(命名法)
更に、類似の構造であるが置換基が異なる化合物の名称の統一性を維持するために、本発明に記載された化合物は以下の一般的なガイドラインに従って名称が付けられている。係る化合物の置換基の位置に関する番号付けの体系も与えられる。
プレグナン誘導体のステロイド核の炭素原子は、以下の一般的なスキームに従って番号付けられる:
Figure 2009523434
ジドロゲステロン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン−は以下の式(I−1)を有する:
Figure 2009523434
レトロプロゲステロン−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン−は以下の式(I−3)を有する:
Figure 2009523434
一般的な構造式は、典型的にはローマ字書式I、II、III等の番号で示される。中間体は、対応する一般式の番号と同じローマ字書式の番号で示される。また一般式Iの範囲内に入る特定の誘導体については、更なる文字又は番号、例えばI−2で示される。本発明の化合物はNo.1、No.2等で示される。
省略形及び頭字語
BV 床容積
d 日数
DCM ジクロロメタン
DDQ 2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノネゾキノン(dicyanonezoquinone)
DM 乾物
DMSO ジメチルスルホキシド
DSMZ Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィ
LAH 水素化アルミニウムリチウム
min 分
NMMO N−メチルモルホリン−N−オキシド
rpm 毎分回転数
一般式(I)の遊離体
一般式(I)
Figure 2009523434
(式中、
R1及びR4は一緒に酸素を形成し、又は
R4はβ−アセチル基でありR1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、そして
R2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成し、
そして本発明の方法における出発材料として使用される)の9β,10α−ステロイド(レトロステロイド)化合物は、公知の化学反応及び手順の使用により公知のレトロステロイドから製造され得る。それにもかかわらず、以下の一般的な製造方法は、本発明において使用される遊離体を合成する際に、読み手を補助するために示されている。これらの方法の全ての可変基は、これらが特に以下に規定されていない場合、一般的な記述で記載される。
それぞれ特許請求された任意の官能基を有する本発明の遊離体の幾つかは、以下に挙げられた各方法によって製造できないことが確認された。各方法の範囲内で、任意の置換基が試薬又は中間体上にみられ、該基は保護基あるいはその反対に無関係の基として働き得る。当業者に公知の方法を用いると、これらの基は、本発明の化合物をもたらす合成スキームの過程の間に導入及び/又は除去される。
本発明の化合物を合成するための一般的なスキームについての段階の順序は以下に示される。各スキームにおいて、R基(例えば、R1、R2等)は、明細書及び実施例で述べられた特定の置換パターンに対応する。
Figure 2009523434
スキームIは、式(I−1)の商業的に入手可能なジドロゲステロン(9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン)が1,2位でメチレン基に置換される任意の反応を示す。この1,2−メチレン基の導入は、Halkesら[1972年]によって記載され且つ米国特許第3,937,700号内で脱水素及びその後のジメチル−スルホキソニウムメチリドとの反応によってできた17α−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4,6−ジオンについて記載された公知の手順に従って実施され得る。
Figure 2009523434
スキームIIに従って、一般式I−1,2の任意に1,2メチレン置換された9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンは、次に米国特許第3,555,053号に開示された手順に従って、還元条件下で一般式I−3,4の対応する9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン(9β,10α−プロゲステロン)に変換される。
Figure 2009523434
一般式(I−A)(式中、R11は−H、−(C−C)アルキル、又は−CO−(C−C)アルキルである)の化合物を得るために−スキームIIIに示されたような−C17α位での付加的な側鎖の導入は、Halkes & van Moorselaar[1969年]により記載された手順による方法によって成され、また米国特許第3,555,053号及び3,937,700号内の17α−ヒドロキシ基の導入及び任意にその後の炭素原子17でのヒドロキシル基のエーテル化又はエステル化によって成され得る。所望の場合には、一般式(I−B)の化合物を得るために、C6−C7位の二重結合は脱水素によって再導入できる。
C17位の官能化はC17アルファ位での−OH基の導入により開始される:例えば、式I−3又はI−4の(9β,10α)−プレグナ−4−エン−3,20−ジオンは、好適な還元剤、例えば、水素化アルミニウムリチウム(LAH)を使用して対応する3,20−ジオールを生成させることによって還元できる。3−ヒドロキシ基は、次に芳香族溶剤又は二酸化マンガン中で選択的な酸化剤、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノネゾキノン(DDQ)を用いて選択的に再酸化される。得られた20−ヒドロキシ−(9β,10α)−プレグナ−4−エン−3−オンは、更にピリジン中でのトシルクロリドによるトシル化によって更に脱水される。その後ピリジンを煮沸して生じたトシラートを処理することによって、17,20不飽和の誘導体がシス及びトランス異性体の混合物中にもたらされる。次に、後者の化合物は、触媒量の四酸化オスミウムの存在下で、アミンオキシド、例えば、N−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)を化学量論的酸化剤及び付加的過酸化水素として使用することによって酸化され、対応する17α−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオンが生成する。
この化合物は、炭素原子C17のヒドロキシル基においてエーテル化又はエステル化反応を受けることによって更に修飾され得る。この反応は一般的にベルギー国特許明細書BE577,615号又は米国特許第3,937,700号内に記載されている。好適なアシル化剤は、例えば、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酸無水物又はピリジン−HClなどの触媒の存在下であるいは有機塩基、例えばコリジンなどの酸バインダーの存在下で、カルボン酸、カルボン酸無水物又はカルボン酸塩化物である。アシル化反応は、炭化水素、例えば、ベンゼン又はトルエンなどの溶剤の存在下で行われる。反応温度は室温と使用された溶剤の沸点との間で変化してよい。−出発材料が、17−OH基を別にして、1個以上の更なるOH基を含有する場合−これらもまたエステル化されるので、更なるOH−基は先に保護されなければならない。あるいは、アルキル化反応は、AgOの存在下でハロゲン化アルキルを用いる反応によって又は弱酸性、弱アルカリ性もしくは中性溶液中でのジヒドロピランもしくはジヒドロフランの反応によって行われ得る。
最終的には、得られた化合物が再び脱水素化されて一般式I−Bの4,6不飽和誘導体が与えられ得る。
Figure 2009523434
スキームIVに従って、一般式I−1,2,3,4の任意に1,2メチレン置換された9β,10α−プレグナ−4−(6−ジ)−エン−3,20−ジオンは、Halkes & van Moorselaar[1969年]によって記載されたように、中間体18−メチル−9β,10α−プレグナ−4,17(20)−ジエン−3−オン又は中間体18−メチル−9β,10α−プレグナ−4,6,17(20)−トリエン−3−オンの還元、酸化及び除去の順序の後のオゾン分解によって、一般式I−Cの対応する18−メチル−9β,10α−アンドロスト−4−(6−ジ)−エン−3,17−ジオンに更に変換され得る。
微生物11β−水酸化の方法
一般的な実施
この方法は通常の方法で実施される。このために、典型的には最初に菌株用の滅菌栄養液(=培地)が製造される。次に、この栄養液は、典型的には寒天平板から幾つかのコロニーを引っ掻いてこれらを該培地に懸濁させることによって、菌株で接種され、その後培養される。任意に、第2の前培養物を、新たな栄養液を一定量の得られた培養懸濁液で接種することによって準備してよい。この方法で製造された前培養物を、次いで、好適な栄養液をも含有する発酵槽に添加する。有利には、株の培養物の増殖期後、出発基質−一般式Iの化合物−を次いで発酵槽に添加し、本発明による反応−一般式Iの化合物の、対応する一般式IVの11−水酸化化合物への変換−を進ませることができる。この反応が停止した後、基質の混合物を、通常の方法で又は本発明による方法で純化して所望の11β−水酸化レトロステロイドを単離する。
