JP2009520810A - 死滅又は非感染性細菌の調製物を用いる腸炎症性症候群の管理 - Google Patents
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Abstract
本発明は、クローン病又は潰瘍性大腸炎のような腸炎症性症候群の治療のための、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌、例えばグラム陽性通性細胞内細菌、例えばマイコバクテリアの調製物の使用に関する。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、グラム陽性通性細胞内細菌(Gram positive facultative intracellular bacteria)のような死滅又は非感染性のグラム陽性細菌の調製物(preparation)の、腸炎症性症候群の治療のための使用に関する。
罹患率の増加とともに、クローン病は、小児、青年及び成人で見出される重篤になり得る疾患であり、特別な長期の注意を必要とする。潰瘍性大腸炎は、障害を持たせ、若年対象に影響する病因が未知の炎症性腸疾患(IBD)でもある。これらの2つの疾患の累積罹患率は、国によっては100000人の住民当たり10〜200人である。近年の食餌の変化及び細菌フローラの平衡異常は、正確な結果は報告されていないが、これらの病気の原因と関連付けられている。クローン病について、Mycobacterium avium sub. sp. paratuberculosis属の細菌は、最初の感染から2〜3年で出現するウシに影響する疾患であるヨーネ病とのその類似性を原因の一部分として、クローン病の原因であると提案されている。さらに最近では、E. coliのアドヘシン、フラジェリン又はフィムブリエが、該疾患の病理と関連付けられている。
突発性炎症性腸疾患(IBD)は、腸の炎症、並びに局所及び全身性の合併症を伴う慢性再発経過を特徴とする一連の未知の病因の胃腸管の障害を含む。
IBDの病因は不明のままであるが、病変及び症状が、炎症誘発性サイトカインの過剰生成を伴うことがよく確立されている。IBDは、2つの実体、潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病(CD)、並びに2つの主要な形の特徴が重複した、これらの疾患の中間変形体(intermediate variant)である未定型大腸炎(indeterminate colitis)を含む。
IBDの病因は不明のままであるが、病変及び症状が、炎症誘発性サイトカインの過剰生成を伴うことがよく確立されている。IBDは、2つの実体、潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病(CD)、並びに2つの主要な形の特徴が重複した、これらの疾患の中間変形体(intermediate variant)である未定型大腸炎(indeterminate colitis)を含む。
免疫応答は、これらの炎症性腸疾患と関連している。連続的進歩による長期の寛解の臨床テーブルは、自己免疫機構の参加を誘発する。しかし、これらが該疾患の原因又は結果であろうか?抗TNFαにより特にもたらされた能動的治療は、初期の機構のいずれの正確な徴候も与えることなく、広い意味での免疫機構がこれらの疾患に関係することを強調する。
種々のマウスの実験モデルは、ヒト疾患を部分的に再現する。フローラが疾患に関係することが示されている。無菌育種環境で飼育されたマウスは、フローラが通常であるマウスとは対照的に、炎症性症候群を発生しない。ラット又はマウスでのこれらの炎症性腸疾患(IBD)モデルのいくつかは、結腸に局所的に沈積されたフェノール誘導体(TNBS)、或いは飲用水に与えられたデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)の2〜3日の摂取による局所感作を伴う。調節性Tリンパ球は、IBDモデルにおいて役割を演じると記載されている。
腸炎症性症候群は、腸狭窄をもたらしかつ外科的介入の繰り返しを必要とするので、障害を与え、致命的であり得る慢性の病理である。これらの炎症性症候群の医学的治療は、強力な抗炎症剤、コルチコイド、細胞分裂抑制薬、及びより最近では抗TNF剤の使用に本質的に基づいている。投与される抗炎症剤の用量を減少させるか、又はこれらの抗炎症剤に取って代わることができるいずれの治療も重要である。
マウスでの実験的喘息を管理し得る機構を分析する経過において、CD4+ CD25+調節性細胞が生成されることが見出された。続いて分泌されるIL-10が、抗炎症活性の重要な役割を保証する。長期凍結乾燥(Extended Freeze Drying (EFD))により死滅したマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacteria bovis) BCGで処置された動物の肺へのアレルゲンの投与の後に存在する炎症性細胞の数の重大な減少により、本発明者らは、免疫アレルギー性現象又は自己免疫現象が記載されている他の症候群におけるEFDの最終的な活性を決定することができた。リウマチ性関節炎を再現するモデルでは、CD4+ Tリンパ球の関与も報告され、CD4+CD25+ Tリンパ球の存在又は移動が、疾患を停止させ得る。
本発明の目的は、炎症性腸疾患(IBD)のような腸炎症性症候群の治療を提供することである。
本発明の別の目的は、必要とされる抗炎症剤の用量を必要としないか又は低減させるIBDの治療を提供することである。よって、本発明は、腸炎症性症候群の予防及び治療用のグラム陽性細菌調製物の使用を提供し、該調製物は、グラム陽性細菌が死滅されているか又は非感染性であり、天然構造にある細菌タンパク質成分の50%より多く、好ましくは90%より多くを含有することを特徴とする。
本発明の別の目的は、必要とされる抗炎症剤の用量を必要としないか又は低減させるIBDの治療を提供することである。よって、本発明は、腸炎症性症候群の予防及び治療用のグラム陽性細菌調製物の使用を提供し、該調製物は、グラム陽性細菌が死滅されているか又は非感染性であり、天然構造にある細菌タンパク質成分の50%より多く、好ましくは90%より多くを含有することを特徴とする。
本発明は、Th1/Th2平衡異常を原因とする疾患の予防又は治療方法をさらに提供し、該方法は:
a. 死滅若しくは非感染性のグラム陽性細菌調製物、又は腸炎症性症候群を阻害する能力を保持するその一部分を得て、
b. 該疾患に影響される患者に、死滅グラム陽性細菌調製物又はその一部分の有効量を投与する
工程を含む。
a. 死滅若しくは非感染性のグラム陽性細菌調製物、又は腸炎症性症候群を阻害する能力を保持するその一部分を得て、
b. 該疾患に影響される患者に、死滅グラム陽性細菌調製物又はその一部分の有効量を投与する
工程を含む。
本発明は、腸炎症性症候群を予防又は治療する方法をさらに提供し、該方法は、患者に、グラム陽性細菌調製物の有効量を投与することにより、白血球性調節性細胞の産生を刺激する工程を含む。
本発明は、さらに、以下の:
a) 生細菌細胞の培養物を得て、
b) 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で前記細菌細胞を洗浄し、
c) 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で細菌細胞を凍結させ、
d) 凍結した細菌細胞を、凍結乾燥機内で、水分の少なくとも98.5%、好ましくは水分の少なくとも99%、より好ましくは水分の少なくとも99.5%を除去するのに充分な時間、乾燥させることによりそれらを死滅させ、
e) 長期凍結乾燥した細菌細胞を回収する
工程により調製されるグラム陽性細菌組成物を含む、腸炎症性腸疾患の治療及び/又は予防用の組成物を提供する。
a) 生細菌細胞の培養物を得て、
b) 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で前記細菌細胞を洗浄し、
c) 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で細菌細胞を凍結させ、
d) 凍結した細菌細胞を、凍結乾燥機内で、水分の少なくとも98.5%、好ましくは水分の少なくとも99%、より好ましくは水分の少なくとも99.5%を除去するのに充分な時間、乾燥させることによりそれらを死滅させ、
e) 長期凍結乾燥した細菌細胞を回収する
工程により調製されるグラム陽性細菌組成物を含む、腸炎症性腸疾患の治療及び/又は予防用の組成物を提供する。
図面の簡単な説明
図1は、飲用水に2.5% DSSを7日間加えた後の体重及び肛門炎症の変化を示す(C57Bl/6雄性マウス)。
図2は、飲用水中のDSSを与えたマウスと、対照(DSS供給なし)マウスとの間の結腸の長さの相違を示す。実験モデル:C57Bl/6雄性マウスに、飲用水中の2.5%のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を7日間与えた。結腸を、DSS供給の開始の10日後に回収した。
図1は、飲用水に2.5% DSSを7日間加えた後の体重及び肛門炎症の変化を示す(C57Bl/6雄性マウス)。
図2は、飲用水中のDSSを与えたマウスと、対照(DSS供給なし)マウスとの間の結腸の長さの相違を示す。実験モデル:C57Bl/6雄性マウスに、飲用水中の2.5%のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を7日間与えた。結腸を、DSS供給の開始の10日後に回収した。
図3は、EFD処置及び未処置のマウスの間の結腸の長さの相違を示す。マウスに、飲用水中の2.5% DSSを7日間与えた。ある群のマウスは、EFDで処置された:DSS供給の前に、21日間、皮下で100μg;又はDSS供給前の第21、20、17及び16日に、経口で1 mgを与えた。結腸を、DSS供給の開始後の第10日に回収した。
図4は、対照群(EFD処置もDSS供給もなし)、EFD処置マウス(DSS供給)及び未処置マウス(DSS供給)の間の結腸の長さの相違を示す。EFD処置マウスの結腸は、対照マウスと類似していた。これらは、盲腸と肛門との間で測定した。
図5は、EFD処置による炎症性腸疾患の予防を示す。EFD処置マウスの結腸は、対照マウス(EFDもDSSもなし)のものと類似していた(***は、ANOVA統計検定を用いてp<0.001を意味する)。これらは、第8又は10日、すなわちDSS供給の終了後1又は3日目に測定した。
図6は、EFD処置による炎症性腸疾患の予防を示す。EFD処置マウスは、深刻な下痢を生じないか又は下痢を生じなかったが、対照(DSS処置)は生じた。
図7は、対照(DSS供給なし、EFD処置なし)マウスの結腸の組織学的切片を示す。
図8は、図7の写真の一部分の拡大図である。
図9は、DSSを供給したマウスの結腸の組織学的切片を示す。
図10は、図9の写真の一部分の拡大図を示す。
図8は、図7の写真の一部分の拡大図である。
図9は、DSSを供給したマウスの結腸の組織学的切片を示す。
図10は、図9の写真の一部分の拡大図を示す。
図11は、DSS供給前にEFDで処置したマウスの結腸の組織学的切片を示す。
図12は、図11の写真の一部分の拡大図を示す。
図12は、図11の写真の一部分の拡大図を示す。
図13aは、対照マウスの結腸の組織学的切片を示す。
図13bは、DSSを供給したマウスの結腸の組織学的切片を示す。
図13cは、DSSの前にEFDで処置したマウスの結腸の組織学的切片を示す。
図14a、b及びcは、それぞれ図13a、b及びcの拡大図である。
図13bは、DSSを供給したマウスの結腸の組織学的切片を示す。
図13cは、DSSの前にEFDで処置したマウスの結腸の組織学的切片を示す。
図14a、b及びcは、それぞれ図13a、b及びcの拡大図である。
図15は、TNBSを用いた予備的実験を示す。C57Bl/6雄性マウスに、TNBS (50%のエチルアルコール100μl中に1 mg)を、第-5及び0日に2回、結腸に局所的に与えたか又は与えなかった。マウスの便を10日間観察した。第10日に、マウスを秤量した。ある群には、最初のTNBS送達の5日前(すなわち第-10日)にEFD 100μgを皮下で与えた。第2群には、PBSを与えた。対照群には、TNBSもEFDも与えなかった。グラムでの体重を、図に報告する(y軸)。
