JP2009521511A - 濾過胞手術間の補助としての酢酸アネコルタブの使用 - Google Patents

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Abstract

濾過胞手術の部位で酢酸アネコルタブを投与することによる、高眼圧調節の方法が開示される。本発明は、緑内障の濾過手術間または濾過手術に続いて、結膜下の空間およびテノン嚢下の空間に血管新生抑制剤(例えば、血管新生抑制コルチゼン)を投与することにより緑内障を処置する方法を包含する。一つの好ましい実施形態において、本発明は、強膜フラップに瘢痕がつくられることを予防し、そして前房とテノン嚢下/結膜下の空間との間に手術により創られた小孔が瘻孔形成手術後、開口したまま残ることを可能にし、それによって、緑内障により上昇したIOPをもつ患者において眼内圧(IOP)を低下させる方法を提供する。本発明の方法は、ブレブ濾過手術を受けている患者へ、必要とする治療上有効な量の血管新生抑制剤を含む組成物を投与する工程を包含する。

Description

(発明の背景)
本願は、2005年12月23日に出願された米国仮特許出願第60/753,511号に対して優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、緑内障濾過手術の補助として、結膜下またはテノン嚢下注入によって投与される血管新生抑制(angiostatic)ステロイドの使用に関するものである。
(関連分野の説明)
「緑内障」は、一団の衰弱性の眼疾患であり、それは米国の黒人およびヒスパニックにおける不可逆性失明の主要な原因であり、そして米国の白人における失明の第二の主要な原因であり、そして先進国および発展途上国の両方を含む全ての国における失明の主要な原因である。その疾患は、40歳を超える全ての成人の0.4%から3.3%に影響すると推定されている(Leske,M.C. et al.(1983);Bengtsson,B.(1989);Strong,N.P.(1992))。さらに、その疾患の罹患率は年齢とともに、75歳以上では6%を超えるまで上昇する(Strong,N.P.(1992))。2010年までに、世界中で6050万人が、開放偶角緑内障および閉塞偶角緑内障に冒され、2020年までに7960万人に増えると推定される(Quigley and Broman 2006)。全ての緑内障において、眼圧を低下させることが、その疾患を発症させる速度の低下、ならびに障害および失明の両方への進行の速度の低下と強く関係している。眼圧(「眼内圧」(IOP)という)を低下させることは、この疾患を首尾よく処置する唯一の公知の方法である。本発明者らは、IOPにおける1mm Hgの減少毎に、進行性の損傷の機会がおおよそ10%減少することを知っている。
緑内障の原因の究明は、米国および他の国々において、なお多くの研究の主題である。その疾患の原因は、未だ完全には明らかではないが、眼の小柱網が、この疾患において重要な役割(特に、眼内での流体力学の維持に関して)を果たしていることが知られている。具体的には、小柱網が機能するべきように機能しない場合には、この機能不全は、房水の眼から出る正常な能力の相対的障害、およびIOPの上昇をひきおこし、適切で時宜を得たやり方で処置されない場合には、進行性の視覚喪失、視覚障害、および失明という結果になる。
眼内圧の上昇はまた、炎症性疾患を処置するためのコルチコステロイドの使用の結果としても起こり得る。コルチコステロイド(特に糖質コルチコイド)は、多様な炎症性疾患を処置するために現在用いられる。例えば、過去数年間、糖質コルチコイド(特に:Kenalog(登録商標)(トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide))、Celestone Soluspan(登録商標)(リン酸ベタメタゾンナトリウム(betamethasone sodium phosphate))、Depo−Medrol(登録商標)(酢酸メチルプレドニゾロン(methylprednisolone acetate))、Decadron(登録商標)(リン酸デキサメタゾンナトリウム(dexamethasone sodium phosphate))、Decadron L.A.(登録商標)(酢酸デキサメタゾン(dexamethasone acetate))、およびAristocort(登録商標)(トリアムシノロンジアセテート(triamcinolone diacetate)))は、眼の奥の特定の障害を処置するために医療団体により用いられた。この方法で処置される障害としては、血管の閉塞および糖尿病性網膜症に続く黄斑浮腫が挙げられる。トリアムシノロン(triamcinolone)はまた、白内障の手術に続いて投与され、そして他の硝子体網膜症に関連する黄斑浮腫の眼に投与される。