アミコラトプシス・ムジテラネイ株
本発明によって提供された方法は、アミコラトプシス・ムジテラネイ種の微生物が11β−ヒドロキシ基を11−非置換9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン及び9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン誘導体に導入することが可能であるという発見に基づく。これらの菌株は、土壌などの天然材料から得られ且つまた公的な微生物寄託所で入手可能であるが、炭素源としてレトロステロイドを利用できるか又は他の同化可能な炭素源の存在下でこれらのステロイドに耐えることができる。
従って、上記で定義された式IV又はVのレトロステロイドを製造するための本発明によって提供された方法は、対応する11−非置換レトロステロイドをアミコラトプシス・ムジテラネイ種の一部で発酵させることを含む。本発明の方法を実施するのに有効である特定のアミコラトプシス・ムジテラネイ株の例として、新たに同定された株LS30並びに、公的な微生物寄託所から入手可能な株、例えば、DSM43304(ATCC13685、CBS121.63、CBS716.72、DSM40501、IFO13415、IMET7651、ISP5501、JCM4789、KCC S−0789、LBG A3136、NBRC13142、NBRC13415、NCIB9613、NRRL B−3240、RIA1376、VKM Ac−798に対応する)、DSM40773、及びDSM46096(ATCC21411、IMET7669に対応する)が挙げられる。一実施態様において、アミコラトプシス・ムジテラネイLS30株は、DSMZ(「Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen」)においてDSM17416として寄託されたアミコラトプシス・ムジテラネイ株である。
分子生物学の方法によって、化学的方法(例えば、亜硝酸化合物での処理)によって又は物理的な方法(例えば、照射)によって生じたアミコラトプシス・ムジテラネイ株の突然変異株もまた、本発明の方法において使用してよい。あるいは、11−非置換レトロステロイドを発酵させる酵素(1種又は複数種)と、細菌培養物又は栄養培地から除去することもでき且つ生存細胞がない状態でステロイド基質とを接触させることができる。有利には、菌株自体が本発明の実施において使用されて追加の製造工程を回避する。菌株又はそれから単離された酵素は、所望の場合には好適な基質上に固定できる。
本発明の方法は、例えば、GB1,111,320号内に示されるように、放線菌種による11β−水酸化にいつも通りに利用されるという条件下で実施される。
栄養液(栄養培地)
本発明の方法において使用されたアミコラトプシス・ムジテラネイ株は、土壌又は液体の栄養液(=培地)上で培養することができ、該液は同化可能な窒素の源、同化可能な炭素の源及び無機塩を含有する。
同化可能な窒素の好適な源として、動物、植物、微生物及び無機化合物、例えば、肉エキス、ペプトン、コーンスティープ、酵母エキス、グリシン及び硝酸ナトリウム、又はそれらの混合物が挙げられる。同化可能な炭素の好適な源として、全ての糖類及びそれらの高分子類(例えば、スターチ、デキストリン、サッカロース、マルトース及びグルコース)及びアミノ酸、タンパク質、ペプトン、脂肪酸、脂肪及びステロイド(特にレトロステロイド)並びにそれらの混合物が挙げられる。有利には、栄養培地は、窒素源として2.5%(w/w)以下、有利には0.2〜2%の量の酵母エキスを含有し且つ炭素源として20%(w/w)以下、有利には5〜10%の量のグルコースを含有する。
該培地は微量元素(天然に存在する又は添加される)を含有してよく、該元素は鉱物又は有機成分から入手可能である。鉄の存在は特に望ましい。有利には、栄養培地はFe3+の形態の鉄を、0〜200mg/ml(FeCl)、有利には約50mg/mlFeClの濃度で含有する。硫黄は有機又は無機化合物の形態で存在してよく、これらの化合物は他の培地の成分中に存在するか又はこれらを特別に添加してよい。同じことがリンに当てはまるが、一般にこれは無機塩として存在する。
要求又は要望に従って、更なる増殖因子又は刺激剤、例えば、ビタミン類(例えば、ビオチン又はピリドキシン)又はアウキシン類(例えば、インドリル−酢酸)をこの培地に添加してよい。
感染予防のために、この培地を滅菌してよく、更に、例えば、細菌の増殖を阻害する材料を備えてよい。
より大きな容積の培養培地の場合、特に発酵槽において、消泡剤を該培地に添加してよい。任意に、発泡の程度を、消泡剤の電極で測定し且つ消泡剤の自動的な添加によって制御してよい。消泡剤は、例えば、ケイ素ベースの消泡剤又は界面活性剤、例えば、PEG又はPPGを含む。
培養条件(pH値、温度、インキュベーション時間)
接種の前に、栄養培地のpH値を近似の範囲内で望ましく調整する:アミコラトプシス・ムジテラネイの増殖に最適なpH値は5〜8、有利には7.0〜7.5である。培養温度は有利にはアミコラトプシス・ムジテラネイの最適な増殖温度に設定され、それは18℃〜40℃、有利には25〜35℃、最も有利には28〜32℃である。
しかしながら、概して、アミコラトプシス・ムジテラネイは微生物変換法を開始する前に一定の前増殖期が許される。典型的には、細菌は96時間以下、有利には約12〜約72時間、更に有利には約24〜約48時間にわたって培養される。しかしながら、実の増殖期は、接種に使用される前培養物の容積と歳に従って変化し、また培養培地の容積に従って変化し得る。有利には、変換過程が式(I)のレトロステロイドの添加によって開始される時、細菌はそれらの指数増殖期の中間期又は後期にある。
液中発酵技術を利用してよい。有利には、エアレーション下(例えば、回転振盪器上の発酵培地を収容するフラスコをある速度で振盪することによって、又は無菌の空気を−発酵槽中で−攪拌及び発酵培地に通気することによって)で培養物を増殖させる。
11−非置換レトロステロイド(9β,10α−ステロイド)(=「遊離体」又は「基質」)の添加
式(I)の11−非置換レトロステロイドは、アミコラトプシス・ムジテラネイの増殖のいずれの期にも発酵バッチに添加してよい。しかしながら、有利には、アミコラトプシス・ムジテラネイは、上記で述べられたように一定の前増殖期が許されるので、11−非置換レトロステロイドは発酵開始の12〜96時間後に初めて添加される。変換されるべき11−非置換レトロステロイドは、任意の簡便な方法で添加してよいが、有利には、11−非置換レトロステロイドと細菌との間に最大接触面が生ずるように添加してよい。例えば、11−非置換レトロステロイドを、培地中の機械的な分散によって粉末として又は分散剤を用いて乳化形態で培養物に添加するか、あるいはそれを水混和性の有機溶剤(例えば、アセトン、プロピレングリコール、グリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド及びアルコール、例えば、メタノール又はエタノール)に溶解させて溶液中に添加してよい。しかしながら、使用される係る溶剤が細菌に悪影響を及ぼす水準よりも低い水準を維持するように、即ち、一般的に約1体積パーセント未満を維持するように注意しなければならない。11−非置換レトロステロイド基質の乳化は、例えば、該基質を、微粉化された形態で又は水混和性溶剤(例えば、メタノール、エタノール、アセトン、グリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシド)の形態で、通常の乳化助剤を含有する(有利には脱灰された)水中に強い乱流下で噴霧することによって行うことができる。好適な乳化助剤として、例えば、エチレンオキシド付加物又はポリグリコールの脂肪酸エステルなどの非イオン性乳化剤が挙げられるが、これに限定されない。有利には、遊離体(11−非置換レトロステロイド)を、40mg/ml以下の濃度でDMSOに溶解し、次いで滅菌後に無菌状態の培地に添加する。
添加された11−非置換レトロステロイドの濃度は、醗酵反応の結果の収率及び効率に大きな影響を及ぼす。水性培地中の一般式(I)及び(II)の化合物の溶解度が比較的低いため、遊離体及び生成物の濃度はある値を超えるべきではない。細菌培養物の齢及び使用される遊離体の溶解性に応じて、栄養液1リットルにつき約1グラム以下の遊離体を添加してよいが;しかしながら、有利には栄養液1リットルにつき約50mg〜約500mgの遊離体、更に有利には1リットルにつき100〜250mgの遊離体を添加すべきである。最も有利には、ステロイド出発化合物の量は、発酵培地1リットルにつき150mgの値を超えるべきではない。それに応じて、所望の水酸化生成物の量は、栄養液1リットルにつき1gの値を超えて累積するべきではなく、有利には該生成物は発酵槽溶液1リットルにつき約50mg〜約500mg、更に有利には1リットルにつき100〜250mgの量で存在するべきであることにも注意しなければならない。最も有利には、水酸化生成物の量は、発酵溶液1リットルにつき150mgの値を超えるべきではない。