図16は、a) 体重並びにb) 肛門の炎症及び便の10日間の観察の間のプロトコル2のマウスでのDSS誘発IBDに対するEFDの影響を示す。プロトコル2に従って、C57Bl/6雄性マウスに、飲用水中の2.5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を5日間与えたか又は与えなかった。ある群には、DSSの21日前にEFD 100μgを皮下投与した。ある群には、PBSを投与した。対照である最後の群は、DSSを飲用しなかった。この処置プロトコルは、図16及び以下の図17〜24について同じである。x軸において、第0日は、DSS供給の最初の日に相当する。EFDでの前処置は、IBD症状を低減させる。
図17は、結腸及び盲腸の長さにより評価される、プロトコル2のDSS供給マウスに対するEFD前処置の影響を示す。結腸及び盲腸の長さは、DSS供給開始後の第10日に測定した。DSS供給による重要な炎症反応は、PBS処置マウスにおける腸管の肥厚及び結腸重量の変化なしでの結腸の長さの減少につながる。EFD処置マウスの結腸及び盲腸は、対照マウスのものと類似していた(***は、ANOVA統計検定でのp<0.001を意味する)。
図18は、腸間膜リンパ節細胞数に対する、DSS供給の開始後の第10日に観察された影響を示す。腸間膜リンパ節を回収し、分離し、それらの細胞含量を決定した。細胞数の増加(×2.5)が観察された。この増加は、マウスがEFDで予め処置されている場合は、わずかである(***は、ANOVA統計検定でのp<0.001を意味する)。
図19は、結腸組織(a)に存在するサイトカイン及びリンホカインに対するEFDの影響を示す。結腸組織の試料を、DSS供給の開始後の第10日に回収し、秤量し、プロテアーゼ阻害剤の存在下で分離した。これらの種々のサイトカイン及びリンホカインの含量を決定した。IL-12p40及びRANTESについて、PBS及びEFD処置マウスの間で統計学的に有意な差は観察されなかった。
図20は、結腸組織(b)に存在するサイトカイン及びリンホカインに対するEFDの影響を示す。全て炎症プロセスに含まれるIL-1β、TNF-α及びMIP-1αについて、PBS及びEFD処置マウスの間で統計学的に有意な差が観察され、よって、EFD処置は、DSS供給により誘発される炎症を妨げた。
図21は、結腸組織(c)に存在するサイトカイン及びリンホカインに対するEFDの影響を示す。活性化T細胞により生成されるIL-17は、種々の細胞系統を刺激して、炎症性及び造血性のサイトカインを生成する。EFD処置の後に、より少ない活性化T細胞が存在し(IFN-γ測定値による)、より少ないIL-17産生が観察された。
図22は、結腸組織(d)に存在するサイトカイン及びリンホカインに対するEFDの影響を示す。IL-8、IL-6及びIL-1αのマウス等価物であるKCは、「炎症性」サイトカインであるか、又はNFκBシグナル伝達経路に含まれる。これらの生成は、EFD処置後に減少した。
図23は、結腸組織(e)に存在するサイトカイン及びリンホカインに対するEFDの影響を示す。造血性サイトカインであるIL-3、GM-CSF及びG-CSFの生成は、IL-17生成の低下を示す以前の結果により示唆されるように、EFD処置後により少なかった。
図24は、DSSを補った水を飲用したマウスの脾臓で観察されるGATA-3タンパク質レベルの増加が、EFD処置により妨げられるという事実を示す。T-betタンパク質は、EFD処置の30日後に脾臓で多く生成された。DSS供給マウスからの2つの試料、a及びbを処理した。
図25は、EFD処置の数日後に飲用水中のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を3回与えたEFD処置マウスと未処置マウスとの間の体重の相違を示す。このモデルにより、慢性IBDにおけるEFDの予防的処置を調べた。マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の1.5% DSSを7日間、通常の水道水を8日間、飲用水中の1.5% DSSを5日間、水道水を10日間、1.5% DSSを5日間及びその後は水道水を与えた。マウスのある群は、EFD処置した:DSS供給の最初の日の21日前に100μgを皮下で、又はDSS供給の最初の日の23、22及び21日前に1 mgを経口で与えた。これらのマウスは、さらなるEFD処置を受けなかった。個別のマウスの体重を週5日間、各日に確かめた。実験は、第52日に終了した。
図26は、予防的アッセイ(図25)に含めたマウスに対して行った大腸炎スコアを示す。スコアは:
- 0 : 糞便に変化なし
- 1: 肛門炎症
- 2: 肛門炎症及び軟便
- 3: 肛門炎症及び下痢
- 4: 肛門炎症及び血便の下痢
に従って確かめた。
- 0 : 糞便に変化なし
- 1: 肛門炎症
- 2: 肛門炎症及び軟便
- 3: 肛門炎症及び下痢
- 4: 肛門炎症及び血便の下痢
に従って確かめた。
図27の上図は、予防的アッセイ(図25)に含めたマウスについて第52日での盲腸と肛門の間で測定した結腸の長さの相違を示す。EFD処置マウスの結腸は、DSSを全く供給していないナイーブマウスのものと類似していた(**は、ANOVA統計検定でp<0.01を意味し、***はp<0.001を意味する)。
図27の下図は、予防的アッセイ(図25)に含めたマウスについて第52日に回収した腸間膜リンパ節で見出された細胞の数を示す。細胞の数は、PBS処置マウスのものに比較して、EFD処置マウスのリンパ節で減少した(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図27の下図は、予防的アッセイ(図25)に含めたマウスについて第52日に回収した腸間膜リンパ節で見出された細胞の数を示す。細胞の数は、PBS処置マウスのものに比較して、EFD処置マウスのリンパ節で減少した(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図28は、予防的アッセイ(図25)に含めたマウスについて第52日での脾臓重量及び脾臓細胞の数を示す。差は、統計学的に違いがなかった。
図29は、予防的アッセイ(図25)に含めたマウスから第52日に回収した脾臓細胞による、いくつかの炎症性サイトカインの自発放出を示す。2×105細胞を、0.2 mlの組織培養培地中で37℃にて96時間インキュベートし、上清を回収し、IFN-γ、IL-6及びIL-17の濃度を、Multiplex BioRadアッセイを用いて決定した。PBS及びEFD処置の後に観察された違いは、サイトカインが何であれ非常に著しいが、IL-17についてより顕著であった。
図30の上図は、転写因子NFκBの濃度を示す。NFκBは、Active Motifにより販売され、製造者のプロトコルに従って用いるキットを用いて測定した。この転写因子は、予防的アッセイ(図25)に含めたマウスから第52日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定した。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、かなり有意であった(**は、ANOVA統計検定でp<0.01を意味する)か、又は非常に有意であった(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図30の下図は、転写因子PPARγの濃度を示す。PPARγは、Active Motifにより販売され、製造者のプロトコルに従って用いるキットを用いて測定した。この転写因子は、予防的アッセイ(図25)に含めたマウスから第52日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定した。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、かなり(**は、ANOVA統計検定でp<0.01を意味する)、又は非常に(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)有意であった。
図31は、飲用水中のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を5日間摂取したEFD処置マウスと未処置マウスとの間の体重の相違を示す。このモデルにより、急性IBDにおけるEFDの治癒的処置を調べた。マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の2.5% DSSを5日間、及びその後は水道水を与えた。マウスのある群を、EFDで処置した:DSS供給の最終日から24時間後、すなわち第6日に100μgを皮下で、又はDSS供給の第1日の後の第6、7及び8日に経口で1 mgを与えた。これらは、さらなるEFD処置を受けなかった。個別のマウスの体重を週5日間、各日に確かめた。実験は、第34日に終了した。EFD処置の後、わずかな、著しい治癒的な効果が、第13及び15日に、体重損失のより迅速な回復として観察された(* p<0.05)。
図32は、治癒的アッセイ(図31)に含めたマウスに対して行った大腸炎スコアを示す。スコアは、上記の記載(図26)に従って確認した。臨床症状は、EFD処置マウスでより迅速に減少した。
図33の上図は、治癒的アッセイ(図31)に含めたマウスについて第34日での盲腸と肛門の間で測定した結腸の長さの相違を示す。EFD処置マウスの結腸は、DSSを全く供給していないナイーブマウスのものに類似していた(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図33の下図は、治癒的アッセイ(図31)に含めたマウスについて第34日に回収した腸間膜リンパ節で見出された細胞の数を示す。細胞の数は、PBS処置マウスのものに比較して、EFD処置マウスのリンパ節で減少し、その差は統計学的に有意であった。
図33の下図は、治癒的アッセイ(図31)に含めたマウスについて第34日に回収した腸間膜リンパ節で見出された細胞の数を示す。細胞の数は、PBS処置マウスのものに比較して、EFD処置マウスのリンパ節で減少し、その差は統計学的に有意であった。
図34は、治癒的アッセイ(図31)に含めたマウスについて第34日での脾臓重量(上)、及び脾臓細胞の数(下)を示す。差は、統計学的に有意でなかった。
図35は、治癒的アッセイ(図31)に含めたマウスから第34日に回収した脾臓細胞による、いくつかの炎症性サイトカインの自発放出を示す。2×105細胞を、0.2 mlの組織培養培地中で37℃にて96時間インキュベートし、上清を回収し、IFN-γ、IL-6及びIL-17の濃度を、Multiplex BioRadアッセイを用いて決定した。PBS及びEFD処置の後に観察された違いは、IL-17について非常に有意であった(p<0.001)が、IFN-γ及びIL-6について有意でなかった。
図36の上図は、治癒的アッセイ(図31)に含めたマウスから第34日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定した転写因子NFκBの濃度を示す。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、非常に有意であった(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図36の下図は、治癒的アッセイ(図31)に含めたマウスから第34日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定したPPARγの濃度を示す。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、非常に有意であった(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図36の下図は、治癒的アッセイ(図31)に含めたマウスから第34日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定したPPARγの濃度を示す。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、非常に有意であった(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図37は、飲用水中のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を数日間、3回与え、かつDSSの最初の連続の後にEFD処置を受けたEFD処置マウスと未処置マウスとの間の体重の相違を示す。このモデルにより、慢性IBDにおけるEFD治癒的及び予防的処置を調べた。マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の1.5% DSSを7日間、通常の水道水を8日間、飲用水中の1.5% DSSを5日間、水道水を10日間、1.5% DSSを5日間、及びその後、水道水を与えた。マウスのある群は、EFDで処置した:最初のDSS供給の9日後に100μgを皮下で、又は最初のDSS供給後の第9、10及び11日に経口で1 mgを与えた。これらは、さらなるEFD処置を受けなかった。個別のマウスの体重を週5日間、各日に確かめた。実験は、第52日に終了した。EFD処置の後、わずかな、著しい、治癒的な効果が、第13、15日に、体重損失のより迅速で安定的な回復として観察された。