これらの生産物は、炎症性障害の処置のために、眼周囲への注入により局所的に、または硝子体内への注入のいずれかによって、一般に投与される。有効で安全な治療法がないため、例えば網膜の浮腫および老化関連黄斑変性(AMD)の処置のために糖質コルチコイドを用いることへの関心が増大している。Bausch & LombおよびControl Delivery Systemsは、黄斑浮腫の処置のための硝子体内インプラントによって送達されるフルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide)に関するFDAの認可を最近得た。Oculex Pharmaceuticalsは、持続性の黄斑浮腫のためのデキサメタゾンインプラントを研究している。加えて、眼科医は、不応性の嚢胞性糖尿病性黄斑浮腫の処置、および滲出性AMDのためのトリアムシノロンアセトニドの硝子体内注入を試みている。
炎症性障害を処置するための糖質コルチコイドの投与がまた、眼内圧の上昇を引き起こし得ることが知られている。糖質コルチコイドは、小柱網におけるミオシリン(myocilin)(MYOC)の発現を増大させることができ、したがってミオシリンタンパクの分泌を増大させる。MYOCは、もともとは差異的に発現される遺伝子として発見され、そして、緑内障患者において変異が見つかる緑内障リンケージ部位GLC1Aにマッピングされる。MYOCは、小柱網を含む多様な組織で発現される。糖質コルチコイドの投与の結果生じるMYOCの発現の増大は、小柱網の鬱血を引き起こし、このことが次にIOPの上昇を引き起こすと考えられている。多くの著者が、硝子体内トリアムシノロン注入に関連したIOP上昇の頻度と期間を立証した。そのIOPの上昇は4日間もの速さで起こり得、そして60mm Hgに達するかまたは60mm Hgを超えるIOPに到達し得る(Singh et al.2004)。通常、そのIOPの上昇はステロイドの注入後、2〜3週間で始まり(Epstein et al.1997)、そして6〜8ヶ月で終わり得る(Jonas 2003;Jonas 2004)。IOPを低下させる薬剤の局所的な使用は、結果として生じるIOPの上昇からのいくらかの軽減を与えるが、多くの場合、眼の組織へのダメージを避けるのに充分にはIOPを下げない。さらに、多くの患者は、IOPを低下させる多数の薬剤を処方をされており、それらの全ては、患者自身の上昇したIOPに取り組むために、局所的な適用によって自己投与されねばならない。
糖質コルチコイドを用いての、眼の奥のそのような障害の処置は有効であるが、最もよくある合併症の一つがステロイドに関連した急なIOPの上昇である。これは数日内に起こり得、少なくとも6ヶ月続き得、上昇したIOPを低下させる薬剤を必要とし得、そして硝子体内、または眼内もしくは眼の周囲におけるその薬剤の継続した存在に起因する深刻な視覚を脅かす合併症を有し得る。このIOPの上昇の原因は、部分的にしか理解されていない。糖質コルチコイドの投与後、小柱網細胞の形態学的および生化学的な変化がある。これらの変化は、細胞サイズの増大、細胞骨格の再構築を含み、そしてこれらの変化は、部分的に、小柱網細胞におけるミオシリンmRNAの顕著な誘導に起因するものと考えられている。
上昇したIOPを示す患者のための現在利用可能な処置レジメンは、原因に関わらず、代表的に、一日に一度から一日に複数回の一つまたは複数の目薬の局所的な適用、またはIOPを低下させる化合物を含む丸剤を含む。作り出される房水の量を減少させる丸剤もまた、一日に2回から4回の間で与えられ得る。初期緑内障患者の約40%(Ocular Hypertensive Treatment Study;「OHTS」)および、より進行した緑内障患者の約75%(Collaborative Initial Glaucoma Treatment Study;「CIGTS」)は、
そのIOPを十分に低下させるために、一つより多い緑内障薬を必要とすると推定される。