一実施態様において、11−非置換レトロステロイド化合物の全量を、変換過程の最初に一度に添加するか又は変換過程の最初に1〜5時間(即ち、短時間)にわたって添加する。
別の実施態様において、11−非置換レトロステロイド化合物の量は、継続的な方法で全変換期間にわたって追加される。例えば、11−非置換レトロステロイドを、培養1時間につき及び栄養液1リットルにつき1〜20mgの濃度(mg/h/l)で添加する。有利には、11−非置換レトロステロイドを、培養1時間につき及び栄養液1リットルにつき2〜5mgの濃度(mg/h/l)で添加する。
変換条件
変換は通常、アミコラトプシス・ムジテラネイ株が増殖のために必要とするpH及び温度において実施される。しかしながら、場合によっては、増殖のための最適温度及び/又はpHは、11−非置換レトロステロイドの水酸化の間中ずっと最適ではないこともあり、適合させる必要がある。11−非置換レトロステロイドの変換に必要な時間は、発酵バッチ、動作方式及び個々の使用されるアミコラトプシス・ムジテラネイ株に応じて、ある程度は変動するが、一般的に約2〜172時間の時間内である。有利には、変換時間は約12〜96時間、更に有利には36〜60時間である。
発酵過程は典型的には好気条件下で実施され、有利には培地の相対的なO飽和度pO/pO2,maxは約5%〜約95%、有利には約20%〜約80%、更に有利には約30%〜約75%、最も有利には約40%〜約70%に調整される。
変換の過程は、通常の分析方法、例えば、薄層クロマトグラフィ、紫外線吸収又は発酵バッチから得られた小プローブのHPLC(高速液体クロマトグラフィ)を用いて各発酵バッチごとに測定してよい。更に、変換方法の過程は、例えば、pH値、温度、相対的なO飽和度、グルコース含量などのパラメーターの分析によって監視される。
増殖期についての具体的な詳細と一般式IV又はVの特定の11β−ヒドロキシ−レトロステロイドを提供するための変換方法についての具体的な詳細は、以下の実施例の部分において与えられる。最適な基質濃度、基質の添加時間及び変換時間は、式I、II又はIIIの11β−非置換レトロステロイドの構造に依存し、また最終的に水酸化反応に使用される個々のアミコラトプシス・ムジテラネイ株にも依存する。これらの変数は、個々の水酸化反応において当該技術分野の一当業者の専門知識の範囲内の日常的な予備実験によって容易に決定できる。
誘導
変換の比率及び生成物の収率は、11−非置換レトロステロイドの添加の前に所望の酵素を誘導することによって増加させることができる。エストラジオール及びテストステロンなどの標準のステロイドをはじめとするステロイドはいずれも酵素誘導剤として使用してよい。しかしながら、これらのステロイドは、使用される基質よりも更に水溶性であり、有利には酵素誘導剤である。使用される約1〜10質量%のステロイドは通常培地に添加されるが、誘導剤の添加の量と時間は重要ではない。
式IV又はVの11β−ヒドロキシレトロステロイドの収率を増加させる更なる可能性は、11β−水酸化に必要な酵素が既に存在している発酵バッチに、2,4−ジニトロ−フェノール又はシアン化カリウムなどの細胞毒性物質又はクロロマイセチンなどの抗生物質を添加することにある。
水酸化レトロステロイド生成物の単離
完全に変換した後、水酸化レトロステロイドをバッチから単離する。有利には、最初に発酵バッチを、沈降及び傾瀉、析出、ろ過又は遠心沈殿法などの公知の分離方法によって上清材料及び気泡材料、細菌細片及び他の固形物に分離する。これらの方法は以下に更に詳細に説明される。単離を行うための可能な方法は、水に不混和性のステロイドの溶剤(例えば、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム、メチルイソブチルケトン、四塩化炭素、エーテル、トリクロロエチレン、アルコール、ベンゼン及びヘキサン)による抽出である。細胞性基質もまた前段落で述べられた溶剤を用いて分離でき、また水混和性溶剤(例えば、アセトン、ジメチルスルホキシド及びエタノール)によって抽出できる。抽出物から得られたステロイドは、再結晶化、クロマトグラフィによって又は向流分配法によって精製でき、また発酵過程の不要な副産物から分離できる。
有利には、式IV又はVの11β−ヒドロキシ−レトロステロイドは、半極性非イオン性吸着樹脂を使用するカラムクロマトグラフィによって発酵バッチから単離される。抱合卵胞ホルモンを妊馬尿(PMU)から単離するための類似のプロトコルは、国際特許出願WO98/08526号パンフレットに開示され且つ本発明の目的に適合された。
最初の工程において、発酵ブロスを公知の方法で任意の固形物、細菌細胞及び成分並びに粘滑性基質から瀉出させる。有利には、該固形物は公知の分離方法、例えば、傾瀉、析出及び/又は濾過によって分離される。従って、発酵ブロスは、例えば公知の分離装置、例えば、分離機、濾過器又はセジメンタに通すことができる。商業的に入手可能な分離器を分離装置として使用してよく、例えば、ノズルセパレーター又はチャンバセパレーターを使用してよい。所望の場合には、精密ろ過装置又は限外ろ過装置も使用してよく、それらを使用する場合、実質的に無細菌で且つ濾過された上清を同時に得ることが可能である。あるいは、遠心沈殿法を分離手段として使用してよい。
工程a)の上清、その容積を減少させることによって該上清から得られた濃縮物又は膜濾過によって該上清から得られた濃縮水は、本発明による精製方法の出発上清材料として使用できる。
濃縮された上清濃縮水を上清の代わりに使用するべき場合、これは公知の膜濾過によって上清から得られる。濃縮水の固形分とその組成は、使用される個々の発酵培養物及び膜濾過に使用される膜、例えば、それらのポアー直径、並びに濾過の条件によって変化し得る。例えば、ナノ濾過膜を使用する時、50質量%以下の低分子量の発酵ブロス含有物を同時に除去することによって、上清濃縮水中のステロイド分の実質的に損失のない濃度が達成できる。約1:10以下の比、例えば、約1:7の比に濃縮されて、従ってその容積を最初の上清容積の、約1/10、例えば、約1/7に減少させることができる上清濃縮水は、本発明による方法に使用できる。
本発明による精製方法に使用される好適な吸着剤は、ポリマー吸着樹脂である。特に有利には吸着樹脂は半極性の、特に非イオン半極性の、ポリマー性吸着樹脂である。方法工程b)において使用できる非イオン半極性高分子吸着樹脂は、多孔質有機非イオン性ポリマーであり、これは非極性疎水性高分子吸着樹脂とは対照的に、中間の極性(例えば、樹脂の活性表面が1.0〜3.0、特に1.5〜2.0デバイの範囲の双極子モーメントを有する)及び幾らか更に親水性の構造、例えば、ポリカルボン酸エステル樹脂を有する。好都合には、マクロ孔質半極性樹脂が使用され、該樹脂は有利にはマクロ孔質構造を有し、平均ポアー直径は50〜150、有利には70〜100オングストロームの範囲であり、そして比表面積は300〜900m/gの範囲、有利には400〜500m/gの範囲である。マクロ孔質架橋脂肪族ポリカルボン酸エステル樹脂、特に架橋ポリアクリル酸エステル樹脂、例えば、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)社製のアンバーライト(Amberlite)XAD−7(商標)、又はアンバーライト(Amberlite)XAD−7−HP(商標)は、特に好適であることが判明した。
本発明によると、半極性吸着樹脂上への水酸化レトロステロイドの吸着は、それらの上清又は濃縮物又は濃縮水を吸着樹脂に接触させることによって行うことができる。その場合、上清材料は吸着樹脂を収容する反応器中に導入され、その中の吸着樹脂と接触した状態でステロイド含有物の吸着に十分な時間にわたり維持される。11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドが半極性吸着樹脂上に吸着したら、該11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドを有する吸着樹脂は、公知の方法で残りの上清材料から分離することができる。好都合には、接触時間がステロイド含有物の吸着に十分であるような流速で、上清材料を、吸着樹脂を収容するカラムに通すことができる。好適な流速は、例えば、1時間当たり吸着樹脂1容積部につき3〜10、有利には5〜7容積部の上清材料のスループットに相当する流速である。吸着は有利には室温で行われる。好都合には、反応器を通る上清材料の流速は、わずかな過剰圧力で又は加圧下で(即ち、周囲圧力に対して)運転することによって制御できる。使用されるべき非イオン半極性吸着樹脂の量は、使用される吸着樹脂の種類と上清材料に含有された固形物の量によって変化し得る。上清を使用すれば、かなりの量のステロイド化合物が溶出液中で検出されずに、80容積部以下、有利には約30〜50容積部の前処理上清を、例えば、1容積部の吸着樹脂、例えば、架橋脂肪族ポリカルボン酸エステル吸着樹脂に充填又は装入することができる。上清濃縮物又は上清濃縮水を使用すれば、吸着樹脂の充填量は、当然ながら上清材料が濃縮された程度まで低下する。例えば、1容積部の架橋脂肪族ポリカルボン酸エステル吸着樹脂は、20〜80、有利には30〜50容積部の非濃縮上清に相当する量の濃縮上清材料で充填され得る。