図38は、治癒的及び予防的アッセイ(図37)に含めたマウスに対して行った大腸炎スコアを示す。スコアは、上記の記載(図26)に従って確認した。臨床症状は、皮下EFD処置マウスで減少した。
図39の上図は、治癒的及び予防的アッセイ(図37)に含めたマウスについて第52日での盲腸と肛門の間で測定した結腸の長さの相違を示す。EFD処置マウスの結腸は、PBSマウスのものと大まかに(grossly)類似していた。
図39の下図は、治癒的及び予防的アッセイ(図37)に含めたマウスについて第52日に回収した腸間膜リンパ節で見出された細胞の数を示す。細胞の数は、皮下でEFD処置されたリンパ節においてのみ減少した(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図39の下図は、治癒的及び予防的アッセイ(図37)に含めたマウスについて第52日に回収した腸間膜リンパ節で見出された細胞の数を示す。細胞の数は、皮下でEFD処置されたリンパ節においてのみ減少した(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図40は、治癒的及び予防的アッセイ(図37)に含めたマウスについて第52日での脾臓重量(上)、及び脾臓細胞の数(下)を示す。脾臓重量と脾臓細胞数は、皮下でEFD処置されたマウスにおいてのみ減少した(*は、ANOVA統計検定でp<0.05を意味し、***は、p<0.001を意味する)。
図41は、治癒的及び予防的アッセイ(図37)に含めたマウスから第52日に回収した脾臓細胞による、いくつかの炎症性サイトカインの自発放出を示す。2×105細胞を、0.2 mlの組織培養培地中で37℃にて96時間インキュベートし、上清を回収し、IFN-γ、IL-6及びIL-17の濃度を、Multiplex BioRadアッセイを用いて決定した。PBS及びEFD処置の後に観察された違いは、サイトカインが何であれ、非常に有意であった(p<0.001)が、IL-17についてより顕著であった。
図42の上図は、治癒的及び予防的アッセイ(図37)に含めたマウスから第52日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度としての、NFκBの濃度を示す。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、非常に有意であった(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図42の下図は、治癒的及び予防的アッセイ(図37)に含めたマウスから第52日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定されたPPARγの濃度を示す。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、非常に有意であった(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図42の下図は、治癒的及び予防的アッセイ(図37)に含めたマウスから第52日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定されたPPARγの濃度を示す。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、非常に有意であった(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図43は、飲用水中のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を3回与え、かつDSSの最後の連続の後にEFD処置を受けたEFD処置マウスと未処置マウスとの間の体重の相違を示す。このモデルにより、慢性IBDにおけるEFD治癒的処置を調べた。マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の1.5% DSSを7日間、通常の水道水を8日間、飲用水中の1.5% DSSを5日間、水道水を10日間、1.5% DSSを5日間、及びその後、水道水を与えた。マウスのある群は、EFDで処置した:最後のDSS供給の7日後に100μgを皮下で、又は最初のDSS供給後の第42、43及び45日に経口で1 mgを与えた。個別のマウスの体重を週5日間、各日に確かめた。実験は、第54日に終了した。皮下でのEFD処置の後、体重損失の回復とともに、わずかな治癒的効果が第54日に観察された。
図44は、慢性IBDの治癒的アッセイ(図43)に含めたマウスに対して行った大腸炎スコアを示す。スコアは、上記の記載(図26)に従って確認した。臨床症状は、皮下EFD処置マウスで減少した。
図45の上図は、慢性IBDの治癒的アッセイ(図43)に含めたマウスについて第54日での盲腸と肛門の間で測定した結腸の長さの相違を示す。EFD処置マウスの結腸は、PBSマウスのものと大まかに類似していた(*は、ANOVA統計検定でp<0.05を意味する)。
図45の下図は、治癒的アッセイ(図43)に含めたマウスについて第54日に回収した腸間膜リンパ節で見出された細胞の数を示す。細胞の数は、皮下EFD処置されたリンパ節においてのみ減少した(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図45の下図は、治癒的アッセイ(図43)に含めたマウスについて第54日に回収した腸間膜リンパ節で見出された細胞の数を示す。細胞の数は、皮下EFD処置されたリンパ節においてのみ減少した(***は、ANOVA統計検定でp<0.001を意味する)。
図46は、慢性IBDの治癒的アッセイ(図43)に含めたマウスについて第54日での脾臓重量(上)、及び脾臓細胞の数(下)を示す。脾臓重量と脾臓細胞数は、皮下でEFD処置されたマウスにおいてのみ減少した(*は、ANOVA統計検定でp<0.05を意味し、**は、p<0.01を意味する)。
図47は、慢性IBDの治癒的アッセイ(図43)に含めたマウスから第54日に回収した脾臓細胞による、いくつかの炎症性サイトカインの自発放出を示す。2×105細胞を、0.2 mlの組織培養培地中で37℃にて96時間インキュベートし、上清を回収し、IFN-γ、IL-6及びIL-17の濃度を、Multiplex BioRadアッセイを用いて決定した。PBS及びEFD処置の後に観察された違いは、サイトカインが何であれ、非常に有意であった(p<0.001)が、IL-17についてより顕著であった。
図48の上図は、慢性IBDの治癒的アッセイ(図43)に含めたマウスから第54日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定したNFκBの濃度を示す。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、有意又は非常に有意であった(*は、ANOVA統計検定でp<0.05を意味し、***は、p<0.001を意味する)。
図48の下図は、慢性の治癒的アッセイ(図43)に含めたマウスから第54日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定したPPARγの濃度を示す。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、とても又は非常に有意であった(**は、ANOVA統計検定でp<0.01であり、***は、p<0.001を意味する)。
図48の下図は、慢性の治癒的アッセイ(図43)に含めたマウスから第54日に回収した脾臓細胞の核抽出物5μgでの光学密度として測定したPPARγの濃度を示す。PBS及びEFD処置後に観察された違いは、とても又は非常に有意であった(**は、ANOVA統計検定でp<0.01であり、***は、p<0.001を意味する)。
定義
本発明の関係において用いられる場合、表現「死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物」は、WO03049752に記載されるような死滅又は非感染性グラム陽性細菌の抽出物のことをいう。このグラム陽性細菌調製物は、その中に含まれる分子、特にその中に含まれるタンパク質の構造を変性させない方法により得ることができる、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌を含有する。有利には、このグラム陽性細菌調製物は、長期凍結乾燥された死滅細菌と、1.5%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満の残存水分とを含む。これらの長期凍結乾燥された死滅細菌は、生細菌細胞の培養物を得て、水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で該細菌細胞を洗浄し、水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で細菌細胞を凍結させ、それらを凍結乾燥機内で、少なくとも98.5%の水分、好ましくは少なくとも99%の水分、より好ましくは少なくとも99.5%の水分を除去するのに充分な時間乾燥させることにより、凍結細菌細胞を死滅させ、長期凍結乾燥死滅細菌細胞を回収することにより調製される。
本発明の関係において用いられる場合、表現「死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物」は、WO03049752に記載されるような死滅又は非感染性グラム陽性細菌の抽出物のことをいう。このグラム陽性細菌調製物は、その中に含まれる分子、特にその中に含まれるタンパク質の構造を変性させない方法により得ることができる、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌を含有する。有利には、このグラム陽性細菌調製物は、長期凍結乾燥された死滅細菌と、1.5%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満の残存水分とを含む。これらの長期凍結乾燥された死滅細菌は、生細菌細胞の培養物を得て、水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で該細菌細胞を洗浄し、水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で細菌細胞を凍結させ、それらを凍結乾燥機内で、少なくとも98.5%の水分、好ましくは少なくとも99%の水分、より好ましくは少なくとも99.5%の水分を除去するのに充分な時間乾燥させることにより、凍結細菌細胞を死滅させ、長期凍結乾燥死滅細菌細胞を回収することにより調製される。
本発明において「グラム陽性細菌調製物」との表現は、この長期凍結乾燥死滅細菌調製物の画分に及ぶ。この画分は、上記の死滅細菌調製物の有機溶媒抽出物からなる画分、上記の死滅細菌調製物のグリコシダーゼ処理抽出物からなる画分、上記の死滅細菌調製物のDNアーゼ及び/又はRNアーゼ消化抽出物からなる画分、及び有機溶媒、グリコシダーゼ、DNアーゼ及び/又はRNアーゼ、そして最後にプロテアーゼにより連続的に処理した上記の死滅細菌調製物からなる画分からなる群より選択される。
本発明の関係において用いられる場合、表現「腸炎症性症候群」は、2つの実体であるクローン病及び潰瘍性大腸炎並びにこれらの疾患の中間変形体、上記の2つの疾患の重複した特徴を示す未定型大腸炎を含む任意の炎症性腸疾患に関係する。
グラム陽性細菌調製物の使用