服薬遵守および補助療法の両方が、緑内障治療において重要な問題である。さらに、現在の眼圧(IOP)を低下させる薬剤はいずれも、一回の服用当たり24時間より大きい間隔で慣習的に与えることができない。現在の緑内障療法は全て、局所的または経口的のいずれかによりに与えられ、そして別のIOPを低下させる薬剤に加えられたとき、IOP低下における付加的な25%の減少を、きまってもたらすものではない。加えて、大多数の患者において、一つまたはそれより多い現存のIOPを低下させる薬剤の局所的な適用によりIOPを適切に調節することは不可能である。そのような患者において適切なIOPの調節を成し遂げるためには、従来の緑内障濾過手術またはシャントがしばしば必要である。
多くの個人は、点眼薬を摂取することができず(Sleath et al.、2000)、そして丸剤はそれに関連した大変多くの有害事象があり、50%を超える患者が短期間の使用でさえも、それに耐えられない。加えて、多くの患者は、局所的な薬剤の使用について処方された処置レジメンに従わない。医学的レジメンが複雑になるほど、患者はその治療法に、より忠実ではなくなることが示されている(Robin and Covert、2005)。患者が適切に彼または彼女の薬剤を摂取しない場合、処方された処置レジメンの有効性および患者への利益は減少する。さらに、多くの患者は、一度診断され薬剤を処方されると、規定どおりの経過観察に戻り損ねる(Nordstorm et al.、2005)。
処置レジメンへの患者の服薬遵守を研究した文献の総説において、眼障害(すなわち、緑内障)は、医療条件遵守率リストの下位5つに含まれる(DiMatteo 2004)。眼障害の患者の低い服薬遵守率は、部分的に、処置レジメンにおけるバリエーションに関係し得ると考えられており、そのバリエーションとしては、処方された一日量の総数、処方された薬剤の数、投与の経路、服薬遵守評価の方法、および服薬遵守調査期間の継続期間が挙げられる。いくつかの文献が、点眼薬レジメンへの服薬遵守率は、40%から78%の範囲であると推定した(Gurwitz et al.1998;Spooner et al.2002;Lee et al.2000;Patel and Spaeth 1995;Claxton et al.2001)。どんな原因であろうとも、非服薬遵守は、眼内圧の不適切な調節、および視野の喪失の増加を引き起こす。
現在入手可能なIOPを低下させる薬剤は、一部の患者において、IOPの上昇を適切に調節することができない。そのような場合、従来の濾過手術またはシャントのいずれかによる外科的な治療処置が必要とされ得る。そのような手術は、特に濾過手術に関して失敗および合併症の複数の付加的なリスクを持ち得る被験体の群において、実質的な内在性のリスクを持っている。
濾過手術(線維柱帯切除術および串線または弁の挿入の両方が挙げられるが、それらに限定されない)は、医学的治療を必要とし、そして処方された薬剤レジメンが、耐えられないか、またはIOPを適切に低下させるのに不十分であるかいずれかである緑内障患者にとって、最初の治療法および最後の手段の両方として示される。実際、ブドウ膜炎緑内障または血管新生緑内障のような(しかしそれらに限定されない)、一部の型の緑内障において、手術は好ましい最初の介入である。Preferred Practice PatternおよびAdvanced Glaucoma intervention studyの両方が、手術は緑内障治療に関して安全かつ有効であると示唆している。Collaborative Initial Glaucoma Intervention StudyおよびAmerican Academy of Ophthalmology‘s Prefered Practice Patternは、初期緑内障の患者については、患者は医薬、レーザー手術、および濾過手術の間で選択肢が与えられるべきであると示唆した。
濾過手術は、ブレブと呼ばれるレザバーの創出に基づく。前眼房と結膜下の空間との間を房水が通るのを可能にする開口部が眼の壁に創られる。この開口部またはブレブは、瘢痕で閉じられてはならず、さもなければ、排水系内で産生された流体は適切に機能しない。房水は涙液膜へとブレブを通過する。
多くの眼において、眼の瘢痕内のこの開口部またはブレブは閉じ、そしてその手術は役に立たなくなる。代謝拮抗物質(例えば、5フルオロウラシルおよびマイトマイシンC)が用いられるが、しかしそれらは白内障形成、低血圧症、後のブレブ漏出、および眼内炎のような問題に関係している。必要とされるのは、成功率を上げるが、副作用の数および重症度は最小である薬剤である。
(発明の要旨)
本発明は、緑内障の濾過手術間または濾過手術に続いて、結膜下の空間およびテノン嚢下の空間に血管新生抑制剤(例えば、血管新生抑制コルチゼン(cortisene))を投与することにより緑内障を処置する方法を包含する。