方法工程c)において、11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドで充填された半極性吸着樹脂を、少なくとも12.0、特に12.5〜14、有利には13.5〜14のpH範囲に調整された洗浄水で洗浄する。上清に溶解可能であり且つ少なくとも12.5のpH値に到達するほど強い不活性な塩基性基質の水溶液を、洗浄液として使用してよい。半極性高分子吸着樹脂に不活性な好適な水溶性塩基性基質は、有利には水溶性無機塩基、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、特に水酸化ナトリウムである。好都合には、洗浄水は、所望のpH値、有利には約pH13〜14に到達するために必要な塩基性基質の量のみを含有する。アルカリ性洗浄水の量は、かなりの量の11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドが該洗浄水で洗い流されることなく、発酵ブロス中の他の全ての含有物を大幅に除去するのに十分であるように選択される。例えば、吸着樹脂1床容積につき2〜10、特に4〜6の床容積の洗浄液の使用が有利であると判明した。この場合、好都合には、1時間当たり吸着樹脂1容積部につき3〜10、有利には5〜7容積部の洗浄水のスループット速度で吸着樹脂を収容する反応器に洗浄水を通す。
方法工程d)において、11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドを有する非イオン半極性吸着樹脂は、次いで方法工程c)の後の第2の中間洗浄操作において任意に水で洗浄される。洗浄水の量は個別に適合される。有利には、吸着樹脂1床容積につき2〜10、更に有利には4〜6の床容積の洗浄水の使用が適切であると判明した。この場合、好都合には、洗浄水は1時間当たり吸着樹脂1容積部につき3〜10、有利には5〜7容積部の洗浄水の流速で、吸着樹脂を収容する反応器に通される。
本発明による方法の有利な実施態様において、恐らく追加の中間洗浄操作に起因する11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドの損失をかなり削減できることが示されて以来、任意の洗浄工程d)は、室温未満の温度で、特に0℃〜10℃の間の温度で実施されている。通常、周辺温度は「室温」と見なされ、例えば、この用語は20℃〜30℃の間の温度を指す。事実上0℃又は約0℃の温度でこの方法を実施することは非常に好都合である。従って実際には、0℃に近接するが0℃を上回る温度で操作することと、前述の温度範囲を適切な方法で確実に維持することが推奨される。温度を低下させるための従来の方法は、このために、例えば、冷却された反応器、冷却された材料及び/又は冷却された出発材料、例えば、上清材料を使用するために用いてよい。実用上の観点から、0℃〜約5℃、特に0℃〜約3℃の温度範囲は、0℃の又は約0℃の温度と見なすことができる。
中間洗浄の間の11β−ヒドロキシ置換レトロステロイド化合物の損失を出来る限り低く抑えるために、この方法の変法に従って、中間洗浄操作において使用される洗浄水及び/又は更に方法工程c)において使用されるアルカリ性にされた洗浄水は、室温未満に、特に0℃〜10℃の間の温度に予め冷却される。更に好都合の又は有利な温度範囲は、上述したように、0℃〜約5℃の温度、特に0℃〜約3℃の温度である。有利には、操作は0℃の温度で又は約0℃の温度であり、即ち、有利には中間洗浄操作に使用された洗浄水及び/又は更に方法工程d)において使用されたアルカリ性にされた洗浄水は、0℃に近接するが0℃を上回る温度に予め冷却される。方法工程c)においてアルカリ性にされた冷却された洗浄水の使用によって、例えば、中間洗浄のために冷却された洗浄水の使用時の水の不要な再加熱を防ぐために、吸着樹脂の既に起こっている一種の予備冷却又は冷却の維持が達成される。従って有利には、中間洗浄工程及び方法工程c)は共にこの温度範囲で、例えば、室温未満の温度で、特に0℃〜10℃の間の温度で、又は有利には上述したのと同じ温度範囲で実施される。
上述の方法の変法において、この方法は室温未満の温度で実施され、使用される全てのデバイス、例えば、半極性吸着樹脂を受けるための反応器又は半極性吸着樹脂及び/又は使用される上清を既に収容する反応器を使用することが望ましく、従って、室温未満の温度に、特に0℃〜10℃の間の温度に、又は上述した有利な温度範囲に予備冷却される。
方法工程e)において、11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドを有する洗浄された吸着樹脂は、次いで11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドの溶離に十分な量の溶離液で処理され、従って方法工程f)において11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドを含有する溶離物が得られる。本発明によって使用された溶離液は、有利には、水混和性エーテル、低級アルコール及び低級脂肪族ケトンからなる群から選択される水混和性有機溶剤又は係る水混和性有機溶剤と任意にアルカリ性にされた水との混合液から本質的になる。好適な溶離液のエーテル成分として、水混和性環状エーテル、例えば、テトラヒドロフラン又はジオキサンの他、水混和性非環式エーテル、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル(=モノグリム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(=ジグリム)又はエチルオキシエチルオキシエタノール(=カルビトール)が挙げられる。好適な低級アルカノールとして、1〜4個の、有利には1〜3個の炭素原子を有する水混和性アルキルアルコール、特にエタノール又はイソプロパノールが挙げられる。好適な低級脂肪族ケトンとして、3〜5個の炭素原子を有する水混和性ケトン、特にアセトンが挙げられる。有機溶剤がエタノールである溶離液が特に有利であると判明した。好都合には、前述の水混和性有機溶剤の一種と任意にアルカリ性にされた水との混合液は、溶離液として使用される。係る水含有溶離剤のpH値は、pH13以下の中性〜アルカリ性の範囲であり、有利には約10〜12であってよい。使用されるpH範囲において好適な溶剤は、水含有溶離液の溶媒成分として選択される。約10〜12のpH値を有する水含有アルカリ性溶離液、低級アルカノール、有利にはエタノールは、特に溶媒成分として好適である。水含有溶離剤の望ましいpH値は、対応する量の水溶性不活性塩基性基質、有利には無機塩基、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、特に水酸化ナトリウムを添加することによって達成される。水含有溶離液において、40:60〜20:80、有利には約30:70の範囲の水混和性有機溶剤対水の容積比が存在し得る。使用される溶離剤の量は、吸着樹脂1床容積につき約3〜10、特に約4〜6の床容積の溶離液であってよい。好都合には、接触時間が11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドの完全な溶離に十分であるような流速で、溶離液を、11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドを有する吸着樹脂を収容する反応器に通す。エタノールと水との混合液を30:70の容積比で使用する時、例えば、1時間当たり吸着樹脂1容積部につき3〜10、有利には5〜7容積部の溶離液の流速が好適である。エタノールを溶離液として使用する時、例えば、1時間当たり吸着樹脂1容積部につき3〜10、有利には5〜7容積部の溶離液の流速が好適である。
有利には、溶離は室温〜約60℃の範囲の温度で、有利には室温で行われる。所望の場合には、流速はわずかに上昇した圧力で、例えば、0.2バール以下の過剰圧力(周囲圧力に対して)で操作することによって制御され、溶離物はいくつかのフラクションで集められる。個々の溶離物フラクション中の所望の11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドの含量及び任意に対応する11非置換レトロステロイドの含量は、HPLCによる公知の方法で測定してよい。
溶離時に、事実上ステロイドのない予備フラクションが最初に得られ、この量は一般に約1床容積に相当する。中間洗浄工程e)が実施された場合、既に溶離過程の開始時に得られた最初のフラクションは、既にかなりの量の11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドを含有できる。しかしながら、11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドの大部分、例えば、出発上清中に存在する80〜99%の間の11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドが、その後の主な溶離物フラクション中にあり、この量は一般的に2〜4床容積である。一般的に、ほんの微量のステロイドが、その後のアフターランニングフラクション中に含有される。かなりのステロイド含有物を更に有する次のフラクションが得られる場合、これらを、更なる処理のために主な溶離物を含有する11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドと組み合わせて良い。