本発明は、腸炎症性症候群の予防及び治療のためのグラム陽性細菌調製物の使用にも関し、該調製物は、グラム陽性細菌が死滅しているか又は非感染性であり、50%より多く、好ましくは90%より多くの天然構造にある細菌タンパク質成分を含有することを特徴とする。本発明のグラム陽性細菌調製物は、腸炎症性症候群の予防及び/又は治療用の医薬の製造においても有用であり得る。
本発明は、腸炎症性症候群の予防及び治療のためのグラム陽性細菌調製物の使用にも関し、該調製物は、グラム陽性細菌が死滅しているか又は非感染性であり、50%より多く、好ましくは90%より多くの天然構造にある細菌タンパク質成分を含有することを特徴とする。本発明のグラム陽性細菌調製物は、腸炎症性症候群の予防及び/又は治療用の医薬の製造においても有用であり得る。
本発明の好ましい実施形態によると、グラム陽性細菌調製物は、グラム陽性通性細胞内細菌である。グラム陽性通性細胞内細菌は、合成培地にてインビトロで増殖する能力、及び哺乳動物又は非哺乳動物宿主からの真核細胞にインビボで感染してこれらの細胞内、例えばマクロファージ内で複製する能力を有するグラム陽性細菌を意味する。
別の実施形態によると、細菌調製物は、Listeria sp.、Corynobacterium sp.、並びにMycobacteria sp.、Nocardia sp.及びRhodococcus sp.を含む放線菌類からなる群より選択されるグラム陽性通性細胞内細菌を含有する。
より好ましくは、細菌調製物は、マイコバクテリウム・ボビス、さらにより好ましくはマイコバクテリウム・ボビスBCGを含有する。
より好ましくは、細菌調製物は、マイコバクテリウム・ボビス、さらにより好ましくはマイコバクテリウム・ボビスBCGを含有する。
本発明は、免疫調節不全、例えばTh1/Th2平衡異常を含む疾患の予防及び/又は治療用の医薬の製造のための死滅若しくは非感染性の細菌調製物又はその画分の使用にも関する。本発明の好ましい実施形態によると、該疾患は、クローン病又は潰瘍性大腸炎である。
死滅細菌調製物又はその画分は、医薬的に許容されるキャリア、及び/又は免疫増強剤、及び/又はアジュバント、及び/又は本明細書で以下に定義される任意の従来の添加物をともに含み得る。本発明のグラム陽性細菌調製物及び/又は医薬は、経口、舌下、非経口又は鼻内経路により投与し得る。
医薬組成物
上記のように、本発明は、腸炎症性障害の予防及び/又は治療のための医薬組成物の製造のための、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物の使用に関する。
本発明のある実施形態によると、このような組成物は:
a) 生細菌細胞の培養物を得て、
b) 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で細菌細胞を洗浄し、
c) 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で細菌細胞を凍結させ、
d) 凍結した細菌を、凍結乾燥機内で、水分の少なくとも98.5%、好ましくは水分の少なくとも99%、より好ましくは水分の少なくとも99.5%を除去するのに充分な時間乾燥することによりそれらを死滅させ、
e) 長期凍結乾燥細菌細胞を回収する
ことにより得られる。
上記のように、本発明は、腸炎症性障害の予防及び/又は治療のための医薬組成物の製造のための、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物の使用に関する。
本発明のある実施形態によると、このような組成物は:
a) 生細菌細胞の培養物を得て、
b) 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で細菌細胞を洗浄し、
c) 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で細菌細胞を凍結させ、
d) 凍結した細菌を、凍結乾燥機内で、水分の少なくとも98.5%、好ましくは水分の少なくとも99%、より好ましくは水分の少なくとも99.5%を除去するのに充分な時間乾燥することによりそれらを死滅させ、
e) 長期凍結乾燥細菌細胞を回収する
ことにより得られる。
本発明の組成物は、経口投与に適する形であるのが好ましい。例えば、該組成物は、経口投与用の錠剤、通常のカプセル剤、ゼラチンカプセル剤又はシロップ剤の形であり得る。これらのゼラチンカプセル剤、通常のカプセル剤及び錠剤の形は、医薬製剤に通常用いられる賦形剤、例えばデンプン、ガム及びゼラチンのようなアジュバント又は結合剤、リン酸カルシウムのようなアジュバント、トウモロコシデンプン若しくはアルギン酸(algenic acids)のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤(lubricant)、甘味剤又は香料を含み得る。液剤又は懸濁剤は、薬理学的に適合する溶媒の添加により、水性又は非水性の媒体中で調製できる。これらは、グリコール、ポリグリコール、プロピレングリコール、ポリグリコールエーテル、DMSO及びエタノールを含む。
別の好ましい実施形態によると、本発明の組成物は、非経口投与、例えば皮下注射に適する形であるのが好ましい。非経口投与、例えば皮下注射のために、キャリアは、好ましくは、水、生理食塩緩衝液、ラクトース、グルタメート、脂質又はワックスを含む。経口投与のために、上記のようなキャリア、又は固体キャリア、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース及び炭酸マグネシウムを用い得る。生分解性ミクロスフェア(例えばポリラクティックガラクチド)を、本発明の医薬組成物のためのキャリアとして用いることもできる。適切な生分解性ミクロスフェアは、例えば米国特許4,897,268及び5,075,109号に開示されている。
本発明の組成物は、さらに、添加物及び/又は免疫増強剤及び/又はアジュバント、例えば本発明による細菌細胞又はその画分を含有するリポソームを含有し得る。本発明の医薬組成物を調製するために用いられる添加物は、抗凝集剤、抗酸化剤、着色剤、風味増強剤、又は平滑剤、集合剤若しくは分離剤(smoothing, assembling or isolating agents)から選択でき、通常、製薬工業で従来用いられる任意の賦形剤から選択できる。
種々のアジュバントのいずれも、本発明の組成物において用いて、免疫応答を増強し得る。ほとんどのアジュバントは、抗原を迅速な代謝から保護するか、又は制御された炎症反応を創出するために設計された物質、例えば水酸化アルミニウム又は鉱物油、及び免疫応答の非特異的刺激物質、例えばリピドA、百日咳菌(Bordetella pertussis)毒素を含む。適切なアジュバントは、市販でも入手可能であり、例えばフロイントの不完全アジュバント及びフロイントの完全アジュバントであり、これらはヒトへの注射に用いることはできない。ヒトで用いることができるその他の適切なアジュバントは、水酸化アルミニウム、生分解性ミクロスフェア、モノホスフェリルA及びQuil Aを含む。
予防又は治療の方法
本発明の実施形態によると、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物は、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群より選択される腸炎症性障害の予防及び治療のために用いられる。本発明の方法は、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物の有効量を患者に投与して、白血球性調節性細胞、例えばCD4+、CD25+、T細胞、B細胞及び/又は樹状細胞の産生を刺激する工程を含む。
本発明の実施形態によると、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物は、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群より選択される腸炎症性障害の予防及び治療のために用いられる。本発明の方法は、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物の有効量を患者に投与して、白血球性調節性細胞、例えばCD4+、CD25+、T細胞、B細胞及び/又は樹状細胞の産生を刺激する工程を含む。
本発明の別の実施形態によると、Th1/Th2平衡異常を原因とする疾患を予防又は治療する方法が提供される。該方法は、a) 死滅若しくは非感染性のグラム陽性細菌調製物又は腸炎症性症候群を阻害する能力を保持するその一部分、或いは本発明の医薬組成物を提供し、b) グラム陽性細菌調製物の有効量を、該疾患に影響される患者に投与する工程を含む。
上記のように、腸炎症性症候群は、クローン病又は潰瘍性大腸炎であり得る。
上記のように、腸炎症性症候群は、クローン病又は潰瘍性大腸炎であり得る。
本発明の組成物中に存在するグラム陽性細菌調製物の量は、治療有効量であることが好ましい。グラム陽性細菌調製物の治療有効量は、グラム陽性細菌調製物が、組成物が投与される宿主において過度に負の影響を引き起こすことなく、腸炎症性症候群を阻害するその役割を行うために必要な量である。用いられるグラム陽性細菌調製物の正確な量及び投与される組成物は、治療される腸炎症性症候群の種類、投与の形態、及び組成物中の他の成分のような因子により変動する。好ましくは、組成物は、約10μg〜約10 mg、より好ましくは約100μg〜約1 mgの死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物で構成される。「約」により、死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物の上記の量(μg又はmg)の値が、このような量を評価するために用いられる方法の誤差の限界に応じたある範囲内で変動し得ることを意味する。
例えば、本発明の組成物の経口投与の間に、治療される宿主を、連続する3日の間に1日当たり約10μg〜約10 mgの死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物の1用量のスケジュールに付すことができる。治療は、1週間後に1回反復し得る。
非経口投与、例えば皮下注射のために、治療される宿主を、1か月あたり、又は6か月毎に約10μg〜約10 mg、より好ましくは約100μg〜約1 mgの死滅又は非感染性グラム陽性細菌調製物の1用量のスケジュールに付すことができる。
グラム陽性細菌調製物の製造方法
例えば、本発明のグラム陽性細菌は、細菌細胞からの分子を変性させず、よって免疫調節不全に罹患している対象にそれらを投与したときにインビボで白血球性調節性細胞(CD4+、CD25+、T細胞及び/又はB細胞及び/又は樹状細胞)を刺激し得る「温和法(soft method)」により死滅させ得る。つまり、本発明によるグラム陽性細菌調製物は、マイコバクテリアの熱死滅調製物からなり得る。本発明の好ましい実施形態によると、グラム陽性細菌は、凍結乾燥により死滅させる。温和法と呼ばれるこれらの方法は、限定されないが、細菌細胞の膜を、その高分子成分の構造を保持しながら破壊する物理的手段の使用を含む。これらの方法は、限定されないが、長期凍結乾燥、シリカ又はジルコニウムのビーズの存在下での粉砕、いわゆる「フレンチプレス」の使用、超音波破砕及びガンマ線照射を含む。上記で定義される死滅細菌調製物を得るために用いうる他の方法は、当業者に知られている。
例えば、本発明のグラム陽性細菌は、細菌細胞からの分子を変性させず、よって免疫調節不全に罹患している対象にそれらを投与したときにインビボで白血球性調節性細胞(CD4+、CD25+、T細胞及び/又はB細胞及び/又は樹状細胞)を刺激し得る「温和法(soft method)」により死滅させ得る。つまり、本発明によるグラム陽性細菌調製物は、マイコバクテリアの熱死滅調製物からなり得る。本発明の好ましい実施形態によると、グラム陽性細菌は、凍結乾燥により死滅させる。温和法と呼ばれるこれらの方法は、限定されないが、細菌細胞の膜を、その高分子成分の構造を保持しながら破壊する物理的手段の使用を含む。これらの方法は、限定されないが、長期凍結乾燥、シリカ又はジルコニウムのビーズの存在下での粉砕、いわゆる「フレンチプレス」の使用、超音波破砕及びガンマ線照射を含む。上記で定義される死滅細菌調製物を得るために用いうる他の方法は、当業者に知られている。