一つの好ましい実施形態において、本発明は、強膜フラップ(flap)に瘢痕がつくられることを予防し、そして前房とテノン嚢下/結膜下の空間との間に手術により創られた小孔が瘻孔形成手術後、開口したまま残ることを可能にし、それによって、緑内障により上昇したIOPをもつ患者において眼内圧(IOP)を低下させる方法を提供する。本発明の方法は、ブレブ濾過手術を受けている患者へ、必要とする治療上有効な量の血管新生抑制剤を含む組成物を投与する工程を包含する。代表的には、この血管新生抑制剤は、テノン嚢下/結膜下投与により、眼の前方部分に投与される。この血管新生抑制剤を投与する他の好ましい方法としては、前方部分のデポー剤(ブレブ手術部位内での注入)、灌注溶液、または眼内インプラントの挿入が挙げられる。
ブレブ手術の部位での新生血管形成および瘢痕組織を予防することができる任意の血管新生抑制剤が企図されるが、本発明の方法における使用のために好ましい血管新生抑制剤は、4,9(11)−プレグナジエン−17α,21−ジオール−3,20−ジオン−21−アセテート(酢酸アネコルタブとしても公知)、またはその対応するアルコールである4,9(11)−プレグナジエン−17α,21−ジオール−3,20−ジオン(アネコルタブデスアセテートとしても公知)である。
代表的には、上記血管新生抑制剤は、本発明の方法によって投与される組成物中に、0.005重量%と5.0重量%との間の濃度で存在する。別の局面において、テノン嚢下投与、結膜下投与、または強膜近傍投与により投与される上記血管新生抑制剤の量は、一般的に約3mgから約30mgである。より好ましくは、投与される血管新生抑制剤の量は約12mgから約27mgである。最も好ましくは、投与される血管新生抑制剤の量は約21mgから約27mgである。
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、緑内障の濾過手術間または手術後の、結膜下の空間および/またはテノン嚢下の空間における血管新生抑制剤の投与が、そのような手術のIOPを低下させる効果を維持するうえで、現在用いられている方法よりもより効果的であるという発見に、一部、基づくものである。
酢酸アネコルタブは、眼の新生血管形成の阻害のために開発された血管新生抑制剤である。酢酸アネコルタブは、基本となるコルチソル構造への特異的な化学修飾の結果として生じた。これらの修飾は、血管の成長を阻害するが、糖質コルチコイド受容体により媒介されるステロイド性副作用を生じない血管新生抑制「コルチゼン(cortisene)」の創出という結果に結びついた。前臨床的データは、酢酸アネコルタブが測定可能なコルチコステロイド活性を示さないこと(Clark AF. AL−3789: a novel ophthalmic angiostatic steroid. Exp. Opin. Invest. Drugs 1997;6:1867−77;McNatt LG, Weimer L, Yanni J and Clark AF. Angiostatic activity of steroids in the chick embryo CAM and rabbit cornea models of neovascularization. J. Ocular Pharm. Therap.1999;15(5):413−23)、および眼のコルチコステロイド副作用の臨床的な証拠(例えば、眼内圧の上昇または白内障の進行の加速)がないことを示している。酢酸アネコルタブは、プラスミノゲン活性化因子抑制因子1をアップレギュレートし、そしてウロキナーゼ様プラスミノーゲン活性化因子およびマトリックスメタロプロテアーゼ−3の両方(二つの酵素は血管の成長間の血管内皮細胞の移動のために必要)を抑制する独特の血管新生抑制剤である(DeFaller JM and Clark AF. A new pharmacological treatment for angiogenesis. In Pterygium, Taylor, HR(ED.) The Hague:Kugler Publications,2000;159−181;Penn JS, Rajaratnam VS, Collier RJ and Clark AF. The effect of an angiostatic steroid on neovascularization in a rat model of retinopathy of prematurity. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2001;42:283−90)。角膜、網膜、および脈絡膜の新生血管形成のモデルにおける前臨床的データは、血管の成長の阻害に関するこの物質の有効性を支持する(DeFaller JM and Clark AF. A new pharmacological treatment for angiogenesis. In Pterygium, Taylor, HR(ED.) The Hague:Kugler Publications,2000;159−181;Penn JS, Rajaratnam VS, Collier RJ and Clark AF. The effect of an angiostatic steroid on neovascularization in a rat model of retinopathy of prematurity. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2001;42:283−90;Clark 1997;McNatt et al. 1999;BenEzra D, Griffin BW, Naftzir G, Sharif NA and Clark AF. Topical formulations of novel angiostatic steroids inhibit rabbit corneal neovascularization. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 1997;38:1954−62)。本発明者らは、酢酸アネコルタブが、濾過胞手術部位において、ブレブでの瘢痕組織の形成を予防するうえで有用であり、その結果、緑内障患者の手術の成功を増やすことを示した。
本発明の方法により、酢酸アネコルタブのような血管新生抑制剤が、角膜縁近くの眼の前方部分へのテノン嚢下投与により、ブレブ濾過手術を受けている患者に投与される。血管新生を抑制する物質は、さまざまな用語(例えば、血管新生抑制剤、血管溶解剤(angiolytic agent)、または血管親和性剤(angiotropic agent))により知られている。本明細書の目的では、用語「血管新生抑制剤」は、血管新生を抑制するために用いられ得るが、ステロイドに関連した糖質コルチコイド活性を欠く化合物を意味する。本発明の方法における使用に最も好ましい化合物は、4,9(11)−プレグナジエン−17α,21−ジオール−3,20−ジオン−21−アセテート(酢酸アネコルタブとしても公知)である。
あるいは、血管新生抑制剤は、濾過胞手術部位の灌注溶液によって、強膜近傍の前方のデポー剤として、または硝子体に投与され得る。本発明の方法における使用のための組成物は、求められる投与の特定の経路に依存して、当該分野で公知の方法に従って処方される。好ましくは、その組成物は、表1に記載される処方を有する。
Figure 2009521511
本発明の方法において、酢酸アネコルタブは、上昇したIOPを低下させるためにより有効に機能することを可能にするために、好ましくはテノン嚢下への注入、結膜下への注入、または強膜近傍への注入によって、眼の角膜縁の近く、ブレブ濾過手術部位もしくは部位内に投与される。この投与の経路によって投与されるアネコルタブの量は、約3mgから約30mgである。好ましくは、投与される酢酸アネコルタブの量は、約12mgから約27mgである。最も好ましくは、投与される酢酸アネコルタブの量は、約21mgから約27mgである。投与のための最も好ましい用量は、24mgの酢酸アネコルタブである。あるいは、テノン嚢下または結膜下の投与により投与される上記組成物中の血管新生抑制剤の好ましい濃度は、0.005重量%から5重量%である。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために包含される。以下の実施例で開示される技術が、本発明の実施において良好に機能することが本発明者により発見された技術を代表し、それゆえその実施のための好ましい様式を構成するとみなされ得ることを、当業者は理解する。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において多くの変化がなされ得、そして本発明の精神および範囲からはずれることなく同様の結果または類似の結果をなお得られることを理解する。
(実施例1)