吸着器カラムを、その後5〜10床容積の水で洗浄することによって再生してよい。
前述の方法で吸着樹脂から分離された主な溶離物は、11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドを含有する。所望の場合には、溶離物の容積は、実質的に有機溶剤を除去した濃縮物を得るために、公知の方法、例えば、蒸発によって更に減らしてよい。典型的には、11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドは濃縮された溶離物から沈殿する。あるいは、溶離物濃縮物の容積は、11β−ヒドロキシ置換レトロステロイドが固形物として得られるまで更に減らすことができる。典型的には、沈殿したレトロステロイド化合物は濾過によって単離され且つ更に水で洗うことができる。乾燥後、この固形物は、更なる精製を必要とせずに、その後の変換反応のために直接使用してよい。しかしながら、所望の場合には、得られた化合物を再び好適な有機溶剤に溶かし、それから結晶化してよい。あるいは、更なる化合物の精製は、フラッシュクロマトグラフィによって達成できる。
式IVの11β−ヒドロキシ−9β,10α−ステロイド(11β−ヒドロキシ−レトロステロイド):収率、同定及び使用
本発明の方法によって得られた式IVの11β−ヒドロキシ−レトロステロイドの収率は、利用されたインキュベーションと発酵条件によって変化するが、一般的に、発酵過程の終了時の所望の生成物の収率は、出発材料の量を基準として約40%より高い、有利には約50%より高い、更に有利には60%より高い、最も有利には70%より高い理論収率である。当業者であれば、日常の実験により、最良の菌株及び所与の出発材料の最適な基質濃度の選択をはじめとする、最適な条件を選択して、最適な収率を提供することができる。
式IV及びVの11β−ヒドロキシ−レトロステロイドの発酵バッチからの好適な単離過程とフラッシュクロマトグラフィを使用する追加の精製工程を含む、式IV及びVの11β−ヒドロキシ−レトロステロイドの全収率は、出発材料の量を基準として約40%〜約60%の理論収率である。
発酵生成物の分離及び同定(即ち、式IV及びVの11β−ヒドロキシ−レトロステロイド)は、薄層クロマトグラフィによって行うことができる。同定のための好適な呈色反応は、濃縮された硫酸を吹き付け、その後3パーセントのエタノール中のバニリンを吹き付けることによって達成される。種々のステロイド生成物は、硫酸により加熱時に呈色反応を示す。エタノール中のバニリンの吹きつけによる発色も同様に特徴的である。あるいは、発酵生成物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)分析によって同定し、また定量化してよい。
本方法の発酵工程を実施することによって得られた式IV及びVの11β−ヒドロキシ−レトロステロイドは、11−位において複数の置換基を有する新規なステロイド化合物を合成するための有利な中間体を表し、これはプロゲステロン活性及び/又は抗−プロゲステロン活性を示す。
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく更に詳細に本発明を例示することを目的とする。
実験の節
実験
1. 遊離体の合成
1.1. 1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンの合成
Figure 2009523434
商業的に入手可能な式I−1のジドロゲステロン(9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン)を、米国特許第3,937,700号内に記載されたように、脱水素及びその後のジメチルスルホキソニウムメチリドとの反応によって、式1−3の対応する1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン((1,2−メチレン−ジドロゲステロン))に変換させる。
1.2. 9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン(9β,10α−プロゲステロン)
Figure 2009523434
商業的に入手可能な式I−1のジドロゲステロン(9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン)を、還元条件下で式1−3の対応する9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン(9β,10α−プロゲステロン)に変換させる。
Pd/CaCO(5%Pd)0.75gをトルエン100mlに溶かした懸濁液をHで水素化した。次に、ジドロゲステロン50g(160mmol)をトルエン550mlに溶かした溶液を添加し、残りのジドロゲステロンを、一部のトルエン2×50mlですすぐことによって添加した。3.6lのHが吸収されるまで(約1時間)激しく攪拌しながら水素化を行った。懸濁液を、珪藻土を介して吸引漏斗し、幾らかのトルエンで再び洗った。この溶媒を減圧下で除去し、得られた残さを約90mlのジクロロメタン(DCM)に再び溶かした。生成物を、900mlの温かいヘキサンを添加することによって晶出させた。形成された結晶を吸引濾過によって取り出し、10%DCM/ヘキサン100mlで再び洗った。減圧乾燥により36.9gの(I−3)([α]D20=−60(c=1,CHCl))がもたらされた。この溶媒を母液から完全に除去し、残さ(約13g)を約20mlのDCMに溶かした。結晶化を150mlのヘキサンを添加することによって開始させた。吸引濾過及び洗浄後、7.3gの(I−3)の二次結晶が得られた。全収率:44.2gの(I−3)(88%)
1.3. 17α−エトキシ−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンの合成
Figure 2009523434
次に、実施例1.2から得られた式I−3の9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン(9β,10α−プロゲステロン)を、概略の節に記載されたように多段階の反応によって式1−5の対応する17α−エトキシ−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオンに変換させる。
1.4. 17α−エトキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンの合成
Figure 2009523434
式I−2の1,2−メチレン−ジドロゲステロン(実施例1.2で得られた)を、上述の実施例1.2及び1.3に示されたプロトコルに従って式1−6の対応する17α−エトキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオンに変換させる。
1.5. 18−メチル−9β,10α−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオンの合成
Figure 2009523434
商業的に入手可能な式I−1のジドロゲステロン(9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン)を、概略の節に記載されたように、一連の還元、酸化及び除去の後に中間体18−メチル−9β,10α−プレグナ−4,17(20)−ジエン−3−オンをオゾン分解することによって式I−7の対応する18−メチル−9β,10α−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオン(デス−アセチル−9β,10α−プロゲステロン)に変換させる。
2. アミコラトプシス・ムジテラネイによる生体内変化
遊離体及び生成物の検出
醗酵反応の過程又は結果は、発酵培地から取られたプローブのHPLC分析により又は生成物の抽出後に取られた希釈されたプローブのHPLC分析により監視できる。
LC−10 AT VPポンプ、SPD−10 A VP UV−VIS波長検出器、SCL−10 A VP制御系、FCV−10 10 AL VP溶媒オーガナイザー及びSIL−10 AD−VPオートサンプラを備えた(島津社製の)機器を使用してクロマトグラフィを行った。ステロイドと変換生成物を、C18逆相ET250/4ヌクレオシル(Nucleosil)120−5カラム(Machery & Nagel)及びメタノール/水の溶媒系(75:25の容積)を使用して分離した。運転条件は、20μlの試料容積、0.5ml/分の流速、298nmでのUV検出及び約92バールの圧力であった。
栄養培地