細菌細胞からの分子の構造を変性させない方法とは、分子の配置の広範な変性をもたらさない方法を意味する。好ましくは、このような方法は、細菌細胞からの微小分子、例えばタンパク質、多糖類及び脂質の3次元構造を保存する。
実施例
一般的な情報
IBDにおける炎症性反応を減少させるEFDの能力を試験するために、2種のIBDマウスモデルを研究した:
- TNBS局所感作に従属的な(secondary to) IBD
- DSS供給に従属的なIBD。
一般的な情報
IBDにおける炎症性反応を減少させるEFDの能力を試験するために、2種のIBDマウスモデルを研究した:
- TNBS局所感作に従属的な(secondary to) IBD
- DSS供給に従属的なIBD。
TNBS局所感作に従属的なIBD
TNBS (2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸)は、「純粋な」Tリンパ球依存性感作を創出するフェノール誘導体を含む化学物質である。感作は、肛門管に挿入した小管を通してTNBS溶液を結腸に局所的に送達することにより行う。数日後に、該化学物質の局所送達は、局所Tリンパ球応答のために潰瘍性外観を有する局所炎症性損傷を創出する。
TNBS (2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸)は、「純粋な」Tリンパ球依存性感作を創出するフェノール誘導体を含む化学物質である。感作は、肛門管に挿入した小管を通してTNBS溶液を結腸に局所的に送達することにより行う。数日後に、該化学物質の局所送達は、局所Tリンパ球応答のために潰瘍性外観を有する局所炎症性損傷を創出する。
このモデルの利点は、Tリンパ球依存性炎症性反応を研究できることである。
このモデルの欠点は、以下のとおりである:
- 各マウスには、注意深く取り扱って肛門に小管を導入するために2回麻酔をかけなければならない
- TNBSは、ヒトに対する強力な感作物質である。実験従事者を感作する危険性が高く、等価なフェノール誘導体が我々の環境に頻繁に存在することがわかっている。これは、非常に注意して取り扱わなければならない。
このモデルの欠点は、以下のとおりである:
- 各マウスには、注意深く取り扱って肛門に小管を導入するために2回麻酔をかけなければならない
- TNBSは、ヒトに対する強力な感作物質である。実験従事者を感作する危険性が高く、等価なフェノール誘導体が我々の環境に頻繁に存在することがわかっている。これは、非常に注意して取り扱わなければならない。
DSS供給に従属的なIBD
DSS (デキストラン硫酸ナトリウム)は、摂取したときに、マウスに局所的腸損傷を創出する化学物質である。飲用水を介するその送達は容易である。これは、TNBSよりも効力が低い感作物質であり、実験従事者に対する危険性がより低い。損傷の機構は、部分的に理解されており、無菌マウスにおいてDSS誘発損傷が見られないので、直接的な単一の免疫機構が除外される。ヒトのクローン病においては小腸細菌の存在の必要性も観察されており、DSSモデルがTNBSモデルよりもヒト疾患により近いと提案する研究者もいる。
DSS (デキストラン硫酸ナトリウム)は、摂取したときに、マウスに局所的腸損傷を創出する化学物質である。飲用水を介するその送達は容易である。これは、TNBSよりも効力が低い感作物質であり、実験従事者に対する危険性がより低い。損傷の機構は、部分的に理解されており、無菌マウスにおいてDSS誘発損傷が見られないので、直接的な単一の免疫機構が除外される。ヒトのクローン病においては小腸細菌の存在の必要性も観察されており、DSSモデルがTNBSモデルよりもヒト疾患により近いと提案する研究者もいる。
実施例I. DSS誘発IBDの予防的モデル(短期間の影響)
プロトコル
プロトコル1
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分配した。
・ 第1群のマウスには、何も与えなかった:これらは、対照群を構成する。
・ 第2群のマウスには、100μlの等張生理食塩水を皮下投与した。これらの飲用水は、21日後に、2.5% DSS水溶液に7日間交換された。
・ 第3群のマウスには、第1及び2日に1mgのEFDを供給し、第8及び9日に1mg EFDを再び供給した。これらの飲用水は、第21日にDSS溶液に7日間交換された。
・ 第4群のマウスには、第1日に、尾の根元に100μlの生理食塩水中の100μg EFDを皮下投与した。これらの飲用水は、第21日にDSS溶液に7日間交換された。
プロトコル
プロトコル1
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分配した。
・ 第1群のマウスには、何も与えなかった:これらは、対照群を構成する。
・ 第2群のマウスには、100μlの等張生理食塩水を皮下投与した。これらの飲用水は、21日後に、2.5% DSS水溶液に7日間交換された。
・ 第3群のマウスには、第1及び2日に1mgのEFDを供給し、第8及び9日に1mg EFDを再び供給した。これらの飲用水は、第21日にDSS溶液に7日間交換された。
・ 第4群のマウスには、第1日に、尾の根元に100μlの生理食塩水中の100μg EFDを皮下投与した。これらの飲用水は、第21日にDSS溶液に7日間交換された。
全てのマウスは、第8日(5匹)又は第10日(5匹)に屠殺して、早期の病理学的変化:結腸の長さ、組織学的知見を分析した。
プロトコル2
このプロトコルは、プロトコル1に類似する。C57Bl/6雄性マウス(1群あたり10匹のマウス)に、飲用水中の2.5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を5日間与えたか又は与えなかった。このプロトコルは、DSSを7日間の代わりに5日間与えるので、プロトコル1よりもわずかに緩やかである。ある群には、DSSの21日前にEFD 100μgを皮下投与した。ある群には、EFDの代わりにPBSを与えた。最後の群は対照であり、DSSもEFDも与えなかった。
このプロトコルは、プロトコル1に類似する。C57Bl/6雄性マウス(1群あたり10匹のマウス)に、飲用水中の2.5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を5日間与えたか又は与えなかった。このプロトコルは、DSSを7日間の代わりに5日間与えるので、プロトコル1よりもわずかに緩やかである。ある群には、DSSの21日前にEFD 100μgを皮下投与した。ある群には、EFDの代わりにPBSを与えた。最後の群は対照であり、DSSもEFDも与えなかった。
動物の各日の秤量及び観察を、DSS摂取の開始後8又は10日間行った。観察された徴候の強度をまとめる臨床スコアを確立した。
・ 0、正常なマウス
・ 1、肛門の炎症
・ 2、肛門の炎症及び軟便
・ 3、肛門の炎症及び下痢
・ 4、肛門の炎症及び血便の下痢。
・ 0、正常なマウス
・ 1、肛門の炎症
・ 2、肛門の炎症及び軟便
・ 3、肛門の炎症及び下痢
・ 4、肛門の炎症及び血便の下痢。
DSS摂取の開始後第8日に、各群の4匹の動物を屠殺し、それらの結腸を回収して測定し(肛門と盲腸の間の長さ)、Tissue-Tek O.C.T. (Sakura Finetek)に入れ、組織学的試験のために凍結した。生存したマウスは、第10日に屠殺した。
結腸組織の試料は、Multiplexキット(BioRad)を用いる種々のサイトカイン/リンホカインの含量を決定するために、第10日に回収した。
結腸組織の試料は、Multiplexキット(BioRad)を用いる種々のサイトカイン/リンホカインの含量を決定するために、第10日に回収した。
結果
1. マウスの体重曲線及び臨床的外観
飲用水としてデキストラン硫酸ナトリウム溶液を与え、EFDで処理していないマウスの第2群は、迅速に体重が減少する(図1左側)。動物の活動性(vivaciousness)は、この摂取の第6又は7日に非常に減少する。これらのマウスは、DSS摂取の停止後24又は72時間で全く回復しないか、又はあまり回復しない。第8日に、3匹のマウスが死亡した。
1. マウスの体重曲線及び臨床的外観
飲用水としてデキストラン硫酸ナトリウム溶液を与え、EFDで処理していないマウスの第2群は、迅速に体重が減少する(図1左側)。動物の活動性(vivaciousness)は、この摂取の第6又は7日に非常に減少する。これらのマウスは、DSS摂取の停止後24又は72時間で全く回復しないか、又はあまり回復しない。第8日に、3匹のマウスが死亡した。
第3及び4群からの経口又は皮下によりEFDで処置したマウスは、病的に見えるが、より重大ではない様式である。これらは活発なままであり、回復可能なように見える。これらの群では死亡はない。
プロトコル2に従ってEFDで処置したマウスの群は、対照マウスの群に類似の体重曲線を示し(図16a)、EFDでの前処置がIBD症状を低減させることを示した。
2. 臨床スコア
EFDで処置しなかったマウスは、DSSの摂取後4又は5日に臨床スコア(炎症及び下痢)の上昇を示す。このスコアは、7〜8日後にますます上昇する(図1右側)。
EFDで処置したマウスは、互いに比較したときに同一の臨床スコアであって、DSS摂取の開始後4及び5日で、未処置のマウスで観察されるものよりも上昇していないスコアを示す。このスコアは退行し、次いで正常になる。EFDで処置したマウスは、第7及び8日に肛門の炎症も下痢も示さない(図6)。プロトコル2に従ってEFDで処置したマウスは、対照マウスのものに類似の臨床スコアを示した(図16b)。
EFDで処置しなかったマウスは、DSSの摂取後4又は5日に臨床スコア(炎症及び下痢)の上昇を示す。このスコアは、7〜8日後にますます上昇する(図1右側)。
EFDで処置したマウスは、互いに比較したときに同一の臨床スコアであって、DSS摂取の開始後4及び5日で、未処置のマウスで観察されるものよりも上昇していないスコアを示す。このスコアは退行し、次いで正常になる。EFDで処置したマウスは、第7及び8日に肛門の炎症も下痢も示さない(図6)。プロトコル2に従ってEFDで処置したマウスは、対照マウスのものに類似の臨床スコアを示した(図16b)。
3. 結腸の炎症
a) 肉眼の検査
動物を、DSS摂取の開始の8又は10日後に、該摂取の停止の1又は3日後に犠牲にした。剖検の日時による差は観察されなかった。対照動物の結腸は、多数の糞便を含んでおり、これは肛門の方に移動するに従ってますます堅くなった。結腸の平均長は6.7 cmである(図5)。DSSを与えた動物の結腸の長さは、約3.8 cmに減少する(図2及び5)。DSS処置マウスにおいて、便は軟らかく、結腸はしばしば出血性である。
a) 肉眼の検査
動物を、DSS摂取の開始の8又は10日後に、該摂取の停止の1又は3日後に犠牲にした。剖検の日時による差は観察されなかった。対照動物の結腸は、多数の糞便を含んでおり、これは肛門の方に移動するに従ってますます堅くなった。結腸の平均長は6.7 cmである(図5)。DSSを与えた動物の結腸の長さは、約3.8 cmに減少する(図2及び5)。DSS処置マウスにおいて、便は軟らかく、結腸はしばしば出血性である。
EFDで処置した動物の結腸は、対照動物のものと同一の外観で多少堅い糞便を含んでいた(図4)。結腸の平均長は、5.8 cmである(図5)。投与の形態による、EFD処置の効果における著しい違いは観察されなかった(図5)。
プロトコル2に従ってEFDで処置したマウスは、DSSを与えたことがない対照マウスのものと同様の結腸及び盲腸の長さを示した(図17)。
プロトコル2に従ってEFDで処置したマウスは、DSSを与えたことがない対照マウスのものと同様の結腸及び盲腸の長さを示した(図17)。
b) 顕微鏡検査
DSS投与後の損傷の顕微鏡検査は、腸壁の肥厚に関連する、腸間膜の挿入のレベルで重要な、腸粘膜のレベルで激しい炎症性応答、粘膜下組織の浮腫を示す。腸絨毛は分離され、部分的に分解される(図9及び10に対して対照として図7及び8、図13及び14)。
DSS投与後の損傷の顕微鏡検査は、腸壁の肥厚に関連する、腸間膜の挿入のレベルで重要な、腸粘膜のレベルで激しい炎症性応答、粘膜下組織の浮腫を示す。腸絨毛は分離され、部分的に分解される(図9及び10に対して対照として図7及び8、図13及び14)。
DSS摂取の前にEFDで処置した動物において、損傷は、より重大でない(図11及び12に対して対照として図7及び8)。腸絨毛は、対照動物について観察されたものに近い形態を有する(図13及び14)。
c) 結腸組織及び脾臓に存在する炎症性調節物質