約24mgの酢酸アネコルタブの単回投与を、初期の開放偶角緑内障の5人の患者の、眼の下部または下外側四分区間におけるブレブ濾過手術部位でのテノン嚢下投与によって与えた。五つの眼(5人の被験体)は、偽水晶体であるか、または以前に柵状織切除術に失敗した眼のいずれかであった。手術の終わりに、0.8ccの3%酢酸アネコルタブ懸濁液をブレブ中に30ゲージの針を用いて注入した。眼を、一日後、一週間後、一ヶ月後、そして6ヶ月間は毎月、その後は4ヶ月ごとに経過観察した。
IOPの平均の規準線は、25.4+/−3.7mm Hgであった。いずれの緑内障薬も用いずに、9ヶ月までの、平均IOPは15.8+/−10.1mm Hgであり、4人の被験体(80%)は、17mm Hg未満のIOPおよび30%をこえるIOPにおける減少を有した(図1を参照せよ)。顕著な感覚異常(dysasthesia)も視覚喪失もなかった。一方の眼は、追加の手術を必要とする前房出血があり、結局は失敗した(その患者の他方の眼もまた、マイトマイシンCを用いる手術を失敗した)。
本明細書において開示および特許請求された全ての組成物および/または方法は、本開示に照らして、過度の実験なしに作製および実施され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態の用語において記述されるが、バリエーションが、本発明の概念、精神および範囲から外れることなく、その組成物および/または方法ならびに本明細書において記載された方法の工程もしくは一連の工程において使用され得るということは、当業者にとって明白である。より具体的には、化学的にも構造的にも関連する特定の薬剤が、類似の結果を得るために本明細書で記載された薬剤に置き換えられ得ることは明白である。当業者にとって明白である全てのそのような置換および改変は、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神、範囲、および概念内にあると考えられる。
本明細書で引用される全ての引用文献は、本明細書中に参考として援用される。
以下の図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の特定の局面をさらに明示するために含まれる。本明細書中に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、この図面を参照することにより、本発明はより良く理解され得る。
図1は、5人の患者における濾過胞手術部位での酢酸アネコルタブ投与の、経時的なIOP低下効果を図示する。

Claims (8)

  1. 上昇した眼内圧を有する患者において眼内圧を低下させる方法であって、該方法は、該患者に、ブレブ濾過手術を行う工程、および手術の間に該患者に治療上有効な量の血管新生抑制剤を含む組成物を投与する工程を包含する方法であって、該投与は、眼の前方部分へのテノン嚢下投与、結膜下投与、前方の強膜近傍のデポー剤投与、濾過胞手術部位での投与、潅注溶液、硝子体内注入、およびインプラントからなる群より選択される方法による、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記血管新生抑制剤が、4,9(11)−プレグナジエン−17α,21−ジオール−3,20−ジオン−21−アセテートおよび4,9(11)−プレグナジエン−17α,21−ジオール−3,20−ジオンからなる群より選択される、方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、前記血管新生抑制剤が、0.005重量%から5.0重量%の濃度で存在する、方法。
  4. 請求項2に記載の方法であって、前記投与が、濾過胞手術の部位における、方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、投与される前記血管新生抑制剤の量が、3mgから約30mgである、方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、投与される前記血管新生抑制剤の量が約24mgである、方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、前記投与が、前方の強膜近傍のデポー剤投与による、方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、前記投与が、硝子体内注入またはインプラントによる、方法。
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