アミコラトプシス・ムジテラネイの培養のために、80g/lのグルコース、2g/lの酵母エキス、1.3g/lのKHPO×3HO及び1g/lのMgSO×7HOを含有する水性培地を使用した。pH値を0.1MHClによってpH7.0〜7.2に調整した。さらに大きな容積(即ち、約5lを上回る)は調整されたpHではなく;培地のpH値は調整なしに約7.5であった。培地を少なくとも20分間121℃で滅菌した(容積の大きさによる)。
2.1. アミコラトプシス・ムジテラネイLS30(小培養容積)によるジドロゲステロンの生体内変化
アミコラトプシス・ムジテラネイLS30細菌コロニーを寒天平板から移し、100mlの栄養培地を使用して500mlの三角フラスコ中で増殖させた。この培養物を、200rpm及び30℃で作動する回転振盪器(Certomat、B.ブラウン、独国)でインキュベートした。これらの条件下での培養の3〜4日後、ペレットの形態で(即ち、凝集形態で)細菌を含有した、そのように得られた前培養物を、一般的にストマッカーの使用によって均質化した。1−10%(vol/vol)の接種剤、典型的には2%(vol/vol)の接種剤の、均質化された前培養培地を使用して100mlの同じ栄養培地を収容する500mlのフラスコに接種した。この培養物を、上述のように46〜50時間再びインキュベートした。次に、ジドロゲステロン15mgを、20mg/mlのDMSO溶液として第2の培養培地に添加し、ステロイドの初期濃度が0.015(質量)%になるようにした。得られた懸濁液を、上述のように30℃及び200rpmで46〜50時間インキュベートしてジドロゲステロンの水酸化を促進させた。次に、この培地を(17,000×gで20分間)遠心分離した。上清のアリコートをHPLCで分析した。この上清を、固体NaClの添加の下で1/4容積の酢酸エチルで2回抽出した。有機相を合わせ、NaSOによって乾燥させ、そして上記のようにHPLCによって分析した。3つの独立した実験から得られた結果を以下の表1に示す:
Figure 2009523434
2.2. アミコラトプシス・ムジテラネイLS30(より大きな発酵バッチ)を用いたジドロゲステロンの生体内変化
アミコラトプシス・ムジテラネイLS30細菌コロニーを寒天平板から移し、100mlの栄養培地を使用して500mlの三角フラスコ中で増殖させた。この培養物を、200rpm及び30℃で作動する回転振盪器でインキュベートした。これらの条件下での培養の4日後、最初の前培養物の1mlのアリコートを使用して80mlの栄養培地(=接種培養物)を収容する2つの500mlのフラスコに接種した。この培養物を、上述のように28〜32時間再びインキュベートした。次に、1日齢の前培養物を合わせ、これを6〜8lの滅菌した栄養培地で満たされた無菌発酵槽(サイズ:15l、B.ブラウン、独国)に添加した−接種容積を発酵槽容積の約2%(vol/vol)に設定した。30℃で消泡剤として任意にPPG2000を追加して、エアレーション(15lの発酵槽中で3l/分)及び撹拌(最初に15lの発酵槽中で300rpm)を行い、細菌を40〜44時間にわたり増殖させた。少なくとも50%の相対的なO飽和度(pO/pO2,max)を得るために、攪拌速度を任意に更に高速に調節した。次にジドロゲステロンの添加を開始した:所定量のジドロゲステロンを添加し(正確な値については表2を参照のこと)、その後変換が停止するまで該ジドロゲステロンを20mg/mlのDMSO溶液の形態で一般的に培養1時間につき約3〜3.5mg/lの栄養培地の濃度で、その後の変換期間にわたり継続的に添加するか、又はジドロゲステロンの総量を1時間以内に添加し、その後変換が46〜50時間にわたって継続するかのいずれかである。一定期間後、変換が停止し、細菌が精密ろ過によって発酵ブロスから分離された。得られた上清をHPLCで分析した。水酸化ジドロゲステロンを、実施例3に以下に記載されたように上清から単離した。4つの独立した発酵による結果を以下の表2にまとめる:
Figure 2009523434
2.3. アミコラトプシス・ムジテラネイLS30による17−エトキシ−1,2−メチレン−ジドロゲステロンの生体内変化
A)500mlフラスコ中での発酵
15mgの17−エトキシ−1,2−メチレン−ジドロゲステロンを遊離体として使用する実施例2.1に記載された方法に類似の方法において、4mgの17−エトキシ−11−ヒドロキシ−1,2−メチレン−ジドロゲステロン(収率:26%)が得られた。
H NMR(501MHz,CHLOROFORM−d):δppm0.87(s,3H)0.89−0.93(m,1H)1.13−1.18(m,3H)1.30−1.36(m,1H)1.39(s,3H)1.40−1.49(m,1H)1.69−1.83(m,3H)1.87−1.94(m,1H)1.95−2.01(m,1H)2.11−2.17(m,4H)2.39−2.47(m,1H)2.49−2.55(m,1H)2.59(dd,J=14.5,4.4Hz,1H)2.70−2.77(m,1H)2.98−3.06(m,1H)3.39−3.47(m,1H)4.70−4.75(m,J=2.4Hz,1H)5.51−5.53(m,1H)6.08−6.10(m,2H)
13C NMR(126MHz,CHLOROFORM−d):δppm13.8(q,1C)15.6(q,1C)16.4(q,1C)23.3(t,1C)24.2(t,1C)25.4(d,1C)26.5(q,1C)26.7(d,1C)28.6(q,1C)34.9(d,1C)36.9(s,1C)37.9(t,1C)44.2(d,1C)47.6(s,1C)48.1(d,1C)59.9(t,1C)69.3(d,1C)95.8(s,1C)120.3(d,1C)127.2(d,1C)139.0(d,1C)156.2(s,1C)198.3(s,1C)210.3(s,1C)
B)15l発酵槽での発酵
実施例2.2に記載された方法に類似の方法において、対応する17−エトキシ−11−ヒドロキシ−1,2−メチレン−ジドロゲステロン誘導体を得るために17−エトキシ−1,2−メチレン−ジドロゲステロンを遊離体として使用した:
アミコラトプシス・ムジテラネイLS30細菌コロニーを寒天平板から移し、100mlの栄養培地を使用して500mlの三角フラスコ中で増殖させた。この培養物を、200rpm及び30℃で作動する回転振盪器でインキュベートした。これらの条件下での培養の4日後、最初の前培養培地の1mlのアリコートを使用して80mlの栄養培地(=接種培養物)を収容する2つの500mlのフラスコに接種した。この培養物を、上述のように24〜30時間再びインキュベートした。次に、1日齢の前培養物を合わせ、これを8lの滅菌した栄養培地で満たされた無菌発酵槽(サイズ:15l)に添加した。30℃で消泡剤として任意にPPG2000を追加して、エアレーション(3l/分)及び撹拌(290rpm)を行い、細菌を44〜50時間にわたり増殖させた。少なくとも50%の相対的なO飽和度(pO/pO2,max)を得るために、攪拌速度を更に高速に調節した。次に、0.578gの17−エトキシ−1,2−メチレン−ジドロゲステロンを、8mg/mlのDMSO溶液の形態で一般的に培養1時間につき約22.7mgの濃度で継続的に添加した。24〜28時間の発酵後、この過程が停止し、細菌が精密ろ過によって発酵ブロスから分離された。得られた上清をHPLCで分析した。この上清は、31%の収率に相当する、0.187gの17−エトキシ−11−ヒドロキシ−1,2−メチレン−ジドロゲステロンを含有した。この17−エトキシ−11−ヒドロキシ−1,2−メチレン−ジドロゲステロンを、実施例3において以下に記載されたような方法に従って上清から単離した。
2.4. アミコラトプシス・ムジテラネイLS30による17−エトキシ−ジドロゲステロンの生体内変化
10、15又は20mgの17−エトキシ−ジドロゲステロンを遊離体として使用する実施例2.1に記載された手順と類似の方法において、対応する17−エトキシ−11−ヒドロキシ−ジドロゲステロンがそれぞれ収率32、37、及び30%で得られた。
H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d):δppm0.86(s,3H)1.15(t,J=6.9Hz,3H)1.28(s,3H)1.37−1.52(m,1H)1.64−1.94(m,5H)2.15(s,3H)2.27−2.68(m,6H)2.70−2.79(m,1H)2.97−3.07(m,1H)3.39−3.52(m,1H)4.48−4.54(m,1H)5.70−5.73(m,1H)6.18−6.26(m,2H)
13C NMR(101MHz,CHLOROFORM−d):δppm15.6(q,1C)16.3(q,1C)21.5(q,1C)23.3(t,1C)24.2(t,1C)26.4(q,1C)33.8(t,1C)35.1(d,1C)35.4(t,1C)35.7(s,1C)38.0(d,1C)44.7(t,1C)47.0(s,1C)50.1(d,1C)59.8(t,1C)68.2(d,1C)95.7(s,1C)124.1(d,1C)127.0(d,1C)140.6(d,1C)162.5(s,1C)199.1(s,1C)210.3(s,1C)