IL-12p40、IL-12p70、RANTES、IL-1 ベータ、TNFアルファ、MIP-1アルファ、IL-17、IFNガンマ、IL-10、KC、IL-6、IL-1アルファ、IL-3、GM-CSF及びG-CSFの量(dosage)。
全てのサイトカイン及びリンホカインを、製造者の推奨に従ってBioplex法(Bio-Rad)を用いて測定した。
IL-12p40、IL-12p70、RANTES、IL-1 ベータ、TNFアルファ、MIP-1アルファ、IL-17、IFNガンマ、IL-10、KC、IL-6、IL-1アルファ、IL-3、GM-CSF及びG-CSFの量(dosage)。
全てのサイトカイン及びリンホカインを、製造者の推奨に従ってBioplex法(Bio-Rad)を用いて測定した。
脾臓中のT-bet及びGATA-3タンパク質の量
脾臓細胞から抽出された全タンパク質を、7.5% SDS-PAGE上で分離し、次いで、ニトロセルロースシートに移したタンパク質のバンドを、E. Schmitt及びC. Richter (Institute of Immunology, Mainz, Germany)の好意により提供されたポリクローナルウサギ抗マウスFOXP3 IgGで、マウスモノクローナル抗T-bet、マウスモノクローナル抗GATA-3 (Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)、又はβ-アクチンマウスモノクローナルAb (Ac-15 Abcam, Cambridge, UK)とともにプローブした。2次Abとして、HRP標識ポリクローナルヤギ抗ウサギ(Dako Cytomation, Denmark)を用いた。免疫複合体を、増強化学発光検出システム(Amersham, France)により可視化した。
脾臓細胞から抽出された全タンパク質を、7.5% SDS-PAGE上で分離し、次いで、ニトロセルロースシートに移したタンパク質のバンドを、E. Schmitt及びC. Richter (Institute of Immunology, Mainz, Germany)の好意により提供されたポリクローナルウサギ抗マウスFOXP3 IgGで、マウスモノクローナル抗T-bet、マウスモノクローナル抗GATA-3 (Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)、又はβ-アクチンマウスモノクローナルAb (Ac-15 Abcam, Cambridge, UK)とともにプローブした。2次Abとして、HRP標識ポリクローナルヤギ抗ウサギ(Dako Cytomation, Denmark)を用いた。免疫複合体を、増強化学発光検出システム(Amersham, France)により可視化した。
炎症性サイトカイン及びリンホカインは、飲用水中にDSSを与えたマウスから回収した結腸試料中で高濃度に存在する。これらの分子は、マウスで観察される重要な病理学的変化の原因又は結果である。DSSの摂取の前にEFDを皮下処置した動物において、これらの分子の濃度は、DSSなしで水道水を与えた対照動物で観察される範囲であった(図19〜24を参照されたい)。
d) 腸間膜リンパ節細胞数
腸間膜リンパ節のサイズの増加は、一般的に、結腸疾患、より具体的には炎症性腸疾患と関連している。
DSS供給の開始後第10日に、プロトコル2からのマウスの腸間膜リンパ節を回収し、細胞ストレーナー(Falcon)上で破砕した。解離させた細胞を、5% FCSを補ったAIM V培地(Gibco)で洗浄し、遠心分離し、沈殿した細胞を0.5又は1 mlの培地に再懸濁した。細胞を、トリパンブルー(PBS中に0.1%)中で10倍希釈し、マラッセセル(Malassez cell)中で顕微鏡により計数した。PBS-処置しDSSを与えたマウスでは、対照マウスに比べて細胞数が増加(×2.5)するのが観察される。EFDの予防的処置は、対照マウスの値に対するこの数を、著しく低減することを可能にする。(図18)。
腸間膜リンパ節のサイズの増加は、一般的に、結腸疾患、より具体的には炎症性腸疾患と関連している。
DSS供給の開始後第10日に、プロトコル2からのマウスの腸間膜リンパ節を回収し、細胞ストレーナー(Falcon)上で破砕した。解離させた細胞を、5% FCSを補ったAIM V培地(Gibco)で洗浄し、遠心分離し、沈殿した細胞を0.5又は1 mlの培地に再懸濁した。細胞を、トリパンブルー(PBS中に0.1%)中で10倍希釈し、マラッセセル(Malassez cell)中で顕微鏡により計数した。PBS-処置しDSSを与えたマウスでは、対照マウスに比べて細胞数が増加(×2.5)するのが観察される。EFDの予防的処置は、対照マウスの値に対するこの数を、著しく低減することを可能にする。(図18)。
実施例II. DSS誘発慢性IBDの予防的モデル(長期間の影響)
このモデルにより、慢性IBDにおけるEFD予防的処置を研究した。
プロトコル
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分けた。
マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の1.5% DSSを7日間、通常の水道水を8日間、飲用水中の1.5% DSSを5日間、水道水を10日間、1.5% DSSを5日間及びその後は水道水を与えた。マウスのある群は、EFD処置した:DSS供給の最初の日の21日前に100μgを皮下で、又は最初のDSS供給の23、22及び21日前に1 mgを経口で与えた。これらのマウスは、さらなるEFD処置を受けなかった。実験は、第52日に終了した。
このモデルにより、慢性IBDにおけるEFD予防的処置を研究した。
プロトコル
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分けた。
マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の1.5% DSSを7日間、通常の水道水を8日間、飲用水中の1.5% DSSを5日間、水道水を10日間、1.5% DSSを5日間及びその後は水道水を与えた。マウスのある群は、EFD処置した:DSS供給の最初の日の21日前に100μgを皮下で、又は最初のDSS供給の23、22及び21日前に1 mgを経口で与えた。これらのマウスは、さらなるEFD処置を受けなかった。実験は、第52日に終了した。
結果
体重曲線
経口又は皮下にてEFDで処置したマウスは、EFDで処置せず、DSSを供給したマウスと類似の様式で体重が減少し、再び増加したが、3連続のDSS摂取後の実験の最後に(第50日)、予防的処置により、マウスは、対照マウスのものに非常に近い体重を有することが可能である(図25)。
体重曲線
経口又は皮下にてEFDで処置したマウスは、EFDで処置せず、DSSを供給したマウスと類似の様式で体重が減少し、再び増加したが、3連続のDSS摂取後の実験の最後に(第50日)、予防的処置により、マウスは、対照マウスのものに非常に近い体重を有することが可能である(図25)。
臨床スコア
図26に従って、実験の最後に(第50日)、EFDで処置しなかったマウスは、DSS供給の終了後に連続的の上昇する臨床スコアを示す。EFD前処置により、実験の最後に、マウスは、正常になった臨床スコアを有することが可能であり、マウスをEFDで処置していないときは、3回のIBDシミュレーションの後であってもそれらの臨床スコアが連続的に増加することを参照されたい。
図26に従って、実験の最後に(第50日)、EFDで処置しなかったマウスは、DSS供給の終了後に連続的の上昇する臨床スコアを示す。EFD前処置により、実験の最後に、マウスは、正常になった臨床スコアを有することが可能であり、マウスをEFDで処置していないときは、3回のIBDシミュレーションの後であってもそれらの臨床スコアが連続的に増加することを参照されたい。
結腸の炎症
実験の最後に(第52日)、EFD処置マウスの結腸は、DSSを供給したことがないナイーブマウスのものと類似していた(図27上)。
実験の最後に(第52日)、EFD処置マウスの結腸は、DSSを供給したことがないナイーブマウスのものと類似していた(図27上)。
リンパ節及び脾臓
実験の最後に(第52日)、EFD処置マウスのリンパ節中の細胞数は、PBS処置マウスのものに比較して減少したが、DSSを供給したことがない対照マウスの細胞数まで累進的に回復することが予想できる(図27下)。
図28に示すように、この予防的アッセイに含めたマウスでの第52日の脾臓重量及び脾臓細胞の数は、統計学的に差がない。
実験の最後に(第52日)、EFD処置マウスのリンパ節中の細胞数は、PBS処置マウスのものに比較して減少したが、DSSを供給したことがない対照マウスの細胞数まで累進的に回復することが予想できる(図27下)。
図28に示すように、この予防的アッセイに含めたマウスでの第52日の脾臓重量及び脾臓細胞の数は、統計学的に差がない。
脾臓からの炎症性調節物質の放出
実験の最後に(第52日)回収した脾臓細胞によるいくつかの炎症性サイトカインの自発放出を、研究した。PBS及びEFDでの前処置の後に観察される差は、サイトカインが何であれ非常に著しい(IFNガンマ、IL-6及びIL-17)が、IL-17についてより顕著である。EFD前処置は、慢性IBDの後に、サイトカイン放出のレベルを、DSSを与えたことがないナイーブマウスのものと同様に保つことを可能にする(図29)。
実験の最後に(第52日)回収した脾臓細胞によるいくつかの炎症性サイトカインの自発放出を、研究した。PBS及びEFDでの前処置の後に観察される差は、サイトカインが何であれ非常に著しい(IFNガンマ、IL-6及びIL-17)が、IL-17についてより顕著である。EFD前処置は、慢性IBDの後に、サイトカイン放出のレベルを、DSSを与えたことがないナイーブマウスのものと同様に保つことを可能にする(図29)。
核因子-カッパB (NF-κB)は、炎症性腸疾患において活性化され、炎症性サイトカインをアップレギュレートすることが知られている。図30の上図に示すように、マウスの反復DSS処置により誘発された高濃度のNF-κBは、EFD前処置により著しく減少する。
脂肪細胞、副腎及び脾臓で主に発現されるリガンド依存性転写因子の核受容体スーパーファミリーのメンバーであるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-γ(PPAR-γ)は、多数の炎症応答の調節、及び特に腸の炎症に関わる。これは、核因子カッパB (NF-κB)活性の減衰により大腸炎の鍵となる阻害剤として提案されている。脾臓でのPPAR-γのレベルは、図30の下図に示すように、慢性炎症の間に減少する。EFDでのマウスの予防的処置は、慢性IBDモデルでのPPAR-γのレベルを、ナイーブマウス(慢性IBDなし)のレベルを超えて増加させる。
実施例III. DSS誘発IBDの治癒的モデル(長期間の影響)
このモデルにより、急性IBDにおけるEFDの治癒的処置を研究した。
プロトコル
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分配した。
マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の2.5% DSSを5日間、及びその後は水道水を与えた。マウスのある群を、EFD処置した:DSS供給の最終日から24時間後(すなわち第6日)に100μgを皮下で、又はDSS供給の第1日後の第6、7及び8日に経口で1 mgを与えた。これらは、さらなるEFD処置を受けなかった。実験は、第34日に終了した。
このモデルにより、急性IBDにおけるEFDの治癒的処置を研究した。
プロトコル
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分配した。
マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の2.5% DSSを5日間、及びその後は水道水を与えた。マウスのある群を、EFD処置した:DSS供給の最終日から24時間後(すなわち第6日)に100μgを皮下で、又はDSS供給の第1日後の第6、7及び8日に経口で1 mgを与えた。これらは、さらなるEFD処置を受けなかった。実験は、第34日に終了した。
結果
体重曲線
急性のDSS誘発IBDにおける治癒的処置のこのモデルにおいて、個別のマウスの体重を、DSS摂取の最初の日から35日後まで、週に5日間、各日に確認した。EFDでの処置後に、わずかな、著しい治癒的効果が、第13及び15日に、体重損失のより迅速な回復として観察された(図31)。
体重曲線
急性のDSS誘発IBDにおける治癒的処置のこのモデルにおいて、個別のマウスの体重を、DSS摂取の最初の日から35日後まで、週に5日間、各日に確認した。EFDでの処置後に、わずかな、著しい治癒的効果が、第13及び15日に、体重損失のより迅速な回復として観察された(図31)。
臨床スコア
スコアは、上記の記載に従って確認した(実施例Iを参照)。臨床症状は、EFD処置マウスで、PBS処置マウスよりも迅速に減少した(図32)。
スコアは、上記の記載に従って確認した(実施例Iを参照)。臨床症状は、EFD処置マウスで、PBS処置マウスよりも迅速に減少した(図32)。
結腸の炎症
実験の最後に(第34日)、EFD処置マウスの結腸は、DSSを供給したことがないナイーブマウスのものに類似していた(図33上)。
実験の最後に(第34日)、EFD処置マウスの結腸は、DSSを供給したことがないナイーブマウスのものに類似していた(図33上)。
リンパ節及び脾臓
実験の最後に(第34日)、EFD処置マウスのリンパ節中の細胞数は、PBS処置マウスのものに比較して減少しており、その差は統計学的に異なっていた(図33下)。図34に示すように、第34日での脾臓重量及び脾臓細胞数の違いは、統計学的に有意でない。
実験の最後に(第34日)、EFD処置マウスのリンパ節中の細胞数は、PBS処置マウスのものに比較して減少しており、その差は統計学的に異なっていた(図33下)。図34に示すように、第34日での脾臓重量及び脾臓細胞数の違いは、統計学的に有意でない。
脾臓からの炎症性調節物質の放出
実験の最後に(第34日)に回収された脾臓細胞によるいくつかの炎症性サイトカインの自発放出を、研究した。PBS及びEFDでの処置の間で観察された差は、IL-17について非常に著しく、IFN-γ及びIL-6について著しくなかった(図35)。
実験の最後に(第34日)に回収された脾臓細胞によるいくつかの炎症性サイトカインの自発放出を、研究した。PBS及びEFDでの処置の間で観察された差は、IL-17について非常に著しく、IFN-γ及びIL-6について著しくなかった(図35)。
図36の上図に示すように、高濃度のNF-κBは、DSS摂取の終了の1か月後にPBS処置マウスの脾臓で維持される。同時に、EFD処置は、EFD処置なしのものより著しく低く、DSSを供給したことがないナイーブマウスのものに類似のNF-κB濃度を有することを許容する。
実験の最後に、PBS及びEFD処置マウスの脾臓で観察されるPPAR-γのレベルは、図36の下図に示すように、非常に異なっている。
実験の最後に、PBS及びEFD処置マウスの脾臓で観察されるPPAR-γのレベルは、図36の下図に示すように、非常に異なっている。
実施例IV. DSS誘発慢性IBDの治癒的及び予防的モデル(長期の影響) (図37〜42)
このモデルにより、慢性IBDにおけるEFD治癒的及び予防的処置を調べた。
プロトコル
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分配した。
マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の1.5% DSSを7日間、通常の水道水を8日間、飲用水中の1.5% DSSを5日間、水道水を10日間、1.5% DSSを5日間、及びその後、水道水を与えた。マウスのある群を、EFD処置した:最初のDSS供給の9日後に100μgを皮下で、又は最初のDSS供給後の第9、10及び11日に経口で1 mgを与えた。これらは、さらなるEFD処置を受けなかった。実験は、第52日に終了した。
このモデルにより、慢性IBDにおけるEFD治癒的及び予防的処置を調べた。
プロトコル
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分配した。
マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の1.5% DSSを7日間、通常の水道水を8日間、飲用水中の1.5% DSSを5日間、水道水を10日間、1.5% DSSを5日間、及びその後、水道水を与えた。マウスのある群を、EFD処置した:最初のDSS供給の9日後に100μgを皮下で、又は最初のDSS供給後の第9、10及び11日に経口で1 mgを与えた。これらは、さらなるEFD処置を受けなかった。実験は、第52日に終了した。
結果
体重曲線
慢性DSS誘発IBDでの治癒的/予防的処置のこのモデルにおいて、個別のマウスの体重を、DSSの摂取の第1日から52日後まで週5日間、各日に確かめた。EFDでの処置の後に、わずかな、著しい治癒的効果が、第13及び15日に、体重損失のより迅速で安定的な回復として観察された(図37)。
体重曲線
慢性DSS誘発IBDでの治癒的/予防的処置のこのモデルにおいて、個別のマウスの体重を、DSSの摂取の第1日から52日後まで週5日間、各日に確かめた。EFDでの処置の後に、わずかな、著しい治癒的効果が、第13及び15日に、体重損失のより迅速で安定的な回復として観察された(図37)。
臨床スコア
スコアは、上記の記載に従って確認した(実施例I参照)。臨床症状は、皮下EFD処置マウスで、PBS処置マウスに比較して減少した(図38)。
スコアは、上記の記載に従って確認した(実施例I参照)。臨床症状は、皮下EFD処置マウスで、PBS処置マウスに比較して減少した(図38)。
結腸の炎症
実験の最後に(第52日)、EFD処置マウスの結腸は、PBS処置マウスのものと大まかに類似していた(図39上)。
実験の最後に(第52日)、EFD処置マウスの結腸は、PBS処置マウスのものと大まかに類似していた(図39上)。
リンパ節及び脾臓
実験の最後に(第52日)、細胞数は、皮下EFD処置マウスのリンパ節でのみ減少し、PBS処置マウスとの違いは非常に著しかった(図39下)。同様に、脾臓重量及び脾臓細胞数は、皮下EFD処置したマウスでのみ減少した(図40)。
実験の最後に(第52日)、細胞数は、皮下EFD処置マウスのリンパ節でのみ減少し、PBS処置マウスとの違いは非常に著しかった(図39下)。同様に、脾臓重量及び脾臓細胞数は、皮下EFD処置したマウスでのみ減少した(図40)。
脾臓からの炎症性調節物質の放出
実験の最後に(第52日)回収された脾臓細胞によるいくつかの炎症性サイトカインの自発的放出を、研究した。PBS及びEFD処置の間で観察された違いは、サイトカインが何であれ非常に著しかったが、IL-17についてより顕著であった(図41)。
実験の最後に(第52日)回収された脾臓細胞によるいくつかの炎症性サイトカインの自発的放出を、研究した。PBS及びEFD処置の間で観察された違いは、サイトカインが何であれ非常に著しかったが、IL-17についてより顕著であった(図41)。
図42の上図に示すように、慢性IBDの後に、高濃度のNF-κBが、PBS処置マウスの脾臓で観察された。EFD処置マウスの脾臓でのNF-κB濃度は、PBS処置マウスの脾臓でのものより低く、その差は非常に著しかった。
慢性IBDの後に、PBS及びEFD処置マウスの脾臓で観察されたPPAR-γのレベルは非常に異なり、その差は非常に著しかった(図42下)。
慢性IBDの後に、PBS及びEFD処置マウスの脾臓で観察されたPPAR-γのレベルは非常に異なり、その差は非常に著しかった(図42下)。
実施例V. DSS誘発慢性IBDの治癒的モデル(短期間の影響) (図43〜48)
このモデルにより、慢性IBDにおけるEFDの治癒的処置を調べた。
プロトコル
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分配した。
マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の1.5% DSSを7日間、通常の水道水を8日間、飲用水中の1.5% DSSを5日間、水道水を10日間、1.5% DSSを5日間、及びその後、水道水を与えた。マウスのある群は、EFDで処置した:最後のDSS供給の7日後に100μgを皮下で、又は最初のDSS供給後の第42、43及び45日に経口で1 mgを与えた。実験は、第54日に終了した。
このモデルにより、慢性IBDにおけるEFDの治癒的処置を調べた。
プロトコル
6〜7週齢のC57Bl/6マウスを、10匹のマウスの4群に分配した。
マウス(C57Bl/6雄性マウス)に、飲用水中の1.5% DSSを7日間、通常の水道水を8日間、飲用水中の1.5% DSSを5日間、水道水を10日間、1.5% DSSを5日間、及びその後、水道水を与えた。マウスのある群は、EFDで処置した:最後のDSS供給の7日後に100μgを皮下で、又は最初のDSS供給後の第42、43及び45日に経口で1 mgを与えた。実験は、第54日に終了した。
結果
体重曲線
慢性DSS誘発IBDの治癒的処置のこのモデルにおいて、個別のマウスの体重を、DSS摂取の第1日から54日後まで週5日間、各日に確かめた。皮下EFD処置の後に、わずかな治癒的効果が、第54日に、体重損失の回復として観察された(図43)。
体重曲線
慢性DSS誘発IBDの治癒的処置のこのモデルにおいて、個別のマウスの体重を、DSS摂取の第1日から54日後まで週5日間、各日に確かめた。皮下EFD処置の後に、わずかな治癒的効果が、第54日に、体重損失の回復として観察された(図43)。
臨床スコア
スコアは、上記の記載に従って確認した(実施例Iを参照)。皮下EFD処置のあとのみで、臨床症状が減少し、正常のものに近くなる(図44)。
スコアは、上記の記載に従って確認した(実施例Iを参照)。皮下EFD処置のあとのみで、臨床症状が減少し、正常のものに近くなる(図44)。
結腸の炎症
実験の最後に(第54日)、EFD処置マウスの結腸は、PBS処置マウスのものと大まかに類似していた(図45上)。
実験の最後に(第54日)、EFD処置マウスの結腸は、PBS処置マウスのものと大まかに類似していた(図45上)。
リンパ節及び脾臓
実験の最後に(第54日)、細胞の数は、皮下EFD処置マウスのリンパ節でのみ減少し、EFD処置マウスとPBS処置マウスとの間で観察された差は非常に有意であった(図45下)。同様に、脾臓重量及び脾臓細胞数は、皮下EFDされた処置マウスでのみ減少した(図46)。
実験の最後に(第54日)、細胞の数は、皮下EFD処置マウスのリンパ節でのみ減少し、EFD処置マウスとPBS処置マウスとの間で観察された差は非常に有意であった(図45下)。同様に、脾臓重量及び脾臓細胞数は、皮下EFDされた処置マウスでのみ減少した(図46)。
脾臓からの炎症性調節物質の放出
実験の最後に(第54日)に回収した脾臓細胞によるいくつかの炎症性サイトカインの自発放出を、研究した。PBS及びEFD処置の間で観察された違いは、サイトカインが何であれ非常に著しかったが、IL-17についてより顕著であった(図47)。
実験の最後に(第54日)に回収した脾臓細胞によるいくつかの炎症性サイトカインの自発放出を、研究した。PBS及びEFD処置の間で観察された違いは、サイトカインが何であれ非常に著しかったが、IL-17についてより顕著であった(図47)。
図48の上図に示すように、慢性IBDの後に、EFD処置マウスの脾臓でのNF-κB濃度は、PBS処置マウスの脾臓でのものより低く、その差はかなり(皮下処置)又は非常に(経口処置)著しかった。
慢性IBDの後に、PBS及びEFD処置マウスの脾臓で観察されたPPAR-γの濃度は、非常に著しい差を示した(図48下)。投与の形態が何であれEFD処置は、ナイーブマウスのものと同様又はわずかに高いPPAR-γ濃度を有することを許容する。
慢性IBDの後に、PBS及びEFD処置マウスの脾臓で観察されたPPAR-γの濃度は、非常に著しい差を示した(図48下)。投与の形態が何であれEFD処置は、ナイーブマウスのものと同様又はわずかに高いPPAR-γ濃度を有することを許容する。
実施例VI. TNBS誘発IBDの予防的モデル(短期間の影響)
プロトコル
C57Bl/6雄性マウスに、50%のエチルアルコール100μl中のTNBS (1 mgの2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS))を2回、第-5及び0日に、結腸に局所的に与えたか又は与えなかった。これらの便を10日間観察した。第10日に、マウスを秤量した。マウスのある群には、最初のTNBS送達の5日前(すなわち第-10日)にEFD 100μgを皮下で与えた。第2群には、PBSを与えた。対照群には、TNBSもEFDも与えなかった。
プロトコル