2.5. アミコラトプシス・ムジテラネイLS30による18−メチル−9β,10α−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオンの生体内変化
10、15又は20mgの18−メチル−9β,10α−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオンを遊離体として使用する実施例2.1に記載された手順と類似の方法において、対応する18−メチル−11β−ヒドロキシ−9β,10α−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオンがそれぞれ収率27、39及び36%で得られた。
13C NMR(126MHz,クロロホルム−d):δppm15.4(q,1C)22.0(t,1C)22.3(q,1C)27.2(t,1C)29.0(t,1C)31.1(d,1C)33.5(t,1C)35.1(t,1C)37.8(t,1C)38.2(s,1C)38.3(t,1C)43.0(d,1C)47.3(s,1C)55.0(d,1C)68.6(d,1C)124.4(d,1C)170.7(s,1C)199.2(s,1C)219.4(s,1C)
2.6. アミコラトプシス・ムジテラネイDSM43304によるジドロゲステロンの生体内変化
他のアミコラトプシス・ムジテラネイ株もまた、一般式(I)のレトロステロイドを、それらの対応する11−水酸化化合物に変換させることが可能であることを示すために、実施例2.1に記載されているような発酵を、公的な微生物寄託所から入手可能な株を用いて繰り返した。
アミコラトプシス・ムジテラネイDSM43304細菌コロニーを寒天平板から移し、100mlの栄養培地を使用して500mlの三角フラスコ中で増殖させた。この培養物を、200rpm及び30℃で作動する回転振盪器でインキュベートした。培養の2日後、15mgのジドロゲステロンを、20mg/mlのDMSO溶液として培養培地に添加した。得られた溶液を、上述のように30℃及び200rpmで46〜50時間発酵してジドロゲステロンの水酸化を促進させた。次に、この培養培地を(17,000×gで20分間)遠心分離した。上清のアリコートをHPLCで分析した。次に、この上清を1/4容積の酢酸エチルで2回抽出し、固体NaClを添加した。有機相を合わせ、NaSOによって乾燥させ、そして上記のようなHPLCによって分析した。2つの独立した実験によって5.7mgの所望の11−OH−ジドロゲステロン(収率:最適化せずに36%)が得られた。
3. 11β−OHジドロゲステロンの細菌培養培地からの単離
22l、8.8l及び8.8lの3つの個々のジドロゲステロンの発酵反応は、実施例2.2に記載されたように実施された。まとめると、5.88gのジドロゲステロンを栄養培地に添加した。発酵反応の停止後(約47時間後)、所望の11β−ヒドロキシ−ジドロゲステロンを含有する培地を、直ちに精密ろ過(膜の孔径0.2〜0.3μm)によって精製した。HPLC分析によって、3つの発酵バッチにおける11β−OHジドロゲステロンの収率は、最も低い値が例外的に低い性能の発酵バッチからの値であったため、約28〜64%と測定された。3つのバッチから得られた濾液(=上清)を合わせると、約0.07mg/mlの11β−OHジドロゲステロンを含有する37.9lの上清材料が得られた。
3.1. 半極性ポリアクリル酸エステル吸着樹脂上の発酵上清のステロイド含有物の吸着
27cmの高さと6.5cmの直径を有するカラムを、水中で膨潤した1000mlの半極性ポリアクリル酸エステル吸着樹脂(=アンバーライトXAD−7 HP(商標)、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)社製)で満たした。このカラムは4床容積(BV)の99%エタノールと5BVの水によって平衡された。37.9リットルの発酵上清(乾物含量(=DM)及び更に11−ヒドロキシ−ジドロゲステロン、9−ヒドロキシ−ジドロゲステロン、及びジドロゲステロンの含量はHPLCによって測定された)を、室温で約110ml/分(=1時間当たり約6.5BV)の流速でカラムに通した。発酵溶液のステロイド含有物を、半極性吸着樹脂カラムに完全に吸着させた。尿溶出液中のステロイド含量をHPLCによって測定し、該溶出液には事実上ステロイドがないことが判明した。底の生成物を捨てた。
3.2. 負荷状態の吸着樹脂カラムのアルカリ洗浄
ステロイドが充填された吸着樹脂カラムを、約14のpH値を有する5lの2%水酸化ナトリウム水溶液で洗った。そのために、アルカリ性洗浄水は90〜95ml/分の流速でカラムに通された(=1時間当たり約5.5〜5.7BV)。洗浄液溶出液中の異なるレトロステロイドの含量をHPLCによって分析した。分析は、カラムに充填された1%未満の全ステロイドが洗浄段階の間に洗い流されたことを示した。
3.3. 負荷状態の樹脂カラムの中間洗浄
洗浄され且つステロイドが充填された吸着樹脂カラムを5lの水で洗浄した。そのために、水は95ml/分の流速でカラムに通された(=1時間当たり約5.7BV)。洗浄液溶出液中の異なるレトロステロイドの含量をHPLCによって分析した。分析は、カラムに充填された全ステロイドが中間洗浄段階の間にほとんど洗い流されなかったことを示した。
3.4. 洗浄された吸着樹脂カラムからの抱合卵胞ホルモンの脱着
6lの溶離液(99%エタノール)を、室温で約95ml/分の流速でカラムに通した。流出する溶離物を6フラクションで回収した。各フラクションは約1000ml(=約1BV)であった。フラクション中の個々のレトロステロイドの含量をHPLCによって分析した。カラムに吸着された全量の約92%の11β−OHジドロゲステロンがフラクション2及び3に含有された。任意に、残留するフラクションは、溶液含有物が留去された後に方法工程b)に戻されてよい。
HPLCによって測定された重量%での乾物含量と11−ヒドロキシ−ジドロゲステロン、9−ヒドロキシ−ジドロゲステロン、及びジドロゲステロンのそれぞれの含量を以下の(次頁の)表3に示す。
3.5. 吸着樹脂カラムの再生
カラムを再生するために、これを5l(=5BV)の水で洗浄した。カラムは、何回も、例えば40回まで充填及び再生させることができる。
Figure 2009523434
3.6. 溶離物フラクションの更なる検査
溶離物フラクション1〜4(E1=970.95g、E2=813.82g、E3=764.80g、E4=765.35g)を混合し且つ60℃での揮発によって3314.92g(DM=0.26%)から355.12gに減らした。ステロイドが、得られた懸濁液から沈殿し(上清のDM=2.0%)且つ吸引濾過によって単離された(収量:約2.2gの乾燥した沈殿物)。残りの上清から、第2の沈殿物が、揮発による50.0gへの更なる容積減少によって得られた。
合わされた沈殿物(約4g)をフラッシュクロマトグラフィによって更に精製した(溶離物:酢酸エチル:シクロヘキサン2:1を純粋な酢酸エチルに変換する)。最初の沈殿物に含有された不純物は、9−ヒドロキシ−ジドロゲステロンと同定できた。最終的に、2.15gの11−ヒドロキシ−ジドロゲステロンが得られた(全収率:35%)。
13C NMR(101MHz,CHLOROFORM−d):δppm14.7(q,1C)21.7(q,1C)22.6(t,1C)24.8(t,1C)31.2(q,1C)33.7(t,1C)35.2(d,2C)35.7(s,1C)43.4(s,1C)46.2(t,1C)49.7(d,1C)49.9(d,1C)63.6(d,1C)67.6(d,1C)124.2(d,1C)126.9(d,1C)140.2(d,1C)162.2(s,1C)199.1(s,1C)208.6(s,1C)
H NMR(400MHz,クロロホルム−d):δppm0.9(s,3H)1.2(s,3H)1.4−1.5(m,1H)1.7−2.0(m,6H)2.2(s,3H)2.2−2.3(m,1H)2.3−2.4(m,2H)2.4−2.6(m,3H)2.7(ddd,J=12.0,5.8,5.6Hz,1H)4.4−4.5(m,1H)5.7−5.7(m,1H)6.2−6.2(m,2H)
上記の説明及び実施例は、単に本発明を例示するために記載されており、限定されることを意図するものではない。当業者であれば、本発明の精神及び趣旨を組み込んでいる記載された実施態様の改変に想到できるので、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に入る全ての変形を含むものと概括的に解釈されるべきである。
引用文献
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・BE652,597号
・EP0028309号
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・GB1,111,320号
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Claims (20)

  1. 一般式(I)
    Figure 2009523434
    (式中、
    R1及びR4は一緒に酸素を形成し、又は