C57Bl/6雄性マウスに、50%のエチルアルコール100μl中のTNBS (1 mgの2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS))を2回、第-5及び0日に、結腸に局所的に与えたか又は与えなかった。これらの便を10日間観察した。第10日に、マウスを秤量した。マウスのある群には、最初のTNBS送達の5日前(すなわち第-10日)にEFD 100μgを皮下で与えた。第2群には、PBSを与えた。対照群には、TNBSもEFDも与えなかった。
結果
動物の秤量をTNBS処置の開始後の第0日及び第10日に行った。TNBSを与えたマウスは、約2グラム減少し、TNBSで処置しなかったナイーブマウスは1グラムより多く増加し、TNBSの前にEFDを与えたマウスは、実験の開始時と同じ体重であった(図15)。
動物の秤量をTNBS処置の開始後の第0日及び第10日に行った。TNBSを与えたマウスは、約2グラム減少し、TNBSで処置しなかったナイーブマウスは1グラムより多く増加し、TNBSの前にEFDを与えたマウスは、実験の開始時と同じ体重であった(図15)。
実施例の結論
DSSモデル
予防的モデル:EFD (皮下又は経口)を、DSS供給の21日前に、急性モデル(5又は7日間のDSS供給-実施例I)、及び慢性モデル(5日の間、5日の間隔をあけて3回のDSS供給-実施例II)で与えた。防御効果が、臨床症状(体重、便の外観)、組織病理学的知見、結腸組織及び脾臓でのサイトカイン/リンホカイン濃度、脾臓での転写因子NFκB及びPPARγのレベルについて観察された。
DSSモデル
予防的モデル:EFD (皮下又は経口)を、DSS供給の21日前に、急性モデル(5又は7日間のDSS供給-実施例I)、及び慢性モデル(5日の間、5日の間隔をあけて3回のDSS供給-実施例II)で与えた。防御効果が、臨床症状(体重、便の外観)、組織病理学的知見、結腸組織及び脾臓でのサイトカイン/リンホカイン濃度、脾臓での転写因子NFκB及びPPARγのレベルについて観察された。
治癒的急性モデル:EFD (皮下又は経口)を、DSSを5日間供給した24時間後に与えた(実施例III)。EFD処置群において、実験の最後である1か月後に、PBS処置群のマウスよりも体重の回復はより早く、症状はより目立たず、生物学的マーカーは正常な値により近かった。
治癒的及び予防的慢性モデル:EFD (皮下又は経口)を、DSSを7日間供給した48時間後に与え、実験の最後の第52日の前に、2回の5日間の連続のDSS供給を送達した(実施例IV)。EFD処置群において、生物学的マーカーは、PBS処置群のマウスよりも正常な値により近く、臨床知見についての影響は、存在していたが、より少なかった。
治癒的慢性モデル:EFD (皮下又は経口)を、一連のDSS供給の48時間後に与えた(7日間のDSS及び2回の5日間の連続のDSS供給) (実施例V)。第54日の実験の最後に、EFD処置群において、生物学的マーカーは、PBS処置群のマウスよりも正常な値により近かった。
TNBSモデル
TNBSを用いて行った実験は、ほとんどマウスを含まず、限定的な探査であった。EFD処置後に観察された炎症性反応における減少は、EFDが、純粋なTリンパ球依存性免疫応答を低減させ得ることを示した。
TNBSを用いて行った実験は、ほとんどマウスを含まず、限定的な探査であった。EFD処置後に観察された炎症性反応における減少は、EFDが、純粋なTリンパ球依存性免疫応答を低減させ得ることを示した。
これらの全ての結果は、EFDが、種々のDSS誘発IBDモデルにおいて効力のある抗炎症活性を有することを示す。予防的処置として、これは、臨床症状及び生物学的パラメータに対して作用する。治癒的処置として、これは、本質的に生物学的パラメータに作用する。臨床症状に対する効果は、存在したが、慢性IBDのこれらの激しいモデルにおいてはより目立たず、処置と実験の最後(測定を行ったとき)との間の遅延(delay)が短く、12〜19日であったことを理解している。
EFDの効果は、TNBS誘発IBDモデルでも観察され(実施例VI)、純粋なTリンパ球依存性獲得免疫応答におけるそれらの抗炎症性効力を証明する。
これらの実施例に照らして、当業者は、本発明によるグラム陽性細菌調製物が腸炎症性症候群の予防及び治療に有用であることを本発明者らが確認したことを認識するだろう。実際に、炎症性応答に関わる多くのサイトカイン(すなわちIFNガンマ、IL-6及びIL-17)、並びに2つの転写因子(NFカッパB及びPPARガンマ)が、本発明者らによりアッセイされた。実施例の部分に示す結果は、本発明によるグラム陽性細菌調製物が、TNF-アルファ、IL-12、IFN-ガンマ及びT-betが関連するTh1シグナル伝達経路に対してだけでなく、IL-4、IL-13及びGATA-3が関連するTh2シグナル伝達経路に対しても、さらに、IL-17及びPPAR-ガンマが関連しているようである新しいシグナル伝達経路(Young Y. Current Gastroenterolo Rep 2006 Dec; 8 (6) : 470〜7)に対しても作用する元来の特性を有することを示す。
Claims (35)
- 腸炎症性症候群の予防及び治療のための、グラム陽性細菌が死滅しているか又は非感染性であり、天然構造にある細菌タンパク質成分の50%より多く、好ましくは90%より多くを含有していることを特徴とするグラム陽性細菌調製物の使用。
- 死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物が、細菌に含まれる分子の構造を変性させない方法を用いて得られる請求項1に記載のグラム陽性細菌調製物の使用。
- グラム陽性細菌が、グラム陽性通性細胞内細菌であることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
- グラム陽性通性細胞内細菌が、マイコバクテリウム・ボビスBCGであることを特徴とする請求項3に記載の使用。
- グラム陽性細菌が、凍結乾燥により死滅されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
- グラム陽性細菌が、長期凍結乾燥により死滅されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
- 腸炎症性症候群が、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群より選択される炎症性腸疾患であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
- Th1/Th2平衡異常を原因とする疾患を予防又は治療する方法であって:
a) 死滅又は非感染性グラム陽性細菌調製物、又は腸炎症性症候群を阻害する能力を保持するその一部分を得て、
b) 前記死滅グラム陽性細菌調製物又はその一部分の有効量を、前記疾患に影響される患者に投与する
工程を含む方法。 - 疾患が、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群より選択される炎症性腸疾患であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
- グラム陽性細菌が、グラム陽性通性細胞内細菌であることを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
- グラム陽性通性細胞内細菌が、マイコバクテリウム・ボビスBCGであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
- 腸炎症性症候群を予防又は治療する方法であって、患者に死滅グラム陽性細菌調製物の有効量を投与することにより、白血球性調節性細胞の産生を刺激する工程を含む方法。
- 腸炎症性症候群が、クローン病又は潰瘍性大腸炎であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
- グラム陽性細菌細胞が、凍結乾燥により死滅されることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
- グラム陽性細菌細胞が、長期凍結乾燥により死滅されることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
- グラム陽性細菌細胞が、グラム陽性通性細胞内細菌であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
- グラム陽性通性細胞内細菌が、マイコバクテリウム・ボビスBCGであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
- 白血球性調節性細胞が、CD4+、CD25+、T細胞、B細胞及び/又は樹状細胞であることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 以下の:
a. 生細菌細胞の培養物を得て、
b. 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液で前記細菌細胞を洗浄し、
c. 水又はホウ酸塩のような塩の水溶液中で前記細菌細胞を凍結させ、
d. 凍結した細菌細胞を、水分の少なくとも98.5%、好ましくは水分の少なくとも99%、より好ましくは水分の少なくとも99.5%を除去するのに充分な時間、凍結乾燥機内で乾燥させることによりそれらを死滅させ、
e. 長期凍結乾燥された細菌細胞を回収する
工程により調製されるグラム陽性細菌組成物を含む、腸炎症性腸疾患の治療及び/又は予防用の組成物。 - グラム陽性細菌調製物において、グラム陽性細菌が、死滅しているか又は非感染性であり、天然構造にある細菌タンパク質成分の50%より多く、好ましくは90%より多くを含有しているグラム陽性細菌調製物の、腸炎症性腸疾患の予防又は治療用の医薬の製造のための使用。
- 死滅又は非感染性のグラム陽性細菌調製物が、細菌に含まれる分子の構造を変性させない方法を用いて得られる請求項20に記載の使用。
- グラム陽性細菌調製物が、請求項19のようにして調製される請求項20に記載の使用。
- グラム陽性細菌が、グラム陽性通性細胞内細菌であることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の使用。
- グラム陽性通性細胞内細菌が、マイコバクテリウム・ボビスBCGであることを特徴とする請求項23に記載の使用。
- グラム陽性細菌が、凍結乾燥により死滅されることを特徴とする請求項20〜24のいずれか1項に記載の使用。
- グラム陽性細菌が、長期凍結乾燥により死滅されることを特徴とする請求項20〜25のいずれか1項に記載の使用。
- 炎症性腸疾患が、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群より選択されることを特徴とする請求項20〜26のいずれか1項に記載の使用。
- Th1/Th2平衡異常を原因とする疾患の予防及び治療のための、グラム陽性細菌が、死滅しているか又は非感染性であり、天然構造にある細菌タンパク質成分の50%より多く、好ましくは90%より多くを含有していることを特徴とするグラム陽性細菌調製物の使用。
- 疾患が、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群より選択される炎症性腸疾患であることを特徴とする請求項28に記載の使用。
- グラム陽性細菌が、グラム陽性通性細胞内細菌であることを特徴とする請求項28又は29に記載の使用。
- グラム陽性通性細胞内細菌が、マイコバクテリウム・ボビスBCGであることを特徴とする請求項30に記載の使用。
- グラム陽性細菌が、死滅しているか又は非感染性であり、天然構造にある細菌タンパク質成分の50%より多く、好ましくは90%より多くを含有していることを特徴とするグラム陽性細菌調製物の、Th1/Th2平衡異常を原因とする疾患の予防又は治療用の医薬の製造のための使用。
- 疾患が、クローン病及び潰瘍性大腸炎からなる群より選択される炎症性腸疾患であることを特徴とする請求項32に記載の使用。
- グラム陽性細菌が、グラム陽性通性細胞内細菌であることを特徴とする請求項32又は33に記載の使用。
- グラム陽性通性細胞内細菌が、マイコバクテリウム・ボビスBCGであることを特徴とする請求項34に記載の使用。
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