    R4はβ−アセチル基でありR1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、そして
    R2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成する)の9β,10α−ステロイド化合物をそれらの対応する11β−ヒドロキシルアナログに変換させるためのアミコラトプシス・ムジテラネイ種の細菌微生物の使用。
  2. 前記アミコラトプシス・ムジテラネイ種の細菌微生物がLS30、DSM43304、DSM40773、及びDSM46096からなる群から選択される株であることを特徴とする、請求項1記載の使用。
  3. 前記株がDSM17416として寄託されたアミコラトプシス・ムジテラネイLS30であることを特徴とする、請求項2記載の使用。
  4. DSM17416として寄託されたアミコラトプシス・ムジテラネイLS30菌株。
  5. 一般式(I)
    Figure 2009523434
    (式中、
    R1及びR4は一緒に酸素を形成し、又は
    R4はβ−アセチル基でありR1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、そして
    R2及びR3は共に水素であり又は一緒にメチレン基を形成する)の9β,10α−ステロイド化合物の、その対応する11β−ヒドロキシルアナログへのインビトロにおける微生物変換方法であって、
    式(I)の化合物と、式(I)の化合物のその対応する11β−ヒドロキシルアナログへの変換が実行可能なアミコラトプシス・ムジテラネイ種の細菌構成員とを発酵培地において接触させることを含むインビトロにおける微生物変換方法。
  6. 前記9β,10α−ステロイド化合物が一般式(II)
    Figure 2009523434
    (式中、
    R1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルであり;そして
    R2及びR3は共に水素であるか又は一緒にメチレン基を形成する)
    の化合物であることを特徴とする、請求項5記載のインビトロにおける微生物変換方法。
  7. 前記9β,10α−ステロイド化合物が一般式(III)
    Figure 2009523434
    (式中、
    R1は水素又は−O−(C−C)アルキルであり;そして
    R2及びR3は共に水素であるか又は一緒にメチレン基を形成する)
    の化合物であることを特徴とする、請求項6記載のインビトロにおける微生物変換方法。
  8. 前記アミコラトプシス・ムジテラネイ種の構成員がLS30、DSM43304、DSM40773、及びDSM46096からなる群から選択される株であることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 前記株がDSM17416として寄託されたアミコラトプシス・ムジテラネイLS30であることを特徴とする、請求項8記載の方法。
  10. 少なくとも発酵の変換過程が、好気条件下で、特に、約5%〜約95%、有利には約20%〜約80%、更に有利には約30%〜約75%、最も有利には約40%〜約70%の発酵培地の相対的なO飽和度pO/pO2maxの下で行われることを特徴とする、請求項5から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 前記9β,10α−ステロイド化合物の前記培地への添加により変換が開始される時、前記アミコラトプシス・ムジテラネイ細菌がそれらの指数増殖期の中間期又は後期にあることを特徴とする、請求項5から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 前記9β,10α−ステロイド化合物を、約50mg/l〜約500mg/l、有利には約100mg/l〜約250mg/lの量で発酵培地に、そして最も有利には約150mg/lの量で発酵培地に添加することを特徴とする、請求項5から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 前記9β,10α−ステロイド化合物の全量を、変換過程の最初に一度に添加するか又は変換過程の最初に1〜5時間にわたって添加することを特徴とする、請求項12記載の方法。
  14. 9β,10α−ステロイド化合物の量が全変換期間にわたって継続的に発酵培地に追加されることを特徴とする、請求項12記載の方法。
  15. 前記9β,10α−ステロイド化合物を、培養1時間につき及び発酵培地1リットルにつき1〜20mgの濃度で、有利には培養1時間につき及び発酵培地1リットルにつき2〜5mgの濃度で、添加することを特徴とする、請求項14記載の方法。
  16. 前記11β−ヒドロキシルアナログを、以下の工程
    a)任意に細菌細胞、細菌細片、粘滑質及び固形物を除去した発酵培地から上清を得る工程、
    b)工程a)において得られた上清、前記上清の容積を減らすことによって形成された濃縮物、及び前記上清の膜濾過によって得られた濃縮水からなる群から選択された上澄み材料と、該上澄み材料中に含有される11β−ヒドロキシルアナログの吸着に十分な量の非イオン半極性高分子吸着樹脂とを接触させ、それにより11β−ヒドロキシルアナログで充填された非イオン半極性高分子吸着樹脂が得られ、その後充填された吸着樹脂を残りの上清材料から分離させる工程;
    c)充填された吸着樹脂を、少なくとも12.0、有利には12.5〜14のpH値を有するアルカリ性水性洗浄液で洗う工程;
    d)任意に、充填された吸着樹脂を水で洗浄する、中間洗浄工程を行う工程;及び
    e)洗浄された吸着樹脂と、その上に吸着された11β−ヒドロキシルアナログの脱着に十分な量の溶離液とを接触させる工程であって、前記溶離液は、水混和性エーテル、低級アルカノール、及び低級脂肪族ケトンからなる群から選択される少なくとも1種の水混和性有機溶剤又は任意にアルカリ性にされた水と水混和性エーテル、低級アルカノール、及び低級脂肪族ケトンからなる群から選択される少なくとも1種の水混和性有機溶剤との混合液を含む工程、及び
    f)11β−ヒドロキシルアナログを含有する溶離物を吸着樹脂から分離し、任意に容積減少により前記溶離物を濃縮させる工程
    を含む方法によって発酵培地から単離させることを特徴とする、請求項5から15までのいずれか1項記載の方法。
  17. 前記非イオン半極性高分子吸着樹脂がマクロ孔質ポリカルボン酸エステル樹脂、有利には架橋脂肪族ポリカルボン酸エステル樹脂、更に有利にはマクロ孔質構造を有する架橋ポリカルボン酸エステル樹脂であることを特徴とする、請求項16記載の方法。
  18. 前記工程e)において前記溶離液がエタノールを含むことを特徴とする、請求項16又は17記載の方法。
  19. 一般式(V)
    Figure 2009523434
    (式中、
    a)R1は水素、−OH、−O−(C−C)アルキル、及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、
    R2及びR3は一緒にメチレン基を形成し、又は
    b)R1は−O−(C−C)アルキル及び−O−CO−(C−C)アルキルからなる群から選択され、
    R2及びR3は共に水素を表し;又は
    c)R1は−OHであり、
    R2及びR3は共に水素を表し、そして
    該化合物は4,6−ジエンである)の11β−ヒドロキシ−9β,10α−ステロイド化合物。
  20. 前記化合物が
    11β−ヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
    17α−エトキシ−11β−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
    17α−エトキシ−11β−ヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
    11β−17α−ジヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
    11β−17α−ジヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオン、
    11β−ヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン、
    17α−エトキシ−11β−ヒドロキシ−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン、
    17α−エトキシ−11β−ヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン、及び
    11β−17α−ジヒドロキシ−1,2−メチレン−9β,10α−プレグナ−4−エン−3,20−ジオン
    からなる群から選択されることを特徴とする、請求項19記載の11β−ヒドロキシ−9β,10α−ステロイド化合物。
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